JP6350498B2 - プレスしわ発生判定方法 - Google Patents

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本発明は、フォーム成形により成形されるプレス成形品におけるしわ発生の有無を判定するプレスしわ発生判定方法に関する。
近年、環境問題に起因した自動車車体の軽量化のため、自動車部品に高強度鋼板が多用されつつある。自動車部品の製作には、製作コストに優れたプレス成形が用いられることが多いが、ブランク(プレス成形素材)となる高強度鋼板は低強度な鋼板と比較し延性が劣るため、ドロー(絞り)成形では鋼板に大きなひずみが入るので材料破断に至りやすい。したがって、ブランクホルダーを使用しない曲げ加工主体のプレス成形であるフォーム(曲げ)成形を適用するケースが多い。しかし、フォーム成形では鋼板にかかる張力が比較的小さいため、部品形状による材料余りがしわ発生の直接要因となり易く、目標形状のプレス成形品を得ることは難しい問題があった。
プレス成形におけるしわ(プレスしわ)の発生を抑制する従来手法には、プレス機とは別駆動のしわ押さえパッド機構を用いて、しわが生じる部位に予め荷重を付与しておくことで、材料余りによる板材の座屈を防止する方法がある。ところがこの方法では、成形初期にパンチとパッドによって挟み込むことができる部品上面におけるしわ押さえは可能であるが、プレス機の駆動方向に対して大きな傾斜のある部品縦壁部に適用することはできない。特に、天板部と縦壁部を備え、縦壁部が縮みフランジ成形される場合、しわが発生し易くて問題であった。
したがって、しわのないプレス成形品を得るためには、フォーム成形過程におけるしわ発生の要因を明らかにし、材料及び目標形状等の条件を決定する必要がある。さらに、近年、有限要素法によるシミュレーション技術の進歩により、実際にプレス加工を行わなくても事前にしわ発生の有無を予測することが行われている。
特許文献1には、コンピュータを用いて弾塑性有限要素法に基づくプレス成形シミュレーションを行い、プレス成形過程における相当応力および相当歪から皺評価パラメータを求め、該皺評価パラメータの値に基づいて皺発生の有無を判断する皺発生予測方法が開示されている。
特開平11−319971号公報
特許文献1に開示されている皺発生予測方法は、コンピュータを用いた有限要素解析を行うものであるが、高精度な予測を行うには計算に大きな時間とコストを要し、さらに、しわのないプレス成形品を得るための条件を決定するためには、計算であっても試行錯誤が必要であり、時間とコストをさらに要するといった問題があった。
本発明は、上記のようなプレス成形時にしわを押えにくい縦壁部を縮みフランジ成形する際のしわ発生の課題を解決するためになされたものであり、プレス成形を行うに際して、ブランク形状に対してしわ発生の有無を容易に精度良く予め判定することができるプレスしわ発生判定方法を提供することを目的とする。
(1)本発明に係るプレスしわ発生判定方法は、外周縁の少なくとも一部が外方に向かって突出した凸状外周縁部を有する天板部と、該天板部における凸状外周縁部から連続して外方に向かって湾曲する縦壁部とを備えたプレス成形品について、パンチとダイを備えてなるプレス成形金型を用いてブランクをフォーム成形により縮みフランジ成形するに際し、所定の形状のブランクを与えた際に、当該ブランクをプレス成形した後の前記縦壁部におけるしわ発生の有無を判定するものであって、前記縦壁部の先端に生じる圧縮ひずみがブランク端部半径を含まない式(a)を用いて算出されるしわ発生限界ひずみεcrを超えた場合、前記ブランク端部半径に依存する圧縮ひずみを有するプレス成形品の前記縦壁部においてしわの発生有りと判定することを特徴とするものである。
ただし、
σ:ブランクの材料強度[MPa]
t:ブランクの板厚[mm]
R:縦壁部における湾曲の曲率半径[mm]
rp:パンチ肩半径[mm]
rd:ダイ肩半径[mm]
A、B、C、D、E、F:係数
(2)上記(1)に記載のものにおいて、プレス成形品の前記縦壁部の先端に生じる圧縮ひずみをブランク端部半径を用いた式(b)で算出することを特徴とするものである。
ただし、
εE:縦壁部の先端に生じる圧縮ひずみ
Rb:ブランク端部半径[mm]
本発明においては、外周縁の少なくとも一部が外方に向かって突出した凸状外周縁部を有する天板部と、該天板部における凸状外周縁部から連続して外方に向かって湾曲する縦壁部とを備えたプレス成形品を、パンチとダイを備えてなるプレス成形金型を用いてブランクをフォーム成形により縮みフランジ成形するに際し、前記縦壁部におけるしわ発生の有無を判定するものであって、前記ブランクのフォーム成形により前記縦壁部の先端に生じる圧縮ひずみがブランク端部半径を含まない式(a)を用いて算出されるしわ発生限界ひずみεcrを超えるか否かにより、ブランク端部半径に依存する圧縮ひずみを有するプレス成形品のしわ発生の有無を予め判定することができ、ブランクの形状等を精度良く決定するための時間とコストを大幅に低減することが可能となる。
本発明において対象とするプレス成形品を説明する図である。 本発明において対象とするプレス成形品の成形に用いるプレス成形金型を説明する図である。 本発明において対象とするプレス成形品を成形するためのブランクの形状を説明する図である。 本発明に係るプレス成形品のプレス成形過程を説明する図である。 本発明に係るプレス成形品をフォーム成形した時に発生するしわを説明する図である。 本発明の実施の形態に係るプレスしわ発生判定方法における圧縮ひずみを説明する図である。 本発明の実施の形態に係るプレスしわ発生判定方法において、ブランクの引張強度としわ発生限界ひずみの関係を表すグラフである。 本発明の実施の形態に係るプレスしわ発生判定方法において、ブランクの板厚としわ発生限界ひずみの関係を表すグラフである。 本発明の実施の形態に係るプレスしわ発生判定方法において、パンチ肩半径としわ発生限界ひずみの関係を表すグラフである。 本発明の実施の形態に係るプレスしわ発生判定方法において、ダイ肩半径としわ発生限界ひずみの関係を表すグラフである。 本発明の実施の形態に係るプレスしわ発生判定方法において、プレス成形品の湾曲部の曲率半径としわ発生限界ひずみの関係を表すグラフである。 本発明の実施例1におけるプレス成形品を説明する図である。 本発明の実施例1におけるしわ発生限界ひずみの測定値と式(c)による計算値の相関を表すグラフである。 本発明の実施例2におけるしわ発生限界ひずみの測定値と式(d)による計算値の相関を表すグラフである。
本発明の実施の形態に係るプレスしわ発生判定方法は、図1に例を示すような天板部3と外方に向かって凸状に湾曲する縦壁部5とを有するプレス成形品1をフォーム成形により縮みフランジ成形するに際し、所定のブランク形状(ブランク端部半径)に依存する縦壁部5の先端5bに生じる圧縮ひずみを算出し、該圧縮ひずみがしわ発生限界ひずみを超えた場合、縦壁部5においてしわの発生有りと判定するものである。
以下、本実施の形態に係るプレスしわ発生判定方法を説明するに先立ち、本発明で成形対象とするプレス成形品1、及び、縦壁部5の先端5bに生じる圧縮ひずみとしわ発生限界ひずみについて説明する。
<プレス成形品>
プレス成形品1は、図1に示すように、外周縁の少なくとも一部が外方に向かって突出した凸状外周縁部3aを有する天板部3と、天板部3における凸状外周縁部3aから接続部7を介して連続し、外方に向かって弧状に湾曲する湾曲部5aを有する縦壁部5とを備えたものである。
プレス成形品1は、図2に示すように、パンチ21、ダイ23、パッド25を備えてなるプレス成形金型20を用い、以下の手順によりフォーム成形されるものである。
まず、図3に示すような形状のブランク11を、外方に向かって円弧状の円弧部11aがパンチ肩部21aと略平行になるようにパンチ21に載置する。そして、図4に示すようにパンチ21とパッド25でブランク11を押えた状態でダイ23とパンチ21とを相対移動させ、ブランク11における縦壁部5に相当する部位を縮みフランジ成形することにより、プレス成形品1が製造される。
このような縦壁部5の曲げ加工が縮みフランジ変形となるプレス成形品1は、縦壁部5の先端5bに縮み変形が集中し、縦壁部5の高さhがある値以上になると座屈し、図5に示すように、縦壁部5にしわ9が発生する。
<圧縮ひずみ及びしわ発生限界ひずみ>
本発明においては、プレス成形品1の成形に際して縦壁部5の先端5bに沿った方向(エッジ方向)の先端5bに生じる圧縮ひずみを算出し(図6参照)、該圧縮ひずみの値により縦壁部5におけるしわ発生の有無を判定する。
縦壁部5の先端5bにおけるエッジ方向の圧縮ひずみεEは、例えば、縦壁部5における湾曲の曲率半径、すなわち、湾曲部5aの曲率半径R(図1参照)、ブランク11のブランク端部半径Rb及び板厚tを用いて下式(b)で表すことができる。
ただし、εEは、ブランク11の板厚方向の中央における値、Rは縦壁部5の板厚方向におけるパンチ21側の曲率半径とする。
また、ブランク端部半径Rbは、縦壁部5の先端5bに相当するブランク11の端部における曲率半径であり、図3においては、ブランク11の円弧部11aにおける曲率半径である。
本発明では、ブランク端部半径Rbに依存する圧縮ひずみεEの値を用いて縦壁部5におけるプレスしわ発生の有無を判定するための基準として、縦壁部5にしわが発生しない範囲で縦壁部5の高さhが最大となる時の圧縮ひずみをしわ発生限界ひずみε cr と定義する。
プレス成形品1の湾曲する縦壁部5の高さhは、ブランク端部半径Rbと、プレス成形金型20のパンチ肩半径rpにより決まるが、しわが発生しない範囲における湾曲する縦壁部5の最大高さはブランク端部半径Rbとは無関係である。
従って、しわが発生しない範囲における湾曲する縦壁部5の最大高さに成形する際の前記しわ発生限界ひずみεcrは、ブランク端部半径Rbを用いずとも求めることができる。
他方、プレス成形品1の湾曲する縦壁部5に成形する際に、縦壁部5の先端5bに生じる圧縮ひずみには、ブランク端部半径Rbが影響する。
すなわち、ブランク端部半径Rbを用いないしわ発生限界ひずみεcrを算出できれば、ブランク形状(ブランク端部半径Rb)によってプレス成形品1の湾曲する縦壁部5にしわが発生するか否かを判定できるわけである。
そして、このように定義されるしわ発生限界ひずみεcrは、ブランク端部半径Rbを含まずに、ブランク11の材料強度や、プレス成形品1及びプレス成形金型20の形状の違いにより変化すると考えられ、プレス成形金型20の形状としては、パンチ肩部21aの断面形状におけるパンチ肩半径rp、ダイ肩部23aの断面形状における曲率半径であるダイ肩半径rdが挙げられる(図4参照)。
そこで、まず、ブランク11の材料強度が縮みフランジ変形におけるしわ発生限界ひずみεcrに及ぼす影響を調べるため、プレス成形金型20のパンチ肩半径rpやダイ肩半径rd等といった形状に関する条件は同一にしたまま、材料強度の異なるブランク11を用いてフォーム成形し、各材料強度におけるしわ発生限界ひずみεcrを求めた。
図7に、湾曲部5aの曲率半径Rを90mm、パンチ肩半径rpを8mm、ダイ肩半径rdを8mm、ブランク11の板厚tを1.2mmとし、材料強度の異なるブランク11として引張強度σTSが270MPa級、590MPa級、980MPa級のブランク11を用いた場合のしわ発生限界ひずみεcrを示す。図7より、ブランク11の引張強度σTSが高くなるにつれてしわ発生限界ひずみは小さくなり、ブランク11の引張強度σTSとしわ発生限界ひずみεcrの関係は概ね線形であった。従って、しわ発生限界ひずみεcrはブランク11の材料強度σにほぼ比例すると考えられる。
同様に、ブランク11の板厚tがしわ発生限界ひずみεcrに及ぼす影響について調べた。
図8に、湾曲部5aにおける湾曲の曲率半径Rを90mm、パンチ肩半径rpを8mm、ダイ肩半径rdを8mmとし、板厚tを変更した場合のしわ発生限界ひずみεcrを示す。図8より、いずれの引張強度σTSにおいても、ブランク11の板厚tが大きいほどしわ発生限界ひずみεcrは大きく、板厚としわ発生限界ひずみの関係はほぼ線形であった。
次に、プレス成形金型20の形状がしわ発生限界ひずみεcrに及ぼす影響について調べた。
図9に、ブランク11の引張強度σTSを980MPa級、板厚tを1.2mm、湾曲部5aにおける湾曲の曲率半径Rを90mm、ダイ肩半径rdを8mmとし、パンチ肩半径rpを変更した場合の結果を、図10にブランク11の引張強度σTSを980MPa級、板厚tを1.2mm、縦壁部5における湾曲の曲率半径Rを90mm、パンチ肩半径rpを8mmとし、ダイ肩半径rdを変更した場合のしわ発生限界ひずみεcrを示す。
パンチ肩半径、ダイ肩半径の双方ともその値が大きいほど、しわ発生限界ひずみεcrは大きくなり、しわ発生限界ひずみとの関係は概ね線形であった。
さらに、湾曲部5aにおける湾曲の曲率半径Rがしわ発生限界ひずみεcrに及ぼす影響について調べた。図11にブランク11の板厚tを1.2m、パンチ肩半径rpを2mm、ダイ肩半径rdを8mmとして湾曲部5aにおける湾曲の曲率半径Rを変更し、ブランク11の引張強度σTSを270MPa級、590MPa級、980MPaとした場合におけるしわ発生限界ひずみεcrを示す。
湾曲の曲率半径Rが小さいほどしわ発生限界ひずみεcrは大きくなり、その影響は反比例の関係であった。また、曲率半径Rが小さい場合、すなわち、しわ発生限界ひずみεcrが大きい値の方が、ブランク11の引張強度σTSによる影響が比較的大きくなることが分かった。
以上の結果から、プレス成形品1の縦壁部5におけるしわ発生限界ひずみεcrは、ブランク11の材料強度σ及び板厚t、並びに、湾曲部5aの湾曲の曲率半径R、パンチ肩半径rp及びダイ肩半径rdから予測することができると考え、式(a)のように定式化した。
式(a)中の係数A〜Fは少なくとも6種類以上の条件にてプレス成形実験や成形シミュレーションを行った結果から、回帰分析して決定することができる。
式(a)の定式化においては、図11に示した結果より、しわ発生限界ひずみεcrが大きくなる条件の時にブランク11の引張強度σTSの影響が大きかったことから、ブランク11の材料強度σの影響を表す項と、プレス成形品1およびプレス成形金型20の形状の影響を表す項とを掛け合わせることとした。この場合、ブランク11の板厚tは形状を表す項に含むものとした。
さらに、プレス成形対象の相似変形を考えた場合、ブランク11の板厚tやプレス成形金型20の形状の影響はどれか一つのパラメータで除することで正規化が可能となると考え、しわ発生限界ひずみεcrに対して反比例に近い関係を持つ湾曲の曲率半径Rで、板厚t、パンチ肩半径rp、ダイ肩半径rdを除する形とした。
なお、式(a)は、ブランク11の引張強度σTSを変更した時の圧縮ひずみの結果に基づいて定式化したものであるが、式(a)における材料強度σは引張強度に限るものではなく、例えば、ブランク11の降伏強度σYSを用いても良い。
<プレスしわ発生判定方法>
次に、本実施の形態に係るプレスしわ発生判定方法を以下に説明する。
まず、プレス成形金型20を用いてプレス成形品1をフォーム成形する条件として、プレス成形に供されるブランク11の板厚tと材料強度σ、プレス成形金型20のパンチ肩半径rp、ダイ肩半径rd、及び、縦壁部5における湾曲の曲率半径、すなわち、湾曲部5aにおける湾曲の曲率半径Rを設定する。
これらの値を用いて式(a)によりしわ発生限界ひずみεcrを算出する。また、ブランク11のブランク端部半径Rb、板厚t、縦壁部5の板厚方向におけるパンチ21側の曲率半径Rを用いて式(b)によりプレス成形品1の縦壁部5の先端5bに生じるエッジ方向の圧縮ひずみεEを算出する。
なお、式(a)によりしわ発生限界ひずみεcrを算出するに際しては、予め係数A〜Fの値を決定しておく必要がある。
式(b)により算出した圧縮ひずみの値εEが、式(a)により算出したしわ発生限界ひずみの値εcrよりも大きい場合、プレス成形品1の縦壁部5にしわの発生有りと判定する。
一方、式(b)により算出した圧縮ひずみの値εEが、式(a)により算出したしわ発生限界ひずみの値εcr以下の場合、プレス成形品1の縦壁部5にしわの発生無しと判定する。
このように、本実施の形態に係るプレスしわ発生判定方法は、実際にプレス成形を行う前に、ブランクの材料強度と板厚、プレス成形金型の形状を用いてしわ発生の有無を予め判定することができるので、ブランクの形状(ブランク端部半径Rb)を決定するための時間とコストを大幅に低減することができる。
なお、上記の説明では、パッド25を備えたプレス成形金型20によりフォーム成形されたプレス成形品1を対象として、縦壁部5におけるしわの発生を判定するものであったが、本発明に係るプレスしわ発生判定方法は、プレス成形品1を、パッド25を用いずにパンチ21とダイ23のみによりフォーム成形する場合を対象とするものであっても良い。
また、上記の説明は、縦壁部5の一部が弧状に湾曲した湾曲部5aを有するプレス成形品1を対象としたものであったが、本発明に係るプレスしわ発生判定方法は、図12に示すように、縦壁部35の全てが弧状に湾曲するプレス成形品31を対象としてプレスしわ発生の有無を判定するものであっても良い。
本発明に係るプレスしわ発生判定方法により、プレス成形品の縦壁部におけるプレスしわ発生の判定ができることを検証する実験を行ったので、以下これについて説明する。
本実施例1においては、まず、図12に示すプレス成形品31を対象として、ブランク11の引張強度σTSを270MPa〜1180MPa、板厚tを0.7mm〜3.2mm、また、縦壁部35における湾曲の曲率半径Rを25mm〜100mm、パンチ肩半径rpを2mm〜20mm、ダイ肩半径rdを2mm〜20mmの範囲で設定した条件の下で、プレス成形品31の縦壁部35の高さhを変更して成形し、縦壁部35におけるしわ発生の有無に基づいてしわ発生限界ひずみを測定した。
そして、式(a)に対して図12のプレス成形品31を対象として成形したしわ発生限界ひずみεcrの測定結果を用いて重回帰分析を行い、式(a)中の係数A〜Fの値を決定した。
本実施例1においてしわ発生限界ひずみεcrの算出に用いた式を以下に示す。
しわ発生限界ひずみεcrの測定値と式(c)により算出した計算値との相関を図13に示す。
両者の相関係数rは0.995であり、式(c)はしわ発生限界ひずみを良好に表せることがわかる。
次に、式(c)により算出したしわ発生限界ひずみεcrを、図12に示す円板形状の天板部33と、天板部33の凸状外周縁部33aから接続部37を介して連続し、外方に向かって湾曲する縦壁部35とを備えた浅い円筒形状のプレス成形品31のフォーム成形時において、縦壁部35におけるしわ発生の判定に適用した。
プレス成形品31は、パンチとパッドでブランクを押えた状態でダイをパンチ側に相対移動させ、縦壁部35を曲げ成形し縦壁部35の先端のしわ発生の有無を観察した。
ブランク11の引張強度σTS、板厚t、縦壁部35における湾曲の曲率半径R、パンチ肩半径rp及びダイ肩半径rdを変更してプレス成形品31を成形し、その時の縦壁部35におけるしわ発生の有無を測定し、式(c)によりしわ発生限界ひずみεcrを算出して、また、ブランク端部半径Rbを変更して式(b)により縦壁部35の先端の圧縮ひずみεEを算出して、式(b)により算出された圧縮ひずみεEと式(c)により算出されたしわ発生限界ひずみεcrを用いたしわ発生の有無の判定結果とを比較した。
表1に、各条件におけるしわ発生の有無の実験結果と判定結果を示す。
表1より、ブランク端部半径Rbを用いない式(c)により算出したしわ発生限界ひずみεcrにより、ブランク端部半径Rbによる縦壁部35のしわ発生の有無を精度良く判定できることが実証された。
本実施例2では、本実施例1と同様に、本発明に係るプレスしわ発生判定方法により、プレス成形品の縦壁部におけるプレスしわ発生の判定ができることを検証する実験を行った。
本実施例2では、まず、図1に示すプレス成形品1を対象として、ブランク11の引張強度σTSを980MPa〜1470MPa、板厚tを1.0mm、また、湾曲部5aにおける湾曲の曲率半径Rを100mm〜2000mm、パンチ肩半径rpを8mm、ダイ肩半径rdを8mmの範囲で設定した条件の下で、ブランク端部半径Rbを変更してプレス成形品1を成形し、縦壁部5におけるしわ発生の有無に基づいてしわ発生限界ひずみεcrを測定した。
そして、式(a)に対して図1のプレス成形品1を対象として成形したしわ発生限界ひずみεcrの測定結果を用いて重回帰分析を行い、式(a)中の係数A〜Fの値を決定した。
本実施例2においてしわ発生限界ひずみの算出に用いた式を以下に示す。
しわ発生限界ひずみεcrの測定値と式(d)により算出した計算値との関係を図14に示す。
両者の相関係数rは0.997であり、式(d)はしわ発生限界ひずみεcrを良好に表せていることがわかる。
次に、式(d)により算出されるしわ発生限界ひずみεcrを、図1に示す外方に向かって凸状に突出した凸状外周縁部3aを有する天板部3と、天板部3における凸状外周縁部3aから連続し、外方に向かって湾曲する縦壁部5とを有するプレス成形品1のフォーム成形時において、縦壁部5におけるしわ発生の判定に適用した。
ブランク11の引張強度σTS、板厚t、湾曲部5aにおける湾曲の曲率半径R、パンチ肩半径rp及びダイ肩半径rdを変更してプレス成形品1を成形し、縦壁部5におけるしわ発生の有無を測定し、式(d)によりしわ発生限界ひずみεcrを算出して、また、ブランク端部半径Rbを変更して式(b)により縦壁部35の先端の圧縮ひずみεEを算出して、式(b)により算出された圧縮ひずみεEと式(d)により算出されたしわ発生限界ひずみεcrを用いたしわ発生の有無の判定結果と比較した。
表2に、各条件におけるしわ発生の有無の実験結果と判定結果を示す。
表2より、ブランク端部半径Rbを用いない式(d)により算出したしわ発生限界ひずみεcrにより、ブランク端部半径Rbによる縦壁部35のしわ発生の有無を精度良く判定できることが実証された。
1 プレス成形品
3 天板部
3a 凸状外周縁部
5 縦壁部
5a 湾曲部
5b 先端
7 接続部
9 しわ
11 ブランク
11a 円弧部
20 プレス成形金型
21 パンチ
21a パンチ肩部
23 ダイ
23a ダイ肩部
25 パッド
31 プレス成形品
33 天板部
33a 凸状外周縁部
35 縦壁部
37 接続部

Claims (2)

  1. 外周縁の少なくとも一部が外方に向かって突出した凸状外周縁部を有する天板部と、該天板部における凸状外周縁部から連続して外方に向かって湾曲する縦壁部とを備えたプレス成形品について、パンチとダイを備えてなるプレス成形金型を用いてブランクをフォーム成形により縮みフランジ成形するに際し、所定の形状のブランクを与えた際に、当該ブランクをプレス成形した後の前記縦壁部におけるしわ発生の有無を判定するプレスしわ発生判定方法であって、
    前記縦壁部の先端に生じる圧縮ひずみがブランク端部半径を含まない式(a)を用いて算出されるしわ発生限界ひずみεcrを超えた場合、ブランク端部半径に依存する圧縮ひずみを有するプレス成形品の前記縦壁部においてしわの発生有りと判定することを特徴とするプレスしわ発生判定方法。
    ただし、
    σ:ブランクの材料強度[MPa]
    t:ブランクの板厚[mm]
    R:縦壁部における湾曲の曲率半径[mm]
    rp:パンチ肩半径[mm]
    rd:ダイ肩半径[mm]
    A、B、C、D、E、F:係数
  2. プレス成形品の前記縦壁部の先端に生じる圧縮ひずみをブランク端部半径を用いた式(b)で算出することを特徴とする請求項1記載のプレスしわ発生判定方法。
    ただし、
    εE:縦壁部の先端に生じる圧縮ひずみ
    Rb:ブランク端部半径[mm]
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