JPWO2018038255A1 - 環状アミン誘導体の結晶及びその医薬用途 - Google Patents

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Abstract

本発明は、神経障害性疼痛及び/又は線維筋痛症に対して鎮痛作用を示す化合物の医薬品として有用な結晶を提供することを目的としている。本発明は、(S)−1−(4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル)−3−ヒドロキシ−3−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)プロパン−1−オン又はその薬理学的に許容される塩の結晶を提供する。

Description

本発明は、環状アミン誘導体の結晶及びその医薬用途に関する。
痛みとは、組織の損傷が引き起こされる時又はその可能性がある時に生じる不快な感覚や不快な情動を伴う体験のことである。痛みは、その原因により、主に、侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛又は心因性疼痛に分類される。また、原因不明の痛みとして、線維筋痛症が知られている。
神経障害性疼痛とは、末梢又は中枢神経系そのものの機能異常による病的な痛みであり、侵害受容器が侵害刺激を受けていないにもかかわらず、神経組織の直接的な損傷や圧迫等によって生じる疼痛のことをいう。神経障害性疼痛の治療薬としては、抗痙攣薬、抗うつ薬、抗不安薬又はガバペンチン若しくはプレガバリン等の抗てんかん薬が使用されている。
線維筋痛症とは、全身の疼痛を主症状とし、精神神経症状や自律神経系の症状を副症状とする疾患である。線維筋痛症の治療薬としては、米国及び日本で承認されているプレガバリン、米国で承認されているデュロキセチン及びミルナシプランが主に使用され、線維筋痛症の治療薬として承認されていない非ステロイド性抗炎症薬、オピオイド化合物、抗うつ薬、抗痙攣薬及び抗てんかん薬についても使用されている。ただし、非ステロイド性抗炎症薬及びオピオイド化合物の治療効果は、一般的に低いとされている(非特許文献1)。
その一方で、特許文献1には、ある種の置換ピペリジン類が強心活性を有していることが開示され、特許文献2には、イミダゾール誘導体がFXa阻害作用を示すことが開示されており、特許文献3には、置換ピペリジン類が超過体重又は肥満に対して薬効を有する可能性が示唆されており、特許文献4及び5には、イミダゾール誘導体が鎮痛作用を示すことが開示されている。
また、医薬品は、流通や保管等の長期過程に渡って品質が保持される必要があり、有効成分となる化合物には、化学的及び物理学的に高い安定性が要求されている。このため、医薬品の有効成分は、非晶質体に比べて高い安定性が期待できる結晶が採用されることが一般的である。また、結晶が得られれば、製造時の再結晶による精製効果が期待できる。さらに、安定性の維持や原薬の製造、貯蔵、製剤化及び分析時の取り扱いの観点から低吸湿性であることが好ましい。
医薬品の有効成分となる化合物の結晶を取得するためには、溶液から結晶を析出させる条件を種々検討する必要があるが、室温における化合物の溶解度があまり大きくない溶媒を選択し、できるだけ高濃度に溶解させた条件下で結晶化を行うことが一般的である。
仏国特許発明第2567885号明細書 特開2006−008664号公報 国際公開第2003/031432号 国際公開第2013/147160号 国際公開第2015/046403号
Okifujiら、Pain and Therapy、2013年、第2巻、p.87−104
しかしながら、従来の神経障害性疼痛の治療薬による治療では、めまい、悪心又は嘔吐等の中枢性の副作用が高い頻度で伴い、長期投与を可能にするには、新たな神経障害性疼痛治療薬の開発が望まれている。
また、線維筋痛症の治療薬として承認されているプレガバリン、デュロキセチン及びミルナシプランであっても、線維筋痛症に対する治療効果は臨床的に満足のいくものではなく、患者間における薬効差も大きいため、薬理活性が強く、広範囲の患者に対して治療効果を発揮する新たな線維筋痛症治療薬の開発が切望されている。
さらに、上記の課題を解決し得る新たな神経障害性疼痛治療薬や線維筋痛症治療薬は、他剤との一包化を考慮して、吸湿性が低く、溶解性並びに化学的及び物理学的安定性に優れた結晶であることが好ましく、製造時の精製効果も期待できる結晶であればより好ましいと考えられる。
特許文献1に記載の置換ピペリジン類については、偏頭痛への有効性がある旨の示唆はされて、特許文献4及び5に記載のイミダゾール誘導体については、鎮痛作用を有することが開示されているが、本願で鎮痛作用を明らかにした化合物自体の開示や鎮痛作用と化学構造との関連性についての示唆は一切されていない。特許文献2に記載のイミダゾール誘導体及び特許文献3に記載の置換ピペリジン類については、鎮痛作用を有する可能性すら開示も示唆もされていない。
さらに、特許文献1〜5には、開示された化合物の結晶化についての記載は一切なく、医薬品として有望な結晶が取得できる可能性についての示唆もされていない。
そこで本発明は、神経障害性疼痛及び/又は線維筋痛症に対して鎮痛作用を示す化合物の医薬品として有用な結晶を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、痛み、特に神経障害性疼痛及び/又は線維筋痛症に対して強い鎮痛作用を有する化合物を見出し、さらに、吸湿性が低く、溶解性並びに化学的及び物理学的安定性に優れた当該化合物の結晶を見出すに至った。
すなわち、本発明は、下記の化学式(I)で示される(S)−1−(4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル)−3−ヒドロキシ−3−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)プロパン−1−オン(以下、化合物(I))又はその薬理学的に許容される塩の結晶を提供する。
Figure 2018038255
上記結晶は、粉末X線回折において、回折角2θ(°)15.3、16.0、19.0、21.8及び23.0にピークを有する結晶であることが好ましく、示差熱熱重量同時測定において、120〜124℃に熱吸収ピークを有する結晶であることがより好ましい。
上記の結晶は、医薬品として、吸湿性が低く、溶解性並びに化学的及び物理学的安定性に優れた結晶であり、製造時の精製効果がある。
上記の薬理学的に許容される塩は、エタンジスルホン酸塩であることが好ましい。上記化合物(I)のエタンジスルホン酸塩の結晶は、粉末X線回折において、回折角2θ(°)12.6、16.0、17.7、18.5及び21.3にピークを有する結晶であることが好ましく、示差熱熱重量同時測定において、173〜177℃に熱吸収ピークを有する結晶であることがより好ましい。
上記の結晶は、医薬品として、吸湿性が低く、溶解性並びに化学的及び物理学的安定性に優れた結晶であり、製造時の精製効果がある。
また本発明は、化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶を有効成分として含有する医薬を提供する。
上記医薬は、鎮痛薬であることが好ましく、神経障害性疼痛治療薬又は線維筋痛症治療薬であることがより好ましい。
上記の神経障害性疼痛治療薬又は線維筋痛症治療薬は、優れた鎮痛作用、特に神経障害性疼痛又は線維筋痛症に対し治療効果を発揮する。良好な保存安定性を有し、そのまま若しくは医薬として許容される担体を配合して、経口的又は非経口的に投与することができる。
また本発明は、化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶及び医薬として許容される担体を含む医薬組成物を提供する
また本発明は、医薬として使用するための、化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶を提供する。
また本発明は、痛み、特に神経障害性疼痛又は線維筋痛症の治療に使用するための、化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶を提供する。
また本発明は、痛み、特に神経障害性疼痛又は線維筋痛症を治療するための、化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶の使用を提供する。
また本発明は、痛み、特に神経障害性疼痛又は線維筋痛症の治療用医薬の製造における、化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶の使用を提供する。
また本発明は、痛み、特に神経障害性疼痛又は線維筋痛症を治療する方法であって、治療の必要のある患者に、治療有効量の化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶を投与することを含む方法を提供する。
本発明の結晶は、痛み、特に神経障害性疼痛及び/又は線維筋痛症に対して強い鎮痛作用を示し、非晶質体に比べて吸湿性が低く、溶解性並びに化学的及び物理学的安定性に優れ、医薬品の有効成分として好適に使用できる。
化合物(I)のA形結晶の粉末X線回折図である。 化合物(I)のA形結晶の示差熱熱重量同時測定により得られた示差熱分析曲線を示す図である。 化合物(I)のエタンジスルホン酸塩のB形結晶の粉末X線回折図である。 化合物(I)のエタンジスルホン酸塩のB形結晶の示差熱熱重量同時測定により得られた示差熱分析曲線を示す図である。 脊髄神経結紮モデルラットにおける化合物(I)の効果を示す図である(経口投与)。 線維筋痛症モデルラットにおける化合物(I)の効果を示す図である(経口投与)。
本発明の結晶は、化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶であることを特徴としている。化合物(I)の結晶の代表的なものとしては、以下に詳細に説明するA形結晶を挙げることができ、化合物(I)の塩の結晶の代表的なものとしては、エタンジスルホン酸塩のB形結晶を挙げることができる。
結晶形は、粉末X線回折図が示す特徴的なピーク及び/又は示差熱熱重量同時測定(以下、TG−DTA)により得られる示差熱分析曲線(以下、DTA曲線)が示す吸熱ピークによって識別することができる。なお、粉末X線回折図及びDTA曲線は測定条件によって多少変わり得るものであり、例えば、粉末X線回折図における回折角2θは、一般的に±0.2°の誤差は許容されるものである。
化合物(I)のA形結晶は、図1に示すように、粉末X線回折において、回折角2θ(°)15.3、16.0、19.0、21.8及び23.0にピークを有することを特徴とする。また、化合物(I)のA形結晶は、図2に示すDTA曲線を与え、122℃、すなわち120〜124℃に吸熱ピークを有する。
化合物(I)のエタンジスルホン酸塩のB形結晶は、図3に示すように、粉末X線回折において、回折角2θ(°)12.6、16.0、17.7、18.5及び21.3にピークを有することを特徴とする。また、化合物(I)のエタンジスルホン酸塩のB形結晶は、図4に示すDTA曲線を与え、175℃、すなわち173〜177℃に吸熱ピークを有する。
化合物(I)のA形結晶の粉末X線回折図を得るための粉末X線回折は、粉末X線回折装置を用いて、以下の条件で測定することができる。なお、測定試料は、試料板(材質:ケイ素;深さ:0.2mm)に試料を充填し、試料表面を平らにならして作製される。
≪粉末X線回折条件≫
X線源 : CuKα線
*湾曲結晶モノクロメータ(グラファイト)を使用
出力 : 40kV/50mA
発散スリット : 1/2°
発散縦制限スリット : 5mm
散乱スリット : 1/2°
受光スリット : 0.15mm
検出器 : シンチレーションカウンタ
スキャン方式 : 2θ/θスキャン、連続スキャン
測定範囲(2θ) : 2〜40°
スキャン速度(2θ) : 2°/min
計数ステップ(2θ) : 0.02°
化合物(I)のエタンジスルホン酸塩のB形結晶の粉末X線回折図を得るための粉末X線回折は、粉末X線回折装置を用いて、以下の条件で測定することができる。なお、測定試料は、試料板(材質:ケイ素; 深さ:0.2mm)に試料を充填し、試料表面を平らにならして作製される。
≪粉末X線回折条件≫
X線源 : CuKα線
*湾曲結晶モノクロメータ(グラファイト)を使用
出力 : 40kV/50mA
発散スリット : 1/2°
発散縦制限スリット : 5mm
散乱スリット : 1/2°
受光スリット : 0.15mm
検出器 : シンチレーションカウンタ
スキャン方式 : 2θ/θスキャン、連続スキャン
測定範囲(2θ) : 2〜30°
スキャン速度(2θ) : 4°/min
計数ステップ(2θ) : 0.02°
吸熱ピークとは、DTA曲線上が示すピークトップの温度をいう。ここでDTA曲線を得るためのTG−DTAは、TG−DTA装置を用いて、以下の条件で測定することができる。
≪TG−DTA条件≫
昇温速度 : 5℃/分
雰囲気 : 乾燥窒素(流量:100mL/min)
試料セル : アルミニウムオープンセル
試料量 : 1〜15mg
化合物(I)のA形結晶は、任意の形態の化合物(I)を10〜400mg/mLの濃度で酢酸エチルに溶解し、室温で静置又は撹拌して得ることができる。
また、化合物(I)のA形結晶は、任意の形態の化合物(I)を溶媒、好ましくは、アルコール系、芳香族系、エーテル系、ケトン系、エステル系、ハロゲン系又はニトリル系の溶媒に溶解し、予め得ておいた化合物(I)のA形結晶を種晶として添加後、室温で静置又は撹拌して得ることができる。
上記のアルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、2−メチル−1−プロパノール、1−ペンタノール又は3−メチル−1−ブタノールが挙げられる。
上記の芳香族系溶媒としては、例えば、ベンゼン、クロロベンゼン、トルエン、キシレン又はクメンが挙げられる。
上記のエーテル系溶媒としては、例えば、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、t−ブチルメチルエーテル又は1,4−ジオキサンが挙げられる。
上記のケトン系溶媒としては、例えば、アセトン、2−ブタノン、4−メチル−2−ペンタノン又は2−ヘキサノンが挙げられる。
上記のエステル系溶媒としては、例えば、ギ酸エチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル又は酢酸n−ブチルが挙げられる。
上記のハロゲン系溶媒としては、例えば、クロロホルム、ジクロロメタン又は1,2−ジクロロエテンが挙げられる。
上記のニトリル系溶媒としては、例えば、アセトニトリル又はプロピオニトリルが挙げられる。
化合物(I)の薬理学的に許容される塩としては、例えば、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、臭化水素酸塩若しくはリン酸塩等の無機酸塩、酢酸塩、トリフルオロ酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、安息香酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、グルコン酸塩、グルタル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、サリチル酸塩、キシナホ酸塩、アスコルビン酸塩、アジピン酸塩、ケイ皮酸塩、フマル酸塩、マンデル酸塩、コハク酸塩若しくはパモ酸塩等の有機カルボン酸塩又はメタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、カンファースルホン酸塩若しくはエタンジスルホン酸塩等の有機スルホン酸塩が挙げられる。
化合物(I)のエタンジスルホン酸塩のB形結晶は、任意の形態の化合物(I)に1,2−エタンジスルホン酸二水和物及び蒸留水を加えて溶解し、凍結乾燥により溶媒を除去後、アセトンを加えて室温で静置又は撹拌して得ることができる。
化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶の鎮痛作用、特に神経障害性疼痛及び/又は線維筋痛症の治療効果は、適切な動物モデルを用いて評価することができる。神経障害性疼痛の適切な動物モデルとしては、例えば、マウス若しくはラットの脊髄神経結紮モデル(Kimら、Pain、1992年、第50巻、p.355−363)又はマウス若しくはラットの坐骨神経部分結紮モデル(Malmbergら、Pain、1998年、第76巻、p.215−222)が挙げられる。線維筋痛症の適切な動物モデルとしては、例えば、マウス若しくはラットの線維筋痛症モデル(Slukaら、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、2002年、第302巻、p.1146−1150; Nagakuraら、Pain、2009年、第146巻、p.26−33; Slukaら、Pain、2009年、第146巻、p.3−4)が挙げられる。
化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶は、優れた鎮痛作用、特に神経障害性疼痛及び/又は線維筋痛症の治療効果を有していることから、医薬として用いることができ、鎮痛薬として好ましく用いられ、特に神経障害性疼痛治療薬及び/又は線維筋痛症治療薬として好ましく用いられる。
上記の神経障害性疼痛としては、例えば、癌性疼痛、帯状疱疹痛、帯状疱疹後神経痛、エイズ関連神経痛、糖尿病性神経障害痛又は三叉神経痛が挙げられる。
上記の線維筋痛症とは、専門医により線維筋痛症であると診断された症状をいう。専門医の診断は、一般には、米国リウマチ学会の分類基準を参考に行われる。
化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶は、急性及び慢性疼痛の治療にも有用である。急性疼痛は、通常短期間であるが、例えば、術後疼痛、抜歯後疼痛又は三叉神経痛が挙げられる。慢性疼痛は、通常3〜6ヶ月間持続する疼痛と定義され、かつ、体因性疼痛及び心因性疼痛を含むが、例えば、慢性関節リウマチ、変形性関節症又は帯状疱疹後神経痛が挙げられる。
化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶は、例えば、哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ウサギ、イヌ、サル、ウシ、ヒツジ又はヒト)に対して投与した場合に、優れた鎮痛作用、特に神経障害性疼痛及び/又は線維筋痛症に対し治療効果を発揮する。
化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶を医薬として用いる場合、化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶を、そのまま又は医薬として許容される担体を配合して、経口的又は非経口的に投与することができる。
化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶を有効成分として含有する医薬を経口投与する場合の剤形としては、例えば、錠剤(糖衣錠及びフィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤及びマイクロカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤又は懸濁剤が挙げられる。また、化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩を有効成分として含有する医薬を非経口投与する場合の剤形としては、例えば、注射剤、注入剤、点滴剤、坐剤、塗布剤又は貼付剤が挙げられる。さらには、適当な基剤(例えば、酪酸の重合体、グリコール酸の重合体、酪酸−グリコール酸の共重合体、酪酸の重合体とグリコール酸の重合体との混合物又はポリグリセロール脂肪酸エステル)と組み合わせて、徐放性製剤とすることも有効である。
上記の剤形の製剤の調製は、製剤分野において一般的に用いられる公知の製造方法に従って行うことができる。この場合、必要に応じて、例えば、製剤分野において一般的に用いられる賦形剤、結合剤、滑沢剤、崩壊剤、甘味剤、界面活性剤、懸濁化剤又は乳化剤を含有させて製造することができる。
錠剤の調製は、例えば、賦形剤、結合剤、崩壊剤又は滑沢剤を含有させて行うことができ、丸剤及び顆粒剤の調製は、例えば、賦形剤、結合剤又は崩壊剤を含有させて行うことができる。また、散剤及びカプセル剤の調製は、例えば、賦形剤を、シロップ剤の調製は、例えば、甘味剤を、乳剤又は懸濁剤の調製は、例えば、界面活性剤、懸濁化剤又は乳化剤を含有させて行うことができる。
賦形剤としては、例えば、乳糖、ブドウ糖、デンプン、ショ糖、微結晶セルロース、カンゾウ末、マンニトール、炭酸水素ナトリウム、リン酸カルシウム又は硫酸カルシウムが挙げられる。
結合剤としては、例えば、デンプンのり液、アラビアゴム液、ゼラチン液、トラガント液、カルボキシメチルセルロース液、アルギン酸ナトリウム液又はグリセリンが挙げられる。
崩壊剤としては、例えば、デンプン又は炭酸カルシウムが挙げられる。
滑沢剤としては、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、ステアリン酸カルシウム又は精製タルクが挙げられる。
甘味剤としては、例えば、ブドウ糖、果糖、転化糖、ソルビトール、キシリトール、グリセリン又は単シロップが挙げられる。
界面活性剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリソルベート80、ソルビタンモノ脂肪酸エステル又はステアリン酸ポリオキシル40が挙げられる。
懸濁化剤としては、例えば、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース又はベントナイトが挙げられる。
乳化剤としては、例えば、アラビアゴム、トラガント、ゼラチン又はポリソルベート80が挙げられる。
さらに、化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶を有効成分として含有する医薬を、上記の剤形に調製する場合には、製剤分野において一般的に用いられる着色剤、保存剤、芳香剤、矯味剤、安定剤又は粘稠剤等を添加することができる。
化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶を医薬として、臨床で投与する場合の用量は、症状、年齢、体重、性別又は投与方法等に応じて適宜選択されるが、例えば、成人(体重約60kg)に経口投与する場合には、有効成分量として1〜1000mgの範囲で、1〜3回に分けて投与することが好ましく、成人(体重約60kg)に非経口投与する場合には、注射剤であれば、有効成分量として体重1kgあたり0.01〜100mgの範囲で静脈注射により投与することが好ましい。
化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶は、治療若しくは予防効果の補完又は増強、あるいは投与量の低減のために、他の薬剤と適量配合又は併用しても構わない。この場合の他の薬剤としては、例えば、アミトリプチリン、ミルナシプラン若しくはデュロキセチン等の抗うつ薬、アルプラゾラム等の抗不安薬、カルバマゼピン等の抗痙攣薬、リドカイン等の局所麻酔薬、アドレナリン等の交感神経作動薬、ケタミン等のNMDA受容体拮抗薬、バルプロ酸ナトリウム等のGABAトランスアミナーゼ阻害薬、プレガバリン等のカルシウムチャネル遮断薬、リスペリドン等のセロトニン受容体拮抗薬、ジアゼパム等のGABA受容体機能促進薬又はジクロフェナク等の抗炎症薬が挙げられる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
化合物(I)並びに化合物(I)の原料及び中間体は、以下の参考例に記載する方法で合成した。なお、参考例化合物の合成に使用される化合物で合成法の記載のないものについては、市販の化合物を使用した。
以下の記載において、NMRデータ中に示される溶媒名は、測定に使用した溶媒を示している。また、400 MHz NMRスペクトルは、JNM−AL400型核磁気共鳴装置(日本電子社製)を用いて測定した。ケミカルシフトは、テトラメチルシランを基準として、δ(単位:ppm)で表し、シグナルはそれぞれs(一重線)、d(二重線)、t(三重線)、q(四重線)、quint(五重線)、sept(七重線)、m(多重線)、br(幅広)、dd(二重二重線)、dt(二重三重線)、ddd(二重二重二重線)、dq(二重四重線)、td(三重二重線)、tt(三重三重線)で表した。ESI−MSスペクトルは、Agilent Technologies 1200 Series、G6130A(AgilentTechnology社製)を用いて測定した。溶媒は全て市販のものを用いた。フラッシュカラムクロマトグラフィーは、YFLC W−prep2XY(山善社製)を用いた。
(参考例1) 化合物(I)の非晶質体の調製:
1−(4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル)−3−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)プロパン−1,3−ジオン(3.0g、10.8mmol)のイソプロピルアルコール(90mL)溶液に、窒素ガス雰囲気下で、クロロ[(S,S)−N−[2−[2−(4メチルベンジルオキシ)エチル]アミノ−1,2−ジフェニルエチル]−p−トルエンスルホンアミド]ルテニウム(II)触媒(175mg、0.263mmol)を加え、内温80℃で18時間撹拌を行った。反応液を濃縮し、分液ロートに蒸留水42.8gで移液した。酢酸エチルで抽出後、酢酸エチル層を蒸留水で抽出し、全ての水層を合わせて濃縮した。濃縮後に酢酸エチルを加えて、エバポレーターで共沸脱水を行った。残渣をクロロホルムで置換して、濃縮物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル、クロロホルム)で精製した。40℃以下で40時間減圧乾燥を行い、化合物(I)の非晶質体(2.45g、8.7mmol、81%)を得た。粉末X線回折の測定を行い、結果が非晶質ハローであることを確認した。
高速液体クロマトグラフィー(以下、HPLC)保持時間:19.0min、機器:株式会社島津製作所製Prominence HPLCシステムシステム、検出波長:210nm、カラム:Scherzo SS−C18、(内径:3.0mm、長さ:150mm、粒径:3μm)(インタクト)、カラム温度:40℃、移動相A:10mmol/Lリン酸二水素カリウム水溶液/アセトニトリル=90/10(v/v)、移動相B:100mmol/Lリン酸二水素カリウム水溶液/アセトニトリル=50/50(v/v)、移動相Bの組成:0〜5分:30%、5〜15分:30→100%、15〜25分:100%、25〜25.1分:100→30%、25.1〜30分:30%、流量:1.0mL/min、試料注入量:10μL
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.32-1.53 (2H, m), 1.82-1.92 (2H, m), 2.27-2.41 (7H, m), 2.60-2.72 (1H, m), 2.98-3.23 (3H, m), 3.77 (3H, s), 3.99-4.08 (1H, m), 4.58-4.82 (2H, m), 5.18-5.26 (1H, m), 6.86 (1H, s), 6.93 (1H, s).
ESI-MS: m/z= 281 (M+H)+.
(参考例2) 1−(4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル)−3−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)プロパン−1,3−ジオンの合成:
Figure 2018038255
1−(4−ジメチルアミノピペリジン−1−イル)エタノン(1.00g、5.87mmol)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液にリチウムジイソプロピルアミドのテトラヒドロフラン溶液(2.0M、7.05mL、14.1mmol)を−78℃で滴下し、同じ温度で1時間撹拌した。反応液に同じ温度でエチル 1−メチル−1H−イミダゾール−2−カルボキシレート(1.09g、7.05mmol)のテトラヒドロフラン溶液(9.0mL)を加え、1時間撹拌後、0℃でさらに1時間撹拌した。反応液に飽和塩化アンモニウム水溶液、炭酸カリウム水溶液を順に加え、クロロホルムで抽出した。有機層を10%塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過し、濾液を減圧濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、1−(4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル)−3−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)プロパン−1,3−ジオン(0.990g、3.56mmol、61%)を無色油状物として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.32-1.5 (2H, m), 1.80-1.94 (2H, m), 2.22-41 (7H, m), 2.60-2.70 (1H, m), 3.03-3.13 (1H, m), 3.80-3.89 (1H, m), 4.01 (3H, s), 4.23 (2H, dd, J=15.6, 36.8 Hz), 4.55-4.67 (1H, m), 7.05 (1H, s), 7.14 (1H, s).
ESI-MS: m/z= 279 (M+H)+.
(参考例3) 1−(4−ジメチルアミノピペリジン−1−イル)エタノンの合成:
Figure 2018038255
4−ジメチルアミノピペリジン(1.00g、7.79mmol)のジクロロメタン(7.8mL)溶液にピリジン(0.922mL、9.75mmol)及び無水酢酸(0.946mL、11.7mmol)を0℃で加え、反応液を室温で16時間撹拌した。反応液に飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を10%塩化ナトリウム水溶液で洗浄後、無水硫酸ナトリウムで乾燥、濾過し、濾液を減圧濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(NHシリカゲル、クロロホルム/メタノール)で精製し、1−(4−ジメチルアミノピペリジン−1−イル)エタノン(0.869g、6.78mmol、87%)を無色油状物として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.30-1.47 (2H, m), 1.79-1.92 (2H, m), 2.10 (3H, s), 2.25-2.40 (7H, m), 2.53-2.63 (1H, m), 3.01-3.11 (1H, m), 3.81-3.90 (1H, m), 4.58-4.66 (1H, m).
ESI-MS: m/z= 171 (M+H)+.
(参考例4)エチル 1−メチル−1H−イミダゾール−2−カルボキシレートの合成:
Figure 2018038255
1−メチル−1H−イミダゾール(1.00g、12.2mmol)のアセトニトリル(4.0mL)溶液にトリエチルアミン(3.40mL、24.4mmol)及びクロロギ酸エチル(2.34mL、24.4mmol)を0℃で加え、反応液を室温で16時間撹拌した。反応液をセライト濾過し、濾液を減圧濃縮した。残渣をフラッシュカラムクロマトグラフィー(シリカゲル、ヘキサン/酢酸エチル)で精製し、エチル 1−メチル−1H−イミダゾール−2−カルボキシレート(1.50g、9.73mmol、80%)を白色固体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3) δ: 1.42 (3H, t, J=7.2 Hz), 4.01 (3H, s), 4.40 (2H, q, J=7.2 Hz), 7.01-7.03 (1H, m), 7.13-7.15 (1H, m).
ESI-MS: m/z= 155 (M+H)+.
(実施例1) 化合物(I)のA形結晶の製造(方法1):
化合物(I)の非晶質体(5mg)を硼硅酸ガラス製バイアル瓶に量り取り、酢酸エチル(28μL)を加え、溶解した(濃度180mg/mL)。これを室温、気密状態で6時間振とう撹拌した後、55℃で10分間加熱し、その後、さらに室温で4時間半振とう撹拌した。析出物を確認した後、溶媒を取り除き、真空ポンプを用いて30分間減圧乾燥を行い、白色粉末を得た。得られた粉末について、粉末X線回折装置(株式会社リガク社;2200/RINT ultima+PC)を用いた粉末X線回折の測定及びTG−DTA装置(株式会社リガク社;TG8120)を用いたTG−DTAを行った。これら測定の結果を、図1及び図2に示す。
回折角2θ : 15.3、16.0、19.0、21.8、23.0°
吸熱ピーク : 122℃
(実施例2) 化合物(I)のA形結晶の製造(方法2):
化合物(I)の非晶質体(5mg)を硼硅酸ガラス製バイアル瓶に量り取り、酢酸エチル(17μL又は25μL)を加え、溶解した(濃度300mg/mL又は200mg/mL)。これを室温、気密状態で3日間振とう撹拌した。いずれの系からも析出物を確認したため、溶媒を取り除き、真空ポンプを用いて30分間減圧乾燥を行い、白色粉末を得た。得られた固体について、以下の条件で粉末X線回折の測定を行い、結果が図1と一致することを確認した。
≪粉末X線回折条件≫
X線源 : CuKα線
*湾曲結晶モノクロメータ(グラファイト)を使用
出力 : 40kV/50mA
発散スリット : 1/2°
発散縦制限スリット : 5mm
散乱スリット : 1/2°
受光スリット : 0.15mm
検出器 : シンチレーションカウンタ
スキャン方式 : 2θ/θスキャン、連続スキャン
測定範囲(2θ) : 2〜30°
スキャン速度(2θ) : 20°/min
計数ステップ(2θ) : 0.04°
(実施例3) 化合物(I)のA形結晶の製造(方法3):
化合物(I)の非晶質体(5mg)を硼硅酸ガラス製バイアル瓶に量り取り、表1記載の各溶媒を表1記載の各添加量で加え、溶解した。これに化合物(1)のA形結晶(0.1mg)を種晶として添加した後、室温で14時間振とう撹拌した。いずれの系からも析出物を確認したため、各溶媒を取り除き、真空ポンプを用いて30分間減圧乾燥を行い、白色固体を得た。得られた各固体について、以下の条件で粉末X線回折の測定を行い、結果が図1と一致することを確認した。
Figure 2018038255
≪粉末X線回折条件≫
X線源 : CuKα線
*湾曲結晶モノクロメータ(グラファイト)を使用
出力 : 40kV/50mA
発散スリット : 1/2°
発散縦制限スリット : 5mm
散乱スリット : 1/2°
受光スリット : 0.15mm
検出器 : シンチレーションカウンタ
スキャン方式 : 2θ/θスキャン、連続スキャン
測定範囲(2θ) : 2〜30°
スキャン速度(2θ) : 20°/min
計数ステップ(2θ) : 0.04°
(実施例4) 化合物(I)のA形結晶の再結晶による精製効果
化合物(I)のA形結晶(80mg)を硼硅酸ガラス製バイアル瓶に量り取り、酢酸エチル(0.8mL)を加え、60℃に加熱して撹拌溶解した(濃度100mg/mL)。これを室温まで成り行きで冷却し、気密状態で3時間撹拌した。析出物を濾取し、酢酸エチルで洗浄後、真空ポンプを用いて1時間減圧乾燥を行い、白色粉末を得た。得られた粉末について、粉末X線回折装置(株式会社リガク社;2200/RINT ultima+PC)を用いた粉末X線回折の測定を行い、結果が図1と一致することを確認した。以下の条件でHPLCにより、再結晶前後の化学純度及び光学純度を測定した。結果を表2に示す。なお、HPLCの移動相調製に用いる20mmol/Lリン酸二水素カリウム・5mmol/Lオクタンスルホン酸ナトリウム水溶液(以下、溶液X)は、リン酸二水素カリウム(8.2g)、1−オクタンスルホン酸ナトリウム(3.2g)を量り取り、蒸留水(3L)に加え、撹拌溶解し調製した。また、HPLCの分析用試料は、化合物(I)のA形結晶(1mg)をメタノール1mLに溶解して調製した。
≪化学純度を測定するためのHPLC条件≫
機器 : 株式会社島津製作所製LC−30ADシステム
検出波長 : 210nm、300nm
カラム : Kinetex1.7μm C18(内径:2.1mm、長さ:100mm、粒径:1.7μm)(フェノメネックス)
カラム温度 : 40℃
移動相A : 溶液X
移動相B : アセトニトリル
移動相Bの組成 : 0〜5分:5→50%、5〜7分:50%、7〜7.1分:50→5%、7.1〜10分:5%
流量 : 0.4mL/min
試料注入量 : 2.5μL
≪光学純度を測定するためのHPLC条件≫
機器 : 株式会社島津製作所製LC−20ADシステム
検出波長 : 220nm
カラム : CHIRALCEL OZ−3(内径:4.6mm、長さ:250mm、粒径:3μm)(ダイセル)
カラム温度 : 40℃
移動相 : メタノール/エチレンジアミン(100:0.1)
流量 : 0.5mL/min
試料注入量 : 2μL
Figure 2018038255
表2に示すように、化合物(I)のA形結晶は再結晶により、化学純度及び光学純度が向上した。これらの結果から、化合物(I)の結晶は再結晶による精製効果があることが明らかとなった。
(実施例5) 化合物(I)のエタンジスルホン酸塩のB形結晶の製造:
化合物(I)(200mg)に1,2−エタンジスルホン酸二水和物(11mg)及び蒸留水(2mL)を加えて溶解後、本溶液(0.25mL)を硼硅酸ガラス製バイアル瓶に量り取り凍結乾燥により溶媒を除去した。アセトン(0.13mL)を加え、室温で撹拌した。析出物を確認した後、パスツールピペットで溶媒を取り除き、真空ポンプを用いて3時間減圧乾燥を行い、白色固体を得た。得られた固体について、粉末X線回折装置(株式会社リガク社;2200/RINT ultima+PC)を用いた粉末X線回折の測定及びTG−DTA装置(株式会社リガク社;TG8120)を用いたTG−DTAを行った。これら測定の結果を、図3及び図4に示す。
回折角2θ : 12.6、16.0、17.7、18.5及び21.3°
吸熱ピーク : 175℃
(実施例6) 神経障害性疼痛モデルラットにおける効果:
神経障害性疼痛に対する化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶の鎮痛効果は、脊髄神経結紮モデルラット(Kim and Chung、Pain、1992年、第50巻、p.355)を用いて評価した。化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶としては、化合物(I)のA形結晶を評価に用いた。
本モデルラットは次の通りに作製した。実験には6〜7週齢のSD系雄性ラットを1群5〜7例で用い、イソフルランによる吸入麻酔下、ラットの腰部皮膚及び筋肉を切開し、L5及びL6坐骨神経を露出した。L5及びL6脊髄神経を絹糸で結紮した後に傷口を縫合し、神経結紮群とした。神経を露出させたが、結紮を行わなかった群を偽手術群とした。
脊髄神経結紮モデルラットで認められるアロディニアの測定は、公知文献(Chaplanら、J. Neurosci. Methods、1994年、第53巻、p.55)に記載の方法に従い、von Freyフィラメントを用いて行い、50%反応閾値(g)を求めた。結紮手術8日後、化合物(I)のA形結晶の経口投与前に神経結紮群のアロディニアの測定を行い、50%反応閾値(右側後肢と左側後肢の平均値)が2g以上6g未満になったラットをアロディニアが発症したとみなし、神経障害性疼痛モデルラットとして50%反応閾値に有意差が出ないよう均等に群分けをした。化合物(I)のA形結晶の経口投与の3時間後のアロディニアの測定を行い、鎮痛効果を評価した。陽性対照はプレガバリンを用いた。
化合物(I)のA形結晶は、注射用水(蒸留水)に5、10及び20mg/mL濃度になるように溶解し、体重1kg当たり1mLの投与容量で経口投与した。プレガバリンは10mg/mL濃度になるよう注射用水(蒸留水)に溶解し、体重1kg当たり1mLの投与容量で経口投与した。偽手術群には注射用水(蒸留水)を経口投与した。神経結紮群のラットに注射用水(蒸留水)を経口投与した群を陰性対照群とした。
結果を図5に示す。横軸は各群、すなわち神経結紮群又は偽手術群における、投与各溶液を記載し、縦軸は50%反応閾値(g)を示す(平均値±標準誤差、n=5〜7)。薬効評価は、陰性対照群を対照として、対応のない2群のt検定(プレガバリンを投与した群)又はShirley William検定(化合物(I)のA形結晶を投与した群)により統計処理をおこなった。図5中の*印及び#は、陰性対照群(図5中の「神経結紮―0mg/kg」群)との比較で、統計学的に有意である(*:p<0.05; #:p<0.025)ことを示す。
化合物(I)のA形結晶の5mg/kg、10mg/kg及び20mg/kgの経口投与は、陽性対照であるプレガバリン10mg/kgの経口投与と同様に、神経障害性疼痛モデルラットにおいて認められたアロディニアを陰性対照群と比較して有意に改善した。この結果は、化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶が神経障害性疼痛に対して有効であることを示している。
(実施例7) 線維筋痛症モデルラットにおける効果:
線維筋痛症に対する化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶の鎮痛効果は、線維筋痛症モデルラット(Slukaら、Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics、2002年、第302巻、p.1146−1150; Nagakuraら、Pain、2009年、第146巻、p.26−33; Slukaら、Pain、2009年、第146巻、p.3−4)を用いて評価した。化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶としては、化合物(I)のA形結晶を評価に用いた。
本モデルラットは次の通りに作製した。実験には、6〜7週齢のSD系雄性ラットを1群5〜6例で用い、イソフルランによる吸入麻酔下、pH4.0に調整した酸性生理食塩液100μLをラットの右側後肢腓腹筋に2回(酸性生理食塩液投与開始日を実験開始1日目として、実験開始1日目と6日目にそれぞれ1回ずつ投与)にわたり注射して作製し、酸性生理食塩液群とした。なお、モデルの対照として酸性生理食塩液の代わりに生理食塩液を同様に処置した群を生理食塩液群とした。
線維筋痛症モデルラットで認められるアロディニアの測定は、公知文献(Chaplanら、Journal of Neuroscience Methods、1994年、第53巻、p.55−63)に記載の方法に従い、von Freyフィラメントを用いて行い、50%反応閾値(g)を求めた。実験開始7日目、化合物(I)のA形結晶の経口投与3時間後のアロディニアの測定を行い、鎮痛効果を評価した。化合物(I)のA形結晶の経口投与前に酸性生理食塩液群のアロディニアの測定を行い、酸性生理食塩液の筋肉内注射により経口投与前の50%反応閾値(右側後肢と左側後肢の平均値)が6g以下になったラットをアロディニアが発症したとみなし、線維筋痛症モデルラットとして、50%反応閾値に有意差が出ないよう均等に群分けをした。化合物(I)の結晶の経口投与3時間後のアロディニアの測定を行い、鎮痛効果を評価した。陽性対照はプレガバリンを用いた。
化合物(I)のA形結晶は、注射用水(蒸留水)に0.1、1及び10mg/mL濃度になるように溶解し、体重1kg当たり1mLの投与容量で経口投与した。プレガバリンは10mg/mL濃度になるよう注射用水(蒸留水)に溶解し、体重1kg当たり1mLの投与容量で経口投与した。酸性生理食塩液群のラットに注射用水(蒸留水)を経口投与した群を陰性対照群とした。
結果を図6に示す。横軸は各群、すなわち酸性生理食塩液群又は生理食塩液群における投与された各溶液を記載し、縦軸は50%反応閾値(g)(右側後肢と左側後肢の平均値)を示す(平均値±標準誤差、n=5〜6)。薬効評価は、陰性対照群を対照として、対応のない2群のt検定(プレガバリンを投与した群)又はWilliam検定(化合物(I)の結晶を投与した群)により統計処理をおこなった。図6中の‡又は$は、陰性対照群(図6中の「酸性生理食塩液―0mg/kg」群)との比較で、統計学的に有意である(‡:p<0.05; $:p<0.025)ことを示す。
化合物(I)のA形結晶の1mg/kg及び10mg/kgの経口投与は、陽性対照であるプレガバリン10mg/kgの経口投与と同様に、線維筋痛症モデルラットにおいて認められたアロディニアを陰性対照群と比較して有意に改善した。この結果は、化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶が線維筋痛症に対して有効であることを示している。
(比較例1) 化合物(I)の結晶の取得の検討(結晶化溶媒の選定:種々の溶媒を用いた最初の結晶化検討):
化合物(I)の非晶質体(10mg)を硼硅酸ガラス製バイアル瓶に量り取り、各々表3記載の溶媒を表3記載の各溶媒添加量で加え、溶解するか否かを確認した結果、いずれの溶媒についても、500mg/mL以上において完全に溶解した。引き続き、室温、気密状態で7日間振とう撹拌したが、いずれも固体は析出しなかった。シクロヘキサン及びヘプタンは低濃度(3mg/mL)でも全く溶けないため、結晶化溶媒として不適当と判断した。
Figure 2018038255
これらの結果から、500mg/mL以上の高い溶質濃度条件においても、化合物(I)の結晶は得られないことが明らかとなった。また、これらの溶媒は室温での溶解度が非常に高く、結晶化溶媒として適さないと判断できる。
(実施例8) 吸湿性評価:
化合物(I)のA形結晶及び非晶質体について、全自動水分吸着測定装置(ティー・エイ・インスツルメント社;VTI−SA+)を用いて、以下の条件で平衡水分率測定を行った。相対湿度5%から70%に加湿したときの重量増加量(吸湿量)を評価した。併せて外観の変化も確認した。結果を表4に示す。
≪平衡水分率測定条件≫
試料量 : 5〜15mg
測定温度 : 30℃
平衡設定重量/時間 : 0.01wt%/5分間
最大平衡時間 : 180分間
測定範囲 : 相対湿度5%〜相対湿度70%〜相対湿度5%
測定間隔 : 相対湿度5%
併せて結晶形の変化の有無を評価するため、吸湿性評価試験後のA形結晶について、粉末X線回折の測定を行った。
化合物(I)のA形結晶は相対湿度65%までの加湿に伴う重量増加はなく、潮解せず、結晶形にも変化はなかった。一方、非晶質体は相対湿度5%未満で潮解し、油状物となった。これらの結果から、化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶が、物理学的安定性に優れていることが明らかとなった。
Figure 2018038255
†は、相対湿度5%から相対湿度65%に加湿したときの重量増加量を意味する。
(実施例9) 溶解性評価:
化合物(I)のA形結晶(100mg)を硼硅酸ガラス製バイアル瓶に量り取り、37℃に調整した温湿度試験槽(アメフレック社;ノードアα)内で、日本薬局方第16改正崩壊試験第1液/溶出試験第1液(pH1.2)(1mL)、又は、日本薬局方第16改正崩壊試験第2液(pH6.8)(1mL)、を加え、撹拌した。化合物(I)のエタンジスルホン酸塩のB形結晶(10mg)を硼硅酸ガラス製バイアル瓶に量り取り、37℃に調整した温湿度試験槽(アメフレック社;ノードアα)内で、日本薬局方第16改正崩壊試験第2液(pH6.8)(0.1mL)を加え、撹拌した。30分後にバイアル瓶内を目視確認した結果、いずれも完全に溶解したことを確認した。
Figure 2018038255
表5に示すように、化合物(I)のA形結晶及び化合物(I)のエタンジスルホン酸塩のB形結晶は100mg/mL以上の溶解度であった。この結果から、化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶が、溶解性において極めて優れていることが明らかとなった。
(実施例10) 保存安定性評価:
化合物(I)のA形結晶及び非晶質体について、40℃、気密状態で8週間又は60℃、気密状態で4週間保存し、以下の条件でHPLCにより、保存前後の化学純度及び光学純度を測定した。結果を表6に示す。なお、HPLCの分析用試料は、化合物(I)のA形結晶(1mg)又は化合物(I)の非晶質体(1mg)をメタノール1mLに溶解して調製した。
≪化学純度を測定するためのHPLC条件≫
機器 : 株式会社島津製作所製LC−30ADシステム
検出波長 : 210nm、300nm
カラム : Kinetex C18(内径:2.1mm、長さ:100mm、粒径:1.7μm)(フェノメネックス)
カラム温度 : 40℃
移動相A : 溶液X
移動相B : アセトニトリル
移動相Bの組成 : 0〜5分:5→50%、5〜7分:50%、7〜7.1分:50→5%、7.1〜10分:5%
流量 : 0.4mL/min
試料注入量 : 2.5μL
≪光学純度を測定するためのHPLC条件≫
機器 : 株式会社島津製作所製LC−20ADシステム
検出波長 : 220nm
カラム : CHIRALCEL OZ−3(内径:4.6mm、長さ:250mm、粒径:3μm)(ダイセル)
カラム温度 : 40℃
移動相 : メタノール/エチレンジアミン(100:0.1)
流量 : 0.5mL/min
試料注入量 : 2μL
Figure 2018038255
1)各分解物の増加量は、相対保持時間(以下、RRT。RRTは、HPLCクロマトグラムの分解物の保持時間/HPLCクロマトグラムの本化合物の保持時間により算出される。)0.8の分解物が0.40%、RRT0.8の分解物が0.60%、RRT0.9の分解物が1.47%、RRT1.1の分解物が0.21%であった。
2)各分解物の増加量は、RRT0.7の分解物が0.16%、RRT0.8の分解物が0.63%、RRT0.8の分解物が2.22%、RRT0.9の分解物が3.71%、RRT1.1の分解物が0.17%、RRT1.1の分解物が0.59%、RRT1.2の分解物が0.45%であった。
表6に示すように、化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶は、加速条件下、気密状態で保存した後の純度は初期値と比べ変化はなく、非晶質体に比べて化学的安定性に極めて優れていることが明らかとなった。
(実施例11) A形結晶の保存安定性評価:
化合物(I)のA形結晶を、3つの保存条件下(保存試験1:25℃、相対湿度60%、開放状態で6箇月間; 保存試験2:40℃、相対湿度75%、気密状態で6箇月間; 保存試験3:60℃、気密状態で6箇月間)で保存し、保存前後の化学純度及び光学純度をHPLCで測定した。HPLCの条件は、以下の通りである。なお、HPLCの移動相調製に用いる5mmol/Lリン酸二水素カリウム水溶液(以下、溶液Y)は、リン酸二水素カリウム(1.4g)を量り取り、蒸留水(2.1L)に加え、撹拌溶解し調製した。また、200mmol/Lリン酸二水素カリウム水溶液(以下、溶液Z)は、リン酸二水素カリウム(40.8g)を量り取り、蒸留水(1.5L)に加え、撹拌溶解し調製した。また、HPLCの分析用試料は、化合物(I)の結晶(10mg)を10mLメスフラスコにそれぞれ量り取り、溶液Y/アセトニトリル=70:30(v/v)の混液で全量を10mLにして調製した。
≪化学純度を測定するためのHPLC条件≫
機器 : 株式会社島津製作所製LC−10ADvpシステム
検出波長 : 210nm
カラム : Scherzo SS−C18(内径:4.6mm、長さ:150mm、粒径:3μm)(インタクト)
カラム温度 : 30℃
移動相A : 溶液Y/アセトニトリル=70:30(v/v)
移動相B : 溶液Z/アセトニトリル=50:50(v/v)
移動相Bの組成 : 0〜5分:0%、5〜50分:0→35%、50〜60分:35→100%、60〜83分:100%、83〜83.1分:100→0%、83.1〜95分:0%
流量 : 1.0mL/min
試料注入量 : 10μL
≪光学純度を測定するためのHPLC条件≫
機器 : 株式会社島津製作所製LC−10ADvpシステム
検出波長 : 220nm
カラム : CHIRALCEL OZ−3(内径:4.6mm、長さ:250mm、粒径:3μm)(ダイセル)
カラム温度 : 30℃
移動相 : メタノール/1−プロパノール/エチレンジアミン(60:40:0.1)
流量 : 0.3mL/min
試料注入量 : 20μL
また、粉末X線回折の測定及びTG−DTAを行い、保存による結晶形の変化の有無を評価した。結果を表7に示す。
Figure 2018038255
表7に示すように、化合物(I)のA形結晶は、保存試験1〜3のいずれにおいてもその純度に変化はなく、結晶形の変化は認められなかった。これらの結果から、化合物(I)又はその薬理学的に許容される塩の結晶が、化学的及び物理的安定性において極めて優れていることが明らかとなった。

Claims (9)

  1. (S)−1−(4−(ジメチルアミノ)ピペリジン−1−イル)−3−ヒドロキシ−3−(1−メチル−1H−イミダゾール−2−イル)プロパン−1−オン又はその薬理学的に許容される塩の結晶。
  2. 粉末X線回折において、回折角2θ(°)15.3±0.2、16.0±0.2、19.0±0.2、21.8±0.2及び23.0±0.2にピークを有する、請求項1記載の結晶。
  3. 示差熱熱重量同時測定において、120〜124℃に熱吸収ピークを有する、請求項2記載の結晶。
  4. 前記薬理学的に許容される塩は、エタンジスルホン酸塩である、請求項1記載の結晶。
  5. 粉末X線回折において、回折角2θ(°)12.6±0.2、16.0±0.2、17.7±0.2、18.5±0.2及び21.3±0.2にピークを有する、請求項4記載の結晶。
  6. 示差熱熱重量同時測定において、173〜177℃に熱吸収ピークを有する、請求項5記載の結晶。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項記載の結晶を有効成分として含有する、医薬。
  8. 請求項1〜6のいずれか一項記載の結晶を有効成分として含有する、鎮痛薬。
  9. 請求項1〜6のいずれか一項記載の結晶を有効成分として含有する、神経障害性疼痛治療薬又は線維筋痛症治療薬。
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