JPWO2018037791A1 - 有機エレクトロルミネッセンス発光装置 - Google Patents

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Abstract

色調整層により、有機エレクトロルミネッセンス発光装置の非発光時の透過光の彩度C*を、色調整層を除いた構成の有機エレクトロルミネッセンス発光装置の非発光時の透過光よりも小さくし、非発光時の透過光の彩度を0に近づけることが可能な有機エレクトロルミネッセンス発光装置を提供する。

Description

本発明は、光透過性を有する有機エレクトロルミネッセンス発光装置に係わる。
有機エレクトロルミネッセンス(Electro Luminescence:EL)素子を備える有機EL発光装置は、平面発光を可能とする発光装置として既に実用化されている。さらに、有機EL発光装置の一形態として、ディスプレイ用途、建物や自動車の窓等の用途において、透明有機EL発光装置が求められている(例えば、特許文献1参照)。
特開2007−184279号公報
しかしながら、透明有機EL発光装置においては、非発光時に有機EL発光装置を透過する光が有機EL素子の層構成や材料によって干渉や吸収等の影響を受けて、透過光に意図しない着色が発生する場合がある。すなわち、透明有機EL発光装置の非発光時の透過光が、ニュートラルカラー(彩度が0、無彩色)よりも彩度が高くなる場合がある。これは、透明有機EL発光装置の外観として好ましくないため、非発光時の透過光の彩度を小さくし、ニュートラルカラーに近づけることが求められている。
また、透明有機EL発光装置にカラーフィルター等を適用して特定の外観を得ようとした場合に、透明有機EL発光装置自体の透過光の彩度が高いと、透明有機EL発光装置の外観がカラーフィルター等の所望の色と異なる色になる。
このように、透明有機EL発光装置において、非発光時の透過光の彩度を0に近づけることが求められている。
上述した問題の解決のため、本発明においては、非発光時の透過光の彩度を0に近づけることが可能な有機エレクトロルミネッセンス発光装置を提供する。
本発明の有機エレクトロルミネッセンス発光装置は、基材と、有機エレクトロルミネッセンス素子と、色調整層とを備え、色調整層は、有機エレクトロルミネッセンス発光装置の非発光時の透過光の下記式(1)で示される彩度Cを、色調整層を除いた構成の有機エレクトロルミネッセンス発光装置の非発光時の透過光よりも小さくする。但し、下記式(1)において、a、bは、CIE1976が規定する色座標である。
Figure 2018037791
本発明によれば、非発光時の透過光をニュートラルカラーに近づけることが可能な有機エレクトロルミネッセンス発光装置を提供することができる。
第1実施形態の有機EL発光装置の構成を示す図である。 第1実施形態の有機EL発光装置の平面配置を示す図である。 第1実施形態の有機EL発光装置の平面配置を示す図である。 第2実施形態の有機EL発光装置の構成を示す図である。 第3実施形態の有機EL発光装置の構成を示す図である。 実施例における彩度Cの測定位置を示す図である。 実施例4における色調整層を設ける位置を説明するための図である。
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.透明有機エレクトロルミネッセンス発光装置の実施形態(第1実施形態)
2.透明有機エレクトロルミネッセンス発光装置の実施形態(第2実施形態)
3.透明有機エレクトロルミネッセンス発光装置の実施形態(第3実施形態)
〈1.透明有機エレクトロルミネッセンス発光装置の実施形態(第1実施形態)〉
以下、本発明の有機エレクトロルミネッセンス発光装置(以下、有機EL発光装置)の具体的な実施の形態について説明する。図1に、本実施の形態の有機EL発光装置の概略構成図を示す。なお、図1に示す有機EL発光装置10は、透明な有機EL発光装置である。なお、以下の説明において、透明とは、JIS K 7375に規定される全光線透過率が30%以上である。
図1に示す有機EL発光装置10は、第1バリア層12が形成された基材11と、基材11上に形成された有機エレクトロルミネッセンス(EL)素子20とを備える。有機EL素子20は、基材11上に形成された第1電極(透明電極)21、第1電極21上に形成された発光ユニット22、及び、発光ユニット22を第1電極21とともに挟持する第2電極(透明電極)23を備える。
また、有機EL発光装置10は、第1バリア層12を有する基材11上において、有機EL素子20の側面及び上面を覆う接着剤層14を備える。さらに、第2バリア層15を有する封止基材16が、接着剤層14を介して、基材11及び有機EL素子20に貼り合わされている。この構成により、有機EL素子20が、第1バリア層12を有する基材11、接着剤層14、及び、第2バリア層15を有する封止基材16によって封止されている。
また、有機EL発光装置10は、基材11において、有機EL素子20が搭載されている面と反対側の面(裏面)に、色調整層13が設けられている。色調整層13は、有機EL発光装置10を透過する光の彩度を0(ニュートラルカラー)に近づける機能を有している。具体的には、色調整層13は、有機EL発光装置10の非発光時の透過光の下記式(1)で示される彩度Cを、色調整層13を除いた構成の有機EL発光装置10の非発光時の透過光よりも低下させる効果を有する。但し、下記式(1)において、a、bは、CIE1976が規定する色座標である。
Figure 2018037791
彩度Cは、分光光度計(積分球使用、日立製作所社製、U−4100)を用いて、有機EL発光装置10の透過光を測定し、JIS Z 8781−4(2013)に準拠した方法でCIE 1976 L色空間のa値、b値を算出して求める。測定は、任意の5点以上の平均値とする。具体的には、電極が形成されている領域内においては領域内の外周に沿った任意の4点以上と、発光領域の中心付近の1点以上との平均値とする。また、電極が形成されていない領域においては、電極が形成されている領域を除く任意の5点以上の平均値とする。
なお、電極が形成されている領域(以下、電極形成領域とも称する)とは、第1電極21及び第2電極23において、互いに厚さ方向で対向している領域(重なる領域)を意味する。このため、電極同士が対向する領域外に形成された、外部接続用の電極や補助電極、配線等の導電層が形成される領域は、電極形成領域に含まれない。
また、色調整層13による彩度Cの変化量ΔCは、上述の彩度Cと同様の任意の5点以上の平均値から求められるa 値及びb 値と、色調整層13を除いた構成の有機EL発光装置10における上記領域と同一領域内の任意の5点以上の平均値から求められるa 値及びb 値とから、下記式(2)によって求められる。
Figure 2018037791
好ましくは、有機EL発光装置10が、電極形成領域において、上記式(1)で求められる彩度Cを低下させる色調整層13を、備えることが好ましい。第1電極21、及び、第2電極23が重なる電極形成領域は、透過光の色調が変化しやすく、透過光の彩度が大きくなりやすい。これは、有機EL素子20を構成する、第1電極21及び第2電極23は、金属薄膜や金属酸化物等で形成されため、透過光に対する影響が大きく、透過光の彩度に影響を与えやすいためと考えられる。なお、電極形成領域において、不透明(透過率が30%未満)の部材が設けられている部分、例えば、不透明な外部接続用の電極や絶縁層が設けられている部分は彩度Cを測定するための電極形成領域に含めない。
このため、透過光の彩度が変化しやすい電極形成領域の彩度を0(ニュートラルカラー)に近づけることにより、有機EL発光装置10全体の彩度も0(ニュートラルカラー)に近づきやすい。従って、色調整層13は、有機EL発光装置10の電極形成領域において、非発光時の透過光の上記式(1)で示される彩度Cを、色調整層13を除いた構成の有機EL発光装置10の非発光時の透過光よりも低下させる効果を有することが好ましい。
また、図2及び図3に、有機EL発光装置10における、基材11、第1電極21、第2電極23、及び、色調整層13の形成領域の平面配置を示す。図2に示すように、有機EL発光装置10は、色調整層13の形成領域が、電極形成領域の全面を覆う領域に形成されていることが好ましい。さらに、図3に示すように、色調整層13の形成領域と、電極形成領域とは、平面配置において、位置ずれが±5%以下であることが好ましい。このように色調整層13を配置することにより、電極形成領域と電極形成領域以外との彩度の差が小さいくなりやすく、有機EL発光装置10の品位が高くなりやすい。
上述のように、電極形成領域は、透過光の色調が変化しやすく、透過光の彩度が大きくなりやすい。このため、透過光の彩度が変化しやすい電極形成領域の全面を覆う位置に色調整層13を設けることが好ましい。これにより、電極形成領域において、透過光の彩度を低下させ、有機EL発光装置10の非発光時の透過光の彩度をより0(ニュートラルカラー)に近づけることが容易となる。
また、有機EL発光装置10において、第1電極21及び第2電極23が対向する電極形成領域外の領域(以下、非電極形成領域とも称する)で、基材11や封止基材16、第1バリア層12、第2バリア層15が形成される領域では、電極形成領域に比べて、透過光に対する影響が小さい。このため、非電極形成領域では、電極形成領域よりも彩度の変化が小さく、彩度が0に近い。このため、有機EL発光装置10において、電極形成領域と非電極形成領域とで、彩度に差が発生しやすい。
そこで、電極形成領域と、色調整層13の形成領域との位置を一致させることにより、電極形成領域の透過光の彩度のみを低下させて、この領域の彩度を第1電極21及び第2電極23が形成されていない領域(非電極形成領域)の彩度に近づけることができる。これより、有機EL発光装置10の全体において、非発光時の透過光の彩度をより0(ニュートラルカラー)に近づけることができるとともに、有機EL発光装置10の面内における彩度の差の発生を抑制することができる。
また、電極形成領域と、色調整層13の形成領域との位置を一致させる場合においては、第1電極21及び第2電極23が形成されていない領域における色調整層13の形成面積を可能な限り小さくすることが好ましい。特に、位置ずれを±5%以下とすることにより、有機EL発光装置10が良好な外観を有する程度に、上述の面内の彩度の差の視認性が低くなる。また、第1電極21及び第2電極23において、発光領域外に形成される電極や電極の取り出し部等による影響を考慮すると、色調整層13の形成面積が、発光部の面積よりも+5%以下の大きさを持つことが好ましい。さらに、有機EL発光装置10の製造における寸法公差等を考慮しても、位置ずれの条件が±5%以下であれば容易に製造することができる。
また、有機EL発光装置10は、非発光時の透過光の上記式(1)で示される彩度Cを、色調整層13を除いた構成の有機EL発光装置10の非発光時の透過光よりも、30%以上低下させることが可能な色調整層13を備えることが好ましい。色調整層13の形成領域の彩度を30%以上低下させることができると、上述の電極形成領域と、それ以外の非電極形成領域との彩度の差を、良好な範囲とすることができる。具体的には、図2及び図3に示す、第1電極21及び第2電極23が形成されずに色調整層13が形成される領域、第1電極21及び第2電極23と色調整層13とが形成される領域、及び、いずれも形成されない領域において、各領域の有機EL発光装置10の非発光時の透過光の彩度の差を小さくすることができる。
色調整層13の形成領域の彩度Cを30%以上低下させることができるとは、有機EL発光装置10の平面方向のいずれかの測定箇所において、彩度Cを30%以上低下できていればよく、色調整層13の形成領域の全面において要求される条件ではない。なお、有機EL発光装置10は、上述の5点以上の測定箇所の平均値として彩度Cを30%以上低下させることが可能な色調整層13を備えることが好ましく、測定箇所の全てで彩度Cを30%以上低下させることが可能な色調整層13を備えることがより好ましい。
有機EL発光装置10は、第1電極21及び第2電極23が形成される領域の色調整層13の形成領域の彩度Cを30%以上低下させることができる色調整層13を備えることが好ましい。例えば、図2に示す有機EL発光装置10の全面に色調整層13を配置する構成において、電極形成領域の彩度Cを30%以上低下させる色調整層13が配置される場合には、電極形成領域の彩度が低下するとともに、色調整層13が形成された非電極形成領域の彩度は、非電極形成領域の元々の彩度と色調整層13自体の彩度との両者の影響を受ける。このとき、非電極形成領域では、彩度が30%以上低下しない場合がある。しかしながら、電極形成領域に比べると、非電極形成領域の元々の彩度や、色調整層13自体の彩度は大きくないため、電極形成領域以外の領域の彩度Cが30%以上低下しない場合においても、電極形成領域と、非電極形成領域との両領域間の彩度の差が小さくなる。従って、電極形成領域と非電極形成領域との彩度の差を、視認性が低くなる程度に十分に小さくして、良好な外観を有する有機EL発光装置10を構成することができる。
さらに、図3に示す、電極形成領域と一致するように色調整層13を配置する構成では、彩度が大きくなりやすい電極形成領域の透過光の彩度を低下させ、彩度が大きくなりにくい非電極形成領域には影響が少ない。このため、図3に示す構成では、電極形成領域の彩度Cのみを30%以上低下させ、電極形成領域の彩度を非電極形成領域の彩度に近づけることができる。従って、有機EL発光装置10の発光部の彩度と非発光部の彩度との差を十分に小さくして実用的な範囲で彩度を均一にでき、良好な外観を有する有機EL発光装置10を構成することができる。
また、基材11が、第1バリア層12を備える樹脂フィルムの場合には、上述の電極だけでなく、第1バリア層12も有機EL発光装置10の透過光の彩度に影響を与える。従って、基材11が樹脂フィルムである場合には、電極形成領域だけでなく第1バリア層12が形成されている領域の全面にも、色調整層13を設けることが好ましい。基材11が樹脂フィルムである場合に、有機EL発光装置10の信頼性を考慮すると、第1バリア層12は基材11の全面に設けられていることが好ましい。このため、基材11が樹脂フィルムである場合には、図2に示す色調整層13を基材11の全面に形成する構成が好ましい。このような構成では、電極形成領域と非電極形成領域との両方の彩度が低下する色調整層13を用いることが好ましい。特に、電極形成領域の彩度を30%以上低下させるとともに、非電極形成領域の彩度も低下させることが可能な色調整層13を用いることが好ましい。なお、電極形成領域と非電極形成領域との両方に色調整層13を形成する場合、電極形成領域と非電極形成領域には、色同じ特性の調整層13を設けてもよく、それぞれ異なる特性の色調整層13を設けてもよい。
一方、基材11がガラス基板からなる場合には、第1バリア層12を設けなくても、有機EL発光装置10の信頼性が確保できる。この場合には、図1に示す第1バリア層12の構成を除くことができる。すなわち、第1バリア層12の影響による有機EL発光装置10の透過光の彩度への影響が発生しない。従って、基材11がガラス基板からなる場合には、図3に示す構成のように、色調整層13と電極形成領域とを一致させた配置とする構成が好ましい。
また、有機EL発光装置10は、積層方向において、第1バリア層12よりも外側に、色調整層13が配置されていることが好ましい。すなわち、有機EL発光装置10は、積層方向において、第1バリア層12よりも外側に、基材11と色調整層13とを有することが好ましい。さらに、色調整層13が基材11よりも外側に配置されることが好ましい。すなわち、有機EL発光装置10は、第1バリア層12よりも外側に、封止基材11と色調整層13とを有することが好ましく、外側から色調整層13、基材11、第1バリア層12の順に積層されてことがより好ましい。なお、ここでの外側とは、有機EL発光装置10の積層方向において、有機EL素子20を中心する基材11側の積層方向、又は、封止基材16側の積層方向を示す。従って、第1バリア層12の外側とは、第1バリア層12の有機EL素子20が配置される側の面の反対側の面であり、積層方向において第1バリア層12よりも基材11側を示す。また、基材11の外側とは、基材11の有機EL素子20が配置される側の面の反対側の面であり、図1に示す構成では第1バリア層12が配置される面の反対側の面を示す。
有機EL発光装置10においては、第1バリア層12と有機EL素子20との間に他の構成を有さない方が、発光効率の低下やダークスポットの発生等の有機EL素子20の性能の低下を抑制することができる。このため、第1バリア層12よりも外側に色調整層13を配置することにより、有機EL発光装置10の信頼性を高めることができる。すなわち、有機EL発光装置10の信頼性を考慮すると、第1バリア層12よりも外側に、基材11と色調整層13とを有することが好ましい。さらに、色調整層13を基材11よりも外側に配置することで、有機EL発光装置10の信頼性をより高めることができる。
また、色調整層13は、有機EL発光装置10の全面において均一な色を有する構成であってもよく、面方向の任意の領域毎に異なる色を有する構成であってもよい。例えば、有機EL素子20の形成領域、電極形成領域、及び、これら以外の領域で、それぞれ異なる色の色調整層13を設けることも可能である。このような構成においても、いずれかの領域に設けられる色調整層13が、上記式(1)で示される有機EL発光装置10の非発光時の透過光の彩度Cを、色調整層13を除いた構成の有機EL発光装置10よりも、小さく(0に近づける、ニュートラル)できればよい。例えば、有機EL発光装置10が、電極形成領域において彩度Cを30%以上低下させる色調整層13と、その他の領域において彩度Cを電極形成領域よりも小さい減少幅で低下させる色調整層13とを備えることが好ましい。
なお、図示していないが、有機EL素子20の第1電極21には、発光部分に用いられている部分の電極以外に、外部接続用の電極として接着剤層14の外部に引出された給電のための外部接続用の電極が、基材11上に設けられている。さらに、第2電極23には、発光部分に用いられている部分の電極以外に、第2電極23の外部接続用の電極として、接着剤層14の外部に引出された外部接続用の電極が、第1電極21が引出された方向と反対側の基材11上に設けられている。第1電極21と第2電極23とは、発光ユニット22によって絶縁された状態で、基材11上に設けられた各外部接続用の電極に接続される。
以下、上述の図1に示す有機EL発光装置10を構成する各構成要素の詳細について説明する。なお、以下の説明は、実施形態の有機EL発光装置を構成することが可能な構成要素の一例であり、他の構成を適用することも可能である。
[色調整層]
色調整層13としては、有機EL発光装置10に適用することにより、色調整層13を除いた構成の有機EL発光装置10よりも、非発光時の透過光の彩度を小さくすることができる構成であれば、いずれの構成も適用できる。例えば、色調整層13としては、色調整剤として蛍光材料や光吸収色素を含有する層や、光学干渉を利用した誘電体薄膜層等を備える構成が挙げられる。また、色調整層13としては、市販のカラーフィルターを用いることもできる。蛍光材料や光吸収色素を含有する層、市販のカラーフィルターは、色調整層13を除いた構成の有機EL発光装置10の非発光時の透過光の色と、補色の関係になる色を有することが好ましい。なお、ここでいう補色の関係とは、色相角が、135度〜225度ずれていることを言う。
色調整層13が、色調整剤として蛍光材料や光吸収色素を含有する層を有する場合には、この層はバインダにより色調整剤が保持されている構成であることが好ましい。このような層は、例えば、色調整剤とバインダと適宜溶媒とを含有する分散液を用いた、塗布方式、インクジェット方式、印刷方式等の薄膜形成方法により形成することができる。
また、色調整層13が誘電体薄膜層の場合は、複数の誘電体薄膜が積層された多層膜であることが好ましい。誘電体薄膜による多層膜は、一般的な気相成長法を用いて作製することができる。例えば、真空蒸着法や、スパッタリング法等の成膜方法を適用して、所望の誘電体薄膜を形成し、この成膜を複数回行なうことで誘電体薄膜が積層した多層膜を形成することができる。
色調整層13の厚さは、有機EL発光装置10の彩度を低下させる効果が得られる厚さで形成されていれば、特に限定されない。例えば、色調整層13が色調整剤を含む構成では、光学的な彩度の低下に必要な色調整剤の添加量や各色調整剤の光学的な能力等から、必要な厚さが決定される。また、色調整層13が誘電体薄膜層の場合には、彩度の低下に必要な各層の厚さと積層数との計算値から厚さを決定することができる。色調整層13の厚さは、色調整の方式にもよるが、例えば、10nm以上300μm以下の範囲で適宜設定できる。
(蛍光材料)
色調整層13を構成するための蛍光材料としては、例えば、有機蛍光材料、無機蛍光材料等を用いることができる。蛍光材料は、400〜450nmの波長の光で励起することが好ましい。励起波長を400nm以上とすることにより、有機EL発光装置10の彩度を低下させる効果を十分に得ることができる。また、励起波長を450nm以下とすることにより、可視光吸収による色調整層13の着色や、有機EL素子20から放出される可視光を色調整層13が吸収することによる、有機EL発光装置10の発光効率の低下を抑制することができる。
有機蛍光材料としては、ジアミノスチルベン系、ベンジジン系、イミダゾール系、トリアゾール系、イミダゾロン系、ビス(ベンゾオキサゾリル)チオフェン系、及びビス(ベンゾオキサゾリル)スチルベン系等の蛍光色素や、特開2007−264011号公報に記載されている蛍光色素が挙げられる。
無機蛍光材料としては、酸化亜鉛(ZnO)、硫化亜鉛(ZnS)、セレン化亜鉛(ZnSe)、硫化カドミウム(CdS)、Er3+、Yb3+、Tm3+、Pr3+、Eu3+等の希土類元素を含む希土類含有YAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)を用いることができる。
(光吸収色素)
色調整層13を構成するための光吸収色素としては、例えば、下記のような赤色色素、緑色色素、及び、青色色素等を用いることができる。これらの光吸収色素は、単独で用いてもよく、複数種類を混合してもよく、異なる色の色素同士を組み合わせて任意の色を得ることも可能である。
赤色色素としては、例えば、ペリレン系顔料、レーキ顔料、アゾ系顔料、キナクリドン系顔料、アントラキノン系顔料、アントラセン系顔料、イソインドリン系顔料等を用いることができる。緑色色素としては、例えば、ハロゲン多置換フタロシアニン系顔料もしくはハロゲン多置換銅フタロシアニン系顔料等のフタロシアニン系顔料、トリフェニルメタン系塩基性染料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料等を用いることができる。青色色素としては、例えば、銅フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、インダンスレン系顔料、インドフェノール系顔料、シアニン系顔料、ジオキサジン系顔料等を用いることができる。これらの顔料は単独で用いてもよく2種以上を混合して用いてもよい。
(バインダ)
色調整層13を構成するバインダとしては、ゼラチン、ゼラチン誘導体等の蛋白質又はセルロース誘導体、澱粉、アラビアゴム、デキストラン、プルラン、カラギーナン等の多糖類のような天然化合物や、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリビニルピロリドン、アクリルアミド重合体やそれらの誘導体等の合成高分子化合物、例えば、ポリオレフィン系、ポリアクリル系、ポリアクリロニトリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、エポキシ系、ポリカーボネート系、フッ素系等の樹脂材料を用いることができる。色調整層13において、色調整剤とバインダとの比率は、有機EL発光装置10の非発光時の彩度が0に近づくように、色調整層13中の色調整剤とバインダの含有量が決められる。
(誘電体薄膜層)
誘電体薄膜層としては、高屈折材料と低屈折材料とを用いて、屈折率の異なる層を積層して形成した誘電体多層膜を用いることが好ましい。誘電体多層膜を構成する材料としては、Al(屈折率1.6)、CeO(屈折率2.2)、Ga(屈折率1.5)、HfO(屈折率2.0)、ITO(インジウムスズ酸化物、屈折率2.1)、インジウム亜鉛酸化物(屈折率2.1)、MgO(屈折率1.7)、Nb(屈折率2.3)、SiO(屈折率1.5)、Ta(屈折率2.2)、TiO(屈折率2.3〜2.5)、Y(屈折率1.9)、ZnO(屈折率2.1)、ZrO(屈折率2.1)、AlF(1.4)、CaF(1.2〜1.4)、CeF(1.6)、GdF(1.6)、LaF(1.59)、LiF(1.3)、MgF(1.4)、NaF(1.3)等を用いることができる。
[基材]
有機EL発光装置10を構成する基材11は、ガラス、プラスチック等の種類には特に限定されない。基材11としては、ガラス、石英、透明樹脂フィルム等を挙げることができる。
ガラスとしては、例えば、シリカガラス、ソーダ石灰シリカガラス、鉛ガラス、ホウケイ酸塩ガラス、無アルカリガラス等が挙げられる。これらのガラス材料の表面には、隣接する層との密着性、耐久性、平滑性の観点から、必要に応じて、研磨等の物理的処理、及び、無機物又は有機物からなる被膜や、これらの被膜を組み合わせたハイブリッド被膜が形成される。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、変性ポリエステル等のポリエステル系樹脂、ポリエチレン(PE)樹脂、ポリプロピレン(PP)樹脂、ポリスチレン樹脂、環状オレフィン系樹脂等のポリオレフィン類樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)樹脂、ポリサルホン(PSF)樹脂、ポリエーテルサルホン(PES)樹脂、ポリカーボネート(PC)樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)樹脂等が挙げられる。これらの樹脂を単独で使用してもよいし、複数を併用してもよい。また、基材11は、未延伸フィルムでもよいし、延伸フィルムでもよい。
[バリア層]
第1バリア層12及び第2バリア層15は、有機EL素子20の劣化をもたらす水分や酸素等の浸入を抑制する、ガスバリア性を有する層であれば、特に限定されることなく従来公知の構成を適用することができる。有機EL発光装置10において要求されるガスバリア性は、例えば、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定された水蒸気透過度(25±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が、0.01g/(m・24h)以下のガスバリア性フィルム(ガスバリア膜等ともいう)であることが好ましい。さらには、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定された酸素透過度が、1×10−3ml/(m・24h・atm)以下であり、かつ水蒸気透過度が、1×10−5g/(m・24h)以下であることが好ましい。第1バリア層12及び第2バリア層15は、単層で形成されていてもよく、複数の層からなる積層体であってもよい。
有機EL発光装置10を構成する第1バリア層12及び第2バリア層15は特に制限はなく、有機EL発光装置10を構成する第1バリア層12及び第2バリア層15は、無機化合物の気相成膜によって形成されたバリア層でも、塗布によって形成されたバリア層でもよい。また、第1バリア層12及び第2バリア層15は、単層であれば、蒸着バリア層を有する膜であってもよいし、ケイ素含有化合物を含有する液状組成部を塗布及び乾燥して得られるケイ素含有層を有する膜であってもよい。さらに、第1バリア層12及び第2バリア層15は、最終的に複数の層で構成されたバリア層であってもよい。複数の層でバリア層が構成される場合には、蒸着によって形成されたバリア層を有してもよく、塗布及び乾燥によって形成されたバリア層を有してもよく、両者が積層された構成であってもよい。
(塗布法:ケイ素含有層)
第1バリア層12及び第2バリア層15は、ケイ素含有化合物を含有する液状組成物を、塗布及び乾燥することで得られるケイ素含有層を有することが好ましい。特に、ケイ素含有層として、ポリシラザン改質層を有することが好ましい。有機EL発光装置10は、第1バリア層12及び第2バリア層15としてケイ素含有層やポリシラザン改質層を含むことにより、高いバリア性を確保することができる。ポリシラザン改質層とは、ポリシラザン化合物がエキシマ光等のエネルギー線によって改質されたポリシラザン改質部を、少なくとも一部に有する層である。一般的には、エネルギー線が照射された層の表面にポリシラザンの改質部が形成される。
ケイ素含有層を形成するためのケイ素含有化合物としては、例えば、ポリシロキサン、ポリシルセスキオキサン、ポリシラザン、ポリシロキサザン、ポリシラン、ポリカルボシラン等を挙げることができる。これらの中でも、ケイ素−窒素結合、ケイ素−水素結合、及び、ケイ素−ケイ素結合からなる群より選ばれる少なくとも1種を有することが好ましい。
ケイ素含有化合物としてより好ましくは、ケイ素−窒素結合とケイ素−水素結合とを有するポリシラザン、ケイ素−窒素結合を有するポリシロキサザン、ケイ素−水素結合を有するポリシロキサン、ケイ素−水素結合を有するポリシルセスキオキサン、ケイ素−ケイ素結合を有するポリシランを用いることができる。なかでも、ケイ素−窒素結合、ケイ素−水素結合、及び、ケイ素−ケイ素結合のいずれかを有するケイ素含有化合物を用いることが好ましい。
ケイ素含有層は、ケイ素含有化合物を含有する液状組成物を、塗布及び乾燥することで得られ、特定の組成を有することでガスバリア性を発現する。また、気相成膜法で形成する場合と異なり、成膜時のパーティクル等の異物混入がほとんどなく、非常に欠陥の少ないバリア層を形成することが可能である。
ケイ素含有層を形成する液状組成物(ケイ素含有液状組成物)を調製するための溶剤としては、ケイ素含有化合物を溶解できるものであれば特に制限されない。溶剤としては、ケイ素含有化合物と容易に反応してしまう水及び反応性基(例えば、ヒドロキシル基、又は、アミン基等)を含まず、ケイ素含有化合物に対して不活性の有機溶剤が好ましく、非プロトン性の有機溶剤がより好ましい。具体的には、溶剤としては、非プロトン性溶剤、例えば、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターペン等の脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒、塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類、例えば、テトラヒドロフラン、ジブチルエーテル、モノ−及びポリアルキレングリコールジアルキルエーテル(ジグライム類)等を用いることができる。上記溶剤は、ポリシラザンの溶解度や溶剤の蒸発速度等の目的に合わせて選択され、単独又は2種以上を混合して用いてもよい。
ケイ素含有化合物を含む塗膜は、そのままの状態でケイ素含有層としてバリア層に適用することができるが、ケイ素含有層の転化反応(改質)を行うことが好ましい。転化反応としては、紫外線照射、プラズマ照射や加熱処理等を行なうことができる。中でも、真空紫外線を照射してケイ素含有層の転化反応(改質)を行うことが好ましい。特に、ポリシラザンを含むケイ素含有層に対して、真空紫外線を照射し、ポリシラザン改質層を形成することが好ましい。真空紫外線源は、100〜180nmの波長の光を発生させるものであればよい。好適には、約172nmに最大放射を有するエキシマラジエータ(例えば、Xeエキシマランプ)、約185nmに輝線を有する低圧水銀蒸気ランプ、230nm以下の波長成分を有する中圧及び高圧水銀蒸気ランプ、及び、約222nmに最大放射を有するエキシマランプである。
(気相成膜)
気相成膜バリア層を形成するための気相成膜方法としては特に限定はなく、例えば、真空蒸着法、反応性蒸着法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法、コーティング法等を用いることができる。バリア層の形成には、特開2004−68143号公報に記載されている大気圧プラズマ重合法を用いることが特に好ましい。
気相成膜において、第1バリア層12及び第2バリア層15を構成する材料としては、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の無機材料が挙げられる。また、第1バリア層12及び第2バリア層15は、有機物の被膜、又は、無機物と有機物とのハイブリッド被膜から形成されていてもよい。第1バリア層12及び第2バリア層15の脆弱性を改良するために、無機材料からなる層と有機材料からなる層との積層構造を持たせる構成も好ましく適用することができる。無機層と有機層の積層順については特に制限はないが、両者を交互に複数回積層させることが好ましい。
[第1電極・第2電極]
第1電極21及び第2電極23は、有機EL発光装置10において電気を導通させるための導電性材料を含む層である。さらに、第1電極21及び第2電極23は、必要に応じた積層構造であってよい。
第1電極21及び第2電極23としては、例えば、Au、Ag、Pt、Cu、Rh、Pd、Al、Cr等の金属薄膜や、In、CdO、CdIn、CdSnO、TiO、SnO、ZnO、ITO(インジウム・錫酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、IGO、IWZO、GZO、IGZO、ZTO、ZnO、TiO、VO、CuAlO、CuGaO、SrCu、RuO等の金属酸化物、TiN、ZrN、HfN、CuI、InN、GaN、LaB等の無機化合物が挙げられる。第1電極21及び第2電極23には、これらの導電性材料が1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。有機EL発光装置10においては、透明性と導電性との観点から、第1電極21が上述の金属酸化物を含み、特に、ITO、IZO、IGO、IWZO、GZO、IGZO、ZnO、及び、ZTOから選ばれる1種類以上を含むことが好ましい。
第1電極21及び第2電極23として、金属酸化物や無機化合物を用いる場合には、使用する材料の体積抵抗にもよるが、厚さを10nm以上500nm以下で形成することが好ましく、100nm以上300nm以下で形成することがさらに好ましい。膜厚が10nm未満では金属酸化物や無機化合物が連続膜とならず、所望の導電性が得られない。膜厚が500nmを超えると、屈曲による割れが発生する場合がある。
また、第2電極23には、銀を主成分とする金属薄膜を用いることが好ましい。銀を主成分とする金属とは、銀の含有比率が60at%(原子%)以上であることをいう。導電性の観点から銀の含有比率は、90at%以上であることが好ましく、95at%以上であることがより好ましく、銀単体で構成されていることが特に好ましい。
銀と組み合わされる金属としては、亜鉛、金、銅、パラジウム、アルミニウム、マンガン、ビスマス、ネオジム、及び、モリブデン等が挙げられる。例えば、銀と亜鉛とが組み合わされると、銀を主成分とする金属薄膜の耐硫化性が高まる。また、銀と金とが組み合わされると、銀を主成分とする金属薄膜の耐塩(NaCl)性が高まる。さらに、銀と銅とが組み合わされると、銀を主成分とする金属薄膜の耐酸化性が高まる。
第1電極21及び第2電極23として金属薄膜を用いる場合には、厚さが20nm以下であることが好ましく、5〜15nmの範囲内であることがより好ましい。金属薄膜の厚さを上記厚さ以下とすることにより、金属薄膜による反射が生じ難くなる。さらに、金属薄膜の厚さが上記厚さ以下であると、光学調整層による光学アドミッタンスが調整しやすく、光の反射の抑制が容易となる。金属薄膜の厚さは、エリプソメーターを用いた測定で求めることができる。
第1電極21及び第2電極23の作製方法は特に限定されない。第1電極21及び第2電極23は、真空蒸着法で形成された層であることが好ましい。真空蒸着法であれば、高温環境に基材11をさらすことがなく、平面性の高い第1電極21及び第2電極23を、極めて早く形成することができる。第1電極21及び第2電極23の作製に適用可能な蒸着法としては、抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法等の公知の蒸着法を適宜用いることができる。が含まれる。また、第1電極21及び第2電極23の作製に適用可能なスパッタ法としては、2極スパッタ法、マグネトロンスパッタ法、DCスパッタ法、DCパルススパッタ法、RF(高周波)スパッタ法、デュアルマグネトロンスパッタ法、反応性スパッタ法、イオンビームスパッタ法、バイアススパッタ法、及び対向ターゲットスパッタ法等の公知のスパッタ法を適宜用いることができる。
(外部接続用の電極)
有機EL発光装置10は、第1電極21及び第2電極23を封止部材の外部に引き出すために、発光部分に用いる第1電極21及び第2電極23とは別に、第1電極21の取り出し電極や、第2電極23の取り出し電極等の外部接続用の電極を、給電用に有していてもよい。特に、第1電極21及び第2電極23に金属薄膜を用いる場合には、外部接続用の電極を用いることが好ましい。
外部接続用の電極としては、導電性材料を適宜用いることができる。例えば、Au、Ag、Pt、Cu、Rh、Pd、Al、Cr等の金属薄膜や、In、CdO、CdIn、CdSnO、TiO、SnO、ZnO、ITO(インジウム・錫酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、IGO、IWZO、GZO、IGZO、ZTO、ZnO、TiOx、VOx、CuAlO、CuGaO、SrCu、RuO等の金属酸化物、TiN、ZrN、HfN、CuI、InN、GaN、LaB等の無機化合物が挙げられる。さらに、耐湿性を持つという点から、Pt、Pd、Mo等の材料や、導電性金属酸化物を用いることが好ましい。例えば、外部接続用の電極として金属材料を用いる場合には、Al層とMo層との積層体を用いることが好ましい。また、透明性の観点からは、導電性金属酸化物を用いることがより好ましい。また、外部接続用の電極においても、第1電極21及び第2電極23と同様の透明性を有することが好ましい。
[発光ユニット]
発光ユニット22は、少なくとも有機化合物を含む発光層を有して構成される発光体である。また、発光ユニット22は、発光層とともに、正孔輸送層、電子輸送層等の有機機能層を主体として構成される。発光ユニット22は、第1電極21と第2電極23とからなる一対の電極の間に挟持され、各電極から供給される正孔(ホール)と電子とが発光層内で再結合することで発光する。なお、有機EL素子20は、所望の発光色に応じて、当該発光ユニットを複数備えていてもよい。
有機EL素子20おいて、発光ユニット22の層構造が限定されることはなく、一般的な層構造であってよい。例えば、第1電極21がアノード(陽極)として機能し、第2電極23がカソード(陰極)として機能する場合、発光ユニット22は、第1電極21側から順に[正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層]を積層した構成が例示できる。正孔注入層及び正孔輸送層は、正孔輸送注入層として設けられてもよい。同様に、電子輸送層及び電子注入層は、電子輸送注入層として設けられてもよい。また、発光ユニット22は、無機材料で構成された層を有していてもよく、例えば、電子注入層が無機材料で構成されていてもよい。
発光ユニット22は、これらの層の他にも正孔阻止層や電子阻止層等が必要箇所に積層されていてもよい。さらに、発光層は、各波長領域の発光光を発生させる各色発光層を有し、これらの各色発光層が、非発光性の補助層を介して積層された構造であってもよい。補助層は、正孔阻止層、電子阻止層として機能してもよい。
また、有機EL素子20は、少なくとも1層の発光層を含む発光ユニット22が複数積層された、いわゆるタンデム構造の素子であってもよい。タンデム構造の代表的な素子構成としては、例えば、[陽極/第1発光ユニット/中間コネクタ層/第2発光ユニット/中間コネクタ層/第3発光ユニット/陰極]の構成を挙げることができる。
ここで、上記第1発光ユニット、第2発光ユニット、及び、第3発光ユニットは全て同じ構成であっても、異なる構成であってもよい。また、いずれか2つの発光ユニットが同じ構成であり、残る一つが異なる構成であってもよい。複数の発光ユニット22は、直接積層されていても、中間コネクタ層を介して積層されていてもよい。
中間コネクタ層は、一般的に中間電極、中間導電層、電荷発生層、電子引抜層、接続層、中間絶縁層とも呼ばれ、陽極側の隣接層に電子を供給し、陰極側の隣接層に正孔を供給する機能を持った層であれば、公知の材料及び構成を用いることができる。
タンデム型有機EL素子の具体例としては、例えば、米国特許第6337492号明細書、米国特許第7420203号明細書、米国特許第7473923号明細書、米国特許第6872472号明細書、米国特許第6107734号明細書、米国特許第6337492号明細書、国際公開第2005/009087号、特開2006−228712号公報、特開2006−24791号公報、特開2006−49393号公報、特開2006−49394号公報、特開2006−49396号公報、特開2011−96679号公報、特開2005−340187号公報、特許第4711424号公報、特許第3496681号公報、特許第3884564号公報、特許第4213169号公報、特開2010−192719号公報、特開2009−076929号公報、特開2008−078414号公報、特開2007−059848号公報、特開2003−272860号公報、特開2003−045676号公報、国際公開第2005/094130号等に記載の素子構成や構成材料等を用いることができる。
[接着剤層]
接着剤層14は、第2バリア層15を有する封止基材16を基材11側に固定するとともに、有機EL素子20を封止するためのシール剤として用いられる。有機EL発光装置10において、接着剤層14は基材11や封止基材16と同様に透明であることが好ましい。
接着剤層14としては、従来公知の有機EL素子の封止に用いられる樹脂を用いることができる。例えば、アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーの反応性ビニル基を有する光硬化及び熱硬化型接着剤、2−シアノアクリル酸エステル等の湿気硬化型等の接着剤を用いることができる。また、接着剤層14としては、エポキシ系等の熱及び化学硬化型(二液混合)を用いることができる。また、ホットメルト型のポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンを用いることができる。また、カチオン硬化タイプの紫外線硬化型エポキシ樹脂接着剤を用いることができる。
接着剤層14の塗布は、スクリーン印刷のように市販のディスペンサーを用いて封止基材16に印刷してもよい。なお、有機EL素子20の発光ユニット22を構成する有機材料は、熱によって劣化する場合がある。このため、接着剤層14は、室温(25℃)から80℃までに接着硬化することが好ましい。また、接着剤層14中に乾燥剤を分散させておいてもよい。
[封止基材]
封止基材16は、有機EL発光装置10において有機EL素子20を上方から覆う部材であって、接着剤層14によって基材11及び有機EL素子20に固定されている。封止基材16は、フィルム状や板状等の形態であってもよい。封止基材16は、上述の基材11と同じ構成を適用することができる。
[その他の構成]
(保護層)
電極が銀等の金属薄膜である場合には、金属薄膜の反射や、表面プラズモン共鳴等を抑制することが可能な保護層を、金属薄膜と接する位置に設けることが好ましい。保護層の材料としては、保存後の光透過率が変化しにくいという点から、硫黄原子を有する有機化合物(硫黄含有化合物)、及び、窒素原子を有する有機化合物(窒素含有化合物)が挙げられる。保護層に適用可能な窒素含有化合物の具体例としては、例えば、特開2015−060728号公報等に記載の窒素含有化合物を挙げることができる。保護層に適用可能な硫黄含有化合物の具体例としては、例えば、特開2015−060728号公報等に記載の硫黄含有化合物を挙げることができる。
(光学調整層)
有機EL発光装置10は、有機EL素子20からの発光を外部に取出すため、及び、有機EL発光装置10の透明性を高めるために、光学調整層を備えることが好ましい。例えば、光学調整層を第2電極23上で接する位置に配置することにより、金属材料等によって形成された第2電極23の積層界面での反射や、第2電極23による吸収、及び、干渉を抑制し、第2電極23側からの発光光の取り出し効率を向上させることができる。また、第2電極23上に配置することにより、有機EL発光装置10の透過光に対して、第2電極23での吸収や干渉による透過率の低下や色付きを抑制し、有機EL発光装置10の透明性を向上させることが可能となる。
光学調整層は、光透過率を高めるという点から、屈折率が低いほうが好ましい。光学調整層の屈折率は、1.7以下であることが好ましく、1.6以下であることがより好ましく、1.4以下であることが最も好ましい。屈折率は、25℃の環境下で測定した、波長550nmにおける値とする。屈折率は、市販のエリプソメーターを用いて測定して求めることができる。光学調整層を構成する材料としては、上記屈折率の関係を満たす適当な屈折率が得られれば特に制限はなく、既存の化合物を利用できる。光学調整層を構成する材料としては、例えば、Al(屈折率1.6)、Ga(屈折率1.5)、SiO(屈折率1.5)、AlF(1.4)、CaF(1.2〜1.4)、CeF(1.6)、GdF(1.6)、LaF(1.59)、LiF(1.3)、MgF(1.4)、MgO(屈折率1.7)、NaF(1.3)等が挙げられる。
(封止層)
有機EL発光装置10は、有機EL素子20への水蒸気等の浸入を防止するために、有機EL素子20の側面と上面とを覆う封止層を備えることが好ましい。封止層は、透明性が高くて絶縁性の高い材料で形成することが好ましい。封止層を構成する材料としては、有機EL素子20の劣化をもたらす、例えば水分や酸素等の侵入を抑制することが可能な無機化合物を用いることが好ましい。封止層を構成する無機化合物としては、例えば、酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム等の任意の材料を用いることができる。封止層は、特性として、ガスバリア性、絶縁性及び透明性を有することが好ましい。特に、封止層は、水蒸気透過度が約0.01g/[m・day・atm]以下、好ましくは水蒸気透過度が約0.0001g/[m・day・atm]以下、抵抗率が1×1012Ω・cm以上、及び、光線透過率が可視光領域で約80%以上であることが好ましい。
封止層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、マグネトロンスパッタ法、分子線エピタキシー法、クラスタ−イオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法等の手法を用いることができる。
(帯電防止層)
有機EL発光装置10は、基材11の有機EL素子20が設けられていない側の面(裏面)に、帯電防止層が設けられていてもよい。帯電防止層は、基材11の裏面側において、最も外側の層に配置されることが好ましい。帯電防止層を備えることにより、有機EL発光装置10を重ねた際や、長尺の基材11をロール状に巻回した際に、基材11や封止基材16の固着等を抑制することができる。
有機EL発光装置10において、帯電防止層は、粒子とバインダ樹脂とから構成される。帯電防止層は、バインダ樹脂100質量部に対して、粒子を1〜900質量部の範囲で含有することが好ましい。帯電防止層を構成する粒子は、無機微粒子、無機酸化物粒子、導電性ポリマー粒子、導電性カーボン微粒子等が好ましい。なかでも、ZnO、TiO、SnO、Al、In、MgO、BaO、MoO、V等の金属酸化物粒子、及び、SiO等の無機酸化物粒子が好ましい。特に、SnO、SiOが好ましい。
帯電防止層を構成するバインダ樹脂としては、例えば、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートフタレート、及び、セルロースナイトレート等のセルロース誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリブチレンテレフタレート、及び、コポリブチレン/テレ/イソフタレート等のポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール、及び、ポリビニルベンザール等のポリビニルアルコール誘導体、ノルボルネン化合物を含有するノルボルネン系ポリマー、ポリメチルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート、ポリプロピルチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリメチルアクリレート等のアクリル樹脂、並びに、アクリル樹脂とその他樹脂との共重合体を用いることができるが、特にこれら例示する樹脂材料に限定されない。これらの樹脂材料においては、セルロース誘導体又はアクリル樹脂を用いることが好ましく、アクリル樹脂を用いることが最も好ましい。
バインダ樹脂としては、重量平均分子量が40万以上で、ガラス転移温度が80〜110℃の範囲内にある熱可塑性樹脂が、光学特性、及び、帯電防止層の品質の点で好ましい。ガラス転移温度は、JIS K 7121に記載の方法で求めることができる。また、粒子含有層においてバインダ樹脂は、熱可塑性樹脂を全樹脂質量の60質量%以上含むことが好ましく、80質量%以上含むことがより好ましい。バインダ樹脂は、熱可塑性樹脂以外にも必要に応じて活性線硬化性樹脂や、熱硬化樹脂等を用いることもできる。
〈2.透明有機エレクトロルミネッセンス発光装置の実施形態(第2実施形態)〉
次に、有機EL発光装置の第2実施形態について説明する。第2実施形態の有機EL発光装置の構成を図4に示す。図4に示す有機EL発光装置10は、色調整層13が封止基材16の外側に配置されている。すなわち、色調整層13が、封止基材16の有機EL素子20が配置される面と反対側の面に配置されている。なお、図4に示す有機EL発光装置10は、色調整層13が配置される位置を除き、上述の第1実施形態(図1参照)と同様の構成である。このため、以下の説明では、色調整層13に係わる構成のみを説明し、上述の第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
有機EL発光装置10は、上述の第1実施形態のような有機EL素子20よりも基材11側に色調整層13が配置される構成に限られず、有機EL素子20の層間以外であれば、どの位置に色調整層13が配置されていてもよい。例えば、図4に示すように、封止基材16の外側に、色調整層13が設けられていてもよい。また、図4に示す封止基材16の外側以外にも、第2電極23と接着剤層14との間、接着剤層14と第2バリア層15との間、及び、第2バリア層15と封止基材16との間の少なくともいずれか1箇所以上に色調整層13が設けられていてもよい。
特に、有機EL発光装置10において、色調整層13が有機EL素子20よりも封止基材16側に配置される場合には、第2バリア層15よりも外側に色調整層13が配置されていることが好ましい。さらに、図4に示すように、封止基材16よりも外側に色調整層13が配置されていることが好ましい。なお、第2バリア層15の外側とは、第2バリア層15の有機EL素子20が配置される面と反対側の面であり、積層方向における第2バリア層15よりも封止基材16側を示す。また、封止基材16の外側とは、積層方向における封止基材16の有機EL素子20が配置される面と反対側の面であり、図4に示す構成では第2バリア層15が配置される面と反対側の面である。
すなわち、色調整層13が有機EL素子20よりも封止基材16側に配置される構成の有機EL発光装置10は、第2バリア層15よりも外側に、封止基材16と色調整層13とを有することが好ましい。さらに、封止基材16よりも外側に、色調整層13を有することが好ましい。従って、有機EL発光装置10は、外側から順に色調整層13、封止基材16、第2バリア層15の順に積層されていることが好ましい。
第2バリア層15よりも外側に色調整層13が配置されることにより、色調整層13に起因する発光効率の低下やダークスポットの発生等の有機EL素子20の性能低下を抑制することができ、有機EL発光装置10の信頼性を高めることができる。さらに、色調整層13を封止基材16よりも外側に配置することで、有機EL発光装置10の信頼性がより高くなる。
また、図4に示す色調整層13が有機EL素子20よりも封止基材16側に配置される構成の有機EL発光装置10においても、上述の図2及び図3と同様に、電極形成領域の全面を覆う領域に色調整層13が形成されていることが好ましい。さらに、図3に示すように、色調整層13の形成領域と電極形成領域とは、平面配置において、位置ずれが±5%以下であることが好ましい。封止基材16側に色調整層13を設ける構成においても、上記のような配置とすることにより、電極形成領域とそれ以外の領域とにおいて、彩度の差を視認性が低くなる程度に十分に小さくして、良好な外観を有する有機EL発光装置10を構成することができる。
〈3.透明有機エレクトロルミネッセンス発光装置の実施形態(第3実施形態)〉
次に、有機EL発光装置の第3実施形態について説明する。第3実施形態の有機EL発光装置の構成を図5に示す。図5に示す有機EL発光装置10は、基材11の外側に紫外線吸収層17を備え、さらに紫外線吸収層17の外側に色調整層13を備える。なお、図5に示す有機EL発光装置10は、紫外線吸収層17を備えることを除き、上述の第1実施形態(図1参照)と同様の構成である。このため、以下の説明では、紫外線吸収層17に係わる構成のみを説明し、上述の第1実施形態と同様の構成については説明を省略する。
図5に示す有機EL発光装置10は、基材11よりも外側に紫外線吸収層17と、色調整層13とを備える。有機EL発光装置10が紫外線吸収層17を備えることにより、太陽光等の外光に含まれる紫外線による有機EL素子20の損傷を抑制することができる。特に、発光ユニット22を構成する有機材料の変性等による損傷を抑制することができる。このため、有機EL素子20よりも外側において、外光が入射する側に紫外線吸収層17を配置することにより、発光効率の低下やダークスポットの発生等の有機EL素子20の性能低下を抑制することができ、有機EL発光装置10の信頼性を高めることができる。紫外線吸収層17は、有機EL素子20の層間以外であれば、どの位置に設けられていてもよく、基材11の外側の全面に設けられていることが好ましい。
また、有機EL発光装置10において、基材11や接着剤層14、封止基材16等に樹脂材料や有機材料が用いられている構成では、これらの構成にも紫外線等による破損や変形、変色等を発生する場合がある。このため、紫外線吸収層17は、基材11や封止基材16よりも、外光が入射する側の外側に配置されることが好ましい。
従って、有機EL発光装置10の信頼性を考慮すると、基材11又は封止基材16の外側に、紫外線吸収層17と色調整層13とが積層されている構成が好ましい。特に、基材11の外側に、紫外線吸収層17と色調整層13とが積層され、さらに、封止基材16の外側にも、紫外線吸収層17と色調整層13とが積層されている構成が好ましい。なお、色調整層13が基材11よりも内側に配置されている場合には、基材11の外側に紫外線吸収層17のみが配置されていてもよい。また、色調整層13と紫外線吸収層17とが共に有機EL発光装置10の一方面側に配置されていなくてもよく、色調整層13と紫外線吸収層17とのいずれか一方が基材11側、他方が封止基材16側に配置されていてもよい。
色調整層13と紫外線吸収層17とが共に有機EL発光装置10の一方面側に配置される構成においては、色調整層13と紫外線吸収層17との積層順は特に限定されない。但し、色調整層13が色調整材として蛍光材料を含む場合には、紫外線吸収層17よりも外側に色調整層13を設けることが好ましい。色調整層13に含まれる蛍光材料は、蛍光を発するために紫外線等の短波長の光が必要である。このため、外光の入射側に紫外線吸収層17が配置されると、色調整層13における蛍光の発生が不十分となりやすく、有機EL発光装置10の彩度の調整が困難になりやすい。
また、色調整層13が色調整材として蛍光材料を含まない場合には、外光の入射側に紫外線吸収層17を配置することが好ましい。この構成では、紫外線による色調整層13の劣化を抑制することができるため、長期間の使用においても有機EL発光装置10の彩度の変化を抑制することができる。
また、紫外線吸収層17は、有機EL発光装置10の基材11側だけでなく、封止基材16側に配置することもできる。紫外線吸収層17は、有機EL発光装置10の施工時において、より多くの紫外線が照射される側の面に配置されていることが好ましい。このため、紫外線吸収層17は、有機EL発光装置10の基材11側に配置されていても、封止基材16側に配置されていてもよい。さらに、有機EL発光装置10の信頼性をより向上させるために、基材11の外側と、封止基材16の外側との両面に紫外線吸収層17が配置されていてもよい。
[紫外線吸収層]
紫外線吸収層17は、紫外線吸収剤を含む。また、紫外線吸収剤のバインダとなる樹脂材料を含むことが好ましい。紫外線吸収層17には、0.05〜15質量%の紫外線吸収剤が含まれることが好ましく、1〜10質量%の紫外線吸収剤が含まれることがより好ましい。紫外線吸収層17の厚さは、1μm〜30μmであることが好ましい。厚さを1μm以上とすることにより、紫外線吸収層17の成膜性が向上するとともに、紫外線吸収層17に要求される紫外線の吸収能力を容易に付加することができる。また、厚さを30μm以下とすることで、製造が容易となる。
紫外線吸収剤は、特に限定されず、無機系の紫外線吸収剤であっても、有機系の紫外線吸収剤であってもよく、公知の紫外線吸収剤を使用できる。バインダは、上述の色調整層13と同様のものを使用できる。無機系の紫外線吸収剤としては、例えば、酸化亜鉛、酸化チタン等を用いることができる。有機系の紫外線吸収剤としては、例えば、2,4−ジヒドロキシ−ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、2−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系化合物、フェニルサリチレート、2−4−ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等のサリチル酸フェニル系化合物、ビス(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)セバケート等のヒンダードアミン系化合物、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ジフェニル−6−(2−ヒドロキシ−4−エトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン等のトリアジン系化合物等を用いることができる。特に、紫外線吸収剤としては、ベンソトリアゾール系化合物、トリアジン系化合物、及び、ベンゾフェノン系化合物から選ばれる少なくとも一種以上を含むことが好ましい。
紫外線吸収剤としては、上記以外にも、紫外線の保有するエネルギーを分子内で振動エネルギーに変換し、その振動エネルギーを熱エネルギー等として放出する機能を有する化合物を用いることができる。
なお、紫外線吸収剤は、単独でも2種以上混合して用いてもよい。また、紫外線吸収剤は、合成品を用いてもよいし市販品を用いてもよい。市販品の例としては、例えば、Tinuvin(登録商標)320、Tinuvin(登録商標)328、Tinuvin(登録商標)234、Tinuvin(登録商標)477、Tinuvin(登録商標)1577、Tinuvin(登録商標)622(以上、BASFジャパン株式会社製)、アデカスタブ(登録商標)LA−31(以上、株式会社アデカ製)、SEESORB(登録商標)102、SEESORB(登録商標)103、SEESORB(登録商標)501(以上、シプロ化成株式会社製)等を用いることができる。
実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
〈試料101の有機EL発光装置の作製〉
[基材準備]
コーニング社製の無アルカリガラスである厚さ0.7mmのイーグル・XGを、120mm×100mmに切り出し、これを基材として準備した。
[有機EL素子の作製]
準備した基材上に以下のように有機EL素子を製作した。
まず、市販のスパッタ装置に、In・ZnO(In:ZnO=90wt%:10wt%)のターゲットを取り付け、下記の条件で基材上にIZOの膜を185nm成膜し、第1電極(陽極)とした。
全圧:0.4MPa
アルゴン流量:99sccm
酸素流量:1sccm
出力:5W/cm
次に、真空蒸着装置内の蒸着用るつぼの各々に、発光ユニットを構成する各層の材料を、各々素子作製に最適の量を充填した。蒸着用るつぼは、モリブデン製又はタングステン製の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
真空度1×10−4Paまで減圧した後、化合物M−2の入った蒸着用るつぼに通電して加熱し、蒸着速度0.1nm/秒で電極(陽極)上に蒸着し、膜厚150nmの正孔注入輸送層を形成した。
次に、化合物BD−1及び化合物H−1を、化合物BD−1が5%の濃度になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、膜厚30nmの青色発光を呈する蛍光発光層を形成した。
次に、化合物GD−1、化合物RD−1及び化合物H−2を、化合物GD−1が17%、RD−1が0.8%の濃度になるように蒸着速度0.1nm/秒で共蒸着し、膜厚30nmの黄色を呈するリン光発光層を形成した。
その後、化合物E−1を蒸着速度0.1nm/秒で蒸着し、膜厚80nmの電子輸送層を形成した。
さらに、LiFを膜厚1.5nmに形成した後に、アルミニウムを膜厚1nmに蒸着した。
続いて、銀を膜厚12nmに蒸着して第2電極(陰極)とした。
さらに、陰極上に、化合物Aを厚さ62nmに蒸着し、保護層とした。
化合物M−2、化合物BD−1、化合物H−1、化合物GD−1、化合物RD−1、化合物H−2、化合物E−1、及び、化合物Aを以下に示す。
Figure 2018037791
[光学調整層]
次に、電子銃蒸着用のるつぼにセットしておいたフッ化マグネシウム(MgF)を、電子銃を用いて蒸着し、有機EL素子の保護層上に厚さ90nmの光学調整層を形成した。フッ化マグネシウムの蒸着速度は、約1nm/秒とした。
[封止層]
以下の条件で、窒化ケイ素膜をデポアップ方式のプラズマCVD成膜装置によって成膜し、有機EL素子及び光学調整層の全面(上面と側面)を覆う封止層を形成した。窒化ケイ素膜の膜厚は、250nmとした。封止層となる窒化ケイ素膜の作製には、基材に対面するように設けられた電極と、この電極にプラズマ励起電力を供給する高周波電源と、基材を保持する保持部材にバイアス電力を供給するバイアス電源と、電極に向けてキャリアガスや原料ガスを供給するガス供給手段と、を備えるプラズマCVD成膜装置を用いた。成膜ガスは、シランガス(SiH)、アンモニアガス(NH)、窒素ガス(N)及び水素ガス(H)を用いた。これらのガスの供給量は、シランガスが100sccm、アンモニアガスが200sccm、窒素ガスが500sccm、水素ガスが500sccmとなるように設定した。また、成膜圧力は、50Paとした。電極には、高周波電源から周波数13.5MHzで3000Wのプラズマ励起電力を供給した。保持部材には、バイアス電源から500Wのバイアス電力を供給した。
[封止基材・粘着剤層]
(接着剤組成物の調製)
ポリイソブチレン系樹脂(A)として「オパノールB50(BASF製、Mw:34万)」100質量部、ポリブテン樹脂(B)として「日石ポリブテン グレードHV−1900(新日本石油社製、Mw:1900)」30質量部、ヒンダードアミン系光安定剤(C)として「TINUVIN765(BASF・ジャパン製、3級のヒンダードアミン基を有する)」0.5質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤(D)として「IRGANOX1010(BASF・ジャパン製、ヒンダードフェノール基のβ位が二つともターシャリーブチル基を有する)」0.5質量部、及び、環状オレフィン系重合体(E)として「Eastotac H−100L Resin(イーストマンケミカル.Co.製)」50質量部を、トルエンに溶解し、固形分濃度約25質量%の接着剤組成物を調製した。
(封止部材の作製)
コーニング社製の無アルカリガラスである厚さ0.7mmのイーグル・XGを用意し、封止基材とした。次に、調製した上記接着剤組成物の溶液を乾燥後に形成される接着層の厚さが20μmとなるように封止基材の片面に塗工し、120℃で2分間乾燥させて接着層を形成した。次に、形成した接着層面に対して、剥離シートとして、厚さ38μmの剥離処理をしたポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面を貼付して、封止部材を作製した。そして、作製した封止部材を、窒素雰囲気下24時間以上放置した。
(封止)
作製した封止部材を放置した後、封止部材から剥離シートを除去し、80℃に加熱した真空ラミネーターによって、基材と封止層とを覆うように封止部材を貼合し、有機EL素子を封止部材で封止した。さらに、120℃で30分加熱し、試料101の有機EL発光装置を作製した。
〈試料102の有機EL発光装置の作製〉
マイクロキャビティー効果によって上述の試料101よりも彩度が小さくなるように設計した色調整処方に基づいて、有機EL素子の発光ユニットの厚さを変更した以外は、上述の試料101と同様の方法を用いて試料102の有機EL発光装置を作製した。
(色調整処方)
正孔注入輸送層として化合物M−2を厚さ30nmで形成し、保護層として化合物Aを厚さ175nmで形成した以外は、上述の試料101と同様に発光ユニットを作製した。
〈試料103の有機EL発光装置の作製〉
試料101で作製した有機EL発光装置の基材の裏面側に、色調整層として以下の方法で作製した緑色を吸収するフィルター(緑色吸収フィルター)を、リンテック株式会社製光学粘着シートMO−series(厚さ50μm)を用いて貼り付けた。なお、色調整層を形成する領域は、図2に示す有機EL素子の発光面を超える大きさとした。
[色調整層の作製]
(緑色吸収フィルター用インク組成物の調整)
以下の材料を混合し、緑色吸収フィルター作製用のインク組成物を調整した。
・インク組成物
ペンタエリスリトールトリアクリレート:30質量%(紫外線硬化樹脂)
グリセリン:15質量%(塗布溶媒)
トリエチレングリコールモノブチルエーテル:3質量%(塗布溶媒)
サーフィノール465:0.3質量%(界面活性剤)
ピグメントグリーン36:0.2質量%(緑色色素)
エチレングリコール:残量(塗布溶媒)
(緑色吸収フィルターの作製)
調整したインク組成物を、両面を表面活性化処理した厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製のルミラー(登録商標)U48)に、スピン塗布装置を用いて塗布した。塗布した後、紫外線露光機にて紫外線を1500mJ照射した後、80℃にて30分間熱処理を行った。なお、スピン塗布の回転数は、色調整層の波長550nmの透過率が87%となるように調整した。
〈試料104の有機EL発光装置の作製〉
色調整層を構成する緑色吸収フィルターを、富士フイルム株式会社製の色補正フィルター(CCフィルター)CC M2.5に変更した以外は、上述の試料103と同様の方法で、試料104の有機EL発光装置を作製した。
〈試料105の有機EL発光装置の作製〉
色調整層を、富士フイルム株式会社製の色補正フィルター(CCフィルター)CC G2.5に変更し、マゼンタを吸収するフィルターを作製した以外は、上述の試料103と同様の方法で、試料105の有機EL発光装置を作製した。
〈試料106の有機EL発光装置の作製〉
色調整層として、以下の方法で作製した紫外線を吸収して青色発光を呈するフィルター(紫外吸収青色蛍光フィルター)を用いた以外は、上述の試料103と同様の方法で、試料106の有機EL発光装置を作製した。
[色調整層の作製]
以下の材料を混合し、紫外吸収青色蛍光フィルターのインク組成物を調整した以外は、上述の試料103と同様の方法で、色調整層を作製した。なお、スピン塗布の回転数は、色調整層の波長430nmの透過率が50%となるように調整した。
・インク組成物
ペンタエリスリトールトリアクリレート:30質量%(紫外線硬化樹脂)
グリセリン:15質量%(塗布溶媒)
トリエチレングリコールモノブチルエーテル:3質量%(塗布溶媒)
サーフィノール465:0.3質量%(界面活性剤)
下記の化合物B:0.2質量%(蛍光色素)
エチレングリコール:残量(塗布溶媒)
Figure 2018037791
〈試料107の有機EL発光装置の作製〉
色調整層として、以下の方法で作製した青色光を吸収して緑色発光を呈するフィルター(青色吸収緑色発光フィルター)を用いた以外は、上述の試料103と同様の方法で、試料107の有機EL発光装置を作製した。
[色調整層の作製]
以下の材料を混合し、青色吸収緑色発光フィルターのインク組成物を調整した以外は、上述の試料103と同様の方法で、色調整層を作製した。
・インク組成物
ペンタエリスリトールトリアクリレート:30質量%(紫外線硬化樹脂)
グリセリン:15質量%(塗布溶媒)
トリエチレングリコールモノブチルエーテル:3質量%(塗布溶媒)
サーフィノール465:0.3質量%(界面活性剤)
ローダミン6G:0.2質量%(蛍光色素)
エチレングリコール:残量(塗布溶媒)
作製した試料101〜試料107の有機EL発光装置の主要な構成を下記表1に示す。
Figure 2018037791
〈評価〉
作製した試料101〜試料107の有機EL発光装置に対し、下記の評価を行なった。
[効率]
ADC製電圧/電流発生器6243および、コニカミノルタ製分光放射輝度計CS−2000を用いて輝度の測定を行った。有機EL素子に2mA/cmの電流を流したときの輝度を求め、電流値で除算し、電流効率cd/Aを求め効率とした。各有機EL発光装置の効率の評価は、試料101の有機EL発光装置の効率を100とする相対値として求めた。
[彩度]
コニカミノルタ製分光測色計CM−5を用いて、SCI(正反射光含む)モード、D65光源にて測定を行い、透過光のLを求めた。なお、有機EL発光装置の彩度は、電極形成領域内において測定した値を採用した。電極形成領域内での測定は、図6に示す電極形成領域21,23の中央と四隅の5点で行い、この5点の測定値の平均値から透過光のLを求めた。そして、求められたa、bから上述の式(1)を用いて透過光の彩度Cを求めた。なお、各有機EL発光装置の彩度評価は、試料101の有機EL発光装置の彩度Cを100とする相対値として求めた。
[透過率の角度依存性]
日立ハイテクサイエンス製分光光度計U3310を用いて、垂直方向における有機EL発光装置の波長400nm〜800nmの透過率を求め、その平均値をT%(0)とした。さらに、アタッチメント部を付け替え、サンプルが60度傾いた状態となるように治具を取り付けて、60度における有機EL発光装置の波長400nm〜800nmの透過率を求め、その平均値をT%(60)とした。そして、[T%(60)÷T%(0)]によって、透過率の角度依存性を求めた。
[彩度の差]
作製した有機EL発光装置において、電極形成領域と非電極形成領域との彩度の差を求めた。電極形成領域の彩度C は、上述の有機EL発光装置の彩度C値を採用した。また、非電極形成領域での測定は、電極形成領域21,23を除く基材11上の任意の5点で行い、この5点の測定値の平均値から透過光のLを求めた。そして、求められたa、bから上述の式(1)を用いて非電極形成領域の透過光の彩度C を求めた。彩度の差は、上記と同様の方法で求められる電極形成領域の透過光の彩度C と、非電極形成領域の透過光の彩度C との差を、[電極形成領域C −非電極形成領域C ]によって求めた。
上記試料101〜試料107の有機EL発光装置の効率、有機EL発光装置の彩度、透過率の角度依存性、及び、電極形成領域と非電極形成領域との彩度の差の評価結果を表2に示す。
Figure 2018037791
色調整層を設けていない試料101に対し、色調整層を設けた試料105、及び、試料106の有機EL発光装置は、彩度が低下している。一方、色調整層を設けた試料103、試料104、及び、試料107の有機EL発光装置は、彩度が高くなっている。このように、有機EL発光装置に対して、単純にカラーフィルターや蛍光フィルター等の色調整層を用いるだけでは、有機EL発光装置の彩度を低下させることはできない。色調整層を有機EL発光装置の彩度を低下させることが可能な層として機能させるためには、有機EL発光装置の色相や彩度に応じて、彩度を低下させることが可能なカラーフィルターや蛍光フィルター等を選択する必要がある。
また、試料102の有機EL発光装置のように、彩度が小さくなるように有機EL素子の発光ユニットの厚さを設計した構成では、有機EL発光装置の発光効率が低下している。一般に、有機EL発光装置の発光効率を高めるためには、マイクロキャビティー効果によって光取り出し効率が向上するように有機EL素子を設計する必要がある。しかし、試料102の有機EL発光装置のような透過光の彩度を低下させるための設計処方では、マイクロキャビティー効果による光取り出し効率が十分に発揮される構成からずれるため、有機EL発光装置の発光効率が低下してしまう。
また、試料105、及び、試料106の有機EL発光装置のように、透過光の彩度を30%以上小さくすることができれば、電極形成領域と非電極形成領域とにおいて、有機EL発光装置の非発光時の透過光の彩度の差を小さくすることができる。従って、透過光の彩度を30%以上小さくすることが可能な色調整層を備えることにより、有機EL発光装置の面内での彩度の差を小さくすることができ、面内の彩度の均一性を高めることができる。また、角度依存性においても、透過率の変動を抑えることができる。
〈試料201の有機EL発光装置の作製〉
以下の方法で作製したバリア層付き基材、及び、封止部材を用いた以外は、上述の試料101と同様の方法で、試料201の有機EL発光装置を作製した。
[基材準備]
両面を表面活性化処理した、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製のルミラー(登録商標)U48)の一方の面に、下記の方法で有機帯電防止剤を含む帯電防止層を作製した。
[帯電防止層(有機帯電防止剤)の作製]
下記の方法に従って、コロイダルシリカ含有単量体(A)を調整し、このコロイダルシリカ含有単量体(A)を用いて、有機帯電防止剤の帯電防止ハードコート剤(A)を調整した。そして、有機帯電防止剤の帯電防止ハードコート剤(A)を用いて帯電防止層を作製した。
(コロイダルシリカ含有単量体(A)の調整)
溶媒として酢酸エチルを用いて分散したコロイダルシリカ(SiO成分30質量%、平均粒子径20nm、日産化学(株)製)130質量部に、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート(略称:MOI、分子量155、昭和電工(株)製)30質量部と、触媒としてジラウリン酸ジ−n−ブチル錫(略称:DBTDL)0.1質量部とを加えて、室温で24時間撹拌した。赤外分光法(IR)によりイソシアネート基の反応の確認を行い、エバボレーターで溶媒である酢酸エチルを除去して、コロイダルシリカ含有単量体(A)を得た。
(帯電防止ハードコート剤(A)の調整)
上記で製造したコロイダルシリカ含有単量体(A)(不揮発分:36質量%)の100質量部に、Li/CFSO のメチルエチルケトン溶液(不揮発分:50質量%、三光化学工業(株)製)5質量部を混合して撹拌した。開始剤としては、Irgacure907(BASFジャパン社製)を1質量部加え、有機帯電防止剤である帯電防止ハードコート剤(A)を調製した。
(帯電防止層の形成)
次に、樹脂基材上に、調製した有機帯電防止剤である帯電防止ハードコート剤(A)を、硬化後の厚さが10μmとなる条件で、塗布及び乾燥した。この後、80W/cmの水銀灯を用い、300mJの条件で紫外線照射処理を行い、有機帯電防止剤からなる帯電防止層を作製した。
次に、PETフィルムのもう一方の面に厚さ2μmの下地層を形成した。具体的には、UV硬化型樹脂オプスター(登録商標)Z7527(JSR社製)を、乾燥後の厚さが2μmとなるように塗布した。塗膜を80℃で乾燥した後、大気下で高圧水銀ランプを用いて照射エネルギー量が0.5J/cmの紫外線を照射して硬化処理を施した。
[バリア層の形成]
(ケイ素含有ポリマー改質層)
帯電防止層を形成した基材を120mm×100mmの大きさで切り出した。そして、帯電防止層が形成されていない側の面上に、ケイ素含有ポリマー改質層を以下の方法で作製した。
無触媒のパーヒドロポリシラザン(PHPS)の20質量%ジブチルエーテル溶液(アクアミカNN120−20、AZエレクトロニックマテリアルズ社製)と、アミン触媒(N,N,N′,N′−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン)を固形分の5質量%含有するパーヒドロポリシラザン20質量%ジブチルエーテル溶液(アクアミカNAX120−20、AZエレクトロニックマテリアルズ社製)とを、4:1の割合で混合し、さらに厚さの調整のためにジブチルエーテルで適宜希釈して、塗布液を調製した。
下地層上に調整した塗布液をダイコーターで乾燥後の厚さが100nmとなるように塗布し、80℃で2分間乾燥した。次に、真空紫外線照射装置(エム・ディ・コム社製、エキシマ照射装置MODEL MECL−M−1−200)に波長172nmのXeエキシマランプを用いて、乾燥後の塗膜に2.5mJ/cmの真空紫外線を照射する改質処理を施して、ケイ素含有ポリマー改質層を形成した。真空紫外線の照射時、酸素濃度が0.1体積%の雰囲気となるように、窒素による置換を行った。また、PETフィルムを設置するステージの温度を80℃とし、ステージの搬送速度を0.5m/minとした。
(ケイ素化合物層)
次に、作製したケイ素含有ポリマー改質層上に、厚さ300nmのケイ素化合物(SiO)層を、以下の条件のプラズマCVD法により作製した。
原料ガス(ヘキサメチルジシロキサン:HMDSO)の供給量:50sccm
酸素ガス(O)の供給量:500sccm
真空チャンバー内の真空度:3Pa
プラズマ発生用電源からの印加電力:1.2kW
プラズマ発生用電源の周波数:80kHz
フィルムの搬送速度:0.5m/min
(ケイ素含有ポリマー改質層)
さらに、ケイ素化合物層上に、上記と同様の方法でPHPSを含む塗布液を乾燥後の厚さが300nmとなる厚さで塗布し、乾燥後に紫外線硬化して、ケイ素含有ポリマー改質層を作製した。
[封止基材・粘着剤層]
(封止部材の作製)
上述の方法で作製したバリア層付き基材と同じものを用意し、このバリア層付き基材を封止基材とした。以降は、上述の試料101と同様の方法で、粘着剤層の作製、及び、封止を行い、試料201の有機EL発光装置を作製した。
〈試料202〜試料207の有機EL発光装置の作製〉
上述の試料102〜試料107の有機EL発光装置において、基材及び封止部材を試料201と同様のバリア層付き基材に変更して試料202〜試料207の有機EL発光装置を作製した。
作製した試料201〜試料207の有機EL発光装置の主要な構成を下記表3に示す。
Figure 2018037791
〈評価〉
作製した試料201〜試料207の有機EL発光装置に対し、実施例1と同様の方法で効率、有機EL発光装置の彩度、透過率の角度依存性、及び、電極形成領域と非電極形成領域との彩度の差を評価した。試料201〜試料207の有機EL発光装置の各評価結果を表4に示す。
Figure 2018037791
表4に示すように、基材及び封止基材として、バリア層付き樹脂基板を用いた有機EL発光装置においても、基材及び封止基材としてガラスを用いた上述の実施例1の各有機EL発光装置と、同様の傾向の結果が得られた。従って、基材や封止基材に樹脂フィルムを用いた有機EL発光装置においても、色調整層による彩度低下の効果が有効である。
〈試料301の有機EL発光装置の作製〉
色調整層を以下の方法で作製した以外は、上述の試料203と同様の方法で、試料301の有機EL発光装置を作製した。
(マゼンタ吸収フィルターの作製)
以下の材料を混合し、マゼンタ吸収フィルター作製用のインク組成物を調整した。
・インク組成物
ペンタエリスリトールトリアクリレート:30質量%(紫外線硬化樹脂)
グリセリン:15質量%(塗布溶媒)
トリエチレングリコールモノブチルエーテル:3質量%(塗布溶媒)
サーフィノール465:0.3質量%(界面活性剤)
ピグメントレッド254:0.2質量%(赤色色素)
エチレングリコール:残量(塗布溶媒)
(マゼンタ吸収フィルターの作製)
基材の帯電防止層上に、調整したインク組成物を、スピン塗布装置を用いて塗布した。塗布した後、紫外線露光機にて紫外線を1500mJ照射し、更に80℃にて30分間熱処理を行った。なお、スピン塗布の回転数は、色調整層の波長640nmの透過率が87%となるように調整した。
〈試料302の有機EL発光装置の作製〉
上述の試料106と同様の方法で色調整層を作製した以外は、上述の試料301と同様の方法で、試料302の有機EL発光装置を作製した。
〈試料303、試料304の有機EL発光装置の作製〉
図3に示すように、電極形成領域と色調整層の形成領域との平面配置において、位置ずれが±5%以下となる領域に色調整層を作製した以外は、上述の試料301、試料302と同様の方法で、試料303、試料304の有機EL発光装置を作製した。
〈試料305の有機EL発光装置の作製〉
色調整層の波長640nmの透過率が90%となるようにスピン塗布の回転数を調整した以外は、上述の試料301と同様の方法で試料305の有機EL発光装置を作製した。
〈試料306の有機EL発光装置の作製〉
色調整層の波長430nmの透過率が70%となるようにスピン塗布の回転数を調整した以外は、上述の試料302と同様の方法で試料306の有機EL発光装置を作製した。
〈試料307、試料308の有機EL発光装置の作製〉
図3に示すように、電極形成領域と色調整層の形成領域との平面配置において、位置ずれが±5%以下となる領域に色調整層を作製した以外は、上述の試料305、試料306と同様の方法で、試料307、試料308の有機EL発光装置を作製した。
作製した試料301〜試料308の有機EL発光装置の主要な構成を下記表5に示す。
Figure 2018037791
〈評価〉
作製した試料301〜試料308の有機EL発光装置に対し、実施例1と同様の方法で効率、有機EL発光装置の彩度、透過率の角度依存性、及び、電極形成領域と非電極形成領域との彩度の差を評価した。試料301〜試料308の有機EL発光装置の各評価結果を表6に示す。
Figure 2018037791
表6に示すように、有機EL発光装置の全面に色調整層を形成した試料301、試料302、試料305、試料306に比べ、有機EL発光装置の電極形成領域に対して位置ずれが±5%以下となる領域に色調整層を配置した試料303、試料304、試料307、試料308の方が、電極形成領域と非電極形成領域との彩度の差が小さい。
電極形成領域のみに色調整層を形成することで、透過光の色調が変化しやすく透過光の彩度が大きくなりやすい電極形成領域の彩度が、比較的彩度が小さい非電極形成領域の彩度に近づく。従って、電極形成領域と色調整層を形成する領域とを一致させることで、有機EL発光装置の全面の彩度が小さく、且つ、面内における彩度の差を小さくすることができる。
また、色調整による彩度Cの低下が30%未満(相対値70超)の試料305〜試料308の有機EL発光装置に比べ、色調整層により彩度Cの低下が30%以上(相対値70以下)の試料301〜試料304の有機EL発光装置では、電極形成領域と非電極形成領域との彩度の差が小さい。すなわち、試料301〜試料304の有機EL発光装置のように、全面又は電極形成領域のいずれかに色調整層を作製した場合においても、色調整層によって彩度Cの低下が30%以上(相対値70以下)であれば、電極形成領域とそれ以外の領域との彩度の差を、十分に小さくすることができる。例えば、彩度Cの低下が30%未満(相対値70超)の試料305の有機EL発光装置は、色調整層以外が同じ構成の試料201と、電極形成領域と非電極形成領域との彩度の差が同程度となった。これに対し、彩度Cの低下が30%以上(相対値70以下)の試料301の有機EL発光装置では、色調整層以外が同じ構成の試料201の有機EL発光装置よりも、電極形成領域と非電極形成領域との彩度の差が小さくなった。
下記の方法で、色調整層を配置する積層配置を換えて試料401〜試料410の有機EL発光装置を作製した。色調整層を配置する有機EL発光装置の積層構造を図7に示す。但し、図7では、色調整層を除く各構成の積層構造のみを記載している。図7に示すように、有機EL発光装置は、基材11側から、第1バリア層12、第1電極21、発光ユニット22、第2電極23、光学調整層31、封止層32、粘着剤層14、第2バリア層15、及び、封止基剤16が順に積層されている。試料401〜試料410の有機EL発光装置では、図7に示す各矢印の位置に色調整層を配置した。なお、図7には、試料401〜試料410の有機EL発光装置の色調整層の配置とともに、比較のための試料303、試料304の色調整層の配置も示している。
〈試料401〜試料405の有機EL発光装置の作製〉
色調整層の積層配置を、基材11と第1バリア層12との間(試料401)、第1バリア層12と第1電極21(陽極)との間(試料402)、粘着剤層14と第2バリア層15との間(試料403)、第2バリア層15と封止基材16との間(試料404)、又は、封止基材16上(試料405)とした以外は、上述の試料303と同様の方法で試料401〜試料405の有機EL発光装置を作製した。
〈試料406〜試料410の有機EL発光装置の作製〉
色調整層の積層配置を、基材11と第1バリア層12との間(試料406)、第1バリア層12と第1電極21(陽極)との間(試料407)、粘着剤層14と第2バリア層15との間(試料408)、第2バリア層15と封止基材16との間(試料409)、又は、封止基材16上(試料410)とした以外は、上述の試料304と同様の方法で試料405〜試料410の有機EL発光装置を作製した。
作製した試料401〜試料410の有機EL発光装置の主要な構成と、参照用として試料303及び試料304の主要な構成とを下記表7に示す。
Figure 2018037791
〈評価〉
作製した試料401〜試料410の有機EL発光装置、及び、参照用の試料303、試料304の有機EL発光装置に対し、実施例1と同様の方法で効率、有機EL発光装置の彩度、及び、透過率の角度依存性を評価した。また、下記の方法で、高温高湿評価を行なった。試料401〜試料410の有機EL発光装置の各評価結果を表8に示す。また、参照用の試料303及び試料304の有機EL発光装置の評価結果も合わせて表8に示す。
[高温高湿評価]
作製直後の有機EL発光装置の発光画像を市販のマイクロスコープで撮影し、発光面積を求めてS(0)とした。次に、有機EL発光装置を60℃90%RHの環境に200時間保管し、再び発光画像を市販のマイクロスコープで撮影し、発光面積を求めてS(200)とした。そして、発光面積S(0)とS(200)とから、以下の数式を用いて発光領域の黒化面積%を求めた。
[黒化面積%={S(0)−S(200)}/S(0)]
Figure 2018037791
表8に示すように、同じ構成の色調整層を備えていれば、有機EL発光装置内の積層配置が異なっていても、色調整層の積層位置による彩度の差は小さい。すなわち、有機EL発光装置において、色調整層を積層する位置は限定されず、どの積層位置に配置しても彩度低下の効果が得られる。
但し、色調整層を積層する位置によって、有機EL発光装置の信頼性が影響を受ける。これは、色調整層からの不純物の発生等により、有機EL素子の機能が低下するためと考えられる。具体的には、試料402、試料403、試料407、試料408の有機EL素子のように、バリア層よりも有機EL素子側に色調整層が配置されると、有機EL発光装置の信頼性に悪影響を与える。特に、試料402、試料407の有機EL素子のように、有機EL素子の電極と接する位置に色調整層を配置する構成が、最も有機EL発光装置の信頼性に悪影響を与える。一方、試料403、試料408の有機EL素子のように、色調整層と有機EL素子の間に、窒化ケイ素による封止層を有する構成では、有機EL素子に直接色調整層が接触する試料402、試料407の有機EL素子よりも、信頼性が向上している。
従って、有機EL発光装置の信頼性の観点からは、色調整層と有機EL素子との間に、バリア層や封止層等のバリア性の高い層を設けることが好ましい。特に、試料303、試料401、試料404、試料405、試料304、試料406、試料409、試料410の有機EL発光装置のように、有機EL素子に対してバリア層よりも外側に色調整層を配置することが好ましい。さらに、試料303、試料405、試料304、試料410の有機EL発光装置のように、基材や封止基材よりも外側に色調整層を配置することが好ましい。これらの構成により、信頼性の高い有機EL発光装置が得られる。
〈試料501の有機EL発光装置の作製〉
色調整層と基材との間に、紫外線吸収層として富士フイルム社製の紫外線吸収フィルター「SC−39」を配置した以外は、上述の試料205と同様の方法で、試料501の有機EL発光装置を作製した。
〈試料502の有機EL発光装置の作製〉
色調整層と基材との間に、紫外線吸収層として富士フイルム社製の紫外線吸収フィルター「SC−39」を配置した以外は、上述の試料206と同様の方法で、試料502の有機EL発光装置を作製した。
作製した試料501、試料502の有機EL発光装置の主要な構成と、参照用の試料205、試料206の有機EL発光装置の主要な構成とを下記表9に示す。
Figure 2018037791
〈評価〉
作製した試料501、試料502の有機EL発光装置に対し、実施例1と同様の方法で効率、有機EL発光装置の彩度、及び、透過率の角度依存性を評価した。また、下記の方法で、耐光性評価を行なった。試料501、試料502の有機EL発光装置の各評価結果を表10に示す。また、参照用の試料205、試料206の有機EL発光装置の評価結果も合わせて表10に示す。
[耐光性評価]
スガ試験機社製キセノンウェザーメーターX75SCを用いて、作製した有機EL発光装置の基材側から40W/mの紫外線を100時間照射した。紫外線の照射後、有機EL発光装置に対し、上述の方法で有機EL発光装置の効率、及び、有機EL発光装置の彩度の測定を行った。そして、紫外線の照射前後において、有機EL発光装置の効率及び彩度の比較を行った。
Figure 2018037791
表10に示すように、紫外線吸収層を設けた試料501、試料502の有機EL発光装置は、耐光性試験後の効率及び彩度ともに、紫外線吸収層を備えていない試料205、試料206の有機EL発光装置よりも、評価が高い。従って、有機EL発光装置は、紫外線吸収層を備えることにより、信頼性が向上する。すなわち、紫外線吸収層を設け、有機EL素子を構成する材料や色調整層等の紫外線による変質を抑制することにより、有機EL発光装置の効率や、色調整層の彩度を低下させる効果を、長期間の使用において維持することが可能となる。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
10・・・有機EL発光装置、11・・・基材、12・・・第1バリア層、13・・・色調整層、14・・・接着剤層、15・・・第2バリア層、16・・・封止基材、17・・・紫外線吸収層、20・・・有機EL素子、21・・・第1電極、22・・・発光ユニット、23・・・第2電極、31・・・光学調整層、32・・・封止層

Claims (14)

  1. 基材と、有機エレクトロルミネッセンス素子と、色調整層とを備える有機エレクトロルミネッセンス発光装置であって、
    前記色調整層は、前記有機エレクトロルミネッセンス発光装置の非発光時の透過光の下記式(1)で示される彩度Cを、前記色調整層を除いた構成の前記有機エレクトロルミネッセンス発光装置の非発光時の透過光の前記彩度Cよりも小さくする
    有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
    Figure 2018037791
    [但し、a、bは、CIE1976が規定する色座標である。]
  2. 前記色調整層は、前記有機エレクトロルミネッセンス発光装置の非発光時の透過光の前記彩度Cを、前記色調整層を除いた構成の前記有機エレクトロルミネッセンス発光装置の非発光時の透過光よりも30%以上小さくする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
  3. 前記有機エレクトロルミネッセンス素子の電極形成領域の全面を覆う位置に、前記色調整層が形成されている請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
  4. 前記色調整層の形成領域が、前記電極形成領域と重なる位置に設けられ、前記色調整層の形成領域と、前記電極形成領域との位置ずれが±5%以内である請求項3に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
  5. 前記色調整層が色調整剤として、蛍光材料、及び、光吸収色素から選ばれる1種以上を含む請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
  6. 前記色調整層が誘電体薄膜層を含む請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
  7. 前記基材と前記有機エレクトロルミネッセンス素子との間に、バリア層を備える請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
  8. 前記バリア層の前記有機エレクトロルミネッセンス素子が配置される面と反対側の面に、前記基材と前記色調整層とを備える請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
  9. 前記基材の前記バリア層が配置される面と反対側の面に、前記色調整層を備える請求項7に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
  10. 前記基材の前記有機エレクトロルミネッセンス素子が配置される面と反対側の面に、紫外線吸収層を備える請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
  11. 前記有機エレクトロルミネッセンス素子の前記基材が配置される面と反対側の面に、第2バリア層と、封止基材とを備える請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
  12. 前記第2バリア層の前記有機エレクトロルミネッセンス素子が配置される面と反対側の面に、前記封止基材と前記色調整層とを備える請求項11に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
  13. 前記封止基材の前記第2バリア層が配置される面と反対側の面に、前記色調整層を備える請求項11に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
  14. 前記封止基材の前記有機エレクトロルミネッセンス素子が配置される面と反対側の面に紫外線吸収層を備える請求項11に記載の有機エレクトロルミネッセンス発光装置。
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