JP2017079098A - 光学基板、透明導電部材、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子 - Google Patents

光学基板、透明導電部材、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子 Download PDF

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小林 康伸
Yasunobu Kobayashi
康伸 小林
黒木 孝彰
Takaaki Kuroki
孝彰 黒木
周作 金
Chu-Jak Kin
周作 金
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Abstract

【課題】光り取り出し効率と信頼性の向上が可能な光学基板を提供する。【解決手段】樹脂基材11と、光散乱粒子14とバインダ15とを含む光散乱層13と、光散乱層13上に設けられた凹凸緩和層16とを備え、光散乱粒子14の平均粒子径が200nm以上500nm以下であり、凹凸緩和層16の厚さが2nm以上70nm以下である光学基板10を構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、光取り出し層を有する光学基板、この光学基板を用いた透明導電部材、及び、この透明導電部材を備える有機エレクトロルミネッセンス素子に係わる。
近年、電子デバイス分野では、軽量化及び大型化という要求に加え、長期信頼性や形状の自由度が高いこと、曲面表示が可能であること等の要求が加わり、重くて割れやすく大面積化が困難なガラス基板に代わって透明プラスチック等の樹脂基材が採用され始めている。
また、電子デバイスの一つである有機エレクトロルミネッセンス(electroluminescence:EL)素子においては、発光効率を向上させるために、光散乱層からなる光取り出し層を設ける構成が有効であることも知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2004−319331号公報
しかしながら、光取り出し層を樹脂基材上に形成すると、表面に凹凸ができてしまい、その結果、その上層に有機機能層を有する発光ユニットを形成した際、高温・高湿雰囲気下での保存性の劣化やショート(電気的短絡)が生じやすく、信頼性の低下が問題となっている。
従って、有機EL素子等の電子機器においては、光り取り出し効率と信頼性とを両立することが求められている。本発明は、光り取り出し効率と信頼性の向上が可能な光学基板、透明導電部材、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子を提供するものである。
本発明の光学基板は、樹脂基材と、光散乱粒子とバインダとを含む光散乱層と、光散乱層上に設けられた凹凸緩和層とを備える。そして、光散乱粒子の平均粒子径が200nm以上500nm以下であり、凹凸緩和層の厚さが2nm以上70nm以下である。
また、本発明の透明導電部材は、上記光学基板と、凹凸緩和層上に設けられた導電層とを備える。
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス素子は、上記光学基板と、光学基板の凹凸緩和層上に設けられた透明電極と、透明電極上に設けられた発光ユニットと、発光ユニット上に設けられた対向電極とを備える。
本発明によれば、光り取り出し効率と信頼性の向上が可能な光学基板、透明導電部材、及び、有機エレクトロルミネッセンス素子を提供することができる。
光学基板の構成を示す図である。 透明導電部材の構成を示す図である。 透明導電部材の導電層の表面の状態を写したSEM画像である。 透明導電部材の導電層の表面の状態を写したSEM画像である。 透明導電部材の導電層の表面の状態を写したSEM画像である。 有機エレクトロルミネッセンス素子の構成を示す図である。
以下、本発明を実施するための形態の例を説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.光学基板
2.透明導電部材
3.有機エレクトロルミネッセンス素子
〈1.光学基板〉
以下、光学基板の実施の形態について説明する。
光学基板は、樹脂基材と、この樹脂基材の一方の面に設けられた光散乱層を有する。さらに、光散乱層上に、光散乱層の表面の凹凸を緩和するための凹凸緩和層を有する。光散乱層は、光散乱粒子とバインダとを含んで構成される。光散乱層に含まれる光散乱粒子は、平均粒子径が200nm以上500nm以下である。また、凹凸緩和層の厚さは2nm以上70nm以下である。
光散乱粒子とバインダとから構成される光散乱層は、表面に大きな凹凸面が形成される。これは、光散乱粒子の影響による。光散乱粒子は、光散乱層の表面で大きく凸状に突き出し、光散乱層の凸部となる。一方、光散乱粒子同士の間は、バインダのみが存在するため、光散乱層の表面で大きな凹み(凹部)となる。この光散乱粒子間の大きな凹みを埋め込み、光散乱層の凹凸を緩和することを目的として、凹凸緩和層が設けられている。
凹凸緩和層は、表面を完全に平滑にする必要はない。導電層の形成において不良発生の原因とならない程度に光散乱層に起因する凹凸を緩和できればよい。このため、光散乱層に含まれる光散乱粒子の平均粒子径が200nm以上500nm以下であるのに対し、凹凸緩和層の厚さは2nm以上70nm以下である。
一般的に、上述の大きさの光散乱粒子を用いて光散乱層を形成した場合、光散乱層に起因する凹凸を平滑化するためには、100nm以上(例えば、150nm程度)の厚さの平滑層が必要となる。これに対し、凹凸緩和層は、70nm以下の厚さで形成される。この凹凸緩和層の厚さは、単位面積当たりの平均値である。実際には、凹凸緩和層は、光散乱層の表面で凸部となる光散乱粒子上には薄く形成され、光散乱層の凹部となる光散乱粒子間には厚く形成される。
具体的には、凹凸緩和層の厚さは、単位面積当たりの凹凸緩和層の質量又は体積や、凹凸緩和層の構成材料の密度から算出される値であり、層内のすべてがこの厚さの範囲に入るとは限らない。従って、光散乱粒子間の部分には、凹凸緩和層が上記範囲よりも厚く形成される。また、光散乱粒子上には、凹凸緩和層が範囲よりも薄く形成される。
このように、凹凸緩和層が光散乱粒子間で厚く形成されることにより、光散乱粒子間に形成される凹部の深さが小さくなる。また、光散乱粒子上の凸部では、凹凸緩和層が薄く形成されるため、凹部の深さが小さくなる度合いよりも、凸部の高さの成長は小さい。このため、凹凸緩和層により、光散乱層の表面に形成される凹凸が緩和される。
上述のように、光散乱層の表面に形成される凹凸を緩和できるように凹凸緩和層を形成するためには、凹凸緩和層をウェットプロセスで形成することが好ましい。ウェットプロセスを用いることにより、光散乱層の表面の凹凸に対して、追従性の小さい成膜ができる。また、光散乱粒子間の凹部を塗布膜が埋めやすいため、凹凸緩和に効果的である。
また、光散乱層の凹凸を平滑化するために、平滑化層を100nm以上形成すると、この平滑化層から発生するアウトガス等が、導電層や有機機能層に対して悪影響を及ぼす恐れがある。すなわち、光散乱層の凹凸による導電層や有機機能層への悪影響を抑制するために、平滑性を高めるために厚さを大きくした平滑化層を形成すると、平滑化層から多量のアウトガス等が発生し、電子機器の信頼性を低下させてしまう。
しかしながら、上述の凹凸緩和層のように、形成する厚さが小さければ発生するアウトガス等も少なく、特に、70nm以下の厚さとすれば、電子機器の信頼性に影響を与える程のアウトガス等の発生を抑制することができる。このため、上述の凹凸緩和層であれば、電子機器の信頼性の低下を抑制することができる。また、凹凸緩和層が直接光散乱層上に接して形成され、凹凸緩和層と光散乱層との間に他の層が形成されていなければ、凹凸緩和層以外からのアウトガス等の発生をなくすことができる。このような光散乱層上に直接凹凸緩和層が形成されている場合においても、上述の光散乱粒子による凹凸を緩和することができるため、電子機器等の信頼性を向上させることができる。
また、光学基板は、樹脂基材と光散乱層との間にガスバリア層を備える構成であってもよい。ガスバリア層を備えることにより、この光学基板を用いて有機EL素子等の電子機器を形成した場合に、電子機器の信頼性を向上させることができる。
[光学基板の構成]
図1に、本実施形態の光学基板10の概略構成を示す。図1に示す光学基板10は、樹脂基材11と、ガスバリア層12と、光散乱層13と、光散乱層13上に形成された凹凸緩和層16とが、この順に積層された構成を有する。また、図1に示す光学基板10は、光散乱層13が、光散乱粒子14とバインダ15とから構成されている。
[樹脂基材]
光学基板10に用いられる樹脂基材11としては、例えば、樹脂フィルム等を挙げることができるが、これらに限定されない。好ましく用いられる樹脂基材11としては、透明樹脂フィルムを挙げることができる。
樹脂フィルムとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースナイトレート等のセルロースエステル類又はそれらの誘導体、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエチレンビニルアルコール、シンジオタクティックポリスチレン、ポリカーボネート、ノルボルネン樹脂、ポリメチルペンテン、ポリエーテルケトン、ポリイミド、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリフェニレンスルフィド、ポリスルホン類、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトンイミド、ポリアミド、フッ素樹脂、ナイロン、ポリメチルメタクリレート、アクリルあるいはポリアリレート類、アートン(商品名JSR社製)あるいはアペル(商品名三井化学社製)といったシクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。
[光散乱層]
光散乱層13は、光学基板10を透過する光の極大波長のうち最も短い極大波長において、平均屈折率nsは好ましくは1.5以上2.5未満、より好ましくは1.6以上2.3未満の範囲内であることが好ましい。この場合、光散乱層13は、平均屈折率ns1.5以上2.5未満を有する単独の素材で膜を形成してもよいし、2種類以上の化合物と混合して平均屈折率ns1.5以上2.5未満の膜を形成してもよい。このような混合系の場合、光散乱層13の平均屈折率nsは、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率を用いる。また、この場合、各々の素材の屈折率は、1.5未満又は2.5以上であってもよく、混合した膜の平均屈折率nsとして1.5以上2.5未満を満たしていればよい。
ここで、「平均屈折率ns」とは、単独の素材で形成されている場合は、単独の素材の屈折率であり、混合系の場合は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率である。
バインダ15は、屈折率nbが1.9未満であり、1.6未満であることが特に好ましい。バインダ15の屈折率nbとは、単独の素材で形成されている場合は、単独の素材の屈折率であり、混合系の場合は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率である。
また、光散乱粒子14は、その屈折率npが1.5以上3.0以下であり、1.8以上3.0以下であることが好ましく、2.0以上3.0以下であることが特に好ましい。光散乱粒子14の屈折率npとは、単独の素材で形成されている場合は、単独の素材の屈折率であり、混合系の場合は、各々の素材固有の屈折率に混合比率を乗じた合算値により算出される計算屈折率である。
また、光散乱層13の高屈折率を有する光散乱粒子14の役割として、導波光の散乱機能が挙げられる。導波光の散乱機能の向上には、光散乱粒子14による散乱性を向上させる必要がある。散乱性を向上させるためには、光散乱粒子14とバインダ15との屈折率差を大きくする、層厚を厚くする、及び、粒子密度を大きくする等の方法が考えられる。この中で最も他の性能への悪影響が小さい方法が、無機粒子とバインダ15との屈折率差を大きくすることである。
層媒体であるバインダ15の屈折率nbと、含有される高屈折率を有する光散乱粒子14の屈折率npとの屈折率差|nb−np|は、好ましくは0.2以上であり、特に好ましくは0.3以上である。層媒体と光散乱粒子14との屈折率差|nb−np|が0.03以上であれば、層媒体と光散乱粒子14との界面で散乱効果が発生する。屈折率差|nb−np|が大きいほど、界面での屈折が大きくなり、散乱効果が向上するため好ましい。
具体的には、光散乱層13として、平均屈折率nsが1.6以上2.5未満の範囲内である高屈折材料を用いることが好ましいため、例えば、バインダ15の屈折率nbを1.6より小さくすることが好ましい。さらに、光散乱粒子14の屈折率npを1.8より大きくすることが好ましい。
光散乱層13は、上記のように、層媒体であるバインダ15と光散乱粒子14との屈折率の差により光を拡散させる作用を有する。このため、光散乱粒子14は、他の層への悪影響が少なく、光を散乱する特性が高いことが求められる。
ここで、散乱とは、光散乱層13の単層でのヘイズ値(全光線透過率に対する散乱透過率の割合)が20%以上を示す状態を表す。光散乱層13の単層でのヘイズ値は、より好ましくは25%以上、特に好ましくは30%以上である。ヘイズ値が20%以上であれば、光散乱性(光取り出し効率)を向上させることができる。
光散乱層13の層厚は、散乱を生じるための光路長を確保するためにある程度厚い必要があるが、一方で吸収によるエネルギーロスを生じない程度に薄い必要がある。具体的には、0.1〜2μmの範囲内が好ましく、0.2〜1μmの範囲内がより好ましい。
[光散乱粒子]
光散乱粒子14は、平均粒子径が200〜500nmであることが好ましく、200〜450nmであることがより好ましく、250〜400nm未満であることがさらに好ましい。また、光散乱粒子14は、アスペクト比が、1.3〜5.0であることが好ましく、1.5〜4.0であることがより好ましく、2.0〜3.5であることがさらに好ましい。
光散乱層13においては、例えば、光散乱粒子14の平均粒子径やアスペクト比を調整することにより、散乱性を向上させることができる。具体的には、可視光域のMie散乱を生じさせる領域以上の粒子を用いることが好ましい。
一方、平均粒子径の上限としては、粒子径がより大きい場合、光散乱粒子14を含有した光散乱層13の表面の凹凸を緩和するために、凹凸緩和層16を厚くする必要があり、工程の負荷、凹凸緩和層16による光の吸収の観点で不利となる。
また、光散乱層13に複数の種類の粒子が用いられる場合、上記の光散乱粒子14を除くその他の粒子としては、平均粒子径が100nm〜3μmの範囲内の粒子を少なくとも1種含み、かつ3μm以上の粒子を含まないことが好ましい。特に、200nm〜1μmの範囲内の粒子を少なくとも1種含み、且つ、1μm以上の粒子を含まないことが好ましい。
光散乱粒子の平均粒子径は、電子顕微鏡写真の画像処理により測定することができる。光散乱粒子を倍率10万倍で撮影し、その画像から粒子の長辺の長さを測定する。光散乱粒子100個分の平均をとったものを光散乱粒子の平均粒子径とする。
このような光散乱粒子14としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、有機微粒子であっても、無機微粒子であってもよい。また、高屈折率を有する材料として、国際公開第2009/014707号や米国特許第6608439号明細書等に記載の量子ドットも好適に用いることができる。中でも高屈折率を有する無機微粒子であることが好ましい。
高屈折率を有する有機微粒子としては、例えば、ポリメチルメタクリレートビーズ、アクリル−スチレン共重合体ビーズ、メラミンビーズ、ポリカーボネートビーズ、スチレンビーズ、架橋ポリスチレンビーズ、ポリ塩化ビニルビーズ、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒドビーズ等が挙げられる。
高屈折率を有する無機微粒子としては、例えば、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、スズ、アンチモン等の中から選ばれる少なくとも一つの酸化物からなる無機酸化物粒子が挙げられる。無機酸化物粒子としては、具体的には、ZrO、TiO、BaTiO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITO、SiO、ZrSiO、ゼオライト等が挙げられ、中でも、TiO、BaTiO、ZrO、ZnO、SnOが好ましく、TiOが最も好ましい。また、TiOの中でも、アナターゼ型よりルチル型の方が、触媒活性が低いため光散乱層13や隣接した層の耐候性が高くなり、更に屈折率が高いことから好ましい。
また、これらの光散乱粒子14は、高屈折率の光散乱層13に含有させるために、後述の分散液とした場合の分散性や安定性向上の観点から、表面処理を施して用いるか、あるいは表面処理を施さずに用いるかを選択することができる。
表面処理を行う場合、表面処理の具体的な材料としては、酸化ケイ素や酸化ジルコニウム等の異種無機酸化物、水酸化アルミニウム等の金属水酸化物、オルガノシロキサン、ステアリン酸等の有機酸等が挙げられる。これら表面処理材は、1種を単独で用いてもよく、複数種を組み合わせて用いてもよい。中でも、分散液の安定性の観点から、表面処理材としては、異種無機酸化物及び/又は金属水酸化物が好ましく、金属水酸化物がより好ましい。
無機酸化物粒子が、表面処理材で表面被覆処理されている場合、その被覆量(一般的に、この被覆量は、粒子の質量に対する当該粒子の表面に用いた表面処理材の質量割合で示される。)は、0.01〜99質量%であることが好ましい。当該範囲内とすることで、表面処理による分散性や安定性の向上効果を十分に得ることができ、また、光散乱層13の高屈折率により光取り出し効率を向上させることができる。
上記高屈折率を有する光散乱粒子14は、光散乱層13と隣接する層との界面、例えば、凹凸緩和層16との界面に接触又は近接するように配置されるのが好ましい。これにより、隣接する層内で全反射が起きたときに光散乱層13に染み出してくるエバネッセント光を粒子で散乱させることができ、光取り出し効率が向上する。
光散乱粒子の光散乱層13における含有量は、体積充填率で、1.0〜70%の範囲内であることが好ましく、5.0〜50%の範囲内であることがより好ましい。これにより、光散乱層13と隣接する層との界面において、屈折率の密度に分布を作ることができ、光散乱量を増加させて光取り出し効率を向上させることができる。
光散乱層13の形成方法としては、例えば、層媒体(バインダ)が樹脂材料の場合、媒体となる樹脂材料(ポリマー)溶液(溶媒としては、粒子の溶解しないものを用いる)に上記光散乱粒子14を分散し、樹脂基材11上に塗布することで形成する。
これらの光散乱粒子14は、実際には、多分散粒子であることや規則的に配置することが難しいことから、局部的には回折効果を有するものの、多くは拡散により光の方向を変化させて光取り出し効率を向上させる。
[バインダ]
光散乱層13のバインダ15としては、公知の樹脂が特に制限なく使用可能であり、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、有機無機ハイブリッド構造を有する、シルセスキオキサン、ポリシロキサン、ポリシラザン、ポリシロキサザン、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン)の他、含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーを構成単位とする含フッ素共重合体等が挙げられる。これら樹脂は、2種以上混合して使用することができる。これらの中でも、有機無機ハイブリッド構造を有するものが好ましい。
また、光散乱層13では、特定の雰囲気下で紫外線照射によって、無機材料又は金属の酸化物、窒化物又は酸化窒化物を形成し得る化合物が特に好適に使用される。このような化合物としては、特開平8−112879号公報に記載されている比較的低温で改質処理され得る化合物が好ましい。
具体的には、Si−O−Si結合を有するポリシロキサン(ポリシルセスキオキサンを含む)、Si−N−Si結合を有するポリシラザン、Si−O−Si結合とSi−N−Si結合の両方を含むポリシロキサザン等を挙げることができる。これらは、2種以上を混合して使用することができる。
(ポリシロキサン)
光散乱層13で用いられるポリシロキサンとしては、一般構造単位としてのRSiO1/2、RSiO、RSiO3/2及びSiOを含むことができる。ここで、Rは、水素原子、1〜20の炭素原子を含むアルキル基例えば、メチル、エチル、プロピル等、アリール基例えば、フェニル等、及び不飽和アルキル基例えば、ビニル等からなる群より独立して選択される。特定のポリシロキサン基の例としては、PhSiO3/2、MeSiO3/2、HSiO3/2、MePhSiO、PhSiO、PhViSiO、ViSiO3/2、MeHSiO、MeViSiO、MeSiO、MeSiO1/2等が挙げられる。また、ポリシロキサンの混合物やコポリマーも使用可能である。なお、Viはビニル基を表す。
(ポリシルセスキオキサン)
光散乱層13においては、上述のポリシロキサンの中でもポリシルセスキオキサンを用いることが好ましい。ポリシルセスキオキサンは、シルセスキオキサンを構造単位に含む化合物である。「シルセスキオキサン」とは、RSiO3/2で表される化合物であり、通常、RSiX(Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アラアルキル基(アラルキル基ともいう)等であり、Xは、ハロゲン、アルコキシ基等である)。
ポリシルセスキオキサンの分子配列の形状としては、代表的には無定形構造、ラダー状構造、籠型構造、その部分開裂構造体(籠型構造からケイ素原子が一原子欠けた構造や籠型構造のケイ素−酸素結合が一部切断された構造)等が知られている。
これらのポリシルセスキオキサンの中でも、いわゆる水素シルセスキオキサンポリマーを用いることが好ましい。水素シルセスキオキサンポリマーとしては、HSi(OH)(OR)z/2で表されるヒドリドシロキサンポリマーが挙げられる。各々のRは、有機基又は置換された有機基であり、酸素原子によってケイ素に結合した場合、加水分解性置換基を形成する。x=0〜2、y=0〜2、z=1〜3、x+y+z=3である。Rとしては、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等)、アリール基(例えば、フェニル基等)、アルケニル基(例えば、アリル基、ビニル基等)が挙げられる。これらの樹脂は、完全に縮合され(HSiO3/2、あるいは部分的にのみ加水分解され(すなわち、一部のSi−ORを含む)及び/又は部分的に縮合される(すなわち、一部のSi−OHを含む)ことができる。
(ポリシラザン)
光散乱層13で用いられるポリシラザンとは、ケイ素−窒素結合を持つポリマーで、Si−N、Si−H、N−H等からなるSiO、Si及び両方の中間固溶体SiO(x=0.1〜1.9、y=0.1〜1.3)等の無機前駆体ポリマーである。
光散乱層13に好ましく用いられるポリシラザンとしては、下記一般式(1)で表されるポリシラザンを用いることができる。
式中、R、R及びRは、各々水素原子、アルキル基、アルケニル基、シクロアルキル基、アリール基、アルキルシリル基、アルキルアミノ基又はアルコキシ基を表す。
得られる光散乱層13の膜としての緻密性の観点からは、一般式(1)のR、R及びRの全てが水素原子であるパーヒドロポリシラザン(PHPS)が特に好ましい。パーヒドロポリシラザンは、直鎖構造と6員環及び8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されており、その分子量は、数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算)であり、液体又は固体の物質である。
ポリシラザンは、有機溶媒に溶解した溶液の状態で市販されており、市販品をそのままポリシラザン含有塗布液として使用することができる。ポリシラザン溶液の市販品としては、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製のNN120−20、NAX120−20、NL120−20等が挙げられる。
バインダ15として、電離放射線硬化型樹脂組成物を用いることができるが、電離放射線硬化型樹脂組成物の硬化方法としては、電離放射線硬化型樹脂組成物の通常の硬化方法、すなわち、電子線又は紫外線の照射によって硬化することができる。
例えば、電子線硬化の場合には、コックロフワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される10〜1000keV、好ましくは30〜300keVのエネルギーを有する電子線等が使用され、紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等が利用できる。
(エキシマランプを有する真空紫外線照射装置)
紫外線照射装置としては、例えば、100〜230nmの範囲内で真空紫外線を発する希ガスエキシマランプが挙げられる。
キセノン(Xe)、クリプトン(Kr)、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)等の希ガスの原子は、化学的に結合して分子を作らないため、不活性ガスと呼ばれる。しかし、放電などによりエネルギーを得た希ガスの原子(励起原子)は、他の原子と結合して分子を作ることができる。
例えば、希ガスがXe(キセノン)の場合には、下記反応式で示されるように、励起されたエキシマ分子であるXe が基底状態に遷移するときに、172nmのエキシマ光を発光する。
e+Xe→Xe
Xe+2Xe→Xe +Xe
Xe →Xe+Xe+hν(172nm)
エキシマランプの特徴としては、放射が一つの波長に集中し、必要な光以外がほとんど放射されないので効率が高いことが挙げられる。また、余分な光が放射されないので、対象物の温度を比較的低く保つことができる。さらには、始動・再始動に時間を要さないので、瞬時の点灯点滅が可能である。
エキシマ光を効率よく照射する光源としては、誘電体バリア放電ランプが挙げられる。
誘電体バリア放電ランプの構成としては、電極間に誘電体を介して放電を起こすものであり、一般的には、誘電体からなる放電容器とその外部とに少なくとも一方の電極が配置されていればよい。誘電体バリア放電ランプとして、例えば、石英ガラスで構成された太い管と細い管とからなる二重円筒状の放電容器中にキセノン等の希ガスが封入され、該放電容器の外部に網状の第1の電極を設け、内管の内側に他の電極を設けたものがある。誘電体バリア放電ランプは、電極間に高周波電圧等を加えることによって放電容器内部に誘電体バリア放電を発生させ、該放電により生成されたキセノン等のエキシマ分子が解離する際にエキシマ光を発生させる。
エキシマランプは、光の発生効率が高いため、低い電力の投入で点灯させることが可能である。また、温度上昇の要因となる波長の長い光は発せず、紫外線領域の単一波長でエネルギーを照射するため、照射光自体による照射対象物の温度上昇を抑えられる特徴を持っている。
なお、光散乱層13に隣接する層へ取り込まれた光を、更に光散乱層13へ取り込むためには、光散乱層13のバインダ15と隣接する層との屈折率差が小さいことが好ましい。具体的には、光散乱層13のバインダ15と隣接する層との屈折率差が、0.1以下であることが好ましい。また、隣接する層を構成する材料と光散乱層13に含有されるバインダ15とが、同じ材料であることが好ましい。
[凹凸緩和層]
凹凸緩和層16は、光散乱層13上に設けられ、光散乱層13の表面の凹凸を緩和する。凹凸緩和層16は、光散乱層13の凹凸を緩和できれば、その構成は特に限定されない。凹凸緩和層16は、複数の層から形成されていてもよい。凹凸緩和層16の厚さは、2〜70nmであることが好ましく、より好ましくは5〜60nm、更に好ましくは10〜50nmである。
凹凸緩和層16としては、ウェットプロセスにより形成された樹脂、層媒体となる樹脂(バインダ)に高屈折率ナノ粒子が含まれた高屈折率層を用いることができる。凹凸緩和層16に用いられる樹脂としては、1種類を単独で用いてもよいし、必要に応じて2種類以上を混合して使用してもよい。
凹凸緩和層16に用いられる樹脂、及び、層媒体となる樹脂(バインダ)としては、公知の樹脂が特に制限なく使用可能であり、例えば、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸エステル、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ナイロン(Ny)、芳香族ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、有機無機ハイブリッド構造を有する、シルセスキオキサン、ポリシロキサン、ポリシラザン、ポリシロキサザン、パーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば、(ヘプタデカフルオロ−1,1,2,2−テトラデシル)トリエトキシシラン)の他、含フッ素モノマーと架橋性基付与のためのモノマーを構成単位とする含フッ素共重合体等が挙げられる。これら樹脂は、2種以上混合して使用することができる。これらの中でも、有機無機ハイブリッド構造を有するものが好ましい。
また、凹凸緩和層16には、後述するガスバリア層12に用いられる酸窒化ケイ素化合物や、上述の光散乱層13のバインダ15として用いられる樹脂、下記の親水性樹脂等を用いることができる。
親水性樹脂としては水溶性の樹脂、水分散性の樹脂、コロイド分散樹脂又はそれらの混合物が挙げられる。親水性樹脂としては、アクリル系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリウレタン系、フッ素系等の樹脂が挙げられ、例えば、ポリビニルアルコール、ゼラチン、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、カゼイン、デンプン、寒天、カラギーナン、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリスチレンスルホン酸、セルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシルエチルセルロース、デキストラン、デキストリン、プルラン、水溶性ポリビニルブチラール等のポリマーを挙げることができるが、これらの中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。
(凹凸緩和層の製造方法)
凹凸緩和層16は、上述の材料を含む溶液を用いて塗布法により形成することが好ましい。凹凸緩和層16は、例えば、光散乱層13を形成した後、上述の樹脂と溶媒とを混同した混合液を、フィルターで濾過して凹凸緩和層溶液を得た後、この凹凸緩和層溶液を光散乱層13上に塗布して、乾燥した後、加熱又は紫外線照射等によって効果することにより作製することができる。
[ガスバリア層]
ガスバリア層12は、水蒸気透過度が0.1g/(m・24h)未満である。ガスバリア層12の水蒸気透過度とは、60℃、90%RHの高温高湿下で保存し、特開2005−283561号公報に記載の方法に基づき、金属カルシウムの腐蝕量からセル内に透過した水分量を計算した値である。ガスバリア層12は、水蒸気透過度(60±0.5℃、相対湿度90±2%RH)が0.1g/(m・24h)未満であり、0.01g/(m・24h)以下であることが好ましく、0.001g/(m・24h)以下であることがより好ましい。
ガスバリア層12は、酸窒化ケイ素化合物を含んで構成されることが好ましい。ガスバリア層12に含まれる酸窒化ケイ素化合物としては、例えば、ポリシラザンを酸窒化ケイ素化合物へ変性させることで得られる。ポリシラザンとしては、上述の光散乱層13を構成するバインダ15において説明した、一般式(1)で表されるポリシラザンを用いることができる。
特に、ガスバリア層12の緻密性、及び、ガスバリア性の観点からは、一般式(1)のR、R及びRの全てが水素原子であることが特に好ましい。パーヒドロポリシラザン(PHPS)は、直鎖構造と6員環及び8員環を中心とする環構造が存在した構造と推定されており、その分子量は、数平均分子量(Mn)で約600〜2000程度(ゲルパーミエーションクロマトグラフィによるポリスチレン換算)であり、液体又は固体の物質である。さらに、PHPSの反応生成物としては、PHPSが真空紫外線により改質された生成物であることが好ましい。PHPSの改質に用いられる紫外線照射装置としては、例えば、100〜230nmの範囲内で真空紫外線を発する希ガスエキシマランプが挙げられる。
ポリシラザンの酸窒化ケイ素化合物への変性を促進するために、塗布液にアミン触媒や、Ptアセチルアセトナート等のPt化合物、プロピオン酸Pd等のPd化合物、Rhアセチルアセトナート等のRh化合物等の金属触媒を添加することもできる。特に、アミン触媒を用いることが特に好ましい。具体的なアミン触媒としては、N,N−ジエチルエタノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリエチルアミン、3−モルホリノプロピルアミン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,3−ジアミノプロパン、N,N,N′,N′−テトラメチル−1,6−ジアミノヘキサン等が挙げられる。
ポリシラザンに対するこれら触媒の添加量は、塗布液全体に対して0.1〜10質量%の範囲内であることが好ましく、0.2〜5質量%の範囲内であることがより好ましく、0.5〜2質量%の範囲内であることが更に好ましい。触媒添加量をこの範囲内とすることで、反応の急激な進行による過剰なシラノール形成及び膜密度の低下、膜欠陥の増大のなどを避けることができる。
ガスバリア層12は、上述の各材料を用いて、従来公知の方法により形成することができる。ガスバリア層12の形成方法としては、例えば、以下のウェットプロセス、及び、ドライプロセスを適用することが好ましい。
(ガスバリア層の形成;ウェットプロセス)
ウェットプロセスによるガスバリア層12の形成方法の一例として、ポリシラザンを用いた酸窒化ケイ素化合物の形成方法を説明する。なお、ウェットプロセスによるガスバリア層12の形成は、ポリシラザン以外の材料を用いる場合にも、任意に適用することができる。
ガスバリア層12は、ポリシラザンを含む塗布液を塗布して乾燥した後、真空紫外線を照射することにより形成することができる。
ポリシラザンを含有する塗布液を調製する有機溶媒としては、ポリシラザンと容易に反応してしまうような低級アルコール系や水分を含有するものを用いることは避けることが好ましい。例えば、脂肪族炭化水素、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素等の炭化水素溶媒、ハロゲン化炭化水素溶媒、脂肪族エーテル、脂環式エーテル等のエーテル類が使用でき、具体的には、ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、ソルベッソ、ターベン等の炭化水素、塩化メチレン、トリクロロエタン等のハロゲン炭化水素、ジブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類等がある。これらの有機溶媒は、ポリシラザンの溶解度や溶媒の蒸発速度等の目的にあわせて選択し、複数の有機溶媒を混合して用いてもよい。
ポリシラザンを含有する塗布液中のポリシラザンの濃度は、ガスバリア層の層厚や塗布液のポットライフによっても異なるが、好ましくは0.2〜35質量%程度である。
塗布液を塗布する方法としては、任意の適切な方法が採用され得る。具体例としては、例えば、ロールコート法、フローコート法、インクジェット法、スプレーコート法、プリント法、ディップコート法、流延成膜法、バーコート法、グラビア印刷法等が挙げられる。
塗膜の厚さは、目的に応じて適切に設定され得る。例えば、塗膜の厚さは、50nm〜2μmの範囲内にあることが好ましく、より好ましくは70nm〜1.5μmの範囲にあることがより好ましく、100nm〜1μmの範囲にあることがさらに好ましい。
塗布液を塗布した後は、塗膜を乾燥させる。塗膜を乾燥することによって、塗膜中に含有される有機溶媒を除去する。この際、塗膜に含有される有機溶媒は、すべてを乾燥させてもよいが、一部残存させていてもよい。一部の有機溶媒を残存させる場合であっても、好適なガスバリア層12が得られる。なお、残存する溶媒は後に除去される。
塗膜の乾燥温度は、適用する基材によっても異なるが、50〜200℃であることが好ましい。例えば、ガラス転移温度(Tg)が70℃のポリエチレンテレフタレートフィルムを樹脂基材11として用いる場合には、乾燥温度は、熱による樹脂基材11の変形等を考慮して150℃以下に設定することが好ましい。上記温度は、ホットプレート、オーブン、ファーネスなどを使用することによって設定される。乾燥時間は短時間に設定することが好ましく、例えば、乾燥温度が150℃である場合には30分以内に設定することが好ましい。また、乾燥雰囲気は、大気雰囲気下、窒素雰囲気下、アルゴン雰囲気下、真空雰囲気下、酸素濃度をコントロールした減圧雰囲気下等のいずれの条件であってもよい。
塗布液を塗布して得られた塗膜は、真空紫外線の照射前又は真空紫外線の照射中に水分を除去する工程を含んでいてもよい。水分を除去する方法としては、低湿度環境に、塗膜を保持して除湿する形態が好ましい。低湿度環境における湿度は温度により変化するため、温度と湿度の関係は露点温度の規定により好ましい形態が示される。好ましい露点温度は4℃以下(温度25℃/湿度25%)で、より好ましい露点温度は−5℃以下(温度25℃/湿度10%)である。塗膜を保持維持する時間は適宜設定することが好ましい。具体的には、露点温度は−5℃以下で、維持される時間は1分以上であることが好ましい。なお、露点温度の下限は特に制限されないが、通常、−50℃以上であり、−40℃以上であることが好ましい。改質処理前、又は、改質処理中に水分を除去することによって、シラノールに転化する脱水反応を促進する観点から好ましい形態である。
(ガスバリア層の形成;エキシマ処理)
上記のようにして形成されたケイ素化合物を含む塗膜は、そのままの状態でガスバリア層12とすることができるが、得られた塗膜に対して真空紫外線を照射し、酸窒化ケイ素化合物等への転化反応を行うことによりガスバリア層12を形成することが好ましい。ガスバリア層12では、真空紫外線照射を行うことにより、ガスバリア性が向上するため、真空紫外線照射を行うことが好ましい。
ガスバリア層12は、ポリシラザンを含む層に真空紫外線を照射する工程で、ポリシラザンの少なくとも一部が酸窒化ケイ素化合物へと改質される。エキシマ処理は、上述の光散乱層13と同様の装置や方法を適用することができる。
真空紫外線照射工程において、ポリシラザン層塗膜が受ける塗膜面での該真空紫外線の照度は30〜200mW/cmの範囲内であることが好ましく、50〜160mW/cmの範囲内であることがより好ましい。30mW/cm以上であれば、改質効率が低下する懸念がなく、200mW/cm以下であれば、塗膜にアブレーションを生じず、基材にダメージを与えないため好ましい。
真空紫外線照射は、バッチ処理にも連続処理にも適合可能であり、使用する樹脂基材11の形状によって適宜選定することができる。例えば、バッチ処理の場合には、紫外線発生源を具備した紫外線焼成炉で処理することができる。紫外線焼成炉自体は一般に知られており、例えば、アイグラフィクス株式会社製の紫外線焼成炉を使用することができる。また、対象が長尺フィルム状である場合には、これを搬送させながら紫外線発生源を具備した乾燥ゾーンで連続的に紫外線を照射することができる。紫外線照射に要する時間は、使用する基材やガスバリア層12の組成、濃度にもよるが、一般に0.1秒〜10分であり、好ましくは0.5秒〜3分である。
ポリシラザン層塗膜面における真空紫外線の照射エネルギー量は、200〜10000mJ/cmの範囲内であることが好ましく、500〜5000mJ/cmの範囲内であることがより好ましい。200mJ/cm以上では、改質が十分行え、10000mJ/cm以下では過剰改質にならず、クラック発生や基材の熱変形がない。
真空紫外線源は、100〜230nmの波長の光を発生させる希ガスエキシマランプが好ましく用いられる。好適には、約172nmに最大放射を有するエキシマラジエータ(例えば、Xeエキシマランプ)、約185nmに輝線を有する低圧水銀蒸気ランプ、230nm以下の波長成分を有する中圧及び高圧水銀蒸気ランプ、及び、約222nmに最大放射を有するエキシマランプである。
紫外線照射時の反応には酸素が必要であるが、真空紫外線は酸素による吸収があるため紫外線照射工程での効率が低下しやすいことから、真空紫外線の照射は可能な限り酸素濃度の低い状態で行うことが好ましい。すなわち、真空紫外線照射時の酸素濃度は、10〜10000ppmの範囲内とすることが好ましく、より好ましくは50〜5000ppmの範囲内、更に好ましく100〜4500ppmの範囲内である。
真空紫外線照射時に用いられる、照射雰囲気を満たすガスとしては、乾燥不活性ガスとすることが好ましく、特にコストの観点から乾燥窒素ガスにすることが好ましい。酸素濃度の調整は、照射庫内へ導入する酸素ガス、不活性ガスの流量を計測し、流量比を変えることで調整可能である。
〈2.透明導電部材〉
次に、上述の光学基板を用いた透明導電部材に付いて説明する。本実施形態の透明導電部材は、上述の光学基板に、透明導電層が設けられた構成である。透明導電部材の光学基板は、上述の実施形態の光学基板と同様の構成を適用できる。このため、以下の透明導電部材の説明では、上述の光学基板と同じ構成については、詳細な説明を省略する。
[透明導電部材の構成]
本実施形態の透明導電部材の構成を図2に示す。図2に示すように、透明導電部材20は、上述の光学基板10上に導電層21が設けられた構成である。樹脂基材11から凹凸緩和層16までは、上述の光学基板10と同様の構成である。そして、光学基板10の凹凸緩和層16側の表面に導電層21が形成されている。
透明導電部材20を電子機器等に適用した場合には、導電層21上に電子機器の各構成が形成される。このため、導電層21の表面に大きな凹凸が有ると、導電層21の成膜性の悪化や、導電層21の凸部に電圧が集中することによるリーク電流の増加等により、電子機器の信頼性が低下する。このため、透明導電部材20では、凹凸緩和層16上に導電層21を形成することにより、光散乱層13の光散乱粒子に起因する表面の凹凸を緩和し、導電層21表面での大きな凹凸の発生を抑制する。ただし、導電層21の表面は、完全に平滑化されている必要はなく、電子機器を構成した際に上記の不具合が発生しない程度に凹凸をなだらかにできていればよい。
透明導電部材の具体例として、図3〜5に、透明導電部材の導電層の表面の状態を写したSEM画像を示す。
図3に示すSEM画像は、樹脂基材上に光散乱層を330nm形成し、さらに、平滑化層を330nm、ガスバリア層を50nm、高屈折率層を30nm、及び、導電層としてIZOを300nm形成した、透明導電部材の導電層の表面の状態である。この構成は、従来の一般的な透明導電部材の構成である。この構成では、平滑化層の厚さが330nmであり、光散乱層と同程度の厚さで形成しているため、光散乱粒子に起因する凹凸が完全に平滑化されている。さらに、ガスバリア層や高屈折率層が形成され、導電層も300nmと充分な厚さで形成されているため、導電層の表面が完全に平滑化されている。
一方、図4に示すSEM画像は、樹脂基材上に光散乱層を330nm形成し、この光散乱層上に、直接、導電層としてIZOを300nm形成した、透明導電部材の導電層の表面の状態である。この構成では、光散乱層と導電層との間に何も形成されていないため、導電層を300nmの厚さに形成しても、光散乱粒子に起因する光散乱層の表面の凹凸が緩和されず、導電層の表面にも大きな凹凸があらわれている。特に、光散乱粒子の突起や、光散乱粒子間に発生する深い溝や亀裂が、導電層の表面にも表れている。このような状態の導電層では、電子機器を構成した際に、上述の不具合が発生する。
図5に示すSEM画像は、樹脂基材上に光散乱層を330nm形成し、この光散乱層上に、凹凸緩和層を30nm形成し、さらに、凹凸緩和層上に導電層としてIZOを300nm形成した、透明導電部材の導電層の表面の状態である。この構成では、凹凸緩和層が30nmと光散乱層に比べて非常に薄い場合にも、導電層の表面に大きな凹凸が発生していない。特に、図4に示す導電層の表面状態と比較すると、光散乱粒子の突起や、光散乱粒子間に発生する深い溝が、導電層の表面にあらわれていないことがわかる。すなわち、光散乱層と導電層との間に設けられる層が光散乱層に比べて非常に薄い場合でも、導電層の表面を充分に平坦化できるという、凹凸緩和層による効果が顕著に発生していることがわかる。このような効果は、凹凸緩和層が、光散乱粒子の突起や、光散乱粒子間に発生する深い溝を埋め込むことにより、また、光散乱粒子の突起上では粒子間に比べて薄く形成されていることにより、光散乱層の表面の大きな凹凸を緩和し、導電層の表面をなだらかにするために発生すると考えられる。
[導電層]
導電層21は、透明導電部材20において電気を導通させるための導電性材料を含む層である。導電層21としては、例えば、Au、Ag、Pt、Cu、Rh、Pd、Al、Cr等の金属や、In、CdO、CdIn、CdSnO、TiO、SnO、ZnO、ITO(インジウム・錫酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、IGO(インジウム・ガリウム酸化物)、IWZO(インジウム・タングステン・亜鉛酸化物)、AZO(Alドープ酸化亜鉛)、GZO(Gaドープ酸化亜鉛)、ATO(アンチモン・スズ酸化物)、FTO(Fドープ酸化スズ)、TiN、ZrN、HfN、TiO、VO、CuI、InN、GaN、CuAlO、CuGaO、SrCu、LaB、RuO、Al等の導電性無機化合物層が挙げられる。これら化合物は結晶性でも非結晶性でもよい。また、IDIXO(In−ZnO)等の非晶質で透明導電部材20を作製可能な材料を用いてもよい。また、導電性ポリマーを使用してもよく、例えばポリアセチレン、ポリ(p−フェニレンビニレン)、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリ(p−フェニレンスルフィド)等が挙げられる。導電層21には、これらの導電性材料が1種のみ含まれてもよく、2種以上含まれてもよい。
透明導電部材20において、導電層21としては、厚さを大きくした場合にも、高い透明性を確保できる材料を用いることが好ましい。導電層21の厚さを大きくすることにより、光散乱層13の表面の凹凸を凹凸緩和層16で緩やかにするとともに、導電層21でも光散乱層13の表面の凹凸を緩和することができる。具体的には、導電層21を150nm以上設けることにより、導電層21の表面での凹凸を緩和することができる。導電層21の厚さの定義は、上述の凹凸緩和層16の厚さの定義と同様とする。導電層21の厚さは、150〜500nmとすることが好ましく、より好ましくは200〜450nm、さらに好ましくは250〜400nmの範囲内で選ばれる。
導電層21において、厚さを大きくした場合にも、高い透明性を確保できる材料としては、上述の材料のなかでも金属酸化物を選択することが好ましい。また、導電層21を150nm程度設けると、上述の金属及びITOでは透明性を確保することが困難である。このため、導電層21には、IZO、AZO、GZO、ATO、ZnO、SnO、FTOを用いることが好ましい。
(導電層の形成方法)
導電層21は、いずれの方法で形成された層でもよいが、真空蒸着法又はスパッタ法で形成された層であることが好ましい。真空蒸着法又はスパッタ法であれば、高温環境に樹脂基材11をさらすことがなく、平面性の高い導電層21を、極めて早く形成することができる。
適用可能な蒸着法としては、抵抗加熱蒸着法、電子線蒸着法、イオンプレーティング法、イオンビーム蒸着法等が含まれる。蒸着装置としては、例えば、シンクロン社製のBMC−800T蒸着機等を用いることができる。
スパッタ法には、2極スパッタ法、マグネトロンスパッタ法、DCスパッタ法、DCパルススパッタ法、RF(高周波)スパッタ法、デュアルマグネトロンスパッタ法、反応性スパッタ法、イオンビームスパッタ法、バイアススパッタ法、及び対向ターゲットスパッタ法などの、公知のスパッタ法を適宜用いることができる。具体的な市販のスパッタ装置としては、大阪真空社製のマグネトロンスパッタ装置、ウルバック社の各種スパッタ装置(例えば、マルチチャンバ型スパッタリング装置ENTRONTM−EX W300)やアネルバ社のL−430S−FHSスパッタ装置等を用いることができる。
真空蒸着法又はスパッタ法であれば、平面性の高い導電層21を極めて速い形成速度で形成することができる。また、ガスバリア層12上に導電層21を成膜する際、金属酸化物を用いて導電層21の形成速度は0.3nm/秒以上であることが好ましい。導電層21の形成速度は、0.5〜30nm/秒の範囲内であることがより好ましく、特に好ましくは1.0〜15nm/秒の範囲内である。また、成膜時の温度は、−25〜25℃の範囲内であることが好ましい。成膜開始前の到達真空度は、3×10−3Pa以下が好ましく、7×10−4Pa以下がより好ましい。
〈3.有機エレクトロルミネッセンス素子〉
次に、上述の光学基板を用いた有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)の実施形態について説明する。本実施形態の有機EL素子は、上述の光学基板に、電極(陽極、陰極)及び発光ユニットが設けられた構成である。また、上述の透明導電部材を、光学基板や透明電極として用いて、有機EL素子を構成することができる。このため、以下の有機EL素子の説明では、上述の光学基板、透明導電部材と同じ構成については、詳細な説明を省略する。
[有機EL素子の構成]
本実施形態の有機EL素子の構成を図6に示す。図6に示す有機EL素子30は、光学基板10と、導電層21と対向電極42とからなる1対の電極と、電極間に設けられた発光ユニット43とを備える。光学基板10は、上述の図1と同様の構成であり、導電層21が透明電極として構成される。
ここで、「発光ユニット」とは、少なくとも、各種有機化合物を含有する、発光層43c、正孔輸送層43b、電子輸送層43d等の有機機能層を主体として構成される発光体(単位)をいう。発光体は、陽極と陰極とからなる一対の電極の間に挟持されており、当該陽極から供給される正孔(ホール)と陰極から供給される電子とが当該発光体内で再結合することにより発光する。なお、有機EL素子は、所望の発光色に応じて、当該発光ユニットを複数備えていてもよい
導電層21と対向電極42とで発光ユニット43が挟持されている部分のみが、有機EL素子30における発光領域となる。そして、有機EL素子30は、発生させた光(以下、発光光hと記す)を、少なくとも樹脂基材11側から取り出すボトムエミッション型として構成されている。なお、透明(透光性)とは波長550nmでの光透過率が50%以上であることをいう。主成分とは、構成全体の中で占める割合が最も高い成分である。
導電層21の端部には、取り出し電極44が設けられている。導電層21と外部電源(図示略)とは、取り出し電極44を介して、電気的に接続される。また、導電層21の低抵抗化を図ることを目的とし、導電層21に接して補助電極45が設けられていてもよい。
有機EL素子30の層構造が限定されることはなく、一般的な層構造であってよい。例えば、導電層21がアノード(すなわち陽極)として機能し、対向電極42がカソード(すなわち陰極)として機能する場合、発光ユニット43は、導電層21側から順に正孔注入層43a/正孔輸送層43b/発光層43c/電子輸送層43d/電子注入層43eを積層した構成が例示されるが、このうち、少なくとも有機材料を用いて構成された発光層43cを有することが必須である。正孔注入層43a及び正孔輸送層43bは、正孔輸送注入層として設けられてもよい。電子輸送層43d及び電子注入層43eは、電子輸送注入層として設けられてもよい。また、これらの発光ユニット43のうち、例えば、電子注入層43eは無機材料で構成されていてもよい。
発光ユニット43は、これらの層の他にも正孔阻止層や電子阻止層等が必要に応じて必要箇所に積層されていてもよい。さらに、発光層43cは、各波長領域の発光光を発生させる各色発光層を有し、これらの各色発光層を、非発光性の補助層を介して積層させた構造としてもよい。補助層は、正孔阻止層、電子阻止層として機能してもよい。さらに、カソードである対向電極42も、必要に応じた積層構造であってもよい。
以上のような構成の有機EL素子30は、有機材料等を用いて構成された発光ユニット43の劣化を防止することを目的として、後述する封止部材46で封止されている。この封止部材46は、接着部47を介して光学基板10側に固定されている。ただし、導電層21(取り出し電極44)と対向電極42の端子部分は、互いに絶縁性を保った状態で封止部材46から露出している。
また、有機EL素子30は、少なくとも1層の発光層を含む発光ユニット43を複数積層した、いわゆるタンデム構造の素子であってもよい。タンデム構造の代表的な素子構成としては、例えば、以下の構成を挙げることができる。
陽極/第1発光ユニット/中間コネクタ層/第2発光ユニット/中間コネクタ層/第3発光ユニット/陰極
ここで、上記第1発光ユニット、第2発光ユニット、及び、第3発光ユニットは全て同じであっても、異なっていてもよい。また、二つの発光ユニットが同じであり、残る一つが異なっていてもよい。
複数の発光ユニット43は直接積層されていても、中間コネクタ層を介して積層されていてもよい。
中間コネクタ層は、一般的に中間電極、中間導電層、電荷発生層、電子引抜層、接続層、中間絶縁層とも呼ばれ、陽極側の隣接層に電子を、陰極側の隣接層に正孔を供給する機能を持った層であれば、公知の材料構成を用いることができる。中間コネクタ層に用いられる材料としては、例えば、ITO(インジウム・錫酸化物)、IZO(インジウム・亜鉛酸化物)、ZnO、TiN、ZrN、HfN、TiO、VO、CuI、InN、GaN、CuAlO、CuGaO、SrCu、LaB、RuO、Al、Ag、Ca、Li等の導電性無機化合物層や、Au/Bi等の2層膜や、SnO/Ag/SnO、ZnO/Ag/ZnO、Bi/Au/Bi、TiO/TiN/TiO、TiO/ZrN/TiO等の多層膜、またC60等のフラーレン類、オリゴチオフェン等の導電性有機物層、金属フタロシアニン類、無金属フタロシアニン類、金属ポルフィリン類、無金属ポルフィリン類等の導電性有機化合物層等が挙げられるが、これらに限定されない。
発光ユニット43内の好ましい構成としては、例えば、上記の代表的な素子構成で挙げた構成から、陽極と陰極とを除いたもの等が挙げられるが、これらに限定されない。
タンデム型有機EL素子の具体例としては、例えば、米国特許第6337492号明細書、米国特許第7420203号明細書、米国特許第7473923号明細書、米国特許第6872472号明細書、米国特許第6107734号明細書、米国特許第6337492号明細書、国際公開第2005/009087号、特開2006−228712号公報、特開2006−24791号公報、特開2006−49393号公報、特開2006−49394号公報、特開2006−49396号公報、特開2011−96679号公報、特開2005−340187号公報、特許第4711424号公報、特許第3496681号公報、特許第3884564号公報、特許第4213169号公報、特開2010−192719号公報、特開2009−076929号公報、特開2008−078414号公報、特開2007−059848号公報、特開2003−272860号公報、特開2003−045676号公報、国際公開第2005/094130号等に記載の素子構成や構成材料等が挙げられる。
[電極]
有機EL素子30は、透明導電部材20の導電層21(透明電極)と対向電極42とからなる一対の電極に挟持された発光ユニット43を有する。透明導電部材20の導電層21と対向電極42とは、いずれか一方が有機EL素子30の陽極となり、他方が陰極となる。
また、図6に示す有機EL素子30では、透明導電部材20の導電層21が透明導電材料により構成され、対向電極42が高反射材料により構成されている。なお、有機EL素子30が両面発光型の場合には、対向電極42も透明導電材料により構成される。
[対向電極]
有機EL素子30において、対向電極42を陽極として用いる場合には、仕事関数の大きい(4eV以上)金属、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物を電極物質とするものが好ましく用いられる。陽極を構成可能な電極物質の具体例としては、Au、Ag等の金属、CuI、酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide:ITO)、SnO、ZnO等の導電性透明材料が挙げられる。また、IDIXO(In−ZnO)等非晶質で透明導電膜を作製可能な材料を用いてもよい。
陽極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させ、フォトリソグラフィー法で所望の形状のパターンを形成してもよく、あるいはパターン精度をあまり必要としない場合は(100μm以上程度)、上記電極物質の蒸着やスパッタリング時に所望の形状のマスクを介してパターンを形成してもよい。
有機導電性化合物のように塗布可能な物質を用いる場合には、印刷方式、コーティング方式等湿式成膜法を用いることもできる。陽極側から発光を取り出す場合には、透過率を10%より大きくすることが望ましい。また、陽極としてのシート抵抗は数百Ω/sq.以下が好ましい。膜厚は材料にもよるが、通常10〜1000nmの範囲内、好ましくは10〜200nmの範囲内で選ばれる。
また、有機EL素子30において、対向電極42を陰極として用いる場合には、仕事関数の小さい(4eV以下)金属(電子注入性金属と称する)、合金、電気伝導性化合物及びこれらの混合物が電極物質として用いられる。
陰極は、発光ユニット43に電子を供給する陰極(カソード)として機能する電極膜である。陰極は、これらの電極物質を蒸着やスパッタリング等の方法により薄膜を形成させることにより、作製することができる。
電極物質の具体例としては、ナトリウム、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム、リチウム、マグネシウム/銅混合物、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、インジウム、リチウム/アルミニウム混合物、希土類金属等が挙げられる。
これらの中で、電子注入性及び酸化等に対する耐久性の点から、電子注入性金属とこれより仕事関数の値が大きく安定な金属である第二金属との混合物、例えば、マグネシウム/銀混合物、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム(Al)混合物、リチウム/アルミニウム混合物やアルミニウム等が好適である。
陰極としてのシート抵抗は数百Ω/sq.以下が好ましく、膜厚は通常10nm〜5μmの範囲内、好ましくは50〜200nmの範囲内で選ばれる。また、陰極として上記金属を1〜20nmの膜厚で作製した後に、陽極の説明で挙げた導電性透明材料をその上に作製することで、透明又は半透明の陰極を作製することができ、これを応用することで陽極と陰極の両方が透過性を有する素子を作製することができる。
[取り出し電極]
取り出し電極44は、透明導電部材20の導電層21と外部電源とを電気的に接続するものであって、その材料としては特に限定されるものではなく公知の素材を好適に使用できるが、例えば、3層構造からなるMAM電極(Mo/Al・Nd合金/Mo)等の金属膜を用いることができる。
[有機エレクトロルミネッセンス素子の製造方法]
次に、図6に示す有機EL素子30の製造方法の一例を説明する。
まず、上述の製造方法により、光学基板10、及び、透明導電部材20を作製する。
次に、透明導電部材20上に、正孔注入層、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、電子注入層の順に成膜し、発光ユニット43を形成する。これらの各層の成膜方法としては、スピンコート法、キャスト法、インクジェット法、蒸着法、印刷法等があるが、均質な膜が得られやすく、かつピンホールが生成しにくい等の点から、真空蒸着法又はスピンコート法が特に好ましい。さらに、層ごとに異なる成膜法を適用してもよい。これらの各層の成膜に蒸着法を採用する場合、その蒸着条件は使用する化合物の種類等により異なるが、一般にボート加熱温度50〜450℃、真空度1×10−6〜1×10−2Pa、蒸着速度0.01〜50nm/秒、基板温度−50〜300℃、層厚0.1〜5μmの範囲内で、各条件を適宜選択することが好ましい。
発光ユニット43を形成した後、この上部に対向電極42を、蒸着法やスパッタ法などの適宜の成膜法によって形成する。この際、対向電極42は、発光ユニット43によって透明導電部材20の導電層21に対して絶縁状態を保ちつつ、発光ユニット43の上方から樹脂基材11の周縁に端子部分を引き出した形状にパターン形成する。これにより、有機EL素子30が得られる。また、その後には、有機EL素子30における取り出し電極及び対向電極42の端子部分を露出させた状態で、少なくとも発光ユニット43を覆う封止部材46を設ける。
以上により、透明導電部材20上に所望の有機EL素子30が得られる。このような有機EL素子30の作製においては、1回の真空引きで一貫して発光ユニット43から対向電極42まで作製するのが好ましいが、途中で真空雰囲気から樹脂基材11を取り出して異なる成膜法を施しても構わない。その際、作業を乾燥不活性ガス雰囲気下で行う等の配慮が必要となる。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例において「%」の表示を用いるが、特に断りがない限り「質量%」を表す。
〈試料100の有機EL素子の作製〉
[基材]
(基材準備)
樹脂基材として、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(東レ社製のルミラー(登録商標)U48)を準備した。
(プライマー層の作製)
樹脂基材の易接着面に、JSR株式会社製 UV硬化型有機/無機ハイブリッドハードコート材 OPSTAR Z7501を、塗布、乾燥後の層厚が4μmになるようにワイヤーバーで塗布した後、乾燥条件:80℃、3分で乾燥後、空気雰囲気下、高圧水銀ランプを使用し、硬化条件:1.0J/cmで硬化を行い、プライマー層を作製した。
(ガスバリア層の作製)
次に、減圧押し出し方式のコーターを用いて、基材のプライマー層上に無機前駆体化合物を含有する塗布液を塗布し、乾燥して1層目のガスバリア層を形成した。塗布液は、乾燥層厚が150nmとなるように塗布した。乾燥は、乾燥温度80℃、乾燥時間300秒、乾燥雰囲気の露点5℃の条件で行った。
無機前駆体化合物を含有する塗布液は、無触媒のパーヒドロポリシラザン20質量%ジブチルエーテル溶液(アクアミカNN120−20、AZエレクトロニックマテリアルズ社製)と、アミン触媒を固形分の5質量%含有するパーヒドロポリシラザン20質量%ジブチルエーテル溶液(アクアミカNAX120−20、AZエレクトロニックマテリアルズ社製)とを混合し、さらに、アミン触媒を固形分の1質量%に調整した後、ジブチルエーテルでさらに希釈いて、5質量%ジブチルエーテル溶液として用いた。
乾燥後、基板を25℃まで冷却し、真空紫外線照射装置内で、塗布面に真空紫外線照射による改質処理を行った。真空紫外線照射装置の光源としては、波長172nmの真空紫外線を照射する二重管構造を有するXeエキシマランプを用いた。
なお、塗布、乾燥、改質処理の各工程においては、張力制御機構によって、基板には均一な張力を加えた。
改質処理後、ガスバリア層を形成した基板を、上記と同じ乾燥条件で乾燥した。乾燥後、2回目の改質処理を行って、乾燥後の層厚が150nmのガスバリア層を形成した。
次いで、1層目のガスバリア層と同様にして、1層目のガスバリア層上に2層目のガスバリア層を形成し、多層構造のガスバリア層を有するガスバリアフィルムバリア層基材を得た。
[透明導電部材の作製]
上記ガスバリア層まで形成した樹脂基材(50mm×50mm)を、市販の真空蒸着装置の基板ホルダーに固定し、例示化合物(1−6)をタンタル製抵抗加熱ボートに入れた。これら基板ホルダーと抵抗加熱ボートとを真空蒸着装置の第1真空槽に取り付けた。また、タングステン製の抵抗加熱ボートに銀(Ag)を入れ、第2真空槽内に取り付けた。
次に、第1真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、例示化合物(1−6)の入った抵抗加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度が0.1〜0.2nm/秒の範囲内で基板上に、例示化合物(1−6)からなる透明電極の下地層を作製した。下地層の層厚は50nmとした。
次に、下地層まで作製された基板を、真空状態下にて第2真空槽に移した。第2真空槽を4×10−4Paまで減圧した後、銀の入った抵抗加熱ボートを通電して加熱し、蒸着速度0.1〜0.2nm/秒の範囲内で、下地層上に層厚8nmの銀からなる導電層を作製し、下地層と導電層との積層構造からなる透明電極(陽極)を作製した。
[発光ユニットの作製]
真空蒸着装置内の蒸着用るつぼに、発光ユニットの各層の構成材料をそれぞれ有機EL素子の作製に最適の量で充填した。蒸着用るつぼは、モリブデン、タングステン等の抵抗加熱用材料で作製されたものを用いた。
発光ユニットの各層の構成材料としては、下記化合物α−NPD、BD−1、GD−1、RD−1、H−1、H−2及びE−1を用いた。
最初に、真空度1×10−4Paまで減圧し、化合物α−NPDが充填された蒸着用るつぼを通電して加熱し、0.1nm/秒の蒸着速度で透明電極上に蒸着させ、層厚40nmの正孔注入輸送層を作製した。
同様にして、化合物BD−1及びH−1を、化合物BD−1の濃度が5%になるように0.1nm/秒の蒸着速度で共蒸着させ、層厚15nmの青色を呈する蛍光発光層を作製した。
次に、化合物GD−1、RD−1及びH−2を、化合物GD−1の濃度が17%、化合物RD−1の濃度が0.8%になるように、0.1nm/秒の蒸着速度で共蒸着させ、層厚15nmの黄色を呈するリン光発光層を作製した。
その後、化合物E−1を0.1nm/秒の蒸着速度で蒸着させ、層厚30nmの電子輸送層を作製した。
[対向電極の作製]
さらに、フッ化リチウム(LiF)を層厚1.5nmにて作製し、アルミニウム1nm、銀150nmを蒸着して対向電極(陰極)を作製した。対向電極は、正孔注入輸送層から電子輸送層までの有機機能層によって絶縁された状態で、基板の周縁に端子部分が引き出された形状で作製した。
なお、各層の作製には蒸着マスクを使用し、5cm×5cmの基板のうち、中央に位置する4.5cm×4.5cmの領域を発光領域とし、発光領域の全周に幅0.25cmの非発光領域を設けた。
[封止]
(粘着剤組成物の調製)
ポリイソブチレン系樹脂としてオパノールB50(BASF製、Mw:34万)100質量部、ポリブテン樹脂として日石ポリブテン グレードHV−1900(新日本石油社製、Mw:1900)30質量部、ヒンダードアミン系光安定剤としてTINUVIN765(チバ・ジャパン製、3級のヒンダードアミン基を有する)0.5質量部、ヒンダードフェノール系酸化防止剤としてIRGANOX1010(チバ・ジャパン製、ヒンダードフェノール基のβ位が二つともターシャリーブチル基を有する)0.5質量部、及び環状オレフィン系重合体としてEastotac H−100L Resin(イーストマンケミカル.Co.製)50質量部をトルエンに溶解し、固形分濃度約25質量%の粘着剤組成物を調製した。
(封止用粘着シートの作製)
ガスバリア層として、アルミニウム(Al)が蒸着されたポリエチレンテレフタレートフィルム アルペット12/34(アジアアルミ(株)社製)を用い、調製した上記粘着剤組成物の溶液を乾燥後に作製される粘着剤層の層厚が20μmとなるようにアルミニウム側(ガスバリア層側)に塗工し、120℃で2分間乾燥させて粘着剤層を作製した。次に、作製した粘着剤層面に対して、剥離シートとして、厚さ38μmの剥離処理をしたポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面を貼付して、封止用粘着シートを作製した。
(封止)
上述の方法で作製した封止用粘着シートを、窒素雰囲気下において、剥離シートを除去し、120℃に加熱したホットプレート上で10分間乾燥した後、室温(25℃)まで低下するのを確認してから、陰極を完全に覆う形でラミネートし、90℃で10分加熱した。このようにして試料101の有機EL素子を作製した。
〈試料101の有機EL素子の作製〉
ガスバリア層付基材上に、下記の方法で光散乱層と平滑化層とを設けて光学基板を作製した以外は、上述の試料100と同様の方法で、試料101の光学基板、透明導電部材、有機EL素子を作製した。
[光学基板の作製]
(光散乱層の作製)
屈折率2.4、平均粒径250nmのTiO粒子(テイカ(株)製 JR600A)と樹脂溶液(ラサ工業社製 230La(有機無機ハイブリッド樹脂))との固形分比率を50体積%/50体積%とし、2-プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)と2−メチル−2,4−ペンタンジオール(PD)との溶媒比が、20質量%/40質量%/40質量%である有機溶媒中での固形分濃度が12質量%となるように調製した。
上記の固形分(有効質量成分)に対し、0.4質量%の添加剤(ビックケミージャパン株式会社製 Disperbyk−2096)を加え、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、上記TiO粒子と溶媒及び添加剤を、TiO粒子に対し10%の質量比で混合し、常温(25℃)で冷却しながら、超音波分散機(エスエムテー社製 UH−50)に、マイクロチップステップ(エスエムテー社製 MS−3 3mmφ)の標準条件で10分間分散を加え、TiOの分散液を作製した。
次に、TiO分散液を100rpmで撹拌しながら、樹脂溶液を少量ずつ混合添加し、添加完了後、500rpmまで撹拌速度を上げ、10分間混合した後、疎水性PVDF0.45μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の光散乱層用塗布液を得た。
上記塗布液をインクジェット塗布法にて、樹脂基材上に塗布した後、簡易乾燥(70℃、2分)し、更に、後述する波長制御IRで基材温度80℃未満の出力条件で5分間乾燥処理を実行した。
次に、下記改質処理条件にて硬化反応を促進し、層厚300nmの光散乱層を得た。このようにして、屈折率nが1.8の光散乱層を作製した。
(改質処理装置)
装置:株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL MECL−M−1−200
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
(改質処理条件)
エキシマランプ光強度:130mW/cm(172nm)
試料と光源の距離:2mm
ステージ加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:20.0%
照射エネルギー:8J/cm
(平滑化層の作製)
次に、平滑化層用塗布液として、高屈折率UV硬化型樹脂(東洋インキ(株)社製、リオデュラスTYT82−01、ナノゾル粒子:TiO)を、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)と2−メチル−2,4−ペンタンジオール(PD)との溶媒比が40質量%/60質量%である有機溶媒中での固形分濃度が12質量%となるように、10ml量の比率で処方設計した。
具体的には、上記高屈折率UV硬化型樹脂と溶媒を混合し、500rpmで1分間混合した後、疎水性PVDF 0.2μmフィルター(ワットマン社製)にて濾過し、目的の平滑化層用塗布液を得た。
上記塗布液をインクジェット塗布法にて、光散乱層上に塗布した後、簡易乾燥(70℃、2分)し、更に波長制御IRで基材温度80℃未満の出力条件で5分間乾燥処理を実行した。
乾燥処理は、波長制御赤外線ヒータによる輻射伝熱乾燥(IR照射装置(アルティメットヒーター/カーボン、明々工業株式会社製)に、波長3.5μm以上の赤外線を吸収する石英ガラス板2枚を取り付け、ガラス板間に冷却空気を流す)により行った。
この際、冷却風は200L/minとし、管面石英ガラス温度は120℃未満に抑えた。基材温度は、K熱電対を、基板上下面及び基板上面から5mmの部分にそれぞれ配置し、NR2000(キーエンス社製)に接続して測定した。
次に、下記改質処理条件にて硬化反応を促進し、層厚300nmの平滑化層を作製し、光散乱層及び平滑化層の2層構造からなる光散乱層(IES)を作製した。
(改質処理装置)
装置:株式会社 エム・ディ・コム製エキシマ照射装置MODEL MECL−M−1
−200
照射波長:172nm
ランプ封入ガス:Xe
(改質処理条件)
エキシマランプ光強度:130mW/cm(172nm)
試料と光源の距離:2mm
ステージ加熱温度:70℃
照射装置内の酸素濃度:20.0%
照射エネルギー:0.25J/cm
〈試料102の有機EL素子の作製〉
光散乱粒子を平均粒径180nmのTiO粒子(テイカ(株)製 JA−1)に変更し、平滑化層の替わりに厚さ30nmの凹凸緩和層を形成した以外は、上述の試料101と同様の方法で、試料102の光学基板、透明導電部材、有機EL素子を作製した。なお、凹凸緩和層の作製方法は、厚さを30nmに変更した以外は、上述の試料101の平滑化層と同様に作製した。
〈試料103の有機EL素子の作製〉
光散乱粒子を平均粒径600nmのTiO粒子(富士チタン工業(株)製 TA−200)に変更した以外は、上述の試料102と同様の方法で、試料103の光学基板、透明導電部材、有機EL素子を作製した。
〈試料104の有機EL素子の作製〉
平滑化層の替わりに厚さ30nmの凹凸緩和層を形成した以外は、上述の試料101と同様の方法で、試料104の光学基板、透明導電部材、有機EL素子を作製した。なお、凹凸緩和層の作製方法は、厚さを30nmに変更した以外は、上述の試料101の平滑化層と同様に作製した。
〈試料105の有機EL素子の作製〉
凹凸緩和層の厚さを60nmに変更した以外は、上述の試料104と同様の方法で、試料105の光学基板、透明導電部材、有機EL素子を作製した。
〈試料106の有機EL素子の作製〉
凹凸緩和層の厚さを100nmに変更した以外は、上述の試料104と同様の方法で、試料106の光学基板、透明導電部材、有機EL素子を作製した。
〈試料107の有機EL素子の作製〉
凹凸緩和層の厚さを10nmに変更し、下記の方法によりITOを用いて150nmの厚さで透明電極を形成した以外は、上述の試料104と同様の方法で、試料107の光学基板、透明導電部材、有機EL素子を作製した。
[透明電極(ITO)の作製]
平滑化層を形成した樹脂基材(50mm×50mm)を、ITOターゲットを装着した市販の平行平板スパッタリング装置に移し、スパッタリング装置のチャンバー内を5×10−3Paまで減圧した後、窒素ガスと酸素ガスを流しながら、DC出力500Wで放電し、成膜速度10nm/秒で、膜厚150nmのITOの透明電極(陽極)を作製した。
〈試料108の有機EL素子の作製〉
凹凸緩和層の厚さを30nmに変更した以外は、上述の試料107と同様の方法で、試料108の光学基板、透明導電部材、有機EL素子を作製した。
〈試料109の有機EL素子の作製〉
凹凸緩和層の厚さを100nmに変更した以外は、上述の試料107と同様の方法で、試料109の光学基板、透明導電部材、有機EL素子を作製した。
〈試料110の有機EL素子の作製〉
下記の方法によりIZOを用いて300nmの厚さで透明電極を形成した以外は、上述の試料104と同様の方法で、試料110の光学基板、透明導電部材、有機EL素子を作製した。
[透明電極(IZO)の作製]
平滑化層を形成した樹脂基材(50mm×50mm)を、IZOターゲットを装着した市販の平行平板スパッタリング装置に移し、スパッタリング装置のチャンバー内を5×10−3Paまで減圧した後、窒素ガスと酸素ガスを流しながら、DC出力500Wで放電し、成膜速度10nm/秒で、膜厚300nmのIZOの透明電極(陽極)を作製した。
〈試料111の有機EL素子の作製〉
IZOからなる透明電極の厚さを600nmに変更した以外は、上述の試料107と同様の方法で、試料111の光学基板、透明導電部材、有機EL素子を作製した。
〈評価方法〉
作製した試料100〜111の有機EL素子について、下記のように素子特性の評価を行った。各試料の評価結果を表1に示す。
[発光効率]
(全光束)
作製した各試料に対し、積分球を用いて一定電流における光束を測定した。具体的には、20A/mの定電流密度で全光束を測定し、試料100に対しての相対値として求めた。そして、相対値を下記のランクで表し、ランク3以上のものを合格とした。
ランク4: 相対値が1.4倍以上
ランク3: 相対値が1.3倍以上、1.4倍未満
ランク2: 相対値が1.2倍以上、1.3倍未満
ランク1: 相対値が1.2倍未満
[長期保存性]
85℃(dry)の恒温槽に各試料を投入し、24時間ごとに上記発光効率評価と同様の定電流密度における保存前と保存後との電圧上昇率を評価した。評価開始時より電圧上昇が1.0Vを超えた素子、又は、0.5mm以上のダークスポットが発生した素子を不可とし、不可となる期間(日数)までを保存性と定義した。試料100に対しての相対値として求めた。相対値を下記のランクで表し、ランク3以上のものを合格とした。
ランク3: 相対値が試料100と同等以上
ランク2: 相対値が0.5倍以上、1.0倍未満
ランク1: 相対値が0.5倍未満
[寿命]
作製した各試料に対し、室温(25℃)で、15mA/cmの定電流密度条件下による点灯を行い、分光放射輝度計CS−2000(コニカミノルタ社製)を用いて各試料の有機EL素子の発光輝度を測定した。開始直後の正面輝度を100%とし、初期輝度から70%まで低下した時(LT70)を寿命とした。下記に示す計算式で寿命を算出した。
(1000カンデラ相当の寿命換算式)
寿命(時間)=t×(x/1000)1.6
t:定電流で初期輝度を100%としたとき、70%に低下したときまでの時間
x:正面輝度(カンデラ)
試料100の有機EL素子の寿命を100とする相対値として求め、相対値を下記のランクで表し、ランク3以上のものを合格とした。
ランク3: 相対値が試料100と同等以上
ランク2: 相対値が0.5倍以上、1.0倍未満
ランク1: 相対値が0.5倍未満
表1に、各試料の有機EL素子の層構成、並びに、発光効率、耐光性、長期保存性、及び、寿命の評価結果を示す。
表1に示すように、試料102は、他の試料より発光効率が低い結果となった。これは、試料102の光散乱粒子の平均粒子径が180nmと小さいため、光散乱能が弱くなり、外へ出る光が減少したためと考えられる。
また、試料103は長期保存性と寿命が低くなっている。これは、光散乱粒子の平均粒径が600nmと大きいために光散乱層の表面が荒れてしまい、電極のAgがひび割れなどを起こして有機層(発光ユニット)に対して悪影響を及ぼしたためと考えられる。
試料101は、他の試料よりも長期保存性、及び、寿命が低い結果となった。これは、試料101の平滑化層が300nmの厚さで形成されているため、この平滑化層からのアウトガス等が多く発生し、有機EL素子の有機層(発光ユニット)に対して悪影響を及ぼしたためと考えられる。
これに対し、試料102、104、105、107、108、110、111は、凹凸緩和層の厚さが30nm又は100nmと薄いため、有機EL素子の有機層(発光ユニット)に対して悪影響を及ぼすアウトガス等の発生がほとんど無く、長期保存性、及び、寿命が良好となっている。
また、凹凸緩和層の厚さを100nmとした試料106、109は、長期保存性が他の試料よりも悪化している。さらに、試料106、109では、発光効率も他の試料よりも低い。これは、凹凸緩和層の厚さに依存して有機EL素子の有機層(発光ユニット)に対する悪影響があること、及び、凹凸緩和層が厚すぎると光の取りだしが阻害されるためと考えられる。従って、この結果から凹凸緩和層の厚さを小さくすることが、発光効率、長期保存性、及び、寿命において、効果的であることがわかる。
さらに、透明電極としてITOを用いた場合では、150nm程度の厚さが限界であり、これ以上の厚さでは、ITOの透明性の低さに依存して発光効率が低下する。一方、IZOでは、300nm程度の厚さでも発光効率を向上させることができている。このため、透明電極としては、上述の銀等の金属薄膜よりも、金属酸化物を用いた方が、有機EL素子の発光効率が向上する。また、透明性の低いITOよりも、IZO等の透明性の高い金属酸化物を用いることが好ましい。しかし、IZOであっても、試料111のように600nm程度まで厚く形成すると発光効率が低下している。この結果から、IZO等の透明性の高い金属酸化物の場合には、厚さを500nm程度までとすることが、有機EL素子の発光効率の点で好ましいことがわかる。
なお、本発明は上述の実施形態例において説明した構成に限定されるものではなく、その他本発明構成を逸脱しない範囲において種々の変形、変更が可能である。
10 光学基板、11 樹脂基材、12 ガスバリア層、13 光散乱層、14 光散乱粒子、15 バインダ、16 凹凸緩和層、20 透明導電部材、21 導電層、30 有機EL素子、42 対向電極、43 発光ユニット、43a 正孔注入層、43b 正孔輸送層、43c 発光層、43d 電子輸送層、43e 電子注入層、 44取り出し電極、45 補助電極、46 封止部材、 47接着部

Claims (7)

  1. 樹脂基材と、
    光散乱粒子とバインダとを含む光散乱層と、
    前記光散乱層上に設けられた凹凸緩和層と、を備え、
    前記光散乱粒子の平均粒子径が200nm以上500nm以下であり、
    前記凹凸緩和層の厚さが2nm以上70nm以下である
    光学基板。
  2. 前記凹凸緩和層が、前記光散乱層に接して形成されている請求項1に記載の光学基板。
  3. 前記樹脂基材と前記光散乱層との間に、ガスバリア層を備える請求項1に記載の光学基板。
  4. 樹脂基材と、
    光散乱粒子とバインダとを含む光散乱層と、
    前記光散乱層上に設けられた凹凸緩和層と、
    前記凹凸緩和層上に設けられた導電層と、を備え、
    前記光散乱粒子の平均粒子径が200nm以上500nm以下であり、
    前記凹凸緩和層の厚さが2nm以上70nm以下である
    透明導電部材。
  5. 前記導電層が、金属酸化物である請求項4に記載の透明導電部材。
  6. 前記導電層が前記金属酸化物として、IZO、AZO、GZO、ATO、ZnO、SnO、及び、FTOから選ばれる1種以上を含む請求項5に記載の透明導電部材。
  7. 樹脂基材と、光散乱粒子とバインダとを含む光散乱層と、前記光散乱層上に設けられた凹凸緩和層とを有する光学基板と、
    前記光学基板の前記凹凸緩和層上に設けられた透明電極と、
    前記透明電極上に設けられた発光ユニットと、
    前記発光ユニット上に設けられた対向電極と、を備え、
    前記光散乱粒子の平均粒子径が200nm以上500nm以下であり、
    前記凹凸緩和層の厚さが2nm以上70nm以下である
    有機エレクトロルミネッセンス素子。
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