JP2014059474A - 保護フィルム及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明の保護フィルムは、携帯機器の表示画面に貼着する保護フィルムであり、基材と、この基材に印刷により形成され、色補整を行う着色層と、基材を表示画面に貼着する粘着層とを有する。
【選択図】図2
Description
この大面積化に伴い、スマートフォンの表示画面による低消費電力化などと同時に画像を鮮明に表示する場合があり、液晶ディスプレイに加え、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイが採用されるようになってきている。
このため、一般的な液晶ディスプレイに比較して、表示される画像の色が不自然に観察されるため、特に白色点(白色表示)に色味が目立つため、表示画像における色の補整(色補整)を行うことが望ましい。
色補整としては、白色LED(Light Emitting Diode)の白色光の色度の色補整フィルターが知られている(例えば、特許文献1参照)。
このため、この色補整フィルターは、アクリルモノマーに対して着色材料を混合し、接着剤または粘着剤を兼ねた貼着層として構成されている。すなわち、この色補整フィルターは、バックライトにおける導光板に対して拡散板を貼着する貼着層として構成されている。この粘着層をバックライトの導光板に塗布し、粘着層に対して拡散板を装着した後、粘着層のアクリルモノマーを乾燥させることで硬化させ、粘着層を色補整フィルターとする。この粘着層の乾燥において、アクリルモノマーに混入されている溶剤を気化させて乾燥させるため熱風乾燥機を用い、また乾燥させたアクリルモノマーを硬化するためEB(Electron Beam;電子線)照射装置が用いられる。
また、色補整フィルターの粘着層をフィルムに形成する際、一般的に用いられているPETフィルムを用いた場合、EB照射によりPETフィルムが劣化し、作製した補整フィルターの使用可能な期間が短くなる。
前記基材に印刷により形成され、色補整を行う着色層と、前記基材を前記表示画面に貼着する粘着層とを有することを特徴とする。
前記粘着層上面に対し、前記携帯機器の表示画面に前記基材を貼着する粘着層を形成する過程とを含むことを特徴とする。
図1は、Yxy表色系で表した白色点(白色表示)の色味(色の濃淡や色度ずれの具合)を示す色度図である。図1は横軸がYxy表色系における色度座標xの数値を示し、縦軸がYxy表色系における色度座標yの数値を示している。この図1において、○はカラーマネージメントモニタにより表示される白色点(R(Red)=255,G(Green)=255,B(Blue)=255;RGB各々の原色の階調度が256の場合)の色相(以下、色相○という)を示し、□は補整対象のスマートフォンの表示画面における表示画像の白色点の色相(以下、色相□という)を示し、△は他のスマートフォンの表示画面における表示画像の白色点の色相(以下、色相△という)を示している。ここで、色相□は、色相○及び色相△に対して青味のある色味を有している(本来の白色点の色相に対して青色の色相側にずれている)。本発明の本実施形態においては、補整対象の色味のある白色点の色相□を、より本来のカラーマネージメントモニタに表示される白色点の色相○(補整目標)に近づけるために用いる、上述した着色層を有する保護フィルムを提供する。
この図2(a)において、保護フィルム1は、基材11、着色層12、粘着層13及びUV(ultraviolet)吸収層14を有している。
着色層12は、基材11に対してグラビア(凹版)印刷により形成された層であり、補整対象の表示画像の色味に対する反対色の色(単色あるいは単色を混合させた混色)に着色された裏刷り溶剤型グラビアインキ(以下、単にグラビアインキとする)で形成されている。
粘着層13は、保護フィルム1を携帯機器の表示画面に粘着させるための粘着剤の層である。この粘着剤は、複数回の装着及び脱着を繰り返して行うことができる材料が用いられている。
UV吸収層14は、紫外線を吸収して基材11の変色を抑制するものであり、例えば、紫外線を一旦吸収し、それを熱エネルギーに変える化学的な性質を有する材料で形成されている。
このため、表示画面2Aに接する粘着層13が保護フィルム1の下面と定義すると、UV吸収層14が保護フィルム1の上面となる。すなわち、UV吸収層14は、基材11の上面方向の面(表面)に形成され、方向Qから入射する光に含まれるUVの波長の帯域の光を吸収し、基材11にUVの到達する量を低減させ、基材1の黄変を抑制させることができる。
上述した理由から、本実施形態においては、方向Qから見て基材11の下面に、着色層12が裏刷りとしてグラビア印刷により形成している。
色番号MG−2033は、版深が18μmであり、L=81.4、a=22.4、b=−0.7である。
色番号MG−2037は、版深が30μmであり、L=79.5、a=23.8、b=7.3である。
色番号MG−2044は、版深が30μmであり、L=79.8、a=21.0、b=16.5である。
上述した色見本のフィルムの色相は、色見本のフィルムをアート紙(鉱物性の白色顔料と接着剤などを混ぜた塗料を塗り、光沢機にかけて滑らかで緻密な紙面にした洋紙)に重ねて、X−Rite社のEye−One(登録商標)により測定(D65、2度視野、Emissionモード)した。補整目標としては、すでに説明した白色点の色相○として、x=0.3131、y=0.3294(Y=80.7)とした。
色番号MG−2037の場合のシフト後のxy値はx=0.3130、y=0.3320であり、補整目標との差はΔx=0.000であり、Δy=0.003である。
色番号MG−2044の場合のシフト後のxy値はx=0.3186、y=0.3321であり、補整目標との差はΔx=0.006であり、Δy=0.013である。
これにより、図3の結果から3個の色番号の中において、色番号MG−02037の色見本のフィルムの色相が、白色点における色相□の色相を、最も補整対象の色相○の色相に近づけるための補整に適していることが判る。
また、色度x及び色度yに関しては、RGBが最大階調(階調度256の場合)であるため、ほとんど変化は無い。
したがって、この色番号MG−2037の色見本のフィルムの補整において、白色点の色味の補整が効果的に行われ、一方、RGBの表示に対しては影響をあまり与えないため、補整対象の色味の補整に適していることが判る。
補整目標の色度座標xは、グレー数値が64、96、127、160、192及び224の各々において、それぞれ0.3167、0.3160、0.3140、0.3133、0.3136、0.3146である。
上述したように、補整前の各グレー数値による色度座標xから、色番号MG−2037の色見本のフィルムによる補整により、補整目標に近づいていることが判る。また、明度Y及び色度座標yに関してはほとんど変化は無い。
図6から判るように、白色点(R=255、G=255、B=255)、単色の最大階調(最外郭;R=255、G=0、B=0/R=0、G=255、B=0/R=0、G=0、B=255)の各々、6段階のニュートラルグレー(グレー数値)の各々における、明度Yの差ΔY、色度座標xの差Δx、色度座標yの差Δyのそれぞれが、ほぼ色味の補整前に比較して、補整目標の色相と補整後の色相との数値が小さくなっているか同一である。
これにより、補整後の色相と表示画像の色相の基本となる補整目標との色相の差の絶対値の合計が、補整前の色相と補整目標の色相の差の絶対値の合計に比較して小さくなっているため、色番号MG−2037の色見本フィルムによって、表示画像の色味の補整が効果的に行われていることが判る。
本実施形態によれば、表示画面の色味に合わせ、この補整する色味の色相に対して反対色となる色相の着色層12を形成することにより、効果的に表示画面の表示画像の色味の補整を行うことが可能な保護フィルムを構成することができる。
また、本実施形態は、アクリルモノマーを使用していないため、EB照射による硬化の処理が必要なく、アクリル重合に伴う体積収縮もない。このため、フィルムの柔軟性が低下することなく、かつ体積収縮による応力による基材の変形もなく、画像表面に対して容易に装着することができる。
したがって、本実施形態によれば、携帯機器の種類毎に保護フィルム作成されているため、この保護フィルムに携帯機器の画像の表示特性に対応した色味の補整機能を持たせることができ、ユーザが保護フィルムを装着することにより、自然に色味の補整が行え、ユーザの利便性を向上することができる。
本実施形態においては、このように基材11に対してインキ102をグラビア印刷することで、着色層12を基材11に対して形成する。
・インキ
ユニビア(登録商標)NTR634透明赤(A)K1=15.7%
ユニビア(登録商標)NTR2007金赤K1=5.9%
ユニビア(登録商標)NTR4004黄K1=2.3%
ユニビア(登録商標)NT透明メジューム=76.1%
更に、混合した調整インキをメチルエチルケトン、酢酸エチルおよびイソプロピルアルコールの混合溶剤(重量比40:40:20)にてザーンカップ#3(離合社製)で16秒(25℃)に調整し、版深25μmグラビア版を備えたグラビア印刷機又は校正機によりコロナ処理ポリエステルフィルム(PET 厚さ75μm)に印刷して40〜50℃で乾燥し、裏刷りによる着色保護フィルムを得る。
作製される保護フィルムの色相が、上記制御範囲に入るように、調製するインキの種類及び混合の比率を調整を繰り返して行う。
また、上述の測定は、作製した保護フィルムをアート紙に重ねて、X−Rite社のEye−One(登録商標)により測定(D65、2度視野、Emissionモード)した。
作製した保護フィルム1を携帯機器の表示画面(有機ELディスプレイ)に重ね合わせる。この段階においては、保護フィルム1に対して粘着層13が形成されておらず、表示画面と保護フィルム1との間に空気が混入しないように水を挟み、水の表面張力により、表示画面に対して保護フィルム1を装着する。
そして、携帯機器に対して表示画面に白色(R=255、G=255、B=255)を表示させ、X−Rite社のEye−One(登録商標)により、分光放射強度を測定(D65、2度視野、Emissionモード)して、この分光放射強度として測定データを得る。すなわち、図3のテーブルの表示画像における白色点の色相を求めるための測定データを得る。
そして、評価対象の白色点、RGBの各々の単色、及び6種類のグレー数値の各々の色相と、補整目標の色相との差を求める。
この求めた差の合計と予め設定した判定閾値との比較を行い、差の合計が判定閾値以下となった場合、評価対象の保護フィルムを良品とし、一方、差の合計が判定閾値を超えた場合、評価対象の保護フィルムを不良品と判定する。ここで用いる判定閾値は、複数の人間が補整対象の携帯機器の表示画面に表示される白色点の表示画像を鑑賞した際、色味が視認できないとする差を実験により求め、この数値を判定閾値として設定する。したがって、携帯機器ごとに補整する色味が異なり、携帯機器ごとに個々の色味に対応する保護フィルムを作製するため、携帯機器毎に上述した判定閾値を求める実験を行い、携帯機器毎の判定閾値を求める。
この図8は、すでに説明した色相□と、この色相□を補整目標の色相○に補整する反対色との対応を示している。この図8において、補整対象の色相□の色相をYxy表色系からLab表色系に変換して、補整対象の色相□とし、この色相□に対する反対色の色相を◇で示している。色相□は色味として青味寄りであるため、反対色の色相◇としては色味として赤味寄りの色相となり、この色相◇の保護フィルムを色相□の白色点の表示画像に重ねた場合、色相△となり、図1における補整目標の色相○(a=0.01、b=0.19)に近づく。
この図9は、白色点の色相(a=0.01、b=0.19)に対して色味を有する色相□と、この色相□を補整目標の色相に補整する反対色との対応を示している。この図9において、補整対象の色相□の色相をYxy表色系からLab表色系に変換して、補整対象の色相□とし、この色相□に対する反対色の色相を◇で示している。色相□は色味として赤味寄りであるため、反対色の色相◇としては色味として薄水色の色味寄りの色相となり、この色相◇の保護フィルムを色相□の白色点の表示画像に重ねた場合、色相△となり、補整目標の色相(a=0.01、b=0.19)に近づく。
この図10は、白色点の色相(a=0.01、b=0.19)に対して色味を有する色相□と、この色相□を補整目標の色相に補整する反対色との対応を示している。この図10において、補整対象の色相□の色相をYxy表色系からLab表色系に変換して、補整対象の色相□とし、この色相□に対する反対色の色相を◇で示している。色相□は色味として緑色の色味寄りであるため、反対色の色相◇としては色味として薄紅色の色味寄りの色相となり、この色相◇の保護フィルムを色相□の白色点の表示画像に重ねた場合、色相△となり、補整目標の色相(a=b=0)に近づく。
この図11は、白色点の色相(a=0.01、b=0.19)に対して色味を有する色相□と、この色相□を補整目標の色相に補整する反対色との対応を示している。この図11において、補整対象の色相□の色相をYxy表色系からLab表色系に変換して、補整対象の色相□とし、この色相□に対する反対色の色相を◇で示している。色相□は色味として青味寄りであるため、反対色の色相◇としては色味として薄黄色の色味寄りの色相となり、この色相◇の保護フィルムを色相□の白色点の表示画像に重ねた場合、色相△となり、補整目標の色相(a=0.01、b=0.19)に近づく。
2…携帯機器
2A…表示画面
11…基材
12…着色層
13…粘着層
14…UV吸収層
101…版銅
102…インキ
103…ドクター刃
104…フィルム
105…圧銅
Claims (6)
- 携帯機器の表示画面に貼着する保護フィルムであり、
基材と
前記基材に印刷により形成され、色補整を行う着色層と、
前記基材を前記表示画面に貼着する粘着層と
を有することを特徴とする保護フィルム。 - 前記着色層が前記基材と前記粘着層との間に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の保護フィルム。 - 前記基材の着色層が形成された面と対向する面に紫外線を吸収する紫外線吸収層が設けられている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の保護フィルム。 - 前記着色層が、
前記表示画面に表示される表示色の内、補整する色味の反対色に着色されている
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の保護フィルム。 - 前記着色層が所定の版深の厚さによるグラビア印刷で前記基材に形成されている
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の保護フィルム。 - 携帯機器の表示画面に貼着する保護フィルムの製造方法であり、
基材の一方の面に対してグラビア印刷により、着色層を形成する過程と、
前記粘着層上面に対し、前記携帯機器の表示画面に前記基材を貼着する粘着層を形成する過程と
を含むことを特徴とする保護フィルムの製造方法。
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