JPWO2018034299A1 - チップの製造方法および積層体 - Google Patents

チップの製造方法および積層体 Download PDF

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Abstract

レーザーカッターやダイシング装置を用いなくても、個片分割したチップを製造できる、新規なチップの製造方法の提供。新規な積層体の提供。基材上に位置する感光性樹脂層を露光し、現像して、2つ以上の樹脂領域を形成する露光現像工程と、感光性樹脂層または樹脂領域の面上であって、基材側の面とは反対側の面上に、デバイス材料を適用するデバイス材料適用工程と、
デバイス材料適用工程後に、基材を樹脂領域から分離して、樹脂領域を個片化する、チップの製造方法。

Description

本発明は、チップの製造方法および積層体に関する。
近年、デバイスの薄型化、軽量化、可撓化(フレキシブル化)の要求が高まっており、硬い基材ではなく、フレキシブルな基材上にデバイスを形成する必要がでてきた。例えば、有機エレクトロルミネッセンス(有機EL)ディスプレイのデバイスは、従来はガラス基材や金属基材上に形成していたが、最近はポリイミドフィルムやポリエチレンナフタレート(PEN)フィルムなどをフレキシブル基材としてデバイスを形成する事例が増えてきた。ディスプレイ(有機EL、液晶、電気泳動、磁気泳動、など)だけでなく、センサー(イメージ、光、熱、加速度、地磁気、など)、発光デバイス(LED(light emitting diode)、有機EL、など)、発信もしくは受信デバイス(電磁波、マイクロ波、など)、メモリーデバイス、ロジックデバイスや、これらを組み合わせたデバイス(無線タグ、GPS(Global Positioning System)などの位置検出デバイス、など)も実用化が検討されている。
このようなフレキシブルデバイスの製造方法として、従来から存在する硬い基板用の製造装置を用いるために次の工夫が行われている。まず硬いキャリア基板の上にフレキシブル基材(ポリイミドフィルムなど)を設置し、その上に硬い基材用の製造装置を用いて各種デバイスを形成した後、製造プロセスの最終段階で、キャリア基板をフレキシブル基材から剥がして、フレキシブルデバイスを得る方法である。
この方法での課題は、キャリア基材をフレキシブル基材から剥がす際に、フレキシブルデバイスを破損しないように剥がすのが難しいことであった。これを解決するための方法として、以下のような工夫が行われている。
キャリア基材とフレキシブル基材を仮接着剤で貼る工法が提案されているが、仮接着剤の平坦度やプロセス耐性が不十分で、歩留まり低下や特性不良の問題があった。
これを解決する方法として、次の方法が最近の主流となっている。透明キャリア基材の上に、溶液のポリイミド樹脂を塗布・乾燥・硬化し、この樹脂層を基材として、デバイスを形成した後、透明キャリア基材側から紫外線のパルスレーザーを照射することで、樹脂層のキャリア基材側界面をアブレーションさせて、キャリア基板から、樹脂層基材上に形成されたフレキシブルデバイスを得る方法である(例えば、特許文献1等)。
このフレキシブルデバイスは複数のチップが配列されているケースが多く、最終的には、複数のチップに分割して、最終的なフレキシブルデバイスチップを得る。
また、別の方法として、特許文献2には、複数の陥没部が形成された第1基板を提供する段階と、それぞれの陥没部内に第1プラスチックフィルムを形成する段階と、それぞれの第1プラスチックフィルム上に薄膜トランジスタを形成する段階と、それぞれの薄膜トランジスタ上に薄膜トランジスタと電気的に連結されるディスプレイ素子を形成する段階と、ディスプレイ素子の上部を封止する段階と、第1基板をカットする段階と、第1基板を第1プラスチックフィルムから分離させる段階と、を含むフレキシブルディスプレイ装置の製造方法が開示されている。
特表2016−506061号公報 特開2011−187446号公報
ここで、デバイスを搭載したフレキシブルデバイスチップを製造する場合、図3に記載の方法が考えられた。すなわち、基材31の上に樹脂膜32を形成し、樹脂膜32の上に、等間隔に、複数のデバイス33を搭載する。ついで、基材31側から光を照射して、基材31を樹脂膜32から分離した後、樹脂膜32をデバイス33毎に分割して、チップ34を得ることが考えられた。ここでのデバイス毎の分割は、例えば、レーザーカッターやダイシング装置(機械的カッター)などを用いて行うことが考えられた。
しかしながら、デバイス33毎に分割する際、トラブルが発生しやすいことが分かった。例えば、レーザーカッターを用いて分割する場合、アブレーションに由来するデブリがデバイスに付着して欠陥になる場合がある。また、ダイシング装置を用いて分割する場合、樹脂膜の変形でカット精度に問題が起きやすい。さらには、フィルム状の樹脂膜をカットした後のチップのハンドリングでも、樹脂膜が変形していると、チップハンドリングのミス(位置ずれ、取りこぼしなど)が発生しやすいことが分かった。
また、特許文献2に記載のように、個片に分割された基材からデバイスごとに分割された樹脂膜を得る方法も提案されている。しかしながら、ダイシング装置を用いて樹脂膜と基材を同時にカットするため、カット精度不良だけでなく、樹脂膜のはがれやカット屑付着などの問題が起きやすい。
従って、レーザーカッターやダイシング装置を用いなくても、チップ毎に分割できる方法が求められる。
本発明は、かかる課題を解決することを目的とするものであって、レーザーカッターやダイシング装置を用いなくても、チップを製造できる、新規なチップの製造方法を提供することを課題とする。さらに、新規な積層体も提供する。
上記課題のもと、本発明者が検討を行った結果、樹脂膜を露光現像して、樹脂膜自体を予め個片化してから、基材を分離することにより、上記課題を解決しうることを見出した。具体的には、下記手段<1>により、好ましくは<2>〜<21>により解決された。
<1>基材上に位置する感光性樹脂層を露光し、現像して、2つ以上の樹脂領域を形成する露光現像工程と、上記感光性樹脂層または上記樹脂領域の面上であって、上記基材側の面とは反対側の面上に、デバイス材料を適用するデバイス材料適用工程と、
上記デバイス材料適用工程後に、上記基材を上記樹脂領域から分離して、上記樹脂領域を個片化する、チップの製造方法。
<2>上記露光現像工程より後に、デバイス材料適用工程を行う、<1>に記載のチップの製造方法。
<3>上記デバイス材料適用工程前に、樹脂領域に熱および光の少なくとも一方を適用する工程を含む、<2>に記載のチップの製造方法。
<4>上記デバイス材料は、導電体材料、半導体材料、絶縁体材料および電子デバイスから選択される1種以上である、<1>〜<3>のいずれかに記載のチップの製造方法。
<5>上記現像は、ネガ型現像である、<1>〜<4>のいずれかに記載のチップの製造方法。
<6>上記樹脂領域が上記基材の表面に位置する、<1>〜<5>のいずれかに記載のチップの製造方法。
<7>上記基材は、透明基材であり、上記基材の樹脂領域側の面とは反対側の面から、光を照射することにより、上記基材を上記樹脂領域と分離することを含む、<6>に記載のチップの製造方法。
<8>上記基材に熱エネルギーを付与することにより、上記基材を樹脂領域と分離することを含む、<1>〜<5>のいずれかに記載のチップの製造方法。
<9>上記基材と感光性樹脂層の間に仮接着剤層を設け、かつ、上記仮接着剤層と上記基材の界面、もしくは、上記仮接着剤層と上記樹脂領域の界面を剥離することにより、または、上記仮接着剤層を溶解除去することにより、上記基材を上記樹脂領域から分離する、<1>〜<5>のいずれかに記載のチップの製造方法。
<10>上記樹脂領域は、ポリイミド樹脂またはポリベンゾオキサゾール樹脂を含む、<1>〜<9>のいずれかに記載のチップの製造方法。
<11>上記デバイス材料適用工程後、さらに、上記デバイス材料に接するように第2のデバイス材料を適用することを含む、<1>〜<10>のいずれかに記載のチップの製造方法。
<12>上記基材は、基材面の最も長い部分の長さが50〜4000mmである、<1>〜<11>のいずれかに記載のチップの製造方法。
<13>上記露光現像により、上記樹脂領域内に、開口部を形成することを含む、<1>〜<12>のいずれかに記載のチップの製造方法。
<14>上記デバイス材料を、上記開口部を介して、上記基材表面に接するように適用する、<13>に記載のチップの製造方法。
<15>上記デバイス材料の適用は、印刷法、フォトリソグラフィー法、インクジェット法、インプリント法、マスク蒸着法およびレーザー転写法から選択される、<1>〜<14>のいずれかに記載のチップの製造方法。
<16>基材と、上記基材上に位置する2つ以上の樹脂領域と、上記樹脂領域それぞれの、上記基材側の面とは反対側の面上に位置するデバイス材料とを有する、積層体。
<17>上記樹脂領域がポリイミド樹脂またはポリベンゾオキサゾール樹脂を含む、<16>に記載の積層体。
<18>上記デバイス材料は、導電体材料、半導体材料、絶縁体材料および電子デバイスから選択される、<16>または<17>に記載の積層体。
<19>上記樹脂領域が上記基材の表面に位置する、<16>〜<18>のいずれかに記載の積層体。
<20>上記デバイス材料に接する第2のデバイス材料を有する、<16>〜<19>のいずれかに記載の積層体。
<21>上記基材は、基材面の最も長い部分の長さが50〜4000mmである、<16>〜<20>のいずれかに記載の積層体。
本発明により、レーザーカッターやダイシング装置を用いなくても、チップを製造できる、新規なチップの製造方法を提供可能になった。さらに、新規な積層体も提供可能になった。
本発明のチップの製造方法の一例を示す概略図である。 本発明のチップの製造方法の他の一例を示す概略図である。 従来のチップの製造方法を示す概略図である。
以下に記載する本発明における構成要素の説明は、本発明の代表的な実施形態に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施形態に限定されるものではない。
本明細書における基(原子団)の表記に於いて、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さないものと共に置換基を有するものをも包含するものである。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含するものである。
本明細書において「露光」とは、特に断らない限り、光を用いた露光のみならず、電子線、イオンビーム等の粒子線を用いた描画も露光に含める。また、露光に用いられる光としては、一般的に、水銀灯の輝線スペクトル、エキシマレーザーに代表される遠紫外線、極紫外線(EUV光)、X線、電子線等の活性光線または放射線が挙げられる。
本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」は、「アクリレート」および「メタクリレート」の双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリル」は、「アクリル」および「メタクリル」の双方、または、いずれかを表し、「(メタ)アクリロイル」は、「アクリロイル」および「メタクリロイル」の双方、または、いずれかを表す。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本明細書において、固形分濃度とは、組成物の総質量に対する、溶剤を除く他の成分の質量百分率である。また、固形分濃度は、特に述べない限り25℃における濃度をいう。
本明細書において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、特に述べない限り、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC測定)に従い、ポリスチレン換算値として定義される。本明細書において、重量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)は、例えば、HLC−8220GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムとしてガードカラムHZ−L、TSKgel Super HZM−M、TSKgel Super HZ4000、TSKgel Super HZ3000およびTSKgel Super HZ2000(東ソー(株)製)のを用いることによって求めることができる。溶離液は特に述べない限り、THF(テトラヒドロフラン)を用いて測定したものとする。また、検出は特に述べない限り、UV線(紫外線)の波長254nm検出器を使用したものとする。
本発明のチップの製造方法は、基材上に位置する感光性樹脂層を露光し、現像して、2つ以上の樹脂領域を形成する露光現像工程と、上記感光性樹脂層または上記樹脂領域の面上(好ましくは、表面上)であって、上記基材側の面とは反対側の面上(好ましくは表面上)に、デバイス材料を適用するデバイス材料適用工程と、上記デバイス材料適用工程後に、上記基材を上記樹脂領域から分離して、上記樹脂領域を個片化することを特徴とする。このような構成とすることにより、レーザーカッターやダイシング装置を用いずに、チップを製造できる。
以下、本発明の実施形態を図面に従って説明する。本発明の構成が図面に記載の構成に限定されるものではないことは言うまでもない。
図1は、本発明のチップの製造方法の概略図の一例を示す図であって、1は基材を、2は感光性樹脂層を、3はマスクを、4はチップを、22は樹脂領域を、それぞれ示している。
<感光性樹脂層形成工程>
図1に示すように、基材1上に感光性樹脂層2が形成される。感光性樹脂層2は、感光性樹脂組成物を基材の上に適用して形成してもよいし、既に、基材1上に感光性樹脂層2が形成されている市販品等を活用してもよい。
感光性樹脂層を構成する樹脂は、ポリイミド樹脂、ポリベンゾオキサゾール樹脂、エポキシ樹脂およびアクリレート樹脂から選択される1種以上を含むことが好ましく、ポリイミド樹脂またはポリベンゾオキサゾール樹脂を含むことがより好ましく、ポリイミド樹脂を含むことがさらに好ましい。これらの樹脂は、感光性樹脂、すなわち、光照射によって露光現像可能な感光性樹脂であることが好ましい。また、感光性樹脂層には、感光性樹脂以外の樹脂成分やその他の成分を含んでいてもよい。但し、感光性樹脂が、感光性樹脂層の60質量%以上を占めることが好ましく、70質量%以上を占めることがより好ましい。
その他の成分としては、重合性化合物、重合開始剤(光重合開始剤、熱重合開始剤)、重合禁止剤、マイグレーション抑制剤、金属接着性改良剤等が例示される。これらの具体例については、後述する。

本発明では、感光性樹脂層は、後述する感光性樹脂組成物を基材上に適用し、乾燥して形成することが好ましい。特に、ポリイミド樹脂またはポリベンゾオキサゾール樹脂を含む感光性樹脂層は、ポリイミド前駆体またはポリベンゾオキサゾール前駆体を含む感光性樹脂組成物を、基材上に層状に適用し、乾燥後、環化させて形成することが好ましい。
感光性樹脂組成物の乾燥温度は50〜150℃が好ましく、70℃〜130℃がより好ましく、90℃〜110℃がさらに好ましい。乾燥時間としては、30秒間〜20分間が好ましく、1分間〜10分間がより好ましく、3分間〜7分間がさらに好ましい。
感光性樹脂組成物を基材に層状に適用する手段としては、塗布が好ましい。
具体的には、適用する手段としては、ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法、スプレーコート法、スピンコート法、スリットコート法、およびインクジェット法などが例示される。層状の感光性樹脂組成物(以下、「感光性樹脂組成物層」ということがある)の厚さの均一性の観点から、スピンコート法、スリットコート法、スプレーコート法、インクジェット法がより好ましい。適用する手段に応じて適切な固形分濃度や塗布条件を調整することで、所望の感光性樹脂組成物層を得ることができる。また、基材の形状によっても塗布方法を適宜選択でき、ウェハ等の円形基材であればスピンコート法やスプレーコート法、インクジェット法等が好ましく、矩形基材であればスリットコート法やスプレーコート法、インクジェット法等が好ましい。スピンコート法の場合は、例えば、300〜4000rpm(revolutions per minute)の回転数で、2秒間〜5分間程度で適用することができる。
尚、感光性樹脂組成物は、その適用前に、濾過を行ってもよい。濾過は、フィルターを用いて行うことが好ましい。フィルター孔径としては、1μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましく、0.1μm以下がさらに好ましい。
感光性樹脂層2は、基材1の表面に位置していてもよいし、基材1の上に、他の層や膜を介して位置していてもよい。本発明では、基材1の表面に感光性樹脂層2が位置することが好ましい。
また、感光性樹脂層の厚さは、0.1〜100μmが好ましく、1〜50μmがより好ましく、3〜20μmがさらに好ましい。
基材は、その種類等を特に定めるものではなく、感光性樹脂層2やその後の工程で搭載されるデバイス材料を支持可能なものであればよい。
本発明において、基材を光照射により、樹脂領域から分離する場合、基材は、光を透過する基材である。光を透過する基材としては、ガラス基材、石英基材、液晶ポリマー基材が例示され、ガラス基材が好ましい。
一方、基材を光照射以外の方法によって、樹脂領域から分離する場合、シリコン基板などが例示される。
また、基材は、耐熱性が高いことが好ましく、例えば、樹脂基材である場合、ガラス転移温度(Tg)が150℃以上であることが好ましく、250℃以上であることがより好ましい。上記Tgの上限としては、350℃以下が好ましい。
基材の厚さは、特に定めるものではないが、通常、10〜1000μmである。
また、基材は、基材面の最も長い部分の長さが50〜4000mmであることが好ましい。基材面の最も長い部分の長さを50mm以上とすることにより、生産効率を向上させることができ、4000mm以下とすることにより、装置サイズの巨大化によるコストアップを抑制できる。基材面の最も長い部分の長さとは、基材の基材面の端部2点の組み合わせのうち、最も距離が長くなる2点の間の距離をいう。
<<感光性樹脂組成物>>
本実施形態における感光性樹脂層を構成する感光性樹脂組成物は露光により架橋構造を形成する化合物を含むことが好ましく、組成物はネガ型現像用であることがより好ましく、有機溶剤で現像するネガ型感光性樹脂組成物であることがさらに好ましい。
まず、本実施形態で用いる感光性樹脂組成物が含んでもよい成分について説明する。感光性樹脂組成物はこれら以外の成分を含んでいてもよく、また、これらの成分を必須とするわけではない。
<<<樹脂>>>
本実施形態で用いる感光性樹脂組成物は、樹脂を含む。好ましくは、感光性樹脂であるが、重合性化合物等、感光性成分を他に配合する場合は、樹脂自身が感光性を有さなくてもよい。
樹脂は高耐熱性樹脂であることが好ましい。
本実施形態で用いる感光性樹脂組成物は、ポリイミド前駆体、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール前駆体およびポリベンゾオキサゾールから選択される少なくとも1種の樹脂を含むことが好ましい。本発明のチップの製造方法では、感光性樹脂組成物が、ポリイミド前駆体またはポリベンゾオキサゾール前駆体を含むことがより好ましく、ポリイミド前駆体を含むことがさらに好ましい。
本実施形態で用いる感光性樹脂組成物はポリイミド前駆体、ポリイミド、ポリベンゾオキサゾール前駆体およびポリベンゾオキサゾールのうち、1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。また、ポリイミド前駆体を2種含む等、同じ種類の樹脂であって、構造の異なる樹脂を2種以上含んでいてもよい。
本実施形態で用いる感光性樹脂組成物における、樹脂の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分の10〜99質量%が好ましく、50〜98質量%がより好ましく、70〜96質量%がさらに好ましい。
さらに、樹脂は重合性基を含むことが好ましい。
また、感光性樹脂組成物が重合性化合物を含むことが好ましい。このような構成とすることにより、露光部に3次元ネットワークが形成され、強固な架橋膜となり、後述の表面活性化処理により感光性樹脂組成物層(硬化膜)がダメージを受けず、表面活性化処理により、硬化膜と金属層の密着性または硬化膜同士の密着性がより効果的に向上する。
さらにまた、樹脂が、−Ar−L−Ar−で表される部分構造を含むことが好ましい。但し、Arは、それぞれ独立に、芳香族基であり、Lは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、−O−、−CO−、−S−、−SO−または−NHCO−、ならびに、上記の2つ以上の組み合わせからなる基である。このような構成とすることにより、感光性樹脂組成物層(硬化膜)が柔軟な構造となり、層間剥離の発生を抑制する効果がより効果的に発揮される。Arは、フェニレン基が好ましく、Lは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1または2の脂肪族炭化水素基、−O−、−CO−、−S−または−SO−がさらに好ましい。ここでの脂肪族炭化水素基は、アルキレン基が好ましい。
(ポリイミド前駆体)
ポリイミド前駆体は、その種類等について特に定めるものではなく、下記式(2)で表される繰り返し単位を含むことが好ましい。
式(2)
Figure 2018034299
式(2)中、AおよびAは、それぞれ独立に酸素原子またはNHを表し、R111は、2価の有機基を表し、R115は、4価の有機基を表し、R113およびR114は、それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。
式(2)におけるAおよびAは、酸素原子またはNHが好ましく、酸素原子がより好ましい。
式(2)におけるR111は、2価の有機基を表す。2価の有機基としては、直鎖または分岐の脂肪族基、環状の脂肪族基および芳香族基を含む基が例示され、炭素数2〜20の直鎖または分岐の脂肪族基、炭素数6〜20の環状の脂肪族基、炭素数6〜20の芳香族基、または、これらの組み合わせからなる基が好ましく、炭素数6〜20の芳香族基を含む基がより好ましい。特に好ましい実施形態として、式(2)におけるR111が−Ar−L−Ar−で表される基であることが例示される。但し、Arは、それぞれ独立に、芳香族基であり、Lは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、−O−、−CO−、−S−、−SO−または−NHCO−、ならびに、上記の2つ以上の組み合わせからなる基である。これらの好ましい範囲は、上述のとおりである。
式(2)におけるR111は、ジアミンから誘導されることが好ましい。ポリイミド前駆体の製造に用いられるジアミンとしては、直鎖または分岐の脂肪族、環状の脂肪族または芳香族ジアミンなどが挙げられる。ジアミンは、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
具体的には、炭素数2〜20の直鎖または分岐の脂肪族基、炭素数6〜20の環状の脂肪族基、炭素数6〜20の芳香族基、または、これらの組み合わせからなる基を含むジアミンであることが好ましく、炭素数6〜20の芳香族基からなる基を含むジアミンであることがより好ましい。芳香族基の例としては、下記の芳香族基が挙げられる。
Figure 2018034299
上記芳香族基中、Aは、単結合、または、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、−O−、−C(=O)−、−S−、−S(=O)−、−NHCO−ならびに、これらの組み合わせから選択される基であることが好ましく、単結合、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキレン基、−O−、−C(=O)−、−S−、−SO−から選択される基であることがより好ましく、−CH−、−O−、−S−、−SO−、−C(CF−、および、−C(CH−からなる群から選択される2価の基であることがさらに好ましい。
ジアミンとしては、具体的には、特開2016−027357号公報の段落0083の記載を参酌することができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
また、下記に示すジアミン(DA−1)〜(DA−18)も好ましい。
Figure 2018034299
Figure 2018034299
また、少なくとも2つ以上のアルキレングリコール単位を主鎖にもつジアミンも好ましい例として挙げられる。好ましくは、エチレングリコール鎖、プロピレングリコール鎖のいずれか一方、または両方を1分子中にあわせて2つ以上含むジアミン、より好ましくは芳香環を含まないジアミンである。具体例としては、ジェファーミン(登録商標)KH−511、ジェファーミン(登録商標)ED−600、ジェファーミン(登録商標)ED−900、ジェファーミン(登録商標)ED−2003、ジェファーミン(登録商標)EDR−148、ジェファーミン(登録商標)EDR−176、ジェファーミン(登録商標)D−200、ジェファーミン(登録商標)D−400、ジェファーミン(登録商標)D−2000、ジェファーミン(登録商標)D−4000(以上商品名、HUNTSMAN社製)、1−(2−(2−(2−アミノプロポキシ)エトキシ)プロポキシ)プロパン−2−アミン、1−(1−(1−(2−アミノプロポキシ)プロパン−2−イル)オキシ)プロパン−2−アミンなどが挙げられるが、これらに限定されない。
ジェファーミン(登録商標)KH−511、ジェファーミン(登録商標)ED−600、ジェファーミン(登録商標)ED−900、ジェファーミン(登録商標)ED−2003、ジェファーミン(登録商標)EDR−148、ジェファーミン(登録商標)EDR−176の構造を以下に示す。
Figure 2018034299
上記において、x、y、zは平均値である。
式(2)におけるR111は、得られる硬化膜の柔軟性の観点から、−Ar−L−Ar−で表されることが好ましい。但し、Arは、それぞれ独立に、芳香族基であり、Lは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、−O−、−CO−、−S−、−SO−または−NHCO−、ならびに、上記の2つ以上の組み合わせからなる基である。Arは、フェニレン基が好ましく、Lは、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1または2の脂肪族炭化水素基、−O−、−CO−、−S−または−SO−がさらに好ましい。ここでの脂肪族炭化水素基は、アルキレン基が好ましい。
式(2)におけるR111は、i線透過率の観点から下記式(51)または式(61)で表わされる2価の有機基であることが好ましい。特に、i線透過率、入手のし易さの観点から式(61)で表わされる2価の有機基であることがより好ましい。
式(51)
Figure 2018034299
式(51)中、R10〜R17は、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子または1価の有機基であり、R10〜R17の少なくとも1つはフッ素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基である。
10〜R17の1価の有機基として、炭素数1〜10(好ましくは炭素数1〜6)の無置換のアルキル基、炭素数1〜10(好ましくは炭素数1〜6)のフッ化アルキル基等が挙げられる。
式(61)
Figure 2018034299
式(61)中、R18およびR19は、それぞれ独立にフッ素原子またはトリフルオロメチル基である。
式(51)または(61)の構造を与えるジアミン化合物としては、2,2’−ジメチルベンジジン、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ビス(フルオロ)−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノオクタフルオロビフェニル等が挙げられる。これらは1種を用いるか、または2種以上を組み合わせて用いてもよい。
式(2)におけるR115は、4価の有機基を表す。4価の有機基としては、芳香環を含む4価の有機基が好ましく、下記式(5)または式(6)で表される基がより好ましい。
式(5)
Figure 2018034299
式(5)中、R112は、単結合、または、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、−O−、−CO−、−S−、−SO−、−NHCO−ならびに、これらの組み合わせから選択される基であることが好ましく、単結合、フッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜3のアルキレン基、−O−、−CO−、−S−および−SO−から選択される基であることがより好ましく、−CH−、−C(CF−、−C(CH−、−O−、−CO−、−S−および−SO−からなる群から選択される2価の基がさらに好ましい。
式(6)
Figure 2018034299
式(2)におけるR115は、具体的には、テトラカルボン酸二無水物から無水物基の除去後に残存するテトラカルボン酸残基などが挙げられる。テトラカルボン酸二無水物は、1種のみ用いてもよいし、2種以上用いてもよい。
テトラカルボン酸二無水物は、下記式(O)で表されることが好ましい。
式(O)
Figure 2018034299
式(O)中、R115は、4価の有機基を表す。R115の好ましい範囲は式(2)におけるR115と同義であり、好ましい範囲も同様である。
テトラカルボン酸二無水物の具体例としては、ピロメリト酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルフィドテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルメタンテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,3’,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、4,4’−オキシジフタル酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物、1,3−ジフェニルヘキサフルオロプロパン−3,3,4,4−テトラカルボン酸二無水物、1,4,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,8,9,10−フェナントレンテトラカルボン酸二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,2,3,4−ベンゼンテトラカルボン酸二無水物、および、これらの炭素数1〜6のアルキル誘導体ならびに炭素数1〜6のアルコキシ誘導体から選ばれる少なくとも1種が例示される。
また、下記に示すテトラカルボン酸二無水物(DAA−1)〜(DAA−5)も好ましい例として挙げられる。
Figure 2018034299
式(2)におけるR111とR115の少なくとも一方にヒドロキシル基を有することも好ましい。より具体的には、R111として、ビスアミノフェノール誘導体の残基が挙げられる。
式(2)におけるR113およびR114は、それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表す。
式(2)におけるR113およびR114の少なくとも一方が重合性基を含むことが好ましく、両方が重合性基を含むことがより好ましい。重合性基とは、熱、ラジカル等の作用により、架橋反応することが可能な基である。重合性基としては、光ラジカル重合性基が好ましい。重合性基の具体例として、エチレン性不飽和結合を有する基、アルコキシメチル基、ヒドロキシメチル基、アシルオキシメチル基、エポキシ基、オキセタニル基、ベンゾオキサゾリル基、ブロックイソシアネート基、メチロール基、アミノ基が挙げられる。ポリイミド前駆体が有するラジカル重合性基としては、エチレン性不飽和結合を有する基が好ましい。
エチレン性不飽和結合を有する基としては、ビニル基、(メタ)アリル基、下記式(III)で表される基などが挙げられる。
Figure 2018034299
式(III)において、R200は、水素原子またはメチル基を表し、メチル基がより好ましい。
式(III)において、R201は、炭素数2〜12のアルキレン基、−CHCH(OH)CH−または炭素数4−30のポリオキシアルキレン基を表す。
好適なR201の例は、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,2−ブタンジイル基、1,3−ブタンジイル基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、ドデカメチレン基、−CHCH(OH)CH−が挙げられ、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、−CHCH(OH)CH−がより好ましい。
特に好ましくは、R200がメチル基で、R201がエチレン基の組み合わせである。
式(2)におけるR113またはR114は重合性基以外の1価の有機基であってもよい。
有機溶剤への溶解度の観点からは、式(2)におけるR113またはR114は、1価の有機基であることが好ましい。1価の有機基としては、直鎖または分岐のアルキル基、環状アルキル基、あるいは、芳香族基を含むことが好ましい。1価の有機基としては、アリール基を構成する炭素に結合している1、2または3つ(好ましくは1つ)の酸性基を有する芳香族基、およびアリール基を構成する炭素に結合している1、2または3つ(好ましくは1つ)の酸性基を有するアラルキル基が特に好ましい。具体的には、酸性基を有する炭素数6〜20の芳香族基、酸性基を有する炭素数7〜25のアラルキル基が挙げられる。より具体的には、酸性基を有するフェニル基および酸性基を有するベンジル基が挙げられる。酸性基は、ヒドロキシル基が好ましい。
113またはR114が、水素原子、2−ヒドロキシベンジル、3−ヒドロキシベンジルおよび4−ヒドロキシベンジルであることが、特に好ましい。
式(2)におけるR113またはR114が表すアルキル基の炭素数は1〜30が好ましい。直鎖または分岐のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、テトラデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、および2−エチルヘキシル基が挙げられる。
式(2)におけるR113またはR114が表す環状のアルキル基は、単環の環状のアルキル基であってもよく、多環の環状のアルキル基であってもよい。単環の環状のアルキル基としては、例えば、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびシクロオクチル基が挙げられる。多環の環状のアルキル基としては、例えば、アダマンチル基、ノルボルニル基、ボルニル基、カンフェニル基、デカヒドロナフチル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロデカニル基、カンホロイル基、ジシクロヘキシル基およびピネニル基が挙げられる。中でも、高感度化との両立の観点から、シクロヘキシル基が最も好ましい。また、芳香族基で置換されたアルキル基としては、後述する芳香族基で置換された直鎖アルキル基が好ましい。
式(2)におけるR113またはR114が表す芳香族基としては、具体的には、置換または無置換のベンゼン環、ナフタレン環、ペンタレン環、インデン環、アズレン環、ヘプタレン環、インダセン環、ペリレン環、ペンタセン環、アセナフテン環、フェナントレン環、アントラセン環、ナフタセン環、クリセン環、トリフェニレン環、フルオレン環、ビフェニル環、ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピリジン環、ピラジン環、ピリミジン環、ピリダジン環、インドリジン環、インドール環、ベンゾフラン環、ベンゾチオフェン環、イソベンゾフラン環、キノリジン環、キノリン環、フタラジン環、ナフチリジン環、キノキサリン環、キノキサゾリン環、イソキノリン環、カルバゾール環、フェナントリジン環、アクリジン環、フェナントロリン環、チアントレン環、クロメン環、キサンテン環、フェノキサチイン環、フェノチアジン環またはフェナジン環である。ベンゼン環が最も好ましい。
式(2)におけるR113が水素原子である場合、または、式(2)におけるR114が水素原子である場合、ポリイミド前駆体はエチレン性不飽和結合を有する3級アミン化合物と対塩を形成していてもよい。このようなエチレン性不飽和結合を有する3級アミン化合物の例としては、N,N−ジメチルアミノプロピルメタクリレートが挙げられる。
また、ポリイミド前駆体は、構造単位中にフッ素原子を有することも好ましい。ポリイミド前駆体中のフッ素原子含有量は10質量%以上が好ましく、また、20質量%以下が好ましい。
また、基材との密着性を向上させる目的で、ポリイミド前駆体にシロキサン構造を有する脂肪族基を導入してもよい。具体的には、シロキサン構造を有する脂肪族基を導入するためのジアミン成分として、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(パラアミノフェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどが挙げられる。
式(2)で表される繰り返し単位は、下記式(2−A)で表される繰り返し単位であることが好ましい。すなわち、ポリイミド前駆体の少なくとも1種が、式(2−A)で表される繰り返し単位を有する前駆体であることが好ましい。このような構造とすることにより、露光ラチチュードの幅をより広げることが可能になる。
式(2−A)
Figure 2018034299
式(2−A)中、AおよびAは、酸素原子を表し、R111およびR112は、それぞれ独立に、2価の有機基を表し、R113およびR114は、それぞれ独立に、水素原子または1価の有機基を表し、R113およびR114の少なくとも一方は、重合性基を含む基であり、重合性基であることが好ましい。
式(2−A)におけるA、A、R111、R113およびR114は、それぞれ独立に、式(2)におけるA、A、R111、R113およびR114と同義であり、好ましい範囲も同様である。
式(2−A)におけるR112は、式(5)におけるR112と同義であり、好ましい範囲も同様である。
ポリイミド前駆体においては、式(2)で表される繰り返し単位が1種であってもよいが、2種以上であってもよい。また、ポリイミド前駆体は、式(2)で表される繰り返し単位の構造異性体を含んでいてもよい。また、ポリイミド前駆体は、上記の式(2)で表される繰り返し単位のほかに、他の種類の繰り返し単位も含んでよい。
本発明におけるポリイミド前駆体の一実施形態として、全繰り返し単位の50モル%以上、さらには70モル%以上、特には90モル%以上が式(2)で表される繰り返し単位であるポリイミド前駆体が例示される。
ポリイミド前駆体は、ジカルボン酸またはジカルボン酸誘導体とジアミンを反応させて得られることが好ましい。ポリイミド前駆体は、ジカルボン酸またはジカルボン酸誘導体をハロゲン化剤を用いてハロゲン化させた後、ジアミンと反応させて得られることがより好ましい。ポリイミド前駆体は、例えば、低温中でテトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)を反応させる方法、低温中でテトラカルボン酸二無水物(一部を酸無水物またはモノ酸クロリド化合物またはモノ活性エステル化合物である末端封止剤に置換)とジアミン化合物を反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後ジアミン(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)と縮合剤の存在下で反応させる方法、テトラカルボン酸二無水物とアルコールとによりジエステルを得、その後残りのジカルボン酸を酸クロリド化し、ジアミン(一部をモノアミンである末端封止剤に置換)と反応させる方法などの方法を利用して、得られる。
ポリイミド前駆体の製造方法では、反応に際し、有機溶剤を用いることが好ましい。有機溶剤は1種でもよいし、2種以上でもよい。
有機溶剤としては、原料に応じて適宜定めることができるが、ピリジン、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、N−メチルピロリドンおよびN−エチルピロリドンが例示される。
ポリイミド前駆体の製造に際し、保存安定性をより向上させるため、前駆体の主鎖末端を酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物などの末端封止剤で封止することが好ましい。これらのうち、モノアミンを用いることがより好ましく、モノアミンの好ましい化合物としては、アニリン、2−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、4−エチニルアニリン、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−カルボキシ−7−アミノナフタレン、1−カルボキシ−6−アミノナフタレン、1−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−カルボキシ−7−アミノナフタレン、2−カルボキシ−6−アミノナフタレン、2−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、6−アミノサリチル酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノールなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよく、複数の末端封止剤を反応させることにより、複数の異なる末端基を導入してもよい。
ポリイミド前駆体の製造に際し、固体を析出する工程を含んでいても良い。具体的には、反応液中のポリイミド前駆体を水中に沈殿させ、テトラヒドロフラン等のポリイミド前駆体が可溶な溶剤に溶解させることによって、固体析出することができる。
その後、ポリイミド前駆体を乾燥して、粉末状のポリイミド前駆体を得ることができる。
ポリイミド前駆体の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは18000〜30000であり、より好ましくは20000〜27000であり、さらに好ましくは22000〜25000である。また、数平均分子量(Mn)は、好ましくは7200〜14000であり、より好ましくは8000〜12000であり、さらに好ましくは9200〜11200である。
上記ポリイミド前駆体の分散度は、2.5以上が好ましく、2.7以上がより好ましく、2.8以上であることがさらに好ましい。ポリイミド前駆体の分散度の上限値は特に定めるものではないが、例えば、4.5以下が好ましく、4.0以下がより好ましく、3.8以下がさらに好ましく、3.2以下が一層好ましく、3.1以下がより一層好ましく、3.0以下がさらに一層好ましく、2.95以下が特に一層好ましい。
(ポリイミド)
ポリイミドとしては、イミド環を有する高分子化合物であれば、特に限定されない。ポリイミドは、下記式(4)で表される化合物であることが好ましく、式(4)で表される化合物であって、重合性基を有する化合物であることがより好ましい。
式(4)
Figure 2018034299
式(4)中、R131は、2価の有機基を表し、R132は、4価の有機基を表す。
ポリイミドが重合性基を有する場合、R131およびR132の少なくとも一方に重合性基を有していてもよいし、下記式(4−1)または式(4−2)に示すようにポリイミドの末端に重合性基を有していてもよい。
式(4−1)
Figure 2018034299
式(4−1)中、R133は重合性基であり、他の基は式(4)と同義である。
式(4−2)
Figure 2018034299
式(4−2)中、R134およびR135の少なくとも一方は重合性基であり、他方は有機基であり、他の基は式(4)と同義である。
ポリイミドが有することが好ましい重合性基は、上記のポリイミド前駆体において、式(2)におけるR113およびR114が含んでいてもよい重合性基で述べた重合性基と同義である。
式(4)におけるR131は、2価の有機基を表す。2価の有機基としては、式(2)におけるR111と同様の2価の有機基が例示され、好ましい範囲も同様である。
また、R131としては、ジアミンのアミノ基の除去後に残存するジアミン残基が挙げられる。ジアミンとしては、脂肪族、環式脂肪族または芳香族ジアミンなどが挙げられる。具体的な例としては、ポリイミド前駆体の式(2)中のR111の例が挙げられる。
式(4)におけるR131は、少なくとも2つ以上のアルキレングリコール単位を主鎖にもつジアミン残基であることが、焼成時における反りの発生をより効果的に抑制する点で好ましい。より好ましくは、エチレングリコール鎖、プロピレングリコール鎖のいずれか一方、または両方を1分子中にあわせて2つ以上含むジアミン残基であり、さらに好ましくは芳香環を含まないジアミン残基である。
エチレングリコール鎖、プロピレングリコール鎖のいずれか一方または両方を1分子中にあわせて2つ以上含むジアミンとしては、式(2)におけるR111を誘導できるジアミンと同様の具体例などが挙げられるが、これらに限定されない。
式(4)におけるR132は、4価の有機基を表す。R132が表す4価の有機基としては、式(2)におけるR115と同様のものが例示され、好ましい範囲も同様である。
例えば、式(2)におけるR115として例示される下記構造の4価の有機基の4つの結合子が、上記式(4)中の4つの−C(=O)−の部分と結合して縮合環を形成する。
Figure 2018034299
式(4)におけるR132の例としては、テトラカルボン酸二無水物から無水物基を除去した後に残存するテトラカルボン酸残基などが挙げられる。具体的な例としては、ポリイミド前駆体の式(2)中のR115の例が挙げられる。硬化膜の強度の観点から、R132は1〜4つの芳香環を有する芳香族ジアミン残基であることが好ましい。
式(4)におけるR131とR132の少なくとも一方にヒドロキシル基を有することも好ましい。より具体的には、式(4)におけるR131として、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−ヒドロキシ−4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス−(3−アミノ−4−ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、上記の(DA−1)〜(DA−18)が好ましい例として挙げられる。式(4)におけるR132として、上記の(DAA−1)〜(DAA−5)が好ましい例として挙げられる。
また、ポリイミドは、構造単位中にフッ素原子を有することも好ましい。ポリイミド中のフッ素原子含有量は10質量%以上が好ましく、また、20質量%以下が好ましい。
また、基材との密着性を向上させる目的で、ポリイミドにシロキサン構造を有する脂肪族の基を導入してもよい。具体的には、シロキサン構造を有する脂肪族基を導入するためのジアミン成分として、ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン、ビス(パラアミノフェニル)オクタメチルペンタシロキサンなどが挙げられる。
また、感光性樹脂組成物の保存安定性を向上させるため、ポリイミドの主鎖末端をモノアミン、酸無水物、モノカルボン酸、モノ酸クロリド化合物、モノ活性エステル化合物などの末端封止剤で封止することが好ましい。これらのうち、モノアミンを用いることがより好ましい。モノアミンの好ましい化合物としては、アニリン、2−エチニルアニリン、3−エチニルアニリン、4−エチニルアニリン、5−アミノ−8−ヒドロキシキノリン、1−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−ヒドロキシ−4−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−7−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−6−アミノナフタレン、2−ヒドロキシ−5−アミノナフタレン、1−カルボキシ−7−アミノナフタレン、1−カルボキシ−6−アミノナフタレン、1−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−カルボキシ−7−アミノナフタレン、2−カルボキシ−6−アミノナフタレン、2−カルボキシ−5−アミノナフタレン、2−アミノ安息香酸、3−アミノ安息香酸、4−アミノ安息香酸、4−アミノサリチル酸、5−アミノサリチル酸、6−アミノサリチル酸、2−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸、3−アミノ−4,6−ジヒドロキシピリミジン、2−アミノフェノール、3−アミノフェノール、4−アミノフェノール、2−アミノチオフェノール、3−アミノチオフェノール、4−アミノチオフェノールなどが挙げられる。これらを2種以上用いてもよく、複数の末端封止剤を反応させることにより、複数の異なる末端基を導入してもよい。
ポリイミドはイミド化率が85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましい。イミド化率が85%以上であることにより、加熱によりイミド化される場合に起こる閉環に起因する膜収縮が小さくなり、基材の反りの発生を抑制することができる。
ポリイミドは、すべてが1種のR131またはR132である上記式(4)で表される繰り返し単位に加え、R131またはR132の2つ以上が異なる種である繰り返し単位を含んでもよい。また、ポリイミドは、上記式(4)で表される繰り返し単位のほかに、他の種類の繰り返し単位も含んでよい。
ポリイミドは、ポリイミド前駆体を合成してから、加熱して環化させて製造してもよいし、直接に、ポリイミドを合成してもよい。
ポリイミドは、ポリイミド前駆体を得、これを、既知のイミド化反応法を用いて完全イミド化させる方法、または、途中でイミド化反応を停止し、一部イミド構造を導入する方法、さらには、完全イミド化したポリマーと、そのポリイミド前駆体をブレンドすることによって、一部イミド構造を導入する方法を利用して合成することができる。
ポリイミドの市販品としては、Durimide(登録商標)284(富士フイルム社製)、Matrimid5218(HUNTSMAN社製)が例示される。
ポリイミドの重量平均分子量(Mw)は、5,000〜70,000が好ましく、8,000〜50,000がより好ましく、10,000〜30,000が特に好ましい。重量平均分子量を5,000以上とすることにより、硬化後の膜の耐折れ性を向上させることができる。機械特性に優れた硬化膜を得るため、重量平均分子量は、20,000以上が一層好ましい。また、ポリイミドを2種以上含有する場合、少なくとも1種のポリイミドの重量平均分子量が上記範囲であることが好ましい。
(ポリベンゾオキサゾール前駆体)
ポリベンゾオキサゾール前駆体は、その種類等について特に定めるものではなく、例えば、特開2016−027357号公報の段落0097〜0107の記載を参酌することができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
上記以外の感光性樹脂であっても本実施形態に適用することが可能である。そのほかの樹脂としては、エポキシ樹脂やフェノール樹脂、ベンゾシクロブテン系樹脂が使用可能である。
<<<重合性化合物>>>
樹脂が重合性基を有するか、感光性樹脂組成物が重合性化合物を含むことが好ましい。このような構成とすることにより、より耐熱性に優れた硬化膜を形成することができる。
重合性化合物は、重合性基を有する化合物であって、ラジカル、酸、塩基などにより架橋反応が可能な公知の化合物を用いることができる。重合性基としては、上記ポリイミド前駆体で述べた重合性基などが例示される。重合性化合物は1種のみ含まれていてもよいし、2種以上含まれていてもよい。
重合性化合物は、例えば、モノマー、プレポリマー、オリゴマーまたはそれらの混合物並びにそれらの多量体などの化学的形態のいずれであってもよい。
本実施形態において、モノマータイプの重合性化合物(以下、重合性モノマーともいう)は、高分子化合物とは異なる化合物である。重合性モノマーは、典型的には、低分子化合物であり、分子量2000以下の低分子化合物であることが好ましく、1500以下の低分子化合物であることがより好ましく、分子量900以下の低分子化合物であることがさらに好ましい。なお、重合性モノマーの分子量は、通常、100以上である。
また、オリゴマータイプの重合性化合物は、典型的には比較的低い分子量の重合体であり、10個から100個の重合性モノマーが結合した重合体であることが好ましい。オリゴマータイプの重合性化合物の重量平均分子量は、2000〜20000であることが好ましく、2000〜15000がより好ましく、2000〜10000であることが最も好ましい。
重合性化合物の官能基数は、1分子中における重合性基の数を意味する。
感光性樹脂組成物は、現像性の観点から、重合性基を2個以上含む2官能以上の重合性化合物を少なくとも1種含むことが好ましく、3官能以上の重合性化合物を少なくとも1種含むことがより好ましい。
感光性樹脂組成物は、三次元架橋構造を形成して耐熱性を向上できるという点から、3官能以上の重合性化合物を少なくとも1種含むことが好ましい。また、2官能以下の重合性化合物と3官能以上の重合性化合物との混合物であってもよい。
重合性化合物としては、エチレン性不飽和結合を有する基を含む化合物;ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基またはアシルオキシメチル基を有する化合物;エポキシ化合物;オキセタン化合物;ベンゾオキサジン化合物が好ましい。
(エチレン性不飽和結合を有する基を含む化合物)
エチレン性不飽和結合を有する基としては、スチリル基、ビニル基、(メタ)アクリロイル基および(メタ)アリル基が好ましく、(メタ)アクリロイル基がより好ましい。
エチレン性不飽和結合を有する基を含む化合物としては、特開2016−027357号公報の段落0112〜0157に記載のラジカル重合性化合物を参酌することができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
重合性化合物の市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ鎖を4個有する4官能アクリレートであるSR−494、サートマー社製のエチレンオキシ鎖を4個有する2官能メタクリレートであるSR−209、日本化薬(株)製のペンチレンオキシ鎖を6個有する6官能アクリレートであるDPCA−60、イソブチレンオキシ鎖を3個有する3官能アクリレートであるNKエステルM−40G、NKエステル4G、NKエステルM−9300、NKエステルA−9300、UA−7200(新中村化学工業(株)製)、TPA−330、DPHA−40H(日本化薬(株)製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社化学社製)、ブレンマーPME400(日油(株)製)などが挙げられる。
エチレン性不飽和結合を有する基を含む化合物の含有量は、良好な重合性と耐熱性の観点から、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、1〜50質量%が好ましい。下限は5質量%以上がより好ましい。上限は、30質量%以下がより好ましい。エチレン性不飽和結合を有する基を含む化合物は1種を単独で用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
また、樹脂とエチレン性不飽和結合を有する基を含む化合物との質量割合(樹脂/重合性化合物)は、98/2〜10/90が好ましく、95/5〜30/70がより好ましく、90/10〜50/50が最も好ましい。樹脂とエチレン性不飽和結合を有する基を含む化合物との質量割合が上記範囲であれば、重合性および耐熱性により優れた硬化膜を形成できる。
(ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基またはアシルオキシメチル基を有する化合物)
ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基またはアシルオキシメチル基を有する化合物としては、下記式(AM1)で示される化合物が好ましい。
式(AM1)
Figure 2018034299
(式中、tは、1〜20の整数を示し、Rは炭素数1〜200のt価の有機基を示し、Rは下記式(AM2)または下記式(AM3)で示される基を示す。)
Figure 2018034299
(式中Rは、水酸基または炭素数1〜10の有機基を示す。)
ポリイミド前駆体等100質量部に対して、式(AM1)で示される化合物が5質量部以上40質量部以下であることが好ましい。さらに好ましくは、10質量部以上35質量部以下である。また、全重合性化合物中、下記式(AM4)で表される化合物を10質量%以上90質量%以下含有し、下記式(AM5)で表される化合物を全熱架橋剤中10質量%以上90質量%以下含有することも好ましい。
式(AM4)
Figure 2018034299
(式中、Rは炭素数1〜200の2価の有機基を示し、Rは下記式(AM2)または下記式(AM3)で示される基を示す。)
式(AM5)
Figure 2018034299
(式中uは3〜8の整数を示し、Rは炭素数1〜200のu価の有機基を示し、Rは下記式(AM2)または下記式(AM3)で示される基を示す。)
式(AM2) (AM3)
Figure 2018034299
(式中Rは、水酸基または炭素数1〜10の有機基を示す。)
これらヒドロキシメチル基等を有する化合物を用いることで、凹凸のある基材上に感光性組成物を形成した際に、クラックが生じることがより少なくなる。また、5%質量減少温度が350℃以上、より好ましくは380℃以上となる高い耐熱性を有することができる。式(AM4)で示される化合物の具体例としては、46DMOC、46DMOEP(以上、商品名、旭有機材工業(株)製)、DML−MBPC、DML−MBOC、DML−OCHP、DML−PCHP、DML−PC、DML−PTBP、DML−34X、DML−EP、DML−POP、dimethyolBisOC−P、DML−PFP、DML−PSBP、DML−MTrisPC(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、NIKALAC MX−290(商品名、(株)三和ケミカル製)、2,6−dimethoxymethyl−4−t−buthylphenol、2,6−dimethoxymethyl−p−cresol、2,6−diacethoxymethyl−p−cresolなどが挙げられる。
また、式(AM5)で示される化合物の具体例としては、TriML−P、TriML−35XL、TML−HQ、TML−BP、TML−pp−BPF、TML−BPA、TMOM−BP、HML−TPPHBA、HML−TPHAP、HMOM−TPPHBA、HMOM−TPHAP(以上、商品名、本州化学工業(株)製)、TM−BIP−A(商品名、旭有機材工業(株)製)、NIKALAC MX−280、NIKALAC MX−270、NIKALAC MW−100LM(以上、商品名、(株)三和ケミカル製)が挙げられる。
(エポキシ化合物(エポキシ基を有する化合物))
エポキシ化合物としては、一分子中にエポキシ基を2以上有する化合物であることが好ましい。エポキシ基は、200℃以下で架橋反応し、かつ、架橋に由来する脱水反応が起こらないため膜収縮が起きにくい。このため、エポキシ化合物を含有することは、組成物の低温硬化および反りの抑制に効果的である。
エポキシ化合物は、ポリエチレンオキサイド基を含有することが好ましい。これにより、より弾性率が低下し、また反りを抑制することができる。また膜の柔軟性を高くして、伸度等にも優れた硬化膜を得ることができる。ポリエチレンオキサイド基は、エチレンオキサイドの繰り返し単位数が2以上のものを意味し、繰り返し単位数が2〜15であることが好ましい。
エポキシ化合物の例としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂;ビスフェノールF型エポキシ樹脂;プロピレングリコールジグリシジルエーテル等のアルキレングリコール型エポキシ樹脂;ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等のポリアルキレングリコール型エポキシ樹脂;ポリメチル(グリシジロキシプロピル)シロキサン等のエポキシ基含有シリコーンなどを挙げることができるが、これらに限定されない。具体的には、エピクロン(登録商標)850−S、エピクロン(登録商標)HP−4032、エピクロン(登録商標)HP−7200、エピクロン(登録商標)HP−820、エピクロン(登録商標)HP−4700、エピクロン(登録商標)EXA−4710、エピクロン(登録商標)HP−4770、エピクロン(登録商標)EXA−859CRP、エピクロン(登録商標)EXA−1514、エピクロン(登録商標)EXA−4880、エピクロン(登録商標)EXA−4850−150、エピクロン(登録商標)EXA−4850−1000、エピクロン(登録商標)EXA−4816、エピクロン(登録商標)EXA−4822(以上商品名、大日本インキ化学工業(株)製)、リカレジン(登録商標)BEO−60E(商品名、新日本理化(株))、EP−4003S、EP−4000S(以上商品名、ADEKA社製)などが挙げられる。この中でも、ポリエチレンオキサイド基を含有するエポキシ樹脂が、反りの抑制および耐熱性に優れる点で好ましい。例えば、エピクロン(登録商標)EXA−4880、エピクロン(登録商標)EXA−4822、リカレジン(登録商標)BEO−60Eは、ポリエチレンオキサイド基を含有するので好ましい。
エポキシ化合物は、樹脂100質量部に対し、5〜50質量部が好ましく、10〜50質量部がより好ましく、10〜40質量部がさらに好ましい。配合量が5質量部以上で硬化膜の反りをより抑制できる。
(オキセタン化合物(オキセタニル基を有する化合物))
オキセタン化合物としては、一分子中にオキセタン環を2つ以上有する化合物、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]メチル}ベンゼン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシルメチル)オキセタン、1,4−ベンゼンジカルボン酸−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メチル]エステル等を挙げることができる。具体的な例としては、東亞合成株式会社製のアロンオキセタンシリーズ(例えば、OXT−121、OXT−221、OXT−191、OXT−223)を好適に使用することができ、これらは単独で、あるいは2種以上混合してもよい。
オキセタン化合物の含有量は、ポリイミド前駆体等100質量部に対し、5〜50質量部が好ましく、10〜50質量部がより好ましく、10〜40質量部がさらに好ましい。
(ベンゾオキサジン化合物(ベンゾオキサゾリル基を有する化合物))
ベンゾオキサジン化合物は、開環付加反応に由来する架橋反応を進行させるため、キュア時に脱ガスが発生せず、さらに熱収縮を小さくして反りの発生が抑えられることから好ましい。
ベンゾオキサジン化合物の好ましい例としては、B−a型ベンゾオキサジン、B−m型ベンゾオキサジン(以上、商品名、四国化成工業(株)製)、ポリヒドロキシスチレン樹脂のベンゾオキサジン付加物、フェノールノボラック型ジヒドロベンゾオキサジン化合物が挙げられる。これらは単独で用いるか、あるいは2種以上混合してもよい。
ベンゾオキサジン化合物の含有量は、樹脂100質量部に対し、5〜50質量部が好ましく、10〜50質量部がより好ましく、10〜40質量部がさらに好ましい。
<<<光重合開始剤>>>
感光性樹脂組成物は、光重合開始剤を含有しても良い。
光重合開始剤としては、特開2016−027357号公報の段落0165〜0182の記載を参酌することができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
光重合開始剤として、より好ましくはオキシム化合物が挙げられる。オキシム化合物を用いることにより、露光ラチチュードをより効果的に向上させることが可能になる。オキシムエステル系化合物は、露光ラチチュード(露光マージン)が広く、かつ、熱塩基発生剤としても働くため、特に好ましい。
オキシム化合物の具体例としては、特開2001−233842号公報に記載の化合物、特開2000−80068号公報に記載の化合物、特開2006−342166号公報に記載の化合物を用いることができる。
好ましいオキシム化合物としては、例えば、下記の構造の化合物や、3−ベンゾオキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、および2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
Figure 2018034299
オキシム化合物としては、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.1653−1660、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.156−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年)pp.202−232の各文献に記載の化合物、特開2000−66385号公報、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報、特開2006−342166号公報、国際公開WO2015/036910号公報の各公報に記載の化合物等が挙げられる。
市販品ではIRGACURE OXE 01、IRGACURE OXE 02、IRGACURE OXE 03、IRGACURE OXE 04(以上、BASF社製)、アデカオプトマーN−1919((株)ADEKA製、特開2012−14052号公報に記載の光重合開始剤2)も好適に用いられる。また、TR−PBG−304(常州強力電子新材料有限公司製)、アデカアークルズNCI−831およびアデカアークルズNCI−930((株)ADEKA製)も用いることができる。また、DFI−091(ダイトーケミックス株式会社製)も用いることができる。
また、オキシム化合物の特定部位に不飽和結合を有する化合物である、特開2009−242469号公報に記載の化合物も好適に使用することができる。
さらにまた、フッ素原子を有するオキシム化合物を用いることも可能である。そのようなオキシム化合物の具体例としては、特開2010−262028号公報に記載されている化合物、特表2014−500852号公報の0345〜0348段落に記載されている化合物24、36〜40、特開2013−164471号公報の0101段落に記載されている化合物(C−3)などが挙げられる。
また、光重合開始剤は、国際公開WO2015/125469号の段落0048〜0055に記載の化合物を用いることもできる。
感光性樹脂組成物が光重合開始剤を含む場合、光重合開始剤の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分に対し0.1〜30質量%が好ましく、より好ましくは0.1〜20質量%であり、さらに好ましくは0.1〜10質量%である。
光重合開始剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。光重合開始剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<<<マイグレーション抑制剤>>>
感光性樹脂組成物は、さらにマイグレーション抑制剤を含むことが好ましい。マイグレーション抑制剤を含むことにより、金属層(金属配線)由来の金属イオンが感光性樹脂組成物層内へ移動することを効果的に抑制可能となる。
マイグレーション抑制剤としては、特に制限はないが、複素環(ピロール環、フラン環、チオフェン環、イミダゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ピラゾール環、イソオキサゾール環、イソチアゾール環、テトラゾール環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、モルホリン環、2H−ピラン環および6H−ピラン環、トリアジン環)を有する化合物、チオ尿素類およびメルカプト基を有する化合物、ヒンダーフェノール系化合物、サリチル酸誘導体系化合物、ヒドラジド誘導体系化合物が挙げられる。特に、トリアゾール、ベンゾトリアゾール等のトリアゾール系化合物、テトラゾール、ベンゾテトラゾール等のテトラゾール系化合物が好ましく使用できる。
また、ハロゲンイオンなどの陰イオンを捕捉するイオントラップ剤を使用することもできる。
その他のマイグレーション抑制剤としては、特開2013−15701号公報の0094段落に記載の防錆剤、特開2009−283711号公報の段落0073〜0076に記載の化合物、特開2011−59656号公報の段落0052に記載の化合物、特開2012−194520号公報の段落0114、0116および0118に記載の化合物などを使用することができる。
マイグレーション抑制剤の具体例としては、1H−1,2,3−トリアゾール、1H−テトラゾールを挙げることができる。
感光性樹脂組成物がマイグレーション抑制剤を含有する場合、マイグレーション抑制剤の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、0.01〜5.0質量%が好ましく、0.05〜2.0質量%がより好ましく、0.1〜1.0質量%がさらに好ましい。
マイグレーション抑制剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。マイグレーション抑制剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<<<重合禁止剤>>>
本実施形態で用いる感光性樹脂組成物は、重合禁止剤を含むことが好ましい。
重合禁止剤としては、例えば、ヒドロキノン、パラメトキシフェノール、ジ−tert−ブチル−パラクレゾール、ピロガロール、パラ−tert−ブチルカテコール、パラベンゾキノン、ジフェニル−パラベンゾキノン、4,4′−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、N−ニトロソ−N−フェニルヒドロキシアミンアルミニウム塩、フェノチアジン、N−ニトロソジフェニルアミン、N−フェニルナフチルアミン、エチレンジアミン四酢酸、1,2−シクロヘキサンジアミン四酢酸、グリコールエーテルジアミン四酢酸、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、5−ニトロソ−8−ヒドロキシキノリン、1−ニトロソ−2−ナフトール、2−ニトロソ−1−ナフトール、2−ニトロソ−5−(N−エチル−N−スルフォプロピルアミノ)フェノール、N−ニトロソ−N−(1−ナフチル)ヒドロキシアミンアンモニウム塩、ビス(4−ヒドロキシ−3,5−tert−ブチル)フェニルメタンなどが好適に用いられる。また、特開2015−127817号公報の段落0060に記載の重合禁止剤、および、国際公開WO2015/125469号の段落0031〜0046に記載の化合物を用いることもできる。
組成物が重合禁止剤を含有する場合、重合禁止剤の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、0.01〜5質量%が好ましい。
重合禁止剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。重合禁止剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<<<熱塩基発生剤>>>
本実施形態で用いる感光性樹脂組成物は、熱塩基発生剤を含んでいてもよい。
熱塩基発生剤としては、その種類等は特に定めるものではないが、40℃以上に加熱すると塩基を発生する酸性化合物、および、pKa1が0〜4のアニオンとアンモニウムカチオンとを有するアンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種を含む熱塩基発生剤を含むことが好ましい。ここで、pKa1とは、酸の第一のプロトンの解離定数(Ka)の対数(−Log10Ka)を表し、詳細は後述する。
このような化合物を配合することにより、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体などの環化反応を低温で行うことができ、また、より安定性に優れた組成物とすることができる。また、熱塩基発生剤は、加熱しなければ塩基を発生しないので、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体などと共存させても、保存中におけるポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体などの環化を抑制でき、保存安定性に優れている。
熱塩基発生剤は、40℃以上に加熱すると塩基を発生する酸性化合物(A1)、および、pKa1が0〜4のアニオンとアンモニウムカチオンとを有するアンモニウム塩(A2)から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
上記酸性化合物(A1)および上記アンモニウム塩(A2)は、加熱すると塩基を発生するので、これらの化合物から発生した塩基により、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体などの環化反応を促進でき、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体などの環化を低温で行うことができる。また、これらの化合物は、塩基により環化して硬化するポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体などと共存させても、加熱しなければポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体などの環化が殆ど進行しないので、安定性に優れたポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体などを含む感光性樹脂組成物を調製することができる。
なお、本明細書において、酸性化合物とは、化合物を容器に1g採取し、イオン交換水とテトラヒドロフランとの混合液(質量比は水/テトラヒドロフラン=1/4)を50mL加えて、室温で1時間撹拌して得られた溶液を、pH(power of hydrogen)メーターを用いて、20℃にて測定した値が7未満である化合物を意味する。
本実施形態において、酸性化合物(A1)およびアンモニウム塩(A2)の塩基発生温度は、40℃以上が好ましく、120〜200℃がより好ましい。塩基発生温度の上限は、190℃以下が好ましく、180℃以下がより好ましく、165℃以下がさらに好ましい。塩基発生温度の下限は、130℃以上が好ましく、135℃以上がより好ましい。
酸性化合物(A1)およびアンモニウム塩(A2)の塩基発生温度が120℃以上であれば、保存中に塩基が発生しにくいので、安定性に優れたポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体などを含む感光性樹脂組成物を調製することができる。酸性化合物(A1)およびアンモニウム塩(A2)の塩基発生温度が200℃以下であれば、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体などの環化温度を低くできる。塩基発生温度は、例えば、示差走査熱量測定を用い、化合物を耐圧カプセル中5℃/分で250℃まで加熱し、最も温度が低い発熱ピークのピーク温度を読み取り、ピーク温度を塩基発生温度として測定することができる。
本実施形態において、熱塩基発生剤により発生する塩基は、2級アミンまたは3級アミンが好ましく、3級アミンがより好ましい。3級アミンは、塩基性が高いので、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体などの環化温度をより低くできる。また、熱塩基発生剤により発生する塩基の沸点は、80℃以上であることが好ましく、100℃以上であることがより好ましく、140℃以上であることがさらに好ましい。また、発生する塩基の分子量は、80〜2000が好ましい。下限は100以上がより好ましい。上限は500以下がより好ましい。なお、分子量の値は、構造式から求めた理論値である。
本実施形態において、上記酸性化合物(A1)は、アンモニウム塩および後述する式(101)または(102)で表される化合物から選ばれる1種以上を含むことが好ましい。
本実施形態において、上記アンモニウム塩(A2)は、酸性化合物であることが好ましい。なお、上記アンモニウム塩(A2)は、40℃以上(好ましくは120〜200℃)に加熱すると塩基を発生する酸性化合物を含む化合物であってもよいし、40℃以上(好ましくは120〜200℃)に加熱すると塩基を発生する酸性化合物を除く化合物であってもよい。
本実施形態において、アンモニウム塩とは、下記式(101)または式(102)で表されるアンモニウムカチオンと、アニオンとの塩を意味する。アニオンは、アンモニウムカチオンのいずれかの一部と共有結合を介して結合していてもよく、アンモニウムカチオンの分子外に有していてもよいが、アンモニウムカチオンの分子外に有していることが好ましい。なお、アニオンが、アンモニウムカチオンの分子外に有するとは、アンモニウムカチオンとアニオンが共有結合を介して結合していない場合をいう。以下、カチオン部の分子外のアニオンを対アニオンともいう。
式(101) 式(102)
Figure 2018034299
式(101)および式(102)中、R〜Rは、それぞれ独立に、水素原子または炭化水素基を表し、Rは炭化水素基を表す。式(101)および式(102)におけるRとR、RとR、RとR、RとRはそれぞれ結合して環を形成してもよい。
アンモニウムカチオンは、下記式(Y1−1)〜(Y1−5)のいずれかで表されることが好ましい。
Figure 2018034299
式(Y1−1)〜(Y1−5)において、R101は、n価の有機基を表し、RおよびRは、式(101)または式(102)の場合と同義である。
式(Y1−1)〜(Y1−5)において、Ar101およびAr102は、それぞれ独立に、アリール基を表し、nは、1以上の整数を表し、mは、0〜5の整数を表す。
本実施形態において、アンモニウム塩は、pKa1が0〜4のアニオンとアンモニウムカチオンとを有することが好ましい。アニオンのpKa1の上限は、3.5以下がより好ましく、3.2以下が一層好ましい。下限は、0.5以上が好ましく、1.0以上がより好ましい。アニオンのpKa1が上記範囲であれば、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体などを低温で環化でき、さらには、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体などを含む感光性樹脂組成物の安定性を向上できる。特に、pKa1が4以下であれば、熱塩基発生剤の安定性が良好で、加熱なしに塩基が発生することを抑制でき、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体などを含む感光性樹脂組成物の安定性が良好である。pKa1が0以上であれば、発生した塩基が中和されにくく、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体などの環化効率が良好である。
アニオンの種類は、カルボン酸アニオン、フェノールアニオン、リン酸アニオンおよび硫酸アニオンから選ばれる1種が好ましく、塩の安定性と熱分解性を両立させられるという理由からカルボン酸アニオンがより好ましい。すなわち、アンモニウム塩は、アンモニウムカチオンとカルボン酸アニオンとの塩がより好ましい。
カルボン酸アニオンは、2個以上のカルボキシル基を持つ2価以上のカルボン酸のアニオンが好ましく、2価のカルボン酸のアニオンがより好ましい。この態様によれば、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体などを含む感光性樹脂組成物の安定性、硬化性および現像性をより向上できる熱塩基発生剤とすることができる。特に、2価のカルボン酸のアニオンを用いることで、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体などを含む感光性樹脂組成物の安定性、硬化性および現像性をさらに向上できる。
本実施形態において、カルボン酸アニオンは、pKa1が4以下のカルボン酸のアニオンであることが好ましい。pKa1は、3.5以下がより好ましく、3.2以下が一層好ましい。この態様によれば、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体などを含む感光性樹脂組成物の安定性をより向上できる。
ここでpKa1とは、酸の第一のプロトンの解離定数の逆数の対数を表し、Determination of Organic Structures by Physical Methods(著者:Brown, H. C., McDaniel, D. H., Hafliger, O., Nachod, F. C.; 編纂:Braude, E. A., Nachod, F. C.; Academic Press, New York, 1955)や、Data for Biochemical Research(著者:Dawson, R.M.C.et al; Oxford, Clarendon Press, 1959)に記載の値を参照することができる。これらの文献に記載の無い化合物については、ACD/pKa(ACD/Labs製)のソフトを用いて構造式より算出した値を用いることとする。
カルボン酸アニオンは、下記式(X1)で表されることが好ましい。
Figure 2018034299
式(X1)において、EWGは、電子求引性基を表す。
本実施形態において電子求引性基とは、ハメットの置換基定数σmが正の値を示すものを意味する。ここでσmは、都野雄甫総説、有機合成化学協会誌第23巻第8号(1965)p.631−642に詳しく説明されている。なお、本実施形態における電子求引性基は、上記文献に記載された置換基に限定されるものではない。
σmが正の値を示す置換基の例としては例えば、CF基(σm=0.43)、CFCO基(σm=0.63)、HC≡C基(σm=0.21)、CH=CH基(σm=0.06)、Ac基(σm=0.38)、MeOCO基(σm=0.37)、MeCOCH=CH基(σm=0.21)、PhCO基(σm=0.34)、HNCOCH基(σm=0.06)などが挙げられる。なお、Meはメチル基を表し、Acはアセチル基を表し、Phはフェニル基を表す。
EWGは、下記式(EWG−1)〜(EWG−6)で表される基であることが好ましい。
Figure 2018034299
式(EWG−1)〜(EWG−6)中、Rx1〜Rx3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基、アルケニル基、アリール基、ヒドロキシル基またはカルボキシル基を表し、Arは芳香族基を表す。
本実施形態において、カルボン酸アニオンは、下記式(XA)で表されることが好ましい。
式(XA)
Figure 2018034299
式(XA)において、L10は、単結合、または、アルキレン基、アルケニレン基、芳香族基、−NR−およびこれらの組み合わせから選ばれる2価の連結基を表し、Rは、水素原子、アルキル基、アルケニル基またはアリール基を表す。
カルボン酸アニオンの具体例としては、マレイン酸アニオン、フタル酸アニオン、N−フェニルイミノ二酢酸アニオンおよびシュウ酸アニオンが挙げられる。これらを好ましく用いることができる。
熱塩基発生剤の具体例としては、以下の化合物を挙げることができる。
Figure 2018034299
Figure 2018034299
Figure 2018034299
熱塩基発生剤を用いる場合、感光性樹脂組成物における熱塩基発生剤の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分に対し、0.1〜50質量%が好ましい。下限は、0.5質量%以上がより好ましく、1質量%以上がさらに好ましい。上限は、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下がさらに好ましい。
熱塩基発生剤は、1種または2種以上を用いることができる。2種以上を用いる場合は、合計量が上記範囲であることが好ましい。
<<<金属接着性改良剤>>>
本実施形態で用いる感光性樹脂組成物は、電極や配線などに用いられる金属材料との接着性を向上させるための金属接着性改良剤を含んでいることが好ましい。金属接着性改良剤の例としては、特開2014−186186号公報の段落0046〜0049や、特開2013−072935号公報の段落0032〜0043に記載のスルフィド系化合物が挙げられる。金属接着性改良剤としては、また、下記化合物(N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]マレイン酸モノアミドなど)も例示される。
Figure 2018034299
金属接着性改良剤は樹脂100質量部に対して好ましくは0.1〜30質量部であり、さらに好ましくは0.5〜15質量部の範囲である。0.1質量部以上とすることで硬化工程後の硬化膜と金属層との接着性が良好となり、30質量部以下とすることで硬化工程後の硬化膜の耐熱性、機械特性が良好となる。
金属接着性改良剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。2種以上用いる場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<<<溶剤>>>
本実施形態で用いる感光性樹脂組成物を塗布によって層状にする場合、溶剤を配合することが好ましい。溶剤は、感光性樹脂組成物を層状に形成できるものであれば、公知のものを任意に使用できる。溶剤としては、エステル類、エーテル類、ケトン類、芳香族炭化水素類、スルホキシド類などの化合物が挙げられる。
エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、オキシ酢酸アルキル(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル)、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等))、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル))、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチルおよび2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(例えば、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等が好適に挙げられる。
エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等が好適に挙げられる。
ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、N−メチル−2−ピロリドン等が好適に挙げられる。
芳香族炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン、アニソール、リモネン等が好適に挙げられる。
溶剤は、塗布面性状の改良などの観点から、2種以上を混合する形態も好ましい。なかでも、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、およびプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液が好ましい。ジメチルスルホキシドとγ−ブチロラクトンとの併用が特に好ましい。
感光性樹脂組成物が溶剤を含有する場合、溶剤の含有量は、塗布性の観点から、感光性樹脂組成物の全固形分濃度が5〜80質量%になる量とすることが好ましく、5〜70質量%がさらに好ましく、10〜60質量%が特に好ましい。溶剤含有量は、所望の厚さと塗布方法に従って調節すればよい。例えば塗布方法がスピンコートやスリットコートであれば上記範囲の固形分濃度となる溶剤の含有量が好ましい。スプレーコートであれば0.1質量%〜50質量%になる量とすることが好ましく、1.0質量%〜25質量%とすることがより好ましい。塗布方法に従って溶剤量を調節することで、所望の厚さの感光性樹脂組成物層を均一に形成することができる。
溶剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。溶剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
また、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミドおよびN,N−ジメチルホルムアミドの含有量は、膜強度の観点から、感光性樹脂組成物の全質量に対して5質量%未満が好ましく、1質量%未満がより好ましく、0.5質量%未満がさらに好ましく、0.1質量%未満が一層好ましい。
<<<その他の添加剤>>>
本実施形態で用いる感光性樹脂組成物は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、各種の添加物、例えば、光塩基発生剤、熱重合開始剤、熱酸発生剤、増感色素、連鎖移動剤、界面活性剤、高級脂肪酸誘導体、無機粒子、硬化剤、硬化触媒、充填剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。これらの添加剤を配合する場合、その合計配合量は組成物の固形分の3質量%以下とすることが好ましい。
(光塩基発生剤)
本実施形態で用いる感光性樹脂組成物は、光塩基発生剤を含んでいてもよい。光塩基発生剤とは、露光により塩基を発生するものであり、常温常圧の通常の条件下では活性を示さないが、外部刺激として電磁波の照射と加熱が行なわれると、塩基(塩基性物質)を発生するものであれば特に限定されるものではない。露光により発生した塩基はポリイミド前駆体およびベンゾオキサゾール前駆体などを加熱により硬化させる際の触媒として働くため、ネガ型において好適に用いることができる。
光塩基発生剤の含有量としては、特に限定されるものではなく、一般的な含有量とすることができる。光塩基発生剤が、樹脂100質量部に対して、0.01質量部以上30質量部未満の範囲内であることが好ましく、0.05質量部〜25質量部の範囲内であることがより好ましく、0.1質量部〜20質量部の範囲内であることがさらに好ましい。
光塩基発生剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。光塩基発生剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
本実施形態においては、光塩基発生剤として公知のものを用いることができる。例えば、M.Shirai, and M.Tsunooka, Prog.Polym.Sci.,21,1(1996);角岡正弘,高分子加工,46,2(1997);C.Kutal,Coord.Chem.Rev.,211,353(2001);Y.Kaneko,A.Sarker, and D.Neckers,Chem.Mater.,11,170(1999);H.Tachi,M.Shirai, and M.Tsunooka,J.Photopolym.Sci.Technol.,13,153(2000);M.Winkle, and K.Graziano,J.Photopolym.Sci.Technol.,3,419(1990);M.Tsunooka,H.Tachi, and S.Yoshitaka,J.Photopolym.Sci.Technol.,9,13(1996);K.Suyama,H.Araki,M.Shirai,J.Photopolym.Sci.Technol.,19,81(2006)に記載されているように、遷移金属化合物錯体や、アンモニウム塩などの構造を有するものや、アミジン部分がカルボン酸と塩を形成することで潜在化されたもののように、塩基成分が塩を形成することにより中和されたイオン性の化合物や、カルバメート誘導体、オキシムエステル誘導体、アシル化合物などのウレタン結合やオキシム結合などにより塩基成分が潜在化された非イオン性の化合物を挙げることができる。
本実施形態に用いることができる光塩基発生剤は、特に限定されず公知のものを用いることができ、例えば、カルバメート誘導体、アミド誘導体、イミド誘導体、αコバルト錯体類、イミダゾール誘導体、桂皮酸アミド誘導体、オキシム誘導体等が挙げられる。
光塩基発生剤としては、例えば、特開2009−80452号公報および国際公開WO2009/123122号で開示されたような桂皮酸アミド構造を有する光塩基発生剤、特開2006−189591号公報および特開2008−247747号公報で開示されたようなカルバメート構造を有する光塩基発生剤、特開2007−249013号公報および特開2008−003581号公報で開示されたようなオキシム構造、カルバモイルオキシム構造を有する光塩基発生剤等が挙げられるが、これらに限定されず、その他にも公知の光塩基発生剤を用いることができる。
その他、光塩基発生剤としては、特開2012−93746号公報の段落0185〜0188、0199〜0200および0202に記載の化合物、特開2013−194205号公報の段落0022〜0069に記載の化合物、特開2013−204019号公報の段落0026〜0074に記載の化合物、ならびに国際公開WO2010/064631号の段落0052に記載の化合物が例として挙げられる。
(熱重合開始剤)
本実施形態で用いる感光性樹脂組成物は、熱重合開始剤(好ましくは熱ラジカル重合開始剤)を含んでいてもよい。熱ラジカル重合開始剤としては、公知の熱ラジカル重合開始剤を用いることができる。
熱ラジカル重合開始剤は、熱のエネルギーによってラジカルを発生し、重合性化合物の重合反応を開始または促進させる化合物である。熱ラジカル重合開始剤を添加することによって、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体の環化反応を進行させる際に、重合性化合物の重合反応を進行させることができる。また、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体がエチレン性不飽和結合を含む場合は、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体の環化と共に、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体の重合反応を進行させることもできるので、より高度な耐熱化が達成できることとなる。
熱ラジカル重合開始剤として、具体的には、特開2008−63554号公報の段落0074〜0118に記載されている化合物が挙げられる。
感光性樹脂組成物が熱ラジカル重合開始剤を含有する場合、熱ラジカル重合開始剤の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分に対し0.1〜50質量%が好ましく、0.1〜30質量%がより好ましく、0.1〜20質量%が特に好ましい。また、重合性化合物100質量部に対し、熱ラジカル重合開始剤を0.1〜50質量部含むことが好ましく、0.5〜30質量部含むことがより好ましい。この態様によれば、より耐熱性に優れた硬化膜を形成しやすい。
熱ラジカル重合開始剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。熱ラジカル重合開始剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
(熱酸発生剤)
本実施形態で用いる感光性樹脂組成物は、熱酸発生剤を含んでいてもよい。熱酸発生剤は、加熱により酸を発生し、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体の環化を促進し硬化膜の機械特性をより向上させる。さらに熱酸発生剤は、ヒドロキシメチル基、アルコキシメチル基またはアシルオキシメチル基を有する化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物およびベンゾオキサジン化合物から選ばれる少なくとも1種の化合物の架橋反応を促進させる効果がある。
また、特開2013−167742号公報の段落0059に記載の化合物も熱酸発生剤として好ましい。
熱酸発生剤の含有量は、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体100質量部に対して0.01質量部以上が好ましく、0.1質量部以上がより好ましい。0.01質量部以上含有することで、架橋反応およびポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体の環化が促進されるため、硬化膜の機械特性および耐薬品性をより向上させることができる。また、その含有量は、硬化膜の電気絶縁性の観点から、20質量部以下が好ましく、15質量部以下がより好ましく、10質量部以下が特に好ましい。
熱酸発生剤は、1種のみ用いても、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
(シランカップリング剤)
本実施形態で用いる感光性樹脂組成物は、基材との密着性を向上させるために、シランカップリング剤を含んでいてもよい。
シランカップリング剤の例としては、特開2014−191002号公報の段落0062〜0073に記載の化合物、国際公開WO2011/080992A1号の段落0063〜0071に記載の化合物、特開2014−191252号公報の段落0060〜0061に記載の化合物、特開2014−41264号公報の段落0045〜0052に記載の化合物、国際公開WO2014/097594号の段落0055に記載の化合物が挙げられる。また、特開2011−128358号公報の段落0050〜0058に記載のように異なる2種以上のシランカップリング剤を用いることも好ましい。
シランカップリング剤の含有量は、樹脂100質量部に対して好ましくは0.1〜20質量部であり、さらに好ましくは1〜10質量部の範囲である。0.1質量部以上であると、基材との充分な密着性を付与することができ、20質量部以下であると室温保存時において粘度上昇等の問題を抑制できる。
シランカップリング剤は、1種のみ用いても、2種以上用いてもよい。2種以上用いる場合は、合計量が上記範囲となることが好ましい。
(増感色素)
本実施形態で用いる感光性樹脂組成物は、増感色素を含んでいてもよい。増感色素は、特定の活性放射線を吸収して電子励起状態となる。電子励起状態となった増感色素は、アミン発生剤、熱ラジカル重合開始剤、光重合開始剤などと接触して、電子移動、エネルギー移動、発熱などの作用が生じる。これにより、アミン発生剤、熱ラジカル重合開始剤、光重合開始剤は化学変化を起こして分解し、ラジカル、酸或いは塩基を生成する。
好ましい増感色素の例としては、以下の化合物類に属しており、かつ、300nmから450nm領域に極大吸収波長を有するものを挙げることができる。例えば、多核芳香族類(例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9.10−ジアルコキシアントラセン)、キサンテン類(例えば、フルオレセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガル)、チオキサントン類(例えば、2,4−ジエチルチオキサントン)、シアニン類(例えばチアカルボシアニン、オキサカルボシアニン)、メロシアニン類(例えば、メロシアニン、カルボメロシアニン)、チアジン類(例えば、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルー)、アクリジン類(例えば、アクリジンオレンジ、クロロフラビン、アクリフラビン)、アントラキノン類(例えば、アントラキノン)、スクアリリウム類(例えば、スクアリリウム)、クマリン類(例えば、7−ジエチルアミノ−4−メチルクマリン)、スチリルベンゼン類、ジスチリルベンゼン類、カルバゾール類等が挙げられる。
感光性樹脂組成物が増感色素を含む場合、増感色素の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分に対し、0.01〜20質量%が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましく、0.5〜10質量%がさらに好ましい。増感色素は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
(連鎖移動剤)
本実施形態で用いる感光性樹脂組成物は、連鎖移動剤を含有してもよい。連鎖移動剤は、例えば高分子辞典第三版(高分子学会編、2005年)683−684頁に定義されている。連鎖移動剤としては、例えば、分子内にSH、PH、SiH、GeHを有する化合物群が用いられる。これらは、低活性のラジカルに水素を供与して、ラジカルを生成するか、もしくは、酸化された後、脱プロトンすることによりラジカルを生成しうる。特に、チオール化合物(例えば、2−メルカプトベンズイミダゾール類、2−メルカプトベンズチアゾール類、2−メルカプトベンズオキサゾール類、3−メルカプトトリアゾール類、5−メルカプトテトラゾール類等)を好ましく用いることができる。
感光性樹脂組成物が連鎖移動剤を含有する場合、連鎖移動剤の好ましい含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分100質量部に対し、好ましくは0.01〜20質量部、さらに好ましくは1〜10質量部、特に好ましくは1〜5質量部である。
連鎖移動剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。連鎖移動剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
(界面活性剤)
本実施形態で用いる感光性樹脂組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種類の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種類の界面活性剤を使用できる。また、下記界面活性剤も好ましい。
Figure 2018034299
感光性樹脂組成物が界面活性剤を含有する場合、界面活性剤の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、0.001〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005〜1.0質量%である。
界面活性剤は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。界面活性剤が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
(高級脂肪酸誘導体)
本実施形態で用いる感光性樹脂組成物には、酸素に起因する重合阻害を防止するために、ベヘン酸やベヘン酸アミドのような高級脂肪酸誘導体を添加して、塗布後の乾燥の過程で組成物の表面に偏在させてもよい。
感光性樹脂組成物が高級脂肪酸誘導体を含有する場合、高級脂肪酸誘導体の含有量は、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、0.1〜10質量%が好ましい。
高級脂肪酸誘導体は1種のみでもよいし、2種以上であってもよい。高級脂肪酸誘導体が2種以上の場合は、その合計が上記範囲であることが好ましい。
<<<その他の含有物質についての制限>>>
本実施形態で用いる感光性樹脂組成物の水分含有量は、塗布面性状の観点から、5質量%未満が好ましく、1質量%未満がさらに好ましく、0.6質量%未満が特に好ましい。
本実施形態で用いる感光性樹脂組成物の金属含有量は、絶縁性の観点から、5質量ppm(parts per million)未満が好ましく、1質量ppm未満がさらに好ましく、0.5質量ppm未満が特に好ましい。金属としては、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、クロム、ニッケルなどが挙げられる。金属を複数含む場合は、これらの金属の合計が上記範囲であることが好ましい。
また、感光性樹脂組成物に意図せずに含まれる金属不純物を低減する方法としては、感光性樹脂組成物を構成する原料として金属含有量が少ない原料を選択する、感光性樹脂組成物を構成する原料に対してフィルター濾過を行う、装置内をポリテトラフロロエチレン等でライニングしてコンタミネーションを可能な限り抑制した条件下で蒸留を行う等の方法を挙げることができる。
本実施形態で用いる感光性樹脂組成物は、ハロゲン原子の含有量が、配線腐食性の観点から、500質量ppm未満が好ましく、300質量ppm未満がより好ましく、200質量ppm未満が特に好ましい。中でも、ハロゲンイオンの状態で存在するものは、5質量ppm未満が好ましく、1質量ppm未満がさらに好ましく、0.5質量ppm未満が特に好ましい。ハロゲン原子としては、塩素原子および臭素原子が挙げられる。塩素原子および臭素原子、あるいは塩素イオンおよび臭素イオンの合計がそれぞれ上記範囲であることが好ましい。
<露光現像工程>
本発明では、基材上に位置する感光性樹脂層を露光し、現像して、2つ以上の樹脂領域を形成する。本発明では、2つ以上の樹脂領域を形成することにより、レーザーカッター等を用いなくても、チップを個片化することができる。露光現像後の樹脂領域は、通常は、感光性はない。
本発明における樹脂領域は、上記感光性樹脂層を露光し、現像してなる。従って、上述した樹脂以外の成分を含んでいる場合もある。
本発明では、1つの基材の上に、樹脂領域が2〜100000個形成されていることが好ましく、4〜10000個形成されていることがより好ましい。樹脂領域同士の間隔は、例えば、1μm〜5mmとすることができる。
本実施形態では、感光性樹脂層2を露光および現像して、樹脂領域22を製造する。樹脂領域22の厚さは、感光性樹脂層2の厚さと同様であり、0.1〜100μmが好ましく、1〜50μmがより好ましく、3〜20μmがさらに好ましい。
露光の条件は、特に定めるものではなく、感光性樹脂層2の露光部の現像液に対する溶解度を変化させられることが好ましく、感光性樹脂層2の露光部を硬化できることがより好ましい。
露光波長の下限は、100nm以上が好ましく、190nm以上がより好ましく、240nm以上がさらに好ましい。露光波長の上限は、500nm以下が好ましく、400nm以下がより好ましい。
露光量は、波長365nmでの露光エネルギー換算で100〜10000mJ/cmであることが好ましく、200〜8000mJ/cmであることがより好ましい。
露光に際し、所望の樹脂領域22を形成するため、マスク3を用いることが好ましい。マスクは、複数の樹脂領域22を形成できるように設計される。ネガ型現像処理を行う場合、マスクで覆われて露光されない領域が樹脂領域22として残る。本発明では、露光現像によって、樹脂領域22がチップを分割するラインに沿って形成される。さらに、非露光部(マスク)は、後述する図2に示すように、電極や配線などを設けるための、貫通孔となる、コンタクトホール、配線を設ける部位、電極を設ける部位などの開口部も、一緒に形成できるように設計されてもよい。
現像処理は、ポジ型現像処理であっても、ネガ型現像処理であってもよいが、ネガ型現像処理が好ましい。ネガ型現像処理を行うことにより、露光されていない部分(非露光部)が除去される。現像方法は、特に制限は無く例えば、パドル、スプレー、浸漬、超音波等の現像方法が採用可能である。
現像は現像液を用いて行うことが好ましい。現像液は、露光されていない部分(非露光部)が除去されるものであれば、特に制限なく使用できる。有機溶剤を用いた現像が好ましく、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトン、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等、並びに、エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等が挙げられる。
ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、N−メチル−2−ピロリドン等が挙げられる。
芳香族炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン、アニソール、リモネン等が挙げられる。
スルホキシド類としてジメチルスルホキシドが好適に挙げられる。
中でも3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、およびプロピレングリコールメチルエーテルアセテートが好ましく、シクロペンタノン、γ−ブチロラクトンがより好ましい。
現像時間は、10秒間〜5分間が好ましい。
現像時の温度は、特に定めるものではないが、通常、20〜40℃とすることができる。
現像液を用いた処理の後、さらに、リンスを行ってもよい。リンスは、現像液とは異なる溶剤で行うことが好ましい。例えば、感光性樹脂組成物に含まれる溶剤を用いてリンスすることができる。リンス時間は、5秒間〜1分間が好ましい。
<熱および光の少なくとも一方を適用する工程>
本実施形態では、露光現像工程より後に、樹脂領域に熱および光の少なくとも一方を適用する工程を含んでいることが好ましい。
感光性樹脂層(あるいは感光性樹脂組成物層)が、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体から選択される少なくとも1種を含む場合、熱を適用することにより、ポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体の環化反応を進行させることができる。また、感光性樹脂層が、ポリイミドやポリベンゾオキサゾールである場合でも、架橋剤と共に加熱して、3次元ネットワーク構造を形成することができる。さらに、感光性樹脂組成物が、ラジカル重合性化合物等を含有する場合、熱および光の少なくとも一方を適用することにより、未反応のラジカル重合性化合物の硬化なども進行させることができる。
熱を適用する場合、通常、感光性樹脂層を、感光性樹脂層を構成する樹脂のガラス転移温度以上の温度に昇温する。また、昇温した場合の最終到達温度は、感光性樹脂層がポリイミド前駆体およびポリベンゾオキサゾール前駆体から選択される少なくとも1種を含む場合、感光性樹脂層に含まれる樹脂の環化温度以上であることが好ましい。
昇温した場合の最終到達温度は、最高加熱温度であることが好ましい。最高加熱温度としては、100〜500℃が好ましく、150〜450℃がより好ましく、160〜350℃がさらに好ましい。
昇温は、20〜150℃の温度から最高加熱温度まで1〜12℃/分の昇温速度で行うことが好ましく、2〜11℃/分がより好ましく、3〜10℃/分がさらに好ましい。昇温速度を1℃/分以上とすることにより、生産性を確保しつつ、アミンの過剰な揮発を防止することができ、昇温速度を12℃/分以下とすることにより、加熱後の膜の残留応力を緩和することができる。
加熱開始時の温度は、20〜150℃が好ましく、20℃〜130℃がより好ましく、25℃〜120℃がさらに好ましい。加熱開始時の温度は、最高加熱温度まで加熱する工程を開始する際の温度のことをいう。例えば、感光性樹脂組成物を基材の上に適用した後、乾燥させる場合、この乾燥後の温度であり、例えば、感光性樹脂組成物に含まれる溶剤の沸点−(30〜200)℃から徐々に昇温させることが好ましい。
加熱は段階的に行ってもよい。例として、25℃〜180℃まで3℃/分で昇温し、180℃にて60分間置き、180〜200℃まで2℃/分で昇温し、200℃にて120分間置く、といった前処理工程を行ってもよい。前処理工程としての加熱は100〜200℃が好ましく、110〜190℃であることがより好ましく、120〜185℃であることが最も好ましい。この前処理工程においては、米国特許9159547号に記載のとおり紫外線を照射しながら処理することも好ましい。このような前処理工程により加熱後の膜の特性を向上させることが可能である。前処理工程は10秒間〜2時間程度の短い時間で行うことが好ましく、15秒間〜30分間がより好ましい。前処理工程は2段階以上のステップとしてもよく、例えば100〜150℃の範囲で前処理工程1を行い、その後に150〜200℃の範囲で前処理工程2を行ってもよい。
昇温時間は、20〜200分間であることが好ましく、20〜100分間であることがより好ましい。
本実施形態では、昇温により最終到達温度に到達した後、上記最終到達温度で30〜360分間加熱を行うことが好ましく、30〜300分間加熱を行うことがさらに好ましく、30〜240分間加熱を行うことが特に好ましい。
本実施形態では、昇温工程後に感光性樹脂層を冷却することが好ましい。冷却速度は、2℃/分以下であることが好ましく、1℃/分以下であることがより好ましい。冷却工程の降温速度は0.1℃/分以上であることが好ましい。冷却時間は、30〜600分間であることが好ましく、60〜600分間であることがより好ましく、120〜600分間であることが特に好ましい。
冷却後の温度が感光性樹脂層のガラス転移温度(Tg)より30℃以上低いことが好ましい。冷却後の温度が感光性樹脂層のTgより30℃以上低い温度まで降温すれば、ポリイミドが十分に硬化し、かつ層間剥離の発生を抑制しやすい。
<デバイス材料適用工程>
本発明の製造方法は、感光性樹脂層2または樹脂領域22の面上であって、基材1側の面とは反対側の面上に、デバイス材料を適用するデバイス材料適用工程を含む。
デバイス材料は、感光性樹脂層2、すなわち、露光現像工程の前に行ってもよいし、樹脂領域22、すなわち、露光現像工程の後に行ってもよい。本発明では、露光現像工程より後に、デバイス材料適用工程を行うことが好ましい。
また、樹脂領域に熱および光の少なくとも一方を適用する工程を経る場合、上記工程の後にデバイス材料適用工程を行うことが好ましい。
デバイス材料の適用方法としては、印刷法、フォトリソグラフィー法、インクジェット法、インプリント法、マスク蒸着法およびレーザーアブレーション法から選択されることが好ましく、印刷法がより好ましい。
印刷法としては、スクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷、凸版印刷、タンポ印刷が例示される。
フォトリソグラフィー法としては、エッチング法、リフトオフ法、ダイレクトリソグラフィー法が例示される。
インクジェット法としては、ピエゾ法、サーマル法、電解加速法が例示される。
インプリント法としては、レジストインプリント法、樹脂インプリント法、導電ペーストインプリント法が例示される。
マスク蒸着法としては、スパッタ法、CVD(chemical vapor deposition)法、PVD(Physical Vapor Deposition)法、メタルマスク法などが例示される。
レーザーアブレーション法としては、レジストアブレーション法、ダイレクトアブレーション法が挙げられる。
デバイス材料としては、導電体材料、半導体材料、絶縁体材料および電子デバイスから選択される1種以上であることが好ましい。
導電体材料としては、Cu、Al、Au、Ag、Ni等の金属、および、Agペースト、Cuペースト、Auペースト、Niペースト等の有機ペーストが例示される。
半導体材料としては、Si、SiC、GaAs、InGaAs、InSb、GaN等の無機半導体材料、および、ペンタセン、アントラセン、ルブレン、テトラシアノキノジメタン、ポリアセチレン、ポリ-3-ヘキシルチオフェン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリピロール、ポリアニリン、フタロシアニン等の有機半導体材料が例示される。
絶縁体材料としては、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ガラス等の無機絶縁体材料、および、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、フッ素樹脂、フェノール樹脂などの有機絶縁体材料が例示される。
電子デバイスとしては、表示デバイス、発光デバイス、センサーデバイス、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイス、通信デバイス、ロジックデバイス、メモリーデバイス、電源デバイス、発電デバイスが例示される。
表示デバイスとしては、有機EL、液晶、エレクトロクロミック、LED(発光ダイオード)アレイが例示される。
発光デバイスとしては、LED、半導体レーザーが例示される。センサーデバイスとしては、フォトダイオード、CMOS(シーモス)イメージセンサー、シリコンマイク、タッチセンサー、振動センサー、地磁気センサー、加速度センサー、ガスセンサー、液体センサー、電磁波センサー、GPS(Global Positioning System)が例示される。
MEMSデバイスとしては、光スキャナー、光スイッチ、加速度センサー、圧力センサー、ジャイロスコープ、マイクロ流路、インクジェットヘッドが例示される。
通信デバイスとしては、アンテナ、マイクロ波発信機・受信機、BlueTooth(登録商標)、WiFiが例示される。
ロジックデバイスとしては、CPU(中央処理装置)、MPU(Microprocessor)、FPGA(field-programmable gate array)、Gate Array、画像処理チップが例示される。
メモリーデバイスとしては、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、SRAM(Static Random Access Memory)、フラッシュメモリー、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)が例示される。
電源デバイスとしては、Liイオン電池、キャパシターが例示される。
発電デバイスとしては、振動発電、熱発電、電磁波発電が例示される。
<樹脂領域個片化工程>
本発明では、基材1を、樹脂領域22から分離する工程を含む。基材1を分離することにより、樹脂領域は個片化され、チップ4が得られる。
基材を、樹脂領域から分離する方法の第1の実施形態は、図1に示すように、基材1として、透明基材を用い、基材1の樹脂領域22側の面とは反対側の面から、光を照射することにより、基材1を樹脂領域22と分離する方法である。
光の種類としては、紫外線、赤外線、可視光線などが例示され、樹脂領域22を構成する樹脂の種類等に応じて、適宜定めることができる。
紫外線を用いる場合、固体レーザーとしては、波長355nmの紫外線、ガスレーザー(エキシマレーザー)としては、波長351nm、308nm、248nmの各紫外線、半導体レーザーとしては、波長405nm、365nmの各紫外線が例示される。
赤外線を用いる場合、固体レーザーとしては、波長1064nmの赤外線、半導体レーザーとしては、波長980nm、905nm、850nm、830nm、780nmの各赤外線が例示される。
可視光線を用いる場合、固体レーザーとしては、波長532nm、半導体レーザーとしては、波長690nm、635nm、532nm、450nmの各可視光線が例示される。
本発明では、光照射は、パルスレーザー照射が望ましい。また、パルス幅は、5ns以下が好ましく、3ps以下が更に好ましい。このような構成とすることにより、剥離する樹脂領域層の材料の熱劣化をより少なくすることができ、残渣、変色、表面荒れなどを抑制できる。
本発明では、また、上記照射する光の波長における上記樹脂領域の吸光度が0.5以上であることが好ましい。このような構成とすることにより、樹脂領域が、ポリイミドおよびポリベンゾオキサゾールから選択される少なくとも1種の樹脂を用いる場合、光に対する耐久性を高くすることができる。さらに、照射する光の波長における樹脂領域の吸光度が0.5以上となるように照射することにより、光の吸収により、樹脂領域の透明基材近傍が局所的に発熱するため、樹脂領域の全体が発熱することによる膜質劣化を避けながら、透明基材の界面でアブレーションすることができ、透明基材を、樹脂領域から、容易に剥離することが可能となる。
上記吸光度は、0.8以上が好ましく、1.0以上がより好ましく、1.2以上がさらに好ましい。上記吸光度の上限値は、特に無く、高いほど好ましいが、例えば、9以下、さらには6以下、特には5以下でも十分に本発明の効果を達成できる。
光の照射の際には、焦点は、基材と樹脂領域の界面±10μmの距離の位置にするのが好ましい。また、光源は、100〜1000000μmの面積で、繰り返し周波数10〜5000Hz、走査速度0.1〜1000mm/sであることが好ましい。走査ピッチは、1〜100μmであることが好ましい。露光量としては、0.5〜50J/cmであることが好ましい。
また、後述するように、光照射等によって離型力を小さくできる剥離層などを設けることによって、透明基材を樹脂領域から剥離しやすくしてもよい。
さらに、第1の実施形態では、基材が、乾燥やポストベーク等の製造プロセスにおける加熱によっては、樹脂領域から分離しない構成とするとよい。このような構成とすることにより、製造プロセス中の加熱によって、基材が感光性樹脂層や樹脂領域から分離してしまうのを効果的に抑制できる。
基材を、樹脂領域から分離する方法の第2の実施形態は、基材に熱エネルギーを付与することにより、上記基材を樹脂領域と分離することである。好ましくは、基材の表面に熱により物性が変化する層などを設けておき、熱によって、上記層の物性を変化させて、分離することが考えられる。具体的には、熱発泡(例えば、日東電工(株)製のリバアルファ)、熱溶融(例えば、ワックス)、熱スライド(Brewer Science)が例示される。
第2の実施形態において、基材を樹脂領域から分離する工程よりも前の工程において、乾燥やポストベーク等の加熱工程を有する場合、上記前の工程における加熱は、上記熱エネルギーの付与によって加熱される温度よりも低い温度で行うとよい。
基材を、樹脂領域から分離する方法の第3の実施形態は、基材に光エネルギーを付与することにより、基材の表面の物性が変化し、上記基材を樹脂領域と分離することである。好ましくは、基材の表面に光照射により物性が変化する層などを設けておき、光によって、上記層の物性を変化させて、分離することが考えられる。具体的には、紫外線発泡(例えば、積水化学社製のUV剥離テープSELFA−SEなど)、紫外線で接着力が低下する接着層などが例示される。
基材を、樹脂領域から分離する方法の第4の実施形態は、仮接着剤層を用いる態様である。基材と感光性樹脂層の間に、仮接着剤層を設けて、基材と感光性樹脂層を仮固定し、上記仮接着剤層を剥離することにより、上記基材と上記樹脂領域を分離する方法である。具体的には、基材と感光性樹脂層の間に、仮接着剤層を設け、かつ、仮接着剤層と基材の界面、もしくは、仮接着剤層と樹脂領域の間を剥離することにより、または、仮接着剤層を溶解除去することにより、基材と樹脂領域を分離することが挙げられる。
基材と感光性樹脂層の間に仮接着剤層を設ける方法としては、基材の表面に、仮接着剤層を形成し、上記仮接着剤層の表面に感光性樹脂組成物を適用して感光性樹脂層を設けてもよいし、基材と予めフィルム状に成形された感光性樹脂層を仮接着剤で貼り合わせてもよい。

仮接着剤層を構成する仮接着剤の例としては、特開2014−189731号公報に記載の仮接着剤や特開2014−189696号公報に記載の仮接着剤を用いることができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。剥離の方法としては、手でまたは機械を用いて物理的に剥離する方法や、仮接着層を溶剤に溶解して剥離する方法が例示される。手または機械を用いて剥離する場合は、仮接着剤層と基材の界面、または、仮接着剤層と樹脂領域の界面を剥離することが好ましい。
溶剤としては、有機溶剤が例示される。さらに、剥離に用いる溶剤に、酸、アルカリ、界面活性剤等を配合してもよい。
また、基材/離型層/仮接着剤層/樹脂領域、または、基材/仮接着剤層/離型層/樹脂領域の層構成とし、離型層を脱離・除去することにより、剥離する方法も例示される。

離型層と仮接着剤層を用いる場合、特開2015−50269号公報に記載の接着剤層前駆体や保護層を用いることができ、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
図2は、本発明のチップの製造方法の他の一例を示す概略図であって、符号1〜3は図1と共通する。また、5はチップを、6は開口部を、222は樹脂領域を示している。
図2では、上記露光現像により、上記樹脂領域222内に、開口部を形成することを含む。すなわち、露光現像の際に、2つ以上の樹脂領域を形成することに加え、各樹脂領域に開口部6を形成する。このような開口部6は、樹脂領域222の基材側表面から、反対側の表面まで貫通するように設けることが好ましい。上記開口部6は、配線や電極などを形成する領域として好ましく用いられる。
すなわち、図2に示す製造方法では、デバイス材料を、上記開口部6から、上記基材1表面に接するように適用する。そして、デバイス材料適用工程後、さらに、上記デバイス材料に接するように第2のデバイス材料を適用する工程を含むことにより、例えば、デバイス材料として、導電体材料を適用して電極を形成した後、上記電極に接続するように電子デバイスを設けることができる。そうすると、図2に示すように、樹脂領域222内の開口部6に電極が埋め込まれ、さらに、電子デバイスが搭載されたチップ5が得られる。
また、樹脂領域222内の開口部6に基材1の表面に接するようにデバイス材料を適用しても、基材1と樹脂領域222が密着しているため、デバイス材料が基材1から脱落することなく、プロセスを通すことができる。また、レーザー照射により基材1と樹脂領域222を剥離する際には、デバイス材料も樹脂領域222と共に基材1から剥離されるため、レーザー剥離機能を持たないデバイス材料を、レーザー剥離機能を持つのと同じように用いることができる。この場合、デバイス材料と基材の接触面積が、樹脂領域222と基材1の接触面積の10%以下にすることが望ましい。
<積層体>
本発明では、基材と、上記基材上に位置する2つ以上の樹脂領域と、上記樹脂領域それぞれの、上記基材側の面とは反対側の面上(好ましくは表面上)に位置するデバイス材料とを有する積層体を開示する。このような積層体を経ることにより、チップを容易に製造することが可能になる。
基材、樹脂領域、デバイス材料、その他の好ましい範囲は、上記チップの製造方法の所で述べたものと同じである。また、本発明の好ましい実施形態は、図1または図2で示す樹脂領域個片化工程(基材を樹脂領域から分離する工程)前の積層体である。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。「部」、「%」は特に述べない限り、質量基準である。
[実施例1]
<ポリイミド前駆体の合成>
<<4,4’−オキシジフタル酸二無水物、4,4’−オキシジアニリンおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレートからのポリイミド前駆体Aa−1(ラジカル重合性基を有するポリイミド前駆体)の合成>>
20.0g(64.5ミリモル)の4,4’−オキシジフタル酸二無水物(4,4’−オキシジフタル酸を140℃で12時間乾燥したもの)と、18.6g(129ミリモル)の2−ヒドロキシエチルメタクリレートと、0.05gのハイドロキノンと、10.7gのピリジンと、140gのダイグライム(ジエチレングリコールジメチルエーテル)を混合した。混合物を60℃の温度で18時間撹拌して、4,4’−オキシジフタル酸と2−ヒドロキシエチルメタクリレートのジエステルを製造した。次いで、反応混合物を−10℃に冷却し、温度を−10±4℃に保ちながら16.12g(135.5ミリモル)のSOClを10分かけて加えた。反応混合物を50mLのN−メチルピロリドンで希釈した後、反応混合物を室温で2時間撹拌した。次いで、100mLのN−メチルピロリドンに11.08g(58.7ミリモル)の4,4’−オキシジアニリンを溶解させた溶液を、20〜23℃で20分かけて反応混合物に滴下した。次いで、反応混合物を室温で1晩撹拌した。次いで、5リットルの水の中に反応混合物を加えて、ポリイミド前駆体を沈殿させた。水およびポリイミド前駆体の混合物を5000rpmの速度で15分間撹拌した。水およびポリイミド前駆体の混合物を濾過して、濾液を除き、4リットルの水の中にポリイミド前駆体を含む残渣を加えた。水およびポリイミド前駆体の混合物を再度30分間撹拌し、再び濾過して、残渣としてポリイミド前駆体を得た。次いで、得られたポリイミド前駆体を減圧下で、45℃で3日間乾燥し、ポリイミド前駆体Aa−1を得た。
ポリイミド前駆体Aa−1の構造を以下に示す。
Figure 2018034299
<感光性樹脂組成物の調製>
下記の成分を混合し、均一な溶液として、感光性樹脂組成物を調製した。
<<感光性樹脂組成物A−1の組成>>
感光性樹脂:ポリイミド前駆体(Aa−1) 32質量部
重合性化合物B−1 6.9質量部
光重合開始剤C−1 1.0質量部
重合禁止剤:パラベンゾキノン(東京化成工業社製) 0.08質量部
マイグレーション抑制剤:1H−テトラゾール(東京化成工業社製)
0.12質量部
金属接着性改良剤:N−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]マレイン酸モノアミド 0.70質量部
溶剤:γ−ブチロラクトン 48.00質量部
溶剤:ジメチルスルホキシド 12.00質量部
各添加剤の詳細は以下のとおりである。
B−1:NKエステル A−9300(新中村化学工業(株)製、3官能アクリレート、下記構造)
Figure 2018034299
C−1:特表2014−500852号公報の段落0345に記載されている化合物24
Figure 2018034299
<樹脂領域の形成>
上記感光性樹脂組成物を、細孔の幅が0.8μmのフィルターを通して、0.4MPaの圧力をかけて濾過した。濾過後、感光性樹脂組成物を透明基材(100mm×100mmサイズ、厚さ0.6mmのガラス基材)の表面にスピンコート法により塗布して層状にし、ホットプレートにて、100℃で5分間乾燥し、10μmの厚さの均一な感光性樹脂層を得た。
得られた透明基材と感光性樹脂層からなる積層体の感光性樹脂層側を、ステッパー(Nikon NSR 2005 i9C)を用い、露光マスク(チップ分割ラインを遮光し、チップ内は透過する形状のマスク)で部分的に覆い、365nm(i線)の露光波長で、500mJ/cmの露光エネルギーで露光した。露光後に、露光部と未露光部を有する樹脂膜をシクロペンタノンで60秒間スピン洗浄して未露光部を除去した(ネガ型現像)。さらに、プロピレングリコール−1−モノメチルエーテル−2−アセタート(PGMEA)でリンスして残渣を除去した。
次いで、室温から昇温して、最高加熱温度が350℃に達してから1時間加熱して樹脂領域を硬化させ、その後室温まで冷却した。透明基材の表面に、厚さ6μmで、チップ分割ラインに沿って分割された樹脂領域が得られた。
<樹脂領域へのデバイス材料の適用>
N,N−ジメチル−1,3−ジアミノプロパン(東京化成社製、特級)2.04g(20.0mmol)と、n−オクチルアミン(花王社製、純度98%)1.94g(15.0mmol)と、n−ドデシルアミン(関東化学社製、特級)0.93g(5.0mmol)とを混合し、この混合溶液にシュウ酸銀(関東化学社製、一級)とシュウ酸アンモニウム一水和物またはシュウ酸二水和物(関東化学社製、特級)から合成したもの6.08g(20.0mmol)を加え、3分間撹拌し、シュウ酸イオン・アルキルアミン・アルキルジアミン・銀錯化合物を調製した。これを95℃で20〜30分間加熱撹拌すると、二酸化炭素の発泡を伴う反応が完結し、青色光沢を呈する懸濁液へと変化した。これにメタノール(関東化学社製、一級)10mLを加え、遠心分離により得られた沈殿物を自然乾燥すると、青色光沢の被覆銀超微粒子の固体物4.62g(銀基準収率97.0%)が得られた。この固体物をn−ブタノール(関東化学社製、特級)とn−オクタン(関東化学社製、特級)の混合溶剤(4/1:体積比)4.62gに分散し、導電性ペーストを得た。
上記で得られた導電性ペーストを、DP−320型スクリーン印刷機(ニューロング精密工業株式会社製)を用い、樹脂領域の表面に、L/S=75/75μmの配線、および、直径100μmのバンプの回路(420メッシュスクリーンを使用)の印刷を行った。ついで、一部のバンプ上に、LED(発光ダイオード)デバイスを、LEDデバイスの電極と印刷したバンプの回路の位置が対応するように、接続した。その後、オーブンで230℃、1時間ベークを行った。
<基材分離工程>
次いで、ガラス基材を、デバイスが搭載された樹脂領域と分離した。具体的には、レーザーデボンドを用い、ガラス基材の樹脂領域が設けられていない側から、ガラス基材と樹脂領域の界面に光を照射した。光照射は、波長355nm、パルス(YAG)レーザ(パルス幅:5ns)の条件で、ガラス基材と樹脂領域の界面に焦点を合せた60μm角のレーザビーム(繰返し周波数50Hz)を1.5mm/sで全面に走査して行った。フルエンス2J/cmの光照射を行うことにより、ガラス基材を樹脂領域から分離した。
樹脂領域の、照射する光の波長(355nm)における吸光度(OD)は、4.8であった。結果、LEDデバイスが搭載された樹脂領域(チップ)が、ガラス基材に非接着の状態で載った状態となった。チップをチップハンドラーにて、取り外し、LEDデバイスが搭載されたフレキシブルデバイスチップが得られた。
<<樹脂領域の吸光度の測定>>
照射する光の波長における樹脂領域の吸光度の測定は以下の方法により行った。
透明基材上の樹脂領域の任意の5か所を選んで、照射した光の波長における吸光度を測定し、平均値を求めた。吸光度の測定は、日立ハイテクサイエンス製のU−3900を用いた。
[実施例2]
上記実施例1において、レーザーを発振波長308nm、パルス幅3psのエキシマレーザーに変更し、他は同様に行った。実施例1と同様にチップが得られた。
[実施例3]
実施例1と同様に、<ポリイミド前駆体の合成>および<感光性樹脂組成物の調製>を行った。
ついで、実施例1の<樹脂領域の形成>において、露光マスクとして、チップ分割ラインを遮光し、チップ内は、電極部に対応する部分のみ遮光し、他の部分は、透過する形状のマスクを用いたこと以外、実施例1と同様に行った。この結果、透明基材の表面に、厚さ6μmで、チップ分割ラインに沿って分割された樹脂領域であって、電極部を形成するための開口部(貫通孔)が形成された樹脂領域が得られた。
<樹脂領域へのデバイス材料の適用>
DP−320型スクリーン印刷機(ニューロング精密工業株式会社製)を用い、樹脂領域の上記電極部を形成するための開口部に対応する位置のみに銀ペーストが透過するようなスクリーンマスクを用いて、上記開口部内に電極を形成した。
次いで、実施例1と同様に行って、L/S=75/75μmの配線、および、直径100μmのバンプの回路(420メッシュスクリーンを使用)を印刷した。
さらに、ロジックIC(集積回路)チップを、ICチップの電極と印刷したバンプの回路の位置が対応するように、接続した。その後、オーブンで230℃、1時間ベークを行った。
次いで、実施例1の<基材分離工程>と同様に行った。
結果、ICチップが搭載され、かつ、ICチップと接続している電極を内部に有する樹脂領域(チップ)が、ガラス基材に非接着の状態で載った状態となった。チップをチップハンドラーにて取り外し、ICチップが搭載されたフレキシブルデバイスチップが得られた。
1 基材
2 感光性樹脂層
3 マスク
4 チップ
5 チップ
6 開口部
22 樹脂領域
222 樹脂領域
31 基材
32 樹脂膜
33 デバイス
34 チップ

Claims (21)

  1. 基材上に位置する感光性樹脂層を露光し、現像して、2つ以上の樹脂領域を形成する露光現像工程と、
    前記感光性樹脂層または前記樹脂領域の面上であって、前記基材側の面とは反対側の面上に、デバイス材料を適用するデバイス材料適用工程と、
    前記デバイス材料適用工程後に、前記基材を前記樹脂領域から分離して、前記樹脂領域を個片化する、チップの製造方法。
  2. 前記露光現像工程より後に、デバイス材料適用工程を行う、請求項1に記載のチップの製造方法。
  3. 前記デバイス材料適用工程前に、樹脂領域に熱および光の少なくとも一方を適用する工程を含む、請求項2に記載のチップの製造方法。
  4. 前記デバイス材料は、導電体材料、半導体材料、絶縁体材料および電子デバイスから選択される1種以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のチップの製造方法。
  5. 前記現像は、ネガ型現像である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のチップの製造方法。
  6. 前記樹脂領域が前記基材の表面に位置する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のチップの製造方法。
  7. 前記基材は、透明基材であり、前記基材の樹脂領域側の面とは反対側の面から、光を照射することにより、前記基材を前記樹脂領域と分離することを含む、請求項6に記載のチップの製造方法。
  8. 前記基材に熱エネルギーを付与することにより、前記基材を樹脂領域と分離することを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のチップの製造方法。
  9. 前記基材と感光性樹脂層の間に仮接着剤層を設け、かつ、前記仮接着剤層と前記基材の界面、もしくは、前記仮接着剤層と前記樹脂領域の界面を剥離することにより、または、前記仮接着剤層を溶解除去することにより、前記基材を前記樹脂領域から分離する、請求項1〜5のいずれか1項に記載のチップの製造方法。
  10. 前記樹脂領域は、ポリイミド樹脂またはポリベンゾオキサゾール樹脂を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載のチップの製造方法。
  11. 前記デバイス材料適用工程後、さらに、前記デバイス材料に接するように第2のデバイス材料を適用することを含む、請求項1〜10のいずれか1項に記載のチップの製造方法。
  12. 前記基材は、基材面の最も長い部分の長さが50〜4000mmである、請求項1〜11のいずれか1項に記載のチップの製造方法。
  13. 前記露光現像により、前記樹脂領域内に、開口部を形成することを含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載のチップの製造方法。
  14. 前記デバイス材料を、前記開口部を介して、前記基材表面に接するように適用する、請求項13に記載のチップの製造方法。
  15. 前記デバイス材料の適用は、印刷法、フォトリソグラフィー法、インクジェット法、インプリント法、マスク蒸着法およびレーザー転写法から選択される、請求項1〜14のいずれか1項に記載のチップの製造方法。
  16. 基材と、前記基材上に位置する2つ以上の樹脂領域と、前記樹脂領域それぞれの、前記基材側の面とは反対側の面上に位置するデバイス材料とを有する、積層体。
  17. 前記樹脂領域がポリイミド樹脂またはポリベンゾオキサゾール樹脂を含む、請求項16に記載の積層体。
  18. 前記デバイス材料は、導電体材料、半導体材料、絶縁体材料および電子デバイスから選択される、請求項16または17に記載の積層体。
  19. 前記樹脂領域が前記基材の表面に位置する、請求項16〜18のいずれか1項に記載の積層体。
  20. 前記デバイス材料に接する第2のデバイス材料を有する、請求項16〜19のいずれか1項に記載の積層体。
  21. 前記基材は、基材面の最も長い部分の長さが50〜4000mmである、請求項16〜20のいずれか1項に記載の積層体。
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