JPWO2018021010A1 - グリシンの製造方法 - Google Patents

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Abstract

グリシノニトリルからグリシンを合成する際、従来よりも高収率でグリシンを得ることができるグリシンの製造方法を提供する。グリシノニトリルと水とを、セリウム化合物の存在下で、また、さらにアンモニアを添加して反応させて、グリシンを得ることを特徴とするグリシンの製造方法。

Description

本発明は、グリシノニトリルからグリシンを製造する方法に関する。
グリシンは、タンパク質の基本単位を構成するアミノ酸の一種であり、アミノ酢酸とも呼ばれ、重要なファインケミカル中間体として、農薬や医薬、食品、飼料等の分野で広く使用されている。
その製造方法としては、天然のタンパク質を加水分解する方法のほか、化学合成法や発酵法、酵素法が用いられている。これらのうち、化学合成法としては、いわゆるヒダントイン法やストレッカー法等が広く知られている。
ヒダントイン法は、アルデヒド又はケトン化合物にシアン化水素及び炭酸アンモニウムを反応させてヒダントインを合成し、これをアルカリ加水分解してグリシンを得る方法である。この方法でグリシンを製造するには、アルカリ加水分解後、酸により中和して晶析したグリシンを分離する工程を繰り返す必要があり、また、中和により生じた塩を除去する脱塩工程も必要となる。このため、ヒダントイン法は、工程数が多くなるという課題を有していた。
一方、ストレッカー法は、アルデヒド又はケトン化合物にシアン化水素及びアンモニアを反応させてグリシノニトリルを合成し、これを加水分解してグリシンを得る方法である。ストレッカー法においても、従来は、グリシノニトリルの加水分解はアルカリにより行われており、上述したヒダントイン法と同様に、酸による中和が必要であり、それにより生じた塩を除去する脱塩工程が必要であった。
このような煩雑な工程を簡略化する方法として、例えば、特許文献1に、従来のストレッカー法において、酸化ジルコニウムの存在下で、また、さらにケトン類を共存させて、水と接触させてグリシノニトリルを加水分解し、グリシンを製造する方法が提案されている。
特開平3−93757号公報
上記特許文献1では、酸化ジルコニウムがグリシノニトリルの加水分解反応において高い触媒活性を示すため、反応や後処理においてアルカリや酸を用いることなく、高収率でグリシンを得ることができ、さらに、酸化ジルコニウム及びケトン類を共存させることにより、さらに収率を向上させることができるとしている。
しかしながら、実際には、触媒として酸化ジルコニウムのみを用いた場合、又は、これにケトン類を共存させた場合であっても、グリシンの収率は、工業的に十分であるとは言い難い。
したがって、グリシノニトリルの加水分解によりグリシンを生成させるために用いられる触媒として、グリシンをより高収率で得られるものが求められていた。
本発明は、このような状況の下でなされたものであり、グリシノニトリルからグリシンを合成する際、従来よりも高収率でグリシンを得ることができるグリシンの製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明は、グリシノニトリルの加水分解において、セリウム化合物が酸化ジルコニウムよりも優れた触媒性能を示し、グリシンを高収率で得られることを見出したことに基づくものである。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[5]を提供するものである。
[1]グリシノニトリルと水とを、セリウム化合物の存在下で反応させて、グリシンを得ることを特徴とするグリシンの製造方法。
[2]前記セリウム化合物が、セリウム含有酸化物である、上記[1]に記載のグリシンの製造方法。
[3]前記セリウム含有酸化物が、酸化セリウム、又は、セリウムと1種以上の他の金属元素との複合金属酸化物である、上記[2]に記載のグリシンの製造方法。
[4]前記セリウム含有酸化物が、酸化セリウム、又は、セリウムと1種以上の他の金属元素との複合金属酸化物に、リチウム、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、インジウム、バリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、ユウロピウム、鉛、ハフニウム及び亜鉛からなる群より選ばれる1種以上の金属元素を含む成分を担持した担持型金属酸化物である、上記[2]に記載のグリシンの製造方法。
[5]前記複合金属酸化物における他の金属元素が、ジルコニウムを含む、上記[3]又は[4]に記載のグリシンの製造方法。
[6]グリシノニトリルと水とを、前記セリウム化合物の存在下でアンモニアを添加して反応させる、上記[1]〜[5]のいずれか1項に記載のグリシンの製造方法。
本発明の製造方法によれば、グリシノニトリルからグリシンを合成する際、グリシノニトリルと水との接触反応において高活性・高選択性を有する触媒を用いることにより、従来よりも、グリシンの収率を向上させることができる。
したがって、本発明の製造方法は、グリシンの工業的な製造に有用な方法である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のグリシンの製造方法は、グリシノニトリルと水とを、セリウム化合物の存在下で反応させて、グリシンを得ることを特徴とする。
グリシノニトリルからグリシンを合成する際、セリウム化合物を触媒として用い、その存在下で水との接触反応を行うことにより、加水分解反応が選択的に促進され、従来の触媒よりも、グリシンを高収率で得ることができる。
[セリウム化合物]
触媒として用いられる前記セリウム化合物としては、セリウムを含有する、酸化物、ハロゲン化物、無機酸塩(例えば、硫酸塩、硝酸塩、炭酸塩、リン酸塩)、酢酸塩、シュウ酸塩、水酸化物等が挙げられる。これらのうち、酸化セリウムに代表されるセリウム含有酸化物が、触媒性能に優れているため好ましい。
セリウム含有酸化物としては、酸化セリウム、又は、セリウムと1種以上の他の金属元素との複合金属酸化物が好ましい。すなわち、セリウム含有酸化物を構成する金属元素は、セリウム単独でも、セリウムを含む2種以上の金属元素であってもよい。また、セリウム含有酸化物として、その組成や、形状、粒子径等の物性の異なる2種以上を併用してもよい。
酸化セリウムとしては、例えば、酸化セリウム(III)(Ce23)、酸化セリウム(IV)(CeO2)、これらの混合物、又はこれらの混相を有する酸化セリウム化合物が挙げられる。これらのうち、酸化セリウム(IV)(CeO2)が好ましい。
(複合金属酸化物)
前記複合金属酸化物におけるセリウム以外の金属元素としては、特に限定されるものではないが、リチウム、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、インジウム、バリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、ユウロピウム、鉛、ハフニウム、亜鉛等が挙げられる。これらは、1種単独でも、2種以上が併用されてもよい。これらのうち、ジルコニウム、イットリウム及びランタンが好ましく、ジルコニウムを含むことがより好ましい。
前記複合金属酸化物としては、CeZrO4(CeO2−ZrO2)等のセリウム・ジルコニウム複合酸化物が好ましい。なお、前記複合金属酸化物は、セリウムを含む酸化物固溶体であってもよい。
前記複合金属酸化物中、セリウムを含むすべての金属のうち、セリウムの含有量は、5モル%以上100モル%未満であることが好ましく、より好ましくは30〜99モル%、さらに好ましくは45〜95モル%である。
複合金属酸化物の製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば、水熱合成法、共沈法、ゾル−ゲル法を用いて製造することができる。具体的には、2種以上のセリウム化合物を含む前駆体を溶媒中で混合して加熱する方法や、セリウム化合物を含む前駆体を、空気等の酸化性ガスの雰囲気下で焼成する方法等が挙げられる。
前記セリウム化合物の前駆体としては、例えば、セリウムの酢酸塩、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、有機酸塩等の塩;塩化物、臭化物、ヨウ化物等のハロゲン化物;水酸化物;アルコキシド;オキシハロゲン化物等が挙げられる。前記前駆体は、無水物であっても水和物であってもよい。
前記溶媒としては、水;メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等のアルコール類;アセトン等のケトン類等の極性溶媒が挙げられる。これらは、1種単独で用いても、2種以上を併用してもよい。
なお、セリウム・ジルコニウム複合酸化物(CeZrO4)等の複合金属酸化物は、市販品もあり、これを用いることもできる。
前記複合金属酸化物は、触媒性能の向上の観点から、空気等の酸化性ガス;窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス;二酸化炭素ガス等の雰囲気下で加熱処理したものを用いてもよい。処理温度は、特に限定されないが、200〜900℃であることが好ましく、より好ましくは300〜850℃、さらに好ましくは400〜800℃である。
前記セリウム化合物は、該セリウム化合物以外の触媒と混合して使用してもよい。これらの触媒は、特に限定されるものではないが、例えば、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン等の酸化物や、ハイドロタルサイト等の粘土鉱物等が挙げられ、これらのうち、酸化ジルコニウムが好ましい。あるいはまた、前記セリウム含有酸化物が担体に担持された態様で触媒として使用されてもよい。
(担持型金属酸化物)
また、前記セリウム含有酸化物は、酸化セリウム又は前記複合金属酸化物に、リチウム、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、インジウム、バリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、ユウロピウム、鉛、ハフニウム及び亜鉛からなる群より選ばれる1種以上の金属元素を含む成分が担持された担持型金属酸化物であってもよい。
担持成分に含まれる金属元素は、1種単独でも、2種以上が併用されてもよい。これらのうち、リチウム、ランタン、ネオジム、イットリウム、ユウロピウム、バリウム及びマグネシウムが好ましく、特に、リチウムが好ましい。
担持成分に含まれる金属元素の量は、グリシンの生産性向上の観点から、セリウム100質量部に対して、0.01〜10.0質量部であることが好ましく、より好ましくは0.02〜7.0質量部、さらに好ましくは0.05〜5.0質量部である。
担持型金属酸化物の製造方法は、特に限定されるものではなく、公知の担持触媒の調製方法を用いることができる。例えば、含浸法、CVD法、噴霧乾燥法等が挙げられる。含浸法の場合には、具体的には、後述する実施例に記載の方法により好適に製造することができる。
前記セリウム化合物の形態は、特に限定されるものではなく、例えば、粉末状、また、取り扱い上の観点から、ペレット状に成形加工されたもの等が挙げられる。この成形加工は、例えば、粉末状のセリウム化合物やセリウム化合物が担体に担持された粉末等に水等の溶媒を加えてペースト状にした後、押出し成形し、焼成することにより行うことができる。
(グリシノニトリル)
本発明の反応原料であるグリシノニトリルの製造方法は、特に限定されるものではないが、通常、ホルムアルデヒドとシアン化水素との反応により得られるグリコロニトリルに、アンモニアを反応させることにより得られる。本発明においては、このようにして得られたグリシノニトリルを、精製してから反応原料として使用してもよく、あるいはまた、反応溶液のまま、グリシンの製造に供することもできる。
(反応)
グリシノニトリルと水との反応で用いられる水は、グリシノニトリルの加水分解反応に要するのみならず、反応溶媒の役割も兼ねることができる。このような観点から、グリシノニトリルに対して0.5〜100質量倍であることが好ましく、より好ましくは1〜50質量倍、さらに好ましくは1.5〜20質量倍である。
反応溶媒としては、水を使用することが好ましいが、水以外の溶媒を混合使用してもよい。水と混合する溶媒としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、N−メチルピロリジノン、N−エチルピロリジノン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、アセトン等の水と混和する溶媒を用いることが好ましい。
グリシノニトリルと水との反応系には、アンモニアを添加してもよい。セリウム化合物存在下の反応においては、アンモニアを添加することにより、グリシノニトリルからグリシンへの選択率を向上させることができる。
アンモニアの添加方法は、特に限定されるものではなく、反応溶媒中にガスとして供給してもよく、あるいはまた、水溶液として反応溶媒と混合してもよい。
アンモニアの添加濃度は、グリシノニトリルを溶解させた反応溶液中、1〜30質量%であることが好ましく、より好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは5〜15質量%である。
反応様式は、回分式(バッチ式)又は連続式のいずれであってもよい。連続式には、完全混合槽型反応器(CSTR:Continuous Stirred-Tank Reactor)式と、押出し流れ反応器(PFR:Plug Flow Reactor)式とがあるが、いずれであってもよい。
反応液中のグリシノニトリルの仕込み濃度は、回分式の場合は、生産性向上の観点から、1〜66質量%であることが好ましい。アンモニアを添加しない場合には、より好ましくは1.5〜50質量%、さらに好ましくは2〜40質量%、特に好ましくは3〜15質量%である。アンモニアを添加する場合には、より好ましくは2〜20質量%、さらに好ましくは3〜15質量%である。
前記セリウム化合物の使用量は、反応様式やセリウム化合物の種類に応じて適宜設定されるが、例えば、回分式の場合には、グリシノニトリル100質量部に対して、1〜300質量部であることが好ましく、より好ましくは5〜200質量部、さらに好ましくは10〜150質量部である。
なお、連続式の場合の反応液中のグリシノニトリルの仕込み濃度及びセリウム化合物の使用量は、回分式の場合の反応性を参照の上、反応槽数や撹拌条件等を勘案して適宜設定することができる。
グリシノニトリルと水とを反応させる際の温度は、グリシンの収率向上の観点から、30〜250℃であることが好ましく、より好ましくは40〜200℃、さらに好ましくは50〜100℃である。
また、前記反応時の圧力は、特に限定されるものではなく、自生圧力下で反応させてもよく、加圧下で反応させてもよい。その場合の圧力は、絶対圧で0.11〜2.0MPaであることが好ましく、より好ましくは0.15〜1.0MPa、さらに好ましくは0.20〜0.5MPaである。
前記反応に要する時間は、反応様式や反応温度、原料濃度、触媒であるセリウム化合物の種類及び使用量等に応じて、適宜調整されるが、必要以上に長い場合には、グリシノニトリルの転化率が向上しても、目的とするグリシンではなく、他の分解物を生じやすくなるため好ましくない。グリシンの収率向上の観点から、0.2〜20時間であることが好ましく、より好ましくは0.5〜18時間、さらに好ましくは0.7〜15時間である。
なお、グリシノニトリルと水との反応においては、加水分解反応によりグリシンを生成するまでには至らず、水和反応によりグリシンアミドが生成される場合もある。このようにして生成したグリシンアミドは、回収して、そのまま、又は反応原料であるグリシノニトリルと混合して、グリシンを製造するための原料として利用することができる。
反応終了後、反応液からのグリシンの回収方法は特に限定されるものではない。例えば、反応液を触媒とろ別した後、濃縮し、晶析することにより、グリシンを得ることができる。さらに、再結晶を行うことにより、グリシンの純度を高めることができる。
本発明の製造方法によれば、反応時に不純物となる塩を生じることがなく、反応の後処理において、アルカリや酸を用いた脱塩工程を要することなく、グリシンを製造することができるという利点も有している。
反応に使用して活性が低下した触媒は、再生利用してもよい。再生方法として、洗浄や熱処理により行うことができる。洗浄は、例えば、水、酸、アルカリ、有機溶媒等を用いて行うことができる。熱処理は、空気等の酸化性ガス;窒素ガス、アルゴンガス等の不活性ガス;二酸化炭素等のガス雰囲気下で、好ましくは200〜800℃、より好ましくは300〜600℃で加熱することにより行うことが好ましい。洗浄及び熱処理は、組み合わせて行ってもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
[分析方法]
下記のグリシノニトリルの製造、実施例及び比較例において、グリシノニトリルの純度及び転化率、グリシン及びグリシンアミドの収率及び転化率は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による定量分析により求めた。具体的には、下記分析条件で、反応液中のグリシノニトリル、グリシン及びグリシンアミドについて測定し、絶対検量線法により、各値を算出した。
<分析条件>
カラム:Shodex RSpak NN−814(昭和電工株式会社製)
カラムサイズ:8.0mm×250mm
カラム温度:40℃
溶離液:8mMのKH2PO4を含む0.1v/v%リン酸水溶液
溶離液の流速:1.0mL/min
検出器:UV(紫外線)210nm、RI(示差屈折率)
標準試料:グリシノニトリル硫酸塩(アミノアセトニトリル硫酸塩、東京化成工業株式会社製)
グリシンアミド塩酸塩(東京化成工業株式会社製)
グリシン(純正化学株式会社製)
[グリシノニトリルの製造]
冷却ジャケット付滴下ロート及びpHコントローラーを付けた1Lの4つ口反応容器に、濃度40質量%のホルマリン330gを入れた。濃度25質量%の水酸化ナトリウム水溶液を用いて、液性をpH5.0に調整した。この液に、濃度70質量%のシアン化水素酸178gを、pH4.9〜5.1に保持しながら滴下ロートで滴下した。滴下終了後、約30分間撹拌して反応させた。
この反応液を、濃度28質量%のアンモニア水320gを入れた1Lのステンレス製オートクレーブに、温度50℃、圧力0.5MPaG以下を保持しながら、送液ポンプを用いて、約2時間で添加した。添加終了後、50℃で2時間撹拌して反応させた。
この反応液を冷却し、オートクレーブを開放して得られた内容物を、1Lナス型フラスコに入れて、減圧蒸留し、純度99.5%のグリシノニトリル173gを得た。
下記実施例及び比較例においては、このグリシノニトリルを原料として用い、グリシンの製造を行った。
[使用触媒]
・酸化セリウム(CeO2):日本触媒学会、参照触媒JRC−CEO−2
・酸化ジルコニウム(ZrO2):純正化学株式会社製
・セリウム・ジルコニウム複合酸化物(CeZrO4):アルドリッチ社製
・リチウム担持酸化セリウム(Li担持CeO2):以下の方法により、調製した。
<調製方法>
窒素ガス雰囲気のグローブボックス内で、9mLパイレックス(登録商標)ガラス製バイアルに入れた酸化セリウム(CeO2:日本触媒学会、参照触媒JRC−CEO−2)1.0gに、硝酸リチウム(関東化学株式会社製)の1質量%水溶液0.81gを滴下しながら、スパーテルで均一に混合した。得られた混合物を加温式真空乾燥機に入れ、減圧条件下、50℃で1時間乾燥させた。乾燥して得られた固体をるつぼに移し、空気中で500℃で3時間焼成して、リチウム担持酸化セリウム(Li担持CeO2)を得た。
[グリシンの製造]
(実施例1)
撹拌子を入れた15mLのガラス製圧力容器に、CeO2 0.5g(液中濃度:グリシノニトリル水溶液に対して5.0質量%;グリシノニトリル(原料)100質量部に対して45質量部)を入れた。これに、濃度11.0質量%のグリシノニトリル水溶液10.0gを加えた。そして、圧力容器を密閉し、70℃で1時間撹拌した。該圧力容器を室温(25℃)まで冷却した後、該容器内の反応液について、HPLC分析を行った。
(実施例2〜7)
実施例1において、反応条件を下記表1に示す条件に変更し、それ以外は、実施例1と同様にして反応を行い、反応液のHPLC分析を行った。
(実施例8)
撹拌子を入れた15mLのガラス製圧力容器に、CeO2 0.5g(液中濃度:グリシノニトリル水溶液に対して5.0質量%;グリシノニトリル(原料)100質量部に対して45質量部)を入れた。これに、アンモニアの液中濃度が10.0質量%となるように28%アンモニア水溶液を添加して調製した。次いで、濃度11.0質量%のグリシノニトリル水溶液10.0gを加えた。そして、圧力容器を密閉し、70℃で1時間撹拌した。該圧力容器を室温(25℃)まで冷却した後、該容器内の反応液について、HPLC分析を行った。
(実施例9,10)
実施例8において、反応条件を下記表1に示す条件に変更し、それ以外は、実施例8と同様にして反応を行い、反応液のHPLC分析を行った。
(比較例1〜5)
実施例1において、CeO2に代えて、ZrO2を用い、それ以外の反応条件を下記表1に示す条件として、実施例1と同様にして反応を行い、反応液のHPLC分析を行った。
(比較例6,7)
実施例8において、CeO2に代えて、ZrO2を用い、それ以外の反応条件を下記表1に示す条件として、実施例8と同様にして反応を行い、反応液のHPLC分析を行った。
(実施例11〜16)
実施例1において、CeO2に代えて、CeZrO4を用い、それ以外の反応条件を下記表2に示す条件として、実施例1と同様にして反応を行い、反応液のHPLC分析を行った。
(実施例17〜19)
実施例8において、CeO2に代えて、CeZrO4を用い、それ以外の反応条件を下記表2に示す条件として、実施例8と同様にして反応を行い、反応液のHPLC分析を行った。
(実施例20,21)
実施例1において、CeO2に代えて、Li担持CeO2を用い、それ以外の反応条件を下記表2に示す条件として、実施例1と同様にして反応を行い、反応液のHPLC分析を行った。
(実施例22〜24)
実施例8において、CeO2に代えて、Li担持CeO2を用い、それ以外の反応条件を下記表2に示す条件として、実施例8と同様にして反応を行い、反応液のHPLC分析を行った。
上記実施例及び比較例におけるグリシノニトリルの転化率、グリシン及びグリシンアミドの収率及び転化率を、下記表1及び2にまとめて示す。なお、表中、収率の「−」との表記は、HPLCによる分析でのピークは検出下限未満であったことを意味し、この場合の選択率も「−」と表記した。
Figure 2018021010
Figure 2018021010
表1及び2に示した結果から分かるように、セリウム化合物を触媒として用いた場合(実施例1〜24)は、グリシンを高収率で得られることが認められた。これに対して、同等の条件でジルコニアを触媒として用いた場合(比較例1〜7)は、グリシンの収率は2%未満と非常に低かった。
CeO2を触媒として用いた場合(実施例1〜10)は、比較的低温で長時間反応させる方が、グリシンの収率が高くなる傾向が見られた。
また、CeZrO4を触媒として用いた場合(実施例11〜19)も、CeO2を用いた場合とグリシンの生産性がほぼ同等であることが認められた。
また、Li担持CeO2を触媒として用いた場合(実施例20〜24)は、アンモニアを添加(実施例22〜24)した方が、グリシンの収率が向上することが認められた。

Claims (6)

  1. グリシノニトリルと水とを、セリウム化合物の存在下で反応させて、グリシンを得ることを特徴とするグリシンの製造方法。
  2. 前記セリウム化合物が、セリウム含有酸化物である、請求項1に記載のグリシンの製造方法。
  3. 前記セリウム含有酸化物が、酸化セリウム、又は、セリウムと1種以上の他の金属元素との複合金属酸化物である、請求項2に記載のグリシンの製造方法。
  4. 前記セリウム含有酸化物が、酸化セリウム、又は、セリウムと1種以上の他の金属元素との複合金属酸化物に、リチウム、マグネシウム、鉄、コバルト、ニッケル、銅、ストロンチウム、イットリウム、ジルコニウム、インジウム、バリウム、ランタン、プラセオジム、ネオジム、ユウロピウム、鉛、ハフニウム及び亜鉛からなる群より選ばれる1種以上の金属元素を含む成分を担持した担持型金属酸化物である、請求項2に記載のグリシンの製造方法。
  5. 前記複合酸化物における他の金属元素が、ジルコニウムを含む、請求項3又は4に記載のグリシンの製造方法。
  6. グリシノニトリルと水とを、前記セリウム化合物の存在下でアンモニアを添加して反応させる、請求項1〜5のいずれか1項に記載のグリシンの製造方法。
JP2018529490A 2016-07-28 2017-07-11 グリシンの製造方法 Active JP6958916B2 (ja)

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