JP7425074B2 - メチオニンの製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルおよび/または2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドを出発物質として用いた1ステップでのメチオニンの製造方法に関する。
メチオニンは必須アミノ酸であり、特に家禽類の飼料添加物として非常に重要な役割を果たしている。現在の標準的なメチオニンの工業生産は、メチルメルカプタン、アクロレイン、およびシアン化水素から出発する。まず、マイケル付加によりメチルメルカプタンをアクロレインの炭素二重結合に付加して、中間体である3-(メチルチオ)プロピオンアルデヒドを得る。次に、このアルデヒドをシアン化水素と反応させて、2-ヒドロキシ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルを得て、これをさらにアンモニアおよび二酸化炭素と反応させて、対応するヒダントイン誘導体を得る。また、3-(メチルチオ)プロピオンアルデヒドをシアン化水素、アンモニア、および二酸化炭素と反応させることでもヒダントイン誘導体を得ることができる。このヒダントインを塩基性加水分解すると、メチオニンのアルカリ塩が得られる。例えばHSOの添加や、メチオニンのアルカリ塩を含む水溶液への二酸化炭素のバブリングによって酸で中和することで、ラセミ体のメチオニンが得られる。
また、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルまたは2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドの加水分解によってメチオニンを製造することも可能である。2-ヒドロキシ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルとアンモニアとの反応、または3-(メチルチオ)プロピオンアルデヒドとシアン化水素とアンモニアとの反応から得られる2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルの加水分解が、中間体である2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドを経由して進行して、メチオニンが所望の生成物として得られることはよく知られている。まず、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルのニトリル基が加水分解されてアミド基になり、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドが得られる。その後、この2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドのアミド基を加水分解してヒドロキシル基として、メチオニンが得られる。
特開昭54-46717号公報には、金属亜鉛または酸化亜鉛の存在下でα-アミノニトリルを水と反応させてアミノ酸を製造する方法が開示されている。しかし、メチオニンの収率は満足できるものではない。
特開平03-93757号公報には、二酸化ジルコニウム系触媒の存在下で、α-アミノニトリルを対応するα-アミノ酸に加水分解する方法が開示されている。しかし、メチオニンの収率は満足できるものではなく、また一定でもない。
米国特許第6,417,395号明細書には、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルからメチオニンへの接触加水分解が開示されている。しかし、この文献で使用されている触媒系は、所望の生成物であるメチオニンの生成に関して最適な性能を示していない。該触媒系は、加水分解に用いる溶媒によって大きく変化するようである。
欧州特許出願公開第3199519号明細書には、セリウムを含む酸化物触媒の存在下で2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルと水とを互いに接触させることによるメチオニンの製造方法が開示されている。具体的には、この方法で使用される触媒は、酸化セリウム、例えば酸化セリウム(III)(Ce)、酸化セリウム(IV)(CeO)、これらの混合物、またはこれらの混合相を有する酸化セリウム化合物、あるいはセリウムを含む酸化物固溶体、例えばCeO-ZrO(セリア-ジルコニア)、CeO-Y、およびCeO-Laのいずれかである。しかし、このようにして得られたメチオニンの収率は一定ではない。使用するCeO系触媒の種類や量、供給源、および該方法のさらなる特定の特性に応じて、結果は大きく変化する。純粋なCeOの存在下でメチオニンを製造した例でも、メチオニンの収率は60%から95%と大きく変化する。さらに、欧州特許出願公開第3199519号明細書の実施例では、このようにして得られたメチオニンを含む生成物混合物中の他の成分について明記されておらず、特に、他の成分が未転化の出発化合物であるか副生成物であるかが明記されていない。したがって、この文献の実験データでは、すべての種類のCeO系触媒が2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルの接触加水分解に実際に適しているか否かについて、いかなる結論も得られない。
国際公開第2018/021338号(英語での対応文献は、米国特許出願公開第2019/0161434号明細書)には、ジルコニウムと、とりわけセリウムであることができる少なくとも1つの金属元素とを含む複合金属酸化物の存在下での、メチオニンアミドからのメチオニンの製造が開示されている。前述の触媒は、ジルコニウム化合物中のジルコニウム100重量部に対して8.9重量部のセリウムを含み、これは、ジルコニウム化合物中の二酸化ジルコニウム100重量部に対して12.4重量部の二酸化セリウムに相当する。国際公開第2018/021338号の他の触媒と比較して、ジルコニウムとセリウムとを含む複合金属酸化物は、メチオニンアミドの転化率が最も低く、かつメチオニンの収率が最も低いため、改善の余地が大きい。
したがって、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルおよび/または2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドを出発物質として用いた1ステップでのメチオニンの改良された製造方法が必要とされていた。
この課題は、CeO含有粒子を含む触媒の使用によって解決されることが判明し、ここで、CeO含有粒子は、DIN ISO 9277-5(2003)に従って測定された35~65m/gのBET表面積と、双方ともDIN ISO 9276-6(2012)に従って測定された10~40nmの平均最大フェレー径xFmax,meanおよび5~30nmの平均最小フェレー径xFmin,meanとを組み合わせて有する。具体的には、これらのパラメータのうちの1つのみでは、所望の転化率および選択率を与える触媒の特徴を示すのに十分ではないことが判明した。2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルおよび/または2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドを出発化合物として用いたメチオニンの製造において、所望の転化率および選択率を得るためには、特定のパラメータを所与の範囲で組み合わせた触媒が必要であることが判明した。さらに、前述の触媒のCeO含有粒子は、50~100重量%のCeOを含む。
したがって、本発明の主題は、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルおよび/または2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドを含む溶液または懸濁液を、触媒の存在下で水と接触させて、メチオニン含有混合物を得るステップを含むメチオニンの製造方法であって、触媒は、CeO含有粒子を含み、該粒子は、50~100重量%のCeOを含み、かつDIN ISO 9277-5(2003)に従って測定された35~65m/gのBET表面積と、双方ともDIN ISO 9276-6(2012)に従って測定された10~40nmの平均最大フェレー径xFmax,meanおよび5~30nmの平均最小フェレー径xFmin,meanとを有する、方法である。
本発明の文脈において、最大フェレー径および最小フェレー径という用語は、工業規格DIN ISO 9276-6(2012)から知られているとおりに用いられる。これらはマクロ形状記述子であり、結晶や、ある結晶化度を有する粒子などの粒子の幾何学的比率を反映したものである。この点では、これらは、粒子に適用される2本の平行な接線間の距離を表している。具体的には、最大フェレー径は、粒子の「長さ」に相当し、最小フェレー径は、接線を適用した粒子の「幅」に相当する。
本発明の文脈では、平均という用語は、該当するパラメータの算術平均(数学的期待値または平均値とも呼ばれる)を示すために用いられる。これは、パラメータの測定値の離散的なセットの中心値であり、具体的には、パラメータの測定値の合計を測定値の数で除したものである。
本発明の文脈において、メチオニン含有混合物という用語は、触媒、必要に応じて、未転化の出発化合物、すなわち2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルおよび/または2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミド、ならびに純粋な形態での、および/またはアンモニウムメチオニネートとしての、接触ステップ中に放出されたアンモニアとの混和物でのメチオニンを含む混合物を表す。メチオニン含有混合物から触媒を分離した後、前述の用語は、必要に応じて、未転化の出発化合物、すなわち2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルおよび/または2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミド、ならびに純粋な形態での、および/またはアンモニウムメチオニネートとしての、接触ステップ中に放出されたアンモニアとの混和物でのメチオニンを含む混合物を表す。
本発明による方法、具体的には、本発明によるCeO含有粒子を含む触媒の使用によって、温度75℃、反応時間120分で少なくとも99%のメチオニン収率が得られ、出発化合物1当量あたり0.35当量の触媒が使用される。本発明による試験された触媒はすべて、欧州特許出願公開第3199519号明細書の触媒よりも効率的に、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルおよび/または2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドの加水分解を触媒する。特に、本発明による触媒は、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルからメチオニンへの加水分解を、欧州特許出願公開第3199519号明細書の触媒よりも著しく良好に触媒する。
原則的に、本発明による方法は、使用される触媒中のCeOの含有量に関していかなる制限も受けない。したがって、触媒は、25~100重量%のCeOを含むことができる。すべての触媒反応は、典型的には、触媒の一定の損失を伴い、これは触媒の浸出とも呼ばれる。触媒中の触媒活性成分の価格に応じて、触媒の損失または浸出は、多少なりとも方法の経済性に影響を与える。そのため、工業的には、触媒反応に使用する触媒の量をできるだけ少なくすることが有益である。例えば、CeO含有粒子を含む触媒は、本発明による方法において触媒的に活性ではないと考えられるさらなる成分と混合される。この点で適切な成分は、例えば、ZrOである。本発明による方法は、特定の触媒がCeOをわずか25重量%しか含まない場合、例えば(CeO0.5-(ZrO0.5の粒子を含む触媒では、(CeO0.5-(ZrO0.5の粒子1つあたり1当量のZrOと混合されている場合に、すでに92%のメチオニン収率が得られることが判明した。
本発明による方法の一実施形態では、触媒は、触媒の総重量に対して25~100重量%のCeOを含む。
しかし、可能な限り高い転化率およびメチオニン収率をかなり短い時間内に得るためには、本発明による触媒が、触媒の総重量に対して25重量%超のCeOを含むことが好ましい。したがって、本発明による触媒は、好ましくは、CeOを、触媒の総重量に対してそれぞれ25~100重量%、30~100重量%、35~100重量%、40~100重量%、45~100重量%、50~100重量%、55~100重量%、60~100重量%、65~100重量%、70~100重量%、75~100重量%、80~100重量%、85~100重量%、90~100重量%、または95~100重量%含む。
触媒全体と同様に、CeO含有粒子も特定のCeO含有量に関しては限定されない。具体的には、CeOの含有量が異なるCeO含有粒子であっても、本発明による方法では同等の結果が得られることが判明した。特に、50~100重量%のCeOを含み、残分がZrOなどのセリウムまたは酸化セリウムとは異なる1つ以上の金属または金属酸化物であるCeO含有粒子は、本発明による方法において特に良好な結果を与える。したがって、本発明による方法に適した触媒は、CeO、(CeO0.5-(ZrO0.5、(CeO0.7-(ZrO0.3、および/または(CeO0.8-(ZrO0.2、または純粋なCeOを含む粒子を含む。
具体的には、CeO含有粒子は、50重量%、70重量%、80重量%または100重量%のCeOを含む。CeO含有粒子が100重量%のCeOを含むことが特に好ましい。
2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルの加水分解によるメチオニンへの不均一系触媒反応において、かなり大きな表面積が高収率のための重要な要素であると予想されるであろう。しかし、実験の結果、CeO含有粒子が35~65m/gの範囲という比較的小さなBET表面積を有する本発明による触媒によって、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルの接触加水分解において、少なくとも99%のメチオニン収率と、少なくとも99%のメチオニンおよび2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドの形成の合計選択率とが得られることが判明した(T=75℃、t=120分、4g(0.35eq.)の触媒、および10gの2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタントリル)。同一の反応条件において、CeO含有粒子が40~65m/gの範囲のBET表面積を有する本発明による触媒によって、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルの完全な転化、100%のメチオニン収率、および100%のメチオニンの形成の選択率が得られる。
本発明による方法の別の実施形態では、CeO含有粒子のBET表面積は、40~65m/gの範囲である。
さらに、CeO含有粒子が9~25nmの範囲の平均最小フェレー径xFmin,meanを有する本発明による触媒によって、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルからメチオニンへの直接完全転化において、少なくとも99%のメチオニン選択率が得られることが判明した。
本発明による方法のさらなる実施形態では、CeO含有粒子は、9~25nmの平均最小フェレー径xFmin,meanを有する。
さらに、CeO含有粒子が13~36nmの範囲の平均最大フェレー径xFmax,meanを有する本発明による触媒によって、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルからメチオニンへの直接完全転化において、少なくとも99%のメチオニン選択率が得られることも判明した。
本発明による方法のさらに別の実施形態では、CeO含有粒子は、13~36nmの平均最大フェレー径xFmax,meanを有する。
好ましくは、CeO含有粒子は、9~25nmの範囲の平均最小フェレー径xFmin,mean、および13~36nmの範囲の平均最大フェレー径xFmax,meanを有する。
また、球状のCeO含有粒子を含む触媒よりも、緻密なCeO含有粒子を含む本発明による触媒の方が、高いメチオニン収率および高いメチオニン選択率により有益であることも判明した。球状のCeO含有粒子と緻密なCeO含有粒子とを区別するための好適なパラメータは、いわゆるアスペクト比である。このパラメータは、粒子の側面の比率を表すものであり、具体的には、DIN ISO 9276-6(2012)に従って、最大フェレー径に対する最小フェレー径の比xFmin/xFmaxを表す。本発明の文脈では、CeO含有粒子は、平均最小フェレー径xFmin,meanおよび平均最大フェレー径xFmax,meanによってすでに表されているため、平均アスペクト比を用いることが好ましい。したがって、平均アスペクト比は、xFmin,mean/xFmax,meanで表すことができる。球状の粒子はフェレー径が類似しているため、1に非常に近い(平均)アスペクト比を有する。完全な球形の粒子は、(平均)アスペクト比が1である。これに比べて、本発明による方法で使用される触媒のCeO含有粒子は、平均アスペクト比が1未満であり、したがって、フェレー径は同一ではない。
本発明による方法の別の実施形態では、CeO含有粒子の平均最小フェレー径は、前述の粒子の平均最大フェレー径よりも常に小さい。
DIN ISO 9276-6(2012)に従って測定された平均アスペクト比が0.75以上のCeO含有粒子によって、緻密なCeO含有粒子よりもメチオニン収率が低くなり、またメチオニン選択率も低くなることが判明した。具体的には、平均アスペクト比が0.55~0.85、特に0.6~0.8または0.65~0.75のCeO含有粒子を含む触媒によって、特に高いメチオニン収率および高いメチオニン選択率が得られることが判明した。
本発明による方法のさらに別の実施形態では、CeO含有粒子は、DIN ISO 9276-6(2012)に従って測定された0.55~0.85の平均アスペクト比xFmin,mean/xFmax,meanを有する。
本発明によれば、触媒はCeO含有粒子を含み、CeO含有粒子は、DIN ISO 9277-5(2003)に従って測定された35~65m/gのBET表面積と、双方ともDIN ISO 9276-6(2012)に従って測定された10~40nmの平均最大フェレー径xFmax,meanおよび5~30nmの平均最小フェレー径xFmin,meanとを有する。フェレー径の定義から、その値は大きく変化する可能性があることが明らかである。また、フェレー径は厳密な意味での直径ではなく、結晶や、ある結晶化度を有する粒子などの粒子の幾何学的比率を反映したものである。そのため、フェレー径のみに基づいて一次粒子の大きさを表すことはできない。いわゆる円相当径xは、本発明による触媒中のCeO含有粒子の一次粒度を表すのに適した尺度である。本発明の文脈では、円相当径という用語は、工業規格DIN ISO 9276-6(2012)から知られているとおりに用いられる。一般に、円相当径は、該当する粒子と同じ投影面積を有する円の直径に相当する。円相当径は、以下の式:
Figure 0007425074000001
を用いて算出され、ここで、Aは、該当する粒子の投影面積で、単位はnmであり、DIN ISO 9276-6(2012)に従って測定されたものである。通常、該当する粒子の投影面積は、画像解析ソフトウェアを用いて、意味のある数(少なくとも100個、好ましくは少なくとも200個、300個、400個または500個)の粒子の高分解能透過電子顕微鏡(HR-TEM)画像をグラフィカルに解析することで得られる。本発明の文脈では、平均円相当径xが用いられ、これにより、分析されたCeO含有粒子の全数に対する全般的な平均一次粒度を表すことが可能となる。本発明の触媒におけるCeO含有粒子は、DIN ISO 9276-6(2012)に従って測定された、5~45nm、好ましくは10~30nmの平均円相当径xによって特徴付けられる。比較すると、触媒No.8(和光純薬株式会社より購入、実験の部の表1参照)中のCeO含有粒子は、約48nmの円相当径を有し、したがって、本発明による触媒よりも大きく、よりかさ高い。
本発明による方法の一実施形態では、CeO含有粒子は、DIN ISO 9276-6(2012)に従って測定された5~45nmの平均円相当径xを有する。
本発明による方法の触媒のさらなる分析から、CeO含有粒子の格子面間隔が0.24~0.32nm、好ましくは0.28~0.32nmであることが、高いメチオニン収率および高いメチオニン選択率に有益であることが判明した。
本発明による方法のさらなる実施形態では、CeO含有粒子は、0.24~0.32nmの格子面間隔を有する。
0.24~0.32nmの格子面間隔を有する粒子は、(111)面を有しており、これは八面体粒子の存在の要件である。この発見は、本発明による方法における、八面体のCeO含有粒子を含む非常に効率的で選択的な触媒のHR-TEM画像と一致する。0.24~0.32nmの格子面間隔を有する本発明によるCeO含有粒子を含む触媒は、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルからメチオニンへの加水分解を、少なくとも99%の収率で触媒する。それに比べて、格子面間隔が0.40nmの本発明によらないCeO含有粒子を含む触媒(例3.3の比較触媒No.7を参照)では、メチオニン収率はわずか35%である。実際に、CeO含有粒子が平均アスペクト比0.71に近づくほど、八面体の形状に近づく。完全な八面体粒子のアスペクト比は0.71である。したがって、八面体のCeO含有粒子が存在することは、効率的な触媒が、0.55~0.85、特に0.6~0.8、または0.65~0.75の平均アスペクト比を有するCeO含有粒子を含んでいることにも合致する。
本発明による方法のさらに別の実施形態では、CeO含有粒子は、八面体粒子を含む。
球状で、かなり穏やかな稜を有するCeO含有粒子を含む触媒は、メチオニンの形成に対して低い収率および選択率を生じさせることが判明した。これと比較して、本発明による方法における有効な触媒は、やや結晶性の外観を有する、すなわち、少なくとも50%の結晶化度を有するCeO含有粒子を含む。具体的には、有効な触媒は、そのCeO含有粒子の明確な稜、角、および領域を有する明確かつ識別可能な幾何学的外観によって、効果の低い触媒と区別することができる。これに比べて、効果の低い触媒は、特定の幾何学的外観に明確に割り当てることができない、丸みを帯びたまたは滑らかな角および稜を有するCeO含有粒子を有する。
本発明による方法の別の実施形態では、CeO含有粒子は、少なくとも50%の結晶化度を有する。
好ましくは、CeO含有粒子は、50~100%、50~95%、または55~90%の結晶化度を有する。
原則として、本発明による方法は、接触ステップが行われる温度に関して制限されない。したがって、出発化合物である2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルが熱的に安定している任意の温度で接触ステップを行うことができる。具体的には、最高で90℃の温度での本発明による方法で2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルおよび/または2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドを加水分解して得られたメチオニン含有混合物において、副生成物は検出されなかった。例えば、接触ステップは、20~90℃の温度、30~90℃の温度、40~90℃の温度、50~90℃の温度、60~90℃の温度、70~90℃の温度、または80~90℃の温度で行うことができる。例えば、本発明による方法では、4g(0.35当量)の触媒および10gの出発化合物を用いて、比較的低い75℃の温度および2時間の反応時間で、出発物質である2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルの完全転化、および99~100%のメチオニン収率がすでに得られる。比較すると、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルからメチオニンへの加水分解を105℃の温度で行うと、4%のメチオニンスルホキシド、すなわち望ましくない副生成物としての酸化メチオニンが形成される。
一実施形態では、本発明による方法の接触ステップは、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルを含む溶液または懸濁液を用いて、最高で90℃の温度で行われる。好ましくは、本発明による方法の接触ステップは、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルを含む溶液または懸濁液を用いて、50~90℃の温度で行われる。
本発明による方法は、メチオニン収率を可能な限り高くすることを目的としている。しかし、出発物質、特に2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルが完全にメチオニンに転化されないか、または所望の程度に転化されない場合があり得る。この場合、残分は、特に2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドである。前述の2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドは、本発明による方法における中間体であり、好適な出発物質であるため、(第1の)接触ステップで得られたメチオニン含有混合物は、好ましくは本発明による方法のさらなる接触ステップに供給される。ここで、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドを含む溶液または懸濁液を、本発明による特定の触媒の存在下で水と接触させて、メチオニンへの転化率を最大化する。
本発明による方法の一実施形態では、接触ステップで得られたメチオニン含有混合物は、少なくとも1つのさらなる接触ステップに供給される。
したがって、本発明による方法は、好ましくは、
i)2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルおよび/または2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドを含む溶液または懸濁液を、触媒の存在下で水と接触させて、メチオニン含有混合物を得る第1の接触ステップであって、触媒は、CeO含有粒子を含み、CeO含有粒子は、50~100重量%のCeOを含み、かつDIN ISO 9277-5(2003)に従って測定された35~65m/gのBET表面積と、双方ともDIN ISO 9276-6(2012)に従って測定された10~40nmの平均最大フェレー径xFmax,meanおよび5~30nmの平均最小フェレー径xFmin,meanとを有するものとするステップと、
ii)ステップi)で得られたメチオニン含有混合物を、少なくとも1つのさらなる接触ステップに供給するステップと
を含む。
出発化合物の非転化部分の完全転化を達成するためには、第1の接触ステップの温度よりも高い温度で第2のまたはさらなる接触ステップを行うことが好ましい。先行する接触ステップ、すなわち第1の接触ステップと比較して、先行する、すなわち第1の接触ステップの温度よりも高い温度であることは、副生成物の定量的な形成を招かない。したがって、第2のまたはさらなる接触ステップは、90℃超の温度で行うことができる。例えば、第2のまたはさらなる接触ステップは、70~140℃の温度、80~130℃の温度、90~120℃の温度、または100~110℃の温度で行うことができる。
本発明による方法の別の実施形態では、少なくとも1つのさらなる接触ステップは、70~140℃の範囲の温度で行われる。
本発明による方法は、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルおよび/または2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドを、好ましくは1~30重量%の濃度範囲、3~25重量%の濃度範囲、6~24重量%の濃度範囲、または6~20重量%の濃度範囲で含む溶液または懸濁液を用いて行うことができる。
本発明による方法の一実施形態では、接触ステップは、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルおよび/または2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドを1~30重量%の濃度範囲で含む溶液または懸濁液を用いて行われる。
本発明による方法は、CeO含有粒子を含む触媒の特定の形状またはサイズに関して限定されない。最も単純なケースでは、触媒は、CeO含有粒子の製造から得られた粉末である。しかし、微細な粒子からなる触媒を触媒反応に用いる場合には、微細な粉末状の触媒とメチオニン含有混合物とを互いに分離する必要がある。本発明の文脈における適切な分離ステップは、効率的でありかつ連続プロセスで適用可能であるという要件を満たさなければならない。液体媒体から粒子を分離する最も一般的な技術は、いわゆるデッドエンドろ過である。しかし、このタイプのろ過は、完全な連続プロセスでの使用には適しておらず、また、大規模の用途で液体媒体から直径10μm未満の粒子を分離するのにも適していない。この課題は、連続クロスフローろ過の使用により解決されることが判明した。クロスフローろ過は、タンジェンシャルフローろ過とも呼ばれ、出発点となるメチオニンおよびCeOを含む懸濁液がフィルターの表面に沿って接線方向に通過するろ過技術である。フィルターの圧力差により、フィルターの孔よりも小さい成分がフィルターを通過する(透過液)。フィルターの孔より大きい成分は保持され、膜の表面に沿って通過し、フィードリザーバへと流れ戻る(濃縮液)。
さらなる実施形態では、本発明による方法は、ステップi)および/またはii)で得られたメチオニン含有混合物から、連続クロスフローろ過によって触媒を分離するステップをさらに含む。
したがって、本発明による方法は、好ましくは、
i)2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルおよび/または2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドを含む溶液または懸濁液を、触媒の存在下で水と接触させて、メチオニン含有混合物を得る第1の接触ステップであって、触媒は、CeO含有粒子を含み、CeO含有粒子は、50~100重量%のCeOを含み、かつDIN ISO 9277-5(2003)に従って測定された35~65m/gのBET表面積と、双方ともDIN ISO 9276-6(2012)に従って測定された10~40nmの平均最大フェレー径xFmax,meanおよび5~30nmの平均最小フェレー径xFmin,meanとを有するものとするステップと、
ii)任意に、ステップi)で得られたメチオニン含有混合物を、少なくとも1つのさらなる接触ステップに供給するステップと、
iii)ステップi)および/またはステップii)のメチオニン含有混合物から、連続クロスフローろ過により触媒を分離するステップと
を含む。
したがって、代替的または追加的に、本発明による方法は、好ましくは、
i)2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルおよび/または2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドを含む溶液または懸濁液を、触媒の存在下で水と接触させて、メチオニン含有混合物を得る第1の接触ステップであって、触媒は、CeO含有粒子を含み、CeO含有粒子は、50~100重量%のCeOを含み、かつDIN ISO 9277-5(2003)に従って測定された35~65m/gのBET表面積と、双方ともDIN ISO 9276-6(2012)に従って測定された10~40nmの平均最大フェレー径xFmax,meanおよび5~30nmの平均最小フェレー径xFmin,meanとを有するものとするステップと、
ii)任意に、ステップi)で得られたメチオニン含有混合物を、少なくとも1つのさらなる接触ステップに供給するステップと、
iii)ステップi)および/またはステップii)のメチオニン含有混合物から、連続クロスフローろ過により触媒を分離するステップと、
ii’)任意に、ステップi)およびiii)、またはステップi)~iii)を繰り返すステップと
を含む。
CeO含有粒子の分離には、原理的には高分子膜やセラミック膜を使用することができる。しかし、小さなCeO含有粒子は、膜を横切って流れる際に摩耗する。これらに限定されるものではないが例えばTiO、ZrOまたはAl製のセラミック膜や、これらに限定されるものではないが例えばTiO、ZrOまたはAlに担持されているセラミック膜は、摩耗性のCeO含有粒子に対して耐久性があることが証明されており、したがって、メチオニン含有混合物からCeO含有粒子を含む触媒を分離するためのクロスフローろ過において好ましい。本発明による方法の触媒が、そのままの、例えば微粉末の形態のCeO含有粒子からなる場合、この触媒粒子もCeO含有粒子と同様に、10~30nmの円相当径xを有する。したがって、クロスフローろ過に使用される膜の孔径は、触媒粒子を保持するために適切に選択する必要がある。同時に、ろ過に使用される膜は、反応で形成されたメチオニンが膜を透過できるようでなければならない。膜を通過できる最大の分子の分子量である公称分画分子量(NMWC)は、膜のこの機能を特徴付けるのに適したパラメータであり、1~150kD(キロダルトン=1000g/mol)の範囲であり、150kDは、約20nmの孔径にほぼ対応する。したがって、これらのNWMC値が1~150kDである限外ろ過膜を用いれば、濃縮液中のCeO含有粒子と透過液中のメチオニン含有生成物溶液とを効率的に分離することができる。膜の孔径が100nm未満のろ過は限外ろ過としても知られており、膜の孔径が100nm以上のろ過は精密ろ過としても知られている。本発明の文脈では、CeO含有触媒粒子のアグリゲートおよびアグロメレートの形成により、アグリゲートおよびアグロメレートの直径が100nmを超えて数μmに至るまで非常に大きくなることから、孔径が100nmから1μmまでの精密ろ過膜も採用することができる。しかし、精密ろ過膜では、CeO含有触媒粒子のすべてを限外ろ過膜ほど効率的には保持しない。その場合、第1のろ過の透過液を用いて第2のろ過を行わなければならない。したがって、連続クロスフローろ過が限外ろ過であることが好ましい。さらに、連続クロスフローろ過は、1~150kDの公称分画分子量および/または20~50nmの孔径を有する膜、好ましくはセラミック膜を用いて行われることが好ましい。
このようにして得られた透過液溶液から、所望の生成物であるメチオニンを、例えば、結晶化または再結晶化によって分離することができる。CeO粒子を含む触媒を含む濃縮液溶液または懸濁液は、上述したように、第2のまたは任意のさらなる接触ステップに返送することができる。例えば、さらなる接触ステップを行うために、前述の濃縮液を、第1の反応器に返送するか、または下流の反応器に供給することができる。濃縮液が下流の反応器に供給される場合、この下流の反応器も、生成物溶液から触媒を分離するために、上述したような膜を備える。
本発明による方法が、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドから始まるか、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルから始まるかにかかわらず、本発明による方法は、常にアンモニアの放出を伴う。2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルの加水分解の最初のステップでは、シアニド基がアミド基に転化されるが、これは原理的にはシアニド基の炭素窒素三重結合に水が付加したものである。次に、このようにして得られた2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドの加水分解では、アンモニアの放出下でアミド基が対応するカルボン酸基に転化される。したがって、1当量の2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルおよび/または2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドの加水分解には、必ず1当量のアンモニアの放出が伴う。さらに、出発物質である2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルは、特に米国特許出願公開第2012/215021号明細書に従って、塩基としてのアンモニアの存在下で3-(メチルチオ)プロピオンアルデヒドとシアン化水素を反応させることによって製造される場合、すでにアンモニアを含んでいる。この製造手順でアンモニア以外の塩基を使用した場合でも、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルは依然としてアンモニアを含んでいる。その理由は、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルを製造するために使用されるシアン化水素は、それがアンドルソフ法またはBMA法(Degussa法とも呼ばれる)に従って製造されたかどうかに関係なく、通常、未反応のアンモニアを含んでいるからである。その結果、メチオニンへの加水分解に使用される2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルも、加水分解の中間体である2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドも、最終的な加水分解生成物であるメチオニンも、常にアンモニアを含んでいる。しかし、メチオニン含有混合物中にアンモニアが存在すると、必然的にメチオニンのアンモニウム塩が形成される。したがって、欧州特許出願公開第3199519号明細書による方法を用いて中性メチオニンまたはアンモニア不含のメチオニンを得ることは不可能である。2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルおよび/または2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドを水と接触させると、主生成物としてアンモニウムメチオニネートを含むメチオニン含有混合物が常に得られ、したがって、中性メチオニン、すなわちアンモニア不含のメチオニンを得るためには、このようにして得られたメチオニン含有生成物を結晶化に供する必要がある。好ましくは、結晶化は、接触ステップで得られたアンモニウムメチオニネートを含む水溶液から直接行われる。あるいはメチオニン含有生成物、すなわちアンモニウムメチオニネートを主生成物として含む生成物を前述の水溶液から沈殿させ、次いで水溶液から分離し、再び適切な溶媒、好ましくは水に溶解させ、こうして得られた第2の水溶液を再結晶化することも可能である。本発明の文脈では、前述の第2の溶液は、メチオニン含有混合物とも呼ばれる。
別の実施形態では、本発明による方法は、少なくとも1つの接触ステップから得られたメチオニン含有混合物からメチオニンを結晶化または再結晶化するステップをさらに含む。
したがって、本発明による方法は、好ましくは、
i)2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルおよび/または2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドを含む溶液または懸濁液を、触媒の存在下で水と接触させて、メチオニン含有混合物を得る第1の接触ステップであって、触媒は、CeO含有粒子を含み、CeO含有粒子は、50~100重量%のCeOを含み、かつDIN ISO 9277-5(2003)に従って測定された35~65m/gのBET表面積と、双方ともDIN ISO 9276-6(2012)に従って測定された10~40nmの平均最大フェレー径xFmax,meanおよび5~30nmの平均最小フェレー径xFmin,meanとを有するものとするステップと、
ii)任意に、ステップi)で得られたメチオニン含有混合物を、少なくとも1つのさらなる接触ステップに供給するステップと、
iii)ステップi)および/またはステップii)のメチオニン含有混合物から、連続クロスフローろ過により触媒を分離するステップと、
iv)ステップiii)から得られたメチオニン含有混合物からメチオニンを結晶化または再結晶化するステップと
を含む。
したがって、代替的または追加的に、本発明による方法は、好ましくは、
i)2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルおよび/または2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドを含む溶液または懸濁液を、触媒の存在下で水と接触させて、メチオニン含有混合物を得る第1の接触ステップであって、触媒は、CeO含有粒子を含み、CeO含有粒子は、50~100重量%のCeOを含み、かつDIN ISO 9277-5(2003)に従って測定された35~65m/gのBET表面積と、双方ともDIN ISO 9276-6(2012)に従って測定された10~40nmの平均最大フェレー径xFmax,meanおよび5~30nmの平均最小フェレー径xFmin,meanとを有するものとするステップと、
ii)任意に、ステップi)で得られたメチオニン含有混合物を、少なくとも1つのさらなる接触ステップに供給するステップと、
iii)ステップi)および/またはステップii)のメチオニン含有混合物から、連続クロスフローろ過により触媒を分離するステップと、
ii’)任意に、ステップi)およびiii)、またはステップi)~iii)を繰り返すステップと、
iv)ステップii’)が少なくとも1回行われた場合、最後の分離ステップiii)から得られたメチオニン含有混合物からメチオニンを結晶化または再結晶化するステップと
を含む。
欧州特許出願公開第3199519号明細書の技術的教示によれば、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルは、3-(メチルチオ)プロピオンアルデヒド、シアン化水素およびアンモニアを互いに接触させることによって製造され、したがって、メチオニンを製造するための出発物質もアンモニアを含む。したがって、同文献のほぼすべての実施例が、なおもアンモニアを含む2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルの水溶液を用いて行われたことは驚くべきことではない。同文献の実施例5のみが、脱アンモニア処理した2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルを用いて行われている。他の実施例と比較して、この実施例で得られたメチオニン収率は80%に過ぎず、したがって、欧州特許出願公開第3199519号明細書の他の実施例よりも著しく低い。これらの結果から、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルを加水分解してメチオニンを製造する際に、アンモニアなどの塩基の存在が高収率に有利であろうとの予想がなされる。しかし、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルおよび/または2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドからの加水分解においても、アンモニウムメチオニネート形成の減少を伴って、高いメチオニン収率を得ることが可能であることが判明した。この効果は、本発明による方法の少なくとも1つの接触ステップが、反応溶液または懸濁液から少なくとも部分的にアンモニアを除去するために、反応溶液または懸濁液の真空蒸留または水蒸気によるストリッピングを伴うことで達成されることが判明した。本発明による方法の接触ステップを減圧下で行うことで、反応溶液または懸濁液が緩和され、その結果、溶液または懸濁液からアンモニアが放出される。水蒸気でストリッピングすることにより、反応溶液または懸濁液に含まれるアンモニアが前述の溶液または懸濁液から排出され、反応系から除去される。
本発明による方法のさらに別の実施形態では、少なくとも1つの接触ステップは、反応溶液または懸濁液の真空蒸留または水蒸気によるストリッピングを伴う。
したがって、本発明による方法は、好ましくは、
i)2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルおよび/または2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドを含む溶液または懸濁液を、触媒の存在下で水と接触させて、メチオニン含有混合物を得る第1の接触ステップであって、触媒は、CeO含有粒子を含み、CeO含有粒子は、50~100重量%のCeOを含み、かつDIN ISO 9277-5(2003)に従って測定された35~65m/gのBET表面積と、双方ともDIN ISO 9276-6(2012)に従って測定された10~40nmの平均最大フェレー径xFmax,meanおよび5~30nmの平均最小フェレー径xFmin,meanとを有するものとするステップと、
ii)任意に、ステップi)で得られたメチオニン含有混合物を、少なくとも1つのさらなる接触ステップに供給するステップと、
iii)ステップi)および/またはステップii)のメチオニン含有混合物から、連続クロスフローろ過により触媒を分離するステップと、
iv)ステップiii)から得られた混合物からメチオニンを結晶化または再結晶化するステップと
を含み、
ここで、ステップii)~iv)のうちの少なくとも1つが、反応溶液または懸濁液の真空蒸留または水蒸気によるストリッピングを伴う。
したがって、代替的または追加的に、本発明による方法は、好ましくは、
i)2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルおよび/または2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドを含む溶液または懸濁液を、触媒の存在下で水と接触させて、メチオニン含有混合物を得る第1の接触ステップであって、触媒は、CeO含有粒子を含み、CeO含有粒子は、50~100重量%のCeOを含み、かつDIN ISO 9277-5(2003)に従って測定された35~65m/gのBET表面積と、双方ともDIN ISO 9276-6(2012)に従って測定された10~40nmの平均最大フェレー径xFmax,meanおよび5~30nmの平均最小フェレー径xFmin,meanとを有するものとするステップと、
ii)任意に、ステップi)で得られたメチオニン含有混合物を、少なくとも1つのさらなる接触ステップに供給するステップと、
iii)ステップi)および/またはステップii)のメチオニン含有混合物から、連続クロスフローろ過により触媒を分離するステップと、
ii’)任意に、ステップi)およびiii)、またはステップi)~iii)を繰り返すステップと、
iv)ステップii’)が少なくとも1回行われた場合、最後の分離ステップiii)から得られたメチオニン含有混合物からメチオニンを結晶化または再結晶化するステップと
を含み、
ここで、ステップii)~iv)のうちの少なくとも1つが、反応溶液または懸濁液の真空蒸留または水蒸気によるストリッピングを伴う。
好ましくは、ステップii)およびiii)、ステップii)およびiv)、ステップiii)およびiv)、またはステップii)~iv)のすべてが、1回行われるか繰り返し行われるかにかかわらず、反応溶液または懸濁液の真空蒸留または水蒸気によるストリッピングを伴う。
このようにして反応溶液または懸濁液から除去されたアンモニアを、本発明による方法の上流の反応ステップにおいて、2-ヒドロキシ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルの転化による2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルの生成に使用することができる。
本発明による方法で使用される触媒は、その製造によって、該触媒に含まれる、本発明による技術的特徴を有するCeO含有粒子であって、特に50~100重量%のCeO含有量を有し、かつDIN ISO 9277-5(2003)に従って測定された35~65m/gのBET表面積と、双方ともDIN ISO 9276-6(2012)に従って測定された10~40nmの平均最大フェレー径xFmax,meanおよび5~30nmの平均最小フェレー径xFmin,meanとを有する粒子が提供されることを条件に、その製造に関していかなる制限も受けない。これは、例えば、欧州特許出願公開第1506940号明細書の実施例1に従って製造することができる。
本発明は、以下の実施例によってさらに説明される。
実施例:
1. 分析方法
1.1 HPLCクロマトグラフィー:
2-ヒドロキシ-4-(メチルチオ)ブタンニトリル(MMP-CN)、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリル(MMP-AN)、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミド(Metアミド)、3-(メチルチオ)プロピオンアルデヒド(MMP)、およびメチオニン(Met)のクロマトグラフィー分析を、JASCO社またはAgilent社のHPLCシステムを用いて、RP-18カラム(250×4.6mm;5μm)を使用して行い、次いで210nmでUV検出を行った。溶離液として、3.3gのHPO、6.8gのCHCN、および89.9gのHOからなる混合物を1mL/minの流量で使用した。それぞれのサンプル溶液(25mLのHO中の50mgのサンプル)10μLを溶離液に注入して分析した。キャリブレーションは、有機化学合成で一般的に行われるように、分析物の適切な標準ストック溶液を注入し、その後、ピーク面積を外部標準と比較することで事前に行った。
1.2 BET表面積
BET表面積ABETは、固体の表面に窒素を物理的に吸着させ、BET(Brunauer、Emmett、およびTeller)法に従って表面の単分子層に対応する吸着ガスの量を算出することによって決定した。使用するサンプル(0.2~0.9g)を、測定前に真空下にて150℃で20分間脱気した。その後、液体窒素の温度(77K)で測定を行った。吸着されたガスの量を、TriStar 3000 Miromeritics機器を用いた3点静的容積測定により測定した。この方法は、総じてDIN ISO 9277-5(2003)に記載されており、それに従って適用した。
1.3 X線粉末回折および結晶化度
X線粉末回折(XRPD)は、固体サンプルの結晶相を調べるための非破壊分析技術である。結晶化度の測定を含むXRPD測定を、以下のように行った。以下のパラメータを用いて、PANalytical社製Cubix PharmaX線粉末回折計で、0.5~2.0gの材料を分析した:
X線管:LFF-Cu X線管、CuKα、λ=0.1542nm
発生器の設定:40mA、40KV
検出器:X’Celerator
回転:あり/1Rev./s
2Θ範囲:5°-100°
ステップ(°2Θ)0.017°
ステップあたりの時間:40秒
結果を、PANalytical HighScore Plusソフトウェアの最新版および結晶参照相を伴うICDDデータベースのアップデート版を使用して評価した。材料の結晶化度を、HighScore Plus PANalyticalソフトウェアに実装されているコンスタント・バックグラウンド法を用いて測定した。この方法は、以下の式:
結晶化度「%」=100×A/(A+B-C)
に基づくものであり、ここで、
Aは、結晶反射の下方の積分面積であり、
Bは、アモルファスバックグラウンドの面積を表し、結晶反射と機器バックグラウンド線との間の積分面積であり、かつ
Cは、X線の空気散乱、蛍光放射、およびその他の機器要因によって生じる機器バックグラウンド線の下方の積分面積である。
積分面積Aは、X線回折像において、結晶反射と見かけ上のアモルファスバックグラウンドとを分離するバックグラウンド線を定めることにより求めた。機器バックグラウンド線(コンスタント・バックグラウンド)、つまり積分面積Cは、結晶化度100%のCeO NIST認証標準物質を測定して決定した。積分面積Bは、測定されたサンプルにアモルファスバックグラウンドを定め、CeO NIST認証標準物質で決定された一定の機器バックグラウンドを適用して決定される。
1.4 高分解能透過電子顕微鏡(HR-TEM):
Jeol 2010F電界放出型透過電子顕微鏡を、200keVの加速電圧で動作させた。システムの校正、品質および安定化は、Magical no.641標準器(Norrox Scientific Ltd.、カナダ国オンタリオ・ビーバーポンド)を用いて行った。格子面間隔の測定には、高分解能透過電子顕微鏡(HR-TEM)を用いた。サンプルは、清潔な試験管の中で、10mgの粉末を2mLのクロロホルムまたは2mLのイソプロパノール/水の2:1混合物に手動で分散させて製造した。超音波プローブUP100H(Hielscher)を試験管の底から1cmのところまで深く導入して、この分散液を3分間撹拌した。この間、試験管を、Sonorex Super RK102H超音波浴(Bandelin、ピークエネルギー入力240W)に追加設置した。支持体として、穿孔されたカーボン箔で被覆されたHR-TEM支持体を使用した(200メッシュの銅格子上にカーボンフィルムを備えたCF200-Cu;製造元:Electron Microscopy Sciences、PA・ハットフィールド)を使用した。10μLの分散液を、Transferpette(Brand)を用いてカーボン箔上に移した。
ナノ粒子のスポット分析のために、30mmの結晶を備えたNoran SiLi検出器およびNoran System Six装置を用いて、エネルギー分散型X線ナノスポット分析(EDX)を行った。
ナノ粒子の最大フェレー径xFmax、最小フェレー径xFmin、アスペクト比xFmin/Fmax、投影面積A、および円相当径xを統計的に評価するために、HR-TEM分析からサンプルの粒子500個を手動で選択し、Soft Imaging Systems(SIS)社(ドイツ国・ミュンスター)のI-TEMソフトウェアを用いてDIN ISO 9276-6(2012)に従って評価した。得られた値を用いて、対応する平均値xFmax,mean、xFmin,mean、xFmin,mean/xFmax,mean、Amean、およびxA,meanを算出した。
2. 本発明による触媒の製造
本発明による触媒は、その製造に使用される手順によって、本発明により使用されるものと同様の特徴を有する触媒が生成されることを条件として、その製造に関してはいかなる制限も受けない。例えば、本発明によるNo.1~No.6の触媒を、欧州特許出願公開第1506940号明細書の例1に従って製造した。
表1における使用した触媒に応じた対応比率のセリウム(III)2-エチルヘキサノエート(49重量%)またはセリウム(III)2-エチルヘキサノエートとジルコニウム(IV)2-エチルヘキサノエートとの混合物(合計49重量%)の2-エチルヘキサン酸(51重量%)溶液1200g/hを、直径1mmのノズルから空気(3m/h)を用いて反応室に噴霧した。ここでは、水素(3.5m/h)および一次空気(15m/h)からなる酸水素炎が燃焼しており、その中でエアロゾルを反応させた。さらに、10m/hの二次空気を反応室に導入した。火炎の下方の反応室に、反応混合物が通過する長さ150mm、直径15mmのリストリクターを設置した。冷却後、CeOまたは(CeO-(ZrO(1-x)(x=0.8、0.7、0.5)の粉末を、フィルターを用いてガス状物質から分離した。CeO、(CeO0.5-(ZrO0.5、(CeO0.7-(ZrO0.3、および(CeO0.8-(ZrO0.2を含む粒子を含む触媒を製造した。
異なる触媒の粉末を、そのBrunauer、Emmett、およびTeller(BET)表面積ABET、結晶化度、およびその平均最大フェレー径xFmax,mean、平均最小フェレー径xFmin,mean、平均アスペクト比xFmin,mean/xFmax,mean、格子面間隔、および平均円相当径xA,meanについて高分解能透過電子顕微鏡(HR-TEM)を用いて分析し、その後、500個の粒子をグラフィカルに解析した。触媒No.7およびNo.8は和光純薬株式会社より、触媒No.9は関東化学株式会社より、触媒No.10は第一稀元素化学工業株式会社よりそれぞれ購入し、本発明による触媒と同じパラメータで分析した。
Figure 0007425074000002
3. 合成例
3.1 2-ヒドロキシ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルから出発する2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルの合成
10.1gの2-ヒドロキシ-4-(メチルチオ)ブタンニトリル(MMP-CN;水中で90重量%、69.3mmol、1mol.eq.)を、26.0gのNH(水中で32重量%、7mol.eq.、48.8mmol)とガラス反応器内で混合し、次いで密封した。25重量%のMMP-CNを含むわずかにベージュ色の混濁したエマルションを撹拌し、予熱された水浴を用いて30分間かけて50℃に加熱した。得られた淡黄色の溶液をHPLCクロマトグラフィーにより分析したところ、MMP-CNの転化率は100%であり、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリル(MMP-AN;67.2mmol)および2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミド(Metアミド;1.2mmol)の選択率が98.8%であることが確認された。
3.2 得られた2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルから2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドとメチオニンとを含む混合物への直接転化
8.75gのMMP-AN(67.2mol)と、0.18gのMetアミド(1.2mmol)と、7.14gのNH(419mmol、6mol.eq.)と、19.9gの水とを含む、例3.1により得られた反応溶液に、さらに36.2gの水(MMP-AN濃度12重量%)と、表2による1.0g(5.8mmol、0.09mol.eq.)のCeO含有触媒とを加えた。ガラス反応器を再び密閉し、反応物を撹拌しながら、予熱した水浴を用いて30分間かけて60℃に加熱した。次いで、反応溶液を室温まで急冷し、HPLCクロマトグラフィーによって分析した。さらに、ZrOの存在下(触媒No.11)および無触媒(なし)でも反応を行った。MMP-AN転化率、メチオニン(Met)選択率、MetアミドおよびMetの複合選択率、Met:Metアミドの比、Met収率、ならびにMetアミドおよびMetの複合収率の結果を、表2に示す。
Figure 0007425074000003
3.3 得られた2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンエニトリルからメチオニンへの直接完全転化
8.76gのMMP-AN(67.3mol)、0.18gのMetアミド(1.2mmol)、7.14gのNH(419mmol、6mol.eq.)、および19.9gの水を含む例3.1により得られた反応溶液を、鋼製オートクレーブ反応器に移し、さらに36.2gの水(MMP-AN濃度12重量%)、および表3による4.0gのCeO含有触媒(23mmol、0.35mol.eq.)を加えた。反応器を密閉し、反応溶液を撹拌しながら電気ブロックヒーターで120分間かけて75℃に加熱した。その後、反応溶液を室温まで急冷し、HPLCクロマトグラフィーで分析した。MMP-AN転化率、メチオニン(Met)選択率、MetアミドおよびMetの複合選択率、Met:Metアミドの比、Met収率、ならびにMetアミドおよびMetの複合収率の結果を、表3に示す。
Figure 0007425074000004
3.4 得られた2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルの様々な開始濃度での、得られた2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルから2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドとメチオニンとを含む混合物への直接転化
8.75gのMMP-AN(67.2mol)、0.18gのMetアミド(1.2mmol)、7.14gのNH(419mmol、6mol.eq.)、および19.9gの水を含む例3.1により得られた反応溶液に、さらに0g、36.2g、または110gの水(MMP-AN濃度24重量%、12重量%、または6重量%)、および0.5gの表1による触媒No.2(2.9mmol、0.04mol.eq.)を加えた。ガラス反応器を再び密閉し、反応物を撹拌しながら、予熱した水浴によって30分間かけて60℃に加熱した。その後、反応溶液を室温まで急冷し、HPLCクロマトグラフィーで分析した。MMP-AN転化率、メチオニン(Met)選択率、MetアミドおよびMetの複合選択率、Met:Metアミドの比、Met収率、ならびにMetアミドおよびMetの複合収率の結果を、表4に示す。
Figure 0007425074000005
3.5 異なる温度での、得られた2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルから2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドとメチオニンとを含む混合物への直接転化
8.75gのMMP-AN(67.2mol)、0.18gのMetアミド(1.2mmol)、7.14gのNH(419mmol、6mol.eq.)、および19.9gの水を含む例3.1により得られた反応溶液を、鋼製オートクレーブ反応器に移し、さらに36.2gの水(MMP-AN濃度12重量%)および表1による1.0gの触媒No.2(5.8mmol、0.09mol.eq.)を加えた。反応器を密閉し、反応物を撹拌しながら電気ブロックヒーターで60分間かけて90℃または105℃に加熱した。その後、反応溶液を室温まで急冷し、HPLCクロマトグラフィーで分析した。MMP-AN転化率、メチオニン(Met)選択率、MetアミドおよびMetの複合選択率、Met:Metアミドの比、Met収率、ならびにMetアミドおよびMetの複合収率の結果を、表5に示す。90℃での反応に比べ、より高い105℃という温度でMMP-ANの転化を行った場合、4%の酸化Met、メチオニンスルホキシドが観察された。
Figure 0007425074000006
3.6 2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドとメチオニンとを含む得られた溶液の高温での反応によるメチオニンへの完全転化
3.64gのMetアミド(24.6mmol)、6.52gのMet(43.8mmol)、7.88gのNH(463mmol、6.5mol.eq.)、55.4gの水を含む例3.2により得られた反応溶液と、表2による触媒No.2および1.0gの表1による触媒No.2(5.8mmol、0.09mol.eq.)を鋼製オートクレーブ反応器に移し、反応物を撹拌しながら電気ブロックヒーターで120分間かけて120℃に加熱した。その後、反応溶液を室温まで急冷した。この溶液をHPLCクロマトグラフィーで分析したところ、Metアミド転化率が100%であり、Met選択率が98%であることが明らかとなった。これはMet収率98%に相当する。
3.7 連続クロスフローろ過によるメチオニン含有混合物からの触媒の分離
3重量%のMet、および1重量%の表1による触媒No.1を含むメチオニン混合物を、膜孔径50nmのAl膜で覆われた、または公称分画分子量(NMWC)が150もしくは25kDのZrO膜で覆われたAlチャネル(支持体)を通してポンプ搬送した。いずれの場合も、透過液をHPLCクロマトグラフィーで分析したところ、開始時のメチオニン含有混合物と比較して、3%の同一のMet濃度で、Metの正常かつ妨げのない膜の通過が明らかになった。いずれの場合も、透過液のレーザー回折および動的光散乱による粒度分布分析により、触媒は濃縮液中に完全に保持され、膜を通過しなかったことが明らかになった。

Claims (15)

  1. 2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルおよび/または2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンアミドを含む溶液または懸濁液を、触媒の存在下で水と接触させて、メチオニン含有混合物を得るステップを含むメチオニンの製造方法であって、前記触媒は、CeO含有粒子を含み、前記CeO含有粒子は、50~100重量%のCeOを含み、かつDIN ISO 9277-5(2003)に従って測定された35~65m/gのBET表面積と、双方ともDIN ISO 9276-6(2012)に従って測定された10~40nmの平均最大フェレー径xFmax,meanおよび5~30nmの平均最小フェレー径xFmin,meanとを有する、方法。
  2. 前記触媒は、前記触媒の総重量に対して25~100重量%のCeOを含む、請求項1記載の方法。
  3. 前記CeO含有粒子は、9~25nmの平均最小フェレー径xFmin,meanを有する、請求項1または2記載の方法。
  4. 前記CeO含有粒子は、13~36nmの平均最大フェレー径xFmax,meanを有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
  5. 前記CeO含有粒子の前記平均最小フェレー径xFmin,meanは、前記の粒子の前記平均最大フェレー径xFmax,meanよりも常に小さい、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
  6. 前記CeO含有粒子は、DIN ISO 9276-6(2012)に従って測定された0.55~0.85の平均アスペクト比xFmin,mean/xFmax,meanを有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の方法。
  7. 前記CeO含有粒子は、0.24~0.32nmの格子面間隔を有する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
  8. 前記CeO含有粒子は、八面体粒子を含む、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
  9. 前記CeO含有粒子は、DIN ISO 9276-6(2012)に従って測定された5~45nmの平均円相当径xA,meanを有する、請求項1から8までのいずれか1項記載の方法。
  10. 前記CeO含有粒子は、少なくとも50%の結晶化度を有する、請求項1から9までのいずれか1項記載の方法。
  11. 接触ステップを、2-アミノ-4-(メチルチオ)ブタンニトリルを含む溶液または懸濁液を用いて、最高で90℃の温度で行う、請求項1から10までのいずれか1項記載の方法。
  12. 接触ステップで得られた前記メチオニン含有混合物を、少なくとも1つのさらなる接触ステップに供給する、請求項1から11までのいずれか1項記載の方法。
  13. 前記少なくとも1つのさらなる接触ステップを、70~140℃の範囲の温度で行う、請求項12記載の方法。
  14. 前記方法は、前記メチオニン含有混合物から、連続クロスフローろ過によって前記触媒を分離するステップをさらに含む、請求項1から13までのいずれか1項記載の方法。
  15. 少なくとも1つの接触ステップは、反応溶液または懸濁液の真空蒸留または水蒸気によるストリッピングを伴う、請求項1から14までのいずれか1項記載の方法。
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