JPWO2017169777A1 - 炭化珪素半導体装置および電力変換器 - Google Patents

炭化珪素半導体装置および電力変換器 Download PDF

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Abstract

ソース領域(12)はソースコンタクト領域(12a)とソース抵抗領域(12b)とを含む。ソース抵抗領域(12b)は、チャネル領域に隣接しており、ソースコンタクト領域(12a)が有する第1導電型の不純物濃度よりも低い第1導電型の不純物濃度を有する。ソース抵抗領域(12b)は、ゲート絶縁膜のみを介してゲート電極(35)に対向している第1部分(12b2)と、ゲート絶縁膜のみを介してゲート電極(35)に対向してはいない第2部分(12b1)とを有する。ソース抵抗領域(12b)とゲート絶縁膜との界面上での、第1部分(12b2)および第2部分(12b1)の境界位置とソースコンタクト領域(12a)および第2部分(12b1)の境界位置との間の最短経路の長さと、ソース抵抗領域(12b)の第2部分(12b1)の室温でのシート抵抗との積は、1.0×102Ωμm以上1.0×106Ωμm以下である。

Description

本発明は、電力変換器に関するものである。
パワーエレクトロニクス分野で用いられる半導体装置には、金属/絶縁体/半導体接合の電界効果型トランジスタであるMOSFET(Metal-Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)およびIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)などが挙げられる。半導体装置には、パワーエレクトロニクス分野への応用の観点から高信頼性化が求められている。例えば、特許文献1によれば、MOSFETのゲート酸化膜の信頼性を高めるための技術が開示されている。また、他の重要な信頼性として、半導体装置に意図せず過電流が流れた場合における信頼性がある。例えば、MOSFETがインバータ回路などに適用され誘導性負荷または抵抗性負荷が動作されているときに、アーム短絡などの負荷短絡が生じると、オン状態のMOSFETのドレイン電極に電源電圧である高電圧が印加されるので、MOSFETに大電流が流れる。この状態では、MOSFETには定格電流の数倍から数十倍のドレイン電流が誘起される。MOSFETが適切な保護機能を有していなければ、この大電流によりMOSFET素子は破壊に至る。
この素子破壊を未然に防ぐために、過剰なドレイン電流(過電流)が検知された場合に、ゲート電極へオフ信号を入力することでドレイン電流を遮断する方法がある。この方法が適用される場合であっても、過電流発生から、ゲート電極へのオフ信号の入力までの時間に渡って、過電流が流れる。よってこの時間以上の間は素子の破壊が発生しないロバスト性、言い換えれば短絡耐量、が求められる。短絡耐量は、短絡が生じてから素子破壊に至るまでに要する時間で略定義され、「短絡耐量が優れている」とは、破壊までの時間が長いことを言う。半導体装置の高信頼性の一つとして、短絡耐量が優れていることが強く望まれる。
特許文献2には、MOSFETの短絡耐量を向上させる技術が開示されている。これによれば、ソース領域は、低抵抗な領域(ソースコンタクト領域およびソースエクステンション領域)と、高抵抗な領域(ソース抵抗制御領域)とを含む。この構成によれば、負荷短絡時の電流がソース抵抗制御領域を流れることにより大きな電圧降下が生じるので、飽和電流値が低下する。これによりMOSFETの短絡耐量が向上する。
特開2009−064970号公報 国際公開第2013/172079号
特許文献2の技術によれば、ソース領域は、低抵抗なソースコンタクト領域と低抵抗なソースエクステンション領域との間に、高抵抗なソース抵抗制御領域を有している。ソース抵抗制御領域の抵抗値は、ソース抵抗制御領域の長さ(ソースコンタクト領域とソースエクステンション領域との間の距離)および不純物濃度を調整することによって調節することができる。ソース抵抗制御領域を高抵抗化することにより、負荷短絡時にソース抵抗制御領域で有意な電圧降下を生じさせることができる。しかしながら、この技術によると、ソース領域全体の長さが大きくなるので、半導体装置のセルピッチが増大してしまう。結果として、MOSFETの単位面積当たりのオン抵抗が増大してしまう。
一方で、特許文献1の技術においては、ソース領域の低濃度領域がゲート電極下まで跨っており、特許文献2の技術におけるソースエクステンション領域は設けられていない。この構造の方がセルピッチは小さくなる。しかしながら、単にソース領域の一部を低濃度化するだけでは、それに応じて単位面積当たりのオン抵抗が増大することから、単位面積当たりのオン抵抗と短絡耐量との間のトレードオフ関係が問題となり得る。
本発明は以上のような問題を解決するためになされたものであり、単位面積当たりのオン抵抗を低く維持しつつ短絡耐量を向上させることができる炭化珪素半導体装置を有する電力変換器を提供することを目的とする。
本発明の電力変換器は、少なくとも1つの半導体素子と、ゲート駆動部と、異常信号処理部とを有している。少なくとも1つの半導体素子は、ゲート電圧によってスイッチングされる。ゲート駆動部は、少なくとも1つの半導体素子へゲート電圧を供する。異常信号処理部は、少なくとも1つの半導体素子に関する異常信号を受け付け、異常信号に応じて、ゲート電圧が少なくとも1つの半導体素子をオフにするものとなるようにゲート駆動部を制御する。少なくとも1つの半導体素子は炭化珪素半導体装置を含む。炭化珪素半導体装置は、ドリフト層と、ウェル領域と、ソース領域と、ゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極とを有している。ドリフト層は第1導電型のものである。ウェル領域は、第1導電型と異なる第2導電型のものであり、ドリフト層上に設けられている。ソース領域は、第1導電型のものであり、ウェル領域上に設けられており、ウェル領域によってドリフト層から隔てられている。ゲート電極は、ゲート絶縁膜を介して、ソース領域、ウェル領域およびドリフト層に跨って延在している。ソース電極はソース領域に接続している。ドレイン電極は、ソース電極から少なくともドリフト層によって隔てられており、ドリフト層に電気的に接続されている。ウェル領域は、ドリフト層およびソース領域に挟まれ、かつゲート絶縁膜を介してゲート電極に対向するチャネル領域を有している。ソース領域はソースコンタクト領域とソース抵抗領域とを含む。ソースコンタクト領域は、ウェル領域内の表層部に形成されており、ソース電極に接続している。ソース抵抗領域は、チャネル領域に隣接しており、ソースコンタクト領域が有する第1導電型の不純物濃度よりも低い第1導電型の不純物濃度を有している。ソース抵抗領域は、ゲート絶縁膜のみを介してゲート電極に対向している第1部分と、ゲート絶縁膜のみを介してゲート電極に対向してはいない第2部分とを有している。ソース抵抗領域とゲート絶縁膜との界面上での、第1部分および第2部分の境界位置とソースコンタクト領域および第2部分の境界位置との間の最短経路の長さと、ソース抵抗領域の第2部分の室温でのシート抵抗との積は、1.0×10Ωμm以上1.0×10Ωμm以下である。
本発明によれば、炭化珪素半導体装置が短絡された場合に、ソース抵抗領域を流れる短絡電流によって生じる電位差により、実効的なゲート電圧が減少する。これにより飽和電流が抑制される。よって短絡耐量を向上させることができる。また、ソース抵抗領域がチャネル領域に隣接していることにより、ソース抵抗領域とチャネル領域との間にソース領域に含まれる他の領域がさらに設けられている場合に比して、セルピッチの増大が抑えられる。これにより、ソース抵抗領域を設けつつ、単位面積当たりのチャネル密度の低下を抑えることができる。よって炭化珪素半導体装置の単位面積当たりのオン抵抗を低く維持することができる。ソース抵抗領域とゲート絶縁膜との界面上での、第1部分および第2部分の境界位置とソースコンタクト領域および第2部分の境界位置との間の最短経路の長さと、ソース抵抗領域の第2部分の室温でのシート抵抗との積が、1.0×10Ωμm以上1.0×10Ωμm以下とされることにより、上述した効果の両方が得られる。すなわち、単位面積当たりのオン抵抗を低く維持しつつ、短絡耐量を向上させることができる。
この発明の目的、特徴、局面、および利点は、以下の詳細な説明と添付図面とによって、より明白となる。
本発明の各実施の形態における電力変換器の構成を示す模式図である。 本発明の実施の形態1において電力変換器が有する炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。 図2の炭化珪素半導体装置のユニットセルのレイアウトを概略的に示す平面図である。 図2の炭化珪素半導体装置の製造方法の第1工程を概略的に示す部分断面図である。 図2の炭化珪素半導体装置の製造方法の第2工程を概略的に示す部分断面図である。 図2の炭化珪素半導体装置の製造方法の第3工程を概略的に示す部分断面図である。 図2の炭化珪素半導体装置の製造方法の第4工程を概略的に示す部分断面図である。 図2の炭化珪素半導体装置の製造方法の第5工程を概略的に示す部分断面図である。 図2の炭化珪素半導体装置の製造方法の第6工程を概略的に示す部分断面図である。 図2の炭化珪素半導体装置が有するエピタキシャル基板の、ソース抵抗領域からウェル領域への深さ方向における不純物濃度分布の数値計算結果を例示するグラフである。 図2の炭化珪素半導体装置が有するエピタキシャル基板の、ソース抵抗領域からウェル領域への深さ方向における実効的な不純物濃度分布の数値計算結果を例示するグラフである。 実施の形態1の実施例および比較例における、炭化珪素半導体装置のオン抵抗の差分と、短絡耐量との関係を示すグラフ図である。 実施の形態1の実施例および比較例における、炭化珪素半導体装置のオン抵抗の差分と、実効抵抗部分の領域長さと室温におけるシート抵抗との積と、の関係を示すグラフ図である。 図3の変形例としてのユニットセルのレイアウトを概略的に示す平面図である。 図2の変形例としての炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。 図2の変形例としての炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。 本発明の実施の形態2における炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。 本発明の実施の形態2における炭化珪素半導体装置の製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。 本発明の実施の形態3における炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。 本発明の実施の形態3における炭化珪素半導体装置の製造方法の第1工程を概略的に示す部分断面図である。 本発明の実施の形態3における炭化珪素半導体装置の製造方法の第2工程を概略的に示す部分断面図である。 本発明の実施の形態3における炭化珪素半導体装置の製造方法の第3工程を概略的に示す部分断面図である。 図19の変形例としての炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。 図23AのXXIIIB部の拡大図である。 図23Aの炭化珪素半導体装置の製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。 図19の変形例としての炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。 図19の変形例としての炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。 図26AのXXVIB部の拡大図である。 本発明の実施の形態4における炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。 本発明の実施の形態4における炭化珪素半導体装置の製造方法の第1工程を概略的に示す部分断面図である。 本発明の実施の形態4における炭化珪素半導体装置の製造方法の第2工程を概略的に示す部分断面図である。 図27の変形例としての炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。 本発明の実施の形態5における炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。 本発明の実施の形態5における炭化珪素半導体装置の製造方法の第1工程を概略的に示す部分断面図である。 本発明の実施の形態5における炭化珪素半導体装置の製造方法の第2工程を概略的に示す部分断面図である。 図31の変形例としての炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。 本発明の実施の形態6における炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。 本発明の実施の形態6における炭化珪素半導体装置の製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。 図35の変形例としての炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。 図37AのXXXVIIB部の拡大図である。 図35の変形例としての炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。 図35の変形例としての炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。 図35の変形例としての炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。 図40AのXLB部の拡大図である。 図35の変形例としての炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。 本発明の実施の形態7における炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。 本発明の実施の形態7における炭化珪素半導体装置の製造方法の第1工程を概略的に示す部分断面図である。 本発明の実施の形態7における炭化珪素半導体装置の製造方法の第2工程を概略的に示す部分断面図である。 本発明の実施の形態8における炭化珪素半導体装置の構成を概略的に示す部分断面図である。 図45の炭化珪素半導体装置のユニットセルのレイアウトを概略的に示す平面図である。 本発明の実施の形態8における炭化珪素半導体装置の製造方法の一工程を概略的に示す部分断面図である。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰返さない。
<実施の形態1>
(構成)
図1は、本実施の形態における電力変換器300の構成を示す模式図である。電力変換器300は、少なくとも1つの半導体素子301と、ゲート駆動部302と、異常信号処理部303とを有している。半導体素子301は、ゲート電圧によってスイッチングされる素子である。ゲート駆動部302は、半導体素子301へゲート電圧を供する回路である。異常信号処理部303は、半導体素子301に関する異常信号を受け付ける。異常信号は、典型的には、半導体素子301に異常電流が流れたことを表す。異常電流は、例えば、電力変換器300に接続された負荷における短絡の発生によって生じ得る。異常信号に応じて、異常信号処理部303は、ゲート電圧が半導体素子301をオフにするものとなるようにゲート駆動部302を制御する。具体的には、異常信号処理部303は、異常信号に応じた制御信号をゲート駆動部302へ出力する。典型的には、異常信号処理部303は、半導体素子301に異常電流が流れたことを表す異常信号を受け付けたときに、ゲート電圧が半導体素子301をオフにするものとなるようにゲート駆動部302を制御するための制御信号を、ゲート駆動部302へ出力する。
半導体素子301がオフされることによって、半導体素子301を流れる電流が遮断される。これにより、電力変換器300は、異常信号に応じて動作する電流遮断機能を有する。この機能によって、半導体素子301の破壊を防ぐことができる。少なくとも1つの半導体素子301は、半導体材料として炭化珪素を用いた半導体装置、すなわち炭化珪素半導体装置、を含む。
図2は、本実施の形態におけるMOSFET71A(炭化珪素半導体装置)の構成を概略的に示す部分断面図である。MOSFET71Aはプレーナ型のものである。図3は、図2のMOSFET71Aのユニットセル10のレイアウトを概略的に示す平面図である。MOSFET71Aは、複数のユニットセル10を有する能動領域と、その外側に配置された終端領域とを有している。図3におけるユニットセル10の右半分が、図2の視野に対応している。なおユニットセル10の詳細な構成は後述する。
MOSFET71Aは、エピタキシャル基板61と、ゲート絶縁膜30と、層間絶縁膜32と、ゲート電極35と、ソース電極41と、ドレイン電極43とを有している。エピタキシャル基板61は炭化珪素から作られている。エピタキシャル基板61は、半導体基板1aと、その上面上に形成されたドリフト層2とを有している。ドリフト層2には、ウェル領域20と、ソース領域12と、ウェルコンタクト領域25とが形成されている。言い換えれば、エピタキシャル基板61は、半導体基板1a上に、ドリフト層2と、ウェル領域20と、ソース領域12と、ウェルコンタクト領域25とを有するエピタキシャル層を有している。
半導体基板1aはn型(第1導電型)のものである。ドリフト層2はn型のものである。ウェル領域20は、p型(第1導電型と異なる第2導電型)のものである。ウェル領域20は、ドリフト層2上に設けられており、具体的には、ドリフト層2の表層部に選択的に形成されている。ドリフト層2の表層部におけるウェル領域20に隣接する部分は、JFET領域11である。
ソース領域12は、n型のものである。ソース領域12は、ウェル領域20上に設けられており、具体的には、ウェル領域20内の表層部に選択的に形成されている。ウェル領域20におけるソース領域12とJFET領域11とに挟まれた部分は、オン状態時にMOSFET71Aにチャネルが形成される領域であり、「チャネル領域」と呼ばれる。ソース領域12は、ソースコンタクト領域12aおよびソース抵抗領域12bを有している。ソースコンタクト領域12aおよびソース抵抗領域12bの各々は、ウェル領域20内の表層部に形成されている。ソース抵抗領域12bはチャネル領域に隣接している。ソース抵抗領域12bは、ソースコンタクト領域12aの外側を囲むように形成されている。ソース抵抗領域12bは、ソースコンタクト領域12aが有するn型の不純物濃度(ドナー濃度)よりも低いn型の不純物濃度を有している。好ましくは、ソース抵抗領域12bは、ソースコンタクト領域12aが有するn型の不純物濃度よりも1桁以上低いn型の不純物濃度を有している。
ソース抵抗領域12bは、0.1μm以上3.0μm以下の厚みを有することが好ましい。ソース抵抗領域12bが薄すぎると、ウェル領域20から延びる空乏層によって電流経路が遮断され、MOSFET71Aのオン抵抗が急増する。逆に、ソース抵抗領域12bが厚すぎると、ソース抵抗領域12bの深部のウェル領域20の厚みが薄くなり、パンチスルーが生じやすくなる。結果、耐圧が低下する。そのため、ソース抵抗領域12bは、0.1μm以上3.0μm以下の厚みを有することが望ましい。
ウェルコンタクト領域25は、p型のものであり、ソースコンタクト領域12aの内側に設けられている。ウェルコンタクト領域25の深さ(エピタキシャル基板61表面に垂直な方向の長さ)は、ソースコンタクト領域12aの深さよりも大きい。つまり、ウェルコンタクト領域25は、ソースコンタクト領域12aを貫通してウェル領域20に達するように形成されている。ウェルコンタクト領域25のp型の不純物濃度は、ウェル領域20と、ソース電極41のオーミック電極40との間の良好な電気的接続を得るために、ウェル領域20のp型の不純物濃度よりも高く設定されている。
ゲート絶縁膜30はドリフト層2(エピタキシャル層)の表面上に設けられている。ゲート電極35はゲート絶縁膜30上に設けられている。言い換えれば、ゲート電極35は、ドリフト層2上にゲート絶縁膜30を介して設けられている。具体的には、ゲート電極35は、ゲート絶縁膜30を介して、ソース領域12、ウェル領域20およびドリフト層2に跨って延在している。より具体的には、ゲート電極35は、ゲート絶縁膜30を介して、ソース領域12、チャネル領域およびJFET領域11に跨って延在している。この構造により、ウェル領域20は、ドリフト層2およびソース領域12に挟まれ、かつゲート絶縁膜30を介してゲート電極35に対向するチャネル領域を有している。具体的には、ウェル領域20は、JFET領域11およびソース領域12に挟まれ、かつゲート絶縁膜30を介してゲート電極35に対向するチャネル領域を有している。
層間絶縁膜32はゲート電極35上に設けられている。ソース電極41は層間絶縁膜32上に設けられている。層間絶縁膜32およびゲート絶縁膜30には、ソース電極41をソース領域12のソースコンタクト領域12aとウェルコンタクト領域25とに接続させるためのコンタクトホールが形成されている。ソース電極41にはオーミック電極40が設けられている。オーミック電極40は、上記コンタクトホールにおいて、ソースコンタクト領域12aおよびウェルコンタクト領域25の各々にオーミック接続されている。
ドレイン電極43には、半導体基板1aにオーミック接続されたオーミック電極42が設けられている。言い換えれば、オーミック電極42が設けられたドレイン電極43が、半導体基板1aの裏面上に設けられている。ドレイン電極43は半導体基板1aを介してドリフト層2に電気的に接続されている。ドレイン電極43は、ソース電極41からドリフト層2によって隔てられており、本実施の形態においてはさらに半導体基板1aによって隔てられている。
次に、ソース抵抗領域12bの構成の詳細について、以下に説明する。
ソース抵抗領域12bは、重ね合わせ部分12b2(第1部分)と、実効抵抗部分12b1(第2部分)とを有している。重ね合わせ部分12b2はゲート絶縁膜30を介してゲート電極35と重ね合わされている。言い換えれば、重ね合わせ部分12b2は、ゲート絶縁膜30のみを介してゲート電極35に厚み方向において対向している。一方、実効抵抗部分12b1は、ゲート絶縁膜30のみを介してゲート電極35に厚み方向において対向してはいない。重ね合わせ部分12b2は、図3に示されるようにソース領域12の最外周部であり、チャネル領域に隣接している。
ソース抵抗領域12bとゲート絶縁膜30との界面上での、実効抵抗部分12b1および重ね合わせ部分12b2の境界位置とソースコンタクト領域12aおよび実効抵抗部分12b1の境界位置との間の最短経路の長さ(以下、「長さLN0」または「実効抵抗部分12b1の領域長さ」とも称する)は、本実施の形態においては、実効抵抗部分12b1の水平方向における長さに対応している。ここで水平方向とは、エピタキシャル基板61の表面と水平な方向である。
ソース抵抗領域12bの実効抵抗部分12b1は、室温でシート抵抗(面抵抗率)Sを有するものとする。長さLN0とシート抵抗Sとの積は、後述する理由により、1.0×10Ωμm以上1.0×10Ωμm以下とされている。長さLN0は、0.1μm以上5.0μm以下であることが好ましい。シート抵抗Sは、1.0×103Ω以上1.0×106Ω以下であることが好ましい。ソース抵抗領域12bの重ね合わせ部分12b2の室温でのシート抵抗は、シート抵抗Sと同じであることが好ましい。言い換えれば、ソース抵抗領域12bは、水平方向において均一なシート抵抗を有していることが好ましい。このような構成は、実効抵抗部分12b1と重ね合わせ部分12b2との間で、n型の不純物濃度および深さが共通とされていれば容易に得られる。
次に、ユニットセル10(図3)の構成の詳細について説明する。ユニットセル10の最表面部の平面構造において、ウェル領域20の中心部にウェルコンタクト領域25が形成されている。ウェルコンタクト領域25の外側にソースコンタクト領域12aが形成されている。ソースコンタクト領域12aの外側にソース抵抗領域12bが形成されている。ソース抵抗領域12bにおいては、実効抵抗部分12b1の外側に重ね合わせ部分12b2が形成されている。重ね合わせ部分12b2の外側に、ウェル領域20のチャネル領域が位置している。オーミック電極40(図3)は、ソース領域12を構成するソースコンタクト領域12aおよびソース抵抗領域12bのうち、ソースコンタクト領域12aのみに接触している。よって、ソースコンタクト領域12aと実効抵抗部分12b1と重ね合わせ部分12b2とは、オーミック電極40とチャネル領域との間で直列接続されている。なお、ソースコンタクト領域12aは、高い不純物濃度を有しており、オーミック電極40との間でコンタクト抵抗の低いオーミック接触を実現している。
なお、図示は省略するが、MOSFET71A(図2)に、その上部を覆うシリコン窒化膜またはポリイミドなどの保護膜が設けられてもよい。この保護膜には、ソース電極41およびゲート配線に外部の制御回路を接続させるための開口が設けられる。つまり、ソース電極41のうち保護膜の開口で露出された部分はソースパッドとして用いられ、ゲート配線のうち保護膜の開口で露出された部分はゲートパッドとして用いられる。ソースパッドおよびゲートパッドのそれぞれは、外部からソース電位およびゲート電位を印加するために用いられる。
(製造方法)
MOSFET71Aの製造方法について、図4〜図9を参照しつつ、以下に説明する。なお図4〜図9の各々の視野は図2の視野に対応している。
図4を参照して、まず、n型の炭化珪素からなる半導体基板1aが用意される。半導体基板1aの面方位は任意でよく、例えば、その表面垂直方向がc軸方向に対して8°以下に傾斜されていてもよいし、あるいは傾斜していなくてもよい。半導体基板1aの厚みも任意でよく、例えば350μm程度でもよいし、100μm程度でもよい。
続いて、半導体基板1a上に、エピタキシャル結晶成長により、n型のドリフト層2が形成される。ドリフト層2のn型の不純物濃度は、1×1013cm-3以上1×1018cm-3以下程度とされ、その厚みは3μm以上200μm以下とされる。
ドリフト層2の不純物濃度分布は厚み方向に一定であることが望ましいが、一定でなくてもよく、意図的に、例えば表面近傍で不純物濃度が高くされてもよいし、逆に低くされてもよい。ドリフト層2の表面近傍の不純物濃度が高くされた場合、後に形成されるJFET領域11の抵抗を低減する効果、および、チャネル移動度を向上させる効果が得られる。さらに、素子のしきい値電圧を低く設定することができる。逆に、ドリフト層2の表面近傍の不純物濃度が低くされた場合、素子に逆バイアスが印加されたときにゲート絶縁膜30に生じる電界が低減されることで、素子の信頼性が向上する。さらに、素子のしきい値電圧を高く設定することができる。
その後、写真製版処理により加工された注入マスク100a(例えばレジストまたはシリコン酸化膜)が形成される。注入マスク100aを用いた選択的なイオン注入(図中、矢印参照)により、p型のウェル領域20が形成される。イオン注入時には、半導体基板1aは100℃以上800℃以下で加熱されることが好ましいが、加熱されていなくてもよい。また、ここでイオン注入される不純物(ドーパント)は、p型の不純物(アクセプタ)であり、アルミニュームまたは硼素が好適である。
ウェル領域20の底の深さは、ドリフト層2の底を超えないように設定する必要があり、例えば0.2μm以上2.0μm以下程度とされる。また、ウェル領域20の最大不純物濃度は、ドリフト層2の表面近傍の不純物濃度を超えるように設定され、例えば1×1015cm-3以上1×1019cm-3以下の範囲内に設定される。但し、ドリフト層2の最表面近傍に限っては、チャネル領域の導電性を高めるために、ウェル領域20のp型の不純物濃度がドリフト層2のn型の不純物濃度を下回るように設定されてもよい。
図5を参照して、次に、写真製版処理により加工された注入マスク100b(レジストまたはシリコン酸化膜)を用いた選択的なイオン注入(図中、矢印参照)により、n型のソースコンタクト領域12aが形成される。ここでイオン注入される不純物(ドーパント)は、n型の不純物(ドナー)であり、窒素またはリンが好適である。
ソースコンタクト領域12aの底の深さは、ウェル領域20の底を超えないように設定される。ソースコンタクト領域12aの任意の位置において、ソースコンタクト領域12aの不純物濃度は、ウェル領域20の不純物濃度を超えている。ソースコンタクト領域12aの最大不純物濃度は、1×1018cm-3以上1×1021cm-3以下程度に設定される。
図6を参照して、次に、写真製版処理により加工された注入マスク100c(例えばレジスト膜)を用いた選択的なイオン注入により、n型のソース抵抗領域12bが形成される。イオン注入種、注入エネルギー、注入ドーズ量などのイオン注入条件は、前述したシート抵抗Sの値が好適なものとなるように選択される。ソース抵抗領域12bの厚み(ドリフト層2の深さ方向の長さ)は、先に述べた理由から0.1μm以上3.0μm以下程度あればよい。
なおn型を有するソース抵抗領域12bの表層部(図中、上面部分)に、ウェル領域20形成のためにイオン注入されたp型の不純物に起因して、p型の領域が存在してもよい。またソース抵抗領域12bは、1段のイオン注入によって一度に形成されてもよいし、多段注入により形成されてもよい。また、ソース抵抗領域12bの深さ方向の不純物濃度分布は、レトログレードプロファイルとなってもよいし、2段以上の階段状のプロファイルとなってもよい。
なお図6では、ソース抵抗領域12bの形成のためにイオン注入が行われる領域が、ソースコンタクト領域12aとオーバーラップしている様子が示されている。これらはいずれも同じ導電型(n型)の領域であるので、図7以降の工程図では、オーバーラップした領域は特に示さない。
図7を参照して、次に、写真製版処理により加工された注入マスク100dを用いた選択的なイオン注入により、p型のウェルコンタクト領域25が形成される。ウェルコンタクト領域25は、その底がp型のウェル領域20に達するように形成される。このイオン注入は、150℃以上の基板温度で実行されることが望ましい。そうすることで、シート抵抗の低いウェルコンタクト領域25を形成することができる。
図8を参照して、その後、ドリフト層2に注入された不純物を電気的に活性化させるための熱処理が行われる。この熱処理は、アルゴンもしくは窒素などの不活性ガス雰囲気中、または、真空中で、1500℃以上2200℃以下の温度で、0.5分以上60分以下の時間で行われることが好ましい。この熱処理は、ドリフト層2の表面を炭素からなる膜で覆った状態、または、ドリフト層2の表面、半導体基板1aの裏面、並びに半導体基板1aおよびドリフト層2の各端面を炭素からなる膜で覆った状態で行われてもよい。それにより、熱処理時における装置内の残留水分および残留酸素との反応によるエッチングに起因してドリフト層2の表面が荒れることが抑止される。
続いて、熱酸化によりドリフト層2の表面にシリコン酸化膜(犠牲酸化膜、図示せず)が形成される。フッ酸により当該酸化膜を除去することにより、表面の加工ダメージ層が除去される。これにより清浄な面が得られる。そして、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などによりドリフト層2上にシリコン酸化膜が形成され、当該シリコン酸化膜に対して能動領域上を開口するパターニングを行うことにより、能動領域の外側の領域にフィールド酸化膜(図示せず)が形成される。フィールド酸化膜の厚みは、0.5μm以上2μm以下程度あればよい。
図9を参照して、次に、ドリフト層2の表面上にシリコン酸化膜のゲート絶縁膜30が形成される。ゲート絶縁膜30の形成手法としては、例えば、熱酸化法または堆積法が挙げられる。また、熱酸化法や堆積法によりシリコン酸化膜を形成した後に、窒化酸化ガス(NOまたはN2Oなど)雰囲気もしくはアンモニア雰囲気での熱処理、または不活性ガス(アルゴンなど)雰囲気での熱処理が行われてもよい。
そして、ゲート絶縁膜30上に多結晶シリコンまたは多結晶炭化珪素がCVD法により堆積され、写真製版処理およびエッチングによるパターニングが行われることにより、ゲート電極35が形成される。ゲート電極35に用いられる多結晶シリコンまたは多結晶炭化珪素は、リン、硼素またはアルミニュームなどの不純物を含むことによりn型またはp型を有する。不純物濃度が十分に高くされることで、ゲート電極35のシート抵抗が十分に低くされることが好ましい。リンや硼素やアルミニュームは、多結晶シリコンまたは多結晶炭化珪素の成膜中に取り込まれてもよいし、成膜後にイオン注入により添加されてもよい。イオン注入の場合は活性化熱処理を要する。ゲート電極35の材料は、金属もしくは金属間化合物またはそれらの多層膜であってもよい。
なお図9には、ソース領域12とドリフト層2とに挟まれたチャネル領域の領域長さであるチャネル長LCHが示されている。チャネル長LCHは、チャネルの方向に沿って定義される長さである。よってチャネル長LCHは、チャネルが縦方向に沿っている場合(典型的にはトレンチ型の場合)は縦方向に沿った長さであり、チャネルが水平方向に沿っている場合(典型的にはプレーナ型の場合)は水平方向に沿った長さである。本実施の形態においては、チャネルは水平方向(図9における横方向)に沿っているので、チャネル長LCHは水平方向に沿った長さである。具体的には、本実施の形態においては、チャネル長LCHは、ソース領域12とJFET領域11とに挟まれたウェル領域20表面における水平方向の長さである。
再び図2を参照して、次に、ドリフト層2上にCVD法などによって層間絶縁膜32が形成される。そして、例えばドライエッチング法により、ソース電極41をソースコンタクト領域12aおよびウェルコンタクト領域25に接続させるためのコンタクトホール(ソースコンタクトホール)が層間絶縁膜32に形成される。また、不図示の領域において、ゲート配線をゲート電極35に接続させるためのコンタクトホール(ゲートコンタクトホール)が層間絶縁膜32に形成される。ソースコンタクトホールおよびゲートコンタクトホールは、同じエッチング工程で同時に形成されてもよい。それにより、プロセス工程が簡略化されるので、製造コストが削減される。
続いて、エピタキシャル基板61のエピタキシャル層の表面の、ソースコンタクトホールの底に露出された箇所に、オーミック電極40が形成される。オーミック電極40は、ソースコンタクト領域12aおよびウェルコンタクト領域25の各々とのオーミック接触を実現する。エピタキシャル層(ドリフト層2)が炭化珪素である場合のオーミック電極40の形成方法としては、ソースコンタクト内を含むドリフト層2の全面にNiを主成分とする金属膜を成膜し、600℃以上1100℃以下の熱処理により金属膜を炭化珪素と反応させてオーミック電極40となるシリサイド膜を形成し、その後、層間絶縁膜32上に残留した未反応の金属膜を、硝酸、硫酸または塩酸あるいはそれらの過酸化水素水との混合液などを用いたウェットエッチングにより除去する、という方法が挙げられる。層間絶縁膜32上に残留した金属膜が除去された後に、より高い温度での追加の熱処理が行われてもよい。これにより、コンタクト抵抗のより低いオーミック接触が形成される。
オーミック電極40は、その全体が同一の金属間化合物からなっていてもよいし、p型領域に接続する部分とn型領域に接続する部分とが、それぞれに適した別々の金属間化合物からなっていてもよい。オーミック電極40がn型のソースコンタクト領域12aに対して十分低いオーミックコンタクト抵抗を有することが、MOSFET71Aのオン抵抗の低減のためには重要である。一方、オーミック電極40がp型のウェルコンタクト領域25に対して十分低いオーミックコンタクト抵抗を有することは、ウェル領域20のアース電位への固定、または、MOSFET71Aに内蔵されるボディダイオードの順方向特性改善の観点から好ましい。オーミック電極40においてp型領域に接続する部分とn型領域に接続する部分とを作り分けることにより、この両方を実現することができる。これは、写真製版処理を用いて、シリサイド膜を形成するための金属膜のパターニングをそれぞれで行うことで実現可能である。
また、ドリフト層2上にオーミック電極40を形成する過程で、半導体基板1aの裏面にも、同様の手法でオーミック電極42となるシリサイド膜が形成される。オーミック電極42は半導体基板1aにオーミック接触し、この後形成されるドレイン電極43と半導体基板1aとの間での良好な接続を実現する。
続いて、スパッタ法または蒸着法により所定の金属膜を形成し、それをパターニングすることによって、層間絶縁膜32上にソース電極41が形成される。ゲート電極35に接続される不図示のゲート配線も、ソース電極41と同じ金属膜を用いて形成される。上記金属膜としては、Al、Ag、Cu、Ti、Ni、Mo、W、Ta、それらの窒化物、それらの積層膜、それらの合金膜などが考えられる。さらに、半導体基板1aの裏面のオーミック電極42上に、Ti、Ni、AgまたはAuなどの金属が堆積されることでドレイン電極43が形成される。以上によりMOSFET71Aが得られる。
なお、半導体基板1aの上面側の構造が形成された後、裏面側からの研削により半導体基板1aが100μm程度の厚みまで薄くされてもよい。この場合は、研削面の清浄化を行い、そして裏面全面にNiを主とした金属膜を成膜し、そしてレーザーアニールなどの局所加熱法によって半導体基板1aの裏面にシリサイド膜を形成することで、オーミック電極42が形成される。そして上記の工程と同様に、オーミック電極42上に、Ti、Ni、AgまたはAuなどの金属膜からなるドレイン電極43が形成される。
(不純物濃度分布の例)
図10は、MOSFET71Aのウェル領域20およびソース抵抗領域12bがイオン注入法で形成された場合における、ウェル領域20および実効抵抗部分12b1の不純物濃度分布の数値計算結果を示すグラフである。グラフの横軸は、エピタキシャル基板61の表面(図2における上面)からの深さである。ここでは、n型不純物として窒素(N)が用いられ、p型不純物としてアルミニューム(Al)が用いられた例を示している。実線は、ウェル領域20に注入されたp型不純物(Al)の濃度分布(アクセプタ濃度NA)を示している。破線は、ソース抵抗領域12bにおけるn型不純物(N)の濃度分布(ドナー濃度ND)を示している。ドナー濃度NDがアクセプタ濃度NAよりも高い領域が、ソース抵抗領域12bに相当する。図11は、ドナー濃度NDとアクセプタ濃度NAとの差分の絶対値の分布(|Nd−Na|分布)を示している。
(動作および効果)
本実施の形態によれば、MOSFET71A(図2)のオン動作時または負荷短絡時において、ドレイン電極43からドリフト層2に流れ込むドレイン電流(オン電流)は、JFET領域11、ウェル領域20の表面部(チャネル領域)、ソース抵抗領域12b、およびソースコンタクト領域12aを順に通って、ソース電極41のオーミック電極40へと流れ抜ける。電流経路の一部をなすソース抵抗領域12bのうち、ソース抵抗として、電流経路の抵抗により大きな影響を及ぼすのは、重ね合わせ部分12b2ではなく実効抵抗部分12b1である。なぜならばゲート電極35にオン動作のための電位が印加されているときには、ゲート絶縁膜30と重ね合わせ部分12b2との界面にキャリアが蓄積される一方で、ゲート絶縁膜30と実効抵抗部分12b1との界面にはこのような蓄積が生じないためである。よって、負荷短絡時のドレイン飽和電流の低減を目的として、ソース抵抗領域12b全体のシート抵抗が高くなるように、ソース抵抗領域12bの形成工程(図6)の条件が選択される。これにより、電流経路のうち実効抵抗部分12b1(図2)を通る部分が、負荷短絡時のドレインの飽和電流の大きさを調整するソース抵抗として機能する。ソース抵抗を高くすることで、ドレイン飽和電流を抑制することができる。
ソース抵抗は意図的に制御された形で増加させられ、特にMOSFET71Aのオン抵抗程度からそれ以上の変調効果が得られる。ソース抵抗領域12bが有するn型の不純物濃度が、ソースコンタクト領域12aが有するn型の不純物濃度よりも十分に低くされることにより、ソース抵抗が十分に高められる。
一方で、ソースコンタクト領域12aのシート抵抗がソース抵抗領域12bのシート抵抗に比して低くなるように、ソースコンタクト領域12aの形成工程(図5)の条件が選択される。例えば、ソースコンタクト領域12aのn型の不純物濃度の方が、ソース抵抗領域12bのn型の不純物濃度よりも高くされる。これにより、MOSFET71Aの寄生抵抗の低減、さらにはソースコンタクト領域12aとオーミック電極40とのコンタクト抵抗の低減、が図られる。このように、ソース抵抗領域12bのシート抵抗と、ソースコンタクト領域12aのシート抵抗とは互いに相違させられる。よって、両者は互いに異なる工程条件で形成される。
ソース抵抗領域12b、特にその実効抵抗部分12b1、におけるn型の不純物濃度分布は、チャネル領域からソースコンタクト領域12aに向かう方向に均一であることが好ましい。その場合、実効抵抗部分12b1で実現されるソース抵抗の設計値に対する制御性が増すので、製造上のロバスト性が向上する。
短絡耐量の大きさに影響を及ぼすドレイン飽和電流は、チャネルに印加されるゲート/ソース間電圧の2乗に比例する。本実施の形態のように有意なソース抵抗が存在する場合、実効的なゲート/ソース間電圧は、ソース抵抗とドレイン電流との積の分だけ減じたものとなる。そのため、ソース抵抗を大きくすれば、この積が小さくなることで短絡耐量が高められる。
なおソース抵抗領域12bの、ゲート電極35とオーバーラップしていない部分の長さLN0は、ソース抵抗領域12bとゲート電極35との位置合わせ精度に依存する。このため、ソース抵抗の抵抗値のばらつきを抑えるためには、不純物濃度および長さLN0は、ある程度大きいことが好ましい。
さらに、本実施の形態によれば、ソース抵抗領域12b自体がチャネルに隣接している。言い換えれば、ソース抵抗領域12bには、前述した特許文献2の技術とは異なり、チャネルに隣接しかつ高い不純物濃度を有するソースエクステンション領域が設けられていない。これにより、より小さなセルピッチを採用することができ、それによりチャネル密度を高めることができる。よってMOSFET71Aのオン抵抗を低減することができる。
図12は、実施例および比較例における、MOSFETのオン抵抗の差分と、短絡耐量との関係を、実験結果からプロットしたグラフである。ここで「MOSFETのオン抵抗の差分」とは、可能な限り短いチャネル長LCHを有しかつソース抵抗領域12bを有さないMOSFETのオン抵抗を基準として、チャネル長LCHをより延ばしたり、本実施の形態のようにソース抵抗領域12bを設けたりなどすることによって上記基準からオン抵抗がどの程度増加したかを指す。具体的には、2つの比較例(図中、「×」のプロット)のMOSFETは、ソース抵抗領域12bを形成せず、かつチャネル長LCHをより延ばすことによって製造されたものである。実施例(図中、丸、三角および四角のプロット)のMOSFETは、チャネル長LCHを可能な限り短くしつつ、ソース抵抗領域12bを形成することによって製造されたものである。ソース抵抗領域12bのうち重ね合わせ部分12b2の長さは可能な限り短くされ、実効抵抗部分12b1の領域長さ(すなわち長さLN0)は種々の値とされた。またソース抵抗領域12bの不純物濃度(言い換えればシート抵抗)は3種類(図中、シート抵抗大が丸のプロット、シート抵抗中が三角のプロット、シート抵抗小が四角のプロット)の値とされた。
このグラフにおいて、短絡耐量とMOSFETのオン抵抗の差分との間の、実施例におけるトレードオフライン(図12における破線)は、ソース抵抗領域12bのシート抵抗に依存せず、MOSFETのオン抵抗の差分に線形依存している。よって、短絡耐量の観点でのソース抵抗領域12bの性能は、単純な抵抗値、すなわちシート抵抗と長さLN0との積で決まることがわかる。
またこのグラフから、わずかでもソース抵抗領域12bが形成されれば、ソース抵抗領域12bが形成されない(すなわち、チャネル長LCHが延伸される)ことによって製造された比較例に比べて、短絡耐量とオン抵抗とのトレードオフを改善できることがわかる。このことから、MOSFETのチャネル長LCHを可能な限り短くすることによって確保された領域を用いて、チャネル長LCHよりも大きな長さLN0を有する実効抵抗部分12b1を設けることが、望ましいと言える。
なお、量産化を見据えて寸法ばらつきを考慮すると、実効抵抗部分12b1の領域長さLN0のばらつきに起因してのオン抵抗および短絡耐量のばらつきが過度に大きくならないように、実効抵抗部分12b1の領域長さLN0を十分に大きくすることが望ましい。この観点でも、上述したように、チャネル長LCHよりも大きな長さLN0を有する実効抵抗部分12b1を設けることが望ましい。
図13は、上述した実施例について、MOSFETのオン抵抗の差分と、実効抵抗部分12b1の室温でのシート抵抗と領域長さLN0との積と、の関係を、実験結果からプロットしたグラフである。この積の値(図13における縦軸)は実効抵抗部分12b1の抵抗値に対応する。この抵抗値を増加させるほど、あるチャネル幅密度あたりのMOSFETのオン抵抗(図13における横軸)は線形的に増大する。
ここで、MOSFETのオン抵抗の差分(図13のグラフの横軸)を200mΩcm以上に設定すると、すなわち、実効抵抗部分12b1の室温でのシート抵抗と領域長さLN0との積(図13のグラフの縦軸)を1.0×10Ωμm以上に設定すると、MOSFETに例えば100A/cmのオン電流が流れたときに、電流と電圧との積からおよそ20Vの電位差がソース領域12に生じる。そのため、ソース−ゲート間に例えば20Vの電圧が印加された場合に、MOSFETがオン動作しなくなる。よって、実効抵抗部分12b1の室温でのシート抵抗と領域長さLN0との積は、1.0×10Ωμm以下に設定しなければならない。また、炭化珪素にとっての典型的なドナーである窒素を用いたイオン注入によって実効抵抗部分12b1が形成される場合、室温でのシート抵抗の下限値は1.0×10Ω程度であることが知られている。写真製版工程等により寸法を定める場合には、どんなに精度が良くても0.1μm程度が制御性よく加工する限界となるため、シート抵抗と長さとの積から、実効抵抗部分12b1の室温でのシート抵抗と領域長さLN0との積は1.0×10Ωμm以上となる。
以上のように、実効抵抗部分12b1の寸法ばらつきに起因してのMOSFETの性能ばらつきを十分に抑制し、かつ、典型的なMOSFETのオン動作が阻害されることを避けるためには、シート抵抗と長さLN0との積が1.0×10Ωμm以上1.0×10Ωμm以下とされる必要がある。これが満たされるように実効抵抗部分12b1が形成されれば、実効抵抗部分12b1が形成されない場合と比べて、ある短絡耐量を実現する半導体装置のオン抵抗を低減することができ、かつ、セルピッチを縮小することで素子の大きさを小さくすることができる。
なお、実効抵抗部分12b1に有効な抵抗値を保有させるために、実効抵抗部分12b1のシート抵抗はソースコンタクト領域12aの倍以上に設定することが好ましい。この場合、実効抵抗部分12b1のシート抵抗と長さLN0との積は2.0×10Ωμm以上となる。
さらに、実効抵抗部分12b1が写真製版工程で作製される場合、寸法ばらつきに対するロバスト性を向上させる目的で、長さLN0を0.5μm以上に設定することが好ましい。実効抵抗部分12b1のシート抵抗がソースコンタクト領域12aと同程度にされる場合は、上述したシート抵抗の下限値1.0×10Ωに鑑みて、実効抵抗部分12b1のシート抵抗と長さLN0との積は5.0×10Ωμm以上となる。また実効抵抗部分12b1のシート抵抗をソースコンタクト領域12aのシート抵抗の倍以上とする場合は、この積は1.0×10Ωμm以上となる。
ここで実効抵抗部分12b1の長さLN0は、負荷短絡時に有意なソース抵抗を設けつつ、寸法ばらつきに対するロバスト性を確保し、かつ、ユニットセル10(図3)のセルピッチを過剰に大きくしないために、0.1μm以上5μm以下の範囲に設定することが望ましい。
また、実効抵抗部分12b1のシート抵抗が小さすぎる場合、ソース抵抗としての十分な機能を得るために必要な長さLN0が大きくなりすぎる。これにより、セルピッチの増大によるオン抵抗の増加が引き起こされる。結果として、短絡耐量対オン抵抗のトレードオフを改善することができない。反対に、実効抵抗部分12b1のシート抵抗が大きすぎる場合、ソース抵抗としての十分な機能を得るために必要な長さLN0が小さくなりすぎる。これにより、実効抵抗部分12b1の寸法ばらつきに対するロバスト性が低下してしまう。またこの場合は、ソース抵抗領域12bとそれに隣接するウェル領域20との間に生じる空乏層がソース抵抗領域12bの内部に大きく拡がる。このことは、通常のオン状態において導通損失を増大させる。
このように、実効抵抗部分12b1は、そのシート抵抗が大きすぎても小さすぎても、ソース抵抗として有意に機能するに至らない。このためシート抵抗は、例えば、1.0×103Ω以上1.0×106Ω以下の範囲に設定することが望ましい。
なお、ソースコンタクト領域12aのシート抵抗を高めて実効抵抗部分12b1のシート抵抗と同程度にすることは、オーミック電極40とソースコンタクト領域12aとの間のコンタクト抵抗を増加させることでオン抵抗の増大を引き起こしかねず、好ましくない。通常のオン動作時の抵抗を抑えつつ、負荷短絡時の過電流を抑制するためには、オーミックコンタクトを実現するソースコンタクト領域12aと、ソース抵抗領域12bとの2領域がソース領域12に設けられる必要がある。
以上のように本実施の形態によれば、MOSFET71Aが短絡された場合に、ソース抵抗領域12bを流れる短絡電流によって生じる電位差により、実効的なゲート電圧が減少する。これにより飽和電流が抑制される。よって短絡耐量を向上させることができる。また、ソース抵抗領域12bがチャネル領域に隣接していることにより、ソース抵抗領域12bとチャネル領域との間にソース領域12に含まれる他の領域がさらに設けられている場合に比して、セルピッチの増大が抑えられる。これにより、ソース抵抗領域を設けつつ、単位面積当たりのチャネル密度の低下を抑えることができる。よってMOSFET71Aの単位面積当たりのオン抵抗を低く維持することができる。長さLN0と、実効抵抗部分12b1の室温でのシート抵抗との積が、1.0×10Ωμm以上1.0×10Ωμm以下とされることにより、上述した効果の両方が得られる。すなわち、単位面積当たりのオン抵抗を低く維持しつつ、短絡耐量を向上させることができる。
(変形例)
はじめに、MOSFETの平面レイアウトの変形例について説明する。ユニットセル10(図3)は四角形の平面構造を有するが、ユニットセルの形状は任意でよい。例えば六角形や八角形、円形などでもよい。またMOSFETは、複数のユニットセル10からなるセル構造を有していなくてもよく、代わりに、図14に示すような櫛形構造10Mを有していてもよい。一般的に、櫛形構造はセル構造に比べて形成が容易である利点がある。一方、セル構造は櫛形構造に比べて、チャネル幅密度を高めることで素子のオン抵抗を低くしやすい利点がある。
次に、ソース領域12の構成の変形例について説明する。本変形例のMOSFET71B(図15:炭化珪素半導体装置)においては、ソース領域12は高濃度領域12cを含む。高濃度領域12cは、ソース抵抗領域12bとウェル領域20との間に設けられている。高濃度領域12cは、ソース抵抗領域12bが有するn型の不純物濃度よりも1桁以上高いn型の不純物濃度を有している。MOSFET71A(図2)においては、ソース抵抗領域12bの不純物濃度が小さい場合、ソース抵抗領域12bとウェル領域20との間に生じる空乏層がソース抵抗領域12bの内部まで拡がることで、ドレイン電流の経路が狭窄されやすい。その結果、オン抵抗が過度に増大する場合がある。これに対してMOSFET71B(図15)においては、ソース抵抗領域12bの深部に高濃度領域12cが設けられることで、ソース抵抗領域12bの内部への空乏層の拡がりが抑制される。このため、上述したような電流経路の狭窄が生じにくい。結果として、オン抵抗が過度に増大することが抑制される。なお、高濃度領域12cの一部または全部は、ウェル領域20から延びる空乏層によって空乏化されている。よって、高濃度領域12cがチャネル電流を大きく妨げることは避けられる。
次に、半導体装置の種類の変形例について説明する。本実施の形態ではMOSFET71A(図2)について詳しく説明したが、半導体装置はMOSFETに限定されるものではなく、例えばIGBT91(図16:炭化珪素半導体装置)であってもよい。IGBT91は、MOSFET71Aの構造に類似した構造を有しつつ、相違点として、n型の半導体基板1a(図2)に代えて、p型の半導体基板1bを有している。言い換えれば、IGBT91は、n型の半導体基板1aとその上のn型のドリフト層2とを有するエピタキシャル基板61(図2)に代わり、p型の半導体基板1bとその上のn型のドリフト層2とを有するエピタキシャル基板62を含む。本変形例のように炭化珪素半導体装置がIGBTの場合、ソース領域12はエミッタ領域として、ウェル領域20はベース領域として、半導体基板1bはコレクタ領域として機能する。エミッタ領域(ソース領域12)内に高抵抗な抵抗制御領域(ソース抵抗領域12b)を設けることにより、エミッタ抵抗を高くすることができる。このため、エミッタ領域(ソース領域12)、ベース領域(ウェル領域20)およびドリフト層2からなる寄生トランジスタにおける電流利得を小さくすることができる。その結果、IGBTの寄生サイリスタが動作することによるラッチアップを防止できるという効果が得られる。なお、コレクタ領域は、必ずしも半導体基板1bによって構成される必要はなく、p型不純物領域であればよく、エピタキシャル層、イオン注入層または不純物拡散層によって構成されてもよい。
なお、これらの変形例は、実施の形態1だけでなく、後述する他の実施の形態に対しても適用可能である。
<実施の形態2>
(構成)
図17は、本実施の形態におけるMOSFET72(炭化珪素半導体装置)の構成を概略的に示す部分断面図である。MOSFET72は、ソース抵抗領域12b(図2:実施の形態1)に代わり、ソース抵抗領域12bEを有している。ソース抵抗領域12b(図2)はドリフト層2の内部にイオン注入によって形成された領域であるが、ソース抵抗領域12bEは、ドリフト層2の表面(言い換えればエピタキシャル基板61の表面)上に形成されたエピタキシャル成長層により構成されている。ソース抵抗領域12bEは、実効抵抗部分12b1および重ね合わせ部分12b2(図2)のそれぞれに対応するものとして、実効抵抗部分12b1E(第2部分)および重ね合わせ部分12b2E(第1部分)を有している。
実施の形態1と異なり本実施の形態においては、長さLN0、すなわち、重ね合わせ部分12b2Eとソースコンタクト領域12aとの間での実効抵抗部分12b1Eを通る最短経路の長さ、は、実効抵抗部分12b1E全体の水平方向における長さではなく、実効抵抗部分12b1Eのうち厚み方向においてソースコンタクト領域12aに接していない部分(ウェル領域20に接している部分)の水平方向における長さに対応している。なお長さLN0と、室温での実効抵抗部分12b1Eのシート抵抗との積の好適な範囲は、実施の形態1と同様である。
ソース抵抗領域12bEは、ソースコンタクト領域12aとウェル領域20(チャネル領域)との間に直列に接続するように、ソースコンタクト領域12aとウェル領域20(チャネル領域)とJFET領域11とを跨ぐように配設されている。つまり、ソース抵抗領域12bEは、ソースコンタクト領域12aと、ウェル領域20(チャネル領域)と、JFET領域11との各々にオーバーラップして接しており、ソース領域12の一部として電流経路を形成している。ソース抵抗領域12bEの厚みは、0.05μm以上1.0μm以下であり、好ましくは0.05μm以上0.5μm以下である。
(製造方法)
MOSFET72の製造方法について、以下に説明する。
まず、実施の形態1の図5までと同様の工程により、ドリフト層2上にウェル領域20およびソースコンタクト領域12aが形成される。また、図7と同様の工程により、ウェルコンタクト領域25が形成される。その後、ドリフト層2に注入された不純物を電気的に活性化させるための熱処理が行われる。この熱処理は、アルゴンもしくは窒素などの不活性ガス雰囲気中、または、真空中で、1500℃以上2200℃以下の温度で、0.5分以上60分以下の時間で行うことが好ましい。
続いて、n型の炭化珪素をドリフト層2(エピタキシャル基板61)上でエピタキシャル成長させることで、ソース抵抗領域12bEの材料としてのエピタキシャル成長層が形成される。このエピタキシャル成長層のn型の不純物濃度は、ソースコンタクト領域12aの不純物濃度よりも1桁以上小さくなるように設定され、例えば、1×1013cm-3以上1×1018cm-3以下程度に設定される。
そして、写真製版処理により加工されたレジストマスクを用いたエッチングにより、上記エピタキシャル成長層がパターニングされる。これによりドリフト層2(エピタキシャル基板61)上にソース抵抗領域12bE(図18)が形成される。
その後は、実施の形態1と同様の手法で、ゲート絶縁膜30およびゲート電極35が形成され、さらに層間絶縁膜32、オーミック電極40,42、ソース電極41およびドレイン電極43が形成される。これよりMOSFET72が得られる。
なお、上記以外の構成については、上述した実施の形態1の構成とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
(作用効果)
室温以上では、実効抵抗部分12b1(図2:実施の形態1)および実効抵抗部分12b1E(図17)のいずれにおいても、伝導キャリアの移動度は格子散乱の影響を大きく受ける。具体的には、高温になるほど伝導キャリアの移動度が小さくなる。
前者、すなわち実効抵抗部分12b1(図2:実施の形態1)、は、イオン注入を受けた領域であり、その結果生成された結晶欠陥を有している。このように製造プロセスの影響で実効抵抗部分12b1内には結晶欠陥が存在し、ある程度のエネルギー準位に形成されたトラップが伝導キャリアを捕獲する。これにより実効的な移動度が低下する。捕獲されたキャリアは、ある温度まで高くなるとトラップから熱放出される。このため、高温になるほど、トラップの存在に起因した移動度の低下が抑制される。よって、温度が高くなる際に、格子散乱の増大に起因しての移動度の低下と、トラップの影響の低下に起因しての移動度の増大とが相殺し合う。よって、実効抵抗部分12b1の抵抗の温度依存性は緩慢となる。すなわち、実効抵抗部分12b1の抵抗の温度感度が低くなる。
後者、すなわち実効抵抗部分12b1E(図17)、は、エピタキシャル成長層により構成されていることから、イオン注入を受けていない領域である。このため、実効抵抗部分12b1Eは、より少ない結晶欠陥を有している。上述した理由で、結晶欠陥が少ないほど、室温付近での移動度と高温下での移動度との差が大きくなる。このため、実効抵抗部分12b1Eは、室温下では低い抵抗値を有し、高温下では高い抵抗値を有し、これらの値の差は大きくなる。よって、実効抵抗部分12b1Eは、室温下ではオン抵抗へ大きく影響しない一方で、短絡に起因した高温下では大きな抵抗を示す。すなわち、実効抵抗部分12b1Eは、温度感度の高い抵抗である。
以上のように、本実施の形態によれば、注入欠陥が存在しないことにより低い欠陥密度を有する高品質なエピタキシャル成長層が、ソース抵抗領域12bEの材料に用いられる。これにより、温度感度の高い実効抵抗部分12b1Eを得ることができる。よって、単位面積当たりのオン抵抗と、短絡耐量との間のトレードオフを、より改善することができる。
<実施の形態3>
(構成)
図19は、本実施の形態におけるMOSFET73A(炭化珪素半導体装置)の構成を概略的に示す部分断面図である。MOSFET73Aはトレンチ型のものである。なお以下の説明において、上述したプレーナ型のMOSFET71A(図2:実施の形態1)のものと同一または対応する要素については、同一の符号を付し、その要素についての共通の特徴についてはその説明を繰り返さない。
本実施の形態においては、MOSFET73Aには、ウェル領域20を貫通してドリフト層2に達するように形成されたトレンチ110が設けられている。トレンチ110は、ウェル領域20の底よりも深く形成されている。ソース領域12はトレンチの側壁に達している。チャネル領域は、ソース領域12とドリフト層2とに挟まれトレンチに隣接した、ウェル領域20の部分である。ゲート電極35は、トレンチ110内に設けられており、ゲート絶縁膜30を介してソース領域12とチャネル領域とドリフト層2とに跨って延在している。よってチャネル領域は、ゲート絶縁膜30を介してゲート電極35に対向している。
(製造方法)
次に、MOSFET73Aの製造方法について、以下に説明する。
図20を参照して、まず、実施の形態1の図8までとほぼ同様の工程により、ドリフト層2に、ウェル領域20と、ソースコンタクト領域12aおよびソース抵抗領域12bからなるソース領域12と、ウェルコンタクト領域25とが形成される。本実施の形態においては、ウェル領域20およびソース抵抗領域12bが、隣接するユニットセル間で繋がっていてもよい。つまり、JFET領域11(図8:実施の形態1)が設けられていなくてもよい。
図21を参照して、次に、選択的なエッチングにより、ユニットセルの間の領域に、トレンチ110が形成される。トレンチ110は、ウェル領域20およびソース抵抗領域12bに接するように形成される。トレンチ110の側壁には、ソース抵抗領域12bおよびウェル領域20が、縦方向(ドリフト層2(エピタキシャル基板61)の表面に垂直な方向、すなわちトレンチ110の深さ方向)に並んで露出される。トレンチ110のコーナー部の形状は、MOSFET73Aの動作時における電界集中を低減するために、テーパー形状もしくはラウンド形状となっていることが望ましい。また、トレンチ110の側壁は、ドリフト層2の表面に対して垂直に近いことが望ましい。続いて、犠牲酸化法またはCDE(Chemical Dry Etching)などによって、トレンチ110の側壁面が清浄化される。
図22を参照して、実施の形態1と同様の手法により、ゲート絶縁膜30およびゲート電極35が形成される。ゲート絶縁膜30は、トレンチ110の内部を含むドリフト層2の表面に形成される。ゲート電極35は、少なくとも一部がトレンチ110内に埋め込まれており、トレンチ110の側壁に露出したソース抵抗領域12b、ウェル領域20およびドリフト層2に、ゲート絶縁膜30を介して隣接するように配設される。つまり、ゲート電極35は、トレンチ110の側壁に露出したソース抵抗領域12b、ウェル領域20およびドリフト層2に跨がって延在する。ウェル領域20の下のドリフト層2とソース抵抗領域12bとに挟まれており、かつ、トレンチ110に隣接している、ウェル領域20の部分が、MOSFETのチャネル領域となる。
本実施の形態においては、ゲート電極35のパターニングの際に、ゲート電極35の横方向(水平方向)の端部が、トレンチ110の外側に位置させられる。これにより、図示されているように、ゲート電極35の一部がトレンチ110に埋め込まれた構成が得られる。実施の形態1または実施の形態2と同様に、ソース抵抗領域12bのうち、その上部にゲート電極35が存在しない領域が実効抵抗部分12b1となり、その上部にゲート電極が存在する領域が重ね合わせ部分12b2となる。
再び図19を参照して、ゲート電極35を形成した後、実施の形態1と同様の手順により、層間絶縁膜32、オーミック電極40、ソース電極41、オーミック電極42およびドレイン電極43が形成される。これにより、MOSFET73Aが得られる。
本実施の形態によれば、トレンチゲート構造を有するMOSFET73Aにおいて、実施の形態1とほぼ同様の効果が得られる。トレンチ型のMOSFETは、JFET領域11(図2)を有しておらず、よってJFET効果により飽和電流を制御することができない。このため、飽和電流を適切に制御することが一般に難しい。本実施の形態によれば、ソース抵抗の制御により、飽和電流の適切な制御が可能となる。
ゲート電極35の横方向の端部がトレンチ110の外側に位置させられることで、ゲート電極35(図19)の幅がトレンチ110の幅よりも広くされる。これにより、ゲート電極35の抵抗値を低くすることができる。
(変形例)
MOSFET73A(図19)においては、上述したようにゲート電極35の幅が広く、この場合、トレンチ110のエッジ部、またはトレンチ110底のMOS構造の部分に、高電界が生じやすくなる。一方、MOSFET73B(図23Aおよび図23B)のようにゲート電極35がトレンチ110の側壁のみに形成されていれば、上記の高電界の問題を回避できる。この場合は、ソース抵抗領域12bのうち、ゲート電極35に最も近い領域近傍が重ね合わせ部分12b2となり、それ以外の領域が実効抵抗部分12b1となる。重ね合わせ部分12b2は、ゲート電極35に印加された電圧によってキャリアが誘起されることでシート抵抗が減少する、微小な領域である。重ね合わせ部分12b2は、ゲート絶縁膜30のみを介してゲート電極35に水平方向(厚み方向に垂直な方向)において対向している。MOSFET73Bの製造方法においては、図24に示すように、ゲート電極35がトレンチ110の内部(側壁部)のみに残存させられ、ゲート電極35の全体がトレンチ110内に埋め込まれる。この場合、ゲート電極35をセルフアラインプロセス(枠付けエッチング)で形成することができる。これによりマスク枚数を削減することができる。よって製造コストを低減することができる。
なおMOSFET73Bにおいては、ソース抵抗領域12bとゲート絶縁膜30との界面上での、実効抵抗部分12b1および重ね合わせ部分12b2の境界位置とソースコンタクト領域12aおよび実効抵抗部分12b1の境界位置との間の最短経路の長さは、厳密にいえば、長さLN0a(図23A)および長さLN0b(図23B)の和である。本例においては、長さLN0aは、水平方向(図中、横方向)に沿った電流経路の長さであり、長さLN0bは、おおよそ深さ方向(図中、縦方向)に沿った電流経路の長さである。本例の場合、量産性を考慮すると、実効抵抗部分12b1によって設けられる抵抗値は、水平方向の電流経路(図23Aにおける長さLNOa)によって実質的に確保されることが好ましい。すなわち、長さLNObよりも長さLNOaを十分に大きくすることが好ましい。そのような寸法関係を得るために、ソース抵抗領域12bの深さ寸法は、半導体基板1aの表面に水平な方向におけるソース抵抗領域12bの長さよりも小さいほうが好ましい。長さLN0aが長さLNObよりも十分に大きい場合は、上述した和は長さLN0aによって近似することができ、実効抵抗部分12b1による抵抗は、実質的に、シート抵抗と長さLN0aとの積によって決定される。
MOSFET73C(図25)およびMOSFET73D(図26Aおよび図26B)の各々のソース領域12は、MOSFET71B(図15:実施の形態1の変形例)と同様、高濃度領域12cを有している。高濃度領域12cは、ソース抵抗領域12bの深部に隣接している。これ以外の構成については、MOSFET73C(図25)およびMOSFET73D(図26Aおよび図26B)のそれぞれは、MOSFET73A(図19)およびMOSFET73B(図23Aおよび図23B)と同様である。本変形例によれば、MOSFET71Bと同様の効果も得られる。
<実施の形態4>
(構成)
図27は、本実施の形態におけるMOSFET74A(炭化珪素半導体装置)の構成を概略的に示す部分断面図である。なお以下の説明において、上述したMOSFET73A(図19:実施の形態3)のものと同一または対応する要素については、同一の符号を付し、その要素についての共通の特徴についてはその説明を繰り返さない。
MOSFET74Aにおいては、ソース領域12は、ソースコンタクト領域12aとソース抵抗領域12bとが縦方向(ドリフト層2(エピタキシャル基板61)の表面に対して垂直な方向)に並ぶ積層構造を有している。このように本実施の形態においてはソース抵抗領域12bの上側にソースコンタクト領域12aが形成されるため、ソース抵抗領域12bは横方向でウェル領域20と接することになる。したがって、本実施の形態においては、横方向がソース抵抗領域12bの深さ方向として定義され、ソースコンタクト領域12aとソース抵抗領域12bとの間の縦方向の距離が、ソース抵抗領域12bの長さとして定義される。
このため本実施の形態においては、重ね合わせ部分12b2は、ソース抵抗領域12bのうち、ゲート絶縁膜30のみを介してゲート電極35に水平方向において対向している部分である。言い換えれば、重ね合わせ部分12b2は、ソース抵抗領域12bのうち、ゲート電極35が縦方向にオーバーラップしている部分である。また、実効抵抗部分12b1は、ソース抵抗領域12bのうち、ゲート絶縁膜30を介してゲート電極35に横方向において対向していない部分である。言い換えれば、実効抵抗部分12b1は、ソース抵抗領域12bのうち、ゲート電極35が縦方向にオーバーラップしていない部分である。長さLN0、すなわち、重ね合わせ部分12b2とソースコンタクト領域12aとの間での実効抵抗部分12b1を通る最短経路の長さ、も、本実施の形態においては、縦方向の距離として定義される。
(製造方法)
MOSFET74Aの製造方法について、以下に説明する。
図28を参照して、まず、半導体基板1a上にドリフト層2が形成される。その後、ドリフト層2にp型のウェル領域20が形成される。ウェル領域20は、ドリフト層2の上層部にp型の不純物をイオン注入することによって形成されてもよいし、ドリフト層2の上にp型の半導体をエピタキシャル成長させることによって形成されてもよい。そして、n型の不純物をイオン注入することによって、ソースコンタクト領域12aおよびソース抵抗領域12bが所望の深さに形成される。さらに、p型の不純物をイオン注入することによって、ウェルコンタクト領域25が形成される。ソース抵抗領域12bは、ソースコンタクト領域12aとウェル領域20との間に形成される。ソースコンタクト領域12aとソース抵抗領域12bとは積層構造を形成する。
ソース抵抗領域12b、特に実効抵抗部分12b1、の形成工程においては、トレンチ110の形成によって露出されることになる面上でのシート抵抗が1×103以上1×106Ω以下となるように、ドーズ量などのイオン注入条件が調整される。また、最終的な構造における長さLN0(図27)などの寸法は、注入エネルギーを変えることで調整される。
図29を参照して、次に、実施の形態3と同様の手法によりトレンチ110が形成される。このとき、トレンチ110は、ソース領域12およびウェル領域20を貫通してウェル領域20の下のドリフト層2に達するように形成される。ソース領域12は縦方向にソースコンタクト領域12aおよびソース抵抗領域12bが積層された構造を有するので、それらのいずれもがトレンチ110の側壁に達する。
再び図27を参照して、さらに、実施の形態3と同様の手法により、ゲート絶縁膜30が形成される。次に、実施の形態3の変形例のMOSFET73B(図23Aおよび図23B)の工程(図24)と同様の手法により、ゲート電極35が形成される。ゲート電極35は、ソース領域12を構成するソースコンタクト領域12aおよびソース抵抗領域12bのうち、ソース抵抗領域12bの重ね合わせ部分12b2にはオーバーラップさせられるが、ソースコンタクト領域12aおよび実効抵抗部分12b1にはオーバーラップさせられない。つまり、ゲート電極35は、重ね合わせ部分12b2、ウェル領域20およびドリフト層2に跨がるように延在させられる。
その後、実施の形態1と同様の手法で、ゲート絶縁膜30およびゲート電極35が形成され、さらに層間絶縁膜32、オーミック電極40、オーミック電極42、ソース電極41およびドレイン電極43が形成される。これよりMOSFET74Aが得られる。
(効果)
本実施の形態によっても、実施の形態3とほぼ同様の効果が得られる。さらに本実施の形態によれば、ソースコンタクト領域12aおよび実効抵抗部分12b1が縦方向に並ぶ。このため、ユニットセルの横方向のセルピッチを縮小することにより、チャネル密度を高めることができる。よって単位面積当たりのオン抵抗をより低減することができる。
(変形例)
図30を参照して、変形例のMOSFET74Bにおいては、MOSFET73D(図26Aおよび図26B:実施の形態3の変形例)と同様に、ソース領域12は高濃度領域12cを有している。本変形例においては、ソース抵抗領域12bと高濃度領域12cとは、互いに横方向に隣接している。本変形例によれば、MOSFET73Dと同様の効果も得られる。
<実施の形態5>
(構成)
図31は、本実施の形態におけるSBD(Schottky-Barrier Diode)内蔵MOSFET95A(炭化珪素半導体装置)の構成を概略的に示す部分断面図である。なお以下の説明において、上述したMOSFET71A(図2:実施の形態1)のものと同一または対応する要素については、同一の符号を付し、その要素についての共通の特徴についてはその説明を繰り返さない。
SBD内蔵MOSFET95Aは、ショットキー電極52を有している。ショットキー電極52は、ドリフト層2(エピタキシャル基板61)の表面上に設けられている。ショットキー電極52は、エピタキシャル基板61のSBD領域51上で、エピタキシャル基板61のn型の表層部、具体的にはドリフト層2の表層部、とショットキー接続されている。SBD領域51は、ドリフト層2の表層部に位置するn型の領域であり、かつ隣り合うウェル領域20(図31においては一方のみ図示)の間の領域であり、かつ深さ方向においてドリフト層2の表面からウェル領域20の深さと同じ深さまでの領域とする。ショットキー電極52はソース電極41と電気的に接続されている。
(製造方法)
MOSFET95Aの製造方法について、以下に説明する。
図32を参照して、まず、実施の形態1の図8までとほぼ同様の工程により、ドリフト層2に、ウェル領域20と、ソースコンタクト領域12aおよびソース抵抗領域12bからなるソース領域12と、ウェルコンタクト領域25とが形成される。本実施の形態においては、ウェルコンタクト領域25を中央として基板水平方向において、一方の領域にはソース領域12が形成され、他方の領域にはソース領域12が形成されない。この他方の領域はSBD領域51を含む。
図33を参照して、次に、実施の形態1と同様の手法で、ゲート絶縁膜30およびゲート電極35が形成される。このとき、ウェルコンタクト領域25を中央として基板水平方向においてゲート電極35が、一方の領域には形成され、他方の領域には形成されない。これにより、SBDを内蔵したMOSFETを形成することができる。
再び図31を参照して、次に、実施の形態1と同様の手法で、層間絶縁膜32、オーミック電極40および42が形成される。その後、ショットキー電極52が形成される。続いて、ソース電極41およびドレイン電極43が形成される。これより、SBD内蔵MOSFET95Bが得られる。
実施の形態によれば、SBDが内蔵されたMOSFETにおいて、実施の形態1とほぼ同様の効果が得られる。また、MOSFETの寄生ダイオード(ボディダイオード)が動作する前に内蔵SBDがオン状態となるので、結晶欠陥の拡張に起因したMOSFETのオン抵抗増大および耐圧劣化を抑制することができる。また、SBDが内蔵されることにより、外付けのダイオードチップが不要となる。よって、外付けのダイオードが用いられる場合に比して、低コスト化を図ることができる。
(変形例)
図34を参照して、変形例のSBD内蔵MOSFET95Bにおいては、ソース領域12は、MOSFET71B(図15:実施の形態1の変形例)と同様の高濃度領域12cを含む。本変形例によれば、MOSFET71Bと同様の効果も得られる。
<実施の形態6>
(構成)
図35は、本実施の形態におけるSBD内蔵MOSFET96A(炭化珪素半導体装置)の構成を概略的に示す部分断面図である。SBD内蔵MOSFET96Aはトレンチ型のものである。なお以下の説明において、上述したプレーナ型のSBD内蔵MOSFET95A(図31:実施の形態1)のものと同一または対応する要素については、同一の符号を付し、その要素についての共通の特徴についてはその説明を繰り返さない。
(製造方法)
次に、SBD内蔵MOSFET96Aの製造方法について、以下に説明する。
図36を参照して、まず、図20(実施の形態3)とほぼ同様の工程により、ドリフト層2に、ウェル領域20と、ソースコンタクト領域12aおよびソース抵抗領域12bからなるソース領域12と、ウェルコンタクト領域25とが形成される。本実施の形態においては、エピタキシャル基板61の表層部に、上述したn型のSBD領域51が設けられる。
再び図35を参照して、次に、図21および図22(実施の形態3)と同様の工程により、トレンチ110、ゲート絶縁膜30およびゲート電極35が形成される。次に、実施の形態5と同様に、層間絶縁膜32、オーミック電極40、オーミック電極42、ショットキー電極52、ソース電極41およびドレイン電極43が形成される。これより、SBD内蔵MOSFET96Aが得られる。
本実施の形態によれば、SBDが内蔵されたMOSFETにおいて、実施の形態3とほぼ同様の効果が得られる。また、実施の形態5と同様、MOSFETの寄生ダイオード(ボディダイオード)が動作する前に内蔵SBDがオン状態となるので、結晶欠陥の拡張に起因したMOSFETのオン抵抗増大および耐圧劣化を抑制することができる。また、SBDが内蔵されることにより、外付けのダイオードチップが不要となる。よって、外付けのダイオードが用いられる場合に比して、低コスト化を図ることができる。
(変形例)
図37Aおよび図37Bを参照して、変形例のSBD内蔵MOSFET96Bにおいては、MOSFET73B(図23Aおよび図23B:実施の形態3の変形例)と同様に、ゲート電極35が、トレンチ110の内部(側壁部)のみに残存させられており、ゲート電極35の全体がトレンチ110内に埋め込まれている。本変形例によれば、MOSFET73Bと同様の効果も得られる。
図38を参照して、変形例のSBD内蔵MOSFET96Cにおいては、MOSFET74A(図27:実施の形態4)と同様に、ソースコンタクト領域12aとソース抵抗領域12bとが基板深さ方向に積層されている。本変形例によれば、MOSFET74Aと同様の効果も得られる。
図39を参照して、変形例のSBD内蔵MOSFET96Dにおいては、MOSFET73C(図25:実施の形態3の変形例)と同様に、ソース領域12は高濃度領域12cを有している。本変形例によれば、MOSFET73Cと同様の効果も得られる。
図40Aおよび図40Bを参照して、変形例のSBD内蔵MOSFET96Eにおいては、MOSFET73D(図26Aおよび図26B:実施の形態3の変形例)と同様に、ソース領域12が高濃度領域12cを有しており、かつゲート電極35全体がトレンチ110内に埋め込まれている。本変形例によれば、MOSFET73Dと同様の効果も得られる。
図41を参照して、変形例のSBD内蔵MOSFET96Fにおいては、MOSFET74B(図30:実施の形態4の変形例)と同様に、ソースコンタクト領域12aとソース抵抗領域12bとが基板深さ方向に積層されており、かつソース領域12が高濃度領域12cを有している。本変形例によれば、MOSFET74Bと同様の効果も得られる。
<実施の形態7>
(構成)
図42は、本実施の形態におけるMOSFET75(炭化珪素半導体装置)の構成を概略的に示す部分断面図である。MOSFET71A(図2:実施の形態1)と異なり、MOSFET75においては、ソース電極41のオーミック電極40の下方において、エピタキシャル基板61の表面(図中、上面)にリセス16が設けられている。その結果、ソースコンタクト領域12aの表面深さ(ソースコンタクト領域12aの上面の深さ位置)は、ソース抵抗領域12bの重ね合わせ部分12b2の表面深さ(重ね合わせ部分12b2の上面の深さ位置)よりも深い。
本実施の形態においては、ソース抵抗領域12bとゲート絶縁膜30との界面上での、実効抵抗部分12b1および重ね合わせ部分12b2の境界位置とソースコンタクト領域12aおよび実効抵抗部分12b1の境界位置との間の最短経路の長さは、図中、長さLN0aおよび長さLN0bの和である。本実施の形態においては、長さLN0aは、おおよそ深さ方向(図中、おおよそ縦方向)に沿った電流経路の長さであり、長さLN0bは、水平方向(図中、横方向)に沿った電流経路の長さである。量産性を考慮すると、実効抵抗部分12b1によって設けられる抵抗値は、深さ方向の電流経路(長さLNOa)によって実質的に確保されることが好ましい。すなわち、長さLNObよりも長さLNOaを十分に大きくすることが好ましい。そのような寸法関係を得るために、リセス16の深さ寸法は、半導体基板1aの表面に水平な方向におけるソース抵抗領域12bの長さよりも大きいほうが好ましい。長さLN0aが長さLNObよりも十分に大きい場合は、上述した和は長さLN0aによって近似することができ、実効抵抗部分12b1による抵抗は、実質的に、シート抵抗と長さLN0aとの積によって決定される。
なお、上記以外の構成については、上述したMOSFET71A(図2:実施の形態1)とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
(製造方法)
MOSFET75の製造方法について、以下に説明する。
まず、実施の形態1の図4と同様の工程が行われる。その後、注入マスク100aが除去される。
図43を参照して、注入マスク100cが写真製版工程等を用いたパターニングによって形成される。注入マスク100cを用いて、ウェル領域20上にn型の不純物がイオン注入によって添加される。これにより、ソース抵抗領域12bが所望の深さに形成される。その後、注入マスク100cが除去される。
図44を参照して、注入マスク100dが写真製版工程等を用いたパターニングによって形成される。注入マスク100dを用いて、エピタキシャル基板61上にn型の不純物がイオン注入によって添加される。これにより、ソースコンタクト領域12aが形成される。次に、この注入マスク100dをエッチングマスクとして用いて、RIE(Reactive Ion Etching)などによって、ソースコンタクト領域12aが部分的に除去される。これによりリセス16が形成される。その後、注入マスク100dが除去される。
再び図42を参照して、さらに、実施の形態1と同様の手法により、ウェルコンタクト領域25、ゲート絶縁膜30、およびゲート電極35が形成される。ゲート電極35は、ソース領域12を構成するソースコンタクト領域12aおよびソース抵抗領域12bのうち、ソース抵抗領域12bの重ね合わせ部分12b2にはオーバーラップさせられるが、ソースコンタクト領域12aおよび実効抵抗部分12b1にはオーバーラップさせられない。つまり、ゲート電極35は、重ね合わせ部分12b2、ウェル領域20およびドリフト層2に跨がるように延在させられる。
その後、実施の形態1と同様の手法で、層間絶縁膜32、オーミック電極40、オーミック電極42、ソース電極41およびドレイン電極43が形成される。これよりMOSFET75が得られる。
(効果)
本実施の形態によれば、実効抵抗領域12b1における電流経路は、半導体基板1aの水平方向(図42における横方向)とは異なる方向に沿った部分を含む。具体的には、実効抵抗領域12b1における電流経路は、主に、半導体基板1aのおおよそ深さ方向(図42におけるおおよそ縦方向)に沿った部分からなる。これにより、実効抵抗領域12b1を設けたことに起因しての、MOSFETのチップ面積の増大を、抑制することができる。よって、MOSFETのピッチ長増大を抑えつつ、実効抵抗領域12b1の電流経路長を十分に確保することができる。
<実施の形態8>
(構成)
図45は、本実施の形態におけるMOSFET76(炭化珪素半導体装置)の構成を概略的に示す部分断面図である。図46は、図45のMOSFET76のユニットセル10のレイアウトを概略的に示す平面図である。MOSFET76においては、実効抵抗領域12b1の領域長さLN0が0.1μm以上1.0μm以下程度の非常に微小な寸法である。また、ソース抵抗領域12bは平面視において、第1の方向(図46における縦方向)に沿った第1の電流経路と、第1の方向と異なる第2の方向(図46における横方向)に沿った第2の電流経路とを含む。第1の電流経路の長さL1と第2の電流経路の長さL2とは互いに等しい。ここで「等しい」とは、誤差がフォトリソグラフィの重ね合わせ精度未満であるほどに寸法が同等であることを意味する。図46の例においては、ユニットセル10の全体において(言い換えればMOSFET76の全体において)、電流経路としてのソース抵抗領域12bの寸法が、実質的に等しくされている。
なお、上記以外の構成については、上述したMOSFET71A(図2:実施の形態1)とほぼ同じであるため、同一または対応する要素について同一の符号を付し、その説明を繰り返さない。
(製造方法)
MOSFET76の製造方法について、以下に説明する。
まず、実施の形態1の図5までと同様の工程が行われる。図47を参照して、次に、注入マスク100bの開口がエッチングによって拡張される。そのためには、例えば、レジストからなる注入マスクが酸素プラズマ雰囲気にさらされる。次に、拡張された開口を有する注入マスクを用いて、エピタキシャル基板61上にn型の不純物がイオン注入によって添加される。これにより、ソース抵抗領域12bが形成される。その後、注入マスク100bが除去される。
再び図45を参照して、さらに、実施の形態1と同様の手法により、ウェルコンタクト領域25、ゲート絶縁膜30、およびゲート電極35が形成される。ウェルコンタクト領域25の一部または全部は、ソース抵抗領域12bとオーバーラップされイオン注入の打ち返しにより形成されてもよいし、ソース抵抗領域12bとオーバーラップされずに独立して形成されてもよい。ゲート電極35は、ソース領域12を構成するソースコンタクト領域12aおよびソース抵抗領域12bのうち、ソース抵抗領域12bの重ね合わせ部分12b2にはオーバーラップさせられるが、ソースコンタクト領域12aおよび実効抵抗部分12b1にはオーバーラップさせられない。つまり、ゲート電極35は、重ね合わせ部分12b2、ウェル領域20およびドリフト層2に跨がるように延在させられる。
その後、実施の形態1と同様の手法で、層間絶縁膜32、オーミック電極40、オーミック電極42、ソース電極41およびドレイン電極43が形成される。これよりMOSFET76が得られる。
(効果)
本実施の形態によれば、ソース抵抗領域12bを形成するための注入マスクとして、ソースコンタクト領域12aを形成するための注入マスク100bが、その開口が拡張されつつ利用される。これにより、ソース抵抗領域12bを形成するために新たな注入マスクが形成される場合に比して、工程が簡素化される。よって製造コストを低減することができる。
また、ソース抵抗領域12bを形成するための注入マスクが、ソースコンタクト領域12aを形成するための注入マスクに対して自己整合的に形成される。これにより、ソース抵抗領域12bのパターンとソースコンタクト領域12aのパターンとの重ね合わせずれを極めて小さく抑えることができる。これにより、長さL1および長さL2(図46)を互いに等しくすることができる。その結果、MOSFETのチップ全域において実効抵抗部分12b1の抵抗値のばらつきを抑制することができる。よって短絡事故時の電流をMOSFET内で均一に流すことができる。よって電力変換器300(図1)の信頼性がより向上する。
また、ソースコンタクト領域12aの端から延びるソース抵抗領域12bの長さを、注入マスク100bの開口をどの程度拡張するかによって制御することができる。これにより、当該開口のパターンが写真製版工程によって定められる場合に比して、ソース抵抗領域12bをより微小な寸法で作製することができる。例えば、0.1μm以上1.0μm以下程度の微小寸法での作製が安定的に実施可能である。これにより、ソース抵抗領域12bの実効抵抗部分12b1の寸法も容易に小さくすることができる。以上から、ユニットセル10のセルピッチを縮小することができる。よって、MOSFETに流すことができる電流量を増大させたり、MOSFETのオン抵抗を低減させたりすることができる。また、チップ面積を小さくすることができる。
なお、上記実施の形態1〜8においては、第1導電型がn型とされかつ第2導電型がp型とされる場合について説明されている。しかしながら、第1導電型がp型とされかつ第2導電型がn型とされてもよい。また半導体材料として炭化珪素が用いられる場合について説明されているが、炭化珪素以外の半導体材料が用いられてもよい。半導体材料としては、最も一般的な珪素が用いられてもよいが、珪素のバンドギャップに比してより大きなバンドギャップを有するワイドバンドギャップ半導体が用いられることが好ましく、炭化珪素が用いられることがより好ましい。なお炭化珪素以外のワイドバンドギャップ半導体としては、例えば、窒化ガリウム、窒化アルミニューム、ダイヤモンドなどがある。また半導体装置は、MOSFET以外のMISFET(Metal-Insulator Semiconductor Field Effect Transistor)であってもよい。言い換えれば、ゲート絶縁膜は酸化膜に限定されるものではなく、これはIGBTの場合も同様である。また上記各実施の形態においては、狭義の半導体装置、言い換えれば半導体素子、について説明されている。しかしながら、半導体装置は、半導体素子に加えて他の構成を有する半導体モジュールであってもよい。半導体モジュールは、たとえば、半導体素子のチップと、当該半導体素子に逆並列に接続されたフリーホイールダイオードと、当該半導体素子のゲート電極に電圧を印加する制御回路と、これらを支持するリードフレームと、これらを一体的に封止する封止部材とを有する。半導体モジュールとしては、たとえば、インバータモジュールなどのパワーモジュールがある。
上記の実施の形態1〜8に示した半導体装置の構造から得られる効果は、その構造を有する限り、他の製造方法で形成されたとしても同様に得られる。また、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、各実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。この発明は詳細に説明されたが、上記した説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。
1a,1b 半導体基板、2 ドリフト層、10 ユニットセル、11 JFET領域、12 ソース領域、12b,12bE ソース抵抗領域、12a ソースコンタクト領域、12b1,12b1E 実効抵抗部分(第2部分)、12b2,12b2E 重ね合わせ部分(第1部分)、12c 高濃度領域、16 リセス、20 ウェル領域、25 ウェルコンタクト領域、30 ゲート絶縁膜、32 層間絶縁膜、35 ゲート電極、40,42 オーミック電極、41 ソース電極、43 ドレイン電極、51 SBD領域、52 ショットキー電極、61,62 エピタキシャル基板、71A,71B,72,73A〜73D,74A,74B,75,76 MOSFET(炭化珪素半導体装置)、91 IGBT(炭化珪素半導体装置)、95A,95B,96A〜96F SBD内蔵MOSFET(炭化珪素半導体装置)、100a〜100d 注入マスク、110 トレンチ、300 電力変換器、301 半導体素子、302 ゲート駆動部、303 信号処理部。
本発明は、炭化珪素半導体装置および電力変換器に関するものである。
本発明は以上のような問題を解決するためになされたものであり、単位面積当たりのオン抵抗を低く維持しつつ短絡耐量を向上させることができる炭化珪素半導体装置および電力変換器を提供することを目的とする。
本発明の炭化珪素半導体装置は、ドリフト層と、ウェル領域と、トレンチと、ソース領域と、ゲート電極と、ソース電極と、ドレイン電極とを有している。ドリフト層は第1導電型のものである。ウェル領域は、第1導電型と異なる第2導電型のものであり、ドリフト層上に設けられている。トレンチは、ウェル領域を貫通してドリフト層に達するように形成されている。ソース領域は、第1導電型のものであり、ウェル領域上に設けられており、ウェル領域によってドリフト層から隔てられている。ゲート電極は、ゲート絶縁膜を介して、ソース領域、ウェル領域およびドリフト層に跨って延在している。ソース電極はソース領域に接続している。ドレイン電極は、ソース電極から少なくともドリフト層によって隔てられており、ドリフト層に電気的に接続されている。ウェル領域は、ドリフト層およびソース領域に挟まれ、かつトレンチの側壁でゲート絶縁膜を介してゲート電極に対向するチャネル領域を有している。ソース領域はソースコンタクト領域とソース抵抗領域とを含む。ソースコンタクト領域は、ウェル領域内の表層部に形成されており、ソース電極に接続している。ソース抵抗領域は、トレンチの側壁に隣接しており、ソースコンタクト領域が有する第1導電型の不純物濃度よりも低い第1導電型の不純物濃度を有している。ゲート電極はトレンチの内部に形成されている。ゲート電極の横方向の端部がトレンチの外側に位置させられていない。


Claims (11)

  1. ゲート電圧によってスイッチングされる少なくとも1つの半導体素子(301)と、
    前記少なくとも1つの半導体素子(301)へ前記ゲート電圧を供するゲート駆動部(302)と、
    前記少なくとも1つの半導体素子(301)に関する異常信号を受け付け、前記異常信号に応じて、前記ゲート電圧が前記少なくとも1つの半導体素子(301)をオフにするものとなるように前記ゲート駆動部(302)を制御する異常信号処理部(303)と、
    を備え、
    前記少なくとも1つの半導体素子(301)は炭化珪素半導体装置(71A、71B、72、73A〜73D、74A、74B、75、76、91、95A、95B、96A〜96F)を含み、前記炭化珪素半導体装置(71A、71B、72、73A〜73D、74A、74B、75、76、91、95A、95B、96A〜96F)は、
    第1導電型のドリフト層(2)と、
    前記ドリフト層(2)上に設けられた、前記第1導電型と異なる第2導電型のウェル領域(20)と、
    前記ウェル領域(20)上に設けられ、前記ウェル領域(20)によって前記ドリフト層(2)から隔てられた前記第1導電型のソース領域(12)と、
    ゲート絶縁膜(30)を介して、前記ソース領域(12)、前記ウェル領域(20)および前記ドリフト層(2)に跨って延在するゲート電極(35)と、
    前記ソース領域(12)に接続するソース電極(41)と、
    前記ソース電極(41)から少なくとも前記ドリフト層(2)によって隔てられ、前記ドリフト層(2)に電気的に接続されたドレイン電極(43)と、
    を含み、
    前記ウェル領域(20)は、前記ドリフト層(2)および前記ソース領域(12)に挟まれ、かつ前記ゲート絶縁膜(30)を介して前記ゲート電極(35)に対向するチャネル領域を有し、
    前記ソース領域(12)は、
    前記ウェル領域(20)内の表層部に形成され、前記ソース電極(41)に接続するソースコンタクト領域(12a)と、
    前記チャネル領域に隣接し、前記ソースコンタクト領域(12a)が有する前記第1導電型の不純物濃度よりも低い前記第1導電型の不純物濃度を有するソース抵抗領域(12b,12bE)と、
    を含み、
    前記ソース抵抗領域(12b,12bE)は、前記ゲート絶縁膜(30)のみを介して前記ゲート電極(35)に対向している第1部分(12b2,12b2E)と、前記ゲート絶縁膜(30)のみを介して前記ゲート電極(35)に対向してはいない第2部分(12b1,12b1E)とを有し、
    前記ソース抵抗領域(12b,12bE)と前記ゲート絶縁膜(30)との界面上での、前記第1部分(12b2,12b2E)および前記第2部分(12b1,12b1E)の境界位置と前記ソースコンタクト領域(12a)および前記第2部分(12b1,12b1E)の境界位置との間の最短経路の長さ(LN0)と、前記ソース抵抗領域(12b,12bE)の前記第2部分(12b1,12b1E)の室温でのシート抵抗との積は、1.0×10Ωμm以上1.0×10Ωμm以下である、
    電力変換器(300)。
  2. 前記ソース抵抗領域(12b,12bE)の前記第2部分(12b1,12b1E)の領域長さ(LN0)は、前記チャネル領域の領域長さ(LCH)よりも大きい、請求項1に記載の電力変換器(300)。
  3. 前記ソース抵抗領域(12b,12bE)は、前記ドリフト層(2)の表面上に形成されたエピタキシャル成長層により構成されている、請求項1または請求項2に記載の電力変換器(300)。
  4. 前記ドリフト層(2)の表面上に設けられ、前記ソース電極(41)と電気的に接続されるショットキー電極(52)をさらに備える、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の電力変換器(300)。
  5. 前記ソース領域(12)は、前記ソース抵抗領域(12b,12bE)と前記ウェル領域(20)との間に設けられ、前記ソース抵抗領域(12b,12bE)が有する前記第1導電型の不純物濃度よりも1桁以上高い前記第1導電型の不純物濃度を有する高濃度領域を含む、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の電力変換器(300)。
  6. 前記ソース抵抗領域(12b,12bE)の前記第2部分(12b1,12b1E)の領域長さ(LN0)は、0.1μm以上5.0μm以下である、請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の電力変換器(300)。
  7. 前記ソース抵抗領域(12b,12bE)は、0.1μm以上3.0μm以下の厚みを有する、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の電力変換器(300)。
  8. 前記ソース抵抗領域(12b,12bE)は、前記ソースコンタクト領域(12a)が有する前記第1導電型の不純物濃度よりも1桁以上低い前記第1導電型の不純物濃度を有する、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の電力変換器(300)。
  9. 前記ソース抵抗領域(12b,12bE)の室温でのシート抵抗は、1.0×103Ω以上1.0×106Ω以下である、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電力変換器(300)。
  10. 前記ソースコンタクト領域(12a)の表面深さは、前記ソース抵抗領域(12b,12bE)の前記第1部分(12b2,12b2E)の表面深さよりも深い、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の電力変換器(300)。
  11. 前記ソース抵抗領域(12b,12bE)は平面視において、第1の方向に沿った第1の電流経路と、前記第1の方向と異なる第2の方向に沿った第2の電流経路とを含み、前記第1の電流経路の長さ(L1)と前記第2の電流経路の長さ(L2)とが互いに等しい、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の電力変換器(300)。
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