JPWO2017168692A1 - 自動二輪車のブレーキ制御装置 - Google Patents

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Abstract

自動二輪車(12)のブレーキ制御装置(10)において、減速度閾値演算部(54)は、バンク角演算部(52)が推定したバンク角(α)に基づき、目標車輪減速度(減速度(A1))を閾値以下の範囲内に制限する。これにより、自動二輪車(12)の旋回時に、車体の挙動がより安定し、運転者に違和感を生じさせないようにすることができる。

Description

本発明は、車輪のスリップを所定範囲に制限しつつ、ブレーキを制御する自動二輪車のブレーキ制御装置に関する。
従来より、自動二輪車等の車両において、スリップが発生しやすい路面状態で運転者がブレーキをかけたときに該ブレーキがロックすることを回避するため、ブレーキ液圧の調整を断続的に行うABS(Antilock Brake System)制御が行われており、その中には、車両の直進時に限らず、コーナリング時(車両の旋回中)にもABS制御を作動させる技術もある。
例えば、特開2015−214321号公報には、車両の旋回中のブレーキ制御に関し、ブレーキ制御用の車輪速度を検出し、検出した車輪速度からスリップ率又はスリップ量を算出して、スリップを所定範囲に抑えるようにブレーキ制動力を制御する技術が開示されている。
また、国際公開第2012/086289号パンフレットには、車両の前後輪の最大制動力を設定し、設定した最大制動力よりも低い目標制動力にブレーキ制動力を制限する技術が開示されている。
ところで、自動二輪車の旋回時には、直進時に比べ、制動操作により、運転者の把持するハンドルに掛かる外力の影響を運転者が感じやすいことが本出願人の調査によって明らかとなった。このような状況でブレーキ液圧を制御すると、運転者は、自動二輪車の旋回時に運転者が違和感を覚える可能性がある。
そこで、本発明は、車両の旋回中に運転者がハンドルに掛かる外力の影響を感じにくいようなブレーキ制御を実行することで、車両の旋回中のブレーキ制動を安定化しつつ、運転者の安心感を創出させることができる自動二輪車のブレーキ制御装置を提供することを目的とする。
本発明に係る自動二輪車のブレーキ制御装置は、車両の減速度を推定する減速度推定手段と、前記車両のバンク角を推定するバンク角推定手段と、車輪のスリップを検出し、該スリップを所定の範囲に制限するように前記車両のブレーキを制御するスリップ抑制手段とを具備する自動二輪車のブレーキ制御装置であって、以下の特徴を有する。
第1の特徴;前記ブレーキ制御装置は、推定された前記バンク角に基づき前記減速度を所定の範囲に制限するように前記ブレーキを制御する減速度制限手段をさらに備える。
第2の特徴;前記減速度制限手段による前記ブレーキの制御の実行中、前記スリップが所定の範囲を超えた場合には、前記減速度制限手段による前記ブレーキの制御から、前記スリップ抑制手段による前記ブレーキの制御に切り替わる。
第3の特徴;前記減速度制限手段は、前記自動二輪車の前輪のブレーキのみ制御する。
第4の特徴;前記減速度制限手段は、推定された前記バンク角の絶対値が大きくなるほど、より小さな値に前記減速度を制限する。
第5の特徴;前記減速度制限手段は、推定された前記バンク角に応じて、前記減速度を制限する。
第6の特徴;前記減速度制限手段は、推定された前記バンク角の絶対値が第1所定値以下の場合には、前記減速度の制限処理を行わない。
第7の特徴;前記減速度制限手段は、推定された前記バンク角の絶対値が第2所定値以上の場合には、前記減速度を一定値以下に制限する。
本発明の第1の特徴によれば、ブレーキ制御装置は、スリップ抑制手段によりスリップを所定の範囲に制限するようにブレーキ制御を行う制御モードと、減速度制限手段によりバンク角に基づき減速度を所定の範囲に制限するようにブレーキ制御を行う制御モードとを有する。このように、第1の特徴では、スリップの抑制だけでなく、減速度を所定の範囲に制限するようにブレーキ制御を行うことができる。
すなわち、本出願人が調査したところ、自動二輪車の旋回時に、スリップ抑制手段によりスリップを制限してブレーキ制御を行うと、ハンドルに掛かる外力の影響が大きい場合があり、運転者に違和感を生じさせる可能性がある。従って、運転者が感じる違和感を低減させるためには、スリップ抑制によるブレーキ制御の開始よりも早い段階で、ブレーキ制御を開始させる必要がある。
そこで、第1の特徴では、スリップ抑制を伴うブレーキ制御が行われるタイミングよりも早いタイミングで、減速度に基づくブレーキ制御を実行する。このように、比較的早いタイミングで、減速度に基づくブレーキ制御の機会を増やすことにより、自動二輪車の旋回中、運転者がハンドルに掛かる外力の影響を感じにくいようにブレーキ制動力を制御することができる。また、旋回中のブレーキ制動がより安定化することにより、運転者に対して更なる安心感を創出することもできる。
本発明の第2の特徴によれば、減速度制限手段によるブレーキの制御と、スリップ抑制手段によるブレーキの制御とを共存させている。これにより、減速度制限手段によるブレーキ制御の実行中、スリップが一時的に大きくなり、スリップが所定の範囲を超えてしまう場合には、減速度制限手段によるブレーキ制御が中断され、スリップ抑制手段によるブレーキ制御に一時的に切り替わる。この結果、スリップを抑制するためのブレーキ制御を優先して実行することが可能となる。
本発明の第3の特徴によれば、減速度制限手段が前輪のブレーキのみ制御する。そのため、前輪のブレーキをかけてから後輪のブレーキをかけるまでの間は、減速度制限手段の制御が作動する場合でも、後輪のブレーキは、運転者のブレーキ操作の入力を受け付けることが可能である。これにより、運転者による後輪のブレーキ操作に対する違和感を生じさせにくくすることができる。
本発明の第4の特徴によれば、バンク角の絶対値が大きくなるほど、ハンドルに掛かる外力の影響による違和感を運転者に生じさせるような減速度の限界値が小さくなる。これにより、減速度を適切な値に制御することができる。
本発明の第5の特徴によれば、ハンドルに掛かる外力の影響を感じさせないときの減速度がバンク角に応じたマップとして作成されるので、当該マップを用いて、自動二輪車の特性に合わせた適切なブレーキ制御を容易に行うことができる。
本発明の第6の特徴によれば、バンク角の絶対値が第1所定値以下では、自動二輪車は、直立に近い状態となる。このような状態では減速度を制限させないことで、より大きなブレーキ制動力を発揮させることが可能となる。この結果、運転者によるブレーキ操作性を損なわせることなく、適切なブレーキ制御を実施することができる。
本発明の第7の特徴によれば、バンク角の絶対値が第2所定値以上の非常に大きなバンク角では、減速度が一定値以下に制限される。これにより、ハンドルに掛かる外力の影響による運転者の違和感の抑制よりも、ブレーキ制動力の確保の方が優先される。この結果、より安定したブレーキ制御性を発揮させることができる。
本実施形態に係るブレーキ制御装置が適用される自動二輪車の右側面図である。 図1のブレーキ制御装置のブロック図である。 図3Aは、前輪の模式的な左側面図であり、図3Bは、前輪の模式的な平面図であり、図3Cは、前輪及び後輪の模式的な斜視図である。 図4Aは、旋回中の自動二輪車に作用する力の釣り合いを図示した説明図であり、図4Bは、前輪の模式的な背面図であり、図4Cは、前輪の模式的な平面図である。 バンク角と減速度との関係を示すマップである。 バンク角とスリップ率との関係を示すマップである。 スリップに基づきABS制御を実行する場合のタイミングチャートである。 減速度に基づきABS制御を実行する場合のタイミングチャートである。 減速度に基づきABS制御を実行しているときに、スリップ抑制制御を実行する場合のタイミングチャートである。
本発明について、好適な実施形態を掲げ、添付の図面を参照しながら、以下詳細に説明する。
[本実施形態の概略構成]
本実施形態に係る自動二輪車のブレーキ制御装置10(以下、本実施形態に係るブレーキ制御装置10ともいう。)について、図1及び図2を参照しながら説明する。
本実施形態に係るブレーキ制御装置10は、自動二輪車12に適用される。なお、図1は、自動二輪車12の右側面図である。
自動二輪車12は、ハンドル14に取り付けた左右のブレーキレバー16と、これらのブレーキレバー16を運転者が握ることにより、ブレーキ液圧を発生させる左右のマスタシリンダ18と、左右のマスタシリンダ18からのブレーキ液圧で作動する前輪用のディスクブレーキ20及び後輪用のディスクブレーキ22と、これらのディスクブレーキ20、22によりそれぞれ制動される前輪24及び後輪26とを備える。なお、図1では、右側のブレーキレバー16及びマスタシリンダ18を図示し、左側のブレーキレバー及びマスタシリンダについては、図示を省略している。
また、自動二輪車12は、前輪24及び後輪26の制動時のロックを防止するためのABS用圧力調整装置28と、ABS用圧力調整装置28を制御する制御装置30と、前輪24及び後輪26の各回転速度(車輪速度)をそれぞれ検出して制御装置30に出力する前輪回転速センサ32及び後輪回転速センサ34をさらに備える。なお、前輪24には、ブレーキディスク36が取り付けられ、後輪26には、ブレーキディスク38が取り付けられている。また、ABSは、急制動時、又は、滑りやすい路面において、制動時に起きる前輪24及び後輪26のロックを防止する装置である。
前輪用のディスクブレーキ20は、ブレーキディスク36と、このブレーキディスク36を挟み込む図示しないブレーキパッドと、ブレーキパッドを押圧するために図示しないシリンダ内に移動自在に挿入したピストンと、これらのブレーキパッド及びピストンを収納するブレーキキャリパ42とからなる。
後輪用のディスクブレーキ22は、ブレーキディスク38と、ブレーキディスク38を挟み込む図示しないブレーキパッドと、ブレーキパッドを押圧するための図示しないシリンダ内に挿入したピストンと、ブレーキパッド及びピストンを収納するブレーキキャリパ44とからなる。
さらにまた、自動二輪車12は、車体の姿勢を検出するジャイロセンサ又は加速度センサ等の姿勢検出センサ46をさらに備える。
本実施形態に係るブレーキ制御装置10は、ABS用圧力調整装置28、制御装置30、前輪回転速センサ32、後輪回転速センサ34、バルブ制御ユニット40及び姿勢検出センサ46等から構成される。なお、制御装置30は、ABS用圧力調整装置28及びバルブ制御ユニット40を制御する装置である。前輪回転速センサ32及び後輪回転速センサ34は、マグネット及びコイルからなる電磁誘導式のセンサであり、前輪24及び後輪26近傍にそれぞれ取り付けられることにより、前輪24及び後輪26の車輪速度をそれぞれ検知する。
図2に示すように、ブレーキ制御装置10において、制御装置30は、車体速度演算部50、バンク角演算部52(バンク角推定手段)、減速度閾値演算部54(減速度推定手段、減速度制限手段)、及び、スリップ率閾値演算部56(スリップ抑制手段)を有する。また、ABS用圧力調整装置28は、バルブ制御演算部58に対応する。
車体速度演算部50は、前輪回転速センサ32及び後輪回転速センサ34から入力される各車輪速度に基づき車体速度を算出する。バンク角演算部52は、姿勢検出センサ46から入力される自動二輪車12の角速度や加速度と、車体速度とに基づき、自動二輪車12のバンク角αを算出する。減速度閾値演算部54は、前輪回転速センサ32及び後輪回転速センサ34からの各車輪速度に基づき自動二輪車12の減速度Aを算出し、減速度A及びバンク角αに基づいて、減速度Aの制限処理(減速度Aに基づくブレーキ制御(ABS制御))を行う。スリップ率閾値演算部56は、車体速度に基づき前輪24及び後輪26のスリップ(スリップ率、スリップ量)を算出し、算出したスリップに基づいて、減速度Aの制限処理(スリップに基づくブレーキ制御(ABS制御))を行う。
バルブ制御演算部58は、減速度閾値演算部54及びスリップ率閾値演算部56の各処理結果に基づき、自動二輪車12のブレーキ制御モードを決定すると共に、決定したブレーキ制御モードに基づいて、ブレーキ液圧を制御するバルブの開閉信号をバルブ制御ユニット40に出力する。バルブ制御ユニット40は、開閉信号に基づいてバルブを開閉することにより、ブレーキ液圧を調整し、各ディスクブレーキ20、22のブレーキ制動力を制御する。
[本実施形態の課題]
以上のように構成されるブレーキ制御装置10の動作説明に先立ち、当該ブレーキ制御装置10が解決すべき課題について、図3A〜図4Cを参照しながら説明する。
図3A〜図3Cは、自動二輪車12の旋回中にステアリング軸60に作用する力を図示したものである。
図3Aで模式的に示すように、ステアリング軸60は、前輪24の中心を通って後方に傾斜するように配置されている。この場合、ステアリング軸60と路面66とが交差する箇所を交点62とし、前輪24における路面66との接触箇所を接地点64とすれば、交点62と接地点64との距離がトレールとなる。
また、図3Bに示すように、自動二輪車12が右側前方に旋回する場合、運転者は、ハンドル14を右側に切り、路面66に対して自動二輪車12を右側に角度θだけ倒した状態(図3C参照)で自動二輪車12を旋回させる。
この場合、前輪24には、ハンドル14が右側に切られ、車体が右側に角度θ倒れていることにより、接地点64から右方向に向かう力(タイヤ横力)が作用する。このモーメントMaは、ステアリング軸60(ハンドル14の向き)を自動二輪車12の直進方向に戻す力として作用する。また、ステアリング軸60には、前輪24が路面66から受ける路面反力による反作用力のモーメントMbが作用する。このモーメントMbは、ステアリング軸60を旋回方向(傾斜方向)に切れ増す力として作用する。従って、自動二輪車12の旋回中は、主に、これら2つのモーメントMa、Mbが均衡するハンドル切れ角と車体傾斜角とで安定した旋回状態が維持される。
この結果、図4Aに示すように、通常の旋回時に、ステアリング軸60の交点62側には、右方向のタイヤ横力と路面反力(前輪24の重力に対向して路面66から前輪24に作用する上方向の反作用の力)とが作用する。また、ステアリング軸60のハンドル14(図1参照)側には、左方向への遠心力と下方向への重力とが作用する。従って、通常の旋回時には、これらの力の釣り合いにより、自動二輪車12の挙動は安定する。
図4B及び図4Cに示すように、自動二輪車12の旋回時に、ABS制御によって、制動力(ブレーキ制動力)が前輪24に作用すると、前輪24には、ステアリング軸60の回りに捻れトルクが発生する。図4Bに示すように、自動二輪車12の旋回によって接地点64が右側にオフセットし、接地点64に制動力が作用することにより、図4Cに示すように、接地点64を作用点とし、且つ、ステアリング軸60に対して時計方向に、前輪24を回転させるモーメントMcが作用する。捻れトルクは、このモーメントMcに起因したトルクである。
このような捻れトルクによってハンドル14が切り込まれると、車体には直立方向に向かう力が作用する。この力は、ハンドル14に掛かる外力の原因となる。ハンドル14の切り込みの大きさが許容量を超えると、運転者は、ハンドル14に掛かる外力の影響を違和感として感じることになる。
このように、ABS制御の作動によって車体の挙動に影響を与える具体的な要因としては、下記のようなものが考えられる。
(1)ブレーキ液圧の増大による制動力の増加が考えられる。この場合、ステアリング軸60に切り込む力が増加するので、ハンドル14の切れ込み方向の振れと共に、車体を起こすような力が作用する。
(2)ブレーキ液圧の低下による制動力の減少が考えられる。この場合、ステアリング軸60の切り込む力が低下するので、ステアリング軸60は、直進方向を向き、この結果、ハンドル14の直進方向の向きの振れと共に、車体を倒れ込ませる側に力が作用する。
(3)ディープスリップの発生が考えられる。この場合、タイヤ制動力が低下し、ステアリング軸60の切り込む力が低下するので、ステアリング軸60は、直進方向を向き、この場合でも、ハンドル14の直進方向の向きの振れと共に、車体を倒れ込ませる側に力が作用する。
これら3つの要因が時間経過に伴って繰り返し発生し、あるいは、変化することにより、ハンドル14に掛かる外力が運転者の感覚に影響を与える。つまり、制動力が短時間で一定以上に変化すると、捻れトルクの大きさの変化により、運転者に違和感を生じさせる可能性がある。
[本実施形態の動作]
そこで、本出願人は、自動二輪車12の旋回中、ハンドル14に掛かる外力の影響を運転者に感じさせないようなブレーキ制御(ABS制御)の方法が可能か否かを調査した。その結果、ハンドル14に掛かる外力の影響を違和感として運転者に感じさせにくいようにブレーキ制御を行うためには、スリップ(スリップ率、スリップ量)に基づきブレーキ制御を行うのではなく、自動二輪車12の減速度Aに基づいてブレーキ制御を行う必要があるとの結論に至った。これにより、ブレーキ制御中の制動力の変化を少なくすることができ、車体挙動の安定性を運転者の違和感を感じさせないレベルにすることができる。
ここで、減速度Aに基づくブレーキ制御の動作について、図1、図2及び図5〜図9を参照しながら説明する。
減速度閾値演算部54は、図5に示すマップ68を有する。このマップ68は、横軸をバンク角α、縦軸を減速度Aとしたときに、試験運転者が実際にハンドル振れを感じなくなったポイントをプロットし、プロットした箇所を直線で結んだものである。従って、各ポイントを結ぶ直線の値(減速度閾値)以下の領域では、試験運転者はハンドル14に掛かる外力の影響に違和感がない。すなわち、このマップ68は、路面66上に自動二輪車12を走行させ、試験運転者が自動二輪車12を旋回させたときに、バンク角α毎に、ハンドル14に掛かる外力の影響に違和感がなくなった減速度Aの下限値(閾値)を実測し、実測した減速度Aの閾値をプロットしたものである。
なお、自動二輪車12は、旋回時には、直立状態(α=0°)に対して左右に傾く。そのため、マップ68では、左右のバンク角αに応じた減速度A(ハンドル14に掛かる外力の影響に違和感がなくなるときの目標車輪減速度)の閾値が2本の線(閾値線)としてマップ化されている。また、マップ68では、左右のバンク角αについて、閾値線が1本ずつ描かれているが、実際には、自動二輪車12の車速毎に閾値線が設けられる。さらに、本実施形態において、マップ68は、前輪24の減速度Aに関するマップであるが、後輪26の減速度に関わるマップであってもよい。
そして、減速度閾値演算部54は、マップ68を参照し、バンク角演算部52が算出したバンク角αに対して、閾値線以下の所定の減速度Aを、ABS制御を開始させるときの減速度(目標車輪減速度)として設定する。この場合、減速度閾値演算部54には、前輪回転速センサ32及び後輪回転速センサ34から各車輪速度が入力されるので、減速度閾値演算部54は、入力された各車輪速度から自動二輪車12の現時点の減速度Aを算出した後、算出した減速度Aが目標車輪減速度に到達すれば、ABS制御の作動を決定する。これにより、運転者がハンドル14に掛かる外力の影響に違和感がない状態でABS制御を開始させることができる。
また、マップ68において、バンク角αの絶対値が第1所定値α1以下(−α1≦α≦+α1)の範囲では、自動二輪車12は、直立に近い状態となる。このような状態では、マップ68を用いた減速度AによるABS制御の制限処理を行わない。これにより、ブレーキ制御装置10は、運転者によるブレーキレバー16の操作量に応じた制動力を各ディスクブレーキ20、22に作用させる。
さらに、マップ68において、バンク角αの絶対値が第2所定値α2以上(α≦−α2又は+α2≦α)の非常に大きなバンク角では、減速度Aを一定値以下に制限する。この場合、自動二輪車12は、直立状態よりも左右に相当傾いた状態となるので、ブレーキ制御装置10は、ハンドル振れによる運転者の違和感の抑制よりも、制動力の確保を優先させる。
このように、ブレーキ制御装置10では、自動二輪車12の旋回時におけるABS制御の作動開始に関して、任意のバンク角αについて、閾値以下の減速度A(目標車輪減速度)でABS制御を開始するように、ブレーキ制御に関わる各装置を制御する。上述した減速度閾値演算部54での処理結果(目標車輪減速度等)は、減速度閾値演算部54からバルブ制御演算部58に出力される。
ここで、上述の減速度Aに基づくABS制御に対する、従来のスリップに基づくABS制御で改良が望まれる点について、さらに付言する。
ドライな路面66の状況下で自動二輪車12を旋回させると、制動時には、スリップが大きくなり、ブレーキ制御によってスリップを抑制する前に、運転者が違和感として感じるようなレベルのハンドル14に掛かる外力の影響が発生する場合がある。このような旋回中に発生するハンドル14に掛かる外力の影響は、車両としての旋回状態が安定していても、場合によって運転者に違和感を感じさせる可能性がある。そのため、このようなハンドル14に掛かる外力の影響による違和感を運転者に感じさせにくくすることで、運転者に更なる安心感を与えれば、旋回中のブレーキ制御の利便性をより運転者に感じさせることができる。
このように、本実施形態では、減速度Aを所定の範囲に制限するようにしている。一方、スリップ率やスリップ量を抑制するようにブレーキ制御を実行する方法では、求める性能に対し、非常に高度な制御技術を有する。また、ブレーキ液圧を制御対象とすると、精度の高い圧力センシングを要するため、コストとのバランスが難しくなる。すなわち、スリップに基づくブレーキ制御方法では、スリップしないがハンドル14に掛かる外力の影響が発生しやすい領域では制御が難しい。また、ブレーキ液圧に基づくブレーキ制御方法では、実際に前輪24及び後輪26に発生している制動力の検知精度とコストとのバランスが難しい。
また、ブレーキ制御装置10では、従来の技術と同様に、任意のバンク角αについて、スリップの大きさに基づき、ABS制御の作動を開始させることも可能である。図6は、スリップ率Sとバンク角αとの関係を示すマップである。図6のマップでは、バンク角αが大きくなるほど、スリップ率Sが低下する閾値線が図示されている。これは、任意のバンク角αにおいて、閾値線以下のスリップ率Sの範囲内でABS制御を作動すべきことを示している。
図6では、1本の閾値線のみ図示されているが、実際には、前輪24及び後輪26について1本ずつ閾値線が存在する。また、図6のマップでも、車体速度に応じて閾値線が設定される。従って、図6のマップは一例であり、実際には、複数の閾値線が存在する。
スリップ率閾値演算部56は、図6のマップを参照し、バンク角演算部52が算出したバンク角αについて、閾値線以下のスリップ率SをABS制御の作動を開始するときの目標スリップ率に設定する。この場合、スリップ率閾値演算部56には、車体速度演算部50が算出した車体速度が入力されるので、スリップ率閾値演算部56は、入力された車体速度から現時点のスリップ率Sを算出した後、算出したスリップ率Sが目標スリップ率に到達すれば、ABS制御の作動を決定する。上述したスリップ率閾値演算部56の処理結果(目標スリップ率等)は、スリップ率閾値演算部56からバルブ制御演算部58に出力される。
このように、本実施形態に係るブレーキ制御装置10では、従来からあるスリップ率やスリップ量の制御に加え、減速度Aを制限する制御も新たに加えた旋回時のブレーキ制御を実現している。
バルブ制御演算部58は、減速度閾値演算部54及びスリップ率閾値演算部56からの処理結果等に基づき、(1)目標車輪減速度に基づくABS制御の作動(ブレーキ液圧の減圧制御)、(2)目標スリップ率に基づくABS制御の作動(ブレーキ液圧の減圧制御)、(3)現在のブレーキ液圧の保持、(4)運転者のブレーキレバー16の操作量に応じたブレーキ液圧の増圧、のいずれの制御モードを実行すべきか否かを決定する。
そして、バルブ制御演算部58は、決定した制御モードに応じたバルブの開閉信号をバルブ制御ユニット40に供給する。これにより、バルブ制御ユニット40は、バルブ制御演算部58が決定した制御モードと、供給された開閉信号とに基づいて、バルブを開閉させ、ブレーキ液圧の調整を行う。
なお、本実施形態において、バルブ制御演算部58は、自動二輪車12の直進走行時のABS制御では(2)の制御モードを優先させ、一方で、旋回時のABS制御では(1)の制御モードを優先させる。また、ABS制御を実行しない場合には、(3)又は(4)の制御モードを実行する。
図7〜図9は、バルブ制御演算部58によるABS制御の実行を図示したタイミングチャートである。
図7は、任意のバンク角αにおいて、(2)の目標スリップ率に基づくABS制御を実行した場合を図示したタイミングチャートである。この場合、自動二輪車12の旋回中、運転者のブレーキレバー16の操作によって、時間tの経過と共に減速度Aが大きくなり、時点t0で減速度Aが、図6のマップに基づき決定された目標スリップ率に応じた減速度A0に到達すると、バルブ制御演算部58は、(2)の制御モードに基づくABS制御の作動を決定し、当該制御モードに応じたバルブの開閉信号をバルブ制御ユニット40に供給する。これにより、バルブ制御ユニット40は、供給された開閉信号に基づいてバルブを開閉し、ブレーキ液圧を断続的に調整する。この結果、時点t0以降、減速度Aは、A0の値を維持する。
しかしながら、この場合、バンク角αで運転者が自動二輪車12を旋回させると、減速度A0よりも低い減速度A1において、ハンドル14に掛かる外力が運転者に違和感を生じさせる可能性がある。
そこで、本実施形態において、バルブ制御演算部58は、減速度A0よりも低い減速度A1となる時点t1において、(1)の制御モードでのABS制御の実行を開始させる。
具体的には、図8のタイミングチャートに示すように、自動二輪車12の旋回中、運転者のブレーキレバー16の操作によって、時間tの経過と共に減速度Aが大きくなる場合に、時点t0前の時点t1において、減速度Aが減速度A1(目標車輪減速度に応じた減速度)に到達すると、バルブ制御演算部58は、(1)の制御モードに基づくABS制御の作動を決定し、当該制御モードに応じたバルブの開閉信号をバルブ制御ユニット40に供給する。
これにより、バルブ制御ユニット40は、供給された開閉信号に基づいてバルブを開閉し、ブレーキ液圧を断続的に調整する。この結果、時点t1以降、減速度Aは、A1の値を維持する。従って、図8の場合には、ハンドル14を把持する運転者にとり、ハンドル14に掛かる外力が運転者に違和感を生じさせる可能性が低い。なお、図7及び図8中の一点鎖線は、(1)の制御モードに基づくABS制御が実行されない場合に、運転者のブレーキレバー16の操作量に応じて制動力が作用する際の減速度Aの時間変化を図示したものである。
図8では、減速度A1に基づいてABS制御を実行する。一方、減速度A0は、スリップ率閾値演算部56で求められた目標スリップ率に応じた減速度である。そのため、単純に、目標スリップ率を低く設定すれば、図8のような制御が実現可能となるようにも考えられる。
しかしながら、下記の理由から、目標スリップ率を低く設定するだけでは、図8と同様の制御を実現することはできない。
先ず、減速度Aが低い領域では、スリップ率Sの算出精度が低くなる。すなわち、スリップ率Sは、前輪24及び後輪26の車輪速度に基づき検知される。この場合、前輪24及び後輪26は、ホイールの周りにゴムタイヤが巻かれて構成されており、走行時には、ゴムタイヤが潰れた状態で前輪24及び後輪26が回転する。前輪24と後輪26との間でゴムタイヤの潰れ方が異なると、スリップ率Sの算出精度に影響する。しかも、走行時にゴムタイヤがしっかりと路面66に喰い込んでなければ、前輪24及び後輪26の大きさの違い、路面66の状態、路面66との接地面積の相違等に起因して、必要とされるスリップ率Sの算出が困難となる。
また、自動二輪車12では、様々なスリップの状態があり、スリップ率Sを定義しづらい。さらには、後述するマンホール等の箇所を通過する場合には、スリップ率Sの算出が難しい。
従って、本実施形態に係るブレーキ制御装置10では、上記の理由から、スリップ率Sではなく、減速度A1に基づきABS制御を実行している。
図9は、減速度A1に基づくABS制御中、路面66の摩擦係数μが低い箇所を自動二輪車12が通過する場合のブレーキ制御を図示したタイミングチャートである。なお、摩擦係数μが低い箇所とは、例えば、マンホールや砂のある路面66をいう。
この場合、時点t1から減速度A1に基づくABS制御が実行されているときに、時点t2から時点t3の時間帯に摩擦係数μが小さい箇所を自動二輪車12が通過すると、一時的に減速度Aが大きくなる。これは、摩擦係数μの小さな路面66を走行することによりタイヤスリップが一時的に大きくなり、前輪24及び後輪26側で前輪回転速センサ32及び後輪回転速センサ34が検知した各車輪速度に基づく減速度Aが大きくなるためである。
このようにスリップが一時的に大きくなり、スリップが許容量を超えてしまう場合には、(1)の制御モードに従った減速度A1に基づくABS制御を中断し、(2)の制御モードに従って、スリップに基づくABS制御に一時的に切り替える。従って、時点t2から時点t3までの時間帯では、ハンドル14に掛かる外力が運転者に違和感を生じさせる可能性があるが、例外的に、(2)の制御モードに基づくABS制御が実行され、スリップを抑制するブレーキ制御が優先される。
その後、時点t3で減速度AがA1にまで低下すると、再度、(2)の制御モードから(1)の制御モードに切り替わり、時点t3以降、減速度A1に基づくABS制御が実行される。
[本実施形態の効果]
以上説明したように、本実施形態に係るブレーキ制御装置10は、スリップ率閾値演算部56によりスリップを所定の範囲に制限するように自動二輪車12のブレーキ制御を行う(2)の制御モードと、減速度閾値演算部54によりバンク角αに基づき減速度Aを所定の範囲に制限するようにブレーキ制御を行う(1)の制御モードとを有する。このように、本実施形態では、スリップの抑制だけでなく、減速度Aを所定の範囲に制限するようにブレーキ制御を行うことができる。
すなわち、本出願人が調査したところ、自動二輪車12の旋回時に、スリップ率閾値演算部56によりスリップを制限してブレーキ制御を行うと、ハンドル14に掛かる外力が運転者に違和感を生じさせる場合がある。従って、運転者に違和感を生じさせにくくするためには、スリップ抑制によるブレーキ制御の開始よりも早い段階で、ブレーキ制御を開始させる必要がある。
そこで、本実施形態では、スリップ抑制を伴うブレーキ制御が行われるタイミング(時点t0)よりも早いタイミング(時点t1)で、減速度Aに基づくブレーキ制御を実行する。このように、比較的早いタイミングで、減速度Aに基づくブレーキ制御の機会を増やすことにより、自動二輪車12の旋回中、運転者がハンドル14に掛かる外力が運転者に違和感を生じさせにくいようにブレーキ制動力を制御することができる。また、旋回中のブレーキ制動がより安定することにより、運転者に更なる安心感を創出することもできる。
また、本実施形態では、減速度閾値演算部54によるブレーキ制御と、スリップ率閾値演算部56によるブレーキ制御とを共存させている。これにより、減速度閾値演算部54によるブレーキ制御の実行中、スリップが一時的に大きくなり、スリップが所定の範囲を超えてしまう場合には、減速度閾値演算部54によるブレーキ制御が中断され、スリップ率閾値演算部56によるブレーキ制御に一時的に切り替わる。この結果、スリップを抑制するためのブレーキ制御を優先して実行することが可能となる。
さらに、本実施形態では、減速度閾値演算部54によるブレーキ制御を前輪用のディスクブレーキ20にのみ行ってもよい。これにより、ディスクブレーキ20による前輪24の制動が開始されてから、後輪用のディスクブレーキ22による後輪26の制動が開始されるまでの間は、減速度閾値演算部54によるブレーキ制御が作動する場合でも、ディスクブレーキ22は、運転者のブレーキ操作の入力を受け付けることが可能である。この結果、運転者による後輪26のブレーキ操作に対する違和感を生じさせにくくすることができる。
また、バンク角αの絶対値が大きくなるほど、運転者にハンドル14に違和感を生じさせるような減速度の限界値(目標車輪減速度の閾値)が小さくなる。これにより、目標車輪減速度(減速度A1)を適切な値に制御することができる。
さらに、運転者に違和感を生じさせにくくするような減速度Aがバンク角αに応じたマップ68として作成されるので、当該マップ68を用いて、自動二輪車12の特性に合わせた適切なブレーキ制御を容易に行うことができる。
この場合、バンク角αの絶対値が第1所定値α1以下では、自動二輪車12は、直立に近い状態となる。このような状態では減速度Aを制限させないことで、より大きなブレーキ制動力を発揮させることが可能となる。この結果、運転者によるブレーキ操作性を損なわせることなく、適切なブレーキ制御を実施することができる。
また、バンク角αの絶対値が第2所定値α2以上の非常に大きなバンク角では、目標車輪減速度が一定値以下に制限される。これにより、ハンドル14に掛かる外力の影響による運転者の違和感の抑制よりも、ブレーキ制動力の確保の方が優先される。この結果、より安定したブレーキ制御性を発揮させることができる。
以上、本発明について好適な実施形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は、上記の実施形態の記載範囲に限定されることはない。上記の実施形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることは、当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も、本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。また、特許請求の範囲に記載された括弧書きの符号は、本発明の理解の容易化のために添付図面中の符号に倣って付したものであり、本発明がその符号をつけた要素に限定されて解釈されるものではない。

Claims (7)

  1. 車両の減速度(A)を推定する減速度推定手段(54)と、前記車両のバンク角(α)を推定するバンク角推定手段(52)と、車輪(24、26)のスリップ(S)を検出し、該スリップ(S)を所定の範囲に制限するように前記車両のブレーキ(20、22)を制御するスリップ抑制手段(56)とを具備する自動二輪車(12)のブレーキ制御装置(10)であって、
    推定された前記バンク角(α)に基づき前記減速度(A)を所定の範囲に制限するように前記ブレーキ(20、22)を制御する減速度制限手段(54)をさらに備えることを特徴とする自動二輪車(12)のブレーキ制御装置(10)。
  2. 請求項1記載の自動二輪車(12)のブレーキ制御装置(10)において、
    前記減速度制限手段(54)による前記ブレーキ(20、22)の制御の実行中、前記スリップ(S)が所定の範囲を超えた場合には、前記減速度制限手段(54)による前記ブレーキ(20、22)の制御から、前記スリップ抑制手段(56)による前記ブレーキ(20、22)の制御に切り替わることを特徴とする自動二輪車(12)のブレーキ制御装置(10)。
  3. 請求項1又は2記載の自動二輪車(12)のブレーキ制御装置(10)において、
    前記減速度制限手段(54)は、前記自動二輪車(12)の前輪(24)のブレーキ(20)のみ制御することを特徴とする自動二輪車(12)のブレーキ制御装置(10)。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の自動二輪車(12)のブレーキ制御装置(10)において、
    前記減速度制限手段(54)は、推定された前記バンク角(α)の絶対値が大きくなるほど、より小さな値に前記減速度(A)を制限することを特徴とする自動二輪車(12)のブレーキ制御装置(10)。
  5. 請求項4記載の自動二輪車(12)のブレーキ制御装置(10)において、
    前記減速度制限手段(54)は、推定された前記バンク角(α)に応じて、前記減速度(A)を制限することを特徴とする自動二輪車(12)のブレーキ制御装置(10)。
  6. 請求項5記載の自動二輪車(12)のブレーキ制御装置(10)において、
    前記減速度制限手段(54)は、推定された前記バンク角(α)の絶対値が第1所定値(α1)以下の場合には、前記減速度(A)の制限処理を行わないことを特徴とする自動二輪車(12)のブレーキ制御装置(10)。
  7. 請求項5又は6記載の自動二輪車(12)のブレーキ制御装置(10)において、
    前記減速度制限手段(54)は、推定された前記バンク角(α)の絶対値が第2所定値(α2)以上の場合には、前記減速度(A)を一定値以下に制限することを特徴とする自動二輪車(12)のブレーキ制御装置(10)。
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