JPWO2017154104A1 - 炭素繊維不織布、炭素繊維不織布の製造方法、炭素繊維多層布、及び複合材料 - Google Patents

炭素繊維不織布、炭素繊維不織布の製造方法、炭素繊維多層布、及び複合材料 Download PDF

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Abstract

下記(1)〜(3)の少なくとも1つを満たす、炭素繊維不織布。(1)有機物を有する炭素繊維と、実質的に有機物を有しない炭素繊維と、を含む。(2)集束体を形成している炭素繊維と、集束体を形成していない炭素繊維と、を含む。(3)炭素繊維と有機物を含む複合材料からの回収物ではない炭素繊維と、炭素繊維と有機物を含む複合材料からの回収物である炭素繊維と、を含む。

Description

本発明は、炭素繊維不織布、炭素繊維不織布の製造方法、炭素繊維多層布、及び複合材料に関する。
樹脂等の有機材料と、炭素等の無機材料とを複合化した複合材料は様々な分野で利用されている。このような複合材料としては、炭素繊維が縦横に配置された材料(クロス材)又は炭素繊維が一方向に配置された炭素繊維材料(Unidirectional、UD材)と、樹脂材料と、を含む炭素繊維強化プラスチック(Carbon Fiber Reinforced Plastic、CFRP)が知られている。
近年、CFRPの製造方法として、樹脂トランスファー成形法(Resin Transfer Molding、RTM)が注目を集めている。この方法では、炭素繊維材料を配置した型内に樹脂を注入して炭素繊維間を樹脂で含浸し、硬化させてCFRPを製造するため、立体的な成形に適している。クロス材とUD材は強度に優れるものの、RTM法による成形のしやすさに制約がある。そこで、炭素繊維がランダムな方向に配置された炭素繊維不織布を用いてRTM法によりCFRPを製造する試みがなされている(例えば、特許文献特開2012−188779号公報参照)。
RTM法では型内に樹脂を注入して炭素繊維間を樹脂で含浸するため、樹脂をいかに炭素繊維間に浸透させ、密着させるかが、得られるCFRPの強度向上の観点から重要である。
本発明は上記事情に鑑み、成形性と強度に優れる複合材料を作製可能な炭素繊維不織布、炭素繊維不織布の製造方法、炭素繊維多層布、及び複合材料を提供する。
発明を解決するための手段
<1>下記(1)〜(3)の少なくとも1つを満たす、炭素繊維不織布。
(1)有機物を有する炭素繊維と、実質的に有機物を有しない炭素繊維と、を含む。
(2)集束体を形成している炭素繊維と、集束体を形成していない炭素繊維と、を含む。
(3)炭素繊維と有機物を含む複合材料からの回収物ではない炭素繊維と、炭素繊維と有機物を含む複合材料からの回収物である炭素繊維と、を含む。
<2>前記炭素繊維の長さが20mm以上150mm以下である、<1>に記載の炭素繊維不織布。
<3>さらに樹脂繊維を含む、<1>又は<2>に記載の炭素繊維不織布。
<4>処理液に、前記処理液によって分解する有機物と、炭素繊維と、を含む複合材料を接触させる接触工程と、
前記有機物の分解物を含む前記処理液と、前記炭素繊維と、を分離する分離工程と、
前記接触工程及び前記分離工程を経た炭素繊維と、前記接触工程及び前記分離工程を経ない炭素繊維と、を用いて不織布を作製する不織布作製工程と、をこの順に有する<1>〜<3>のいずれか1項に記載の炭素繊維不織布の製造方法。
<5>前記有機物はエステル結合を含有する樹脂を含む、<4>に記載の炭素繊維不織布の製造方法。
<6>前記処理液は有機溶媒と、分解触媒とを含む、<4>又は<5>に記載の炭素繊維不織布の製造方法。
<7><1>〜<3>のいずれか1項に記載の炭素繊維不織布と、少なくとも一方向に配向した炭素繊維シートと、を含む、炭素繊維多層布。
<8><1>〜<3>のいずれか1項に記載の炭素繊維不織布又は<7>に記載の炭素繊維多層布と、樹脂と、を含む、複合材料。
本発明によれば、成形性と強度に優れる複合材料を作製可能な炭素繊維不織布、炭素繊維不織布の製造方法、炭素繊維多層布、及び複合材料が提供される。
以下、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。以下の実施形態において、その構成要素(要素ステップ等も含む)は、特に明示した場合を除き、必須ではない。数値及びその範囲についても同様であり、本発明を制限するものではない。
本明細書において「工程」との語には、他の工程から独立した工程に加え、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の目的が達成されれば、当該工程も含まれる。
本明細書において「〜」を用いて示された数値範囲には、「〜」の前後に記載される数値がそれぞれ最小値及び最大値として含まれる。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
本明細書において組成物中の各成分の含有率は、組成物中に各成分に該当する物質が複数種存在する場合、特に断らない限り、組成物中に存在する当該複数種の物質の合計の含有率を意味する。
本明細書において「層」との語には、当該層が存在する領域を観察したときに、当該領域の全体に形成されている場合に加え、当該領域の一部にのみ形成されている場合も含まれる。
本明細書において「積層」との語は、層を積み重ねることを示し、二以上の層が結合されていてもよく、二以上の層が着脱可能であってもよい。
<炭素繊維不織布>
本実施形態の炭素繊維不織布は、下記(1)〜(3)の少なくとも1つを満たす。
(1)有機物を有する炭素繊維と、実質的に有機物を有しない炭素繊維を含む。
(2)集束体を形成している炭素繊維と、集束体を形成していない炭素繊維を含む。
(3)炭素繊維と有機物を含む複合材料からの回収物ではない炭素繊維と、炭素繊維と有機物を含む複合材料からの回収物である炭素繊維を含む。
(第一の態様)
本実施形態の第一の態様は、有機物を有する炭素繊維と、実質的に有機物を有しない炭素繊維を含む炭素繊維不織布である。
本発明者らの検討により、有機物を実質的に有しない炭素繊維を含む炭素繊維不織布を用いて製造した複合材料は、有機物を有する炭素繊維のみから形成される炭素繊維不織布を用いて製造した複合材料よりも強度に優れることがわかった。その理由は明らかではないが、有機物を有する炭素繊維と、有機物を実質的に有しない炭素繊維を含む炭素繊維不織布の方が、有機物を有する炭素繊維のみから形成される炭素繊維不織布に比べて炭素繊維間に注入される樹脂とのなじみがよく、密着性が良好であるためと推測される。
ここでいう有機物とは、例えば、複合材料に含まれる樹脂と炭素繊維との接着性向上のための接着性向上剤、炭素繊維が集束体を形成した状態の維持、取り扱い性向上等を目的として集束体の表面又は単繊維間に付着させる集束剤(サイジング剤)などの表面処理剤、及び複合材料中で炭素繊維と接触している樹脂のことをいう。
さらに、本発明者らの検討により、有機物を実質的に有しない炭素繊維と、有機物を有する炭素繊維の両方を含む炭素繊維不織布を用いて製造した複合材料は、有機物を実質的に有しない炭素繊維のみから形成される炭素繊維不織布を用いて製造した複合材料よりも曲げ強度と曲げ弾性率が良好であることがわかった。
本明細書において「炭素繊維不織布」とは、炭素繊維不織布の全質量に占める炭素繊維の割合が10質量%以上である不織布を意味する。
本明細書において炭素繊維が「実質的に有機物を有しない」とは、炭素繊維と、当該炭素繊維が有する有機物の総質量に占める有機物の割合が0質量%であるか、3質量%以下であることを意味する。
炭素繊維と、当該炭素繊維が有する有機物の総質量に占める有機物の割合は、次の方法で確認できる。まず、炭素繊維を100℃で20分間乾燥し、次いでマッフル炉(例えば、ヤマト科学株式会社、FP311)にて500℃で45分間、空気中で熱処理する。そして、熱処理前後の質量の減少量から、有機物の割合を算出する。具体的には、(処理前の質量−処理後の質量)/処理前の質量×100%で計算される値が0質量%であるか、3質量%以下であれば、実質的に有機物を有していないと判断する。炭素繊維と、当該炭素繊維が有する有機物の総質量に占める有機物の割合は、2.5質量%以下であることが好ましく、2質量%以下であることがより好ましい。
炭素繊維不織布に占める「実質的に有機物を有しない炭素繊維」の割合は特に制限されず、炭素繊維不織布の用途等に応じて選択できる。例えば、炭素繊維不織布に含まれる炭素繊維の総質量中に20質量%以上であってよく、30質量%以上であることが好ましく、35質量%以上であることがより好ましい。
本実施態様の炭素繊維不織布に含まれる炭素繊維としては、複合材料の原料として一般に用いられるものを特に制限なく使用できる。
有機物を実質的に有しない炭素繊維としては、例えば、上述した表面処理剤が付与されていないか、表面処理剤の少なくとも一部が除去された状態の炭素繊維が挙げられる。一般に、複合材料の製造に用いられる炭素繊維は、複数の単繊維(フィラメント)が集まって集束体(ストランド)を形成している。
炭素繊維から有機物を除去する方法としては、有機物が消失する温度以上の温度で炭素繊維又は複合材料を熱処理する方法(例えば、特開2013−237716号公報参照)、有機物を分解しうる処理液に炭素繊維又は複合材料を接触させる方法(例えば、特開2001−172426号公報参照)等が挙げられる。
炭素繊維から有機物を除去するための処理は、炭素繊維と、有機物と、を含む複合材料から炭素繊維を回収するための処理であってもよい。
炭素繊維に与える損傷が少なく、有機物の残存量も低減できる観点からは、有機溶媒及び分解触媒を含む処理液を用いる方法が好ましい。また、コストの観点からは、プリプレグの工程廃材、CFRPの工程廃材等に含まれる樹脂等の有機物を上記の方法で除去して、炭素繊維を得る方法が好ましい。
本実施態様において、炭素繊維不織布に含まれる炭素繊維の長さは、特に制限されない。例えば、炭素繊維を不織布に加工する際の加工性の観点からは20mm以上であることが好ましく、炭素繊維不織布並びにこれを用いて作製される多層布及び複合材料の強度の観点からは150mm以下であることが好ましい。ここでいう炭素繊維の長さは、炭素繊維不織布から無作為に選択した100本の炭素繊維の長さの数平均値とする。
本実施態様の炭素繊維不織布に含まれる炭素繊維の太さは、特に制限されない。例えば、不織布の加工性の観点からは3μm〜10μmであることが好ましい。ここでいう炭素繊維の太さは、炭素繊維不織布から無作為に選択した100本の炭素繊維であって、単繊維(フィラメント)の太さ(一本の単繊維の太さが一定でない場合は、最も細い部分の太さ)の数平均値とする。
炭素繊維不織布の厚さは特に制限されず、炭素繊維不織布を用いて製造される複合材料の構造、用途等に応じて選択できる。例えば、炭素繊維不織布の厚さムラを抑制する観点からは5mm〜100mmであることが好ましい。炭素繊維不織布は1枚のみでも、2枚以上を積層したものであってもよい。炭素繊維不織布が2枚以上を積層したものである場合、上記の厚さは2枚以上の炭素繊維不織布の厚さの合計値である。
(第二の態様)
本実施形態の第二の態様は、集束体を形成している炭素繊維と、集束体を形成していない炭素繊維と、を含む炭素繊維不織布である。
本発明者らの検討により、集束体を形成している炭素繊維と、集束体を形成していない炭素繊維と、を含む炭素繊維不織布を用いて製造した複合材料は、集束体を形成している炭素繊維のみから形成される炭素繊維不織布を用いて製造した複合材料よりも強度に優れることがわかった。その理由は明らかではないが、集束体を形成している炭素繊維と、集束体を形成していない炭素繊維を含むほうが、集束体を形成している炭素繊維のみから形成される場合に比べて炭素繊維間に注入される樹脂とのなじみがよく、密着性が良好であるためと推測される。また、集束体を形成していない炭素繊維は、炭素繊維同士が固着された束状になっておらず、炭素繊維の単繊維一本一本が開繊され、独立して存在するため、炭素繊維同士が複雑に絡み合うことなく、より均一な炭素繊維不織布を作製することができる。
さらに、本発明者らの検討により、集束体を形成している炭素繊維と、集束体を形成していない炭素繊維の両方を含む炭素繊維不織布を用いて製造した複合材料は、集束体を形成していない炭素繊維のみから形成される炭素繊維不織布を用いて製造した複合材料よりも曲げ強度と曲げ弾性率が良好であることがわかった。
本明細書において炭素繊維が「集束体を形成していない」とは、炭素繊維が集束体を形成せず、独立した単繊維として存在していることを意味する。「集束体を形成していない炭素繊維」には、完全に集束体を形成していない炭素繊維と、部分的に集束体を形成していない炭素繊維の両方が含まれる。
本明細書において「集束体を形成している炭素繊維」は、「集束体を形成していない炭素繊維」に該当しない、すなわち集束体を形成していない部分が存在しない炭素繊維を意味する。
集束体を形成していない炭素繊維を得る方法としては、例えば、有機物が消失する温度以上の温度で炭素繊維又は複合材料を熱処理する方法(例えば、特開2013−237716号公報参照)、有機物を分解しうる処理液に炭素繊維又は複合材料を接触させる方法(例えば、特開2001−172426号公報参照)等が挙げられる。
炭素繊維に与える損傷が少なく、有機物の残存量も低減できる観点からは、有機溶媒及び分解触媒を含む処理液を用いる方法が好ましい。また、コストの観点からは、プリプレグの工程廃材、CFRPの工程廃材等に含まれる樹脂等の有機物を上記の方法で除去して、炭素繊維を得る方法が好ましい。
炭素繊維不織布に占める「集束体を形成していない炭素繊維」の割合は特に制限されず、炭素繊維不織布の用途等に応じて選択できる。例えば、炭素繊維不織布に含まれる炭素繊維の総質量中に10質量%以上であってよく、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
本実施態様において、炭素繊維の長さ、炭素繊維の太さ、及び炭素繊維不織布の厚さは特に制限されず、これらの好ましい範囲は第一の態様と同様である。
(第三の態様)
本実施形態の第三の態様は、炭素繊維と有機物を含む複合材料からの回収物ではない炭素繊維と、炭素繊維と有機物を含む複合材料からの回収物である炭素繊維と、を含む炭素繊維不織布である。
本発明者らの検討により、炭素繊維と有機物を含む複合材料からの回収物ではない炭素繊維と、炭素繊維と有機物を含む複合材料からの回収物である炭素繊維を含む不織布を用いて製造した複合材料は、炭素繊維と有機物を含む複合材料からの回収物である炭素繊維のみから形成される不織布を用いて製造した複合材料よりも強度に優れることがわかった。その理由は明らかではないが、複合材料からの回収工程において有機物が除去された炭素繊維を含むほうが、有機物が除去されていない炭素繊維のみを含む場合に比べて炭素繊維間に注入される樹脂とのなじみがよく、密着性が良好であるためと推測される。
さらに、本発明者らの検討により、炭素繊維と有機物を含む複合材料からの回収物ではない炭素繊維と、炭素繊維と有機物を含む複合材料からの回収物である炭素繊維の両方を含む炭素繊維不織布を用いて製造した複合材料は、炭素繊維と有機物を含む複合材料からの回収物ではない炭素繊維のみから形成される炭素繊維不織布を用いて製造した複合材料よりも曲げ強度と曲げ弾性率が良好であることがわかった。
本明細書において炭素繊維が「炭素繊維と有機物を含む複合材料からの回収物である炭素繊維を含む」か否かを判断する方法は、特に制限されない。例えば、炭素繊維が完全に又は部分的に集束体を形成していない場合は、当該炭素繊維は「炭素繊維と有機物を含む複合材料からの回収物」であると判断できる。これは、炭素繊維を複合材料から回収する際に、炭素繊維に付着していた表面処理剤等の有機物が除去され、炭素繊維の集束が少なくとも部分的に解けて単繊維が独立した状態となるためである。
本実施態様において、炭素繊維と有機物を含む複合材料からの回収物である炭素繊維を得る方法は、特に制限されない。例えば、有機物が消失する温度以上の温度で炭素繊維又は複合材料を熱処理する方法(例えば、特開2013−237716号公報参照)、有機物を分解しうる処理液に炭素繊維又は複合材料を接触させる方法(例えば、特開2001−172426号公報参照)等が挙げられる。
炭素繊維に与える損傷が少なく、有機物の残存量も低減できる観点からは、有機溶媒及び分解触媒を含む処理液を用いる方法が好ましい。また、コストの観点からは、プリプレグの工程廃材、CFRPの工程廃材等に含まれる樹脂等の有機物を上記の方法で除去して、炭素繊維を得る方法が好ましい。
炭素繊維不織布に占める「炭素繊維と有機物を含む複合材料からの回収物である炭素繊維」の割合は特に制限されず、炭素繊維不織布の用途等に応じて選択できる。例えば、炭素繊維不織布に含まれる炭素繊維の総質量中に10質量%以上であってよく、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
本実施態様において、炭素繊維の長さ、炭素繊維の太さ、及び炭素繊維不織布の厚さは特に制限されず、これらの好ましい範囲は第一の態様と同様である。
炭素繊維不織布は、炭素繊維のみを含んでいても、炭素繊維と樹脂繊維を含んでいてもよい。炭素繊維不織布が樹脂繊維を含む場合は、炭素繊維不織布の作製がより容易になり、取り扱い性が向上する傾向にある。これは、樹脂繊維が炭素繊維とよく絡み、炭素繊維不織布の形状が保持されやすくなるためである。樹脂繊維は1種のみであっても2種以上であってもよい。
炭素繊維不織布が樹脂繊維を含む場合、樹脂繊維の種類は特に制限されず、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂等の合成繊維、レーヨン等の再生繊維等が挙げられる。
特に、樹脂繊維として熱可塑性樹脂の繊維を含む場合は、炭素繊維不織布に別途樹脂を含浸させることなく、炭素繊維不織布を加圧熱プレスして樹脂繊維を溶融させることで複合材料を作製することができる。さらに、複合材料を樹脂トランスファー成形法により作製する場合の取り扱い性と形状追従性も良好となる。
樹脂繊維を構成する熱可塑性樹脂は、特に制限されない。例えば、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン6、ナイロン66、ポリカーボネート、及びポリスチレンが挙げられる。
炭素繊維不織布が樹脂繊維を含有する場合、炭素繊維と樹脂繊維の合計における炭素繊維の割合が20質量%以上99質量%未満(樹脂繊維の割合が1質量%以上80質量%未満)であることが好ましい。炭素繊維の割合が20質量%以上99質量%未満(樹脂繊維の割合が1質量%以上80質量%未満)であると、炭素繊維不織布を用いて作製される複合材料がより高弾性となる傾向にある。
樹脂繊維の合計における炭素繊維の割合は30質量%以上90質量%未満(樹脂繊維の含有量が10質量%以上70質量%未満)であることがより好ましく、35質量%以上80質量%未満(樹脂繊維の割合が20質量%以上65質量%未満)であることが更に好ましい。
<炭素繊維不織布の製造方法>
本実施形態の炭素繊維不織布の製造方法は、処理液に、前記処理液によって分解する有機物と、炭素繊維と、を含む複合材料を接触させる接触工程と、
前記有機物の分解物を含む前記処理液と、前記炭素繊維と、を分離する分離工程と、
前記接触工程及び前記分離工程を経た炭素繊維と、前記接触工程及び前記分離工程を経ない炭素繊維と、を用いて炭素繊維不織布を作製する不織布作製工程と、をこの順に有する。
本明細書において、有機物が「分解する」とは、処理液の作用によって有機物の分子構造が変化し、処理液に取り込まれうる程度の大きさにまで分子が小さくなることをいう。
上記方法が適用可能な複合材料は、本実施形態の方法で使用する処理液によって分解する有機物と、炭素繊維と、を含むものであれば特に制限されない。
複合材料に含まれる有機物としては、例えば、樹脂が挙げられる。有機物が樹脂である場合、熱硬化性樹脂であっても熱可塑性樹脂であってもよい。樹脂は完全に硬化又は固化した状態であっても、完全に硬化又は固化していない状態であってもよい。
有機物が樹脂である場合、その種類は特に制限されず、処理液、処理温度、処理時間等の条件に応じて選択される。処理液による分解の容易性の観点からは、エステル結合を含有する樹脂であることが好ましい。エステル結合を含有する樹脂としては、ポリエステル樹脂(不飽和ポリエステル樹脂又は飽和ポリエステル樹脂)、エステル結合を含有するエポキシ樹脂(酸無水物硬化エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂等)などが挙げられる。複合材料に含まれる有機物は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
処理液は、複合材料に含まれる有機物を分解しうるものであれば特に制限されない。例えば、有機物がエステル結合を含有する樹脂を含む場合は、エステル結合の分解を生じうる処理液を用いることが好ましい。エステル結合の分解を生じうる処理液としては、有機溶媒と分解触媒とを含む処理液が挙げられる。
処理液が有機溶媒を含む場合、有機溶媒の種類は特に制限されない。例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、エーテル系溶媒、アミド系溶媒、及びエステル系溶媒が挙げられる。
アミド系溶媒としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N,N’,N’−テトラメチル尿素、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、カプロラクタム、カルバミド酸エステル等が挙げられる。
アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、 1−ブタノール、2− ブタノール、イソブタノール、tert−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、3−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、イソペンチルアルコール、tert −ペンチルアルコール、3−メチル−2−ブタノール、ネオペンチルアルコール、1−ヘキサノール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、2−エチル−1−ブタノール、1−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、シクロヘキサノール、1−メチルシクロヘキサノール、2−メチルシクロヘキサノール、3−メチルシクロヘキサノール、4−メチルシクロヘキサノール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール(分子量200〜400)、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、グリセリン、ジプロピレングリコール、ベンジルアルコール等が挙げられる。
ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン、4−ヘプタノン、ジイソブチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ホロン、イソホロンアセチルアセトン、アセトフェノン等が挙げられる。
エーテル系溶媒としては、例えば、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジヘキシルエーテル、アニソール、フェネトール、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセタール、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセタール等が挙げられる。
エステル系溶媒としては、ギ酸メチル、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、酢酸ペンチル、酢酸イソペンチル、3−メトキシブチルアセタート、2−エチルブチルアセタート、2−エチルヘキシルアセタート、酢酸シクロヘキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソペンチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸ブチル、酪酸イソペンチル、イソ酪酸イソブチル、イソ吉草酸エチル、イソ吉草酸イソペンチル、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸プロピル、安息香酸ブチル、γ−ブチロラクトン、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジエチル、サリチル酸メチル、エチレングリコールジアセタート、ホウ酸トリブチル、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等が挙げられる。
中でもエステル交換反応によって酸無水物硬化エポキシ樹脂等のエステル結合を有する樹脂を分解する能力が高いことからアルコール系溶媒が好ましく、アルコール系溶媒の中でも水酸基を1個持つモノアルコールは、分解生成物の副反応が少ないことからより好ましい。モノアルコールの中でも、分解能力の観点からはベンジルアルコールが更に好ましい。処理液に含まれる有機溶媒は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。
処理液が分解触媒を含む場合、分解触媒としてはリン酸塩等のアルカリ金属化合物、金属水酸化物等が挙げられる。リン酸塩としてはリン酸三カリウム、リン酸三ルビジウム、リン酸三ナトリウム、リン酸三リチウム等が挙げられる。金属水酸化物としては水酸化ルビジウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等が挙げられる。
中でも有機物を効率よく分解する観点からは金属水酸化物が好ましく、水酸化カリウム又は水酸化ナトリウムであることがより好ましい。処理液に含まれる分解触媒は、1種のみであっても、2種以上であってもよい。処理液が分解触媒を含む場合の分解触媒の濃度は特に制限されない。例えば、0.3mol/L〜1mol/Lの範囲であってもよい。
複合材料に含まれる炭素繊維の方向は特に制限されず、縦横方向に配置されていても、一方向に配置されていても、ランダムな方向に配置されていてもよい。炭素繊維は1種のみであっても、形態等が異なる2種以上であってもよい。
複合材料は、所望の大きさに予め切断してもよい。例えば、炭素繊維が縦横方向に配置されている場合は、炭素繊維の縦横方向に沿って複合材料を正方形に切断することで、長さの等しい炭素繊維を回収することができる。回収される炭素繊維の長さは特に制限されず、作製される炭素繊維不織布の所望の特性に応じて選択できる。
処理液に複合材料を接触させる方法は、特に制限されない。例えば、処理液中に複合材料を浸漬する方法、処理液を複合材料に吹付又は塗布する方法等が挙げられる。処理液によって有機物を効率的に分解し、分解物を処理液中に取り込む観点からは、処理液中に複合材料を浸漬する方法であることが好ましい。
有機物の分解を促進する観点からは、複合材料と接触している処理液が流動していることが好ましい。処理液を流動させる方法としては、例えば、処理液を内部に流入させるための管と流出させるための管を備えた容器内で、処理液を流動させながら複合材料を浸漬する方法が挙げられる。処理液が容器内を流動している場合の方向は特に制限されず、例えば水平方向であっても重力方向であってもよい。
接触工程における処理液の温度は、有機物が分解しうる温度であれば特に制限されない。例えば、50℃〜300℃の範囲であってよく、100℃〜200℃の範囲であることが好ましい。接触工程における処理液の温度は、接触工程の開始から終了まで一定であっても、変化してもよい。
有機物の分解物を含む処理液と、炭素繊維と、を分離する方法は、特に制限されない。例えば、接触工程を容器中で行った場合は、処理液を先に容器から取り出してもよく、炭素繊維を先に容器から取り出してもよい。
分離工程後の有機物の分解物を含む処理液は、そのまま廃棄しても、再利用してもよい。処理液を再利用する場合、処理液からの有機物の分解物その他の成分(分解反応により生じた物質等)の除去、未使用の処理液の追加などの、何らかの処理を必要に応じて実施してもよい。
分離工程後の炭素繊維には、処理液によって分解されなかった有機物が付着していてもよい。この場合、必要に応じて接触工程と分離工程をさらに実施して、有機物を除去してもよい。接触工程と分離工程をさらに実施する場合、その方法は特に制限されず、上述した方法と同じ条件で行っても、条件を変更して行ってもよい。また、接触工程と分離工程をさらに実施する場合の回数は特に制限されない。あるいは、炭素繊維に付着している有機物が消失する温度以上の温度で熱処理を行って除去してもよい。
複合材料は、処理液に分解しない有機物をさらに含んでいてもよい。この場合は、当該有機物を除去するための手段を講じてもよい。例えば、炭素繊維に接触させる処理液の温度を、処理液に分解しない有機物の軟化点以上の温度にして有機物を軟化させて、炭素繊維から分離する方法が挙げられる。この場合、有機物が処理液中に取り込まれた状態で炭素繊維から分離させる観点からは、処理液と炭素繊維とが分離されるまで処理液の温度を有機物の軟化点以上に維持することが好ましい。
処理液による有機物の分解がエステル結合の分解によって行われる場合、処理液に分解しない有機物としては、エステル結合を含有しない樹脂が挙げられる。エステル結合を含有しない樹脂としては、ポリプロピレン、ポリエチレン等のポリオレフィン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂などが挙げられる。
炭素繊維を用いて不織布を作製する工程は特に制限されず、公知の方法により作製できる。必要に応じ、樹脂繊維等の炭素繊維以外の材料を混合してもよい。炭素繊維不織布を作製する工程としては、例えば、炭素繊維をカード機等で開繊する方法が挙げられる。樹脂繊維等を加える場合は、炭素繊維とともに樹脂繊維をカード機に投入し、混綿、開繊することで、炭素繊維と樹脂繊維とを含む不織布を得ることができる。なお、樹脂繊維を加える場合は、炭素繊維と樹脂繊維とができるだけ均一に混合された状態となっていることが好ましい。
<炭素繊維多層布>
本実施形態の炭素繊維多層布は、上述した実施形態の炭素繊維不織布と、少なくとも一方向に配向した炭素繊維シートと、を含む。炭素繊維多層布における炭素繊維不織布と炭素繊維織布の数は特に制限されず、それぞれ独立に1枚でも2枚以上であってもよい。炭素繊維多層布は、必要に応じてその他の部材を有してもよい。
本明細書において「少なくとも一方向に配向した炭素繊維シート」とは、全質量に占める炭素繊維の割合が30質量%である炭素繊維シートであって、炭素繊維の集束体又は単繊維が少なくとも一方向に配向した状態のものを意味する。このような炭素繊維シートとしては、炭素繊維が縦横方向に配置された炭素繊維材料(クロス材)と、炭素繊維が一方向に配置された炭素繊維材料(Unidirectional、UD材)とが挙げられる。少なくとも一方向に配向した炭素繊維シートは強度に優れているため、これを配置することで、炭素繊維不織布のみでは強度が不足する場合も強度を補完することができる。
炭素繊維多層布の構造は特に制限されない。例えば、炭素繊維不織布の一方の面側にのみ少なくとも一方向に配向した炭素繊維シートが配置されてもよく、炭素繊維不織布の両面側に少なくとも一方向に配向した炭素繊維シートが配置されてもよい。必要に応じ、その他の層が配置されてもよい。
炭素繊維多層布の厚さは特に制限されない。例えば、複合材料を作製する際のハンドリング性の観点からは、100mm以下であることが好ましい。
<複合材料>
本実施形態の複合材料は、上述した実施形態の炭素繊維不織布又は炭素繊維多層布と、樹脂と、を含む。複合材料は、必要に応じてその他の成分又はその他の部材を含んでもよい。
複合材料における樹脂の種類は特に制限されず、複合材料の用途等に応じて選択できる。例えば、ポリアミド樹脂、ポリプロピレン樹脂等の熱可塑性樹脂、及びエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。
複合材料における樹脂の状態は特に制限されず、完全に硬化又は固化していても、部分的に硬化又は固化していてもよい。
複合材料の製造方法は特に制限されず、RTM法、オートクレーブ法、プレス法等の公知の方法を採用できる。本実施形態の複合材料は成形性に優れることから、RTM法によって複雑な形状に成形する場合にも適している。
複合材料の用途は特に制限されない。例えば、自動車、飛行機等の車体及び内外装部材、断熱材、並びに電磁波遮蔽フィルム等が挙げられる。
以下、本実施形態を実施例により具体的に説明するが、本実施形態はこの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
下記に示す条件で、複合材料から炭素繊維を分離した。
複合材料としては、エステル結合を含有するエポキシ樹脂と、炭素繊維のクロス材とを含むプリプレグ材(厚さ:0.4mm、樹脂含有率:45質量%)を使用した。処理液としては、ベンジルアルコールと水酸化ナトリウムの混合物(水酸化ナトリウムの濃度:0.5mol/L)を使用した。
(接触工程)
処理液を満たした容器中に、炭素繊維の方向に沿って4cm×4cmの正方形に切断した複合材料を浸漬して、処理液を複合材料に接触させた。容器としては、処理液を流入させるための管を重力方向にみて下部に、処理液を流出させるための管を重力方向にみて上部に備え、処理液が内部を重力方向にみて下から上に流動する構造を有するものを使用した。処理液の温度は、浸漬の開始から2時間を60℃、続く5時間を190℃とした。
(分離工程)
浸漬の開始から7時間後に、処理液を容器内から排出させることで、炭素繊維と処理液とを分離した。分離の際の処理液の温度は60℃とした。分離後の処理液は、エポキシ樹脂の分解物を含んでいた。
分離後の炭素繊維を観察したところ、集束体を形成せずに単繊維が独立した状態の炭素繊維が含まれていた。また、マッフル炉(ヤマト科学株式会社、FP311)を用いて上述した条件で測定した炭素繊維と、当該炭素繊維が有する有機物の総質量に占める有機物の割合は1.3質量%であり、実質的に有機物を有していないことを確認した。
(炭素繊維不織布の作製)
上記で得られた炭素繊維3.5kgと、表面に有機物(サイジング剤)が付着した炭素繊維(東レ株式会社、T700S)2.2kgと、樹脂繊維としてポリプロピレン繊維(JNC製株式会社、RP−270、繊度:6.6Dt、平均繊維長:51mm)4.3kgとを、カード機で開繊し、炭素繊維不織布を得た。なお、炭素繊維不織布の目付けは、200g/mであった。得られた炭素繊維不織布は、立体的な成形にも充分に対応可能な柔軟性を有していた。
(複合材料の作製)
上記で得られた炭素繊維不織布を、目付けが2500g/mになるように複数枚積層した。この積層体を、小型熱プレス機(アズワン株式会社)で、複合材料の仕上がり厚みが2.7mmになるようにスペーサを挟み、43kg/cmの圧力で加圧しながら、200℃で熱プレスすることにより、複合材料を得た。
(強度の評価)
上記で得られた複合材料を、回転カッター(株式会社マキタ)に回転刃(株式会社谷テック)を装着して切断し、幅2.5cm×長さ8cmの大きさの試験片を10枚作製した。各試験片について、JIS K 7171法に準じ、3点曲げにより、曲げ強度と曲げ弾性率を計測した。計測には精密万能試験機(株式会社島津製作所、AUTOGRAPH AG−X 1kN)を使用した。10枚の試験片について得られた測定値の平均は、曲げ強度が251MPa、曲げ弾性率が18GPaであった。
<比較例1>
炭素繊維として、表面に有機物(サイジング剤)が付着した状態の炭素繊維(東レ株式会社、T700S)のみ5.7kgを用いた以外は実施例1と同様にして炭素繊維不織布と複合材料を作製し、強度を評価した。10枚の試験片について得られた測定値の平均は、曲げ強度が190MPa、曲げ弾性率が9GPaとなった。
<比較例2>
炭素繊維として、複合材料から回収した炭素繊維のみ5.7kgを用いた以外は実施例1と同様にして炭素繊維不織布と複合材料を作製し、強度を評価した。10枚の試験片について得られた測定値の平均は、曲げ強度は232MPa、曲げ弾性率は13GPaとなった。
以上の結果より、本実施形態によれば成形性と強度に優れる複合材料を作製できることがわかった。

Claims (8)

  1. 下記(1)〜(3)の少なくとも1つを満たす、炭素繊維不織布。
    (1)有機物を有する炭素繊維と、実質的に有機物を有しない炭素繊維と、を含む。
    (2)集束体を形成している炭素繊維と、集束体を形成していない炭素繊維と、を含む。
    (3)炭素繊維と有機物を含む複合材料からの回収物ではない炭素繊維と、炭素繊維と有機物を含む複合材料からの回収物である炭素繊維と、を含む。
  2. 前記炭素繊維の長さが20mm以上150mm以下である、請求項1に記載の炭素繊維不織布。
  3. さらに樹脂繊維を含む、請求項1又は請求項2に記載の炭素繊維不織布。
  4. 処理液に、前記処理液によって分解する有機物と、炭素繊維と、を含む複合材料を接触させる接触工程と、
    前記有機物の分解物を含む前記処理液と、前記炭素繊維と、を分離する分離工程と、
    前記接触工程及び前記分離工程を経た炭素繊維と、前記接触工程及び前記分離工程を経ない炭素繊維と、を用いて不織布を作製する不織布作製工程と、をこの順に有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の炭素繊維不織布の製造方法。
  5. 前記有機物はエステル結合を含有する樹脂を含む、請求項4に記載の炭素繊維不織布の製造方法。
  6. 前記処理液は有機溶媒と、分解触媒とを含む、請求項4又は請求項5に記載の炭素繊維不織布の製造方法。
  7. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の炭素繊維不織布と、少なくとも一方向に配向した炭素繊維シートと、を含む、炭素繊維多層布。
  8. 請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の炭素繊維不織布又は請求項7に記載の炭素繊維多層布と、樹脂と、を含む、複合材料。
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