JPWO2017146018A1 - ポリアミドエラストマー組成物並びにこれよりなる繊維及び成形体 - Google Patents
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Abstract
ポリアミドエラストマーと亜リン酸化合物とを含み、前記ポリアミドエラストマーが、下記式(1)で表されるジアミン化合物から誘導される構成単位1と、下記式(2)で表されるアミノカルボン酸化合物又は下記式(3)で表されるラクタム化合物から誘導される構成単位2と、下記式(4)で表されるジカルボン酸化合物から誘導される構成単位3とを含み、ポリアミドエラストマーに対する亜リン酸化合物の含有率が0.02質量%以上0.15質量%以下であり、ポリアミドエラストマーの末端アミノ基濃度が2.0×10−5eq/g以上である、ポリアミドエラストマー組成物である。
(xは1〜20の整数、yは4〜50の整数、及びzは1〜20の整数をそれぞれ表し、R1は炭化水素鎖を含む連結基を表し、R2は炭化水素鎖を含む連結基を表し、R3は炭化水素鎖を含む連結基を表し、mは0又は1を表す。)
Description
すなわち、従来から伸縮性のあるポリマーは種々検討されているが、優れた生産安定性と、優れた染色性とを兼ね備えた樹脂組成物は得られていなかった。
[1] ポリアミドエラストマーと亜リン酸化合物とを含むポリアミドエラストマー組成物であり、前記ポリアミドエラストマーが、下記式(1)で表されるジアミン化合物から誘導される構成単位1と、下記式(2)で表されるアミノカルボン酸化合物又は下記式(3)で表されるラクタム化合物から誘導される構成単位2と、下記式(4)で表されるジカルボン酸化合物から誘導される構成単位3とを含み、
前記ポリアミドエラストマーに対する亜リン酸化合物の含有率が0.02質量%以上0.15質量%以下であり、前記ポリアミドエラストマーの末端アミノ基濃度が2.0×10−5eq/g以上である、ポリアミドエラストマー組成物である。
[3] 前記ポリアミドエラストマー組成物からなるポリアミドエラストマー繊維である。
[4] 前記ポリアミドエラストマー組成物からなる衣料用ボタンである。
[5] 前記ポリアミドエラストマー組成物からなる部材を含む衣料用の線ファスナーである。
[7] 上記式(1)で表されるジアミン化合物と、上記式(2)で表されるアミノカルボン酸化合物及び/又は上記式(3)で表されるラクタム化合物と、上記式(4)で表されるジカルボン酸化合物とを、亜リン酸化合物の存在下で溶融重合して、ポリアミドエラストマーを得ることと、得られるポリアミドエラストマーを含む樹脂組成物を溶融紡糸することと、を含む前記ポリアミドエラストマー繊維の製造方法である。
本実施形態のポリアミドエラストマー組成物は、ポリアミドエラストマーと亜リン酸化合物とを含む。前記ポリアミドエラストマーは、下記式(1)で表されるジアミン化合物から誘導される構成単位1と、下記式(2)で表されるアミノカルボン酸化合物又は下記式(3)で表されるラクタム化合物から誘導される構成単位2と、下記式(4)で表されるジカルボン酸化合物から誘導される構成単位3とを含み、末端アミノ基濃度が2.0×10−5eq/g以上である。また前記ポリアミドエラストマー組成物は、ポリアミドエラストマーに対する亜リン酸の含有率が0.02質量%以上0.15質量%以下である。
ポリアミドエラストマーは、上記式(1)で表されるジアミン化合物から誘導される構成単位1の少なくとも1種を含む。上記式(1)で表されるジアミン化合物は、XYX型トリブロックポリエーテルジアミン化合物であり、例えば、ポリ(オキシテトラメチレン)グリコール等の両末端にプロピレンオキシドを付加することによりポリプロピレングリコールとした後、このポリプロピレングリコールの末端にアンモニア等を反応させることによって製造されるポリエーテルジアミン等が挙げられる。
XTJ−533(式(1)において、xがおよそ12、yがおよそ11、zがおよそ11)、
XTJ−536(式(1)において、xがおよそ8.5、yがおよそ17、zがおよそ7.5)、
XTJ−542(式(1)において、xがおよそ3、yがおよそ9、zがおよそ2)、
XTJ−559(式(1)において、xがおよそ3、yがおよそ14、zがおよそ2)
RT−1000(式(1)において、xがおよそ3、yがおよそ9、zがおよそ2)等が挙げられる。
XYX−1(式(1)において、xがおよそ3、yがおよそ14、zがおよそ2)、
XYX−2(式(1)において、xがおよそ5、yがおよそ14、zがおよそ2)、
XYX−3(式(1)において、xがおよそ3、yがおよそ19、zがおよそ2)等も用いることができる。
これらは1種又は2種以上を用いることができる。
−アミノ−1,3,3−トリメチルシクロヘキサンメチルアミン(「イソホロンジアミン」ともいう。)等が挙げられる。また、これらのジアミンはシス体及びトランス体のいずれであってもよく、あるいはこれら異性体の混合物であってもよい。
芳香族ジアミンとしては、例えばm−/p−キシリレンジアミン等が挙げられる。
これらのその他のジアミン化合物は、1種又は2種以上を用いることができる。
ポリアミドエラストマーは、上記式(2)で表されるアミノカルボン酸化合物又は下記式(3)で表されるラクタム化合物から誘導される構成単位2の少なくとも1種を含む。
また、炭素原子数3〜18の脂肪族、又は炭素原子数6〜18の脂環族若しくは芳香族の炭化水素基が好ましく、炭素原子数3〜18のアルキレン基であることがより好ましい。
また、炭素原子数4〜15の脂肪族、又は炭素原子数6〜15の脂環族若しくは芳香族の炭化水素基が好ましく、炭素原子数4〜15のアルキレン基であることがより好ましい。
また、炭素原子数10〜15の脂肪族、又は炭素原子数6〜15の脂環族若しくは芳香族の炭化水素基が好ましく、炭素原子数10〜15のアルキレン基であることがより好ましい。
また、炭素原子数3〜18の脂肪族、又は炭素原子数6〜18の脂環族若しくは芳香族の炭化水素基が好ましく、炭素原子数3〜18のアルキレン基であることがより好ましい。
また、炭素原子数4〜15の脂肪族、又は炭素原子数6〜15の脂環族若しくは芳香族の炭化水素基が好ましく、炭素原子数4〜15のアルキレン基であることがより好ましい。
また、炭素原子数10〜15の脂肪族、又は炭素原子数6〜15の脂環族若しくは芳香族の炭化水素基が好ましく、炭素原子数10〜15のアルキレン基であることがより好ましい。
ポリアミドエラストマーは、上記式(4)で表されるジカルボン酸化合物から誘導される構成単位3の少なくとも1種を含む。
また、炭素原子数1〜15の脂肪族、又は炭素原子数6〜15の脂環族若しくは芳香族の炭化水素基が好ましく、炭素原子数1〜15のアルキレン基であることがより好ましい。
また、炭素原子数2〜12の脂肪族、又は炭素原子数6〜12の脂環族若しくは芳香族の炭化水素基が好ましく、炭素原子数2〜12のアルキレン基であることがより好ましい。
また、炭素原子数4〜10の脂肪族、又は炭素原子数6〜10の脂環族若しくは芳香族の炭化水素基が好ましく、炭素原子数4〜10のアルキレン基であることがより好ましい。
また式(1)で表されるジアミン化合物由来のアミノ残基(その他のジアミン化合物を含有するときはそのアミノ基も含む)と、式(4)で表されるジカルボン酸化合物由来のカルボキシ残基とのモル比が、45/55〜55/45であることが好ましく、47/53〜53/47であることがより好ましく、49/51〜51/49であることがさらに好ましく、50/50であることがさらに好ましい。
を確保する観点から、50〜100質量%が好ましく、80〜100質量%がより好
ましく、90〜100質量%がさらに好ましい。
また、構成単位1aの含有率は、ポリアミドエラストマーを含む組成物の安定した透明性を確保する観点から、ポリアミドエラストマーの総質量中に0.5〜10質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。
酸として、ポリアミドを選択的に加水分解できる臭化水素酸、塩酸などを用いる。
酸の使用量は、ポリアミドエラストマー混合物0.1gに対して、50〜100mlである。
より早く加水分解を促進するため、ポリアミドエラストマー混合物は、例えば凍結粉砕により粉砕してパウダー状で用いる。
加水分解時の温度は、100〜130℃である。
加水分解した後、濾過または遠心分離により不溶物を酸溶液から分離する。
例えばGC/MSの場合であれば、分析機器を島津製作所製GCMS−QP5050A型にて、カラムをUltra ALLOY+−1(MS/HT)(0.25φ×15m、0.15μm)を用い、120−390℃(12℃/min hold)のカラム温度で、注入口温度340℃、インターフェース温度340℃においてキャリアーガスHe 2.0ml/minで導入し、イオン化法(EI法70eV)、測定範囲20−900、注入法スプリット法1:8、注入量1μlにて測定できる。
酸性染料及び含金属酸性染料としては、アゾ系、アントラキノン系、ピラゾロン系、フタロシアニン系、インジゴイド系、トリフェニルメタン系などの染料が挙げられる。染色は、従来公知の染色機及び染色手法が用いられ、特に限定されない。また、染色助剤、均染剤、pH調整剤など、染色性を向上させるための添加剤も用いることができる。
ポリアミドエラストマー組成物は成形体に用いることができる。すなわち、本発明はポリアミドエラストマー組成物からなる成形体を包含する。成形体としては例えば、繊維、衣料用ボタン、衣料用の線ファスナーの構成部材等を挙げることができる。成形体の成形方法は、成形体の種類に応じて通常用いられる方法から適宜選択すればよい。したがって、本発明の好ましい実施態様の一つは、染色されたポリアミドエラストマー成形体である。
本実施形態のポリアミドエラストマー繊維は、ポリアミドエラストマー組成物からなる。ポリアミドエラストマー繊維は例えば、ポリアミドエラストマー組成物を溶融紡糸することで製造することができる。本発明のポリアミドエラストマー組成物は、工業的な溶融紡糸装置においてポリアミドエラストマー繊維として良好に連続的に製造することができる。
ポリアミドエラストマー繊維の断面形状は、丸断面、三角断面、四角断面、多角断面、偏平断面、中空断面など多様な形状を利用することができ、特に限定されない。二成分以上のポリマーを複合化して繊維化することも可能であり、芯鞘型、海島型、サイドバイサイド型、割繊型など多様な形状を利用することができる。
本実施形態の衣料用ボタンは、ポリアミドエラストマー組成物からなる。衣料用ボタンは例えばポリアミドエラストマー組成物を射出成形することで製造することができる。
衣料用ボタン等に代表されるポリアミドエラストマー組成物を使用した射出成形品は、優れた染色性及び染色堅牢性を有することから、ファッション性の良い一般衣料などに好適に用いられる。
本実施形態の衣料用の線ファスナーは、ポリアミドエラストマー組成物からなる部材を含んでなる。ポリアミドエラストマー組成物を用いて成形される線ファスナーを構成する部材としては、線ファスナーの務歯(エレメント)、スライダー、上止、下止等を挙げることができる。線ファスナーの務歯は、それぞれが独立したブロック状であっても、コイル状であってもよい。線ファスナーの部材は例えば、ポリアミドエラストマー組成物を射出成形することで製造することができる。
ポリアミドエラストマー繊維の製造方法は、上記式(1)で表されるジアミン化合物と、上記式(2)で表されるアミノカルボン酸化合物及び/又は上記式(3)で表されるラクタム化合物と、上記式(4)で表されるジカルボン酸化合物とを、亜リン酸の存在下で溶融重合するポリアミドエラストマー製造工程と、得られたポリアミドエラストマーを含む樹脂組成物を溶融紡糸する紡糸工程と、を含む。
ポリアミドエラストマー製造工程は、例えば、特開2011−256464号公報の記載を参照して実施することもできる。
物性測定、評価は次のようにして行った。
1)相対粘度
ポリアミドエラストマーの相対粘度(ηr)は、ISO307に準拠して測定した。すなわち、m−クレゾールに1g/200mlの濃度でポリアミドエラストマーを溶解させ、測定温度25℃で溶液粘度法により相対粘度を求めた。
ポリアミドエラストマー約1gを40mLのフェノール/メタノール混合溶媒(容量比:9/1)に溶解し、得られた試料溶液に指示薬としてチモールブルーを加えて、N/20塩酸で滴定して、末端アミノ基濃度NH2(×10−5eq/g)を測定した。
ポリアミドエラストマー約1gに40mLのベンジルアルコールを加え、窒素ガス雰囲気で加熱溶解し、得られた試料溶液に指示薬としてフェノールフタレインを加えて、N/20水酸化カリウム−エタノール溶液で滴定して、末端カルボキシ基濃度COOH(×10−5eq/g)を測定した。
染色性は、筒編を染色した後の染色液の透過率によって評価した。得られたポリアミドエラストマー繊維を、釜径3.5インチ、ゲージ数20の筒編機にて編成した。この筒編を、センカノールLW−21(センカ株式会社製)2g/L、炭酸ナトリウム2g/Lを加えた80℃の温水にて、30分間精練処理を行った。処理後の筒編を軽く脱水した後、染色を行った。染色液は、Optilan Golden Yellow MF−RC(アークロマジャパン製)0.5%owf、LYOGEN KSE LIQ.(オー・ジー長瀬カラーケミカル株式会社製)2.0%owf、80%酢酸1g/Lの水溶液を1L準備した。この染色液に浴比1:20とした筒編を投入し、95℃、40分間染色処理を行った。筒編を十分に絞って染液を回収し、純水で1Lにメスアップした。メスアップ後の染液を分光光度計にて535nmの波長で透過率を測定した。染色前の染液透過率を100%とし、染色後の染液の透過率を算出した。染色後の染液透過率が高いほど、染料が繊維により多く吸着しているということであり、染色性が良好であると判断した。
染色性評価で作製した筒編サンプルを、JIS L 0844 A−2号に準拠し、洗濯による染色堅牢度を評価した。なお、汚染用の白布は、ナイロン製、及び毛製の2種類を使用した。
ポリアミドエラストマー組成物における、ポリアミドエラストマーに対する亜リン酸化合物の含有率を以下のようにして測定した。
(1)ペレット1g(w)に酸化亜鉛を加え、燃焼灰化させて五酸化リンにする。
(2)得られた五酸化リンを10%硫酸溶液25mlに溶解させる。
(3)溶解させた五酸化リン溶液に、
モリブデン酸アンモニウム溶液(水500mlに濃硫酸150mlを混合し、その中でモリブデン酸アンモニウムを50g溶解させ、水を加え、1000mlにした溶液)を10ml、
0.05%亜硫酸ナトリウム水溶液を5ml、
ハイドロキノン溶液(ハイドロキノン2.5gを水100mlに溶解させ、濃硫酸5mlを加えて、水を加え、500mlにした溶液)を5ml、及び
水を加え、100mlにする。
(4)45分後に分光光度計にて655nmの波長で吸光度を測定する。なお、使用した試薬であらかじめ空試験を行い、試料の吸光度から空試験結果を差し引く。
(5)あらかじめ作成しておいた検量線から、リンの量pを読み取る。
(6)読み取ったリンの量pから、以下の式を用いて、亜リン酸の量aを算出する。
a=p/30.97×82含有率=a/w×100(%)
ポリアミドエラストマー製造工程
攪拌機、温度計、トルクメーター、圧力計、窒素ガス導入口、圧力調整装置及びポリマー取り出し口を備えた容量70リットルの圧力容器に、12−アミノドデカン酸(宇部興産株式会社製)17.54kg、アジピン酸(旭化成株式会社製)0.30kg、XYX型のトリブロックポリエーテルジアミン(HUNTSMAN社製:ELASTAMINE RT−1000)2.09kg、イルガノックス245(BASFジャパン社製)0.06kg、及び亜リン酸(太平化学産業株式会社製)0.004kgを仕込んだ。容器内を十分窒素置換したあと、窒素ガスを200リットル/時間で供給しながら、容器内の圧力を0.05MPaに調整しながら、1時間かけて室温から230℃まで昇温、さらに容器内の圧力を0.05に維持しながら230℃で重合を行った。
攪拌動力のアンペア値(撹拌電流値)を経時記録し、攪拌動力のアンペア値が重合開始時からプラス0.2Aとなった時点を重合終点とした。重合終了後、攪拌停止し、ポリマー取り出し口から溶融状態の無色透明の重合体を紐状に抜出、水冷した後、ペレタイズしてペレットを得た。なお、重合終点は、槽内温度が230℃に到達してから250分後であった。
得られたペレットを従来公知の紡糸方法で溶融紡糸して、ポリアミドエラストマー繊維を得た。即ち、温度設定170℃の40mm単軸押出機を使用し、溶融樹脂を、ギアポンプを用いて50gのガラスビーズ(円形度:0.95、平均粒径100μm)及びろ過径50μmの焼結フィルターを封入した紡糸パックに押出した。その溶融樹脂を、冷却工程、オイリング工程を経て、紡糸速度600m/分、延伸速度1300m/分で巻き取り、140デシテックス/24フィラメントの繊維を得た。
紡糸を12時間連続して実施したところ、ギアポンプと紡糸パックの間に配した樹脂圧力計の12時間後の上昇度(ΔP)が0.5MPaであり、安定した紡糸操業性を示すことが分かった。
実施例1のポリアミドエラストマー製造工程において、亜リン酸の代わりに次亜リン酸ナトリウム(太平化学産業株式会社製)を0.004kg仕込んだ以外は同様にして重合を行い、ペレットを得た。
得られたペレットを実施例1の紡糸工程と同様にして溶融紡糸したところ、紡糸開始3時間から樹脂圧力計が急上昇し、4時間目までに樹脂圧力計の上昇度(ΔP)が10MPaを超えてしまい、押出機破損の恐れがあるために溶融紡糸を中止した。
実施例1のポリアミドエラストマー製造工程において、亜リン酸の仕込み量を下表に示すように変更し、槽内温度230℃到達時点から250分後を重合終点としたこと以外は同様にして重合を行い、ペレットを得た。
その際、重合終点時の攪拌電流値から、重合開始点の攪拌電流値を差し引いて、攪拌電流値の上昇度を確認した。一般的に、重合度が上がれば攪拌電流値も上昇する傾向にあるため、重合度制御の指標として用いられる。その結果を表1に示す。
次いで得られたペレットを用いて、実施例1記載の『紡糸工程』と同様の方法にて紡糸を実施した。
一方、実施例1〜4では、重合度も上がりやすく、生産性が良好であった。特に実施例2は攪拌電流値の上昇が大きく、重合時間の短縮も期待でき良好な結果が得られた。また、実施例1〜4では、溶融紡糸時の樹脂圧力計の上昇値が小さいことに示されるように、溶融紡糸装置の駆動抵抗が上昇することなく、連続的な溶融紡糸を良好に行うことができた。
アミノ末端基量の違いによる染色性を確認した。比較例4は、ポリアミドエラストマー製造工程にて、アジピン酸の添加量を0.39kgとした以外は実施例1に従ってポリアミドエラストマーを得た。実施例5では、実施例1と同様の方法でポリアミドエラストマーを得た。実施例6では、ELASTAMINE RT−1000の添加量を3.00kgとした以外は実施例1に従ってポリアミドエラストマーを得た。更に、上記で得られたポリアミドエラストマーを実施例1の紡糸工程に従って溶融紡糸してポリアミドエラストマー繊維を得た。得られた繊維を用いて筒編を作製し、上記の評価方法に従って、染色性及び染色堅牢性を評価した。評価結果を表2に示す。
実施例1に準じて作成してペレット化したエラストマーを、80℃、24時間の真空乾燥器内でペレット水分率0.1%以下となるように乾燥させた。その乾燥ペレット使用し、射出成型機を用いて、半径10mm、厚さ2mmの衣料用の円形ボタンを作成した。このボタンを、前記染色性評価に準じて染色を行い、透過率評価を行った。その結果、透過率は108%となり、染色性は良好だった。さらに、前記染色堅牢度評価方法に準じて堅牢度評価を行った。洗濯前のボタンから、洗濯後のボタンの色落ち度を目視評価で確認したところ、判定は4級であった。染色性評価及び染色堅牢度評価は、前記試験において筒編をボタンに代えて行った。
実施例4に準じて作成してペレット化したエラストマーを、80℃、24時間の真空乾燥器内でペレット水分率0.1%以下となるように乾燥させた。その乾燥ペレット使用し、射出成型機を用いて、半径10mm、厚さ2mmの衣料用の円形ボタンを作成した。このボタンを、前記染色性評価に準じて染色を行い、透過率評価を行った。その結果、透過率は108%となり、染色性は良好だった。さらに、前記染色堅牢度評価方法に準じて堅牢度評価を行った。洗濯前のボタンから、洗濯後のボタンの色落ち度を目視評価で確認したところ、判定は4級であった。染色性評価及び染色堅牢度評価は、前記試験において筒編をボタンに代えて行った。
実施例6に準じて作成してペレット化したエラストマーを、80℃、24時間の真空乾燥器内でペレット水分率0.1%以下となるように乾燥させた。その乾燥ペレット使用し、射出成型機を用いて、半径10mm、厚さ2mmの衣料用の円形ボタンを作成した。このボタンを、前記染色性評価に準じて染色を行い、透過率評価を行った。その結果、透過率は112%となり、染色性は良好だった。さらに、前記染色堅牢度評価方法に準じて堅牢度評価を行った。洗濯前のボタンから、洗濯後のボタンの色落ち度を目視評価で確認したところ、判定は4級であった。染色性評価及び染色堅牢度評価は、前記試験において筒編をボタンに代えて行った。
実施例1に準じて作成してペレット化したエラストマーを、80℃、24時間の真空乾燥器内でペレット水分率0.1%以下となるように乾燥させた。その乾燥ペレットを使用し、射出成型機を用いて、全長100mmの男性用ズボン用のファスナーエレメントを作成した。このファスナーエレメントを、前記染色性評価に準じて染色を行い、透過率評価を行った。その結果、透過率は108%となり、染色性は良好だった。さらに、前記染色堅牢度評価方法に準じて堅牢度評価を行った。洗濯前のファスナーエレメントから、洗濯後のファスナーエレメントの色落ち度を目視評価で確認したところ、判定は4級であった。染色性評価及び染色堅牢度評価は、前記試験において筒編をファスナーエレメントに代えて行った。
実施例4に準じて作成してペレット化したエラストマーを、80℃、24時間の真空乾燥器内でペレット水分率0.1%以下となるように乾燥させた。その乾燥ペレットを使用し、射出成型機を用いて、全長100mmの男性用ズボン用のファスナーエレメントを作成した。このファスナーエレメントを、前記染色性評価に準じて染色を行い、透過率評価を行った。その結果、透過率は107%となり、染色性は良好だった。さらに、前記染色堅牢度評価方法に準じて堅牢度評価を行った。洗濯前のファスナーエレメントから、洗濯後のファスナーエレメントの色落ち度を目視評価で確認したところ、判定は4級であった。染色性評価及び染色堅牢度評価は、前記試験において筒編をファスナーエレメントに代えて行った。
実施例6に準じて作成してペレット化したエラストマーを、80℃、24時間の真空乾燥器内でペレット水分率0.1%以下となるように乾燥させた。その乾燥ペレットを使用し、射出成型機を用いて、全長100mmの男性用ズボン用のファスナーエレメントを作成した。このファスナーエレメントを、前記染色性評価に準じて染色を行い、透過率評価を行った。その結果、透過率は111%となり、染色性は良好だった。さらに、前記染色堅牢度評価方法に準じて堅牢度評価を行った。洗濯前のファスナーエレメントから、洗濯後のファスナーエレメントの色落ち度を目視評価で確認したところ、判定は4級であった。染色性評価及び染色堅牢度評価は、前記試験において筒編をファスナーエレメントに代えて行った。
本明細書に記載された全ての文献、特許出願、及び技術規格は、個々の文献、特許出願、及び技術規格が参照により取り込まれることが具体的かつ個々に記された場合と同程度に、本明細書に参照により取り込まれる。
Claims (12)
- ポリアミドエラストマーと亜リン酸化合物とを含むポリアミドエラストマー組成物であり、
前記ポリアミドエラストマーが、下記式(1)で表されるジアミン化合物から誘導される構成単位1と、下記式(2)で表されるアミノカルボン酸化合物又は下記式(3)で表されるラクタム化合物から誘導される構成単位2と、下記式(4)で表されるジカルボン酸化合物から誘導される構成単位3とを含み、
前記ポリアミドエラストマーに対する亜リン酸化合物の含有率が0.02質量%以上0.15質量%以下であり、前記ポリアミドエラストマーの末端アミノ基濃度が2.0×10−5eq/g以上であるポリアミドエラストマー組成物。
(式中、xは1〜20の整数、yは4〜50の整数、及びzは1〜20の整数をそれぞれ表し、R1は炭化水素鎖を含む連結基を表し、R2は炭化水素鎖を含む連結基を表し、R3は炭化水素鎖を含む連結基を表し、mは0又は1を表す。) - 前記ポリアミドエラストマーは、前記構成単位2の含有率が5〜85質量%である請求項1に記載のポリアミドエラストマー組成物。
- 亜リン酸化合物が亜リン酸である請求項1又は2に記載のポリアミドエラストマー組成物。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー組成物からなるポリアミドエラストマー成形体。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー組成物からなるポリアミドエラストマー繊維。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー組成物からなる衣料用ボタン。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー組成物からなる部材を含む衣料用の線ファスナー。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー組成物の連続的溶融紡糸のための使用。
- 下記式(1)で表されるジアミン化合物と、下記式(2)で表されるアミノカルボン酸化合物及び/又は下記式(3)で表されるラクタム化合物と、下記式(4)で表されるジカルボン酸化合物とを、亜リン酸化合物の存在下で溶融重合して、ポリアミドエラストマーを得ることと、
得られるポリアミドエラストマーを含む樹脂組成物を溶融紡糸することと、
を含む請求項4に記載のポリアミドエラストマー繊維の製造方法。
(式中、xは1〜20の整数、yは4〜50の整数、及びzは1〜20の整数をそれぞれ表し、R1は炭化水素鎖を含む連結基を表し、R2は炭化水素鎖を含む連結基を表し、R3は炭化水素鎖を含む連結基を表し、mは0又は1を表す。) - ポリアミドエラストマーに対する亜リン酸化合物の含有率が0.02質量%以上0.15質量%以下である、請求項9に記載のポリアミドエラストマー繊維の製造方法。
- 亜リン酸化合物が亜リン酸である請求項9又は10に記載のポリアミドエラストマー繊維の製造方法。
- 前記ポリアミドエラストマーの末端アミノ基濃度が2.0×10−5eq/g以上である請求項9〜11のいずれか1項に記載のポリアミドエラストマー繊維の製造方法。
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