JPWO2017141761A1 - 回転電機のステータ、これを用いた回転電機、および回転電機のステータの製造方法 - Google Patents
回転電機のステータ、これを用いた回転電機、および回転電機のステータの製造方法 Download PDFInfo
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Abstract
Description
このステータでは、バックヨーク部同士が折り曲げ可能に連結することで、各磁極片にコイルを切断せずに連続して巻き付けることで、巻線端末部の接続回数を削減して、製作コストを低減できる。
実施の形態1は、磁極片と継鉄片とから構成される回転電機のステータ、および打ち抜き工程と、巻線工程と、コア閉じ工程とを備える回転電機のステータの製造方法に関するものである。
実施の形態1では、各4個の磁極片2と継鉄片3とから構成される回転電機のステータ1を例として説明する。
磁極片2は、薄板の電磁鋼板を軸方向に沿って複数枚積層する構造である。磁極片2は、積層方向に対して垂直方向に延びるバックヨーク部4Aとバックヨーク部4Aからステータ径方向内側に向けて突出したティース部5を有する。
継鉄片3は、薄板の電磁鋼板を軸方向に沿って複数枚積層する構造である。継鉄片3は、積層方向に対して垂直方向に延びるバックヨーク部4Bだけを有する。
なお、磁極片2のバックヨーク部を4A、継鉄片3バックヨーク部を4Bと区別しているが、特に区別する必要がない場合は、適宜バックヨーク部4と記載する。
すなわち、回転電機のステータ1は、環状に配置された複数個の磁極片2と継鉄片3とを備え、磁極片2は、環状の外周部に沿って配置されたバックヨーク部4Aと、バックヨーク部4Aから環状の中心方向に伸長するティース部5とを有している。継鉄片3は、環状の外周部に沿って配置されたバックヨーク部4Bのみを有している。
インシュレータ9が磁極片2のティース部5の周りを覆っており、コイル10がインシュレータ9の周りに巻かれている。
なお、ここでは環状と表現したが、図1の断面図からも明らかなように、ここでいう環状とは、断面が完全な円形である環状のみに限るものではない。例えば、略4角形、略6角形、略8角形、および、その他の多角形等で広く環状である場合を含む概念である。
また、図1において、矢印Hは磁束が流れる方向を示している。他の図においても、同様に矢印Hは磁束が流れる方向を示している。
図2は回転電機のステータ1のために、帯状の電磁鋼板31から鋼板片32を板取りする場合の板取図である。
また、図2において、矢印Jは電磁鋼板31の送り方向を示している。他の図においても、同様に矢印Jは電磁鋼板31の送り方向を示している。なお、電磁鋼板31の送り方向Jと電磁鋼板31の圧延方向Jは一致している。
鋼板片32は、磁極片2および継鉄片3から成り、磁極片2のバックヨーク部4Aの長手方向と継鉄片3のバックヨーク部4Bの長手方向が一致している。鋼板片32の長手方向、すなわち磁極片2と継鉄片3とのバックヨーク部4A、4Bの長手方向が、電磁鋼板31の送り方向Jと一致しており、電磁鋼板31の送り方向Jに対して垂直方向に、鋼板片32が2個並列に配置されている。
このとき、二つの鋼板片32は、両鋼板片32が有するティース部5が対向するように配置されるとともに、一方の鋼板片32のティース部5とティース部5の間に、もう一方の鋼板片32のティース部5が収まるようにして、並列配置される。
その後、絶縁材から成るインシュレータ9が、磁極片2のティース部5の外周に一体成型される。
なお、図2において、A0は、斜線部の面積、即ち1つの鋼板片32の面積である。
図3は回転電機のステータ1を形成する場合、自動巻線機21を使用して行う巻線作業の説明図である。図3(a)は、巻線作業中の磁極片2、継鉄片3および自動巻線機21の上面図である。図3(b)は、図3(a)のX−X’断面図である。
なお、巻線状態を分かり易くするために、4個の磁極片2のティース部5にコイル10を巻き付けた状態を示し、巻線が施されたティース部5は断面を示している。
以降の説明を分かり易くするために、図3(a)において、左端の磁極片2を第1の磁極片2、順次第2の磁極片2、第3の磁極片2、そして右端の磁極片2を第4の磁極片2と記載する。
磁極片2のバックヨーク部4Aの長手方向と継鉄片3のバックヨーク部4Bの長手方向が一致する形態でベース部24の軸方向端面に設置される。図3(b)に示されているように、継鉄片3の径方向外側の端面とベース部24とを面接触させることで位置決めさせる。押さえ板25は、継鉄片3のバックヨーク部4Bをベース部24に軸方向に板挟みして固定するためのものである。押さえ板25とベース部24とで、継鉄片3のバックヨーク部4Bを挟み込んで、ネジ26で固定される。
図4は、巻線作業終了後の各4個の磁極片2および継鉄片3を、巻線作業時の直線形状から環状に折り曲げて変形させているときの図である。各磁極片2のティース部5の自由端側の先端部を芯金30に順次押し当て、磁極片2および継鉄片3を巻線時の直線形状から環状に折り曲げていく。
環状に閉じる際に突き合わされる磁極片2と継鉄片3の端面には、それぞれ結合凸部7と結合凹部8が形成されており、周方向からの挿入により両端面が嵌合される。嵌合後、結合凸部7と結合凹部8との嵌合部の外周側から、例えばTIG(tungsten inert gas)溶接のような溶接手段によって突き合わせた端面同士を結合して一体化する。これで、コア閉じ作業が終了し、回転電機のステータ1が完成する。
結合凸部7と結合凹部8とを突き合わせ面に設けることで、突き合わせたときの半径方向のガタを抑制でき、内径真円度を向上できる。
図5は比較例の回転電機のステータ101の構成を示す断面図である。回転電機のステータ101は、4個の磁極片102のみを有する。磁極片102は、薄板の電磁鋼板を軸方向に沿って複数枚積層する構造であり、積層方向に対して垂直方向に延びるバックヨーク部104とバックヨーク部104から環状の中心方向に伸長するティース部105を有する。コイル110がティース部105を覆っているインシュレータの周りに巻かれている。磁極片102は、互いに隣接するバックヨーク部104の外周の薄肉部106により折り曲げ可能に連結されている。
なお、図5において、矢印Hは磁束が流れる方向を示している。
図2で説明した回転電機のステータ1と同様に、二つの鋼板片132は、両鋼板片132が有するティース部105が対向するように配置される。そして、一方の鋼板片132のティース部105とティース部105の間に、もう一方の鋼板片132のティース部105が収まるようにして、二つの鋼板片132は並列配置されて、打ち抜かれる。
なお、図6において、B0は、斜線部の面積、即ち1つの鋼板片132の面積である。
図2に示す実施の形態1の回転電機のステータ1の板取り配置では、鋼板片32の面積をA0とすると、材料使用率(2A0/(L1×L2))は37.8%である。
これに対して、図6に示す比較例の回転電機のステータ101の板取り配置では、鋼板片132の面積をB0とすると、材料使用率(2B0/(L3×L4))は36.7%である。
このように、磁極片2と継鉄片3とから構成される実施の形態1の回転電機のステータ1の方が、磁極片102のみから構成される比較例の回転電機のステータ101に比較して、高い材料使用率が得られる。
この理由は、図2の板取り配置では、図6の板取り配置と比較して、磁極片2と継鉄片3の各バックヨーク部4A、4Bの長手方向が電磁鋼板31の圧延方向Jに一致する量が大きいからである。
これに対して、図6に示した比較例の回転電機のステータ101の板取り配置では、図5の磁極片102のバックヨーク部104を流れる磁束の内磁束の方向が電磁鋼板31の圧延方向Jと一致している量は、回転電機のステータ1の場合に比較して少ない。
一般的に、圧延方向とこれに直交する方向では、圧延方向の方が磁気抵抗は小さく、鉄損を低減することができる。このため、実施の形態1の回転電機のステータ1の板取り配置の方が、比較例の回転電機のステータ101の板取り配置に比較して、良好な磁気特性の磁極片2および継鉄片3が得られる。
磁極片102のティース部105に巻線作業しているとき、磁極片102のティース部5のバックヨーク部104側に巻線しようとすると、フライヤ23の旋回面Qとバックヨーク部104が干渉する。このため、フライヤ23だけを用いてこの部位に巻線することは難しい。
これに対して、実施の形態1の回転電機のステータ1では、図3で明らかなように磁極片2のティース部5に巻線作業をする時、継鉄片3のバックヨーク部4Bはフライヤ23の旋回面Qよりも外側に位置している。このため、継鉄片3のバックヨーク部4Bがフライヤ23に干渉することを確実に避けることができる。これにより、磁極片2のティース部5のバックヨーク部4A側への整列巻きが容易にでき、かつ高速巻線が可能となる。
図8は、回転電機のステータ1を構成する磁極片2のバックヨーク部4Aと継鉄片3バックヨーク部4Bの周方向の長さ、つまり継ぎ目11の間隔が異なっている場合を示している。ここで、図8(a)は回転電機のステータ1の構成を示す断面であり、図8(b)は巻線時の配置形状を示している。
図8(a)において、磁極片2の両端の継ぎ目11と中心軸により形成される角度はθ1であり、継鉄片3の両端の継ぎ目11と中心軸により形成される角度はθ2である。ここで、磁極片2と継鉄片3は、θ1>θ2となるように配置されている。
このため、図8(b)に示すように、インシュレータ9のバックヨーク側の背面に磁極片2のバックヨーク部4Aが存在する。したがって、磁極片2のバックヨーク部4Aの長手方向と継鉄片3のバックヨーク部4Bの長手方向が一致するように配置して、磁極片2のティース部5にコイルを巻き付ける際、インシュレータ9のバックヨーク側への倒れを抑制できる。
図9(a)において、磁極片2の両端の継ぎ目11と中心軸により形成される角度はθ3であり、継鉄片3の両端の継ぎ目11と中心軸により形成される角度はθ4である。ここで、磁極片2と継鉄片3は、θ3=θ4となるように配置されている。
このため、図9(b)に示すように、インシュレータ9のバックヨーク側の背面の一部には磁極片2のバックヨーク部4Aが存在しない。したがって、磁極片2のバックヨーク部4Aの長手方向と継鉄片3のバックヨーク部4Bの長手方向が一致するように配置して、磁極片2のティース部5にコイルを巻き付ける際、背面にバックヨーク部4Aがない部分では、インシュレータ9のバックヨーク側への倒れが生じる。
なお、本実施の形態1の回転電機のステータの製造方法は、磁極片2と継鉄片3とから構成される回転電機のステータ1の製造方法であって、以下のステップ1(S01)からステップ3(S03)の工程から成るものである。
以上は、磁極片2と継鉄片3とは薄板の電磁鋼板を軸方向に沿って複数枚積層する構造であることを想定して説明した。しかし、磁極片2は継鉄片3とは、ブロックであってもよい。
以上は、磁極片と継鉄片の数が同数である場合、すなわち、磁極片と継鉄片とが交互に環状に配置されている場合についての説明であった。しかし、図11に示したように、磁極片72と磁極片72との間に継鉄片73が複数個存在する箇所がある場合、すなわち、磁極片に対し継鉄片の数が多い場合でも、バックヨーク部が巻線機のフライヤに干渉することを避けることができる。
上記に示した説明から、少なくとも一つの隣接する磁極片間に少なくとも継鉄片を有する構成とすれば、一つの隣接する磁極片間に継鉄片を有する部分については、巻線時にフライヤの旋回面から離すことができるため、バックヨーク部が巻線機のフライヤに干渉することを避けることができる。
このため、実施の形態1の回転電機のステータおよびその製造方法は、ティース部間のスペースを広く取り、バックヨーク部が巻線機のフライヤに干渉することを避けることができる。
実施の形態2の回転電機のステータ、およびその製造方法は、2台の自動巻線機を使用して二つの磁極片のティース部に同時に巻線作業を行うものである。
図13においても、説明を分かり易くするために、左端の磁極片2を第1の磁極片2、順次第2の磁極片2、第3の磁極片2、そして右端の磁極片2を第4の磁極片2と記載する。
2台の自動巻線機21を使用することで、巻線作業の時間は実施の形態1と比べて大幅に短縮される。
実施の形態3は、実施の形態1の回転電機のステータのバックヨーク部外周の薄肉部に替わる連結手段として、磁極片と継鉄片に設けた凸部と凹部とで行う構造の回転電機のステータに関するものである。
図15(a)は、実施の形態3の回転電機のステータの構成を示す断面図、図15(b)は、図15(a)のY−Y’断面図である。
図15において、実施の形態1の図1と同一あるいは相当部分は、同一の符号を付している。
なお、実施の形態1の回転電機のステータ1と区別するために、回転電機のステータ51、磁極片52、継鉄片53、各バックヨーク部54A、54B、ティース部55としている。
実施の形態3の回転電機のステータ51では、図15(b)に示すように磁極片52と継鉄片53は、互いに隣接する周方向端部に凸部57と凹部58とを設けている。この凸部57と凹部58とを積層方向に互いにカシメ止めして、折り曲げ可能に連結する連結手段を構成している。
このため、実施の形態3の回転電機のステータは、ティース部間のスペースを広く取り、バックヨーク部が巻線機のフライヤに干渉することを避けることができる。さらに、回転電機のステータの製造の生産性および機械的な精度を向上させることができる。
実施の形態4は、実施の形態1の回転電機のステータよりも磁極片および継鉄片の数を増やして、多極化した構造の回転電機のステータに関するものである。
図16において、実施の形態1の図1と同一あるいは相当部分は、同一の符号を付している。
なお、実施の形態1の回転電機のステータ1と区別するために、回転電機のステータ61、磁極片62、継鉄片63、各バックヨーク部64A、64B、ティース部65としている。
磁極片2のティース部5の数を増やし多極化することで、回転電機に生じるトルクリップルを低減できる。
実施の形態5は、実施の形態1の回転電機のステータを用いた回転電機に関するものである。
図17において、実施の形態1の図1と同一あるいは相当部分は、同一の符番号を付している。
回転電機201は、ステータ1に設けられたコイル10に電流を流して磁界を発生させ、ロータ202を回転させることで必要な回転力が得られる構造となっている。このように構成された回転電機201は、ステータ1のティース部5間のスペースを広く取り、バックヨーク部4A、4Bが巻線機のフライヤに干渉することを避けることができる。したがって、ステータ1に対して、効率的にコイル10を巻回すことが可能であり、回転電機201の生産性を上げることができる。
また、ここでは、磁極片と継鉄片の数が同数である場合について説明したが、実施の形態1の図11に示したように、磁極片に対し継鉄片の数が多い場合、または、図12に示したように、磁極片に対し継鉄片の数が少ない場合であってもよい。
さらに、実施の形態3、4で説明した回転電機のステータを使用することもできる。
Claims (8)
- 環状に配置された複数個の磁極片と継鉄片とを備え、
前記磁極片は、前記環状の外周部に沿って配置されたバックヨーク部と、前記バックヨーク部から前記環状の中心方向に伸長するティース部とを有し、
前記継鉄片は、前記環状の外周部に沿って配置されたバックヨーク部のみを有し、
少なくとも一対の隣接する前記磁極片間に少なくとも一つの前記継鉄片を有し、前記一対の磁極片と前記一対の磁極片間の前記継鉄片とが折り曲げ可能に連結されている回転電機のステータ。 - 前記磁極片の前記バックヨーク部の長手方向の両端面が中心軸に対して形成する角度は、前記継鉄片の前記バックヨーク部の長手方向の両端面が中心軸に対して形成する角度より大きい請求項1に記載の回転電機のステータ。
- 前記環状に結合するための前記磁極片と前記継鉄片は、前記磁極片および前記継鉄片の一方の端面には結合凹部を他方の端面には結合凸部を設けた請求項1または請求項2に記載の回転電機のステータ。
- 前記磁極片と前記継鉄片とを折り曲げ可能に連結するために、前記磁極片の前記バックヨーク部および前記継鉄片の前記バックヨーク部の外周に薄肉部を設けた請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転電機のステータ。
- 前記磁極片と前記継鉄片とが軸方向に沿って薄板を積層して形成され、前記磁極片と前記継鉄片とを折り曲げ可能に連結するために、前記磁極片および前記継鉄片の周方向端部に軸方向に互いに嵌合する凸部と凹部とを設けた請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転電機のステータ。
- 環状に配置された複数個の磁極片と継鉄片とを備え、前記磁極片は、前記環状の外周部に沿って配置されたバックヨーク部と、前記バックヨーク部から前記環状の中心方向に伸長するティース部とを有し、前記継鉄片は、前記環状の外周部に沿って配置されたバックヨーク部のみを有し、前記磁極片と前記継鉄片は交互に環状に配置されている回転電機のステータにおいて、
前記磁極片の前記バックヨーク部の長手方向と前記継鉄片の前記バックヨーク部の長手方向が電磁鋼板の圧延方向に一致するように前記磁極片と前記継鉄片とを折り曲げ可能に連結して打ち抜き、軸方向に積層して固定する打ち抜き工程と、
前記ティース部にコイルを巻き付ける巻線工程と、
前記ティース部に前記コイルが巻き付けられた前記磁極片と前記継鉄片を環状に折り曲げて、付き合わされる端面を結合し、一体化するコア閉じ工程と、
とから成る回転電機のステータの製造方法。 - 前記巻線工程において、複数の自動巻線機を用いて複数個の前記ティース部に同時に前記コイルを巻き付ける請求項6に記載の回転電機のステータの製造方法。
- 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の回転電機のステータと前記回転電機のステータ内に回転可能に設けられたロータとを備えた回転電機。
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