JPWO2017141761A1 - 回転電機のステータ、これを用いた回転電機、および回転電機のステータの製造方法 - Google Patents

回転電機のステータ、これを用いた回転電機、および回転電機のステータの製造方法 Download PDF

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Abstract

環状に配置された複数個の磁極片(2)と継鉄片(3)とを備え、磁極片(2)は、環状の外周部に沿って配置されたバックヨーク部(4A)と、バックヨーク部(4A)から環状の中心方向に伸長するティース部(5)とを有し、継鉄片(3)は、環状の外周部に沿って配置されたバックヨーク部(4B)のみを有し、磁極片(2)と継鉄片(3)は交互に環状に配置されており、互いに隣接するバックヨーク部(4A、4B)の端部において、折り曲げ可能に連結されている。

Description

この発明は、回転電機のステータ、これを用いた回転電機、および回転電機のステータの製造方法に関するものである。
回転電機のステータには、プレス等で打ち抜かれた薄板状の珪素鋼板を複数枚積層して、カシメや溶接等により一体化した構造の積層鉄心が使用されている。そして、ステータに巻線を高密度に巻くことで、回転電機の高効率化や大容量化、さらに小形化を図ることができる。作業性を向上させるため、ステータ鉄心を複数個に分割化した分割鉄心が採用されている。例えば、バックヨーク部同士が折り曲げ可能に連結されており、2個のユニットコアを1組として連続して巻線を施し、これを3組環状に配置されたステータが開示されている(例えば、特許文献1参照)。
このステータでは、バックヨーク部同士が折り曲げ可能に連結することで、各磁極片にコイルを切断せずに連続して巻き付けることで、巻線端末部の接続回数を削減して、製作コストを低減できる。
特開2010−246352号公報(段落[0011]、[0012]および図1、2)
しかし、特許文献1開示発明を例えば4ティースのステータに適用して、各磁極片を環状に配置した場合、バックヨーク部が円弧形状になり、ティース部に巻線する際に、巻線機の作動範囲がバックヨーク部で制約を受ける。このため、さらに高い占積率が要求される回転電機においては、巻線作業に工夫が必要であった。
この発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、ティース部間のスペースを広く取ることができる回転電機のステータ、これを用いた回転電機、および回転電機のステータの製造方法を提供することを目的とする。
この発明に係る回転電機のステータは、環状に配置された複数個の磁極片と継鉄片とを備え、磁極片は、環状の外周部に沿って配置されたバックヨーク部と、バックヨーク部から環状の中心方向に伸長するティース部を有し、継鉄片は、環状の外周部に沿って配置されたバックヨーク部のみを有し、少なくとも一対の隣接する磁極片間に少なくとも一つの継鉄片を有し、一対の磁極片と一対の磁極片間の継鉄片とが折り曲げ可能に連結されているものである。
この発明に係る回転電機は、上記回転電機のステータと回転電機のステータ内に回転可能に設けられたロータとを備えたものである。
この発明に係る回転電機のステータの製造方法は、環状に配置された複数個の磁極片と継鉄片とを備え、磁極片は環状の外周部に沿って配置されたバックヨーク部と、バックヨーク部から環状の中心方向に伸長するティース部とを有し、継鉄片は環状の外周部に沿って配置されたバックヨーク部のみを有し、磁極片と継鉄片は交互に環状に配置されている回転電機のステータにおいて、磁極片のバックヨーク部の長手方向と継鉄片のバックヨーク部の長手方向が電磁鋼板の圧延方向に一致するように磁極片と継鉄片とを折り曲げ可能に連結して打ち抜き、軸方向に積層して固定する打ち抜き工程と、ティース部にコイルを巻き付ける巻線工程と、ティース部にコイルが巻き付けられた磁極片と継鉄片を環状に折り曲げて、付き合わされる端面を結合し、一体化するコア閉じ工程と、とから成るものである。
この発明に係る回転電機のステータによれば、バックヨーク部とティース部を有する磁極片とバックヨーク部のみを有する継鉄片とから構成されるため、ティース部間のスペースを広く取ることができる。
この発明に係る回転電機によれば、バックヨーク部とティース部を有する磁極片とバックヨーク部のみを有する継鉄片とから構成される回転電機のステータを用いているため、ティース部間のスペースを広く取ることができる。
この発明に係る回転電機のステータの製造方法によれば、バックヨーク部とティース部を有する磁極片とバックヨーク部のみを有する継鉄片とから構成されるため、ティース部間のスペースを広く取ることができる。
この発明の実施の形態1に係る電動機の回転電機のステータの構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態1の回転電機のステータに係る磁極片、継鉄片の板取図である。 この発明の実施の形態1の回転電機のステータに係る巻線作業の説明図である。 この発明の実施の形態1の回転電機のステータに係る連結時の嵌合説明図である。 この発明の実施の形態1の回転電機のステータに係る比較例の構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態1の回転電機のステータに係る比較例の磁極片の板取図である。 この発明の実施の形態1の回転電機のステータに係る比較例の巻線作業の説明図である。 この発明の実施の形態1の回転電機のステータに係る磁極片と継鉄片との関係説明図である。 この発明の実施の形態1の回転電機のステータに係る磁極片と継鉄片との関係説明図である。 この発明の実施の形態1の回転電機のステータの製造方法に係るフローチャートである。 この発明の実施の形態1の回転電機のステータに係る他の構成例を示す断面図である。 この発明の実施の形態1の回転電機のステータに係る他の構成例を示す断面図である。 この発明の実施の形態2の回転電機のステータに係る巻線作業の説明図である。 この発明の実施の形態2の回転電機のステータに係る比較例の巻線作業の説明図である。 この発明の実施の形態3の回転電機のステータに係る連結手段の説明図である。 この発明の実施の形態4の回転電機のステータに係る構成を示す断面図である。 この発明の実施の形態5の回転電機の構成を示す断面図である。
実施の形態1.
実施の形態1は、磁極片と継鉄片とから構成される回転電機のステータ、および打ち抜き工程と、巻線工程と、コア閉じ工程とを備える回転電機のステータの製造方法に関するものである。
以下、本願発明の実施の形態1に係る回転電機のステータの構成、および回転電機のステータの製造方法について、回転電機のステータの構成を示す断面図である図1、磁極片、継鉄片の板取図である図2、巻線作業の説明図である図3、連結時の嵌合説明図である図4、比較例の構成を示す断面図である図5、比較例の磁極片の板取図である図6、比較例の巻線作業の説明図である図7、磁極片と継鉄片との関係説明図である図8〜図9、回転電機のステータの製造方法に係るフローチャートである図10、および回転電機のステータの他の構成例の断面図である図11〜図12に基づいて説明する。
まず、実施の形態1の回転電機のステータ構成を図1に基づいて説明する。図1は、回転電機のステータ1の構成を示す断面図である。
実施の形態1では、各4個の磁極片2と継鉄片3とから構成される回転電機のステータ1を例として説明する。
磁極片2は、薄板の電磁鋼板を軸方向に沿って複数枚積層する構造である。磁極片2は、積層方向に対して垂直方向に延びるバックヨーク部4Aとバックヨーク部4Aからステータ径方向内側に向けて突出したティース部5を有する。
継鉄片3は、薄板の電磁鋼板を軸方向に沿って複数枚積層する構造である。継鉄片3は、積層方向に対して垂直方向に延びるバックヨーク部4Bだけを有する。
なお、磁極片2のバックヨーク部を4A、継鉄片3バックヨーク部を4Bと区別しているが、特に区別する必要がない場合は、適宜バックヨーク部4と記載する。
磁極片2と継鉄片3は交互に環状に配置されており、互いに隣接するバックヨーク部4Aおよび4Bの外周の薄肉部6により折り曲げ可能に連結されている。ただし、互いに隣接するバックヨーク部4A、4Bのうち、1カ所だけは連結されておらず、一方に結合凸部7、もう一方に結合凹部8を設けて、お互いに突き合わされている。
すなわち、回転電機のステータ1は、環状に配置された複数個の磁極片2と継鉄片3とを備え、磁極片2は、環状の外周部に沿って配置されたバックヨーク部4Aと、バックヨーク部4Aから環状の中心方向に伸長するティース部5とを有している。継鉄片3は、環状の外周部に沿って配置されたバックヨーク部4Bのみを有している。
インシュレータ9が磁極片2のティース部5の周りを覆っており、コイル10がインシュレータ9の周りに巻かれている。
なお、ここでは環状と表現したが、図1の断面図からも明らかなように、ここでいう環状とは、断面が完全な円形である環状のみに限るものではない。例えば、略4角形、略6角形、略8角形、および、その他の多角形等で広く環状である場合を含む概念である。
また、図1において、矢印Hは磁束が流れる方向を示している。他の図においても、同様に矢印Hは磁束が流れる方向を示している。
次に回転電機のステータ1に係る磁極片2および継鉄片3を電磁鋼板31から製作するための板取および打ち抜きについて説明する。
図2は回転電機のステータ1のために、帯状の電磁鋼板31から鋼板片32を板取りする場合の板取図である。
また、図2において、矢印Jは電磁鋼板31の送り方向を示している。他の図においても、同様に矢印Jは電磁鋼板31の送り方向を示している。なお、電磁鋼板31の送り方向Jと電磁鋼板31の圧延方向Jは一致している。
鋼板片32は、磁極片2および継鉄片3から成り、磁極片2のバックヨーク部4Aの長手方向と継鉄片3のバックヨーク部4Bの長手方向が一致している。鋼板片32の長手方向、すなわち磁極片2と継鉄片3とのバックヨーク部4A、4Bの長手方向が、電磁鋼板31の送り方向Jと一致しており、電磁鋼板31の送り方向Jに対して垂直方向に、鋼板片32が2個並列に配置されている。
このとき、二つの鋼板片32は、両鋼板片32が有するティース部5が対向するように配置されるとともに、一方の鋼板片32のティース部5とティース部5の間に、もう一方の鋼板片32のティース部5が収まるようにして、並列配置される。
図2に示されているように、電磁鋼板31上に配置された2つの鋼板片32が打ち抜かれる。帯状の電磁鋼板31から打ち抜かれた鋼板片32は、自動的に所定枚数積層され、カシメにより固定されて、回転電機のステータ1の磁極片2および継鉄片3が構成される。
その後、絶縁材から成るインシュレータ9が、磁極片2のティース部5の外周に一体成型される。
なお、図2において、A0は、斜線部の面積、即ち1つの鋼板片32の面積である。
次に回転電機のステータ1に係る巻線作業について説明する。
図3は回転電機のステータ1を形成する場合、自動巻線機21を使用して行う巻線作業の説明図である。図3(a)は、巻線作業中の磁極片2、継鉄片3および自動巻線機21の上面図である。図3(b)は、図3(a)のX−X’断面図である。
なお、巻線状態を分かり易くするために、4個の磁極片2のティース部5にコイル10を巻き付けた状態を示し、巻線が施されたティース部5は断面を示している。
以降の説明を分かり易くするために、図3(a)において、左端の磁極片2を第1の磁極片2、順次第2の磁極片2、第3の磁極片2、そして右端の磁極片2を第4の磁極片2と記載する。
自動巻線機21は、巻線前の磁極片2および継鉄片3を固定するための固定治具22、コイル供給巻付用のフライヤ23を備える。固定治具22は、ベース部24、押さえ板25、ネジ26、およびガイド用ピン27を備える。
磁極片2のバックヨーク部4Aの長手方向と継鉄片3のバックヨーク部4Bの長手方向が一致する形態でベース部24の軸方向端面に設置される。図3(b)に示されているように、継鉄片3の径方向外側の端面とベース部24とを面接触させることで位置決めさせる。押さえ板25は、継鉄片3のバックヨーク部4Bをベース部24に軸方向に板挟みして固定するためのものである。押さえ板25とベース部24とで、継鉄片3のバックヨーク部4Bを挟み込んで、ネジ26で固定される。
ガイド用ピン27は、巻線時、各磁極片2のティース部5に巻き回されるコイル10を接続する渡り線20をガイドするためのものである。ガイド用ピン27は、磁極片2と継鉄片3を接続する折り曲げ部の回転中心付近に位置するようにベース部24に設置される。フライヤ23は、回転軸Bが磁極片2のティース部5の長手方向と一致するように配置され、磁極片2のティース部5の長手方向と一致する方向Cにスライド動作し、また、磁極片2のバックヨーク部4Aの長手方向と一致する方向Dにもスライド動作する。
第1の磁極片2のティース部5への巻線作業が終わった後、フライヤ23を方向Dにスライド移動させ、隣接する巻線していない第2の磁極片2のティース部5とフライヤ23の回転軸Bが対向する位置まで移動させる。このとき、第1の磁極片2のティース部に巻回したコイル10の巻き終わり部分を切断することなく、これを渡り線20として、固定治具22が有するガイド用ピン27の外側に沿わせる。続いて、コイル10を第2の磁極片2のティース部5に対して第1のティース部5に巻き付けた方向とは逆方向にコイル10を巻き付ける。上記説明のようにして、順次、第1の磁極片2のティース部5から第4の磁極片2のティース部5まで巻線作業を行う。
次に磁極片2のティース部の巻線作業終了後、コアを閉じて一体化し、回転電機のステータ1を完成する作業について説明する。
図4は、巻線作業終了後の各4個の磁極片2および継鉄片3を、巻線作業時の直線形状から環状に折り曲げて変形させているときの図である。各磁極片2のティース部5の自由端側の先端部を芯金30に順次押し当て、磁極片2および継鉄片3を巻線時の直線形状から環状に折り曲げていく。
環状に閉じる際に突き合わされる磁極片2と継鉄片3の端面には、それぞれ結合凸部7と結合凹部8が形成されており、周方向からの挿入により両端面が嵌合される。嵌合後、結合凸部7と結合凹部8との嵌合部の外周側から、例えばTIG(tungsten inert gas)溶接のような溶接手段によって突き合わせた端面同士を結合して一体化する。これで、コア閉じ作業が終了し、回転電機のステータ1が完成する。
結合凸部7と結合凹部8とを突き合わせ面に設けることで、突き合わせたときの半径方向のガタを抑制でき、内径真円度を向上できる。
次に、磁極片2と継鉄片3とから構成される回転電機のステータ1の特徴を明確にするために、比較例との対比を行う。
図5は比較例の回転電機のステータ101の構成を示す断面図である。回転電機のステータ101は、4個の磁極片102のみを有する。磁極片102は、薄板の電磁鋼板を軸方向に沿って複数枚積層する構造であり、積層方向に対して垂直方向に延びるバックヨーク部104とバックヨーク部104から環状の中心方向に伸長するティース部105を有する。コイル110がティース部105を覆っているインシュレータの周りに巻かれている。磁極片102は、互いに隣接するバックヨーク部104の外周の薄肉部106により折り曲げ可能に連結されている。
なお、図5において、矢印Hは磁束が流れる方向を示している。
図6は、回転電機のステータ101のために、帯状の電磁鋼板31から鋼板片132を板取りする場合の板取図である。鋼板片132は、それぞれの磁極片102のバックヨーク部104の長手方向が一致している形状である。鋼板片132は、磁極片102のバックヨーク部104の長手方向が電磁鋼板31の送り方向Jと一致しており、電磁鋼板31の送り方向Jに対して垂直方向に2個並列配置されている。
図2で説明した回転電機のステータ1と同様に、二つの鋼板片132は、両鋼板片132が有するティース部105が対向するように配置される。そして、一方の鋼板片132のティース部105とティース部105の間に、もう一方の鋼板片132のティース部105が収まるようにして、二つの鋼板片132は並列配置されて、打ち抜かれる。
なお、図6において、B0は、斜線部の面積、即ち1つの鋼板片132の面積である。
ここで、実施の形態1の回転電機のステータ1と比較例の回転電機のステータ101の磁性材料使用率の差異を図2および図6に基づいて説明する。
図2に示す実施の形態1の回転電機のステータ1の板取り配置では、鋼板片32の面積をA0とすると、材料使用率(2A0/(L1×L2))は37.8%である。
これに対して、図6に示す比較例の回転電機のステータ101の板取り配置では、鋼板片132の面積をB0とすると、材料使用率(2B0/(L3×L4))は36.7%である。
このように、磁極片2と継鉄片3とから構成される実施の形態1の回転電機のステータ1の方が、磁極片102のみから構成される比較例の回転電機のステータ101に比較して、高い材料使用率が得られる。
この理由は、図2の板取り配置では、図6の板取り配置と比較して、磁極片2と継鉄片3の各バックヨーク部4A、4Bの長手方向が電磁鋼板31の圧延方向Jに一致する量が大きいからである。
また、図2に示した回転電機のステータ1の板取り配置では、図1の磁極片2と継鉄片3のバックヨーク部4を流れる磁束の方向Hと電磁鋼板の圧延方向Jが一致している。
これに対して、図6に示した比較例の回転電機のステータ101の板取り配置では、図5の磁極片102のバックヨーク部104を流れる磁束の内磁束の方向が電磁鋼板31の圧延方向Jと一致している量は、回転電機のステータ1の場合に比較して少ない。
一般的に、圧延方向とこれに直交する方向では、圧延方向の方が磁気抵抗は小さく、鉄損を低減することができる。このため、実施の形態1の回転電機のステータ1の板取り配置の方が、比較例の回転電機のステータ101の板取り配置に比較して、良好な磁気特性の磁極片2および継鉄片3が得られる。
図7は比較例の回転電機のステータ101において、自動巻線機21を使用して行う巻線作業の説明図である。なお、図7では、固定治具は省略している。
磁極片102のティース部105に巻線作業しているとき、磁極片102のティース部5のバックヨーク部104側に巻線しようとすると、フライヤ23の旋回面Qとバックヨーク部104が干渉する。このため、フライヤ23だけを用いてこの部位に巻線することは難しい。
これに対して、実施の形態1の回転電機のステータ1では、図3で明らかなように磁極片2のティース部5に巻線作業をする時、継鉄片3のバックヨーク部4Bはフライヤ23の旋回面Qよりも外側に位置している。このため、継鉄片3のバックヨーク部4Bがフライヤ23に干渉することを確実に避けることができる。これにより、磁極片2のティース部5のバックヨーク部4A側への整列巻きが容易にでき、かつ高速巻線が可能となる。
また、実施の形態1の回転電機のステータ1の巻線時の各磁極片2のティース部5間ピッチE1(図3)と、比較例の回転電機のステータ101に係る巻線時の各磁極片102のティース部105間ピッチE2(図7)を比較すると、E1>E2である。このため、磁極片2のティース部5に巻線する際、隣接する磁極片2のティース部5が、フライヤ23と干渉することを避けやすい。
次に、実施の形態1の回転電機のステータ1に係る磁極片2と継鉄片3との関係について、図8および図9に基づいて説明する。図8、図9において、薄肉部6に対応する部分を継ぎ目11としている。
図8は、回転電機のステータ1を構成する磁極片2のバックヨーク部4Aと継鉄片3バックヨーク部4Bの周方向の長さ、つまり継ぎ目11の間隔が異なっている場合を示している。ここで、図8(a)は回転電機のステータ1の構成を示す断面であり、図8(b)は巻線時の配置形状を示している。
図8(a)において、磁極片2の両端の継ぎ目11と中心軸により形成される角度はθ1であり、継鉄片3の両端の継ぎ目11と中心軸により形成される角度はθ2である。ここで、磁極片2と継鉄片3は、θ1>θ2となるように配置されている。
このため、図8(b)に示すように、インシュレータ9のバックヨーク側の背面に磁極片2のバックヨーク部4Aが存在する。したがって、磁極片2のバックヨーク部4Aの長手方向と継鉄片3のバックヨーク部4Bの長手方向が一致するように配置して、磁極片2のティース部5にコイルを巻き付ける際、インシュレータ9のバックヨーク側への倒れを抑制できる。
一方、図9は、回転電機のステータ1を構成する磁極片2のバックヨーク部4Aと継鉄片3バックヨーク部4Bの周方向の長さ、つまり継ぎ目11の間隔は等しい場合を示している。ここで、図9(a)は回転電機のステータ1の構成を示す断面であり、図9(b)は巻線時の配置形状を示している。
図9(a)において、磁極片2の両端の継ぎ目11と中心軸により形成される角度はθ3であり、継鉄片3の両端の継ぎ目11と中心軸により形成される角度はθ4である。ここで、磁極片2と継鉄片3は、θ3=θ4となるように配置されている。
このため、図9(b)に示すように、インシュレータ9のバックヨーク側の背面の一部には磁極片2のバックヨーク部4Aが存在しない。したがって、磁極片2のバックヨーク部4Aの長手方向と継鉄片3のバックヨーク部4Bの長手方向が一致するように配置して、磁極片2のティース部5にコイルを巻き付ける際、背面にバックヨーク部4Aがない部分では、インシュレータ9のバックヨーク側への倒れが生じる。
したがって、実施の形態1の回転電機のステータ1では、磁極片2と継鉄片3はθ1>θ2となるように配置されており、図8の構成のように磁極片2のバックヨーク部4Aの周方向の長さを継鉄片3バックヨーク部4Bの周方向の長さより大きくする。
次に上記で説明した本実施の形態1の回転電機のステータの製造方法について、図10のフローチャートに基づいて説明する。
なお、本実施の形態1の回転電機のステータの製造方法は、磁極片2と継鉄片3とから構成される回転電機のステータ1の製造方法であって、以下のステップ1(S01)からステップ3(S03)の工程から成るものである。
ステップ1(S01)の打ち抜き工程では、磁極片2のバックヨーク部4Aの長手方向と継鉄片3のバックヨーク部4Bの長手方向が電磁鋼板31の圧延方向Jに一致するように配置して薄板を磁極片2と継鉄片3とを折り曲げ可能に連結して打ち抜き、この薄板を所定枚数軸方向に積層して、カシメにて固定することで、磁極片2と継鉄片3とが形成される。
ステップ2(S02)の巻線工程では、磁極片2のティース部5に自動巻線機を使用してコイル10を巻き付ける。
ステップ3(S03)のコア閉じ工程では、磁極片2のティース部5にコイル10が捲き付けられた直線状の磁極片2と継鉄片3とを、環状に折り曲げて、磁極片2と継鉄片3の端面の結合凸部7と結合凹部8とを嵌合し、端面同士を溶接で結合して一体化する。
以上、実施の形態1では、各4個の磁極片と継鉄片とから構成される回転電機のステータを例にとり説明したが、磁極片2と継鉄片3の数は、各4個に限られず、6個であっても、8個であっても、または、それ以上であってもよい。
以上は、磁極片2と継鉄片3とは薄板の電磁鋼板を軸方向に沿って複数枚積層する構造であることを想定して説明した。しかし、磁極片2は継鉄片3とは、ブロックであってもよい。
次に、他の構成例を図11、図12に基づいて説明する。なお、区別するために、図11において、回転電機のステータ71、磁極片72、継鉄片73、磁極片72のバックヨーク部74A、継鉄片73のバックヨーク部74Bおよび磁極片72のティース部75としている。また、図12において、回転電機のステータ81、磁極片82、継鉄片83、磁極片82のバックヨーク部84A、継鉄片83のバックヨーク部84Bおよび磁極片82のティース部85としている。
以上は、磁極片と継鉄片の数が同数である場合、すなわち、磁極片と継鉄片とが交互に環状に配置されている場合についての説明であった。しかし、図11に示したように、磁極片72と磁極片72との間に継鉄片73が複数個存在する箇所がある場合、すなわち、磁極片に対し継鉄片の数が多い場合でも、バックヨーク部が巻線機のフライヤに干渉することを避けることができる。
また、図12は磁極片82と磁極片82との間に継鉄片83が存在しない箇所がある場合を示している。すなわち、磁極片に対し継鉄片の数が少ない場合でも、バックヨーク部が巻線機のフライヤに干渉することを避けることができる。
上記に示した説明から、少なくとも一つの隣接する磁極片間に少なくとも継鉄片を有する構成とすれば、一つの隣接する磁極片間に継鉄片を有する部分については、巻線時にフライヤの旋回面から離すことができるため、バックヨーク部が巻線機のフライヤに干渉することを避けることができる。
以上説明したように、実施の形態1は、磁極片と継鉄片とから構成される回転電機のステータ、および打ち抜き工程と、巻線工程と、コア閉じ工程とを備える回転電機のステータの製造方法に関するものである。
このため、実施の形態1の回転電機のステータおよびその製造方法は、ティース部間のスペースを広く取り、バックヨーク部が巻線機のフライヤに干渉することを避けることができる。
実施の形態2.
実施の形態2の回転電機のステータ、およびその製造方法は、2台の自動巻線機を使用して二つの磁極片のティース部に同時に巻線作業を行うものである。
以下、実施の形態2の回転電機のステータおよびその製造方法について、巻線作業の説明図である図13、および比較例の巻線作業の説明図である図14に基づいて、実施の形態1との差異を中心に説明する。図13、図14において、実施の形態1の図3、図7と同一あるいは相当部分は、同一の符号を付している。なお、図14において、固定治具は省略している。
実施の形態1の回転電機のステータに係る巻線作業では、1台の自動巻線機21を使用して、複数個の磁極片2のティース部5に順次巻線作業を行っていた。実施の形態2の回転電機のステータに係る巻線作業では、2台の自動巻線機21を使用して、2個の磁極片2のティース部5に同時に巻線作業を行う。
図13においても、説明を分かり易くするために、左端の磁極片2を第1の磁極片2、順次第2の磁極片2、第3の磁極片2、そして右端の磁極片2を第4の磁極片2と記載する。
図13に示すように、2台の自動巻線機21のフライヤ23で2個の磁極片2のティース部5に同時に巻線作業を行っている。2台の自動巻線機21(フライヤ23)は、ぞれぞれの回転軸Bが磁極片2のティース部5の長手方向と一致するように、並列して配置される。第1および第3の磁極片2のティース部5への巻線作業が終わった後、2台の自動巻線機21を方向Dに同時にスライド動作させ、隣接する巻線していない第2および第4の磁極片2のティース部5と自動巻線機21の回転軸Bが対向する位置まで移動させる。
このとき、第1および第3の磁極片2のティース部5に巻回したコイル10の巻き終わり部分を切断することなく、これを渡り線20として、固定治具22が有するガイド用ピン27の外側に沿わせる。続いて、第2および第4の磁極片2のティース部5に対して第1および第3の磁極片2のティース部5に巻いた方向とは逆方向に巻線を施す。このようにして、順次、巻線していない磁極片2のティース部5に巻線作業を施していく。
2台の自動巻線機21を使用することで、巻線作業の時間は実施の形態1と比べて大幅に短縮される。
また、比較例として、実施の形態1で説明した回転電機のステータ101に対して、2台の自動巻線機21を使用することは可能である。しかし、図14に示すように、比較例の回転電機のステータ101では磁極片102のティース部105間ピッチE2が図13に示す回転電機のステータ1の磁極片2のティース部5間ピッチのE1よりも狭い。このため、自動巻線機21の2台のフライヤ23が干渉しやすく、同時巻線を回転電機のステータ101に適用することは、回転電機のステータ1に適用する場合よりも難しい。
なお、実施の形態2では、回転電機のステータ1は4個の磁極片2のティース部5を備えるものであるため、2台の自動巻線機21を使用した。さらに多くの磁極片2のティース部5を備える回転電機のステータに対しては、2台の自動巻線機21に限定されずに、3台以上の自動巻線機21を同時に適用することができる。
以上説明したように、実施の形態2の回転電機のステータ、およびその製造方法は、2台の自動巻線機を使用して2個の磁極片のティース部に同時に巻線作業を行うものである。このため、実施の形態2の回転電機のステータおよびその製造方法は、ティース部間のスペースを広く取り、バックヨーク部が巻線機のフライヤに干渉することを避けることができる。さらに、巻線作業の時間を大幅に短縮することができる。
実施の形態3.
実施の形態3は、実施の形態1の回転電機のステータのバックヨーク部外周の薄肉部に替わる連結手段として、磁極片と継鉄片に設けた凸部と凹部とで行う構造の回転電機のステータに関するものである。
以下、実施の形態3の回転電機のステータの構成について、回転電機のステータの連結手段の説明図である図15に基づいて、実施の形態1との差異を中心に説明する。
図15(a)は、実施の形態3の回転電機のステータの構成を示す断面図、図15(b)は、図15(a)のY−Y’断面図である。
図15において、実施の形態1の図1と同一あるいは相当部分は、同一の符号を付している。
なお、実施の形態1の回転電機のステータ1と区別するために、回転電機のステータ51、磁極片52、継鉄片53、各バックヨーク部54A、54B、ティース部55としている。
実施の形態1の回転電機のステータ1では、磁極片2と継鉄片3は薄肉部6により折り曲げ可能に連結されていた。
実施の形態3の回転電機のステータ51では、図15(b)に示すように磁極片52と継鉄片53は、互いに隣接する周方向端部に凸部57と凹部58とを設けている。この凸部57と凹部58とを積層方向に互いにカシメ止めして、折り曲げ可能に連結する連結手段を構成している。
実施の形態3の回転電機のステータ51では、コイル10巻付後の磁極片52と継鉄片53を環状に折り曲げる際の取り扱いが、薄肉部6を連結手段としている実施の形態1の回転電機のステータ1と比べて容易になる。このため、さらに生産性の向上を図ることができる。また、機械的な精度を向上させることができる。さらに複数回折り曲げても亀裂が生じて、その結果、磁気抵抗が高くなって磁気特性を低下させるなどの不具合が生じるのを避けることができる。
以上説明したように、実施の形態3は、回転電機のステータの連結手段として、磁極片と継鉄片に設けた凸部と凹部で行う構造の回転電機のステータに関するものである。
このため、実施の形態3の回転電機のステータは、ティース部間のスペースを広く取り、バックヨーク部が巻線機のフライヤに干渉することを避けることができる。さらに、回転電機のステータの製造の生産性および機械的な精度を向上させることができる。
実施の形態4.
実施の形態4は、実施の形態1の回転電機のステータよりも磁極片および継鉄片の数を増やして、多極化した構造の回転電機のステータに関するものである。
以下、実施の形態4の回転電機のステータの構成について、回転電機のステータの構成を示す断面図である図16に基づいて、実施の形態1との差異を中心に説明する。
図16において、実施の形態1の図1と同一あるいは相当部分は、同一の符号を付している。
なお、実施の形態1の回転電機のステータ1と区別するために、回転電機のステータ61、磁極片62、継鉄片63、各バックヨーク部64A、64B、ティース部65としている。
図16の回転電機のステータ61は、実施の形態1の回転電機のステータ1よりも磁極片2のティース部5の数を増やし、磁極片62と継鉄片63を各6個備える構成としたものである。
磁極片2のティース部5の数を増やし多極化することで、回転電機に生じるトルクリップルを低減できる。
なお、実施の形態4では、多極化の例として、磁極片62と継鉄片63を各6個備える回転電機のステータ61を説明した。磁極片62と継鉄片63の数については、各6個に限定されずに、さらに多数の磁極片62と継鉄片63とを備える回転電機のステータを構成することができる。
以上説明したように、実施の形態4は、実施の形態1の回転電機のステータよりも磁極片および継鉄片の数を増やして、多極化した構造の回転電機のステータに関するものである。このため、実施の形態3の回転電機のステータは、ティース部間のスペースを広く取り、バックヨーク部が巻線機のフライヤに干渉することを避けることができる。さらに、回転電機に生じるトルクリップルを低減できる。
実施の形態5.
実施の形態5は、実施の形態1の回転電機のステータを用いた回転電機に関するものである。
以下、実施の形態5の回転電機の構成について、回転電機の構成を示す断面図である図17に基づいて説明する。
図17において、実施の形態1の図1と同一あるいは相当部分は、同一の符番号を付している。
図17において、各4個の磁極片2と継鉄片3とから構成される回転電機のステータ1を用いた場合を例に取り説明する。なお、図17において、実施の形態1の図1と同一符番号で示された箇所は、上記実施の形態1で説明した箇所と同様の構成を示すため、ここでは説明を省略する。
回転電機201は、ステータ1とステータ1内に回転可能に設けられたロータ202とを備えている。ロータ202は、シャフト203とマグネット204とを有する。
回転電機201は、ステータ1に設けられたコイル10に電流を流して磁界を発生させ、ロータ202を回転させることで必要な回転力が得られる構造となっている。このように構成された回転電機201は、ステータ1のティース部5間のスペースを広く取り、バックヨーク部4A、4Bが巻線機のフライヤに干渉することを避けることができる。したがって、ステータ1に対して、効率的にコイル10を巻回すことが可能であり、回転電機201の生産性を上げることができる。
ここでは、実施の形態1の各4個の磁極片と継鉄片とから構成される回転電機のステータを例として説明した。磁極片と継鉄片の数は、各4個に限られず、6個であっても、8個であっても、それ以上であってもよい。
また、ここでは、磁極片と継鉄片の数が同数である場合について説明したが、実施の形態1の図11に示したように、磁極片に対し継鉄片の数が多い場合、または、図12に示したように、磁極片に対し継鉄片の数が少ない場合であってもよい。
さらに、実施の形態3、4で説明した回転電機のステータを使用することもできる。
なお、本発明は、その発明の範囲内において、各実施の形態を自由に組み合わせたり、実施の形態を適宜、変形、省略したりすることが可能である。
この発明は、バックヨーク部とティース部を有する磁極片とバックヨーク部のみを有する継鉄片とから構成されており、ティース部間のスペースを広く取ることができるため回転電機のステータに広く適用できる。

Claims (8)

  1. 環状に配置された複数個の磁極片と継鉄片とを備え、
    前記磁極片は、前記環状の外周部に沿って配置されたバックヨーク部と、前記バックヨーク部から前記環状の中心方向に伸長するティース部とを有し、
    前記継鉄片は、前記環状の外周部に沿って配置されたバックヨーク部のみを有し、
    少なくとも一対の隣接する前記磁極片間に少なくとも一つの前記継鉄片を有し、前記一対の磁極片と前記一対の磁極片間の前記継鉄片とが折り曲げ可能に連結されている回転電機のステータ。
  2. 前記磁極片の前記バックヨーク部の長手方向の両端面が中心軸に対して形成する角度は、前記継鉄片の前記バックヨーク部の長手方向の両端面が中心軸に対して形成する角度より大きい請求項1に記載の回転電機のステータ。
  3. 前記環状に結合するための前記磁極片と前記継鉄片は、前記磁極片および前記継鉄片の一方の端面には結合凹部を他方の端面には結合凸部を設けた請求項1または請求項2に記載の回転電機のステータ。
  4. 前記磁極片と前記継鉄片とを折り曲げ可能に連結するために、前記磁極片の前記バックヨーク部および前記継鉄片の前記バックヨーク部の外周に薄肉部を設けた請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転電機のステータ。
  5. 前記磁極片と前記継鉄片とが軸方向に沿って薄板を積層して形成され、前記磁極片と前記継鉄片とを折り曲げ可能に連結するために、前記磁極片および前記継鉄片の周方向端部に軸方向に互いに嵌合する凸部と凹部とを設けた請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の回転電機のステータ。
  6. 環状に配置された複数個の磁極片と継鉄片とを備え、前記磁極片は、前記環状の外周部に沿って配置されたバックヨーク部と、前記バックヨーク部から前記環状の中心方向に伸長するティース部とを有し、前記継鉄片は、前記環状の外周部に沿って配置されたバックヨーク部のみを有し、前記磁極片と前記継鉄片は交互に環状に配置されている回転電機のステータにおいて、
    前記磁極片の前記バックヨーク部の長手方向と前記継鉄片の前記バックヨーク部の長手方向が電磁鋼板の圧延方向に一致するように前記磁極片と前記継鉄片とを折り曲げ可能に連結して打ち抜き、軸方向に積層して固定する打ち抜き工程と、
    前記ティース部にコイルを巻き付ける巻線工程と、
    前記ティース部に前記コイルが巻き付けられた前記磁極片と前記継鉄片を環状に折り曲げて、付き合わされる端面を結合し、一体化するコア閉じ工程と、
    とから成る回転電機のステータの製造方法。
  7. 前記巻線工程において、複数の自動巻線機を用いて複数個の前記ティース部に同時に前記コイルを巻き付ける請求項6に記載の回転電機のステータの製造方法。
  8. 請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の回転電機のステータと前記回転電機のステータ内に回転可能に設けられたロータとを備えた回転電機。
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