JPWO2017130957A1 - 植物系材料の成形方法及び成形体 - Google Patents
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Abstract
Description
そのため、そのサイズに制約があり、製作可能な形状が限定されるという問題や連続的な成形が不可能であった。
また、本発明は、上記成形体の製造方法で作製した長尺の圧縮成形体を有し、組織構造の連続性を維持するため木材、竹等の植物系材料の本来の風合いを成形体に反映させた成形体製品を提供することを目的とするものである。
(1)植物系材料を簡便な手法で効率よく高密度化成形する方法及びその成形体を提供することができる。
(2)成形前の植物系材料が、単一であっても複数に分割、分離していても成形過程で一体化させることができる。
(3)成形前の植物系材料の断面等の細工により、長尺状の成形体や軸方向の密度分布・強度分布等の機械的性質を制御することができる。
(4)本発明で使用する植物系材料は、循環型資源である植物系材料を原料としているため、資源問題、廃棄物問題に対する根本的な解決策となり得る。
(5)植物系材料を原料に用いて成形された、植物系材料の繊維細胞の連続性を保持されている圧縮成形体を提供することができる。
本発明の原料である、植物系材料としては、特に限定されることはなく、本発明は、植物系材料全般に対して適用可能であるが、具体的には、例えば、木材、竹、草本、農業廃棄物が特に好適な材料として例示される。
このため、成形前の植物系材料の横断面(木口面)、すなわち、植物系材料の長さ方向に穴等を形成し、その径・長さ・形状を調整することにより、成形時の長手方向への断面減少率(押出し比)を調整し、成形後の長手方向へのかさ密度の分布を生じせしめ、得られる成形体の重量とそのバランスを制御することも可能である。
また、成形前の植物系材料が、複数に分割、分離していても、上述の穴等に連結用部材等を挿入した状態で成形することで、成形後には一体化するため、成形前の植物系材料は、単一又は複数のバルク体としてダイス型及びベアリングに供給することが可能であり、該植物系材料が単一である場合も複数に分割、分離している場合も、本発明の成形体の製造方法では同様に適用可能である。
また、成形体表面の繊維構造は緻密化され型表面性状と同等程度に平滑化されているために、植物系材料の強度的な欠陥となる密度の疎密状態を改善し強度的信頼性の向上を図ることができる。
本発明では、植物系材料を所定の押出し比(断面減少率)並びにダイス角度を持つダイス型に押し込み、ダイス型内で構成細胞を向心方向に圧縮・せん断変形させて絞り(断面減少させ)ながら押出すことにより所望の形状の成形体とすることを最大の特徴としている。
1軸圧縮による場合では、圧縮過程において圧縮方向に対して垂直方向に引張応力が生じるため、それが亀裂等の欠陥の発生を誘発すること、材料の供給量が適正でない場合は未充填による成形不良、供給量が過剰な場合はバリ等の発生により良好な成形が不可能である。
ここで、ダイス金型の材質としては、本実施例で使用したSKD11等のSKD(合金工具鋼(ダイス鋼))のほか、ダイス金型の材料として用いられるステンレス鋼等の硬質の金属材料や無機材料等を用いることができる。
軸(繊維)方向に荷重を受けた杉は、ダイス型に押し込まれることで型接触面から向心方向に圧縮力を受けながら断面減少する変形を受けて成形される。
最終的に、直径50mmの杉が直径31mmに絞り成形された高密度化丸棒として成形体が得られる(図2)。
また、成形前の素材断面Aにおいて確認される木目が、成形品の断面Bでは、成形工程での向心方向への圧縮によって間隔が狭くなっており、高密度化されている(特に、成形表面付近でより圧縮度合いの高い状態になっている。)ことがわかる。
例えば、熱硬化性樹脂の表面含浸素材を使用し、ダイス出口の型表面を鏡面仕上げ状態にした加熱絞り成形では、樹脂硬化が完了した成形体の表面は、植物系材料の持つ原材料の本来の木目の連続性を反映させつつ、非常に硬質で滑らかな光沢のある成形品が得られる。
更に、同様のダイス条件でも、型温度及び押出し速度を上げることで、成形体表面の高密度化層の厚さを変化させたり、成形に必要な荷重を低減することも適宜可能である。
これに対し、本発明は、植物系材料を加圧して圧縮(プレス)する場合は、長尺の植物系材料についてダイス型に連続的に押し込むことによって、理論的には無限に長い物体を形成できる。
また、植物系材料を適宜、継ぎ足すことによって成形と同時に接合も可能であり、長尺成形体の連続製造を可能とするものである。
また、ダイス後方から成形体を引き抜くことによって成形前の植物系材料の座屈の発生を防止するとともに、押出し荷重を低減させることも可能である。
押出し成形には所定のダイス角度、押出し比、ベアリング長さを持つダイス金型による前方押出し成形法を用いた(図1)。
150℃に加熱したダイス金型に素材1個を挿入し、プレスにより直接素材を押し込んで加圧し変形させた。
その後、金型を冷却せずに加圧素材を取り出して断面形状が50mmから31mmに絞られた絞り・圧縮成形体(図2)を得た。
なお、成形に要した時間は約10秒程度であった。
また、得られた成形品部は、図2C及びDのように、ほとんど変色せず、木目の連続性を保っていた。
押出し成形には所定のダイス角度、押出し比、ベアリング長さを持つダイス金型による前方押出し成形法を用いた。
180℃に加熱したダイス金型に素材1個を挿入し、プレスにより直接素材を押し込んで加圧し変形させた。
その後、金型を冷却して加圧素材を取り出して断面形状が50mmから31mmに絞られた絞り・圧縮成形体を得た。
成形品部は、滑らかな表面で光沢を持ち、硬質化されており、木目の連続性を保っていた。
押出し成形には所定のダイス角度、押出し比、ベアリング長さを持つダイス金型による前方押出し成形法を用いた(図3)。
180℃に加熱したダイス金型に素材1個を挿入し、プレスにより直接素材を押し込んで加圧し変形させた。
その後、金型を冷却して成形体を取り出して断面形状が50mmから31mmに絞られた絞り・圧縮成形体を得た。
成形体は、滑らかな表面で光沢を持ち、硬質化されており、木目の連続性を保っていた。
押出し成形には所定のダイス角度、押出し比、ベアリング長さを持つダイス金型による前方押出し成形法を用いた。
180℃に加熱したダイス金型に素材1個を挿入し、プレスにより直接素材を押し込んで加圧し変形させた。
その後、金型を冷却して成形体を取り出して断面形状が50mmから31mmに絞られると同時に、初期に設けた穴が絞り圧縮とともに閉塞する成形体を得た。
この穴の大きさ、長手方向深さを調整すれば、同一直径の成形品部表面は、滑らかな表面で光沢を持ち、硬質化されており、木目の連続性を保ちつつ、長手方向に密度分布(単位体積あたりの重量)が異なる長尺木質材が得られる。
押出し成形には所定のダイス角度、押出し比、ベアリング長さを持つダイス金型による前方押出し成形法を用いた。
180℃に加熱したダイス金型に素材2個(50mm長さの素材を貫通穴に竹を挿入した状態)を挿入し、プレスにより直接素材を押し込んで加圧し変形させた(図5)。
その後、金型を冷却して加圧素材を取り出して断面形状が50mmから31mmに絞られると同時に、2個の素材が長手方向に接合された絞り・加圧成形体を得た。
成形品部の横断面には、竹と杉が良好に接触しており、竹のしなやかさを絞り・圧縮杉に付与しつつ、成形品部表面は、滑らかな表面で光沢を持ち、硬質化されており、杉木目の連続性を保っていた。
このような方式を繰り返すことにより、長さに制限のない長尺木質製品が得られる。
成形品の横断面は、円周方向から圧縮を受けており、表層部分で高密度化していた。成形品の表面は、滑らかな表面で光沢を持ち、硬質化されており、杉木目の連続性を保っていた。
を目標として鋭意研究を積み重ねた結果、植物系材料を所定の押出し比及びダイス角度を持つダイス型に押出し・絞り成形し、ダイス型に供給される植物系材料全体を圧縮応力状態にした上でせん断作用により構成細胞を変形させて断面形状を付与し、必要に応じて場合によっては成形後に所要断面形状の治具(例えば、ベアリング(長尺材料を所定寸法に仕上げるために、ダイス型に設けられた断面寸法が一定(本明細書において、ダイス型と組み合わせて漸次変化するようにしたものを含む。)の領域を有する部材をいう。))を設置することで、例えば、長尺の植物系材料の細胞・組織の連続性を維持しつつ丸棒等の対称断面形状で表層に亀裂等がなく平滑で、高密度化、高強度化した長尺の植物系材料を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
[0010]
本発明は、木材、竹等の植物系材料の新規成形体の製造方法及びその成形体を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、上記成形体の製造方法で作製した長尺の圧縮成形体を有し、組織構造の連続性を維持するため木材、竹等の植物系材料の本来の風合いを成形体に反映させた成形体製品を提供することを目的とするものである。
課題を解決するための手段
[0011]
上記目的を達成するため、本発明の植物系材料の成形方法は、熱硬化性樹脂を含浸した、繊維方向に長い長尺の植物系材料に対して、所定の押出し比(断面減少率)とダイス角を持つ、加熱した押出用ダイス型を介して、当該材料を押出しながら、材料の中心方向に連続的に植物系材料の構成組織を圧縮・絞り変形を与え、全周に亘って、外縁部の方が、それより内側の内側部よりも高密度化、高強度化するようにした長尺の植物系材料を得ることを特徴とする。
[0012]
この場合において、ダイス型の後方に、長手方向に対して横断面変化を与えた治具を配置することで、長手方向の繊維の連続性を維持した状態で、任意形状への賦形を行うようにすることができる。
[0013]
[0014]
また、成形前の植物系材料が、単一又は複数のバルク体の集合体としてダイス型に供給されるようにすることができる。
[0015]
また、成形前の植物系材料に、その長さ方向に穴を形成し、成形時の長手方向への断面減少率を調整し、成形後の長手方向へのかさ密度の分布を生じせしめ、得られる成形体の重量とそのバランスを制御するようにすることができる。
[0016]
また、成形前の植物系材料に、その長さ方向に穴を形成し、該穴に異種の植物系材料を組み込み、一体成形することによって、成形体の内部に異種の植物系材料を配置させるようにすることができる。
[0017]
また、本発明の植物系材料の成形方法によって得られる植物系材料の成形体は、長尺の植物系材料からなり、該植物系材料の構成組織が、木質系材料の全周から中心方向に圧縮されるとともに、植物系材料に含浸した熱硬化性樹脂が硬化して、全周に亘って、外縁部の方が、それより内側の内側部よりも高密度化、高強度化されてなることを特徴とする。
発明の効果
[0018]
本発明の植物系材料の成形方法及び成形体によれば、次のような効果が奏される。
(1)植物系材料を簡便な手法で効率よく高密度化成形する方法及びその成形体を提供することができる。
(2)成形前の植物系材料が、単一であっても複数に分割、分離していても成形過程で一体化させることができる。
(3)成形前の植物系材料の断面等の細工により、長尺状の成形体や軸方向の密度分布・強度分布等の機械的性質を制御することができる。
(4)本発明で使用する植物系材料は、循環型資源である植物系材料を原料としているため、資源問題、廃棄物問題に対する根本的な解決策となり得る。
(5)植物系材料を原料に用いて成形された、植物系材料の繊維細胞の連続性を保持されている圧縮成形体を提供することができる。
図面の簡単な説明
[0019]
[図1]本発明の植物系材料の成形方法の1実施例を示す説明図である。
Claims (7)
- 繊維方向に長い長尺の植物系材料に対して、所定の押出し比とダイス角を持つ押出用ダイス型を介して、当該材料を押出しながら、材料の中心方向に連続的に植物系材料の構成組織を圧縮・絞り変形を与え、高密度化、高強度化するようにした長尺の植物系材料を得ることを特徴とする植物系材料の成形方法。
- ダイス型の後方に、長手方向に対して横断面変化を与えた治具を配置することで、長手方向の繊維の連続性を維持した状態で、任意形状への賦形を行うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の植物系材料の成形方法。
- 成形前の植物系材料に樹脂材料を含浸し、加熱成形を行うようにしたことを特徴とする請求項1に記載の植物系材料の成形方法。
- 成形前の植物系材料が、単一又は複数のバルク体の集合体としてダイス型に供給されるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の植物系材料の成形方法。
- 成形前の植物系材料に、その長さ方向に穴を形成し、成形時の長手方向への断面減少率を調整し、成形後の長手方向へのかさ密度の分布を生じせしめ、得られる成形体の重量とそのバランスを制御するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の植物系材料の成形方法。
- 成形前の植物系材料に、その長さ方向に穴を形成し、該穴に異種材料を組み込み、一体成形することによって、成形体の内部に異種材料を配置させるようにしたことを特徴とする請求項1に記載の植物系材料の成形方法。
- 長尺の植物系材料からなり、該植物系材料の構成組織が、中心方向に圧縮され、高密度化、高強度化されてなることを特徴とする植物系材料の成形体。
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