JP2002046107A - 木材成形装置および木材成形方法 - Google Patents

木材成形装置および木材成形方法

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JP2002046107A JP2000232514A JP2000232514A JP2002046107A JP 2002046107 A JP2002046107 A JP 2002046107A JP 2000232514 A JP2000232514 A JP 2000232514A JP 2000232514 A JP2000232514 A JP 2000232514A JP 2002046107 A JP2002046107 A JP 2002046107A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】低分子量フェノール樹脂を用いて木質材料を処
理するに際し、模様の圧縮深さや曲率の制限を大きく改
善でき、装飾性に優れ、かつ材料表面および内部の割
れ、剥離、繊維方向の裂け等を低減でき、量産レベルに
おいて安定した品質を図ることが可能な成形木材を形成
する木材成形装置および木材成形方法を提供する。 【解決手段】フェノール樹脂を含浸し、軟化した木質材
料へ転写する凹凸模様を有する一対のプレス金型(4
3,45)と、プレス金型(43,45)を動作させて
木質材料を圧縮して、当該木質材料に凹凸模様を転写さ
せる駆動手段(41,42,43)とを有し、一対のプ
レス金型(43,45)は、一方のプレス金型の凹部
と、他方のプレス金型の凸部とが略重なり合う互いに反
転形状の凹凸模様を有している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、家具、建材、楽器
等に用いられる表面に凹凸模様を有する装飾木材を得る
ための木材成形装置および木材成形方法に関する。
【0002】
【従来の技術】表面に凹凸模様を有する板状の木材ある
いは木粉末などからなる木質材料は、その装飾性の観点
から各種用途への利用が期待される。木材の表面に凹凸
模様を形成する方法としては、彫刻刀などで木材の表面
を彫る方法が古くから知られている。しかし、その彫刻
による凹凸模様を形成する場合には、彫刻作業に時間を
要する他、均一な凹凸模様を得難いなどという問題があ
る。一方、木粉末をフェノール樹脂により接着すること
により形成されているハードボードやMDFなどに、彫
刻などによる2次加工により凹凸模様を施す場合には、
上記の木材での問題に加えて、生分解性のないフェノー
ルを含んだ廃材が出ることから、環境への配慮の観点か
ら好ましくない。
【0003】上記の事情から、近年、低分子量フェノー
ル樹脂を木質材料に含浸させて、乾燥軟化させてプレス
し、形状固定することにより、所望の形状を有する成形
木材とする方法が開発されている。ここで、本明細書に
おいて、低分子量フェノール樹脂とは、フェノールをモ
ノメチロール化したもの(サリニゲン)、ジメチロール
化したもの、およびトリメチロール化したもの、ならび
にこれらのメチロール化合物を重合させたものをいう。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
フェノール樹脂含浸による木質材料の成形方法では、以
下に示すような問題がある。
【0005】すなわち、板状などの木材を使用する場合
に、装飾性を重視して、圧縮率が模様の凹部と凸部で大
きく変わってしまうような凹凸模様を形成すると、成形
木材の表面あるいは内部に、割れ、剥離、繊維方向の裂
けなどが増大してしまうという問題がある。また、圧縮
率が高いとフェノール揮発材や水分の蒸発が妨げられる
ため、生産性が悪くなってしまうという問題もある。反
対に、量産レベルでの不良率を低減するために、形成す
る凸部模様の高さ、あるいは凹部模様の深さを調整して
上記の問題を回避しようとすると、不完全な転写になっ
てしまうため、装飾性に優れる成形木材を形成すること
ができなくなってしまうという問題がある。
【0006】一方、木粉末を使用する場合には、板状の
木材に比して、割れなどが生じることが少ないが、同様
に模様の凹凸部で圧縮率の大きな差異が生じると、圧縮
率が高い部分では、フェノール揮発材や水分の蒸発が妨
げられるため、生産性が悪くなってしまうという問題が
ある。また、成形後の内部の例えば強度などの物性にバ
ラツキが生じ、強度の弱い部分から亀裂などが生じるこ
とにより、安定した品質を有する製品を提供できないと
いう問題もある。
【0007】本発明は上記の問題点に鑑みてなされたも
のであり、従って、本発明は、低分子量フェノール樹脂
を用いて木質材料を処理するに際し、模様の圧縮深さや
曲率の制限を大きく改善でき、装飾性に優れ、かつ材料
表面および内部の割れ、剥離、繊維方向の裂け等を低減
でき、量産レベルにおいて安定した品質を図ることが可
能な成形木材を形成する木材成形装置および木材成形方
法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明の木材成形装置は、フェノール樹脂を含浸
し、軟化した木質材料へ転写する凹凸模様を有する一対
のプレス金型と、前記プレス金型を動作させて前記木質
材料を圧縮して、当該木質材料に凹凸模様を転写させる
駆動手段とを有し、前記一対のプレス金型は、一方のプ
レス金型の凹部と、他方のプレス金型の凸部とが略重な
り合う互いに反転形状の凹凸模様を有している。
【0009】好適には、前記木質材料を所定の温度に加
熱して、圧縮成形後の木質材料を硬化させて形状固定を
行う加熱手段をさらに有する。
【0010】さらに、上記の目的を達成するため、本発
明の木材成形方法は、フェノール樹脂を木質材料に含浸
させる含浸工程と、前記フェノール樹脂を含浸した木質
材料を加熱して軟化させる軟化工程と、前記木質材料を
少なくとも両面から圧縮して、木質材料の両面に凹凸模
様を形成する圧縮工程と、前記木質材料を圧縮状態のま
まで加熱して硬化させる硬化工程とを有し、形状固定後
の成形木材の厚さがその内部において略均一であり、凸
部模様が形成される面と対向する他方の面に、反転形状
の凹部模様を有する成形木材を形成する。
【0011】上記の本発明によれば、板状の木材、ある
いは木粉末などの木質材料が、その細胞壁にフェノール
樹脂を含浸した状態で加熱乾燥されることにより、内部
温度が上昇し、軟化されることになる。この軟化した状
態で、プレス金型を動作させて木質材料を圧縮して、当
該木質材料に凹凸模様を転写し、当該圧縮状態を維持し
たままで、加熱されることにより、フェノール樹脂が細
胞壁中で硬化して、圧縮による木材の成形が固定され、
その後の加熱や吸水により、当該成形が戻ることのない
安定した成形木材が形成されることとなる。上記の作用
において、木質材料に凹凸模様を転写するプレス金型と
して、一方のプレス金型の凹部と、他方のプレス金型の
凸部とが略重なり合う互いに反転形状の凹凸模様を有す
るプレス金型を使用することで、転写後の成形木材の厚
さが略均一になることから、圧縮率が略均一となり、軟
化、形状固定の反応機構が安定し、割れ、剥離、繊維方
向の裂けなどの不利益を抑制することができることとな
る。
【0012】好適には、前記圧縮工程の前に、前記木質
材料を加熱状態として当該木質材料の前記凹凸模様を形
成するための圧縮方向とは異なる方向に圧縮する予備圧
縮工程をさらに有する。これにより、当該予備圧縮され
た木材は、極めて圧縮成形しやすい状態となり、その後
の圧縮成形をスムーズに行うことができる。
【0013】好適には、前記含浸工程において、平均分
子量が200〜500の低分子量フェノール樹脂を木質
材料に含浸させる。これは、平均分子量が200より小
さいと、単位フェノール骨格当たりに含有されるメチロ
ール基の数が少ないため架橋密度が小さくなり、成形木
材を硬化させる効果が小さく、安定した形状を有する成
形木材を提供することが困難になるからである。また、
平均分子量が500より大きいと、木質材料の細胞壁に
保持されるフェノール樹脂が少なくなり、木質材料を軟
化および硬化させる効果が小さく、安定した形状を有す
る成形木材を提供することが困難になるからである。
【0014】好適には、前記含浸工程において、低分子
量フェノール樹脂の濃度が3〜15重量%の水溶液に木
質材料を浸漬させ、フェノール樹脂を含浸させる。ま
た、フェノール樹脂溶液中の低分子量フェノール樹脂の
濃度は、5〜10重量%であることが更に好ましい。こ
れは、フェノール樹脂の濃度が3重量%より低いと、木
質材料の細胞壁に保持されるフェノール樹脂が少なくな
り、後の硬化工程において、成形木材の形状固定の度合
いが低く、安定した形状を有する成形木材を提供するこ
とが困難になるからである。また、15重量%より高い
と、得られる成形木材の比重が大きくなりすぎてしまう
からである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の木材成形装置お
よび木材成形方法の実施の形態について、図面を参照し
て説明する。
【0016】第1実施形態 図1(a)は、本発明の木材成形装置により形成された
成形木材の1例を示す斜視図であり、図1(b)は、図
1(a)のA−A線における概略拡大断面図である。
【0017】図1に示すように、成形木材10は、フェ
ノール樹脂を含浸した板状の木材、あるいは木粉末など
の木質材料が圧縮成形されて、実質的に表面平滑とされ
た平板部11の表面に所定形状に盛り上がって突出した
凸部模様12が明瞭かつ外観美麗に形成されている。
【0018】成形木材10は、例えば板状の木材を使用
した場合には、略繊維方向に対して略直角の方向(放射
方向あるいは接線方向)に圧縮されている。ここで、繊
維(Textile )方向Lとは木目に沿った方向であり、放
射(Radial) 方向Rは、繊維方向Lに直交しており樹木
の中心から外側あるいは外側から中心に向かう方向をい
い、接線(Tangential) 方向Tとは年輪に対する接線の
方向をいう。
【0019】成形木材10の表面には、例えば凸部模様
が形成されており、成形木材10の裏面には表面の凸部
模様に対して反転形状の凹部模様が形成されている。す
なわち、図1(b)に示すように、成形木材10の表面
には例えば高さaの凸部模様12aが形成されており、
その直下の裏面には深さaの凹部模様13aが形成され
ている。従って、表面の凸部模様12aと裏面の凹部模
様13aとは、互いに反転形状となっている。
【0020】このように、成形木材10の一方の面に例
えば凸部模様12aを形成し、当該凸部模様の反転形状
の凹部模様13aを他方の面に形成することにより、成
形木材10内の厚さを略一定(tb1=tb2=tb3)にす
ることができる。ここで、圧縮成形前の木質材料の厚さ
をta 、圧縮成形後の成形木材の厚さをtb とすると、
圧縮率cは、下記の式(1)によって表せられる。
【0021】
【数1】 c(%)=((ta −tb )/ta )×100 (1)
【0022】従って、圧縮成形後の成形木材内の厚さが
略一定(tb1=tb2=tb3)であることから、圧縮率が
成形木材内で略均一となっている。
【0023】次に、上記の成形木材を形成する本実施形
態の木材成形装置および木材成形方法について説明す
る。本発明の木材成形方法は、大別して、フェノール樹
脂含浸工程と、乾燥軟化工程と、圧縮および硬化工程
と、取り出し工程の4つの工程から成る。以下、各工程
において、使用する装置とともに説明する。
【0024】ここで、本発明の木材成形方法には、気乾
状態の木質材料を使用することが好ましい。ここで、気
乾状態とは、空気中で乾燥した場合における含水状態を
いい、内部には水分を含んだ状態である。気乾状態にお
ける含水率は、木材の乾燥方法や湿度により変化するが
平均して8〜15%程度である。気乾状態の木質材料を
使用するのは、一般的に材料の入手が容易だからであ
る。なお、気乾状態の木質材料は、例えば天然乾燥の
他、温度や湿度を制御した乾燥機による人工乾燥など、
適当な方法により形成される。
【0025】フェノール樹脂含浸工程 図2(a)は本工程に使用する含浸装置の概略構成図で
ある。図2(a)に示す含浸装置は、圧力容器1と、水
槽3と、制御装置20と、コンプレッサー30などから
構成されている。
【0026】圧力容器1は、低圧、高圧の状態に耐えら
れるように例えば高強度の鋼またはステンレスで製作さ
れた有底筒体からなり、その開口部には、蓋1aが開閉
可能に取り付けられている。この圧力容器1は、配管2
1を通して圧力容器1内の圧力が制御され、かつ配管2
2を通して圧力容器1内の排気が行われ、かつ配管23
を通して圧力容器1内に残留した水溶液等が外部に排出
される。
【0027】制御装置20は、各種の制御を行うもので
あり、コンプレッサー(compressor: 圧縮機)30によ
る空気圧により各々の弁(22a、23a)を制御す
る。具体的には、圧力容器1中に設けられた不図示の圧
力計を介して、圧力をモニタしながら、配管21を通じ
て圧力容器1内の圧力を不図示の真空ポンプを介して減
圧し、また、コンプレッサー30を介して加圧する。ま
た、減圧あるいは加圧された圧力容器1内の圧力を、外
部雰囲気に通ずる配管22の排気用弁22aを調整する
ことにより、常圧に戻す。また、減圧あるいは加圧する
ことにより発生した圧力容器1内の水溶液の排出制御
を、ドレン用弁23aを調整することにより行う。ま
た、蓋1aとも電気的に接続されており、扉の開閉制御
を行う。なお、不図示の時計を介して、各工程における
時間などをモニタ可能としている。
【0028】図2(b)は、水槽3の概略拡大断面図で
ある。図2(b)に示すように、フェノール樹脂水溶液
31を有する水槽3内に、例えば板状の木材10aが沈
んでおり、当該木材10aの浮上を防止するために木材
を被覆して、ネット32および重り33が設置されてい
る。
【0029】なお、本発明に用いられる低分子量フェノ
ール樹脂は、硬化に寄与する架橋密度を高めるため、単
位フェノール骨格当たりにできるだけ、多くのメチロー
ル基を含有していることが好ましい。すなわち、フェノ
ール樹脂含浸工程で含浸されるフェノール樹脂の平均分
子量は、200〜500であることが好ましい。これ
は、平均分子量が200より小さいと、単位フェノール
骨格当たりに含有されるメチロール基の数が少ないため
架橋密度が小さくなり、成形木材を硬化させる効果が小
さく、安定した形状を有する成形木材を提供することが
困難になるからである。また、平均分子量が500より
大きいと、木質材料の細胞壁に保持されるフェノール樹
脂が少なくなり、木質材料を軟化および硬化させる効果
が小さく、安定した形状を有する成形木材を提供するこ
とが困難になるからである。
【0030】また、フェノール樹脂水溶液31中の低分
子量フェノール樹脂の濃度は、3〜15重量%であるこ
とが好ましく、5〜10重量%であることが更に好まし
い。これは、フェノール樹脂の濃度が3重量%より低い
と、木質材料の細胞壁に保持されるフェノール樹脂が少
なくなり、後の硬化工程において、成形木材の形状固定
の度合いが低く、安定した形状を有する成形木材を形成
することが困難になるからである。また、15重量%よ
り高いと、得られる成形木材の比重が大きくなりすぎて
しまうからである。
【0031】上記の含浸装置を使用したフェノール樹脂
の木質材料への含浸方法について説明する。まず、圧力
容器1の開口部の蓋1aを開いて、圧力容器1を開放
し、上記の水槽3を圧力容器1の内部に搬入して、架台
2の上に載置する。次に、圧力容器1の蓋を閉じて、圧
力容器1を密封した後、圧力容器1の内部に配管21を
通して、真空引きを行い、圧力を大気圧を基準として例
えば−740mmHg程度に減圧し、当該減圧した状態
を60分維持し、その後、排気用弁22aを調整して配
管22により常圧に戻した後、圧力容器1内を大気圧を
基準として例えば+8kg/cm2 程度に加圧し、当該
加圧した状態を10分程度維持することにより、フェノ
ール樹脂を木材10aの細胞壁中に含浸させる。
【0032】なお、木粉末を使用する場合には、上記の
工程において、減圧および加圧の操作は、省略してフェ
ノール樹脂を含浸することができる。
【0033】乾燥・軟化工程 図3に乾燥・軟化工程に使用する送風乾燥機の断面図を
示したものである。フェノール樹脂含浸工程後の木材1
0aを、各木材10aが互いに接しないように送風乾燥
機に搬入して、送風乾燥を行う。
【0034】本実施形態では、乾燥を以下の3工程で行
う。まず、30℃で送風乾燥を行う。この送風乾燥を行
う時間は、木材の大きさに応じて適宜決定されるが、2
4時間前後である。なお、この送風乾燥工程は、後の送
風乾燥において急激な乾燥による木材の変形や落ち込み
等を防止するためにできるだけ長い方が好ましい。次
に、60℃で送風乾燥を行う。この送風乾燥を行う時間
も、木材の大きさに応じて適宜決定されるが、48時間
前後である。次に、80℃で送風乾燥を行う。この送風
乾燥を行う時間も、木材の大きさに応じて適宜決定され
るが、72時間前後である。なお、30℃での送風乾燥
の代わりに、自然乾燥を行うことも可能である。また、
余りに高い温度で急激に乾燥すると、乾燥速度が速くな
りすぎて、木材のそり、ねじれなどの変形や、落ち込み
が生ずるので好ましくない。
【0035】圧縮および硬化工程 図4(a)は、本実施形態に係る木材成形装置の正面図
であり、図4(b)は木材成形装置の側面図である。図
4に示す木材成形装置は、成形室40の上部外側に適当
な手段にて取り付け固定されたプレスシリンダー41
と、成形室40の周壁を貫通するピストンロッド42
と、ピストンロッド42の先端部に取り付け固定され
た、ヒータ43aを内蔵する可動ヒータプレス板43と
を備えている。また、成形室40内の下部には、架台4
4に固定された、ヒータ45aを内蔵する固定ヒータプ
レス板45を備えている。
【0036】制御装置46は、プレスシリンダー41、
可動ヒータプレス板43に内蔵されたヒータ43a、固
定ヒータプレス板45に内蔵されたヒータ45aと接続
されており、可動ヒータプレス板43のプレス制御(例
えば、力、速度)や、ヒータ(43a,45a)を介し
て可動および固定ヒータプレス板(43,45)の温度
制御を行う。
【0037】圧縮成形は、乾燥・軟化した木質材料10
aを金型で挟んで被成形プレス部を構成し、当該被成形
プレス部を上記の木材成形装置に搬入して行う。図5に
被成形プレス部の構成を表す斜視図を示す。図5(a)
に示すように、コの字型の溝を有する金枠6に、下型
7、木質材料10a、上型8、スペーサ9をセットする
ことにより、図5(b)に示すような被成形プレス部4
が構成させることになる。上型8と下型7からなるプレ
ス金型の対向面には、木質材料に転写するための不図示
の凹凸模様が形成されている。この上型8と下型7の凹
凸模様は、互いに反転形状の凹凸模様を有しており、従
って上型8と下型7の対向面を合わせると上型8の例え
ば凸模様が下型7の例えば凹模様にはめ込まれるように
形成されている。スペーサ9は、成形木材10の厚さを
決定するためのもので、所望の成形木材10の厚さに応
じて適当に交換することができることとなっている。
【0038】次に、本実施形態に係る木材成形装置を使
用して、圧縮成形を行い、かつフェノール樹脂を硬化さ
せて成形木材の形状固定を行う方法について説明する。
図6は、図4(a)のF部分の拡大図を示したものであ
る。まず、図6(a)に示すように、固定ヒータプレス
板45上に木材10aをセットしていない状態の金型を
載置して、可動ヒータプレス板43を金型に接触させ
て、金型を例えば160℃程度に加熱する。
【0039】次に、金型を木材成形装置から取り出し、
加熱乾燥後の約80℃の木材10aをセットして被成形
プレス部4を形成し、図6(b)に示すように、例えば
160℃に加熱された固定ヒータプレス板45上に、被
成形プレス部4を載置して、木材10aを加熱する。
【0040】次に、図6(c)に示すように、可動ヒー
タプレス板43を降下させて、被成形プレス部4のスペ
ーサ9をプレスして、当該プレス状態のまま、可動およ
び固定ヒータプレス板(43,45)を例えば160℃
に維持して、例えば30分程度、木材10aの加熱を行
う。
【0041】上記の工程により、木材10aの細胞壁中
に含浸されているフェノール樹脂が硬化され、圧縮成形
された木材10aの形状固定が行われる。
【0042】取り出し工程 次に、成形木材を取り出すことにより、図1に示す成形
木材に至る。
【0043】上記の本実施形態に係る木材成形装置およ
び木材成形方法では、木質材料として、板状の木材を使
用する場合と木粉末を使用する場合とで、それぞれ以下
の効果を有する。
【0044】板状の木材を使用する場合 この場合には、圧縮率が比較的均一なことから、成形木
材における表面あるいは内部の割れ、剥離、繊維方向の
裂けなどの不利益を最小限に抑制しながら、上型8と下
型7からの木材への模様の転写性を向上することがで
き、量産レベルにおいて、安定した品質を図ることが可
能となる。また、木材への圧縮率が比較的均一なことか
ら、上型8と下型7の仕上げの面精度により、成形木材
10の表面の面精度が決まるため、後に研磨をすること
なく品質の安定化を図ることができる。また、圧縮成形
時に割れが生じたとしても、上型8および下型7により
拘束されているため、上型8および下型7の形状で固定
することができる。また、木材へ転写する模様の圧縮の
深さ、曲率、圧縮率の制限を大きく改善でき、デザイン
的な自由度を増大させることができる。
【0045】木粉末を使用する場合 この場合には、圧縮率が比較的均一なことから、成形木
材の強度等の物性が均質となり、安定した品質を有する
成形木材を形成することができる。圧縮率が比較的均一
なことから、圧縮によって濃色化した部分の色むらが少
なく、後の着色塗装が容易となる。また、木材に比して
さらに割れなどが生じにくくなるため、凹凸模様を無理
なく大きく形成できる。
【0046】第2実施形態 本実施形態では、実質的には第1実施形態と同様である
が、木質材料として板状の木材を使用した場合に、プレ
ス時に横方向に広がることによる成形木材10の上型
8、下型7および金枠6からの離型が困難な場合もある
ため、被成形プレス部を以下に示すような構造にする。
図7(a)は図5(b)においてA方向から見た被成形
プレス部4の圧縮後の正面図、図7(b)は図5(b)
においてB方向からみた被成形プレス部4の圧縮後の側
面図である。図7(a)に示すように、圧縮後の成形木
材10の金型(上型8および下型7の他、金枠6を含
む)からの離型の困難さを考慮して、金枠6の溝におい
て、例えば角度x(例えば2度)のテーパーを設けてい
る。また、金枠6の底面に開口部6aを設け、上型8お
よび下型7に挟まれた成形木材10を、開口部6aに挿
入し、かつ下型7を押圧することが可能な高さの突起部
15aを有する突き出し治具15を使用して離型する。
上記の構造により、図8(a)に示すように、突き出し
治具15上に、突起部15aが開口部6aに挿入される
ようにして金枠6を設置し、突き出し治具15に対して
金枠6を降下させることで、突起部15aにより下型7
が押され、上型8および下型7に挟まれた成形木材10
が金枠6から押し出されることになる。その後、図8
(b)に示すように、上型8と下型7を離反させること
により、成形木材10が金型から離型されることにな
る。
【0047】第3実施形態 本実施形態においても、実質的には第1実施形態と同様
であるが、木質材料として板状の木材を使用した場合
に、プレス時に横方向に広がることによる成形木材10
の上型8、下型7および金枠6からの離型が困難な場合
もあるため、被成形プレス部を以下に示すような構造に
する。図9(a)は上型8および下型7に挟まれた成形
木材10の平面図、図9(b)は図9(a)の木材の平
面図、図9(c)は図9(a)においてD方向からみた
側面図を示したものである。図9(a)に示すように、
あらかじめ下型7の例えば四隅にクランプ16を設置し
て下型7を金枠6に固定しておき、成形対象の木材10
aも図9(b)に示すように、クランプ16が形成され
た下型7の形状に合わせ、かつ金型(7,8)からはみ
出るように加工したものを使用して、下型7上に設置し
て圧縮成形を行う。圧縮成形後、成形木材10の金型
(7,8)からはみ出した部分に力を加えて上方へ引き
上げて、金枠6に固定された下型7から離型させる。そ
の後、上型8から離型させることにより、成形木材10
が金型から離型されることになる。
【0048】第4実施形態 本実施形態においても、実質的には第1実施形態と同様
であるが、木質材料として板状の木材を使用した場合
に、プレス時に横方向に広がることによる成形木材10
の上型8、下型7および金枠6からの離型が困難な場合
もあるため、被成形プレス部を以下に示すような構造に
する。図10は、上型8および下型7に挟まれた成形木
材10の概略構成図を示したものである。図10に示す
上型8と下型7では、それぞれ開口部(8a、7a)を
設けてある。そして、第2実施形態と同様にして金枠6
から上型8および下型7に挟まれた成形木材10を取り
出した後、開口部(8a、7a)に挿入し、かつ成形木
材10を押圧することが可能な高さの突起部15aを有
する突き出し治具15を使用する。すなわち、突き出し
治具15上に、突起部15a部分が開口部(8a、7
a)に挿入されるようにして上型8および下型7に挟ま
れた成形木材10を設置し、突き出し治具15に対して
下型7を降下させることで、突起部15aにより成形木
材10が押され、上型8および下型7に挟まれた成形木
材が下型7から離型されることになる。同様にして、成
形木材10を上型からも離型することにより、成形木材
10が金型から離型されることになる。
【0049】第5実施形態 本実施形態では、実質的には第1実施形態と同様である
が、木質材料として木粉末を使用した場合に、被成形プ
レス部の構造を以下に示すような構造にする。図11
(a)は、木粉末に使用する金枠6の上面図を示したも
のであり、図11(b)は、図11(a)においてE方
向から見た側面図である。図11に示す金枠6では、金
枠6の開放されている側面に、ボルトなどにより、側板
17を取り付けることとしたものである。また、図11
(b)に示すように、金枠6の底面に開口部6aを設
け、第2実施形態と同様に、上型8および下型7に挟ま
れた成形木材10を、金枠6から取り出すこととしたも
のである。上記の構造とするのは、木粉末を使用する場
合には、金枠6の側面が開放されていると、当該開放さ
れている側面から木粉末が溢れてしまい、その結果、成
形木材の厚さの不均一による圧縮率の変動を防止するた
めである。
【0050】本発明の木材成形装置および成形方法の実
施形態は、上記の説明に限定されない。例えば、本発明
の各工程における温度、時間などの製造条件は、木質材
料10aの元となる樹木の種類、木質材料10aの大き
さ、木質材料10aの物理的性質(比重、含水率等)等
によって、種々の条件を採用することができる。また、
圧縮成形する方向は、本実施形態において説明した方向
に限定されるものではなく、種々の方向に圧縮成形する
ことができる。また、木質材料10aに転写する凹凸模
様の形状に特に限定はなく、例えば、直線状や曲線状、
格子状などを組み合わせた模様の他、記号、数字、文字
など、およびこれらを組み合わせたものであってもよ
い。また、取り出し工程において、成形木材の離型を容
易にするため、あらかじめ金型に離型剤を塗布しておい
てもよい。尚、この離型剤としては、大豆レシチンとト
ルエンを重量比1:9で混合したものなどがある。
【0051】また、圧縮および硬化工程前に、予備圧縮
することも効果的である。例えば、加熱状態で、圧縮成
形を行う方向とは異なる方向に板状の木材を予備圧縮し
た後に、本実施形態における圧縮および硬化工程を行
う。加熱状態で予備圧縮された木材は、極めて圧縮成形
しやすい状態となる。これにより、その後の圧縮成形を
スムーズに行うことができ、すなわち、割れ、裂け、剥
離を低減でき、安定した品質を確保することが可能とな
る。また、成形プレス前に予備圧縮を行うので、工程上
も非常に効率的である。その他、本発明の要旨を逸脱し
ない範囲で、種々の変更が可能である。
【0052】
【実施例】以下に、本発明に係る木材成形装置を用い
て、成形木材を形成した実施例について説明する。
【0053】第1実施例 まず、R方向の長さが10mm、L方向の長さが4.3
3mm、T方向の長さが1.3mmのヒノキを用いて、
フェノール樹脂を含浸させたときの各温度における木材
の動的弾性率を測定した。
【0054】図12は、フェノール樹脂を含浸させた場
合における木材の温度と動的弾性率のグラフである。な
お、弾性率は、木材のR方向(放射方向)における引っ
張り弾性率を示している。図12に示すように、フェノ
ール含浸した木材は、約50℃程度までは、弾性率が高
いが、50℃以上の温度になると徐々に弾性率が低下し
ていく。そして、温度が約130℃の所F以上の温度に
なると、木材の弾性率は、徐々に増していき、温度が1
60℃程度で、十分な弾性率となっている。これによ
り、本実施形態の乾燥・軟化工程では、30〜80℃で
木材を送風乾燥しているが、上記の温度で木材が軟化し
ていることが確認できた。また、本実施形態の硬化工程
では、160℃前後でフェノール樹脂を含浸した木材を
加熱しているが、当該温度でフェノール樹脂を含浸した
木材が硬化することが確認できた。
【0055】第2実施例 本実施例では、まず、板状の木材として、ペルポック、
ラミン、メランティ、アガチス、ポプラ、アルダー、ア
ユース、雲杉、ラジアータパイン、米松、ゴム、セン、
ブナ、ナラ、スギ、ヒノキ、カラマツ、カツラ、ナトー
の19種類を使用し、木粉末として大きさが355μm
のスギとヒノキを混合したものを使用して、従来の片面
のみに凹凸模様を形成するための圧縮成形を行った。
【0056】ここで、本実施例で使用した木質材料の物
性として、全乾比重、気乾比重、含水率(%)につい
て、算出した。
【0057】上記の物性値の算出方法としては、まず、
各木材についての全乾状態のT方向長さ(mm)、R方
向長さ(mm)、L方向長さ(mm)、全乾重量(g)
を測定し、全乾比重を算出した。次に、各木材について
気乾状態のT方向長さ(mm)、R方向長さ(mm)、
L方向長さ(mm)、気乾重量(g)を測定し、気乾比
重を算出した。ここで、L方向とは木材の繊維(Textil
e )方向、R方向とは放射(Radial)方向、T方向とは
接線(Tangential) 方向を意味する。また、全乾状態と
は、木材を100〜110℃で重量変化がなくなるまで
乾燥した状態で、木材中に吸収された水分がほとんどな
い状態をいう。また、気乾状態とは、空気中で乾燥した
状態で、内部には水分を含む状態をいう。上記の全乾比
重および気乾比重とは、全乾状態あるいは気乾状態時に
おける重量を容積で割ったものを意味する。
【0058】含水率u(%)は、全乾重量をW0 、気乾
重量をWu とすると、下記の式(2)によって算出され
る。
【0059】
【数2】 u(%)=((Wu −W0 )/W0 )×100 (2)
【0060】図13に、全乾比重、気乾比重、気乾状態
の含水率の算出結果を示す。なお、図13には、各木材
について3つのサンプルの気乾状態と全乾状態の重量、
T方向、R方向、およびL方向の寸法を測定し、全乾比
重、気乾比重、含水率を算出した平均値を掲載してあ
る。また、木粉末については、含水率のみを掲載した。
【0061】図13に示す気乾状態の木質材料を用い
て、本実施形態に係る木材成形装置において、上型8の
凹凸模様のみを木質材料の片面に転写して、図1(a)
に示すような凹凸模様を片面に有する成形木材を形成し
た。ここで、圧縮成形に使用した木材は、T方向の長さ
が49.0(mm)、R方向の長さが12(mm)、L
方向の長さが280(mm)ものを使用し、R方向に圧
縮成形した(図1(a)参照)。また、圧縮成形後の成
形木材の長さは、T方向の長さが49.0(mm)、R
方向の長さが平坦部において6(mm)、L方向の長さ
が280(mm)であった。また、上型8および下型7
は、幅(T方向に対応)が50(mm)、厚み(R方向
に対応)が12(mm)、長さ(L方向に対応)が30
0(mm)のものを使用し、材質はアルミ製のものを使
用した。また、上型8は、木質材料へ転写する凹凸模様
が形成されているものを使用し、下型7には、凹凸模様
が形成されていない平坦なものを使用した。
【0062】つぎに、製造条件について説明する。フェノール樹脂含浸工程 まず、フェノール樹脂の濃度が10重量%のフェノール
樹脂水溶液に木材を沈めた水槽3を、圧力容器1の架台
2上に載置し、圧力を大気圧を基準として例えば−74
0mmHg程度の減圧下で60分間、その後、大気圧を
基準として+8kg/cm2 程度の加圧下で10分間、
フェノール樹脂を木材10aに含浸させた。乾燥・軟化工程 次に、送風乾燥機を用いて、30℃で24時間、60℃
で48時間、80℃で72時間送風乾燥を行った。圧縮および硬化工程 次に、固定ヒータプレス板45上で木質材料10aをセ
ットしていない状態の金型を例えば160℃程度に加熱
しておき、その後、木質材料10aをセットして、16
0℃に加熱された固定ヒータプレス板45上で、木質材
料10aを加熱した。その後、可動ヒータプレス板43
によりプレスして、当該プレス状態のまま、可動および
固定ヒータプレス板(43,45)を例えば160℃に
維持したまま、30分間、木質材料10aを加熱するこ
とにより形状固定を行った。取り出し工程 次に、上記の木材を取り出すことにより、図1(a)に
示すような凹凸模様を片面に有する成形木材を形成し
た。
【0063】これにより、図14に示す各木材について
の結果が得られた。図14において、割れは、剥離、繊
維方向の裂けなども含めた、片面のみに凹凸模様を形成
した場合における圧縮成形後の成形木材の表面および内
部状態の評価である。また、色むらとは、圧縮成形後の
濃色した成形木材の表面状態における、色むらの評価で
ある。また、転写性とは、上型8の凹凸模様が、成形木
材にどれだけ美麗に転写されたかの評価である。また、
フェノール樹脂含浸性の評価は、フェノール樹脂が含浸
されやすいか否かの評価である。図14に示すように、
上型8に形成された凹凸模様のみを転写して、片面のみ
に凹凸模様を形成した場合には、割れがなく転写性も良
好な木材は少なく、またフェノール樹脂含浸による圧縮
成形の適用が、好適なものと不適なものとが存在した。
【0064】例えば、好適なものとして、割れ、転写性
を中心に評価すると、ポプラ、アルダー、カツラなどで
あった。それ以外は、不適なものであり、程度の差はあ
るが表面に割れが生じていた。
【0065】次に、上記の板状の木材のうちペルポック
について、およびスギ・ヒノキ混合の木粉末について、
本発明の木材成形装置および成形方法を適用してみた。
なお、製造条件は、平坦な下型に代えて、上型8に形成
された凹凸模様に対して反転形状の凹凸模様が形成され
た下型7を使用し、その他は上記と同様の条件で行っ
た。これにより、圧縮成形後、表面には割れなどがな
く、転写性にも優れた良好なペルポックからなる成形木
材が形成された。また、木粉末についても、表面には割
れや色むらなどがなく、転写性にも優れた良好な成形木
材が形成された。上記の実施例により、従来のフェノー
ル樹脂含浸処理による圧縮成形において、適用が困難な
木質材料においても、本発明に係る木材成形装置および
成形方法によって割れなどの不利益を最小限に抑制し
て、高品質な成形木材を形成できることがわかる。
【0066】
【発明の効果】本発明の木材成形装置によれば、木質材
料へのプレス成形による圧縮率が比較的均一なことか
ら、圧縮成形後の成形木材における表面あるいは内部の
割れ、剥離、繊維方向の裂けなどの不利益を最小限に抑
制しつつ、木質材料への模様の転写性を向上させること
ができる。従って、木質材料へ転写する模様の圧縮の深
さ、曲率などの制限を大きく改善でき、デザイン的な自
由度を増大させることができる。また、木質材料へのプ
レス成形による圧縮率が比較的均一なことから、成形木
材の強度等の物性が均質となり、安定した品質を有する
成形木材を形成することができる。
【0067】本発明の木材成形方法によれば、木質材料
へのプレス成形による圧縮率が比較的均一なことから、
圧縮成形後の成形木材における表面あるいは内部の割
れ、剥離、繊維方向の裂けなどの不利益を最小限に抑制
することができ、量産レベルにおいて、安定した品質を
図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は、本発明の成形木材の1例を示す
斜視図であり、図1(b)は、図1(a)のA−A線に
おける概略拡大断面図である。
【図2】図2(a)は本実施形態の含浸装置の概略構成
図を示したものであり、図2(b)は図2(a)の水槽
の概略拡大断面図である。
【図3】図3は、乾燥・軟化工程に使用する送風乾燥機
の断面図を示したものである。
【図4】図4(a)は本実施形態の木材成形装置の正面
図であり、図4(b)は木材成形装置の側面図である。
【図5】図5(a)はセット前の被成形プレス部の構成
を表す斜視図、図5(b)はセット後の被成形プレス部
の構成を表す斜視図である。
【図6】図6は、図4(a)のF部分の拡大図を示した
ものである。
【図7】図7は、第2実施形態を示したものであり、図
7(a)は図5(b)においてA方向から見た被成形プ
レス部の圧縮後の正面図、図7(b)は図5(b)にお
いてB方向からみた被成形プレス部の圧縮後の側面図で
ある。
【図8】図8は、成形木材の離型方法の1例を示したも
のである。
【図9】図9は、第3実施形態を示したものであり、図
9(a)は上型および下型に挟まれた成形木材の平面
図、図9(b)は使用する木材の平面図、図9(c)は
図9(a)においてD方向からみた側面図を示したもの
である。
【図10】図10は、第4実施形態を示したものであ
り、板状の木材を使用する場合の被成形プレス部の1構
成例を示したものである。
【図11】図11は、第5実施形態を示したものであ
り、木粉末を使用する場合の金枠の1構成例を示したも
のである。
【図12】図12は、フェノール樹脂を含浸した木材の
温度と動的弾性率のグラフを示したものである。
【図13】図13は、本実施例で使用した木質材料の全
乾比重、気乾比重、含水率(%)の算出結果を示したも
のである。
【図14】図14は、片面のみに凹凸模様を形成した場
合の評価結果を示したものである。
【符号の説明】
1…圧力容器、1a…蓋、2…架台、3…水槽、4…被
成形プレス部、6…金枠、7…下型、8…上型、9…ス
ペーサ、10…成形木材、10a…木質材料(木材,木
粉末)、11…平坦部、12…凸部模様、15…突き出
し治具、15a…突起部、16…クランプ、17…側
板、20,46…制御装置、21,22,23…配管、
22a,23a…弁、30…コンプレッサー、31…フ
ェノール樹脂水溶液、32…ネット、33…重り、41
…プレスシリンダー、42…ピストンロッド、43…可
動ヒータプレス板、43a…ヒータ、44…架台、45
…固定ヒータプレス板、45a…ヒータ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 古田 裕三 愛知県名古屋市北区名城3−1,2−510 (72)発明者 岩永 英治 東京都墨田区錦糸1丁目2番1号 リズム 時計工業株式会社内 (72)発明者 大籠 昇 東京都墨田区錦糸1丁目2番1号 リズム 時計工業株式会社内 Fターム(参考) 2B230 AA22 BA03 CB25 EA19 EB02 EC01 2B250 AA13 AA21 BA02 BA03 CA11 DA01 FA18 FA21 FA47 HA01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】フェノール樹脂を含浸し、軟化した木質材
    料へ転写する凹凸模様を有する一対のプレス金型と、 前記プレス金型を動作させて前記木質材料を圧縮して、
    当該木質材料に凹凸模様を転写させる駆動手段とを有
    し、 前記一対のプレス金型は、一方のプレス金型の凹部と、
    他方のプレス金型の凸部とが略重なり合う互いに反転形
    状の凹凸模様を有している木材成形装置。
  2. 【請求項2】前記木質材料を所定の温度に加熱して、圧
    縮成形後の木質材料を硬化させて形状固定を行う加熱手
    段をさらに有する請求項1記載の木材成形装置。
  3. 【請求項3】フェノール樹脂を木質材料に含浸させる含
    浸工程と、 前記フェノール樹脂を含浸した木質材料を加熱して軟化
    させる軟化工程と、 前記木質材料を少なくとも両面から圧縮して、木質材料
    の両面に凹凸模様を形成する圧縮工程と、 前記木質材料を圧縮状態のままで加熱して硬化させる硬
    化工程とを有し、 形状固定後の成形木材の厚さがその内部において略均一
    であり、凸部模様が形成される面と対向する他方の面
    に、反転形状の凹部模様を有する成形木材を形成する木
    材成形方法。
  4. 【請求項4】前記圧縮工程の前に、 前記木質材料を加熱状態として当該木質材料の前記凹凸
    模様を形成するための圧縮方向とは異なる方向に圧縮す
    る予備圧縮工程をさらに有する請求項3記載の木材成形
    方法。
  5. 【請求項5】前記含浸工程において、 平均分子量が200〜500の低分子量フェノール樹脂
    を木質材料に含浸させる請求項3記載の木材成形方法。
  6. 【請求項6】前記含浸工程において、 低分子量フェノール樹脂の濃度が3〜15重量%の水溶
    液に木質材料を浸漬させて、フェノール樹脂を含浸させ
    る請求項5記載の木材成形方法。
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