JP2002046106A - 着色木材、着色木材の形成装置および形成方法 - Google Patents
着色木材、着色木材の形成装置および形成方法Info
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Abstract
なくても、装飾性に優れている着色木材、着色木材の形
成装置および形成方法を提供することを目的とする。 【解決手段】内部に所定の圧力を有する水蒸気が供給さ
れる圧力容器1と、前記圧力容器1の内部に対向配置さ
れ、少なくともアガチス、ポプラ、カツラのいずれかを
含む木質材料10aへ模様を転写する型を有する一対の
プレス金型(7,8)と、前記プレス金型(7,8)を
動作させて前記木質材料10aを圧縮して、当該木質材
料10aに凹凸模様を転写させる駆動手段2とを有す
る。
Description
等に用いられる表面に凹凸模様を有する着色木材、着色
木材の形成装置および形成方法に関する。
飾性の観点から各種用途への利用が期待される。木材の
表面に凹凸模様を形成する方法としては、彫刻刀などで
木材の表面を彫る方法が古くから知られている。しか
し、その彫刻による凹凸模様を形成する場合には、彫刻
作業に時間を要する他、均一な凹凸模様を得難いなどと
いう問題がある。
囲気下で例えば木材を加熱軟化させてプレスすることに
より、所望の形状を有する成形木材とする方法が、開発
されている。
ては、木材を水蒸気雰囲気内に置いて加熱することによ
り軟化させ、木材をプレス状態のままで高温高圧の雰囲
気内に置くことにより、木材を形状固定させ、曲げ木を
形成することとしている。
号公報においては、成形木材の平坦部の厚さ、凸部模様
の頂点の高さおよび平坦部表面に対する立ち上がり角度
を適正な範囲内に設定することによって、凸部模様を形
成し、かつ割れなどの欠陥がない成形木材を形成するこ
ととしている。
形成する方法では、金型の面精度を高めることなどによ
り、転写後の木材表面を良好にすることができる。
水蒸気処理により成形木材を形成する方法では、圧縮率
の高い凹部では、そこだけ水蒸気処理が進み、材料表面
に液状化物質が形成されて木材が黒ずんだりしてしま
い、材料によっては、その色むらが激しいことから美観
を損ねてしまうという問題があった。従って、製品とし
て出荷するためには、成形後の木材を研磨して、その
後、着色塗装を行って、上記の水蒸気処理による色むら
をなくし、最後に耐候性や耐久性の観点からの仕上げの
上塗り塗装を施す必要があることから、製造工程が増加
し、製造コストが高いという問題があった。
のであり、従って、本発明は、水蒸気処理後に、研磨工
程および塗装工程を経なくても、装飾性に優れている着
色木材、着色木材の形成装置および形成方法を提供する
ことを目的とする。
め、本発明の着色木材は、水蒸気雰囲気内で加熱軟化し
て圧縮成形され、当該圧縮状態でさらに高圧の水蒸気雰
囲気内で硬化して形状固定されることにより濃色化され
た表面に凸部模様が形成されており、少なくともアガチ
ス、ポプラ、カツラのいずれかを含む材料により構成さ
れている。
凸模様を有しており、凸部模様が形成された面と対向す
る他方の面において、反転形状の凹部模様を有し、厚さ
がその内部において略均一である。
の着色木材の形成装置は、内部に所定の圧力を有する水
蒸気が供給される圧力容器と、前記圧力容器の内部に対
向配置され、少なくともアガチス、ポプラ、カツラのい
ずれかを含む木質材料へ模様を転写する型を有する一対
のプレス金型と、前記プレス金型を動作させて前記木質
材料を圧縮して、当該木質材料に凹凸模様を転写させる
駆動手段とを有する。
のプレス金型の凹部と、他方のプレス金型の凸部とが略
重なり合う互いに反転形状の凹凸模様を有する。
明の着色木材の形成方法は、少なくともアガチス、ポプ
ラ、カツラのいずれかを含む木質材料を水蒸気雰囲気内
で加熱して軟化させる工程と、前記木質材料を圧縮し
て、当該木質材料の少なくとも一方の面に凸部模様を形
成する工程と、前記木質材料を圧縮状態のままで所定の
圧力に設定された水蒸気雰囲気内で硬化させて形状固定
し、かつ当該木質材料表面を濃色化する工程とを有す
る。
おいて、前記木質材料の両面に凹凸模様を形成し、凸部
模様が形成された面に対向する他方の面において、反転
形状の凹部模様を有し、厚さがその内部において略均一
な着色木材を形成する。
工程の前に、前記木質材料を加熱状態として当該木質材
料の前記凹部模様を形成するための圧縮方向とは異なる
方向に圧縮する予備圧縮工程をさらに有する。
ス、ポプラ、カツラのいずれかを含む木質材料が水蒸気
雰囲気内において加熱されることにより、水蒸気および
水蒸気により加熱されたプレス金型の熱を吸収して、加
熱軟化される。この加熱軟化した状態で、プレス金型を
動作させて木質材料を圧縮して、当該木質材料に凹凸模
様を転写し、当該圧縮状態を維持したままで、所定の圧
力に設定された高温の水蒸気雰囲気に置かれることによ
り、木質材料は高温の水蒸気によって化学変化を起こし
て圧縮による成形が固定され、かつ当該水蒸気処理によ
って、木質材料が濃色化されて着色木材となり、その後
の加熱や吸水により、当該成形が戻ることのない安定し
た着色木材が形成されることとなる。
て、アガチスを用いた場合には、水蒸気処理後に、茶色
のメタリック塗装をしたような質感を有する着色木材が
得られる。また、例えば木質材料として、ポプラを用い
た場合には、水蒸気処理後に、ぼかし塗装をしたよう
に、凹凸部に陰影を有する着色木材が得られる。また、
例えば木質材料として、カツラを用いた場合には、水蒸
気処理後に、全体的に均一な茶色の着色木材が得られ
る。したがって、各材料において、水蒸気処理後に、美
観を損ねるような色むらが発生せず、また耐光性にも優
れているため、後に研磨工程および着色塗装工程を経な
くても装飾性に優れた着色木材が得られることとなる。
ここで、木質材料に凹凸模様を転写するプレス金型とし
て、一方のプレス金型の凹部と、他方のプレス金型の凸
部とが略重なり合う互いに反転形状の凹凸模様を有する
プレス金型を使用することで、転写後の着色木材の厚さ
が略均一になることから、圧縮率が略均一となり、形状
固定の過程において、割れ、剥離、繊維方向の裂けなど
の不利益を抑制することができる。また、凸部模様を形
成する工程の前に、木質材料を加熱状態として、当該木
質材料に模様を形成するための圧縮方向とは異なる方向
に圧縮する予備圧縮工程を設けることで、当該予備圧縮
された木材は、極めて圧縮成形しやすい状態となり、そ
の後の圧縮成形をスムーズに行うことができる。
木材の形成装置および形成方法の実施の形態について、
図面を参照して説明する。
された着色木材の1例を示す斜視図である。
チス、ポプラ、カツラのいずれかの樹種からなる板状の
木材(木質材料)が圧縮成形されて、実質的に表面平滑
とされた平板部11の表面に所定形状に盛り上がって突
出した凸部模様12が明瞭かつ外観美麗に形成されてい
る。
に対して略直角の方向(放射方向あるいは接線方向)に
圧縮されている。なお、繊維(Textile )方向Lは木目
に沿った方向であり、放射方向(Radial) Rは、繊維方
向Lに直交しており樹木の中心から外側あるいは外側か
ら中心に向かう方向をいい、接線(Tangential) 方向T
は年輪に対する接線の方向をいう。
模様に対して反転形状の凹部模様が形成されていてもよ
い。図1(b)は、着色木材10の裏面に表面の凸部模
様に対して反転形状の凹部模様が形成されている場合に
おける図1(a)のA−A線における概略拡大断面図で
ある。図1(b)に示すように、着色木材10の表面に
例えば高さaの凸部模様12aを有する場合に、その直
下の裏面に深さaの凹部模様13aを有している。
えば凸部模様12aを形成し、当該凸部模様12aに対
して反転形状の凹部模様13aを他方の面に形成するこ
とにより、着色木材10内の厚さを略一定(tb1=tb2
=tb3)にすることができる。ここで、圧縮成形前の木
材の厚さをta 、圧縮成形後の着色木材の厚さをtbと
すると、圧縮率cは、下記の式(1)によって表せられ
る。
さが略一定(tb1=tb2=tb3)であることから、圧縮
率が着色木材10内で略均一とすることができ、圧縮成
形時における、割れ、剥離、繊維方向の裂けなどを抑制
することができる。
ことによる圧縮率の均一化を図らなくても、割れなどの
弊害が無い場合には、片面のみに凹凸模様を形成しても
よい。また、アガチス、ポプラ、カツラについては、上
記のように裏面に反転形状の凹部模様を形成することに
よる圧縮率の均一化を図らなくても、割れなどの弊害が
少ない材料である。
態の着色木材の形成装置について説明する。
装置を示す概略構成図であり、図2(b)は図2(a)
のB−B線における概略拡大断面図である。図2に示す
着色木材の形成装置は、圧力容器1と、成形プレス部
(駆動手段)2と、被成形プレス部3と、制御装置20
と、コンプレッサー30と、ボイラー40などから構成
されている。
るように例えば高強度の鋼またはステンレスで製作され
た有底筒体からなり、その開口部には、蓋1aが開閉可
能に取り付けられている。この圧力容器1には、配管2
1を通して水蒸気が内部に供給され、かつ配管22を通
して圧力容器1の内部を除圧するための排気が行われ、
かつ配管23を通して圧力容器1内に残留した水等が外
部に排出される。
に適当な手段にて取り付け固定されたプレスシリンダー
2aと、圧力容器1の周壁を気密に貫通するピストンロ
ッド2bと、ピストンロッド2bの先端部に取り付け固
定された可動プレス板2cにより構成されている。
あり、コンプレッサー(compressor: 圧縮機)30によ
る空気圧により各々の弁(21a、22a、23a)を
制御する。具体的には、水蒸気用弁21aを調整するこ
とにより、ボイラー40から圧力容器1への水蒸気の供
給を調整し、圧力容器1内の水蒸気圧を制御する。ま
た、排気用弁22aを調整することにより、圧力容器1
内の排気を制御する。また、ドレン用弁23aを調整す
ることにより、圧力容器1内に残留した水等の排出を制
御をする。また、蓋1aやプレスシリンダー2aとも接
続されており、扉の開閉制御やプレス制御を行う。な
お、圧力容器1中に設けられた不図示の温度計や圧力計
を介して、制御装置20により、温度、圧力をモニタ可
能としている。
れた固定プレス板5に載置されている。図3に被成形プ
レス部3の構成を表す斜視図を示す。図3(a)に示す
ように、コの字型の溝を有する金枠6に、下型7、木材
10a、上型8、スペーサ9をセットすることにより、
図3(b)に示すような被成形プレス部3が構成される
ことになる。スペーサ9は、着色木材10の厚さを決定
するためのもので、所望の着色木材10の厚さに応じて
適当に交換することができることとなっている。
に、木材に転写するための不図示の凹凸模様を形成して
おり、また、下型7には模様は形成されておらず平坦と
なっている。なお、着色木材10の裏面に表面の凸部模
様に対して反転形状の凹部模様を形成する場合には、下
型7にも上型8に形成された凹凸模様に対して、反転形
状の凹凸模様を形成してもよい。この場合には、上型8
と下型7の対向面を合わせると上型の例えば凸模様が下
型の例えば凹模様にはめ込まれるようになっている。
装置を用いた着色木材の形成方法について説明する。こ
こで、本発明の着色木材の形成方法には、アガチス、ポ
プラ、カツラのいずれかの樹種からなる気乾状態の木材
を使用することが好ましい。樹種として、アガチス、ポ
プラ、カツラのいずれかを使用する理由については、後
述の実施例において説明する。ここで、気乾状態とは、
空気中で乾燥した場合における含水状態をいい、内部に
は水分を含んだ状態である。気乾状態における含水率
は、木材の乾燥方法や湿度により変化するが平均して8
〜15%程度である。気乾状態の木材を使用するのは、
一般的に材料の入手が容易だからである。なお、気乾状
態の木材は、例えば天然乾燥の他、温度や湿度を制御し
た乾燥機による人工乾燥など、適当な方法により形成さ
れる。
を説明するための各工程における時間−温度のグラフで
あり、図5は、図2(a)のB−B線における概略拡大
断面図を表したものであり、図5(a)は圧縮前の状
態、図5(b)は圧縮後の状態を示している。
型8、およびスペーサ9をセットして、被成形プレス部
3を形成する。
て、圧力容器1を開放し、上記の被成形プレス部3を圧
力容器1の内部に搬入して、固定プレス板5の上に載置
する。
1の蓋1aを閉じて、圧力容器1を密封した後、圧力容
器1の内部に配管21を通して、水蒸気を供給し、5分
程度(t1 )で木材の軟化温度として温度を80℃程度
(T1 )にまで上昇させ、この水蒸気雰囲気内で被成形
プレス部3を加熱する。そして、この軟化温度T1 の状
態で木材10aを30分程度(t2 )加熱すると木材1
0aは水蒸気および水蒸気によって加熱された金型の熱
を吸収して、軟化する。上記の木材の水蒸気処理による
軟化機構は、木材の主成分であるヘミセルロースおよび
リグニンが軟化して低分子化し、かつ木材の主成分であ
るセルロースが水蒸気により非晶質領域において結合が
切断され、結晶形態が変化するためと考えられている。
リンダー2により可動プレス板2cを降下させて、固定
プレス板5上に載置された被成形プレス部3のスペーサ
9を押圧し、上型8により木材に所望の模様を転写す
る。なお、この時、木材10aを断面積比で4/5〜1
/3程度に圧縮してもよい。この木材10aの圧縮の程
度は、スペーサ9の金枠6から突き出た高さにより、調
整することができる。
のままで、圧力容器1内に水蒸気を供給して、20分程
度(t3 )で180℃程度の形状固定温度T2 にまで上
昇させて、当該形状固定温度T2 で20分程度(t
4 )、水蒸気で加熱することにより、木材10aは、高
温の水蒸気によって化学変化を起こして、プレス成形に
よる変形が固定化され、かつ当該水蒸気処理によって、
木材が濃色化されて着色木材10となる。なお、圧力容
器1内の蒸気圧を、10kg/cm2 程度に調整するこ
とにより、180℃程度の温度となる。上記の高温高圧
の水蒸気処理によって圧縮成形された木材10aの形状
固定化の機構は、主として木材中のセルロースの結晶構
造変化に起因していると考えられている。また、上記の
木材10aが着色する機構は、水蒸気処理によって、木
材中のヘミセルロースの一部が分解され、フルフラール
類が生じることによるものと考えられている。なお、水
蒸気処理後の着色木材は、水蒸気処理により閉鎖してい
た木材の膜孔が開くため、木材中への薬剤の投入が容易
になり、木材の内部まで防腐、防虫処理が容易に行え、
乾燥時間も短縮できるという長所がある。
て1分程度(t5 )間欠的に排気させて除圧し、その
後、圧力容器1の開口部の蓋1aを開いて圧力容器1を
開放して、180分程度(t6 )だけ放置して温度を4
0℃程度(T3 )にまで下げる。なお、冷却するための
時間t6 を短縮するために、強制冷却(空冷、水冷)な
どを行ってもよい。
取り出して、着色木材を金型から離型することにより図
1に示す着色木材10に至る。
形成装置および形成方法によれば、木材として、アガチ
ス、ポプラ、カツラのいずれかを使用することにより、
水蒸気処理による圧縮成形後の着色木材には、美観を損
ねるような色むらのない、耐光性に優れた、外観が美麗
な着色木材を形成することができる。従って、水蒸気処
理による圧縮成形後に、着色塗装工程や研磨工程を有す
ることなく、耐候性や耐久性の観点からの仕上げの上塗
り塗装工程のみで、製品化することができるため、製造
工程の削減による製造コストの低減を図ることができ
る。また、下型7として、上型8に形成された凹凸模様
に対して、反転形状の凹凸模様を有するものを使用する
ことで、圧縮率を比較的均一にできることから、圧縮成
形後の着色木材における表面あるいは内部の割れ、剥
離、繊維方向の裂けなどの不利益を最小限に抑制するこ
ともでき、量産レベルにおいて、安定した品質を図れる
ことが可能となる。また、圧縮率を比較的均一にするこ
とで、着色木材の物性が均質となるため、軟化・形状固
定の反応機構が安定し、量産レベルでの品質が確保され
ることから、合理化かつ省力化を図ることができる。さ
らに、圧縮率を比較的均一にすることで、着色木材の強
度等の物性が均質となり、安定した品質を有する着色木
材を形成することができる。
が、木材がプレス時に横方向に広がり、圧縮成形後、着
色木材10の金型(上型8および下型7の他、金枠6を
含む)からの離型が困難な場合もあるため、被成形プレ
ス部3を以下に示すような構造とする。図6(a)は図
3(b)においてA方向から見た被成形プレス部3の圧
縮後の正面図、図6(b)は図3(b)においてB方向
からみた被成形プレス部3の圧縮後の側面図である。図
6(a)では、圧縮後の着色木材10の金型からの離型
の困難さを考慮して、金枠6の溝に、例えば角度x(例
えば2度)のテーパーを設けて、かつ、金枠6の底面に
開口部6aを設けている。これにより、上型8および下
型7に挟まれた着色木材10を、開口部6aに挿入し、
かつ下型7を押圧することが可能な高さの突起部15a
を有する突き出し治具15を使用して離型することがで
きる。具体的には、図7(a)に示すように、突き出し
治具15上に、突起部15aが開口部6aに挿入される
ようにして金枠6を設置し、突き出し治具15に対して
金枠6を降下させることで、突起部15aにより下型7
が押され、上型8および下型7に挟まれた着色木材10
が金枠6から押し出されることになる。その後、図7
(b)に示すように、上型8と下型7を離反させること
により、着色木材10が金型から離型されることにな
る。
であるが、木材がプレス時に横方向に広がり、圧縮成形
後、着色木材10の金型(上型8および下型7の他、金
枠6を含む)からの離型が困難な場合もあるため、被成
形プレス部3を以下に示すような構造とする。図8
(a)は着色木材10を間に有する上型8および下型7
の平面図、図8(b)は図8(a)の木材10aの平面
図、図8(c)は図8(a)においてD方向からみた側
面図を示したものである。図8(a)に示すように、あ
らかじめ下型7の例えば四隅にクランプ16を設置して
下型7を金枠6に固定しておき、木材10aも図8
(b)に示すように、クランプ16が形成された下型7
の形状に合わせ、かつ金型(7,8)からはみ出るよう
に加工したものを使用して、下型7上に設置して圧縮成
形を行う。圧縮成形後、着色木材10の金型(7,8)
からはみ出した部分に力を加えて上方へ引き上げて、金
枠6に固定された下型7から離型させる。その後、上型
8から離型させることにより、着色木材10が金型から
離型されることになる。
であるが、木材がプレス時に横方向に広がり、圧縮成形
後、着色木材10の金型(上型8および下型7の他、金
枠6を含む)からの離型が困難な場合もあるため、被成
形プレス部3を以下に示すような構造とする。図9は、
着色木材10を間に有する上型8および下型7の概略構
成図を示したものである。図9に示す上型8と下型7
は、それぞれ開口部(8a、7a)を有している。本実
施形態では、第2実施形態と同様にして金枠6から上型
8および下型7に挟まれた着色木材10を取り出した
後、開口部(8a、7a)に挿入し、かつ着色木材10
を押圧することが可能な高さの突起部15aを有する突
き出し治具15を使用する。すなわち、突き出し治具1
5上に、突起部15a部分が開口部(8a、7a)に挿
入されるようにして上型8および下型7に挟まれた着色
木材10を設置し、突き出し治具15に対して下型7を
降下させることで、突起部15aにより着色木材10が
押され、上型8および下型7に挟まれた着色木材10が
下型7から離型されることになる。同様にして、着色木
材10を上型からも離型することにより、着色木材10
が金型から離型されることになる。
れない。例えば、本発明の着色木材の形成方法の各工程
における温度、時間、圧力などの製造条件は、木材10
aの元となる樹木の種類、木材10aの大きさ、木材1
0aの物理的性質(比重、含水率等)等によって、種々
の条件を採用することができる。また、圧縮成形する方
向は、本実施形態において説明した方向に限定されるも
のではなく、種々の方向に圧縮成形することができる。
また、木材10aに転写する凹凸模様の形状に特に限定
はなく、例えば、直線状や曲線状、格子状などを組み合
わせた模様の他、記号、数字、文字など、およびこれら
を組み合わせたものであってもよい。また、片面のみに
凹凸模様を形成する場合に、上型8および下型7のいず
れか一方を省略することも可能である。
ることも効果的である。例えば、加熱状態で、木材に模
様を転写するための圧縮方向とは異なる方向に、木材を
予備圧縮した後に、本実施形態における圧縮工程を行
う。加熱状態で予備圧縮された木材は、極めて圧縮成形
しやすい状態となる。これにより、その後の圧縮成形を
スムーズに行うことができ、すなわち、割れ、裂け、剥
離を低減でき、安定した品質を確保することが可能とな
る。また、成形プレス前に予備圧縮を行うので、工程上
も非常に効率的である。その他、本発明の要旨を逸脱し
ない範囲で、種々の変更が可能である。
用いて、着色木材を形成した実施例について説明する。
ミン、メランティ、アガチス、ポプラ、アルダー、アユ
ース、雲杉、ラジアータパイン、米松、ゴム、セン、ブ
ナ、ナラ、スギ、ヒノキ、カラマツ、カツラ、ナトーの
19種類を使用して、本発明に係る着色木材の形成装置
により、片面のみに凹凸模様を有する着色木材を形成し
た。
して、全乾比重、気乾比重、含水率(%)について、算
出した。
各木材についての全乾状態のT方向長さ(mm)、R方
向長さ(mm)、L方向長さ(mm)、全乾重量(g)
を測定し、全乾比重を算出した。次に、各木材について
気乾状態のT方向長さ(mm)、R方向長さ(mm)、
L方向長さ(mm)、気乾重量(g)を測定し、気乾比
重を算出した。ここで、L方向とは木材の繊維(Textil
e )方向、R方向とは放射(Radial)方向、T方向とは
接線(Tangential) 方向を意味する。また、全乾状態と
は、木材を100〜110℃で重量変化がなくなるまで
乾燥した状態で、木材中に吸収された水分がほとんどな
い状態をいう。また、気乾状態とは、空気中で乾燥した
状態で、内部には水分を含む状態をいう。上記の全乾比
重および気乾比重とは、全乾状態あるいは気乾状態時に
おける重量を容積で割ったものを意味する。
重量をWu とすると、下記の式(2)によって算出され
る。
の含水率の算出結果を示す。なお、図10には、各木材
について3つのサンプルの気乾状態と全乾状態の重量、
T方向、R方向、およびL方向の寸法を測定し、全乾比
重、気乾比重、含水率を算出した平均値を掲載してあ
る。
実施形態に係る着色木材の形成装置において、上型8の
凹凸模様のみを木材の片面に転写して、図1(a)に示
すような凹凸模様を片面に有する着色木材を形成した。
ここで、圧縮成形に使用した木材は、T方向の長さが4
9.0(mm)、R方向の長さが12(mm)、L方向
の長さが280(mm)ものを使用し、R方向に圧縮成
形した(図1(a)参照)。また、圧縮成形後の着色木
材の長さは、T方向の長さが49.0(mm)、R方向
の長さが平坦部において6(mm)、L方向の長さが2
80(mm)であった。また、上型8および下型7は、
幅(T方向に対応)が50(mm)、厚み(R方向に対
応)が12(mm)、長さ(L方向に対応)が300
(mm)で、材質はアルミ製のものを使用した。また、
上型8は、木材へ転写する凹凸模様が形成されているも
のを使用し、下型7には、凹凸模様が形成されていない
平坦なものを使用した。
説明する。金枠6に、下型7、各木材10a、上型8、
スペーサ9をセットして、被成形プレス部3を形成し、
圧力容器1へ搬入後、圧力容器1の蓋1aを閉じて、圧
力容器1内に、水蒸気を供給し、時間5分(t1 )で温
度を木材の軟化温度として80℃(T1 )にまで上昇さ
せた。そして、軟化工程では、この軟化温度80℃(T
1 )の状態で木材10aを30分(t2 )だけ加熱し
て、木材10aを軟化させた。次に、形状固定の工程で
は、30〜250kg×2の力でプレスした。そして、
木材10aをプレス状態のままで、圧力容器1内に水蒸
気を供給して、20分(t3 )で175℃(T2 )にま
で上昇させて、当該形状固定温度175℃(T2 )を保
ちながら、20分(t4 )間加熱して形状固定を行っ
た。なお、圧力容器1内の蒸気圧を、9.0kg/cm
2 程度に調整することにより、175℃程度の温度を維
持することができる。
管22を通して1分間(t5 )間欠的に排気し、その
後、圧力容器1の開口部の蓋1aを開いて圧力容器1を
開放して、180分(t6 )だけ放置して温度を40℃
(T3 )にまで下げた後、着色木材10を取り出した。
の結果が得られた。図11において、割れは、剥離、繊
維方向の裂けなども含めた、片面のみに凹凸模様を形成
した場合における圧縮成形後の着色木材の表面および内
部状態の評価である。また、色むらとは、圧縮成形後の
濃色した着色木材の表面状態における、色むらの評価で
ある。また、転写性とは、上型8の凹凸模様が、着色木
材にどれだけ美麗に転写されたかの評価である。図11
に示すように、木材の種類により、水蒸気処理後の着色
状態が異なり、高温高圧水蒸気処理による圧縮成形後
に、研磨および着色塗装工程が不要なものと必要なもの
が存在した。
スを用いた場合には、茶色のメタリック塗装をしたよう
な質感を有する着色木材が得られた。また、ポプラを用
いた場合には、水蒸気処理後に、ぼかし塗装をしたよう
に、凹凸部に陰影を有する着色木材が得られた。また、
カツラを用いた場合には、水蒸気処理後に、全体的に均
一な茶色の着色木材が得られた。上記の着色木材を3
1.4Langley /時間で200時間、紫外線を照射する
耐光試験を行ったところ、変色などの弊害は一切生じな
かった。
チス、ポプラ、カツラのいずれかを使用することによ
り、水蒸気処理による圧縮成形後の着色木材には、美観
を損ねるような色むらのない、耐光性に優れた着色木材
を形成することができる。また、上記の材料を使用する
ことにより、割れ、剥離、繊維方向に裂けなどの不利益
の少ない良好な着色木材を形成することができる。従っ
て、水蒸気処理による圧縮成形後に、着色塗装工程や研
磨工程を有することなく、耐候性や耐久性の観点からの
仕上げの上塗り塗装工程のみで、製品化することができ
るため、製造工程の削減による製造コストの低減を図る
ことができる。ここで、木質材料に凹凸模様を転写する
プレス金型として、一方のプレス金型の凹部と、他方の
プレス金型の凸部とが略重なり合う互いに反転形状の凹
凸模様を有するプレス金型を使用することで、転写後の
着色木材の厚さが略均一になることから、圧縮率が略均
一となり、形状固定の過程において、割れ、剥離、繊維
方向の裂けなどの不利益を抑制することができ、量産レ
ベルにおいて、安定した品質を図ることが可能となる。
斜視図であり、図1(b)は、着色木材の裏面に表面の
凸部模様に対して反転形状の凹部模様が形成されている
場合における図1(a)のA−A線における概略拡大断
面図である。
を示す概略構成図であり、図2(b)は図2(a)のB
−B線における概略拡大断面図である。
を表す斜視図、図3(b)はセット後の被成形プレス部
の構成を表す斜視図である。
明するための各工程における時間−温度のグラフを示し
たものである。
大断面図の各工程における被成形プレス部の状態を表
し、図5(a)は圧縮前の状態、図5(b)は圧縮後の
状態を示している。
6(a)は図3(b)においてA方向から見た被成形プ
レス部の圧縮後の正面図、図6(b)は図3(b)にお
いてB方向からみた被成形プレス部の圧縮後の側面図で
ある。
方法の1例を示したものである。
8(a)は着色木材を間に有する上型および下型の平面
図、図8(b)は使用する木材の平面図、図8(c)は
図8(a)においてD方向からみた側面図を示したもの
である。
ての全乾比重、気乾比重、含水率(%)の算出結果を示
したものである。
色木材の評価結果を示したものである。
レスシリンダー、2b…ピストンロッド、2c…可動プ
レス板、3…被成形プレス部、4…架台、5…固定プレ
ス板、6…金枠、7…下型、8…上型、9…スペーサ、
10…着色木材、10a…木材、11…平坦部、12…
凸部模様、15…突き出し治具、15a…突起部、16
…クランプ、20…制御装置、21,22,23…配
管、21a,22a,23a…弁、30…コンプレッサ
ー、40…ボイラー。
Claims (7)
- 【請求項1】水蒸気雰囲気内で加熱軟化して圧縮成形さ
れ、当該圧縮状態でさらに高圧の水蒸気雰囲気内で硬化
して形状固定されることにより濃色化された表面に凸部
模様が形成されており、 少なくともアガチス、ポプラ、カツラのいずれかを含む
材料により構成されている着色木材。 - 【請求項2】前記着色木材は、その両面に凹凸模様を有
しており、凸部模様が形成された面と対向する他方の面
において、反転形状の凹部模様を有し、厚さがその内部
において略均一である請求項1記載の着色木材。 - 【請求項3】内部に所定の圧力を有する水蒸気が供給さ
れる圧力容器と、 前記圧力容器の内部に対向配置され、少なくともアガチ
ス、ポプラ、カツラのいずれかを含む木質材料へ模様を
転写する型を有する一対のプレス金型と、 前記プレス金型を動作させて前記木質材料を圧縮して、
当該木質材料に凹凸模様を転写させる駆動手段とを有す
る着色木材の形成装置。 - 【請求項4】前記一対のプレス金型は、一方のプレス金
型の凹部と、他方のプレス金型の凸部とが略重なり合う
互いに反転形状の凹凸模様を有する請求項3記載の着色
木材の形成装置。 - 【請求項5】少なくともアガチス、ポプラ、カツラのい
ずれかを含む木質材料を水蒸気雰囲気内で加熱して軟化
させる工程と、 前記木質材料を圧縮して、当該木質材料の少なくとも一
方の面に凸部模様を形成する工程と、 前記木質材料を圧縮状態のままで所定の圧力に設定され
た水蒸気雰囲気内で硬化させて形状固定し、かつ当該木
質材料表面を濃色化する工程とを有する着色木材の形成
方法。 - 【請求項6】前記凸部模様を形成する工程において、前
記木質材料の両面に凹凸模様を形成し、 凸部模様が形成された面に対向する他方の面において、
反転形状の凹部模様を有し、厚さがその内部において略
均一な着色木材を形成する請求項5記載の着色木材の形
成方法。 - 【請求項7】前記凸部模様を形成する工程の前に、 前記木質材料を加熱状態として当該木質材料の前記凹部
模様を形成するための圧縮方向とは異なる方向に圧縮す
る予備圧縮工程をさらに有する請求項5記載の着色木材
の形成方法。
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JP2000232485A JP3580536B2 (ja) | 2000-07-31 | 2000-07-31 | 着色木材の形成装置および形成方法 |
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