JP5864078B2 - 混練型wpcの製造方法 - Google Patents

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本発明は、混練型WPCの製造方法に関する。
木材を粉砕して細粒化したものを充填材として用い、ポリエチレンやポリプロピレン、ポリ塩化ビニル等の熱可塑性樹脂と複合化した材料は、既に製品化され、市場に流通している。これは、木材・プラスチック成形複合体(略称『混練型WPC』)と呼ばれている。
かかる木材・プラスチック複合体に木材を充填材として用いる理由は、耐熱性を上げる、強度を改善することのほか、樹脂に木質感を与える、原料コストを削減すること等にある。しかし、木材を始めとするリグノセルロース系材料は元来親水性で、一方樹脂は疎水性であり、いわば、水と油の関係にある。
両者のなじみをよくするためには、親水性を持たせた樹脂(以下、相溶化剤という) を用いるのが有効である。マレイン酸変性のポリプロピレンはその代表である。実際の製品にあっても、リグノセルロース系充填材と熱可塑性樹脂の他、相溶化剤を若干添加しているが、相溶化剤は高価であるので、コスト面から添加量が限られる。したがって、リグノセルロース系充填材の添加量にも制約があり、実用上はリグノセルロース系充填材50〜60%、樹脂40〜50%が限度であった。この割合を超えてリグノセルロース系充填材を用いると、成形時の流動性が悪くなるばかりか、強度や耐朽性、抗吸湿・吸水性、寸法安定性などの諸物性も低下するためである。
リグノセルロース系充填材の比率を60%以上に高めるためには、リグノセルロース系充填材を疎水化して、熱可塑性樹脂との相溶性を改善することが有効と考えられる。実際、薬剤を使ってリグノセルロース系充填材を化学修飾して、疎水化する試みが、以下に示すように、実験的にはいくつか行われている。
たとえば、特開平10−329109(特許文献1)では、リグノセルロース系充填材を多塩基酸無水物によりエステル化することで疎水化させている。それを用いた成形品の曲げ強度は無処理のリグノセルロース系充填材を用いたときよりも顕著に優れており、また、成形性も良い旨の記載がある。
岐阜県生活技術研究所の研究報告(1999年、29−32ページ)(非特許文献1)には、リグノセルロース系充填材をアリル化およびアセチル化した結果についての記載があるが、これらの化学修飾により、樹脂との複合材料にあっては、抗吸湿性等の物性が改善できたとされている。
さらには、第59回日本木材学会(2009年、松本市)において、京都府立大学の関雅子氏、中嶋聖充氏、古田裕三氏、大越誠氏は、リグノセルロース系充填材をアセチル化したときのポリプロピレンとの混練性について、また、近畿大学の橋本孝氏、高谷政広氏、岡本忠氏は、リグノセルロース系充填材のアセチル化が、成形品の強度、吸水性等の物性に及ぼす影響について発表している。そのときの要旨は、第59回日本木材学会大会研究発表要旨集収録CDに収められており、それぞれ「口頭発表C15−1615」(非特許文献2)、「ポスター発表PI021」(非特許文献3)の整理番号が付けられている。これらによると、リグノセルロース系充填材をアセチル化することで、混練性が改善できることおよび、強度性能が向上することや、吸水性が抑制できることなどが記載されている。
このように、木質材料からなるリグノセルロース系充填材を疎水化することの効果は認められているが、このような化学修飾は、処理方法が煩雑で、コストが嵩むために実用化には至っていないのが現状である。
一方、これとは全く違った考え方で、木材等のリグノセルロース系材料そのものに流動性を付与し、石油系のプラスチックに類似した成形体を得ようとする技術もある。その技術は、いずれも高温高圧の水蒸気を利用して、リグノセルロース系材料を、あるいはその一部を加水分解して低分子化させることで熱可塑性を付与するものである。
たとえば、特許第4081579号『リグノセルロース系材料及びその利用』(特許文献2)には、水蒸気処理で熱可塑性を付与したリグノセルロースにより成形体を製造する方法が記載されている。
特開2007−283489号公報には、水蒸気処理で熱可塑性を与えた木質系材料を射出成形する方法が記載されている。
また、特許第4371373号『木質系成形体の製造方法および木質系成形体』(特許文献4)には、圧力容器中での飽和水蒸気による加圧とその後の圧力開放、すなわち爆砕処理により、木材成分を分解して流動化させ、また粘着力を付与することで、樹脂との相溶性を改善する方法が記載されている。
このように、リグノセルロース系材料中に、十分な水が存在する条件下で水蒸気処理をした場合、適度に加水分解が生じ、成分が低分子化することで、リグノセルロース系材料は熱可塑性を示す。これらの技術では、熱可塑性のプラスチックを全く使わずとも、ほぼリグノセルロース系材料のみでプラスチック様の成形体ができるという長所がある反面、湿った高温の水蒸気で処理する必要があるため、高温高圧に耐えうる閉鎖系の容器が不可欠であることが実用化の支障となっている。また、加水分解により水酸基が新たに増加するため、成形体の耐水性が低下するという懸念もある。
特開平10−329109号公報 特許第4081579号 特開2007−283489号公報 特許第4371373号 岐阜県生活技術研究所 研究報告No.1、29−32ページ(1999年) 第59回日本木材学会大会研究発表要旨集収録CD 口頭発表C15−1615 第59回日本木材学会大会研究発表要旨集収録CD ポスター発表PI021
このような状況下にあって、発明者は簡便な手法により、リグノセルロース系材料をできる限り多く用いて、石油系プラスチックと遜色のない成形性、物性が発現する成形材料を作りたいと検討を重ねてきた。その方法として、一部に熱可塑性の樹脂を使い、そこにできるだけ多くのリグノセルロース系材料を充填することが、現時点では最良と考えた。それは、上述したとおり、リグノセルロースそのものに熱可塑性を付与して成形する技術ではまだ解決すべき課題が多く、リグノセルロース・熱可塑性樹脂複合材料の方が、実用化までのハードルが低いと考えたためである。
そこで、リグノセルロース系材料の疎水化方法について検討した。薬剤を用いる化学的な手法により木質材料を疎水化する技術については、本願発明者の一人が発明者である特許第1966527号『樹脂含浸による木材の表面硬化と寸法安定処理方法』にあるように、発明者にも十分な知見があり、また、上述したように先行技術においても、その効果が記載されているが、そのようなリグノセルロース系充填材を製造するためのコストが大きな問題であった。
木材の基礎科学(日本木材加工技術協会 関西支部編 海青社1995年11月1日初版第2刷) の48−50ページには、木材に寸法安定性を付与する方法として、いくつかの化学的処理方法と併せて熱処理の記載があり、それは疎水化によって寸法安定性が発現すると書かれている。しかし、ここでは詳細については書かれておらず、処理条件等は不明であった。
木材等のリグノセルロース系材料を疎水化するには、150℃程度ではほとんど効果が期待できないことは経験的に分かっていた。また、それを超える温度を与えると、リグノセルロース系材料は発火する危険性があった。また、前述のとおり、高温高圧の水蒸気を用いると、かえって吸湿性が高くなることも発明者は経験的に知っていた。そこで、ほぼ閉鎖系でありながら、ダンパーからごくわずかに排気ができる加熱槽を作ることにした。なお、『ダンパーからごくわずかに排気ができる』とは、ボイラーから導入される水蒸気の量に見合う量を排気するとの意味である。すなわち、水蒸気が閉止状態にしたダンパーの隙間から漏れ出るものであるため、正確な排気量を数値化することは困難であった。
前記の加熱槽にリグノセルロース系材料を入れ、酸素を含まない加熱気体を導入し続けることで空気を排除して、リグノセルロース系材料を燃焼させることなく熱処理をすることができる。このとき、加熱槽内は常圧である。加熱気体としてはたとえば、窒素ガスや水蒸気を挙げることができる。これらの気体を導入しつつ、炉内の電気ヒータなどで所定の温度に加熱するか、あらかじめ加熱したこれらの気体を槽内に導入するか、またあるいは両者を組み合わせることでリグノセルロース系材料を加熱処理する。処理されるリグノセルロース系材料の材温が180℃以上320℃以下になるように処理槽内の温度を調整する。180℃未満では疎水化がほとんど進まないし、320℃を超える温度では疎水化は短時間で進む一方で、リグノセルロース系材料の強度低下が著しく、そのために成形体の強度にも悪影響があるからである。特に好ましい条件は、リグノセルロース系材料の材温が200℃以上260℃以下である。
リグノセルロース系充填材は最終的には粉体であることが必須であるが、加熱処理は粉体で行うことも可能であるし、それよりも大きな状態、たとえば板材やチップで行った後に粉砕して充填材としてもよい。
あらかじめリグノセルロース系材料を入れてから加熱処理を行うバッチ式の加熱槽でも良いし、連続的に、あるいは断続的にリグノセルロース系材料を投入して、加熱槽内を移動させながら加熱処理を行う連続式の加熱槽でも良い。
このような過熱水蒸気を用いて常圧下で行う加熱処理では、リグノセルロース系材料に当初水分があった場合、全ての水が蒸発するまで、材料の温度は100℃を超えて上がらない。したがって、加水分解はほとんど起こらない。その一方で、熱分解が生じ、処理中にガス化したり、液体になったりして、リグノセルロース系材料からその成分の一部が分解・除去される。したがって、加熱処理前後では明らかに重量差がみられる。このとき、下式で表される重量減少率は極めて重要な意味を持ち、それが5%以上40%以下になるように加熱処理を行うのがよい。すなわち、重量減少率が5%未満であるときには、リグノセルロース系材料の疎水化が顕著ではなく、40%を超えると疎水化が進んでいる一方で、リグノセルロース系材料の強度低下が著しく、そのために成形体の強度にも悪影響があるからである。特に好ましい条件は、リグノセルロース系材料の重量減少率が10%以上30%以下である。そのときのリグノセルロース系材料には極めて高い耐朽性(木材腐朽菌に対する抵抗性) が付与されているからである。なお、重量減少率の調整は、加熱処理の温度と時間の組み合わせで行うことができる。
式1
Figure 0005864078
このように加熱処理および粉砕を終えたリグノセルロース系充填材と、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂を混練して成形原料とする。混練には樹脂ペレット製造時に用いられるペレタイザーを用いるのが至便であるが、スーパーミキサーなどの混練装置を用いてもよいし、そのような装置がない場合、所定の割合で充填材と熱可塑性樹脂を単に混合するだけでも、成形原料を調製できる。このとき、熱可塑性樹脂の一部に、マレイン酸等の付加を行い、極性を持たせた樹脂、すなわち、相溶化剤を添加してもよい。これにより、充填材と樹脂とのさらなる親和性が得られる。
リグノセルロース系充填材と熱可塑性樹脂は、任意の割合で混練することができる。しかし、リグノセルロース系充填材の割合が50%未満のときには、成形品の扱いが木材ではなくなり、廃棄のときの処分方法が自治体により異なるなど、不利になることが多いので、リグノセルロース系充填材の割合は50%以上であることが望ましい。この複合材料は、処分時には木材等のリグノセルロース材料と同等と見なされる。一方、その後の押出、あるいは射出等による成形時の流動性を考えた場合、リグノセルロース系充填材の割合は90%以下であることが望ましい。
このようにして調製した成形原料は、押出、射出あるいは圧縮成形等のいわゆる流動成形により自由な形状に成形することができる。
本発明に係る混練型WPCの製造方法で製造された混練型WPCであると、無処理のリグノセルロース系材料を用いたときに比べて、リグノセルロース系材料の比率を高くしても、流動性が良好で、成形速度を速くすることができる、射出成形が可能になるなどメリットが多い。さらには成形時のはみ出し(バリ)が少なくなるなど、成形品の仕上がりが良くなるという効果もある。また、成形品の物性についてもその効果は顕著であり、無処理のリグノセルロース系材料を用いたときに比べて、耐朽性や強度性能が高くなる。吸湿性や吸水性が低くなり、寸法安定性が良くなるなどの効果がある。特に、リグノセルロース系材料を高充填したときに、疎水化の効果は顕著となる。これにより、リグノセルロース系材料を50%を超えて高充填しても、石油系プラスチックと遜色のない性能が発現する。
スギ辺材試験材における過熱水蒸気処理時間、温度と、重量減少率との関係を示すグラフである。 スギ辺材試験材における過熱水蒸気処理時に発生した重量減少率と、耐朽試験時の重量減少率との関係を示すグラフである。 スギ辺材試験材における過熱水蒸気処理時に発生した重量減少率と、抗吸湿能(MEE)ならびに抗膨潤能(ASE)との関係を示すグラフである。 針葉樹4種、広葉樹1種およびモウソウチク試験材における過熱水蒸気処理時に発生した重量減少率と、耐朽試験時の重量減少率との関係を示すグラフである。 無処理ならびに種々の条件で過熱水蒸気処理したスギ辺材の成分分析結果を示すグラフである。 本発明の実施の形態に係るリグノセルロース系充填材を製造するためにリグノセルロース系材料を疎水化するための加熱処理槽の概略的構成図である。
以下、実施例を紹介するが、ここに記載された内容が全てではなく、これらによって本願発明が制約されるものではない。
なお、以下の実施例や比較例において、抗吸湿能(MEE)や抗膨潤能(ASE)は、30℃で相対湿度が95%の条件下での平衡時に測定した含水率および木口面の膨潤率を用いて、以下の式で表すものとする。
式2
Figure 0005864078
式3
Figure 0005864078
また、以下の実施例1、実施例2では、60℃で乾燥させた3年生のモウソウチク材ならびにスギ辺材をそれぞれリグノセルロース系材料として用いる。
本発明の第1の実施の形態に係る混練型WPCの製造方法(実施例1)では、以下のようにして混練型WPCが製造される。
リグノセルロース系材料の疎水化
リグノセルロース系材料としての3年生のモウソウチク材を厚さ方向には加工せずに、30mm(T)×350mm(L)に切り出し、60℃で乾燥させた後、図6に示すようなバッチ式の加熱処理槽を用い、過熱水蒸気により、240℃で2時間加熱処理を行う。この加熱処理によりリグノセルロース系材料としてのモウソウチク材は、29%の重量減少があった。このモウソウチク材の材色は著しく暗色化していたが、材料の形状はほぼ元のままであることが確認された。
なお、前記加熱処理槽は、ボイラーから導入される酸素を含まない水蒸気の量に見合う量を排気することができるものであり、空気を排除しつつ過熱水蒸気による加熱処理を常圧雰囲気下で行う。
疎水化されたリグノセルロース系材料の粉砕
次に、上記工程において過熱水蒸気による処理が施されたリグノセルロース系材料であるモウソウチク材を粗粉砕した後、ハンマーミルに0.5mmの金網を設けて再粉砕した。得られたモウソウチク材は分級することなく全てをリグノセルロース系充填材として用いた。
なお、粉砕されたモウソウチク材の竹粉であるリグノセルロース系充填材の疎水化は進行しており、無処理の3年生のモウソウチク材を粉砕した無処理竹粉の含水率は18.4%であり、加熱処理した3年生のモウソウチク材を粉砕した加熱料理竹粉の含水率は8.4%であった。
これからも、過熱水蒸気による処理が施されたリグノセルロース系材料であるモウソウチク材を粉砕したリグノセルロース系充填材の疎水化が進行していることが確認できる。
このようにして製造されたリグノセルロース系充填材は、以下のようにしてリグノセルロース・熱可塑性樹脂複合材料である混練型WPCとなる。
リグノセルロース系充填材と熱可塑性樹脂との混練
前記過熱水蒸気処理が施された竹粉、すなわちリグノセルロース系充填材80部に対して、ポリプロピレン20部、それに相溶化剤としてマレイン酸変性ポリプロピレン2部を加え、ヘンシェルミキサーにより混練することで、リグノセルロース・熱可塑性樹脂複合材料である混練型WPCとなる。
なお、混練時のヘンシェルミキサーの温度はポリプロピレンの融点以上の170℃程度にまで上昇した。冷却後に取り出した混練物としてのリグノセルロース・熱可塑性樹脂複合材料である混練型WPCは大きなかたまりであり、全体が混練中に溶融したことがうかがえた。
このようにして得られたリグノセルロース・熱可塑性樹脂複合材料である混練型WPCを粗粉砕した後、10mmの金網を付けたハンマーミルにより再粉砕し、ホットプレスによる圧縮成形試験に供した。プレス温度はポリプロピレンの融点以上の170℃に設定した。粉砕した混練型WPC約80gをテフロン(登録商標)製のシートにはさみ、プレス面のクリアランスが約1mmとなるように圧縮した。
約5分間圧締の後、圧力を開放して観察すると、直径約300mmで厚さ約1mmのプラスチック様の薄板状の成形体ができていた。圧力開放時には成形物は暖かく、極めて柔らかかったが、温度が低下して室温に近づくにつれ堅固になり、プラスチック様独特の熱特性を示した。
前記混練型WPCを粗粉砕した後、10mmの金網を付けたハンマーミルにより再粉砕し、押出成形試験に供した。
コニカルタイプの二軸式押出成形機に、幅60mm、厚さ10mmの形状の成形体が作製できる金型を取り付け、半固化成形により成形体を作製した。シリンダ温度を160℃、ダイス温度を140℃として、スクリュー回転速度(回転速度は押出速度に比例する)を8rpmにすることで、シリンダ内の圧力は10MPa程度となり、良好な押出成形体を得ることができた。
すなわち、この混練型WPCは、圧縮成形であっても、押出成形であっても良好な成形体を得ることができるものであることが確認できた。
上述の押出形成により得られた押出成形体(実施例1)から厚さ(10mm)はそのままにして、20mm角の試験材を切り出し、JIS K 1571に基づいて、その耐朽性を室内ビン試験により評価した。
その結果、オオウズラタケによる重量減少率は0.0%、カワラタケによるそれは0.0%で、極めて高い耐朽性を示した。
前記押出成形体(実施例1)を厚さ(10mm)と幅(60mm)はそのままにして、長さ200mmに切断して曲げ試験材とした。スパンを150mmとして、中央集中荷重により曲げ弾性率を求めた。なお、曲げ試験機のヘッドスピードは5mm/minとした。その結果、5体の試験材の平均値は6.0GPa、標準偏差は0.12GPaであった。
前記押出成形体(実施例1)を厚さ(10mm)と幅(60mm)はそのままにして、長さ60mmに切断して吸水試験材とした。この吸水試験材を25℃の水中に沈め、浸漬させてから24時間後に重量と厚さを測定し、吸水率と厚さの変化率を求めた。厚さの測定は両切り口から20mmのところの中央付近2カ所で行い、その平均値を求めた。なお、浸漬後の測定は吸水試験材の表面の水分を軽く拭き取って行った。
その結果、吸水率は1.0%、厚さ変化率は0.0%であった。
上述した実施例1に係る混練型WPCの製造方法とは異なる混練型WPCの製造方法を実施例2として挙げる。
本発明の第2の実施の形態に係る混練型WPCの製造方法は、以下のようになっている
上述した実施例1のように3年生のモウソウチク材ではなく、30mm角で長さ約350mmに切削加工したスギ辺材をリグノセルロース系材料として使用した。
このリグノセルロース系材料としてのスギ辺材をあらかじめ60℃で乾燥させた後、図6に示すバッジ式の加熱処理槽を用いて、過熱水蒸気により、220℃で24時間加熱処理を行った。このとき加熱処理により15.5%の重量減少があった。
なお、前記加熱処理槽は、ボイラーから導入される酸素を含まない水蒸気の量に見合う量を排気することができるものであり、空気を排除しつつ過熱水蒸気による加熱処理を常圧雰囲気下で行う。
疎水化されたリグノセルロース系材料の粉砕
この過熱水蒸気による処理の後、粗粉砕した。粗粉砕されたスギ辺材をハンマーミルに0.5mmの金網を付けて再粉砕して、リグノセルロース系充填材(実施例2)とする。
リグノセルロース系材料充填材(実施例2)と熱可塑性樹脂との混練
得られたスギ木粉は分級することなく全量をリグノセルロース系充填材(実施例2)として用いた。この過熱水蒸気処理が施されたリグノセルロース系充填材(実施例2)80部に対して、熱可塑性樹脂としてのポリプロピレン20部、それに相溶化剤としてマレイン酸変性ポリプロピレン2部を加え、ヘンシェルミキサーにより混練して、リグノセルロース・熱可塑性樹脂複合材料(実施例2)を得た。
このリグノセルロース・熱可塑性樹脂複合材料(実施例2)(混練物)をペレット化した後、流動を伴う成形工程である押出成形をして押出成形体(実施例2)である混練型WPCを得た。これを用いて、上記と同じ方法で耐朽性、強度性能、吸水性および寸法安定性を評価した。
耐朽性試験の結果、過熱水蒸気処理をしたスギ木粉、すなわちリグノセルロース系充填材(実施例2)を用いて、流動を伴う成形工程である押出成形をして得られた混練型WPCは、オオウズラダケ、カワラタケによる重量減少率がそれぞれ0.9%と0.8%であった。曲げ弾性率の平均値と標準偏差は6.87GPa、0.20GPaであった。また、吸水率と厚さの変化率は1.0%と0.0%であった。
リグノセルロース系材料としての気乾状態にあるスギチップ(全乾重量換算25kg)を、ほぼ閉鎖系でありながら、ダンパーからごくわずかに排気ができる連続式の加熱処理槽内に、1時間あたり約7kgを投入して、240℃に調整した加熱処理槽内をスクリューにより順次送り、加熱処理槽に滞留すること約1時間かけて過熱水蒸気による加熱処理をした後、生蒸気で空気を置換した貯蔵槽で150℃以下になるまで冷却した。
このとき、加熱処理後のチップの全乾重量は約20kgであり、加熱処理により20%の重量減少があった。このチップと無処理チップを実施例1と同条件、すなわち30℃で相対湿度95%の条件下で平衡になるまで調湿したところ、無処理チップの含水率が20.2%であったのに対して、加熱処理チップのそれは11.2%であり、これからMEEを求めると44.6%となり、実施例1で用いたバッチ式の加熱槽と同等の疎水化が、連続式の装置でもできることが明らかになった。
ところで、処理温度と時間が、耐朽性や吸湿性に与える影響について詳細な検討を行うために、耐朽性の評価には20mm(T)×20mm(R)×10mm(L)、吸湿性の評価には30mm(T)×30mm(R)×10mm(L)に切削加工したスギ辺材試験材を用いた。
このスギ辺材試験材をほぼ閉鎖系でありながら、ダンパーからごくわずかに排気ができるバッチ式の加熱処理槽内にそれぞれが密着しないように入れ、過熱水蒸気により槽内の空気を置換して、材温を200〜260℃、所定温度に達した後の加熱時間を0.5〜72時間として処理を行い、過熱水蒸気処理に伴う重量減少率を、前記式1により求めた。過熱水蒸気処理の条件とそれに伴う重量減少率との関係を図1に示す。
図1から判明するように、処理温度が高くなるほど、また、処理時間が長くなるほど、スギ辺材試験材の重量減少率は大きくなった。特に、処理温度はスギ辺材試験材の重量減少率に極めて大きな影響を及ぼし、200℃、72時間の処理で発現する重量減少率は、220℃では約8時間、240℃では2時間、260℃では30分以内に得られた。
耐朽性は、JIS K 1571に基づき、木材腐朽菌としてオオウズラタケならびにカワラタケを用いて、室内ビン試験により評価した。試験前後にスギ辺材試験材の全乾重量を測定して、腐朽による重量減少率を求めた。図2には、過熱水蒸気処理に伴う重量減少率と、木材腐朽菌による重量減少率との関係を示した。
過熱水蒸気処理によって、腐朽による重量減少が明らかに少なくなる、すなわち、耐朽性が高くなった。特に、過熱水蒸気処理時の重量減少率が10%を超えると、木材腐朽菌による重量減少が数%以下になり、極めて高い耐朽性を示した。図2によると、加熱温度や加熱時間の如何に関わらず、過熱水蒸気処理に伴う重量減少率が高くなるほど耐朽性が発現することが分かった。
吸湿性と寸法安定性の評価は前記と同様に行った。図3には過熱水蒸気処理に伴う重量減少率と、式2により求めたMEEならびに、式3により求めたASEとの関係を示した。
過熱水蒸気処理によって、MEEは明らかに高くなった。MEEの計算式からも分かるように、これは過熱水蒸気処理に伴って平衡含水率が低下すること、すなわち、疎水化が進んでいることを意味している。図3によると、処理に伴う重量減少率が5%以下ではMEEが20%以下であり、疎水化はあまり顕著ではないが、それを超えると疎水化は顕著となり、特に、10%を超えると平衡含水率は無処理時のほぼ半分に、すなわちMEEは約50となり、疎水化が顕著となった。
また、加熱処理に伴い寸法安定性も改善された。加熱処理に伴う重量減少率が5%のときASEは約40%、重量減少率が10%ではASEは50%に達し、顕著に寸法安定性が改善した。このときも、加熱温度や加熱時間の如何に関わらず、過熱水蒸気処理に伴う重量減少率が高くなるほど、疎水化と寸法安定化が発現することが分かった。
このように、過熱水蒸気処理に伴う重量減少率は、リグノセルロース系材料の疎水化の程度などの物性に関して、極めて重要な意味を持つことが明らかになった。また、水蒸気を使った加熱であっても、常圧下での過熱水蒸気による処理では、特許第4081579号や特開2007−283489号公報などの先行技術に示された高温高圧下でのそれとは全く異なり、疎水化が進行することが明らかになった。
上述した20mm(T)×20mm(R)×10mm(L)のスギ辺材試験材の他に、スギ、ヒノキ、ベイマツ、ベイツガとアルダーの心材、それに3年生のモウソウチクを試験材として重量減少率等を調べた。
モウソウチク材は、厚さ方向には加工せずに、30mm(T)×10mm(L)に切り出した。上記と同様に、200〜260℃で2〜8時間の過熱水蒸気処理を行い、過熱水蒸気処理に伴う重量減少率を、前記式1により求めた。続いて、JIS K 1571に基づく室内ビン試験により、その耐朽性を評価した。図4には、過熱水蒸気処理をした際に生じる重量減少率と、木材腐朽菌による重量減少率との関係を示した。オオウズラタケでは過熱水蒸気処理時の重量減少率と木材腐朽菌による重量減少率との関係が、樹種により若干異なったが、いずれにしても、過熱水蒸気処理によりある程度の重量減少が生じたときには、高い耐朽性が付与できることが明らかになった。
さらに、30mm(T)×30mm(R)×80mm(L)に切削加工したスギ辺材試験材を用いて、上記と同様の方法で過熱水蒸気処理を行い、処理に伴う重量減少率を、前記式1により求めた。
過熱水蒸気処理が施されたスギ辺試験材を粗粉砕した後、ハンマーミルに0.5mmの金網を付けて再粉砕した。得られた木粉は分級することなく全量を用いて、成分分析を行った。全乾重量に換算して8gを精秤して、円筒濾紙に入れ、ソックスレー抽出器を用いてエタノール・ベンゼン混液(体積比1:2)にて、抽出液が透明になるまで抽出を行った。抽出液を105℃で乾燥させて、エタノール・ベンゼン可溶分を求めた。
続いて、105℃で全乾状態にした抽出後の木粉4gを精秤して、環流冷却管を付けた三角フラスコに入れ、300mlの蒸留水を用いて、4時間熱水抽出を行った。
抽出後の木粉を105℃で乾燥させて、抽出前後の重量差から熱水可溶分を求めた。
両抽出を終えた全乾状態の木粉1gを50mlビーカーに入れ、72%硫酸15mlを加えて、時折かき混ぜながら室温にて4時間加水分解した。
さらに、その全量を570mlの熱水を用いて1リットル容の三角フラスコに移して、3%に希釈された硫酸で環流しながら煮沸することで、4時間加水分解を続けた。その結果得られた残渣を1G3のガラスフィルターで濾過して、105℃で乾燥させて秤量し、酸不溶分を求めた。
なお、この処理で酸に可溶になった量も計算により求めた。通常の木材分析法では、この酸不溶分は、リグノセルロース系材料におけるリグニン成分、一方、酸可溶分はヘミセルロースやセルロースなど、細胞壁を構成している多糖類と定義されている。分析結果は、図5に示すとおりで、過熱水蒸気処理によって、抽出成分(エタノール・ベンゼン可溶分と熱水可溶分の合計量) は若干増加する程度で、ほとんど変化がないと言って良い。
一方、酸不溶分(リグニン) は明らかに増加し、酸可溶分(多糖体) は減少した。おそらくはセルロースよりも熱に弱いヘミセルロースが主に熱分解された結果と推定できる。木材等のリグノセルロース系材料において、リグニンは疎水性であり、ヘミセルロースは最も親水性であることは一般的に知られていることで、この分析結果から、過熱水蒸気処理にあって、リグノセルロース系材料が疎水化する理由は、リグニンの占める割合の増加と、ヘミセルロースの占める割合の減少であることが裏付けられた。また、後述する比較例においても示すように、飽和水蒸気による高温高圧での加熱処理では抽出成分が著しく増加し、リグニンはむしろ微減するなど、常圧下での過熱水蒸気処理とは大きく異なり、両者が全く別の処理であることが裏付けられた。
次に、上述した実施例1及び実施例2の比較対照例となる比較例について説明する。
比較例1
まず、チップ状にした3年生のモウソウチク(全乾重量換算15kg) に対して、含水率が100%になるように水を加えて(全乾重量の竹材と水との重量比が1:1)、オートクレーブを用いて飽和水蒸気で、200℃で15分間の加熱(蒸煮) 処理を行った。このとき、竹チップは形状がかなりくずれており、また、相当量の水分を含み、維管束部分は繊維状に、その他の部分は粘土状になっていた。全体を60℃で送風乾燥した後、ハンマーミルに0.5mmの金網を付けて粉砕することで、リグノセルロース系充填材(比較例1)とした。このリグノセルロース系充填材(比較例1)を用いて、実施例4と同様にMEEを求めたところ、−19%(蒸煮処理竹粉の含水率22.0%、無処理竹粉の含水率18.4%)となり、疎水化とは逆に親水化が進んでいることが確認された。
なお、上述のように親水化が進んだ原因としては、次に示す実験とその結果を踏まええて、以下のことが考えられる。
気乾状態にあるスギチップ(全乾重量換算15kg)に対して、含水率が100%になるように水を加えて(全乾重量のスギ材と水との重量比が1:1)、オートクレーブを用いて飽和水蒸気で、190℃で20分間の加熱(蒸煮) 処理を行った。このとき、過熱水蒸気を用いた解放系での処理とは異なり、スギチップはかなり解繊が進んでおり、また十分な水分を含んでいた。全体を60℃での送風乾燥の後、ハンマーミルに0.5mmの金網を付けて粉砕し、この木粉全量を用いて、成分分析を行った。
その結果、抽出成分(エタノール・ベンゼン可溶分と熱水可溶分の合計量) は、処理前の4.7%から20.0%に増加する一方で、リグニンは処理前の31.5%から29.9%に微減、多糖類は63.7%から50.1%に減少することが明らかになった。多糖類の減少分と、抽出成分の増加分がほぼ同じであり、それは主には多糖類が加水分解により低分子化して、水などに可溶な糖類が生成した結果と推定された。
このように、飽和水蒸気による湿った状態での加熱では、疎水性のリグニンの含有率に変化がないか、むしろ減少することと、リグノセルロース系材料の細胞壁を構成する多糖類が低分子化して水酸基が増え、より一層親水性となったことが、比較例1の結果が示すように、材料全体の親水性が増した理由と推定された。
この蒸煮処理竹粉の粉砕物をリグノセルロース系充填材(比較例1)として80部、それにポリプロピレン20部と、相溶化剤としてマレイン酸変性ポリプロピレン2部を加え、ヘンシェルミキサーにより混練した。このとき、ヘンシェルミキサーの温度はポリプロピレンの融点である170℃程度にまで上昇した。冷却後に取り出したとき、ポリプロピレンの樹脂ペレットは混練中に溶融して、混練後にはその形状が明らかではなかったが、リグノセルロース・熱可塑性樹脂複合材料(比較例1)全体としては粉状であり、混練物全体が溶融した形跡はなかった。
比較例2
また、60℃で乾燥させた3年生のモウソウチク材を粗粉砕の後、ハンマーミルに0.5mmの金網を付けて再粉砕して、リグノセルロース系充填材(比較例2)とした。このリグノセルロース系充填材(比較例2)は分級することなく全てを充填材として用いた。
このリグノセルロース系充填材(比較例2)80部に対して、ポリプロピレン20部、それに相溶化剤としてマレイン酸変性ポリプロピレン2部を加え、ヘンシェルミキサーにより混練した。このとき、ヘンシェルミキサーの温度はポリプロピレンの融点である170℃程度にまで上昇した。冷却後に取り出したとき、ポリプロピレンの樹脂ペレットは混練中に溶融して、混練後にはその形状が明らかではなかった。また、混練物の一部は小さな固まりとなっていて、一部には溶融した形跡が認められたが、混練物全体が均一に溶融するには至らなかった。
比較例3
60℃で乾燥させた3年生のモウソウチク材を粗粉砕の後、ハンマーミルに0.5mmの金網を付けて再粉砕した。得られた竹粉は分級することなく全てをリグノセルロース系充填材(比較例3)として用いた。
このリグノセルロース系充填材(比較例3)80部に対して、ポリプロピレン20部、それに相溶化剤としてマレイン酸変性ポリプロピレン2部を加え、ヘンシェルミキサーにより混練した後、押出成形により押出成形体(比較例3)を得た。
比較例3で得られたリグノセルロース・熱可塑性樹脂複合材料(比較例3)をペレット化してホットプレスによる圧縮成形試験に供した。プレス温度はポリプロピレンの融点である170℃に設定した。混練物約80gをテフロン(登録商標)製のシートにはさみ、プレス面のクリアランスが約1mmとなるように圧締した。約5分間圧締の後、圧力を解放して観察したが、圧締の前と後とで、リグノセルロース・熱可塑性樹脂複合材料(比較例3)の形状に大きな変化はなく、プラスチック様の薄板状成形体を得ることはできなかった。
比較例3で得た押出成形体(比較例3)に対して、実施例1や実施例2と同一条件下で耐朽性、曲がり試験、吸水率、厚み変化率を測定した。
すなわち、上述した押出成形で成形された押出成形体(比較例3)を厚さ(10mm)はそのままにして、20mm角の試験材を切り出し、実施例1のリグノセルロース・熱可塑性樹脂複合材料(実施例1)に行ったのと同一条件で、JIS K 1571に基づいて、その耐朽性を室内ビン試験により評価した。その結果、オオウズラタケ、カワラタケによる重量減少率は、それぞれ3.0%と2.1%であった。
また、前記押出成形体(比較例3)を厚さ(10mm)と幅(60mm)はそのままにして、長さ200mmに切断して曲げ試験材とした。その結果、5体の押出成形体(比較例4)の平均値は4.87GPa、標準偏差は0.16GPaであった。
さらに、前記押出成形体(比較例3)を厚さ(10mm)と幅(60mm)はそのままにして、長さ60mmに切断して吸水試験材とした。その結果、押出成形体(比較例4)の吸水率は2.0%、厚さ変化率は1.0%であった。
比較例4
60℃で乾燥させたスギ辺材を粗粉砕の後、ハンマーミルに0.5mmの金網を付けて再粉砕した。得られたスギ木粉は分級することなく全てをリグノセルロース系充填材(比較例4)として用いた。
このリグノセルロース系充填材(比較例4)80部に対して、ポリプロピレン20部、それに相溶化剤としてマレイン酸変性ポリプロピレン2部を加え、ヘンシェルミキサーにより混練した後、押出成形により押出成形体(比較例4)を得た。
この押出成形体(比較例4)に対して耐朽性の評価、強度性能の評価、吸水性および寸法安定性の評価を行った。耐朽性試験の結果、複合材料のオオウズラタケ、カワラタケによる重量減少率はそれぞれ3.3%と1.0%であった。曲げ弾性率とその標準偏差はそれぞれ6.02GPa、0.50GPaであった。また、吸水率と厚さの変化率はそれぞれ、2.0%と1.0%であった。
比較例1で示した蒸煮処理をしたモウソウチク材を粉砕して得られたリグノセルロース系充填材(比較例1)や、比較例3で示した60℃で乾燥させたモウソウチク材を粉砕して得られたリグノセルロース系充填材(比較例3)を充填材として用いたとき、シリンダ温度170℃、ダイス温度150℃に設定し、押出し成形を試みたが、スクリューの回転速度を3rpm以上にすると、同装置のシリンダの許容最大圧力25MPaに近づいた。そこで、スクリューの回転速度3rpm以下として成形品を得たが、成形体の表面はざらついていて、成形状態は良好ではなかった。
この結果からも、実施例1に示すように、リグノセルロース系充填材を加熱処理して疎水化することで、リグノセルロース・熱可塑性樹脂複合材料全体の流動性が高まり、成形速度を2倍以上にまで高めても、良好な成形体が得られることが分かった。
すなわち、本発明の実施例1、実施例2及び比較例3、比較例4に係るリグノセルロース・熱可塑性複合材料の耐朽性、曲げ試験結果、吸水率等は以下のようになる。
実施例1(過熱蒸気処理竹充填材を用いた樹脂複合体)
オオウズラダケによる重量減少率 0.0%
カワラタケによる重量減少率 0.0%
曲げ試験 平均値 6.0GPa
標準偏差 0.12GPa
吸水率 0.1%
厚さ変化率 0.0%
実施例2(過熱蒸気処理スギ充填材を用いた樹脂複合体)
オオウズラタケによる重量減少率 0.9%
カワラタケによる重量減少率 0.8%
曲げ試験 平均値 6.87GPa
標準偏差 0.20GPa
吸水率 1.0%
厚さ変化率 0.0%
比較例3(無処理竹充填材を用いた樹脂複合体)
オオウズラタケによる重量減少率 3.0%
カワラタケによる重量減少率 2.1%
曲げ試験 平均値 4.87GPa
標準偏差 0.16GPa
吸水率 2.0%
厚さ変化率 1.0%
比較例4(無処理スギ充填材を用いた樹脂複合体)
オオウズラタケによる重量減少率 3.3%
カワラタケによる重量減少率 1.0%
曲げ試験 平均値 6.02GPa
標準偏差 0.50GPa
吸水率 2.0%
厚さ変化率 1.0%
すなわち、本発明に係る実施例1や実施例2に示した混練型WPCの製造において、常圧の過熱水蒸気で加熱処理したリグノセルロース系材料を充填剤として用いることで、リグノセルロース系充填剤の割合を従来より極めて高く設定しても、高い流動性を発揮して、流動を伴う成形が可能となることが確認できた。また、流動成形により成形した混練型WPCでは、常圧の過熱水蒸気で加熱処理したリグノセルロース系材料を充填剤として用いることで、耐朽性や寸法安定性など、優れた物性を有することを確認した。

Claims (4)

  1. 熱可塑性樹脂とリグノセルロース系材料とを混合してなる混練型WPCの製造方法において、リグノセルロース系材料をボイラーから導入される酸素を含まない水蒸気の量に見合う量を排気することができる加熱処理槽で空気を排除しつつ過熱水蒸気による加熱処理を常圧雰囲気下で行って疎水化させる工程と、この工程で疎水化されたリグノセルロース系材料を粉砕する工程と、この工程で粉砕されたリグノセルロース系材料に熱可塑性樹脂を混合して混練する工程と、この工程で得られたリグノセルロース系材料と熱可塑性樹脂との混練物に対して流動を伴う成形工程とを有する混練型WPCの製造方法において、前記加熱処理槽における加熱は、リグノセルロース系材料の材温が200℃以上260℃以下であることを特徴とする混練型WPCの製造方法。
  2. 前記過熱水蒸気は、常圧下で180℃以上であることを特徴とする請求項1記載の混練型WPCの製造方法。
  3. 前記加熱処理槽における加熱による全乾燥重量を基準とする重量減少率が5%以上40%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載の混練型WPCの製造方法。
  4. 前記リグノセルロース系材料を、断続的に投入し、空気を排除した常圧の雰囲気下を移動させながら加熱することを特徴とする請求項1、2又は3記載の混練型WPCの製造方法。
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