JPWO2017130871A1 - 酸ハライド溶液の製造方法、及びモノエステル化合物の製造方法 - Google Patents

酸ハライド溶液の製造方法、及びモノエステル化合物の製造方法 Download PDF

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Abstract

本発明は、重合性液晶化合物を製造する際に有用な酸ハライド溶液の製造方法を提供する。本発明の酸ハライド溶液の製造方法は、非水混和性有機溶媒中において、特定のジカルボン酸化合物を、このジカルボン酸化合物に対して1.1当量以上3.0当量以下の活性化剤存在下、ハロゲン化剤と反応させることにより、酸ハライド化合物を含む溶液と、前記酸ハライド化合物を含む溶液と混和しないオイル状液体物とからなる反応液を得る第1工程、及び、前記第1工程において得られた前記反応液から前記オイル状液体物を除去し、前記酸ハライド化合物を含む精製液を得る第2工程を含む。

Description

本発明は、重合性液晶化合物を製造する際に有用な酸ハライド溶液の製造方法、及び、前記酸ハライド溶液を用いるモノエステル化合物の製造方法に関する。
シクロアルカンジカルボン酸のモノエステル化合物は、液晶材料や電子輸送材料の製造中間体等として有用な化合物である(例えば、特許文献1参照)。このモノエステル化合物は、通常ジカルボン酸クロライドとヒドロキシ化合物とを反応させて合成される。
また、ジカルボン酸クロライドの製造方法としては、N,N−ジメチルホルムアミド、トリエチルアミン、テトラアルキルアンモニウム塩等の反応触媒(本発明においては、「活性化剤」ともいう。)の存在下、ジカルボン酸化合物に、塩化チオニル等の塩素化剤を作用させる方法(酸ハライド法)が知られている。
例えば、特許文献2には、テトラアルキルアンモニウム塩存在下に、5−アミノ−2,4,6−トリヨードイソフタル酸に塩化チオニルを反応させることにより、5−アミノ−2,4,6−トリヨードイソフタル酸二塩化物を製造する方法が記載されている。
また、特許文献3には、酸ハライド法により、所定の構造を有するエステル基含有テトラカルボン酸二無水物を製造する方法が記載されている。そして、特許文献3には、ジカルボン酸に塩化チオニルを反応させるに際し、触媒として、N,N−ジメチルホルムアミドやピリジンを反応系に添加してもよいことが記載されている。
さらに、非特許文献1には、所定の構造を有するジカルボン酸に、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライドの存在下、塩化チオニルを反応させることにより、ジカルボン酸の二塩化物を製造する方法が記載されている。
国際公開第2014/010325号 特開平11−505234号公報 特開2007−314443号公報
A.Burdett,Synthesis,1991,441
ところで、上記酸ハライド法により得られたジカルボン酸クロライドを、ヒドロキシ化合物と反応させて、モノエステル化合物を製造する場合、原料であるジカルボン酸クロライドは、単離して用いられている。具体的には、酸ハライド法により得られたジカルボン酸クロライドは、ジカルボン酸化合物と塩化チオニル等の塩素化剤とを反応させて得た反応液から溶媒や低沸点物質を除去した後、残留物から、再結晶法等により単離して、モノエステル化合物の製造に用いられている。塩素化剤由来のSO、HCl、SOCl等の酸成分が残存している場合には、後のエステル化反応において反応収率が大きく低下するので、エステル化反応の前にこれらの酸成分を完全に除去するためである。
しかしながら、少量スケールで目的物を製造する場合は再結晶といった精製方法が使用できるが、工業的生産規模で製造する場合には、再結晶等の精製方法は煩雑であり、工業的に有利な製造方法とはいえない。
本発明はかかる実情に鑑みてなされたものであり、重合性液晶化合物を工業的に有利に製造することを可能にする、酸ハライド溶液の製造方法、及び前記酸ハライド溶液を用いるモノエステル化合物の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく、非水混和性有機溶媒中において、活性化剤の存在下、ジカルボン酸化合物に塩化チオニルを反応させることによりジカルボン酸クロライドを製造し、次いで、得られたジカルボン酸クロライドを用いてモノエステル化合物を製造する工業的製造方法について鋭意検討した。そして、調製したジカルボン酸クロライドを含む反応液を乾固させることなく濃縮蒸留させて、そのまま次のエステル化反応を行う方法を試みた。
その結果、活性化剤の使用量が少な過ぎるときは、ジカルボン酸クロライドを効率よく製造できない場合があることが分かった。一方、活性化剤を比較的多く使用すると、ジカルボン酸クロライドの製造自体には問題はないものの、非水混和性有機溶媒と混和しないオイル状液体物を含む反応液が得られ、そのような反応液をそのままエステル化反応に用いると、ジカルボン酸クロライドからエステルへの転化率が著しく低くなることが分かった。
そして、この知見を基にして、本発明を完成するに至った。
かくして本発明によれば、下記〔1〕〜〔9〕の酸ハライド溶液の製造方法、及び、〔10〕〜〔14〕のモノエステル化合物の製造方法が提供される。
〔1〕非水混和性有機溶媒中、下記式(I):
Figure 2017130871
(式(I)中、nは0又は1を表す。)で表されるジカルボン酸化合物を、前記式(I)で表されるジカルボン酸化合物に対して1.1当量以上3.0当量以下の活性化剤存在下、ハロゲン化剤と反応させることにより、下記式(II):
Figure 2017130871
(式(II)中、nは0又は1を表し、Xはハロゲン原子を表す。)で表される酸ハライド化合物を含む溶液と、前記溶液と混和しないオイル状液体物とを含有する反応液を得る第1工程、及び、前記第1工程において得られた前記反応液から前記オイル状液体物を除去し、前記式(II)で表される酸ハライド化合物を含む精製液を得る第2工程、を含むことを特徴とする酸ハライド溶液の製造方法。
〔2〕前記第2工程の後、前記第2工程において得られた前記精製液を濃縮する第3工程をさらに含む、〔1〕に記載の酸ハライド溶液の製造方法。
〔3〕前記式(I)で表されるジカルボン酸化合物が、下記式(I−a):
Figure 2017130871
(式(I−a)中、nは0又は1を表す。)で表される化合物である、〔1〕又は〔2〕に記載の酸ハライド溶液の製造方法。
〔4〕前記活性化剤が、窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤、又は、下記式(III):
Figure 2017130871
(式(III)中、Aは、ハロゲン化物イオン、又は、RSO (Rは、メチル基、フェニル基又は4−メチルフェニル基を表す。)を表し、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、無置換の又は置換基を有するアルキル基を表す。ただし、R、R、R及びRの炭素原子数の総和は4以上100以下である。)で表されるテトラアルキルアンモニウム塩である、〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の酸ハライド溶液の製造方法。
〔5〕前記窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤が、アミド系溶剤である、〔4〕に記載の酸ハライド溶液の製造方法。
〔6〕前記アミド系溶剤が、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンからなる群から選ばれる少なくとも一種である、〔5〕に記載の酸ハライド溶液の製造方法。
〔7〕前記式(III)で表されるテトラアルキルアンモニウム塩が、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、及びベンジルトリメチルアンモニウムクロライドからなる群から選ばれる少なくとも一種である、〔4〕に記載の酸ハライド溶液の製造方法。
〔8〕前記ハロゲン化剤が、塩化チオニル、塩化オキザリル、塩化スリフリル、塩化ホスホリル、三塩化リン、及び五塩化リンからなる群から選ばれる少なくとも一種である、〔1〕〜〔7〕のいずれかに記載の酸ハライド溶液の製造方法。
〔9〕前記式(II)で表される酸ハライド化合物が、下記式(II−1):
Figure 2017130871
(式(II−1)中、nは0又は1を表す。)で表されるジカルボン酸クロライドである、〔1〕〜〔8〕のいずれかに記載の酸ハライド溶液の製造方法。
〔10〕前記〔1〕〜〔9〕のいずれかに記載の製造方法により得られた酸ハライド溶液に、式(IV):ROH(式(IV)中、Rは、有機基を表す。)で表されるヒドロキシ化合物、及び、塩基を添加する第4工程を含む、下記式(V):
Figure 2017130871
(式(V)中、Rは前記と同じ意味を表し、nは0又は1を表す。)で表されるモノエステル化合物の製造方法。
〔11〕前記式(IV)で表されるヒドロキシ化合物が、下記式(IV−1):
Figure 2017130871
(式(IV−1)中、Rは水素原子、メチル基又は塩素原子を表し、mは1以上20以下の整数を表す。)で表される化合物である、〔10〕に記載のモノエステル化合物の製造方法。
〔12〕前記第4工程の後、前記第4工程により得られた反応液を、弱酸性の緩衝溶液にて洗浄する第5工程をさらに含む、〔10〕又は〔11〕に記載のモノエステル化合物の製造方法。
〔13〕前記弱酸性の緩衝溶液が、pHが5.0以上6.0以下の水溶液である、〔12〕に記載のモノエステル化合物の製造方法。
〔14〕前記弱酸性の緩衝溶液が、酢酸と酢酸ナトリウムとの混合物の水溶液、及び/又はフタル酸水素カリウムと水酸化ナトリウムとの混合物の水溶液である、〔12〕又は〔13〕に記載のモノエステル化合物の製造方法。
本発明によれば、重合性液晶化合物を製造する際に有用な酸ハライド溶液の製造方法、及び、前記酸ハライド溶液を用いるモノエステル化合物の製造方法が提供される。
以下、本発明を、1)酸ハライド溶液の製造方法、及び、2)モノエステル化合物の製造方法、に項分して詳細に説明する。
1)酸ハライド溶液の製造方法
本発明の酸ハライド溶液の製造方法は、非水混和性有機溶媒中において、前記式(I)で表されるジカルボン酸化合物(以下、「ジカルボン酸化合物(I)」ということがある。)を、ジカルボン酸化合物(I)に対して1.1当量以上3.0当量以下の活性化剤存在下、ハロゲン化剤と反応させることにより、前記式(II)で表される酸ハライド化合物(以下、「酸ハライド化合物(II)」ということがある。)を含む溶液と、この溶液と混和しないオイル状液体物とを含有する反応液を得る第1工程、及び、前記第1工程において得られた前記反応液から前記オイル状液体物を除去し、酸ハライド化合物(II)を含む精製液を得る第2工程を含むことを特徴とする。
なお、本発明において、「当量」とは、「モル当量」を意味する。
〔第1工程〕
第1工程は、非水混和性有機溶媒中において、ジカルボン酸化合物(I)を、ジカルボン酸化合物(I)に対して1.1当量以上3.0当量以下の活性化剤存在下、ハロゲン化剤と反応させることにより、酸ハライド化合物(II)を含む溶液と、この溶液と混和しないオイル状液体物とを含有する反応液を得る工程である。
(非水混和性有機溶媒)
本発明に用いる非水混和性有機溶媒は、ジカルボン酸化合物(I)及びジカルボン酸化合物(I)に対応する酸ハライド化合物(II)を溶解し、水と混和しない有機溶媒であれば、特に制限されない。水と混和しない有機溶媒としては、25℃における水に対する溶解度が10g/L以下である有機溶媒が挙げられる。
具体的には、非水混和性有機溶媒としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶媒;ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素系溶媒;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、メチル−t−ブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒;n−ペンタン、n−ヘキサン、n−ヘプタン等の鎖式脂肪族炭化水素系溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロペンタン、シクロヘキサン等の脂環式炭化水素系溶媒;2−ブタノン等のケトン系溶媒;等が挙げられる。
これらの溶媒は、一種単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、ハロゲン化炭化水素系溶媒、エーテル系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、脂環式炭化水素系溶媒の使用が好ましく、シクロペンチルメチルエーテル、クロロホルム、シクロヘキサン、トルエンがより好ましい。
また、非水混和性有機溶媒としては、特に、ヒルデブランドの溶解度パラメーターが、14.0MPa1/2以上22.0MPa1/2以下である有機溶媒が好ましい。ヒルデブランドの溶解度パラメーターとは、ヒルデブランドにより導入された、正則溶液論により定義された、材料間の相互作用の程度の数値予測を提供する値(δ)である。
このような有機溶媒を用いることにより、後の洗浄工程の操作を容易とし、目的とするモノエステル化合物を効率よく得ることができる。
具体的には、非水混和性有機溶媒としては、シクロペンチルメチルエーテル(ヒルデブランドの溶解度パラメーター(δ):17.2MPa1/2)、メチル−t−ブチルエーテル((δ):15.6MPa1/2)、ジエチルエーテル((δ):15.1MPa1/2)、ジブチルエーテル((δ):14.9MPa1/2)、ジイソプロピルエーテル((δ):14.1MPa1/2)、1,2−ジメトキシエタン((δ):19.2MPa1/2)等のエーテル系溶媒;クロロホルム((δ):19.0MPa1/2)等のハロゲン化炭化水素系溶媒;酢酸エチル((δ):18.6MPa1/2)等のエステル系溶媒;トルエン((δ):18.2MPa1/2)等の芳香族炭化水素系溶媒;シクロヘキサン((δ):16.7MPa1/2)等の脂環式炭化水素系溶媒;2−ブタノン((δ):19.0MPa1/2)等のケトン系溶媒;及びこれらの混合溶媒等を好ましく例示することができる。なお、混合溶媒を用いる場合、混合溶媒の溶解度パラメーターは、加成則で計算することができる。
(ジカルボン酸化合物(I))
本発明に用いるジカルボン酸化合物(I)は、前記式(I)で表されるジカルボン酸である。前記式(I)中、nは0又は1を表し、1であることが好ましい。
ジカルボン酸化合物(I)の具体例としては、1,3−シクロペンタンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が挙げられる。これらの中でも、重合性液晶化合物の製造原料としての有用性の観点から、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸が好ましい。
ジカルボン酸化合物(I)には、下記式(I−1)、(I−2)に示すように、シス−トランスの立体異性体が存在し得る。本発明においては、シス異性体、トランス異性体、シス−トランス異性体混合物(ラセミ体)のいずれも使用することができる。中でも、重合性液晶化合物の製造中間体等としての有用性の観点から、下記式(I−1)で表されるトランス異性体が好ましい。
Figure 2017130871
(活性化剤)
本発明に用いる活性化剤は、ジカルボン酸化合物(I)とハロゲン化剤との反応を促進する化合物である。
活性化剤を用いることで、より低い反応温度、より短時間で、かつ、より収率よく目的の酸ハライド化合物(II)を得ることができる。
ここで、活性化剤としては、窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤や前記式(III)で表されるテトラアルキルアンモニウム塩(以下、「テトラアルキルアンモニウム塩(III)」ということがある。)が挙げられる。
窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等のアミド系溶剤;N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルアニリン等のアミン系溶剤;アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル系溶剤;等が挙げられる。
これらの溶剤は、一種単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、目的の酸ハライド化合物(II)を収率よく得ることができることから、アミド系溶剤が好ましい。
なお、本発明において、「窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤」は、水と混和しうり、例えば、25℃における水に対する溶解度が10g/L超である。よって、上述した非水混和性有機溶媒に該当する有機溶媒は、窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤には含まれない。
テトラアルキルアンモニウム塩(III)は、前記式(III)で表されるテトラアルキルアンモニウム塩である。
前記式(III)中、Aは、塩化物イオン、臭化物イオン等のハロゲン化物イオン;又は、式:RSO で表されるスルホネートイオンを表す。ここで、Rは、メチル基、フェニル基若しくは4−メチルフェニル基を表す。
これらの中でも、汎用性の観点から、Aとしては、ハロゲン化物イオンが好ましく、塩化物イオンが特に好ましい。
また、前記式(III)中、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、無置換の又は置換基を有するアルキル基を表す。
、R、R及びRの、無置換の又は置換基を有するアルキル基のアルキル基としては、炭素数1以上30以下のアルキル基、好ましくは炭素数1以上20以下のアルキル基、より好ましくは炭素数1以上18以下のアルキル基が挙げられる。また、R、R、R及びRのアルキル基は、直鎖構造を有するものであっても、分岐構造を有するものであってもよい。
、R、R及びRの、無置換の又は置換基を有するアルキル基のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソアミル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、セチル基等が挙げられる。
ただし、R、R、R及びRの炭素原子数の総和は、4以上100以下、好ましくは4以上80以下、より好ましくは4以上50以下、特に好ましくは4以上30以下である。
、R、R及びRのアルキル基が有し得る置換基は、反応に不活性な基であれば特に限定されない。例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基等の炭素数1以上10以下のアルコキシ基;フェニル基、2−クロロフェニル基、4−メチルフェニル基、フェネチル基等の、無置換の又は置換基を有するフェニル基;等が挙げられる。
、R、R及びRの、置換基を有するアルキル基の具体例としては、2−メトキシエチル基、3−メトキシプロピル基、ベンジル基、4−メチルベンジル基、フェネチル基等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
テトラアルキルアンモニウム塩(III)の好ましい具体例としては、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリメチルアンモニウムクロライド等が挙げられる。
テトラアルキルアンモニウム塩(III)は一種単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
(ハロゲン化剤)
本発明で用いるハロゲン化剤としては、ジカルボン酸化合物(I)を対応する酸ハライド化合物(II)に変換するものであれば、特に限定されない。
用い得るハロゲン化剤としては、塩化チオニル(SOCl)、塩化オキザリル〔(COCl)〕、塩化スリフリル(SOCl)、塩化ホスホリル(POCl)、三塩化リン(PCl)、五塩化リン(PCl)等の塩素化剤;臭化チオニル(SOBr)、三臭化ホウ素(BBr)、臭素(Br)等の臭素化剤;等が挙げられる。
これらのハロゲン化剤は、一種単独で、或いは二種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、汎用性の観点から、塩化チオニル、塩化オキザリル、塩化スリフリル、塩化ホスホリル、三塩化リン及び五塩化リンからなる群から選ばれる少なくとも一種が好ましい。
(ジカルボン酸化合物(I)とハロゲン化剤との反応)
第1工程においては、非水混和性有機溶媒中、ジカルボン酸化合物(I)を、ジカルボン酸化合物(I)に対して1.1当量以上3.0当量以下の活性化剤存在下、ハロゲン化剤と反応させる。
本発明の製造方法においては、ジカルボン酸化合物(I)に対して1.1当量以上3.0当量以下の活性化剤を使用する。活性化剤の量が1.1当量未満のときは、ハロゲン化反応における転化率が低く、反応が完結しないおそれがあり、収量が低下し易くなる。一方、3.0当量を超える量の活性化剤を添加しても、その添加量に見合った効果は得られ難い。当該観点から、活性化剤の量は、ジカルボン酸化合物(I)に対して1.1当量以上2.8当量以下が好ましい。
活性化剤の添加量に関するこの要件を満たす限り、ジカルボン酸化合物(I)とハロゲン化剤との反応方法は特に限定されない。例えば、ジカルボン酸化合物(I)の非水混和性有機溶媒溶液中に、活性化剤を所定量添加した後、所定量のハロゲン化剤を添加し、次いで全容を攪拌する方法が挙げられる。
ジカルボン酸化合物(I)とハロゲン化剤との反応において、非水混和性有機溶媒の使用量は特に限定されないが、ジカルボン酸化合物(I)1gに対し、通常0.1g以上100g以下、好ましくは0.5g以上50g以下である。ハロゲン化剤の使用量は特に限定されないが、ジカルボン酸化合物(I)1モルに対し、通常2モル以上5モル以下、好ましくは、2モル以上3モル以下である。
反応温度は特に限定されないが、通常0℃以上100℃以下、好ましくは0℃以上50℃以下である。
また、反応時間は、基質の種類、反応規模等にもよるが、通常、数分から8時間である。
本発明の製造方法においては、ジカルボン酸化合物(I)とハロゲン化剤との反応を行うことにより、酸ハライド化合物(II)を含む溶液と、この酸ハライド化合物(II)を含む溶液と混和しないオイル状液体物とを含有する反応液が得られる。
酸ハライド化合物(II)はこの反応の目的物である。
酸ハライド化合物(II)の中でも、重合性液晶化合物の製造中間体等としての有用性の観点から、下記式(II−1):
Figure 2017130871
(式(II−1)中、nは0又は1を表す。)で表されるジカルボン酸クロライドが好ましい。
一方、オイル状液体物は、ジカルボン酸化合物(I)とハロゲン化剤との反応の副生物である。オイル状液体物は、活性化剤を多く存在させて反応を行うとその生成量が増加する傾向がある。
ここで、本発明の製造方法において、「酸ハライド化合物(II)を含む溶液と、前記溶液と混和しないオイル状液体物とを含有する反応液」とは、この反応液が、少なくとも後述する第2工程を行う条件において、酸ハライド化合物(II)を含む溶液とオイル状液体物とに分離していることをいう。すなわち、例えば、温度がTのときにオイル状液体物が酸ハライド化合物(II)を含む溶液と混和していたとしても、温度がTのときにオイル状液体物が酸ハライド化合物(II)を含む溶液と分離するのであれば、温度をTにすることで、続く第2工程を実施することができる。
このように、本発明の製造方法における「混和しない」とは、「オイル状液体物が、どのような条件下でも、酸ハライド化合物(II)を含む溶液と混和しない」という意味ではなく、「第2工程を行う条件において、オイル状液体物が、酸ハライド化合物(II)を含む溶液と混和しない状態となっている」という意味である。
なお、第2工程を効率よく行う観点から、オイル状液体物は、−5℃以上30℃以下の範囲内のいずれかの温度条件で酸ハライド化合物(II)を含む溶液と混和しないことが好ましい。さらに、オイル状液体物は、−5℃以上30℃以下の範囲内の温度領域(全ての温度条件)において、酸ハライド化合物(II)を含む溶液と混和しないことがより好ましい。
〔第2工程〕
第2工程は、前記第1工程において得られた反応液から前記オイル状液体物を除去し、酸ハライド化合物(II)を含む精製液を得る工程である。
オイル状液体物を含んだ状態の反応液又はその濃縮液をそのままエステル化反応に供すると、エステル化反応における収率が低下する傾向がある。このため、本発明の製造方法においては、この第2工程を設けることで反応液からオイル状液体物を除去し、酸ハライド化合物(II)を含む精製液を調製する。
反応液からオイル状液体物を除去する方法は特に限定されない。通常、オイル状液体物は非水混和性有機溶媒と混和しないため、例えば、分液処理を行うことにより反応液からオイル状液体物を容易に除去することができる。
分液処理は、−5℃以上30℃以下において実施するのが好ましい。
また、分液処理は、反応液が二層状態を保持する限りにおいて、溶媒を追加して行ってもよい。
なお、第2工程において得られた酸ハライド化合物(II)を含む精製液は、そのまま、酸ハライド溶液として後述するモノエステル化合物の製造に使用することができる。
〔第3工程〕
上述のように、第2工程において得られた精製液をそのままモノエステル化合物の製造に使用することもできるが、当該精製液を濃縮して精製液中の溶媒の一部を除去することが好ましい。すなわち、本発明の製造方法は、前記第2工程において得られた精製液を濃縮する第3工程を更に含むことが好ましい。
第3工程を設けることにより、酸ハライド化合物(II)の濃度が高まり、エステル化反応の原料溶液としてより適したものとなる。また、第3工程を行うことで、第2工程では除去しきれなかった副生物(例えば、SO、HCl、SOCl等のハロゲン化剤由来の酸成分)を除去することができる。すなわち、第3工程を設けることにより、反応系内に残存する、ハロゲン化剤由来の酸成分(SO、HCl、SOCl等の酸成分)を除去することができる。
ここで、本発明において「濃縮する」とは、第2工程で得られた酸ハライド化合物(II)を含む精製液中の溶媒を完全に除去するものではない。通常、この精製液中の溶媒量が、質量比で、当初の溶媒量(仕込み量)の1/10以上4/5以下、好ましくは1/10以上1/2以下となるまで、精製液を濃縮する。
濃縮方法としては、特に限定されるものではないが、エバポレーター等の蒸発濃縮装置を用いた蒸発濃縮法が挙げられる。
また、濃縮操作は、常圧(0.1MPa程度)下で行っても、減圧下で行ってもよい。濃縮操作を効率よく行う観点から、減圧下で行うことが好ましい。減圧下で濃縮を行う場合、減圧度は、通常、10mmHg以上500mmHg以下である。
以上のようにして、酸ハライド化合物(II)を含む精製液の濃縮液(酸ハライド溶液)を得ることができる。
得られた酸ハライド溶液は、後述するように、ヒドロキシ化合物とのエステル化反応によって、モノエステル化合物を製造する原料溶液として有用である。
2)モノエステル化合物の製造方法
本発明のモノエステル化合物の製造方法は、上記した本発明の酸ハライド溶液の製造方法により得られた酸ハライド溶液に、式(IV):ROH(式(IV)中、Rは有機基を表す。)で表されるヒドロキシ化合物(以下、「ヒドロキシ化合物(IV)」ということがある。)、及び、塩基を添加する第4工程を備える。
ここで、本発明のモノエステル化合物の製造方法の反応スキームの一例を下記に示す。なお、以下では、酸ハライド溶液中に含まれている酸ハライド化合物(II)のXが塩素原子である場合、即ち、酸ハライド化合物(II)がジカルボン酸クロライド(II−1)である場合について示しているが、本発明は以下の一例に限定されるものではない。
Figure 2017130871
すなわち、本発明のモノエステル化合物の製造方法は、式(II)で表される酸ハライド化合物(上記の例ではジカルボン酸クロライド(II−1))と、式(IV)で表されるヒドロキシ化合物とを反応させることにより、式(V)で表されるモノエステル化合物(以下、「モノエステル化合物(V)」ということがある。)を得るものである。なお、未反応の酸ハライド部分(上記の例では左側の酸クロライド部分)は、得られた反応液を処理する過程で加水分解されて、カルボキシル基に変化する。
ここで、上記式(V)中、nは0又は1を表し、1が好ましい。なお、モノエステル化合物(V)は、酸ハライド化合物(II)をモノエステル化したものである。従って、通常、式(II)中のnと式(V)中のnとは等しい。
また、上記式(IV)および(V)中、Rは有機基を表す。Rの有機基は、水酸基等の酸素原子と炭素原子で結合する基である。
の有機基の炭素数は特に限定されないが、1以上30以下が好ましい。
有機基としては、例えば、無置換の又は置換基を有する、炭素数1以上30以下のアルキル基、無置換の又は置換基を有する、炭素数2以上30以下のアルケニル基、無置換の又は置換基を有する、炭素数2以上30以下のアルキニル基、無置換の又は置換基を有する、炭素数3以上30以下のシクロアルキル基等の、無置換の又は置換基を有する脂肪族炭化水素基;無置換の又は置換基を有する、炭素数6以上30以下の芳香族炭化水素基、無置換の又は置換基を有する、炭素数1以上30以下の芳香族複素環基;が挙げられる。
本発明に用いるヒドロキシ化合物(IV)は、Rが無置換の又は置換基を有する脂肪族炭化水素基であるアルコール化合物であってもよいし、Rが、無置換の又は置換基を有する炭素数6以上30以下の芳香族炭化水素基、或いは、無置換の又は置換基を有する炭素数1以上30以下の芳香族複素環基である、フェノール系化合物であってもよい。本発明においては、重合性液晶化合物の製造中間体等としての有用性の観点から、ヒドロキシ化合物(IV)は、フェノール系化合物であることが好ましく、Rが、無置換の又は置換基を有する炭素数6以上30以下の芳香族炭化水素基であるフェノール化合物であることがより好ましく、下記式(IV−1)で表される化合物であることが特に好ましい。
Figure 2017130871
ここで、上記式(IV−1)中、Rは、水素原子、メチル基又は塩素原子を表す。
また、mは、1以上20以下の整数を表し、1以上12以下の整数が好ましく、2以上10以下の整数がさらに好ましい。
上記式(IV−1)で表される化合物は公知物質であり、従来公知の方法により製造し、入手することができる(例えば、国際公開第2014/010325号等参照)。
本発明に用いる塩基としては、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、フェニルジメチルアミン、ピリジン、ピコリン、ルチジン、4−(ジメチルアミノ)ピリジン等の有機塩基;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基;が挙げられる。これらは1種単独で、或いは、2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの中でも、塩基としては、収率よく目的物が得られる観点から、有機塩基が好ましく、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等の3級アミンがより好ましく、トリエチルアミンが特に好ましい。
また、塩基の使用量は、酸ハライド化合物(II)1モルに対して、通常1モル以上3モル以下、好ましくは1モル以上1.5モル以下である。
エステル化反応は、例えば、酸ハライド化合物(II)の非水混和性有機溶媒溶液中に、ヒドロキシ化合物(IV)を加え、得られる反応混合物に塩基を添加して、全容を撹拌することにより行うことができる。
反応温度は、通常0℃以上80℃以下、好ましくは0℃以上50℃以下、より好ましくは、0℃以上30℃以下である。
反応時間は、反応規模等にもよるが、通常、数分から数時間である。
本発明の製造方法においては、第4工程の後、第4工程により得られた反応液を、弱酸性の緩衝溶液(一般的にはpHが4.5以上7未満の緩衝溶液)、好ましくはpHが5.0以上6.0以下の緩衝溶液、より好ましくはpHが5.0以上6.0以下の緩衝水溶液にて洗浄する第5工程を有することが好ましい。
第4工程により得られた反応液中には、通常、目的物であるモノエステル化合物(V)の他に、副生するジエステル化合物や、酸ハライド溶液中に残存していたジカルボン酸化合物(I)が含まれる。すなわち、第4工程により目的のモノエステル化合物(V)を含む混合物が得られるが、この第5工程を設けることにより、この混合物中におけるジカルボン酸化合物(I)等の含有量を低減することができる。この結果、後の工程の反応における、ジカルボン酸化合物(I)等による悪影響(副反応の発生による収率の低下)を防ぐことができる。
緩衝溶液は、水素イオン濃度に対する緩衝作用のある溶液であり、一般的には、弱酸とその共役塩基や、弱塩基とその共役酸を混合して得られるものである。緩衝溶液を用いることにより、急激なpH変化による目的物の加水分解を防止し、結果として目的物を収率よく得ることができる。
本発明に用い得る緩衝溶液としては、例えば、酢酸と酢酸ナトリウムとの組み合わせ、フタル酸水素カリウムと水酸化ナトリウムとの組み合わせ、リン酸二水素カリウムと水酸化ナトリウムとの組み合わせ、クエン酸ナトリウムと水酸化ナトリウムとの組み合わせ、リン酸二水素カリウムとクエン酸との組み合わせ等の、混合系の緩衝溶液が挙げられる。
これらの中でも、本発明のより優れた効果が得られる観点から、酢酸と酢酸ナトリウムの混合系の緩衝溶液、又は、フタル酸水素カリウムと水酸化ナトリウムの混合系の緩衝溶液であるのが好ましい。
緩衝溶液は、従来公知の方法により調製することができる。例えば、pHが5.6(18℃)の、酢酸と酢酸ナトリウムの混合系の緩衝溶液は、0.2N酢酸と0.2M酢酸ナトリウム水溶液を、0.2N酢酸1.9ml、0.2M酢酸ナトリウム水溶液18.1mlの割合で混合することにより調製することができる。また、pHが5.8(20℃)の、フタル酸水素カリウムと水酸化ナトリウムの混合系の緩衝溶液は、0.2Mのフタル酸水素カリウム水溶液、0.2N水酸化ナトリウム水溶液、及び水を、0.2Mフタル酸水素カリウム水溶液50.0ml、0.2N水酸化ナトリウム水溶液43.0ml、及び水107.0mlの割合で混合することにより調製することができる。
第5工程における緩衝溶液での反応液の洗浄回数は特に制限されないが、通常1回以上3回以下である。緩衝溶液での洗浄後に水洗を行ってもよい。
以上のようにして得られるモノエステル化合物(V)は、例えば、下記式(5)で表される重合性液晶化合物の製造原料として有用である(例えば、国際公開第2014/010325号参照)。
Figure 2017130871
(式(5)中、Aは、水素原子、メチル基又は塩素原子を表し、Rは、水素原子、又は、炭素数1以上20以下の有機基を表し、Rはそれぞれ独立して水素原子、ハロゲン原子、炭素数1以上6以下のアルキル基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1以上6以下のフルオロアルキル基、炭素数1以上6以下のアルコキシ基、又は、−C(=O)−O−Rを表す。ここで、Rは、水素原子又は置換基を有していても良い炭素数1以上10以下のアルキル基を表し、pは1以上20以下の整数を表す。)
なお、上記式(5)で表される重合性液晶化合物は、例えば、以下の工程により製造することができる。
Figure 2017130871
(式中、A、R、R、及びpは、前記と同じ意味を表す。Lは、水酸基、ハロゲン原子、アルキルスルホニルオキシ基、アリールスルホニルオキシ基等の脱離基を表す。)
すなわち、式(1)で表されるアルデヒド化合物と、モノエステル化合物(V)としての式(2)で表されるカルボン酸モノエステルとを反応させることにより、式(3)で表される化合物を得て、さらに、式(3)で表される化合物と、式(4)で表されるヒドラジン化合物とを反応させることで、目的とする式(5)で表される重合性液晶化合物を得ることができる。
いずれの反応においても、反応温度は、通常0℃以上80℃以下、好ましくは5℃以上50℃以下、より好ましくは、5℃以上30℃以下である。
反応時間は、反応規模等にもよるが、通常、数分から数時間である。
以下、本発明を、実施例によりさらに詳細に説明する。但し、本発明は以下の実施例により何ら制限されるものではない。
(実施例1)ジカルボン酸クロライドがシクロペンチルメチルエーテル(CPME)に溶解した溶液の調製
温度計を備えた三口反応器に、窒素気流中、ジカルボン酸化合物(I)としてのtrans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸10.0g(58.08mmol)と、非水混和性有機溶媒としてのシクロペンチルメチルエーテル(CPME)100gと、活性化剤としてのN,N−ジメチルホルムアミド10.61g(145mmol)を加え、反応器を氷浴に浸して反応液内温を0℃とした。次いで、ハロゲン化剤としての塩化チオニル17.63g(145mmol)を、反応液内温を10℃以下に保持しながら、5分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、全容を25℃にて、そのまま1時間さらに撹拌した。
反応終了後、10分間静置してから、分液操作を行い、有機層と混和しないオイル状液体物を抜き出した。そのあと、得られた有機層をロータリーエバポレーターにて濃縮し、使用したCPMEの80質量%(80g)を抜き出して、ジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)がCPMEに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(A)とする。
(実施例2)ジカルボン酸クロライドがトルエンに溶解した溶液の調製
実施例1において、非水混和性有機溶媒をCPME100gからトルエン100gに替えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、ジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)がトルエンに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(B)とする。
(実施例3)ジカルボン酸クロライドがシクロヘキサンとトルエンの混合溶媒に溶解した溶液の調製
実施例1において、非水混和性有機溶媒をCPME100gからシクロヘキサン50gとトルエン50gの混合溶媒に替えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、ジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)がシクロヘキサンとトルエンの混合溶媒に溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(C)とする。
(実施例4)ジカルボン酸クロライドがCPMEに溶解した溶液の調製
実施例1において、活性化剤としてのN,N−ジメチルホルムアミド10.61g(145mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド12.65g(145mmol)に替えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、ジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)がCPMEに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(D)とする。
(実施例5)ジカルボン酸クロライドがトルエンに溶解した溶液の調製
実施例4において、非水混和性有機溶媒をCPME100gからトルエン100gに替えた以外は、実施例4と同様の操作を行い、ジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)がトルエンに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(E)とする。
(実施例6)ジカルボン酸クロライドがCPMEに溶解した溶液の調製
実施例1において、活性化剤としてのN,N−ジメチルホルムアミド10.61g(145mmol)をN−メチルピロリドン14.39g(145mmol)に替えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、ジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)がCPMEに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(F)とする。
(実施例7)ジカルボン酸クロライドがトルエンに溶解した溶液の調製
実施例6において、非水混和性有機溶媒をCPME100gからトルエン100gに替えた以外は、実施例6と同様の操作を行い、ジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)がトルエンに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(G)とする。
(実施例8)ジカルボン酸クロライドがCPMEに溶解した溶液の調製
実施例1において、活性化剤としてのN,N−ジメチルホルムアミド10.61g(145mmol)を1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン16.57g(145mmol)に替えた以外は、実施例1と同様の操作を行い、ジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)がCPMEに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(H)とする。
(実施例9)ジカルボン酸クロライドがシクロヘキサンとトルエンの混合溶媒に溶解した溶液の調製
実施例8において、非水混和性有機溶媒をCPME100gからシクロヘキサン50gとトルエン50gの混合溶媒に替えた以外は、実施例8と同様の操作を行い、ジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)がシクロヘキサンとトルエンの混合溶媒に溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(I)とする。
(実施例10)ジカルボン酸クロライドがCPMEに溶解した溶液の調製
温度計を備えた三口反応器に、窒素気流中、ジカルボン酸化合物(I)としてのtrans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸10.0g(58.08mmol)と、非水混和性有機溶媒としてのCPME100gを加えた。そこへ、活性化剤としてのベンジルトリエチルアンモニウムクロライド14.55g(63.89mmol)を加えた。その後、23℃にてハロゲン化剤としての塩化チオニル14.81g(122mmol)を5分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、全容を40℃に加温して、そのまま30分間さらに撹拌した。
反応終了後、10分間静置してから、分液操作を行い、有機層と混和しないオイル状液体物を抜き出した。そのあと、得られた有機層をロータリーエバポレーターにて濃縮し、使用したCPMEの80質量%(80g)を抜き出してジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)がCPMEに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(J)とする。
(実施例11)ジカルボン酸クロライドがトルエンに溶解した溶液の調製
実施例10において、非水混和性有機溶媒をCPME100gからトルエン100gに替えた以外は、実施例10と同様の操作を行い、ジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)がトルエンに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(K)とする。
(実施例12)ジカルボン酸クロライドがCPMEに溶解した溶液の調製
実施例10において、活性化剤としてのベンジルトリエチルアンモニウムクロライド14.55g(63.89mmol)をトリ(n−オクチル)メチルアンモニウムクロライド(商品名:Aliquat)25.82g(63.89mmol)に替えた以外は、実施例10と同様の操作を行い、ジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)がCPMEに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(L)とする。
(実施例13)ジカルボン酸クロライドがトルエンに溶解した溶液の調製
実施例12において、非水混和性有機溶媒をCPME100gからトルエン100gに替えた以外は、実施例12と同様の操作を行い、ジカルボン酸クロライドがトルエンに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(M)とする。
(実施例14)ジカルボン酸クロライドがトルエンに溶解した溶液の調製
実施例13において、活性化剤としてのトリ(n−オクチル)メチルアンモニウムクロライド(商品名:Aliquat)25.82g(63.89mmol)をメチルトリオクチルアンモニウムクロライド混合物(商品名:Adogen)25.82g(63.89mmol)に替えた以外は、実施例13と同様の操作を行い、ジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)がトルエンに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(N)とする。
(実施例15)混合物1の製造
Figure 2017130871
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、実施例1で調製した酸クロリド溶液(A)を加えたのち、CPME222gを加え、反応器を氷浴に浸して反応液内温を0℃とした。そこへ、ヒドロキシ化合物(IV)としての4−(6−アクリロイルオキシ−ヘクス−1−イルオキシ)フェノール(DKSH社製)14.58g(55.17mmol)を加えた。次いで、塩基としてのトリエチルアミン6.70g(66.21mmol)を、反応液内温を10℃以下に保持しながら、5分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、全容を0℃にて、そのまま1時間さらに撹拌した。
得られた反応液に、蒸留水36gを加えて25℃にて2時間洗浄を行った後、水層を抜き出した。有機層について、濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムの混合物の水溶液からなる緩衝溶液(pH:5.5)61gで3回洗浄を行ったあと、緩衝溶液を抜き出した。
その後、蒸留水36gで1回洗浄を行った。得られた有機層にn−ヘキサン365mlを加えて結晶を析出させ、析出した結晶をろ取した。得られた結晶をn−ヘキサン18mlで洗浄後、真空乾燥させることで、白色固体として混合物1を17.67g得た。得られた結晶を高速液体クロマトグラフ(HPLC)にて分析を行い、検量線にてモノエステルとジエステルの定量を行ったところ、目的物であるモノエステルが12.10g(28.91mmol)、ジエステルが5.58g(8.39mmol)含まれていることが分かった。
(実施例16)混合物2の製造
実施例15において、実施例1で調製した酸クロリド溶液(A)に替えて、実施例2で調製した酸クロリド溶液(B)を用いた以外は、実施例15と同様の操作を行った。その結果、白色固体を17.35g得た。実施例15と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが11.54g(27.57mmol)、ジエステルが5.81g(8.74mmol)含まれていることが分かった。
(実施例17)混合物3の製造
実施例15において、実施例1で調製した酸クロリド溶液(A)に替えて、実施例3で調製した酸クロリド溶液(C)を用いた以外は、実施例15と同様の操作を行った。その結果、白色固体を17.43g得た。実施例15と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが11.55g(27.61mmol)、ジエステルが5.88g(8.84mmol)含まれていることが分かった。
(実施例18)混合物4の製造
実施例15において、実施例1で調製した酸クロリド溶液(A)に替えて、実施例4で調製した酸クロリド溶液(D)を用いた以外は、実施例15と同様の操作を行った。その結果、白色固体を17.52g得た。実施例15と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが11.98g(28.62mmol)、ジエステルが5.54g(8.33mmol)含まれていることが分かった。
(実施例19)混合物5の製造
実施例15において、実施例1で調製した酸クロリド溶液(A)に替えて、実施例5で調製した酸クロリド溶液(E)を用いた以外は、実施例15と同様の操作を行った。その結果、白色固体を17.51g得た。実施例15と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが11.57g(27.65mmol)、ジエステルが5.94g(8.93mmol)含まれていることが分かった。
(実施例20)混合物6の製造
実施例15において、実施例1で調製した酸クロリド溶液(A)に替えて、実施例6で調製した酸クロリド溶液(F)を用いた以外は、実施例15と同様の操作を行った。その結果、白色固体を17.47g得た。実施例15と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが12.04g(28.76mmol)、ジエステルが5.43g(8.17mmol)含まれていることが分かった。
(実施例21)混合物7の製造
実施例15において、実施例1で調製した酸クロリド溶液(A)に替えて、実施例7で調製した酸クロリド溶液(G)を用いた以外は、実施例15と同様の操作を行った。その結果、白色固体を17.54g得た。実施例15と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが11.59g(27.70mmol)、ジエステルが5.94g(8.94mmol)含まれていることが分かった。
(実施例22)混合物8の製造
実施例15において、実施例1で調製した酸クロリド溶液(A)に替えて、実施例8で調製した酸クロリド溶液(H)を用いた以外は、実施例15と同様の操作を行った。その結果、白色固体を17.56g得た。実施例15と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが12.02g(28.73mmol)、ジエステルが5.54g(8.33mmol)含まれていることが分かった。
(実施例23)混合物9の製造
実施例15において、実施例1で調製した酸クロリド溶液(A)に替えて、実施例9で調製した酸クロリド溶液(I)を用いた以外は、実施例15と同様の操作を行った。その結果、白色固体を17.46g得た。実施例15と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが11.57g(27.65mmol)、ジエステルが5.89g(8.86mmol)含まれていることが分かった。
(実施例24)混合物10の製造
実施例15において、実施例1で調製した酸クロリド溶液(A)に替えて、実施例10で調製した酸クロリド溶液(J)を用いた以外は、実施例15と同様の操作を行った。その結果、白色固体を18.11g得た。実施例15と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが11.96g(28.57mmol)、ジエステルが6.16g(9.26mmol)含まれていることが分かった。
(実施例25)混合物11の製造
実施例15において、実施例1で調製した酸クロリド溶液(A)に替えて、実施例11で調製した酸クロリド溶液(K)を用いた以外は、実施例15と同様の操作を行った。その結果、白色固体を18.01g得た。実施例15と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが11.87g(28.35mmol)、ジエステルが6.14g(9.24mmol)含まれていることが分かった。
(実施例26)混合物12の製造
実施例15において、実施例1で調製した酸クロリド溶液(A)に替えて、実施例12で調製した酸クロリド溶液(L)を用いた以外は、実施例15と同様の操作を行った。その結果、白色固体を17.93g得た。実施例15と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが11.89g(28.41mmol)、ジエステルが6.05g(9.09mmol)含まれていることが分かった。
(実施例27)混合物13の製造
実施例15において、実施例1で調製した酸クロリド溶液(A)に替えて、実施例13で調製した酸クロリド溶液(M)を用いた以外は、実施例15と同様の操作を行った。その結果、白色固体を17.98g得た。実施例15と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが11.79g(28.17mmol)、ジエステルが6.19g(9.31mmol)含まれていることが分かった。
(実施例28)混合物14の製造
実施例15において、実施例1で調製した酸クロリド溶液(A)に替えて、実施例14で調製した酸クロリド溶液(N)を用いた以外は、実施例15と同様の操作を行った。その結果、白色固体を17.96g得た。実施例15と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが11.89g(28.42mmol)、ジエステルが6.07g(9.13mmol)含まれていることが分かった。
(比較例1)ジカルボン酸クロライド、N,N−ジメチルホルムアミドがCPMEに溶解した溶液の調製
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、ジカルボン酸化合物(II)としてのtrans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸10.0g(58.08mmol)と、非水混和性有機溶媒としてのCPME100gと、活性化剤としてのN,N−ジメチルホルムアミド425mg(5.81mmol)を加えた。その後、23℃にてハロゲン化剤としての塩化チオニル14.81g(122mmol)を5分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、全容を50℃に加温して5時間さらに攪拌した。
反応終了後、分液操作を行わず、有機層と混和しないオイル状液体物が共存した状態で、ロータリーエバポレーターにて濃縮を行い、使用したCPMEの80質量%(80g)を抜き出してジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)、N,N−ジメチルホルムアミドがCPMEに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(a)とする。
(比較例2)ジカルボン酸クロライド、N,N−ジメチルアセトアミドがCPMEに溶解した溶液の調製
比較例1において、活性化剤としてのN,N−ジメチルホルムアミド425mg(5.81mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド506mg(5.81mmol)に替えた以外は、比較例1と同様の操作を行い、ジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)、N,N−ジメチルアセトアミドがCPMEに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(b)とする。
(比較例3)ジカルボン酸クロライド、N,N−ジメチルホルムアミドがCPMEに溶解した溶液の調製
温度計を備えた三口反応器に、窒素気流中、ジカルボン酸化合物(II)としてのtrans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸10.0g(58.08mmol)と、非水混和性有機溶媒としてのCPME100gと、活性化剤としてのN,N−ジメチルホルムアミド10.61g(145mmol)を加え、反応器を氷浴に浸して反応液内温を0℃とした。次いで、ハロゲン化剤としての塩化チオニル17.63g(145mmol)を、反応液内温を10℃以下に保持しながら、5分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、全容を25℃にて、そのまま1時間さらに撹拌した。
反応終了後、分液操作を行わず、有機層と混和しないオイル状液体物が共存した状態で、ロータリーエバポレーターにて濃縮を行い、使用したCPMEの80質量%(80g)を抜き出してジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)、N,N−ジメチルホルムアミドがCPMEに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(c)とする。
(比較例4)ジカルボン酸クロライド、N,N−ジメチルアセトアミドがトルエンに溶解した溶液の調製
比較例3において、活性化剤としてのN,N−ジメチルホルムアミド10.61g(145mmol)をN,N−ジメチルアセトアミド12.65g(145mmol)に替えて、非水混和性有機溶媒をCPME100gからトルエン100gに替えた以外は、比較例3と同様の操作を行い、ジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)、N,N−ジメチルアセトアミドがトルエンに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(d)とする。
(比較例5)ジカルボン酸クロライド、N−メチルピロリドン(NMP)がCPMEに溶解した溶液の調製
比較例3において、活性化剤としてのN,N−ジメチルホルムアミド10.61g(145mmol)をN−メチルピロリドン14.39g(145mmol)に替えた以外は、比較例3と同様の操作を行い、ジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)、N−メチルピロリドンがCPMEに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(e)とする。
(比較例6)ジカルボン酸クロライド、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンがシクロヘキサンとトルエンの混合溶媒に溶解した溶液の調製
比較例3において、活性化剤としてのN,N−ジメチルホルムアミド10.61g(145mmol)を1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン16.57g(145mmol)に替えて、非水混和性有機溶媒をシクロペンチルメチルエーテル(CPME)100gからシクロヘキサン50gとトルエン50gの混合溶媒に替えた以外は、比較例3と同様の操作を行い、ジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンがシクロヘキサンとトルエンの混合溶媒に溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(f)とする。
(比較例7)ジカルボン酸クロライド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)がシクロペンチルメチルエーテル(CPME)に溶解した溶液の調製
比較例3と同様の操作を行い、ジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)、N,N−ジメチルホルムアミドがトCPMEに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(g)とする。
(比較例8)ジカルボン酸クロライド、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)がシクロペンチルメチルエーテル(CPME)に溶解した溶液の調製
比較例3と同様の操作を行い、ジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)、N,N−ジメチルホルムアミドがトCPMEに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(h)とする。
(比較例9)ジカルボン酸クロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライドがCPMEに溶解した溶液の調製
温度計を備えた三口反応器に、窒素気流中、ジカルボン酸化合物(II)としてのtrans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸10.0g(58.08mmol)と、非水混和性有機溶媒としてのCPME100gを加えた。そこへ、活性化剤としてのベンジルトリエチルアンモニウムクロライド14.55g(63.89mmol)を加えた。その後、23℃にてハロゲン化剤としての塩化チオニル14.81g(122mmol)を5分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、全容を40℃に加温して、そのまま30分間さらに撹拌した。
反応終了後、分液操作を行わず、有機層と混和しないオイル状液体物が共存した状態で、ロータリーエバポレーターにて濃縮を行い、使用したCPMEの80質量%(80g)を抜き出してジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライドがCPMEに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(i)とする。
(比較例10)ジカルボン酸クロライド、トリ(n−オクチル)メチルアンモニウムクロライドがトルエンに溶解した溶液の調製
比較例9において、活性化剤としてのベンジルトリエチルアンモニウムクロライド14.55g(63.89mmol)をトリ(n−オクチル)メチルアンモニウムクロライド(商品名:Aliquat)25.82(63.89mmol)に替えて、非水混和性有機溶媒をCPME100gからトルエン100gに替えた以外は、比較例9と同様の操作を行い、ジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)、トリ(n−オクチル)メチルアンモニウムクロライドがトルエンに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(j)とする。
(比較例11)ジカルボン酸クロライド、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド混合物がCPMEに溶解した溶液の調製
比較例9において、活性化剤としてのベンジルトリエチルアンモニウムクロライド14.55g(63.89mmol)をメチルトリオクチルアンモニウムクロライド混合物(商品名:Adogen)25.82g(63.89mmol)に替えた以外は、比較例9と同様の操作を行い、ジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)、メチルトリオクチル、アンモニウムクロライド混合物がCPMEに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(k)とする。
(比較例12)ジカルボン酸クロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライドがCPMEに溶解した溶液の調製
比較例9と同様の操作を行い、ジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライドがCPMEに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(l)とする。
(比較例13)ジカルボン酸クロライド、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド混合物がCPMEに溶解した溶液の調製
比較例11と同様の操作を行い、ジカルボン酸クロライド(trans−1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジクロライド)、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド混合物がCPMEに溶解した溶液を調製した。この溶液を酸クロリド溶液(m)とする。
(比較例14)混合物15の合成
温度計を備えた3口反応器に、窒素気流中、比較例1で調製した酸クロリド溶液(a)を加えたのち、CPME222gを加え、反応器を氷浴に浸して反応液内温を0℃とした。そこへ、ヒドロキシ化合物(IV)としての4−(6−アクリロイルオキシ−ヘクス−1−イルオキシ)フェノール(DKSH社製)14.58g(55.17mmol)を加えた。次いで、塩基としてのトリエチルアミン6.70g(66.21mmol)を、反応液内温を10℃以下に保持しながら、5分間かけてゆっくり滴下した。滴下終了後、全容を0℃にて、そのまま1時間さらに撹拌した。
得られた反応液に、蒸留水36gを加えて25℃にて2時間洗浄を行った後、水層を抜き出した。有機層について、濃度1mol/リットルの酢酸と酢酸ナトリウムの混合物の水溶液からなる緩衝溶液(pH:5.5)61gで3回洗浄を行ったあと、緩衝溶液を抜き出した。
その後、蒸留水36gで1回洗浄を行った。得られた有機層にn−ヘキサン365mlを加えて結晶を析出させ、析出した結晶をろ取した。得られた結晶をn−ヘキサン18mlで洗浄後、真空乾燥させることで、白色固体として混合物15を15.56g得た。得られた結晶を高速液体クロマトグラフ(HPLC)にて分析を行い、検量線にてモノエステルとジエステルの定量を行ったところ、目的物であるモノエステルが9.93g(23.73mmol)、ジエステルが5.63g(8.47mmol)含まれていることが分かった。
(比較例15)混合物16の合成
比較例14において、比較例1で調製した酸クロリド溶液(a)に替えて、比較例2で調製した酸クロリド溶液(b)を用いた以外は、比較例14と同様の操作を行った。その結果、白色固体を15.72g得た。比較例14と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが10.06g(24.03mmol)、ジエステルが5.67g(8.52mmol)含まれていることが分かった。
(比較例16)混合物17の合成
比較例14において、比較例1で調製した酸クロリド溶液(a)に替えて、比較例3で調製した酸クロリド溶液(c)を用いた以外は、比較例14と同様の操作を行った。その結果、白色固体を2.79g得た。比較例14と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが2.45g(5.84mmol)、ジエステルが0.34g(0.52mmol)含まれていることが分かった。
(比較例17)混合物18の合成
比較例14において、比較例1で調製した酸クロリド溶液(a)に替えて、比較例4で調製した酸クロリド溶液(d)を用いた以外は、比較例14と同様の操作を行った。その結果、白色固体を2.66g得た。比較例14と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが2.29g(5.47mmol)、ジエステルが0.37g(0.56mmol)含まれていることが分かった。
(比較例18)混合物19の合成
比較例14において、比較例1で調製した酸クロリド溶液(a)に替えて、比較例5で調製した酸クロリド溶液(e)を用いた以外は、比較例14と同様の操作を行った。その結果、白色固体を2.88g得た。比較例14と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが2.51g(5.99mmol)、ジエステルが0.37g(0.56mmol)含まれていることが分かった。
(比較例19)混合物20の合成
比較例14において、比較例1で調製した酸クロリド溶液(a)に替えて、比較例6で調製した酸クロリド溶液(f)を用いた以外は、比較例14と同様の操作を行った。その結果、白色固体を2.63g得た。比較例14と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが2.27g(5.43mmol)、ジエステルが0.36g(0.54mmol)含まれていることが分かった。
(比較例20)混合物21の合成
比較例14において、比較例1で調製した酸クロリド溶液(a)に替えて、比較例7で調製した酸クロリド溶液(g)を使用し、さらに、トリエチルアミンの量を6.70g(66.21mmol)から14.0g(138mmol)に替えた以外は、比較例14と同様の操作を行った。その結果、白色固体を4.74g得た。比較例14と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが3.44g(8.22mmol)、ジエステルが1.31g(1.96mmol)含まれていることが分かった。
(比較例21)混合物22の合成
比較例14において、比較例1で調製した酸クロリド溶液(a)に替えて、比較例8で調製した酸クロリド溶液(h)を使用し、さらに、トリエチルアミンの量を6.70g(66.21mmol)から27.9g(276mmol)に替えた以外は、比較例14と同様の操作を行った。その結果、白色固体を10.67g得た。比較例14と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが5.80g(13.85mmol)、ジエステルが4.87g(7.32mmol)含まれていることが分かった。
(比較例22)混合物23の合成
比較例14において、比較例1で調製した酸クロリド溶液(a)に替えて、比較例9で調製した酸クロリド溶液(i)を用いた以外は、比較例14と同様の操作を行った。その結果、白色固体を15.03g得た。比較例14と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが10.31g(24.64mmol)、ジエステルが4.72g(7.10mmol)含まれていることが分かった。
(比較例23)混合物24の合成
比較例14において、比較例1で調製した酸クロリド溶液(a)に替えて、比較例10で調製した酸クロリド溶液(j)を用いた以外は、比較例14と同様の操作を行った。その結果、白色固体を15.11g得た。比較例14と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが10.36g(24.77mmol)、ジエステルが4.75g(7.14mmol)含まれていることが分かった。
(比較例24)混合物25の合成
比較例14において、比較例1で調製した酸クロリド溶液(a)に替えて、比較例11で調製した酸クロリド溶液(k)を用いた以外は、比較例14と同様の操作を行った。その結果、白色固体を14.87g得た。比較例14と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが10.21g(24.39mmol)、ジエステルが4.67g(7.02mmol)含まれていることが分かった。
(比較例25)混合物26の合成
比較例14において、比較例1で調製した酸クロリド溶液(a)に替えて、比較例12で調製した酸クロリド溶液(l)を使用し、さらに、トリエチルアミンの量を6.70g(66.21mmol)から8.93g(88.28mmol)に替えた以外は、比較例14と同様の操作を行った。その結果、白色固体を16.12g得た。比較例14と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが10.39g(24.82mmol)、ジエステルが5.73g(8.62mmol)含まれていることが分かった。
(比較例26)混合物27の合成
比較例14において、比較例1で調製した酸クロリド溶液(a)に替えて、比較例13で調製した酸クロリド溶液(m)を使用し、さらに、トリエチルアミンの量を6.70g(66.21mmol)から8.93g(88.28mmol)に替えた以外は、比較例14と同様の操作を行った。その結果、白色固体を16.33g得た。比較例14と同様の方法で組成を確認したところ、目的物であるモノエステルが10.56g(25.23mmol)、ジエステルが5.77g(8.69mmol)含まれていることが分かった。
以上の結果を表1、表2にまとめた。
表1、2において、(T)〜(Z)は、以下のものを表す。
(T):N,N−ジメチルホルムアミド
(U):N,N−ジメチルアセトアミド
(V):N−メチルピロリドン
(W):1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン
(X):ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド
(Y):トリ(n−オクチル)メチルアンモニウムクロライド(商品名:Aliquat)
(Z):メチルトリオクチルアンモニウムクロライド混合物(商品名:Adogen)
Figure 2017130871
Figure 2017130871
表1から、活性剤としての窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤又はテトラアルキルアンモニウム塩を1.1当量以上3.0当量以下使用して酸クロライド化反応を行うと(実施例1〜14)、従来から知られている非プロトン性極性溶剤を少ない添加量で用いた場合(比較例1〜2)よりも、室温でも速やかに反応が進行し、効率的であることがわかる。
また、表2から、次工程のエステル化反応においても、非プロトン性極性溶剤又はテトラアルキルアンモニウム塩を1.1当量以上3.0当量以下使用して製造された酸クロリド溶液は、良好な反応成績を与えるが(実施例15〜28)、非プロトン性極性溶剤を少ない添加量で用いた場合には、転化率が低くなり、反応が完結しないだけでなく、収量が低下する可能性があることが分かる。これは、反応系内に副生成物の生成が多く見られることに起因する(比較例14〜15)。
さらに、表1、2より、活性剤としての非プロトン性極性溶剤又はテトラアルキルアンモニウム塩を1.1当量以上3.0当量以下使用して酸クロリド化反応を行った後、分液操作により、非水混和性有機溶媒と混和しないオイル状液体物を除去した場合(実施例1〜28)、次工程のエステル化反応において良好な反応成績を与えるが、分液操作を行わずにオイル状液体物が共存した状態の場合(比較例14〜19、22〜24)、転化率が著しく低下し、反応が完結しておらず、好ましい結果は得られないことが分かる。これは、反応系内に副反応の原因となるハロゲン化剤が多く残存していることに起因する。また、酸クロライド化反応でオイル状液体物が共存した状態で、エステル化反応を行った場合、塩基であるトリエチルアミンを過剰量使用しても、副生成物の生成量が増加するため、好ましい結果は得られないことが分かる(比較例20、21、25、26)。

Claims (14)

  1. 非水混和性有機溶媒中、下記式(I):
    Figure 2017130871
    (式(I)中、nは0又は1を表す。)で表されるジカルボン酸化合物を、前記式(I)で表されるジカルボン酸化合物に対して1.1当量以上3.0当量以下の活性化剤存在下、ハロゲン化剤と反応させることにより、下記式(II):
    Figure 2017130871
    (式(II)中、nは0又は1を表し、Xはハロゲン原子を表す。)で表される酸ハライド化合物を含む溶液と、前記溶液と混和しないオイル状液体物とを含有する反応液を得る第1工程、及び、
    前記第1工程において得られた前記反応液から前記オイル状液体物を除去し、前記式(II)で表される酸ハライド化合物を含む精製液を得る第2工程、
    を含むことを特徴とする酸ハライド溶液の製造方法。
  2. 前記第2工程の後、前記第2工程において得られた前記精製液を濃縮する第3工程をさらに含む、請求項1に記載の酸ハライド溶液の製造方法。
  3. 前記式(I)で表されるジカルボン酸化合物が、下記式(I−a):
    Figure 2017130871
    (式(I−a)中、nは0又は1を表す。)で表される化合物である、請求項1又は2に記載の酸ハライド溶液の製造方法。
  4. 前記活性化剤が、窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤、又は、下記式(III):
    Figure 2017130871
    (式(III)中、Aは、ハロゲン化物イオン、又は、RSO (Rは、メチル基、フェニル基又は4−メチルフェニル基を表す。)を表し、R、R、R及びRは、それぞれ独立して、無置換の又は置換基を有するアルキル基を表す。ただし、R、R、R及びRの炭素原子数の総和は4以上100以下である。)で表されるテトラアルキルアンモニウム塩である、請求項1〜3のいずれかに記載の酸ハライド溶液の製造方法。
  5. 前記窒素原子を含む非プロトン性極性溶剤が、アミド系溶剤である、請求項4に記載の酸ハライド溶液の製造方法。
  6. 前記アミド系溶剤が、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項5に記載の酸ハライド溶液の製造方法。
  7. 前記式(III)で表されるテトラアルキルアンモニウム塩が、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライド、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド、テトラブチルアンモニウムクロライド、及びベンジルトリメチルアンモニウムクロライドからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項4に記載の酸ハライド溶液の製造方法。
  8. 前記ハロゲン化剤が、塩化チオニル、塩化オキザリル、塩化スリフリル、塩化ホスホリル、三塩化リン、及び五塩化リンからなる群から選ばれる少なくとも一種である、請求項1〜7のいずれかに記載の酸ハライド溶液の製造方法。
  9. 前記式(II)で表される酸ハライド化合物が、下記式(II−1):
    Figure 2017130871
    (式(II−1)中、nは0又は1を表す。)で表されるジカルボン酸クロライドである、請求項1〜8のいずれかに記載の酸ハライド溶液の製造方法。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法により得られた酸ハライド溶液に、式(IV):ROH(式(IV)中、Rは、有機基を表す。)で表されるヒドロキシ化合物、及び、塩基を添加する第4工程を含む、下記式(V):
    Figure 2017130871
    (式(V)中、Rは前記と同じ意味を表し、nは0又は1を表す。)で表されるモノエステル化合物の製造方法。
  11. 前記式(IV)で表されるヒドロキシ化合物が、下記式(IV−1):
    Figure 2017130871
    (式(IV−1)中、Rは水素原子、メチル基又は塩素原子を表し、mは1以上20以下の整数を表す。)で表される化合物である、請求項10に記載のモノエステル化合物の製造方法。
  12. 前記第4工程の後、前記第4工程により得られた反応液を、弱酸性の緩衝溶液にて洗浄する第5工程をさらに含む、請求項10又は11に記載のモノエステル化合物の製造方法。
  13. 前記弱酸性の緩衝溶液が、pHが5.0以上6.0以下の水溶液である、請求項12に記載のモノエステル化合物の製造方法。
  14. 前記弱酸性の緩衝溶液が、酢酸と酢酸ナトリウムとの混合物の水溶液、及び/又はフタル酸水素カリウムと水酸化ナトリウムとの混合物の水溶液である、請求項12又は13に記載のモノエステル化合物の製造方法。
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