JPWO2017119017A1 - ポリフェニレンエーテル及び樹脂組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
しかしながら元来、ポリフェニレンエーテル樹脂自体は、薄肉成形流動性や耐熱エージング特性は必ずしも十分ではない。
化学式(1)、(2)、(3)から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテル。
[2]
前記化学式(1)及び(2)のX1が、
[3]
前記ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、前記化学式(1)、(2)、(3)からなる群から選択される構造のユニットを0.01〜10.0個含有する、[1]又は[2]に記載のポリフェニレンエーテル。
[4]
前記化学式(2)に示す構造のユニットに対する前記化学式(1)に示す構造のユニットの割合が、0〜30モル%である、[1]〜[3]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル。
[5]
前記化学式(1)及び/又は(2)に示す構造のユニットと、前記化学式(3)に示す構造のユニットとを含む、[1]〜[4]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル。
[1]〜[5]のいずれかに記載の(A)ポリフェニレンエーテルと、(B)酸化防止剤とを含有する樹脂組成物であって、当該(B)酸化防止剤を、当該(A)ポリフェニレンエーテル100質量部に対して0.1〜5.0質量部含有する、樹脂組成物。
[7]
前記(B)酸化防止剤が、リン系酸化防止剤である、[6]に記載の樹脂組成物。
[8]
更に、(C)スチレン系樹脂を含有する、[6]又は[7]に記載の樹脂組成物。
本発明の(A)ポリフェニレンエーテル(以下、ポリフェニレンエーテルを単に「PPE」とも称す)について説明する。
本発明の(A)ポリフェニレンエーテルは、下記化学式(4)及び/又は化学式(5)で表される繰り返し単位(構造のユニット)を有する単独重合体、あるいは共重合体である。
なお、本実施形態では、ポリフェニレンエーテル鎖中には、化学式(4)においてR5、R6がそれぞれメチル基である構造(及び、後述のように、当該構造から導かれる構造)が少なくとも一部含まれている。
R1、R2の構造としては、反応性官能基を有さない置換基が好ましい。反応性置換基を有する場合、樹脂組成物が長時間高温にさらされたときに、これらの反応性置換基が架橋反応を起こし、エージング後の物性低下の原因となり得るからである。ここで反応性置換基とはヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、ビニル基、カルボニル基等である。また、R1、R2の構造としては、R1とR2が連結した構造や、構造中に窒素原子、酸素原子を含んでもよい。
ここで、R3及びR4は、それらに含まれる炭素原子が互いに結合して環状構造を形成してもよい。但し、式(3)は、芳香環の不飽和二重結合以外に不飽和二重結合を実質的に有さない。より詳細には、芳香環の二重結合以外に炭素−炭素二重結合を実質的に有さない。
また、上記R3、R4におけるアリール基としては、例えば、炭素数6〜30のアリール基が挙げられ、具体的には、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、ナフチル基、トリチル基等が挙げられる。
また、上記アルキルアミノ基におけるアルキル基としては、例えば、炭素数1〜30のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。また、上記アルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、オクチルアミノ基、ジオクチルアミノ基等が挙げられ、上記アリールアミノ基としては、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、トリルアミノ基、ジトリルアミノ基等が挙げられる。
従来のポリフェニレンエーテルでは、長時間高温にさらされた場合に、末端ユニットにあるメチル基(以下、「末端メチル基」とも称する。)、中間ユニットにあるメチル基(以下、「側鎖メチル基」とも称する。)、末端ユニットにある水酸基(以下、「末端水酸基」とも称する。)が酸化架橋反応を起こすことがあり、当該酸化架橋反応がポリフェニレンエーテル及びその樹脂組成物の耐熱エージング特性の低下に著しく影響を及ぼしていた。より具体的には、末端メチル基、側鎖メチル基、末端水酸基では、比較的ラジカルが発生しやすい傾向があり、発生したラジカルが酸化架橋を起こす要因となっていた。そこで、本発明のポリフェニレンエーテルでは、被酸化部位である末端メチル基、側鎖メチル基、末端水酸基を、所定の分子で置換された状態にして封止したので、末端メチル基、側鎖メチル基、末端水酸基の架橋反応を抑制することができ、それ故に、ポリフェニレンエーテルの耐熱エージング特性を向上させることができる。また、本実施形態の(A)ポリフェニレンエーテルでは、末端メチル基、側鎖メチル基、末端水酸基を、所定の分子で置換された状態にして封止したので、当該PPEを用いた樹脂組成物の押出機、成形機中における分子鎖中の末端(末端メチル基及び末端水酸基)の構造変化を抑制することもでき、それ故に耐熱エージング特性の向上とともに成形品の着色を防止し及び外観を改良することができる。ここで、被酸化部位のラジカル発生能は、側鎖メチル基に比べ、末端メチル基、末端水酸基の方が大きいため、所定の分子による封止は、末端により多く行うことが好ましい。
上記割合は、後述する、反応性化合物の種類や前駆体PPEと反応性化合物とを反応させるときの反応温度、撹拌効率、反応時間等を調整することにより、上記範囲に調整することができる。
本実施形態の(A)ポリフェニレンエーテルは、(A)ポリフェニレンエーテルの化学式(1)及び(2)中のメチレン基に化学式(1)、(2)のX1とは異なる置換基を持つ(A)ポリフェニレンエーテルの前駆体(以下、「前駆体ポリフェニレンエーテル」とも称す)を、後述する反応性化合物と反応させて得ることが好ましい。本実施形態の(A)ポリフェニレンエーテルを、前駆体ポリフェニレンエーテルから合成することにより、(A)ポリフェニレンエーテルの化学式(1)及び(2)中のX1部分が水素であるポリフェニレンエーテル(以下、「非置換ポリフェニレンエーテル」とも称す。)から合成する場合よりも効率よく得られるからである。
本実施形態の(A)ポリフェニレンエーテルは、上記と同様に、前駆体ポリフェニレンエーテルと、後述する反応性化合物とを、熱により反応させることで、上記化学式(3)の構造ユニットを得ることが好ましい。また、ポリフェニレンエーテルの末端水酸基に反応性化合物を反応させることで、上記化学式(3)の構造ユニットを得ることも好ましい。
本実施形態の(A)ポリフェニレンエーテルを得るために用いることができる反応性化合物としては、限定されるものではないが、例えば、ホスホン酸類、ホスホン酸エステル類、ホスフィン酸類、ホスフィン酸エステル類、モノカルボン酸類、スルホン酸類、スルフィン酸類、カーボネート類等が挙げられる。
続いて、本発明の樹脂組成物について説明する。
本発明の樹脂組成物は、上記で説明した(A)ポリフェニレンエーテルに(B)酸化防止剤を含有することが好ましい。
本実施形態において、(A)ポリフェニレンエーテルは、上記の構造を有するものであるところ、(A)ポリフェニレンエーテルを含有する樹脂組成物は、本発明の効果を高める観点から、(A)ポリフェニレンエーテルを、好適には10質量%以上、より好適には20質量%以上含有することが好ましく、好適には90質量%以下、より好適には80質量%以下含有することが好ましい。
この構成によれば、(A)成分の含有量を、30質量%以上とするので、機械的強度を持たすことができ、90質量%以下とするので、溶融混練時における流動性を確保することができる。
本発明において用いる酸化防止剤は、ラジカル連鎖禁止剤として働く1次酸化防止剤と、過酸化物を分解する効果のある2次酸化防止剤のどちらも使用可能である。すなわち、酸化防止剤を用いることにより、ポリフェニレンエーテルが長時間高温にさらされた際に、末端メチル基又は側鎖メチル基において生じ得るラジカルを捕捉することができ(1次酸化防止剤)、又は当該ラジカルにより末端メチル基又は側鎖メチル基に生じた過酸化物を分解することができ(2次酸化防止剤)、それ故に、ポリフェニレンエーテルの酸化架橋を防止することができる。
本実施形態の樹脂組成物には、耐熱性や成形流動性を調整する目的で、(C)スチレン系樹脂を配合することが可能である。(C)スチレン系樹脂は、特に限定されず、公知のものを用いることができ、スチレン系化合物の単独重合体;スチレン系化合物、及びスチレン系化合物と共重合可能な化合物を、ゴム質重合体存在又は非存在下に重合して得られる共重合体;が挙げられる。
ゴム強化ポリスチレンとは、スチレン系化合物とスチレン系化合物と共重合可能な化合物とを、ゴム質重合体存在下で重合して得られる重合体としてよい。
ここで、重合体中におけるスチレン系化合物と共重合可能な化合物の含有量は、スチレン系化合物とスチレン系化合物と共重合可能な化合物との合計量100質量%に対して、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下である。また、ゴム質重合体としては、以下に制限されないが、例えば、共役ジエン系ゴム、共役ジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体、エチレン−プロピレン共重合体系ゴムが挙げられ、より詳細には、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンランダム共重合体及びスチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらを部分的に又はほぼ完全に水素添加した重合体が挙げられる。
ゴム強化ポリスチレンの具体例としては、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)が挙げられ、このHIPSを構成するゴム質重合体としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体が好適である。
ここで、HIPSを構成するゴム質重合体のゴム粒子の形態として、サラミ構造(複数細胞構造)、ポリスチレンコア(単一細胞構造)の2種が挙げられる。「サラミ構造」とは、ポリスチレンマトリックス中に分散しているゴム粒子がサラミソーセージのような断面を備える、すなわち、薄肉の外郭層を有する当該ゴム粒子相の中に複数のポリスチレン粒子が蜂の巣状に内蔵されている、構造である。「ポリスチレンコア」とは、ポリスチレンマトリックス中に分散しているゴム粒子が単一細胞構造(コアシェル構造)を備える。
ゴム強化ポリスチレンは、塊状重合法又は塊状懸濁重合法により製造することができ、ゴム粒子形態は、重合工程における撹拌の状態、ゴム粒子生成時の混合状態等をコントロールすることにより制御できる。
本実施形態の樹脂組成物は、更には、樹脂組成物の耐熱性、機械物性並びに成形品の表面外観及び耐熱エージング特性等を著しく低下させない範囲において、その他の(B)以外の酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤等を含んでいてもよい。
本実施形態の樹脂組成物中の上記その他の成分の含有量は、樹脂組成物100質量%中において、各々が0.001〜3質量%の範囲内で含有することが可能であり、より好ましくは0.01〜0.5質量%であり、さらにより好ましくは0.2〜0.5質量%の範囲内である。十分な添加効果発現の観点から、上記のその他の酸化防止剤等の含有量は、0.001質量%以上が好ましく、十分な成形品外観及び物性保持の観点から3質量%以下が好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、前記(A)成分及び前記(B)成分、さらに任意のその他の原材料を、溶融混練の条件を適宜調節して、溶融混練することにより製造することができる。前記樹脂組成物を製造するための前記(A)成分、前記(B)成分、その他の成分との溶融混練の条件については、樹脂組成物中において、特に制限されるものではないが、本実施形態の所望の効果を十分に発揮し得る樹脂組成物を大量且つ安定的に得るという観点から、スクリュー径25〜90mmの二軸押出機を用いることが好適である。一例として、TEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数:13、スクリュー径:58mm、L/D=53、ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)を用いた場合に、シリンダー温度270〜330℃、スクリュー回転数150〜700rpm、押出レート150〜600kg/h、及びベント真空度11.0〜1.0kPaの条件で溶融混練する方法が挙げられる。
本実施形態の樹脂組成物からなる成形品は、上述の樹脂組成物を成形することにより得ることができる。
得られた樹脂組成物のペレットを、90℃の熱風乾燥機中で3時間乾燥した。乾燥後の樹脂組成物を、ISO物性試験片金型を備え付けた射出成形機(東芝機械社製、IS−80EPN)により、シリンダー温度330℃、金型温度120℃、射出圧力50MPa(ゲージ圧)、射出速度200mm/sec、射出時間/冷却時間=20sec/20secに設定し、ISO3167、多目的試験片A型のダンベル成形片を成形した。得られた成形片を切断して作製した80mm×10mm×4mmの試験片を用いて、ISO75に準拠し、フラットワイズ法、1.82MPaで荷重たわみ温度(DTUL)(℃)を測定した。
評価基準としては、DTULが高い値であるほど、本組成物の材料設計面で有利であると判定した。
得られた樹脂組成物のペレットを、120℃の熱風乾燥機中で3時間乾燥した。乾燥後、メルトインデクサー(東洋精機製作所社製、P−111)を用いてシリンダー設定温度280℃、10kg荷重にて、MFR(メルトフローレート)(g/10min)を測定した。
評価基準としては、MFRが高い値であるほど、本組成物の材料設計面で有利であると判定した。
上記1.の成形において、ダンベル成形片を完全に充填させずにショートショット(ISOダンベル金型に射出し、デッド側に5mm以内の隙間が空くように成形した状態)で成形し、完全に充填していないデッド側掴み部分を目視で観察して、成形片表面の状態を○(良好)、×(不良)で判定した。シルバーや微細なガスの抜け痕による表面荒れ、曇り感等の不具合の見られる場合に「×」と、見られない場合に「○」と判定した。
上記1.で得られたダンベル成形片を設定温度135℃の熱風オーブン中で、500時間、1000時間、1500時間のエージングをそれぞれ行った。そして、23℃で8時間放置した後、それぞれのエージング時間のダンベル成形片各5本をISO527に準拠して、引張強度を23℃で測定し、その平均値を引張強度(MPa)とした。評価基準としては下記式(1)に基づき、引張強度保持率を計算し、引張強度保持率が75%以上であれば耐熱エージング特性に優れていると判定した。
引張強度保持率(%)=1500時間後の引張強度÷初期の引張強度×100・・・(1)
<ポリフェニレンエーテル>(前駆体ポリフェニレンエーテル:PPE−1)
攪拌機、温度計、コンデンサー及び反応器の底部まで届いた酸素導入管を備えた容量10Lのジャケット付き反応器に、臭化第二銅2gを投入し、ジ−n−ブチルアミン35g、トルエン800gに溶解させた。この触媒溶液に、2,6−ジメチルフェノール200gをトルエン500gに溶かした溶液を加えた。これらの混合液を反応器内にて、酸素を供給しながら40℃で重合を3時間行った。反応停止後、水と接触させて反応液から触媒を除去し、ポリフェニレンエーテル反応液を得た。このポリフェニレンエーテル反応液を連続的にメタノールと接触させ攪拌しながら固形化しポリフェニレンエーテルスラリー溶液を得た。このスラリー溶液を小松ゼノア(株)製のディスインテグレーター(商品名)にて1mm格子スリットを用いて湿式粉砕をおこない、粉砕されたスラリー溶液を連続的にヤングフィルター型真空濾過器に供給しながら固液分離し、ヤングフィルター型真空ろ過器上で乾燥後のポリフェニレンエーテル重量に対し3倍量のメタノールにてリンス洗浄した後、ポリフェニレンエーテル粒子を乾燥した。湿式粉砕後のスラリー溶液中のポリフェニレンエーテル粒子は1700μmより大きな粒子は0重量%であり、ポリフェニレンエーテル粒子の重量平均粒径は220μmであった。
上記の製造方法で得られた前駆体ポリフェニレンエーテルとしてのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル(PPE−1)は、還元粘度=0.38dL/g、数平均分子量15300、前駆体ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの末端OH基の数:0.72個、前駆体ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりのジ−n−ブチルアミノメチル基の数:0.43個であった。
なお、還元粘度は、0.5g/dLクロロホルム溶液、30℃、ウベローデ型粘度管で測定した。
攪拌機、温度計、コンデンサー及び反応器の底部まで届いた酸素導入管を備えた容量10Lのジャケット付き反応器に、臭化第二銅2gを投入し、ジ−n−ブチルアミン35g、トルエン800gに溶解させた。この触媒溶液に、2,6−ジメチルフェノール200gをトルエン500gに溶かした溶液を加えた。これらの混合液を反応器内にて、酸素を供給しながら40℃で重合を1時間行った。反応停止後、水と接触させて反応液から触媒を除去し、ポリフェニレンエーテル反応液を得た。このポリフェニレンエーテル反応液を連続的にメタノールと接触させ攪拌しながら固形化しポリフェニレンエーテルスラリー溶液を得た。このスラリー溶液を小松ゼノア(株)製のディスインテグレーター(商品名)にて1mm格子スリットを用いて湿式粉砕をおこない、粉砕されたスラリー溶液を連続的にヤングフィルター型真空濾過器に供給しながら固液分離し、ヤングフィルター型真空ろ過器上で乾燥後のポリフェニレンエーテル重量に対し3倍量のメタノールにてリンス洗浄した後、ポリフェニレンエーテル粒子を乾燥した。湿式粉砕後のスラリー溶液中のポリフェニレンエーテル粒子は1700μmより大きな粒子は0重量%であり、ポリフェニレンエーテル粒子の重量平均粒径は220μmであった。
上記の製造方法で得られた前駆体ポリフェニレンエーテルとしてのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル(PPE−2)は、還元粘度=0.13dL/g、数平均分子量3000、前駆体ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの末端OH基の数:5.2個、前駆体ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりのジ−n−ブチルアミノメチル基の数:0.5個であった。
なお、還元粘度は、0.5g/dLクロロホルム溶液、30℃、ウベローデ型粘度管で測定した。
重合槽底部に酸素含有ガス導入のためのスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフルを備え、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた40リットルのジャケット付き重合槽に、0.5L/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、4.57gの酸化第二銅、24.18gの47質量%臭化水素水溶液、11.00gのジ−t−ブチルエチレンジアミン、62.72gのジ−n−ブチルアミン、149.92gのブチルジメチルアミン、20.65kgのトルエン、及び3.12kgの2,6−ジメチルフェノールを入れ、均一溶液となり、かつ重合槽の内温が25℃になるまで撹拌した。次に、重合槽へ32.8NL/分の速度で乾燥空気をスパージャーより導入し始め、重合を開始した。乾燥空気を140分間通気し、重合混合物を得た。なお、重合中は内温が40℃になるようコントロールした。乾燥空気の通気を停止し、重合混合物にエチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩(同仁化学研究所製試薬)の2.5質量%水溶液を10kg添加した。70℃で150分間、重合混合物を撹拌し、その後20分静置し、液−液分離により有機相と水相とを分離した。
得られた有機相を連続的にメタノールと接触させ攪拌しながら固形化しポリフェニレンエーテルスラリー溶液を得た。このスラリー溶液を小松ゼノア(株)製のディスインテグレーター(商品名)にて1mm格子スリットを用いて湿式粉砕をおこない、粉砕されたスラリー溶液を連続的にヤングフィルター型真空濾過器に供給しながら固液分離し、ヤングフィルター型真空ろ過器上で乾燥後のポリフェニレンエーテル重量に対し3倍量のメタノールにてリンス洗浄した後、ポリフェニレンエーテル粒子を乾燥した。湿式粉砕後のスラリー溶液中のポリフェニレンエーテル粒子は1700μmより大きな粒子は0重量%であり、ポリフェニレンエーテル粒子の重量平均粒径は220μmであった。
上記の製造方法で得られた前駆体ポリフェニレンエーテルとしてのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル(PPE−1)は、還元粘度=0.38dL/g、数平均分子量15300、前駆体ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの末端OH基の数:0.72個、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりのN,N−ジブチルアミノメチル基の数:0.43個であった。
なお、還元粘度は、0.5g/dLクロロホルム溶液、30℃、ウベローデ型粘度管で測定した。
(PPE−1)を100質量部と、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(株式会社三光製)1.2質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第1原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、(A)ポリフェニレンエーテル成分(A−2)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し(A)ポリフェニレンエーテル(A−2)のパウダーを得た。
得られた(A)ポリフェニレンエーテル(A−2)は、31P−NMR(single plus法)及び1H−NMRにて同定することができ、反応性化合物のメチル基への付加量は、1H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、下記の化学式(10)、(11)の構造を合わせて0.25個含むことを確認した。
更に、末端水酸基への付加量は、13C−NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、下記数式(2)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、下記化学式(12)の構造を0.03個含むことを確認した。また、1H−NMRにて、3.5〜5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの反応性化合物の付加数(個)=(前駆体ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの末端OHの数)×{[A]/([A]+[B])}・・・(2)
また、化学式(11)に対する化学式(10)の割合は、31P−NMRにて、化学式(11)由来の38〜42ppmのピークの積分値に対する、化学式(10)由来の34〜36ppmのピークの積分値の割合を計算することより求められ、27モル%であることが分かった。
装置 :JEOL RESONANCE ECS400
観測核 :31P
観測周波数 :161.8MHz
パルス幅 :45°
待ち時間 :5秒
積算回数 :10,000回
溶媒 :CDCl3
試料濃度 :20w/v%
化学シフト基準:85%リン酸水溶液(外部基準)0ppm
装置 :JEOL―ECA500
観測核 :1H
観測周波数 :500.16MHz
測定法 :Single−Plus
パルス幅 :7μsec
待ち時間 :5秒
積算回数 :512回
溶媒 :CDCl3
試料濃度 :5w%
化学シフト基準:TMS 0.00ppm
装置 :Bruker Biospin Avance 600
観測核 :13C
観測周波数 :150.9MHz
測定法 :逆ゲートデカップリング法
パルス幅 :30°
待ち時間 :10秒
積算回数 :2,000回
溶媒 :CDCl3
試料濃度 :20w/v%
化学シフト基準:TMS 0ppm
まず、(PPE−1)と同様なユニット種を有する前駆体ポリフェニレンエーテルを次の製造方法で製造した。
攪拌機、温度計、コンデンサー及び反応器の底部まで届いた酸素導入管を備えた容量10Lのジャケット付き反応器にキシレン2.9kg、メタノール905g、2,6−ジメチルフェノール1.0kg(8.2モル)を仕込み均一な液とした後、水酸化ナトリウム26.2g(655ミリモル)をメタノール175gに溶かした溶液を加え、次いで塩化マンガン四水和物810mg(4.1ミリモル)とモノエタノールアミン20g(328ミリモル)を窒素雰囲気下、50℃、1時間混合した予備混合物20.8gを加えた。更にエチレングリコール20.4g(329ミリモル)及びジ−n−ブチルアミン10.6g(82ミリモル)を加えた。内容物を激しくかきまぜながらこれに酸素を200Nml/分の速さで吹き込み、反応温度を40℃に保ち3時間反応させた後、酸素を80Nml/分、反応温度30℃に降温し、反応開始から5時間経過した時点で酸素供給を停止した。反応混合物600gを抜き出し、メタノール280gを加え、析出した重合体を吸引濾過した後、メタノール1Lで2回洗浄し吸引濾過した。得られた重合体を、ピロリン酸ナトリウム2.9g及びハイドロサルファイトナトリウム1.9gをイオン交換水500mlに溶かした溶液中に分散させ、攪拌下80℃で10分間処理した。吸引濾過して得られた重合体をイオン交換水1Lで2回洗浄、吸引濾過した。湿った重合体を150℃で5時間減圧乾燥し、110gの粉末状のポリフェニレンエーテルを得た。
上記の製造方法で得られた、前駆体ポリフェニレンエーテルは、(PPE−1)と同様なユニット種を有するものの、還元粘度=0.47dl/gであり、N,N−ジブチルアミノメチル基を100ユニットあたり3.6個有するものであった。
続いて、上記の前駆体ポリフェニレンエーテル100質量部と、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(株式会社三光製)1.2質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第1原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、(A)ポリフェニレンエーテル成分(A−3)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し(A)ポリフェニレンエーテル(A−3)のパウダーを得た。
得られた(A)ポリフェニレンエーテル(A−3)は、31P−NMR(single plus法)及び1H−NMRで同定することができ、反応性化合物のメチル基への付加量は、1H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、上記の化学式(10)、(11)の構造を合わせて3.4個含むことを確認した。
更に、末端水酸基への付加量は、13C−NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、上記数式(2)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、化学式(12)の構造を0.03個含むことを確認した。また、1H−NMRにて、3.5〜5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
また、化学式(11)に対する化学式(10)の割合は、31P−NMRにて、化学式(11)由来の38〜42ppmのピークの積分値に対する、化学式(10)由来の34〜36ppmのピークの積分値の割合を計算することより求められ、5.0モル%であることが分かった。
前駆体ポリフェニレンエーテル(PPE−2)を100質量部と、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(株式会社三光製)1.2質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第一原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分(A−3)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し、ポリフェニレンエーテル(A−3)のパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテル(A−3)は、31P−NMR(single plus法)及び1H−NMRにて同定することができ、反応性化合物のメチル基への付加量は、1H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、下記の化学式(10)、(11)の構造を合わせて0.25個含むことを確認した。
得られた(A)ポリフェニレンエーテル(A−3)は、13C−NMRにて同定することができ、反応性化合物の付加量は、13C−NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、上記数式(2)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、上記化学式(12)の構造を4.9個含むことを確認した。また、1H−NMRにて、3.5〜5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
また、化学式(11)に対する化学式(10)の割合は、31P−NMRにて、化学式(11)由来の38〜42ppmのピークの積分値に対する、化学式(10)由来の34〜36ppmのピークの積分値の割合を計算することより求められ、27モル%であることが分かった。
(PPE−3)を100質量部と、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(株式会社三光製)1.2質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第1原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、(A)ポリフェニレンエーテル成分(A−4)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し(A)ポリフェニレンエーテル(A−4)のパウダーを得た。
得られた(A)ポリフェニレンエーテル(A−4)は、31P−NMR(single plus法)及び1H−NMRにて同定することができ、反応性化合物のメチル基への付加量は、1H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、下記の化学式(10)、(11)の構造を合わせて0.25個含むことを確認した。
更に、末端水酸基への付加量は、13C−NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、下記数式(2)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、下記化学式(12)の構造を0.03個含むことを確認した。また、1H−NMRにて、3.5〜5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの反応性化合物の付加数(個)=(前駆体ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの末端OHの数)×{[A]/([A]+[B])}・・・(2)
また、化学式(11)に対する化学式(10)の割合は、31P−NMRにて、化学式(11)由来の38〜42ppmのピークの積分値に対する、化学式(10)由来の34〜36ppmのピークの積分値の割合を計算することより求められ、27モル%であることが分かった。
まず、ブロモ化ポリフェニレンエーテルを次の製造方法で製造した。
(PPE−1)100質量部を10Lのジャケット付き反応器に入れ、クロロホルム2.0Lを加えて、室温、窒素雰囲気下5分間撹拌した。その後、N−ブロモスクシンイミドを15.0質量部、アゾビスイソブチロニトリルを2.0質量部を投入し、還流させながら8時間反応させた。この反応液を室温に冷却後、n−ヘキサンを3L投入し、ブロモ化ポリフェニレンエーテルを固化させ、スラリーを得た。このスラリー溶液を小松ゼノア(株)製のディスインテグレーター(商品名)にて1mm格子スリットを用いて湿式粉砕を行い、粉砕されたスラリー溶液を連続的にヤングフィルター型真空濾過器に供給しながら固液分離し、ヤングフィルター型真空ろ過器上で乾燥後のポリフェニレンエーテル重量に対し3倍量のメタノールにてリンス洗浄した後、ポリフェニレンエーテル粒子を乾燥した。
上記の製造方法で得られたブロモ化ポリフェニレンエーテルは、側鎖メチル基及び末端メチル基のみブロモ化されたものであり、ブロモ化率は、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり4.3個であった。
上記ブロモ化ポリフェニレンエーテル100質量部、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(株式会社三光製)500質量部を10Lのジャケット付き反応器に入れ、160℃で24時間撹拌し、反応させた。この反応液を室温に冷却し、2Lのメタノールを加えて反応物を固化させスラリー状にした。このスラリーをろ過し、得られたパウダーを4時間真空乾燥し、ポリフェニレンエーテル(A−5)のパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテル(A−5)は、31P−NMR(single plus法)及び1H−NMRにて同定することができ、反応性化合物のメチル基への付加量は、1H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、下記の化学式(10)、(11)の構造を合わせて4.0個含むことを確認した。
更に、末端水酸基への付加量を前述の通り13C−NMRにて測定したが、化学式(12)の構造は確認できなかった。
また、化学式(11)に対する化学式(10)の割合は、31P−NMRにて、化学式(11)由来の38〜42ppmのピークの積分値に対する、化学式(10)由来の34〜36ppmのピークの積分値を割り出すことより求められ、570モル%であることが分かった。
(PPE−1)を100質量部と、ホスホン酸ジオクチル(城北化学製)1.5質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第1原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、(A)ポリフェニレンエーテル成分(A−6)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し(A)ポリフェニレンエーテル(A−6)のパウダーを得た。
得られた(A)ポリフェニレンエーテル(A−6)は、31P−NMR(single plus法)及び1H−NMRで同定することができ、反応性化合物の付加量は、1H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテルのモノマー100ユニットあたり、化学式(13)、(14)の構造を合わせて0.25個含むことを確認した。
得られた(A)ポリフェニレンエーテル(A−6)は、13C−NMRにて同定することができ、反応性化合物の付加量は、13C−NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、上記数式(2)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、化学式(15)の構造を0.25個含むことを確認した。また、1H−NMRにて、3.5〜5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
また、化学式(14)に対する化学式(13)の割合は、31P−NMRにて、化学式(14)由来の38〜45ppmのピークの積分値に対する、化学式(13)由来の32〜38ppmのピークの積分値の割合を計算することより求められ、25モル%であることが分かった。
前駆体ポリフェニレンエーテル(PPE−1)を100質量部と、ジフェニルホスフィンオキシド(東京化成製)1.5質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第一原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分(A−7)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し、ポリフェニレンエーテル(A−7)のパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテル(A−7)は、31P−NMR(single plus法)及び1H−NMRで同定することができ、反応性化合物の付加量は、1H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテルのモノマー100ユニットあたり、化学式(16)、(17)の構造を合わせて0.25個含むことを確認した。
また、得られた(A)ポリフェニレンエーテル(A−7)は、13C−NMRにて同定することができ、反応性化合物の付加量は、13C−NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、上記数式(2)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、下記化学式(18)の構造を0.04個含むことを確認した。また、1H−NMRにて、3.5〜5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
また、化学式(17)に対する化学式(16)の割合は、31P−NMRにて、化学式(17)由来の38〜45ppmのピークの積分値に対する、化学式(16)由来の32〜38ppmのピークの積分値の割合を計算することより求められ、25モル%であることが分かった。
(PPE−1)を100質量部と、N−ヒドロキシフタルイミド(東京化成製)0.1質量部、トリエチルアミン(東京化成製)0.5質量部、メタンスルホン酸クロライド(東京化成製)1.0質量部をクロロホルム1L中に溶解し、60℃で5時間撹拌した。得られた反応溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、分液操作を行うことで有機層を得た。得られた有機層に、メタノールを徐々に添加し、PPE成分を析出させ、ろ過、乾燥を行うことで、(A)ポリフェニレンエーテル成分(A−8)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し(A)ポリフェニレンエーテル(A−8)のパウダーを得た。
得られた(A)ポリフェニレンエーテル(A−8)は、1H−NMR及び13C−NMRにて同定することができ、反応性化合物のメチル基への付加量は、1H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテルのモノマー100ユニットあたり、化学式(19)、(20)の構造を合わせて0.3個含むことを確認した。
また、末端水酸基への付加量は、13C−NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、上記数式(2)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、下記化学式(21)の構造を0.1個含むことを確認した。また、1H−NMRにて、3.5〜5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
また、化学式(20)に対する化学式(19)の割合は、31P−NMRにて、化学式(20)由来の38〜42ppmのピークの積分値に対する、化学式(19)由来の34〜36ppmのピークの積分値の割合を計算することより求められ、20モル%であることが分かった。
(PPE−1)を、二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第1原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、ペレット化した。得られたPPEペレットは、ジブチルアミンが脱離した構造であることを解析によって確認した。このPPEペレット100質量部と、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(株式会社三光製)1.2質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第1原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分(A−9)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥しポリフェニレンエーテル(A−9)のパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテル(A−9)を、1H−NMRで同定した結果、ポリフェニレンエーテル(A−9)はモノマーユニット中のメチル基に低分子の付加していない化学式(22)、(23)の構造からなることを確認した。また、13C−NMRにて、末端OH基にも低分子は反応していないことを確認した。
(PPE−1)を100質量部と、アクリル酸ステアリル(東京化成製)1.6質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第1原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、精製水を添加し分液操作で有機層と水層に分離し、有機層を回収した。この有機層からPPE成分をメタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分(A−10)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し(A−10)のパウダーを得た。
得られた(A−10)は、1H−NMRで同定することができ、1H−NMRの2.5〜4.0ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより、ポリフェニレンエーテルのモノマー100ユニットあたり、化学式(24)の構造を0.4個有することを確認した。
(PPE−1)を100質量部と、スチレン10質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第1原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し(A−11)のパウダーを得た。
得られた(A−11)は、1H−NMRで同定することができ、1H−NMRの2.5〜4.0ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより、ポリフェニレンエーテルのモノマー100ユニットあたり、化学式(25)の構造を0.4個有することを確認した。
(PPE−1)を100質量部と、無水マレイン酸5.0質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第1原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、変性ポリフェニレンエーテル成分を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し(A−12)のパウダーを得た。
得られた(A−12)は、1H−NMRで同定することができ、1H−NMRの2.5〜4.0ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより、ポリフェニレンエーテルのモノマー100ユニットあたり、化学式(26)の構造を0.3個有することを確認した。
前駆体ポリフェニレンエーテル(PPE−1)を100質量部と、ジオレイルハイドロゲンホスファイト(城北化学製)1.5質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第一原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分(A−13)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し、ポリフェニレンエーテル(A−13)のパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテル(A−13)は、31P−NMR(single plus法)及び13C−NMR、及びMALDI−TOF/MSにて同定することができ、反応性化合物の付加量は、13C−NMRにて、146.3ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、上記数式(2)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、下記化学式(27)の構造を0.03個含むことを確認した。また、1H−NMRにて、4.2ppmにオレイル基由来のオレフィンのダブレットピークを確認した。
なお、31P−NMR、13C−NMR、MALDI−TOF/MS、1H−NMRは上述と同様の条件で測定した。
装置 :Bruker ultraflextreme
レーザー :smartbeam−II
検出器形式 :リフレクタ
イオン検出 :正イオン(Positive mode)
積算回数 :2000回
マトリックス :DCTB 10mg/mL THF
(trans−2−[3−(4−tert−butylphenyl)−2−methy
l−2−propenylidenl]
カチオン化剤 :AgTFA 5mg/mL THF
スキャンレンジ:m/z2200−20000
試料 :1mg/mL THF
(B−1)
リン系酸化防止剤(化学名:3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン。アデカ社製、商品名:アデカスタブPEP−36〔登録商標〕)(以下、「B−1」ということもある)。
(B−2)
リン系酸化防止剤(化学名:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト。BASF社製、商品名:Irgafos168〔登録商標〕)(以下、「B−2」ということもある)。
(B−3)
イオウ系酸化防止剤(化学名:2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール。BASF社製、商品名:Irganox565〔登録商標〕)
ゼネラルパーパスポリスチレン(旭化成ケミカルズ社製、商品名:ポリスチレン680〔登録商標〕)(以下、「GPPS」ということもある)。
重量平均分子量71200であって、結合スチレン量32質量%のポリスチレンブロックと水素添加率98%の水添ブタジエンブロックとを有する三型タイプの水添ブロック共重合体を用いた(以下、「エラストマー」ということもある)。
比較例1では、表1に示す組成で、二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第1原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練を行い、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性を表1に示す。
比較例1と同様の方法で溶融混練を行い、表1に示す樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性を表1に示す。
また、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドを用いて得られた(A)ポリフェニレンエーテルを含む実施例1、2、3、7、8、11、12、13、及び、ジフェニルホスフィンオキシドを用いて得られた(A)ポリフェニレンエーテルを含む実施例5では、樹脂組成物の溶融混練時における流動性を向上させることができることが分かった。
Claims (8)
- 化学式(1)、(2)、(3)から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテル。
- 前記ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、前記化学式(1)、(2)、(3)からなる群から選択される構造のユニットを0.01〜10.0個含有する、請求項1又は2に記載のポリフェニレンエーテル。
- 前記化学式(2)に示す構造のユニットに対する前記化学式(1)に示す構造のユニットの割合が、0〜30モル%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル。
- 前記化学式(1)及び/又は(2)に示す構造のユニットと、前記化学式(3)に示す構造のユニットとを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル。
- 請求項1〜5のいずれか一項に記載の(A)ポリフェニレンエーテルと、(B)酸化防止剤とを含有する樹脂組成物であり、当該(B)酸化防止剤を、当該(A)ポリフェニレンエーテル100質量部に対して0.1〜5.0質量部含有する、樹脂組成物。
- 前記(B)酸化防止剤が、リン系酸化防止剤である、請求項6に記載の樹脂組成物。
- 更に、(C)スチレン系樹脂を含有する、請求項6又は7に記載の樹脂組成物。
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