JPWO2017119017A1 - ポリフェニレンエーテル及び樹脂組成物 - Google Patents

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Abstract

耐熱エージング性と流動性に優れたポリフェニレンエーテル樹脂組成物を提供する。 化学式(1)、(2)、(3)から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテル。

Description

本発明は、耐熱エージング特性に優れたポリフェニレンエーテル及び樹脂組成物に関する。
ポリフェニレンエーテル樹脂は、機械的物性、電気的特性、耐酸・耐アルカリ性、耐熱性に優れると共に、低比重で、吸水性が低く、且つ寸法安定性が良好である等の多様な特性を有しているため、家電製品、OA機器、事務機、情報機器や自動車等の材料として、幅広く利用されている。近年、プロジェクターや各種照明器具等に用いられる光反射成形品、薄肉自動車部品用途において、ポリフェニレンエーテル樹脂組成物の検討が行われている。そして、このような用途に使用される部品は、薄肉成形流動性と共に、長時間高温に晒される場合もあるため、ある程度の高温条件下において長期熱安定性(耐熱エージング特性)が要求される場合も少なくない。
しかしながら元来、ポリフェニレンエーテル樹脂自体は、薄肉成形流動性や耐熱エージング特性は必ずしも十分ではない。
ポリフェニレンエーテル樹脂の耐熱エージング特性を改良する技術としては、イオウ系酸化防止剤とヒンダードフェノール系酸化防止剤とを特定量比で併用配合する技術がある(例えば、特許文献1)。また、有機イオウ系酸化防止剤と特定のアミン類とを特定比率で併用配合する技術も開示されている(例えば、特許文献2)。
特開2009−221387号公報 特開平2−274761号公報
しかし上記の特許文献1及び2に記載の手法を用いて作製された樹脂組成物は、低温、短時間の熱エージング特性の改良は可能ではあるが、例えば135℃で1500時間といった高温、長時間の耐熱エージング特性は不十分である。更には、上記の樹脂組成物を成形する際の成形流動性も十分ではなく、成形品にはポリフェニレンエーテル樹脂特有の微細なガス抜け痕による表面荒れも見られ、光反射成形体のような用途に用いた場合外観不良を起こす問題もある。更にまた、上記特許文献1及び2のように、イオウ系酸化防止剤を用いた場合には、成形品周辺の金属部が腐食する等の不具合を生じる場合もある。特許文献2に記載の手法を用いて得られた樹脂組成物は成形時に異臭(アミン臭)が発生する場合もあり、改良が求められていた。
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、耐熱エージング特性に優れたポリフェニレンエーテル及び樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは上記課題を解決するため鋭意検討したところ、ポリフェニレンエーテルが例えば長時間高温にさらされた場合に、ポリフェニレンエーテル樹脂において酸化架橋反応が生じており、酸化架橋反応がポリフェニレンエーテルの耐熱エージング特性の低下に著しく影響を及ぼすことを見出した。さらに本発明者らは、酸化架橋反応が生じる原因を鋭意検討したところ、当該ポリフェニレンエーテル鎖中の末端置換基又は側鎖置換基が、酸化架橋反応を起こしやすい傾向があることを見出した。そこで、本発明者らは、ポリフェニレンエーテル鎖中に特定の構造のユニットを含有させることで、ポリフェニレンエーテル樹脂の酸化架橋を抑制し、耐熱エージング特性が従来になく著しく高いレベルまで改良されることを明らかにして、本発明を完成した。
[1]
化学式(1)、(2)、(3)から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテル。
Figure 2017119017
Figure 2017119017
(化学式(1)及び(2)のXは、
Figure 2017119017
からなる群から選ばれる1つの基であり、X中のR及びRは、各々独立して炭素数1以上の置換基である。)
Figure 2017119017
(化学式(3)中のXは、
Figure 2017119017
からなる群から選ばれる1つの基であり、X中のR、Rは、各々独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基からなる群から選ばれる基であり、R及びRは、それらに含まれる炭素原子が互いに結合して環状構造を形成してもよい。但し、式(3)は、芳香環の不飽和二重結合以外に不飽和二重結合を実質的に有さない。)
[2]
前記化学式(1)及び(2)のXが、
Figure 2017119017
からなる群から選ばれる1つの基である、[1]に記載のポリフェニレンエーテル。
[3]
前記ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、前記化学式(1)、(2)、(3)からなる群から選択される構造のユニットを0.01〜10.0個含有する、[1]又は[2]に記載のポリフェニレンエーテル。
[4]
前記化学式(2)に示す構造のユニットに対する前記化学式(1)に示す構造のユニットの割合が、0〜30モル%である、[1]〜[3]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル。
[5]
前記化学式(1)及び/又は(2)に示す構造のユニットと、前記化学式(3)に示す構造のユニットとを含む、[1]〜[4]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル。
[6]
[1]〜[5]のいずれかに記載の(A)ポリフェニレンエーテルと、(B)酸化防止剤とを含有する樹脂組成物であって、当該(B)酸化防止剤を、当該(A)ポリフェニレンエーテル100質量部に対して0.1〜5.0質量部含有する、樹脂組成物。
[7]
前記(B)酸化防止剤が、リン系酸化防止剤である、[6]に記載の樹脂組成物。
[8]
更に、(C)スチレン系樹脂を含有する、[6]又は[7]に記載の樹脂組成物。
本発明によれば、耐熱エージング特性に優れたポリフェニレンエーテル及び樹脂組成物を提供することができる。 また、本発明によれば、耐熱性、及び高い耐熱エージング性の求められる電気電子部品や自動車用部品等へ適用可能な熱可塑性樹脂成形品に含有させることができる、ポリフェニレンエーテル及び樹脂組成物を提供することができる。
以下、本発明のポリフェニレンエーテル、及び当該ポリフェニレンエーテルを含む樹脂組成物を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
[(A)ポリフェニレンエーテル]
本発明の(A)ポリフェニレンエーテル(以下、ポリフェニレンエーテルを単に「PPE」とも称す)について説明する。
本発明の(A)ポリフェニレンエーテルは、下記化学式(4)及び/又は化学式(5)で表される繰り返し単位(構造のユニット)を有する単独重合体、あるいは共重合体である。
Figure 2017119017
Figure 2017119017
但し、化学式(4)及び(5)中、R、R、R及びRは、各々独立に水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜9のアリール基又はハロゲン原子を表す。但し、R、Rは同時に水素ではない。
ポリフェニレンエーテルの単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−14−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル共重合体とは、化学式(4)及び/又は化学式(5)で表される繰り返し単位を主たる繰返し単位とする共重合体である。その例としては、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体、あるいは2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノール及びo−クレゾールとの共重合体等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテルの中でも、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが好ましい。
なお、本実施形態では、ポリフェニレンエーテル鎖中には、化学式(4)においてR、Rがそれぞれメチル基である構造(及び、後述のように、当該構造から導かれる構造)が少なくとも一部含まれている。
ポリフェニレンエーテルの還元粘度(単位dl/g、クロロホルム溶液、30℃測定)は、好ましくは0.25〜0.6の範囲、より好ましくは0.35〜0.55の範囲である。また、数平均分子量(Mn)は、好ましくは10000以上、より好ましくは14000以上であり、好ましくは20000以下、より好ましくは19000以下である。この分子量範囲にあることで、難燃性、流動性、フィラーとの密着性等のバランスに優れる。
(A)ポリフェニレンエーテルは一般に粉体として入手でき、その好ましい粒子サイズは平均粒子径1〜1000μmであり、より好ましくは10〜700μm、特に好ましくは100〜500μmである。加工時の取り扱い性の観点から1μm以上が好ましく、溶融混練り未溶融物の発生を抑制するためには1000μm以下が好ましい。
本発明の(A)ポリフェニレンエーテルは、下記化学式(1)、(2)、(3)から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含む。
Figure 2017119017
Figure 2017119017
上記の化学式(1)及び(2)のXは、
Figure 2017119017
からなる群から選ばれる1つの基であり、X中のR、Rは、それぞれ独立に炭素数1以上の置換基であり、例えば、鎖状又は環状アルキル基が挙げられる。
、Rの構造としては、反応性官能基を有さない置換基が好ましい。反応性置換基を有する場合、樹脂組成物が長時間高温にさらされたときに、これらの反応性置換基が架橋反応を起こし、エージング後の物性低下の原因となり得るからである。ここで反応性置換基とはヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、ビニル基、カルボニル基等である。また、R、Rの構造としては、RとRが連結した構造や、構造中に窒素原子、酸素原子を含んでもよい。
Figure 2017119017
上記の化学式(3)中のXは、
Figure 2017119017
からなる群から選ばれる1つの基であり、X中のR、Rは、各々独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基からなる群から選ばれる基である。
ここで、R及びRは、それらに含まれる炭素原子が互いに結合して環状構造を形成してもよい。但し、式(3)は、芳香環の不飽和二重結合以外に不飽和二重結合を実質的に有さない。より詳細には、芳香環の二重結合以外に炭素−炭素二重結合を実質的に有さない。
上記R、Rにおけるアルキル基としては、例えば、炭素数1〜30のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。
また、上記R、Rにおけるアリール基としては、例えば、炭素数6〜30のアリール基が挙げられ、具体的には、フェニル基、トリル基、ジメチルフェニル基、トリメチルフェニル基、ナフチル基、トリチル基等が挙げられる。
また、上記アルキルアミノ基におけるアルキル基としては、例えば、炭素数1〜30のアルキル基が挙げられ、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基等が挙げられる。また、上記アルキルアミノ基としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、イソプロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、ジブチルアミノ基、オクチルアミノ基、ジオクチルアミノ基等が挙げられ、上記アリールアミノ基としては、フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基、トリルアミノ基、ジトリルアミノ基等が挙げられる。
本発明の(A)ポリフェニレンエーテルは、上記化学式(1)、(2)から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むものであってもよい。
本発明の(A)ポリフェニレンエーテルは、上記化学式(3)で表される構造のユニットを含むものであってもよい。
そして、本発明の(A)ポリフェニレンエーテルは、上記化学式(1)に示す構造のユニット及び/又は上記化学式(2)に示す構造のユニットと、上記化学式(3)に示す構造のユニットとを含むことが好ましい。
ここで、本発明のポリフェニレンエーテルの作用・効果について説明する。
従来のポリフェニレンエーテルでは、長時間高温にさらされた場合に、末端ユニットにあるメチル基(以下、「末端メチル基」とも称する。)、中間ユニットにあるメチル基(以下、「側鎖メチル基」とも称する。)、末端ユニットにある水酸基(以下、「末端水酸基」とも称する。)が酸化架橋反応を起こすことがあり、当該酸化架橋反応がポリフェニレンエーテル及びその樹脂組成物の耐熱エージング特性の低下に著しく影響を及ぼしていた。より具体的には、末端メチル基、側鎖メチル基、末端水酸基では、比較的ラジカルが発生しやすい傾向があり、発生したラジカルが酸化架橋を起こす要因となっていた。そこで、本発明のポリフェニレンエーテルでは、被酸化部位である末端メチル基、側鎖メチル基、末端水酸基を、所定の分子で置換された状態にして封止したので、末端メチル基、側鎖メチル基、末端水酸基の架橋反応を抑制することができ、それ故に、ポリフェニレンエーテルの耐熱エージング特性を向上させることができる。また、本実施形態の(A)ポリフェニレンエーテルでは、末端メチル基、側鎖メチル基、末端水酸基を、所定の分子で置換された状態にして封止したので、当該PPEを用いた樹脂組成物の押出機、成形機中における分子鎖中の末端(末端メチル基及び末端水酸基)の構造変化を抑制することもでき、それ故に耐熱エージング特性の向上とともに成形品の着色を防止し及び外観を改良することができる。ここで、被酸化部位のラジカル発生能は、側鎖メチル基に比べ、末端メチル基、末端水酸基の方が大きいため、所定の分子による封止は、末端により多く行うことが好ましい。
したがって、(A)ポリフェニレンエーテル鎖中において、耐熱エージング特性及び機械物性の観点から、化学式(1)、(2)、(3)からなる群から選択される構造のユニットを、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、0.01〜10.0個含有することが好ましく、0.03〜5.0個含有することがより好ましい。
また、前記化学式(2)に示す構造のユニットに対する前記化学式(1)に示す構造のユニットの割合が、耐熱エージング特性及び機械特性の観点から0〜30モル%であることが好ましく、0〜28モル%であることがさらに好ましい。
上記割合は、後述する、反応性化合物の種類や前駆体PPEと反応性化合物とを反応させるときの反応温度、撹拌効率、反応時間等を調整することにより、上記範囲に調整することができる。
特に、本発明の(A)ポリフェニレンエーテルが、上記化学式(1)、(2)から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むものである場合、(A)ポリフェニレンエーテル鎖中において、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、化学式(1)及び(2)からなる群から選択される構造のユニットを0.1〜10個の範囲で含有することが好ましい。化学式(1)及び(2)からなる群から選択される構造のユニットを、100ユニットあたり0.1個以上にすることにより、耐熱エージング特性を向上させることができ、100ユニットあたり10個以下にすることにより、機械物性を悪化させることなく、耐熱エージング性を向上することができる。100ユニットあたりの、化学式(1)及び(2)からなる群から選択される構造のユニット数は、より好ましくは0.1〜3.0個の範囲であり、さらに好ましくは0.1個〜1.0個の範囲である。
特に、本発明の(A)ポリフェニレンエーテルが、上記化学式(3)で表される構造のユニットを含むものである場合、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、上記式(3)で表される構造ユニットを、0.01〜10個の範囲で含有することが好ましく、0.01〜5.0個の範囲で含有することがより好ましく、0.03〜3.0個の範囲で含有することがさらに好ましく、0.03〜1.0個の範囲で含有することが特に好ましい。式(3)で表される構造ユニットを0.01個以上にすることにより、耐熱エージング特性を向上させることができ、10個以下にすることにより、機械物性を悪化させることなく、耐熱エージング性を向上することができ、特に5個以下とすることにより、流動性と耐熱エージング性のバランスが一層向上する。
また、本実施形態において、本実施形態では、ポリフェニレンエーテルの架橋抑制と良好な長期機械特性とを両立するためには、(1)、(2)、(3)で表される構造ユニットを全て含むことが好ましい。
前述の通り、本発明の(A)ポリフェニレンエーテルは、上記化学式(1)、(2)、(3)から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むものであるところ、本実施形態においては、上記化学式(1)及び(2)のXが、
Figure 2017119017
からなる群から選ばれる1つの基であることが好ましい。
より具体的には、本実施形態において、耐熱エージング特性と成形品表面の外観を両立するためには化学式(6)及び(7)から選ばれる1つ以上の構造を含むことが好ましい。
Figure 2017119017
Figure 2017119017
なお、化学式(6)及び(7)の、R、Rは、上記化学式(1)及び(2)のXと同様としてよい。
<(A)ポリフェニレンエーテルの合成方法>
本実施形態の(A)ポリフェニレンエーテルは、(A)ポリフェニレンエーテルの化学式(1)及び(2)中のメチレン基に化学式(1)、(2)のXとは異なる置換基を持つ(A)ポリフェニレンエーテルの前駆体(以下、「前駆体ポリフェニレンエーテル」とも称す)を、後述する反応性化合物と反応させて得ることが好ましい。本実施形態の(A)ポリフェニレンエーテルを、前駆体ポリフェニレンエーテルから合成することにより、(A)ポリフェニレンエーテルの化学式(1)及び(2)中のX部分が水素であるポリフェニレンエーテル(以下、「非置換ポリフェニレンエーテル」とも称す。)から合成する場合よりも効率よく得られるからである。
本実施形態の(A)ポリフェニレンエーテルは、上記と同様に、前駆体ポリフェニレンエーテルと、後述する反応性化合物とを、熱により反応させることで、上記化学式(3)の構造ユニットを得ることが好ましい。また、ポリフェニレンエーテルの末端水酸基に反応性化合物を反応させることで、上記化学式(3)の構造ユニットを得ることも好ましい。
ここで、前駆体ポリフェニレンエーテルとしては、非置換ポリフェニレンエーテル鎖中に、下記の化学式(8)、(9)で表される、末端基及び側鎖基を有する構造のユニットを有するものを用いることが好ましい。前駆体PPEが下記の化学式(8)及び(9)の構造のユニットを有することにより、十分に効率よく(A)ポリフェニレンエーテルを得ることができる(具体的には、(A)PPEを製造するにあたって、前駆体PPEを経由することにより、化学式(8)、(9)の構造中のCH−Y部分が選択的に開裂して後述の反応性化合物との置換反応が生じるので、(A)PPEを十分に効率よく得ることができる)。また、非置換PPEから前駆体PPEを容易に合成することができるので、前駆体PPEを経由した(A)PPE合成が効率的であるからである。 さらに、当該前駆体PPEが、ポリフェニレンエーテル鎖中において、当該構造のユニットの合計を、ポリフェニレンエーテル鎖の100ユニット当たり0.1〜10個含有することが好ましい。
Figure 2017119017
Figure 2017119017
(化学式(8)及び(9)のYはN原子又はO原子を表し、Ziは、炭素数が1〜20個の環状若しくは鎖状(直鎖状、分岐状)の飽和又は不飽和炭化水素基を表す。また、式中のi、nは1から2の整数であり、Z1とZ2は同じでも異なってもよく、それらが結合するYと共に互いに結合して環状構造を形成してもよい。)
化学式(8)、(9)の構造のユニットを含有する、前駆体ポリフェニレンエーテルの製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリフェニレンエーテルの重合反応時に、アミン類、アルコール類及びモルフォリン等の(a1)化合物を、添加して反応させる方法や、重合した非置換ポリフェニレンエーテルを例えばトルエン等のPPE可溶性溶媒中、例えば20〜60℃で、好ましくは40℃で撹拌し、上記の(a1)化合物を添加して反応させる方法が挙げられる。
(a1)化合物としては、特に限定されるものではないが、具体的にはn−プロピルアミン、iso−プロピルアミン、n−ブチルアミン、iso−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ラウリルアミン、ベンジルアミン等の1級アミン、及びジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−iso−ブチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン等の2級アミン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール等のアルコール及びモルフォリン等が挙げられる。
(A)ポリフェニレンエーテルを得る方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリフェニレンエーテルの重合の際に後述する反応性化合物を投入し、(A)ポリフェニレンエーテルを重合する方法や、ポリフェニレンエーテルの重合の際に後述する反応性化合物が置換されたモノマーを少量添加して(A)ポリフェニレンエーテルを重合する方法や、非置換ポリフェニレンエーテルと反応性化合物を溶融混練して反応させる方法が挙げられる。具体的には、PPEの重合時に上記の(a1)化合物を添加して反応させた後に、後述する反応性化合物を反応させる方法や、PPEの重合時に上記の(a1)化合物が置換された2,6−ジメチルフェノールを少量添加して反応させる方法や、前駆体PPEを得た後、当該前駆体PPEと反応性化合物とを溶融混練して反応させる(すなわち、例えば、前駆体PPEを用いて樹脂組成物を溶融混練して製造する際に、前駆体PPEと反応性化合物とを溶融混練する)方法が挙げられる。
<<反応性化合物>>
本実施形態の(A)ポリフェニレンエーテルを得るために用いることができる反応性化合物としては、限定されるものではないが、例えば、ホスホン酸類、ホスホン酸エステル類、ホスフィン酸類、ホスフィン酸エステル類、モノカルボン酸類、スルホン酸類、スルフィン酸類、カーボネート類等が挙げられる。
ホスホン酸類としては、例えば、ホスホン酸(亜リン酸)、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、ビニルホスホン酸、デシルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、アミノメチルホスホン酸、メチレンジホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、4−メトキシフェニルホスホン酸、プロピルホスホン酸無水物等が挙げられる。
ホスホン酸エステル類としては、例えば、ホスホン酸ジメチル、ホスホン酸ジエチル、ホスホン酸ビス(2−エチルヘキシル)、ホスホン酸ジオクチル、ホスホン酸ジラウリル、ホスホン酸ジオレイル、ホスホン酸ジフェニル、ホスホン酸ジベンジル、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニル、メチルホスホン酸ジオクチル、エチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸ジオクチル、ベンジルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジプロピル、フェニルホスホン酸ジオクチル、(メトキシメチル)ホスホン酸ジエチル、(メトキシメチル)ホスホン酸ジオクチル、ビニルホスホン酸ジエチル、ビニルホスホン酸ジエチル、ヒドロキシメチルホスホン酸ジエチル、ヒドロキシメチルホスホン酸ジエチル、(2−ヒドロキシエチル)ホスホン酸ジメチル、(メトキシメチル)ホスホン酸ジオクチル、p−メチルベンジルホスホン酸ジエチル、p−メチルベンジルホスホン酸ジオクチル、ジエチルホスホノ酢酸、ジエチルホスホノ酢酸エチル、ジエチルホスホノ酢酸tert−ブチル、ジエチルホスホン酸ジオクチル、(4−クロロベンジル)ホスホン酸ジエチル、(4−クロロベンジル)ホスホン酸ジオクチル、シアノホスホン酸ジエチル、シアノメチルホスホン酸ジエチル、シアノホスホン酸ジオクチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジオクチル、(メチルチオメチル)ホスホン酸ジエチル等が挙げられる。
ホスフィン酸類としては、例えば、ジメチルホスフィン酸、エチルメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチル−n−プロピルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ジオレイルホスフィン酸、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド及びその誘導体等が挙げられる。
ホスフィン酸エステル類としては、例えば、ジメチルホスフィン酸メチル、ジメチルホスフィン酸エチル、ジメチルホスフィン酸n−ブチル、ジメチルホスフィン酸シクロヘキシル、ジメチルホスフィン酸ビニル、ジメチルホスフィン酸フェニル、エチルメチルホスフィン酸メチル、エチルメチルホスフィン酸エチル、エチルメチルホスフィン酸n−ブチル、エチルメチルホスフィン酸シクロヘキシル、エチルメチルホスフィン酸ビニル、エチルメチルホスフィン酸フェニル、ジエチルホスフィン酸メチル、ジエチルホスフィン酸エチル、ジエチルホスフィン酸n−ブチル、ジエチルホスフィン酸シクロヘキシル、ジエチルホスフィン酸ビニル、ジエチルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸エチル、ジフェニルホスフィン酸n−ブチル、ジフェニルホスフィン酸シクロヘキシル、ジフェニルホスフィン酸ビニル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、メチル−n−プロピルホスフィン酸メチル、メチル−n−プロピルホスフィン酸エチル、メチル−n−プロピルホスフィン酸n−ブチル、メチル−n−プロピルホスフィン酸シクロヘキシル、メチル−n−プロピルホスフィン酸ビニル、メチル−n−プロピルホスフィン酸フェニル、ジオレイルホスフィン酸メチル、ジオレイルホスフィン酸エチル、ジオレイルホスフィン酸n−ブチル、ジオレイルホスフィン酸シクロヘキシル、ジオレイルホスフィン酸ビニル、ジオレイルホスフィン酸フェニル等が挙げられる。
モノカルボン酸類としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、オクタデカン酸、ドコサン酸、ヘキサコサン酸、オクタデセン酸、ドコセン酸、イソオクタデカン酸等のモノカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸、安息香酸、メチルベンゼンカルボン酸等の芳香族モノカルボン酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシオクタデカン酸、ヒドロキシオクタデセン酸等のヒドロキシ脂肪族モノカルボン酸、アルキルチオプロピオン酸等の含イオウ脂肪族モノカルボン酸等が挙げられる。
スルホン酸類としては、例えば、アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、カンファースルホン酸及びそれらの誘導体等が挙げられる。これらのスルホン酸は、モノスルホン酸でもジスルホン酸でもトリスルホン酸でもよい。ベンゼンスルホン酸の誘導体としては、フェノールスルホン酸、スチレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。ナフタレンスルホン酸の誘導体としては、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,3−ナフタレンジスルホン酸、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸、6−エチル−1−ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。アントラキノンスルホン酸の誘導体としては、アントラキノン−1−スルホン酸、アントラキノン−2−スルホン酸、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸、2−メチルアントラキノン−6−スルホン酸等が挙げられる。
スルフィン酸類としては、例えば、エタンスルフィン酸、プロパンスルフィン酸、ヘキサンスルフィン酸、オクタンスルフィン酸、デカンスルフィン酸、ドデカンスルフィン酸等のアルカンスルフィン酸、シクロヘキサンスルフィン酸、シクロオクタンスルフィン酸等の脂環族スルフィン酸;ベンゼンスルフィン酸、o−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチルベンゼンスルフィン酸、デシルベンゼンスルフィン酸、ドデシルベンゼンスルフィン酸、クロルベンゼンスルフィン酸、ナフタリンスルフィン酸等の芳香族スルフィン酸等が挙げられる。
カーボネート類としては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジイソプロピルカーボネート、ジブチルカーボネート、ジヘキシルカーボネート、ジオクチルカーボネート、ジフェニルカーボネート、メチルエチルカーボネート、メチルフェニルカーボネート、エチルフェニルカーボネート、ブチルフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等が挙げられる。
反応性化合物としては、反応性の観点からリン系化合物が好ましく、具体的にはホスホン酸ジフェニル、ホスホン酸ジオレイル、ホスホン酸ジオクチル、ジフェニルホスフィン酸、ジオレイルホスフィン酸等が挙げられ、その中でも、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドがより好ましい。9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドを用いて得られた(A)ポリフェニレンエーテルは、耐熱エージング特性を向上させることができるとともに、そのPPEを用いた樹脂組成物の溶融混練時における流動性をより向上させることができる。
[樹脂組成物]
続いて、本発明の樹脂組成物について説明する。
本発明の樹脂組成物は、上記で説明した(A)ポリフェニレンエーテルに(B)酸化防止剤を含有することが好ましい。
<(A)ポリフェニレンエーテル>
本実施形態において、(A)ポリフェニレンエーテルは、上記の構造を有するものであるところ、(A)ポリフェニレンエーテルを含有する樹脂組成物は、本発明の効果を高める観点から、(A)ポリフェニレンエーテルを、好適には10質量%以上、より好適には20質量%以上含有することが好ましく、好適には90質量%以下、より好適には80質量%以下含有することが好ましい。
本実施形態では、(A)ポリフェニレンエーテルを含有する樹脂組成物は、(A)ポリフェニレンエーテルを30〜90質量%含有することがより好ましい。
この構成によれば、(A)成分の含有量を、30質量%以上とするので、機械的強度を持たすことができ、90質量%以下とするので、溶融混練時における流動性を確保することができる。
<(B)酸化防止剤>
本発明において用いる酸化防止剤は、ラジカル連鎖禁止剤として働く1次酸化防止剤と、過酸化物を分解する効果のある2次酸化防止剤のどちらも使用可能である。すなわち、酸化防止剤を用いることにより、ポリフェニレンエーテルが長時間高温にさらされた際に、末端メチル基又は側鎖メチル基において生じ得るラジカルを捕捉することができ(1次酸化防止剤)、又は当該ラジカルにより末端メチル基又は側鎖メチル基に生じた過酸化物を分解することができ(2次酸化防止剤)、それ故に、ポリフェニレンエーテルの酸化架橋を防止することができる。
1次酸化防止剤としては、主にヒンダードフェノール系酸化防止剤が使用可能であり、具体例は、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、ペンタエリスリトールテトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、n−オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール、2−t−ブチル−6−(3−t−ブチル−2−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)−4−メチルフェニルアクリレート、2−[1−(2−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ペンチルフェニル)エチル]−4,6−ジ−t−ペンチルフェニルアクリレート、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、アルキレイテッドビスフェノール、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、3,9−ビス[2−〔3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)−プロピオニロキシ〕−1,1−ジメチルエチル]−2,4,8,10−テトラオキシスピロ[5,5]ウンデカン等である。
2次酸化防止剤としては、主にリン系酸化防止剤とイオウ系酸化防止剤を使用できる。リン系酸化防止剤の具体例は、トリスノニルフェニルホスファイト、トリフェニルホスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト、3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン等である。イオウ系酸化防止剤の具体例は、ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ペンタエリスリチルテトラキス(3−ラウリルチオプロピオネート)、ジトリデシル−3,3’−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンズイミダゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール等である。
また、他の酸化防止剤として、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、硫化亜鉛等の金属酸化物又は硫化物を上記酸化防止剤と併用して用いることも可能である。
これらのうち、ポリフェニレンエーテル樹脂の長期特性を向上させるためには、2次酸化防止剤が効果的であり、中でもリン系酸化防止剤が好ましい。
(B)酸化防止剤の合計添加量は、(A)ポリフェニレンエーテルに対して、0.1〜5.0質量部で用いることが好ましく、0.1〜3.0質量部がさらに好ましく、0.1〜1.5質量部がより好ましい。この範囲にあると、初期と長期熱エージング後の難燃性に優れ、また機械的強度に優れた難燃樹脂組成物が得られる。
<(C)スチレン系樹脂>
本実施形態の樹脂組成物には、耐熱性や成形流動性を調整する目的で、(C)スチレン系樹脂を配合することが可能である。(C)スチレン系樹脂は、特に限定されず、公知のものを用いることができ、スチレン系化合物の単独重合体;スチレン系化合物、及びスチレン系化合物と共重合可能な化合物を、ゴム質重合体存在又は非存在下に重合して得られる共重合体;が挙げられる。
スチレン系化合物としては、特に限定されず、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられる。それらの中でも、原材料の実用性の観点から、スチレンが好ましい。
また、スチレン系化合物と共重合可能な化合物としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物類;無水マレイン酸等の酸無水物等が挙げられる。
本実施形態において好ましい(C)スチレン系樹脂は、ポリフェニレンエーテルとの混和性の観点から、ポリスチレンである。中でも耐衝撃性改良の観点からゴム強化ポリスチレンが好ましく、成形品外観改良の観点からはゼネラルパーパスポリスチレンが好ましい。
ゴム強化ポリスチレンとは、スチレン系化合物とスチレン系化合物と共重合可能な化合物とを、ゴム質重合体存在下で重合して得られる重合体としてよい。
ここで、重合体中におけるスチレン系化合物と共重合可能な化合物の含有量は、スチレン系化合物とスチレン系化合物と共重合可能な化合物との合計量100質量%に対して、好ましくは20質量%以下であり、より好ましくは15質量%以下である。また、ゴム質重合体としては、以下に制限されないが、例えば、共役ジエン系ゴム、共役ジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体、エチレン−プロピレン共重合体系ゴムが挙げられ、より詳細には、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンランダム共重合体及びスチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらを部分的に又はほぼ完全に水素添加した重合体が挙げられる。
ゴム強化ポリスチレンの具体例としては、ハイインパクトポリスチレン(HIPS)が挙げられ、このHIPSを構成するゴム質重合体としては、スチレン−ブタジエンブロック共重合体が好適である。
ここで、HIPSを構成するゴム質重合体のゴム粒子の形態として、サラミ構造(複数細胞構造)、ポリスチレンコア(単一細胞構造)の2種が挙げられる。「サラミ構造」とは、ポリスチレンマトリックス中に分散しているゴム粒子がサラミソーセージのような断面を備える、すなわち、薄肉の外郭層を有する当該ゴム粒子相の中に複数のポリスチレン粒子が蜂の巣状に内蔵されている、構造である。「ポリスチレンコア」とは、ポリスチレンマトリックス中に分散しているゴム粒子が単一細胞構造(コアシェル構造)を備える。
ゴム強化ポリスチレンは、塊状重合法又は塊状懸濁重合法により製造することができ、ゴム粒子形態は、重合工程における撹拌の状態、ゴム粒子生成時の混合状態等をコントロールすることにより制御できる。
本実施形態に用いることができる(C)スチレン系樹脂の含有量は、樹脂組成物100質量%中において、0〜70質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは5〜50質量%、更により好ましくは10〜40質量%の範囲内である。(C)スチレン系樹脂の含有量は、本樹脂組成物の成形流動性改良の観点から配合することが好ましく、また十分な耐熱性保持の観点から、70質量%以下の配合であることが好ましい。
<(D)エラストマー成分> 本実施形態の樹脂組成物には、耐衝撃性を向上させる目的から、更に(D)エラストマー成分を配合することが可能である。
(D)エラストマー成分としては、公知のものを用いることができるが、前記(A)成分との混和性及び耐熱性の観点から、スチレンブロックと水素添加された共役ジエン化合物ブロックとを有するブロック共重合体(以下、「スチレンブロック−水添共役ジエン化合物ブロック共重合体」とも記す)を含むことが好ましい。
前記共役ジエン化合物ブロックは、熱安定性の観点から、水素添加率50%以上で水素添加されたものが好ましく、より好ましくは80%以上で水素添加されたもの、更に好ましくは95%以上で水素添加されたものである。
前記共役ジエン化合物ブロックとしては、以下に制限されないが、例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリ(エチレン・ブチレン)、ポリ(エチレン・プロピレン)及びビニル−ポリイソプレンが挙げられる。前記共役ジエン化合物ブロックは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
ブロック共重合体を構成する繰り返し単位の配列の様式は、リニアタイプでもラジアルタイプでもよい。また、ポリスチレンブロック及びゴム中間ブロックにより構成されるブロック構造は二型、三型及び四型のいずれであってもよい。中でも、本実施形態に所望の効果を十分に発揮し得る観点から、好ましくは、ポリスチレン−ポリ(エチレン・ブチレン)−ポリスチレン構造で構成される三型のリニアタイプのブロック共重合体である。なお、共役ジエン化合物ブロック中に30質量%を超えない範囲でブタジエン単位が含まれてもよい。
本実施形態に用いることができる、前記スチレンブロック−水添共役ジエン化合物ブロック共重合体は、耐衝撃性改良の観点から重量平均分子量Mwが50000〜300000の範囲が好ましく、より好ましくは70000〜280000であり、更により好ましくは100000〜250000である。十分な耐衝撃性付与の観点から、前記スチレンブロック−水添共役ジエン化合物ブロック共重合体は、50000以上が好ましく、成形体の流動性、外観保持、混和性の観点から、300000以下が好ましい。
本実施形態に用いることができる、前記スチレンブロック−水添共役ジエン化合物ブロック共重合体の結合スチレン量は、20〜80質量%の範囲が好ましく、より好ましくは30〜60質量%であり、更により好ましくは30〜45質量%の範囲内である。混和性の観点から、前記スチレンブロック−水添共役ジエン化合物ブロック共重合体の結合スチレン量は、20質量%以上が好ましく、耐衝撃性付与の観点から80質量%以下が好ましい。
本実施形態の樹脂組成物に用いることができる(D)エラストマー成分の含有量は、樹脂組成物100質量%中において、1〜15質量%の範囲内であることが好ましく、より好ましくは3〜12質量%、更により好ましくは5〜12質量%の範囲内である。(D)エラストマー成分の含有量は、本用途に必要な耐衝撃性付与の観点から1質量%以上であることが好ましく、耐熱性及び剛性保持の観点から15質量%以下であることが好ましい。
<その他>
本実施形態の樹脂組成物は、更には、樹脂組成物の耐熱性、機械物性並びに成形品の表面外観及び耐熱エージング特性等を著しく低下させない範囲において、その他の(B)以外の酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、滑剤、離型剤等を含んでいてもよい。
本実施形態の樹脂組成物中の上記その他の成分の含有量は、樹脂組成物100質量%中において、各々が0.001〜3質量%の範囲内で含有することが可能であり、より好ましくは0.01〜0.5質量%であり、さらにより好ましくは0.2〜0.5質量%の範囲内である。十分な添加効果発現の観点から、上記のその他の酸化防止剤等の含有量は、0.001質量%以上が好ましく、十分な成形品外観及び物性保持の観点から3質量%以下が好ましい。
本実施形態に用いる樹脂組成物には、機械的強度向上の目的で、強化剤としての無機フィラーを配合することも可能である。強化剤としての無機フィラーとしては、一般的に、熱可塑性樹脂の補強に用いられるものであり、例えば、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスフレーク、タルク、クロライト、マイカ等が挙げられる。
本実施形態に用いる無機フィラーの含有量は、樹脂組成物100質量%中において、50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5〜40質量%、更により好ましくは1〜30質量%の範囲内である。無機フィラーは、本樹脂組成物の機械的強度向上の観点から含有することが好ましく、また無機フィラーの含有量は、十分な成形品外観と成形流動性保持の観点から、50質量%以下の含有量であることが好ましい。
[樹脂組成物の製造方法]
本実施形態の樹脂組成物は、前記(A)成分及び前記(B)成分、さらに任意のその他の原材料を、溶融混練の条件を適宜調節して、溶融混練することにより製造することができる。前記樹脂組成物を製造するための前記(A)成分、前記(B)成分、その他の成分との溶融混練の条件については、樹脂組成物中において、特に制限されるものではないが、本実施形態の所望の効果を十分に発揮し得る樹脂組成物を大量且つ安定的に得るという観点から、スクリュー径25〜90mmの二軸押出機を用いることが好適である。一例として、TEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数:13、スクリュー径:58mm、L/D=53、ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)を用いた場合に、シリンダー温度270〜330℃、スクリュー回転数150〜700rpm、押出レート150〜600kg/h、及びベント真空度11.0〜1.0kPaの条件で溶融混練する方法が挙げられる。
押出樹脂温度は250〜380℃の範囲内で行なうことが好ましい。押出樹脂温度のより好ましい範囲は270〜360℃であり、更により好ましい範囲は300〜350℃である。押出樹脂温度は、十分な反応性と押出性の観点から250℃以上が好ましく、十分な機械物性保持と押出性の観点から380℃以下が好ましい。
本実施形態に用いる樹脂組成物を、大型(スクリュー径40〜90mm)の二軸押出機を用いて製造する際に注意すべきは、押出樹脂ペレット中に押出時に生じた、前記(A)成分から生じ得るゲルや炭化物が混入することで、成形品の表面外観や輝度感を低下させる原因となる場合もある。そこで、前記(A)成分を最上流(トップフィード)の原料投入口から投入して、最上流投入口におけるシューター内部の酸素濃度を15容量%以下に設定しておくことが好ましく、より好ましくは8容量%以下であり、更により好ましくは1容量%以下である。
酸素濃度の調節は、原料貯蔵ホッパー内を十分に窒素置換して、原料貯蔵ホッパーから押出機原料投入口までの、フィードライン中での空気の出入りがないように密閉した上で、窒素フィード量の調節、ガス抜き口の開度を調節することで可能である。
[成形品]
本実施形態の樹脂組成物からなる成形品は、上述の樹脂組成物を成形することにより得ることができる。
前記樹脂組成物の成形方法としては、以下に制限されないが、例えば、射出成形、押出成形、真空成形及び圧空成形が好適に挙げられ、特に成形外観及び輝度感の観点から、射出成形がより好適に用いられる。
前記樹脂組成物の成形時の成形温度は、バレル設定最高温度250〜350℃の範囲内で行なうことが好ましく、より好ましい範囲は270〜340℃であり、更により好ましくは280〜330℃である。成形温度は、十分な成形加工性の観点から250℃以上が好ましく、樹脂の熱劣化抑制の観点から350℃以下が好ましい。
前記樹脂組成物の成形時の金型温度は、40〜170℃の範囲内で行なうことが好ましく、より好ましくは80〜150℃であり、更により好ましくは80〜130℃の範囲内である。金型温度は、十分な成形品外観保持の観点から40℃以上が好ましく、成形安定性の観点から170℃以下であることが好ましい。
本実施形態における好適な成形品としては、卓越した耐熱エージング特性を有することから、自動車、家電、事務機、工業製品等、様々な用途において利用可能であるが、特に、高い耐熱エージング性が要求される自動車部品が好ましい。
以下、本実施形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施形態はこれらの実施例のみに制限されるものではない。実施例及び比較例に用いた物性の測定方法及び原材料を以下に示す。
[物性の測定方法]1.荷重たわみ温度(DTUL)
得られた樹脂組成物のペレットを、90℃の熱風乾燥機中で3時間乾燥した。乾燥後の樹脂組成物を、ISO物性試験片金型を備え付けた射出成形機(東芝機械社製、IS−80EPN)により、シリンダー温度330℃、金型温度120℃、射出圧力50MPa(ゲージ圧)、射出速度200mm/sec、射出時間/冷却時間=20sec/20secに設定し、ISO3167、多目的試験片A型のダンベル成形片を成形した。得られた成形片を切断して作製した80mm×10mm×4mmの試験片を用いて、ISO75に準拠し、フラットワイズ法、1.82MPaで荷重たわみ温度(DTUL)(℃)を測定した。
評価基準としては、DTULが高い値であるほど、本組成物の材料設計面で有利であると判定した。
2.成形流動性(MFR)
得られた樹脂組成物のペレットを、120℃の熱風乾燥機中で3時間乾燥した。乾燥後、メルトインデクサー(東洋精機製作所社製、P−111)を用いてシリンダー設定温度280℃、10kg荷重にて、MFR(メルトフローレート)(g/10min)を測定した。
評価基準としては、MFRが高い値であるほど、本組成物の材料設計面で有利であると判定した。
3.成形品外観(成形片の目視評価)
上記1.の成形において、ダンベル成形片を完全に充填させずにショートショット(ISOダンベル金型に射出し、デッド側に5mm以内の隙間が空くように成形した状態)で成形し、完全に充填していないデッド側掴み部分を目視で観察して、成形片表面の状態を○(良好)、×(不良)で判定した。シルバーや微細なガスの抜け痕による表面荒れ、曇り感等の不具合の見られる場合に「×」と、見られない場合に「○」と判定した。
4.耐熱エージング特性(135℃エージング後の引張強度)
上記1.で得られたダンベル成形片を設定温度135℃の熱風オーブン中で、500時間、1000時間、1500時間のエージングをそれぞれ行った。そして、23℃で8時間放置した後、それぞれのエージング時間のダンベル成形片各5本をISO527に準拠して、引張強度を23℃で測定し、その平均値を引張強度(MPa)とした。評価基準としては下記式(1)に基づき、引張強度保持率を計算し、引張強度保持率が75%以上であれば耐熱エージング特性に優れていると判定した。
引張強度保持率(%)=1500時間後の引張強度÷初期の引張強度×100・・・(1)
[原材料]
<ポリフェニレンエーテル>(前駆体ポリフェニレンエーテル:PPE−1)
攪拌機、温度計、コンデンサー及び反応器の底部まで届いた酸素導入管を備えた容量10Lのジャケット付き反応器に、臭化第二銅2gを投入し、ジ−n−ブチルアミン35g、トルエン800gに溶解させた。この触媒溶液に、2,6−ジメチルフェノール200gをトルエン500gに溶かした溶液を加えた。これらの混合液を反応器内にて、酸素を供給しながら40℃で重合を3時間行った。反応停止後、水と接触させて反応液から触媒を除去し、ポリフェニレンエーテル反応液を得た。このポリフェニレンエーテル反応液を連続的にメタノールと接触させ攪拌しながら固形化しポリフェニレンエーテルスラリー溶液を得た。このスラリー溶液を小松ゼノア(株)製のディスインテグレーター(商品名)にて1mm格子スリットを用いて湿式粉砕をおこない、粉砕されたスラリー溶液を連続的にヤングフィルター型真空濾過器に供給しながら固液分離し、ヤングフィルター型真空ろ過器上で乾燥後のポリフェニレンエーテル重量に対し3倍量のメタノールにてリンス洗浄した後、ポリフェニレンエーテル粒子を乾燥した。湿式粉砕後のスラリー溶液中のポリフェニレンエーテル粒子は1700μmより大きな粒子は0重量%であり、ポリフェニレンエーテル粒子の重量平均粒径は220μmであった。
上記の製造方法で得られた前駆体ポリフェニレンエーテルとしてのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル(PPE−1)は、還元粘度=0.38dL/g、数平均分子量15300、前駆体ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの末端OH基の数:0.72個、前駆体ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりのジ−n−ブチルアミノメチル基の数:0.43個であった。
なお、還元粘度は、0.5g/dLクロロホルム溶液、30℃、ウベローデ型粘度管で測定した。
(前駆体ポリフェニレンエーテル:PPE−2)
攪拌機、温度計、コンデンサー及び反応器の底部まで届いた酸素導入管を備えた容量10Lのジャケット付き反応器に、臭化第二銅2gを投入し、ジ−n−ブチルアミン35g、トルエン800gに溶解させた。この触媒溶液に、2,6−ジメチルフェノール200gをトルエン500gに溶かした溶液を加えた。これらの混合液を反応器内にて、酸素を供給しながら40℃で重合を1時間行った。反応停止後、水と接触させて反応液から触媒を除去し、ポリフェニレンエーテル反応液を得た。このポリフェニレンエーテル反応液を連続的にメタノールと接触させ攪拌しながら固形化しポリフェニレンエーテルスラリー溶液を得た。このスラリー溶液を小松ゼノア(株)製のディスインテグレーター(商品名)にて1mm格子スリットを用いて湿式粉砕をおこない、粉砕されたスラリー溶液を連続的にヤングフィルター型真空濾過器に供給しながら固液分離し、ヤングフィルター型真空ろ過器上で乾燥後のポリフェニレンエーテル重量に対し3倍量のメタノールにてリンス洗浄した後、ポリフェニレンエーテル粒子を乾燥した。湿式粉砕後のスラリー溶液中のポリフェニレンエーテル粒子は1700μmより大きな粒子は0重量%であり、ポリフェニレンエーテル粒子の重量平均粒径は220μmであった。
上記の製造方法で得られた前駆体ポリフェニレンエーテルとしてのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル(PPE−2)は、還元粘度=0.13dL/g、数平均分子量3000、前駆体ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの末端OH基の数:5.2個、前駆体ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりのジ−n−ブチルアミノメチル基の数:0.5個であった。
なお、還元粘度は、0.5g/dLクロロホルム溶液、30℃、ウベローデ型粘度管で測定した。
(前駆体ポリフェニレンエーテル:PPE−3)
重合槽底部に酸素含有ガス導入のためのスパージャー、撹拌タービン翼及びバッフルを備え、重合槽上部のベントガスラインに還流冷却器を備えた40リットルのジャケット付き重合槽に、0.5L/分の流量で窒素ガスを吹き込みながら、4.57gの酸化第二銅、24.18gの47質量%臭化水素水溶液、11.00gのジ−t−ブチルエチレンジアミン、62.72gのジ−n−ブチルアミン、149.92gのブチルジメチルアミン、20.65kgのトルエン、及び3.12kgの2,6−ジメチルフェノールを入れ、均一溶液となり、かつ重合槽の内温が25℃になるまで撹拌した。次に、重合槽へ32.8NL/分の速度で乾燥空気をスパージャーより導入し始め、重合を開始した。乾燥空気を140分間通気し、重合混合物を得た。なお、重合中は内温が40℃になるようコントロールした。乾燥空気の通気を停止し、重合混合物にエチレンジアミン四酢酸4ナトリウム塩(同仁化学研究所製試薬)の2.5質量%水溶液を10kg添加した。70℃で150分間、重合混合物を撹拌し、その後20分静置し、液−液分離により有機相と水相とを分離した。
得られた有機相を連続的にメタノールと接触させ攪拌しながら固形化しポリフェニレンエーテルスラリー溶液を得た。このスラリー溶液を小松ゼノア(株)製のディスインテグレーター(商品名)にて1mm格子スリットを用いて湿式粉砕をおこない、粉砕されたスラリー溶液を連続的にヤングフィルター型真空濾過器に供給しながら固液分離し、ヤングフィルター型真空ろ過器上で乾燥後のポリフェニレンエーテル重量に対し3倍量のメタノールにてリンス洗浄した後、ポリフェニレンエーテル粒子を乾燥した。湿式粉砕後のスラリー溶液中のポリフェニレンエーテル粒子は1700μmより大きな粒子は0重量%であり、ポリフェニレンエーテル粒子の重量平均粒径は220μmであった。
上記の製造方法で得られた前駆体ポリフェニレンエーテルとしてのポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル(PPE−1)は、還元粘度=0.38dL/g、数平均分子量15300、前駆体ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの末端OH基の数:0.72個、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりのN,N−ジブチルアミノメチル基の数:0.43個であった。
なお、還元粘度は、0.5g/dLクロロホルム溶液、30℃、ウベローデ型粘度管で測定した。
(A−1)
(PPE−1)を100質量部と、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(株式会社三光製)1.2質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第1原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、(A)ポリフェニレンエーテル成分(A−2)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し(A)ポリフェニレンエーテル(A−2)のパウダーを得た。
得られた(A)ポリフェニレンエーテル(A−2)は、31P−NMR(single plus法)及びH−NMRにて同定することができ、反応性化合物のメチル基への付加量は、H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、下記の化学式(10)、(11)の構造を合わせて0.25個含むことを確認した。
更に、末端水酸基への付加量は、13C−NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、下記数式(2)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、下記化学式(12)の構造を0.03個含むことを確認した。また、H−NMRにて、3.5〜5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの反応性化合物の付加数(個)=(前駆体ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの末端OHの数)×{[A]/([A]+[B])}・・・(2)
また、化学式(11)に対する化学式(10)の割合は、31P−NMRにて、化学式(11)由来の38〜42ppmのピークの積分値に対する、化学式(10)由来の34〜36ppmのピークの積分値の割合を計算することより求められ、27モル%であることが分かった。
Figure 2017119017
Figure 2017119017
Figure 2017119017
31P−NMR 測定条件
装置 :JEOL RESONANCE ECS400
観測核 :31
観測周波数 :161.8MHz
パルス幅 :45°
待ち時間 :5秒
積算回数 :10,000回
溶媒 :CDCl
試料濃度 :20w/v%
化学シフト基準:85%リン酸水溶液(外部基準)0ppm
H−NMR 測定条件
装置 :JEOL―ECA500
観測核 :
観測周波数 :500.16MHz
測定法 :Single−Plus
パルス幅 :7μsec
待ち時間 :5秒
積算回数 :512回
溶媒 :CDCl
試料濃度 :5w%
化学シフト基準:TMS 0.00ppm
13C−NMR 測定条件
装置 :Bruker Biospin Avance 600
観測核 :13
観測周波数 :150.9MHz
測定法 :逆ゲートデカップリング法
パルス幅 :30°
待ち時間 :10秒
積算回数 :2,000回
溶媒 :CDCl
試料濃度 :20w/v%
化学シフト基準:TMS 0ppm
以下、ポリフェニレンエーテルの31P−NMR及びH−NMR、13C−NMRの測定は、上記の条件で行った。
(A−2)
まず、(PPE−1)と同様なユニット種を有する前駆体ポリフェニレンエーテルを次の製造方法で製造した。
攪拌機、温度計、コンデンサー及び反応器の底部まで届いた酸素導入管を備えた容量10Lのジャケット付き反応器にキシレン2.9kg、メタノール905g、2,6−ジメチルフェノール1.0kg(8.2モル)を仕込み均一な液とした後、水酸化ナトリウム26.2g(655ミリモル)をメタノール175gに溶かした溶液を加え、次いで塩化マンガン四水和物810mg(4.1ミリモル)とモノエタノールアミン20g(328ミリモル)を窒素雰囲気下、50℃、1時間混合した予備混合物20.8gを加えた。更にエチレングリコール20.4g(329ミリモル)及びジ−n−ブチルアミン10.6g(82ミリモル)を加えた。内容物を激しくかきまぜながらこれに酸素を200Nml/分の速さで吹き込み、反応温度を40℃に保ち3時間反応させた後、酸素を80Nml/分、反応温度30℃に降温し、反応開始から5時間経過した時点で酸素供給を停止した。反応混合物600gを抜き出し、メタノール280gを加え、析出した重合体を吸引濾過した後、メタノール1Lで2回洗浄し吸引濾過した。得られた重合体を、ピロリン酸ナトリウム2.9g及びハイドロサルファイトナトリウム1.9gをイオン交換水500mlに溶かした溶液中に分散させ、攪拌下80℃で10分間処理した。吸引濾過して得られた重合体をイオン交換水1Lで2回洗浄、吸引濾過した。湿った重合体を150℃で5時間減圧乾燥し、110gの粉末状のポリフェニレンエーテルを得た。
上記の製造方法で得られた、前駆体ポリフェニレンエーテルは、(PPE−1)と同様なユニット種を有するものの、還元粘度=0.47dl/gであり、N,N−ジブチルアミノメチル基を100ユニットあたり3.6個有するものであった。
続いて、上記の前駆体ポリフェニレンエーテル100質量部と、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(株式会社三光製)1.2質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第1原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、(A)ポリフェニレンエーテル成分(A−3)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し(A)ポリフェニレンエーテル(A−3)のパウダーを得た。
得られた(A)ポリフェニレンエーテル(A−3)は、31P−NMR(single plus法)及びH−NMRで同定することができ、反応性化合物のメチル基への付加量は、H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、上記の化学式(10)、(11)の構造を合わせて3.4個含むことを確認した。
更に、末端水酸基への付加量は、13C−NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、上記数式(2)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、化学式(12)の構造を0.03個含むことを確認した。また、H−NMRにて、3.5〜5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
また、化学式(11)に対する化学式(10)の割合は、31P−NMRにて、化学式(11)由来の38〜42ppmのピークの積分値に対する、化学式(10)由来の34〜36ppmのピークの積分値の割合を計算することより求められ、5.0モル%であることが分かった。
(A−3)
前駆体ポリフェニレンエーテル(PPE−2)を100質量部と、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(株式会社三光製)1.2質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第一原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分(A−3)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し、ポリフェニレンエーテル(A−3)のパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテル(A−3)は、31P−NMR(single plus法)及びH−NMRにて同定することができ、反応性化合物のメチル基への付加量は、H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、下記の化学式(10)、(11)の構造を合わせて0.25個含むことを確認した。
得られた(A)ポリフェニレンエーテル(A−3)は、13C−NMRにて同定することができ、反応性化合物の付加量は、13C−NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、上記数式(2)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、上記化学式(12)の構造を4.9個含むことを確認した。また、H−NMRにて、3.5〜5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
また、化学式(11)に対する化学式(10)の割合は、31P−NMRにて、化学式(11)由来の38〜42ppmのピークの積分値に対する、化学式(10)由来の34〜36ppmのピークの積分値の割合を計算することより求められ、27モル%であることが分かった。
(A−4)
(PPE−3)を100質量部と、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(株式会社三光製)1.2質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第1原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、(A)ポリフェニレンエーテル成分(A−4)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し(A)ポリフェニレンエーテル(A−4)のパウダーを得た。
得られた(A)ポリフェニレンエーテル(A−4)は、31P−NMR(single plus法)及びH−NMRにて同定することができ、反応性化合物のメチル基への付加量は、H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、下記の化学式(10)、(11)の構造を合わせて0.25個含むことを確認した。
更に、末端水酸基への付加量は、13C−NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、下記数式(2)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、下記化学式(12)の構造を0.03個含むことを確認した。また、H−NMRにて、3.5〜5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの反応性化合物の付加数(個)=(前駆体ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたりの末端OHの数)×{[A]/([A]+[B])}・・・(2)
また、化学式(11)に対する化学式(10)の割合は、31P−NMRにて、化学式(11)由来の38〜42ppmのピークの積分値に対する、化学式(10)由来の34〜36ppmのピークの積分値の割合を計算することより求められ、27モル%であることが分かった。
(A−5)
まず、ブロモ化ポリフェニレンエーテルを次の製造方法で製造した。
(PPE−1)100質量部を10Lのジャケット付き反応器に入れ、クロロホルム2.0Lを加えて、室温、窒素雰囲気下5分間撹拌した。その後、N−ブロモスクシンイミドを15.0質量部、アゾビスイソブチロニトリルを2.0質量部を投入し、還流させながら8時間反応させた。この反応液を室温に冷却後、n−ヘキサンを3L投入し、ブロモ化ポリフェニレンエーテルを固化させ、スラリーを得た。このスラリー溶液を小松ゼノア(株)製のディスインテグレーター(商品名)にて1mm格子スリットを用いて湿式粉砕を行い、粉砕されたスラリー溶液を連続的にヤングフィルター型真空濾過器に供給しながら固液分離し、ヤングフィルター型真空ろ過器上で乾燥後のポリフェニレンエーテル重量に対し3倍量のメタノールにてリンス洗浄した後、ポリフェニレンエーテル粒子を乾燥した。
上記の製造方法で得られたブロモ化ポリフェニレンエーテルは、側鎖メチル基及び末端メチル基のみブロモ化されたものであり、ブロモ化率は、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり4.3個であった。
上記ブロモ化ポリフェニレンエーテル100質量部、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(株式会社三光製)500質量部を10Lのジャケット付き反応器に入れ、160℃で24時間撹拌し、反応させた。この反応液を室温に冷却し、2Lのメタノールを加えて反応物を固化させスラリー状にした。このスラリーをろ過し、得られたパウダーを4時間真空乾燥し、ポリフェニレンエーテル(A−5)のパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテル(A−5)は、31P−NMR(single plus法)及びH−NMRにて同定することができ、反応性化合物のメチル基への付加量は、H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、下記の化学式(10)、(11)の構造を合わせて4.0個含むことを確認した。
更に、末端水酸基への付加量を前述の通り13C−NMRにて測定したが、化学式(12)の構造は確認できなかった。
また、化学式(11)に対する化学式(10)の割合は、31P−NMRにて、化学式(11)由来の38〜42ppmのピークの積分値に対する、化学式(10)由来の34〜36ppmのピークの積分値を割り出すことより求められ、570モル%であることが分かった。
(A−6)
(PPE−1)を100質量部と、ホスホン酸ジオクチル(城北化学製)1.5質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第1原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、(A)ポリフェニレンエーテル成分(A−6)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し(A)ポリフェニレンエーテル(A−6)のパウダーを得た。
得られた(A)ポリフェニレンエーテル(A−6)は、31P−NMR(single plus法)及びH−NMRで同定することができ、反応性化合物の付加量は、H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテルのモノマー100ユニットあたり、化学式(13)、(14)の構造を合わせて0.25個含むことを確認した。
得られた(A)ポリフェニレンエーテル(A−6)は、13C−NMRにて同定することができ、反応性化合物の付加量は、13C−NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、上記数式(2)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、化学式(15)の構造を0.25個含むことを確認した。また、H−NMRにて、3.5〜5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
また、化学式(14)に対する化学式(13)の割合は、31P−NMRにて、化学式(14)由来の38〜45ppmのピークの積分値に対する、化学式(13)由来の32〜38ppmのピークの積分値の割合を計算することより求められ、25モル%であることが分かった。
Figure 2017119017
Figure 2017119017
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(A−7)
前駆体ポリフェニレンエーテル(PPE−1)を100質量部と、ジフェニルホスフィンオキシド(東京化成製)1.5質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第一原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分(A−7)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し、ポリフェニレンエーテル(A−7)のパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテル(A−7)は、31P−NMR(single plus法)及びH−NMRで同定することができ、反応性化合物の付加量は、H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテルのモノマー100ユニットあたり、化学式(16)、(17)の構造を合わせて0.25個含むことを確認した。
また、得られた(A)ポリフェニレンエーテル(A−7)は、13C−NMRにて同定することができ、反応性化合物の付加量は、13C−NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、上記数式(2)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、下記化学式(18)の構造を0.04個含むことを確認した。また、H−NMRにて、3.5〜5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
また、化学式(17)に対する化学式(16)の割合は、31P−NMRにて、化学式(17)由来の38〜45ppmのピークの積分値に対する、化学式(16)由来の32〜38ppmのピークの積分値の割合を計算することより求められ、25モル%であることが分かった。
Figure 2017119017
Figure 2017119017
Figure 2017119017
(A−8)
(PPE−1)を100質量部と、N−ヒドロキシフタルイミド(東京化成製)0.1質量部、トリエチルアミン(東京化成製)0.5質量部、メタンスルホン酸クロライド(東京化成製)1.0質量部をクロロホルム1L中に溶解し、60℃で5時間撹拌した。得られた反応溶液を炭酸水素ナトリウム水溶液で中和し、分液操作を行うことで有機層を得た。得られた有機層に、メタノールを徐々に添加し、PPE成分を析出させ、ろ過、乾燥を行うことで、(A)ポリフェニレンエーテル成分(A−8)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し(A)ポリフェニレンエーテル(A−8)のパウダーを得た。
得られた(A)ポリフェニレンエーテル(A−8)は、H−NMR及び13C−NMRにて同定することができ、反応性化合物のメチル基への付加量は、H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテルのモノマー100ユニットあたり、化学式(19)、(20)の構造を合わせて0.3個含むことを確認した。
また、末端水酸基への付加量は、13C−NMRにて、146.4ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、上記数式(2)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、下記化学式(21)の構造を0.1個含むことを確認した。また、H−NMRにて、3.5〜5.5ppmに新たなダブレットピークが生じないことを確認した。
また、化学式(20)に対する化学式(19)の割合は、31P−NMRにて、化学式(20)由来の38〜42ppmのピークの積分値に対する、化学式(19)由来の34〜36ppmのピークの積分値の割合を計算することより求められ、20モル%であることが分かった。
Figure 2017119017
Figure 2017119017
Figure 2017119017
(A−9)
(PPE−1)を、二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第1原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、ペレット化した。得られたPPEペレットは、ジブチルアミンが脱離した構造であることを解析によって確認した。このPPEペレット100質量部と、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(株式会社三光製)1.2質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第1原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分(A−9)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥しポリフェニレンエーテル(A−9)のパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテル(A−9)を、H−NMRで同定した結果、ポリフェニレンエーテル(A−9)はモノマーユニット中のメチル基に低分子の付加していない化学式(22)、(23)の構造からなることを確認した。また、13C−NMRにて、末端OH基にも低分子は反応していないことを確認した。
Figure 2017119017
Figure 2017119017
(A−10)
(PPE−1)を100質量部と、アクリル酸ステアリル(東京化成製)1.6質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第1原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、精製水を添加し分液操作で有機層と水層に分離し、有機層を回収した。この有機層からPPE成分をメタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分(A−10)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し(A−10)のパウダーを得た。
得られた(A−10)は、H−NMRで同定することができ、H−NMRの2.5〜4.0ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより、ポリフェニレンエーテルのモノマー100ユニットあたり、化学式(24)の構造を0.4個有することを確認した。
Figure 2017119017
(A−11)
(PPE−1)を100質量部と、スチレン10質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第1原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し(A−11)のパウダーを得た。
得られた(A−11)は、H−NMRで同定することができ、H−NMRの2.5〜4.0ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより、ポリフェニレンエーテルのモノマー100ユニットあたり、化学式(25)の構造を0.4個有することを確認した。
Figure 2017119017
(A−12)
(PPE−1)を100質量部と、無水マレイン酸5.0質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第1原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、変性ポリフェニレンエーテル成分を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し(A−12)のパウダーを得た。
得られた(A−12)は、H−NMRで同定することができ、H−NMRの2.5〜4.0ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより、ポリフェニレンエーテルのモノマー100ユニットあたり、化学式(26)の構造を0.3個有することを確認した。
Figure 2017119017
(A−13)
前駆体ポリフェニレンエーテル(PPE−1)を100質量部と、ジオレイルハイドロゲンホスファイト(城北化学製)1.5質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物を二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第一原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練し、樹脂組成物をペレットとして得た。
このペレットをクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分(A−13)を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し、ポリフェニレンエーテル(A−13)のパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテル(A−13)は、31P−NMR(single plus法)及び13C−NMR、及びMALDI−TOF/MSにて同定することができ、反応性化合物の付加量は、13C−NMRにて、146.3ppm(OH基に反応性化合物が付加して形成されたエーテル結合の酸素原子に隣接した炭素)のピークの積分値[A]、145.4ppm(OH基に隣接した炭素)の積分値[B]を用いて、上記数式(2)で求めることができ、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、下記化学式(27)の構造を0.03個含むことを確認した。また、H−NMRにて、4.2ppmにオレイル基由来のオレフィンのダブレットピークを確認した。
なお、31P−NMR、13C−NMR、MALDI−TOF/MS、H−NMRは上述と同様の条件で測定した。
Figure 2017119017
MALDI−TOF/MSの測定条件
装置 :Bruker ultraflextreme
レーザー :smartbeam−II
検出器形式 :リフレクタ
イオン検出 :正イオン(Positive mode)
積算回数 :2000回
マトリックス :DCTB 10mg/mL THF
(trans−2−[3−(4−tert−butylphenyl)−2−methy
l−2−propenylidenl]
カチオン化剤 :AgTFA 5mg/mL THF
スキャンレンジ:m/z2200−20000
試料 :1mg/mL THF
<(B)酸化防止剤>
(B−1)
リン系酸化防止剤(化学名:3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン。アデカ社製、商品名:アデカスタブPEP−36〔登録商標〕)(以下、「B−1」ということもある)。
(B−2)
リン系酸化防止剤(化学名:トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト。BASF社製、商品名:Irgafos168〔登録商標〕)(以下、「B−2」ということもある)。
(B−3)
イオウ系酸化防止剤(化学名:2,6−ジ−tert−ブチル−4−(4,6−ビス(オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン−2−イルアミノ)フェノール。BASF社製、商品名:Irganox565〔登録商標〕)
<(C)スチレン系樹脂>
ゼネラルパーパスポリスチレン(旭化成ケミカルズ社製、商品名:ポリスチレン680〔登録商標〕)(以下、「GPPS」ということもある)。
<(D)エラストマー成分>
重量平均分子量71200であって、結合スチレン量32質量%のポリスチレンブロックと水素添加率98%の水添ブタジエンブロックとを有する三型タイプの水添ブロック共重合体を用いた(以下、「エラストマー」ということもある)。
〔比較例1〕
比較例1では、表1に示す組成で、二軸押出機(コペリオン社製、ZSK−25)の第1原料供給口からフィードし、バレル温度300℃、スクリュー回転数300rpmで溶融混練を行い、樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性を表1に示す。
〔実施例1〜16、比較例2〜9〕
比較例1と同様の方法で溶融混練を行い、表1に示す樹脂組成物を得た。得られた樹脂組成物の物性を表1に示す。
Figure 2017119017
表1に示すように、本実施例1〜16により、耐熱エージング特性に優れたポリフェニレンエーテル及び樹脂組成物が得られることが分かった。
また、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドを用いて得られた(A)ポリフェニレンエーテルを含む実施例1、2、3、7、8、11、12、13、及び、ジフェニルホスフィンオキシドを用いて得られた(A)ポリフェニレンエーテルを含む実施例5では、樹脂組成物の溶融混練時における流動性を向上させることができることが分かった。
本発明によれば、卓越した耐熱エージング特性を有する、ポリフェニレンエーテル及び当該ポリフェニレンエーテルを含有する樹脂組成物が得られることから、自動車、家電、事務機、工業製品等、様々な用途において利用可能である。特に、流動性及び高い熱エージング性が要求される自動車部品、例えば、光反射部品用途の成形品として有効に使用することが可能である。

Claims (8)

  1. 化学式(1)、(2)、(3)から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテル。
    Figure 2017119017
    Figure 2017119017
    (化学式(1)及び(2)のXは、
    Figure 2017119017
    からなる群から選ばれる1つの基であり、X中のR及びRは、各々独立して炭素数1以上の置換基である。)
    Figure 2017119017
    (化学式(3)中のXは、
    Figure 2017119017
    からなる群から選ばれる1つの基であり、X中のR、Rは、各々独立して、水素原子、アルキル基、アリール基、アルキルアミノ基、アリールアミノ基からなる群から選ばれる基であり、R及びRは、それらに含まれる炭素原子が互いに結合して環状構造を形成してもよい。但し、式(3)は、芳香環の不飽和二重結合以外に不飽和二重結合を実質的に有さない。)
  2. 前記化学式(1)及び(2)のXが、
    Figure 2017119017
    からなる群から選ばれる1つの基である、請求項1に記載のポリフェニレンエーテル。
  3. 前記ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、前記化学式(1)、(2)、(3)からなる群から選択される構造のユニットを0.01〜10.0個含有する、請求項1又は2に記載のポリフェニレンエーテル。
  4. 前記化学式(2)に示す構造のユニットに対する前記化学式(1)に示す構造のユニットの割合が、0〜30モル%である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル。
  5. 前記化学式(1)及び/又は(2)に示す構造のユニットと、前記化学式(3)に示す構造のユニットとを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載の(A)ポリフェニレンエーテルと、(B)酸化防止剤とを含有する樹脂組成物であり、当該(B)酸化防止剤を、当該(A)ポリフェニレンエーテル100質量部に対して0.1〜5.0質量部含有する、樹脂組成物。
  7. 前記(B)酸化防止剤が、リン系酸化防止剤である、請求項6に記載の樹脂組成物。
  8. 更に、(C)スチレン系樹脂を含有する、請求項6又は7に記載の樹脂組成物。
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