JP2019143015A - ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物及び成形体 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、長時間耐久性が要求されるような使用環境下においても有効に使用可能な、優れた耐熱性、機械的物性、及び取扱性を有する、ガラス繊維を含むポリフェニレンエーテル系樹脂組成物及びその成形体を提供することを目的とする。【解決手段】化学式(1)及び(2)から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテル(A)、スチレン系樹脂(B)、縮合型リン酸エステル系難燃剤(C)、及びガラス繊維(D)を含有し、(A)、(B)、(C)、及び(D)成分の合計量100質量%に対する各成分の含有量が、(A)成分20〜90質量%、(B)成分0〜5質量%、(C)成分5〜25質量%、(D)成分5〜50質量%であることを特徴とする、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。【選択図】なし

Description

本発明は、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物及び成形体に関する。
ポリフェニレンエーテル系樹脂は通常、ポリフェニレンエーテルとスチレン系樹脂とを必要とされる耐熱性や成形流動性のレベルに応じて任意の割合で併用配合したものであり、更に必要に応じてエラストマー成分や、難燃剤、無機フィラー、熱安定剤等の添加剤成分を配合して樹脂組成物としたものである。ポリフェニレンエーテル系樹脂は、耐熱性、機械的物性、成形加工性、耐酸アルカリ性、寸法安定性、電気特性等に優れるため、家電OA、事務機、情報機器、自動車分野等に広く用いられている。これらの用途の中には、家電OA、事務機やPC等情報機器をはじめとする電気・電子機器の冷却ファン(プロペラ)用途等、近年、薄肉成形体として極めて高い耐熱性、曲げ強度、引張強度等の機械的物性が要求されるものが含まれ、更には高温条件下において長期間に渡る応力に耐えるための耐久性が要求されるものも多く、繊維状無機充填剤、特にガラス繊維を多量に配合したポリフェニレンエーテル系樹脂組成物が検討されている。
一方、こうした用途には、近年、従来にない極めて高い難燃レベルも要求されることが多く、ポリフェニレンエーテル系樹脂に多量の無機充填剤を配合したポリフェニレンエーテル系樹脂組成物に、難燃剤を配合することで、ある程度の難燃化は可能であることが知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。
また、ポリフェニレンエーテル系樹脂にガラス繊維を多量に配合した樹脂組成物における、薄肉成形品の難燃性を改良する技術は、既に開示されている(例えば、特許文献3参照)。
特開平8−183902号公報 特開平10−168260号公報 特開2015−209518号公報
しかし、繊維状無機充填剤を配合した樹脂組成物は、灯心効果による燃焼持続性を有するため、難燃剤を配合しても高度なレベルまで難燃化することは極めて困難である。特に2.0〜0.5mm厚みのような薄肉試験片で、UL94に準拠した燃焼試験をした場合、試験片間における燃焼時間のバラツキが大きくなって、要求される難燃レベルをクリアできない場合もあり、特許文献1及び2に開示された技術を用いても、必ずしも十分な難燃性が得られない場合がある。
また、特許文献3に開示された技術により確かに薄肉成形品の難燃性が著しく改善されるが、試験片間における燃焼時間のバラツキの改善に関しては十分に為されていない。また、難燃剤がトリフェニルホスフェートのような融点の低い固体難燃剤に限定されているため、取扱性の面で困難な場合があることや、成形時に、金型MD(モールドデポジット)の発生により金型清掃の頻度が上昇し、作業が煩雑化する場合や、多量のガスが発生して作業環境を悪化させる場合もあり、やはり十分ではない。
そこで、本発明は、長時間耐久性が要求されるような使用環境下においても有効に使用可能な、優れた耐熱性、機械的物性、及び取扱性を有する、ガラス繊維を含むポリフェニレンエーテル系樹脂組成物及びその成形体を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、ガラス繊維を5〜50質量%含有したポリフェニレンエーテル系樹脂組成物において、特定の構造ユニットを含むポリフェニレンエーテルを用い、更に縮合型リン酸エステル系難燃剤を配合して難燃化することにより、優れた耐熱性、機械的物性、及び取扱性を有する樹脂組成物が得られることを見出し、本発明を提供するに至った。
即ち、本発明は、以下の通りである。
[1]
下記の化学式(1)及び(2)から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテル(A)、スチレン系樹脂(B)、縮合型リン酸エステル系難燃剤(C)、及びガラス繊維(D)を含有し、前記(A)、(B)、(C)、及び(D)成分の合計量100質量%に対する各成分の含有量が、(A)成分20〜90質量%、(B)成分0〜5質量%、(C)成分5〜25質量%、(D)成分5〜50質量%であることを特徴とする、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
Figure 2019143015
Figure 2019143015
(化学式(1)及び(2)のXは、
Figure 2019143015
からなる群から選ばれる1つの基であり、X中のR1及びR2は、各々独立して炭素数1以上の置換基である。)
[2]
前記(A)、(B)、(C)、及び(D)成分の合計含有量が、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物全体の90質量%以上を占める、[1]に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[3]
前記(A)成分が、化学式(3)及び(4)から選ばれる1つ以上の構造ユニットを含む、[1]又は[2]に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
Figure 2019143015
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(化学式(3)及び(4)のR1及びR2は、各々独立して炭素数1以上の置換基である。)
[4]
UL94に準拠して、厚み0.7mmの試験片で垂直燃焼試験を実施したときの難燃レベルがV−0である、[1]〜[3]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[5]
前記垂直燃焼試験を実施したとき、最大燃焼秒数と最小燃焼秒数との差が5.0秒以内である、[4]に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
[6]
[1]〜[5]のいずれかに記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を含むことを特徴とする、成形体。
[7]
厚みが0.5〜2.0mmであり、UL94に準拠して垂直燃焼試験を実施したときの難燃レベルがV−0である、[6]に記載の成形体。
[8]
電気・電子機器の冷却ファンである、[6]又は[7]に記載の成形体。
本発明によれば、長時間耐久性が要求されるような使用環境下においても有効に使用可能な、優れた耐熱性、機械的物性、及び取扱性を有する、ガラス繊維を含むポリフェニレンエーテル系樹脂組成物及びその成形体を提供することができる。
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」と言う。)について詳細に説明する。本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
〔樹脂組成物〕
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、下記の化学式(1)及び(2)から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテル(A)、スチレン系樹脂(B)、縮合型リン酸エステル系難燃剤(C)、及びガラス繊維(D)を含有し、前記(A)、(B)、(C)、及び(D)成分の合計量100質量%に対する各成分の含有量が、(A)成分20〜90質量%、(B)成分0〜5質量%、(C)成分5〜25質量%、(D)成分5〜50質量%であることを特徴とする。
Figure 2019143015
Figure 2019143015
(化学式(1)及び(2)のXは、
Figure 2019143015
からなる群から選ばれる1つの基であり、X中のR1及びR2は、各々独立して炭素数1以上の置換基である。)
(ポリフェニレンエーテル(A))
本実施形態のポリフェニレンエーテル(A)(以下、ポリフェニレンエーテルを単に「PPE」とも称す)について説明する。
本実施形態のポリフェニレンエーテル(A)は、下記化学式(5)及び/又は化学式(6)で表される繰り返し単位(構造のユニット)を有する単独重合体(ホモポリマー)あるいは共重合体(コポリマー)である。
Figure 2019143015
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但し、上記化学式(5)及び(6)中、R3、R4、R5、R6、R7、及びR8は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数6〜9のアリール基、又はハロゲン原子を表す。但し、R7及びR8は同時に水素原子ではない。
また、前記アルキル基の好ましい炭素数は1〜3であり、前記アリール基の好ましい炭素数は6〜8であり、前記一価の残基の中でも水素原子が好ましい。
尚、上記化学式(5)、(6)で表される繰り返し単位の数については、ポリフェニレンエーテル(A)の分子量分布により様々であるため、特に制限されることはない。
ポリフェニレンエーテルの単独重合体の代表例としては、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジ−n−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−n−ブチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6−イソプロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−メチル−6−ヒドロキシエチル−1,4−フェニレン)エーテル、及びポリ(2−メチル−6−クロロエチル−1,4−フェニレン)エーテル等が挙げられる。
ポリフェニレンエーテル共重合体としては、以下に限定されるものではないが、例えば、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体、2,6−ジメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体、及び2,3,6−トリメチルフェノールとo−クレゾールとの共重合体といった、化学式(5)及び/又は化学式(6)で表されるポリフェニレンエーテル構造を主たる繰返し単位とするものが挙げられる。
ポリフェニレンエーテルの中でも、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテルが好ましい。
尚、本実施形態では、ポリフェニレンエーテル鎖中には、化学式(5)においてR3、R4がそれぞれメチル基である構造(及び、後述のように、当該構造から導かれる構造)が少なくとも一部含まれている。
ポリフェニレンエーテル(A)の重量平均分子量Mwと数平均分子量Mnとの比(Mw/Mn値)は、好ましくは2.0〜5.5であり、より好ましくは2.5〜4.5、更に好ましくは3.0〜4.5である。
当該Mw/Mn値は、樹脂組成物の成形加工性の観点から2.0以上が好ましく、樹脂組成物の機械的物性の観点から5.5以下が好ましい。
ここで、重量平均分子量Mw及び数平均分子量Mnは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)測定による、ポリスチレン換算分子量から得られる。
ポリフェニレンエーテル(A)の還元粘度は、0.25〜0.65dL/gの範囲が好ましい。より好ましくは0.30〜0.55dL/gで、更に好ましくは0.33〜0.42dL/gの範囲である。
ポリフェニレンエーテル(A)の還元粘度は、十分な機械的物性の観点から0.25dL/g以上であることが好ましく、成形加工性の観点から0.65dL/g以下であることが好ましい。
尚、還元粘度は、ウベローデ粘度計を用いて、0.5g/dLクロロホルム溶液、30℃で測定できる。
ポリフェニレンエーテル(A)は一般に粉体として入手でき、その好ましい粒子サイズは平均粒子径1〜1000μmであり、より好ましくは10〜700μm、特に好ましくは100〜500μmである。加工時の取り扱い性の観点から1μm以上が好ましく、溶融混練時に未溶融物の発生を抑制するためには1000μm以下が好ましい。
本実施形態のポリフェニレンエーテル(A)は、下記化学式(1)及び(2)から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含む。
Figure 2019143015
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尚、化学式(1)及び(2)のXは、
Figure 2019143015
からなる群から選ばれる1つの基であり、X中のR1及びR2は、各々独立して炭素数1以上の置換基であり、例えば、鎖状又は環状アルキル基が挙げられる。
1、R2の構造としては、反応性官能基を有さない置換基が好ましい。反応性置換基を有する場合、樹脂組成物が長時間高温にさらされたときに、これらの反応性置換基が架橋反応を起こし、エージング後の物性低下の原因となり得るからである。ここで反応性置換基とはヒドロキシ基、アルコキシ基、アミノ基、ビニル基、カルボニル基等である。また、R1、R2の構造としては、R1とR2が連結した構造や、構造中に窒素原子、酸素原子を含んでもよい。
本実施形態のポリフェニレンエーテル(A)鎖中において、ポリフェニレンエーテルを構成するモノマーユニット100個あたり、化学式(1)及び(2)に示すいずれかの構造のユニットを0.1〜10個の範囲で含有することが好ましい。より好ましくは0.1〜3.0個の範囲であり、更に好ましくは0.1〜1.0個の範囲である。化学式(1)及び(2)に示すいずれかの構造のユニットを、100ユニットあたり0.1個以上にすることが、薄肉成形品における難燃性改良及び燃焼バラツキ性改良の観点から好ましく、100ユニットあたり10個以下とすることが、機械物性保持の観点から好ましい。
また、本実施形態において、よりいっそうの燃焼試験時の燃焼バラツキ性改良の観点から、化学式(3)及び(4)から選ばれる1つ以上の構造を含むことが好ましい。
Figure 2019143015
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尚、化学式(3)及び(4)のR1及びR2は、各々独立して炭素数1以上の置換基である。
<(A)ポリフェニレンエーテルの合成方法>
本実施形態の(A)ポリフェニレンエーテルは、(A)ポリフェニレンエーテルの化学式(1)及び(2)中のメチレン基に化学式(1)、(2)のXとは異なる置換基を持つ(A)ポリフェニレンエーテルの前駆体(以下、「前駆体ポリフェニレンエーテル」とも称す)を、後述する反応性化合物と反応させて得ることが好ましい。本実施形態の(A)ポリフェニレンエーテルを、前駆体ポリフェニレンエーテルから合成することにより、(A)ポリフェニレンエーテルの化学式(1)及び(2)中のX部分が水素であるポリフェニレンエーテル(以下、「非置換ポリフェニレンエーテル」とも称す。)から合成する場合よりも効率よく得られるからである。
ここで、前駆体ポリフェニレンエーテルとしては、非置換ポリフェニレンエーテル鎖中に、下記の化学式(7)、(8)で表される、末端基及び側鎖基を有する構造のユニットを有するものを用いることが好ましい。前駆体PPEが下記の化学式(7)及び(8)の構造のユニットを有することにより、十分に効率よく(A)ポリフェニレンエーテルを得ることができる(具体的には、(A)PPEを製造するにあたって、前駆体PPEを経由することにより、化学式(7)、(8)の構造中のCH2−Y部分が選択的に開裂して後述の反応性化合物との置換反応が生じるので、(A)PPEを十分に効率よく得ることができる)。また、非置換PPEから前駆体PPEを容易に合成することができるので、前駆体PPEを経由した(A)PPE合成が効率的であるからである。
さらに、当該前駆体PPEが、ポリフェニレンエーテル鎖中において、当該構造のユニットの合計を、ポリフェニレンエーテル鎖の100ユニット当たり0.1〜10個含有することが好ましい。
Figure 2019143015
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(化学式(7)及び(8)のYはN原子又はO原子を表し、Ziは、炭素数が1〜20個の環状若しくは鎖状(直鎖状、分岐状)の飽和又は不飽和炭化水素基を表す。また、式中のi、nは1又は2であり、Z1とZ2は同じでも異なってもよく、連結されていてもよい。)
化学式(7)、(8)の構造のユニットを含有する、前駆体ポリフェニレンエーテルの製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリフェニレンエーテルの重合反応時に、アミン類、アルコール類及びモルフォリン等の化合物((a1)化合物)を、添加して反応させる方法や、重合した非置換ポリフェニレンエーテルを例えばトルエン等のPPE可溶性溶媒中、例えば20〜60℃で、好ましくは40℃で撹拌し、上記の(a1)化合物を添加して反応させる方法が挙げられる。
(a1)化合物としては、特に限定されるものではないが、具体的にはn−プロピルアミン、iso−プロピルアミン、n−ブチルアミン、iso−ブチルアミン、sec−ブチルアミン、n−ヘキシルアミン、n−オクチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ラウリルアミン、ベンジルアミン等の1級アミン、及びジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジ−iso−ブチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ピペリジン、2−ピペコリン等の2級アミン、メタノール、エタノール、n−プロパノール、iso−プロパノール、n−ブタノール、iso−ブタノール、sec−ブタノール等のアルコール及びモルフォリン等が挙げられる。
(A)ポリフェニレンエーテルを得る方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリフェニレンエーテルの重合の際に後述する反応性化合物を投入し、(A)ポリフェニレンエーテルを重合する方法や、ポリフェニレンエーテルの重合の際に後述する反応性化合物が置換されたモノマーを少量添加して(A)ポリフェニレンエーテルを重合する方法や、非置換ポリフェニレンエーテルと反応性化合物を溶融混練して反応させる方法が挙げられる。具体的には、PPEの重合時に上記の(a1)化合物を添加して反応させた後に、後述する反応性化合物を反応させる方法や、PPEの重合時に上記の(a1)化合物が置換された2,6−ジメチルフェノールを少量添加して反応させる方法や、前駆体PPEを得た後、当該前駆体PPEと反応性化合物とを溶融混練して反応させる方法(即ち、例えば、前駆体PPEを用いて樹脂組成物を溶融混練して製造する際に、前駆体PPEと反応性化合物とを溶融混練する方法)が挙げられる。
<<反応性化合物>>
本実施形態のポリフェニレンエーテル(A)を得るために用いることができる反応性化合物としては、限定されるものではないが、例えば、ホスホン酸類、ホスホン酸エステル類、ホスフィン酸類、ホスフィン酸エステル類、モノカルボン酸類、スルホン酸類、スルフィン酸類等が挙げられる。
ホスホン酸類としては、例えば、ホスホン酸(亜リン酸)、メチルホスホン酸、エチルホスホン酸、ビニルホスホン酸、デシルホスホン酸、フェニルホスホン酸、ベンジルホスホン酸、アミノメチルホスホン酸、メチレンジホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、4−メトキシフェニルホスホン酸、プロピルホスホン酸無水物等が挙げられる。
ホスホン酸エステル類としては、例えば、ホスホン酸ジメチル、ホスホン酸ジエチル、ホスホン酸ビス(2−エチルヘキシル)、ホスホン酸ジオクチル、ホスホン酸ジラウリル、ホスホン酸ジオレイル、ホスホン酸ジフェニル、ホスホン酸ジベンジル、メチルホスホン酸ジメチル、メチルホスホン酸ジフェニル、メチルホスホン酸ジオクチル、エチルホスホン酸ジエチル、エチルホスホン酸ジオクチル、ベンジルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジメチル、フェニルホスホン酸ジエチル、フェニルホスホン酸ジプロピル、フェニルホスホン酸ジオクチル、(メトキシメチル)ホスホン酸ジエチル、(メトキシメチル)ホスホン酸ジオクチル、ビニルホスホン酸ジエチル、ヒドロキシメチルホスホン酸ジエチル、(2−ヒドロキシエチル)ホスホン酸ジメチル、(メトキシメチル)ホスホン酸ジオクチル、p−メチルベンジルホスホン酸ジエチル、p−メチルベンジルホスホン酸ジオクチル、ジエチルホスホノ酢酸、ジエチルホスホノ酢酸エチル、ジエチルホスホノ酢酸tert−ブチル、ジエチルホスホン酸ジオクチル、(4−クロロベンジル)ホスホン酸ジエチル、(4−クロロベンジル)ホスホン酸ジオクチル、シアノホスホン酸ジエチル、シアノメチルホスホン酸ジエチル、シアノホスホン酸ジオクチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジオクチル、(メチルチオメチル)ホスホン酸ジエチル等が挙げられる。
ホスフィン酸類としては、例えば、ジメチルホスフィン酸、エチルメチルホスフィン酸、ジエチルホスフィン酸、メチル−n−プロピルホスフィン酸、ジフェニルホスフィン酸、ジオレイルホスフィン酸、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキシド及びその誘導体等が挙げられる。
ホスフィン酸エステル類としては、例えば、ジメチルホスフィン酸メチル、ジメチルホスフィン酸エチル、ジメチルホスフィン酸n−ブチル、ジメチルホスフィン酸シクロヘキシル、ジメチルホスフィン酸ビニル、ジメチルホスフィン酸フェニル、エチルメチルホスフィン酸メチル、エチルメチルホスフィン酸エチル、エチルメチルホスフィン酸n−ブチル、エチルメチルホスフィン酸シクロヘキシル、エチルメチルホスフィン酸ビニル、エチルメチルホスフィン酸フェニル、ジエチルホスフィン酸メチル、ジエチルホスフィン酸エチル、ジエチルホスフィン酸n−ブチル、ジエチルホスフィン酸シクロヘキシル、ジエチルホスフィン酸ビニル、ジエチルホスフィン酸フェニル、ジフェニルホスフィン酸メチル、ジフェニルホスフィン酸エチル、ジフェニルホスフィン酸n−ブチル、ジフェニルホスフィン酸シクロヘキシル、ジフェニルホスフィン酸ビニル、ジフェニルホスフィン酸フェニル、メチル−n−プロピルホスフィン酸メチル、メチル−n−プロピルホスフィン酸エチル、メチル−n−プロピルホスフィン酸n−ブチル、メチル−n−プロピルホスフィン酸シクロヘキシル、メチル−n−プロピルホスフィン酸ビニル、メチル−n−プロピルホスフィン酸フェニル、ジオレイルホスフィン酸メチル、ジオレイルホスフィン酸エチル、ジオレイルホスフィン酸n−ブチル、ジオレイルホスフィン酸シクロヘキシル、ジオレイルホスフィン酸ビニル、ジオレイルホスフィン酸フェニル等が挙げられる。
モノカルボン酸類としては、例えば、蟻酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸、テトラデカン酸、オクタデカン酸、ドコサン酸、ヘキサコサン酸、オクタデセン酸、ドコセン酸、イソオクタデカン酸等のモノカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸、安息香酸、メチルベンゼンカルボン酸等の芳香族モノカルボン酸、ヒドロキシプロピオン酸、ヒドロキシオクタデカン酸、ヒドロキシオクタデセン酸等のヒドロキシ脂肪族モノカルボン酸、アルキルチオプロピオン酸等の含イオウ脂肪族モノカルボン酸等が挙げられる。
スルホン酸類としては、例えば、アルキルスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、アントラキノンスルホン酸、カンファースルホン酸及びそれらの誘導体等が挙げられる。これらのスルホン酸は、モノスルホン酸でもジスルホン酸でもトリスルホン酸でもよい。ベンゼンスルホン酸の誘導体としては、フェノールスルホン酸、スチレンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸等が挙げられる。ナフタレンスルホン酸の誘導体としては、1−ナフタレンスルホン酸、2−ナフタレンスルホン酸、1,3−ナフタレンジスルホン酸、1,3,6−ナフタレントリスルホン酸、6−エチル−1−ナフタレンスルホン酸等が挙げられる。アントラキノンスルホン酸の誘導体としては、アントラキノン−1−スルホン酸、アントラキノン−2−スルホン酸、アントラキノン−2,6−ジスルホン酸、2−メチルアントラキノン−6−スルホン酸等が挙げられる。
スルフィン酸類としては、例えば、エタンスルフィン酸、プロパンスルフィン酸、ヘキサンスルフィン酸、オクタンスルフィン酸、デカンスルフィン酸、ドデカンスルフィン酸等のアルカンスルフィン酸、シクロヘキサンスルフィン酸、シクロオクタンスルフィン酸等の脂環族スルフィン酸;ベンゼンスルフィン酸、o−トルエンスルフィン酸、p−トルエンスルフィン酸、エチルベンゼンスルフィン酸、デシルベンゼンスルフィン酸、ドデシルベンゼンスルフィン酸、クロルベンゼンスルフィン酸、ナフタリンスルフィン酸等の芳香族スルフィン酸等が挙げられる。
反応性化合物としては、反応性の観点からリン系化合物が好ましく、具体的にはホスホン酸ジフェニル、ホスホン酸ジオレイル、ジフェニルホスフィン酸、ジオレイルホスフィン酸等が挙げられ、その中でも、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドがより好ましい。9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイドを用いて得られたポリフェニレンエーテル(A)は本実施形態の樹脂組成物の難燃性及び、難燃バラツキ性をより効果的に改良させることができるとともに、そのPPEを用いた樹脂組成物の溶融混練時における成形流動性を改良して、成形加工性を向上させることもできる。
本実施形態の樹脂組成物において、ポリフェニレンエーテル(A)と、スチレン系樹脂(B)と、縮合型リン酸エステル系難燃剤(C)と、ガラス繊維(D)の合計量100質量%中における、ポリフェニレンエーテル(A)の含有量は、20〜90質量%の範囲内である。好ましくは35〜60質量%、より好ましくは40〜55質量%の範囲内である。
ポリフェニレンエーテル(A)の含有量は、十分な耐熱性、難燃性付与の観点から20質量%以上が好ましく、成形加工性の観点から90質量%以下が好ましい。
(スチレン系樹脂(B))
本実施形態の樹脂組成物において、スチレン系樹脂(B)は、スチレン系化合物、又はスチレン系化合物とスチレン系化合物に共重合可能な化合物とを、ゴム質重合体存在下又は非存在下に重合して得られる重合体である。
スチレン系樹脂(B)は、1種類のみを単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
前記スチレン系化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、モノクロロスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、エチルスチレン等が挙げられる。特に原材料の実用性の観点から、スチレンが好ましい。
前記スチレン系化合物と共重合可能な化合物としては、以下に限定されるものではないが、例えば、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート等のメタクリル酸エステル類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル等の不飽和ニトリル化合物類;無水マレイン酸等の酸無水物等が挙げられる。
スチレン系化合物と共重合可能な化合物の使用量は、スチレン系化合物とスチレン系化合物と共重合可能な化合物との合計量100質量%に対して、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
また、ゴム質重合体としては、以下に制限されないが、例えば、共役ジエン系ゴム、共役ジエンと芳香族ビニル化合物との共重合体、エチレン−プロピレン共重合体系ゴムが挙げられ、より詳細には、ポリブタジエン、スチレン−ブタジエンランダム共重合体及びスチレン−ブタジエンブロック共重合体、並びにこれらを部分的に又はほぼ完全に水素添加した重合体が挙げられる。
スチレン系樹脂(B)としては、ゴム強化されていないスチレン系樹脂が、成形体の機械的物性の観点から好ましい。
本実施形態の樹脂組成物において、ポリフェニレンエーテル(A)と、スチレン系樹脂(B)と、縮合型リン酸エステル系難燃剤(C)と、ガラス繊維(D)の合計量100質量%中における、スチレン系樹脂(B)の含有量は、0〜5質量%の範囲内である。好ましくは0〜3質量%の範囲内である。
スチレン系樹脂(B)は、本実施形態の樹脂組成物の成形流動性改良の観点から添加することが好ましいが、十分な機械的物性及び難燃性付与の観点から5質量%以下の配合であることが好ましい。
(縮合型リン酸エステル系難燃剤(C))
本実施形態の樹脂組成物において用いられる縮合型リン酸エステル系難燃剤は、以下に限定されるものではないが、例えば、クレジルジフェニルホスフェート、キシレニルジフェニルホスフェート、ジキシレニルフェニルホスフェート、ヒドロキシノンビスフェノールホスフェート、レゾルシノールビスホスフェート、ビスフェノールAビスホスフェート、ビスフェノールAビスジフェニルホスフェート等のトリフェニル置換タイプの芳香族リン酸エステル類が好適に用いられ、中でも環境負荷低減及び難燃性能の観点から、ビスフェノールAビスジフェニルホスフェートがより好適に用いられる。
本実施形態の樹脂組成物において、ポリフェニレンエーテル(A)と、スチレン系樹脂(B)と、縮合型リン酸エステル系難燃剤(C)と、ガラス繊維(D)の合計量100質量%中における、縮合型リン酸エステル系難燃剤(C)の含有量は、5〜25質量%の範囲内である。好ましくは8〜20質量%の範囲内で、より好ましくは10〜15質量%の範囲内である。
縮合型リン酸エステル系難燃剤(C)は、本実施形態の樹脂組成物の難燃性改良の観点から5質量%以上の含有が好ましく、十分な機械的物性及び、耐熱性保持の観点から25質量%以下の含有であることが好ましい。
(ガラス繊維(D))
ガラス繊維(D)は、本実施形態の樹脂組成物において、機械的強度を向上させる目的で配合される。
ガラス繊維(D)のガラスの種類としては、公知のものが使用でき、例えばEガラス、Cガラス、Sガラス、Aガラスが挙げられる。ガラス繊維(D)は、繊維形状のガラスをいい、塊状のガラスフレークやガラス粉末とは区別される。
ガラス繊維(D)の平均繊維径は5〜15μmが好ましく、より好ましくは7〜13μmの範囲内である。押出、成形時の繊維破損による成形体の剛性、耐熱性、耐衝撃性、耐久性等の低下や生産安定性の観点から5μm以上が好ましく、十分な機械的物性付与や成形体表面外観保持の観点から15μm以下が好ましい。
ガラス繊維(D)の平均長さは、十分な剛性の付与及び、取扱性の観点から、0.5mm以上であることが好ましく、1mm以上であることがより好ましく、また、取扱性の観点から10mm以下であることが好ましく、6mm以下であることがより好ましい。
本実施形態に用いられるガラス繊維(D)は、表面処理剤、例えばシラン化合物で表面処理されたものであってもよい。表面処理剤に用いられるシラン化合物は、通常、ガラスフィラーやミネラルフィラー等を表面処理する場合に用いられるものである。その具体例としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のビニルシラン化合物、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン等のエポキシシラン化合物、ビス−(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラサルファイド等の硫黄系シラン化合物、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等のメルカプトシラン化合物、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−ユレイドプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン化合物等が挙げられる。本発明の目的のために特に好ましいシラン化合物はアミノシラン化合物である。これらのシラン化合物は、1種単独で用いてもよく、2種類以上を併用して用いてもよい。また、これらシラン化合物と、エポキシ系、或いはウレタン系等の収束剤とを予め混合したもので表面処理してもよい。
本実施形態の樹脂組成物において、ポリフェニレンエーテル(A)と、スチレン系樹脂(B)と、縮合型リン酸エステル系難燃剤(C)と、ガラス繊維(D)の合計量100質量%中における、ガラス繊維(D)の含有量は、5〜50質量%の範囲内である。好ましくは15〜40質量%の範囲内で、より好ましくは25〜35質量%の範囲内である。
ガラス繊維(D)は、本実施形態の樹脂組成物の機械的物性改良の観点から5質量%以上の含有が好ましく、十分な成形加工性保持及び難燃性付与の観点から50質量%以下の含有であることが好ましい。
本実施形態のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、耐熱性、機械的物性、難燃性、成形体の表面外観をより良好なものとする観点から、前記(A)、(B)、(C)、及び(D)成分の合計含有量が、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物全体の90質量%以上を占めることが好ましい。当該含有量は、95質量%以上であることがより好ましく、100質量%であってもよい。
(その他の材料)
本実施形態の樹脂組成物には、耐熱性、機械的物性、難燃性、成形体の表面外観を著しく低下させない範囲において、スチレン系熱可塑性エラストマー、フェノールテルペン樹脂等を含有することが可能である。これらの成分の含有量は、樹脂組成物100質量%に対して、1〜20質量%の範囲で含有することが可能である。当該含有量は、より好ましくは1〜18質量%、更に好ましくは1〜15質量%の範囲である。十分な添加効果発現の観点から1質量%以上の含有が好ましく、物性保持の観点から20質量%以下の含有が好ましい。
本実施形態の樹脂組成物においては、耐熱性、機械的物性、難燃性、成形体の表面外観を著しく低下させない範囲において、酸化防止剤、紫外線吸収剤、熱安定剤等の安定剤類や着色剤、離型剤等を、本願樹脂組成物中に、0.001〜3質量%の割合で含有することが可能である。好ましくは0.01〜2質量%であり、より好ましくは0.2〜1質量%の範囲内である。
十分な添加効果発現の観点から、0.001質量%以上とすることが好ましく、物性保持の観点から3質量%以下とすることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物においては、機械的物性、耐衝撃性、難燃性を著しく低下させない範囲において、ガラス繊維以外の無機質充填剤を、本願樹脂組成物中に、0.5〜10質量%含有することが可能である。好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜8質量%である。尚、ガラス繊維以外の無機質充填剤としては、以下に限定されるものではないが、例えば、炭素繊維、マイカ、ガラスフレーク、タルク、ガラスミルドファイバー、クロライト等が挙げられる。
〔樹脂組成物の物性〕
本実施形態の樹脂組成物の難燃性レベル(UL−94に準拠)は、薄肉成形体の装置内部等での発火による延焼防止の観点から、0.7mmの厚みを有するタンザク試験片でUL94に準拠して垂直燃焼試験を実施した際に、V−0であることが好ましい。また、試験片5本でUL94に準拠して垂直燃焼試験した場合の、第一接炎時及び第二接炎時(5本×2回の合計10回の接炎)に測定した燃焼秒数における最小燃焼秒数と最大燃焼秒数との差が、5秒以内であることが好ましく、4秒以内であることがより好ましい。
本実施形態の樹脂組成物を、電気・電子機器の冷却ファン用途に用いる場合、最小燃焼秒数と最大燃焼秒数との燃焼時間の時間差は、難燃性能の安定性の観点から、好ましくは4秒以内で、より好ましくは3秒以内である。
なお、樹脂組成物の難燃性レベル、最小燃焼秒数、及び最大燃焼秒数は、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態の樹脂組成物を、薄肉成形体に用いる場合、樹脂組成物の引張強度(ISO527に準拠。23℃測定)は、使用時の形状保持及び割れ発生防止の観点から、120MPa以上であることが好ましい。より好ましくは130MPa以上、更に好ましくは140MPa以上である。
なお、樹脂組成物の引張強度は、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態の樹脂組成物の曲げ強度(ISO178に準拠。23℃測定)は、薄肉成形体の使用時の形状保持の観点から、170MPa以上であることが好ましい。より好ましくは180MPa以上であり、更により好ましくは190MPa以上である。
なお、樹脂組成物の曲げ強度は、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態の樹脂組成物のシャルピー衝撃強度(ISO179に準拠。23℃で測定)は、高速使用時の割れ発生防止の観点から、7kJ/m2以上であることが好ましい。より好ましくは10kJ/m2以上である。
なお、樹脂組成物のシャルピー衝撃強度は、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態の樹脂組成物のメルトフローレート(MFR)(ISO1133に準拠。250℃、10kg荷重で測定)は、薄肉成形体の成形性の観点から、3g/10min以上であることが好ましい。より好ましくは5g/10min以上である。
なお、樹脂組成物のMFRは、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
本実施形態の樹脂組成物の荷重たわみ温度(DTUL)(ISO75に準拠。フラットワイズ法、1.82MPa荷重で測定)は、薄肉成形体の高温使用時の耐久性の観点から、100℃以上であることが好ましい。より好ましくは125℃以上であり、更に好ましくは135℃以上である。
なお、樹脂組成物のDTULは、具体的には、後述の実施例に記載の方法で測定することができる。
〔樹脂組成物の製造方法〕
本実施形態の樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分、(C)成分、(D)成分及び必要に応じて、その他の材料を溶融混練することによって、製造することができる。
本実施形態の樹脂組成物を製造するための条件については、以下に限定されるものではないが、例えば、前駆体ポリフェニレンエーテルと反応性化合物、及び、本願(B)、(C)、(D)成分とを一括して溶融混練して、本願樹脂組成物を製造することも可能である。十分な本願効果達成の観点からは、予め、前駆体ポリフェニレンエーテルと反応性化合物とを反応させて本願(A)成分を製造した後、これを用いて、次の工程で本願(B)、(C)、(D)成分及び、その他の成分と溶融混練して、本願樹脂組成物を製造することが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物の調製方法は、以下に限定されるものではないが、樹脂組成物を大量に安定して製造するには、製造効率の観点から二軸押出機が好適に用いられる。
二軸押出機のスクリュー径は、25〜90mmの範囲内が好ましい。より好ましくは40〜70mmの範囲内である。例えば、ZSK40MC二軸押出機(独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mm、L/D=50;ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、及びニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)を用いた場合に、シリンダー温度270〜330℃、スクリュー回転数150〜450rpm、押出レート40〜220kg/hの条件で溶融混練する方法や、TEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53;ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)を用いた場合に、シリンダー温度270〜330℃、スクリュー回転数150〜500rpm、押出レート200〜600kg/hの条件で溶融混練する方法が好適な方法として挙げられる。
ここで、前記「L」は、押出機の「スクリューバレル長さ」であり、前記「D」は「スクリューバレルの直径」である。
本実施形態の樹脂組成物を、二軸押出機を用いて製造するに際して、材料の耐熱性及び機械的物性付与の観点から、(A)成分及び(B)成分は押出機の最上流部の供給口(トップフィード)から供給して、(C)成分は押出機途中に設けた供給口(液添ノズル)から、また、(D)成分は押出機途中に設けた原料押込み供給口(サイドフィード)から供給することが好ましい。
〔成形体〕
本実施形態の樹脂組成物からなる成形体は、上述の樹脂組成物を成形することにより得ることができる。
本実施形態の成形体は、特に、厚みが0.5〜2.0mmの薄肉成形体であり、且つUL94に準拠して垂直燃焼試験を実施したときの難燃レベルがV−0であることが好ましい。この場合、薄肉成形体の装置内部等での発火による延焼を防止することができる。
樹脂組成物の成形方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、射出成形、押出成形、真空成形、及び圧空成形等の方法が好適に挙げられ、特に成形体の外観特性及び量産性の観点から、射出成形が好ましい。
好適な成形体としては、耐熱性、機械的強度に優れて、かつ薄肉難燃性にも著しく優れることから、電気・電子機器の冷却ファンが挙げられる。
以下、本発明について、具体的な実施例及び比較例を挙げて説明する。本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例及び比較例に用いた物性の測定方法及び原材料を以下に示す。
(1.荷重たわみ温度(DTUL))
実施例及び比較例により製造した樹脂組成物のペレットを、90℃の熱風乾燥機中で1時間乾燥した。
乾燥後の樹脂組成物を用いて、ISO物性試験片金型を備え付けた射出成形機(IS−80EPN、東芝機械社製)により、シリンダー温度300℃、金型温度90℃、射出圧力50MPa(ゲージ圧)、射出速度200mm/sec、射出時間/冷却時間=20sec/20secに設定し、ISO3167、多目的試験片A型のダンベル成形片を成形した。得られた多目的試験片A型のダンベル成形片を切断して、80mm×10mm×4mmの試験片を作製した。当該試験片を用いて、ISO75に準拠し、フラットワイズ法、1.82MPaで荷重たわみ温度(DTUL)(℃)を測定した。
評価基準としては、DTULが高い値であるほど、耐熱性が優れていると判定した。
(2.シャルピー衝撃強度)
上記1.で製造したISO3167、多目的試験片A型ダンベル成形片を切断して、80mm×10mm×4mmの試験片を作製した。当該試験片を用いて、ISO179に準拠し、シャルピー衝撃強度(ノッチ有)(kJ/m2)を23℃で測定した。
評価基準としては、測定値が高い値であるほど、耐衝撃性に優れていると判定した。
(3.成形流動性(MFR))
実施例及び比較例により製造した樹脂組成物のペレットを、90℃の熱風乾燥機中で1時間乾燥した。乾燥後、メルトインデクサー(P−111、東洋精機製作所社製)を用い、ISO1133に準拠して、シリンダー設定温度250℃、10kg荷重にて、MFR(メルトフローレート)(g/10min)を測定した。
評価基準としては、測定値が高い値であるほど、成形流動性が良好であると判定した。
(4.引張強度)
上記1.で製造したISO3167、多目的試験片A型ダンベル成形片を用いてISO527に準拠し、引張強度(MPa)を23℃で測定した。
評価基準としては、測定値が高い値であるほど、機械的物性に優れていると判定し、特に測定値が130MPa以上の場合に、本実施形態の樹脂組成物として好ましいと判定した。
(5.曲げ強度)
上記1.で製造したISO3167、多目的試験片A型ダンベル成形片を切断して、80mm×10mm×4mmの試験片を作製した。当該試験片を用いて、ISO178に準拠し、曲げ強度(MPa)を23℃で測定した。
評価基準としては、測定値が高い値であるほど、機械的物性に優れていると判定し、特に
測定値が170MPa以上の場合に、本実施形態の樹脂組成物として好ましいと判定した。
(6.金型MD評価)
実施例及び比較例により製造した樹脂組成物のペレットを、90℃の熱風乾燥機中で1時間乾燥した。乾燥後の樹脂組成物を、寸法150mm×150mm×2mm厚みのピンゲート平板金型を備え付けた射出成形機(IS−80EPN、東芝機械社製)により、シリンダー温度320℃、金型温度120℃、射出圧力(ゲージ圧70MPa)、射出速度(パネル設定値)85%、射出時間/冷却時間=10sec/30secに設定して、成形平板の連続成形を行なった。
100ショット以下の連続成形で、目視で金型にMD付着が認められた場合を×、200ショット後に目視で金型にMD付着が認められた場合を△、認められない場合を〇、300ショット後に目視で金型にMD付着が認められないものを◎と評価した。
評価基準としては、〇以上でMD防止生に優れていると判定し、◎の場合は本実施形態の樹脂組成物として特に好ましいと判定した。
(7.薄肉難燃性)
0.7mm厚みのタンザク成形片5本を用いて、UL−94垂直燃焼試験法に基づいて測定を行ない、難燃レベルを判定した。また、タンザク成形片それぞれの第一接炎時及び第二接炎時の燃焼秒数を測定し(5本×2回の合計10回の接炎)、最小燃焼秒数と最大燃焼秒数との差を算出した。
特に、難燃レベルがV−0判定で、最小燃焼秒数と最大燃焼秒数との差が5秒以内である場合に、本実施形態の樹脂組成物として好ましいと判定した。
〔原材料〕
<ポリフェニレンエーテル(A)>
(A−1)
還元粘度0.50dl/g(0.5g/dlクロロホルム溶液、30℃、ウベローデ粘度計で測定)、数平均分子量18300、100ユニットあたりの末端OH基:0.71個、100ユニットあたりのN,N−ジブチルアミノメチル基:0.39個のポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)紛体(前駆体PPE)を溶液重合により作製した(以下、単に「(前駆体PPE)」ということもある)。
上記の(前駆体PPE)を98質量部と、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(HCA)(株式会社三光製)2質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物をTEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53;ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数400rpm、押出レート400kg/hr、ベント真空度7.998kPa(60Torr)の条件で溶融混練してペレット(A−1)を得た(以下、「(A−1)」ということもある)。
この(A−1)をクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し、ポリフェニレンエーテル(A−1)のパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテル(A−1)パウダーは、31P−NMR(single pulse法)及び1H−NMRにて同定することができ、反応性化合物の付加量は、1H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、下記の化学式(9)、(10)の構造を合わせて0.24個含むことを確認した。
Figure 2019143015
Figure 2019143015
31P−NMR 測定条件
装置 :JEOL RESONANCE ECS400
観測核 :31
観測周波数 :161.8MHz
パルス幅 :45°
待ち時間 :5秒
積算回数 :10,000回
溶媒 :CDCl3
試料濃度 :20w/v%
化学シフト基準:85%リン酸水溶液(外部基準)0ppm
1H−NMR 測定条件
装置 :JEOL―ECA500
観測核 :1
観測周波数 :500.16MHz
測定法 :Single−Pulse
パルス幅 :7μsec
待ち時間 :5秒
積算回数 :512回
溶媒 :CDCl3
試料濃度 :5w%
化学シフト基準:TMS 0.00ppm
以下、ポリフェニレンエーテルの31P−NMR及び1H−NMRの測定は、上記の条件で行った。
(A−2)
上記の(前駆体PPE)を98.0質量部と、ホスホン酸ジオクチル(城北化学製)2.0質量部とをタンブラーミキサーで混合し、この粉体混合物をTEM58SS二軸押出機(東芝機械社製、バレル数13、スクリュー径58mm、L/D=53;ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:14個、及びニーディングディスクN:2個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給して、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数400rpm、押出レート400kg/hr、ベント真空度7.998kPa(60Torr)の条件で溶融混練してペレット(A−2)を得た(以下、「(A−2)」ということもある)。
この(A−2)をクロロホルムに溶解した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥しポリフェニレンエーテルのパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテルパウダーは、31P−NMR(single pulse法)及び1H−NMRで同定することができ、反応性化合物の付加量は、1H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテルのモノマー100ユニットあたり、化学式(11)、(12)の構造を合わせて0.25個含むことを確認した。
Figure 2019143015
Figure 2019143015
<ポリスチレン(B)>
(B−1)ゼネラルパーパスポリスチレン(GPPS)(商品名:ポリスチレン680〔登録商標〕、旭化成社製)を用いた。
<縮合型リン酸エステル系難燃剤(C)>
(C−1)ビスフェノールAビスジフェニルホスフェート(FR)(芳香族リン酸エステル系難燃剤、商品名:CR741〔登録商標〕、大八化学社製)を用いた。
<ガラス繊維(D)>
(D−1)アミノシラン化合物で表面処理された平均繊維径10μmのガラス繊維(GF)(商品名:EC10 3MM 910〔登録商標〕、NSGヴェトロテックス社製)を用いた。
<その他の材料>
SEBS(水素添加スチレン・ブタジエンブロック共重合体)(商品名:タフテックH1043〔登録商標〕、旭化成社製)
[比較例1]
(前駆体PPE)57質量部を、独国Werner&Pfleiderer社製、バレル数13、スクリュー径40mmのZSK40MC二軸押出機(ニーディングディスクL:2個、ニーディングディスクR:6個、ニーディングディスクN:4個を有するスクリューパターン)の最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル5から(C−1)13質量部を、液添ノズルを用いて添加し、更に途中のバレル8から(D−1)30質量部をサイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数300rpm、押出レート100kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1に示す。
[実施例1]
(A−1)57質量部を、上記の比較例1で使用した二軸押出機を用いて、最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル5から(C−1)13質量部を、液添ノズルを用いて添加して、更に途中のバレル8から(D−1)30質量部をサイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数300rpm、押出レート100kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1に示す。
[実施例2]
(前駆体PPE)56質量部と、9,10−ジヒドロ−9−オキサ−10−ホスファフェナントレン−10−オキサイド(HCA)(株式会社三光製)2質量部とをタンブラーミキサーで混合した後、この粉体混合物を、上記の比較例1で使用した二軸押出機を用いて、最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル5から(C−1)12質量部を、液添ノズルを用いて添加して、更に途中のバレル8から(D−1)30質量部をサイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数300rpm、押出レート100kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1に示す。
また、得られた樹脂組成物の成形体をクロロホルムに溶解して、ガラス繊維等の不溶分を濾過して除去した後、メタノールで再沈し、ポリフェニレンエーテル成分を抽出した。その後、60℃で4時間真空乾燥し、ポリフェニレンエーテルのパウダーを得た。
得られたポリフェニレンエーテルパウダーは、31P−NMR(single pulse法)及び1H−NMRにて同定することができ、反応性化合物の付加量は、1H−NMRの2.8〜3.6ppmに現れるピークの積分値を、ポリフェニレンエーテルの芳香環由来である6.0〜7.0ppmのピークの積分値で割ることにより得られ、ポリフェニレンエーテル鎖中のモノマー100ユニットあたり、下記の化学式(9)、(10)の構造を合わせて0.38個含むことを確認した。
Figure 2019143015
Figure 2019143015
31P−NMR 測定条件
装置 :JEOL RESONANCE ECS400
観測核 :31
観測周波数 :161.8MHz
パルス幅 :45°
待ち時間 :5秒
積算回数 :10,000回
溶媒 :CDCl3
試料濃度 :20w/v%
化学シフト基準:85%リン酸水溶液(外部基準)0ppm
1H−NMR 測定条件
装置 :JEOL―ECA500
観測核 :1
観測周波数 :500.16MHz
測定法 :Single−Pulse
パルス幅 :7μsec
待ち時間 :5秒
積算回数 :512回
溶媒 :CDCl3
試料濃度 :5w%
化学シフト基準:TMS 0.00ppm
[実施例3]
(A−1)を(A−2)に置き換えた以外は、実施例1と同様な操作を繰り返して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1に示す。
[比較例2]
(前駆体PPE)61質量部と、リン酸エステル系難燃剤のトリフェニルホスフェート(商品名:TPP〔登録商標〕。大八化学社製)9質量部とを、タンブラーミキサーで混合した後、この混合物を、上記の比較例1で使用した二軸押出機を用いて、最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル8から(D−1)30質量部をサイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数300rpm、押出レート100kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1に示す。
[実施例4]
(A−1)54質量部と、(B−1)3質量部とを、タンブラーミキサーで混合した後、この混合物を、上記の比較例1で使用した二軸押出機を用いて、最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル5から(C−1)13質量部を、液添ノズルを用いて添加して、更に途中のバレル8から(D−1)30質量部をサイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数300rpm、押出レート100kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1に示す。
[実施例5]
(A−1)52質量部と、(B−1)5質量部とを、タンブラーミキサーで混合した後、この混合物を、上記の比較例1で使用した二軸押出機を用いて、最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル5から(C−1)13質量部を、液添ノズルを用いて添加して、更に途中のバレル8から(D−1)30質量部をサイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数300rpm、押出レート100kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1に示す。
[比較例3]
(A−1)51質量部と、(B−1)6質量部とを、タンブラーミキサーで混合した後、この混合物を、上記の比較例1で使用した二軸押出機を用いて、最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル5から(C−1)13質量部を、液添ノズルを用いて添加して、更に途中のバレル8から(D−1)30質量部をサイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数300rpm、押出レート100kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1に示す。
[実施例6]
(A−1)45質量部を、上記の比較例1で使用した二軸押出機を用いて、最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル5から(C−1)15質量部を、液添ノズルを用いて添加して、更に途中のバレル8から(D−1)40質量部をサイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数300rpm、押出レート100kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1に示す。
[比較例4]
(前駆体PPE)45質量部と、ホスファゼン系難燃剤のホスホニトリル酸フェニルエステル(商品名:ラビトルFP−110〔登録商標〕。伏見製薬所社製)15質量部とを、タンブラーミキサーで混合した後、この混合物を、上記の比較例1で使用した二軸押出機を用いて、最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル8から(D−1)40質量部をサイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数300rpm、押出レート100kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1に示す。
[実施例7]
(A−1)68質量部を、上記の比較例1で使用した二軸押出機を用いて、最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル5から(C−1)17質量部を、液添ノズルを用いて添加して、更に途中のバレル8から(D−1)15質量部をサイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数300rpm、押出レート100kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1に示す。
[実施例8]
(A−1)86質量部を、上記の比較例1で使用した二軸押出機を用いて、最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル5から(C−1)7質量部を、液添ノズルを用いて添加して、更に途中のバレル8から(D−1)7質量部をサイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数300rpm、押出レート100kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1に示す。
[実施例9]
(A−1)35質量部と、SEBS2質量部とを、上記の比較例1で使用した二軸押出機を用いて、最上流部(トップフィード)から供給し、途中のバレル5から(C−1)18質量部を、液添ノズルを用いて添加して、更に途中のバレル8から(D−1)45質量部をサイドフィードして、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数300rpm、押出レート100kg/hで溶融混練して樹脂組成物を得た。該樹脂組成物の物性試験結果を表1に示す。
Figure 2019143015
表1より、比較例1の樹脂組成物は、原材料のポリフェニレンエーテルが本願(A)成分とは異なる成分であるため、燃焼試験における試験片間の燃焼秒数のバラツキが大きく、また、難燃性も十分では無い。
実施例1〜3及び6〜9の樹脂組成物は、(A)、(C)、及び(D)成分の配合量がいずれも本願の規定範囲内であるため、燃焼試験における試験片間の燃焼秒数のバラツキが極めて小さく、その他の物性バランスも良好であった。実施例1は、事前に前駆体ポリフェニレンエーテル粉体と反応性化合物とをブレンド後、溶融混練して反応させた(A)成分を原材料として用いているのに対して、実施例2は、前駆体ポリフェニレンエーテル粉体と反応性化合物とのブレンド物を原材料として用いて一段押出で樹脂組成物を作製している。実施例1は、300ショット連続成形実施後も金型にMD(モールドデポジット)付着は認められなかった。一方、実施例2では、200ショットまでは金型にMD付着は認められなかったが、300ショット後にわずかにMDが認められた。原因として、(A)成分の製法の違いにより、実施例2の樹脂組成物中には、未反応の反応性化合物が実施例1の樹脂組成物よりも多く存在していることが予想され、このことがMD発生の一因になっていると考えられる。
比較例2は、難燃剤成分として本願(C)成分以外のものを使用しているが、成形時、発生ガスが多く、作業環境上必ずしも十分ではなかった。また、連続成形20ショットを超えた付近から金型に明らかなMDが認められた。物性、難燃性自体は良好なレベルであったが、燃焼試験における試験片間の燃焼秒数のバラツキが大きい結果であった。
実施例4及び5は、(A)、(B)、(C)、及び(D)成分の配合量が本願の範囲内であるため、燃焼試験における試験片間の燃焼秒数のバラツキが小さく、その他の物性バランスも良好であった。比較例3は、(B)成分の配合量が本願規定の範囲外であるため、難燃性が著しく低下し、また、燃焼試験における試験片間の燃焼秒数のバラツキも大きい結果であった。
比較例4は、難燃剤成分として本願(C)成分以外のものを使用しているが、成形流動性が低く、成形加工性が必ずしも十分ではなかった。また、連続成形時に50ショットを超える付近からMD発生が認められた。燃焼試験における試験片間の燃焼秒数のバラツキも大きい結果であった。
また、特に、実施例1、2、3、および7では、厚み2.0mm及び厚み0.5mmの成形体を作製し、垂直燃焼試験を行ったところ、V−0であった。
本発明のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物は、長時間耐久性が要求されるような使用環境下においても有効に使用可能な耐熱性と引張強度及び曲げ強度等の機械的物性とを有し、更には薄肉成形片での燃焼試験において難燃性が極めて良好で、連続成形時における金型MDやガスの発生も極めて少ないため、高温条件下で長期間使用されるような樹脂成形体、特に電気・電子機器の冷却ファンとして有効に使用することが可能である。

Claims (8)

  1. 下記の化学式(1)及び(2)から選ばれる1つ以上の構造のユニットを含むポリフェニレンエーテル(A)、スチレン系樹脂(B)、縮合型リン酸エステル系難燃剤(C)、及びガラス繊維(D)を含有し、前記(A)、(B)、(C)、及び(D)成分の合計量100質量%に対する各成分の含有量が、(A)成分20〜90質量%、(B)成分0〜5質量%、(C)成分5〜25質量%、(D)成分5〜50質量%であることを特徴とする、ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
    Figure 2019143015
    Figure 2019143015
    (化学式(1)及び(2)のXは、
    Figure 2019143015
    からなる群から選ばれる1つの基であり、X中のR1及びR2は、各々独立して炭素数1以上の置換基である。)
  2. 前記(A)、(B)、(C)、及び(D)成分の合計含有量が、前記ポリフェニレンエーテル系樹脂組成物全体の90質量%以上を占める、請求項1に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  3. 前記(A)成分が、化学式(3)及び(4)から選ばれる1つ以上の構造ユニットを含む、請求項1又は2に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
    Figure 2019143015
    Figure 2019143015
    (化学式(3)及び(4)のR1及びR2は、各々独立して炭素数1以上の置換基である。)
  4. UL94に準拠して、厚み0.7mmの試験片で垂直燃焼試験を実施したときの難燃レベルがV−0である、請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  5. 前記垂直燃焼試験を実施したとき、最大燃焼秒数と最小燃焼秒数との差が5.0秒以内である、請求項4に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を含むことを特徴とする、成形体。
  7. 厚みが0.5〜2.0mmであり、UL94に準拠して垂直燃焼試験を実施したときの難燃レベルがV−0である、請求項6に記載の成形体。
  8. 電気・電子機器の冷却ファンである、請求項6又は7に記載の成形体。
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