JPWO2017111091A1 - ガラス用研磨液および研磨方法 - Google Patents

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Abstract

板ガラスの研磨では、前研磨と後研磨の2段研磨が行われていた。従来前研磨に用いられている研磨液は、フッ化水素酸(フッ酸)と硫酸という酸性度が極めて強い組成が用いられている。そこで、より扱いやすい組成の研磨液が求められており、技術的な課題となっていた。板ガラスの研磨液であって、フッ化水素酸とアルカリ金属イオンを含むことを特徴とする研磨液は、キズを成長させることなく、前研磨を行うことができ、使用後に中和する際の汚泥発生量が抑制される。

Description

本発明は、携帯端末やFPD(フラットパネルディスプレイ)等に用いられる液晶画面や有機EL画面のガラスを研磨する研磨液および研磨方法に関する。
液晶表示デバイスや有機EL表示デバイスは、携帯電話、スマートフォン、タブレット型PC、ノートパソコンといった製品に多用されている。そして、これらのフラット表示デバイスは、主としてガラスが基材として用いられる。以後これらの表示デバイスを「ガラス製表示デバイス」と呼ぶ。
ガラス製表示デバイスは、基材となる2枚の板ガラスの間に、液晶とTFTや発光層といった、駆動部が形成される。駆動部が形成される際には、取扱いの際にガラスが割れないように、ガラスに強度が必要とされる。このため、ガラスの材質としては、窓ガラスなどに用いられるソーダガラスではなく、ホウ酸とアルミナを混入させたアルミノホウケイ酸塩ガラス(アルミノボロシリケートガラス)が使用される。また、ガラス厚も、ある程度厚みのある状態のものが用いられる。
しかし、ガラス製表示デバイスの形状に形成された後は、厚みのあるガラスは重く、持ち運びに不便となる。そこで、製品に形成した後に、ガラス用のエッチング液で、ガラスを研磨し、厚みを薄くすることが行われている。
この研磨の際の課題の1つとして知られているのは、研磨後のガラスに凹み(以後「ディンプル」と呼ぶ。)が生じているというものである。ディンプルは、直径が数μmから数百μm程度で深さが数μmから数十μmの凹みである。表示デバイス上のディンプルは、画像によって目立つ場合があり、製品品質上問題となる場合がある。したがって、研磨後のディンプル抑制は、ガラス研磨においての技術的課題の1つとなっている。
特許文献1では、10μmレベルのピットやキズが研磨によって100μm以上に拡大するのを防ぐため、30〜60重量%のフッ酸を研磨成分として含有し、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、エステル系、フェノール系、アミド系、エーテル系、ノニオン系、アミン系等の界面活性剤から選ばれる1種または2種以上の添加剤を含む研磨液で、1μm/sec以上の研磨速度で研磨する技術が開示されている。
特許文献2には、フッ酸10〜30重量%、硫酸20〜50重量%含有する研磨液をガラス板表面に接触させて1μm/sec以上で前記ガラス板表面を前研磨する前研磨工程と、前記前研磨工程の後、フッ酸を含有する研磨液を前記ガラス板表面に接触させて前記ガラス板表面を研磨速度0.5〜20μm/minで研磨する後研磨工程を備えることを特徴とするガラス板表面の研磨方法が開示されている。
特許文献3では、0.4〜4重量%のフッ酸と40〜90重量%の硫酸を用いた前研磨と、2〜30重量%のフッ酸を用いた後研磨について開示されている。
特開2003−226552号公報 特開2005−343742号公報 特開2007−297228号公報
上記の先行技術文献によれば、まず、ディンプルは基材となる板ガラスに、それまでの工程で不可抗力的に生じたわずかなキズが、研磨というエッチングによって、成長することで発生すると結論付けられている。
そこで、ディンプルの抑制のための方針としては、基材となる板ガラスに生じているキズ部分のエッチングによる拡大(ディンプルへの成長)を抑制しながら、平坦部のエッチングを進行させて、ガラス表面からキズを取り除くための前研磨と、その後本研磨(後研磨)するというものである。特許文献2および3のように、研磨を前研磨、後研磨と複数に分けて行うのは、前研磨は、キズの除去、後研磨はガラスの均一なエッチングというように求められる性能が異なるからである。
このような研磨方法は、製造現場では効果的であり、現在も続けられていると考えられる。しかし、このような前研磨に用いられている研磨液は、フッ化水素酸(フッ酸)と硫酸という酸性度が極めて強い組成が用いられている。このため前研磨にて使用した研磨液を廃棄する前の除害処理において、例えば中和処理時に大量の汚泥が発生する等の不都合が発生していた。また、これらの酸溶液は両方共に高価であり、製造コスト面からの圧迫も大きかった。そこで、前研磨の奏する効果を保持したまま、より扱いやすい組成の前研磨液が求められており、技術的な課題となっていた。
本発明は、上記の課題に鑑みて想到されたものである。より具体的に本発明に係る研磨液は、板ガラスの研磨液であって、フッ化水素酸とアルカリ金属イオンを含むことを特徴とする。
本発明に係る研磨液は、フッ化水素酸とアルカリ金属イオンという組成であって、フッ化水素酸と硫酸を用いていた従来の前研磨に用いていた研磨液よりディンプルの発生を抑制することができる。また、本発明に係る研磨液は、従来の前研磨に用いていた研磨液よりも酸性度が弱く、中和処理時の汚泥発生量を抑制できる等、取扱いや使用後の廃棄が行いやすい。また、製造コストも抑制することができる。
前研磨における研磨液ごとの、前研磨および後研磨後のガラス表面の写真である。
以下に本発明に係る研磨液について説明する。なお、以下の説明は本発明の一形態および一実施例について説明するのであり、本発明は以下の説明に限定されるものではない。以下の説明は、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、改変できる。
本発明に係る研磨液は、ガラス製表示デバイスを研磨する際に、前研磨と後研磨に分けて行う場合の前研磨に用いる研磨液である。研磨の対象となるのは、ガラス製表示デバイスに用いることのできるガラスである。主成分には酸化物が含有される酸化物ガラスが好適に利用できる。中でもアルミノケイ酸ガラス(アルミナと酸化シリコン)を主成分とするガラスが好ましい。アルミノケイ酸ガラスは、引張強度が高く、ガラス製表示デバイスの基材として好ましい。
アルミノケイ酸ガラスには、添加する元素の種類を変えることで、さまざまな組成のガラスができる。主成分にさらにB(ボロン)を加え、補助成分としてMg(マグネシウム)、Ca(カルシウム)、Sr(ストロンチウム)、Ba(バリウム)といった元素を加えたものをアルミノホウケイ酸塩ガラス(アルミノボロシリケートガラス)といい、ガラス製表示デバイスの基材としては、特に好適に利用される。
ガラスは、板ガラスの状態で取り扱われる。ガラス製表示デバイスの基材とするためである。したがって、ガラスとはいえ、半導体の絶縁膜といった、板ガラスとして供給できないガラスは研磨の利用の対象ではない。
本発明に係る研磨液は、フッ化水素酸(フッ酸)とアルカリ金属イオンを含む。アルカリ金属イオンは、従来利用されていた硫酸と比較すると取扱いや廃棄の際の手間も容易になる。なお、フッ化水素酸は、無水物、または水溶液として供給される。アルカリ金属イオンは、粉体、または水溶液として供給される。
アルカリ金属は、Li(リチウム)、Na(ナトリウム)、K(カリウム)、Rb(ルビジウム)、Cs(セシウム)、Fr(フランシウム)である。本発明に係る研磨液には、入手および扱いが容易なNaおよびKが好適に利用できる。アルカリ金属イオンは、塩または、水酸化物のいずれかであってもよい。塩は、塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、亜硫酸塩、亜硝酸塩、フッ化水素酸塩、重フッ化水素酸塩等の無機酸塩、もしくは、酢酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩、等の有機酸塩であっても良い。
本発明に係る研磨液では、フッ酸は1〜10質量%であり、研磨液中のアルカリ金属イオンの濃度は、0.1mol/L以上、好ましくは0.88mol/L以上、より好ましくは、1.74mol/L以上であればよい。アルカリ金属イオンの上限は、特に限定はなく、研磨液に対して溶解できる限界まで含ませてもよい。溶解度限界以上を含ませると、研磨液中に溶けないので、意味がない。
本発明に係る研磨液を用いたガラス研磨方法は、板ガラスを使って形成されたガラス製表示デバイス(被処理物)の表裏を片面換算で数μmから数十μm、本発明に係る研磨液で研磨する前研磨工程と、その後片面換算で数十μmから数百μm、本研磨する後研磨工程で構成される。なお、後研磨工程では、研磨液にアルカリ金属イオンは添加されない。
なお、前研磨工程と後研磨工程の間と、後研磨工程の後に被処理物を洗浄する洗浄工程を入れてもよい。各研磨工程で用いた研磨液を次工程に持ち込まないためである。
以下に本発明に係る研磨液の効果を、実施例を示して説明する。研磨後に発見されるディンプルは、取扱いの際に板ガラスの表面に付けられる微小のキズが成長したものと考えられている。実際、顕微鏡を用いた検査でなんのキズも見つからなかった部分からでも、研磨後にディンプルが発見される。
したがって、前研磨液として使用できる研磨液か否かを検討するためには、予めガラス表面にキズを付けておき、研磨後にキズがディンプルまで成長するか否かで検討する必要がある。
そこで、前研磨液の評価系として以下の方法をとった。まず、被処理物の表面に、適度な粗さの紙やすりを一定圧力で押し付ける。このように処理した被処理物(ガラス)を「潜傷付与処理を行った被処理物」と呼ぶ。この状態では、目視、光学顕微鏡を用いても潜傷は観測できない。しかし、研磨することで潜傷が、ディンプルに成長し、観察できるようになる。なお、被処理物は、5cm×2.5cm×0.7mmのアルミノホウケイ酸塩ガラスを用いた。
次に検討用の研磨液に被処理物を一定時間浸漬させる。ここで「一定時間」は、各被処理物の片面が20μm研磨できるように調整した。なお、研磨液は40℃にした。
評価は、潜傷付与処理を行った被処理物を検討用の研磨液サンプルに浸漬させた後、光学顕微鏡を用いて、100倍の倍率で画像撮影し、画像処理ソフト(ImageJ(登録商標))で1200個のディンプルに対し、直径を測定し、Mathematica(登録商標)を用いて、最小値、第一四分位点、中央値、第三四分位点、最大値といった各種統計値を求めた。
(実施例1)
フッ酸が3質量%の溶液にカリウムイオンが1.74mol/Lの濃度になるように添加した溶液を実施例1の研磨液サンプルとした。なお、カリウムイオンは、塩化カリウム(KCl)で供給した。
(実施例2)
フッ酸が3質量%の溶液にカリウムイオンが0.88mol/Lの濃度になるように添加した溶液を実施例2の研磨液サンプルとした。なお、カリウムイオンは、塩化カリウム(KCl)で供給した。
(実施例3)
フッ酸が3質量%の溶液にカリウムイオンが0.40mol/Lの濃度になるように添加した溶液を実施例3の研磨液サンプルとした。なお、カリウムイオンは、塩化カリウム(KCl)で供給した。
(実施例4)
フッ酸が3質量%の溶液にカリウムイオンが0.10mol/Lの濃度になるように添加した溶液を実施例4の研磨液サンプルとした。なお、カリウムイオンは、塩化カリウム(KCl)で供給した。
(実施例5)
フッ酸が3質量%の溶液にナトリウムイオンが1.74mol/Lの濃度になるように添加した溶液を実施例5の研磨液サンプルとした。なお、ナトリウムイオンは、塩化ナトリウム(NaCl)で供給した。
(実施例6)
フッ酸が3質量%の溶液にナトリウムイオンが0.88mol/Lの濃度になるように添加した溶液を実施例6の研磨液サンプルとした。なお、ナトリウムイオンは、塩化ナトリウム(NaCl)で供給した。
(比較例1)
フッ酸が3質量%、硫酸が75質量%(残部は水)の混合溶液を比較例1の研磨液サンプルとした。
(比較例2)
フッ酸が3質量%、硫酸が60質量%(残部は水)の混合溶液を比較例2の研磨液サンプルとした。
(比較例3)
フッ酸が3質量%、硫酸が50質量%(残部は水)の混合溶液を比較例3の研磨液サンプルとした。
(比較例4)
フッ酸が3質量%(残部は水)の溶液を比較例4の研磨液サンプルとした。比較例4の研磨液サンプルはリファレンスである。
潜傷付与処理を行った被処理物の片面が20μmの厚さだけ研磨できるように各研磨液サンプルに浸漬し、洗浄後表面の写真を撮影し、得られた画像から、ディンプルの統計値を求めた。結果を表1に示す。
Figure 2017111091
表1を参照する。比較例4はフッ酸のみの場合である。一方、比較例1乃至3は、フッ酸と硫酸で構成される従来の前研磨液である。硫酸の比率が多くなると(比較例3から比較例1に向かって)、ディンプル径の中央値が小さくなり、最大値も小さくなっているのがわかる。
このように、フッ酸と硫酸の混合溶液で前研磨を行うことで、一定量の研磨量に対するディンプルの発生・拡大を低く抑えることができていた。
実施例1乃至実施例6のフッ酸にカリウムイオンやナトリウムイオンを添加した前研磨液は、すべて比較例4のリファレンスよりもディンプルの発生・拡大が抑制されている。より具体的には、アルカリ金属イオンをカリウムとした場合は、研磨液全量に対して、カリウムを0.1mol/L、0.4mol/L、0.88mol/L、1.74mol/Lと増やしていくと、ディンプルの中心値が6.72μmから5.61μmへ減少した。
ディンプル径の中心値が最も大きな6.72μmは従来硫酸を用いた研磨液でディンプル径が最も小さくなる場合(比較例1)の7.49μmより小さかった。
また、アルカリ金属イオンをナトリウムとした場合は、研磨液全量に対してナトリウムを0.88mol/L、1.74mol/Lと増やしていくと、ディンプルの中心値が6.73μmから5.02μmへ減少した。
以上のことからアルカリ金属イオンは、0.1mol/L以上あれば、ディンプルを抑制するのに効果があるといえる。
次に、前研磨を、実施例2(カリウムイオンが0.88mol/L)と、実施例3(カリウムイオンが0.40mol/L)と、実施例4(カリウムイオンが0.10mol/L)と、実施例6(ナトリウムイオンが0.88mol/L)と、比較例1(硫酸が75質量%)および比較例4(フッ酸のみ)にて実施した後に、後研磨も行った。
(実施例11)
フッ酸が3質量%の溶液にカリウムイオンを0.88mol/Lの濃度になるように添加した溶液で、片面15μmの厚み分だけ前研磨し、その後、濃度が10質量%のフッ酸水溶液で、片面300μmの厚み分の後研磨を行った。なお、カリウムイオンは、塩化カリウム(KCl)で供給した。前研磨に用いた研磨液は実施例2と同じものである。なお、フッ酸水溶液とは、フッ化水素酸の水溶液である。
(実施例12)
フッ酸が3質量%の溶液にカリウムイオンを0.40mol/Lの濃度になるように添加した溶液で、片面15μmの厚み分だけ前研磨し、その後、濃度が10質量%のフッ酸水溶液で、片面300μmの厚み分の後研磨を行った。なお、カリウムイオンは、塩化カリウム(KCl)で供給した。前研磨に用いた研磨液は実施例3と同じものである。なお、フッ酸水溶液とは、フッ化水素酸の水溶液である。
(実施例13)
フッ酸が3質量%の溶液にカリウムイオンを0.10mol/Lの濃度になるように添加した溶液で、片面15μmの厚み分だけ前研磨し、その後、濃度が10質量%のフッ酸水溶液で、片面300μmの厚み分の後研磨を行った。なお、カリウムイオンは、塩化カリウム(KCl)で供給した。前研磨に用いた研磨液は実施例4と同じものである。なお、フッ酸水溶液とは、フッ化水素酸の水溶液である。
(実施例14)
フッ酸が3質量%の溶液にナトリウムイオンを0.88mol/Lの濃度になるように添加した溶液で、片面15μmの厚み分だけ前研磨し、その後、濃度が10質量%のフッ酸水溶液で、片面300μmの厚み分の後研磨を行った。なお、ナトリウムイオンは、塩化ナトリウム(NaCl)で供給した。前研磨に用いた研磨液は実施例6と同じものである。
(比較例11)
フッ酸が3質量%で硫酸が75質量%の混合溶液で、片面15μmの厚み分だけ前研磨し、その後、濃度が10質量%のフッ酸水溶液で、片面300μmの厚み分の後研磨を行った。前研磨に用いた研磨液は比較例1と同じものである。
(比較例12)
フッ酸が3質量%の溶液で、片面15μmの厚み分だけ前研磨し、その後、濃度が10質量%のフッ酸水溶液で、片面300μmの厚み分の後研磨を行った。前研磨に用いた研磨液は比較例4と同じものである。結果を表2に示す。
Figure 2017111091
表2を参照して、前研磨をフッ酸だけで行った比較例12に対して、従来の前研磨である硫酸を用いた比較例11は、ディンプルの発生・拡大が抑制されているのがわかる。一方、本発明に係る研磨液で前研磨を行った実施例11乃至実施例14は、比較例11と比べても中央値および最大値ともに小さいため、ディンプルの発生・拡大が抑制されているのがわかる。
すなわち、フッ酸と硫酸の混合液を用いた前研磨に代えて、フッ酸とアルカリ金属イオンの混合液を用いることで、従来以上の前研磨の効果を得ることができた。
図1には、これらの前研磨後、および前研磨+後研磨後の表面の顕微鏡写真を示す。まず、図1(a)乃至(d)は前研磨後の写真である。なお、各写真の右下の黒太線は20μmを表す。図1(a)は、比較例4(前研磨:フッ酸のみ)であり、図1(b)は、比較例1(前研磨:フッ酸と硫酸75質量%)であり、図1(c)は実施例6(フッ酸とNaイオン:0.88mol/L)であり、図1(d)は実施例2(フッ酸とKイオン:0.88mol/L)である。
図1(a)乃至図(d)では、ディンプルは黒い点として観察することができる。図1(a)より図1(b)の方が、明らかにディンプルの密度が低くなっているのがわかる。また、図1(b)より図1(c)および図1(d)は、よりディンプルの密度が低くなっている。
次に、これらのサンプルを後研磨した状態の写真を図1(e)乃至図1(h)に示す。それぞれ図1(a)乃至図1(d)に対応している。図1(e)乃至図1(h)ではディンプルは薄い白丸として観察することができる。しかし、見やすいように、図1(e)乃至図1(h)では、ディンプルの縁を黒線でなぞった。
図1(e)は3質量%のフッ酸のみで前研磨した場合である。20μmから40μmほどの直径のディンプルが写真の視野中におよそ30個程度は観察される。図1(f)はフッ酸3質量%と硫酸75質量%の混合溶液で前研磨したものである。直径が20μmを超えるディンプルは視野中には観察できない。しかし、10μmから20μm程度のディンプルが15個程度は観察できる。
図1(g)は、3質量%のフッ酸水溶液に、0.88mol/LのNaイオンを添加した溶液で前研磨を行った場合である。ディンプルの数は非常に少なくなり、10μmから20μm程度のディンプルが5個程度しか観察できない。
図1(h)は、3質量%のフッ酸水溶液に、0.88mol/LのKイオンを添加した溶液で前研磨を行った場合である。ディンプルの数はやはり非常に少なくなり、10μmから20μm程度のディンプルが7個程度しか観察できない。
以上のことより、フッ酸水溶液にアルカリ金属イオンを添加した前研磨液は、従来使われていたフッ酸と硫酸の混合液の場合よりディンプルの成長を抑制できることがわかった。本発明に係る研磨液は、フッ化水素酸とアルカリ金属イオンという組成であるため、取扱いの安全性が高まる。また、廃液として処理する場合に環境に対する負荷も小さくできる。また、前研磨液のコストも廉価にすることができる。
本発明の研磨液は板ガラスを研磨する際の前研磨工程で好適に利用することができる。

本発明は、上記の課題に鑑みて想到されたものである。より具体的に本発明に係る研磨液は、板ガラスの研磨液であって、フッ化水素酸とアルカリ金属イオンの塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、亜硫酸塩、亜硝酸塩の無機酸塩、又は、酢酸塩、クエン酸塩、シュウ酸塩の有機酸塩を含むことを特徴とする。
本発明は、上記の課題に鑑みて想到されたものである。より具体的に本発明に係る研磨液は、板ガラスの研磨液であって、フッ化水素酸とアルカリ金属イオンの塩酸塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、炭酸塩、重炭酸塩、亜硫酸塩、亜硝酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、またはシュウ酸塩とを含むことを特徴とする。

Claims (4)

  1. 板ガラスの研磨液であって、
    フッ化水素酸とアルカリ金属イオンを含むことを特徴とする研磨液。
  2. 前記アルカリ金属イオンは、少なくともナトリウムまたはカリウムを含むことを特徴とする請求項1に記載された研磨液。
  3. 前記板ガラスは、アルミノボロシリケートガラス(アルミノホウケイ酸塩ガラス)であることを特徴とする請求項1または2のいずれかの請求項に記載された研磨液。
  4. 板ガラスを研磨する方法であって、
    請求項1乃至3のいずれか1の請求項に記載された研磨液で前記板ガラスを前研磨をする工程と、
    アルカリ金属イオンが添加されていないフッ酸水溶液を含む研磨液で前記板ガラスをさらに研磨する工程を含む板ガラスの研磨方法。

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