JP2013204012A - ガラス板の洗浄液、洗浄方法および製造方法 - Google Patents

ガラス板の洗浄液、洗浄方法および製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】荷重を受けてガラス板の表面に付着した粘着異物や、時間経過により変質した粘着異物を効果的に除去する。
【解決手段】洗浄剤を水で希釈した希釈液に、KOH、NaOH、ETDA−4Na、ETDA−4K、Na、Kから選択される1種以上のアルカリ成分を1%以上の濃度で加える。また、ガラス板を前記洗浄剤に浸漬させ洗浄して、それに付着した異物を除去する洗浄工程を有する。さらに、ガラス板と紙を交互に積層させえた積層体から、ガラス板を取り出す工程と、上記洗浄方法によりガラス板を洗浄する工程とを有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、ガラス板の洗浄液、洗浄方法および製造方法に関する。
液晶表示装置用ディスプレイ等のFPD(Flat Panel Display)に用いられるガラス基板は、半導体プロセスにより、TFT(Thin Film Transistor)素子等の半導体素子を形成するため、塵や汚れが付いておらず洗浄度が高いことが求められている。
ガラス基板の製造工程では、薄板状で帯状のガラスシートが所定の長さに切断された後、素板ガラスとして積層されて保管される。この後、素板ガラスは、所定のサイズにダイヤモンドカッターあるいはレーザ光により切り込み線(スクライブ線)が入れられ、切り込み線に沿って折り曲げられることにより切断され、製品サイズのガラス基板が得られる。また、素板ガラスまたはガラス基板は、レーザ光などの熱応力により切断される場合もある。ガラス基板は、端面の研削および研磨等の加工が施される。以下では、素板ガラスおよび製品サイズのガラス基板を総称してガラス板という。
例えば国際公開WO2009/008413号公報に記載されているように、FPD用のガラス板の製造、保管、運搬中に、ガラス板の表面にキズや汚染が発生することを抑制するために、ガラス板の間に紙を挟みこむことが行われている。しかし、ガラス板の間に挟み込む紙の材質によっては、紙に含まれる成分がガラス板の表面に付着して、ガラス板の表面を汚染する場合がある。
また、ガラス板の切断時には、ガラス板の切断された端面から数μm〜数100μmの大きさのガラス微小片が塵となって飛散し、塵としてガラス板の表面に付着する。
このため、ガラス板を梱包して出荷する前に、ガラス板が所定の製品の出荷規格を満たすように、ガラス板を洗浄する。ガラス板を洗浄する工程においては、例えば特願2007−131819号公報に記載されているようなアルカリ成分を含む洗浄剤が用いられている。
国際公開WO2009/008413号公報 特願2007−131819号公報
しかし、ガラス板の間に挟みこむ紙として再生紙を用いた場合、再生紙に含まれるインクや樹脂成分等に由来する粘着性を有する粘着異物がガラス基板に付着する場合がある。
FPD用のガラス板は、例えば国際公開WO2009/008413号公報に記載されているように、ガラス板を傾けた状態で積載するパレットに、再生紙とガラス板とを交互に積層させて積載する。この場合、先に積み込んだガラス板には、後に積み込んだガラス板の荷重がかかる。
パレットに先に積み込んだガラス板に付着した上記の粘着異物は、上記の荷重を受けてガラス板に押し付けられ、パレットに後に積み込んだガラス板に付着した異物よりも、ガラス板により強固に付着する傾向がある。上記の荷重を受けてガラス板に付着した上記の粘着異物は、従来の洗浄剤の希釈液では除去が困難になる。
また、上記の粘着異物は、ガラス板を例えば数週間から数ヶ月以上の長期間に亘って保管した場合に、時間の経過により変質して粘着性を増し、あるいは固化し、従来の洗浄剤の希釈液では除去が困難になる。
そこで、本発明は、荷重を受けてガラス板の表面に付着した粘着異物や、時間の経過により変質した粘着異物を効果的に除去することができる、ガラス板の洗浄方法、製造方法および洗浄液の製造方法を提供する。
本発明の一態様であるガラス板の洗浄液は、洗浄剤を水で希釈した希釈液に、KOH、NaOH、ETDA−4Na、ETDA−4K、Na、Kから選択される1種以上のアルカリ成分を1%以上の濃度で加えたガラス板の洗浄液である。
また、本発明の別の態様であるガラス板の洗浄方法は、上記のガラス板の洗浄液を用い、ガラス板を前記洗浄液に浸漬させて洗浄して、前記ガラス板に付着した異物を除去する洗浄工程を有することを特徴とする。
また、本発明の別の態様であるガラス板の製造方法は:ガラス板と紙とを交互に積層させた積層体から前記ガラス板を取り出す工程と;上記の洗浄方法により前記ガラス板を洗浄する工程と;を有する。
本発明によれば、荷重を受けてガラス板の表面に付着した粘着異物や、時間の経過により変質した粘着異物を効果的に除去することができる。
本実施形態のガラス基板の製造工程の一例を示す図である。 ガラス板を積載するパレットの模式図である。 洗浄工程の一例を示す図である。 枚葉洗浄システムの模式図である。 バッチ洗浄システムにおける液槽およびカセットの模式図である。
以下、本発明のガラス板の製造方法について本実施形態に基づいて詳細に説明する。
本実施形態で製造されるガラス板は、液晶表示装置用ディスプレイに用いるガラス基板であり、例えば厚さが0.5〜0.7mmであり、2200mm×2500mm(縦×横)のサイズの薄板である。
なお、本実施形態で製造されるガラス板は、上記に限定されず、携帯電話機などの電子機器の表示画面に用いられるカバーガラスや、プラズマ・ディスプレイ・パネル、有機エレクトロ・ルミネッセンス(EL)などのフラットパネルディスプレイ(Flat Panel Display:FPD)に用いられる板状ガラスであってもよい。
本実施形態で製造されるガラス板は、特に限定されないが、例えば、以下の組成比率のガラス板に適用され得る。例えば、Li、Na、及びKのいずれの成分も含有されていないか、あるいは、Li、Na、及びKのいずれか少なくとも1つの成分が含有されているとしても、Li、Na、及びKの内含有する成分の合計量が、0.5質量%以下であるガラス組成を有することが好ましい。ガラス組成は、以下に示すものが好適に例示される。
(a)SiO:50〜70質量%、
(b)B:5〜18質量%、
(c)Al:10〜25質量%、
(d)MgO:0〜10質量%、
(e)CaO:0〜20質量%、
(f)SrO:0〜20質量%、
(g)BaO:0〜10質量%、
(h)RO:5〜20質量%(ただしRはMg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種であり、ROは、MgO、CaO、SrOおよびBaOのうち含有する成分の合計)、
(i)R’O:0.05質量%を超え0.5質量%以下(ただしR’はLi、NaおよびKから選ばれる少なくとも1種であり、R’OはLiO、NaO及びKOのうち含有する成分の合計)、
(j)酸化錫と、酸化鉄および酸化セリウムなどから選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を合計で0.05〜1.5質量%。
なお、上記(i),(j)の組成は必須ではないが、(i),(j)の組成を含むことが好ましい。上記のガラスには、As、SbおよびPbOを実質的に含まず、SnO2が含まれている。
また、本実施形態のガラス板に用いるガラスは、(i)のR’Oの含有が実質的に0質量%である無アルカリガラスであっても構わない。すなわち、本実施形態のガラス板に用いるガラスは、(i)の組成を含むアルカリ微量含有ガラスまたは無アルカリガラスである。
図1は、本実施形態のガラス板の製造方法の流れを示すフローチャートである。
図1に示すように、熔融されたガラスが、例えばダウンドロー法あるいはフロート法により、所定の厚さの帯状ガラスであるガラスシートに成形される(ステップS1)。
次に、成形されたガラスシートがスクライブおよび切断され、所定のサイズの素板ガラスが得られる(ステップS2)。得られた素板ガラスは、素板ガラスを保護する紙と交互に積層された積層体として、素板ガラスを収容して搬送するためのパレットに積載される(ステップS3)。
素板ガラスは切断工程に搬送され、ガラス板と紙とを交互に積層した積層体から素板ガラスが取り出される。取り出された素板ガラスはスクライブおよび切断され、製品サイズのガラス基板が得られる(ステップS4)。得られたガラス基板には、端面の研削、研磨およびコーナカットを含む端面加工が行われる(ステップS5)。上記スクライブでは、ダイヤモンドカッター等を用いて、ガラスに微小のスジ状の傷である切り込み線(スクライブ線)が形成される。素板ガラスおよび製品サイズのガラス基板を含むガラス板の切断は、スクライブ線に沿って機械あるいはマニュアルにより切断される。あるいは、レーザ光によるスクライブおよび熱衝撃によりガラス板を切断することもできる。
この後、ガラス基板の洗浄が行われる(ステップS6)。洗浄されたガラス板はキズ、塵、汚れあるいは光学欠陥を含む傷が無いか、光学的検査が行われる(ステップS7)。検査により品質の適合したガラス板は、ガラス板を保護する紙と交互に積層された積層体としてパレットに積載されて梱包される(ステップS8)。梱包されたガラス板は納入先業者に出荷される(ステップS9)。出荷されるガラス板に挟みこまれてガラス板の表面を保護する紙は、ガラス板の表面の汚染を防止する観点から、再生紙を含まないパルプ紙が用いられる。
なお、素板ガラスは、パレットへの積載(ステップS3)および梱包が行われた後、例えば、数週間から数ヶ月以上の長期間に亘って輸送および保管される場合がある(ステップS10)。保管される素板ガラスの間に挟みこまれて素板ガラスの表面を保護する紙は、コストおよび環境保護の観点から再生紙が用いられる。このように長期間に亘って保管された素板ガラスは、その後、上記と同様に切断(ステップS4)から梱包(ステップS8)までの工程を経て、出荷される(ステップS9)。
また、ガラス基板は、梱包(ステップS8)が行われた後、例えば、数週間から数ヶ月以上の長期間に亘って輸送および保管される場合がある(ステップS10)。保管されるガラス基板の間に挟みこまれてガラス基板の表面を保護する紙は、コストおよび環境保護の観点から再生紙が用いられる。このように長期間に亘って保管されたガラス基板は、素板ガラスと同様に切断(ステップS4)から梱包(ステップS8)までの工程を経て、出荷(ステップS9)される。
図2は、パレットに積載されたガラス板を模式的に示す図である。図2に示すように、素板ガラスおよびガラス基板を含むガラス板Gは、パレット100の積載部に斜めに立て掛けられた状態で、紙Pと交互に積層される。これによりガラス板Gの間には、紙Pが挟みこまれた状態になる。このような状態では、パレット100の積載部に先に積載されたガラス板Gに、後から積載されたガラス板Gの荷重がかかる。そのため、先に積載されたガラス板Gほど、紙Pをガラス板Gに押し付ける荷重が大きくなる。
紙Pが再生紙である場合には、再生紙に含まれる例えばインクなどの樹脂成分に由来する粘着性を有する粘着異物が、ガラス板Gの表裏面に付着する場合がある。そのため、上記のような荷重がかかると、先に積載されたガラス板Gほど、粘着異物が大きな荷重を受けて、ガラス板Gの表面に強固に付着する傾向がある。このような荷重を受けてガラス板Gに付着した異物は、従来の洗浄剤を希釈した希釈液を用いた洗浄によっては、十分に除去することができない。
また、上記のような粘着異物が付着したガラス板Gが、図1に示すように長期の保管(ステップ10)を経て洗浄される場合には、上記の粘着異物が時間の経過により変質して、粘着性を増し、あるいは固化し、従来の洗浄剤を希釈した希釈液を用いた洗浄によっては、十分に除去することができない。
ガラス板Gのスクライブと切断(ステップS2,S4)、およびガラス板Gの端面加工(ステップS5)等の機械加工により、ガラスの微小片が発生し、ガラス板Gの表面に塵となって付着する。あるいは、上記機械加工時に、工具や治具等に付着した汚れがガラス板Gの表面に付着する場合もある。
以上のようなガラス板Gの表面に付着した塵、汚れ、粘着異物などを除去するために、ガラス基板の洗浄(S5)が行われる。特に、液晶表示装置用ディスプレイに用いられるガラス基板は、表面に半導体素子を形成するため、高い洗浄度が求められる。
以下、本実施形態の洗浄工程について、より詳細に説明する。
図3は、本実施形態の洗浄工程の例を説明するフローチャートである。
まず、図3に示す希釈液を生成する工程(S61)において、ガラス基板用の洗浄剤を水によって希釈して希釈液を生成する。ガラス基板用の洗浄剤としては、無機アルカリ系の洗浄剤、例えば、パーカーコーポレーション社製のPK−LCGシリーズ、あるいは横浜油脂工業株式会社製のセミクリーンシリーズなどを用いることができる。これらの洗浄剤を用いる場合、洗浄剤を例えば1wt%から5wt%の範囲の濃度になるように水で希釈して希釈液を生成する。
洗浄剤を希釈する水は、イオン交換処理、EDI(Electrodeionization)処理、逆浸透膜によるフィルタ処理、及び脱炭酸ガス装置を通した脱炭酸ガス処理を施した純水または超純水であることが、ガラス基板の表面を清浄に保つ点で好ましい。溶解性異物の除去には、さらに活性炭を通すことが好ましい。具体的には、フィルタを用いて微粒子等の異物を水から除去し、この後、活性炭を透過させて有機物を除去した後、イオン交換処理、EDI(Electrodeionization)処理、逆浸透膜によるフィルタ処理、及び脱炭酸ガス装置を通した脱炭酸ガス処理を施すことが好ましい。
イオン交換処理では、水に含まれるイオン性物質、例えば、塩素イオンやナトリウムイオン等を、イオン交換樹脂膜を用いて水から除去する。EDI処理では、イオン交換樹脂膜を用い、かつ電極に電位を与えて形成された電位勾配を利用して、水からイオン性物質をより精度良く除去する。さらに、逆浸透膜(RO膜)によるフィルタ処理では、イオン性物質、塩類、あるいは有機物を水から除去する。さらに、脱炭酸ガス処理では、脱炭酸ガス装置を用いて炭酸ガスを水から除去する。
上記のように洗浄剤を水で希釈して生成した希釈液のアルカリ成分の濃度は、水酸化カリウム(KOH)の濃度に換算して、例えば、0.02wt%から0.15wt%程度になる。
図3に示すように、本実施形態では、この希釈液に、KOH、NaOH、ETDA−4Na、ETDA−4K、Na、Kから選択される1種以上のアルカリ成分を濃度の合計が1wt%以上になるように添加して洗浄液を生成する(S62)。上記のアルカリ成分は、その他のアルカリ成分と比較して、ガラスのエッチング性が高く、かつ溶解性に優れている。特に、エッチング性と溶解性、およびガラス基板に形成される薄膜トランジスタに対する悪影響を防止する観点から、上記のアルカリ成分としてKOHを単独で用いることが好ましい。KOHおよびNaOHは、その他のアルカリ成分と比較して、排水処理の点で有利である。
本実施形態では、洗浄剤を水で希釈しただけの希釈液と、その希釈液に上記アルカリ成分を添加した洗浄液とを明確に区別している。なお、希釈液への上記アルカリ成分の添加は、洗浄剤の水による希釈と同時にまたは並行して行うことができる。
なお、本実施形態の洗浄液の上記アルカリ成分の濃度の合計は、できるだけ高い方が、粘着異物を除去する洗浄力の点で好ましい。しかし、上記アルカリ成分の濃度が高くなりすぎると、装置を腐食させたり、洗浄液中で結晶が生成されたりするなどの問題がある。そのため、洗浄液の上記アルカリ成分の濃度の合計は10wt%を超えないことが好ましい。また、洗浄液の取り扱いを容易にして装置に負担をかけないために、洗浄液の上記アルカリ成分の濃度の合計が5wt%を超えないことがより好ましい。
上記のように生成した洗浄液は、図3に示すブラシ洗浄(S63)およびスポンジ洗浄(S64)を含むガラス板Gの枚葉洗浄において用いられる。
以下、本実施形態の枚葉洗浄に用いられる洗浄システムについて説明する。
図4(a),(b)は、枚葉洗浄を行う一ラインの枚葉洗浄システム10の概略を示す図であり、図4(a)は平面図であり、図4(b)は、側面図である。図4(a),(b)において、ガラス板Gを搬送する搬送装置の図示は省略している。
枚葉洗浄システム10は、図4(a)に示すように、ブラシユニット12と、スポンジユニット14と、シャワーユニット16と、を備えている。これらの装置は、ガラス板Gの搬送方向の上流側からこの順番に配置されている。また、枚葉洗浄システム10は、図4(b)に示すように、洗浄液タンク18と、純水タンク20とを備えている。
洗浄液タンク18は、ガラス基板用の洗浄剤の希釈液にKOHを所定の濃度で添加することで生成した上記の洗浄液を、所定の温度に保温した状態で貯留する。本実施形態では、洗浄液タンク18は、洗浄液の温度を調節する例えばヒーターなどの温度調節手段を備え、洗浄液を50℃から80℃の範囲の一定の温度に加熱して保温する。
ノズル18a,18bは、洗浄液タンク18から供給される洗浄液を、ブラシユニット12内のガラス板Gの表裏面に噴射して供給するように設けられている。ノズル18c,18dは、洗浄液タンク18から供給される洗浄液を、スポンジユニット14内のガラス板Gの表裏面に噴射して供給するように設けられている。
純水タンク20は、上記のように生成した純水または超純水を貯留する。
ノズル20a,20bは、純水タンク20から供給される純水または超純水を、シャワーユニット16内のガラス板Gの表裏面に噴射して供給するように設けられている。
ブラシユニット12は、洗浄ブラシ列12a,12bを備えている。
洗浄ブラシ列12a,12bは、ガラス板Gの搬送方向において異なる位置、すなわち上流側の位置と下流側の位置に配置されている。洗浄ブラシ列12a,12bは、それぞれガラス板Gの表裏面を洗浄可能に上下に配置され、ガラス板Gを間に挟み込んで洗浄するように設けられている。
洗浄ブラシ列12a,12bは、それぞれガラス板Gの搬送方向を横切る方向に複数の洗浄ブラシを備えている。ブラシユニット12は、洗浄ブラシを回転させることにより、ガラス板Gの表裏面を洗浄する。図示の例では、洗浄ブラシ列12a,12bは2列が設けられているが、3列以上が設けられてもよく、1列のみが設けられていてもよい。
スポンジユニット14は、洗浄スポンジ列14a,14bを備えている。
洗浄スポンジ列14a,14bは、ガラス板Gの搬送方向において異なる位置、すなわち上流側の位置と下流側の位置に配置されている。洗浄スポンジ列14a,14bは、それぞれガラス板Gの表裏面を洗浄可能に上下に配置され、ガラス板Gを間に挟み込んで洗浄するように設けられている。
洗浄スポンジ列14a,14bは、それぞれガラス板Gの搬送方向を横切る方向に複数の洗浄スポンジを備えている。スポンジユニット14は、洗浄スポンジを回転させることにより、ガラス板Gの表裏面を洗浄する。図示の例では、洗浄スポンジ列14a,14bは2列が設けられているが、3列以上が設けられてもよく、1列のみが設けられていてもよい。
次に、枚葉洗浄システム10におけるガラス板Gの洗浄の流れについて説明する。
洗浄液は、洗浄液タンク18において、ヒーター等の温度調節手段により50℃から80℃、より好ましくは60℃から80℃、さらに好ましくは70℃から80℃の範囲の所定の温度に保温される。
ブラシユニット12では、図3に示すブラシ洗浄(S63)が行われる。
洗浄液タンク18から供給された洗浄液はノズル18a,18cから噴射され、搬送装置によってブラシユニット12内に搬送されたガラス板Gの表裏面に供給される。ガラス板Gの表裏面に供給される洗浄液は、例えば50℃から80℃、より好ましくは60℃から80℃、さらに好ましくは70℃から80℃の範囲の所定の温度に加熱されている。
ガラス板Gは、ブラシユニット12において、表裏面に例えば50℃から80℃、より好ましくは60℃から80℃、さらに好ましくは70℃から80℃の範囲の所定の温度の洗浄液が存在する状態で、表裏面が洗浄ブラシ列12a,12bの複数の洗浄ブラシによって洗浄される。その後、ガラス板Gは、搬送装置によってスポンジユニット14に搬送される。
スポンジユニット14では、図3に示すスポンジ洗浄(S64)が行われる。
洗浄液タンク18から供給された洗浄液はノズル18c,18dから噴射され、搬送装置によってスポンジユニット14内に搬送されたガラス板Gの表裏面に供給される。ガラス板Gの表裏面に供給される洗浄液は、例えば50℃から80℃、より好ましくは60℃から80℃、さらに好ましくは70℃から80℃の範囲の所定の温度に加熱されている。
ガラス板Gは、スポンジユニット14において、表裏面に例えば50℃から80℃、より好ましくは60℃から80℃、さらに好ましくは70℃から80℃の所定の温度の洗浄液が存在する状態で、表裏面が洗浄スポンジ列14a,14bの複数の洗浄スポンジによって洗浄される。その後、ガラス板Gは、搬送装置によってシャワーユニット16に搬送される。
純水タンク20から供給された純水または超純水はノズル20a,20bから噴射され、搬送装置によってシャワーユニット16内に搬送されたガラス板Gの表裏面に供給される。これにより、ガラス板Gが純水または超純水ですすがれて、洗浄液の成分が洗い流される。
シャワーユニット16から搬出されたガラス板Gは、図3に示すバッチ洗浄(S65)を行うバッチ洗浄システムに送られる。バッチ洗浄(S65)では、複数枚のガラス板Gがカセットに収容されて、複数の液槽に、順次、浸漬されて洗浄される。
なお、枚葉洗浄システム10の構成によっては、バッチ洗浄(S65)を行わない場合もある。その場合、ガラス板Gはエアーナイフまたは加熱乾燥工程を経て乾燥され、図1に示す検査(S7)へと送られる。
図5は、バッチ洗浄システムにおける複数の液槽のうちの1つを概念的に示す断面図である。
バッチ洗浄システムは、図5に示す液槽300を複数備えるとともに、複数のガラス板Gを収容したカセット200を搬送する搬送機構を備えている。各液槽300は、必要に応じて、ガラス板Gを液体Lに浸漬した状態で超音波により洗浄する超音波洗浄機構、および液体Lの温度を調節する温度調節機構を備えている。また、バッチ洗浄システムは、各液槽300に液体Lを供給するタンクを備えている。
複数のガラス板Gを収容したカセット200は、搬送設備によって搬送され、液槽300に貯留された薬液、洗浄液、純水、超純水、または機能水などの液体Lに、順次、浸漬されて洗浄される。各液槽300に貯留される薬液としては、例えば、フッ化水素(HF)の溶液を用いることができる。また、洗浄液、純水および超純水は、上記の枚葉洗浄で説明したものと同じものを用いることができる。機能水としては、例えば、アンモニア水素水を用いることができる。
バッチ洗浄システムにおいて、ガラス板Gが浸漬される液体Lの種類および順序は、適宜決定することができる。一例として、1番目に薬液、2番目に純水、3番目に洗浄液、4から6番目に純水、7番目に機能水、8番目に80℃から90℃の純水を用いて、ガラス板Gを洗浄することができる。
本実施形態においてバッチ洗浄に用いる洗浄液は、上記の枚葉洗浄で用いる洗浄液と同様、ガラス基板用の洗浄剤を水で1〜5wt%に希釈した希釈液に、KOH、NaOH、ETDA−4Na、ETDA−4K、Na、Kから選択される1種以上のアルカリ成分を合計で1wt%以上の濃度で添加して生成する。また、洗浄液の温度は、例えば50℃から80℃、より好ましくは60℃から80℃、さらに好ましくは70℃から80℃の範囲で用いることができる。
また、ガラス板Gが各液槽300に浸漬される時間は、例えば、60秒から180秒程度であり、より好ましくは、100秒から120秒程度である。
次に、本実施形態のガラス板Gの洗浄方法の作用について説明する。
本実施形態では、上記のように、洗浄剤を水で希釈して生成した希釈液に、KOH等のアルカリ成分を1%以上の濃度で加えて洗浄液を生成する。このように、洗浄剤の希釈液にKOH等のアルカリ成分を1wt%以上の濃度で添加して洗浄液を生成することで、KOH等のアルカリ成分の濃度が、従来の希釈液の7倍から50倍程度の高い洗浄液が得られる。希釈液中の洗浄剤の濃度にもよるが、従来の希釈液のKOH等のアルカリ成分の濃度は、例えば0.02%から0.15%程度である。
本実施形態のような高濃度のKOH等のアルカリ成分を含む洗浄液は、従来の洗浄剤を希釈した希釈液によっては得ることができなかった。その理由は、希釈液が1wt%以上の濃度のKOH等のアルカリ成分を含むようにするためには、洗浄剤のKOH等のアルカリ成分の濃度を非常に高くする必要があり、そのような洗浄剤の製造や取り扱いは現実的ではないからである。例えば洗浄剤を水で5wt%の濃度に希釈したときに1wt%以上のKOH濃度の希釈液を得るためには、洗浄剤のKOH濃度を20wt%以上にしなければならない。すなわち、本実施形態の洗浄液の製造方法によれば、KOH等のアルカリ成分の濃度が、従来になく高い洗浄液を得ることができる。
本実施形態では、KOH等のアルカリ成分の濃度が合計で1wt%以上の洗浄液を用いて、ガラス板Gを洗浄している。KOH等のアルカリ成分の濃度が合計で1wt%以上になると、ガラス板Gをパレットに積載した順序によらず、ガラス板Gの表面に付着した再生紙由来の粘着異物を除去することが可能になる。すなわち、本実施形態の洗浄液によれば、荷重を受けてガラス板Gの表面に付着した粘着異物、ガラス片、塵を含む異物の除去効果が得られる。
上記のように、洗浄剤の希釈液にKOH等のアルカリ成分を濃度が合計で1%以上になるように添加した洗浄液は、KOH等のアルカリ成分の濃度が従来の洗浄剤の希釈液よりも7倍から50倍程度高くなる。これにより、本実施形態の洗浄液において、例えばJIS K0102に規定された酸消費量などを用いて規定されるアルカリ度が、従来の洗浄剤の希釈液よりも7倍から50倍程度高くなる。したがって、洗浄液によるガラス板Gのエッチング性が従来の洗浄剤の希釈液よりも向上し、ガラス片、塵を含む異物のみならず、荷重を受けた状態でガラス板Gの表面に付着した粘着異物をガラス板Gの表面から剥離させて除去する効果が得られるようになる。
加えて、洗浄剤の希釈液にKOH等のアルカリ成分を添加することで得られる洗浄液の表面張力は、従来の希釈液よりも低くなる。すなわち、界面活性剤を含む洗浄剤の希釈液にKOH等のアルカリ成分を添加することで、KOH等のアルカリ成分を単独で純水に添加する場合ではほとんど得られない、洗浄剤の表面張力を低下させる効果を得ることができる。これにより、洗浄剤が粘着異物とガラス板との間に従来よりも浸透しやすくなり、洗浄剤によるガラス板Gのエッチング性の向上との相乗効果により、粘着異物、ガラス片、塵を含むガラス板Gに付着した異物がより効果的に除去される。
さらに、洗浄剤の希釈液に添加するKOH等のアルカリ成分の濃度を高くしていくことで、数週間から数ヶ月以上の長期に亘って保管されたガラス板の表面に付着した粘着異物の除去効果が高くなる。例えば、洗浄剤を純水で1〜5wt%に希釈した希釈液に、KOH等のアルカリ成分を濃度が合計で2wt%以上になるように添加した洗浄液を用いることで、時間の経過により変質して硬化または粘着性を増した再生紙由来の粘着異物を、上記の相乗効果により除去する効果がより顕著になる。
なお、洗浄液のKOH等のアルカリ成分の濃度はより高い方が粘着異物の除去効果は向上するが、洗浄装置への負担を低減し、洗浄液成分の結晶化を防止し、洗浄液の取り扱いを容易にする観点から、洗浄剤のKOH等のアルカリ成分の濃度は合計で10wt%以下であることが好ましく、5wt%以下であることがより好ましく、3wt%以下であることがさらに好ましい。
また、枚葉洗浄およびバッチ洗浄の少なくとも一方で、洗浄液の温度を例えば50℃から80℃、より好ましくは60℃から80℃、さらに好ましくは70℃から80℃の範囲で用いることで、粘着異物を軟化、膨張させることができる。この粘着異物の軟化、膨張効果と、上記希釈液へのKOH等のアルカリ成分の添加の効果との相乗効果により、ガラス板Gの表裏面に付着して荷重を受けた粘着異物や時間経過により変質した粘着異物を、より効果的に除去することができる。
以上説明したように、本実施形態のガラス板Gの洗浄方法および洗浄液の製造方法によれば、ガラス板Gに付着した種々の異物の除去効果が向上するだけでなく、荷重を受けてガラス板Gの表面に付着した再生紙由来の粘着異物や、時間の経過により変質した粘着異物を、ガラス板Gの表裏面から効果的に除去することができる。
以下、本発明を適用した実施例と、本発明を適用しない比較例とを説明する。
間に再生紙を挟みこんだ状態でパレットに積載されたガラス板をカセットに収容し、バッチ洗浄を行った。以下の表1の通り、第1の液槽、第2の液槽、第3の液槽において収容する液体の種類を変えて、ガラス板を洗浄した。なお、以下の説明においては、洗浄剤を水で希釈しただけの液体を希釈液と呼び、希釈液にKOH等のアルカリ成分を添加した液体を洗浄液と呼んで区別している。
Figure 2013204012
すべての実施例と比較例において、横浜油脂工業株式会社製のセミクリーンKGを純水で2wt%に希釈して希釈液を得た。さらに、実施例では、希釈液にKOHを濃度が1wt%になるように添加して洗浄液を得た。
洗浄したガラス板の表面の欠陥の数を、光学式自動検査器により計測した。比較例2においては、パレットに先に積載したガラス板ほど、欠陥数が増加する傾向が見られた。
これに対して、実施例1および実施例2においては、パレットにガラス板を積載した順序による欠陥数の増加は見られなかった。また、比較例1においても、パレットにガラス板を積載した順序による欠陥数の増加は見られなかった。
また、欠陥に含まれる異物の種類を分析したところ、再生紙に含まれる物質に由来する粘着異物の数は、実施例2が最も少なく、実施例1、比較例1の順で多くなり、比較例2が最も多かった。実施例1および2は、比較例1よりも高い粘着異物の除去効果が得られた。
次に、間に再生紙を挟みこんだ状態でパレットに積載されたガラス板を1ヶ月以上保管し、以下の表2に示す条件で枚葉洗浄とバッチ洗浄を行った。
Figure 2013204012
表2に示すすべての実施例および比較例において、セミクリーンKGを純水で2wt%に希釈して希釈液を得た。さらに実施例において、希釈液にKOHを濃度が2wt%になるように添加して洗浄液を得た。また、比較例4においては、バッチ洗浄に用いる希釈液のセミクリーンKGの濃度を4wt%とした。
欠陥の数を光学式自動検査器により測定したところ、実施例4が最も少なく、次いで実施例3が少なく、次いで比較例4が少なく、比較例3が最も多かった。
欠陥に含まれる異物の種類を分析したところ、粘着異物の数は、実施例3および4の方が比較例3および4よりも少なく、比較例4の方が比較例3よりも少なかった。
次に、間に再生紙を挟みこんだ状態でパレットに積載されたガラス板に対して、以下の表3に示すように、ガラス板の表裏面に供給する液体の種類と温度を変えて枚葉洗浄を行った。
Figure 2013204012
欠陥の数を光学式自動検査器により測定したところ、欠陥の数は、実施例6が最も少なく、実施例5が比較例6よりも少なく、比較例5が最も多かった。
欠陥に含まれる異物の種類を分析したところ、同様に、実施例6が最も少なく、実施例5、比較例6の順で多くなり、比較例5が最も多かった。
以上の実施例1〜6において、希釈液に添加するアルカリ成分をKOHから、NaOH、ETDA−4Na、ETDA−4K、Na、Kに変えて、その他は上記実施例1〜6と同じ条件で実施例を得た。それぞれのアルカリ成分において得られた実施例を、上記比較例1〜6と比較した。その結果、上記のアルカリ成分を希釈液に添加した洗浄液を用いて洗浄を行った各実施例において、比較例よりも高い粘着異物の除去効果が確認できた。
また、KOH、NaOH、ETDA−4Na、ETDA−4K、Na、Kのそれぞれを、希釈液に1wt%の濃度で加えた洗浄液を用いて粘着異物が付着したガラス板の枚葉洗浄を行い、ガラス板の純水に対する接触角を測定したところ、平均で約2.0°であった。また、同じ洗浄液を用いてそれぞれ粘着異物が付着したガラス板のバッチ洗浄を行い、ガラス板の純水に対する接触角を測定したところ平均で約2.0°であった。
一方、上記アルカリ成分を加えない希釈液を用いて粘着異物が付着したガラス板の枚葉洗浄を行い、ガラス板の純水に対する接触角を測定したところ、平均で約2.5°であった。また、同じ洗浄液を用いて粘着異物が付着したガラス板のバッチ洗浄を行い、ガラス板の純水に対する接触角を測定したところ平均で約2.5°であった。
以上、本発明の好ましい実施形態を説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。例えば、上述の実施形態では、ガラス板としてFPD用のガラス板を用いて説明したが、本発明はFPD用のガラス板に限定されない。
10 枚葉洗浄システム
12 ブラシユニット
12a,12b 洗浄ブラシ列
14 スポンジユニット
14a,14b 洗浄スポンジ列
16 シャワーユニット
18 洗浄液タンク
18a,18b,18c,18d ノズル
20 純水タンク
20a,20b ノズル
100 パレット
200 カセット
300 液槽
G ガラス板
L 液体
P 紙

Claims (8)

  1. 洗浄剤を水で希釈した希釈液に、KOH、NaOH、ETDA−4Na、ETDA−4K、Na、Kから選択される1種以上のアルカリ成分を1%以上の濃度で加えたガラス板の洗浄液。
  2. 前記アルカリ成分がKOHである、
    請求項1に記載のガラス板の洗浄液。
  3. 請求項1または請求項2に記載のガラス板の洗浄液を用い、
    ガラス板を前記洗浄液に浸漬させて洗浄して、前記ガラス板に付着した異物を除去する洗浄工程を有することを特徴とするガラス板の洗浄方法。
  4. 前記洗浄工程の前に、前記ガラス板は間に再生紙が挟み込まれて積層され、
    前記異物は、前記再生紙に含まれる物質に由来する粘着異物である、
    請求項3に記載のガラス板の洗浄方法。
  5. 前記異物は、前記積層により荷重を受けた前記粘着異物である、
    請求項4に記載のガラス板の洗浄方法。
  6. 前記異物は、時間の経過により変質した前記粘着異物である、
    請求項4または5に記載のガラス板の洗浄方法。
  7. 前記洗浄工程において、前記洗浄液の温度を60℃よりも高くする、
    請求項3から6のいずれか一項に記載のガラス板の洗浄方法。
  8. ガラス板と紙とを交互に積層させた積層体から前記ガラス板を取り出す工程と、
    請求項3から7のいずれか一項に記載の洗浄方法により前記ガラス板を洗浄する工程と、
    を有するガラス板の製造方法。
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