JP2015009997A - ガラス板ならびにその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ガラス板の保管および輸送過程だけでなく、製造工程におけるガラス板搬送工程においても、その表面に疵の発生および汚れの付着により欠陥が生じることを抑制するガラス板の製造方法、及び欠陥が抑制されたガラス板を提供すること。【解決手段】ガラス板の表面に有機物からなる有機膜を形成して有機膜付きガラス板とする被膜工程を有し、該有機膜が設けられた側の有機膜付きガラス板の表面の耐傷性が、連続加重式引掻強度試験機による、アルミナボールを用いた耐傷試験において50〜500gfである有機膜付きガラス板を製造する、有機膜付きガラス板の製造工程と、上記有機膜付きガラス板の製造工程の後に、上記有機膜付きガラス板を洗浄して該有機膜を除去したガラス板とする洗浄工程とを備えた、ディスプレイ用ガラス板の製造方法を提供する。【選択図】なし
Description
本発明は、ガラス板ならびにその製造方法に関する。
種々の製品に使用されるガラス板は、保管および輸送される際に、その表面に疵および汚れが付着して欠陥となりやすいことが知られている。特に、液晶ディスプレイに使用されるガラス基板のように、表面に電気回路が組み込まれるガラス板では、極微小な疵および汚れであっても製品不良の原因となる。そのため、このようなガラス板には、極めて高い表面特性が維持されることが要求される。
ガラス板の表面の疵は、ガラス板を保管および輸送する過程において、隣接するガラス板の表面が擦れ合うことによって発生する場合が多い。また、ガラス板の表面の汚れは、ガラス板を保管および輸送する際の雰囲気中に存在する有機物等が、ガラス板の表面に付着することによって発生する場合が多い。そこで、ガラス板を積層させて梱包する場合における疵および汚れなどのガラス基板の面内欠陥の発生を抑制するために、従来、ガラスに付着するような成分の含有が少ない合紙を介してガラス板を積層させてガラス板の表面同士を離間させたガラス板の積層体を保管および輸送するガラス板の梱包方法が用いられてきた。
液晶ディスプレイに使用されるガラス板などでは、ガラス板の表面品質のいっそうの改善が求められている。例えば、ガラス板面内の疵欠陥による強度の低下の問題や、ディスプレイパネルの配線パターン細線化に伴い顕在化してきた微小な面内欠陥の問題への対策が求められている。
ガラス板の表面の微小な疵としては、ガラス板の製造工程でのガラス板を搬送する工程において、搬送部材とガラス板の表面が接触することによっても発生するものがある。このような搬送工程における微小な疵については、ガラスシートの表面に保護膜となる有機物などを付着させ、発生を抑制することが知られているが、ガラス板の搬送工程における傷の抑制には十分とは言えなかった。また、製品としてのガラス板の表面は高度に洗浄されている必要があり、有機付着物の洗浄が十分になされないという問題があった。
本発明の目的は、ガラス板の保管および輸送過程だけでなく、製造工程におけるガラス板搬送工程においても、その表面に疵の発生および汚れの付着により欠陥が生じることを抑制するガラス板の製造方法、及び欠陥が抑制されたガラス板を提供することである。
本発明に係るディスプレイ用ガラス板の製造方法は、ガラス板の表面に有機物からなる有機膜を形成して有機膜付きガラス板とする被膜工程を有し、上記有機膜が設けられた側の有機膜付きガラス板の表面の耐傷性が、連続加重式引掻強度試験機による、アルミナボールを用いた耐傷試験において50〜500gfである有機膜付きガラス板を製造する、有機膜付きガラス板の製造工程と;上記有機膜付きガラス板の製造工程の後に、上記有機膜付きガラス板を洗浄して上記有機膜を除去したガラス板とする洗浄工程とを備える。
上記被膜工程において、上記有機物を、表面に上記有機物が付着したパルプ紙から転写させて上記有機膜を形成することが好ましい。
また、上記被膜工程において、上記ガラス板の表面の温度が、上記パルプ紙の表面の温度よりも高い状態で、上記ガラス板の表面に上記パルプ紙の表面が接触することにより上記ガラス板の表面に上記有機膜を形成することが好ましい。
さらに、上記被膜工程において、上記ガラス板と上記パルプ紙とを積層することにより、上記ガラス板の表面と上記パルプ紙の表面を接触させたガラス積層体を形成し、上記ガラス積層体を30℃以上の環境下に保管することにより、上記ガラス板の表面に上記有機膜を形成することが好ましい。
上記有機物はポリマーからなることが好ましい。
上記有機物はポリマーからなることが好ましい。
さらにまた、上記有機膜付きガラス板の製造工程と上記洗浄工程との間に、ガラス板を搬送する搬送工程をさらに含むことが好ましい。
また、本発明のディスプレイ用ガラス板は、上記記載の何れかの製造方法で製造され、少なくとも一方の表面の接触角が5°以下である。
また、本発明のディスプレイ用ガラス板は、上記記載の何れかの製造方法で製造され、少なくとも一方の表面の接触角が5°以下である。
また、本発明のガラス板は、有機膜を設けることにより耐傷性を向上させたガラス板であって、上記有機膜が設けられた表面の耐傷性が、連続加重式引掻強度試験機によるアルミナボールを用いた耐傷試験において50〜500gfである。
上記有機膜はポリマーからなり、上記有機膜が設けられた表面の接触角が10〜40°であることが好ましい。
上記有機膜はポリマーからなり、上記有機膜が設けられた表面の接触角が10〜40°であることが好ましい。
ガラス板の保管および輸送過程だけでなく、製造工程におけるガラス板搬送工程においても、その表面に疵の発生および汚れの付着により欠陥が生じることを抑制するガラス板の製造方法、及び欠陥が抑制されたガラス板を提供できる。
(1)ガラス板の製造方法
(1−1)ガラス板製造装置の全体構成
最初に、本実施形態のガラス板の製造方法が行われるガラス板製造装置100の全体構成について、図1を参照しながら説明する。
ガラス板製造装置100は、主として、溶解槽200と、清澄槽300と、成形装置400と、加工装置500と、洗浄槽600とから構成される。溶解槽200では、ガラスの原料が溶解されて、溶融ガラスが生成される。溶解槽200で生成された溶融ガラスは、清澄槽300へ送られる。清澄槽300では、溶融ガラスに含まれる気泡の除去が行われる。清澄槽300で気泡が除去された溶融ガラスは、成形装置400へ送られる。成形装置400では、オーバーフロー・ダウンドロー法によって、溶融ガラスからシートガラスが連続的に成形される。成形装置400で成形されたシートガラスは、所定の大きさのガラス板GSに切断される。続いて、ガラス板GSの表面には、後述する有機膜付きガラス板の製造工程により有機膜が形成され、有機膜付きガラス板が製造される。
有機膜付きガラス板は、搬送装置により加工装置500へ送られる(搬送工程)。
(1−1)ガラス板製造装置の全体構成
最初に、本実施形態のガラス板の製造方法が行われるガラス板製造装置100の全体構成について、図1を参照しながら説明する。
ガラス板製造装置100は、主として、溶解槽200と、清澄槽300と、成形装置400と、加工装置500と、洗浄槽600とから構成される。溶解槽200では、ガラスの原料が溶解されて、溶融ガラスが生成される。溶解槽200で生成された溶融ガラスは、清澄槽300へ送られる。清澄槽300では、溶融ガラスに含まれる気泡の除去が行われる。清澄槽300で気泡が除去された溶融ガラスは、成形装置400へ送られる。成形装置400では、オーバーフロー・ダウンドロー法によって、溶融ガラスからシートガラスが連続的に成形される。成形装置400で成形されたシートガラスは、所定の大きさのガラス板GSに切断される。続いて、ガラス板GSの表面には、後述する有機膜付きガラス板の製造工程により有機膜が形成され、有機膜付きガラス板が製造される。
有機膜付きガラス板は、搬送装置により加工装置500へ送られる(搬送工程)。
本実施形態においては、図2に示す搬送ローラ12を複数有する搬送装置10により、上記ガラス板が加工装置500へ送られる。搬送ローラ12は、ガラス板を下から見た場合、図3に示すように配置されている。
加工装置500では、ガラス板の端面を面取り加工する処理が行われる。
加工後のガラス板は洗浄槽600へ搬送され、ガラス板の表面を洗浄する洗浄工程が行われる。洗浄工程では、ガラス板を水平方向に搬送しながら、ガラス板の表面に洗浄液を噴出して洗浄するか、あるいは、ガラス板を洗浄液に浸した状態で洗浄液に超音波を照射することによって、ガラス板に付着している異物や汚れ、ならびに有機膜を除去する。同時に表面処理剤によりガラス板に表面処理を施してもよい。
洗浄槽600で洗浄および表面処理されたガラス板は、製品として出荷される。ガラス板は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ用のガラス板として用いられる。
加工後のガラス板は洗浄槽600へ搬送され、ガラス板の表面を洗浄する洗浄工程が行われる。洗浄工程では、ガラス板を水平方向に搬送しながら、ガラス板の表面に洗浄液を噴出して洗浄するか、あるいは、ガラス板を洗浄液に浸した状態で洗浄液に超音波を照射することによって、ガラス板に付着している異物や汚れ、ならびに有機膜を除去する。同時に表面処理剤によりガラス板に表面処理を施してもよい。
洗浄槽600で洗浄および表面処理されたガラス板は、製品として出荷される。ガラス板は、液晶ディスプレイやプラズマディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ用のガラス板として用いられる。
次に、本発明に係るガラス板の製造方法に特徴的な工程である有機膜付きガラス板の製造工程について説明する。
(1−2)有機膜付きガラス板の製造工程
有機膜付きガラス板の製造工程では、上記で製造されたガラス板GSを、合紙と接触させる。本実施形態では、ガラス板GSをガラス板梱包体とする。図4は、ガラス板梱包体20の斜視図である。ガラス板梱包体20は、複数の矩形状のガラス板GSが矩形状の合紙23を介して積層されたガラス積層体25と、パレット21とからなる。図4に示されるガラス板GSおよび合紙23の数は、実際のガラス板梱包体のガラス板および合紙の数よりも少ない。ガラス積層体25は、ガラス板GSがパレット21上に立て掛けられている状態で、パレット21上に載置されている。
有機膜付きガラス板の製造工程では、上記で製造されたガラス板GSを、合紙と接触させる。本実施形態では、ガラス板GSをガラス板梱包体とする。図4は、ガラス板梱包体20の斜視図である。ガラス板梱包体20は、複数の矩形状のガラス板GSが矩形状の合紙23を介して積層されたガラス積層体25と、パレット21とからなる。図4に示されるガラス板GSおよび合紙23の数は、実際のガラス板梱包体のガラス板および合紙の数よりも少ない。ガラス積層体25は、ガラス板GSがパレット21上に立て掛けられている状態で、パレット21上に載置されている。
ガラス積層体25がパレット21上に形成される過程について、具体的に説明する。最初に、何も載置されていないパレット21上に、一枚の合紙23を立て掛ける。立て掛けた合紙23の主面は、背面支持台26の背面支持面26sに密着している。次に、一枚のガラス板GSをパレット21上に立て掛ける。立て掛けたガラス板GSの主面は、その前に立て掛けた合紙23の主面に密着している。次に、一枚の合紙23をパレット21上に立て掛ける。以上の工程を繰り返し、ガラス板GSと合紙23とを交互にパレット21上に立て掛けることで、ガラス積層体25が形成される。
パレット21上に載置されるガラス積層体25のガラス板GSの枚数は、例えば、厚みが0.5mmの第5世代のガラス板の場合は約600枚、厚みが0.7mmの第5世代のガラス板の場合は約500枚である。パレット21上に載置されたガラス積層体25は、ベルト等によってパレット21上に固定された状態で、ガラス板梱包体20として保管および運搬される。
パレット20上に載置されたガラス積層体25は、ガラス板梱包体20として保管および運搬された後、液晶ディスプレイの製造ライン等において、合紙23が除去されながらガラス板GSが取り出され、図2、3に示されるように、搬送ローラ12により搬送される。このとき、ガラス板GSおよび合紙23は、積層された順番とは逆の順番で、パレット21上のガラス積層体25から交互に抜き取られる。
(1−3)被膜工程
被膜工程では、種々の方法でガラス板の表面に有機物からなる有機膜を形成して有機膜付きガラス板とすることができる。本実施形態では、ガラス板梱包体においてガラス板GSを合紙23に接触させることにより、有機物を合紙から転写させて上記有機膜を形成する。有機膜は、本実施形態においては、予め合紙に含浸された有機物を、ガラス板に転写することにより行う。被膜工程では、ガラス板GSの表面の温度が、合紙23の表面の温度よりも高い状態で、ガラス板GSの表面に合紙23の表面が接触することによりガラス板GSの表面に上記有機膜を形成する。被膜工程では、ガラス板GSと合紙23とを積層することにより、ガラス板PGの表面と合紙23の表面を接触させてガラス積層体25を形成し、このガラス積層体を30℃以上の環境下に保管することにより、ガラス板PGの表面に有機膜を形成する。
被膜工程では、種々の方法でガラス板の表面に有機物からなる有機膜を形成して有機膜付きガラス板とすることができる。本実施形態では、ガラス板梱包体においてガラス板GSを合紙23に接触させることにより、有機物を合紙から転写させて上記有機膜を形成する。有機膜は、本実施形態においては、予め合紙に含浸された有機物を、ガラス板に転写することにより行う。被膜工程では、ガラス板GSの表面の温度が、合紙23の表面の温度よりも高い状態で、ガラス板GSの表面に合紙23の表面が接触することによりガラス板GSの表面に上記有機膜を形成する。被膜工程では、ガラス板GSと合紙23とを積層することにより、ガラス板PGの表面と合紙23の表面を接触させてガラス積層体25を形成し、このガラス積層体を30℃以上の環境下に保管することにより、ガラス板PGの表面に有機膜を形成する。
(1−4)有機物
上記有機物としては、ポリマーであることが好ましい。ポリマーを有機膜とすることにより、ガラス板表面の傷の発生(特には、搬送時の傷の発生)をより効果的に抑制できる。中でも、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、鉱油、ポリエチレン乳化液等が、合紙に含浸することが容易な点から好ましい。
上記有機物としては、ポリマーであることが好ましい。ポリマーを有機膜とすることにより、ガラス板表面の傷の発生(特には、搬送時の傷の発生)をより効果的に抑制できる。中でも、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリエチレングリコール(PEG)、鉱油、ポリエチレン乳化液等が、合紙に含浸することが容易な点から好ましい。
(1−5)合紙
合紙23は、ガラス板GS同士が直接接触することを防止して、ガラス板GSを保護するためのシートである。合紙23は、隣接するガラス板GSの表面が擦れ合うことによって発生するガラス板GSの表面の疵を抑制する。また、合紙23は、ガラス板GSを保管および搬送する際の雰囲気中に存在する有機物等がガラス板GSの表面に付着することによって発生するガラス板の表面の汚れを抑制する。合紙23としては、粘着剤成分を含まない紙が好ましく、具体的には、表面に上記有機物が付着したパルプ紙が好ましい。
合紙23は、ガラス板GS同士が直接接触することを防止して、ガラス板GSを保護するためのシートである。合紙23は、隣接するガラス板GSの表面が擦れ合うことによって発生するガラス板GSの表面の疵を抑制する。また、合紙23は、ガラス板GSを保管および搬送する際の雰囲気中に存在する有機物等がガラス板GSの表面に付着することによって発生するガラス板の表面の汚れを抑制する。合紙23としては、粘着剤成分を含まない紙が好ましく、具体的には、表面に上記有機物が付着したパルプ紙が好ましい。
本実施形態では、有機物を合紙23の製紙時に加えることにより、含浸させて付着させる。また、合紙の表面に、刷毛等により塗布したり、スプレーしてもよい。
合紙23に含まれる有機物をガラス板GSの表面に付着させるため、合紙23の表面の粗さは、適宜調整するのが好ましい。なお、合紙23の厚みは、0.05mm〜0.2mmであることが好ましい。また、合紙23の平滑度は20秒(JIS−P8155)以下であることが好ましい。平滑度が高いことで、有機物の付着の面内分布を小さくでき、付着ばらつきを小さくすることができる。
被膜工程では、パルプ紙に塗工した有機物をガラス基板の表面に付着させることが好ましい。例えば、透気度の低い材料では、ガラス表面とフィルムとの間に気泡が生じるおそれがある。気泡の発生により局所的にフィルムとの接触が弱くなる、また局所的に接触が強くなり、有機物の付着ムラが生じるおそれがある。これに対し、本発明の実施形態のように、パルプ紙に塗工した有機物を付着させることで、ガラス表面への付着ムラを低減することができる。
(2)耐傷性
有機膜含有ガラス板の表面の耐傷性は、連続加重式引掻強度試験機による、アルミナボールを用いた耐傷試験において50〜500gfである場合に、本発明の効果が得られる。上記耐傷性は、JISK5600 5-5 塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第5節:引っかき硬度(荷重針法)を参考にして測定し、より具体的には、連続加重式引掻強度試験機において、所定の移動距離について所定(例えば0〜550gf)の加重を、アルミナボールを使用して連続的にガラス板の表面に加重し、傷が発生した時点における加重の値である。耐傷性の範囲は、好ましくは200〜500gfである。移動距離は50mm程度とし、連続加重は、50〜250gf、0〜50gfで測定してもよい。
有機膜含有ガラス板の表面の耐傷性は、連続加重式引掻強度試験機による、アルミナボールを用いた耐傷試験において50〜500gfである場合に、本発明の効果が得られる。上記耐傷性は、JISK5600 5-5 塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第5節:引っかき硬度(荷重針法)を参考にして測定し、より具体的には、連続加重式引掻強度試験機において、所定の移動距離について所定(例えば0〜550gf)の加重を、アルミナボールを使用して連続的にガラス板の表面に加重し、傷が発生した時点における加重の値である。耐傷性の範囲は、好ましくは200〜500gfである。移動距離は50mm程度とし、連続加重は、50〜250gf、0〜50gfで測定してもよい。
本発明では、アルミナボールを使用して耐傷性の測定を行う。サファイヤ針は、針の磨耗が早いため好ましくない。ダイヤモンド針は、多少磨耗は抑えられるが交換頻度が早すぎること、また、1gfでも傷が発生する為差異が見えにくく好ましくない。アルミナボールであれば、球体の位置を変えることで複数回使用できること、表面の有機物量で明確に耐傷性に差異が見られるため、アルミナボールが選定される。なおアルミナボールとしては、アルミナ純度が99%以上のものが選定される。具体的には、日本セラテックA9951を好適に使用できる。
(3)接触角
有機膜が設けられた表面の接触角は、同じ接触角の値でも成分によって耐傷性の値は変わるが、例えば10〜40°であることが好ましく、20〜30°であることがより好ましい。接触角は、JISR3257に準拠し、液適法、θ/2法で測定できる。
有機膜が設けられた表面の接触角は、同じ接触角の値でも成分によって耐傷性の値は変わるが、例えば10〜40°であることが好ましく、20〜30°であることがより好ましい。接触角は、JISR3257に準拠し、液適法、θ/2法で測定できる。
(4)洗浄工程
洗浄工程では、上記有機膜付きガラス板の製造工程の後に、有機膜付きガラス板を洗浄して有機膜を除去したガラス板とする。洗浄工程では、ガラス基板用の洗浄剤を水で希釈した希釈液(1wt%から5wt%の範囲の濃度になるよう)に、KOH、NaOH、ETDA−4Na、ETDA−4K、Na4P2O7、K4P2O7から選択される1種以上のアルカリ成分を1%以上の濃度で加えたアルカリ洗浄洗剤が用いられる。
洗浄工程では、上記有機膜付きガラス板の製造工程の後に、有機膜付きガラス板を洗浄して有機膜を除去したガラス板とする。洗浄工程では、ガラス基板用の洗浄剤を水で希釈した希釈液(1wt%から5wt%の範囲の濃度になるよう)に、KOH、NaOH、ETDA−4Na、ETDA−4K、Na4P2O7、K4P2O7から選択される1種以上のアルカリ成分を1%以上の濃度で加えたアルカリ洗浄洗剤が用いられる。
ガラス基板用の洗浄剤としては、パーカーコーポレーション社製のPK−LCGシリーズ、あるいは横浜油脂工業株式会社製のセミクリーンシリーズなどがある。
本実施形態では、上記アルカリ洗浄洗剤を用いた物理洗浄を行ったが、上記アルカリ洗浄洗剤を60℃以上に維持した洗浄槽に、ガラス基板を浸漬させ超音波洗浄を行ってもよい。
本実施形態では、上記アルカリ洗浄洗剤を用いた物理洗浄を行ったが、上記アルカリ洗浄洗剤を60℃以上に維持した洗浄槽に、ガラス基板を浸漬させ超音波洗浄を行ってもよい。
(5)ディスプレイ用ガラス板
本発明によれば、搬送工程によるキズ発生を抑制できると共に、洗浄後のガラス板の表面・裏面の両面において高い清浄性を実現することができる。例えば、表面側のキズを抑制し、かつ清浄性が高いガラス基板を得ることで、ガラス基板の面強度の低下を抑制するだけでなく、有機EL(Elector-Luminescence)用TFT(Thin Film Transistor)パネルディプレイや、高精細液晶向けTFTパネルディプレイのパネルにおいて、密着性の低い配線/電極材料の使用も可能になる。例えば、Al系電極や、Cr、Mo電極などに比して、密着性は低いが、低抵抗のCu系電極材料を使用することができる。電極材料の選択幅が広がることで、大型パネルディプレイで問題になりやすいRC遅延(配線遅延)の問題を解消することができる。また、今後さらに高精細化が進む小型パネルディプレイにおいて生じうるRC遅延の問題を解消することができるガラス基板を提供することができる。また、高精細液晶向けカラーフィルタパネルにおいて、4μm未満のブラックマトリックス配線を形成する場合においても、ブラックマトリックスの残渣・剥離の問題を抑制することができる。
本発明によれば、搬送工程によるキズ発生を抑制できると共に、洗浄後のガラス板の表面・裏面の両面において高い清浄性を実現することができる。例えば、表面側のキズを抑制し、かつ清浄性が高いガラス基板を得ることで、ガラス基板の面強度の低下を抑制するだけでなく、有機EL(Elector-Luminescence)用TFT(Thin Film Transistor)パネルディプレイや、高精細液晶向けTFTパネルディプレイのパネルにおいて、密着性の低い配線/電極材料の使用も可能になる。例えば、Al系電極や、Cr、Mo電極などに比して、密着性は低いが、低抵抗のCu系電極材料を使用することができる。電極材料の選択幅が広がることで、大型パネルディプレイで問題になりやすいRC遅延(配線遅延)の問題を解消することができる。また、今後さらに高精細化が進む小型パネルディプレイにおいて生じうるRC遅延の問題を解消することができるガラス基板を提供することができる。また、高精細液晶向けカラーフィルタパネルにおいて、4μm未満のブラックマトリックス配線を形成する場合においても、ブラックマトリックスの残渣・剥離の問題を抑制することができる。
また、裏面側のキズを抑制し、かつ清浄性の高いガラス基板を得ることで、ガラス基板の裏面側を粗面化する場合であっても、面内を均一に粗面化することができる。例えば、ケミカルエッチングを行い、裏面全体の平均表面粗さRaを0.5nm以上にエッチングすることができる。さらに、パネル製造後にガラス基板を薄くするスリミング工程において、キズや付着物によるスリミングムラが発生することを抑制できる。
表1に示す有機物を製造工程において添加したパルプ紙を製造した。パルプ紙として、特種東海製紙製KirariD2を使用した。このパルプ紙の有機物含有量を表1に示した。このパルプ紙を合紙として、ガラス板に挟んで25℃にて24時間保管し、有機膜含有ガラス板を製造した。この有機膜含有ガラス板をアルカリ洗浄により洗浄し、洗浄後のガラス板を得た。使用したパルプ紙の平滑度は20秒(JIS−P8155)以下であった。
得られた有機膜含有ガラス板の耐傷性、搬送工程における傷の発生を以下の方法で測定した。また、ガラス板の接触角を以下の方法で測定した。結果を表1に示す。
(i)耐傷性
連続加重式引掻強度試験機(新東科学株式会社製 表面性測定機TYPE-38)の架台に、上記で得られた有機膜含有ガラス板をそれぞれセットし、アルミナボールを用いて、移動距離50mm、連続加重0〜550gfの加重を連続的に加えて、傷の発生した点における加重の値を測定した。
(ii)接触角
得られた有機膜含有ガラス板と洗浄後のガラス板の、有機膜側の表面の接触角を、協和界面科学株式会社製Dropmaster300を用いて測定した。
(iii)搬送工程における傷の発生
上記実施形態に示す搬送ローラによる搬送装置を使用して、有機膜含有ガラス板を搬送した後のガラスの面強度を測定し、強度の低下を確認した。
面強度の測定方法:EN 1288(ISO DIS 1288) リング曲げ試験規格
(薄板では規格外ではあるが、本規格を参考に評価した。)
評価は、各50枚を評価した。上記傷の発生は、搬送された側のガラス表面を評価した。
(i)耐傷性
連続加重式引掻強度試験機(新東科学株式会社製 表面性測定機TYPE-38)の架台に、上記で得られた有機膜含有ガラス板をそれぞれセットし、アルミナボールを用いて、移動距離50mm、連続加重0〜550gfの加重を連続的に加えて、傷の発生した点における加重の値を測定した。
(ii)接触角
得られた有機膜含有ガラス板と洗浄後のガラス板の、有機膜側の表面の接触角を、協和界面科学株式会社製Dropmaster300を用いて測定した。
(iii)搬送工程における傷の発生
上記実施形態に示す搬送ローラによる搬送装置を使用して、有機膜含有ガラス板を搬送した後のガラスの面強度を測定し、強度の低下を確認した。
面強度の測定方法:EN 1288(ISO DIS 1288) リング曲げ試験規格
(薄板では規格外ではあるが、本規格を参考に評価した。)
評価は、各50枚を評価した。上記傷の発生は、搬送された側のガラス表面を評価した。
洗浄前接触角は、10〜40°を○、それ以外を×とした。
洗浄後接触角は、4°以下を○、4°超5°以下を△、5°を超える場合を×とした。
搬送工程における傷の発生は、素板からの強度の低下が25%以下を○、25%超40%未満を△、それ以上を×とした。
表1に示すように、ポリマーからなる有機膜を有し、50〜500gfの耐傷性を有する実施例のガラス板では、搬送ローラによる傷の発生が抑制された。また、洗浄後の接触角が5°以下、好ましくは2〜4°であり、有機膜が洗浄工程においてより良好に除去された。
(4)変形例
(4−1)変形例A
本実施形態では、搬送工程おいて搬送ローラによる接触式搬送によりガラス板を搬送したが、搬送工程は、吸着パッドによる接触式搬送で行ってもよく、これらの工程におけるガラス板表面の傷を効果的に抑制できる。また、エアーフロート搬送等の非接触式搬送でも、浮上精度が悪いと、ガラス裏面が擦るという問題があり、非接触搬送装置でも、本発明の効果が得られる。なかでも、接触式搬送において、特に良好な効果が得られる。
(4−1)変形例A
本実施形態では、搬送工程おいて搬送ローラによる接触式搬送によりガラス板を搬送したが、搬送工程は、吸着パッドによる接触式搬送で行ってもよく、これらの工程におけるガラス板表面の傷を効果的に抑制できる。また、エアーフロート搬送等の非接触式搬送でも、浮上精度が悪いと、ガラス裏面が擦るという問題があり、非接触搬送装置でも、本発明の効果が得られる。なかでも、接触式搬送において、特に良好な効果が得られる。
(4−2)変形例B
有機膜含有ガラス板の製造工程は、上記実施形態に限定されず、板ガラスの表面に有機膜が形成されればよく、種々の方法が仕様できる。例えば、板ガラスの表面に有機物をスプレーしたり、板ガラスを有機物を含む液体中に浸漬、通過させてもよい。
有機膜含有ガラス板の製造工程は、上記実施形態に限定されず、板ガラスの表面に有機膜が形成されればよく、種々の方法が仕様できる。例えば、板ガラスの表面に有機物をスプレーしたり、板ガラスを有機物を含む液体中に浸漬、通過させてもよい。
(4−3)変形例C
本実施形態では、ガラス板の搬送工程後に洗浄工程を行ったが、ガラス板は洗浄工程前に保管・輸送されてもよい。この場合、保管・輸送される際のガラス板の表面の傷も効果的に抑制できる。
本実施形態では、ガラス板の搬送工程後に洗浄工程を行ったが、ガラス板は洗浄工程前に保管・輸送されてもよい。この場合、保管・輸送される際のガラス板の表面の傷も効果的に抑制できる。
100 ガラス板製造装置
200 溶解槽
300 清澄槽
400 成形装置
500 清浄槽
10 ガラス板搬送装置
12 搬送ローラ
20 ガラス板梱包体
21 パレット
23 合紙
GS ガラス板
200 溶解槽
300 清澄槽
400 成形装置
500 清浄槽
10 ガラス板搬送装置
12 搬送ローラ
20 ガラス板梱包体
21 パレット
23 合紙
GS ガラス板
Claims (9)
- ガラス板の表面に有機物からなる有機膜を形成して有機膜付きガラス板とする被膜工程を有し、該有機膜が設けられた側の有機膜付きガラス板の表面の耐傷性が、連続加重式引掻強度試験機による、アルミナボールを用いた耐傷試験において50〜500gfである有機膜付きガラス板を製造する、有機膜付きガラス板の製造工程と、
前記有機膜付きガラス板の製造工程の後に、前記有機膜付きガラス板を洗浄して該有機膜を除去したガラス板とする洗浄工程と
を備えた、
ディスプレイ用ガラス板の製造方法。 - 前記被膜工程において、前記有機物を、表面に前記有機物が付着したパルプ紙から転写させて前記有機膜を形成する、
請求項1に記載のディスプレイ用ガラス板の製造方法。 - 前記被膜工程において、前記ガラス板の表面の温度が、前記パルプ紙の表面の温度よりも高い状態で、前記ガラス板の表面に前記パルプ紙の表面が接触することにより前記ガラス板の表面に前記有機膜を形成する、請求項2に記載のディスプレイ用ガラス板の製造方法。
- 前記被膜工程において、前記ガラス板と前記パルプ紙とを積層することにより、前記ガラス板の表面と前記パルプ紙の表面を接触させたガラス積層体を形成し、前記ガラス積層体を30℃以上の環境下に保管することにより、前記ガラス板の表面に前記有機膜を形成する、請求項2に記載のディスプレイ用ガラス板の製造方法。
- 前記有機物がポリマーからなる、
請求項1〜4の何れか1項に記載のディスプレイ用ガラス板の製造方法。 - 前記有機膜付きガラス板の製造工程と前記洗浄工程との間に、ガラス板を搬送する搬送工程をさらに含む、
請求項1〜5の何れか1項に記載のディスプレイ用ガラス板の製造方法。 - 請求項1〜6の何れか1項に記載の製造方法で製造され、
少なくとも一方の表面の接触角が5°以下である、
ディスプレイ用ガラス板。 - 有機膜を設けることにより耐傷性を向上させたガラス板であって、
該有機膜が設けられた表面の耐傷性が、連続加重式引掻強度試験機によるアルミナボールを用いた耐傷試験において50〜500gfである、
ガラス板。 - 前記有機膜がポリマーからなり、
前記有機膜が設けられた表面の接触角が10〜40°である、
請求項8に記載のガラス板。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2013134142A JP2015009997A (ja) | 2013-06-26 | 2013-06-26 | ガラス板ならびにその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2013134142A JP2015009997A (ja) | 2013-06-26 | 2013-06-26 | ガラス板ならびにその製造方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2015009997A true JP2015009997A (ja) | 2015-01-19 |
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ID=52303473
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2013134142A Pending JP2015009997A (ja) | 2013-06-26 | 2013-06-26 | ガラス板ならびにその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2015009997A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR101542583B1 (ko) * | 2009-05-28 | 2015-08-07 | 인텔렉츄얼 키스톤 테크놀로지 엘엘씨 | 태양 전지 및 그 제조 방법 |
-
2013
- 2013-06-26 JP JP2013134142A patent/JP2015009997A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101542583B1 (ko) * | 2009-05-28 | 2015-08-07 | 인텔렉츄얼 키스톤 테크놀로지 엘엘씨 | 태양 전지 및 그 제조 방법 |
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