JP5925539B2 - ガラス板の製造方法 - Google Patents
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さらにガラス板は、ガラス主表面に塵や微粒子等が付着しないようにきれいに洗浄される。
しかし、研削ホイールの研削面及びガラス板の端面に水を加工液として供給しても、ガラス板の端面と研削ホイールの研削面との間の摩擦抵抗を十分に低下できず、依然として大きい(潤滑性が悪い)場合がある。この結果、研削ホイールの研削面は摩擦により高温化し砥粒の早期摩耗により寿命を早める場合がある。
成形されたガラス板の端面を、研削ホイールあるいは研磨ホイールを回転させることにより研削あるいは研磨をする工程と、
端面が研削あるいは研磨された前記ガラス板の主表面を、洗浄液を用いて洗浄する工程と、を有する。
前記研削あるいは研磨をする工程では、非イオン系又は陰イオン系の組成物を界面活性剤として含む液を水に加えた加工液を用いて前記端面の研削あるいは研磨が行われ、
前記加工液には、表面張力が50mN/m未満になるように、前記界面活性剤が含有される。
前記洗浄する工程では、非イオン系又は陰イオン系の組成物を界面活性剤として含む液を水に加えた洗浄液を用いて前記ガラス板の表面の洗浄が行われ、前記加工液に用いる界面活性剤の含有率は、前記洗浄液に用いる界面活性剤の含有率に比べて低い、ことが好ましい。
前記研削あるいは研磨する工程では、前記研削ホイールを所定の周速度で回転させる駆動モータを用いて前記研削ホイールを回転させ前記ガラス板の端面を加工し、前記駆動モータの加工電流値の上昇を抑制するよう、前記水に加える前記液の量を決定する、ことが好ましい。
前記加工液は、前記界面活性剤を臨界ミセル濃度以上含む、ことが好ましい。
前記ガラス板の組成は、SiO 2 :50〜70質量%、Al 2 O 3 :10〜25%質量%を含むアルミノシリケートガラスであって、さらにR’ 2 O:0.0質量%以上2.0質量%以下である、ことが好ましい。
前記研削あるいは研磨する工程では、前記洗浄液に含まれる界面活性剤と同じ界面活性剤を水に加えた加工液を用いて前記端面の研削あるいは研磨が行われる、ことが好ましい。
本実施形態で製造されるガラス板は、特に限定されないが、例えば、携帯電子機器等の電子機器の表示画面に用いるカバーガラスや、フラットディスプレイパネル等の表示装置の基板等に用いられる。
ガラス板の組成は特に限定されないが、例えば、以下の組成比率のガラス板に適用され得る。
(a)SiO2:50〜70質量%、
(b)B2O3:5〜18質量%、
(c)Al2O3:10〜25質量%、
(d)MgO:0〜10質量%、
(e)CaO:0〜20質量%、
(f)SrO:0〜20質量%、
(o)BaO:0〜10質量%、
(p)RO:5〜20質量%(ただしRはMg、Ca、SrおよびBaから選ばれる、ガラス板に含有される全ての成分であり、少なくとも1種である)、
(q)R’2O: 0.0質量%以上2.0質量%以下(ただしR’はLi、NaおよびKから選ばれる、ガラス板に含有される全ての成分であり、少なくとも1種である)、
(r)酸化スズ、酸化鉄および酸化セリウムから選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を合計で0.05〜1.5質量%。
図1は、本実施形態のガラス板の製造方法の工程図である。本実施形態のガラス板の製造方法は、フラットパネルディスプレイ用ガラス板の製造方法である。本実施形態のガラス板の製造方法は、熔解工程(ST1)と、清澄工程(ST2)と、均質化工程(ST3)と、成形工程(ST4)と、徐冷工程(ST5)と、採板・切断工程(ST6)と、端面加工工程(ST7)と、洗浄工程(ST8)と、検査・梱包・出荷工程(ST9)と、を有する。出荷工程では、梱包工程でコンテナ等への箱詰めされた複数のガラス板の束が、納入先の業者に搬送される。
清澄工程(ST2)は、清澄槽202において行われ、ガラス供給管204を通って供給され熔融ガラスMGを清澄槽202内で加熱する。清澄槽202では、加熱された熔融ガラスMG中に含まれる気泡が、加熱された熔融ガラスMG中の清澄剤の還元反応で生じた酸素を吸収することにより成長し液面に浮上して放出される。その後、熔融ガラスMGを冷却する過程で生じる清澄剤の還元反応により気泡中の酸素等のガス成分が熔融ガラスMG中に吸収されて気泡が消滅する。これにより清澄槽202は、熔融ガラスMGを清澄する。
均質化工程(ST3)では、ガラス供給管205を通って供給された熔融ガラスMGを、攪拌槽203がスターラを用いて攪拌することにより、ガラス成分の均質化を行う。この後、ガラス供給管206を通して熔融ガラスMGが成形装置300に供給される。
成形工程(ST4)では、熔融ガラスMGをシートガラスGに成形し、シートガラスGの流れを作る。本実施形態では、成形体310を用いたオーバーフローダウンドロー法を用いる。徐冷工程(ST5)では、成形装置300は、成形されて流れるシートガラスGを引き伸ばし、かつ、一定の厚さを有し、かつ反り及び歪みが生じないように温度調整をしてシートガラスGを冷却する。
採板・切断工程(ST6)では、切断装置400が、成形装置300から供給されたシートガラスGを所定の長さに切断することで、板状のガラス板に採板する。採板されたガラス板はさらに、図示されないダイヤモンドカッターあるいはレーザ等により所定のサイズに切断され、目標サイズのガラス板11が作製される。
なお、本実施形態の成形工程では、ダウンドロー法を用いるが、ダウンドロー法に限定されず、フロート法、ロールアウト法等を成形工程に用いることができる。
図3は、端面加工工程を説明する図であり、ガラス板11の端面加工を行う端面加工処理ラインの装置配置を示す。ガラス板の端面加工処理ライン10には、第1面取り機12、第2面取り機14、コーナーカット機16、および反転機18と、が設けられ、第1面取り機12、反転機18、第2面取り機14、および、コーナーカット機16が、搬送経路の上流側から順に配置されている。
ここで、ガラス板11の端面の研削及び研磨では、後述する洗浄工程(ST8)で用いる洗浄液に含まれる界面活性剤と界面活性剤を水に加えた加工液を用いて研削、及び研磨が行われる。この点は後述する。
図4は、洗浄工程を説明する図である。図4に示されるように、端面が研削されたガラス板11の主表面が、洗浄液を用いて洗浄される。具体的には、複数の洗浄ブラシ30がガラスシート24の幅方向に沿って二列に並んだ洗浄装置が洗浄に用いられる。洗浄ブラシ30は例えば円形状をなしており、複数の繊維が円板状の基部に植毛されている。洗浄の際、洗浄ブラシ30は、隣接する洗浄ブラシ30と互いに反対方向に回転する。また、洗浄装置には、ガラス板11の幅方向に沿って、洗浄液をガラス板11上に供給する供給ノズル32が複数設けられている。洗浄液は界面活性剤を含んでいる。洗浄ブラシ30は、ガラス板11の両側の主表面の他にガラス板11の端面も洗浄する。
また、洗浄工程において、複数のガラス板11を図示されないカセットに収容し、洗浄液が収容された図示されない洗浄槽にガラス板11を浸漬して超音波による洗浄を行ってもよい。
界面活性剤としては、例えば非イオン系や陰イオン系等の組成物が用いられる。このような界面活性剤を含む洗浄液として、例えば、非イオン系を界面活性剤として含む無機アルカリ性洗浄剤製品名KG(横浜油脂工業株式会社製)が挙げられる。
なお、研削ホイール及び研磨ホイールは、図3に示すダイヤモンドホイール12a、及び研磨ホイール12b、ダイヤモンドホイール14a、及び研磨ホイール14b、コーナーカット用ダイヤモンドホイール16aを含む。
さらに、本実施形態で用いる水を、イオン交換処理、EDI(Electrodeionization)処理、逆浸透膜によるフィルタ処理、及び脱炭酸ガス装置を通した脱炭酸ガス処理を施した水を用いることで、ガラス板11の端面のみならず主表面にも、水に含まれていた不純物の成分が付着する機会が減少する。
本実施形態では、コーナーカットを含む端面の研削及び研磨時に用いる加工液が、洗浄工程に用いる界面活性剤と同じ界面活性剤を含むが、研削及び研磨の少なくとも一方において用いる加工液が、洗浄工程に用いる界面活性剤と同じ界面活性剤を含んでもよい。
本実施形態の効果を調べるために、非イオン系の組成物を界面活性剤として含む横浜油脂工業株式会社製無機アルカリ性洗浄剤製品名KGを用いて、上述した純水に上記界面活性剤を含ませた加工液を作成した。この加工液を用いて、ダイヤモンドホイール12aを研削ホイールとして用いてガラス板11の端面の研削を、図3に示す端面加工処理ライン10上で行った。
SiO2: 60質量%、
B2O3: 10質量%、
Al2O3: 19.8質量%、
CaO: 5質量%、
SrO: 5質量%、
SnO2: 0.2質量%。
加工液として、純水(従来例)の他に、逆浸透膜によるフィルタ処理を施した水に界面活性剤を0.05%(実施例1)、0.1%(実施例2)、0.3%(実施例3)の濃度で加えた3種類の加工液を用いた。実施例3の0.3%が、臨界ミセル濃度である。
加工液の表面張力は、図5に示すように、従来例>実施例1>実施例2>実施例3となり、実施例2、3において表面張力は50mN/m未満であった。
以上より、洗浄工程で用いる洗浄液に含まれる界面活性剤を水に含有させた加工液は、研削、研磨において加工液は潤滑性を有しつつ、加工結果も良好であることがわかった。したがって、加工液を用いて、効率よくガラス板11を製造することができる。
12 第1面取り機
12a,14a ダイヤモンドホイール
12b,14b 研磨ホイール
14 第2面取り機
16 コーナーカット機
16a コーナーカット用ダイヤモンドホイール
18 反転機
30 洗浄ブラシ
32 供給ノズル
200 熔解装置
201 熔解槽
202 清澄槽
203 攪拌槽
204,205,206 ガラス供給管
300 成形装置
310 成形体
400 切断装置
Claims (8)
- 表示装置用のガラス板の製造方法であって、
厚さ0.7mm以下に成形されたガラス板の端面を、研削ホイールあるいは研磨ホイールを回転させることにより研削あるいは研磨をする工程と、
端面が研削あるいは研磨された前記ガラス板の主表面を、洗浄液を用いて洗浄する工程と、を有し、
前記研削あるいは研磨をする工程では、非イオン系又は陰イオン系の組成物を界面活性剤として含む液を水に加えた加工液を用いて前記端面の研削あるいは研磨が行われ、
前記加工液には、表面張力が50mN/m未満になるように、前記界面活性剤が含有される、ことを特徴とする表示装置用のガラス板の製造方法。 - 前記界面活性剤を含む液はアルカリ性である、請求項1に記載の表示装置用のガラス板の製造方法。
- 前記洗浄する工程では、非イオン系又は陰イオン系の組成物を界面活性剤として含む液を水に加えた洗浄液を用いて前記ガラス板の表面の洗浄が行われ、
前記加工液に用いる界面活性剤の含有率は、前記洗浄液に用いる界面活性剤の含有率に比べて低い、請求項1または2に記載の表示装置用のガラス板の製造方法。 - 前記研削あるいは研磨をする工程では、前記研削ホイールを所定の周速度で回転させる駆動モータを用いて前記研削ホイールを回転させ前記ガラス板の端面を加工し、
前記駆動モータの加工電流値の上昇を抑制するよう、前記水に加える前記液の量を決定する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の表示装置用のガラス板の製造方法。 - 前記加工液は、前記界面活性剤を臨界ミセル濃度以上含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の表示装置用のガラス板の製造方法。
- 前記ガラス板は、表面にTFTが形成される液晶ディスプレイ用ガラス基板であって、
前記研削する工程では、前記ガラス板の端面を曲面状に研削する面取り加工を行う、請求項1〜5のいずれか1項に記載の表示装置用のガラス板の製造方法。 - 前記ガラス板の組成は、SiO2:50〜70質量%、Al2O3:10〜25%質量%を含むアルミノシリケートガラスであって、さらにR’2O:0.0質量%以上2.0質量%以下である、請求項1〜6のいずれか1項に記載の表示装置用のガラス板の製造方法。
- 前記研削あるいは研磨をする工程では、前記洗浄液に含まれる界面活性剤と同じ界面活性剤を水に加えた加工液を用いて前記端面の研削あるいは研磨が行われる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の表示装置用のガラス板の製造方法。
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