JP6510866B2 - ガラス基板の製造方法 - Google Patents
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Description
面取り加工として、ガラス基板端面を研削ホイールを用いて研削する。この際、ガラス基板の過熱防止及び摩擦低減のため、ガラス基板の端面と研削ホイールとの接触箇所に、研削液を供給しながら研削を行う。しかしながら、接触箇所に供給された後の研削液が、研削ホイールの回転により飛び散り、ガラス基板表面に飛散していた。この飛散した研削液は、ガラス破片(カレット)を含むため、ガラス基板表面のキズ等が発生して品質が低下し、高精細化パネルへの要求を満たすことは難しかった。
この問題を解決するため、ガラス基板上へのカレットの飛散を防止すべく、ガラス基板と研削ホイールとの間にカレット防止板を設けたものがある(例えば、特許文献1)。しかし、装置の構造によっては、ガラス基板と研削ホイールとの間にカレット防止板を設置できない場合があった。
また、ガラス端面と研削ホイールとの接触箇所に供給された後の研削液を、ガラス基板の内側の上部から端部に向けたウォーターカーテンで遮断し、ガラス基板表面へのカレットの飛散を防止するものがある(例えば、特許文献2)。
一方、ウォーターカーテンの水圧を、ガラス基板へのカレットの飛散を防止できる程度強くすると、ガラス端部にあたるウォーターカーテンによりガラス基板端部が振動し、ガラス基板端面の研削ホイールへの接触角度が一定にならない。そのため、研削品質が落ち、ガラス基板の端部のワレ・破損が生じる可能性あった。
本発明は、ガラス基板の端面を研削ホイールによって端面加工する際に、ガラス基板表面へのカレットの飛散を減少させるガラス基板の製造方法を目的とする。
このガラス基板の製造方法によれば、接触箇所の後に送出された研削液に対して、ガラス基板の内側から外側に、且つ、前記接触箇所近傍に選択的に液体を供給することにより、送出された研削液の軌道を、ガラス基板表面の内側からガラス基板の端面から外側に変更する。この様に送出された研削液の軌道を変更することにより、ガラス基板表面へのカレットの飛散量を大幅に減少させる。そのため、その後の洗浄工程でのガラス基板上部からのシャワーにより、ガラス基板表面に飛散したカレットを十分除去することが可能となる。
ここで、衝撃力(kg/cm2)は、I=K×Q×P1/2によって表され、Kは定数(0.024)、Qは流量(L/min)、Pは液体圧力(kg/cm2)であることが好ましい。
また、前記液体の噴射によって作られる流れの広がり角度は15度以下である、ことが好ましい。
<ガラス基板の製造方法>
本発明のガラス基板の製造方法の一例は、図1に示すように、熔解工程(ステップST1)、清澄工程(ステップST2)、均質化工程(ステップST3)、成形工程(ステップST4)、徐冷工程(ステップST5)、採板・切断工程(ステップST6)、端面加工工程(ステップST7)、洗浄工程(ステップST8)、検査・梱包・出荷工程(ステップST9)を備える。
清澄工程(ST2)は、熔融ガラスを加熱する。加熱された熔融ガラス中に含まれる気泡が、加熱された熔融ガラス中の清澄剤の還元反応で生じた酸素を吸収することにより成長し液面に浮上して放出される。その後、熔融ガラスを冷却する過程で生じる清澄剤の還元反応により気泡中の酸素等のガス成分が熔融ガラス中に吸収されて気泡が消滅する。
均質化工程(ST3)では、熔融ガラスを、スターラを用いて攪拌することにより、ガラス成分の均質化を行う。
徐冷工程(ST5)では、成形されて流れるガラスシートを引き伸ばし、かつ、一定の厚さを有し、かつ反り及び歪みが生じないように温度調整をしてガラスシートを冷却する。
採板・切断工程(ST6)では、ガラスシートを所定の長さに切断することで、板状のガラス基板に採板する。採板されたガラス基板はさらに、ダイヤモンドカッターあるいはレーザ等により所定のサイズに切断され、目標サイズのガラス基板が作製される。
検査・梱包・出荷工程(ST9)では、ガラス基板に気泡、脈理、あるいは失透等の異常欠陥の有無が、図示しない欠陥検査装置を用いて検査された後、検査合格品のガラス基板が最終製品としてガラス基板の束の形態で梱包され、コンテナに収納されて、トラック等の車両により、納入先に出荷される。
ガラス基板の端面加工を行う端面加工処理ラインの装置配置の一例を図2に示す。ガラス基板11の端面加工処理ラインには、第1面取り機12、第2面取り機14、コーナーカット機16、および反転機18が設けられ、第1面取り機12、反転機18、第2面取り機14、および、コーナーカット機16が、搬送経路の上流側から順に配置されている。
成形されたガラス基板11を搬送しながら、研削ホイールとして、後述するダイヤモンドホイール12a,14a,16a、研磨ホイール12b,14bを回転させることによりガラス基板11の端面を研削する。なお、図2において、後述する研削液の供給装置及び液体を供給する装置は省略するが、研削ホイール毎に1つ設けられることが好ましい。
端面処理加工ラインでは、具体的には、第1面取り機12において、矩形状のガラス基板11の短辺の端面について、搬送経路の両側に設けられた、例えば面取り用のダイヤモンドホイール12aを用いて面取りが行われる。この後、搬送経路の両側に設けられた研磨ホイール12bを用いて面取りされたガラス基板11の端面の研磨(鏡面加工)が行われる。
なお、端面加工工程において、各研削ホイール12a,12b,14a,14b,16aには、1又は複数の溝(凹溝)が設けられる。研削は、1つの溝だけでガラス基板に対し行なってもよい。この場合、例えば、当該1つの溝によって研削効率が低下した(砥粒間に目詰りが生じた等)場合は、これに隣接する他の溝を用いる、といった具合に、複数の溝を順に用いることができる。
研削液は、ガラス基板と研削ホイールとの間の位置から接触箇所に供給される。研削液の水圧は、1〜3kg/cm2が好ましく、1.5〜2.5kg/cm2がより好ましい。研削ホイールの周方向に形成された溝を効率的に冷却することを考慮すると、溝に水平な面に対する研削液の供給角度は、好ましくは30度以下、より好ましくは10度以下、さらに好ましくは5度以下である。
液体の衝撃力は、0.3kg/cm2以上が好ましく、0.5kg/cm2以上がより好ましい。0.3kg/cm2以上だと、ガラス基板表面へのカレットの飛散が減少する。また、液体の水圧が一定以上となるとガラス基板表面の欠陥数にほぼ変化がなくなるので、経済的な面を考慮すると、2.0kg/cm2以下が好ましい。
なお、衝撃力は、対象面への衝撃力を1cm2当たりのインパクトの数値によって示したもので、I=K×Q×P1/2によって表され、Iは衝撃力(kg/cm2)、Kは定数(0.024)、Qは流量(L/min)、Pは液体圧力(kg/cm2)である。
液体の供給箇所は、ガラス端面と研削ホイールとの接触箇所の近傍である。液体を接触箇所に供給すると、研削ホイールが振動してガラス端面の欠陥が生じるため、接触箇所を避けて接触箇所近傍に液体を供給する。接触箇所近傍とは、好ましくは接触箇所から1〜10cmの範囲である。
液体の噴射角、つまり、噴射された液体が広がる角度は、狭いほど好ましく、15度以下が好ましく、より好ましくは10度以下、さらに好ましくは5度以下である。
液体の噴射幅、つまり、噴射された液体が研削液に供給された際の液体の幅は、3〜26mmが好ましく、より好ましくは3〜13mmである。
洗浄工程にてガラス基板表面を洗浄することにより、ガラス基板表面に飛散したカレット除去し、さらにガラス欠陥を減少させることができる。
洗浄は、ガラス基板の上部から、ガラス基板全面に対してシャワーを噴射して洗浄することが好ましい。シャワーとしては、例えば、扇形ノズルを用いる。扇形ノズルを用いる場合は、シャワー圧は1.5kg/cm2以上が好ましく、7kg/cm2以上がより好ましい。
図2に示すガラス基板の端面加工処理ラインを用いてガラス端面の研削を行った。この際、ガラス基板端面と研磨ホイールとの接触箇所に研削液を供給した。また、接触箇所の後に送出された研削液に対して液体を供給し、送出された研削液をガラス端面から外側に送出した。
SiO2: 60質量%、
B2O3: 10質量%、
Al2O3: 19.8質量%、
CaO: 5質量%、
SrO: 5質量%、
SnO2: 0.2質量%。
研削液としては、RO水を用い、水圧2.0kg/cm2で、ガラス基板端面と研磨ホイールとの接触箇所に供給した。
液体としては、RO水を、ストレートノズル(いけうち社製、1/4MCP223−S303)を用いて、衝撃力0.5kg/cm2にて、送出された研削液に対して、ガラス基板と研磨ホイールとの接触箇所からの距離5cmの位置に送出し、送出された研削液をガラス端面から外側に押し出した。
ここで、衝撃力は、I=K×Q×P1/2によって示され、I:衝撃力(kg/cm2)、K:定数(0.024)、Q:流量(L/min)、P:液体圧力(kg/cm2)である。
ガラス基板と研磨ホイールとの接触箇所近傍に供給する液体の衝撃力を0.5kg/cm2から1.0kg/cm2に変更したこと以外は、実施例1と同一条件にて試験を行い、ガラス基板表面1m2当たりの欠陥数をカウントした。
ガラス基板と研磨ホイールとの接触箇所近傍に流体を供給しなかったこと以外は、実施例1と同一条件にて試験を行い、ガラス基板表面1m2当たりの欠陥数をカウントした。
接触箇所の後に送出された研削液に対して液体を供給しなかった代りに、特許文献2と同様に、ガラス基板の内側上方からガラス基板の端部に向かって斜め下方に水を噴出させて、ガラス基板へのカレットの飛散を防止するためのウォーターカーテン(水圧1.0kg/cm2)を形成したこと以外は、実施例1と同一条件にて試験を行い、ガラス基板表面1m2当たりの欠陥数をカウントした。
このことから、本発明の実施例によると、ガラス基板の端面を研削ホイールによって端面加工する際に、ガラス基板表面へのカレットの飛散を大幅に減少できることが理解される。
2 研削液
3 研削ホイール
4 接触点
11 ガラス基板
12 第1ガラス面取り機
14 第2ガラス面取り機
12a、12b、14a、14b、16a 研削ホイール
16 コーナーカット機
18 反転機
Claims (4)
- ガラス基板のガラス端面を研削ホイールによって端面加工するガラス基板の製造方法において、
前記ガラス端面と研削ホイールとの接触箇所に研削液を供給し、
前記研削液を供給する時、前記ガラス基板と衝突することなく、前記接触箇所から前記研削ホイールの回転方向の下流後方に送出された研削液と衝突するように、前記ガラス基板の内側から外側に、且つ、前記接触箇所に対して前記下流後方の前記研削液の流れに向けて液体を噴射することにより、前記下流後方に送出された前記研削液を前記ガラス端面から外側に送出することを特徴とするガラス基板の製造方法。 - 供給される前記液体の衝撃力は0.3kg/cm2以上であり、前記衝撃力(kg/cm2)は、I=K×Q×P1/2によって表され、Kは定数(0.024)、Qは流量(L/min)、Pは液体圧力(kg/cm2)である、ことを特徴とする請求項1に記載のガラス基板の製造方法。
- さらに、前記ガラス基板の上部からシャワーを当てて、前記ガラス基板表面を洗浄することを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス基板の製造方法。
- 前記液体の噴射によって作られる流れの広がり角度は15度以下である、ことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス基板の製造方法。
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