JP5647475B2 - ガラス板の製造方法 - Google Patents
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Description
これが、製造工程中の1ラインにおけるガラス板の端面の加工処理の流れである。
成形されたガラス板を搬送しながら、研削ホイールを回転させることによりガラス板の端面を研削する工程と、
前記ガラス板の端面の研削の合計長さが所定長を超える毎に、前記研削ホイールの砥粒のドレッシングを行う工程と、を有し、
前記研削ホイールの砥粒は、成長ダイヤモンドからなる複数の砥粒であり、前記砥粒それぞれの表面に凹凸形状を有する金属コートが施され、前記研削ホイールは、前記砥粒それぞれを囲んで前記砥粒と接合するボンド材として、銅を50質量%以上含む合金を用い、前記ボンド材は、前記前記凹凸形状を有する金属コートが施された砥粒の表面を露出させて前記砥粒を保持する、ことを特徴とする。
成形されたガラス板を10m/分以上で搬送しながら、研削ホイールを回転させることによりガラス板の端面を研削する工程と、
前記ガラス板の端面の研削の合計長さが少なくとも500mを超える毎に、前記研削ホイールのドレッシングを行う工程と、を有する。
本実施形態で製造されるガラス板は、特に限定されないが、例えば、携帯電子機器等の電子機器の表示画面に用いるカバーガラスや、フラットディスプレイパネル等の表示装置の基板等に用いられる。
ガラス板の組成は特に限定されないが、例えば、以下の組成比率のガラス板に適用され得る。
(a)SiO2:50〜70質量%、
(b)B2O3:5〜18質量%、
(c)Al2O3:10〜25質量%、
(d)MgO:0〜10質量%、
(e)CaO:0〜20質量%、
(f)SrO:0〜20質量%、
(o)BaO:0〜10質量%、
(p)RO:5〜20質量%(ただしRはMg、Ca、SrおよびBaから選ばれる少なくとも1種である)、
(q)R’2O:0.20質量%を超え2.0質量%以下(ただしR’はLi、NaおよびKから選ばれる少なくとも1種である)、
(r)酸化スズ、酸化鉄および酸化セリウムから選ばれる少なくとも1種の金属酸化物を合計で0.05〜1.5質量%。
本実施形態においても図6に示される端面加工処理ライン10を用いてガラス板の端面の加工が行われる。
本実施形態では、ガラス板の搬送速度を従来に対して高くした状態で行う端面の加工処理の中で、加工処理時間に大きな影響を与える研削用ダイヤモンドホイール12a,14aを用いた研削処理が、従来と異なる。
図2(a)は、ホイール12aの砥面を拡大した図であり、図2(b)は、ホイール12aの砥面の断面拡大図である。
円板形状の側面には、図2(a)に示すように、外周面12cが設けられ、外周面12cは、台金12dに固定された砥粒層12eの面となっている。砥面12gは、ガラス板Gの厚さに応じた幅を有する溝12fに設けられている。
なお、ホイール12aの回転方向については、ガラス板Gと接触するホイール12aの外周面12cの方向が、ガラス板Gの搬送方向と同じになるように、設定されてもよいし、逆の方向に設定されてもよい。
ここで、ダイヤモンド砥粒20は、成長ダイヤモンド(以下、成長ダイヤという)が用いられ、成長ダイヤの表面には、CVD(Chemical Vapor Deposition)等により蒸着されたチタン被膜が形成されている。
ダイヤモンド砥粒20は、JIS R6001で規定されるF500の粒度を有することが好ましい。また、ダイヤモンド砥粒20が砥粒層12eに占める体積含有率は15%を上限とする。ダイヤモンド砥粒20の上記体積含有率は10%以下であることが好ましい。
また、ダイヤモンド砥粒20の粒度を、F500(JIS R6001)とすることにより、ガラス板Gの研削後のチッピング不良(100μmより大きなチッピングの発生)を抑制することができ、研削後の端面の算術平均粗さRaを1.0μm以下にすることができる。
なお、チッピングとは、研削後の端面において、部分的に大きく凹むように欠けた部分をいう。
成長ダイヤは、結晶成長したダイヤモンドであり、炭素の溶媒の存在下、炭素含有材料に静的超高圧と高温とを作用させることにより、あるいは、炭素の溶媒を用いず、静的超高圧と高温を作用させてグラファイトからダイヤモンドへ直接変換させることにより、作製される人工ダイヤモンドである。
一方、粉砕ダイヤは、大きな成長ダイヤを粉砕し、所定のふるいにより分級したものであり、粉砕ダイヤともいわれる。
成長ダイヤは、立方八面体形状等をなし、図3(a)に示す互いに直交する方向の成長ダイヤの長さL1,L2を定めたとき、アスペクト比L2/L1は、例えば0.87であり、0.8以上であることが好ましい。これに対して、粉砕ダイヤは、不規則な形状をなし、図3(b)に示す互いに直交する方向の粉砕ダイヤの長さL1,L2を定めたとき、アスペクト比L2/L1は例えば0.73である。このように、成長ダイヤは粉砕ダイヤと比較して均等形状を成している。
このように、本実施形態で用いる成長ダイヤは、強度と形状の点で、従来より用いられている粉砕ダイヤと異なる。したがって、成長ダイヤをダイヤモンド砥粒に用いることは、研削中に破砕され難い点で、粉砕ダイヤに比べて好ましい。
このため、金属ボンド22は、鉄、コバルト、銅、スズを含有した合金であり、銅を50質量%以上含むことが好ましい。
しかし、研削長さが長くなると金属ボンド22の削れとダイヤモンド砥粒20の破砕のバランスを常に一定に保つことは難しく、ガラス板Gの端面が満足できるように研削できない場合がある。このために、タイヤモンド砥粒20の砥面12gからの突出量を適切にするために、砥面12gの金属ボンド22の部分を削るドレッシングが行われる。このとき、目詰まりの原因となる切り屑等が金属ボンド22の表面から除去される。
さらに、第1面取り機12では、研磨用ホイール12bを用いて、研削されたガラス板Gの端面が研磨される。ホイール12aにおける研削では、例えば、算術平均粗さRaが1.0μm以下となり、研磨ホイール14aでは、研削された端面上の0.1〜0.8μmの表面凹凸が研磨される。
上記研削、研磨およびコーナーカットでは、加工時に研削、研磨における摩擦熱を冷却するための冷却水が図示されないノズルから十分に供給される。
以下、本発明の効果を調べるために種々の条件を用いて、ガラス板の端面の研削を行った。
ホイール12aの外径は250mmとし、図6に示すガラス板の端面加工処理ライン10を用いて研削を行った。
実施例および比較例において用いるダイヤモンドの粒度はいずれもF500(JIS R6001)とした。粒度がF500のダイヤモンド砥粒は、いずれも、ガラス板の端面のチッピングの大きさを100μm以下とし、研削後の算術平均粗さRaを1.0μm以下にすることができる。
また、研削における加工距離が500m以上とは、少なくとも500mの研削がドレッシング無しに可能であったことを意味する。加工距離が150mとは、150m毎にドレッシングをしなければ、安定した研削ができなかったことを意味する。「ヤケ」は「黒ヤケ」と「白ヤケ」の両方を意味する。
上記比較例1,2の比較によれば、砥粒の体積含有率を15%以下とすることにより、ガラス板Gの切り屑の除去が行われ、火花の発生は見られなくなるが、「ヤケ」の発生率が非常に高い。
一方、比較例2,3の比較によれば、金属ボンド22を鉄系から銅系にすることにより、加工距離が500m以上となり、「ヤケ」の発生率は、研削を中止しなくてもよい程度に低下し、「ヤケ」発生率が8.3%となっている。しかし、依然として「ヤケ」発生率は、許容範囲内である0.3%以下にはほど遠い。
比較例3,4の比較によれば、ダイヤモンド砥粒を粉砕ダイヤから成長ダイヤに変えることにより、「ヤケ」の発生率は低下し、「ヤケ」発生率が4.4%となっている。しかし、依然として「ヤケ」発生率は、許容範囲内である0.3%以下にはほど遠い。
また、比較例5は、実施例に対して、ダイヤモンド砥粒の種類のみが異なる。ダイヤモンド砥粒として成長ダイヤを用いることにより、「ヤケ」発生率は許容範囲の0.3%以下になることがわかる。
比較例6では、搬送速度が遅い他、加工距離も短い。
12 第1面取り機
12a,14a 研削用ダイヤモンドホイール
12b,14b 研磨用ホイール
12c 外周面
12d 台金
12e 砥粒層
12f 溝
12g 砥面
14 第2面取り機
16 コーナーカット機
16a コーナーカット用ダイヤモンドホイール
18 反転機
20 ダイヤモンド砥粒
22 金属ボンド
24 チタン被膜
Claims (5)
- ガラス板の製造方法であって、
成形されたガラス板を搬送しながら、研削ホイールを回転させることによりガラス板の端面を研削する工程と、
前記ガラス板の端面の研削の合計長さが所定長を超える毎に、前記研削ホイールの砥粒のドレッシングを行う工程と、を有し、
前記研削ホイールの砥粒は、成長ダイヤモンドからなる複数の砥粒であり、前記砥粒それぞれの表面に凹凸形状を有する金属コートが施され、前記研削ホイールは、前記砥粒それぞれを囲んで接合するボンド材として、銅を50質量%以上含む合金を用い、前記ボンド材は、前記前記凹凸形状を有する金属コートが施された砥粒の表面を露出させて前記砥粒を保持する、ことを特徴とするガラス板の製造方法。 - 前記砥粒の粒度は、JIS R6001で規定されるF500である、請求項1に記載のガラス板の製造方法。
- 前記研削ホイールにおける前記砥粒の体積含有率は15%以下である、請求項1または2に記載のガラス板の製造方法。
- 前記ガラス板の搬送速度をv(m/秒)とし、前記研削ホイールの周上における回転速度をV(m/秒)としたとき、v/Vが3.0×10-3以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。
- 前記ガラス板は、フラットディスプレイパネルの表示装置の基板、あるいは、電子機器の表示画面のカバーガラスに用いられる、請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラス板の製造方法。
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