JP2006315929A - ガラス表面の研磨方法 - Google Patents

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智弘 西山
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Abstract

【課題】 表面傷の深さの伸長を抑制して研磨可能なガラス表面研磨方法の提供。
【解決手段】 ガラス表面を、前研磨として、1μm/s未満の研磨速度に設定された前研磨液を使用して研磨し、次に後研磨として、前研磨液よりも遅い研磨速度に設定された後研磨液を使用して研磨する。このとき、前研磨と後研磨の間には、研磨反応生成物を除去する洗浄工程を設けることが好適であり、また、後研磨液の研磨速度が10μm/min以下に設定されることが好適である。
【選択図】 図1

Description

本発明は、研磨液を使用するガラス表面の研磨方法に関する。
現在、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ等、様々なフラットパネルディスプレイが製造されている。図2は、フラットパネルディスプレイの一種である液晶ディスプレイパネルの一例を表した断面模式図である。図示の液晶ディスプレイパネルは、一対のガラス基板の間に液晶を保持した貼り合せ構造をとっている。
図示のパネルの画像表示面となるガラス基板1には、貼り合せ後に外表面となる面に偏光板7が積層され、その反対面には、カラーフィルター2がブラックマトリックス3に区分けされつつ形成され、オーバーコート4、透明電極5及び配向膜6が順次積層されている。他方のガラス基板8には、貼り合せガラス基板の外表面側に偏光板12が積層され、反対面には、薄膜トランジスタ9及び透明電極10が形成され、更に配向膜11が積層されている。これらガラス基板1、8の貼り合せは、両ガラス基板間に液晶封入領域を確保させるためのスペーサー13を介在させ、両ガラス基板の配向膜を形成した面を対向させて行われている。このようなガラス基板の偏光膜7、12は、ガラス基板1と8を貼り合せた後にその表面上に貼着積層される。
図示のガラス基板のようにディスプレイパネルにガラスが使用されており、偏光板7、12を積層する前にフッ化水素を含有する研磨液に浸漬してガラス表面を研磨し、ディスプレイパネルの薄型化が図られている。例えば、特許文献1には、ガラス基板を研磨液に60分間浸漬して、厚みを400μm程度研磨する方法が開示されている。
特開2002−087844号公報(第8段落)
しかしながら、ガラス表面には、搬送等の間に微細な傷が生じることがあり、このような負傷したガラス表面を特許文献1に開示されている方法で研磨すると、傷によっては、その深さが研磨途中に伸長することになる。傷の深さが伸長することは、研磨における傷の除去率向上の障壁となり、また、ガラスの機械的強度低下を懸念させる。そのため、傷の深さ伸長を抑制したガラス表面研磨方法が提供されることが望まれている。
係る事情に鑑み、本発明は、傷の深さの伸長を抑制しつつガラス表面を研磨可能な方法を提供することを目的とするものである。
本発明者は、研磨速度が所定速度に設定された研磨液を使用してガラス表面を研磨するよりも、その所定速度に向けて研磨速度を段階的に減速して研磨することが、ガラス表面傷の深さの伸長抑制に有意であることを見出し本発明を完成するに至った。
即ち、本発明は、研磨液をガラス表面に接触させるガラス表面の研磨方法において、任意の研磨速度に設定された前研磨液を使用する前研磨工程と、前記前研磨液よりも遅い研磨速度に設定された後研磨液を使用する後研磨工程と、を備えていることを特徴とする。ここで、本明細書における「研磨速度」とは、(ガラス一面の研磨量)/(研磨時間)により算出される値である。本発明における前研磨液の研磨速度は、1μm/s未満に設定される。
前記前研磨工程と後研磨工程の間には洗浄工程を設けて、ガラス表面に付着している研磨反応生成物を除去することが好ましい。また、前記後研磨液の研磨速度が10μm/min以下であることが良く、好ましくは5μm/min以下である。このような洗浄工程の付加や後研磨液の研磨速度設定により、研磨後ガラスの無傷部分の表面平坦性が向上する。
また本発明は、前記研磨方法により研磨されたガラス板、およびこのガラス板を構成部材として備えたフラットパネルディスプレイである。
上記のように構成された研磨方法に係る発明によれば、後研磨液よりも速い研磨速度の研磨液を使用する前研磨工程を備えているので、ガラス表面に傷がある場合であっても、その傷の深さが研磨中に伸長することが抑制される。
以下に、本発明を実施形態に基づき詳細に説明する。図1は、本発明に係る本実施形態の研磨の工程手順を表したフロー図である。本実施形態におけるガラス表面の研磨は、矩形のガラス板表面に研磨液を接触させる研磨工程を複数備え、各研磨工程の間にガラス表面を洗浄する洗浄工程を備えるものである。本実施形態の研磨によれば、厚みが0.7mmのガラス板の一面を0.2mm以上研磨して、厚みが0.3mm以下のガラス板にすることも可能である。
研磨対象となるガラスは、その組成が特に限定されるものではなく、ケイ酸ガラスであれば良い。本実施形態においては、SiO2が50〜65重量%、Al23が16〜18重量%、Bが7〜10重量%の範囲のアルミノホウケイ酸ガラスが選択されている。このガラスの無傷部分の表面は、算術平均粗さ(Ra)が0.01μm以下の平坦なものを選択しても良い。
本実施形態の研磨は、前研磨工程、および後研磨工程を備える二段階の研磨工程を経ることにより行なわれる。各研磨工程は、研磨液をガラス表面に接触させることにより行なわれるものであり、研磨液にガラス板を浸漬することにより行なうことも可能である。
研磨液としては、ガラス溶解性の液体が使用され、本実施形態における研磨液は、10〜50℃の範囲における一定温度に保ったフッ化水素水溶液が使用される。このフッ化水素水溶液には、フッ化物を更に研磨液に含有させても良い。また、研磨液には、有機酸及び/又は無機酸を含有させても良く、陰イオン系界面活性剤及び両性界面活性剤のうち一種以上添加しても良い。
研磨液に含有させるフッ化物としては、フッ化アンモニウム、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム等が挙げられる。有機酸としては、酢酸、コハク酸等から一種又は二種以上を選択すると良く、無機酸としては、塩酸、硫酸、リン酸、硝酸等から一種又は二種以上を選択すると良い。
上記のような研磨液は、各研磨工程で異なる研磨速度の研磨液が使用される。前研磨工程では前研磨液を、後研磨工程では前研磨液よりも遅い研磨速度に設定された後研磨液を、使用する。研磨速度は、研磨液中のフッ化水素濃度が高いほど高速化し、研磨液温度が高温であるほど高速化するので、所定の研磨速度に設定することが可能である。後研磨液よりも研磨速度が高速の研磨液が使用されるので、後研磨液単独で研磨するよりもガラス表面傷の深さの伸長が抑制される。
前研磨工程では、研磨速度が1μm/s未満に設定された研磨液が使用される。前研磨液の研磨速度は、後研磨液の研磨速度よりも高速であれば、10μm/min以下であっても良い。研磨液の研磨速度の下限値は、後研磨液の研磨速度よりも高速であれば、特に限定されるものではない。研磨量は、最終研磨量に応じて適宜設定される。
後研磨工程は、最終的な研磨を行なう工程であり、ガラス表面の平坦性を高めるため、研磨速度が10μm/min以下の研磨液を使用すると良く、好ましくは5μm/min以下、更に好ましくは2.5μm/min以下の研磨速度の研磨液を使用することである。研磨液の研磨速度の下限値は、研磨効率上、0.5μm/min以上に設定される。研磨量は、最終目標とされるガラス板厚に応じて決定されるものであるので特に限定されないが、ガラス一面の研磨量が100μm以上であると良い。なお、この最終工程においては、研磨液貯留槽の底部に気泡発生装置を設置し、上昇液流を生じさせた研磨液の液面にガラス板を略垂直にして浸漬保持した状態で研磨を行なうことが好適である。このようにガラス基板を浸漬保持することで、研磨反応生成物がガラス表面から随時除去されることになるので、研磨の進行が安定なものとなる。また、研磨液流がガラス表面に対して略平行となるので、液流によるガラス表面のウネリの発生が抑制される。
洗浄工程は、洗浄液で、研磨液のみならず、研磨液とガラスとの反応により生じた研磨反応生成物を除去する工程である。本実施形態においては、水をガラス表面上に噴射または流水をガラス表面に接触させることにより行なわれる。平坦性の高いガラス表面を研磨液で研磨すると、表面平坦性が低下するが、研磨反応生成物を洗浄除去することでガラス表面の平坦性の低下が抑制される。
以上の通り、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明の趣旨を逸脱しない限り、上記実施形態を適宜変更することも当然可能である。例えば、液晶ディスプレイパネルのような二枚の貼り合せガラス基板を研磨対象としても良く、研磨液の温度を変更して研磨液の研磨速度を設定して、各研磨工程を行っても良い。また、研磨の際に研磨液をガラス表面に接触させるが、ガラス表面に研磨液を吹き付ける等の他の浸漬以外の接触態様を採ることも可能である。また、ガラス表面に所定のマスキングパターンを形成した後に研磨を行なって良い。
また、前研磨液の研磨速度よりも遅く、後研磨液の研磨速度よりも速い中研磨液を使用する中研磨工程を前研磨工程と後研磨工程の間に設けても良い。この中研磨工程は、第一中研磨工程、第二中研磨工程、・・・、第n中研磨工程からなる複数の研磨工程が集合した研磨工程であっても良く、この場合、後研磨工程に近づくにつれて段階的に研磨速度を減速させた研磨液を使用することが傷の深さ伸長を一層抑制することが可能となる。
次に本発明を実施例に基づき示す。前研磨、中研磨および後研磨を順次行ない、各研磨後に、ガラス表面に水を噴射することにより実施例の研磨を行なった。また、比較例としての研磨を、実施例における後研磨の条件のみにより行なった。比較例の研磨においても、研磨後にガラス表面への水噴射を行なった。
実施例および比較例において使用したガラス板、および研磨条件は、以下の通りである。
(ガラス板)
正四角錐の圧子を1kg、5秒間、マイクロビッカース硬度計で表面に加重して、圧痕を形成したガラス板。
(前研磨)
研磨速度が0.8μm/sの前研磨液にガラス板を浸漬。
(中研磨)
研磨速度が8μm/minの中研磨液にガラス板を浸漬。
(後研磨)
研磨速度が3μm/minの後研磨液にガラス板を浸漬し、ガラス板を略鉛直状態に保持した。研磨液中には、気泡で上昇液流を発生させた。
実施例および比較例の結果を表1に示す。ここで、表1中、研磨後の傷の直径は、ガラス表面を平面視したときに観察することができる傷の内側を通る最大直線長さである。
Figure 2006315929
表1に示す通り、研磨量が同等のときには、後研磨液の研磨速度よりも高速の研磨液を使用した研磨を行なうことにより、傷の深さ伸長が抑制されている。
本発明に係る本実施形態の工程手順を表したフロー図である。 液晶ディスプレイパネルの一例を表した断面模式図である。

Claims (5)

  1. 研磨液をガラス表面に接触させるガラス表面の研磨方法において、
    1μm/s未満の研磨速度に設定された前研磨液を使用する前研磨工程と、
    前記前研磨液よりも遅い研磨速度に設定された後研磨液を使用する後研磨工程と、
    を備えたことを特徴とするガラス表面の研磨方法。
  2. 前記前研磨工程と後研磨工程の間に洗浄工程を備えている請求項1に記載の研磨方法。
  3. 前記後研磨液の研磨速度が10μm/min以下に設定されている請求項1または2に記載の研磨方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかの方法により研磨されたガラス板。
  5. 請求項4に記載のガラス板を構成部材として備えたフラットパネルディスプレイ。
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