JP2005350350A - ガラス板表面の研磨方法、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板、及びフラットパネルディスプレイ - Google Patents
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Abstract
【課題】 ガラス板表面に存在する直径40μm以上の傷が100μm以上に拡大することを抑制してガラス板表面を研磨する方法、この方法により研磨されたフラットパネルディスプレイ用ガラス基板、及びこのガラス基板を使用したフラットパネルディスプレイの提供。
【解決手段】 ガラス板をフッ酸10〜30重量%、硫酸20〜50重量%含有する水溶液に浸漬することでガラス板表面を研磨する。その後、ガラス板をフッ酸を含有する水溶液に浸漬して0.5〜20μm/minの研磨速度でガラス板表面を研磨しても良い。研磨したガラス板は、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板に使用することが可能であり、このガラス基板は、フラットパネルディスプレイの製造に使用される。
【選択図】 なし
【解決手段】 ガラス板をフッ酸10〜30重量%、硫酸20〜50重量%含有する水溶液に浸漬することでガラス板表面を研磨する。その後、ガラス板をフッ酸を含有する水溶液に浸漬して0.5〜20μm/minの研磨速度でガラス板表面を研磨しても良い。研磨したガラス板は、フラットパネルディスプレイ用ガラス基板に使用することが可能であり、このガラス基板は、フラットパネルディスプレイの製造に使用される。
【選択図】 なし
Description
本発明は、平坦性に優れたガラス板を得るためのガラス板表面の研磨方法、この研磨方法によって研磨したフラットパネルディスプレイ用ガラス基板、及びこのガラス基板を使用したフラットパネルディスプレイに関する。
液晶ディスプレイ(以下、LCD)、有機エレクトロルミネッセンスディスプレイ、プラズマパネルディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ(以下、FPD)は、薄型化された映像表示装置として需要が増大してきている。
図2は、ガラス板2枚を貼り合わしたLCD用ガラス基板の一例を表した断面模式図である。このLCD用ガラス基板は、図の上方向が液晶ディスプレイの画像表示面となる正面側になる。正面側のガラス板1には、偏光板7を画像表示面となるガラス表面に積層している。そして、ガラス板1の背面側には、カラーフィルター層3がブラックマトリクス層2に区分けされつつ積層されている。カラーフィルター層3には、透明樹脂からなるオーバーコート層4が積層され、次いで透明電極(ITO膜)層5及びポリイミドからなる配向膜層6が形成されている。他方のガラス基板8には、画像表示面方向に、薄膜トランジスタ(TFT)層9及びITO膜層10が順次積層されている。その透明電極層10には、配向膜層11が積層された構造をとっている。ガラス板の画像表示方向と逆方向面には、偏光板12が積層される。
図2に示した通り、LCDにガラス板が使用され、ガラス板は、LCDに関わらずFPDの画像表示面に使用されている。FPDに使用されているガラス板は、FPDパネルの主要材料であり、FPDパネルの厚みを構成する主部材となっている。このガラス板を薄型化することによって、FPDパネルの更なる薄型化を実現することが可能である。
FPDに使用されているガラス板を薄型化する方法としては、ガラス板を研磨液に浸漬して、ガラス板表面を化学的に研磨する方法が一手法としてとられる。このガラス表面を化学的に研磨した後のガラス板は、平坦性が要求される。ガラス板の平坦性が優れていないガラス板を使用したFPDは、表示される画像にゆがみが生じやすくなる。そのため、ガラス板を化学的に研磨して、ガラス板の薄型化を図る場合には、化学的に研磨した後のガラス板表面が平坦性に優れたものであることが要求されることになる。化学的な研磨を行った後のガラス板を平坦性の優れたガラス板とするためには、研磨前のガラス板表面に可能な限り傷が存在していないことが望まれる。
ガラス板表面の傷を除去するためには、化学的研磨によって傷の深さに達するまでガラス板表面の研磨を行うことによって除去可能であると予想される。しかし、単に研磨液を使用してガラス板表面の化学的な研磨を行うのみであれば、ガラス表面の傷の大きさが拡大化することになってしまう。傷の拡大化した後、ガラス板表面の研磨を継続すれば、ガラス板表面が波打つうねりが生じ易くなって、平坦性の優れたガラス板を得ることができない。
平坦性の優れたガラス板を得るための研磨方法として、出願人は、特許文献1にガラス板を30〜60重量%フッ酸溶液に浸漬、又はガラス板表面に30〜60重量%フッ酸溶液を塗布して、ガラス板表面を1μm/sec以上の研磨速度で化学的に研磨する方法を開示している。この方法によれば、傷の直径を100μm以上に拡大化させることなくガラス板表面を化学研磨することが可能である。
特開2003−226552号公報
しかしながら、この特許文献1に開示されているガラス板表面の化学的研磨方法は、研磨前の傷の直径が10μm程度のものを対象としており、特許文献1に開示されている方法で、研磨前の直径が40μm以上の傷が存在しているガラス板表面を研磨すると、その傷の直径が100μm以上の大きさにまで拡大化する傾向が急激に認められることになる。直径が100μm以上の大きさにまで拡大化した傷を有するガラス板を研磨すれば、ガラス板表面にうねりが生じ易く、優れた平坦性を有するガラス板を得ることができない。そのため、直径10μm程度の傷のみならず、直径40μmを超える傷が表面に存在するガラス板を化学的に研磨した場合であっても、傷の直径が100μm以上に拡大することを抑制可能な化学的研磨方法が提供されることが望まれる。
上記事情に鑑み本発明は、直径10μm程度の傷の直径を100μm以上に拡大することを抑制する化学的研磨方法であって、直径40μm以上の傷についても100μm以上に拡大することを抑制して化学的研磨することができる研磨方法を提供することを目的とするものである。また、この研磨方法を使用したFPD用ガラス基板及びこのガラス基板を使用したFPDを提供することを本発明は目的とする。
本発明は、フッ酸10〜30重量%、硫酸20〜50重量%含有する研磨液をガラス板表面に接触させて、前記ガラス板表面を研磨するガラス板表面の研磨方法である。この方法に使用する研磨液中のフッ酸濃度は、17〜25重量%であることが好適である。また硫酸濃度は、35〜42重量%であることが好適である。
本発明は、フッ酸10〜30重量%、硫酸20〜50重量%含有する研磨液をガラス板表面に接触させて前記ガラス板表面を前研磨する前研磨工程と、前記前研磨工程の後、フッ酸を含有する研磨液を前記ガラス板表面に接触させて前記ガラス板表面を研磨速度0.5〜20μm/minで研磨する後研磨工程を備えることを特徴とするガラス板表面の研磨方法である。前研磨工程に使用する研磨液中のフッ酸及び硫酸濃度は、フッ酸が17〜25重量%であることが好適であり、硫酸が35〜42重量%であることが好適である。
また発明は、前記研磨方法によって研磨したFPD用ガラス基板である。また、本発明は、前記FPD用ガラス基板を使用したFPDである。
上記のように構成されたフッ酸及び硫酸を含有する研磨液を使用してガラス板表面を研磨する方法によれば、直径40μm以上の傷が直径100μm以上に拡大することを抑制してガラス板表面を化学的に研磨することができる。この研磨方法の後にフッ酸を含有する研磨液を使用して更に研磨した場合、表面のうねりの発生が抑制されたガラス板となる。
また、上記のように構成されたFPD用ガラス基板は、その基板表面のうねりが抑えられたガラス基板となり、このガラス基板を使用したFPDは、表示される画像のゆがみが抑えられた鮮明な画像を表示するFPDとなる。
以下、本発明を実施形態に基づき説明する。本発明に係るガラス板表面の研磨方法は、研磨液をガラス板表面に接触させて、ガラス板表面を前研磨する前研磨工程と、この前研磨工程の後、研磨液を前研磨工程を経たガラス板表面に接触させて、更に研磨する後研磨工程を経ることによって行われる。後研磨工程は、目的とするガラス板の厚みに応じて省略しても良い。
本発明おける研磨対象となるガラス板は、ガラス板を構成しているガラス成分を特に限定するものではない。本発明の方法は、アルミノホウケイ酸ガラスを使用したガラス板の表面を研磨する方法として好適である。
前研磨工程では、フッ酸及び硫酸を含有する水溶液を研磨液(以下、前研磨液)として使用する。前研磨液中におけるフッ酸の濃度は、10〜30重量%であると良く、好ましくは、15〜28重量%、更に好ましくは、17〜25重量%である。また、この研磨液中における硫酸の濃度は、20〜50重量%であると良く、好ましくは、30〜45重量%、更に好ましくは、35〜42重量%である。前研磨液中のフッ酸濃度及び硫酸濃度が前記濃度範囲の上限値を超える場合には、ガラス板表面が波打つうねりが生じ易くなる。また、前研磨液中のフッ酸濃度及び硫酸濃度が前記濃度範囲の下限値に満たない場合には、ガラス板表面上の傷が大幅に拡大する傾向がある。
前研磨液は、無機酸及び界面活性剤のうち一種又は二種以上を含有していても良い。無機酸としては、塩酸、硝酸、リン酸が例示され、界面活性剤には、エステル系、フェノール系、アミド系、エーテル系、アミン系の界面活性剤が例示される。
前研磨液をガラス板に接触させる方法は、ガラス板を前研磨液に浸漬、前研磨液をガラス板表面に吹き付け、前研磨液をガラス板表面に塗布する等の方法をとることによって行われると良い。前研磨液をガラス板表面に接触させる時間は、除去する傷の大きさによって適宜変更させることになるが、1分以内であると良い。直径が60μm以下の大きさの
傷であれば1〜3秒程度の接触時間であると良い。
傷であれば1〜3秒程度の接触時間であると良い。
前研磨工程における研磨速度は、1μm/sec以上の研磨速度で行うと良い。好ましくは、3〜10μm/secの研磨速度であり、さらに好ましくは、5〜8μm/secの研磨速度である。なお、研磨速度は、ガラス板を前研磨液に浸漬してから3秒経過するまでの平均研磨速度であり、前研磨工程においてガラス板表面に前研磨液を接触させる時間が3秒に満たない場合であっても、この平均研磨速度となる研磨液を使用して研磨する速度を指す。
前研磨液をガラス板に接触させるときの前研磨液温度は、研磨速度が3〜10μm/secとなる温度範囲であれば、特に限定されるものではなく、17〜80℃の温度範囲の研磨液で行うと良い。前研磨液の温度が高いほど、研磨速度が速まり、前研磨液の温度が低いほど、研磨速度が遅くなる傾向があるので、前研磨液の温度を適宜設定することで研磨速度を制御することが可能である。
前研磨を終えたガラス板は、後研磨を行わない場合、ガラス板を洗浄して前研磨液の除去が行われる。後研磨を行う場合には、好ましくは、ガラス板を洗浄して前研磨液を除去することであるが、前研磨液を除去せずに、後研磨を行っても良い。
上記前研磨工程を経たガラス板は、表面が研磨されたものとなる。このとき、前研磨工程を行う前にガラス板表面に存在していた傷の直径の拡大が抑制される。本明細書において「傷」とは、板ガラスを真上から観察した場合に、ほとんど幅を有さない線状の凹部をいう。また、「キズの直径」とは、線状部の長さをいう。また、本発明の前研磨方法によればガラス表面のピットの直径拡大を抑制して、ガラス板表面を研磨することも可能である。この「ピット」とは、板ガラスを真上から観察した場合に、ある幅を有する不定形の凹部をいう。また、「ピットの直径」とは、ピット幅の最大値をいい、例えばピットの形状が楕円形の場合、長軸の長さに相当する。
後研磨工程においては、0.5〜20μm/minの研磨速度でガラス板表面を研磨することが好適であり、更に好適には0.5〜10μm/minの研磨速度で研磨することである。研磨速度0.5〜20μm/minの研磨は、フッ酸を含有する研磨液(以下、後研磨液)に、前研磨工程を経たガラス板表面に後研磨液を接触させることによって行われる。
後研磨液には、フッ酸を10重量%以下含有する研磨液を使用すると良い。この後研磨液は、無機酸及び界面活性剤を一種又は二種以上含有していても良い。無機酸としては、塩酸、硝酸、硫酸、リン酸等が例示され、界面活性剤としては、エステル系、フェノール系、アミド系、エーテル系、ノニオン系、アミン系等の界面活性剤が例示される。
後研磨おいて、ガラス板表面に後研磨液を接触させる方法は、特に限定されるものではないが、後研磨液へのガラス板の浸漬、又は、後研磨液をガラス板表面に吹き付けることによってガラス板表面に後研磨液を接触させると良い。
後研磨液の温度は、研磨速度が0.5〜20μm/minとなるように適宜設定される。後研磨液の温度を高めると研磨速度は速くなり、後研磨液の温度を低めると研磨速度は遅くなるので、0.5〜20μm/minの研磨速度に設定することができる。
後処理研磨におけるガラス板表面の研磨量は、目的とするガラス板厚になるまで研磨すると良い。この目的とする量の研磨を行うことで、後処理研磨は終了する。後処理研磨終了後、ガラス板を洗浄することによって研磨液を除去すると良い。
上述の前研磨を終了したガラス板、又は、後研磨を終了したガラス板は、FPDに好適に使用することができる平坦性に優れたガラス基板となる。また、このガラス基板を使用して、FPDを製造することができる。
以上の通り、本発明の研磨方法が行われる。本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、LCDガラス基板を研磨する場合には、2枚のガラス板を貼り合せた貼り合せLCDガラス基板表面を研磨しても良い。また、研磨する必要のないガラス板表面を研磨する場合、この表面をマスキング剤で被覆して、研磨液によって研磨されないようにしても良い。
以下、本発明を実施例をもとに具体的に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[実施例1]
ノンアルカリアルミノホウケイ酸ガラス板表面に傷を形成し、次いで、このガラス板を研磨液に浸漬してガラス板表面を研磨した。詳細は以下の通りである。
[実施例1]
ノンアルカリアルミノホウケイ酸ガラス板表面に傷を形成し、次いで、このガラス板を研磨液に浸漬してガラス板表面を研磨した。詳細は以下の通りである。
(ガラス板表面への傷の形成)
マイクロビッカース硬度計を使用してガラス板表面に尖状物を5秒間押し当てて、ガラス板表面に傷を100個形成した。このときの尖状物の押し当て荷重を、200g、300g、500g及び1000gの4種類とした。形成した傷の直径を、光学顕微鏡を使用して測定したところ、傷の直径は、荷重の増大に伴い大きくなり、荷重500gの場合の傷の平均直径が40μmであり、荷重1000gの場合の傷の平均直径が55μmであった。
マイクロビッカース硬度計を使用してガラス板表面に尖状物を5秒間押し当てて、ガラス板表面に傷を100個形成した。このときの尖状物の押し当て荷重を、200g、300g、500g及び1000gの4種類とした。形成した傷の直径を、光学顕微鏡を使用して測定したところ、傷の直径は、荷重の増大に伴い大きくなり、荷重500gの場合の傷の平均直径が40μmであり、荷重1000gの場合の傷の平均直径が55μmであった。
(研磨液方法)
フッ酸20重量%、硫酸40重量%の水溶液を使用し、この研磨液にガラス板を浸漬することにより、ガラス板表面の研磨を行った。このとき、研磨液の温度を20℃、ガラス板を研磨液に浸漬する時間を約1秒とした。研磨終了後、直ちにガラス板を水洗した。
フッ酸20重量%、硫酸40重量%の水溶液を使用し、この研磨液にガラス板を浸漬することにより、ガラス板表面の研磨を行った。このとき、研磨液の温度を20℃、ガラス板を研磨液に浸漬する時間を約1秒とした。研磨終了後、直ちにガラス板を水洗した。
[比較例1]
研磨液にフッ酸濃度が3重量%の水溶液を使用した。研磨液以外は、実施例1と同様に行った。
研磨液にフッ酸濃度が3重量%の水溶液を使用した。研磨液以外は、実施例1と同様に行った。
[比較例2]
研磨液にフッ酸濃度が55重量%の水溶液を使用した。研磨液以外は、実施例1と同様に行った。
研磨液にフッ酸濃度が55重量%の水溶液を使用した。研磨液以外は、実施例1と同様に行った。
実施例及び比較例の結果を表1に示す。表1は、ガラス板表面に存在する直径が100μm未満の傷およびピットの数を数えた結果を表したものである。図1は、表1の100μm未満の傷およびピットの数をグラフにしたものである。直径100μm未満の傷及びピットの数は、光学顕微鏡を使用して数えた。このとき、ガラス表面上に形成した傷は、全て残存していた。
実施例1及び比較例2の100μm未満の傷およびピット数は、押し当て荷重500g(傷の平均直径が40μm)以下まで同程度である。しかし、押し当て荷重1000g(傷の平均直径が55μm)の場合、100μm未満の傷及びピットの数は、実施例1が52であり、比較例2が10である。つまり、100μm以上の傷及びピットの数は、実施例1が48であり、比較例2が90である。即ち、本発明に係る実施例1の研磨方法によれば、比較例2の研磨方法よりも100μm以上の傷及びピットの数が半減していることが分かる。
以上の測定した実施例及び比較例のガラス板を研磨速度0.5〜20μm/minで研磨すると、実施例のガラス板の方が比較例のガラス板に比べて平坦性に優れていることが確認されている。
Claims (6)
- フッ酸10〜30重量%、硫酸20〜50重量%含有する研磨液をガラス板表面に接触させて、前記ガラス板表面を研磨するガラス板表面の研磨方法。
- フッ酸10〜30重量%、硫酸20〜50重量%含有する研磨液をガラス板表面に接触させて前記ガラス板表面を前研磨する前研磨工程と、
前記前研磨工程の後、フッ酸を含有する研磨液を前記ガラス板表面に接触させて前記ガラス板表面を研磨速度0.5〜20μm/minで研磨する後研磨工程を備える
ことを特徴とするガラス板表面の研磨方法。 - 請求項1に記載の方法によって研磨したフラットパネルディスプレイ用ガラス基板。
- 請求項3に記載のガラス板を使用したフラットパネルディスプレイ。
- 請求項2に記載の方法によって研磨したフラットパネルディスプレイ用ガラス基板。
- 請求項5に記載のガラス板を使用したフラットパネルディスプレイ。
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