JPWO2017082266A1 - 熱電変換素子用起電膜及び熱電変換素子 - Google Patents
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Abstract
本発明の目的は、比較的安価な素材を用いて高効率の熱電変換を可能とする熱電変換素子を提供することである。そのために本発明は、磁性体層と、前記磁性体層上に形成され、Niが含まれる磁性合金であり、Niを母体とし5d遷移金属元素が添加され起電力を発生する起電膜と、前記起電力によるポテンシャルが異なる2箇所で前記起電膜にそれぞれ接触するように形成された2個の端子部と、を備える。
Description
本発明は、熱電変換素子用起電膜及び熱電変換素子に関し、特にスピンゼーベック効果および異常ネルンスト効果に基づく熱電変換素子用起電膜及び熱電変換素子に関する。
持続可能な社会に向けた熱マネジメント技術の一つとして、熱電変換素子への期待が高まっている。熱は体温、太陽熱、エンジン、工業排熱など様々な場面から回収することができる最も一般的なエネルギー源である。そのため、エネルギー利用の高効率化や、ユビキタス端末・センサ等への給電、あるいは熱流センシングによる熱の流れの可視化といった様々な用途において、熱電変換は今後ますます重要となることが予想される。
このような中、磁性材料に温度勾配(温度差)を印加することでスピン角運動量の流れ(スピン流)を生成する「スピンゼーベック効果(SSE:Spin Seebeck Effect)」に基づく熱電変換素子が近年提案されている(特許文献1、非特許文献1〜2)。スピンゼーベック効果とは、磁性体に温度差を与えることによってスピン流が生成される現象である。スピンゼーベック効果に基づく熱電変換素子は、一方向に磁化を有する磁性絶縁体層と、導電性を持つ起電膜の2層構造によって構成される。この素子に面直方向の温度勾配を印加すると、スピンゼーベック効果によって磁性絶縁体中にスピン流というスピン角運動量の流れが誘起され、これが起電膜に注入される。すると起電膜中の「逆スピンホール効果(Inverse spin Hall effect)」によって面内方向の電流に変換される。逆スピンホール効果とは、スピン流と垂直な方向に起電力が発生する現象である。これにより、温度勾配から電気を生成する「熱電変換」が可能となる。熱伝導率が比較的小さい磁性絶縁体を用いて構成されることから、効果的な熱電変換を行うための必要条件である温度差の保持が可能となる。
これまで一般的にスピン流-電流変換を行う材料として、スピンホール効果の大きな白金(Pt)が主に採用されていた。例えば特許文献1では、磁性絶縁体として単結晶のイットリウム鉄ガーネット(YIG:Yttrium Iron Garnet)(ガーネットフェライトの一種)、起電膜として白金(Pt)ワイヤを用いて熱電変換素子を形成し、熱電変換を行っている。
一方、スピンゼーベック効果とは別に、導電性のある磁性金属における異常ネルンスト効果(ANE(Anomalous Nernst Effect))と呼ばれる別種の熱電効果も古くから知られている。異常ネルンスト効果とは、磁化した磁性体に熱流を流した際、磁化の向きと熱流の向きのそれぞれと直交する方向(外積方向)に電圧が生じる現象である。異常ネルンスト効果に基づく熱電変換素子は、一方向に磁化を有するNiやFeなどの磁性金属層からなり、これに面直方向の温度勾配を印加すると、面内方向に電流が駆動される。
このように、スピンゼーベック効果と異常ネルンスト効果はいずれも面直方向の温度勾配によって面内方向の起電力を誘起するという同様の対称性をもつ効果である。そのためこれら2つの効果を併用するハイブリッド型スピン熱電素子の開発も報告されている(非特許文献3)。
また特許文献2の(0024)段落には、導電膜の説明として「導電膜30は、典型的には、金属膜である。その金属膜30の材料は、「スピン軌道相互作用」の大きな金属材料を含有する。例えば、スピン軌道相互作用の比較的大きなAuやPt、Pd、Ir、その他f軌道を有する金属材料、またはそれらを含有する合金材料を用いる。また、Cuなどの一般的な金属膜材料に、Au,Pt,Pd,Irなどの材料を0.5〜10%ドープするだけでも、同様の効果を得ることはできる。」とある。
Ken-ichi Uchida, Tatsumi Nonaka, Takeru Ota and Eiji Saitoh, "Longitudinal spin-Seebeck effect in sintered polycrystalline (Mn, Zn)Fe2O4", Appl. Phys. Lett. 97, 262504 (2010)
Akihiro Kirihara, Ken-ichi Uchida, Yosuke Kajiwara, Masahiko Ishida, Yasunobu Nakamura, Takashi Manako, Eiji Saitoh & Shinichi Yorozu,"Spin-current-driven thermoelectric coating" Nature Materials 11, 686(2012)
B. F. Miao, S. Y. Huang, D. Qu, and C. L. Chien, "Inverse Spin Hall Effect in a Ferromagnetic Metal", Phys. Rev. Lett. 111, 066602(2013)
しかし、Ptを用いて熱電変換素子を構成した場合、材料コストが高くなるという課題がある。加えて、熱電変換効率についても更なる高変換効率化が求められる。異常ネルンスト効果も、熱伝導率の高い金属材料をベースとするために温度差の保持が困難で、やはり高い性能は期待できなかった。
一方、非特許文献3に示されているようなスピンゼーベック効果と異常ネルンスト効果を併用するデバイスであれば、熱伝導率が比較的低い磁性絶縁体を用いて素子における温度差を保持しつつ、両方の効果を加算することで高変換効率化が可能となる。ただ、非特許文献3においては、磁性金属材料としてはNiとFeの合金であるパーマロイPyといった限られた材料のみしか開示されていない。そのため、両効果を併用するハイブリッド素子を設計する際の高効率な変換を可能にする材料等に関する知見や指針はこれまで十分に得られていなかった。
また特許文献2に記載されている、Cuを母材としてAu, Pt, Pd, Irなどの材料をドープした導電膜では、磁性体から内部にスピン流が入りにくいという問題があり、大きな起電力はこれまで報告されていない。
本発明は、比較的安価な素材を用いて高効率の熱電変換を可能とする熱電変換素子とそれに用いる起電膜を提供することを目的とする。
本発明は、Niが含まれる磁性合金であり、Niを母体とし5d遷移金属元素を添加したことを特徴とする熱電変換素子用起電膜である。
また本発明は、磁性体層と、前記磁性体層上に形成され、Niが含まれる磁性合金であり、Niを母体とし5d遷移金属元素が添加され起電力を発生する起電膜と、前記起電力によるポテンシャルが異なる2箇所で前記起電膜にそれぞれ接触するように形成された2個の端子部と、を備えたことを特徴とする熱電変換素子である。
本発明によると、PtやIrなどの貴金属材料系と比べて安価な材料で高い熱電変換効率が得られる熱電変換素子及びそれに用いる起電膜が得られる。
本発明の実施の形態について図面を参照して以下、詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は本発明の実施形態の起電膜2を示す斜視図である。分かり易いように起電膜2の下にある磁性体層3とその下にある基板4も破線で示している。起電膜2はNiが含まれる磁性合金であり、Niを母体としそれに5d遷移金属元素を添加する。温度勾配下で起電力Vを発現する。5d遷移金属元素はHf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Auである。
(第1の実施形態)
図1は本発明の実施形態の起電膜2を示す斜視図である。分かり易いように起電膜2の下にある磁性体層3とその下にある基板4も破線で示している。起電膜2はNiが含まれる磁性合金であり、Niを母体としそれに5d遷移金属元素を添加する。温度勾配下で起電力Vを発現する。5d遷移金属元素はHf、Ta、W、Re、Os、Ir、Pt、Auである。
本発明者らは、スピンゼーベック効果と異常ネルンスト効果を併用するハイブリッド素子の熱電変換効率を高める研究開発を行ってきた。その中で、Niホストに5d遷移金属を添加したNi系合金と磁性絶縁体を組み合わせてスピンゼーベック効果と異常ネルンスト効果を同時に発現させる熱電変換素子が、一般的なスピンゼーベック熱電素子に比べて高い熱電変換効果を示すことを見出した。また、このNiホストに5d遷移金属を添加したNi系合金を用いた熱電変換素子は、非特許文献3で示されているNiとFeの合金であるパーマロイ(Py)を用いた熱電変換素子よりも、数倍熱起電力が大きいことが実験から明らかになった。本実施形態の起電膜を熱電変換素子に用いれば、PtやIrなどの貴金属材料系と比べて安価な材料で、しかも高い熱電変換効率が得られる。
(第2の実施形態)
まず、本発明の第2の実施形態として、Ni系合金と磁性体層(磁性絶縁体もしくは磁性半導体層)との積層構造による熱電変換素子について説明する。本実施形態の熱電変換において、Ni系合金は2つの役割を果たす。一つは近接する磁性体層において温度勾配からスピンゼーベック効果によって生じ、Ni系合金へと注入されるスピン流を、逆スピンホール効果によって電流に変換し、起電力を生成するというスピン流-電流変換材料としての役割である。そして二つ目の役割として、温度勾配下におけるNi系合金内の異常ネルンスト効果によって、温度勾配から直接起電力が生成する起電材料としての役割である。
(第2の実施形態)
まず、本発明の第2の実施形態として、Ni系合金と磁性体層(磁性絶縁体もしくは磁性半導体層)との積層構造による熱電変換素子について説明する。本実施形態の熱電変換において、Ni系合金は2つの役割を果たす。一つは近接する磁性体層において温度勾配からスピンゼーベック効果によって生じ、Ni系合金へと注入されるスピン流を、逆スピンホール効果によって電流に変換し、起電力を生成するというスピン流-電流変換材料としての役割である。そして二つ目の役割として、温度勾配下におけるNi系合金内の異常ネルンスト効果によって、温度勾配から直接起電力が生成する起電材料としての役割である。
なお、ここではNi系合金材料として、Niホストに5d遷移金属材料を数%添加した組成の材料を用いる。
一般的に効率的なスピン流-電流変換を行うには、スピン軌道相互作用の大きな材料を用いることが望ましいが、比較的軽い元素であるNiでは、スピン軌道相互作用はさほど大きくない。また、非特許文献3で磁性金属材料として採用されているパーマロイでは、Niに加えFeが含まれているが、Feも比較的軽い元素であり、結果的にパーマロイのようなNi-Fe合金はさほど大きなスピン流-電流変換効果を発現しない。
一方、このNiにスピン軌道相互作用の大きな5d遷移金属材料を少量添加すると、電子スピンの流れがNiホスト内の5d遷移金属原子によって散乱される過程でスピン流-電流変換が効果的に進行する。そのためこのような合金材料を用いることで高性能な熱電変換を達成することが可能になる。またNiはPtやIrなどの貴金属材料系と比べて安価な材料であるので、安価でしかも熱電変換効率の高い素子を得ることができる。
効率的に散乱させるためには5d遷移金属を1at%以上添加することが望ましい。一方5d遷移金属材料を添加しすぎた場合、Ni系合金の磁化の低下によって異常ネルンスト効果が小さくなり、熱電変換性能も逆に下がる。従って5d遷移金属は30at%以下が望ましい。
[素子構造の説明]
図2は本発明の第2の実施形態である熱電変換素子1の斜視図である。基板4上に磁性体層3を形成し、さらに磁性体層3上に導電性の起電膜2を形成して熱電変換素子1を形成する。起電力を取り出すために、起電膜2の両端部に接する形でパッド5a、5bを、そしてさらにパッド5a、5bにそれぞれ接する端子6a、6bを備えている。
[素子構造の説明]
図2は本発明の第2の実施形態である熱電変換素子1の斜視図である。基板4上に磁性体層3を形成し、さらに磁性体層3上に導電性の起電膜2を形成して熱電変換素子1を形成する。起電力を取り出すために、起電膜2の両端部に接する形でパッド5a、5bを、そしてさらにパッド5a、5bにそれぞれ接する端子6a、6bを備えている。
磁性体層3は、スピンゼーベック効果を発現する磁性体材料であり、面内で一方向(紙面手前から奥の方向)の磁化M3を有し、スピンゼーベック効果によって面直方向の温度勾配∇T(温度差ΔT)からスピン流Jsを生成(駆動)する。スピン流Jsの方向は、温度勾配∇Tの方向と平行あるいは反平行である。図2で示される例では、−z方向の温度勾配∇Tが印加され、+z方向あるいは−z方向に沿ったスピン流Jsが生成される。本実施形態では基板4側が高温で起電膜2側が低温であり、図2では低温から高温に向かう方向に矢印を向けてある。また、スピン流というのはスピンというベクトルの流れである。「右向きのスピンが−Z方向に流れる」ことと「左向きのスピンが+Z方向に流れる」ことは同じ意味である。従って「−Z方向のスピン流」であっても起電膜に到達する場合がある。
磁性体層3の材料としては、イットリウム鉄ガーネット(YIG,組成はY3Fe5O12)、ビスマス(Bi)を添加したYIG(Bi:YIG, 組成はBiY2Fe5O12)、もしくはNi−Znフェライト(組成は(Ni,Zn)xFe3-xO4))などが挙げられる。尚、熱電変換効率の観点からは磁性体層3は熱伝導率が小さいことが望ましいため、電流の流れにくい(電子が熱を運びにくい)磁性絶縁体を用いることが望ましい。
また本実施形態では起電膜2として強磁性のNi系合金材料を用い、M3と同方向の磁化M2を有する。この起電膜2は、以下の二つの役割を同時に果たす。一つは、磁性体層3のスピンゼーベック効果によって流入するスピン流を、逆スピンホール効果によって起電力(電場ESSE)に変換するスピン流-電流変換の役割である。もう一つは、起電膜2における異常ネルンスト効果によって温度勾配から直接起電力(電場EANE)を生成する役割である。
ここで、スピンゼーベック効果によって生成される電場ESSEの向きは、磁性体層3の磁化M3の方向と温度勾配∇Tの方向との外積で規定される(ESSE∝M3×∇T)。また同様に、異常ネルンスト効果によって生成される電場の向きは、起電膜2の磁化M2の方向と温度勾配∇Tの方向との外積で規定される(EANE∝M2×∇T)。このほか実際の電場の符号は材料にも依存するが、本実施形態の起電膜2を用いた素子構成の場合、磁化M3の方向と磁化M2の方向が同一方向であれば、ある温度勾配∇Tに対してESSEとEANEはいずれも同一方向に生成される。(電場ESSEとEANEが同一方向でない場合は、両者をベクトル合成した方向に起電力が発生する。)従ってこのような条件の下では、2つの効果がお互いを強め合い、生成される電場の絶対値は|EHybrid|=|ESSE|+|EANE|となる。すなわち、2つの効果による起電力が加算される。なお、本実施形態では、図2に示されるように、磁性体層3の磁化M3および起電膜2の磁化M2の方向は+y方向であり、温度勾配∇Tの方向は−z方向であり、起電力の方向は+x方向となるように構成されている。なお図2で示している起電力の方向が通常の外積から想像されるのとは逆の方向になっている。実際の符号は起電膜の材料によって+xになったり−xになったりするので、図2では端子6aから端子6bに向かう方向にしている。
この起電膜2として本実施形態では、Niを母材として(Niが原子割合にして90at%となるようにして)、それにスピン軌道相互作用の大きな5d遷移金属元素を少量添加した材料を用いる。このような5d遷移金属材料としては、WとPtが変換効率が大きい。従ってWまたはPtを用いることが望ましいが、他の5d遷移金属材料Hf、Ta、Re、Os、Ir、Auでも構わない。このように大きなスピン流-電流変換効果を有する5d遷移金属材料をNi内に添加すれば、電子スピンの流れがこのような5d遷移金属原子において散乱される際に、効果的なスピン流-電流変換が生じ、結果的に高効率な熱電変換が可能となる。
PtやWのような非磁性の5d遷移金属を添加して効率的に散乱させるためには1at%以上添加することが望ましい。一方添加しすぎた場合、Ni系合金の磁化の低下によって異常ネルンスト効果が小さくなり、本実施形態のような2つの効果を併用する熱電変換素子の性能は逆に低下してしまうので30at%以下が望ましい。従って、5d遷移金属を添加量は原子割合にして1〜30at%の範囲が望ましい。なお、起電膜2の膜厚は用いるNi系合金材料のスピン拡散長程度(5〜20nm)で、30nm以下が望ましい。
パッド5a,5bは、薄い起電膜2から起電力を効果的に取り出すために、起電膜2の両端部に接する形で備えられている。パッド5a,5bの材料としては、抵抗率の低い金属材料が望ましく、例えばAu、Pt、Ta、Cuなどを用いることができる。膜厚は起電膜2より厚いことが望ましく、30nm以上が望ましい。パッド5a,5bを形成すると起電膜と端子6a、6bの間の接触抵抗を下げることができる。また、薄い起電膜2上にピンポイントで端子を付けるよりも、ある程度の膜厚のあるパッドを挟んだ方が、等価回路的にも端子間の抵抗が小さくなる。
起電力はこのパッド5a,5bに接する2つの端子6aと端子6bの間で最終的に取り出される。例えば図2のように2つの端子6a、6bの間の開放電圧を電圧計10で測定すれば、素子で生成される起電力の大きさを評価することができる。
なお、熱電変換機能を具備するにあたって、パッド5a,5bは必須ではなく、端子6a、6bを起電膜2上に直接形成しても良い。
[熱電変換素子の製造方法]
次に、本実施形態に係る熱電変換素子1の製造方法を説明する。
[熱電変換素子の製造方法]
次に、本実施形態に係る熱電変換素子1の製造方法を説明する。
まず、磁性体層3の形成方法としては、スパッタ法、有機金属分解法(MOD(Metal Organic Deposition)法)、パルスレーザー堆積法(PLD(Pulsed Laser Deposition)法)、ゾルゲル法、エアロゾルデポジション法(AD(Aerosol Deposition)法)、フェライトめっき法、液相エピタキシー法(LPE(Liquid Phase Epitaxy)法)などのいずれかの方法を用いて成膜する方法が挙げられる。この場合、磁性体層3は何らかの基板上に成膜される。
起電膜2の形成方法としては、酸素雰囲気中での反応性スパッタ法や、MOD法などで形成する。
パッド5a、5bはスパッタ法や真空蒸着法、電子ビーム蒸着法、めっき法などで形成する。
[実施例1]
本発明の効果を検証するために、熱電変換素子を作製し、効果の検証を行った。本実施形態では図3に示すように、起電膜2としてニッケル-タングステン合金Ni97W3を用いた。
[実施例1]
本発明の効果を検証するために、熱電変換素子を作製し、効果の検証を行った。本実施形態では図3に示すように、起電膜2としてニッケル-タングステン合金Ni97W3を用いた。
厚さ0.5mmの(GdCa)3(GaMgZr)5O12(以後SGGG(Substituted Gadolinium Gallium Garnetの略称)と表記する)基板上に膜厚120nmのBiY2Fe5O12(Bi:YIG)磁性膜を形成した。さらに、その上に起電膜となる膜厚10nmのNi系合金膜Ni97W3を形成することで、熱電変換素子を作製した。ここで、YIG磁性膜の形成には塗布ベースの成膜法である有機金属分解法(MOD法)を用いている。この方法では、Y,Feが含まれた有機金属を溶かした溶液(MOD溶液)をスピンコート(回転数1000rpm)で塗布し、700℃でアニールすることでYIGを形成した。
Ni97W3は、ここでは焼結作製したNi97W3合金ターゲットを用い、マグネトロンスパッタ法によって形成した。
また、この熱電変換素子の性能を比較するため、現在スピンゼーベック素子用の起電膜として一般的に採用されている白金(Pt)、及びNiを用いた素子も同時に用意した。これらの素子も、上記と同じ方法でSGGG基板上に膜厚120nm のBi:YIG磁性膜を成膜した後、その上に膜厚10nmのPtをスパッタ法で形成することで比較用素子を作製した。
次に、作製したハイブリッド型スピン熱電素子(Ni97W3/Bi:YIG/SGGG基板)の熱電特性評価について述べる。ここでは、上記の方法で作製したウェハを8×2 mmに切り出した試料を用いている。Ni97W3膜の短手方向にBi:YIG磁性膜を磁化させた状態で、上端と下端の間に面直方向に温度差ΔTを印加し、スピンゼーベック効果(SSE)と異常ネルンスト効果の加算によってNi97W3膜の長手方向に生じる起電力(出力電圧)を測定した。
図4に、SSEとANEを併用するハイブリッド型スピン熱電素子(Ni97W3/Bi:YIG)の熱電特性を、膜厚等の条件を揃えたSSEのみの標準的なスピン熱電素子(Pt/Bi:YIG)や、パーマロイPy(Ni80Fe20)を用いたハイブリッド型スピン熱電素子(Py/Bi:YIG)等と比較して示した。ハイブリッド型素子の熱電変換性能はV/ΔT=2.9μV/Kで、通常のスピン熱電素子Pt/Bi:YIGの約3倍程度の起電力性能を示した。4端子測定で評価したNi97W3の抵抗率はρ=77nΩmで、Pt(ρ=64nΩm)と比べると若干高い。また、このNi97W3/Bi:YIG素子は、非特許文献3と同様の構成であるPyを用いたハイブリッド型スピン熱電素子(Py/Bi:YIG)と比較しても4倍程度大きな熱起電力性能を示している。
図4にはNiを金属膜として用いたNi/Bi:YIG素子の評価結果も同時に示しているが、これと比較してもNi97W3/Bi:YIG素子の起電力性能は2倍以上高い。Niホスト中に添加されたWがスピン流を効果的に散乱することで、スピン流-起電力変換の増大が生じているものと推察される。ただ、W添加量をさらに増やしたNi90W10/Bi:YIG素子では性能は逆に低下しており(図4)、W添加量には適切な範囲があることが確認された。
また図5では、同じNi97W3/Bi:YIG素子の起電力評価結果を、磁性絶縁膜(Bi:YIG)を用いずにNi97W3及びNiを直接基板に成膜した素子の熱電性能と比較して示している。ANEのみが信号に寄与するNi97W3素子、Ni素子に比べ、SSE信号がANEに加算され共に出力電圧に寄与するNi97W3/Bi:YIG素子では、より大きな起電力が得られていることが示されている。
[実施例2]
実施例1の結果を受け、Wの最適添加量を調べるために、Wの添加割合x(at%)を段階的に振って形成したNi100-xWxを起電膜として用いた熱電変換素子を作製し、熱電変換性能の組成依存性を調べた。
[実施例2]
実施例1の結果を受け、Wの最適添加量を調べるために、Wの添加割合x(at%)を段階的に振って形成したNi100-xWxを起電膜として用いた熱電変換素子を作製し、熱電変換性能の組成依存性を調べた。
本実施例のハイブリッド型スピン熱電素子は、実施例1と同様にSGGG基板を用いており、基板上にやはりMOD法によって膜厚120nmのBi:YIG膜を形成した後、スパッタ法によって膜厚10nmのNi100-xWx膜を成膜した。図6に熱電変換性能V/ΔTのW添加量x依存性を示す。熱電性能はxに依存しており、Wの添加により性能の向上が見られるが、xがある一定量を超えると性能は逆に低下する。この実験から、xの最適値は3(at%)であり、W添加による有意な性能向上効果をもたらす添加割合xとして1(at%)以上かつ5(at%)以下が望ましい。
また、SGGG上に直接Ni100-xWx膜を形成した素子も作製・評価している。この素子ではスピンゼーベック効果が発現せず、異常ネルンスト効果のみが熱電信号に寄与する。図7にこの異常ネルンスト素子の熱電変換性能V/ΔTのW添加量x依存性を示す。ハイブリッド型スピン熱電素子と比較すると信号は小さいが、やはりx=3(at%)で信号が最大となっている。
[実施例3]
本発明の効果を検証するために、熱電変換素子を作製し、効果の検証を行った。本実施例では図3に示すように、この起電膜2としてニッケル-白金合金Ni97Pt3を用いた。
[実施例3]
本発明の効果を検証するために、熱電変換素子を作製し、効果の検証を行った。本実施例では図3に示すように、この起電膜2としてニッケル-白金合金Ni97Pt3を用いた。
ここでも実施例1と同様の製造プロセスを用いて、基板上に膜厚120nmのBiY2Fe5O12(Bi:YIG)磁性膜を、そしてさらにその上に膜厚10nmのNi系合金膜Ni97Pt3を形成することで作製した。Ni97Pt3は、焼結作製したNi97Pt3合金ターゲットを用いて、マグネトロンスパッタ法によって形成した。
また、この熱電変換素子の性能を比較するため、現在スピンゼーベック素子用の起電膜として一般的に採用されている白金(Pt)を用いた素子も同時に用意した。これらの素子も、上記と同じ方法でSGGG基板上に膜厚120nmのBi:YIG磁性膜を成膜した後、その上に膜厚10nmのPtをスパッタ法で形成することで比較用素子を作製した。
上記の反応性スパッタ法で作製したウェハを2×8mmの試料にカットし、図3のように起電膜から磁性膜に向けて温度勾配を印加しながらその熱電特性を評価した。このように基板を含む素子の厚さ(面直)方向に温度差ΔTを印加された場合、温度勾配と磁性膜の磁化Mの向きにそれぞれ直交する面内方向に起電力Vが生成される。
図8にNi97Pt3/Bi:YIG/SGGGの熱起電力Vの温度差ΔT依存性を、Pt/Bi:YIG/SGGG素子と比較して示した。Ni97Pt3を用いた本実施例3の素子の熱電係数の絶対値は2.2μV/Kで、Ptの場合の約2.2倍の値を示した。
以上述べたように、Ni97W3起電膜(実施例1)の場合に比べると出力は小さいものの、Ni97Pt3を起電膜として用いた場合でも、異常ネルンスト効果とスピンゼーベック効果の組み合わせによって、貴金属であるPtよりも大きな熱電変換出力電圧が得られることが実証された。
[実施例4]
実施例3の結果を受け、Ptの最適添加量を調べるために、Ptの添加割合x(at%)を段階的に振って形成したNi100-xPtxを起電膜として用いた熱電変換素子を作製し、熱電変換性能の組成依存性を調べた。
[実施例4]
実施例3の結果を受け、Ptの最適添加量を調べるために、Ptの添加割合x(at%)を段階的に振って形成したNi100-xPtxを起電膜として用いた熱電変換素子を作製し、熱電変換性能の組成依存性を調べた。
本実施例のハイブリッド型スピン熱電素子は、実施例1と同様にSGGG基板を用いており、基板上にやはりMOD法によって膜厚120nmのBi:YIG膜を形成した後、スパッタ法によって膜厚10nmのNi100-xPtx膜を成膜した。図9に熱電変換性能V/ΔTのPt添加量x依存性を示す。熱電性能はxに依存しており、Ptの添加により性能の向上が見られるが、xがある一定量を超えると性能は逆に低下する。この実験から、xの最適値は13(at%)であり、Pt添加による有意な性能向上効果をもたらす添加割合xとして3(at%)以上かつ30(at%)以下が望ましい。
また、SGGG上に直接Ni100-xPtx膜を形成した素子も作製・評価している。この素子ではスピンゼーベック効果が発現せず、異常ネルンスト効果のみが熱電信号に寄与する。図10にこの異常ネルンスト素子の熱電変換性能V/ΔTのPt添加量x依存性を示す。ハイブリッド型スピン熱電素子と比較すると信号は小さいが、やはりx=13(at%)で信号が最大となっている。
[実施例5]
本実施例5では図3に示すように、起電膜2としてニッケル-白金合金を用いた素子も試作・評価した。Auの最適添加量を調べるために、Auの添加割合x(at%)を段階的に振って形成したNi100-xAuxを起電膜として用いた熱電変換素子を作製し、熱電変換性能の組成依存性を調べた。
[実施例5]
本実施例5では図3に示すように、起電膜2としてニッケル-白金合金を用いた素子も試作・評価した。Auの最適添加量を調べるために、Auの添加割合x(at%)を段階的に振って形成したNi100-xAuxを起電膜として用いた熱電変換素子を作製し、熱電変換性能の組成依存性を調べた。
本実施例のハイブリッド型スピン熱電素子は、実施例1と同様にSGGG基板を用いており、基板上にやはりMOD法によって膜厚120nmのBi:YIG膜を形成した後、スパッタ法によって膜厚10nmのNi100-xAux膜を成膜した。図11に熱電変換性能V/ΔTのAu添加量x依存性を示す。熱電性能はxに依存しており、Auの添加により性能の向上が見られるが、xがある一定量を超えると性能は逆に低下する。この実験から、xの最適値は15(at%)であり、Au添加による有意な性能向上効果をもたらす添加割合xとして3(at%)以上かつ25(at%)以下が望ましい。
また、SGGG上に直接Ni100-xAux膜を形成した素子も作製・評価している。この素子ではスピンゼーベック効果が発現せず、異常ネルンスト効果のみが熱電信号に寄与する。図12にこの異常ネルンスト素子の熱電変換性能V/ΔTのAu添加量x依存性を示す。ハイブリッド型スピン熱電素子と比較すると信号は小さいが、やはりx=15(at%)付近で信号が最大となっている。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態として、起電膜2と磁性体層3を交互積層による多層型熱電変換素子について説明する。図13に多層型熱電変換素子の斜視図を示した。
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態として、起電膜2と磁性体層3を交互積層による多層型熱電変換素子について説明する。図13に多層型熱電変換素子の斜視図を示した。
熱電変換素子1では、基板4上に、磁性体層3及び起電膜2を交互に複数層積層している。図13では磁性層と起電膜を交互に計四層積層している。起電力を取り出すために、複数の起電膜2全てに接する形でパッド5a、5bを形成し、さらに、パッド5a、5bに接する端子6a、6bがそれぞれ形成されている。
本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、起電膜2には強磁性のNi系合金材料を用いる。また、各起電膜2および各磁性体層3は、それぞれ同方向つまり面内でしかも紙面の手前から奥への方向の磁化M2およびM3を有する。
複数の磁性体層3は、第2の実施形態の場合と同様それぞれスピンゼーベック効果を発現する磁性体材料であり、面直方向の温度勾配∇T(温度差ΔT)の下では、それぞれの磁性体層3においてスピン流Jsが生成(駆動)される。磁性体層3の材料としては、イットリウム鉄ガーネット(YIG,組成はY3Fe5O12)、ビスマス(Bi)を添加したYIG(Bi:YIG, 組成はBiY2Fe5O12)、もしくはNi−Znフェライト(組成は(Ni,Zn)xFe3-xO4))などが挙げられる。尚、熱電変換効率の観点からは磁性体層3は熱伝導率が小さいことが望ましいため、電流の流れにくい(電子が熱を運びにくい)磁性絶縁体を用いることが望ましい。
各磁性体層3において生成されたスピン流はその上下に接する起電膜2へと流れ、ここで逆スピンホール効果によって起電力(電場ESSE)へと変換される。なお、この構成では、磁性体層3で挟まれた起電膜2では上下の磁性体層3からスピン流の寄与を受けるため、結果として起電膜2において流れるスピン流の量および起電力は第1の実施形態の場合に比べ倍程度に大きくなる。
各磁性体層3において生成されたスピン流はその上下に接する起電膜2へと流れ、ここで逆スピンホール効果によって起電力(電場ESSE)へと変換される。なお、この構成では、磁性体層3で挟まれた起電膜2では上下の磁性体層3からスピン流の寄与を受けるため、結果として起電膜2において流れるスピン流の量および起電力は第1の実施形態の場合に比べ倍程度に大きくなる。
さらに本実施形態においても、起電膜2における異常ネルンスト効果によって温度勾配からネルンスト起電力(電場EANE)も直接生成される。第2の実施形態と同様、本実施形態においても2つの効果がお互いを強め合い、大きな起電力が得られる。
本実施形態の効果としては、第2の実施形態の素子に比べて大きな熱起電力が得られることがある。それに加え、複数のNi系合金膜2が電気的に並列接続されていることから、素子の内部抵抗を小さくすることができ、より大きな電力を取り出すことが可能となる点が挙げられる。
なお第1,第2の実施形態では5d遷移金属を一種類だけ添加したが、WとPt等複数種類を添加することもできる。
[本実施形態の実施例]
次に、本発明の熱電変換素子の具体的な実施例について、図14に基づいて説明する。
[本実施形態の実施例]
次に、本発明の熱電変換素子の具体的な実施例について、図14に基づいて説明する。
本実施例では、基板4として厚さ25μmのポリイミド基板、磁性体層3として厚さ1μmの(Ni,Zn)Fe2O4、起電膜2として膜厚10nmのNi97W3をそれぞれ採用した。
本実施例では、ポリイミド基板上にフェライトめっき法を用いて膜厚3μmの(Ni,Zn)Fe2O4を作製した。フェライトめっき法では(i)ポリイミド表面に、Ni2+、Zn2+、Fe2+イオンなどを含む水溶液を接触させることで水酸化金属イオンを吸着した。その後、(ii)これらを酸化剤により酸化させ(Fe2+→Fe3+)、(iii)これをさらに水溶液中の水酸化金属イオンとフェライト結晶化反応させることにより、基板表面上にフェライト膜を形成した。この(i)〜(iii)のステップを順次繰り返すことで、膜厚1μmのフェライト膜(Ni,Zn)Fe2O4を形成した。さらにこの上面に、Ni系合金膜3として膜厚10nmのNi97W3をスパッタ法により成膜した。
このフェライトめっき法によるフェライト成膜とスパッタ法によるNi97W3成膜とを4回繰り返すことで、図14に示される多層素子を作製した。
作製した素子の熱電特性を評価した結果、第2の実施形態の実施例1で示した素子と比較して約1.6倍にあたるV/ΔT=4.6μV/Kの起電力性能が得られた。また、内部抵抗(端子間の抵抗)は第1の実施形態の素子の約4分の1程度だった。
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
この出願は、2015年11月13日に出願された日本出願特願2015−223201、及び、2016年8月19日に出願された日本出願特願2016−161325を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
1 熱電変換素子
2 起電膜
3 磁性体層
4 基板
5a、5b パッド
6a、6b 端子
10 電圧計
2 起電膜
3 磁性体層
4 基板
5a、5b パッド
6a、6b 端子
10 電圧計
特許文献1:国際公開第2009/151000号
特許文献2:国際公開第2013/046948号
特許文献2:国際公開第2013/046948号
Claims (10)
- Niが含まれる磁性合金であり、Niを母体とし5d遷移金属元素を添加したことを特徴とする、温度勾配下で起電力を発現する熱電変換素子用起電膜。
- 前記5d遷移金属元素の添加量が原子割合にして1〜30at%であることを特徴とする、請求項1に記載の熱電変換素子用起電膜。
- 前記5d遷移金属元素がW、PtまたはAuであることを特徴とする請求項1または2に記載の熱電変換素子用起電膜。
- 磁性体層と、前記磁性体層上に形成され、Niが含まれる磁性合金であり、Niを母体とし5d遷移金属元素が添加され起電力を発生する起電膜と、前記起電力によるポテンシャルが異なる2箇所で前記起電膜にそれぞれ接触するように形成された2個の端子部と、を備えたことを特徴とする熱電変換素子。
- 前記起電膜は逆スピンホール効果と異常ネルンスト効果によって面内方向の起電力を発生する請求項4に記載の熱電変換素子。
- 前記起電膜と前記磁性体層が交互に複数層積層されたことを特徴とする請求項4または5に記載の熱電変換素子。
- 前記磁性体層と前記起電膜とが同一方向の磁化を有することを特徴とする、請求項4から6のいずれか一項に記載の熱電変換素子。
- 前記起電膜と前記端子部の両方に電気的に接する金属パッドを備えていることを特徴とする、請求項4から7のいずれか一項に記載の熱電変換素子。
- 前記起電膜の膜厚が30nm以下であることを特徴とする、請求項4から請求項8のいずれかに記載の熱電変換素子。
- 前記磁性体層が磁性絶縁体であることを特徴とする請求項4から9のいずれか一項に記載の熱電変換素子。
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