JP6066091B2 - 熱電変換素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、スピンゼーベック効果及び逆スピンホール効果を利用した熱電変換素子、及びその製造方法に関する。
近年、「スピントロニクス(spintronics)」と呼ばれる電子技術が脚光を浴びている。エレクトロニクスは、電子の1つの性質である「電荷」だけを利用するが、スピントロニクスは、それに加えて、電子の他の性質である「スピン」をも積極的に利用する。特に、電子のスピン角運動量の流れである「スピン流(spin-current)」は重要な概念である。スピン流のエネルギー散逸は少ないため、スピン流を利用することによって高効率な情報伝達を実現できる可能性がある。従って、スピン流の生成、検出、制御は重要なテーマである。
例えば、電流が流れるとスピン流が生成される現象が知られている。これは、「スピンホール効果(spin-Hall
effect)」と呼ばれている。また、その逆の現象として、スピン流が流れると起電力が発生することも知られている。これは、「逆スピンホール効果(inverse spin-Hall effect)」と呼ばれている。逆スピンホール効果を利用することによって、スピン流を検出することができる。尚、スピンホール効果も逆スピンホール効果も、「スピン軌道相互作用(spin orbit coupling)」が大きな物質(例:Pt、Au)において有意に発現する。
また、最近の研究により、磁性体における「スピンゼーベック効果(spin-Seebeck effect)」の存在も明らかになっている。スピンゼーベック効果とは、磁性体に温度勾配が印加されると、温度勾配と平行方向にスピン流が誘起される現象である(例えば、特許文献1、非特許文献1、非特許文献2を参照)。すなわち、スピンゼーベック効果により、熱がスピン流に変換される(熱スピン流変換)。特許文献1では、強磁性金属であるNiFe膜におけるスピンゼーベック効果が報告されている。非特許文献1、2では、イットリウム鉄ガーネット(YIG、YFe12)といった磁性絶縁体と金属膜との界面におけるスピンゼーベック効果が報告されている。
尚、温度勾配によって誘起されたスピン流は、上述の逆スピンホール効果を利用して電界(電流、電圧)に変換することが可能である。つまり、スピンゼーベック効果と逆スピンホール効果を併せて利用することによって、温度勾配を電気に変換する「熱電変換」が可能となる。
図1は、特許文献1に開示されている熱電変換素子の構成を示している。サファイア基板101の上に熱スピン流変換部102が形成されている。熱スピン流変換部102は、Ta膜103、PdPtMn膜104及びNiFe膜105の積層構造を有している。NiFe膜105は、面内方向の磁化を有している。更に、NiFe膜105上にはPt電極106が形成されており、そのPt電極106の両端は端子107−1、107−2にそれぞれ接続されている。
このように構成された熱電変換素子において、NiFe膜105が、スピンゼーベック効果によって温度勾配からスピン流を生成する役割を果たし、Pt電極106が、逆スピンホール効果によってスピン流から起電力を生成する役割を果たす。具体的には、NiFe膜105の面内方向に温度勾配が印加されると、スピンゼーベック効果により、その温度勾配と平行な方向にスピン流が発生する。すると、NiFe膜105からPt電極106にスピン流が流れ込む、あるいは、Pt電極106からNiFe膜105にスピン流が流れ出す。Pt電極106では、逆スピンホール効果により、スピン流方向とNiFe磁化方向とに直交する方向に起電力が生成される。その起電力は、Pt電極106の両端に設けられた端子107−1、107−2から取り出すことができる。
他の関連技術として、特許文献2は、熱電半導体を使用した熱電素子に用いられる電極材を開示している。その電極材は、低熱膨張金属材料からなるコア材と、そのコア材の表面にクラッドされた低抵抗金属材料層とを具備する。
特開2009−130070号公報 特開2004−63585号公報
Uchida et al., "SpinSeebeck insulator", Nature Materials, 2010, vol. 9,p.894. Uchida et al., "Observationof longitudinal spin-Seebeck effect in magnetic insulators", Applied Physics Letters, 2010, vol.97, p172505.
図1で示された熱電変換素子のPt電極106では、逆スピンホール効果により、スピン流から起電力が生成される。しかしながら、その起電力により駆動される電流の一部は、逆過程のスピンホール効果により、スピン流に変換されてしまう。つまり、逆スピンホール効果によってスピン流から生成された電流の一部が、逆過程により失われてしまう。このことは、熱電変換効率の低下を招く。
本発明の目的は、逆スピンホール効果を利用した熱電変換素子において、逆過程のスピンホール効果による熱電変換効率の低下を抑制することができる技術を提供することにある。
本発明の1つの観点において、熱電変換素子が提供される。その熱電変換素子は、磁性体層と、磁性体層上に形成された電極層と、を備える。電極層は、第1領域と、第1領域よりもスピン流−電流変換効率及び抵抗率が低い第2領域と、を含む。
本発明によれば、逆スピンホール効果を利用した熱電変換素子において、逆過程のスピンホール効果による熱電変換効率の低下を抑制することが可能となる。
上記及び他の目的、長所、特徴は、次の図面と共に説明される本発明の実施の形態により明らかになるであろう。
図1は、特許文献1に記載されている熱電変換素子を概略的に示す斜視図である。 図2は、本発明の第1の実施の形態に係る熱電変換素子の構成を概略的に示す斜視図である。 図3は、本発明の第1の実施の形態に係る熱電変換素子の変換電極及び導電電極の特性を示す概念図である。 図4は、本発明の第1の実施の形態に係る熱電変換素子の他の構成を示す概略図である。 図5は、本発明の第2の実施の形態に係る熱電変換素子の構成を概略的に示す斜視図である。 図6は、本発明の第2の実施の形態に係る熱電変換素子の変換電極及び導電電極の特性を示す概念図である。 図7Aは、本発明の第2の実施の形態に係る熱電変換素子の外部接続端子の構成例を示す概略図である。 図7Bは、本発明の第2の実施の形態に係る熱電変換素子の外部接続端子の他の構成例を示す概略図である。 図7Cは、本発明の第2の実施の形態に係る熱電変換素子の外部接続端子の更に他の構成例を示す概略図である。 図8は、本発明の第2の実施の形態に係る熱電変換素子の他の構成を示す概略図である。 図9は、本発明の第3の実施の形態に係る熱電変換素子の構成例を示す概略図である。 図10は、本発明の第3の実施の形態に係る熱電変換素子の他の構成例を示す概略図である。 図11は、本発明の第4の実施の形態に係る熱電変換素子の構成を概略的に示す斜視図である。 図12は、本発明の第4の実施の形態に係る熱電変換素子の構成例を示す概略図である。 図13は、本発明の第4の実施の形態に係る熱電変換素子の他の構成例を示す概略図である。 図14は、本発明の第4の実施の形態に係る熱電変換素子の更に他の構成例を示す概略図である。 図15は、本発明の第5の実施の形態に係る熱電変換素子の構成を概略的に示す斜視図である。 図16は、本発明の実施の形態に係る熱電変換素子の構成を要約的に示す概念図である。
添付図面を参照して、本発明の実施の形態に係る熱電変換素子を説明する。
1.第1の実施の形態
図2は、第1の実施の形態に係る熱電変換素子1の構成を概略的に示す斜視図である。熱電変換素子1は、基板10、磁性体層20、電極層60、及び一対の外部接続端子50(50−1,50−2)を備えている。磁性体層20は基板10上に形成されており、電極層60は磁性体層20上に形成されている。つまり、基板10、磁性体層20、及び電極層60は、この順番で積層されている。この積層方向は、以下、z方向と参照される。z方向と直交する面内方向は、x方向とy方向である。x方向とy方向は、互いに直交している。
磁性体層20は、スピンゼーベック効果を発現する熱−スピン流変換部である。つまり、磁性体層20は、スピンゼーベック効果によって温度勾配∇Tからスピン流Jsを生成(駆動)する。スピン流Jsの方向は、温度勾配∇Tの方向と平行あるいは反平行である。図2で示される例では、+z方向の温度勾配∇Tが印加され、+z方向あるいは−z方向に沿ったスピン流Jsが生成される。
磁性体層20の材料は、強磁性金属であってもよいし、磁性絶縁体であってもよい。強磁性金属としては、NiFe、CoFe、CoFeBなどが挙げられる。磁性絶縁体としては、イットリウム鉄ガーネット(YIG,YFe12)、ビスマス(Bi)をドープしたYIG(Bi:YIG)、ランタン(La)を添加したYIG(LaYFe12)、イットリウムガリウム鉄ガーネット(YFe5−xGa12)などが挙げられる。尚、電子による熱伝導を抑えるという観点から言えば、磁性絶縁体を用いることが望ましい。
電極層60は、変換電極30(第1電極膜)と導電電極40(第2電極膜)を含んでいる。本実施の形態では、変換電極30と導電電極40は、z方向に分布している。より詳細には、変換電極30は磁性体層20上に形成されており、導電電極40は変換電極30上に形成されている。つまり、変換電極30は、z方向において、磁性体層20と導電電極40との間に位置している。
変換電極30は、逆スピンホール効果(スピン軌道相互作用)を発現するスピン流−電流変換部である。つまり、変換電極30は、逆スピンホール効果によって上記スピン流Jsから起電力を発生する。ここで、発生する起電力の方向は、磁性体層20の磁化Mの方向と温度勾配∇Tの方向との外積で与えられる(E//M×∇T)。本実施の形態では、効率的な電力生成のため、起電力の方向が変換電極30の面内方向となるように素子が構成されている。例えば、図2に示されるように、磁性体層20の磁化Mの方向は+y方向であり、温度勾配∇Tの方向は+z方向であり、起電力の方向は+x方向である。
変換電極30の材料は、「スピン軌道相互作用」の大きな金属材料を含有する。例えば、スピン軌道相互作用の比較的大きなAuやPt、Pd、Ir、その他f軌道を有する金属材料、またはそれらを含有する合金材料を用いる。また、Cuなどの一般的な金属膜材料に、Au、Pt、Pd、Irなどの材料を0.5〜10%程度ドープするだけでも、同様の効果を得ることができる。
尚、効率の観点から言えば、変換電極30の膜厚を、材料に依存する「スピン拡散長(スピン緩和長)」程度に設定することが望ましい。例えば、変換電極30がPt膜である場合、その膜厚を10〜30nm程度に設定することが好ましい。
導電電極40は、変換電極30と接触するように変換電極30上に形成されている。更に、2個の外部接続端子50−1、50−2が、導電電極40と接触するように、且つ、x方向に離間して形成されている。起電力が発生しているとき、外部接続端子50−1、50−2の電位は互いに異なっている。これら外部接続端子50−1、50−2を用いることにより、変換電極30で発生した電流(電力)を取り出すことができる。
尚、変換電極30や導電電極40材料は、金属材料や合金材料に限られない。変換電極30は、例えば、ITOなどの酸化物であってもよい。また、導電電極40は、例えば、グラフェンなどの炭素系材料であってもよい。
図3は、本実施の形態に係る変換電極30及び導電電極40の特性を示している。特性として、「シート抵抗」と「スピン流−電流変換効率」を考える。スピン流−電流変換効率は、スピン軌道相互作用(スピンホール効果、逆スピンホール効果)によるスピン流と電流との変換効率である。スピン流−電流変換効率は、近似的に、いわゆる「スピンホール角」と考えることもできる。尚、スピン流−電流変換効率の測定方法は、例えば、次の文献に記載されている: Niimi et al., “Extrinsic Spin Hall Effect
Induced by Iridium Impurities in Copper”, Physical
Review Letters, 106, 126601, 2011。
本実施の形態によれば、導電電極40のシート抵抗は、変換電極30のシート抵抗よりも低い。また、導電電極40のスピン流−電流変換効率は、変換電極30のスピン流−電流変換効率よりも低い。すなわち、変換電極30と比較して、導電電極40では電流がより流れやすく、且つ、スピン流−電流変換がより起こりにくい。
変換電極30では、逆スピンホール効果が強く発現し、スピン流Jsが高効率で電流に変換される。変換電極30で発生した電流の大部分は、変換電極30よりもシート抵抗が低い導電電極40の方に流れる。導電電極40では、スピンホール効果はほとんど発現せず、電流はほとんどスピン流に変換されない。すなわち、逆スピンホール効果によってスピン流Jsから変換された電流の一部が、スピンホール効果によってスピン流に戻ってしまうことがほぼ防止される。従って、電極層60における電流の損失が大幅に低減される。このことは、熱電変換効率の向上を意味する。
変換電極30と導電電極40の材料の組み合わせとしては、様々考えられる。例えば、変換電極30の材料はPt(抵抗率=104nΩ・m)であり、導電電極40の材料はCu(抵抗率=17nΩ・m)である。この場合、変換電極30と導電電極40は、別々に形成される。
あるいは、変換電極30と導電電極40は、一体的に形成されてもよい。例えば、変換電極30の材料がIrドープCuであり、導電電極40の材料がノンドープCuであってもよい。IrドープCuでは、Ir原子によりスピン流−電流変換が高効率で起こることが知られている。このような組み合わせの場合、Cu成膜中にIrドープを適宜制御することによって、変換電極30と導電電極40を連続的に形成することが可能であり、製造プロセスの観点から好適である。
また、変換電極30の材料がFeドープAuであり、導電電極40の材料がノンドープAuであってもよい。FeドープAuでは、Fe原子によりスピン流−電流変換が高効率で起こることが知られている。このような組み合わせの場合、Au成膜中にFeドープを適宜制御することによって、変換電極30と導電電極40を連続的に形成することが可能であり、製造プロセスの観点から好適である。
このように、変換電極30と導電電極40との間には明確な境界がなくてもよい。より一般的には、図4に示されるように、電極層60においてドープ量の不均一が形成されていればよい。図4において、電極層60は、変換電極30に相当する領域(以下、「変換領域30」と参照される)と、導電電極40に相当する領域(以下、「導電領域40」と参照される)を含んでいる。変換領域30は、z方向において、磁性体層20と導電領域40との間に位置している。例えば、電極層60の材料がIrドープCuである場合を考えると、変換領域30は高濃度Ir領域であり、導電領域40は低濃度Ir領域である。つまり、導電領域40よりも変換領域30の方がIr濃度が高くなるように、Irドープ量が制御される。FeドープAuの場合も同様である。その結果、抵抗率及びスピン流−電流変換効率といったパラメータは、変換領域30において比較的高くなり、導電領域40において比較的低くなる。尚、抵抗率及びスピン流−電流変換効率といったパラメータは、磁性体層20から遠ざかるにつれて、序々に低くなってもよい。
2.第2の実施の形態
図5は、第2の実施の形態に係る熱電変換素子1の構成を概略的に示す斜視図である。第2の実施の形態は、上述の第1の実施の形態と比較して、電極層60における変換電極(変換領域)30と導電電極(導電領域)40の位置関係が反転している。具体的には、導電電極40が磁性体層20上に形成されており、変換電極30は導電電極40上に形成されている。つまり、導電電極40が、z方向において、磁性体層20と変換電極30との間に位置している。その他の構成は同様であり、重複する説明は適宜省略される。
図6は、本実施の形態に係る変換電極30及び導電電極40の特性を示している。第1の実施の形態と同じく、導電電極40のシート抵抗は、変換電極30のシート抵抗よりも低い。また、導電電極40のスピン流−電流変換効率は、変換電極30のスピン流−電流変換効率よりも低い。すなわち、変換電極30と比較して、導電電極40では電流がより流れやすく、且つ、スピン流−電流変換がより起こりにくい。変換電極30と導電電極40の材料は、第1の実施の形態と同様である。
本実施の形態では、磁性体層20で生成されたスピン流Jsは、導電電極40を介して、変換電極30に到達する。導電電極40において多少緩和されるものの、ある程度のスピン流Jsは変換電極30に到達する。よって、第1の実施の形態と同様の作用、効果が得られる。すなわち、電極層60における逆過程による電流の損失が低減される。尚、導電電極40の膜厚は、その導電電極40の材料のスピン拡散長(スピン緩和長)未満に設定することが望ましい。
尚、本実施の形態では、導電電極40の上に変換電極30が存在するため、外部接続端子50−1、50−2の形成に工夫の余地がある。例えば、図7Aに示されるように、導電電極40は変換電極30よりも大きく形成され、導電電極40の上面の露出部に接触するように外部接続端子50−1、50−2が形成される。あるいは、図7Bに示されるように、導電電極40と変換電極30の積層構造の端部が斜め方向に除去され、その除去部分に外部接続端子50−1、50−2が形成されてもよい。あるいは、図7Cに示されるように、導電電極40と変換電極30の材料が、例えば、加熱等の手段を用いて部分的に混合されることにより、外部接続端子50−1、50−2が形成されてもよい。あるいは、同じく図7Cに示されるように、導電電極40と変換電極30の積層構造が、例えば、原子や分子の拡散、あるいは、原子や分子の注入等の手段を用いて、部分的に低抵抗化されることにより、外部接続端子50−1、50−2が形成されてもよい。図7A〜図7Cの場合、図5の場合に比べて、導電電極40と外部接続端子50−1、50−2との接触面積が大きくなり、好適である。
また、第1の実施の形態と同様に、変換電極30と導電電極40との間には明確な境界がなくてもよい。図8に示されるように、電極層60は、変換領域30と導電領域40を含んでいてもよい。導電領域40は、z方向において、磁性体層20と変換領域30との間に位置している。例えば、電極層60の材料がIrドープCuである場合を考えると、変換領域30は高濃度Ir領域であり、導電領域40は低濃度Ir領域である。つまり、導電領域40よりも変換領域30の方がIr濃度が高くなるように、Irドープ量が制御される。FeドープAuの場合も同様である。その結果、抵抗率及びスピン流−電流変換効率といったパラメータは、変換領域30において比較的高くなり、導電領域40において比較的低くなる。尚、抵抗率及びスピン流−電流変換効率といったパラメータは、磁性体層20から遠ざかるにつれて、序々に高くなってもよい。
3.第3の実施の形態
電極層60の抵抗率及びスピン流−電流変換効率といったパラメータは、磁性体層20から遠ざかるにつれて、必ずしも単調に増加あるいは減少しなくてもよい。例えば、図9に示される構成では、磁性体層20上に導電電極40が形成され、その導電電極40上に変換電極30が形成され、更にその変換電極30上に他の導電電極40が形成されている。他の例として、図10に示される構成では、磁性体層20上に変換領域30が形成され、その変換領域30上に導電領域40が形成され、更にその導電領域40上に他の変換領域30が形成されている。このような構成によっても、既出の実施の形態と同様の作用、効果が得られる。すなわち、電極層60における逆過程による電流の損失が低減される。
4.第4の実施の形態
既出の実施の形態では、変換電極(変換領域)30と導電電極(導電領域)40が、電極層60中でz方向に分布していた。しかし、それらの位置関係はそれに限られない。第4の実施の形態では、変換電極(変換領域)30と導電電極(導電領域)40が電極層60の面内方向に分布している場合を説明する。
図11は、第4の実施の形態に係る熱電変換素子1の構成を概略的に示す斜視図である。電極層60は、変換電極30と導電電極40を含んでいる。それら変換電極30と導電電極40は、共に磁性体層20上に形成されており、面内方向に分布している。また、外部接続端子50−1、50−2は、導電電極40と接触するように形成されている。
図12は、本実施の形態における電極層60の構成例(xy面内)を示している。図12に示される例では、複数の導電電極40が起電力方向(x方向)に延在するように形成されており、変換電極30はそれら複数の導電電極40の間に挟まれるように形成されている。また、外部接続端子50−1、50−2が、各導電電極40の両端にそれぞれ設けられている。
図13は、本実施の形態における電極層60の他の構成例(xy面内)を示している。図13に示される例では、導電電極40が“はしご状”に形成されており、変換電極30は導電電極40の隙間に形成されている。また、外部接続端子50−1、50−2が、x方向における導電電極40の両端に設けられている。
いずれの場合であっても、変換電極30では、逆スピンホール効果が強く発現し、スピン流Jsが高効率で電流に変換される。変換電極30で発生した電流の大部分は、変換電極30よりもシート抵抗が低い導電電極40の方に流れる。導電電極40では、スピンホール効果はほとんど発現せず、電流はほとんどスピン流に変換されない。すなわち、既出の実施の形態と同じ効果が得られる。
尚、図13で示されたように、導電電極40が起電力方向(x方向)と交差する方向に延びる部分を有している場合、変換電極30から当該部分に電子が入射し易く、好適である。
また、既出の実施の形態と同様に、変換電極30と導電電極40との間には明確な境界がなくてもよい。図14に示されるように、電極層60は、変換領域30と導電領域40を含んでいてもよい。それら変換領域30と導電領域40は、電極層60の面内方向に分布している。例えば、電極層60の材料がIrドープCuである場合を考えると、変換領域30は高濃度Ir領域であり、導電領域40は低濃度Ir領域である。つまり、導電領域40よりも変換領域30の方がIr濃度が高くなるように、Irドープ量が制御される。FeドープAuの場合も同様である。その結果、抵抗率及びスピン流−電流変換効率といったパラメータは、変換領域30において比較的高くなり、導電領域40において比較的低くなる。
5.第5の実施の形態
図15は、第5の実施の形態に係る熱電変換素子1の構成を概略的に示す斜視図である。第5の実施の形態では、温度勾配∇Tは、積層方向(z方向)ではなく、面内方向(y方向)に与えられる。より詳細には、磁性体層20がy方向に延在するように形成されており、電極層60はその磁性体層20の一部の上に形成されている。y方向の温度勾配∇Tが印加されたとき、磁性体層20の中ではy方向に沿ったスピン流Jsが生成されるが、磁性体層20と電極層60との界面においてそのスピン流Jsの方向はz方向に変わる。従って、上記の実施の形態の場合と同じく、x方向に起電力が発生する。尚、電極層60の構成は、既出の実施の形態のいずれでも構わない。
6.まとめ
図16は、本発明の実施の形態に係る熱電変換素子1の構成を要約的に示している。磁性体層20上に形成された電極層60は、変換領域30と導電領域40を含んでいる。抵抗率及びスピン流−電流変換効率といったパラメータは、変換領域30の方が高く、導電領域40の方が低い。このようなパラメータの差を実現するために、例えば、変換領域30と導電領域40は、それぞれ異なる電極膜(変換電極30、導電電極40)で形成される(図2、図5、図9、図11参照)。あるいは、電極層60におけるドープ濃度の不均一によって、そのようなパラメータの差が実現されてもよい(図4、図8、図10、図14参照)。
また、変換領域30と導電領域40の位置関係としては、様々考えられる。例えば、第1の実施の形態で示されたように、変換領域30が、z方向において、磁性体層20と導電領域40との間に位置していてもよい。あるいは、第2の実施の形態で示されたように、導電領域40が、z方向において、磁性体層20と変換領域30との間に位置していてもよい。あるいは、第3の実施の形態で示されたように、変換領域30と導電領域40は、電極層60の面内方向に分布していてもよい。
このように構成された熱電変換素子1の機能は、次の通りである。磁性体層20で生成されたスピン流Jsは、電極層60を流れる。電極層60の変換領域30では、逆スピンホール効果が強く発現し、スピン流Jsが高効率で電流に変換される。変換領域30で発生した電流の大部分は、変換領域30よりも低抵抗な導電領域40の方に流れる。
導電領域40では、スピンホール効果はほとんど発現せず、電流はほとんどスピン流に変換されない。すなわち、逆スピンホール効果によってスピン流Jsから変換された電流の一部が、スピンホール効果によってスピン流に戻ってしまうことがほぼ防止される。従って、電極層60における電流の損失が低減される。
また、電極層60の導電領域40と接触するように形成された外部接続端子50−1、50−2から電力を取り出すことができる。
製造方法は、次の通りである。まず、磁性体層20が形成される。その後、変換領域30及び導電領域40を含む電極層60が、磁性体層20上に形成される。ここで、抵抗率及びスピン流−電流変換効率といったパラメータは、変換領域30の方が高く、導電領域40の方が低い。このようなパラメータの差を実現するために、例えば、変換領域30と導電領域40は、それぞれ異なる電極膜(変換電極30、導電電極40)で形成される(図2、図5、図9、図11参照)。あるいは、電極層60におけるドープ濃度の不均一によって、そのようなパラメータの差が実現されてもよい(図4、図8、図10、図14参照)。
以上、本発明の実施の形態が添付の図面を参照することにより説明された。但し、本発明は、上述の実施の形態に限定されず、要旨を逸脱しない範囲で当業者により適宜変更され得る。
上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)
磁性体層と、
前記磁性体層上に形成された電極層と
を備え、
前記電極層は、
第1領域と、
前記第1領域よりもスピン流−電流変換効率及び抵抗率が低い第2領域と
を含む
熱電変換素子。
(付記2)
付記1に記載の熱電変換素子であって、
更に、
前記電極層の前記第2領域と接触するように形成された外部接続端子
を備える
熱電変換素子。
(付記3)
付記1又は2に記載の熱電変換素子であって、
前記磁性体層と前記電極層の積層方向が第1方向であるとき、
前記第1領域と前記第2領域は、前記第1方向に分布している
熱電変換素子。
(付記4)
付記3に記載の熱電変換素子であって、
前記第1領域は、前記第1方向において、前記磁性体層と前記第2領域との間に位置している
熱電変換素子。
(付記5)
付記3に記載の熱電変換素子であって、
前記第2領域は、前記第1方向において、前記磁性体層と前記第1領域との間に位置している
熱電変換素子。
(付記6)
付記1又は2に記載の熱電変換素子であって、
前記第1領域と前記第2領域は、前記電極層の面内方向に分布している
熱電変換素子。
(付記7)
付記1乃至6のいずれか一項に記載の熱電変換素子であって、
前記第1領域は、第1電極膜であり、
前記第2領域は、前記第1電極膜と異なる材料で形成された第2電極膜であり、
スピン流−電流変換効率及びシート抵抗は、前記第2電極膜の方が前記第1電極膜よりも低い
熱電変換素子。
(付記8)
付記7に記載の熱電変換素子であって、
前記第1電極膜の材料は、Au、Pt、Pd、Ir、その他f軌道を有する金属、あるいは、それらのうち任意のものの合金を含んでいる
熱電変換素子。
(付記9)
付記1乃至6のいずれか一項に記載の熱電変換素子であって、
前記電極層の材料は、IrドープCuを含んでおり、
Ir濃度は、前記第1領域の方が前記第2領域よりも高い
熱電変換素子。
(付記10)
付記1乃至6のいずれか一項に記載の熱電変換素子であって、
前記電極層の材料は、FeドープAuを含んでおり、
Fe濃度は、前記第1領域の方が前記第2領域よりも高い
熱電変換素子。
(付記11)
磁性体層を形成するステップと、
第1領域と前記第1領域よりもスピン流−電流変換効率及び抵抗率が低い第2領域とを含む電極層を前記磁性体層上に形成するステップと
を含む
熱電変換素子の製造方法。
本出願は、2011年9月27日に出願された日本国特許出願2011−210545及び2012年2月29日に出願された日本国特許出願2012−044148を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。

Claims (10)

  1. 磁性体層と、
    前記磁性体層上に形成された電極層と
    を備え、
    前記電極層は、
    第1領域と、
    前記第1領域よりもスピン流−電流変換効率及び抵抗率が低い第2領域と
    を含み、
    前記電極層の前記第2領域と接触するように形成された外部接続端子
    を更に備える
    熱電変換素子。
  2. 請求項1に記載の熱電変換素子であって、
    前記磁性体層と前記電極層の積層方向が第1方向であるとき、
    前記第1領域と前記第2領域は、前記第1方向に分布している
    熱電変換素子。
  3. 請求項に記載の熱電変換素子であって、
    前記第1領域は、前記第1方向において、前記磁性体層と前記第2領域との間に位置している
    熱電変換素子。
  4. 請求項に記載の熱電変換素子であって、
    前記第2領域は、前記第1方向において、前記磁性体層と前記第1領域との間に位置している
    熱電変換素子。
  5. 請求項1に記載の熱電変換素子であって、
    前記第1領域と前記第2領域は、前記電極層の面内方向に分布している
    熱電変換素子。
  6. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の熱電変換素子であって、
    前記第1領域は、第1電極膜であり、
    前記第2領域は、前記第1電極膜と異なる材料で形成された第2電極膜であり、
    スピン流−電流変換効率及びシート抵抗は、前記第2電極膜の方が前記第1電極膜よりも低い
    熱電変換素子。
  7. 請求項に記載の熱電変換素子であって、
    前記第1電極膜の材料は、Au、Pt、Pd、Ir、その他f軌道を有する金属、あるいは、それらのうち任意のものの合金を含んでいる
    熱電変換素子。
  8. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の熱電変換素子であって、
    前記電極層の材料は、IrドープCuを含んでおり、
    Ir濃度は、前記第1領域の方が前記第2領域よりも高い
    熱電変換素子。
  9. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の熱電変換素子であって、
    前記電極層の材料は、FeドープAuを含んでおり、
    Fe濃度は、前記第1領域の方が前記第2領域よりも高い
    熱電変換素子。
  10. 磁性体層を形成するステップと、
    第1領域と前記第1領域よりもスピン流−電流変換効率及び抵抗率が低い第2領域とを含む電極層を前記磁性体層上に形成するステップと
    前記電極層の前記第2領域と接触する外部接続端子を形成するステップと
    を含む
    熱電変換素子の製造方法。
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