JP6565689B2 - 熱電変換素子、熱電変換素子モジュールおよび熱電変換素子の製造方法 - Google Patents

熱電変換素子、熱電変換素子モジュールおよび熱電変換素子の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱電変換素子、熱電変換素子モジュールおよび熱電変換素子の製造方法に関し、特に、スピンゼーベック効果および逆スピンホール効果を用いた熱電変換素子、熱電変換素子モジュールおよび熱電変換素子の製造方法に関する。
近年、持続可能な社会に向けた環境・エネルギー問題への取り組みが活発化している。このような背景の中で、熱電変換素子への期待が高まっている。その理由は、熱は体温、太陽光、エンジン、工業排熱などあらゆる媒体から得ることができる最も一般的なエネルギー源だからである。今後、低炭素社会におけるエネルギー利用の高効率化のため、またユビキタス端末やセンサ等への給電といった用途において、熱電変換素子はますます重要となることが予想される。
また、最近の研究により、磁性体における「スピンゼーベック効果(Spin−Seebeck Effect)」の存在が明らかになっている。スピンゼーベック効果とは、磁性体に温度勾配が印加されると、温度勾配と平行方向に電子のスピン角運動量の流れ(スピン流)が発生する現象である(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1には、強磁性体であるNiFe膜におけるスピンゼーベック効果が記載されており、特許文献2には、イットリウム鉄ガーネット(YFe12:YIG)といった磁性絶縁体と金属膜との界面におけるスピンゼーベック効果が記載されている。
上述した温度勾配によって発生したスピン流は、逆スピンホール効果(Inverse Spin−Hall effect)により、電流に変換できることが知られている(特許文献1、2参照)。ここで、逆スピンホール効果とは、物質のスピン軌道相互作用(spin orbit coupling)によってスピン流が電流に変換される現象である。逆スピンホール効果は、スピン軌道相互作用の大きな物質、例えば白金(Pt)、金(Au)などにおいて顕著に発現する。
スピンゼーベック効果と逆スピンホール効果を利用し、スピンを介して温度勾配を電流に変換する技術である「スピン熱電変換」が注目されている。このようなスピン熱電変換技術を用いた新しい熱電変換素子の一例が特許文献1に記載されている。
図14に、特許文献1に記載された関連する熱スピン流変換素子10の構成を示す。関連する熱スピン流変換素子10は、サファイア基板11の表面に、熱スピン流変換部12およびPt電極16を設けた構成としている。熱スピン流変換部12は、Ta膜13、PdPtMn膜14、およびNiFe膜15を順次堆積することにより形成される。そして、Pt電極16の両端に端子17−1、17−2を設けることによってスピン流を利用した熱電対、すなわちサーモスピンカップルを形成することとしている。
このように構成された関連する熱スピン流変換素子10において、Pt電極16を設けていない側を測定対象熱源に当接あるいは近接させることによって、Pt電極16を設けた側との間に熱勾配が形成されて熱スピン流が発生する。このとき発生した熱スピン流がPt電極16に注入されると逆スピンホール効果によってPt電極16の両端に電位差が発生する。この電位差を端子17−1、17−2 を介して検出することによって、測定対象熱源の温度を推定することが可能になる、としている。
また、特許文献2には、熱起電力の高出力化を図った熱電変換素子が記載されている。図15に、特許文献2に記載された関連する熱電変換素子20の構成を示す。
関連する熱電変換素子20は、磁性体21、起電体22、導電体23、および出力端子24、25を備える。
磁性体21は、少なくとも1つの磁化方向を有する材料であり、例えばイットリウム鉄ガーネット(YFe12:YIG)などの磁性絶縁体が好適に用いられる。起電体22には、スピン軌道相互作用の比較的大きな例えば金(Au)、白金(Pt)、およびパラジウム(Pd)などの金属材料、またはそれらの合金材料が用いられる。
起電体22は、磁性体21の磁化方向に対して略平行な面に複数設けられており、磁性体21の磁化方向に対して略垂直方向に長手方向を有する形状である。複数の起電体22が、互いに略平行に並んで配設されている。そして導電体23は、起電体22の延伸方向における一方の端部と、隣り合う起電体22の他方の端部とを接続している。つまり、起電体22と導電体23とが互いに交互に連続して接続しており、図15に示すような折り返し形状(ジグザグ型のミアンダ形状)を形成している。なお、起電体22の起電力生成効率は、導電体23の起電力生成効率よりも大きい。
関連する熱電変換素子20において、磁性体21の平面方向に作用している磁化方向に対して、鉛直方向に温度勾配が印加されると、磁性体21のスピンゼーベック効果により、温度勾配方向にスピンの流れ(スピン流)が誘起される。この磁性体21において生成されたスピン流は、互いに直列接続された起電体22のスピンホール効果によって、磁化方向と垂直方向である起電体22および導電体23の延伸方向に流れる電流に変換される。ここで起電体22は導電体23と比べて起電力生成効率が大きいため、出力端子24から出力端子25に向かう一方向に電流が流れる。
関連する熱電変換素子20によれば、出力端子24から出力端子25に向かって起電力を有効に加算することができるので、熱電変換素子20のサイズを大きくすることなく、省スペースで高い出力の取り出しが可能となる、としている。
特開2009−130070号公報([0045]〜[0047]、図10) 特開2012−109367号公報([0014]〜[0040]、図2)
上述した関連する熱電変換素子20においては、起電体22と導電体23は直列に接続されているが、それぞれの起電力の向きは逆向きであるので、関連する熱電変換素子20の等価回路は図16に示すようになる。この等価回路からわかるように、導電体23で発生する起電力が、起電体22で発生する起電力をキャンセルしてしまうことになるので、効率的に起電力を高めることができない。
このように、関連する熱電変換素子においては、効率よく起電力の増大を図ることが困難である、という問題があった。
本発明の目的は、上述した課題である、熱電変換素子においては、効率よく起電力の増大を図ることが困難である、という課題を解決する熱電変換素子、熱電変換素子モジュールおよび熱電変換素子の製造方法を提供することにある。
本発明の熱電変換素子は、スピンゼーベック効果を発現する磁性体層と、磁性体層における磁場の方向および温度勾配の方向によって定まる起電力の向きが第1の方向である第1の起電層と、起電力の向きが第1の方向と反対である第2の方向である第2の起電層と、第1の方向の始点と第2の方向の終点が連続するように、第1の起電層と第2の起電層を電気的に接続する接続部、とを有し、第1の起電層と第2の起電層は、それぞれ磁性体層と接続し、第1の方向および第2の方向と略垂直な方向に離間して配置している。
本発明の熱電変換素子の製造方法は、スピンゼーベック効果を発現する磁性体層の一の面に、磁性体層における磁場の方向および温度勾配の方向によって定まる起電力の向きが第1の方向である第1の起電層を積層し、磁性体層の他の面に起電力の向きが第1の方向と反対である第2の方向である第2の起電層を積層し、第1の方向の始点と第2の方向の終点が連続するように、第1の起電層と第2の起電層を電気的に接続する。
本発明の熱電変換素子、熱電変換素子モジュールおよび熱電変換素子の製造方法によれば、効率よく起電力の増大を図ることができる。
本発明の第1の実施形態に係る熱電変換素子の構成を示す概略図である。 本発明の第1の実施形態に係る熱電変換素子の別の構成を示す概略図である。 本発明の第1の実施形態に係る熱電変換素子のさらに別の構成を示す概略図である。 本発明の第2の実施形態に係る熱電変換素子の概略の構成を示す断面図である。 本発明の第2の実施形態に係る熱電変換素子の概略の構成を示す上面図である。 本発明の第2の実施形態に係る熱電変換素子の等価回路図である。 本発明の第3の実施形態に係る熱電変換単位素子の構成を示す概略図である。 本発明の第3の実施形態に係る熱電変換素子モジュールの構成を示す概略図である。 本発明の第3の実施形態に係る熱電変換素子モジュールの等価回路図である。 本発明の第4の実施形態に係る熱電変換単位素子の構成を示す概略図である。 本発明の第4の実施形態に係る熱電変換素子モジュールの構成を示す概略図である。 本発明の第4の実施形態に係る熱電変換単位素子を構成する起電層の特性を説明するための図であって、試料の断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る熱電変換単位素子を構成する起電層の特性を説明するための図であって、測定結果を示す図である。 本発明の第4の実施形態に係る熱電変換単位素子を構成する別の起電層の特性を説明するための図であって、試料の断面図である。 本発明の第4の実施形態に係る熱電変換単位素子を構成する別の起電層の特性を説明するための図であって、測定結果を示す図である。 本発明の第5の実施形態に係る熱電変換素子モジュールの構成を示す概略図であって、上面図である。 本発明の第5の実施形態に係る熱電変換素子モジュールの構成を示す概略図であって、x方向側面図である。 本発明の第5の実施形態に係る熱電変換素子モジュールの構成を示す概略図であって、y方向側面図である。 関連する熱スピン流変換素子の構成を示す斜視図である。 関連する熱電変換素子の構成を示す斜視図である。 関連する熱電変換素子の等価回路図である。
以下に、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
〔第1の実施形態〕
図1は、本発明の第1の実施形態に係る熱電変換素子100の構成を示す概略図である。熱電変換素子100は、磁性体層110、第1の起電層120、第2の起電層130、および接続部140、とを有する。
磁性体層110はスピンゼーベック効果を発現する磁性体材料から構成される。この磁性体材料は、強磁性金属であってもよいし磁性絶縁体であってもよい。
第1の起電層120は、磁性体層110における磁場の方向および温度勾配の方向によって定まる起電力の向きが第1の方向(図中の矢印A)である。一方、第2の起電層130は、この起電力の向きが第1の方向と反対である第2の方向である(図中の矢印B)。
接続部140は、図1に示すように、第1の方向の始点と第2の方向の終点が連続するように、第1の起電層120と第2の起電層130を電気的に接続する。
第1の起電層120と第2の起電層130は、それぞれ磁性体層110と接続し、第1の方向および第2の方向と略垂直な方向に離間して配置している。
このような構成とすることにより、本実施形態の熱電変換素子100によれば、第1の起電層120および第2の起電層130でそれぞれ発生する起電力が加算される。そのため、熱電変換素子100における起電力を効率よく増大させることができる。
ここで、第1の起電層120は第1の金属材料を含み、第2の起電層130は第2の金属材料を含み、第1の金属材料と第2の金属材料はスピン軌道相互作用の正負の符号が互いに異なる構成とすることができる。これは、スピン軌道相互作用の符号が異なると、逆スピンホール効果によってスピン流が電流に変換される際に、起電層で発生する起電力の向き(電流の向き)も異なることになるからである。
具体的な金属材料としては、第1の金属材料はスピン軌道相互作用の符号が正であるとした場合、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、銀(Ag)、イリジウム(Ir)、白金(Pt)、金(Au)、およびビスマス(Bi)のいずれかを用いることができる。また、第2の金属材料はスピン軌道相互作用の符号が負であるとした場合、チタン(Ti)、クロム(Cr)、モリブテン(Mo)、タングステン(W)、およびタンタル(Ta)のいずれかを用いることができる。
図1では、熱電変換素子100が第1の起電層120と第2の起電層130をそれぞれ1層ずつ合計2層だけ備える構成を示したが、起電層の個数は2個に限らず、複数個の起電層を接続することにより、発生する起電力をさらに増大させることが可能である。起電層を3個備えた熱電変換素子101の構成を図2に示す。
熱電変換素子101が備える第2の起電層は、第1の起電層120を挟んで離間して配置している上側第2の起電層131と下側第2の起電層132を含む構成とすることができる。そして、接続部は、第1の接続部141と第2の接続部142から構成される。
ここで、第1の接続部141は、第1の方向(矢印A)の始点と第2の方向(矢印B)の終点が連続するように、第1の起電層120と上側第2の起電層131を接続する。また、第2の接続部142は、第1の方向(矢印A)の終点と第2の方向(矢印B)の始点が連続するように、第1の起電層120と下側第2の起電層132を接続する。
このとき、図3に示すように、第1の起電層120も、互いに接続している上側第1の起電層121と下側第1の起電層122を含む構成とすることができる。この場合、第1の接続部141は、第1の方向の始点と第2の方向の終点が連続するように、上側第1の起電層121と上側第2の起電層131を接続する。また、第2の接続部142は、第1の方向の終点と第2の方向の始点が連続するように、下側第1の起電層122と下側第2の起電層132を接続する。
このように、磁性体層110と第1の起電層120と第2の起電層130と接続部140を備えた熱電変換素子100を複数個備えた熱電変換素子モジュールを構成することができる。このとき、複数の熱電変換素子100がそれぞれ備える複数の第1の起電層120のうち少なくとも2層が互いに接続し、同様に、複数の第2の起電層130のうち少なくとも2層が互いに接続した構成とすることができる。
上述した構成とすることにより、各起電層でそれぞれ発生する起電力が加算されるので、熱電変換素子101における起電力を効率よくさらに増大させることができる。
ここで第1の起電層120および第2の起電層130は、磁性体層110を挟んで積層された構成とすることができる。このとき、熱電変換素子100は、磁性体層110が積層している基板を有することとしてもよい。すなわち、磁性体層110は、基板の一の面に積層している第1の磁性体層と、基板の他の面に積層している第2の磁性体層を含む構成とすることができる。この場合、第1の起電層120は第1の磁性体層と接続し、第2の起電層130は第2の磁性体層と接続した構成とすることができる。このように、基板を挟んで起電層と磁性体層を積層した構成とすることにより、熱電変換素子の製造が容易になり、熱電変換素子の機械強度を増強することができる。
次に、本実施形態による熱電変換素子の製造方法について説明する。
本実施形態の熱電変換素子の製造方法ではまず、スピンゼーベック効果を発現する磁性体層の一の面に、磁性体層における磁場の方向および温度勾配の方向によって定まる起電力の向きが第1の方向である第1の起電層を積層する。また、磁性体層の他の面に起電力の向きが第1の方向と反対である第2の方向である第2の起電層を積層する。そして、第1の方向の始点と第2の方向の終点が連続するように、第1の起電層と第2の起電層を電気的に接続する。以上により、熱電変換素子が完成する。
上述したように、熱電変換素子100は、第1の起電層120および第2の起電層130が磁性体層110を挟んで積層された構成とすることができる。しかし、これに限らず、特許文献2に記載された関連する熱電変換素子20(図15)と同様に、第1の起電層120および第2の起電層130がそれぞれ磁性体層110の一の表面上に配置した構成としてもよい。
〔第2の実施形態〕
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。図4A、4Bは、本発明の第2の実施形態に係る熱電変換素子200の構成を示す概略図であり、図4Aは断面図、図4Bは上面図である。
熱電変換素子200は、磁性体層210、スピン軌道相互作用の符号が異なる2種類の起電層221、222、および2種類の起電層221、222を接続する接続部230を備え、それぞれが相互に積層した構成である。
起電層221、222を構成する材料には、スピン軌道相互作用の大きな金属、例えば白金(Pt)、金(Au)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、その他のf軌道を有する金属材料、またはそれらを含有する合金材料を用いることができる。また、銅(Cu)などの一般的な金属膜材料に白金(Pt)、金(Au)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ビスマス(Bi)などの材料を約0.5%から10%程度だけ添加(ドープ)した材料であってもよい。
本実施形態による熱電変換素子200は、起電層221と起電層222のスピン軌動相互作用の符号が異なることを特徴とする。したがって、例えば起電層221に白金(Pt)を用いた場合には、起電層222には白金(Pt)とはスピン軌道相互作用の符号が異なる材料、例えばタングステン(W)などを用いる。
また、起電層221および起電層222の厚さは、少なくとも金属材料のスピン拡散長以上に設定するのが好ましい。例えば、白金(Pt)を用いる場合には、その厚さを約10ナノメートル(nm)以上に設定することが望ましい。
磁性体層210は、スピンゼーベック効果を発現する材料で構成される。磁性体層210を構成する材料は、強磁性金属であってもよいし、磁性絶縁体であってもよい。強磁性金属としては、NiFe、CoFe、CoFeBなどを用いることができる。磁性絶縁体としては、イットリウム鉄ガーネット(YFe12;YIG)や、ビスマス(Bi)をドープしたYIG(Bi:YIG)、ランタン(La)をドープしたYIG(La:YIG)などを用いることができる。なお、伝導電子による熱伝導を抑制する観点から、磁性絶縁体を用いることが望ましい。また、磁性体層210の厚さは、熱電発電の用途や温度領域に応じて設定することが可能である。典型的には、約100ナノメートル(nm)から500マイクロメートル(μm)程度とすることができる。
接続部230は、起電層221と起電層222とを電気的に接続できる材料であれば任意の材料を用いることができる。例えば、起電層221または起電層222に用いた金属材料を用いてもよいし、電気伝導率の高い銀(Ag)や銅(Cu)などの金属を用いることとしてもよい。ただし、接続部230は熱電発電には寄与しないため、電気抵抗として作用する。そのため、起電層で生成した電力を消費してしまう。したがって、接続部230の電気抵抗が低いほど、本実施形態の熱電変換素子200が生成する起電力や出力は高くなる。以上より、接続部230の材料としては、電気伝導率の高い銀(Ag)や銅(Cu)などが特に好ましい。
熱電変換素子200の面内の一方向(x方向)に磁場を、積層方向(z方向)に温度勾配ΔTを印加すると、スピンゼーベック効果によって積層方向(z方向)にスピン流が発生する。このスピン流が起電層221および起電層222に流入すると、逆スピンホール効果によってスピン流から起電力が発生する。このとき、起電層221と起電層222のスピン軌道相互作用の符号が異なるため、起電層221で発生する起電力の向きと、起電層222で発生する起電力の向きは逆向きになる。
ここで、起電層221と起電層222を接続部230によって接続することにより、起電層同士が電気的に直列に接合されることになる。すなわち、起電層221および起電層222において生成された起電力が加算されるように接続される。
図5に、熱電変換素子200の等価回路を示す。図16に示した関連する熱電変換素子20の等価回路では上述したように、導電体23で発生する起電力が起電体22で発生する起電力を打ち消すように接続されている。それに対して、本実施形態による熱電変換素子200は、図5に示すように、起電層221および起電層222において生成された起電力が加算されるように接続されている。そのため、起電層に接続した端子241および端子242から、より大きな起電力(V)を取り出すことができる。
さらに、本実施形態の熱電変換素子200によれば、関連する熱電変換素子20に比べより大きな出力電力(W)を得ることができる。この点について、以下に説明する。
図16に示した関連する熱電変換素子20において、起電体22および導電体23にはそれぞれ抵抗が存在するが、これは関連する熱電変換素子20から電力を取り出す際の内部抵抗となる。このとき、熱電変換素子20の開放電圧をV、内部抵抗をrとすると、関連する熱電変換素子20から取り出すことができる最大の出力Pは次式(1)により表すことができる。
P=V/4r (1)
また、起電体22および導電体23の伝導方向の長さをL、その断面積をA、電気抵抗率をρとすると、内部抵抗rは次式(2)によって表すことができる。
r=ρL/A (2)
関連する熱電変換素子20では図16に示すように、折り返し形状(ジグザグ型のミアンダ形状)とすることにより、磁性体の表面上に全面に起電体を積層した場合に比べて、単位面積当たりの起電力(V)を向上することができる。しかし、起電体22および導電体23の長さLが増加し、その断面積Aが減少するため、内部抵抗rは増大してしまう。そのため、関連する熱電変換素子20では、単位面積当たりの出力電力(W)を向上させることはできない。
それに対して本実施形態の熱電変換素子200は、磁性体層210および2種類の起電層221、222が相互に積層した構成としているので、内部抵抗rを減少させることができる。その結果、関連する熱電変換素子20と比べ、単位面積当たりの出力電力(W)を増大させることが可能である。
上述したように、本実施形態の熱電変換素子200は、起電層221および起電層222で生成された起電力が加算されるように接続された構成としているので、効率よく起電力(V)の増大を図ることができる。さらに、本実施形態の熱電変換素子200によれば、起電層221、222の断面積Aを増大させ内部抵抗rを低減した構成とすることができる。そのため、単位面積当たりの出力電力(W)を増大させることができる。
〔第3の実施形態〕
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。図6は、本発明の第3の実施形態に係る熱電変換単位素子300の構成を示す概略図である。この熱電変換単位素子300を複数個積層することにより、図7に示すような熱電変換素子モジュール1000が構成される。
熱電変換単位素子300は、磁性体層310の一方の面に起電層321が、他片の面に起電層322が形成され、片側の側面部に接続部330を備えた構成である。
起電層321、322を構成する材料には、スピン軌道相互作用の大きな金属、例えば白金(Pt)、金(Au)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、その他のf軌道を有する金属材料、またはそれらを含有する合金材料を用いることができる。また、銅(Cu)などの一般的な金属膜材料に白金(Pt)、金(Au)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ビスマス(Bi)などの材料を約0.5%から10%程度だけ添加(ドープ)した材料であってもよい。
本実施形態による熱電変換単位素子300は、起電層321と起電層322のスピン軌動相互作用の符号が異なることを特徴とする。したがって、例えば起電層321に白金(Pt)を用いた場合には、起電層322には白金(Pt)とはスピン軌道相互作用の符号が異なる材料、例えばタングステン(W)などを用いる。
また、起電層321および起電層322の厚さは、少なくとも金属材料のスピン拡散長以上に設定するのが好ましい。例えば、白金(Pt)を用いる場合には、その厚さを約10ナノメートル(nm)以上に設定することが望ましい。
磁性体層310は、スピンゼーベック効果を発現する材料で構成される。磁性体層310を構成する材料は、強磁性金属であってもよいし、磁性絶縁体であってもよい。強磁性金属としては、NiFe、CoFe、CoFeBなどを用いることができる。磁性絶縁体としては、イットリウム鉄ガーネット(YFe12;YIG)や、ビスマス(Bi)をドープしたYIG(Bi:YIG)、ランタン(La)をドープしたYIG(La:YIG)などを用いることができる。なお、伝導電子による熱伝導を抑制する観点から、磁性絶縁体を用いることが望ましい。また、磁性体層310の厚さは、熱電発電の用途や温度領域に応じて設定することが可能である。典型的には、約100ナノメートル(nm)から500マイクロメートル(μm)程度とすることができる。
接続部330は、起電層321と起電層322とを電気的に接続できる材料であれば任意の材料を用いることができる。例えば、起電層321または起電層322に用いた金属材料を用いてもよいし、電気伝導率の高い銀(Ag)や銅(Cu)などの金属を用いることとしてもよい。ただし、接続部330は熱電発電には寄与しないため、電気抵抗として作用する。そのため、起電層で生成した電力を消費してしまう。したがって、接続部330の電気抵抗が低いほど、本実施形態の熱電変換単位素子300が生成する起電力や出力は高くなる。以上より、接続部330の材料としては、電気伝導率の高い銀(Ag)や銅(Cu)などが特に好ましい。
この熱電変換単位素子300を図7に示すように積層し、各熱電変換単位素子300の起電層321同士、および起電層322同士を物理的に接触させ電気的に導通させる。
熱電変換単位素子300の面内の一方向(x方向)に磁場を、積層方向(z方向)に温度勾配ΔTを印加すると、スピンゼーベック効果によって積層方向(z方向)にスピン流が発生する。このスピン流が起電層321および起電層322に流入すると、逆スピンホール効果によってスピン流から起電力が発生する。このとき、起電層321と起電層322のスピン軌道相互作用の符号が異なるため、起電層321で発生する起電力の向きと、起電層322で発生する起電力の向きは逆向きになる。
ここで、起電層321と起電層322を接続部330によって接続することにより、起電層同士が電気的に直列に接合されることになる。すなわち、起電層321および起電層322において生成された起電力が加算されるように接続される。
図8に、熱電変換素子モジュール1000の等価回路を示す。起電層321同士および起電層322同士が物理的に接触して並列接続され、並列接続された2層の起電層が接続部330を介してそれぞれ直列に接続された構成となる。図16に示した関連する熱電変換素子20の等価回路では上述したように、導電体23で発生する起電力が起電体22で発生する起電力を打ち消すように接続されている。それに対して、本実施形態による熱電変換素子モジュール1000は、図8に示すように、各起電層321および各起電層322において生成された起電力が加算されるように接続されている。そのため、起電層に接続した端子1010および端子1020から、より大きな起電力(V)および出力電力(W)を取り出すことができる。
上述したように、本実施形態の熱電変換素子モジュール1000は、各起電層321および各起電層322で生成された起電力が加算されるように接続された構成としているので、効率よく起電力(V)の増大を図ることができる。さらに、本実施形態の熱電変換素子モジュール1000によれば、起電層321、322の断面積Aを増大させ内部抵抗rを低減した構成とすることができる。そのため、単位面積当たりの出力電力(W)を向上させることができる。
次に、本実施形態による熱電変換単位素子300および熱電変換素子モジュール1000の製造方法について、図6、図7を参照して説明する。
本実施形態による熱電変換単位素子300の製造方法においては、まず、磁性体層310の両面に起電層321および起電層322を形成する。次に、この起電層321と起電層322の導通をとるために、起電層321、322の一方の側に接続部330を形成する。以上により、熱電変換単位素子300が完成する。
続いて、各熱電変換単位素子300の起電層321同士、および起電層322同士が互いに物理的に接触し導通するように積層し、図7に示した熱電変換素子モジュール1000を形成する。これにより、それぞれの起電層321、322が直列に接続されるので、端子1010および端子1020から起電力を取り出すことができる。なお、熱電変換単位素子300の磁性体層310を構成する磁性体膜は磁化している必要があるが、そのための磁化処理は、いずれの工程で実施することとしてもよい。
〔第4の実施形態〕
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。図9は、本発明の第4の実施形態に係る熱電変換単位素子400の構成を示す概略図である。この熱電変換単位素子400を複数個積層することにより、図10に示すような熱電変換素子モジュール2000が構成される。
熱電変換単位素子400は、磁性体を成長させる基板440を有し、基板440の両側に磁性体層410が形成されている。そして、基板440の一方の面に形成された磁性体層410に起電層421が、基板440の他片の面に形成された磁性体層410に起電層422が形成され、片側の側面部に接続部430を備えた構成である。
起電層421、422を構成する材料には、スピン軌道相互作用の大きな金属、例えば白金(Pt)、金(Au)、タングステン(W)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、その他のf軌道を有する金属材料、またはそれらを含有する合金材料を用いることができる。また、銅(Cu)などの一般的な金属膜材料に白金(Pt)、金(Au)、パラジウム(Pd)、イリジウム(Ir)、ビスマス(Bi)などの材料を約0.5%から10%程度だけ添加(ドープ)した材料であってもよい。
本実施形態による熱電変換単位素子400は、起電層421と起電層422のスピン軌動相互作用の符号が異なることを特徴とする。したがって、例えば起電層421に白金(Pt)を用いた場合には、起電層422には白金(Pt)とはスピン軌道相互作用の符号が異なる材料、例えばタングステン(W)などを用いる。
また、起電層421および起電層422の厚さは、少なくとも金属材料のスピン拡散長以上に設定するのが好ましい。例えば、白金(Pt)を用いる場合には、その厚さを約10ナノメートル(nm)以上に設定することが望ましい。
基板440の両側に磁性体層410が形成される。そのため、基板440を構成する材料は、結晶構造および格子定数などの材料特性が磁性体層410と近似した材料であることが望ましい。
磁性体層410は、スピンゼーベック効果を発現する材料で構成される。磁性体層410を構成する材料は、強磁性金属であってもよいし、磁性絶縁体であってもよい。強磁性金属としては、NiFe、CoFe、CoFeBなどを用いることができる。磁性絶縁体としては、イットリウム鉄ガーネット(YFe12;YIG)や、ビスマス(Bi)をドープしたYIG(Bi:YIG)、ランタン(La)をドープしたYIG(La:YIG)などを用いることができる。なお、伝導電子による熱伝導を抑制する観点から、磁性絶縁体を用いることが望ましい。また、磁性体層410の厚さは、熱電発電の用途や温度領域に応じて設定することが可能である。典型的には、約100ナノメートル(nm)から500マイクロメートル(μm)程度とすることができる。
接続部430は、起電層421と起電層422とを電気的に接続できる材料であれば任意の材料を用いることができる。例えば、起電層421または起電層422に用いた金属材料を用いてもよいし、電気伝導率の高い銀(Ag)や銅(Cu)などの金属を用いることとしてもよい。ただし、接続部430は熱電発電には寄与しないため、電気抵抗として作用する。そのため、起電層で生成した電力を消費してしまう。したがって、接続部430の電気抵抗が低いほど、本実施形態の熱電変換単位素子400が生成する起電力や出力は高くなる。以上より、接続部430の材料としては、電気伝導率の高い銀(Ag)や銅(Cu)などが特に好ましい。
この熱電変換単位素子400を図10に示すように積層することによって、各熱電変換単位素子400の起電層421同士、および起電層422同士が物理的に接触し電気的に導通する。
熱電変換単位素子400の面内の一方向(x方向)に磁場を、積層方向(z方向)に温度勾配ΔTを印加すると、スピンゼーベック効果によって積層方向(z方向)にスピン流が発生する。このスピン流が起電層421および起電層422に流入すると、逆スピンホール効果によってスピン流から起電力が発生する。このとき、起電層421と起電層422のスピン軌道相互作用の符号が異なるため、起電層421で発生する起電力の向きと、起電層422で発生する起電力の向きは逆向きになる。
ここで、起電層421と起電層422を接続部430によって接続することにより、起電層同士が電気的に直列に接合されることになる。すなわち、起電層421および起電層422において生成された起電力が加算されるように接続される。
熱電変換素子モジュール2000の等価回路は図8と同様である。起電層421同士および起電層422同士が物理的に接触して並列接続され、並列接続された2層の起電層が接続部430を介してそれぞれ直列に接続された構成となる。図16に示した関連する熱電変換素子20の等価回路では上述したように、導電体23で発生する起電力が起電体22で発生する起電力を打ち消すように接続されている。それに対して、本実施形態による熱電変換素子モジュール2000は、図8に示すように、各起電層421および各起電層422において生成された起電力が加算されるように接続されている。そのため、起電層に接続した端子2010および端子2020から、より大きな起電力(V)および出力電力(W)を取り出すことができる。
上述したように、本実施形態の熱電変換素子モジュール2000は、各起電層421および各起電層422で生成された起電力が加算されるように接続された構成としているので、効率よく起電力(V)の増大を図ることができる。また、本実施形態の熱電変換素子モジュール2000によれば、起電層421、422の断面積Aを増大させ内部抵抗rを低減した構成とすることができる。そのため、単位面積当たりの出力電力(W)を向上させることができる。さらに、本実施形態の熱電変換単位素子400は、基板440を挟んで磁性体層410と起電層421、422とを積層した構成としているので、熱電変換単位素子400の製造が容易になり、熱電変換単位素子400の機械強度を増強することができる。
次に、本実施形態の熱電変換素子モジュール2000について、具体的な構成を用いてさらに詳細に説明する。
まず、本実施形態の熱電変換単位素子400を構成する起電層421と起電層422において、スピン軌動相互作用の符号が異なる特徴について図11A、11B、図12A、12Bを用いて説明する。図11A、図12Aはそれぞれ、基板上に磁性体膜を形成し、さらにその上に金属膜を形成した試料の断面図を示す。また図11B、図12Bはそれぞれ、図11A、図12Aに示した試料に対してx方向に磁場を、z方向に温度差ΔT=8Kを印加したときにy方向に生じる電圧を測定した結果を示す。
図11Aに示した試料Aでは、起電層として白金(Pt)金属膜を、図12Aに示した試料Bでは、起電層としてタングステン(W)金属膜を用いた。また、試料A(図11A)、試料B(図12A)のいずれも、磁性体膜はビスマス(Bi)をドープしたYIG(Bi:YIG)膜であり、磁性膜(Bi:YIG)を成長させる基板はSGGG(Substituted Gadolinium Gallium Garnet)基板とした。
図11B、図12Bに示したグラフにおいて、横軸はx方向の磁場の大きさHであり、縦軸は発生した起電力の大きさVISHEである。印加している磁場の方向および温度勾配の方向が同じであるにもかかわらず、試料A(図11A)と試料B(図12A)では発生する起電力の符号が反転している。これは、白金(Pt)とタングステン(W)のスピン軌動相互作用の符号が異なるからである。
上述した発生する起電力の符号が反転する特性を利用して、以下のような積層構造を作成することにより、大きな起電力が得られる熱電変換単位素子を作成することができる。
最初に、SGGG基板の両面に金属有機化合物分解法(Metal−Organic Decomposition:MOD)により、Bi:YIG磁性膜を形成する。具体的には例えば以下の手順により作成することができる。まず、SGGG基板上にBi:YIGのMOD材料溶液をスピンコーターにより塗布し、その後、有機溶剤を除去するために乾燥する。次に仮焼成を行うことによって、有機物を分解、揮発させる。最後に焼成を行うことにより、酸化物化、結晶化を行う。以上の工程をSGGG基板の両面に対して行う。
次に、SGGG基板上に作成したBi:YIG磁性膜の一方の面にPt金属膜を、他方の面にW金属膜をスパッタリング法により形成する。
最後に、Pt金属膜とW金属膜の導通をとるために、図11A、図12A中のy方向の一側面に銀(Ag)ペーストを塗布することにより、図9に示した熱電変換単位素子400の構成が完成する。
複数の熱電変換単位素子400をそれぞれ構成するPt起電層同士、およびW起電層同士が接触し、かつ、Pt起電層で生成された起電力とW起電層で生成された起電力とが加算されるように積層する。これにより、図10に示した熱電変換素子モジュール2000の構成が完成する。このとき、それぞれの熱電変換単位素子400のPt金属膜同士、およびW金属膜同士が物理的に接触し導通する。その結果、起電力を生じるPt金属膜とW金属膜が直列に接続されるので、端子2010および端子2020から加算された大きな起電力を取り出すことができる。
〔第5の実施形態〕
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。図13A、13B、13Cは、本発明の第5の実施形態に係る熱電変換素子モジュール3000の構成を示す概略図であり、図13Aは上面図、図13Bはx方向側面図、図13Cはy方向側面図である。
本実施形態による熱電変換素子モジュール3000は、図13Cに示すように、熱電変換単位素子500が水平方向から傾いて積層した構成である。すなわち、熱電変換素子モジュール3000は、複数の熱電変換単位素子500が、熱電変換単位素子500を構成する磁性体層の法線方向と温度勾配の方向(z方向)がなす角度が零度より大きく90度以下であるように傾いて積層している。熱電変換単位素子500には、上述した実施形態による熱電変換単位素子300または熱電変換単位素子400を用いることができる。
次に、熱電変換単位素子500を傾けて積層したことによる効果について説明する。図13Cに示すように、熱電変換素子モジュール3000の厚さをa、幅をbとする。例えば、熱電変換単位素子500を垂直に傾けて積層した場合、熱電変換単位素子500を水平に積層した場合に比べて、b(幅)/a(厚さ)倍の個数の熱電変換単位素子500を充填することができる。したがって、熱電変換素子モジュール3000に充填された各熱電変換単位素子500のy方向の長さの総計もb/a倍にすることができる。
ここで、各熱電変換単位素子500で発生する起電力(V)はy方向の長さに比例するので、熱電変換素子モジュール3000で発生する起電力(V)はb/a倍になる。一方、熱電変換単位素子500の全面積は変わらない。上述した式(1)と式(2)より、熱電変換単位素子500から取り出すことができる最大の出力(P)は面積(x×y)に比例するので、熱電変換素子モジュール3000の出力(P)は一定に保つことができる。以上より、熱電変換単位素子500を水平方向から傾けて積層することにより、出力(P)を一定に保ったままで、起電力(V)をb(幅)/a(厚さ)倍以下の範囲で可変することが可能である。
熱電変換単位素子500をシート状とした場合について、さらに詳細に説明する。この場合、熱電変換素子モジュール3000の厚さaは幅bに比べて十分に小さい(a<<b)と仮定することができる。
熱電変換単位素子500の高さ(z方向)をc、熱電変換単位素子500を傾けないで積層した時の熱電変換単位素子500の個数をN1とする。このとき、図13Cに示した側面の面積(a×b)は、
a×b=c×N1×b
となる。この式から
N1=a/c (3)
が成り立つ。
一方、熱電変換単位素子500を傾けて積層した場合、熱電変換単位素子500の平均の幅をb/m(図13C参照)、熱電変換素子モジュール3000に充填される熱電変換単位素子500の個数をN2とする。このとき、図13Cに示した側面の面積(a×b)は、
a×b=c×b/m×N2
と表わすことができる。この式から
N2=ma/c (4)
が成り立つ。
式(3)と(4)から、熱電変換単位素子500を傾けて積層することにより、熱電変換素子モジュール3000に充填することができる熱電変換単位素子500の個数はm倍になることがわかる。これにより、各熱電変換単位素子500のy方向の長さの総計もm倍になるので、熱電変換素子モジュール3000で発生する起電力(V)をm倍にすることができる。
上述した構成とすることにより、熱電変換素子モジュールで発生する起電力をさらに増大させることができる。
以上、上述した実施形態を模範的な例として本発明を説明した。しかしながら、本発明は、上述した実施形態には限定されない。即ち、本発明は、本発明のスコープ内において、当業者が理解し得る様々な態様を適用することができる。
この出願は、2014年1月29日に出願された日本出願特願2014−013911を基礎とする優先権を主張し、その開示の全てをここに取り込む。
100、101、200 熱電変換素子
110、210、310、410 磁性体層
120 第1の起電層
121 上側第1の起電層
122 下側第1の起電層
130 第2の起電層
131 上側第2の起電層
132 下側第2の起電層
140、230、330、430 接続部
141 第1の接続部
142 第2の接続部
221、222、321、322、421、422 起電層
241、242、1010、1020、2010、2020 端子
300、400 熱電変換単位素子
440 基板
1000、2000、3000 熱電変換素子モジュール
10 関連する熱スピン流変換素子
11 サファイア基板
12 熱スピン流変換部
13 Ta膜
14 PdPtMn膜
15 NiFe膜
16 Pt電極
17−1、17−2 端子
20 関連する熱電変換素子
21 磁性体
22 起電体
23 導電体
24、25 出力端子

Claims (7)

  1. スピンゼーベック効果を発現する第1の磁性体層と、
    スピンゼーベック効果を発現し、第1の起電層を挟んで前記第1の磁性体層と反対側に設けた第2の磁性体層と
    前記第1または第2の磁性体層における磁場の方向および温度勾配の方向によって定まる起電力の向きが第1の方向である前記第1の起電層と、
    前記起電力の向きが前記第1の方向と反対である第2の方向である第2の起電層を備えた熱電変換素子であって、
    前記第2の起電層は、前記第1の磁性体層を挟んで前記第1の起電層と反対側に配置している上側第2の起電層と、前記第2の磁性体層を挟んで前記第1の起電層と反対側に配置している下側第2の起電層を含み、
    第1の接続手段は、前記第1の方向の始点と前記第2の方向の終点が連続するように、前記第1の起電層と前記上側第2の起電層を接続し、
    第2の接続手段は、前記第1の方向の終点と前記第2の方向の始点が連続するように、前記第1の起電層と前記下側第2の起電層を接続する熱電変換素子。
  2. 請求項1に記載した熱電変換素子において、
    前記第1の起電層は、互いに接続している上側第1の起電層と下側第1の起電層を含み、
    前記第1の接続手段は、前記第1の方向の始点と前記第2の方向の終点が連続するように、前記上側第1の起電層と前記上側第2の起電層を接続し、
    前記第2の接続手段は、前記第1の方向の終点と前記第2の方向の始点が連続するように、前記下側第1の起電層と前記下側第2の起電層を接続する熱電変換素子。
  3. 請求項1または2に記載した熱電変換素子において、
    前記第1の起電層は、第1の金属材料を含み、
    前記第2の起電層は、第2の金属材料を含み、
    前記第1の金属材料と前記第2の金属材料は、スピン軌道相互作用の正負の符号が互いに異なる熱電変換素子。
  4. 請求項に記載した熱電変換素子において、
    前記上側第1の起電層および前記上側第2の起電層は、前記第1の磁性体層を挟んで積層されている熱電変換素子。
  5. 請求項4に記載した熱電変換素子において、
    前記第1の磁性体層は、第1の基板の一の面と他の面に磁性体を積層して形成され、前記第2の磁性体層は、第2の基板の一の面と他の面に磁性体を積層して形成され、
    前記上側第1の起電層と前記上側第2の起電層が前記第1の磁性体層と接続し、
    前記下側第1の起電層と前記下側第2の起電層が前記第2の磁性体層と接続している熱電変換素子。
  6. 請求項1から4のいずれか一項に記載の熱電変換素子が複数個積層された熱電変換素子モジュールであって、ある熱電変換素子とそれに隣接する熱電変換素子は、前記上側第2の起電層と前記下側第2の起電層が向かい合うように積層されている熱電変換素子モジュール。
  7. 請求項に記載した熱電変換素子モジュールにおいて、
    前記複数の熱電変換素子は、前記第1または第2の磁性体層の法線方向と前記温度勾配の方向がなす角度が零度より大きく90度以下であるように傾いて積層している熱電変換素子モジュール。
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