JP2015065254A - 熱電変換素子及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】熱伝導を抑制する熱電変換素子を提供する。
【解決手段】熱電変換素子100は少なくとも2層の一つ以上の磁化方向を有する積層した絶縁体層1間の、少なくともいずれか一つの層間に、絶縁体層1間のフォノン伝導を妨げるフォノンバンドギャップを有する物質を含むフォノン絶縁層2を配置している。絶縁体層1のうち、積層方向の最外層のどちらかの最外面に電極を有し、絶縁体層1に対し、その積層方向に電極がより低温となるよう温度勾配を印加すると、温度勾配と逆並行かつに対し略垂直、かつ一つ以上の磁化方向のうちの一つと略垂直な方向の電極上に起電圧が生じる。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱電変換素子及びその製造方法に関し、特に、エネルギー変換効率の高い熱電変換素子及びその製造方法に関する。
熱電変換は、熱の有効活用の観点から注目されている技術である。例えば、工場等で発生する排熱を利用して電気エネルギーに変換するなどの用途が考えられており、クリーンエネルギーの観点からも更なる発展が期待される技術である。
熱電変換素子は、ゼーベック効果により、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する素子である。ゼーベック効果とは、ある物質の両端に温度差を与えると、その両端の間に起電力が生じる現象である。特に半導体を用いた際は起電力が大きいため、熱電変換材料として注目されている。
一方で、最近、前述の熱電変換とは異なる、スピン熱電変換という技術が注目されている。スピン熱電変換とは、スピンゼーベック効果により、熱エネルギーを電気エネルギーに変換する技術である。スピンゼーベック効果とは、ある物質の両端に温度差を与えると、その両端の間にスピン流(スピンの流れ)が生じる現象である。このスピン流は電荷とは異なり絶縁体内を伝播する。さらに、伝播する際に熱によるエネルギー損失が生じないことから、前述の熱電変換より原理的にエネルギーの変換効率が高いと言える。
この変換効率をより向上させるためには、スピン流を増やしスピン熱電能を大きくすることに加え、熱伝導を抑制して熱電変換材料内の温度差を大きく保つことが重要である。
前述の熱電変換の技術においては、熱伝導率低下物質を有する熱電変換材料が特許文献1に示されている。具体的には、熱電変換材料である高い電気伝導率の炭素元素の複数の線状構造体(例としてカーボンナノチューブ)と、複数の前記線状構造体に内包され、前記線状構造体の熱伝導率を低下する熱伝導率低下物質(例としてフラーレン)とを有する熱電変換材料である。
特開2010−147379号公報
しかし、特許文献1の技術は、熱電変換物質がカーボンナノチューブである場合のみ適用される技術である。加えて、前述の技術では熱伝導率低下のメカニズムは十分に明らかにされていないため、スピンゼーベック効果という異なる現象に基づくスピン熱電変換の技術に一般的に適用できるとは言えない。
このため、スピンゼーベック効果を利用した熱電変換素子に対し、熱伝導を抑制する手段が必要である。
本発明の目的は、上述した課題を解決する熱電変換素子を提供することである。
本発明の熱電変換素子は少なくとも2層の一つ以上の磁化方向を有する積層した絶縁体層間の、少なくともいずれか一つの層間に、前記絶縁体層間のフォノン伝導を妨げるフォノンバンドギャップを有する物質を含むフォノン絶縁層を配置している。
本発明によれば、エネルギー変換効率の高い熱電変換素子を提供できる。
本発明の第一の実施形態における熱電変換素子を示す図である。 本発明の第一の実施形態におけるフォノン絶縁層に非磁性ナノワイヤーが含まれる場合の断面の概念図(一部)を示す図である。 本発明の第一の実施形態における他の熱電変換素子を示す図である。 本発明の第一の実施形態における熱電変換素子の作用を説明する図である。 本発明の第一の実施形態における他の熱電変換素子の作用を説明する図である。 本発明の第一の実施形態の熱電変換素子におけるスピンの分布と電流の流れを示す概略図(a)、及びスピンの実効温度とフォノンの実効温度の分布を示す概略図(b)である。 本発明の第一の実施形態の熱電変換素子における、各直径を有するカーボンナノチューブのフォノン分散のバンド計算による計算値(a)と、直径とフォノンバンドギャップ(バンド計算からの算出値)との対応図(b)を示した図である。 本発明の第一の実施形態の熱電変換素子の製造方法の各ステップを示した図である。 本発明の第一の実施形態の熱電変換素子の製造方法の各ステップを示した図である。 本発明の第二の実施形態における熱電変換素子を示す図である。
以下に、本発明を実施するための好ましい形態について図面を参照して詳細に説明する。ただし、以下に述べる実施形態は本発明を実施するために技術的に好ましい限定がされているが、発明の範囲を以下に限定するものではない。
[第一の実施形態]次に、第一の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本実施形態における熱電変換素子100を示す図である
[構成の説明]図1に示すように、本実施形態における熱電変換素子100は、絶縁体層1と、フォノン絶縁層2とを備える。
図1のように、絶縁体層1は、少なくとも2層積層している。また、フォノン絶縁層2は、絶縁体層1の層間に配置される。これらの層の積層方向に温度勾配を印加した際、温度勾配と平行に絶縁体層1内でスピンの流れ(スピン流)が発生する。フォノン絶縁層2を挟んで対向する少なくとも2層の絶縁体層1のうち、一方からもう一方の絶縁体層1の方向に流れるスピン流は、フォノン絶縁層2を介して、もう一方の絶縁体層1に流れる。
以下に、各構成要素のより詳細な説明や具体例を示す。絶縁体層1は、少なくとも一つの磁化方向を有する材料を含有する。加えて、少なくとも一つの磁化方向を有する材料は、絶縁体層1内をスピン流が伝播できる密度以上、絶縁体層1内に含有されている。また、少なくとも一つの磁化方向を有する材料としては、熱伝導率の小さな材料ほど効率よく熱電効果を示すことから磁性絶縁体であることが好ましい。磁性絶縁体としては、ガーネット酸化物やフェライト材料などを用いることができ、より具体的には、イットリウム鉄ガーネット(YFe12、YIGと略記)などを用いることが好ましい。また、絶縁体層1の一層ごとに、異なる材料を用いてもよい。加えて、複数の材料を絶縁体層1に混在させて用いてもよい。
フォノン絶縁層2は、スピン流の伝導を阻害しない100nm以下の厚みであることが好ましい。フォノン絶縁層2は、絶縁体層1間のフォノン伝導を妨げるフォノンバンドギャップを有する物質を含む。具体的には、フォノン絶縁層2は絶縁体層1のフォノン伝導を妨げるフォノンバンドギャップを有する物質が分散した層である。
絶縁体層1間のフォノン伝導を妨げるフォノンバンドギャップを有する物質として、非磁性ナノワイヤー2aを用いることができる。非磁性ナノワイヤー2aとしては、所定の範囲の直径を有するカーボンナノチューブまたはシリコンナノナノチューブを用いることができる。より具体的には、所定の範囲の直径は、カーボンナノチューブまたはシリコンナノチューブが絶縁体層1間のフォノン伝導を妨げるフォノンバンドギャップを有する直径であり、カーボンナノチューブの場合、0.5nm以上2nm以下である。フォノンバンドギャップを有する物質として、非磁性ナノワイヤー2aを用いた場合、図2に示すように分散するが、その充填密度はフォノン伝導の抑制を大きく保つために80%以上にすることが望ましい。
図3は、図1の熱電変換素子100がさらに電極3を有する構造である。電極3は2つの絶縁体層1のうちのどちらかの一方かつフォノン絶縁層2と対向しない面に設けられている。すなわち、絶縁体層1の、積層方向の最外層のどちらかの最外面に電極を有している。
電極3にはスピン軌道相互作用を有する材料を用いる。例えば、金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)などの金属材料、またはそれらの合金材料を電極3として用いる。なお電極3は、スピンホール効果を強めるために、鉄(Fe)や銅(Cu)などの不純物を添加してもよい。電極3の厚さは、少なくとも金属材料のスピン拡散長以上に設定するのが好ましい。例えばAuであれば50nm以上、Ptであれば10nm以上に設定するのが望ましい。
[作用の説明]
次に、本実施形態における作用を説明する。まず、付加した温度勾配と誘起されるスピン流の伝搬、電流の取出しまでの流れを説明する。
図4は、付加した温度勾配と誘起されるスピン流の伝搬を示す概略図である。図5は、本実施形態の熱電変換素子が電極3と端子4を有する際、図4に加えさらに電流の取出しまでを示した概略図である。
図4に示したように、熱電変換素子100において、図4下方向に温度勾配が付加されると、絶縁体層1に含まれる、少なくとも一つの磁化方向を有する材料中でスピンゼーベック効果によって温度勾配に逆平行にスピン流が誘起され、高温から低温に流れる。このとき、2層のうち、より高温側に配置した絶縁体層1で誘起されたスピン流は、フォノン絶縁層2を介してもう一方の絶縁体層1に伝搬する。図5のように、伝搬したスピン流は、電極3と絶縁体層1との界面から金属電極に流れ込み、そこでのスピン軌道相互作用による逆スピンホール効果によって界面電流に変換され、起電力として取り出される。具体的には、磁化方向に対して垂直方向(図5中2つの端子4間の矢印の方向)の電流(起電力)へと変換される。つまり、絶縁体層1、フォノン絶縁層2で構成される熱電変換素子100は、付加される温度勾配から起電力を生成する。
熱電変換素子100のエネルギー変換効率を高めるため、本発明では、以下の2点に着目した。まず、取り出せる電流と電力はスピン流の大きさに比例し、スピン流は付加する温度勾配の温度差に比例することである。このため、温度差を保つために熱伝導を抑制することが重要である。2点目に、スピン熱電能の大きさは絶縁体1と電極3との界面でのスピンの実効温度とフォノンの実効温度の差に比例することである。このため、これらの温度差を大きくすることが重要である。ここで実効温度とは、付加した温度勾配の高温側の温度での平衡状態における分布関数からのずれを温度に組み込んで示したものである。
まず、本実施形態における、1点目の熱伝導を抑制するに至る作用について説明する。熱流の伝導距離(正確には平均自由行程)は100nm程度であるから、これより短い100nm以下の厚みのフォノン絶縁層2を、熱電変換材料である絶縁体1の中腹に配置する。中腹とは、熱電変換材料100に温度勾配を持たせるとき、その勾配の両端の間である。つまり、2層の絶縁体1の層間にフォノン絶縁層2が配置された構成になる。加えて、絶縁層1の層間でのフォノンによる熱伝播がフォノン絶縁層2によって抑制されるので、このことにより、熱流とフォノンによる熱伝導を抑制することができる。
次に、本実施形態における、2点目のスピンとフォノンの実効温度の差を大きくするに至る作用を説明する。図6は、本実施形態の熱電変換素子100におけるスピンの分布と電流の流れを示す概略図(a)、及びスピンの実効温度とフォノンの実効温度の分布を示す概略図(b)である。ここでJは電流を、Mは磁場を示す。
まず、スピンの実効温度について説明する。スピン流の伝播を担う磁気双極子相互作用は、通常数10μm〜100μm程度の長距離相関を有する。よって、フォノン絶縁層2がスピン流の伝播に全く影響を及ぼさないようにするため、フォノン絶縁層2の層厚を100nm程度以下にすることが望ましい。図6(b)中のTスピンに示すように、フォノン絶縁層2の層厚を100nm程度以下にすることで、温度勾配を付加した際、高温側の絶縁層1で誘起されたスピンの実効温度はフォノン絶縁層2を通過する前後では変化しない。
次に、フォノンの実効温度について説明する。前述のように、絶縁層1の層間でのフォノンによる熱伝播がフォノン絶縁層2によって抑制されるので、図6(b)中のTフォノンに示すように、フォノンの実効温度はフォノン絶縁層2通過時に急峻に変化する。
つまり、フォノン絶縁層2を挟んで積層した絶縁体1では図6(b)に示すような温度分布を有する。よって、スピンに対する実効温度とフォノンに対する実効温度差が絶縁体層1と電極3との界面で大きくなりスピン熱電能が増大する。これによりスピン流は増大し、スピン熱電変換効率が向上する。このことに加え、絶縁層1を一層ごとに異なる材料で構成した場合は、絶縁層1の層間でフォノン散乱が起きるため、フォノンによる熱伝導がさらに抑制され、熱電変換効率のいっそうの向上となる。
次にフォノン絶縁層2に含まれる、絶縁体層1層間のフォノン伝導を妨げるフォノンバンドギャップを有する物質の例として、カーボンナノチューブを挙げて説明する。図7には、各直径を有するカーボンナノチューブのフォノン分散のバンド計算による計算値(図7(a))と、直径とフォノンバンドギャップ(バンド計算からの算出値)との対応図(図7(b))を示す。
通常2次元や3次元構造の物質系ではフォノンバンドは複雑に入り組むため、フォノン分散にギャップを生じることは稀である。人工的にフォノンバンドギャップを構築する提案は存在するが、現実の物質系で低コストにその構造を合成することは通常は困難である。
これに対し1次元のナノワイヤー(nanowire,導電性又は半導電性のナノファイバー)構造では、そのフォノンバンド構造において複数のフォノンバンドが入り組まない構造はしばしば存在する。さらに、ナノワイヤーの垂直方向への熱伝播はほとんどない。
例えば、非磁性ナノワイヤー2aの1例としてカーボンナノチューブを考えると、カーボンナノチューブは2次元構造のグラフェンを折り曲げることによって形成されるので、そのフォノンバンド分散はグラフェンのフォノンバンド分散より考察される。
グラフェンのフォノンバンド分散は音響フォノン分散と光学フォノン分散が1点で交差する構造を有し、これに折り曲げの効果を考慮するとカーボンナノチューブのフォノンバンド分散は特徴的な直径に対してフォノンバンドギャップを有することが分かる。実際のフォノンのバンド計算より、図7(a)に示すようにフォノンバンドギャップがフォノンバンド内に形成される。ギャップの大きさは直径を大きくすると減少するが、図7(b)より直径0.6nmのもので最大10meV(ミリエレクトロンボルト)程度のフォノンギャップを持つ。このギャップを温度に換算すると約120Kに相当する。他の類似のナノワイヤー構造として、2次元構造のシリセンを折り曲げることによって形成されるシリコンナノチューブを挙げることができる。
前述の内容に加え、熱流は通常100nm程度の平均自由工程をもつため、熱伝導を大きく抑制するため、フォノン伝導を妨げるフォノン絶縁体の非磁性ナノワイヤー2aとして、平均自由工程よりも短い長さの50nm〜100nmで、フォノン絶縁体として機能する直径が0.5nm〜2nmの極細構造のものを用いることが好ましい。
ただし、非磁性ナノワイヤー2aとしてカーボンナノチューブやシリコンナノチューブを用いる場合は巻き方によるカイラリティ(Chirality)の違いも重要で、非常に近い直径を有するにも関わらずバンドギャップを有しないフォノン金属のものも存在する。このため、直径の制御により特徴的な直径でフォノンのバンドギャップを有するもののみを用い、かつ適宜カイラリティの制御を行う必要がある。制御の手法は既知のものでよく、直径制御には遠心分離法、カイラリティの制御には有機化学的手法による選択的合成法などが一例として挙げられる。
また、非磁性ナノワイヤー2aの直径を制御する以外に、不純物を添加することにより低エネルギー・長波長・低周波数領域での音響フォノン伝播に関しては熱伝導性を下げることが可能なことが知られている。よって、非磁性ナノワイヤー2a、またはフォノン絶縁層2の表面に不純物を添加することで、音速に対応する低周波のフォノン伝導を更に抑制することができる。このことで、さらにスピン熱電変換の変換効率を高めることができる。
このように絶縁体層1間のフォノン伝導を妨げるフォノンバンドギャップを有する物質を含むフォノン絶縁層2を絶縁層1の層間に配置した構造では熱伝播が抑制されるのでフォノン実効温度はフォノン絶縁層2と絶縁層1との界面で急峻に変化する。
[効果の説明]
本実施形態によれば、前述の作用の説明に記載の理由で、変換効率の高い熱電変換素子を提供できる。また、上述の通り熱電変換素子100は薄膜状に作製可能であるため、フレキシブルな熱電変換素子を提供できる。特に、非磁性ナノワイヤー2aとしてカーボンナノチューブを用いた場合、柔らかいフォノン絶縁層2となるため、よりフレキシブルな熱電変換素子を提供できる。
[製造方法の説明]
次に本実施形態における製造方法を説明する。図8(a)に示すように、まず、絶縁体層1を基板5上に成膜する。図8(b)に示すようにフォノン絶縁層2をその上に形成する。さらに図8(c)に示すようにその上に絶縁体層2を成膜し、熱電変換素子100とする。図3の構成であれば、図9(d)に示すようにさらに電極3を形成する。
以下に具体例を示す。絶縁体層1は、液相エピタキシャル成長(LPE)や、スパッタ、レーザーアブレーション(PLD)、有機金属堆積法(MOD法)、エアロゾルデポジション法(AD法)などで成膜を行うことができる。特にプラスチック基板などにYIGのような磁性絶縁体を大面積成膜する用途には、AD法の利用が望ましい。絶縁体層1の膜厚は熱電発電の用途や温度領域に応じて変えることが可能だが、通常は100nm〜500μm程度に設定する。また、磁性絶縁体の微粒子をスピン流が伝播する密度にて有機樹脂に溶かした組成物を用いて塗布プロセスにより絶縁体層1を成膜することも可能である。
フォノン絶縁層2を形成する方法として、フォノン絶縁層2を溶液状に溶かしたものを塗布プロセスにより形成する方法をとることができる。フォノン絶縁層2は有機溶媒によって溶液状に溶かすことができる。ここでフォノン絶縁層2は有機溶媒に溶かしこむことにより均一に分散させた組成物となり、低コストである塗布プロセスや印刷プロセスにより作製できる。
フレキシブルな材料を基板として用いた場合、基板を取り除かなくてもフレキシブルな熱電変換素子を作製することができる。しかし、基板がある分、温度差を維持するためのエネルギーを浪費し、エネルギー変換効率が低下することになるため、基板は最終的には取り除くことが望ましい。
≪製造方法の効果≫
本製造方法では、フォノン絶縁層2の形成に塗布または印刷プロセスを採用しているので、エネルギー変換効率が高く、かつフレキシブルな熱電変換素子を低コストに得ることができる。
[製造方法の実施例]
次に、本実施形態における製造方法の実施例を示す。始めに、基板上に絶縁体層1としてYIGのシートを形成する。その上に直径が0.5nm〜2nm、長さ50nm〜100nmのカーボンナノチューブを有機溶媒に溶かして均一に分散させた溶液組成物を膜厚100nm以下で塗布プロセスにより塗布し、さらに高温で乾燥しフィルム化させてフォノン絶縁層2をシート状に構築する。更にその上に再び絶縁体層1としてYIGのシートを形成する。その後、電極3を印刷法などで成膜し、最後に、作製した熱電変換素子を基板から剥がすことで、シート状の熱電変換素子100を作製する。さらに電極3に端子4を付けることで外部に電気を取り出し起電力を取り出す熱電変換素子を得る。基板をはがして取り除く例を示したが、はがさず残してもよい。
ここで、基板はどのような材料でも可能であるが、最終的に熱電変換素子100から取り除かない場合には、応力耐性に優れた材料を用いることで、フレキシブルな熱電素子構造を構築することが可能になる。この場合、更に応力耐性が高まったフレキシブルな薄膜素子構造が可能となる。
[第二の実施形態]
先述の第一の実施の形態においては、フォノン絶縁層2を2層の絶縁体層1の間に1層挟む構成であったが、フォノン絶縁層2を絶縁体層1の中腹に複数層配置することで、熱伝導を多段階で抑制することができる。その他好ましい実施態様などは第一の実施形態と同様である。本実施形態の構成の例を図10に示す。本構成では、熱電変換素子200全体でフォノンによる熱伝導の抑制は大きくなるが、スピン流が複数のフォノン絶縁層2により減少する可能性がある。このため、各絶縁体層1の層厚をスピン流の伝播に不可欠な磁気双極子相互作用が急激に小さくなる長さ3μmより十分に厚くすることが好ましい。一方、絶縁層1が厚くなると応力耐性に優れたフレキシブル性が損なわれるため、絶縁層1の厚さはフレキシブル性を損なわない厚さに適宜変更してもよい。
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
≪付記≫
[付記1]
少なくとも2層の一つ以上の磁化方向を有する積層した絶縁体層間の、少なくともいずれか一つの層間に、前記絶縁体層間のフォノン伝導を妨げるフォノンバンドギャップを有する物質を含むフォノン絶縁層を配置している、熱電変換素子。
[付記2]
前記絶縁体層はガーネット酸化物またはフェライト材料、もしくはその両方を含有する、付記1に記載の熱電変換素子。
[付記3]
前記絶縁体層は、層厚が3μm以上である、付記1または2に記載の熱電変換素子。
[付記4]
前記フォノン絶縁層は、前記絶縁体層間のフォノン伝導を妨げるフォノンバンドギャップを有する物質が分散した層である、付記1から3のいずれかに記載の熱電変換素子。
[付記5]
前記フォノン絶縁層は、前記絶縁体層間のフォノン伝導を妨げるフォノンバンドギャップを有する物質がランダムに埋め込まれている、1から3に記載の熱電変換素子。
[付記6]
前記絶縁体層間のフォノン伝導を妨げるフォノンバンドギャップを有する物質は、非磁性ナノワイヤーである、付記1から5に記載の熱電変換素子。
[付記7]
前記非磁性ナノワイヤーは、カーボンナノチューブまたはシリコンナノナノチューブである、付記6に記載の熱電変換素子。
[付記8]
前記カーボンナノチューブは所定の範囲の直径を有する、付記7に記載の熱電変換素子。
[付記9]
前記所定の範囲の直径は、前記カーボンナノチューブが前記絶縁体層間のフォノン伝導を妨げるフォノンバンドギャップを有する直径である、付記8に記載の熱電変換素子。
[付記10]
前記所定の範囲の直径は0.5nm以上2nm以下である、付記8または9に記載の熱電変換素子。
[付記11]
前記シリコンナノナノチューブは所定の範囲の直径を有する、付記7に記載の熱電変換素子。
[付記12]
前記所定の範囲の直径は、前記シリコンナノナノチューブが前記絶縁体層間のフォノン伝導を妨げるフォノンバンドギャップを有する直径である、付記11に記載の熱電変換素子。
[付記13]
前記非磁性ナノワイヤーは長さが100nm以下である、付記6から12のいずれかに記載のスピン熱電変換素子。
[付記14]
前記非磁性ナノワイヤーは長さが50nm以上100nm以下である、付記6から13のいずれかに記載の熱電変換素子。
[付記15]
基板上に一つ以上の磁化方向を有する絶縁体層を形成し、
前記絶縁体層の上に、前記絶縁体層間のフォノン伝導を妨げるバンドギャップを有する物質を含むフォノン絶縁層を形成し、
前記フォノン絶縁層の上に、さらに一つ以上の磁化方向を有する第二の絶縁体層を形成する、
熱電変換素子の製造方法。
[付記16]
前記第二の絶縁体層の上に電極を形成する、付記15に記載の熱電変換素子の製造方法。
[付記17]
前記基板がフレキシブル基板である、付記15または16に記載の熱電変換素子の製造方法。
[付記18]
塗布プロセスまたは印刷プロセスによって前記フォノン絶縁層を形成する、付記15から17のいずれかに記載の熱電変換素子の製造方法。
[付記19]
前記塗布プロセスまたは前記印刷プロセスによって、カーボンナノチューブを有機溶媒に溶かして均一に分散させた溶液組成物を塗布することによって前記フォノン絶縁層を形成する、付記18に記載の熱電変換素子の製造方法。
1 絶縁体層
2 フォノン絶縁層
2a 非磁性ナノワイヤー
3 電極
4 端子
5 基板
100 熱電変換素子
200 熱電変換素子

Claims (10)

  1. 少なくとも2層の一つ以上の磁化方向を有する積層した絶縁体層間の、少なくともいずれか一つの層間に、前記絶縁体層間のフォノン伝導を妨げるフォノンバンドギャップを有する物質を含むフォノン絶縁層を配置している、熱電変換素子。
  2. 前記絶縁体層のうち、積層方向の最外層のどちらかの最外面に電極を有し、
    前記絶縁体層に対し、その積層方向に前記電極がより低温となるよう温度勾配を印加すると、前記温度勾配と逆並行かつに対し略垂直、かつ前記一つ以上の磁化方向のうちの一つと略垂直な方向の前記電極上に起電圧が生じる、請求項1に記載の熱電変換素子。
  3. 前記絶縁体層間のフォノン伝導を妨げるフォノンバンドギャップを有する物質は、非磁性ナノワイヤーである、請求項1または2に記載の熱電変換素子。
  4. 前記非磁性ナノワイヤーは、カーボンナノチューブまたはシリコンナノナノチューブである、請求項3に記載の熱電変換素子。
  5. 前記所定の範囲の直径は、前記カーボンナノチューブが前記絶縁体層間のフォノン伝導を妨げるフォノンバンドギャップを有する直径である、請求項4に記載の熱電変換素子。
  6. 前記所定の範囲の直径は0.5nm以上2nm以下である、請求項4または5に記載の熱電変換素子。
  7. 基板上に一つ以上の磁化方向を有する絶縁体層を形成し、
    前記絶縁体層の上に、前記絶縁体層間のフォノン伝導を妨げるバンドギャップを有する物質を含むフォノン絶縁層を形成し、
    前記フォノン絶縁層の上に、さらに一つ以上の磁化方向を有する第二の絶縁体層を形成する、
    熱電変換素子の製造方法。
  8. 前記基板がフレキシブル基板である、請求項7に記載の熱電変換素子の製造方法。
  9. 塗布プロセスまたは印刷プロセスによって前記フォノン絶縁層を形成する、請求項7から8のいずれかに記載の熱電変換素子の製造方法。
  10. 前記塗布プロセスまたは前記印刷プロセスによって、カーボンナノチューブを有機溶媒に溶かして均一に分散させた溶液組成物を塗布することによって前記フォノン絶縁層を形成する、請求項9に記載の熱電変換素子の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2017092163A (ja) * 2015-11-06 2017-05-25 アシザワ・ファインテック株式会社 熱電変換素子
JP2019192750A (ja) * 2018-04-24 2019-10-31 株式会社アルバック 磁性膜の形成方法、および、熱電変換素子
CN115798856A (zh) * 2023-01-31 2023-03-14 苏州赛特锐精密机械配件有限公司 软磁热电复合材料、无线充电构件及制备方法

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