JP5663422B2 - 熱電変換素子 - Google Patents

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Description

本発明は、薄膜化された熱電変換素子およびその製造方法に関する。
近年、地球温暖化現象の原因物質であるCO2削減に関する国際的関心が高まっており、CO2を大量に排出する資源エネルギーから自然エネルギーや熱エネルギーの再利用などの次世代エネルギーへ移行する為の技術革新が進んでいる。次世代エネルギー技術の候補としては、太陽光、風力などの自然エネルギーを利用した技術、資源エネルギーの利用によって排出される熱や振動等の一次エネルギーの損失分の再利用技術が考えられている。従来の資源エネルギーでは大規模な発電施設を主体とした集中型エネルギーであったのに対し、次世代エネルギーの特徴は自然エネルギー、再利用エネルギー双方とも偏在した形態をとっている事である。現代のエネルギー利用において、利用されずに排出されるエネルギーは一次エネルギーの約60%にも上り、その形態は主に排熱である。したがって、一次エネルギーにおける次世代型エネルギーの割合を増加させると同時に、エネルギーの再利用技術、特に排熱エネルギーの電力変換技術の向上が求められている。排熱のエネルギー利用を考えた時、排熱はさまざま場面で生じる為、設置形態における汎用性の高い発電システムが必要となる。その為にはフィルム形状のような省スペースな形態での高い起電力を有する熱電変換材料の開発が必要である。
熱電変換材料は、ゼーベック効果による熱電発電やペルチェ効果による熱電冷却を行う為に利用される素子であり、一般に、複数のP型熱電材料と複数のN型熱電材料とを交互に直列に接続した構造になっている。
現在、実用化されている熱電変換材料にBi2Te3がある。この材料は、変換効率が高いが、BiおよびTeはともに高価であること、またTeは有毒であることから、大量生産や低コスト化、環境負荷低減が困難である。従ってBi2Te3に代わる高効率熱電変換材料が求められている。無毒でかつ安価な熱電変換材料候補としてFe2VAl系合金が注目されている。
これら熱電変換材料の作成方法は、原料組成物を加熱して熔解または焼結したものから、機械的加工(切り出し)によってブロック状に成形していた。この方法の利点は、結晶の元素組成と結晶構造を正確に制御出来るところにある。しかし、熱電変換材料には機械的強度の低いものが多いため、微細な精密加工は難しく、小型化・薄型化を図ることは困難であった。また、切り出しによる加工では、歩留まりが低い問題もあった。それに対して熱電変換材料の薄膜作成方法が注目されている。薄膜状の熱電変換材料を形成することができた場合、微細で複雑なパターンを持った熱電材料の薄膜も形成可能となり、極めて小さくて薄い熱電変換素子を得る事が出来る。ブロック状の成形体から製造した熱電変換素子では実装が困難だったような狭いスペースにも、熱電変換素子を配置することができる。従って、高効率の薄膜型熱電変換素子が実現される事が望まれている。
特許文献1には加熱された基板の上に蒸着したFe2VAl系熱電材料薄膜を用いた熱電変換素子が示される。開示された素子は、基板平面上に厚さ5μのN型熱電材料部とP型熱電材料部が交互にジグザグに配列した構成をとる。熱電材料薄膜の厚さについては0.1〜100μが望ましいことも言及されている。
特開2005−277343号公報
Physical Review B, 82, 075418
一般に熱電変換材料の性能指標はZTという無次元数を指標とし、以下の様に与えられている。
Sはゼーベック係数、κは熱伝導率、ρは電気抵抗率、T=室温(300K)とする。ゼーベック係数が大きいほど、比抵抗と熱伝導率は小さいほど性能指標は大きくなる。ゼーベック係数、電気抵抗率は物質の電子状態によって決定される物理量である。Mottの式によればゼーベック係数は以下のような関係をもつ。
(数2)によれば、ゼーベック係数はFermi準位における状態密度(Density of States)の絶対値に反比例し、そのエネルギー勾配に比例する。従ってFermi準位の状態密度が小さく、状態密度の立ち上がりが急激に変化する物質が高いゼーベック係数を持つことを意味する。また電気抵抗率に関しては、
という関係を持つ。ここではλとνはFermi準位における電子の平均自由行程と速度である。(数3)によれば状態密度に反比例する為、状態密度の絶対値が大きいエネルギー位置にFermi準位があるときに電気抵抗率は小さくなる。
Fe2VAl系合金の熱電変換材料は擬ギャップ系のバンド構造をもつ。擬ギャップ系のバンド構造とは、Fermi準位近傍の状態密度が極端に落ち込んでいる電子状態の物質系である。また、Fe2VAl系合金のバンド構造の特徴として、化合物の組成比を変化させたときに、バンド構造を大きく変化せずに、Fermi準位のエネルギー位置だけ変化するというrigid band model的な振る舞いをすると言われている。従ってFe2VAl系合金は化合物の組成比を変化させるか化合物の組成を変化させて電子ドープあるいはホールドープすることで、状態密度が急峻に変化しかつ状態密度の絶対値が最適化するようなエネルギー位置にFermi準位を制御することが出来るため、ゼーベック係数と比抵抗の関係を最適化することが出来る。さらにp型とn型双方を実現できる物質系である。
しかし、Fe2VAl系化合物は室温以上では金属的な状態に近いために熱伝導率が大きく、実用的な性能指数には程遠いといのが現状である。
そこで本発明では、更に検討を重ね、Fe2VAl系合金薄膜をその熱伝導度が低下する条件で用い、もって性能指数を高めて素子モジュールとしての実用性と向上した熱電変換素子を提供することを目的とする。
本発明の代表的実施例に係る熱電変換素子は、基板上に積層されたバッファ層と、熱電変換材料層と、電極層とを有し、前記熱電変換材料層は、フルホイスラー合金、もしくはフルホイスラー合金から元素置換した合金からなる1nm〜200nmの範囲の膜厚を有する薄膜であることを特徴とする。
また、本発明の他の特徴は、このような熱電変換材料層を多数層有し、各層の起電力を加算した合計起電力を得る構成を有する熱電変換素子にある。具体的な特徴は、熱電変換材料層と導電性のバッファ層とが積層された単位構造が複数段繰り返し積層され、膜面と垂直方向の温度勾配が加わった時の各熱電変換材料層の起電力が加算された合計の出力を取り出すための下部電極が最下層のバッファ層に接続され、上部電極が最上部の熱電変換材料層に積層される点にある。
別の具体的特徴は、基板に積層されたバッファ層の上に、N型熱電変換材料層と絶縁体層とが絶縁体層を間に挟んで交互に複数回繰り返し積層された多層構造層を有し、面内方向に温度勾配が加わった時の各層の起電力が加算された出力を取り出せるよう、最下部の単位構造内のN型熱電変換材料層の一端に下部電極が接続され、そのN型熱電変換材料層の他端とP型熱電変換材料層とを接続する接続電極、またそのP型熱電変換材料層の他端(ただし上記の下部電極が接続された側の端部)とその上のP型熱電変換材料層とを接続する接続電極、という風に、上部に隣接して積層される熱電変換材料層に次々と、しかも両端交互の位置で接続していく複数の接続電極が設けられ、最上部の単位構造内のP型熱電変換材料層には上部電極が接続された点にある。
熱電変換材料層の素材は上記ではフルホイスラー合金、もしくはフルホイスラー合金から元素置換した合金としたが、Fe2VAl系合金と言い換えてもよい。Fe2VAlの他に、Fe2TiSnやFe2TiSi、Fe2NbAlなどが代表的で、詳しくはFe2N1-xMxX1-xYx(ただしN or M=V、Nb、Ti、Mo、W、Zr、かつX or Y =Al、Si、Sn、Ge )という組成の合金である。
Fe2VAl系化合物のゼーベック係数と電気抵抗率は、電子状態を元素置換によってコントロールすることで最適化することが出来る。しかし、室温では金属に近い性質を持っている為、熱伝導率は大きくなってしまう。実用化の境界と言われているZT=2に到達するためには熱伝導率を低減する必要が有る。
熱伝導率κは、以下のように表現できる。
ζは材料の密度、dは試料膜厚、Cpは試料定圧比熱、τfは膜厚dの薄膜試料の裏面から表面に熱が伝わるまでの時間である。(数4)(数5)にあるように、熱伝導率は試料の膜厚が薄いほど小さくなる事が分かる。熱は、電子を介してあるいは格子振動を介して、物質内を伝搬する。電子を介する熱の伝搬は、物質の電子密度によって決定される。また格子振動を介する伝搬は、元素の種類と結晶構造によって決定される。つまり薄膜の膜厚を制御した事によって誘起される熱伝導率の変化は、物質固有である。例えば、非特許文献1にはCuの例で膜厚に対する熱伝導率の変化特性が報告されている。それよると、膜厚が100nm以下では膜厚と熱伝導率とは比例関係にあることが分かる。ところが、膜厚が200nmに近づくと、もはや比例関係はくずれ、膜厚増加に対し熱伝導率はバルクの熱伝導率に漸近する。つまりCuでは、200nm付近では膜厚を減少させても熱伝導率低下の効果はさほど明確には現れない。
そこで本発明者らは、Fe2VAl系合金について、その膜厚の変化に対する熱伝導率の特性を詳細にもとめ、熱伝導率低下の効果が明確である適切な膜厚を確認した。図1はその熱伝導率特性の導出結果である。この結果から、Fe2VAl系合金では200nmまでの膜厚の範囲で膜厚と熱伝導率とは比例関係にあること、つまり膜厚減少に対する熱伝導率低下の効果がこの範囲で明確に得られることが確認できた。以上により本発明の代表的構成では熱伝導率を低減する手段として、熱電変換材料Fe2VAl系合金を薄膜化し、その適切な膜厚を1nm〜200nmとした。なお膜厚の下限値1nmはFe2VAlの数分子に相当する厚さであり、均一で安定した合金膜を形成できる下限値である。
Fe2VAl系合金薄膜の膜厚の範囲をさらに100nm未満の範囲に絞れば、バルクの熱伝導率の4分の1以下の熱伝導率を有する薄膜となり、熱電変換素子としての性能指標の向上の効果は一段と大きい。さらに膜厚50nmでは性能指標ZTの値がバルクの約10倍となることが確かめられ。
本発明によれば、環境負荷の小さな材料を用いて、しかも膜厚条件の選択と構造上の工夫により性能指数の高い熱電変換素子が得られる。
膜厚と熱伝導率の断面相関図である。 本発明の実施例1の薄膜熱電変換素子の断面模式図である。 実施例2の多層膜型垂直直列式の熱電変換素子の断面模式図である。 実施例2の熱電変換素子の変形例の断面模式図である。 実施例3の多層膜型面内直列式の熱電変換素子の断面模式図である。 実施例3の熱電変換素子の変形例の断面模式図である。
以下、本発明の実施形態について説明する。
(実施例1)
図2に、実施例1における熱電変換素子の断面模式図を示す。熱酸化膜が形成されたSi基板100の上にバッファ層101、熱電変換材料層102、電極層103からなる多層膜を成膜する。バッファ層101は例えばTaを用いた。あるいはTa/MgO(膜厚:3nm)でもよい。Taを下地としたMgOをバッファ層とした場合、MgOの構造は岩塩構造であり、結晶方位は(100)を向いている。熱電変換材料層102はフルホイスラー合金であるFe2VAlを用いた。
上記の各層はArガスを用いたスパッタリング法を用いてSi基板100の上に形成した。室温成膜において、Taは熱酸化Si基板上でアモルファス状に成膜される。積層膜を形成後、電子ビーム(EB)リソグラフィとイオンビームエッチングを用いて、バッファ層101の直上まで削り、バッファ層101上に熱電変換材料102、電極層103を切り出した。上面からSiO2を成膜し、レジストを塗装し、電子ビーム(EB)リソグラフィとイオンビームエッチングを用いて形成した。基板を高温部分に接触させ、素子の垂直方向に温度勾配を生じさせたとき、電極間の電圧を測ると起電力が発生する。なお、下部電極と上部電極がそれぞれ電圧を取り出すために配線されている事は言うまでもない。
本実施形態で、Fe2VAl薄膜の種々の膜厚に対して、その熱伝導率を求めた。その結果が図1のとおりであり、膜厚が200nm以下の範囲で膜厚と熱伝導率とは比例関係にあること図1から分かる。膜厚200nmで既にバルクの熱伝導率の2分の1の熱伝導率が得られており、これから、膜厚1nm〜200nmの範囲で十分な発電性能を引き出すための熱伝導率低下の効果が明確であることが確認できた。膜厚100nm未満の範囲では、Fe2VAl薄膜の熱伝導率はバルクの熱伝導率4分の1以下となり、熱電変換素子としての性能指標の効果は一段と大きくなる。さらに、膜厚50nmのFe2VAl薄膜では、バルクの10倍の、また、膜厚10nmのFe2VAl薄膜では、バルクの50倍の性能指標ZTの値がそれぞれ得られた。
本実施例で熱電変換材料はFe2VAlを用いたが、フルホイスラー合金であればよい。すなわちFe2VAlの他にFe2TiSnやFe2TiSi、Fe2NbAlなどが考えられる。またFe2N1-xMxX1-xYx(ただしN or M=V、Nb、Ti、Mo、W、Zr、かつX or Y =Al、Si、Sn、Ge)という組成の合金を用いても同様の効果が得られる。
(実施例2)
図3に、実施例2における熱電変換素子の断面模式図を示す。熱酸化膜が形成されたSi基板200の上に第1のバッファ層201、熱電変換材料層202、導電性の第2のバッファ層203を積層し、熱電変換材料層202、第2のバッファ層203の単位構成を多数回繰り返して積層した後、電極層204を成膜する積層構造をとる。第1のバッファ層201はTaを用いた。第2のバッファ層はAgを用いた。
図4は図3の熱電変換素子を変形した構成の熱電変換素子を示す。図4の変形例は、図3の実施例2の構成に対し、第1のバッファ層201と熱電変換材料層202に間に第3のバッファ層209を挿入した点が異なる。ここでは、第3のバッファ層209はMgO(膜厚:3nm)を用いた。その構造は岩塩構造であり、結晶方位は(100)を向いている。図3と図4の双方の構成で、熱電変換材料層102はフルホイスラー合金であるFe2VAlを用いた。
上記の各層はArガスを用いたスパッタリング法を用いてSi基板200の上に形成した。室温成膜において、Taは熱酸化Si基板上でアモルファス形状に成膜される。積層膜を形成後、電子ビーム(EB)リソグラフィとイオンビームエッチングを用いて、図3では第1のバッファ層201の直上まで削り、図4では第3のバッファ層209の直上まで削った。こうして巨大な熱電変換素子のピラーが立っているような構造に加工した。上面からSiOを成膜し、レジストを塗装し、電子ビーム(EB)リソグラフィとイオンビームエッチングを用いて電極205と電極206を形成した。図3では電極205は導電性の第1のバッファ層201に接続する様に形成される。図4では第1のバッファ層201と熱電変換材料層202の間に絶縁性の第3のバッファ層209が介在するので、電極205は絶電変換材料層202に直接接続するように形成する。基板を高温部分に接触させ、素子の垂直方向に温度勾配を生じさせたとき各熱電変換層に起電力が生じ、電極205と電極206の間の電圧は、それら加算した電圧となる。この電圧を出力として取り出すことができる。
実施例1と同様に、熱電変換材料の膜厚は1nm~200nmの範囲で熱伝導率低下による性能指標向上が得られ、さらに膜厚100nm未満でその効果は顕著に現れる。また、本実施例では、必要な電圧に応じて熱電変換材料薄膜を積層する回数を変化させることが可能である。
本実施例で熱電変換材料はFe2VAlを用いたが、フルホイスラー合金であればよい。すなわちFe2VAlの他にFe2TiSnやFe2TiSi、Fe2NbAlなどが考えられる。またFe2N1-xMxX1-xYx(ただしN or M=V、Nb、Ti、Mo、W、Zr、かつX or Y =Al、Si、Sn、Ge)という組成の合金を用いても同様の効果が得られる。
第2バッファ層に用いる材料はAgの他にCu、Au、Pt、Pd、Ru、Rh、Ta、W、Ta、V、Ti、Mgがある。
(実施例3)
図5に、実施例3の熱電変換素子の断面模式図を示す。熱酸化膜が形成されたSi基板300の上に第1のバッファ層301、熱電変換材料層302a、絶縁体層303を積層し、熱電変換材料層と、第2の絶縁体層とのの単位構成を多数回繰り返した後、電極層304を成膜する積層構造をとる。図3の実施例2の素子と同様に第1のバッファ層301にはTaを用いた。絶縁体層303はMgOを用いた。
図6は図5の熱電変換素子を変形した構成の熱電変換素子を示す。図6の変形例は、図5の実施例3の構成に対し、第1のバッファ層の上に第2のバッファ層309を積層した構造を示している。第2のバッファ層309は結晶方位(100)のMgO(膜厚:3nm)であることは図4の変形例と同様である。熱電変換材料層はフルホイスラー合金であるFe2VAlであることは先の実施例と同様である。ただし、図5および図6の素子に特徴的なのは、単位構造を複数回繰り返し積層した積層構造の中で、熱電変換材料層302はN型Fe2VAlとP型Fe2VAlが交互に層を成す点である。さらに、一番下層のN型Fe2VAl層302aの一端には電極307が接続され、これと対向する他端には、その上のP型Fe2VAl層302bに端部側面で接続する接続電極306が形成される。さらにこのP型Fe2VAl層302bの他端(ただし前記最下層のN型Fe2VAl層302aの最初の一端の側)には、その上のN型Fe2VAl層302cに端部側面にて接続する接続電極308が掲載される。以降同様に、Fe2VAl層の上部に隣接して積層されるFe2VAl層に次々と、しかも対向する両端で交互に接続していく接続電極が形成される。最上位のN型Fe2VAl層302nにはその他端近くに、上部電極304が積層される。 本実施例でも各層はArガスを用いたスパッタリング法を用いてSi基板300の上に成膜される。積層膜を形成後、電子ビーム(EB)リソグラフィとイオンビームエッチングを用いて、第1のバッファ層302の直上まで削り、巨大な熱電変換素子のピラーが立っているような上記積層構造形成した。側面に接続電極を形成した後、上面からSiOを成膜し、レジストを塗装し、電子ビーム(EB)リソグラフィとイオンビームエッチングを用いて電極305と電極307を形成した。
以上の実施例3もしくはその変形例の構成では、基板300を高温部分に接触させ、素子の各層の面内方向に温度勾配を生じさせたとき、Fe2VAlの各層には起電力が生じる。N型Fe2VAl層とP型Fe2VAl層とで電圧の向きは逆となる。上述の接続電極による順次接続により電極305と電極307の間には各Fe2VAl層の起電力を加算した電圧が得られる。 このように、実施例3もしくはその変形例は、各層の面内方向に温度勾配が加わる時に起電力が発生する熱電変換素子であり、素子の利用形態が実施例2と異なる。各々の熱電変換層の膜厚については実施例1もしくは実施例2と同様な事項があてはまる。すなわち実施例1もしくは実施例2で説明したのと全く同様に、膜厚制御による熱伝導率の低下によって、バルク材料のFe2VAl と比較して明らかに向上した性能指標ZTの値が得られ、熱電変換素子としての実用性が高まる。
本実施例でも熱電変換材料はFe2VAlのみでなく、フルホイスラー合金であればよい。他にFe2TiSnやFe2TiSi、Fe2NbAlなどが考えられる。またFe2N1-xMxX1-xYx(ただしN or M=V、Nb、Ti、Mo、W、Zr、かつX or Y =Al、Si、Sn、Ge)という組成の合金を用いても同様の効果が得られる。
また絶縁体層303はMgOの他に、Al2O3、SiO2などが挙げられる。
本発明により、環境負荷が低く、大量生産の可能性が高く、かつ小型、高性能で多方面での実用化が期待できる熱電変換素子得られる。
100、200、300:基板、
101、201、301:バッファ層、
102、202、:熱電変換材料層、
103、:電極層
203:導電性バッファ層、
204、304:上部電極、
205、206、305、307:電極
209、309:絶縁性バッファ層
302a、302c:N型 Fe2VAl層
302b、302n:P型Fe2VAl層、
303:絶縁体層、

Claims (9)

  1. 基板と、該基板上に形成されTaを含む下地層と、該下地層上に形成されMgOを含むバッファ層と、熱電変換材料層と、電極層を有し、
    前記熱電変換材料層は、フルホイスラー合金あるいはフルホイスラー合金から元素置換した合金でなる厚さが1nm以上200nm以下の薄膜であることを特徴とする熱電変換素子。
  2. 前記熱電変換材料層の厚さが100nm未満の範囲であることを特徴とする請求項1の熱電変換素子。
  3. 請求項1に記載の熱電変換素子において、試料面内方向に温度勾配をかけて、起電力を発生させる熱電変換素子。
  4. 基板と、該基板上に形成されTaを含む下地層と、該下地層上に形成されMgOを含む第1のバッファ層と、熱電変換材料層と導電性の第2のバッファ層とを含む単位構造が複数回り返し形成された多層構造層と、上部電極層とを有し、前記熱電変換材料層は、フルホイスラー合金あるいはフルホイスラー合金から元素置換した合金でなる厚さが1nm以上200nm以下の薄膜であり、各層に垂直方向の温度勾配に対して前記熱電変換材料層の各々に発生する起電力を加算した起電力を得ることを特徴とする熱電変換素子。
  5. 請求項に記載の熱電変換素子において、前記熱電変換材料層がFeとNb、V、Ti、Mo、W、Zrの中から選択された一つ以上の元素と、Al、Sn、Si、Geの中から選択された一つ以上の元素を組み合わせたフルホイスラー合金あるいは該フルホイスラー合金から元素置換した合金でなり、前記第2のバッファ層がAg、Cu、Au、Pt、Pd、Ru、Rh、Ta、W、Ta、V、Ti、Mgから選択された1以上の金属からなることを特徴とする熱電変換素子。
  6. 請求項に記載の熱電変換素子において、前記第1のバッファ層と前記多層構造層との間に絶縁性の第3のバッファ層が挿入されている構造を有する熱電変換素子。
  7. 基板と、該基板上に形成されTaを含む下地層と、該下地層上に形成されMgOを含む第1のバッファ層と、N型熱電変換材料層とP型熱電変換材料層とが絶縁体層を間に挟んで交互に複数回繰り返し積層された多層構造層と、上部電極とを有し、
    前記多層構造中の前記N型熱電変換材料層と前記P型熱電変換材料層は、それぞれフルホイスラー合金あるいはフルホイスラー合金から元素置換した合金でなる厚さが1nm以上200nm以下の薄膜であり、
    前記多層構造層の最下層のN型熱電変換材料層の一端には下部電極が、前記一端の反対側の他端には該最下層のN型熱電変換材料層の上側に隣接する熱電変換材料層に接続する第1の接続電極が接続され、該上側に隣接する熱電変換材料層の前記第1の接続電極と反対側の他端には更に上部に隣接する熱電変換材料層に接続する第2の接続電極が接続され、以下最上層の熱電変換材料層まで順時にそれぞれの接続電極で接続され、もって各層の面内方向の温度勾配に対して前記熱電変換材料層の各々に発生する起電力を加算した起電力を得ることを特徴とする熱電変換素子。
  8. 請求項に記載の熱電変換素子において、前記P熱電変換材料およびN型熱電変換層の各々が、Feと、V、Ti、Mo、W、Zrの中から選ばれた一つ以上の元素と、Al、Sn、Siの中から選ばれた一つ以上の元素を組み合わせてフルホイスラー合金あるいはフルホイスラー合金から元素置換した合金でなり、前記絶縁体層がMgO、Al2O3、SiO2のいずれかである熱電変換素子。
  9. 請求項に記載の熱電変換素子において、前記第1のバッファ層と熱電変換材料層との間に絶縁性の第2のバッファ層が挿入されている構造を取る熱電変換素子。
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