JPWO2017077901A1 - 半芳香族ポリアミド樹脂及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
耐熱性と溶融流動性に優れ、さらには耐熱変色性にも優れた、自動車部品、電気・電子部品などの成形品用の樹脂組成物に好適な半芳香族ポリアミド樹脂を提供する。炭素数2〜12のジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位を50モル%以上含有し、下記(a)〜(d)の各要件を満足する半芳香族ポリアミド樹脂:(a)融点(Tm)が290〜350℃である;(b)初期相対粘度(RV0)が1.3〜2.1であり、かつメルトフローレイト(MFR)の数値と融点+20℃で5分間溶融滞留させた後の相対粘度(RV5)の数値との比(MFR/RV5)が50以上である;(c)末端アミノ基濃度(AEG)が15eq/ton以下であり、AEGと末端カルボキシル基濃度(CEG)の比(AEG/CEG)が0.07以下である;(d)相対粘度(RV5)と相対粘度(RV0)との比(RV5/RV0)が0.900〜1.010である。
Description
本発明は、耐熱性と溶融流動性に優れ、さらには耐熱変色性にも優れた、自動車部品、電気・電子部品などの成形品用の樹脂組成物に好適な半芳香族ポリアミド樹脂に関する。
熱可塑性樹脂のうち、ポリアミド樹脂は、その優れた特性と溶融成形の容易さを活かして、衣料用、産業資材用繊維、エンジニアリングプラスチックなどに使用されてきた。特にエンジニアリングプラスチックとしては、自動車部品や産業機械用部品に限らず、種々の工業部品や筐体部品、電気・電子部品など多岐に渡って使用されている。
エンジニアリングプラスチックとして要求される代表的な特性として、高強度、高剛性、高耐熱性が一般的に知られるが、自動車部品においては、車内空間の拡大によるエンジンルームの小型化に伴い、樹脂部品の曝される雰囲気温度が高くなる傾向にあり、従来以上の耐熱性が求められている。さらには、自動車の低燃費化を目的とした種々金属部品の樹脂化も進んでいるが、金属代替を可能とするには強化材や充填材などの高充填化により高剛性化を図る必要がある。この高充填化にはポリアミド樹脂そのものの加工性、つまりは流動性を向上する必要があり、高機能ポリアミド樹脂の開発には樹脂の高流動化が新たに求められている。
電気・電子部品においては、製品サイズの小型化に伴う部品の小型化、実装の高密度化、工程の簡略化や低コスト化により表面実装方式(フロー方式、リフロー方式)が急速に浸透している。表面実装方式では、工程雰囲気温度が半田溶融温度以上(240〜260℃)となることから、使用される樹脂にも必然的に上記雰囲気温度での耐熱性が求められる。また、表面実装工程においては、樹脂の吸水に由来する実装部品の膨れ、変形が問題となることもあり、使用される樹脂には低吸水性が求められる。さらには、電気・電子部品の微小化、精密化や部品の低コスト化を目的とした射出成形における多数個取りへの移行に伴い、従来以上の優れた流動性を持つことが求められる。
電気・電子部品においては、上述の耐熱性、低吸水性に加えて熱や光による耐変色性に対する要求も高まっている。照明のLED化やデザイン性を意識したコネクタ部品等の着色が進む中で、高温に曝される製造工程、あるいは製品の使用環境下において樹脂製品の色調を損なわないという特性は、ユーザーにとって大きな興味を抱く点であり、製品価値を飛躍的に高める点でもある。ゆえに電気電子部品に使用されるポリアミド樹脂には、耐熱性、低吸水性だけでなく、耐熱耐光変色性をも満足することが求められている。
上述のような市場やユーザーニーズの変化に伴い、ポリアミド樹脂の最たる例として知られるポリアミド6やポリアミド66、あるいはポリアミド12などに代表される長鎖脂肪族ポリアミドでは、ユーザーの求める特性を満足することは難しくなっている。これらの特性を満足するポリアミド樹脂として、近年では半芳香族ポリアミドが使用されており、特許文献1では、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸に加えて、アジピン酸やイソフタル酸、2−メチル−1,5ペンタンジアミンなどを共重合した変性ポリアミド6Tが提案されている。変性ポリアミド6Tは、300℃以上の高い融点を持つ耐熱性に優れた半芳香族ポリアミド樹脂であり、耐熱性の要求は満たすものの、樹脂の飽和吸水率が6%以上と高く、吸水時の強度低下や表面実装工程における製品の膨れ等の不具合を引き起こす問題を有している。また、特許文献1では、製造工程あるいは使用環境下における樹脂の色調に関しては全く記載されていない。
特許文献2では、主としてノナンジアミンとテレフタル酸より得られるポリアミド9Tが提案されている。ポリアミド9Tは、高い耐熱性、低吸水性を有し、表面実装工程における製品の膨れなどの不具合は抑えられているものの、樹脂のガラス転移温度が130℃であり、成形時に十分に結晶化を完了させるためには、金型温度を140℃以上の高温に設定する必要があり、成形性の面で改善の余地がある。また、特許文献2では、製造工程あるいは使用環境下における樹脂の色調に関しては全く記載されていない。
特許文献3では、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸の当量モル塩と11−アミノウンデカン酸から得られる共重合ポリアミドが提案されている。この共重合ポリアミドは、耐熱性、低吸水性を有し、表面実装工程における安定性に長けているのに加えて、樹脂のガラス転移温度が90℃であり比較的低い金型温度での射出成形を可能にし、成形性をも満足した樹脂である。しかしながら、製造工程あるいは使用環境下において樹脂の色調が変化しやすい課題を有しており、外的要因による樹脂の色調安定性の観点において改善の余地がある。
また、上述の種々の半芳香族ポリアミド樹脂は、脂肪族ポリアミド樹脂に比べて高融点で溶融流動性が劣り、溶融滞留時に増粘したりゲル化しやすい欠点があり、加工安定性、高流動性の面で改善の余地がある。
上述のように過去提案されているポリアミド樹脂は、耐熱性、低吸水性、成形性、耐変色性、高流動性といった特性のうち、いくつかを満足することは可能でもその全てを満足するものではなく、いずれかに問題を抱えながらも使用しているのが現状である。
本発明は、かかる従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は、290℃以上の高融点、低吸水性に加えて、溶融流動性、色調安定性にも優れた、自動車部品、電気・電子部品などの成形品用の樹脂組成物に好適な半芳香族ポリアミド樹脂を提供することにある。
本発明者は、上記目的を達成するために、半芳香族ポリアミド樹脂の溶融特性や末端基を含めた樹脂特性及び製造方法について鋭意検討した結果、本発明の完成に至った。
即ち、本発明は、以下の構成を有するものである。
(1)炭素数2〜12のジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位を50モル%以上含有し、下記(a)〜(d)の要件を満足することを特徴とする半芳香族ポリアミド樹脂:
(a)融点(Tm)が290〜350℃である;
(b)相対粘度(RV0)が1.3〜2.1であり、かつメルトフローレイト(MFR)のg/10分での数値と相対粘度(RV5)の数値との比(MFR/RV5)が50以上である;
メルトフローレイト(MFR:g/10分):ASTM D1238法に準拠、融点+20℃の温度、荷重2.16kgで測定
相対粘度(RV0):96%硫酸中20℃で測定した初期相対粘度
相対粘度(RV5):融点+20℃で5分間溶融滞留させた後に96%硫酸中20℃で測定した相対粘度
(c)末端アミノ基濃度(AEG)が15eq/ton以下であり、末端アミノ基濃度(AEG)のeq/tonでの数値と末端カルボキシル基濃度(CEG)のeq/tonでの数値との比(AEG/CEG)が0.07以下である;
(d)相対粘度(RV5)と相対粘度(RV0)との比(RV5/RV0)が0.900〜1.010である。
(2)下記(e)の要件を満足することを特徴とする(1)に記載の半芳香族ポリアミド樹脂:
(e)初期の色調(b*0)と50mW/cm2の強度の紫外線を24時間照射した後の色調(b*1)の差Δb*が20.0以下である。
(3)下記(A)および(B)の要件を満足することを特徴とする(1)または(2)に記載の半芳香族ポリアミド樹脂:
(A)7.5≦[ポリアミド樹脂中の炭素原子数/ポリアミド樹脂中のアミド結合数];
(B)[ポリアミド樹脂中の芳香環上の炭素原子数/ポリアミド樹脂中の全炭素原子数]≦0.35。
(4)半芳香族ポリアミド樹脂が、炭素数2〜12のジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位以外の成分として、炭素数11〜18のアミノカルボン酸もしくはラクタムのうちの一種もしくは複数種を共重合してなることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の半芳香族ポリアミド樹脂。
(5)半芳香族ポリアミド樹脂が、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位55〜75モル%と、11−アミノウンデカン酸又はウンデカンラクタムから得られる構成単位45〜25モル%とからなることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の半芳香族ポリアミド樹脂。
(6)溶融重合によって得られ、かつ末端アミノ基の少なくとも一部が末端封鎖された、相対粘度(RV0)が1.6未満の半芳香族ポリアミド樹脂の低次縮合物を、(融点−100)℃から(融点−10)℃の温度で固相重合し、末端アミノ基濃度(AEG)を15eq/ton以下とすることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の半芳香族ポリアミド樹脂の製造方法。
(1)炭素数2〜12のジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位を50モル%以上含有し、下記(a)〜(d)の要件を満足することを特徴とする半芳香族ポリアミド樹脂:
(a)融点(Tm)が290〜350℃である;
(b)相対粘度(RV0)が1.3〜2.1であり、かつメルトフローレイト(MFR)のg/10分での数値と相対粘度(RV5)の数値との比(MFR/RV5)が50以上である;
メルトフローレイト(MFR:g/10分):ASTM D1238法に準拠、融点+20℃の温度、荷重2.16kgで測定
相対粘度(RV0):96%硫酸中20℃で測定した初期相対粘度
相対粘度(RV5):融点+20℃で5分間溶融滞留させた後に96%硫酸中20℃で測定した相対粘度
(c)末端アミノ基濃度(AEG)が15eq/ton以下であり、末端アミノ基濃度(AEG)のeq/tonでの数値と末端カルボキシル基濃度(CEG)のeq/tonでの数値との比(AEG/CEG)が0.07以下である;
(d)相対粘度(RV5)と相対粘度(RV0)との比(RV5/RV0)が0.900〜1.010である。
(2)下記(e)の要件を満足することを特徴とする(1)に記載の半芳香族ポリアミド樹脂:
(e)初期の色調(b*0)と50mW/cm2の強度の紫外線を24時間照射した後の色調(b*1)の差Δb*が20.0以下である。
(3)下記(A)および(B)の要件を満足することを特徴とする(1)または(2)に記載の半芳香族ポリアミド樹脂:
(A)7.5≦[ポリアミド樹脂中の炭素原子数/ポリアミド樹脂中のアミド結合数];
(B)[ポリアミド樹脂中の芳香環上の炭素原子数/ポリアミド樹脂中の全炭素原子数]≦0.35。
(4)半芳香族ポリアミド樹脂が、炭素数2〜12のジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位以外の成分として、炭素数11〜18のアミノカルボン酸もしくはラクタムのうちの一種もしくは複数種を共重合してなることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の半芳香族ポリアミド樹脂。
(5)半芳香族ポリアミド樹脂が、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位55〜75モル%と、11−アミノウンデカン酸又はウンデカンラクタムから得られる構成単位45〜25モル%とからなることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載の半芳香族ポリアミド樹脂。
(6)溶融重合によって得られ、かつ末端アミノ基の少なくとも一部が末端封鎖された、相対粘度(RV0)が1.6未満の半芳香族ポリアミド樹脂の低次縮合物を、(融点−100)℃から(融点−10)℃の温度で固相重合し、末端アミノ基濃度(AEG)を15eq/ton以下とすることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の半芳香族ポリアミド樹脂の製造方法。
本発明によれば、溶融滞留による増粘やゲル化が抑制できるとともに、重合度を高くしても溶融粘度の増加が少なく、耐熱性と溶融流動性に優れ、さらには色調安定性にも優れた半芳香族ポリアミド樹脂を提供することができる。
以下、本発明の半芳香族ポリアミド樹脂に関して説明する。
なお、本発明の半芳香族ポリアミド樹脂とは、ポリアミド樹脂の繰り返し単位中にジカルボン酸またはジアミン由来の芳香族骨格を有するものを意味する。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂は、炭素数2〜12のジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位を50モル%以上含有する。前記構成単位は、55モル%以上が好ましく、55〜75モル%がより好ましく、60〜70モル%がさらに好ましい。ジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位が50モル%未満であると、結晶性、力学物性が低下し、好ましくない。
炭素数2〜12のジアミン成分としては、1,2−エチレンジアミン、1,3−トリメチレンジアミン、1,4−テトラメチレンジアミン、1,5−ぺンタメチレンジアミン、2−メチル−1,5−ペンタメチレンジアミン、1,6−ヘキサメチレンジアミン、1,7−ヘプタメチレンジアミン、1,8−オクタメチレンジアミン、1、9−ノナメチレンジアミン、2−メチル―1,8−オクタメチレンジアミン、1,10−デカメチレンジアミン、1,11−ウンデカメチレンジアミン、1,12−ドデカメチレンジアミンが挙げられ、これらを単独もしくは複数使用することが可能である。しかしながら、炭素数が9以上のジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位からなる半芳香族ポリアミドの場合、290℃未満に融点を有する場合があるため、炭素数2〜8のジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位を50モル%以上含有し、融点が290℃以上である樹脂が好ましい。炭素数2〜8のジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位は、55モル%以上がより好ましく、55〜75モル%がさらに好ましく、60〜70モル%が特に好ましい。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂には、構成単位中50%モル以下で他の成分を共重合することができる。共重合可能なジアミン成分としては、1,13−トリデカメチレンジアミン、1,16−ヘキサデカメチレンジアミン、1,18−オクタデカメチレンジアミン、2,2,4(または2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジアミンのような脂肪族ジアミン、ピペラジン、シクロヘキサンジアミン、ビス(3−メチル−4−アミノヘキシル)メタン、ビス−(4,4′−アミノシクロヘキシル)メタン、イソホロンジアミンのような脂環式ジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、パラフェニレンジアミン、メタフェニレンジアミンなどの芳香族ジアミンおよびこれらの水添物等が挙げられる。
共重合可能な酸成分としては、イソフタル酸、オルソフタル酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸、2,6−ナフタレンジカルボンル酸、4,4′−ジフェニルジカルボン酸、2,2′−ジフェニルジカルボン酸、4,4′−ジフェニルエーテルジカルボン酸、5−スルホン酸ナトリウムイソフタル酸、5−ヒドロキシイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,11−ウンデカン二酸、1,12−ドデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、1,18−オクタデカン二酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、4−メチル−1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、ダイマー酸等の脂肪族や脂環族ジカルボン酸等が挙げられる。また、ε−カプロラクタム、11−アミノウンデカン酸、ウンデカンラクタム、12−アミノドデカン酸、12−ラウリルラクタムなどのラクタムおよびこれらが開環した構造であるアミノカルボン酸などが挙げられる。
なかでも、共重合成分としては、炭素数10〜18のジアミン、ジカルボン酸、アミノカルボン酸もしくはラクタムのうちの一種もしくは複数種を共重合していることが好ましい。さらに好ましくは、炭素数11〜18のアミノカルボン酸もしくはラクタムのうちの一種もしくは複数種を共重合していることが好ましい。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂は、(A)7.5≦[ポリアミド樹脂中の炭素原子数/ポリアミド樹脂中のアミド結合数]を満足することが好ましい。さらに、本発明の半芳香族ポリアミド樹脂は、7.5≦[ポリアミド樹脂中の炭素原子数/ポリアミド樹脂中のアミド結合数]≦8.2を満足することが好ましい。
[ポリアミド樹脂中の炭素原子数/ポリアミド樹脂中のアミド結合数]が7.5未満では、ポリアミド樹脂中のアミド基濃度が高くなるため、熱や光による樹脂劣化を起点とした変色が起こりやすくなる。一方で、[ポリアミド樹脂中の炭素原子数/ポリアミド樹脂中のアミド結合数]が8.2を超えると、ポリアミド樹脂中のアミド基濃度が低くなり、融点が290℃を下回る場合があるため、耐熱性が不足する場合がある。
本発明における半芳香族ポリアミド樹脂は、(B)[ポリアミド樹脂中の芳香環上の炭素原子数/ポリアミド樹脂中の全炭素原子数]≦0.35を満足することが好ましい。さらに、本発明の半芳香族ポリアミド樹脂は、0.28≦[ポリアミド樹脂中の芳香環上の炭素原子数/ポリアミド樹脂中の全炭素原子数]≦0.35を満足することが好ましい。
LED照明部品や自動車内外装用部品においては、屋外使用の際に紫外線を受けるため、材料には高い耐UV性が求められる。[ポリアミド樹脂中の芳香環上の炭素原子数/ポリアミド樹脂中の全炭素原子数]が0.35を超えると、特に紫外線領域での光の吸収が大きくなり、その光により樹脂の劣化が顕著となりやすい。また、芳香環が存在すると、樹脂が劣化により変色の要因となる共役構造を形成しやすくなり顕著な変色を示す。したがって、樹脂中の芳香環濃度は低い方が好ましい。一方、耐熱性や高融点を達成する目的からポリアミド樹脂中の[芳香環上の炭素原子数/ポリアミド樹脂中の全炭素原子数]は0.28以上であることが好ましい。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂としては、ヘキサメチレンジアミン/テレフタル酸/アミノウンデカン酸(またはウンデカラクタム)、ヘキサメチレンジアミン/テレフタル酸/アミノドデカン酸(または12−ラウリルラクタム)、デカメチレンジアミン/テレフタル酸/アミノウンデカン酸(またはウンデカラクタム)、デカメチレンジアミン/テレフタル酸/アミノドデカン酸(または12−ラウリルラクタム)が特に好ましいが、なかでも、高融点の観点から、炭素数2〜8のジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位として、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位を有する場合は、高い耐熱性、流動性、低い吸水性に加えて優れた色調安定性を実現するために、該構成単位55〜75モル%と、11−アミノウンデカン酸又はウンデカンラクタムから得られる構成単位45〜25モル%とからなる共重合ポリアミド樹脂であることが好ましい。該構成単位60〜70モル%と、11−アミノウンデカン酸又はウンデカンラクタムから得られる構成単位40〜30モル%とからなる共重合ポリアミド樹脂であることがより好ましい。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂の融点(Tm)は290〜350℃であり、290〜340℃が好ましく、300〜330℃が更に好ましい。
Tmが上記上限を超える場合、半芳香族ポリアミド組成物を射出成形などにより成形する際に必要となる加工温度が極めて高くなるため、加工時に分解し目的の物性や外観が得られない場合がある。逆に、Tmが上記下限未満の場合、結晶化速度が遅くなり、いずれも成形が困難になる。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂は、96%濃硫酸中20℃で測定した初期相対粘度(RV0)が1.3〜2.1であり、好ましくは1.4〜2.0、より好ましくは1.4〜1.95、さらに好ましくは1.5〜1.9である。半芳香族ポリアミド樹脂の相対粘度は、重合時に添加するジアミンやジカルボン酸の添加量や末端封鎖剤の添加量、重合条件などを変更することによって制御することができる。RV0が上記範囲を超えると、良好な流動性を達成するのが難しくなる場合があり、上記範囲未満であると、樹脂の機械的強度が劣る場合がある。
また、本発明の半芳香族ポリアミド樹脂は、メルトフローレイト(MFR)のg/10分での数値と、融点+20℃で5分間溶融滞留させた後に測定した相対粘度(RV5)の数値との比が50以上であり、好ましくは60以上である。ここでメルトフローレイト(MFR)は、ASTM D1238法により、融点+20℃の温度、荷重2.16kgで測定した数値(g/10分)である。メルトフローレイト(MFR)の数値と相対粘度(RV5)の数値との比が上記範囲未満であると、樹脂の溶融滞留時に増粘やゲルが発生しやすい。相対粘度(RV5)が低くなりすぎると、樹脂の機械的強度が劣るため、上限は300程度が好ましい。
従来の半芳香族ポリアミド樹脂では、溶融滞留によって増粘すると、相対粘度(RV5)の数値が大きくなるとともに、メルトフローレイト(MFR)の数値が小さくなるため、メルトフローレイト(MFR)の数値と相対粘度(RV5)の数値との比はより一層低下することになる。一方、本発明の半芳香族ポリアミド樹脂は、後記で説明する製造方法を採用することにより、溶融滞留による増粘もほとんど無く、良好な流動性(メルトフローレイト(MFR)が高い)が達成できるポリアミド樹脂となっている。
半芳香族ポリアミド樹脂の相対粘度とメルトフローレイト(MFR)を上記範囲にすることで、半芳香族ポリアミド樹脂組成物の成形時の金型内の流動性が向上し、微細な成型品や多数個取りの金型を用いた成形加工を容易にすることができる。また、半芳香族ポリアミドに強化材や充填材を溶融混練する際のせん断発熱を低減し樹脂の発泡を抑制するなど、溶融加工性に有利である。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度(AEG)は15eq/ton以下であり、好ましくは10eq/ton以下であり、より好ましくは5eq/ton以下である。末端アミノ基濃度の測定方法としては、測定の精度及び簡易さの観点から、1H−NMRにより得られる各末端基に対応するスペクトルの積分値より求める方法が挙げられる。
半芳香族ポリアミド樹脂の末端アミノ基濃度が上記範囲より高い場合には、加工時の熱により半芳香族ポリアミド樹脂組成物の粘度が高くなってしまい、微細成型品や多数個取りの金型での成形時に金型への樹脂の充填不良を引き起こす場合がある。また、強化材や充填材を溶融混練する際に過度なせん断発熱が起こることで樹脂の発泡を引き起こしてしまう場合がある。
さらに、本発明の半芳香族ポリアミド樹脂は、その末端アミノ基濃度(AEG)のeq/tonでの数値と末端カルボキシル基濃度(CEG)のeq/tonでの数値の比(AEG/CEG)が0.07以下であり、好ましくは0.06以下、より好ましくは0.05以下、更に好ましくは0.04以下、特に好ましくは0.02以下である。AEG及びCEGの測定方法としては、測定の精度及び簡易さの観点から、1H−NMRにより得られる各末端基に対応するスペクトルの積分値より求める方法が挙げられる。
(AEG/CEG)の値を上記範囲とすることで、半芳香族ポリアミド樹脂組成物の溶融加工性を向上できるだけでなく、色調安定性に有利である。(AEG/CEG)が上記範囲を超える場合、色調安定性に劣る場合がある。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂は、融点+20℃で5分間溶融滞留させた後に測定した相対粘度(RV5)と初期相対粘度(RV0)との比(RV5/RV0)が0.900〜1.010であり、好ましくは0.900〜1.000であり、より好ましくは0.950〜1.000である。
(RV5/RV0)を上記範囲とすることで、溶融混練時、成形時の溶融流動性及び加工安定性を向上することができ、溶融加工性に有利である。(RV5/RV0)が上記範囲より低い場合、得られた製品の強度特性が低下する可能性がある。(RV5/RV0)が上記範囲より高い場合、樹脂の発泡や流動性不足による成形不良を引き起こす可能性がある。
上記のように、本発明の半芳香族ポリアミド樹脂は、初期相対粘度(RV0)、溶融滞留後の相対粘度(RV5)、メルトフローレイト(MFR)、末端アミノ基濃度(AEG)及び末端カルボキシル基濃度(CEG)を特定の範囲に設定することにより、溶融滞留による増粘やゲル化が抑制できるとともに、重合度が高い割りには高い溶融流動性が得られる。
また、本発明の半芳香族ポリアミド樹脂は、耐光性付与剤を配合することなく、初期のb*値(b*0)と紫外線照射後のb*値(b*1)の差(Δb*)を20.0以下にすることができ、さらには19.0以下、さらには18.0以下にすることが可能である。ここでいうb*値とは、CIEL*a*b*表色系で定義された値である。b*値の測定方法としては、東芝機械製射出成形機EC−100Nにてシリンダー温度を融点+20℃、金型温度を140℃に設定し、縦100mm×横100mm×厚み2mmの平板を作製した後、東京電色製精密型分光光度色彩計TC−1500SXにてそれぞれの平板のb値を測定した。紫外線照射処理の方法としては、上記の方法で作製した平板を岩崎電気株式会社製アイスーパーUVテスターにて、63℃50%RHの雰囲気環境下で紫外線照射強度50mW/cm2で24時間紫外線照射処理を行った。さらに紫外線処理後の平板のb*値を上記の方法で測定し、Δb*=b*1−b*0の式に基づきΔb*を算出した。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂のΔb*が上記範囲にあることにより、使用環境下での紫外線による変色を抑制することが求められるLEDリフレクターに代表される照明部品や自動車等の外装部品に利用が可能である。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂の製造方法としては、溶融重合により得られ、末端アミノ基の少なくとも一部が末端封鎖された相対粘度(RV)が1.6未満の半芳香族ポリアミド樹脂の低次縮合物を、(融点−100)℃から(融点−10)℃の温度で固相重合し、末端アミノ基含有量を15eq/ton以下とする方法が好ましい。ここで融点とは、半芳香族ポリアミド樹脂の低次縮合物の融点である。
本発明でいう固相重合は、半芳香族ポリアミド樹脂が溶融しない範囲の任意の温度で、重合反応を進める工程をいう。固相重合を行う設備は、特に限定はされないが、ブレンダーや真空乾燥機が例として挙げられる。
低次縮合物の相対粘度(RV)は1.55未満がより好ましく、1.50未満がさらに好ましい。また、固相重合の温度としては、(融点−100)℃から(融点−20)℃がより好ましく、(融点−100)℃から(融点−40)℃が更に好ましい。
固相重合に供する前の低次縮合物の末端封鎖率は、5%以上であり、好ましくは10%以上であり、より好ましくは15%以上である。また、低次縮合物の末端封鎖率の上限は40%以下であり、好ましくは35%以下であり、より好ましくは30%以下である。末端封鎖率は、1H−NMRにより得られる各末端基(AEG、CEG及び末端封鎖剤の結合した末端)の合計量(eq/ton)を全末端量として、末端封鎖剤の結合した末端の量から算出できる。
固相重合に供する前の低次縮合物の末端封鎖率が上記範囲を下回る場合、最終的に得られる半芳香族ポリアミド樹脂の相対粘度が高くなる他、滞留による増粘、ゲル化の可能性がある。また、低次縮合物の末端封鎖率が上記範囲を上回る場合、最終的に得られる半芳香族ポリアミド樹脂の相対粘度が低くなる他、反応速度が低下する可能性がある。
低次縮合物の相対粘度(RV)が上記範囲を超える場合、低次縮合物を固相重合して得られる半芳香族ポリアミド樹脂の相対粘度(RV)が高くなるため、成形時や溶融混練時の流動性が低くなってしまい、溶融加工性の面で好ましくない。
低次縮合物を固相重合する際の温度が上記範囲より低い場合、重合反応速度が低下するため、最終的に得られる半芳香族ポリアミド樹脂の生産性に劣る。したがって、低次縮合物の重合温度は上記範囲の下限以上であることが好ましい。一方で、重合時に低次縮合物に負荷される熱が高ければ高いほど、ポリアミド分子鎖の切断や劣化の起点となる箇所の生成が多くなり、最終的に得られる半芳香族ポリアミド樹脂の色調安定性を低下させる。したがって、低次縮合物の重合温度は上記範囲の上限以下であることが好ましい。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂は、固相重合後に押出機を用いて再度溶融混錬してもよい。
半芳香族ポリアミド樹脂を製造するに際に使用する触媒としては、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸もしくはその金属塩やアンモニウム塩、エステルが挙げられる。金属塩の金属種としては、具体的には、カリウム、ナトリウム、マグネシウム、バナジウム、カルシウム、亜鉛、コバルト、マンガン、錫、タングステン、ゲルマニウム、チタン、アンチモンなどが挙げられる。エステルとしては、エチルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、ヘキシルエステル、イソデシルエステル、オクタデシルエステル、デシルエステル、ステアリルエステル、フェニルエステルなどを添加することができる。また、溶融滞留安定性向上の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ化合物を添加することが好ましい。
末端封鎖剤を添加する時期としては、原料仕込み時、または低次縮合時が挙げられる。末端封鎖剤としては、ポリアミド末端のアミノ基またはカルボキシル基との反応性を有する単官能性の化合物であれば特に制限はないが、モノカルボン酸またはモノアミン、無水フタル酸等の酸無水物、モノイソシアネート、モノ酸ハロゲン化物、モノエステル類、モノアルコール類などを使用することができる。末端封鎖剤としては、例えば、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、トリデカン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ピバリン酸、イソ酪酸等の脂肪族モノカルボン酸、シクロヘキサンカルボン酸等の脂環式モノカルボン酸、安息香酸、トルイル酸、α−ナフタレンカルボン酸、β−ナフタレンカルボン酸、メチルナフタレンカルボン酸、フェニル酢酸等の芳香族モノカルボン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸等の酸無水物、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ステアリルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジブチルアミン等の脂肪族モノアミン、シクロヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン等の脂環式モノアミン;アニリン、トルイジン、ジフェニルアミン、ナフチルアミン等の芳香族モノアミン等が挙げられる。上記で説明した(AEG/CEG)の値を満足するためには、末端封鎖剤は、モノカルボン酸、または酸無水物であることが好ましい。末端封鎖剤の量は、低次縮合物の末端封鎖率が上記した範囲になる量であれば良い。具体的には、末端封鎖剤の量は、半芳香族ポリアミド樹脂を構成するアミン成分(ジアミンとアミノカルボン酸(またはラクタム)の合計)に対して、1〜6モル%が好ましく、2〜5モル%がより好ましい。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂には、従来のポリアミド用の各種添加剤を使用することができる。添加剤としては、繊維状強化材・充填材、安定剤、衝撃改良材、難燃剤、離型剤、摺動性改良材、着色剤、可塑剤、結晶核剤、本発明の半芳香族ポリアミド樹脂とは異なるポリアミド樹脂、ポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂などが挙げられる。
繊維状強化材としては、ガラス繊維、カーボン繊維、金属ファイバー、セラミック繊維、有機繊維、ウィスカーなどが挙げられる。これら繊維状強化材は、1種のみの単独使用だけではなく、数種を組み合わせて用いても良い。
充填材(フィラー)としては、目的別には強化用フィラーや導電性フィラー、磁性フィラー、難燃フィラー、熱伝導フィラーなどが挙げられ、具体的にはガラスビーズ、ガラスフレーク、ガラスバルーン、シリカ、タルク、カオリン、ワラストナイト、マイカ、アルミナ、ハイドロタルサイト、モンモリロナイト、ヒドロキシアパタイト、グラファイト、カーボンナノチューブ、フラーレン、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化錫、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、赤燐、炭酸カルシウム、チタン酸カリウム、チタン酸ジルコン酸鉛、チタン酸バリウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ホウ酸亜鉛、ホウ酸アルミニウム、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、硫化亜鉛、鉄、アルミ、銅、銀等が挙げられる。これら充填材は、1種のみの単独使用だけではなく、数種を組み合わせて用いても良い。形状としては、特に限定されないが、針状、球状、板状、不定形などを使用することが可能である。
安定剤としては、ヒンダードフェノール系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、リン系酸化防止剤などの有機系酸化防止剤や熱安定剤、ヒンダードアミン系、ベンゾフェノン系、イミダゾール系等の光安定剤や紫外線吸収剤、金属不活性化剤、銅化合物などが挙げられる。銅化合物としては、塩化第一銅、臭化第一銅、ヨウ化第一銅、塩化第二銅、臭化第二銅、ヨウ化第二銅、燐酸第二銅、ピロリン酸第二銅、硫化銅、硝酸銅、酢酸銅などの有機カルボン酸の銅塩などを用いることができる。さらに銅化合物以外の構成成分としては、ハロゲン化アルカリ金属化合物を含有することが好ましく、ハロゲン化アルカリ金属化合物としては、塩化リチウム、臭化リチウム、ヨウ化リチウム、フッ化ナトリウム、塩化ナトリウム、臭化ナトリウム、ヨウ化ナトリウム、フッ化カリウム、塩化カリウム、臭化カリウム、ヨウ化カリウムなどが挙げられる。これら添加剤は、1種のみの単独使用だけではなく、数種を組み合わせて用いても良い。
また、本発明の半芳香族ポリアミド樹脂は、本発明の半芳香族ポリアミド樹脂とは異なる組成のポリアミド樹脂をポリマーブレンドしても良い。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂には、本発明の半芳香族ポリアミド樹脂とは異なる組成のポリアミド樹脂以外の熱可塑性樹脂を添加しても良い。これら熱可塑性樹脂は、溶融混練により、溶融状態でブレンドすることも可能であるが、熱可塑性樹脂を繊維状、粒子状にし、本発明の共重合ポリアミドに分散しても良い。
衝撃改良材としては、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)、エチレン−アクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体、エチレン酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン系樹脂、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体(SIS)、アクリル酸エステル共重合体等のビニルポリマー系樹脂、ポリブチレンテレフタレートまたはポリブチレンナフタレートをハードセグメントとし、ポリテトラメチレングリコールまたはポリカプロラクトンまたはポリカーボネートジオールをソフトセグメントとしたポリエステルブロック共重合体、ナイロンエラストマー、ウレタンエラストマー、シリコーンゴム、フッ素系ゴム、異なる2種のポリマーより構成されたコアシェル構造を有するポリマー粒子などが挙げられる。
難燃剤としては、ハロゲン系難燃剤、非ハロゲン系難燃剤、難燃助剤が挙げられる。これらは単独または組み合わせて使用してもよい。
ハロゲン系難燃剤としては、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリフェニレンエーテル、臭素化ビスフェノール型エポキシ系重合体、臭素化スチレン無水マレイン酸重合体、臭素化エポキシ樹脂、臭素化フェノキシ樹脂、デカブロモジフェニルエーテル、デカブロモビフェニル、臭素化ポリカーボネート、パークロロシクロペンタデカン及び臭素化架橋芳香族重合体等が挙げられる。
非ハロゲン系難燃剤としては、メラミンシアヌレート、赤リン、ホスフィン酸の金属塩、含窒素リン酸系の化合物が挙げられる。
難燃助剤としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、アンチモン酸ナトリウム等のアンチモン化合物、錫酸亜鉛、ホウ酸亜鉛、硫化亜鉛、モリブデン化合物、酸化鉄、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、モンモリロナイト、シリカ、炭酸金属塩等が挙げられる。
離型剤としては、長鎖脂肪酸またはそのエステルや金属塩、アマイド系化合物、ポリエチレンワックス、シリコーン、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。
摺動性改良材としては、高分子量ポリエチレン、酸変性高分子量ポリエチレン、フッ素樹脂粉末、二硫化モリブデン、シリコーン樹脂、シリコーンオイル、亜鉛、グラファイト、鉱物油等が挙げられる。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂から得られる成形品は、耐熱性に優れるとともに、実際の使用環境下での色調安定性に優れているので、耐熱性が要求されるコネクタ、スイッチ、リレー、プリント配線板等の電気電子部品、LED、照明器具のリフレクターなどの光を反射する機能を有する部品などとして好適に使用することができる。
また、本発明の半芳香族ポリアミド樹脂は、耐熱性に優れるとともに溶融加工性に優れているため、強化材や充填材等の高充填化が可能であり、高い剛性を必要とするエンジン周辺部品や冷却部品、燃料部品等の自動車部品、ギアやネジ、その他摺動部品等の工業部品に使用することができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例に記載された測定値は、以下の方法によって測定したものである。
(1)相対粘度
105℃で15時間減圧乾燥した半芳香族ポリアミド樹脂0.25gを96%硫酸25mlに溶解し、オストワルド粘度計を用いて20℃で測定した。
105℃で15時間減圧乾燥した半芳香族ポリアミド樹脂0.25gを96%硫酸25mlに溶解し、オストワルド粘度計を用いて20℃で測定した。
(2)末端アミノ基濃度、末端カルボキシル基濃度
半芳香族ポリアミド樹脂を、重クロロホルム(CDCl3)/ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)=1/1の溶媒に溶解し、重蟻酸を滴下後、1H−NMRにて各末端基濃度を測定した。半芳香族ポリアミド樹脂の低次縮合物でも同様に測定した。低次縮合物では、末端封鎖剤で封鎖された末端の濃度も測定した。
半芳香族ポリアミド樹脂を、重クロロホルム(CDCl3)/ヘキサフルオロイソプロパノール(HFIP)=1/1の溶媒に溶解し、重蟻酸を滴下後、1H−NMRにて各末端基濃度を測定した。半芳香族ポリアミド樹脂の低次縮合物でも同様に測定した。低次縮合物では、末端封鎖剤で封鎖された末端の濃度も測定した。
(3)融点
105℃で15時間減圧乾燥した半芳香族ポリアミド樹脂をアルミニウム製パン(TA Instruments社製、品番900793,901)に10mg計量し、アルミニウム製蓋(TA Instruments社製、品番900794,901)で密封状態にして測定試料を調整した後、示差式走査熱量計DSCQ100(TA Instruments社製)を用いて室温から20℃/分で昇温し、350℃で3分間保持した後に測定試料パンを取出し、液体窒素に漬け込み、急冷させた。その後、液体窒素からサンプルを取り出し、室温で30分間放置した後、再び、示差式走査熱量計DSCQ100(TA Instruments社製)を用いて室温から20℃/分で昇温し、350℃で3分間保持した。その際に昇温時の融解による吸熱のピーク温度を融点(Tm)とした。
105℃で15時間減圧乾燥した半芳香族ポリアミド樹脂をアルミニウム製パン(TA Instruments社製、品番900793,901)に10mg計量し、アルミニウム製蓋(TA Instruments社製、品番900794,901)で密封状態にして測定試料を調整した後、示差式走査熱量計DSCQ100(TA Instruments社製)を用いて室温から20℃/分で昇温し、350℃で3分間保持した後に測定試料パンを取出し、液体窒素に漬け込み、急冷させた。その後、液体窒素からサンプルを取り出し、室温で30分間放置した後、再び、示差式走査熱量計DSCQ100(TA Instruments社製)を用いて室温から20℃/分で昇温し、350℃で3分間保持した。その際に昇温時の融解による吸熱のピーク温度を融点(Tm)とした。
(4)相対粘度比RV5/RV0
105℃で15時間減圧乾燥した半芳香族ポリアミド樹脂0.25gを96%硫酸25mlに溶解し、オストワルド粘度計を用いて20℃で初期相対粘度(RV0)を測定した。また、上述の減圧乾燥を行った半芳香族ポリアミド樹脂8gを(融点+20℃)に設定したメルトインデクサー(東洋精機製)に投入し、5分間滞留させた。その後、荷重2.16kgでメルトインデクサーより滞留樹脂を吐出した後、室温で30分冷却した。冷却後、吐出されたポリアミド樹脂0.25gを96%硫酸25mlに溶解し、オストワルド粘度計を用いて20℃で滞留後相対粘度(RV5)を測定した。上述の方法で得られたRV0及びRV5より相対粘度比(RV5/RV0)を算出した。
105℃で15時間減圧乾燥した半芳香族ポリアミド樹脂0.25gを96%硫酸25mlに溶解し、オストワルド粘度計を用いて20℃で初期相対粘度(RV0)を測定した。また、上述の減圧乾燥を行った半芳香族ポリアミド樹脂8gを(融点+20℃)に設定したメルトインデクサー(東洋精機製)に投入し、5分間滞留させた。その後、荷重2.16kgでメルトインデクサーより滞留樹脂を吐出した後、室温で30分冷却した。冷却後、吐出されたポリアミド樹脂0.25gを96%硫酸25mlに溶解し、オストワルド粘度計を用いて20℃で滞留後相対粘度(RV5)を測定した。上述の方法で得られたRV0及びRV5より相対粘度比(RV5/RV0)を算出した。
(5)色調安定性
東芝機械製射出成形機EC−100Nにてシリンダー温度を融点+20℃、金型温度を140℃に設定し、縦100mm×横100mm×厚み2mmの平板を作製した後、東京電色製精密型分光光度色彩計TC−1500SXにてそれぞれの平板の初期b*値(b*0)を測定した。その後、同平板に岩崎電気株式会社製アイスーパーUVテスターにて、63℃50%RHの雰囲気環境下で紫外線照射強度50mW/cm2で24時間紫外線照射処理を行った。さらに紫外線処理後の平板のb*値(b*1)を上述と同様の方法で測定し、Δb*=b*1−b*0の式に基づきΔb*を算出した。ここでいうb*値とは、CIEL*a*b*表色系で定義された値である。
東芝機械製射出成形機EC−100Nにてシリンダー温度を融点+20℃、金型温度を140℃に設定し、縦100mm×横100mm×厚み2mmの平板を作製した後、東京電色製精密型分光光度色彩計TC−1500SXにてそれぞれの平板の初期b*値(b*0)を測定した。その後、同平板に岩崎電気株式会社製アイスーパーUVテスターにて、63℃50%RHの雰囲気環境下で紫外線照射強度50mW/cm2で24時間紫外線照射処理を行った。さらに紫外線処理後の平板のb*値(b*1)を上述と同様の方法で測定し、Δb*=b*1−b*0の式に基づきΔb*を算出した。ここでいうb*値とは、CIEL*a*b*表色系で定義された値である。
(6)メルトフローレイト(MFR)
ASTM D1238法により、融点+20℃の温度、荷重2.16kgで測定した。
ASTM D1238法により、融点+20℃の温度、荷重2.16kgで測定した。
<実施例1>
1,6−ヘキサメチレンジアミン8.57kg(73.8モル)、テレフタル酸12.24kg(73.7モル)、11−アミノウンデカン酸7.99kg(39.7モル)、触媒としてジ亜リン酸ナトリウム9g、末端封鎖剤として酢酸150g(2.5モル)およびイオン交換水16.20kgを50リットルのオートクレーブに仕込み、常圧から0.05MPaまでN2で加圧し、放圧させ、常圧に戻した。この操作を3回行い、N2置換を行った後、攪拌下135℃、0.3MPaにて均一溶解させた。その後、溶解液を送液ポンプにより、連続的に供給し、加熱配管で240℃まで昇温させ、1時間、熱を加えた。その後、加圧反応缶に反応混合物が供給され、290℃に加熱され、缶内圧を3MPaで維持するように、水の一部を留出させ、低次縮合物を得た(末端封鎖率16%)。その後、この低次縮合物を大気中、常温、常圧の容器に取り出した後、真空乾燥機を用いて、70℃、真空度50Torrの環境下で乾燥した。乾燥後、低次縮合物をブレンダー(容量0.1m3)を用いて、220℃、真空度50Torrの環境で6時間反応させ、半芳香族ポリアミド樹脂を得た。得られた半芳香族ポリアミド樹脂は、相対粘度(RV0)2.03、融点315℃、1H−NMRにより分析した末端アミノ基濃度2eq/ton、末端カルボキシル基濃度111eq/tonであった。得られた実施例1の半芳香族ポリアミド樹脂の特性の詳細を表1に示す。
1,6−ヘキサメチレンジアミン8.57kg(73.8モル)、テレフタル酸12.24kg(73.7モル)、11−アミノウンデカン酸7.99kg(39.7モル)、触媒としてジ亜リン酸ナトリウム9g、末端封鎖剤として酢酸150g(2.5モル)およびイオン交換水16.20kgを50リットルのオートクレーブに仕込み、常圧から0.05MPaまでN2で加圧し、放圧させ、常圧に戻した。この操作を3回行い、N2置換を行った後、攪拌下135℃、0.3MPaにて均一溶解させた。その後、溶解液を送液ポンプにより、連続的に供給し、加熱配管で240℃まで昇温させ、1時間、熱を加えた。その後、加圧反応缶に反応混合物が供給され、290℃に加熱され、缶内圧を3MPaで維持するように、水の一部を留出させ、低次縮合物を得た(末端封鎖率16%)。その後、この低次縮合物を大気中、常温、常圧の容器に取り出した後、真空乾燥機を用いて、70℃、真空度50Torrの環境下で乾燥した。乾燥後、低次縮合物をブレンダー(容量0.1m3)を用いて、220℃、真空度50Torrの環境で6時間反応させ、半芳香族ポリアミド樹脂を得た。得られた半芳香族ポリアミド樹脂は、相対粘度(RV0)2.03、融点315℃、1H−NMRにより分析した末端アミノ基濃度2eq/ton、末端カルボキシル基濃度111eq/tonであった。得られた実施例1の半芳香族ポリアミド樹脂の特性の詳細を表1に示す。
<実施例2>
酢酸の量を206g(3.4モル)に変更し、低次縮合物の末端封鎖率を20%とした低次縮合物を実施例1と同様に乾燥後、ブレンダー(容量0.1m3)を用いて、260℃、真空度50Torrの環境で1時間反応させ、半芳香族ポリアミド樹脂を得た。得られた半芳香族ポリアミド樹脂は、相対粘度(RV0)1.91、融点314℃、1H−NMRにより分析した末端アミノ基濃度1eq/ton、末端カルボキシル基濃度109eq/tonであった。得られた実施例2の半芳香族ポリアミド樹脂の特性の詳細を表1に示す。
酢酸の量を206g(3.4モル)に変更し、低次縮合物の末端封鎖率を20%とした低次縮合物を実施例1と同様に乾燥後、ブレンダー(容量0.1m3)を用いて、260℃、真空度50Torrの環境で1時間反応させ、半芳香族ポリアミド樹脂を得た。得られた半芳香族ポリアミド樹脂は、相対粘度(RV0)1.91、融点314℃、1H−NMRにより分析した末端アミノ基濃度1eq/ton、末端カルボキシル基濃度109eq/tonであった。得られた実施例2の半芳香族ポリアミド樹脂の特性の詳細を表1に示す。
<実施例3>
酢酸の量を256g(4.3モル)に変更し、低次縮合物の末端封鎖率を23%とした低次縮合物を実施例1と同様に乾燥後、ブレンダー(容量0.1m3)を用いて、250℃、真空度50Torrの環境で1時間反応させ、半芳香族ポリアミド樹脂を得た。得られた半芳香族ポリアミド樹脂は、相対粘度(RV0)1.77、融点318℃、1H−NMRにより分析した末端アミノ基濃度0eq/ton、末端カルボキシル基濃度129eq/tonであった。得られた実施例3の半芳香族ポリアミド樹脂の特性の詳細を表1に示す。
酢酸の量を256g(4.3モル)に変更し、低次縮合物の末端封鎖率を23%とした低次縮合物を実施例1と同様に乾燥後、ブレンダー(容量0.1m3)を用いて、250℃、真空度50Torrの環境で1時間反応させ、半芳香族ポリアミド樹脂を得た。得られた半芳香族ポリアミド樹脂は、相対粘度(RV0)1.77、融点318℃、1H−NMRにより分析した末端アミノ基濃度0eq/ton、末端カルボキシル基濃度129eq/tonであった。得られた実施例3の半芳香族ポリアミド樹脂の特性の詳細を表1に示す。
<実施例4>
酢酸の量を305g(5.1モル)に変更し、低次縮合物の末端封鎖率を28%とした低次縮合物を実施例1と同様に乾燥後、ブレンダー(容量0.1m3)を用いて、235℃、真空度50Torrの環境で1時間反応させ、半芳香族ポリアミド樹脂を得た。得られた半芳香族ポリアミド樹脂は、相対粘度(RV0)1.70、融点312℃、1H−NMRにより分析した末端アミノ基濃度0eq/ton、末端カルボキシル基濃度141eq/tonであった。得られた実施例4の半芳香族ポリアミド樹脂の特性の詳細を表1に示す。
酢酸の量を305g(5.1モル)に変更し、低次縮合物の末端封鎖率を28%とした低次縮合物を実施例1と同様に乾燥後、ブレンダー(容量0.1m3)を用いて、235℃、真空度50Torrの環境で1時間反応させ、半芳香族ポリアミド樹脂を得た。得られた半芳香族ポリアミド樹脂は、相対粘度(RV0)1.70、融点312℃、1H−NMRにより分析した末端アミノ基濃度0eq/ton、末端カルボキシル基濃度141eq/tonであった。得られた実施例4の半芳香族ポリアミド樹脂の特性の詳細を表1に示す。
<比較例1>
1,6−ヘキサメチレンジアミン7.54kg(65.0モル)、テレフタル酸10.79kg(65.0モル)、11−アミノウンデカン酸7.04kg(35.0モル)、触媒としてジ亜リン酸ナトリウム9g、イオン交換水17.52kgを50リットルのオートクレーブに仕込み、常圧から0.05MPaまでN2で加圧し、放圧させ、常圧に戻した。この操作を3回行い、N2置換を行った後、攪拌下135℃、0.3MPaにて均一溶解させた。その後、溶解液を送液ポンプにより、連続的に供給し、加熱配管で240℃まで昇温させ、1時間、熱を加えた。その後、加圧反応缶に反応混合物が供給され、290℃に加熱され、缶内圧を3MPaで維持するように、水の一部を留出させ、低次縮合物を得た(末端封鎖率0%)。その後、この低次縮合物を、溶融状態を維持したまま直接二軸押出し機(スクリュー径37mm、L/D=60)に供給し、末端封鎖剤として酢酸107g(1.8モル)を添加しながら、樹脂温度を335℃、3箇所のベントから水を抜きながら溶融下で重縮合を進め、半芳香族ポリアミド樹脂を得た。得られた半芳香族ポリアミド樹脂は、相対粘度(RV0)2.02、融点314℃、1H−NMRにより分析した末端アミノ基濃度16eq/ton、末端カルボキシル基濃度128eq/tonであった。得られた比較例1の半芳香族ポリアミド樹脂の特性の詳細を表1に示す。
1,6−ヘキサメチレンジアミン7.54kg(65.0モル)、テレフタル酸10.79kg(65.0モル)、11−アミノウンデカン酸7.04kg(35.0モル)、触媒としてジ亜リン酸ナトリウム9g、イオン交換水17.52kgを50リットルのオートクレーブに仕込み、常圧から0.05MPaまでN2で加圧し、放圧させ、常圧に戻した。この操作を3回行い、N2置換を行った後、攪拌下135℃、0.3MPaにて均一溶解させた。その後、溶解液を送液ポンプにより、連続的に供給し、加熱配管で240℃まで昇温させ、1時間、熱を加えた。その後、加圧反応缶に反応混合物が供給され、290℃に加熱され、缶内圧を3MPaで維持するように、水の一部を留出させ、低次縮合物を得た(末端封鎖率0%)。その後、この低次縮合物を、溶融状態を維持したまま直接二軸押出し機(スクリュー径37mm、L/D=60)に供給し、末端封鎖剤として酢酸107g(1.8モル)を添加しながら、樹脂温度を335℃、3箇所のベントから水を抜きながら溶融下で重縮合を進め、半芳香族ポリアミド樹脂を得た。得られた半芳香族ポリアミド樹脂は、相対粘度(RV0)2.02、融点314℃、1H−NMRにより分析した末端アミノ基濃度16eq/ton、末端カルボキシル基濃度128eq/tonであった。得られた比較例1の半芳香族ポリアミド樹脂の特性の詳細を表1に示す。
<比較例2>
酢酸の量を161g(2.7モル)に変更した以外は比較例1と同様にして、半芳香族ポリアミド樹脂を得た。得られた半芳香族ポリアミド樹脂は、相対粘度(RV0)1.81、融点312℃、1H−NMRにより分析した末端アミノ基濃度11eq/ton、末端カルボキシル基濃度147eq/tonであった。得られた比較例2の半芳香族ポリアミド樹脂の特性の詳細を表1に示す。
酢酸の量を161g(2.7モル)に変更した以外は比較例1と同様にして、半芳香族ポリアミド樹脂を得た。得られた半芳香族ポリアミド樹脂は、相対粘度(RV0)1.81、融点312℃、1H−NMRにより分析した末端アミノ基濃度11eq/ton、末端カルボキシル基濃度147eq/tonであった。得られた比較例2の半芳香族ポリアミド樹脂の特性の詳細を表1に示す。
<比較例3>
酢酸の量を176g(2.9モル)に変更した以外は比較例1と同様にして、半芳香族ポリアミド樹脂を得た。得られた半芳香族ポリアミド樹脂は、相対粘度(RV0)1.76、融点315℃、1H−NMRにより分析した末端アミノ基濃度12eq/ton、末端カルボキシル基濃度155eq/tonであった。得られた比較例3の半芳香族ポリアミド樹脂の特性の詳細を表1に示す。
酢酸の量を176g(2.9モル)に変更した以外は比較例1と同様にして、半芳香族ポリアミド樹脂を得た。得られた半芳香族ポリアミド樹脂は、相対粘度(RV0)1.76、融点315℃、1H−NMRにより分析した末端アミノ基濃度12eq/ton、末端カルボキシル基濃度155eq/tonであった。得られた比較例3の半芳香族ポリアミド樹脂の特性の詳細を表1に示す。
<比較例4>
国際公開WO97/15610の実施例Aに記載された方法に従い、1,6−ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸とからなる繰り返し単位(6T)を55モル%と、1,6−ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸とからなる繰り返し単位(66)が45モル%の量で有する半芳香族ポリアミド樹脂を得た。得られた半芳香族ポリアミド樹脂は、相対粘度(RV0)2.21、融点310℃、1H−NMRにより分析した末端アミノ基濃度40eq/ton、末端カルボキシル基濃度45eq/tonであった。得られた比較例4の半芳香族ポリアミド樹脂の特性の詳細を表1に示す。
国際公開WO97/15610の実施例Aに記載された方法に従い、1,6−ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸とからなる繰り返し単位(6T)を55モル%と、1,6−ヘキサメチレンジアミンとアジピン酸とからなる繰り返し単位(66)が45モル%の量で有する半芳香族ポリアミド樹脂を得た。得られた半芳香族ポリアミド樹脂は、相対粘度(RV0)2.21、融点310℃、1H−NMRにより分析した末端アミノ基濃度40eq/ton、末端カルボキシル基濃度45eq/tonであった。得られた比較例4の半芳香族ポリアミド樹脂の特性の詳細を表1に示す。
表1から明らかなように、実施例1〜4では、高い融点を有するのみならず、低い末端アミノ基濃度(AEG)を有しており、熱履歴前後の相対粘度比RV5/RV0が低いことから、加工時の熱履歴による相対粘度の上昇が見られないことがわかる。これにより、従来の半芳香族ポリアミド樹脂で見られた、強化材や充填材などを高充填した際に起こるストランドの発泡や流動性の低下を著しく抑制することができ、耐熱性や混練性、成形性に優れた材料を得るのに非常に優位である。さらに、低い末端アミノ基濃度に加えて、末端アミノ基濃度と末端カルボキシル基濃度の比AEG/CEGを低くすることにより、低いΔb*を有することがわかる。一方で、比較例1、4では、高い融点を有するものの、AEG及びAEG/CEGが高く、Δb*も高いことから色調安定性が不十分である。また、RV0及びRV5/RV0がいずれも高く、混錬時のストランドの発泡や成形時の流動性不足による成形不良を引き起こす可能性がある。比較例2、3では、高い融点、低いRV0及びRV5/RV0を有することから、耐熱性及び混錬性や成形性は満足するものの、AEG及びAEG/CEGが高く、Δb*が高くなっており、色調安定性が不十分である。
本発明の半芳香族ポリアミド樹脂は、耐熱性と溶融流動性に優れ、さらには色調安定性にも優れた自動車部品、電気・電子部品などの成形品用の樹脂組成物に有用である。
Claims (6)
- 炭素数2〜12のジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位を50モル%以上含有し、下記(a)〜(d)の要件を満足することを特徴とする半芳香族ポリアミド樹脂:
(a)融点(Tm)が290〜350℃である;
(b)相対粘度(RV0)が1.3〜2.1であり、かつメルトフローレイト(MFR)のg/10分での数値と相対粘度(RV5)の数値との比(MFR/RV5)が50以上である;
メルトフローレイト(MFR:g/10分):ASTM D1238法に準拠、融点+20℃の温度、荷重2.16kgで測定
相対粘度(RV0):96%硫酸中20℃で測定した初期相対粘度
相対粘度(RV5):融点+20℃で5分間溶融滞留させた後に96%硫酸中20℃で測定した相対粘度
(c)末端アミノ基濃度(AEG)が15eq/ton以下であり、末端アミノ基濃度(AEG)のeq/tonでの数値と末端カルボキシル基濃度(CEG)のeq/tonでの数値との比(AEG/CEG)が0.07以下である;
(d)相対粘度(RV5)と相対粘度(RV0)との比(RV5/RV0)が0.900〜1.010である。 - 下記(e)の要件を満足することを特徴とする請求項1に記載の半芳香族ポリアミド樹脂:
(e)初期の色調(b*0)と50mW/cm2の強度の紫外線を24時間照射した後の色調(b*1)の差Δb*が20.0以下である。 - 下記(A)および(B)の要件を満足することを特徴とする請求項1または2に記載の半芳香族ポリアミド樹脂:
(A)7.5≦[ポリアミド樹脂中の炭素原子数/ポリアミド樹脂中のアミド結合数];
(B)[ポリアミド樹脂中の芳香環上の炭素原子数/ポリアミド樹脂中の全炭素原子数]≦0.35。 - 半芳香族ポリアミド樹脂が、炭素数2〜12のジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位以外の成分として、炭素数11〜18のアミノカルボン酸もしくはラクタムのうちの一種もしくは複数種を共重合してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の半芳香族ポリアミド樹脂。
- 半芳香族ポリアミド樹脂が、ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸との等量モル塩から得られる構成単位55〜75モル%と、11−アミノウンデカン酸又はウンデカンラクタムから得られる構成単位45〜25モル%とからなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の半芳香族ポリアミド樹脂。
- 溶融重合によって得られ、かつ末端アミノ基の少なくとも一部が末端封鎖された、相対粘度(RV0)が1.6未満の半芳香族ポリアミド樹脂の低次縮合物を、(融点−100)℃から(融点−10)℃の温度で固相重合し、末端アミノ基濃度(AEG)を15eq/ton以下とすることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の半芳香族ポリアミド樹脂の製造方法。
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