JPWO2017038041A1 - 非水電解質二次電池 - Google Patents

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Abstract

正極集電体と正極合剤層とを含む正極と、負極集電体と負極合剤層とを含む負極と、セパレータとを含む電極体を備える非水電解質二次電池において、正極合剤層は、リチウムを除く金属元素の総モル量に対するNiの割合は85モル%以上である。更に、周期律表の第6族に帰属される元素が表面に付着したリチウム含有遷移金属酸化物を含み、負極合剤層は、炭素材料と珪素化合物とを含む。セパレータを介して正極と負極とが対向する面にかかる面圧力が0.1MPa/cm2以上である。

Description

本発明は、非水電解質二次電池に関する。
近年、携帯電話、ノートパソコン、スマートフォン等の移動情報端末の小型・軽量化が急速に進展しており、その駆動電源としての電池はさらなる高容量化が要求されている。リチウムイオンが正負極間を移動することにより充放電を行う非水電解質二次電池は、高いエネルギー密度を有し、高容量であることから移動情報端末の駆動電源として広く利用されている。
最近では、非水電解質二次電池は電気自動車及び電動工具等の動力用電源としても注目されており、さらなる用途拡大が見込まれている。動力用電源では、長時間使用可能な高容量で高出力の電池が求められる。特に車載用途においては、高容量、高出力のみならず高温サイクル特性の向上に対する要求も高まっている。
特許文献1には、非水電解質二次電池の正極活物質としてのリチウム遷移金属複合酸化物粉末を構成する一次粒子表面に、タングステン酸リチウム及びその水和物を形成させることで正極の反応抵抗が低減され、電池の高容量化とともに高出力化が可能であることが記載されている。
特許文献2には、高Ni含有量のリチウム遷移金属複合酸化物に所定の割合のMo、W又はMnを添加することで、高容量化を実現するとともに、充電状態で昇温した場合の最大発熱量を抑制し充電状態における熱安定性を改善することが記載されている。
特開2013−152866号公報 特開2012−178312号公報
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示される技術では、高温でのサイクル特性の向上には至っていない。高Ni含有量のリチウム遷移金属複合酸化物へタングステンを含有させた正極活物質は、高容量と高出力とを両立させる上で非常に有効である。しかし、リチウム遷移金属複合酸化物は、Ni比率上昇に伴い、電子抵抗が大きくなり電子伝導性が低くなるとともに、タングステンを含有させると含有しない場合と比べ電子抵抗が更に大きくなることが本発明者の検討によりわかった。Li挿入・脱離量が多くなり、電極の膨張・収縮が大きくなり易い高温下での充放電サイクルでは、活物質粒子間や活物質−導電助剤間の電気的接触(導電パス)が弱くなり易い。従って、電子抵抗が大きい高Ni含有量のリチウム遷移金属複合酸化物へタングステンを含有させた正極活物質は、充放電サイクルに伴う極板抵抗上昇が特に顕著となり、容量維持率が低下する。
加えて、負極としてリチウム金属、炭素材料等を使用した場合、高温状態では室温状態に比べLiの挿入・脱離が多く生じ易く、正極の膨張・収縮が増大することから、極板内での導電パスを保つことが特に困難であり、かつ電解液が分解して極板表面に電子抵抗層が形成されやすい。その結果、充放電サイクルでの電池容量の低下が大きくなるという課題があった。
本開示は、高容量、高出力でありながら高温サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を提供する。
正極集電体と正極集電体上に配置された正極合剤層とを含む正極と、負極集電体と負極集電体上に配置された負極合剤層とを含む負極と、セパレータとを含む電極体を備える非水電解質二次電池において、正極合剤層は、リチウムを除く金属元素の総モル量に対するNiの割合は85モル%以上である。更に、周期律表の第6族に帰属される元素が表面に付着したリチウム含有遷移金属酸化物を含む。負極合剤層は、炭素材料と珪素化合物とを含み、セパレータを介して正極と負極とが対向する面にかかる面圧力が0.1MPa/cm2以上であることを特徴とする。
本開示の一形態に係る非水電解質二次電池は、高容量、高出力であり、且つ高温サイクル特性に優れる。
図1は、本開示の一実施形態に係る非水電解質二次電池の概略構造を示す模式的断面図である。 図2は、図1の非水電解質二次電池に使用される正極を示す模式図であり、図2(a)は正極の平面図、図2(b)は正極の断面図、図2(c)は正極の背面図である。 図3は、図1の非水電解質二次電池に使用される負極を示す模式図であり、図3(a)は負極の平面図、図3(b)は負極の断面図、図3(c)は負極の背面図である。
本開示の実施形態の一例について詳細に説明する。本開示の実施形態はその要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。実施形態の説明で参照する図面は、模式的に記載されたものであり、図面に描画された構成要素の寸法などは、現物と異なる場合がある。
<非水電解質二次電池>
実施形態の一例である非水電解質二次電池は、少なくともNiを含むリチウム含有遷移金属酸化物と導電助剤とを含む正極合剤層を有する正極と、炭素材料と珪素化合物とを含む負極と、セパレータと、非水電解質と、これらを収納する電池ケースとを備える。リチウム含有遷移金属酸化物は、リチウムを除く金属元素の総モル量に対するNiの割合が85モル%以上であり、かつ第6族元素が一次粒子及び二次粒子の少なくとも一方の表面に付着される。第6族元素は、第6族元素化合物として付着されることが好ましく、タングステン化合物として付着されることがさらに好ましい。珪素化合物としてはSiOx(0.5≦x≦1.5)が好ましい。負極における珪素化合物の含有量は、炭素材料と珪素化合物との総質量に対して5質量%以上30質量%未満であることが好ましい。
本発明者が検討したところ、Ni含有比率が85モル%以上であるリチウム含有遷移金属酸化物は、LiCoO2、LiFePO4、LiMn24、LiNi0.4Co0.62、LiNi0.4Mn0.62等のNiを含んでいないかNi含有比率が85モル%未満であるリチウム含有遷移金属酸化物に比べて高容量化を達成できる。一方で、Ni含有比率が85モル%以上であるリチウム含有遷移金属酸化物は、Ni比率上昇に伴い電子伝導性が低くなり、充放電に伴う膨張収縮も大きくなるために、高温サイクル特性が劣る。
また、Ni含有比率が高いリチウム含有遷移金属酸化物にタングステン化合物を含有させると、更に電子抵抗が増大する。すなわち、Ni含有比率が高いリチウム含有遷移金属酸化物に更にタングステン化合物を含有させた正極材料では、正極の反応抵抗は低減するものの、正極合剤組成が同じであれば、極板抵抗が増大し、容量維持率は低下する。特に、電極体が膨張しやすい高温での充放電サイクルでは、極板抵抗の増大がより顕著となり、容量維持率の低下も顕著である。
実施形態の一例である非水電解質二次電池は、Niの割合が85モル%以上であるリチウム含有遷移金属酸化物にタングステン化合物を付着させるとともに、負極合剤層にSiOx(0.5≦x≦1.5)を含む。かつ、当該電池は、セパレータを介して正極と負極とが対向する各電極の面に、0.1MPa/cm2以上の面圧力がかかるよう所定のテンションで正負極板が巻回された電極体を備える。電池の充電時には、0.1MPa/cm2以上の面圧力の下でSiOxが膨張する。SiOxの膨張圧力が正極極板の膨張を抑制し正極活物質と導電助剤の電気的接触を改善させることにより、高容量、高出力でありながら高温サイクル特性に優れた非水電解質二次電池を得ることができる。
上記構成において、負極合剤層に含まれるSiOxと炭素材料との総質量に対してSiOx含有量を5質量%以上30質量%未満に調整することにより、正極活物質と導電助剤の電気的接触をさらに改善させることができ、電極が膨張しやすい高温でのサイクル特性を向上させることができる。
さらに、非水電解質にジフルオロリン酸リチウム(LiPO22)が含有される場合、正極活物質の表面に被膜を形成するため、充放電時にタングステン化合物の溶解を抑制させることができ、より高容量の電池が得られる。
図1は、本開示の一実施形態に係る非水電解質二次電池の概略構造を模式的に示す断面図である。非水電解質二次電池は、長尺帯状の正極5と、長尺帯状の負極6と、正極5と負極6との間に介在するセパレータ7とが捲回された電極体4を有する。有底円筒型の金属製の電池ケース1内には、電極体4とともに、図示しない非水電解質が収容されている。
電極体4において、正極5には正極リード9が電気的に接続され、負極6には負極リード10が電気的に接続されている。電極体4は、正極リード9を導出した状態で、下部絶縁リング8bとともに電池ケース1に収納される。正極リード9の端部には封口板2が溶接され、正極5と封口板2とは電気的に接続されている。下部絶縁リング8bは、電極体4の底面と、電極体4から下方へ導出された負極リード10との間に配置されている。負極リード10は電池ケース1の内底面に溶接され、負極6と電池ケース1とが電気的に接続されている。電極体4の上面には上部絶縁リング8aが載置されている。
電極体4は、上部絶縁リング8aの上方の電池ケース1の上部側面に形成された内側に突出した段部11により電池ケース1内に保持される。段部11の上には、周縁部に樹脂製のガスケット3を有する封口板2が載置され、電池ケース1の開口端部は、内方にかしめ封口されている。
図2(a)、図2(b)及び図2(c)は、それぞれ、図1の非水電解質二次電池に使用される正極5を模式的に示す平面図、断面図及び背面図である。図3(a)、図3(b)及び図3(c)は、それぞれ、図1の非水電解質二次電池に使用される負極6を模式的に示す平面図、断面図及び背面図である。
正極5は、長尺帯状の正極集電体5aと、正極集電体5aの両面に形成された正極合剤層5bを備えている。正極集電体5aの両面において、長手方向の中央部には、短手方向に横切るように、正極合剤層5bを表面に有さない正極集電体露出部5cおよび5dがそれぞれ形成されている。そして、正極集電体露出部5cには、正極リード9の一端部が溶接されている。
負極6は、長尺帯状の負極集電体6aと、負極集電体6aの両面に形成された負極合剤層6bを備えている。負極6の長手方向の一端部には、負極6の両面において、同じサイズの、負極合剤層6bを有さない負極集電体露出部6cおよび6dが形成されている。また、負極6の長手方向の他端部には、負極6の両面において、負極合剤層6bを有さない負極集電体露出部6eおよび6fが形成されている。負極集電体露出部6eと6fの幅(負極6の長手方向における長さ)は、負極集電体露出部6eよりも負極集電体露出部6fの方が大きくなっている。そして、負極集電体露出部6f側の、負極6の長手方向の上記他端部の近傍に、負極リード10の一端部が溶接されている。このようなリード位置とすることにより、正極5の長手方向の中央部および負極6の長手方向の端部から非水電解質を効率よく浸透させることができる。
尚、非水電解質二次電池の電極体4の構造や電池ケース1は上述したものに限定されない。電極体4の構造は、例えば、正極5及び負極6の間にセパレータ7を介在させて交互に積層してなる積層型であってもよい。また、電池ケース1は、金属製の角型電池缶であってもよいし、アルミニウム製のラミネートフィルムであってもよい。ただし、電池の放熱性の観点からは、特に円筒型の電池ケースが好ましい。電池ケースを形成する金属材料としては、アルミニウム、アルミニウム合金(マンガン、銅などの金属を微量含有する合金など)、鋼鈑などが使用できる。電池ケース1は、必要により、ニッケルメッキなどによりメッキ処理されていてもよい。また、正極合剤層は、正極集電体5aの片面にのみ形成されていてもよい。同様に、負極合剤層は、負極集電体6aの片面にのみ形成されていてもよい。以下に、各構成要素についてより具体的に説明する。
[正極]
正極集電体5aとしては、無孔の導電性基板であってもよく、複数の貫通孔を有する多孔性の導電性基板であってもよい。無孔の導電性基板としては、金属箔、金属シートなどが利用できる。多孔性の導電性基板としては、連通孔(穿孔)を有する金属箔、メッシュ体、ネット体、パンチングシート、エキスパンドメタル、ラス体などが例示できる。正極集電体5aに使用される金属材料としては、ステンレス鋼、チタン、アルミニウム、アルミニウム合金などが例示できる。正極集電体5aの厚みは、例えば、3〜50μmの範囲から選択でき、好ましくは5〜30μmであり、より好ましくは10〜20μmである。
正極合剤層は、例えば、正極活物質及び導電助剤以外に、必要に応じて結着剤、増粘剤などを含んでいてもよい。
正極活物質としては、リチウム含有遷移金属酸化物を用いる。リチウム含有遷移金属酸化物は、リチウムとリチウムを除く金属元素とを含む。金属元素は少なくともNiを含み、リチウム含有遷移金属酸化物中のリチウムを除く金属元素の総モル量に対するNiの割合は85モル%以上である。Niの割合が85モル%未満であるリチウム含有遷移金属酸化物は、電子抵抗が小さいために、高温サイクル特性が悪化するという課題を有しない。正極活物質は、通常、粒子状の形態で使用される。なお、リチウムイオンを吸蔵および放出可能な公知の正極活物質を含んでいてもよい。正極活物質は、1種単独で用いてもよいし、複数種を混合して用いてもよい。
金属元素としては、Ni以外に、Co、Mnなどの遷移金属元素、Mg、Alなどの非遷移金属元素を含んでもよく、Co及びAlの少なくとも一方を含むことが好ましい。具体例としては、Ni−Co−Mn、Ni−Mn−Al、Ni−Co−Al等のリチウム含有遷移金属酸化物が挙げられる。
リチウム含有遷移金属酸化物としては、一般式:LiaNix1-x2(ただし、0.95≦a≦1.2、0.85≦x≦1.0、MはCo、Alを少なくとも含む)で表される酸化物であることが好ましい。上記一般式におけるxが、0.85≦x<1.0であることがさらに好ましい。高容量化、高出力化及び高温サイクル特性向上の観点からは、上記一般式におけるxが、0.90<x≦0.95であることが特に好ましい。
好ましく用いられるリチウム含有遷移金属酸化物の具体例としては、LiNi0.88Co0.09Al0.032、LiNi0.91Co0.06Al0.032、LiNi0.94Co0.03Al0.032等が挙げられる。また、リチウム含有遷移金属酸化物は、酸素の一部がフッ素などにより置換されたものでもよい。
リチウム含有遷移金属酸化物粒子は、一次粒子及び二次粒子の少なくとも一方の表面に周期律表の第6族に帰属される元素が付着している。第6族に帰属される元素は、第6族元素化合物として付着していることが好ましい。また、第6族に帰属される元素または第6族元素化合物は、一次粒子と二次粒子の両方の表面に付着していることが好ましい。また、第6族元素の付着量としては、第6族元素を含んでいればよく、リチウム含有遷移金属酸化物中のリチウムを除く金属元素の総モル量に対して、第6族元素換算で0.10モル%以上であることが好ましい。
但し、比容量の観点において、容量に寄与しない第6族元素の付着量が多すぎると、容量の低下を招く可能性がある。よって、第6族元素の付着量としては、リチウム含有遷移金属酸化物中のリチウムを除く金属元素の総モル量に対して、第6族元素換算で0.10モル以上1.0モル以下であることが特に好ましい。
リチウム含有遷移金属酸化物の表面に付着させる第6族元素としてはタングステンが好ましい。第6族元素化合物としては、タングステンの酸化物及びタングステンのリチウム複合酸化物から選ばれる少なくとも1種のタングステン化合物であることが好ましく、WO3、Li2WO4、WO2等がさらに好ましい。
リチウム含有遷移金属複合酸化物の表面に、第6族元素または第6族元素化合物を付着させる方法としては、例えば、正極合剤スラリー作製時にリチウム含有遷移金属酸化物と第6族元素または第6族元素化合物を混合する方法や、焼成後のリチウム含有遷移金属酸化物に、第6族元素または第6族元素化合物を混合した後、熱処理する方法等を挙げることができる。
なお、リチウム含有遷移金属酸化物の一次粒子及び二次粒子の両方の表面に第6族元素または第6族元素化合物を付着させるという観点から、焼成後のリチウム含有遷移金属酸化物に、第6族元素または第6族元素化合物を混合した後、熱処理する方法がより好ましい。
正極5は、例えば、正極集電体5aの表面に、正極活物質、導電助剤、結着剤などの正極合剤層の構成成分と分散媒とを含む正極合剤スラリーを塗布し、形成された塗膜を一対のロールなどにより圧延して乾燥し、正極集電体5aの表面上に正極合剤層を形成することにより得ることができる。塗膜は、必要により、圧延の前に乾燥させてもよい。
導電助剤としては、公知のものを用いることができ、例えば、アセチレンブラックなどのカーボンブラック;炭素繊維、金属繊維等の導電性繊維;フッ化カーボンなどが使用できる。導電助剤は、1種を単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
正極合剤層における導電助剤の含有量は、正極活物質100質量%に対して、0.5質量%以上1.5質量%以下であることが好ましい。導電助剤の含有量が0.5質量%未満であると、正極5に含まれる導電助剤の量が少なくなり過ぎるために、正極5内での正極活物質と導電助剤の電気的接触が損なわれ、電池の放電特性が著しく低下することがある。一方、導電助剤の含有量が1.5質量%を超えると、正極5に含まれる導電助剤の量が多くなり過ぎるために、電池容量が低下する。
結着剤としては、公知の結着剤を用いることができ、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、フッ化ビニリデン(VDF)−ヘキサフルオロプロピレン(HFP)共重合体などのフッ素樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂;アラミドなどのポリアミド樹脂;スチレン−ブタジエンゴム、アクリルゴムなどのゴム状材料などが挙げられる。結着剤は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
正極合剤層における結着剤の含有量は、正極活物質100質量%に対して、例えば、10質量%以下であればよい。合剤密度を高めて電池を高容量化するという観点からは、結着剤の量は、好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。結着剤の含有量の下限は、特に制限されず、例えば、正極活物質100質量%に対して0.01質量%以下であってもよい。
増粘剤としては、例えば、カルボキシメチルセルロース(CMC)などのセルロース誘導体;ポリエチレングリコール、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド共重合体などのC2−4ポリアルキレングリコール;ポリビニルアルコール;可溶化変性ゴムなどが挙げられる。増粘剤は、1種を単独でまたは2種以上組み合わせて使用できる。
増粘剤の割合は、特に制限されず、例えば、正極活物質100質量%に対して0質量%以上10質量%以下であることが好ましく、0.01質量%以上5質量%以下であることがより好ましい。
分散媒としては、特に制限されないが、例えば、水、エタノールなどのアルコール、テトラヒドロフランなどのエーテル、ジメチルホルムアミドなどのアミド、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、またはこれらの混合溶媒などが例示できる。
正極合剤層の厚みは、例えば、正極集電体5aの片面あたり20〜100μmであることが好ましく、30〜90μmであることがより好ましく、50〜80μmであることが特に好ましい。また、正極合剤層における活物質密度は、正極合剤層全体の平均で、例えば、3.3〜4.0g/cm3であることが好ましく、3.4〜3.9g/cm3であることがより好ましく、3.5〜3.7g/cm3であることが特に好ましい。
[負極]
負極集電体6aとしては、正極集電体5aと同様に、無孔のまたは多孔性の導電性基板が使用できる。負極集電体6aの厚みは、正極集電体5aの厚みと同様の範囲から選択できる。負極集電体6aに使用される金属材料としては、例えば、ステンレス鋼、ニッケル、銅、銅合金などが例示できる。なかでも、銅または銅合金などが好ましい。
後述する負極合剤層は、例えば、負極活物質と結着剤を含み、これらの成分に加えて、必要に応じて、導電助剤、増粘剤などを含んでもよい。負極6は、正極5の形成方法に準じて形成できる。具体的には、負極集電体6aの表面に、負極活物質、結着剤などの負極合剤層の構成成分と分散媒とを含む負極合剤スラリーを塗布し、形成された塗膜を圧延して乾燥し、負極集電体6aの表面上に負極合剤層を形成することにより得ることができる。
負極活物質は、炭素材料と珪素化合物とを含む。炭素材料としては、各種炭素質材料、例えば、黒鉛(天然黒鉛、人造黒鉛、黒鉛化メソフェーズカーボンなど)、コークス、黒鉛化途上炭素、黒鉛化炭素繊維、非晶質炭素などが挙げられる。珪素化合物としては、ケイ素、ケイ素酸化物SiOx(0.05<x<1.95)、シリサイドなどのケイ素含有化合物などが挙げられる。珪素化合物は、SiOx(0.5≦x≦1.5)であることが好ましい。
サイクル特性や電池の安全性の向上という観点からは、炭素材料とSiOxとの総質量を100質量%としたとき、SiOxの比率が2質量%以上50質量%以下であることがより好ましく、5質量%以上30質量%未満であることが特に好ましい。
SiOxの比率が2質量%未満であると、電池ケース1内に占める負極合剤層の膨張圧力が小さくなるため、正極活物質と導電助剤の電気的接触改善効果が少なくなり、高温サイクル特性の向上が不十分となる。一方、SiOxの比率が50質量%を超えると、充放電時のSiOxの膨張収縮によって、負極合剤層に与える影響(負極集電体6aと負極合剤層との間での剥離等)が極めて大きくなり、サイクル特性が低下する。
SiOxは、その表面が炭素で被覆されたものであってもよい。SiOxは電子伝導性が低いため、その表面を炭素で被覆することにより、電子伝導性を高めることができる。
また、負極活物質としては、正極5よりも低い電位でリチウムイオンを吸蔵および放出可能な遷移金属酸化物または遷移金属硫化物などのカルコゲン化合物;スズ、アルミニウム、亜鉛およびマグネシウムよりなる群から選択された少なくとも1種を含むリチウム合金および各種合金組成材料を含んでもよい。ただし、電池ケース1内に占める正極活物質の占有比率を高めるという観点からは、負極活物質として比容量が高い材料を用いることが好ましい。
負極6に用いる結着剤、分散媒、導電助剤および増粘剤としては、それぞれ、正極5について例示したものなどが使用できる。また、負極活物質に対する各成分の量も、正極5と同様の範囲から選択できる。
負極合剤層の厚みは、例えば、負極集電体6aの片面あたり40〜120μmであることが好ましく、50〜110μmであることがより好ましく、70〜100μmであることが特に好ましい。また、負極合剤層における活物質密度は、負極合剤層全体の平均で、1.3〜1.9g/cm3であることが好ましく、1.4〜1.8g/cm3であることがより好ましく、特に、1.5〜1.7g/cm3であることが特に好ましい。ただし、負極活物質が、例えば、負極活物質がケイ素、スズ、アルミニウム、亜鉛およびマグネシウムなどをさらに含む場合、負極合剤層の厚み及び活物質密度は、上記範囲外でも良く、適宜調整することができる。
上述した正極5と負極6とが巻回された電極体4において、セパレータ7を介して正極5と負極6とが対向する面には、0.1MPa/cm2以上の面圧力がかけられる。特に、SOC(State of charge)100%において、セパレータを介して正極5と負極6とが対向する面にかかる面圧力が、0.1MPa/cm2以上であることが好ましい。ただし、SOC0%、SOC50%等のSOC100%以外の場合においても面圧力が0.1MPa/cm2以上であるとよい。また、電極体4の最外周のセパレータを介して正極5と負極6とが対向する各電極の面にかかる面圧力が、0.1MPa/cm2以上であることが好ましい。さらには、電極体4の最内周に位置する巻芯から最外周におけるいずれの位置においてもセパレータを介して正極5と負極6とが対向する面にかかる面圧力が、0.1MPa/cm2以上であるとよい。なお、電極体4が積層型である場合には、各層においてセパレータを介して正極5と負極6とが対向する面にかかる面圧力が、0.1MPa/cm2以上であるとよい。なお、電池電圧が4.2Vとなるまで充電された状態をSOC100%とする。
このように、電池のSOC、電極体4の形状、極板内における位置にかかわらず、セパレータ7を介して正極5と負極6とが対向する面に0.1MPa/cm2以上の面圧力がかかるようにするため、セパレータ7を介した正極5及び負極6に所定のテンションを適宜与え電極体4を作製することが好ましい。
面圧力は、セパレータ7を介した正極5と負極6との間に感圧紙を挟み込むことで求めることができる。また、セパレータ7の材質等が既知の場合、セパレータの気孔率の変化を測定することで、測定値から面圧力を算出してもよい。また、特に正極と負極とが対向する単位面積あたりの容量が4mAh/cm以上となる高エネルギー密度の電池において、上述のサイクルに伴う容量維持率の低下を抑制する効果が顕著である。
[セパレータ]
正極5と負極6との間に介在するセパレータ7としては、樹脂製の微多孔フィルム、不織布または織布などが使用できる。特にシャットダウン機能による安全性向上という観点からは、セパレータ7を構成する基材として、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィンなどを用いることができる。また、セパレータ7の表面には耐熱性材料を含む耐熱層が形成されていることが好ましい。耐熱性材料としては、脂肪族系ポリアミド、芳香族系ポリアミド(アラミド)などのポリアミド樹脂;ポリアミドイミド、ポリイミドなどのポリイミド樹脂などが例示できる。また、耐熱層は正極5または負極6とセパレータ7との間に形成されていればよく、正極5または負極6の表面上に形成されていてもよい。高温条件下での放電時の正極5の温度上昇によるセパレータの劣化を抑制するという観点からは、耐熱層は正極5とセパレータ7の間に形成されていることが特に好ましい。
[非水電解質]
非水電解質の溶媒は特に限定するものではなく、非水電解質二次電池に従来から用いられてきた溶媒を使用することができる。例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ビニレンカーボネート等の環状カーボネートや、ジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等の鎖状カーボネートや、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン等のエステルを含む化合物や、プロパンスルトン等のスルホン基を含む化合物や、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、テトラヒドロフラン、1,2−ジオキサン、1,4−ジオキサン、2−メチルテトラヒドロフラン等のエーテルを含む化合物や、ブチロニトリル、バレロニトリル、n−ヘプタンニトリル、スクシノニトリル、グルタルニトリル、アジポニトリル、ピメロニトリル、1,2,3−プロパントリカルボニトリル、1,3,5−ペンタントリカルボニトリル等のニトリルを含む化合物や、ジメチルホルムアミド等のアミドを含む化合物等を用いることができる。特に、これらの水素の一部がフッ素により置換されている溶媒が好ましく用いられる。また、これらを単独又は複数組み合わせて使用することができ、特に環状カーボネートと鎖状カーボネートとを組み合わせた溶媒や、さらにこれらに少量のニトリルを含む化合物やエーテルを含む化合物が組み合わされた溶媒が好ましい。
また、非水電解質の非水系溶媒としてイオン性液体を用いることもでき、この場合、カチオン種、アニオン種については特に限定されるものではないが、低粘度、電気化学的安定性、疎水性の観点から、カチオンとしては、ピリジニウムカチオン、イミダゾリウムカチオン、4級アンモニウムカチオンを、アニオンとしては、フッ素含有イミド系アニオンを用いた組合せが特に好ましい。
更に、非水電解質に用いる溶質としても、従来から非水電解質二次電池において一般に使用されている公知のリチウム塩を用いることができる。このようなリチウム塩としては、P、B、F、O、S、N、Clの中の1種類以上の元素を含むリチウム塩を用いることができ、具体的には、LiPF6、LiBF4、LiCF3SO3、LiN(FSO22、LiN(CF3SO22、LiN(C25SO22、LiN(CF3SO2)(C49SO2)、LiC(C25SO23、LiAsF6、LiClO4等のリチウム塩及びこれらの混合物を用いることができる。リチウム塩のうち、フッ素含有酸のリチウム塩、特に、LiPF6は、解離性が高く、非水電解質中で化学的に安定であるため、好ましい。
また、溶質の濃度は、非水電解液1リットル当り1.4モル以上であることが電池における正極活物質の利用率を高める観点で特に好ましい。
非水電解質は、必要に応じて、公知の添加剤、例えば、シクロヘキシルベンゼン、ジフェニルエーテルなどを含有してもよい。特に、ジフルオロリン酸リチウム(LiPO22)を含有していることが好ましい。非水電解質にジフルオロリン酸リチウムが含有されていると、タングステン化合物上で分解し、正極活物質の表面に被膜を形成する。この被膜は充放電時や高温保存時にタングステン化合物の溶解を抑制させることができ、放電容量向上に効果がある。ジフルオロリン酸リチウムは、非水溶媒に対して0.1質量%〜2質量%含まれることが好ましい。
(他の構成要素)
正極リード9および負極リード10の材質としては、それぞれ、正極集電体5aおよび負極集電体6aの金属材料と同様のものが挙げられる。具体的には、正極リード9としては、アルミニウム板などが利用でき、負極リード10としては、ニッケル板、銅板などが利用できる。また、負極リード10としては、クラッドリードも利用できる。
以下、本開示の一形態に係る非水電解質二次電池を、各種実施例を用いて詳細に説明する。ただし、以下に示す実施例は、本開示の技術思想を具体化するための非水電解質二次電池の一例を示すものであり、本開示の実施形態をこれらの実施例のいずれかに限定することを意図するものではない。本実施形態は、これらの実施例に示したものに対して、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施できるものである。
〔第1実験例〕
(実施例1)
[正極活物質の作製]
リチウム遷移金属酸化物としてのLiNi0.91Co0.06Al0.032で表される層状構造を有するニッケルコバルトアルミニウム酸リチウムの粒子に、酸化タングステン(WO3)を混合した後、200℃で熱処理することにより、リチウムニッケルコバルトアルミニウム酸リチウムの表面にタングステン化合物が付着した正極活物質を得た。尚、タングステン化合物の添加量は、ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウムのリチウムを除く金属元素の総モル量に対して、タングステン元素換算で0.35モル%とした。得られた正極活物質をSEMで観察した結果、一次粒子及び二次粒子の両方の表面にタングステン化合物が付着していることが確認できた。
[正極の作製]
上記で得られた正極活物質100質量%と、導電助剤としてのアセチレンブラック1.25質量%と、結着剤としてのポリフッ化ビニリデン1.00質量%とを、適量のN−メチルピロリドン(NMP)とともに練合機にて攪拌することにより、正極合剤スラリーを調整した。次に、得られた正極合剤スラリーを正極集電体5aとしてのアルミニウム箔(厚み15μm)の両面に塗布し、圧延処理を施した後、乾燥させることにより正極板を得た。
乾燥した正極板を、塗工幅58.2mm、塗工長さ643.3mmの寸法に裁断することにより、図2に示す正極集電体5aの両面に正極合剤層5bが形成された正極5を作製した。尚、この正極5における正極合剤層5bの厚みは片面あたり64.6μmであり、活物質密度は3.60g/cm3であった。正極5の長手方向の中央部には、両面に、正極合剤スラリーが塗布されていない幅6.0mmの正極集電体露出部5cおよび5dを形成した。正極集電体露出部5cには、幅3.5mm、厚み0.15mmのアルミニウム製の正極リード9の一端部を溶接した。
[負極の作製]
負極活物質としては、黒鉛とSiOx(x=1.0)とを96質量%と4質量%の割合で混合したものを用いた。負極活物質と、結着剤としてのスチレンブタジエンゴム1.0質量%とを、適量のCMCとともに練合機にて攪拌することにより、負極合剤スラリーを調整した。次に、得られた負極合剤スラリーを負極集電体6aとしての長尺帯状の銅箔(厚み8μm)の両面に塗布し、一対のロールを用いて圧延し、その後に乾燥させることにより負極板を得た。
乾燥した負極板を、塗工幅59.2mm、塗工長さ711.8mmの寸法に裁断することにより、図3に示す負極集電体6aの両面に負極合剤層6bが形成された負極6を作製した。尚、この負極6における負極合剤層6bの厚みは片面あたり77.3μmであり、活物質密度は1.65g/cm3であった。負極6の長手方向の一方の端部には、両面に、幅2.0mmの負極集電体露出部6cおよび6dを形成した。また、負極6の長手方向の他方の端部において、一方の表面に幅23.0mmの負極集電体露出部6eを形成し、他方の表面に幅76.0mmの負極集電体露出部6fを形成した。負極集電体露出部6fには、幅3.0mm、厚み0.10mmのNi/Cu/Ni=25/50/25の負極リード(クラッドリード)10の一端部を溶接した。
[電極体の作製]
このようにして得た正極5と負極6との間に、片側表面に耐熱性材料としてアラミド樹脂を含む耐熱層が形成されたポリエチレン製の微多孔膜セパレータ7を、耐熱層が正極5に対向した状態となるように介在させた。セパレータ7のサイズは、幅61.6mm、長さ716.3mm、厚み16.5μmとした。次に、セパレータ7を介した正極5と負極6とが対向する面に0.1MPa/cm2以上の面圧力がかかるように、正極5および負極6のそれぞれにテンションをかけながら渦捲状に捲回して電極体4を作製した。実際に、面圧力を測定した結果、セパレータ7を介した正極5と負極6とが対向する面における面圧力は、0.1MPa以上であった。
[非水電解質の調整]
エチレンカーボネートと、エチルメチルカーボネートと、ジメチルカーボネートとを、体積比20:5:75で混合した混合溶媒に、濃度が1.40mol/Lとなるように、六フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を溶解させ、さらに、混合溶媒に対してビニレンカーボネートを4質量%、ジフルオロリン酸リチウムを1質量%溶解させて、非水電解質を調整した。
[電池の作製]
得られた電極体4を、内径17.94mm、高さ64.97mm、側厚0.12mmの有底円筒型の金属製の電池ケース1に収容した。電極体4から引き出した正極リード9の他端部を、封口板2に溶接し、負極リード10の他端部を、電池ケース1の内底面に溶接した。次いで、電池ケース1の、電極体4の上端部よりも上部の側面に、内側に突出した段部11を形成することにより、電極体4を電池ケース1内に保持した。次いで、電池ケース1内に、上記した非水電解質を注入し、電池ケース1の開口部を封口板2の周縁部に対してガスケット3を介して、かしめ封口することにより、円筒型の非水電解質二次電池を作製した。
(実施例2)
正極5を作製する際に、タングステン化合物の添加量は、ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウム中のリチウムを除く金属元素の総モル量に対してタングステン元素換算で0.30モル%として用い、負極6を作製する際に、負極活物質として黒鉛とSiOxとを93質量%と7質量%の割合で混合したものを負極活物質として用いたこと以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。なお、正極5における塗工長さは600.0mmであり、乾燥後の正極合剤層5bの厚みは片面あたり73.0μm、活物質密度は3.61g/cm3であった。次いで、負極6における塗工長さは668.5mmであり、乾燥後の負極合剤層6bの厚みは片面あたり80.5μm、活物質密度は1.60g/cm3であった。次いで、セパレータ7の長さは673.0mmとした。
(実施例3)
正極5を作製する際に、LiNi0.91Co0.06Al0.032で表されるニッケルコバルトアルミニウム酸リチウムに代えて、LiNi0.88Co0.09Al0.032で表されるニッケルコバルトアルミニウム酸リチウムを母材とし、正極合剤層における導電助剤の含有量は、正極活物質100質量%に対して1.00質量%、結着剤の含有量は0.90質量%としたこと以外は、実施例1と同様にして非水電解質二次電池を作製した。なお、正極5における塗工長さは634.5mmであり、乾燥後の正極合剤層5bの厚みは片面あたり66.9μm、活物質密度は3.63g/cm3であった。次いで、負極6における塗工長さは701.0mmであり、乾燥後の負極合剤層6bの厚みは片面あたり76.5μmであった。次いで、セパレータ7の長さは707.5mmとした。
(実施例4)
正極5を作製する際に、正極合剤層における導電助剤の含有量は正極活物質100質量%に対して1.25質量%、結着剤の含有量は1.00質量%としたこと以外は、実施例3と同様にして非水電解質二次電池を作製した。なお、正極5における乾燥後の正極合剤層5bの厚みは片面あたり67.5μm、活物質密度は3.60g/cm3であった。
(実施例5)
正極5を作製する際に、正極合剤層における導電助剤の含有量は正極活物質100質量%に対して0.75質量%、結着剤の含有量は0.675質量%としたこと以外は、実施例3と同様にして非水電解質二次電池を作製した。なお、正極5における乾燥後の正極合剤層5bの厚みは片面あたり66.4μm、活物質密度は3.66g/cm3であった。
(比較例1)
正極5を作製する際に、正極合剤層における導電助剤の含有量は正極活物質100質量%に対して0.75質量%、結着剤の含有量は0.675質量%とし、負極6を作製する際に、負極活物質として黒鉛のみを負極活物質として用いたこと以外は、実施例1と同様にして電池を作製した。なお、正極5における塗工長さは562.0mmであり、乾燥後の正極合剤層5bの厚みは片面あたり70.0μm、活物質密度は3.66g/cm3であった。次いで、負極6における塗工長さは628.5mmであり、乾燥後の負極合剤層6bの厚みは片面あたり95.0μm、活物質密度は1.66g/cm3であった。次いで、セパレータ7の長さは635.0mmとした。
(比較例2)
正極5を作製する際に、正極合剤層における導電助剤の含有量は正極活物質100質量%に対して0.75質量%、結着剤の含有量は0.675質量%とし、負極6を作製する際に、負極活物質として黒鉛のみを負極活物質として用いたこと以外は、実施例3と同様にして電池を作製した。なお、正極5における塗工長さは562.0mmであり、乾燥後の正極合剤層5bの厚みは片面あたり71.5μm、活物質密度は3.66g/cm3であった。次いで、負極6における塗工長さは628.5mmであり、乾燥後の負極合剤層6bの厚みは片面あたり95.0μm、活物質密度は1.66g/cm3であった。次いで、セパレータ7の長さは635.0mmとした。
(比較例3)
正極5を作製する際に、LiNi0.88Co0.09Al0.032で表されるニッケルコバルトアルミニウム酸リチウムに代えて、LiNi0.82Co0.15Al0.032で表されるニッケルコバルトアルミニウム酸リチウムを母材とし、タングステン化合物の添加量は、ニッケルコバルトアルミニウム酸リチウムのリチウムを除く金属元素の総モル量に対してタングステン元素換算で0.36モル%として用い、負極6を作製する際に、負極活物質として黒鉛のみを負極活物質として用いたこと以外は、実施例3と同様にして非水電解質二次電池を作製した。なお、正極5における塗工長さは660.5mmであり、乾燥後の正極合剤層5bの厚みは片面あたり60.5μmであった。次いで、負極6における塗工長さは727.0mmであり、乾燥後の負極合剤層6bの厚みは片面あたり75.5μm、活物質密度は1.66g/cm3であった。次いで、セパレータ7の長さは733.5mmとした。
(比較例4)
負極6を作製する際に、負極活物質として黒鉛とSiOxとを96質量%と4質量%の割合で混合したものを負極活物質として用いたこと以外は、比較例3と同様にして非水電解質二次電池を作製した。なお、正極5における乾燥後の正極合剤層5bの厚みは片面あたり65.5μmであった。次いで、負極6における乾燥後の負極合剤層6bの厚みは片面あたり74.0μm、活物質密度は1.65g/cm3であった。
(実験)
〔高温サイクル特性の測定〕
実施例1〜5及び比較例1〜4の各電池を、45℃の温度条件下において、0.3時間率で電池電圧が4.2Vになるまで定電流充電し、4.2Vの定電圧で終止電流が0.02時間率になるまで定電圧充電し、20分間休止した。その後、放電電流0.5時間率で電池電圧が2.5Vになるまで定電流放電を行い、20分間休止した。このような充放電サイクルを、100サイクル繰り返し、1サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の比率(容量維持率)を求めた。表1に、実施例1〜5及び比較例1〜4の45℃100サイクルにおける容量維持率の値を示す。
〔0.2C(時間率)放電容量の測定〕
実施例1〜5及び比較例1〜4の各電池を、25℃の温度条件下において、0.5時間率で電池電圧が4.2Vになるまで定電流充電し、4.2Vの定電圧で終止電流が0.02時間率になるまで定電圧充電し、20分間休止した。その後、放電電流0.2時間率で電池電圧が2.5Vになるまで定電流放電を行い、各電池の0.2C(時間率)放電容量と正負極が対向する単位面積あたりの放電容量を求めた。表1に、実施例1〜5及び比較例1〜4の0.2C放電容量を示す。なお、単位面積あたりの放電容量は、片面電極の放電容量である。
Figure 2017038041
表1から明らかなように、Niの割合が88モル%であり、且つ、負極6中のSiOx含有比率が4質量%である実施例3〜5は、導電助剤の含有量に関わらず、負極6中にSiOxを含有しない比較例2に比べて容量維持率が向上しており、高温サイクル特性に優れていることがわかる。また、Niの割合が91モル%であり、負極6中のSiOx含有比率が4質量%である実施例1と、負極6中のSiOx含有比率が7質量%である実施例2は、いずれも負極6中にSiOxを含有しない比較例1に比べて高温サイクル特性が向上している。なお、負極6中のSiOx含有比率が4質量%である実施例1に対して負極6中のSiOx含有比率が7質量%である実施例2が、より良好な高温サイクル特性を示している。ここから負極6中のSiOx量が多いほど、充放電に伴う正極5の膨張を抑える効果が高まることがわかる。
しかし、Niの割合が82%である比較例3と比較例4の場合は、負極6中のSiOx含有比率に関わらず高温サイクル特性は向上していない。このような結果が得られた理由は以下に述べる通りのものと考えられる。比較例3と比較例4は、Niの割合が82モル%であり、Niの割合が91モル%である実施例1〜2やNiの割合が88モル%である実施例3〜5に比べて、Niの割合が少なく、正極5の極板抵抗が小さくなる。つまり、電極が膨張し易い高温での充放電サイクルでも、正極5の極板抵抗の上昇が十分なものとならなかったために、高温サイクル特性の向上効果が得られなかったと考えられる。
〔第2実験例〕
(実施例6)
正極5を作製する際に、タングステン化合物の添加量をニッケルコバルトアルミニウム酸リチウムのリチウムを除く金属元素の総モル量に対してタングステン元素換算で0.15モル%とし、非水電解質にジフルオロリン酸リチウムを用いないこと以外は、実施例2と同様にして非水電解質二次電池を作製した。なお、正極5における塗工長さは635.5mmであり、乾燥後の正極合剤層5bの厚みは片面あたり68.0μm、活物質密度は3.59g/cm3であった。次いで、負極6における塗工長さは704.0mmであり、乾燥後の負極合剤層6bの厚みは片面あたり74.5μm3であった。次いで、セパレータ7の長さは708.5mmとした。
(実施例7)
非水電解質中のジフルオロリン酸リチウムを0.5質量%としたこと以外は、実施例6と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
(実施例8)
非水電解質中のジフルオロリン酸リチウムを1.0質量%としたこと以外は、実施例6と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
(実験)
〔0.2C(時間率)放電容量の測定〕
実施例6〜8の各電池を、25℃の温度条件下において、0.5時間率で電池電圧が4.2Vになるまで定電流充電し、4.2Vの定電圧で終止電流が0.02時間率になるまで定電圧充電し、20分間休止した。その後、放電電流0.2時間率で電池電圧が2.5Vになるまで定電流放電を行い、20分間休止した。表2に実施例6〜8の0.2C放電容量を示す。
Figure 2017038041
表2から明らかなように、非水電解質中にジフルオロリン酸リチウムが存在しない場合に比べ、非水電解質中にジフルオロリン酸リチウムが存在した場合には、0.2C放電容量の向上効果が得られることがわかる。このような結果が得られた理由は定かではないが、以下に述べる通りのものと考えられる。
ジフルオロリン酸リチウムは、非水電解質中に存在していると、タングステン化合物上で分解し、正極活物質の表面に被膜を形成する。形成された被膜は、充放電時におけるタングステン化合物の溶解を抑制することができ、正極5の反応抵抗低減効果が維持されたことで放電容量が向上したと考えられる。
〔第3実験例〕
(実施例9)
非水電解質中のリチウム塩濃度を1.3Mとしたこと以外は、実施例8と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
(実施例10)
非水電解質中のリチウム塩濃度を1.2Mとしたこと以外は、実施例8と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
(実施例11)
正極5を作製する際に、タングステン化合物を添加しなかったこと以外は、実施例8と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
(実施例12)
非水電解質中のリチウム塩濃度を1.3Mとしたこと以外は、実施例11と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
(実施例13)
非水電解質中のリチウム塩濃度を1.2Mとしたこと以外は、実施例11と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
実施例9〜13の電池について、実施例6〜8の電池と同様にして0.2C放電容量を求めた。表3に実施例9〜13の電池について0.2C放電容量を示す。
Figure 2017038041
表3から明らかなように、非水電解質中のリチウム塩濃度が最も高い1.4Mの場合、0.2C放電容量が最大となることが分かる。リチウム塩濃度が高い方がリチウムの拡散速度が増し、放電容量の向上に繋がったと考えられる。
〔参考実験1〕
(参考例1)
正極5を作製する際に、タングステン化合物を添加せず、電極体4を作製する際に、セパレータ7を介した正極5と負極6との間に感圧紙を挿入したこと以外は、比較例3と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
(実験)
〔面圧力の測定〕
参考例1の電池について、4.2V充電状態(SOC100%)における、セパレータを介して正極5と負極6とが対向する各電極の面にかかる面圧力を測定した。面圧力の測定は、電極体4の最内周に位置する巻芯からの距離50,250,450,600mmの4箇所において行った。表4にその結果を示す。
Figure 2017038041
表4から、電極体4における巻芯からの距離によって、セパレータ7を介して正極5と負極6とが対向する面にかかる面圧力が異なることにより、充放電時に電解液の拡散がより促進されると考えられる。
〔参考実験2〕
(参考例2)
正極5を作製する際に、タングステン化合物を添加せず、負極6を作製する際に、負極活物質として黒鉛のみを負極活物質として用い、正極5と負極6とがセパレータを介して積層された構造を有する電極体4をアルゴン雰囲気下のグローブボックス中にて、アルミニウム製のラミネート外装体内に挿入したこと以外は、実施例5と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
(参考例3)
負極6を作製する際に、負極活物質として黒鉛とSiOx(x=1.0)とを93質量%と7質量%の割合で混合したものを用いたこと以外は、参考例2と同様にして非水電解質二次電池を作製した。なお、負極6に含まれるSiOx量に合わせて、負極の合剤層厚みを調整した。
(参考例4)
負極6を作製する際に、負極活物質として黒鉛とSiOx(x=1.0)とを80質量%と20質量%の割合で混合したものを用いたこと以外は、参考例2と同様にして非水電解質二次電池を作製した。なお、負極6に含まれるSiOx量に合わせて、負極の合剤層厚みを調整した。
(実験)
〔負極膨化率の測定〕
参考例2〜4の電池について、充電前(SOC0%)に対する4.2V充電状態(SOC100%)での負極6の膨化率を測定した。表5にその結果を示す。
Figure 2017038041
表5から明らかなように、負極6中のSiOx量が増加するにつれて負極膨化率が上がる。すなわち、負極6にSiOxを含有する参考例2〜4と同様にSiOxを負極6中に含む実施例3〜5は、表4で示した参考例1より、正極5に負極6からの圧力がかかり、正極5の接触抵抗増加が抑えられていると考えられる。
〔参考実験3〕
(参考例5)
正極5を作製する際に、タングステン化合物を添加しないこと以外は、実施例2と同様にして非水電解質二次電池を作製した。なお、正極5における塗工幅は57.6mm、塗工長さは633.0mmであり、乾燥後の正極合剤層5bの厚みは片面あたり68.5μm、活物質密度は3.57g/cm3であった。次いで、負極6における塗工幅は58.6mm、塗工長さは701.5mmであり、乾燥後の負極合剤層6bの厚みは片面あたり75.5μm、活物質密度は1.59g/cm3であった。次いで、セパレータ7の長さは706.0mmとした。
(参考例6)
負極6を作製する際に、タングステン化合物の添加量をニッケルコバルトアルミニウム酸リチウムのリチウムを除く金属元素の総モル量に対してW元素換算で0.10モル%としたこと以外は、参考例5と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
(参考例7)
負極6を作製する際に、タングステン化合物の添加量をニッケルコバルトアルミニウム酸リチウムのリチウムを除く金属元素の総モル量に対してW元素換算で0.15モル%としたこと以外は、参考例5と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
(参考例8)
負極6を作製する際に、タングステン化合物の添加量をニッケルコバルトアルミニウム酸リチウムのリチウムを除く金属元素の総モル量に対してW元素換算で1モル%としたこと以外は、参考例5と同様にして非水電解質二次電池を作製した。
(実験)
〔高温サイクル特性の測定〕
実施例2、参考例5〜参考例8の各電池を、45℃の温度条件下において、0.3時間率で電池電圧が4.2Vになるまで定電流充電し、4.2Vの定電圧で終止電流が0.02時間率になるまで定電圧充電し、20分間休止した後、放電電流0.5時間率で電池電圧が2.5Vになるまで定電流放電を行い、20分間休止した。このような充放電サイクルを、100サイクル繰り返し、1サイクル目の放電容量に対する100サイクル目の放電容量の比率(容量維持率)を求めた。表6に、実施例2、参考例5〜参考例8の45℃100サイクルにおける容量維持率の値を示す。
〔0.2C(時間率)放電容量の測定〕
実施例2、参考例5〜参考例8の各電池を、25℃の温度条件下において、0.5時間率で電池電圧が4.2Vになるまで定電流充電し、4.2Vの定電圧で終止電流が0.02時間率になるまで定電圧充電し、20分間休止した。その後、放電電流0.2時間率で電池電圧が2.5Vになるまで定電流放電を行い、0.2C(時間率)放電容量と正負極の対向する単位面積あたりの放電容量を求めた。表6に、実施例2、参考例5〜参考例8の0.2C放電容量を示す。なお、単位面積あたりの放電容量は、片面電極の放電容量である。
Figure 2017038041
表6から明らかなように、参考例5に比べて実施例2及び参考例6〜8は容量維持率が向上している。つまり、タングステン化合物を添加しない参考例5においては、SiOx含有量が7質量%であっても容量維持率は向上しない。また、タングステン化合物の添加量が1質量%である参考例8においては、容量維持率が実施例2と同様に向上している。このことから、正極5中にタングステン化合物が存在していれば、高温サイクル特性が向上するものと考えられる。
〔参考実験4〕
(参考例9)
正極活物質組成比及びタングステン化合物含有量を実施例1と同様にして、参考例9の正極活物質を作製した。
(参考例10)
正極活物質組成比及びタングステン化合物含有量を実施例11と同様にして、参考例10の正極活物質を作製した。
(参考例11)
正極活物質組成比及びタングステン化合物含有量を実施例3と同様にして、参考例11の正極活物質を作製した。
(参考例12)
タングステン化合物を添加しなかったこと以外は、参考例11と同様にして正極活物質を作製した。
(参考例13)
LiNi0.91Co0.06Al0.032で表されるニッケルコバルトアルミニウム酸リチウムに代えて、LiNi0.82Co0.15Al0.032で表されるニッケルコバルトアルミニウム酸リチウムを用いたこと以外は、参考例9と同様にして正極活物質を作製した。
(参考例14)
タングステン化合物を添加しなかったこと以外は、参考例13と同様にして正極活物質を作製した。
(実験)
〔体積抵抗率の測定〕
参考例9〜14の各正極活物質について、荷重20kNにおける粉体状である正極活物質の体積抵抗率を測定した。粉体状の体積抵抗率は、粉体抵抗と称することもある。表7に測定結果を示す。
Figure 2017038041
表7から明らかなように、Ni含有比率の上昇に伴い正極活物質の体積抵抗が上昇することがわかる。また、タングステン化合物を含有することでタングステン化合物を添加しない場合と比較して体積抵抗は上昇する。このように、Ni含有比率の上昇に伴い、粉体状の正極活物質の体積抵抗、つまりは粉体抵抗が上昇する。換言すれば、Ni含有比率の上昇に伴い、正極活物質の電子抵抗が上昇することがわかる。
本開示の一形態は、例えば携帯電話、ノートパソコン、スマートフォン等の移動情報端末の駆動電源や、BEV、PHEV、HEVといった高容量で低温特性に優れた駆動電源や、蓄電関連の電源に展開が期待できる。
1 電池ケース
2 封口板
3 ガスケット
4 電極体
5 正極
5a 正極集電体
5b 正極合剤層
5c,5d 正極集電体露出部
6 負極
6a 負極集電体
6b 負極合剤層
6c,6d,6e,6f 負極集電体露出部
7 セパレータ
8a 上部絶縁リング
8b 下部絶縁リング
9 正極リード
10 負極リード
11 段部

Claims (5)

  1. 正極集電体と前記正極集電体上に配置された正極合剤層とを含む正極と、負極集電体と前記負極集電体上に配置された負極合剤層とを含む負極と、セパレータとを含む電極体を備える非水電解質二次電池において、
    前記正極合剤層は、リチウムを除く金属元素の総モル量に対するNiの割合は85モル%以上であり、周期律表の第6族に帰属される元素が表面に付着したリチウム含有遷移金属酸化物を含み、
    前記負極合剤層は、炭素材料と珪素化合物とを含み、
    前記セパレータを介して前記正極と前記負極とが対向する面にかかる面圧力が0.1MPa/cm2以上であることを特徴とする非水電解質二次電池。
  2. 前記リチウム含有遷移金属酸化物が、一般式:LiaNix1-x2(ただし、0.95≦a≦1.2、0.85≦x≦1.0、MはCo、Alを少なくとも含む)で表されることを特徴とする、請求項1に記載の非水電解質二次電池。
  3. 前記負極合剤層に含まれる前記炭素材料と前記珪素化合物との総質量に対して、前記珪素化合物の含有量が5質量%以上30質量%未満であることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の非水電解質二次電池。
  4. SOC100%において、前記電極体の最外周において前記正極と前記負極とが対向する面にかかる面圧力が0.1MPa/cm2以上であることを特徴とする、請求項1から3のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池。
  5. 前記正極合剤層は、荷重20kNにおける体積抵抗率が6.1Ωcmよりも大きいことを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の非水電解質二次電池。
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