JPWO2017026267A1 - 化学強化ガラス - Google Patents
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Abstract
板厚が300μm未満であり、表面圧縮応力が200MPa以上であり、内部引張応力CT(MPa)と板厚t(μm)が、CT≦4×(t/1000+0.02)−2+90を満たすことを特徴とする、化学強化ガラスを提供する。
Description
本発明は、化学強化ガラスに関する。
スマートフォンや電子ペーパーに代表される電子機器や、自動車や電車の内部に設けられる車載用表示部材、太陽電池モジュール、照明等の多岐の用途において、カバー部材として所謂化学強化ガラスが使用されている。近年はガラスが用いられる機器等を軽量化することを目的とし、ガラスの厚みが薄くなってきている。
特許文献1では、ガラス内部の中央張力(すなわち、内部引張応力)CTを定義し、CTの値をある数値範囲とすることで強化ガラスの脆弱性を管理する方法が開示されている。この方法では、板厚t=0.3〜1.5mmのアルミノシリケートガラスの実施例を元に、非直線的限界中央張力CT1(単位はMPa)と呼ばれる厚さの関数を、『CT1=−38.7×ln(t)+48.2』(式(1))と定義し、内部引張応力CTの値の上限として開示しており、許容できない脆弱性の始まりの臨界値としている。板厚の薄いガラス板が使用される特定の用途においては、設計柔軟性が式(1)に基づいて制限される。
本発明は、板厚が特に薄いガラスであっても、撓みにくい条件下においては、従来より表面圧縮応力または圧縮応力層の深さを高めてもガラスが割れたときにも細かく飛散しない化学強化ガラスを提供することを目的とする。
すなわち、本発明は、板厚が300μm未満であり、表面圧縮応力が200MPa以上であり、内部引張応力CT(MPa)と板厚t(μm)が、CT≦4×(t/1000+0.02)−2+90を満たすことを特徴とする、化学強化ガラスを提供する。
本発明によれば、板厚が特に薄いガラスであっても、撓みにくい条件下においては、従来より強度を高めても、ガラスが割れたときにも細かく飛散しない化学強化ガラスを提供できる。
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。
〈化学強化ガラス〉
先述の通り、近年はガラスの薄板化が進んでおり、板厚tに依存する内部引張応力CTの値も大きくなる傾向がある。また、ガラス板の薄板化が進むにつれ、ガラスの曲げ剛性は小さくなり、極端に撓む傾向がある。ここで、ガラス板の曲げ剛性は、以下の式(2)により求めることができる。
先述の通り、近年はガラスの薄板化が進んでおり、板厚tに依存する内部引張応力CTの値も大きくなる傾向がある。また、ガラス板の薄板化が進むにつれ、ガラスの曲げ剛性は小さくなり、極端に撓む傾向がある。ここで、ガラス板の曲げ剛性は、以下の式(2)により求めることができる。
ここで、Dはガラス板の曲げ剛性(単位はN・mm)、tはガラス板の板厚(単位はmm)、Eはガラス板のヤング率(単位はN・mm−2)、νはガラス板のポアソン比(単位なし、無次元)である。式(2)より、曲げ剛性Dは板厚tの3乗に比例し、ガラス板の薄板化が進むにつれ、ガラスが極端に撓みやすくなることが分かる。
従来、板厚tが300μm以上の化学強化ガラスは、例えば特許文献1の式(1)のような内部引張応力CTの値の上限により、管理されていた。そして、板厚tが300μm未満の化学強化ガラスにおける内部引張応力CT値の上限については、まったく考慮されていなかったか、板厚tが300μm以上の化学強化ガラスと同様の挙動であると推定されていた。
しかしながら、板厚tが特に薄いガラスは、式(2)に示す通り、曲げ剛性が極端に小さく、撓みによる影響を無視できない。例えば、板厚tが300μm未満の化学強化ガラスが物体に衝突して割れる際、物体がガラス表側のある地点Pに傷を加えるのと同時に、物体が衝突した際の応力により、該地点Pを頂点としてガラス表側が凹形状となる化学強化ガラスの撓みが発生する。
ここで、本願発明者らは以下の点に着目した。
図1は、撓みが発生していない場合の化学強化ガラスの板厚方向における応力分布の模式図である。撓みが発生していなければ、応力分布はガラスの表裏で略線対称である。まず、化学強化ガラスに撓みが発生する場合、化学強化による圧縮応力層の表面圧縮応力CSに加えて、地点Pの表側には撓みによる圧縮応力が新たに加わる。逆に、地点Pの裏側には撓みによる引張応力が新たに加わる。本明細書では、撓みにより新たに加わる圧縮応力や引張応力を、以下それぞれ動的圧縮応力、動的引張応力と呼ぶ。したがって、撓みが生じている状態は、撓みが生じていない(フラットな)状態と比較すると、動的圧縮応力・動的引張応力の分だけ板厚方向の応力分布が異なる。
図2に、表面側が凹面となる撓みが発生している場合の化学強化ガラスの板厚方向における応力分布の模式図を示す。この特殊な応力分布は、表層の圧縮応力層だけでなく、ガラス内部の引張応力層においても存在していると、本願発明者らは考えた。具体的には、圧縮応力層に動的圧縮応力が生じる表側(凹面)に近い引張応力層では引張応力が相対的に高まり、逆に圧縮応力層に動的引張応力が生じる裏側(凸面)に近い引張応力層では引張応力が相対的に低くなると、本願発明者らは考えた。すなわち、撓みが生じていない状態の内部引張応力CTと比較すると、撓みが生じている状態では、凹面付近は実質的にCTが高まり、凸面付近は実質的にCTが低下する。
以上より、本願発明者らは、板厚tの特に薄い化学強化ガラスについて、割れる際の撓みの影響によりガラスの割れ挙動が大きく異なることを見出した(着目点1)。
また、本実施の形態に係る化学強化ガラスは多岐の用途に用いられうるが、本願発明者らは化学強化ガラスの用いられ方によりその撓み方は大きく異なることに着目した。
具体的には例えば、スマートフォンなどの電子機器にカバー部材として用いられる場合であっても、筐体との間に空気層(エアギャップ)が存在する場合と、空気層が存在せずに透明粘着層などで筐体に直接的に当接、ないしは貼合される場合とでは、割れ挙動が大きく異なることを見出した。
特に近年は、電子機器に限らず、薄型化・小型化目的のため、ないしは視認性・透過率向上のために、カバー部材がカバー対象に直接的に当接、ないしは貼合される用途が増える傾向にある。本実施の形態に係る化学強化ガラスは、タブレットPC、ノートPC、スマートフォン及び電子書籍リーダー等の情報機器に備えられたタッチパネルディスプレイのカバーガラス及びタッチセンサーガラス、液晶テレビ及びPCモニタ等のカバーガラス、自動車インパネ等のカバーガラス、太陽電池用カバーガラス、建材の内装材、並びにビルや住宅の窓に用いられる複層ガラス等に用いることができるが、上記傾向は多くの用途において共通である。
そして、本願発明者らは、カバー部材がカバー対象に直接的に当接、ないしは貼合される上記用途においては、従来のようなカバー部材とカバー対象の密着性が低い状態と比較すると、撓みが生じにくい状態となっていることを見出した(着目点2)。
本願発明者らは、上記着目点1、2に基づき、特に薄い化学強化ガラスがカバー対象に直接的に当接されるような環境においては撓みが生じにくく、そのような場合には撓み地点付近の引張応力が高まるようなことがないため、(撓みがない状態での)内部引張応力CTを従来よりも高い値まで上げても脆弱でない(すなわち粉々に破砕しない)ことを見出した。これにより、本発明を完成するに至った。
〈化学強化ガラスの形状および物性〉
本実施の形態に係る化学強化ガラスは、通常、板形状をしているが、平板でも曲げ加工を施したガラス板でもよい。本実施の形態に係る化学強化ガラスは、フロート法、フュージョン法、スロットダウンドロー法等、既知のガラス成形方法によって平板形状に成形されたガラス板であり、130dPa・s以上の液相粘度を有することが好ましい。
本実施の形態に係る化学強化ガラスは、通常、板形状をしているが、平板でも曲げ加工を施したガラス板でもよい。本実施の形態に係る化学強化ガラスは、フロート法、フュージョン法、スロットダウンドロー法等、既知のガラス成形方法によって平板形状に成形されたガラス板であり、130dPa・s以上の液相粘度を有することが好ましい。
本実施の形態に係る化学強化ガラスは、既存の成形法で成形可能な寸法を有する。すなわち、フロート法で成形すれば、フロート成形幅の連続したリボン状のガラスが得られる。又、本実施の形態に係る化学強化ガラスは、最終的には使用目的に適した大きさに切断される。
本実施の形態に係る化学強化ガラスの板厚tは、軽量化に寄与するため300μm未満である。板厚tが300μm未満である化学強化ガラスは、式(2)に示すとおり特に撓みやすい。撓みやすいガラスほど、撓みにくい状態としたときには、従来撓んでいた場合より内部引張応力CTを高い値まで上げても脆弱でなくなる。板厚tは260μm未満、200μm未満、180μm未満、150μm未満、130μm未満、100μm未満であることがより好ましい。
また、本実施の形態に係る化学強化ガラスの板厚tは、圧縮応力層をある程度深く設けるためにも10μm以上であることが好ましい。板厚tが10μm以上である化学強化ガラスであれば、少なくとも圧縮応力層の深さDOL(以下単にDOLという)を3μm以上とすることができる。板厚tは20μm以上、30μm以上、50μm以上であることがより好ましい。より大きなDOLを得るためには、板厚tを70μm以上とすることが好ましい。これにより、ガラスが大きく曲げられたときに端面から割れることを防ぐことができる。
また、板厚tの最大誤差、すなわち板厚の最も厚い部分の厚さと最も薄い部分の厚さとの差は、板厚tの10%以下であることが好ましい。板厚の最大誤差が大きいと、外力が加わった際に面内で局所的に引張応力が大きくなり、割れやすくなる虞がある。板厚tの最大誤差はより好ましくは5%以下である。
本実施の形態に係る化学強化ガラスは、タブレットPC、ノートPC、スマートフォン及び電子書籍リーダー等の情報機器に備えられたタッチパネルディスプレイのカバーガラス及びタッチセンサーガラス、液晶テレビ及びPCモニタ等のカバーガラス、自動車インパネ等のカバーガラス、太陽電池用カバーガラス、建材の内装材、並びにビルや住宅の窓に用いられる複層ガラス等に用いることができる。すなわち、タブレットPC又はスマートフォン等のディスプレイの大きさであったり、太陽電池用カバーガラスであったり、それぞれの用途に応じた大きさとなる。
化学強化ガラスのサイズは、先述の通り特に限定されないが、例えば、主表面の表面積が40000mm2以上であることが好ましい。サイズの大きいガラスほど従来カバー対象と密着性を維持しにくく、従来撓みやすい状態で用いられていたため、本発明の効果が顕著である。表面積はより好ましくは90000mm2以上であり、より好ましくは250000mm2以上である。
本実施の形態に係る化学強化ガラスは、一般的には矩形に切断されているが、円形又は多角形等の他の形状でも問題なく、穴あけ加工を施したガラスも含まれる。
本実施の形態に係る化学強化ガラスは、イオン交換処理によって表面に圧縮応力層を備える。化学強化ガラスの表面圧縮応力(CS)は200MPa以上であることが好ましく、300MPa以上、400MPa以上、500MPa以上、600MPa以上、700MPa以上、800MPa以上、900MPa以上、1000MPa以上であることがより好ましい。CSが200MPa以上であることで、ガラス表面に傷が発生しにくくなる。
又、化学強化ガラスの使用時にDOLの値を超える深さの傷がつくと化学強化ガラスの破壊につながるため、化学強化ガラスのDOLは深い方が好ましい。DOLは3μm以上であることが好ましく、4μm以上、5μm以上、6μm以上、7μm以上、8μm以上、9μm以上、であることがより好ましい。
一方、DOLを50μm以下とすることで、化学強化ガラスを容易に切断することができる。DOLはより好ましくは、40μm以下、30μm以下、20μm以下、15μm以下、12μm以下、10μm以下、10μm未満である。
本実施の形態の化学強化ガラスの内部引張応力(以下、単にCT)は、『CT=CS×DOL/(t−2×DOL)』(式(3))により算出できる。ここで、tはガラスの板厚(μm)、DOLは圧縮応力層の深さ(μm)、CSは表面圧縮応力値(MPa)である。
撓みが生じていない状態の化学強化ガラスの内部引張応力CTは、化学強化ガラスの内部引張応力CTの値を大きくすると、CSを大きく、DOLを深くできるため好ましい。換言すれば、CSまたはDOLを大きくしようとすると、必然的にCTも大きくなる。例えば、同様の応力プロファイルを有するガラスであれば、CSまたはDOLの値を10%大きくする(値を1.1倍にする)と、一般的にCTの値も約10%上がる。したがって、CTの値を大きくすることで、CSやDOLをより好ましい値に近付けることができる。
本実施の形態に係る化学強化ガラスの内部引張応力CTは、CT≦4×(t/1000+0.02)−2+90[MPa](式(4))を満たすことにより、撓みのない状態においてはガラスが割れたときに細かく飛散しにくくなっている。ここで、tは板厚(μm)であり、CT4の値、すなわち式(4)の右辺の値は、本願の発明者らが鋭意検討の結果見出した、化学強化ガラスが撓まない状態における内部引張応力CTの上限値である。板厚tが300μm未満であるような撓みやすい化学強化ガラスにおいては、式(4)を満たす数値範囲内に内部引張応力CTを制御することで、化学強化ガラスの強度を管理できる。CT4の値の根拠については後述する。
本実施の形態に係る化学強化ガラスの内部引張応力CTは、CSやDOLをより好ましい値に近付けるためにも、30MPa以上であることが好ましく、50MPa以上、70MPa以上、100MPa以上、120MPa以上、150MPa以上、200MPa以上であることがより好ましい。また、好適にCSやDOLを高めるために従来とは異なる材料設計を可能とするためにも、内部引張応力CTを式(1)により定められるCT1値より大きくすることが好ましい。
先述の通り、板厚tが300μm未満である薄い化学強化ガラスであっても、カバー対象に当接されるような環境に用いられることで、撓みが生じにくく本発明の効果を奏しやすくなるため好ましい。図3には本実施形態の化学強化ガラス200が粘着層300を介してカバー対象400に当接される例を示す。本実施形態の化学強化ガラスは、粘着層を介して式(2)で求められる曲げ剛性Dが化学強化ガラスよりも大きいカバー対象に当接されて用いられることが好ましい。これにより、ガラスが撓みにくくなるため内部引張応力CTが高い場合であっても割れたときに細かく飛散しにくくなっている。より好ましくは、カバー対象の曲げ剛性Dが化学強化ガラスの曲げ剛性Dの2倍以上であり、3倍以上であり、5倍以上であり、10倍以上であり、100倍以上である。
粘着層に含まれる樹脂としては、粘着層がカバー対象に対して接着できればよく、一般的に用いられている公知の粘着性組成物を使用することができる。例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ポリイミド樹脂、フッ素樹脂などが挙げられる。粘着性組成物は、いくつかの種類のモノマーが重合した共重合体樹脂(コポリマー)でもよく、いくつかの種類の樹脂を混合してもよい。中でもアクリル樹脂や、シリコーン樹脂が、耐熱性や剥離性、透明性に優れるため好ましい。
なお、化学強化ガラスがカバー対象に当接されるような環境であれば、粘着層300は必ずしもカバー対象の全面に接していなくてもよく、カバー対象の一部のみに接していてもよい。図4には本実施形態の化学強化ガラス200がカバー対象400に当接される別の例を示す。図4に示されるように、粘着層300は化学強化ガラス200の端部を固定するよう設けられれば十分である。これにより、化学強化ガラス200の中央部における透過率を高められる。また、図4のように固定する場合、粘着層は必ずしも樹脂を含まず、化学強化ガラスをカバー対象に当接させる機能を有してさえいれば任意の材料で固定することができる。
また、本実施形態の化学強化ガラスはカバー対象に当接ないしは貼合されて用いられることができるが、製造工程の一部において割れを抑制するなどの目的のために用いられてもよい。例えば、一度カバー対象に当接ないしは貼合された後に、カバー対象から分離して単体の化学強化ガラスとして使用することも可能である。
さらに、本実施形態の化学強化ガラスは可撓性を有するため、平面以外のカバー対象の表面にも当接させることができる。例えば、化学強化ガラスが当接するカバー対象の表面曲率半径は10000mm以下であることが、意匠性が求められる用途においては好ましく、1000mm以下であることがより好ましい。同様の用途においては、本実施形態の化学強化ガラスの主面の曲率半径も10000mm以下であることが好ましく、1000mm以下であることがより好ましい。なお、化学強化ガラスの主面の曲率半径は30mm以上であることが、動的圧縮応力による影響が大きくなりすぎないため好ましい。
(化学強化用ガラス)
本実施形態の化学強化ガラスを製造するために使用される化学強化用ガラスの組成について、特に断らない限り酸化物基準のモル%表示含有量を用いて説明する。
本実施形態の化学強化ガラスを製造するために使用される化学強化用ガラスの組成について、特に断らない限り酸化物基準のモル%表示含有量を用いて説明する。
SiO2は、ガラス微細構造の中で網目構造を形成する成分として知られている。SiO2の含有量は、好ましくは64%以上であり、より好ましくは65%以上、66%以上、67%以上である。また、SiO2の含有量は、好ましくは72%以下であり、より好ましくは71.5%以下、71%以下である。SiO2の含有量が65%以上であるとガラスとしての安定性や耐候性の点で優位である。一方、SiO2の含有量が72%以下であると熔解性および成形性の点で優位である。
Al2O3は化学強化におけるイオン交換性能を向上させる作用があり、特にCSを向上する作用が大きい。ガラスの耐候性を向上する成分としても知られている。また、錫浴を用いてフロート成形する時に錫浴に接するボトム面からの錫の浸入を抑制する作用がある。Al2O3の含有量は、好ましくは1%以上であり、より好ましくは1.5%以上、2%以上、2.5%以上、3%以上、さらに好ましくは3.4%以上である。また、Al2O3の含有量は、好ましくは9%以下であり、より好ましくは8%以下、7%以下、6%以下、5%以下、4%以下である。Al2O3の含有量が1%以上であると、イオン交換により、所望のCS値が得られ、また、錫の浸入を抑制する効果、水分量変化に対する安定性の効果、脱アルカリ促進効果が得られる。一方、Al2O3の含有量が9%以下であると、DOL値が大きくなりすぎずCT値を一定値以下に抑制できる点で優位である。
MgOは、ガラスを安定化させる成分である。MgOの含有量は、好ましくは1%以上、より好ましくは2%以上、3%以上、4%以上である。また、MgOの含有量は、好ましくは12%以下であり、より好ましくは11%以下、10%以下、9%以下、8%以下、7%以下である。MgOの含有量が1%以上であると、高温での熔解性が良好になり、失透が起こり難くなる。一方、MgOの含有量が11%以下であると、失透が起こりにくく、充分なイオン交換速度が得られる。
CaOは、ガラスを安定化させる成分である。CaOを含有する場合、その含有量は、好ましくは3%以上であり、より好ましくは4%以上、5%以上、5%超、6%以上、7%以上である。また、CaOの含有量は、好ましくは10%以下であり、より好ましくは9%以下、8%以下である。特にCaOの含有量が5%超であると、DOL値が大きくなりすぎずCT値を一定値以下に抑制できる。一方、CaOの含有量が9%以下であると、充分なイオン交換速度が得られ、所望のDOL値が得られる。
Na2Oはイオン交換により圧縮応力層を形成させる成分であり、DOLを深くする作用がある。またガラスの高温粘性と失透温度を下げ、ガラスの熔解性、成形性を向上させる成分である。Na2Oは非架橋酸素(NBO;Non・bridge・oxygen)を生み出す成分であり、ガラス中の水分も非架橋酸素を生じる成分である。そのため、ガラス中にNa2Oが一定量以上含まれていると、ガラス中の水分量が変化したときの非架橋酸素量の変動に起因するガラスの特性変動、たとえば化学強化特性の変動が少なくなる。Na2Oの含有量は、好ましくは10%以上であり、より好ましくは11%以上、12%以上、13%以上である。また、Na2Oの含有量は、好ましくは18%以下であり、より好ましくは17%以下、16%以下である。Na2Oの含有量が10%以上であると、イオン交換により所望の圧縮応力層を形成することができ、水分量変化に対する変動も抑えられる。一方、Na2Oの含有量が18%以下であると、充分な耐候性が得られ、フロート成形時にボトム面からの錫の浸入量も抑制でき、化学強化処理後にガラスを反り難くすることができる。
SiO2、Al2O3、MgO、CaOおよびNa2Oの含有量の合計は98%以上であることが好ましい。当該合計が98%未満ではクラック耐性を維持しつつ所望の圧縮応力層を得ることが困難になるおそれがある。より好ましくは98.3%以上、98.7%以上、99%以上である。
K2Oはイオン交換速度を増大しDOLを深くする効果があり、非架橋酸素を増大させる成分であるため、K2Oを含有する場合は5%以下が好ましく、より好ましくは4%以下、3%以下、2%以下、1%以下、0.8%以下、0.6%以下である。特に1%以下であるとDOLが深くなり過ぎず、また充分なCSが得られる。また、少量のK2Oは、フロート成形時にボトム面からの錫の浸入を抑える効果があるため、フロート成形する際には含有することが好ましい。この場合、K2Oの含有量は0.05%以上が好ましく、より好ましくは0.1%以上である。
上述のように、Al2O3はCSを向上させる作用があるのに対し、Na2OはDOLを深くすると同時にCSを低下させる作用がある。また、K2Oはイオン交換速度を増大しDOLを深くする作用がある。したがって、Al2O3、Na2O、K2Oを特定の比率で含有することにより、CSの値を向上して化学強化処理後に切断することが可能となる。このような観点から、(Na2O+K2O)/Al2O3の比率は5以下であり、好ましくは4.5以下であり、より好ましくは4以下である。
Al2O3は高温粘性と失透温度を上げる成分でもあり、Na2OとK2Oは両者を下げる成分でもある。(Na2O+K2O)/Al2O3が1.8以上であれば、高温粘性が低くなり、失透温度も低くなる。また、DOLを十分な深さとすることができる。また、Al2O3は非架橋酸素を減少させる成分であるが、Na2OとK2Oとは増加させる成分である。ガラスを安定的に生産し、かつ強度向上に必要なDOLを維持し、水分量変化に対して安定した化学強化特性を得るために、(Na2O+K2O)/Al2O3の比率は1.8以上であることが好ましく、より好ましくは2.2以上であり、さらに好ましくは2.4以上である。
また、同じ母組成で水分量が異なるガラスを化学強化処理した場合、CSの値が水分量の増加とともに低下し、DOLの値は水分量の増加で僅かに低下する程度で大きくは依存しない。さらに、ガラス中のNa2O、もしくはK2Oの含有量が増えると水分量が変化した時のCSの変化が小さくなる。これは、ガラス中の非架橋酸素が増加し、水分量の変化による非架橋酸素量の増減の影響が少なくなるためと考えられる。一方、Al2O3の含有量が増加するとガラス中の非架橋酸素は減少する。Al2O3を1%以上含有するガラスで、水分量によらずに安定した化学強化特性を得るためには、(Na2O+K2O)/Al2O3の比率が1.8以上であることが好ましい。
フロート法で成形されたガラスにおいては、ガラス中のAl2O3の含有量は錫の浸入に影響し、Al2O3成分が増えると錫浸入を抑制する作用がある。同時に、アルカリ成分すなわちNa2Oの含有量も錫浸入に影響し、アルカリ成分は錫浸入を増長する作用がある。したがって、Na2O/Al2O3の値を適正な範囲に保つことにより、フロート法成形での錫浸入を抑制し、化学強化後のガラスの反りを低減することが可能となる。
Al2O3とNa2Oの2成分に注目すると、CSおよびDOL、高温粘性、失透温度並びにボトム面からの錫の浸入量について互いに相反する作用がある。Al2O3とNa2Oとは特定の比率で含有することが好ましく、CSの値を向上させ、および錫浸入量を低減させるために、Na2O/Al2O3が5以下であることが好ましく、より好ましくは4.5以下、さらに好ましくは4以下である。一方、強度向上に必要なDOLを維持し、高温粘性と失透温度の上昇を抑制するために、Na2O/Al2O3が1.8以上であることが好ましく、好ましくは2以上であり、より好ましくは2.4以上である。
TiO2は天然原料中に多く存在し、黄色の着色源となることが知られている。TiO2の含有量は0.2%以下であり、好ましくは0.13%以下、より好ましくは0.1%以下である。TiO2の含有量が0.2%を超えるとガラスが黄色味を帯びる。下限値は、TiO2含有量の下限値は、望ましくは0%である。
Fe2O3は、自然界および生産ラインのあらゆるところに存在するため、その含有量をゼロにすることが極めて困難な成分である。酸化状態にあるFe2O3が黄色の着色原因となり、還元状態にあるFeOが青色の着色原因となることが知られており、両者のバランスでガラスは緑色に着色することが知られている。本実施形態のガラスをディスプレイ、窓ガラス、太陽電池のカバーガラス等に用いる場合、着色が薄いことが好ましい。全鉄量(トータルFe)をFe2O3として換算し、その含有量が0.15%以下であることが好ましく、より好ましくは0.13%以下、さらに好ましくは0.11%以下である。望ましくは0%である。
SO3はガラス原料を熔融してガラス化する際に用いられる清澄剤である。通常、ガラス中の含有量は原料から投入される量の半分以下となる。ガラス中のSO3の含有量は、0.02%以上であり、好ましくは0.05%以上であり、より好ましくは0.1%以上である。また、SO3の含有量は、0.4%以下であり、好ましくは0.35%以下であり、より好ましくは0.3%以下である。SO3の含有量が0.02%以上であると、充分に清澄し泡欠点を抑制できる。一方、SO3の含有量が0.4%以下であると、ガラス中に発生する硫酸ナトリウムの欠点を抑制できる。
この他、清澄剤として、塩化物、フッ化物などを適宜含有してもよい。本発明のガラスは本質的に以上で説明した成分からなるが、本発明の目的を損なわない範囲でその他の成分を含有してもよい。そのような成分を含有する場合、それら成分の含有量の合計は5%以下であることが好ましく、より好ましくは3%以下、典型的には1%以下である。以下、上記その他成分について例示的に説明する。
ZrO2は、一般に化学強化での表面圧縮応力を大きくする作用があることが知られている。しかし、少量のZrO2を含有してもコスト増加の割には、その効果は大きくない。したがって、コストが許す範囲で任意の割合のZrO2を含有することが出来る。含有する場合は、1%以下であることが好ましい。
SrOおよびBaOは、ガラスの高温粘性を下げ、失透温度を下げる目的で少量を含有してもよい。SrOまたはBaOにはイオン交換速度を低下させる作用があるため、含有する場合は、SrOまたはBaOとして0.5%以下であることが好ましい。
ZnOは、ガラスの高温での熔融性を向上するために、たとえば2%まで含有してもよい。しかし、フロート法で製造する場合には、フロートバスで還元され製品欠点となるので0.1%未満であることが好ましく、実質的に含有しないことがより好ましい。なお、「実質的に含有しない」とは、製造工程における不可避的な不純物として含有する量以上には含有しないことを意味する。
B2O3は高温での熔融性またはガラス強度の向上のために、1%未満の範囲で含有してもよい。一般的には、Na2OまたはK2Oのアルカリ成分とB2O3を同時に含有すると揮散が激しくなり、煉瓦を著しく浸食するので、B2O3の含有量は0.5%未満であることが好ましく、0.1%未満であることが好ましく、実質的に含有しないことが好ましい。
Li2Oは歪点を低くして応力緩和を起こりやすくし、その結果安定した圧縮応力層を得られなくする成分であるので含有しないことが好ましく、含有する場合であってもその含有量は1%未満であることが好ましく、より好ましくは0.05%以下、特に好ましくは0.01%未満である。
ガラスの溶融の際の清澄剤として、塩化物、フッ化物などを適宜含有してもよい。ただし、タッチパネルなどディスプレイ装置の視認性を上げるため、可視域に吸収をもつFe2O3、NiO、Cr2O3など原料中の不純物として混入するような成分はできるだけ減らすことが好ましく、各々質量百分率表示で0.15%以下であることが好ましく、より好ましくは0.05%以下である。
化学強化用ガラスの製造方法は特に限定されず、所望のガラス原料を連続溶融炉に投入し、ガラス原料を好ましくは1500〜1600℃で加熱溶融し、清澄した後、成形装置に供給した上で溶融ガラスを板状に成形し、徐冷することにより製造することができる。
なお、化学強化用ガラスの成形には種々の方法を採用することができる。例えば、ダウンドロー法(例えば、オーバーフローダウンドロー法、スロットダウン法およびリドロー法等)、フロート法、ロールアウト法およびプレス法等の様々な成形方法を採用することができる。
また、化学強化用ガラスの板厚tはエッチング処理によるスリミング加工によって薄く調整することができる。エッチング処理液としては、例えばHF濃度1〜5質量%、HCl濃度1質量%以上の混酸を用い、浸漬法、スプレー法、シャワーリング法等により化学強化用ガラスの表面全面にエッチング処理液を均一に接触させる。このようなエッチング処理により化学強化用ガラスを表面から1〜300μmの範囲で除去し、板厚を1μm単位で調整することができる。
本実施形態に係る化学強化ガラスに用いられる化学強化用ガラスは、スリミング加工されたものであることが好ましい。スリミング加工のされていない化学強化用ガラスを化学強化して得られた化学強化ガラスは、表面におけるアルカリ金属イオン(例えば、Na+やK+)の濃度にばらつきが存在するため、化学強化処理工程において、面内に局所的にイオン交換がされにくい部分が存在する。したがって、これにより得られた化学強化ガラスの面強度の信頼性は低い。スリミング加工を行うことで表面におけるアルカリ金属イオンの濃度を均一にできるため、得られる化学強化ガラスの面強度の信頼性がはるかに向上する。
スリミング加工をされていない化学強化ガラス表面の表面粗さRaが通常0.2〜0.5nmであるのに対し、このようなスリミング加工をされた後に化学強化された化学強化ガラス表面の表面粗さRaは1nm以上である。透明性や美観を損ねないためにも表面粗さRaは300nm以下であることが好ましい。
本実施形態に係る化学強化ガラスの組成は、上記した化学強化用ガラスの組成と同一と考えてよい。後述の化学強化によりガラス表面のNaイオンと無機塩中のKイオンとがイオン交換されるが、全体の組成の変化としては無視できる。
(化学強化処理)
化学強化処理により、大きなイオン半径のアルカリ金属イオン(典型的には、Kイオン)を含むアルカリ金属塩(例えば、硝酸カリウム塩)の融液に浸漬等によって、ガラス基板を接触させることにより、ガラス基板中の小さなイオン半径の金属イオン(典型的には、Naイオン)が大きなイオン半径の金属イオンと置換される。これにより、アルカリ金属イオンの占有面積の差によりガラス表面に圧縮応力を発生させ、圧縮応力層を形成する。
化学強化処理により、大きなイオン半径のアルカリ金属イオン(典型的には、Kイオン)を含むアルカリ金属塩(例えば、硝酸カリウム塩)の融液に浸漬等によって、ガラス基板を接触させることにより、ガラス基板中の小さなイオン半径の金属イオン(典型的には、Naイオン)が大きなイオン半径の金属イオンと置換される。これにより、アルカリ金属イオンの占有面積の差によりガラス表面に圧縮応力を発生させ、圧縮応力層を形成する。
ガラスとアルカリ金属イオンを含む溶融塩とを接触させる処理温度及び処理時間は、ガラス及び溶融塩の組成に応じて適宜調整する。溶融塩の加熱温度は、通常350℃以上が好ましく、370℃以上がより好ましい。又、通常500℃以下が好ましく、450℃以下がより好ましい。溶融塩の加熱温度を350℃以上とすることにより、イオン交換速度の低下により化学強化が入りにくくなるのを防ぐ。又、500℃以下とすることにより溶融塩の分解・劣化を抑制することができる。
例えば、アルミノシリケートガラスを溶融塩に接触させる時間は、十分な表面圧縮応力を付与するためには、通常1時間以上が好ましく、2時間以上がより好ましい。例えば、ソーダライムガラスを溶融塩に接触させる時間は、より深い圧縮応力層を付与するため、3時間以上が好ましく、4時間以上、5時間以上、6時間以上が好ましい。又、長時間のイオン交換では、生産性が落ちるとともに、緩和により表面圧縮応力値が低下するため、アルミノシリケートガラスの場合は72時間以下が好ましく、24時間以下、8時間以下がより好ましい。ソーダライムガラスの場合はイオン交換に要する時間が比較的長いため、300時間以下が好ましく、200時間以下、100時間以下がより好ましい。
イオン交換処理を行うための溶融塩としては、例えば、硝酸カリウム塩、硫酸カリウム塩、炭酸カリウム塩及び塩化カリウム塩等のアルカリ硝酸塩、アルカリ硫酸塩及びアルカリ塩化物塩等が挙げられる。これらの溶融塩は単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。又、化学強化特性を調整するために、ナトリウム(Naイオン)やリチウム(Liイオン)を含む塩を混ぜてもよい。
イオン交換処理を行うための溶融塩は、少なくともカリウムイオンを含む処理塩を用いることが好ましい。このような処理塩としては、例えば、硝酸カリウムを50質量%以上含有する塩が好適に挙げられる。又、混合溶融塩には、その他の成分を含有してもよい。その他の成分としては、例えば、硫酸ナトリウム及び硫酸カリウム等のアルカリ硫酸塩、並びに塩化ナトリウム及び塩化カリウム等のアルカリ塩化塩等が挙げられる。
本実施の形態に係る化学強化ガラスにおいて、化学強化処理の処理条件は、特に限定されず、ガラスの特性及び溶融塩等を考慮して最適な条件を選択できる。
また、化学強化処理は、連続的な工程、例えばガラス板製造工程において連続的に移動するガラスリボンに対してオンラインで順次行ってもよいし、又は非連続的にオンラインで行ってもよい。
本実施の形態に係る化学強化ガラスの用途は、特段限定されない。高い機械的強度を有することから、落下による衝撃や、他の物質との接触が予想される箇所への使用に好適である。例えば、本実施の形態に係る化学強化ガラスは、タブレットPC、ノートPC、スマートフォン及び電子書籍リーダー等の情報機器に備えられたタッチパネルディスプレイのカバーガラス及びタッチセンサーガラス、液晶テレビ及びPCモニタ等のカバーガラス、自動車インパネ等のカバーガラス、太陽電池用カバーガラス、建材の内装材、並びにビルや住宅の窓に用いられる複層ガラス等に用いることができる。すなわち、タブレットPC又はスマートフォン等のディスプレイの大きさであったり、太陽電池用カバーガラスであったり、それぞれの用途に応じた大きさとなる。
[実施例]
本実施の形態に係る化学強化ガラスに対応する実施例を示す。
本実施の形態に係る化学強化ガラスに対応する実施例を示す。
<評価方法>
本実施例における各種評価は以下に示す分析方法により行った。
(ガラスの評価:表面応力)
本実施例における各種評価は以下に示す分析方法により行った。
(ガラスの評価:表面応力)
(化学強化ガラスの評価:割れ挙動)
化学強化ガラスの割れ挙動は次のように評価した。図5に評価方法を概略図により示す。まず、圧子110を、その先端部111が化学強化ガラスの表面210に対して垂直となるように静的荷重条件下で押し込んだ。圧子110が取り付けられるビッカース硬さ試験機100は、フューチュアテック社製FLS−ARS9000を用いた。圧子110は、先端部111の対面角度が60°のものを用い、化学強化ガラスの表面210に60μm/秒の速度で圧子110に1.0kgf(≒9.8N)の荷重がかかるよう押し込み、当該荷重に達した状態で15秒間保持し、その後圧子を除荷し15秒後の化学強化ガラス200を観察した。これにより割れた化学強化ガラス200の破片の数(破砕数)を計量し、化学強化ガラス200の割れ挙動を評価した。
化学強化ガラスの割れ挙動は次のように評価した。図5に評価方法を概略図により示す。まず、圧子110を、その先端部111が化学強化ガラスの表面210に対して垂直となるように静的荷重条件下で押し込んだ。圧子110が取り付けられるビッカース硬さ試験機100は、フューチュアテック社製FLS−ARS9000を用いた。圧子110は、先端部111の対面角度が60°のものを用い、化学強化ガラスの表面210に60μm/秒の速度で圧子110に1.0kgf(≒9.8N)の荷重がかかるよう押し込み、当該荷重に達した状態で15秒間保持し、その後圧子を除荷し15秒後の化学強化ガラス200を観察した。これにより割れた化学強化ガラス200の破片の数(破砕数)を計量し、化学強化ガラス200の割れ挙動を評価した。
<例1〜33>
(第1の化学強化工程)
まず、板厚330μmのアルミノシリケートガラス(組成は下記参照)をエッチング処理によりスリミング加工することにより、50mm×50mm×98〜256μmtのアルミノシリケートガラスを得た。次に、SUS製のカップに硝酸カリウム(KNO3)と硝酸ナトリウム(NaNO3)を、その合計量が3500gとなり、かつKNO3の濃度(質量%)がそれぞれ表1の第1の化学強化工程の項に示す通りとなるよう加え、マントルヒーターで所定の温度まで加熱して、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合溶融塩を調製した。ここに、先述のアルミノシリケートガラスを425℃まで予熱した後、溶融塩に所定の時間浸漬し、イオン交換処理した後、室温付近まで冷却することにより化学強化処理を行った。化学強化処理の条件は、表1に記載の通りである。得られた化学強化ガラスを純水で数回洗浄した後、エアブローにより乾燥した。以上より、例1〜33の化学強化ガラスを得た。
(第1の化学強化工程)
まず、板厚330μmのアルミノシリケートガラス(組成は下記参照)をエッチング処理によりスリミング加工することにより、50mm×50mm×98〜256μmtのアルミノシリケートガラスを得た。次に、SUS製のカップに硝酸カリウム(KNO3)と硝酸ナトリウム(NaNO3)を、その合計量が3500gとなり、かつKNO3の濃度(質量%)がそれぞれ表1の第1の化学強化工程の項に示す通りとなるよう加え、マントルヒーターで所定の温度まで加熱して、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合溶融塩を調製した。ここに、先述のアルミノシリケートガラスを425℃まで予熱した後、溶融塩に所定の時間浸漬し、イオン交換処理した後、室温付近まで冷却することにより化学強化処理を行った。化学強化処理の条件は、表1に記載の通りである。得られた化学強化ガラスを純水で数回洗浄した後、エアブローにより乾燥した。以上より、例1〜33の化学強化ガラスを得た。
アルミノシリケートガラス(比重:2.41)組成(モル%表示):SiO2 64.5%、Al2O3 8%、Na2O 12.5%、K2O 4.0%、MgO 10.5%、ZrO2 0.5%
こうして得られた化学強化ガラスについて各種評価を行った。また、これらにより求めたCS値、DOL値、および板厚t(単位:μm)から、式(3)に基づくCT値を求めた。また、CT1値は、板厚t(単位:μm)から、CT1=−38.7×ln(t/1000)+48.2[MPa]として求めた。結果を表1に示す。
<例34〜41>
(第1の化学強化工程)
まず、板厚330μmのソーダライムガラス(組成は下記参照)をエッチング処理によりスリミング加工することにより、50mm×50mm×50〜119μmtのソーダライムガラスを得た。次に、SUS製のカップに硝酸カリウム(KNO3)と硝酸ナトリウム(NaNO3)を、その合計量が3500gとなり、かつKNO3の濃度(質量%)がそれぞれ表1の第1の化学強化工程の項に示す通りとなるよう加え、マントルヒーターで所定の温度まで加熱して、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合溶融塩を調製した。ここに、先述のソーダライムガラスを425℃まで予熱した後、溶融塩に所定の時間浸漬し、イオン交換処理した後、室温付近まで冷却することにより化学強化処理を行った。化学強化処理の条件は、表1に記載の通りである。得られた化学強化ガラスを純水で数回洗浄した後、エアブローにより乾燥した。以上より、例34〜41の化学強化ガラスを得た。
(第1の化学強化工程)
まず、板厚330μmのソーダライムガラス(組成は下記参照)をエッチング処理によりスリミング加工することにより、50mm×50mm×50〜119μmtのソーダライムガラスを得た。次に、SUS製のカップに硝酸カリウム(KNO3)と硝酸ナトリウム(NaNO3)を、その合計量が3500gとなり、かつKNO3の濃度(質量%)がそれぞれ表1の第1の化学強化工程の項に示す通りとなるよう加え、マントルヒーターで所定の温度まで加熱して、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合溶融塩を調製した。ここに、先述のソーダライムガラスを425℃まで予熱した後、溶融塩に所定の時間浸漬し、イオン交換処理した後、室温付近まで冷却することにより化学強化処理を行った。化学強化処理の条件は、表1に記載の通りである。得られた化学強化ガラスを純水で数回洗浄した後、エアブローにより乾燥した。以上より、例34〜41の化学強化ガラスを得た。
ソーダライムガラス(比重:2.50)組成(モル%表示):SiO2 68.8%、Al2O3 2.9%、Na2O 14.2%、K2O 0.2%、MgO 6.1%、MgO 7.8%
こうして得られた化学強化ガラスについて各種評価を行った。また、これらにより求めたCS値、DOL値、および板厚t(単位:μm)から、式(3)に基づくCT値を求めた。また、CT1値は、板厚t(単位:μm)から、CT1=−38.7×ln(t/1000)+48.2[MPa]として求めた。結果を表2に示す。
また、表1、2の各試料について、板厚と内部引張応力CT値の関係を図6にプロットした。また、CT1値に相当する曲線(図中の破線)も示した。なお、図6において、破壊した際に破砕数が10個以下であった試料を○でプロットし、10個超であった試料を×でプロットした。
図6の結果から、CT値がCT1値を超えたガラスでも、破壊した際に破砕数の少ないものがあることが分かった。これは、本試験では圧子110は、先端部111の対面角度が60°と鋭いものを用いており、かつ化学強化ガラスの表面210に60μm/秒の速度で圧子110に1.0kgf(≒9.8N)の荷重がかかるようゆっくりと(静的に)押し込んでいるため、板厚tの薄い試料であってもほぼ撓まなかったことによる影響であると考えられる。
なお、“ほぼ撓まなかった”なる意味は、荷重が負荷された際において、当該負荷の瞬間時には一時的に撓むものの、ガラスを全体的に見た場合に、上記試験の全体を通じて撓みのない状態、すなわち、本発明でいうところの撓みのないガラスの状態を意味するものである。
したがって、板厚tが薄い化学強化ガラスにおいて、撓まないような条件下でガラスが割れたときに細かく飛散し始めるCTの値(上限)は、従来上限と思われていたCT1値とは大きく異なる。これは、従来のような板厚tが厚くそもそも撓みにくい化学強化ガラスや、板厚tが薄くても撓みの影響がある状態(例えば圧子を衝突させて)の化学強化ガラスの割れ挙動を観察したような場合には見られなかった現象である。
一方で、図6の結果から、化学強化ガラスの内部引張応力CTがCT1値とは異なるある臨界値を超えると、破壊した際に破砕数が多くなることが分かった。この臨界値にあたる数値は曲線で近似することができる。撓みの影響がない状態における板厚tの薄い化学強化ガラスの割れ挙動を管理できるよう、表1、2にCT4の値(すなわち式(4)の右辺)を示し、図6に前記近似により得られる曲線(図中の実線)を示した。表1、2および図6で示すように、板厚t[μm]の関数で4×(t/1000+0.02)−2+90[MPa]を超える内部引張応力CTを有する化学強化ガラスでは、破砕数が多かった。そこで、本明細書では内部引張応力CTの上限値を、上記実線で示されるCT4=4×(t/1000+0.02)−2+90[MPa]と定義した。内部引張応力CTは、前述の式(4)を満たすことが、ガラスが割れたときに細かく飛散しにくいため好ましい。この条件は、本願発明者らが鋭意検討の結果見出した、撓みの影響がない化学強化ガラスの内部引張応力CTの上限値である。
<例42〜47>
(第1の化学強化工程)
まず、板厚330μmのソーダライムガラス(組成は下記参照)をエッチング処理によりスリミング加工することにより、50mm×50mm×230μmtのソーダライムガラスを得た。次に、SUS製のカップに硝酸カリウム(KNO3)と硝酸ナトリウム(NaNO3)を、その合計量が3500gとなり、かつKNO3の濃度(質量%)がそれぞれ表3の第1の化学強化工程の項に示す通りとなるよう加え、マントルヒーターで所定の温度まで加熱して、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合溶融塩を調製した。ここに、先述のソーダライムガラスを425℃まで予熱した後、溶融塩に所定の時間浸漬し、イオン交換処理した後、室温付近まで冷却することにより化学強化処理を行った。化学強化処理の条件は、表3に記載の通りである。得られた化学強化ガラスを純水で数回洗浄した後、エアブローにより乾燥した。以上より、例42〜47の化学強化ガラスを得た。
(第1の化学強化工程)
まず、板厚330μmのソーダライムガラス(組成は下記参照)をエッチング処理によりスリミング加工することにより、50mm×50mm×230μmtのソーダライムガラスを得た。次に、SUS製のカップに硝酸カリウム(KNO3)と硝酸ナトリウム(NaNO3)を、その合計量が3500gとなり、かつKNO3の濃度(質量%)がそれぞれ表3の第1の化学強化工程の項に示す通りとなるよう加え、マントルヒーターで所定の温度まで加熱して、硝酸カリウムと硝酸ナトリウムの混合溶融塩を調製した。ここに、先述のソーダライムガラスを425℃まで予熱した後、溶融塩に所定の時間浸漬し、イオン交換処理した後、室温付近まで冷却することにより化学強化処理を行った。化学強化処理の条件は、表3に記載の通りである。得られた化学強化ガラスを純水で数回洗浄した後、エアブローにより乾燥した。以上より、例42〜47の化学強化ガラスを得た。
ソーダライムガラス(比重:2.50)組成(モル%表示):SiO2 68.8%、Al2O3 2.9%、Na2O 14.2%、K2O 0.2%、MgO 6.1%、MgO 7.8%
こうして得られた化学強化ガラスについて各種評価を行った。また、これらにより求めたCS値、DOL値、および板厚t(単位:μm)から、式(3)に基づくCT値を求めた。また、CT1値は、板厚t(単位:μm)から、CT1=−38.7×ln(t/1000)+48.2[MPa]として求め、CT4の値は、CT4=4×(t/1000+0.02)−2+90[MPa]として求めた。結果を表3に示す。
例42〜45の化学強化ガラスの表面に対して、60μm/秒の速度で圧子に1.0kgf(≒9.8N)の荷重がかかるよう押し込み、当該荷重に達した状態で15秒間保持し、その後圧子を除荷し15秒後の状態を観察したときの写真を、それぞれ図7〜10に示す。表3にも示す通り、これらの化学強化ガラスの破砕数はいずれも4個以下であった。
一方、例42〜45の化学強化ガラスの表面に対して、圧子に10gの錘を付けた状態で30mmの高さから圧子を自由落下させ、約0.8m/秒の速度で圧子をガラスに衝突させ、その後ガラスの状態を観察したが、いずれも破砕数は10個超となった。
また、例42〜45の化学強化ガラスの表面に対して、先端部の対面角度が136°の圧子を用い、60μm/秒の速度で圧子に1.0kgf(≒9.8N)の荷重がかかるよう押し込み、当該荷重に達した状態で15秒間保持し、その後圧子を除荷し15秒後の状態を観察したが、いずれも破砕数は10個超となった。
このような割れ挙動の違いは、圧子の押し込み速度、および圧子の先端部の対面角度に大きく依存している。圧子を高速度で化学強化ガラスに押し込んだり、圧子の先端部の対面角度が大きいものを用いると、衝突と同様に薄い化学強化ガラスが撓むため、動的圧縮応力・引張応力の影響を無視できない。これにより、例42〜45の化学強化ガラスも比較的低いCTにも関わらず粉々に破砕される。
一方で、圧子を低速度(例えば60μm/秒の速度)で押し込むと、化学強化ガラスはほとんど撓まないため、例42〜45の化学強化ガラスは粉々には破砕しない。これは、化学強化ガラスがカバー対象に当接され、撓みにくくなっているような環境を疑似的に再現している。
例46、47の化学強化ガラスの表面に対して、60μm/秒の速度で圧子に1.0kgf(≒9.8N)の荷重がかかるよう押し込み、当該荷重に達した状態で15秒間保持し、その後圧子を除荷し15秒後の状態を観察したときの写真を、それぞれ図11、12に示す。表3にも示す通り、これらの化学強化ガラスの破砕数はいずれも1000個以上であった。内部引張応力CTが式(4)を満たさないほど大きい場合には、撓みの影響の有無に関わらず粉々に破砕されることが分かる。
これらの結果より、板厚tが薄い化学強化ガラスであっても、式(4)を満たす数値範囲内に内部引張応力CTを制御することで、撓みにくい条件下での化学強化ガラスの割れ挙動を管理できる。
以上、好ましい実施の形態及び実施例について詳説したが、上述した実施の形態及び実施例に制限されることはなく、特許請求の範囲に記載された範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態及び実施例に種々の変形及び置換を加えることができる。又、上記の各実施の形態は、適宜組み合わせることができる。また、本出願は、2015年8月11日付で出願された日本特許出願(特願2015−158843号)の記載に基づいており、その全体が援用される。また、当該に本出願で引用される全ての内容は、参照事項として本出願に取り込まれる。
100 ビッカース硬さ試験機
110 圧子
111 先端部
200 化学強化ガラス
210 化学強化ガラスの表面
110 圧子
111 先端部
200 化学強化ガラス
210 化学強化ガラスの表面
Claims (8)
- 板厚が300μm未満であり、
表面圧縮応力が200MPa以上であり、
内部引張応力CT(MPa)と板厚t(μm)が、CT≦4×(t/1000+0.02)−2+90を満たすことを特徴とする、化学強化ガラス。 - 内部引張応力CT(MPa)と板厚t(μm)とが、CT>−38.7×ln(t/1000)+48.2を満たすことを特徴とする、請求項1に記載の化学強化ガラス。
- 圧縮応力層の深さが3μm以上であることを特徴とする、請求項1または2に記載の化学強化ガラス。
- 圧縮応力層の深さが50μm以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の化学強化ガラス。
- 化学強化ガラスの表面の表面粗さRaが1〜300nmであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の化学強化ガラス。
- 前記表面粗さRaは、スリミング加工によって制御することを特徴とする、請求項5に記載の化学強化ガラス。
- 酸化物基準のモル%表示でSiO2を64〜72%、Na2Oを10〜18%、K2Oを0〜5%、Al2O3を1〜9%含有し、(Na2O+K2O)/Al2O3の比率が1.8〜5であることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化学強化ガラス。
- 前記化学強化ガラスが、曲げ剛性が前記化学強化ガラスよりも大きいカバー対象に、粘着層を介して当接されて用いられることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか1項に記載の化学強化ガラス。
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