JPWO2017018444A1 - ビームセンサ用グラファイトシート、それを用いたビームセンサ用電極及びビームセンサ - Google Patents

ビームセンサ用グラファイトシート、それを用いたビームセンサ用電極及びビームセンサ Download PDF

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Abstract

本発明は、レーザー加工時の歩留まりに優れたビームセンサ用グラファイトシートを提供することを課題とする。本発明はa−b面の表面に目玉状凸部を含まないことを特徴とするビームセンサ用グラファイトシートである。

Description

本発明は、ビームセンサ用グラファイトシート、それを用いたビームセンサ用電極、およびビームセンサに関するものである。好ましくは、加速器ビームセンサに関し、それに用いられるグラファイトシート、電極などを含む。
加速器は、荷電粒子を加速し、この集合体のビームを調製する。加速器ビームは、物質科学、生命科学、高エネルギー物理学、医療用途等の分野での最先端の技術に頻度高く使用されている。
ところで、この加速器ビームは、通過ビームの形状を破壊せずにリアルタイムで観測することが重要となっており、通過ビームに悪影響を及ぼさない事、検出感度が十分である事、及び長期連続使用できる耐久性がある事を満足する加速器ビームセンサが望まれている。
この加速器ビームセンサとして、例えば、所定のグラファイトシート(カーボングラファイト薄膜)をレーザー加工でリボン化することによって得られるビームモニタ用電極やビームモニタ装置が知られている(特許文献1)。
カーボングラファイト薄膜は、金属等に比べて耐熱性がある事から、長時間のビーム照射に対する耐久性を実現できる。しかしながら、特許文献1のカーボングラファイト薄膜は、特許文献2の方法で製造されたものであり、具体的には熱キュア法によって得られるポリイミドを炭素化した後、この炭素化フィルムを熱間等方圧プレス装置で加圧しながらグラファイト化することによって得られる薄膜である。そして、こうしたカーボングラファイト薄膜ではレーザー加工時に破断する確率が高く、歩留まりが劣っていた。また膜厚を薄くすることも難しく、実施例では2.2μm程度であって、加速器ビームが通過した際のビーム損失を小さくするにも限界があった。またリボン状に加工した後のリボンごとの電気抵抗のバラツキも大きかった。
特開2007−101367号公報 特開2002−308611号公報
そこで、本発明は、レーザー加工時の歩留まりに優れたビームセンサ用グラファイトシート(好ましくは加速器ビームセンサ用グラファイトシート)を提供することを課題として掲げた。なおこのグラファイトシートは、加速器以外のビームセンサに用いることも可能である。
本発明は、その好ましい態様において、ビーム損失低減、耐久性向上なども課題として掲げ、照射ビームに影響を殆ど及ぼすことなくリアルタイムでビーム形状を計測することも課題とする。
ところで、例えば図1に示された本発明のビームセンサ用電極においては、ビーム中心部に対応するリボン状グラファイトからの信号は大きく、ビーム端部に対応するリボン状グラファイトからの信号は小さくなるので、ビーム形状を正確に把握する場合、リボン状グラファイトからの信号を読み取るためのA/Dコンバータのダイナミックレンジを大きくとる必要がある。しかし、ビーム中心部に対応する信号が飽和しないように入力の許容範囲を設定すると、端部に対応する信号が小さくなり誤差が発生しやすくなるため、重心計算の誤差が大きくなってしまうという問題がある。
この点に鑑み、本発明は、その好ましい態様において、ビーム形状の測定を精密に行うことができるビームセンサ用電極やこれに使用されるビームセンサ用グラファイトシートを提供することも課題とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、得られるグラファイトシートの表面に目玉状の凸部が無く厚み誤差が少なく、レーザー加工時の歩留まりが向上すること、そしてこの様な表面に目玉状の凸部が無く厚み誤差が少ないグラファイトシートを製造する場合、グラファイトシートを従来よりも薄くすることも可能となり、ビームセンサに用いた時のビーム損失を小さくでき、十分な耐久性及び検出感度を有するビームセンサ用グラファイトシート(好ましくは加速器ビームセンサ用グラファイトシート)が得られることを見出し、本発明を完成した。
また、必要に応じてリボン状グラファイトの幅及び間隔の一方又は両方を変化させると、より正確にビーム形状を測定できる。
すなわち、本発明に係る要旨は以下の通りである。
[1] a−b面(シート面)の表面に目玉状凸部を含まないことを特徴とするビームセンサ用グラファイトシート。
[2] 膜厚のバラツキが20%以下であることを特徴とするビームセンサ用グラファイトシート。
[3] 加速器ビームセンサ用である[1]又は[2]に記載のグラファイトシート。
[4] a−b面(シート面)の表面に目玉状凸部を含まない[2]又は[3]に記載のグラファイトシート。
[5] 膜厚が2.2μm未満である[1]〜[4]のいずれか1つに記載のグラファイトシート。
[6] 5Kと300Kにおける抵抗率比(残留抵抗率比)が1.2以上である[1]〜[5]のいずれか1つに記載のグラファイトシート。
[7] 電気伝導度が16000S/cm以上である[1]〜[6]のいずれか1つに記載のグラファイトシート。
[8] 脱水剤及び第三級アミンから選択される1種以上を用いて、芳香族ポリイミドを成膜して厚さが100nm〜7.3μmのフィルムとし、得られる芳香族ポリイミドフィルムをグラファイトシート、ガラス状カーボンシート、グラファイト板及びグラッシーカーボン板からなる群より選択される1種以上で挟んでプレスしながら2800℃以上の温度で熱処理して得られる[1]〜[7]のいずれか1つに記載のグラファイトシート。
[9] [1]〜[8]のいずれか1つに記載のグラファイトシートをリボン状に切断してなり、これら複数のリボン状グラファイトが一定間隔で同一平面上に配置されてなることを特徴とするビームセンサ用電極。
[10] [1]〜[8]のいずれか1つに記載のグラファイトシートをリボン状に切断してなり、これら複数のリボン状グラファイトの幅及びリボン状グラファイト間の間隔のいずれか一方又は両方が変更されて同一平面上に配置されてなることを特徴とするビームセンサ用電極。
[11] 前記リボン状グラファイトの幅が100μm〜100mm、前記リボン状グラファイトの間隔が10μm〜100mm、前記リボン状グラファイトの長さが10mm〜800mmである[9]又は[10]に記載のビームセンサ用電極。
[12] [9]〜[11]のいずれか1つに記載のビームセンサ用電極と、該電極の前面及び背面に平行して配設されかつ該電極から放出される二次電子を受け入れる一組の二次電子捕捉用電極とを有することを特徴とするビームセンサ。
[13] 複数の前記ビームセンサ用電極を、各電極面を平行にしつつ各電極面が前後に並ぶ様に配置し、各電極面のリボン状グラファイトが互いに異なる方向に配向している[12]に記載のビームセンサ。
本発明によれば、レーザー加工時の歩留まりと厚み均一性に優れたビームセンサ用グラファイトシート(好ましくは加速器ビームセンサ用グラファイトシート)を提供できる。また、好ましくは、薄さ、ビーム損失低減、耐久性向上を実現でき、照射ビームに殆ど影響を及ぼすことなくリアルタイムでビーム形状を計測することもできる。このグラファイトシートを用いたビームセンサ(好ましくは加速器ビームセンサ)は、大強度陽子加速器のような大型の加速器のみならず、加速器一般に好適に使用可能なものである。例えば民生用の小型加速器にも使用でき、がん治療を目的とした陽子線治療装置(治療対象:脳腫瘍、肺がん、肝細胞がん、前立腺がんなど、加速器:サイクロトロン型など)、重粒子線(例えば炭素イオンビーム)治療装置(治療対象:骨、軟部の肉腫、悪性黒色腫など、加速器:シンクロトロン型など)、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)装置(治療対象:頭頸部がん、脳腫瘍、黒色腫、中皮腫、乳がん、肝がん、直腸がん、肛門がんなど、ビーム:中性子ビーム(途中段階で負極性水素イオンビーム、陽子ビームなど)、加速器:例えばサイクロトロン型など)、がん診断(発見)を目的とした陽電子放射断層撮影(PET)診断用のPET用放射性薬剤製造装置(加速器:サイクロトロン型など)などにも好適に使用できる。
加えて、本発明によれば、検出誤差が小さくなるため、ビーム形状の測定精度が高くなる。
図1は、本発明のビームセンサの一態様を示す斜視図である。 図2は、図1に示した本発明のビームセンサの一態様において、更に加速器を示した斜視図である。 図3は、本発明のビームセンサに用いられるセンサターゲットにおいて、リボン状グラファイトの配置状態の一例を示す概略平面図である。 図4は、本発明のビームセンサに用いられるセンサターゲットにおいて、リボン状グラファイトの配置状態の他の例を示す概略平面図である。 図5は、本発明のビームセンサに用いられるセンサターゲットにおいて、リボン状グラファイトの配置状態のさらに他の例を示す概略平面図である。 図6は、本発明のビームセンサに用いられるセンサターゲットにおいて、リボン状グラファイトの配置状態の別の例を示す概略平面図である。 図7は、本発明のビームセンサに用いられるセンサターゲットにおいて、リボン状グラファイトの配置状態のさらに別の例を示す概略平面図である。 図8は、本発明のビームセンサに用いられるセンサターゲットにおいて、リボン状グラファイトの配置状態の他の例を示す概略平面図である。 図9は、本発明のビームセンサに用いられるセンサターゲットにおいて、リボン状グラファイトの配置状態のさらに他の例を示す概略平面図である。 図10は、本発明のビームセンサに用いられるセンサターゲットにおいて、リボン状グラファイトの配置状態の別の例を示す概略平面図である。
以下、図示例を参照しつつ本発明をさらに詳細に説明する。図1は、本発明のグラファイトシート(多層グラフェン薄膜、グラファイト薄膜)が適用可能な加速器ビームセンサの一例を示す概略斜視図である。図2は、図1に示した加速器ビームセンサにおいて、更に加速器5を示した概略斜視図である。
図1及び図2において、加速器ビームセンサ100は、前側二次電子捕捉用電極2と、加速器ビームセンサ用電極3と、後側二次電子捕捉用電極4とを構成部材として含む。
加速器ビームセンサ用電極3は、通常、前側二次電子捕捉用電極2と後側二次電子捕捉用電極4との間に挿入して使用され、これらはビームハロー1からのビーム10の軌道上に設置されている。本発明のビームセンサでは、ビーム10のみでなくビームハロー1の部分のプロファイルをモニタリングすることも可能である。
より詳細には、加速器ビームセンサ用電極3は、複数のリボン状グラファイト30が所定間隔おきに(すなわち隣り合うリボン状グラファイト間の最短距離を一定にして、かつ隣り合うリボン状グラファイト間の重心距離を一定にしつつ)水平方向に沿って並設されており、これら複数のリボン状グラファイト30は全体として1つのセンサターゲット31を構成し、このセンサターゲット31がビーム軌道に配置される。この図示例では、リボン状グラファイト30とプリント配線33の数がそれぞれ8個描かれているが、これらの数は8個に限定されず、ビーム径、グラファイトシートの幅、間隔等に応じて適宜設定され、例えば、2〜100本(すなわち、2本以上、100本以下)の範囲から設定される。
そして前記各リボン状グラファイト30は、絶縁性のフレーム基板32に設けられたプリント配線33の接続用の端子に導通可能に固定されており、この端子は図示しない電荷積分器に接続している。なお前記フレーム基板32には、グランド用のプリント配線が設けられていてもよい。
一方、二次電子捕捉用電極2、4では、グラファイトシートからなる捕捉極20、40がいずれもビーム軌道に配置されており、これら捕捉極20、40は絶縁性のフレーム基板22、42に設けられたプリント配線23、43に導通可能に固定されている。これら捕捉用電極2、4のプリント配線23、43は、それぞれ独立して、図示しない直流電源装置に接続している。
この様な加速器ビームセンサ用電極3を二次電子捕捉用電極2、4と組み合わせ、加速器ビームセンサ用電極3のセンサターゲット31よりも正電位となるように二次電子捕捉用電極2、4の捕捉極20、40に直流電源装置から電圧を印加すれば、ビームプロファイルを計測可能になる。具体的には、ビームハロー1からの荷電粒子(ビーム10)をセンサターゲット31に入射し、各リボン状グラファイト30に接続するそれぞれの電荷積分器の正電荷信号を検出することによって、入射した荷電粒子ビームの垂直方向のビームプロファイルを計測できる。この電荷積分器の正電荷信号は、アンプ増幅して積分し、次いでマルチプレックスしてオシロスコープに表示させてもよい。
そして本発明では、以上の様な加速器ビームセンサ用電極3で使用されるリボン状グラファイト30に、特定のグラファイトシート(多層グラフェン薄膜)を採用する点に特徴がある。このグラファイトシートは、(1)大面積で表面に目玉状凸部が無い為、及び/又はシートの厚み均一性に優れる為、レーザー加工性に優れ、リボン状グラファイト作製の歩留まりが高くなり、(2)好ましい態様では、膜厚が薄くビーム損失が少ない為、通過ビームの形状を損なうことなくそのままリアルタイムで計測でき、(3)金属薄膜に比べて、長期耐久性を維持することができる。なお二次電子捕捉用電極2、4の捕捉極20、40には、通常のグラファイトシート、金属薄膜などのような従来の二次電子捕捉電極用材料を用いてもよいが、これら捕捉極20、40にも本発明の特定のグラファイトシートを用いるのが好ましい。これにより、ビーム損失を低減しつつ二次電子を効率的に捕捉することが可能となる。
本発明で用いるグラファイトシート(多層グラフェン薄膜)は、a−b面(シート面、グラファイトの炭素原子が六角網目状の格子を形成している面)の表面に目玉状凸部を含まない点、及び/又は膜厚のバラツキが20%以内である点に特徴がある。前記a−b面は、シートの表面または裏面(シート状の立体形状のうち、最も面積が大きな2つの面のうちいずれか)であるということもできる。従来のグラファイトシートは、こうした目玉状凸部が存在したり、シートの膜厚のバラツキが大きかったりしていたのに対して、本発明のグラファイトシートは、これらが改善され、表面と膜厚の均一性が優れている。ここでいう目玉状凸部は、典型的には、上から見て点対称であると共に山状に盛り上がっているものを指すが、グラファイトシート表面上に存在する凸部であれば特に限定されず、例えば、高分子膜を成膜した際の皺がそのまま炭素化・グラファイト化されて形成される皺であってもよい。また炭素化やグラファイト化の際に起こる不均一な収縮、膨張によって形成される皺であってもよい。凸部は、目玉形状を示すのであれば、目玉形状の直径又は高さは種々の大きさであってもよい。例えば目玉状凸部は、シート面の上から見て直径1mm以上、4mm以下の円形や楕円形で、高さが50μm以上、2mm以下の山状に盛り上がっている部分であり、該目玉状凸部の周囲には例えば上から見て同心円状の直径1.2mm以上、8mm以下、高さ50μm以上、2mm以下の凸部(凸部は、グラファイトシートの反対面から見ると凹部と言える)が形成されている場合もある。このような同心円状の凸部は目玉状凸部の周囲に2重〜5重に形成されることもある。本発明において、シート面上の凸部であっても、上から見て狭いほうの寸法(幅)が0.4mm未満であり、なおかつ長さ方向と幅方向の寸法の比率(長さ方向の寸法/幅方向の寸法)が8以上ある筋状のシワは、目玉状凸部とは言わない。かかる凸部(目玉状凸部)が存在したり、厚みバラツキが大きい従来のグラファイトシートでは、レーザーでグラファイトシートを所定の形状に加工する場合、例えば、リボン状に切断する際に、凸部を起点としてグラファイトシートに亀裂が入り又はグラファイトシートが途中で切れ、得られるリボン状グラファイトの歩留まりが低くなる虞がある。
前記グラファイトシートの膜厚バラツキは、好ましくは20%以下、より好ましくは19%以下、さらに好ましくは18%以下、特に好ましくは17%以下である。また15%以下、12%以下、10%以下、8%以下、5%以下であることはなお一層好ましい。これより大きなグラファイトシート内の厚みバラツキがあっても、レーザー加工性が良好でビーム損失が小さければ、本発明に使用可能である。
ここで、グラファイトシートの任意の5点において膜厚T1〜T5を測定したときの算術平均値をTaveとし、膜厚T1〜T5のうち、膜厚算術平均値Taveとの差の絶対値が最も大きい膜厚をTmaxとする。グラファイトシートの厚さのバラツキV(%)は、以下の(1)式で表されるとおり、膜厚Tmaxと膜厚の算術平均値Taveとの差の絶対値に100を乗じた値を、膜厚の算術平均値Taveで除した値で定義される。
V=100×|Tmax−Tave|/Tave・・・(1)
前記グラファイトシートの膜厚は、加速器ビームがグラファイトシートを透過する際のビーム損失に影響を及ぼす為、薄くする事が好ましい。前記グラファイトシートの膜厚は、2.2μm未満であることが好ましく、より好ましくは1.9μm以下、さらに好ましくは1.7μm以下、さらにより好ましくは1.5μm以下、さらに好ましくは1.3μm以下、特に好ましくは1.1μm以下であり、50nm以上であることが好ましく、より好ましくは100nm以上、さらに好ましくは200nm以上、さらにより好ましくは300nm以上、特に好ましくは400nm以上である。膜厚は自己支持性を充足しつつ薄くなる程、加速器ビームの透過を損なう事がなく、ビーム損失低減が可能となる。
膜厚の測定方法は、例えばノギス式や触針式などの接触式の測定方法、レーザー変位計、分光エリプソメトリー等の光学的測定方法、SEM(Scanning Electron Microscope)又はTEM(Transmission Electron Microscope)による断面観察による測定方法等であってもよい。
前記グラファイトシートの5Kと300Kにおける抵抗率比(本書では残留抵抗率比とも呼び、300Kでの抵抗率/5Kでの抵抗率を意味する)は、1.2以上であることが好ましく、より好ましくは1.6以上、さらに好ましくは1.8以上、さらにより好ましくは2.0以上であり、上限値は、例えば10程度である。抵抗率比が高い程、得られたグラファイトシートの結晶化度が高まることを示し、高品質を示す指標となる。こうした高品質なグラファイトシートは、構造の欠陥部分が少ない為、加工不良の低減にも有効である。
上記抵抗率比は、特に限定はしないがvan der Pauw法や一般的な4端子法など既知の方法により測定した比抵抗率をもとに算出できる。また5Kでの測定においては、液体ヘリウム、またはヘリウム循環装置など既知の方法を用いてサンプルを冷却し、実施してもよい。
前記グラファイトシートの電気伝導度は、例えば16000S/cm以上であり、好ましくは17500S/cm以上、より好ましくは18500S/cm以上、さらに好ましくは19500S/cm以上である。電気伝導度もグラファイトシートの高品質性の指標となる。なお電気伝導度は、例えば24000S/cm以下又は23000S/cm以下であってもよい。
グラファイトシートの電気伝導度のバラツキは20%以内であることが好ましく、15%以内であることがより好ましく、10%以内であることがさらに好ましく、5%以内であることが特に好ましい。
電気伝導度のバラツキは、複数箇所で電気伝導度Sを測定し、算術平均値Saveと、このSaveとの差の絶対値が最も大きい電気伝導度Smaxとを求め、下記式によって算出した値で定義される。
電気伝導度のバラツキ(%)=100×|Smax−Save|/Save
電気伝導度は、例えばvan der Pauw法や一般的な4端子法など既知の手法により電気抵抗を測定した後、サンプルの寸法や厚みから算出することができる。
前記グラファイトシートの面積は、例えば加速器ビームセンサ用電極に使用されるリボン状グラファイトの切り出しが可能である限り、特に限定されず、例えば1×1cm2以上、好ましくは2×2cm2以上、より好ましくは3×3cm2以上、さらに好ましくは5×5cm2以上、さらにより好ましくは10×10cm2以上、特に好ましくは20×20cm2以上、最も好ましくは30×30cm2以上である。これらグラファイトシートは、大きさが例えば10cm×26cm、15cm×35cmや20cm×40cmのものも含み得る。この様な大きい面積を有するグラファイトシートであれば、1組のセンサターゲット31を構成する全リボン状グラファイト30を、一枚のシートから切り出すことが可能になる為、センサターゲット31内で膜厚のバラツキが均一となり、電気抵抗のバラツキも均一なものとすることができる。
なおグラファイトシートの面積の上限は製造可能な限り特に限定されず、例えば80×80cm2以下、好ましくは70×70cm2以下である。
グラファイトシートの耐熱温度(昇華)は、例えば3000℃以上乃至3100℃以上である。この様な高い耐熱温度を有するグラファイトシートは、加速器ビームを長時間照射しても十分な耐熱性を備え、かつ耐久性も有する。
本発明で用いるグラファイトシートは、例えば、特定の原料高分子膜を、特定の方法で炭素化及びグラファイト化することによって製造可能である。この原料高分子膜としては、酸二無水物(特に芳香族酸二無水物)とジアミン(特に芳香族ジアミン)からポリアミド酸を経て作製される芳香族ポリイミドが使用できる。
前記芳香族ポリイミドの合成に用いられ得る酸二無水物としては、ピロメリット酸二無水物(PMDA)、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,6−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,2’,3,3’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、3,4,9,10−ペリレンテトラカルボン酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1−ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、オキシジフタル酸二無水物、ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、p−フェニレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、エチレンビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、ビスフェノールAビス(トリメリット酸モノエステル酸無水物)、およびそれらの類似物を含み、それらを単独または任意の割合の混合物で用いることができる。 特に剛直な構造を有した高分子構造を持つほどポリイミド膜の配向性が高くなり結晶性に優れたグラファイトが得られやすいこと、さらには入手性の観点から、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が特に好ましい。
前記芳香族ポリイミドの合成に用いられるジアミンとしては、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、p−フェニレンジアミン(PDA)、4,4’−ジアミノジフェニルプロパン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、ベンジジン、3,3’−ジクロロベンジジン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3’−ジアミノジフェニルスルホン、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、4,4’−ジアミノジフェニルジエチルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルシラン、4,4’−ジアミノジフェニルエチルホスフィンオキシド、4,4’−ジアミノジフェニル−N−メチルアミン、4,4’−ジアミノジフェニル−N−フェニルアミン、1,4−ジアミノベンゼン(p−フェニレンジアミン)、1,3−ジアミノベンゼン、1,2−ジアミノベンゼンおよびそれらの類似物を含み、それらを単独で、または任意の割合の混合物で用いることができる。さらにポリイミド膜の配向性が高くなり結晶性に優れたグラファイトが得られやすいこと、入手性の観点から、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)、p−フェニレンジアミン(PDA)を用いることが好ましい。
前記ポリアミド酸は、無水酢酸等の酸無水物に代表される脱水剤、ピコリン、キノリン、イソキノリン、ピリジン等の第三級アミン類をイミド化促進剤として用いるケミカルキュア法でイミド化することが推奨される。ポリアミド酸を加熱によりイミド化する熱キュア法に比べ、ケミカルキュア法でポリイミド化した方が、得られるグラファイトの物性が向上する。
例えば、ケミカルキュアによるポリイミド膜の製造法は以下のようになる。まず上記ポリアミド酸の有機溶媒溶液に化学量論量以上の脱水剤と触媒量のイミド化促進剤を加え、アルミ箔等の支持基板やPET等の高分子膜、ドラム又はエンドレスベルト等の支持体上に流延又は塗布して膜状とし、加熱により有機溶媒を乾燥させることにより、自己支持性を有する膜を得る。次いで、これを更に加熱して乾燥させつつイミド化させ、ポリイミド膜を得る。加熱の際の温度は、150℃から550℃の範囲が好ましい。
上記のようにイミド化促進剤を加えず、単純に加熱によりイミド化を行い、ポリイミド膜を得てもよい(熱キュア)。この場合の加熱温度も150℃から550℃の範囲が好ましい。
本発明の膜厚範囲のグラファイトシート(グラファイト膜)を得るためには、原料高分子膜(芳香族ポリイミド膜)の厚さは100nm〜7.3μm(すなわち、100nm以上、7.3μm以下)の範囲である事が好ましい。200nm〜5μm(200nm以上、5μm以下)の範囲であることはより好ましく、300nm〜4μm(300nm以上、4μm以下)の範囲であることはさらに好ましい。これは、最終的に得られるグラファイト膜の厚さは、一般に原料高分子膜が1μm以上では、原料高分子膜の厚さの60〜30%(60%以下、30%以上)程度となり、1μm未満では50%〜20%(50%以下、20%以上)程度となる場合が多いためである。そして厚みの薄い原料高分子膜を用いるほど、グラファイトの物性を向上できる。
以上のようにして得られた原料高分子膜を不活性ガス中あるいは真空中で加熱し、炭素化を行う。不活性ガスは、窒素、アルゴンあるいはアルゴンと窒素の混合ガスが好ましく用いられる。炭素化は通常800℃〜1800℃(すなわち、800℃以上、1800℃以下)程度の温度で行う。例えば、10℃/分の昇温速度で昇温して800℃〜1800℃程度に加熱し、そのまま10分間程度、例えば5分〜5時間(5分以上、5時間以下)、好ましくは10分〜2時間(10分以上、2時間以下)の温度保持を行う方法などが好ましく用いられる。昇温速度に特に制限は無いが、生産性向上の観点からは0.5℃/分以上が好ましく、また、十分な炭素化を行うためには100℃/分以下が好ましい。一般的には1℃/分〜50℃/分(1℃/分以上、50℃/分以下)の間が好ましい。炭素化の際の加熱方式としては特に制限はないが、グラファイトヒーター等の抵抗加熱式のヒーターによる方式や、赤外線照射による方式を好ましく用いることができる。
上記の方法で炭素化された炭素化膜をグラファイト化炉内にセットし、グラファイト化を行う。グラファイト化に必要な2200℃以上の高温を作り出すために、通常グラファイトヒーターに電流を流し、そのジュール熱を利用して加熱を行う。グラファイト化は不活性ガス中で行うが、不活性ガスとしてはアルゴンが最も適当であり、アルゴンに少量のヘリウムを加えるとさらに好ましい。
加熱温度は高ければ高いほど高電気伝導度のグラファイトシートを得やすいが、特に厚さ7.3μm以下の高分子膜は比較的低温でもグラファイトに転化しやすいため、本発明のグラファイトシートを得るために必要な加熱温度は比較的低めであり、2200℃以上である。このように比較的低い温度でグラファイト化が可能であることは、グラファイト化炉の簡略化や電力節減によるコストダウンが可能という点で有利である。無論、高品質化したい場合にはグラファイト化時の温度は高温であるほどよい。グラファイト化では2600℃以上の温度で加熱することが好ましく、さらに2800℃以上であることが好ましく、3000℃以上である事が最も好ましい。熱処理温度の上限は、例えば、3500℃程度であってもよい。グラファイト化の熱処理温度までの昇温速度は特に限定されないが、例えば0.5℃/分〜100℃/分(すなわち、0.5℃/分以上、100℃/分以下)であり、好ましくは1℃/分〜50℃/分(1℃/分以上、50℃/分以下)である。また、グラファイト化の熱処理温度での保持時間は、例えば10分〜1時間(10分以上、1時間以下)である。
本発明のグラファイトシートは、炭素化膜を熱処理してグラファイト化する前記グラファイト化工程において、この炭素化膜を積層した後、黒鉛製ガスケットや、ポリイミド膜の焼成により得たグラファイトシートや、ガラス状カーボンシート等の補助シートに挟み込み、さらにCIP(Cold Isotropic Press:冷間静水圧プレス)材等の等方性グラファイト板又はグラッシーカーボン等のガラス状カーボン板などの補助板で挟んでプレスしながら熱処理することによって製造されてもよい。
補助シート及び/又は補助板で挟み込み、プレス熱処理してグラファイト化すると(好ましくは補助シートで挟み込み、さらに補助板で挟み込んでプレス熱処理してグラファイト化すると)、目玉状凸部が形成されず、シートの膜厚バラツキも小さくでき、その結果、レーザーでの切断加工性や加工品の電気抵抗のバラツキが良好なグラファイトシートを得ることができる。
なお補助シート及び/又は補助板は、炭素化膜を製造してからこれを挟み込んでもよいが、炭素化前の原料高分子膜の段階からこれを挟み込んでもよい。また炭素化膜または原料高分子膜を補助シート及び/又は補助板で挟み込んだものは、複数セットを積み重ねてから焼成用の炉内にセットしてもよい。また炭素化膜又は原料高分子膜を補助シート及び/又は補助板で挟み込んだものをプレス熱処理することは、グラファイト化の段階でのみで行ってもよいし、炭素化及びグラファイト化の両方の段階で行ってもよい。また一度グラファイト化して得たグラファイトシートを補助シート及び/又は補助板に挟み込み、再度グラファイト化温度(2200℃以上)に加熱しながら、プレスしてもよい。
炭素化膜または原料高分子膜またはグラファイトシートを補助シート及び/又は補助板で挟み込んだものを、複数セット積み重ねてから焼成用の炉内にセットする場合、その積層セット数は例えば2セット以上、好ましくは5セット以上、さらに好ましくは10セット以上である(すなわち、一度に加熱する炭素化膜または原料高分子膜またはグラファイトシートは、例えば2枚以上、好ましくは5枚以上、さらに好ましくは10枚以上である)。このように複数枚の炭素化膜または原料高分子膜またはグラファイトシートを一度に加熱、あるいは加熱とプレスの両方を行う場合、炭素化膜または原料高分子膜またはグラファイトシート同士の間に挿入する補助シート及び/又は補助板は1枚でもよいし、2枚でもよいし、3枚以上でもよく、適宜調整すればよい。また複数枚の炭素化膜または原料高分子膜またはグラファイトシートを一度に焼成する場合、膜(シート)同士及び補助シート及び/又は補助板同士は、きれいに端を揃えて、ずれ無く上下に積み重ねるのが好ましい。これらがずれていると、特にプレスの際には荷重が均一に加わらずに、皺やひずみの多いグラファイトシートが得られる。
加熱時のプレス圧は0.1kgf/cm2以上200kgf/cm2以下であることが好ましく、より好ましくは0.2kgf/cm2以上100kgf/cm2以下、さらに好ましくは0.3kgf/cm2以上50kgf/cm2以下である。
上記グラファイトシートは、加速器ビームセンサ用電極に使用する場合、例えば、フレーム基板及びセンサターゲット端子(フレーム基板上のプリント配線の先端にある、グラファイトに接する部分の端子)に固定して所望の形状に切断してもよく、予め所望の形状に切断したものをセンサターゲットの端子に固定してもよい。
上記グラファイトシートの形状は、センサターゲットの端子間を接続できる形状であればよく、例えば正方形、長方形、弓形等であり、好ましくはリボン状である。
リボン状グラファイトの幅は、所望のリボン状グラファイトの本数(所望の検出位置の数)、センサターゲットの端子間に固定できる自己支持性、レーザー加工性等の点で、好ましくは100μm〜100mm(すなわち、100μm以上、100mm以下)、より好ましくは200μm〜50mm(200μm以上、50mm以下)、さらに好ましくは500μm〜10mm(500μm以上、10mm以下)、さらにより好ましくは500μm〜2mm(500μm以上、2mm以下)である。
リボン状グラファイトの間隔は、隣接するグラファイト間の信号の干渉を抑制する点で、10μm〜100mm(10μm以上、100mm以下)であることが好ましく、より好ましくは50μm〜50mm(50μm以上、50mm以下)、さらに好ましくは100μm〜10mm(100μm以上、10mm以下)、さらにより好ましくは200μm〜2mm(200μm以上、2mm以下)である。
リボン状グラファイトの長さは、レーザー加工性、自己支持性、ビーム走行空間の有効径の点で、10mm〜800mm(10mm以上、800mm以下)が好ましく、より好ましくは20mm〜700mm(20mm以上、700mm以下)、さらに好ましくは30mm〜500mm(30mm以上、500mm以下)、さらにより好ましくは40mm〜400mm(40mm以上、400mm以下)である。
リボン状グラファイトの作製方法は、以下の通りである。
接着剤等の適当な固定化手段を用い、グラファイトシートをフレーム基板のプリント配線の端子に固定し、フレーム基板の加速器ビームの軌道を遮るように固定してもよく、この際、グラファイトシートの端部に張力を掛けながら固定してもよい。
次に、グラファイトシートにレーザーを照射し、複数のリボン状に加工してセンサターゲットを形成してもよい。
他方、レーザーを用いグラファイトシートをリボン状に加工し、得られたリボン状グラファイトをフレーム基板のプリント配線の各端子に接着剤により固定してもよい。接着剤は導電性であることが好ましい。
レーザーは、紫外線レーザー、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、YVO4レーザー、ファイバーレーザー、エキシマレーザー等の公知の加工用レーザーであることが好ましい。
以上より、本発明のビームセンサ用電極(好ましくは加速器ビームセンサ用電極)は、前記グラファイトシートをリボン状に切断してなり、これら複数のリボン状グラファイトが同一平面上に配置されてなることを特徴とする。本発明のモニタ用電極(ビームセンサ用電極)は、ビーム損失が低減されており、加速器ビームの形状や照射状態をそのままリアルタイムで計測することができる。
このモニタ用電極は、用いる加速器ビームに応じて、リボン状グラファイトの本数、幅、長さ、膜厚、リボン状グラファイト同士の間隔を適宜調節することができる。例えば、図3は、前記図1及び図2において所定間隔おきにリボン状グラファイトを配置した状態を示す部分拡大概略平面図である。この図1、図2及び図3の例では、リボン状グラファイト30が同一の幅w1及び間隔d1で同一平面上に配置されており、センサターゲットは通常、製造効率の点で、この様な配置を取る。
リボン状グラファイトは、所定間隔おきではない様々な態様で配置してもよく、リボン状グラファイトの幅に適宜変化をもたせてもよい。図4〜10は、リボン状グラファイトの幅と間隔の一方又は両方を適宜変化させて配置したセンサターゲットを示す部分拡大概略平面図であり、各図の具体的態様とそれらのメリットについて説明する。なお、リボン状グラファイトの幅を変化させるとは、リボン状グラファイトの少なくとも1つの幅が、他と異なっていることを意味し、リボン状グラファイトの間隔を変化させるとは、リボン状グラファイトの間隔の少なくとも1つが、他と異なっていることを意味する。
図4は、同一の幅w1のリボン状グラファイト30が異なる間隔d1及びd2で同一平面上に配置される一例であり、中央部分の間隔d2が他の部分の間隔d1よりも狭くなっている。このように配置すると、狭い間隔d2の部分で精密にビーム形状を測定することができる。
図5は、図4と同様に、同一の幅w1のリボン状グラファイトが異なる間隔d1及びd2で同一平面上に配置されている。ただし、この図5の例では、中央から等距離の2箇所で、各箇所当たり1つ以上(図示例では1つ)の間隔d2が、他の箇所での間隔d1よりも狭くなっている。この2箇所は、概ね、ビームの光束の周縁部に該当しており、ビームの光束の中心からの位置が少しずれただけでビーム強度の変化が大きい傾向にあり、そのような部分の測定精度を高めるのに有効である。
図6は、異なる幅w1及びw2(w1>w2)のリボン状グラファイト30が異なる間隔d1及びd2(d1>d2)で同一平面上に配置される一例を示し、中央部分の幅w2が他の部分の幅w1よりも狭く、また中央部分の間隔d2が他の部分の間隔d1よりも狭くなっている。この例でも、中央付近のビーム形状の測定精度を高くすることができる。
また中心付近のリボン状グラファイトのビームを受ける面積が小さく、端付近のリボン状グラファイトがビームを受ける面積が大きいので、一般的な中心付近の強度が強いビームの形状を測定する際には、各リボン状グラファイトから検出されるシグナル強度の差が相対的に小さくなるため、検出装置のダイナミックレンジを小さく設定することができ、結果として単純な検出装置でも全体的に誤差の小さいシグナル検出が可能となる。
図7は、リボン状グラファイト30が異なる幅w1及びw2(w1>w2)並びに異なる間隔d1及びd2(d1>d2)で同一平面上に配置され、狭い間隔d2が複数配される一例である。図示例では、中央から等距離になる2箇所で、各箇所当たり1つ以上(図示例では2つ)の狭い幅w2のリボン状グラファイトが、各箇所当たり1つ以上(図示例では1つ)の狭い間隔d2で配置されており、当該箇所で、ビーム形状を精度よく測定できる。
図8は、異なる幅w1及びw2(w1>w2)のリボン状グラファイト30が同一の間隔d1で同一平面上に配置される一例である。図示例では、中央部周辺のリボン状グラファイトの幅w2が他の部分の幅w1よりも狭くなっており、一般的な中心付近の強度が強いビームの形状を測定する際には、各リボン状グラファイトから検出されるシグナル強度の差が相対的に小さくなるため、検出装置のダイナミックレンジを小さく設定することができ、結果として単純な検出装置でも全体的に誤差の小さいシグナル検出が可能となる。
図9は、異なる幅w1及びw3(w3>w1)のリボン状グラファイト30が同一の間隔d1で同一平面上に配置される一例である。図示例では、中央部の幅よりも広い幅を有するリボン状グラファイトが端部周辺部(図示例では両端部周辺部)に1つ以上(図示例では2つ)、一定の間隔d1で配置されている。ビーム強度が弱い部分は、幅に応じて電流信号が高くなるため、広い幅w3のリボン状グラファイトを用いればビーム形状の測定感度)が向上する。また一般的な中心付近の強度が強いビームの形状を測定する際には、各リボン状グラファイトから検出されるシグナル強度の差が相対的に小さくなるため、検出装置のダイナミックレンジを小さく設定することができ、結果として単純な検出装置でも全体的に誤差の小さいシグナル検出が可能となる。
図10は、異なる幅w1及びw3(w3>w1)のリボン状グラファイト30が同一の間隔d1で同一平面上に配置される他の例である。図示例では、端部周辺部に使用されるリボン状グラファイトの幅よりも広いものが、中央部に1つ以上(図示例では3つ)、一定の間隔d1で配置されている。ビーム強度が強い部分に、広い幅w3のリボン状グラファイトを使用すれば、耐久性向上に寄与する。
図3〜図10で図示した様に、使用されるビームや目的に応じて、複数のリボン状グラファイトの幅及びリボン状グラファイト間の間隔(最短距離又は重心間距離、図示例では最短距離を示した)のいずれか一方又は両方が変更され同一平面上に配置されてなる態様も本発明に含まれる。
この様な変更例では、リボン状グラファイトの幅は、同一であってもよく、異なっていてもよく、異なる場合には、幅が異なるものを複数以上使用してもよい。異なる幅のものを使用する場合、幅は相対的に狭い幅と広い幅に分類されることになるが、幅が狭いものは、ビーム形状の測定精度を高める部分に使用されたり、幅が広いものは、感度を上げる点でビーム強度の弱い部分に使用されたり、耐久性を上げる点でビーム強度の強い部分に使用されてもよい。
リボン状グラファイト間の間隔も、同一であってもよく、異なっていてもよく、異なる場合には、間隔が異なるものを複数以上使用してもよい。異なる間隔のものを使用する場合、狭い間隔と広い間隔に相対的に分類されるが、狭い間隔は測定精度を高める部分に使用してもよい。
例えば、図1に示される本発明の加速器ビームセンサにおいて、センサターゲットを構成するリボン状グラファイトを通過するビーム粒子の数は、リボン状グラファイトの位置により異なっている。すなわち、全てのリボン状グラファイトの幅が同じである場合(例えば図3)、リボン状グラファイトが配置される位置により、受けるビームが異なる。例えば加速器から出るビーム光束の中心部(円形ビームの場合は、円心部)に配置されたリボン状グラファイトを通過するビーム粒子数は、光束周縁部(円形ビームの場合は、円周部)に配置されたリボン状グラファイトより多くなる。
従って、光束中心部(円形ビーム円心部など)に配置されたリボン状グラファイトと光束周縁部(円形ビーム円周部など)に配置されたリボン状グラファイトとでは、検出されるビーム強度が異なることになり、これにより検出誤差が生じる可能性がある。このような誤差を小さくする手法として、例えば光束中心部(円心部など)に配置されたリボン状グラファイトの幅を小さく(例えば図6、図8)、光束周縁部(円周部など)に配置されたリボン状グラファイトの幅を大きくすることが有効である(例えば図9)。このような場合は、配置される位置によって、リボン状グラファイトの幅が異なるため、リボン状グラファイトが所定間隔おきに並ぶことにはならないが、特に問題はない。またビームの一部の位置について検出位置をより密にしたい場合には、該当の箇所にてリボン状グラファイトの間隔を狭くすることが有効である(例えば図4、図5、図6、図7)。
ビーム中心部を測定するセンサターゲット中心部では、ビーム強度が強くなる傾向があり、センサターゲット中心部でリボン状グラファイトの幅を広くして耐久性を向上させておくこともできる。
なお上記の例ではリボン状グラファイト間の間隔として、隣り合うリボンの近接する端と端同士の距離により規定してあるが、隣り合うリボン状グラファイトの重心同士の距離により規定してもよい。
グラファイトシート以外の部材の材質は、当該用途で採用されている公知の材料が適宜使用でき、例えば、フレーム基板22、32、42は、絶縁性、耐放射線性及び真空中での低いガス放出の特性を有する材質で形成されているのが好ましい。この様な材質としては、セラミックスが挙げられ、強度、熱伝導を考慮すると、アルミナ、窒化ケイ素等が好ましい。
本発明には、前記加速器ビームセンサ用電極と、該電極の前面及び背面に平行して配設されかつ該電極から放出される二次電子を受け入れる一組の二次電子捕捉用電極とを有することを特徴とする加速器ビームセンサが包含される。
加速器ビームセンサ用電極3と二次電子捕捉用電極2との間隔(グラファイト薄膜同士の間隔)は、真空の排気特性を考慮して適宜設定でき、例えば、フレーム基板22の面積が10000mm2以下の場合には、2〜10mm(すなわち、2mm以上、10mm以下)が好ましく、3〜10mm(3mm以上、10mm以下)がより好ましい。フレーム基板22の面積がこれより大きい場合には、間隔の上限を15mm程度としてもよい。加速器ビームセンサ用電極3と二次電子捕捉用電極4との間隔についても同様である。
二次電子捕捉用電極2のプリント配線23の引出用の個々の端子は、電圧印加用の直流電源装置の陽極端子に接続している。二次電子の放出量が高い場合には、この陽極端子にコンデンサを挿入してもよい。
なお図示例では、水平方向に並設されたリボン状グラファイトで構成したセンサターゲットを備えた加速器ビームセンサ用電極を用いたが、リボン状グラファイトを並設する向きは、計測したいプロファイルに合わせて設定することができる。またリボン状グラファイトは必ずしもフレーム基板の辺に対して平行に固定する必要は無く、斜め方向に固定してもよい。さらにリボン状グラファイトが異なる方向(例えば互いに直交する方向)に並設された複数(例えば2つ)のセンサターゲットを備えたモニタ用電極を併用することによって、異なる方向のビームプロファイルを同時に計測してもよい。
すなわち、複数の前記加速器ビームセンサ用電極を、各電極面を平行にしつつ各電極面が前後に並ぶ様に配置し、各電極面のリボン状グラファイトが互いに異なる方向に配向していてもよく、この場合、前側二次電子捕捉用電極、後側二次電子捕捉用電極以外に、加速器ビームセンサ用電極間に二次電子捕捉用電極をさらに設けてもよい。
上記の様なビームセンサによって、プロファイルの計測が可能な荷電粒子のビームのエネルギーは、電子等の軽い荷電粒子では1keV以上である。またより重い荷電粒子でも、例えば、100keV以上である。ビームロスを考慮すると、できるだけ高いエネルギーが望ましく、核子あたり1MeV以上、500MeV以上、1GeV以上が望ましく、10GeV以上、30GeV以上、又は100GeV以上であってもよい。
本発明は、加速器ビームセンサに限らず、他の種々のビームセンサにも応用ができる。このような用途としては、ビーム強度モニタ(捕捉用電極で二次電子数の計測)、ビームコース中心から外れたロスビームのモニタなどのビームモニタ用の電極等が挙げられる。また、ビームの発生装置に特に制限はなく、例えば原子炉から放出されるビームのビームセンサにも応用できる。
本願は、2015年7月30日に出願された日本国特許出願第2015−151323号及び2015年9月29日に出願された日本国特許出願第2015−191754号に基づく優先権の利益を主張するものである。2015年7月30日に出願された日本国特許出願第2015−151323号及び2015年9月29日に出願された日本国特許出願第2015−191754号の明細書の全内容が、本願に参考のため援用される。
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
[残留抵抗率比の測定]
作製したグラファイトシートの一部から5mm角サイズを切り出し、ガラス板(1cm角)上にのせ、銀ペースト(藤倉化成製、ドータイト550)で四隅を固定した(電気特性測定用サンプル)。この測定用サンプルを150℃で加熱したホットプレートにのせ、2分間加熱しエージングさせた。このサンプルをホール効果測定装置((株)東陽テクニカ製、RESITEST)にセットし、銀ペースト部分に測定用電極を取り付けた。電流値は10mAとし、測定電圧をナノボルトメーターで計測した。電気特性測定用サンプルを冷凍機付きクライオスタット((株)東陽テクニカ製)にセットし、5Kまで冷却した。5K到達後、300Kまで測定温度モードを1/T(温度)、測定点数を40点とし、各温度におけるグラファイトフィルムの比抵抗を測定した。残留抵抗率比は式(2)に代入することで算出した。
残留抵抗率比=ρ300K/ρ5K −(2)
ρ300K/ρ5Kが1以上の場合は金属的な高品質のフィルムと目される。
[膜厚の測定]
接触式厚み計にて測定した。
[電気伝導度の測定]
電気伝導度の測定はvan der Pauw法によって行った。この方法は薄膜状の試料の電気伝導度(シート抵抗)を測定するのに最も適した方法である。この測定法の詳細は(第四版)実験化学講座9 電気・磁気(社団法人日本化学会編、丸善株式会社発行(平成3年6月5日発行))(P170)に記載されている。この手法の特徴は、任意の形状の薄膜試料端部の任意の4点に電極を取り付けて測定を行うことが出来る事であり、試料の厚さが均一であれば正確な測定が行える。本発明においては正方形に切断した試料を用い、それぞれの4つの角(稜)に銀ペースト電極を取り付けて行った。測定は(株)東陽テクニカ製、比抵抗/DC&ACホール測定システム、ResiTest 8300を用いて行った。電気伝導度は得られた比抵抗値から電気伝導度=1/比抵抗値から算出した。
[グラファイトシートの厚さのバラツキの測定方法]
グラファイトシートの厚さのバラツキV(%)は、上述した(1)式で表されるとおり、膜厚Tmaxと膜厚の算術平均値Taveとの差の絶対値に100を乗じた値を、膜厚の算術平均値Taveで除した値である。
(実施例1)
[ポリイミドフィルムの作製方法]
4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)の3当量を溶解したDMF溶液にピロメリット酸二無水物(PMDA)の4当量を溶解して、両末端に酸無水物を有するプレポリマを合成した後、そのプレポリマを含む溶液にp−フェニレンジアミン(PDA)の1当量を溶解して得られたポリアミド酸を18.5wt%含む溶液を得た。
この溶液を冷却しながら、ポリアミド酸に含まれるカルボン酸基に対して、1当量の無水酢酸、1当量のイソキノリン、およびDMFを含むイミド化触媒を添加し撹拌した後、脱泡した。攪拌から脱泡までは0℃に冷却しながら行った。次にこの混合溶液が、乾燥後に所定の厚さになるようにアルミ箔上に塗布した。
アルミ箔上の混合溶液層は、熱風オーブンで100℃において60秒乾燥して、自己支持性を有するゲルフィルムにした。そのゲルフィルムをアルミ箔から引き剥がし、フレームに固定した。さらに、ゲルフィルムを、熱風オーブンにて250℃で60秒、450℃で60秒と段階的に加熱して乾燥した。その結果、150mm×150mmの正方形で厚み3.5μmのポリイミドフィルムを得た。
[加速器ビームセンサ用グラファイトシートの作製(炭素化)]
サイズ150mm×150mm、厚み3.5μmのポリイミドフィルムを、サイズ200mm×200mmのグラファイトシートで挟み込み、電気炉を用いて窒素雰囲気下で、2.5℃/minの昇温速度で1000℃まで昇温した後、1000℃で1時間温度キープして炭素化した。
[加速器ビームセンサ用グラファイトシートの作製(グラファイト化)]
得られたサイズ121mm×121mmの炭素化フィルムを、サイズ200mm×200mmのグラファイトシートで挟み込み、さらにこれをサイズ200mm×200mmのCIP材の正方形の板で挟み込み、グラファイト化用のプレス機構付き電気炉に入れてグラファイト化した。グラファイト化は、アルゴンガス雰囲気中で2.5℃/分の速度で3000℃まで昇温し、3000℃で30分間保ったのち自然冷却させることにより行った。3000℃到達後から30分間、厚み方向の圧力が0.5kgf/cm2となるようにプレスし、その後プレスを終了した。
得られたグラファイトシートは135mm×135mmの正方形であり、その4隅と中心の5箇所における膜厚の平均値は、1.1μmであり、該5箇所における厚みの値は、全て膜厚の平均値1.1μmから15%以内の範囲に入っていた。300Kと5Kにおける残留抵抗率比は、2.1であり、電気伝導度は、22000S/cmであった。また、グラファイトシート上に目玉状凸部は存在していなかった。
[加速器ビームセンサ用電極の作製]
得られたグラファイトシートを、約45mm×約100mmのサイズに切断し、両端を、プリント配線を形成したフレーム基板上(110cm角の正方形の1辺側をくりぬきコの字状とした形状)に、導電性接着剤にて貼り付け、その状態で波長532nm、スポットサイズ20μmφ、820mW peak、60000Hz、ラインスイープ1000mm/分の条件にてレーザー切断加工し、リボン幅1mm、リボン同士の間隔1mm、リボン長さ70mm(宙に張られた部分の長さ)、リボン本数20本にて、リボン状グラファイトがフレーム基板上に一定間隔で平行に並んで形成されたもの(加速器ビームセンサ用電極)を作製した。同様の実験をさらに5回行い、合計6個のビームセンサ用電極を作製した。
レーザー加工の際、リボン状グラファイトは1.1μmと非常に薄いにも関わらず、途中で割れたり、切れたりすることが殆どなく、高い歩留まりで加速器ビームセンサ用電極を製造できた。また各リボンの両端間の電気抵抗のバラツキは10%以下であり、非常に均一であった(特許文献1のグラファイトシートは、途中で割れや切断が起こり、歩留まりの点で劣っていた。)。
1:ビームハロー
2:前側二次電子捕捉用電極
3:加速器ビームセンサ用電極
4:後側二次電子捕捉用電極
5:加速器
10:ビーム
20:捕捉極
22:フレーム基板
23:プリント配線
30:リボン状グラファイト
31:センサターゲット
32:フレーム基板
33:プリント配線
40:捕捉極
42:フレーム基板
43:プリント配線
100:加速器ビームセンサ

Claims (13)

  1. a−b面(シート面)の表面に目玉状凸部を含まないことを特徴とするビームセンサ用グラファイトシート。
  2. 膜厚のバラツキが20%以下であることを特徴とするビームセンサ用グラファイトシート。
  3. 加速器ビームセンサ用である請求項1又は2に記載のグラファイトシート。
  4. a−b面(シート面)の表面に目玉状凸部を含まない請求項2又は3に記載のグラファイトシート。
  5. 膜厚が2.2μm未満である請求項1〜4のいずれか1項に記載のグラファイトシート。
  6. 5Kと300Kにおける抵抗率比(残留抵抗率比)が1.2以上である請求項1〜5のいずれか1項に記載のグラファイトシート。
  7. 電気伝導度が16000S/cm以上である請求項1〜6のいずれか1項に記載のグラファイトシート。
  8. 脱水剤及び第三級アミンから選択される1種以上を用いて、芳香族ポリイミドを成膜して厚さが100nm〜7.3μmのフィルムとし、得られる芳香族ポリイミドフィルムをグラファイトシート、ガラス状カーボンシート、グラファイト板及びグラッシーカーボン板からなる群より選択される1種以上で挟んでプレスしながら2800℃以上の温度で熱処理して得られる請求項1〜7のいずれか1項に記載のグラファイトシート。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のグラファイトシートをリボン状に切断してなり、これら複数のリボン状グラファイトが一定間隔で同一平面上に配置されてなることを特徴とするビームセンサ用電極。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のグラファイトシートをリボン状に切断してなり、これら複数のリボン状グラファイトの幅及びリボン状グラファイト間の間隔のいずれか一方又は両方が変更されて同一平面上に配置されてなることを特徴とするビームセンサ用電極。
  11. 前記リボン状グラファイトの幅が100μm〜100mm、前記リボン状グラファイトの間隔が10μm〜100mm、前記リボン状グラファイトの長さが10mm〜800mmである請求項9又は10に記載のビームセンサ用電極。
  12. 請求項9〜11のいずれか1項に記載のビームセンサ用電極と、該電極の前面及び背面に平行して配設されかつ該電極から放出される二次電子を受け入れる一組の二次電子捕捉用電極とを有することを特徴とするビームセンサ。
  13. 複数の前記ビームセンサ用電極を、各電極面を平行にしつつ各電極面が前後に並ぶ様に配置し、各電極面のリボン状グラファイトが互いに異なる方向に配向している請求項12に記載のビームセンサ。
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