JP2013042108A - 熱電変換素子、熱電変換発電装置および発電方法 - Google Patents

熱電変換素子、熱電変換発電装置および発電方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は熱電変換効率が高い熱電変換素子を提供する。
【解決手段】本発明の熱電変換素子は、第1電極と、第1電極の一部分の上に設けられかつn型熱電変換材料層および第1異方性導電材料層が積層された構造を有するn型熱電変換部と、第1電極の他の一部分の上に設けられかつp型熱電変換材料層および第2異方性導電材料層が積層された構造を有するp型熱電変換部と、第1異方性導電材料層の一部の上に設けられた第2電極と、第2異方性導電材料層の一部の上に設けられた第3電極とを備え、第1および第2異方性導電材料層は、層面内方向の電気伝導率が厚さ方向の電気伝導率よりも大きい特性を有することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱電変換素子、熱電変換発電装置および発電方法に関する。
熱電変換素子は、石油やオゾンを使用しないクリーンなエネルギー変換素子として知られ、近年、高効率化や大面積化・薄型化が望まれている。例えば、ゼーベック効果を利用した発電用素子(熱電変換発電素子)やペルチェ効果を利用した冷却・加熱用素子(ペルチェ素子)の開発が進められている。
このような熱電変換素子について、その構成及び原理を説明する。図13は、従来の熱電変換素子の構成を説明するための概念図である。
図13に示すように、従来の熱電変換素子100は、対向する複数の電極(金属電極)120,121,180と、電極間に配置されたn型熱電変換半導体からなるブロック体130及びp型熱電変換半導体からなるブロック体131とで構成されている。ブロック体130、131は、その一端(接合端)で電極180によって互いに電気的に接続され、n型熱電変換半導体のブロック体とp型熱電変換半導体のブロック体とが直列に接続されている。また、ブロック体130、131は、もう一方の端で電極120,121に接続されている。
このとき、電極180を高温とし、反対側の電極120,121を低温として両者の間に温度差を設けると、ゼーベック効果により熱エネルギーが電気エネルギーに変換される。また、例えば電極180と電極120,121との間に直流電圧を印加し、電極120から電極180を介して電極121の方向に電流を流すことにより、電極180が吸熱作用電極、電極120,121が放熱作用電極として働き、ペルチェ効果により電気エネルギーが熱エネルギーに変換される。
ここで、上記従来の熱電変換素子がペルチェ素子として利用されるとき、その吸熱エネルギーについて考える。QPをペルチェ吸熱量、QRをジュール熱量、QKを熱伝導による熱量としたとき(図13参照)、電極180の上部側における吸熱エネルギーQは、次の(1)式であらわされる。
Q=QP−QR−QK・・・(1)式
また、すなわちブロック体の高さ(電極180と電極120,121との間隔)をL、ブロック体の断面積(前記高さ方向に垂直な面の断面積)をSとしたとき、QRはブロック体の高さLに比例し断面積Sに反比例する。さらに、QKはブロック体の断面積Sに比例し高さLに反比例する。熱電素子の形状について考えると、例えば、ブロック体の高さLが決まっている場合、断面積Sを広くするほどQRは小さくなるが、QKは大きくなってしまう。すなわち、材料の特性が決まれば、理想的な熱電変換効率を引き出す素子形状として断面積Sと高さLの関係は一義的に決まってしまう。
例えば、熱電変換材料にBi-Te系材料を使用する場合、Bi-Te系材料のブロック体(直方体や円柱形状等)の断面積S(m2)、高さL(m)とすると、S(m2)=(0.6〜6)×10-3×L(m)の関係を満たしているときに、熱電変換素子として効率良く熱電変換することができるが、例えば、10cm×10cm角の液晶表示パネルをn型とp型の熱電変換半導体からなるブロック体2つを用いて冷却することを想定すると、熱電変換素子のブロック体の高さLは80cm以上である必要があり、実用性に欠ける熱電変換素子となってしまう。このため、断面積Sが0.01cm2〜3cm2程度のブロック体が多数直列接続されてモジュール化され、モジュール化によって吸熱面積(冷却面積)を拡大させた熱電変換素子(ペルチェ素子)が実用化されている。
しかしながら、熱電変換素子の放熱面が高温となりその部材が膨張する一方、吸熱面は低温となり収縮するので、例えば、ブロック体と電極をはんだ等で固着させた熱電変換素子の場合、固着箇所が応力によって疲労亀裂を起こすことがある。熱電変換素子が大面積化するほどこの傾向を示すので、商業化されているペルチェモジュールの冷却面積は5cm×5cm程度である。
このような背景から、固着箇所で亀裂が発生するのを抑制する技術が報告されている。例えば、対向して配置されたカーボン基板の間に、複数のn型半導体と複数のp型半導体とを平面的に配列した熱電変換素子モジュールを設置する構造において、前記カーボン基板が高熱伝導性カーボン複合材で構成されている熱電変換素子モジュールが開発されている(例えば、特許文献1参照)。この熱電変換素子モジュールは、一般炭素材を用いた基板に比べて熱伝導性に優れ、基板での熱損失が抑制でき、基板と半導体の接合面で亀裂の発生を防止できるとされている。しかしながら、この発明は多数の熱電変換素子をモジュール化して大面積化する従来の構造のものをであり、大面積化が十分に図れるものではない。
また、熱電変換素子の高効率化を図るため、吸熱面と放熱面間の熱伝導を抑制する種々の技術が報告されている。例えば、p型熱電変換材料とn型熱電変換材料を直線状に配置した多数の熱電変換素子対を備えた熱電変換モジュールにおいて、p型熱電変換材料とn型熱電変換材料の境界部に高温熱源に接触させるとともに境界部と反対側の低温部を高温熱源から熱的に遮断するために、熱電変換素子の側面に電気絶縁性断熱材を配置する熱電変換モジュールが開発されている(特許文献2参照)。しかしこの構造では、p型熱電材料とn型熱電材料は直線状に繋がって配置されており熱電変換材料内の熱伝導が抑制されておらず十分な特性が得られない。また、従来のモジュール構造であるため大面積化はできない。
また、カーボンナノチューブやフラーレン等の炭素材料を利用して熱伝導率を低下させた熱電変換材料を使用することで熱電変換効率の高い熱電変換素子が製造できることが報告されている(特許文献3,4参照)。しかしながら、これらの熱電変換素子においても、熱電変換材料の高性能化が幾分図れるものの、多数の熱電変換素子をモジュール化する構造であることには変わりはなく大面積化が困難である。
特開2009−141079号公報 特開平8−335722号公報 特開2010−192780号公報 特開2010−147379号公報
一般に、熱電変換素子はその動作中に高温作用部(或いは発熱作用部)と低温作用部(或いは吸熱作用部)の温度差:ΔTによって、熱量:QKが高温作用部(或いは発熱作用部)から低温作用部(或いは吸熱作用部)へ熱伝導してくる。そしてΔTが小さくなるため熱電変換素子の熱電変換効率が低下するという問題がある。
高温作用部(或いは発熱作用部)から低温作用部(或いは吸熱作用部)へ熱伝導する熱量:QKを低減するため、熱電変換材料層の断面積を小さくし、熱電変換材料層を厚くする対処法が従来より為されているが、熱電変換材料層の断面積が小さい熱電変換素子では、大面積化を図るため多数の熱電変換素子をモジュール化して使用しなければならない。しかしながら、モジュール化した熱電変換モジュールの大きさは5cm×5cm程度で、大面積に対応できないという問題がある。
また、従来の熱電変換素子は、高温部と低温部とがほぼ同じ面積で上下に重なるように配置される構造であり、この構造の熱電変換素子は、高温側の電極と低温側の電極が対峙しており距離も短く、高温側の電極から低温側の電極への熱伝導が大きいため高い熱電変換効率を有する熱電変換素子を製造することが困難である。また、常温の空間において10℃前後の温度差しかないような状況下では、高温側の電極から低温側の電極に熱伝導してきた熱エネルギーは低温側の電極に蓄積されすぐに温度差がなくなってしまうため、常温の空間において温度差を利用する熱電変換発電を行うことができないのが現状である。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、熱電変換効率が高い熱電変換素子を提供するものであり、且つ、大面積化ができ、常温の空間で発電装置として利用できる熱電変換発電装置を提供するものである。
本発明によれば、少なくとも熱電変換材料層と異方性導電材料層が積層された熱電変換部を備え、積層方向に対して該熱電変換部の上部と下部に電極を有する熱電変換素子において、異方性導電材料層の電気伝導率が層面内方向で高電気伝導率であり、積層厚み方向で低電気伝導率であることを特徴とする熱電変換素子が提供される。
また、本発明によれば、熱電変換発電素子とペルチェ素子を組み合わせてなる熱電変換発電装置であって、少なくともペルチェ素子は、熱電変換材料層と異方性導電材料層が積層された熱電変換部を備える熱電変換素子を使用する。該ペルチェ素子により熱電変換発電素子の低温作用部を吸熱し、且つ熱電変換発電素子の高温作用部あるいは高温作用部に接触する熱だめとなる対象物に放熱し、熱電変換発電素子で発電することを特徴とする熱電変換発電装置及び/或いは発電方法が提供される。
本発明は、少なくとも熱電変換材料層と異方性導電材料層が積層された熱電変換部を備えることを特徴とする熱電変換素子である。異方性導電材料の異方性を利用することで、従来のように、高温作用部と低温作用部が、上下に重なるような配置をとる必要がなく、熱電変換素子の高温作用部と低温作用部が立体配置的にある程度の距離をもって隔たたせることが可能となる。その立体配置により熱伝導を抑制でき熱電変換効率が改善され、これまでよりも大きな面積を有する熱電変換素子が製造できる。
また本発明は、熱電変換発電素子とペルチェ素子の組み合わせてなる熱電変換発電装置であり、本発明の異方性導電材料の延在部を有するペルチェ素子を使用することにより、熱電変換発電素子の低温作用部を吸熱しつつ、熱電変換発電素子の高温作用部に放熱することが初めて可能となる。従来の熱電変換素子では高温作用部から低温作用部に熱伝導する式(1)の熱量QKを考慮して熱電変換素子の大面積化ができなかったが、本発明の構成の熱電変換発電装置では、高温作用部と低温作用部の温度差を確実に保持できるので熱電変換発電素子の大面積化が可能となる。よって、常温の空間において10℃前後の温度差しかないような状況下でも、その温度差をロスすることなく利用でき、大面積化によって出力の高い熱電発電が可能となる。
従って、本発明は、熱電変換効率が良好な熱伝変換素子を提供するとともに、常温の空間で発電装置として利用できる大面積化を図った熱電変換発電装置及び発電方法を提供するものである。
本発明の実施形態1に係る熱電変換素子の上面図、断面図及び下面図である。 本発明の実施形態2に係る熱電変換素子の上面図、断面図及び下面図である。 本発明の実施形態3に係る熱電変換素子の上面図、断面図及び下面図である。 本発明の実施形態4に係る熱電変換素子の上面図、断面図及び下面図である。 本発明の実施形態4に係る熱電変換素子の上面図、断面図及び下面図である。 本発明の実施形態5に係る熱電変換素子の断面図である。 本発明の実施形態6に係る熱電変換素子の断面図である。 本発明の実施形態7に係る熱電変換発電装置(複数の熱電変換素子を備える装置)の断面図である。 本発明の実施形態8に係る熱電変換発電装置(複数の熱電変換素子を備える装置)の断面図である。 本発明の実施形態9に係る熱電変換発電装置(複数の熱電変換素子を備える装置)の断面図である。 本発明の実施形態7に係る熱電変換発電装置に適用した熱電変換素子(ペルチェ素子)の構造を説明するための斜視図である。 本発明に係る熱電変換素子を用いた太陽電池パネルの構造を説明するための斜視図である。 従来の熱電変換素子の構成を説明するための概念図である。
熱電変換素子は、一般に熱電変換材料の上部と下部に電極を有する構造であり、電極間に直流電圧が印加され電流が熱電変換材料を流れると、一方の電極で吸熱が生じ、他方の電極で発熱が生じる。例えば上部電極で吸熱が生じた場合、下部電極では発熱が生じる。電流の向きが逆になれば吸熱と発熱も逆になる。ここで、本明細書において、その作用から前者を吸熱作用部、後者を発熱作用部と呼ぶ。また、例えば発電素子として使用する場合、例えば上部電極を低温に、下部電極を高温にすると、この熱電変換素子は、その温度差を利用して熱エネルギーを電気エネルギーに変換して発電するので、この作用から前者を低温作用部、後者を高温作用部とも呼ぶ。
熱電変換素子の効率を低下させる要因は、高温作用部あるいは発熱作用部として働いている一方の電極から、低温作用部あるいは吸熱作用部として働いている他方の電極へ熱伝導する式(1)で示される熱量:QKが大きな要因である。この熱量:QKを小さくするためには、QKの熱伝導に寄与する熱電変換部の断面積を小さくしなければならず、従来技術では一つの熱電変換素子で大面積化を図ることができず、面積の小さい熱電変換素子を多数繋ぎ合せて多数の熱電変換素子をモジュール化しているのが現状である。
本発明の熱電変換素子は、少なくとも熱電変換材料層と異方性導電材料層が積層された熱電変換部を備え、積層方向に対して該熱電変換部の上部と下部に電極を有する熱電変換素子である。本発明の異方性導電性材料層は、層面内方向の電気伝導率が厚さ方向の電気伝導率よりも大きい特性を有するものである。この異方性導電材料層の導電異方性を利用することにより、異方性導電材料に接触して、或いは異方性導電材料の近傍に配置する電極は、異方性導電材料の層面内の一部分に配置することが可能となる。よって、熱電変換素子の高温作用部(発熱作用部)として働いている一方の電極と、低温作用部(吸熱作用部)として働いている他方の電極が、立体配置的にある程度の距離をもって隔たたせることが可能となる。その立体配置により、高温作用部と低温作用部間を熱伝導する式(1)の熱量:QKを抑制することができ熱電変換効率が改善され、従来のようなモジュール構造を有さないで、一つの素子でもある程度の広い面積で構成される熱電変換素子を実現できる。
本発明の熱電変換素子は、少なくとも熱電変換材料層と異方性導電材料層が積層された熱電変換部において、異方性導電材料層が積層構造からはみ出してなる延在部を有し、延在部に電極を有する熱電変換素子であってもよい。熱電変換部の熱電変換材料層と積層される異方性導電材料層は、異方性導電材料層の導電異方性を利用することにより、熱電変換材料層と接触する面積よりも大きい面積を有する異方性導電性材料を積層して積層構造からはみ出してなる延在部を有する熱電変換部を構成することが可能となる。この延在部に一方の電極を配置することにより、立体配置により熱電変換素子の高温作用部と低温作用部を隔たたせることが可能となり、高温作用部(発熱作用部)と低温作用部(吸熱作用部)間で熱伝導する熱量:QKをより抑制でき熱電変換効率の改善を図ることができる。
また、異方性導電材料層は、異方性導電材料層を貫通する貫通孔を有し、貫通孔には熱電変換材料あるいは半導体の性質を有する導電材料が形成される熱電変換素子であってもよい。異方性導電材料の電気伝導度が熱電変換材料の電気伝導度に比較して小さい場合、異方性導電性材料の厚みを薄くして熱電変換部を構成すれば熱電変換素子として使用するのに特に問題は無いが、より改善を図る場合、或いは異方性導電材料の電気伝導度が小さすぎる場合、異方性導電性材料に貫通孔を形成し、貫通孔に熱電変換材料あるいは半導体の性質を有する導電材料を形成することで、熱電変換材料層と電極の電気的接触の改善を図り熱電変換効率の改善を図ることができる。
また、少なくとも熱電変換材料層と異方性導電材料層が積層された、n型熱電変換部とp型熱電変換部とを備え、積層方向に対して前記n型及びp型熱電変換部の下部に、n型及びp型熱電変換部に跨る第1電極と、n型及びp型熱電変換部の上部に、それぞれ第2及び第3電極を備える熱電変換素子であり、第2電極は、n型熱電変換部の上部の一部分に設けられ、第3電極は、p型熱電変換部の上部の一部分に設けられる熱電変換素子であってもよい。この場合、n型熱電変換部は、少なくともn型熱電変換材料と異方性熱電材料層が積層された構造であり、p型熱電変換部は、少なくともp型熱電変換材料と異方性熱電材料層が積層された構造である。n型熱電変換部とp型熱電変換部を上記の構成で素子化することで、n型あるいはp型どちらか一方の熱電変換部で構成された熱電変換素子に比較して熱電変換効率の改善を図ることができる。
また、少なくとも熱電変換材料層と異方性導電材料層が積層された、n型熱電変換部とp型熱電変換部とを備え、積層方向に対して前記n型及びp型熱電変換部の下部に、前記n型及びp型熱電変換部に跨る第1電極と、前記n型及びp型熱電変換部の上部に、それぞれ第2及び第3電極を備える熱電変換素子であり、n型熱電変換部の異方性導電材料層は積層構造からはみ出してなる延在部を有し、第2電極はn型熱電変換部の延在部の一部分に設けられ、p型熱電変換部の異方性導電材料層は積層構造からはみ出してなる延在部を有し、第3電極は、p型熱電変換部の延在部の一部分に設けられる熱電変換素子であってもよい。n型熱電変換部とp型熱電変換部を上記の構成で素子化することで、より熱電変換効率の改善を図ることができる。
また、本発明は熱電変換発電素子とペルチェ素子を組み合わせてなる熱電変換発電装置であり、ペルチェ素子により熱電変換発電素子の低温作用部を吸熱し、且つ熱電変換発電素子の高温作用部あるいは高温作用部に接触する熱だめとなる対象物に放熱し、熱電変換発電素子で発電することを特徴とする熱電変換発電装置である。ここで低温作用部とは熱電変換発電素子の低温側電極あるいは低温側電極付近の熱電変換部であり、高温作用部とは熱電変換発電素子の高温側電極あるいは高温側電極付近の熱電変換部を指す。特に、ペルチェ素子として、少なくとも本発明の熱電変換材料層と異方性導電材料層が積層され、異方性導電材料層が積層構造からはみ出してなる延在部を有し、延在部に電極を有する熱電変換素子を使用することにより上記熱電変換発電装置の動作を容易に実現化することが可能となる。
本発明の熱電変換発電装置は、本発明のペルチェ素子を使用することにより、熱電変換発電素子の低温作用部から吸熱しつつ、熱電変換発電素子の高温作用部に放熱することが容易にでき、熱電変換発電素子の高温作用部と低温作用部との間に安定した温度差を確保することができるようになる。従来、常温の空間において10℃前後の温度差しかないような状況下では、高温作用部から低温作用部に熱伝導してきた熱エネルギーは、低温作用部に蓄積されすぐに高温作用部と低温作用部の温度差がなくなってしまうため、常温の空間において温度差を利用する熱電変換発電を行うことは困難であった。しかし、本発明の熱電変換発電装置においては本発明のペルチェ素子を使用することにより、低温作用部に熱伝導してきた熱エネルギーを再び高温作用部に戻してやることができるので、常温の空間において小さな温度差でもロスなく確実に温度差を利用して発電することが可能となる。
従来の熱電変換素子では高温作用部から低温作用部に熱伝導する式(1)の熱量QKを考慮して熱電変換素子の大面積化ができなかったが、本発明の構成の熱電変換発電装置では、高温作用部と低温作用部の温度差を確実に保持できるので熱電変換発電素子の大面積化が可能となる。よって、常温の空間において10℃前後の温度差しかないような状況下でも、大面積化によって出力の高い熱電発電が可能となる。
また、本発明は熱電変換発電素子とペルチェ素子を組み合わせてなる熱電変換発電装置を使用する発電方法であり、ペルチェ素子により熱電変換発電素子の低温作用部を吸熱し、且つ熱電変換発電素子の高温作用部あるいは高温作用部に接触する熱だめとなる対象物に放熱し、熱電変換発電素子で発電することを特徴とする発電方法である。
熱電変換材料は、周知の熱電変換材料であればよく、特に材質を限定するものではない。例えばBi-Te系材料、Bi-Se系材料、Sb-Te系材料、Pb-Te系材料、Ge-Te系材料、Bi-Sb系材料、Zn-Sb系材料、Co-Sb系材料、Ag-Sb-Ge-Te系材料、Si-Ge系材料、Fe-Si系材料、Mg-Si系材料、Mn-Si系材料、Fe-O系材料、Zn-O系材料、Cu-O系材料、Na-Co-O系材料、Ti-Sr-O系材料、Bi-Sr-Co-O系材料等、一般的に知られる熱電変換材料をいう。
異方性導電材料層としては、グラファイトが一般的であるが、低導電性材料層や絶縁層(基材層)の表面に高導電性材料のコート層(電荷輸送層)を形成した異方性導電材料層でもよい。グラファイトはab面内で高い電気伝導率(層面内方向の電気伝導率)を示し、c軸方向で低い電気伝導率(厚さ方向の電気伝導率)を示す特性を有する。同様に、低導電性材料層や絶縁層の表面に高導電性材料のコート層を形成した異方性導電材料層もまた、層面内方向で高い電気伝導率を示し、厚さ方向で低い電気伝導率を示す特性を有する。
グラファイトを使用する場合は、一般的に市販されているグラファイトシートを用いて形成してもよい。グラファイトシートには、天然黒鉛から製造したシートと、ポリイミド等の高分子シートをグラファイト化させたシートがあり、どちらも市販されているが、製造方法や使用した原料等によりグラファイトシートの熱伝導率や電気伝導度が幾分異なる。グラファイトシートの特性に合わせて熱電変換素子の素子構造を選択する必要がある。
ただし、異方性導電材料層の導電材料は半導体の性質を有していることが必要である。熱電変換材料は一般的に半導体であるためバンドギャップを有するので伝導帯が価電子帯に対してある程度エネルギー的に高い位置にある。導電材料が金属のようにバンドギャップを有さず価電子帯のすぐ上に伝導帯がある場合、熱電変換材料の伝導帯にあるキャリアが導電材料の伝導帯に移動する際にエネルギーを放出することになり発熱が生じる。このような発熱が大きく生じると本発明の熱電変換素子は本発明の作用・効果を十分に発揮できなくなる。よって、異方性導電材料層の導電材料はある程度のバンドギャップを有していることが必要となる。
グラファイトは、層間では半導体的な性質であり、層面内は金属的導電性を示す。グラファイトと熱電変換材料との接触では、金属と熱電変換材料との接触により生じるような発熱作用は生じないことから、グラファイト全体としてグラファイトのπ*軌道よりなる伝導帯のエネルギー準位とBi-Te系材料等の熱電変換材料の伝導帯のエネルギー準位が近く、キャリアの移動でエネルギー放出がほとんど生じないものと考えられる。このため、熱電変換材料層とグラファイト層とを積層して使用することができる。
低導電性材料層や絶縁層(基材層)の表面に高導電性材料のコート層(電荷輸送層)を形成した異方性導電材料層について述べる。
低導電性材料層(基材層)としては、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスチレン樹脂等の結着樹脂中に、半導体の性質を有する電荷輸送材料を含有させることで形成できる。n型熱電変換部に含まれる第1異方性導電材料層においては、結着樹脂中に電荷輸送材料として電子輸送材料を含有させて第1基材層を形成することが好ましく、p型熱電変換部に含まれる第2異方性導電材料層においては、結着樹脂中に電荷輸送材料として正孔輸送材料を含有させて第2基材層を形成することが好ましい。電気伝導率は結着樹脂中の電荷輸送材料の含有量や材料を変化させることでコントロールすることできる。低導電性材料層の電気伝導率としては1〜50S/cm程度が好ましい。形成方法は、蒸着法や塗布法等の一般的な層形成手段を用いることができる。本発明では、結着樹脂や電荷輸送材料を適当な有機溶剤に溶解または分散して低導電性材料層形成用塗布液を調製し、この塗布液を熱電変換材料層の上に塗布し、次いで乾燥して有機溶剤を除去することで形成する。低導電性材料層の厚みは低導電性材料層形成用塗布液の粘度を調整することでコントロールできる。低導電性材料層の厚みとしては、特に規定されるものではないが、0.1μm〜10μm程度の範囲が好ましい。
結着樹脂中に含まれる電子輸送材料としては、例えば、オキサジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、ベンゾキノン誘導体、ナフトキノン誘導体、アントラキノン誘導体、テトラシアノアントラキノジメタン誘導体、ジフェノキノン誘導体、フルオレノン誘導体、シロール誘導体等が好ましい。
結着樹脂中に含まれる正孔輸送材料としては、例えば、ポルフィリン誘導体、芳香族第三級アミン化合物、スチリルアミン誘導体、ポリビニルカルバゾール、ポリ−p−フェニレンビニレン、ポリシラン、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミン置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、水素化アモルファスシリコン、水素化アモルファス炭化シリコン、硫化亜鉛、セレン化亜鉛等が好ましい。
絶縁層(基材層)としては耐久性と絶縁性を兼ね備える材料であればいずれの材料でもよいが、例えば酸化シリコン層、窒化シリコン層、シリコン樹脂、フッ素樹脂、ポリカーボネート樹脂、PET等のポリエステル樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂等が使用できる。形成方法は、蒸着法や塗布法等の一般的な層形成手段を用いることができる。本発明では、低導電性材料層形成と同様に塗布法によって形成する。絶縁層の厚みは、特に規定されるものではないが、0.1μm〜10μm程度の範囲が好ましい。
続いて、低導電性材料層や絶縁層の表面に高導電性材料のコート層(電荷輸送層)を形成する。高導電性材料としては、半導体の性質を有する電荷輸送材料を使用することができる。n型熱電変換部に含まれる第1異方性導電材料層には電子輸送材料を用い使用して第1電荷輸送層を形成し、p型熱電変換部に含まれる第2異方性導電材料層には正孔輸送材料を使用して第2電荷輸送層を形成することが好ましい。電荷輸送材料のコート層の形成方法は、蒸着法、レーザーアブレーション成膜、塗布法等の一般的な層形成手段を用いることができる。電荷輸送材料のコート層は、面内での電気伝導率が100S/cm以上であることが好ましい。
第1電荷輸送層の形成に用いる電子輸送材料としては、上記に例示するような半導体の性質を有する材料が好ましい。本発明では蒸着法によって形成する。第1電荷輸送層の厚さは、特に規定されるものではないが、10〜200nmの範囲が好ましい。
第2電荷輸送層の形成に用いる正孔輸送材料としては、上記に例示するような半導体の性質を有する材料が好ましい。本発明では蒸着法によって形成する。第2電荷輸送層の厚さは、特に規定されるものではないが、10〜200nmの範囲が好ましい。
また、基材層に絶縁層を使用する場合等のように異方性導電材料層の厚み方向への導電性を改善したい場合、基材層などに貫通孔を設けても良い。貫通孔には電荷輸送材料や熱電変換材料を蒸着するなどして孔中に導電材料を形成することで厚み方向への導電性を改善することができる。この場合、異方性導電材料層の厚みや厚み方向への電気伝導率に依存するが、どの程度の大きさの貫通孔をどの程度の割合で設けるかが重要であり、貫通孔の割合が高すぎると異方性が発揮されず、熱電変換素子の高温側電極と低温側電極または発熱作用電極と吸熱作用電極が立体配置的に隔たった素子構造を実現できなくなる。また、貫通孔の割合が低すぎると厚み方向への導電性の改善効果が見られない。
次に、図面を用いて、各実施形態に係る熱電変換素子について説明する。
〔実施形態1〕
図1は本発明の実施形態1に係る熱電変換素子の上面図、断面図及び下面図である。図1において、(1)が上面図、(2)が上面図におけるA−A線断面図、(3)が下面図である。
図1に示すように、実施形態1に係る熱電変換素子1Aは、導電性基板2(第1電極)と、導電性基板2と略平行に配置された電極8A,8B(第2又は第3電極)と、導電性基板2と電極8Aとの間に配置されたn型熱電変換部6Nと、導電性基板2と電極8Bとの間に配置されたp型熱電変換部6Pとを備えている。より詳細には、本実施形態の熱電変換素子1Aは、導電性基板2(第1電極)と、導電性基板2上に形成されたn型及びp型熱電変換部6N、6Pと、n型熱電変換部6N上に形成された第2電極8A及びp型熱電変換部6P上に形成された第3電極8Bとで構成され、n型熱電変換部6Nは、n型熱電変換材料層3N、第1異方性導電材料層5Aの順で、p型熱電変換部6Pは、p型熱電変換材料層3P、第2異方性導電材料層5Bの順で、それぞれ導電性基板2上に積層されている。また、n型熱電変換部6Nとp型熱電変換部6Pは、絶縁層9(絶縁体)を挟み、互いに離れて配置されている。
この熱電変換素子1Aは、p型及びn型熱電変換部6P、6Nが導電性基板2を介して直列接続され、その両端に第2電極8A,第3電極8Bが接続されているので、第2電極8A,第3電極8Bとの間に直流電圧が印加され、電流が第2電極8Aから導電性基板2を介して第3電極8Bの方向へ流れると、第2および第3電極8A,8B側で発熱し、導電性基板2側で吸熱する(電流の向きが逆になれば、発熱と吸熱も逆になる)。
ここで、本明細書において、その作用から前者を発熱作用部、後者を吸熱作用部と呼ぶ。また、例えば発電素子として使用する場合、第2および第3電極8A,8B側を低温に、導電性基板2側を高温にすると、この熱電変換素子1Aは、その温度差を利用して熱エネルギーを電気エネルギーに変換して発電するので、この作用から前者を低温作用部、後者を高温作用部とも呼ぶ。
導電性基板(第1電極)2及び第2および第3電極8A,8Bは、銅基板で構成されている。これらは、電極として機能するように十分な導電性を有する材料で形成されればよく、銅のほか、例えば、アルミ、銀、白金等で形成される。また、導電性基板2、第1および第2電極8A,8Bは、熱電変換素子で吸熱作用部または発熱作用部として機能するので、熱伝導率に優れる材料で形成する。銅基板を導電性基板2及び第2および第3電極8A,8Bに用いた場合、例えば、導電性基板2は0.5〜2.0mm程度の厚さで、第2および第3電極8A,8Bは0.1〜0.3mm程度の厚さで形成する。
n型熱電変換材料層3N及びp型熱電変換材料層3Pは、周知の熱電変換材料であれば特にその材質は制限されないが、500K以下ではBi-Te系材料が好ましい。Bi-Te系材料には、n型半導体の材料として、Bi2Te3やBiとTeにSeを加えたBi2Te3-XSeX等があり、p型半導体の材料として、Bi2Te3やBiとTeにSbを加えたBi2-XSbXTe3等があるので、好ましくは、これらの材料でn型熱電変換材料層3N及びp型熱電変換材料層3Pを形成することが好ましい。実施形態1の熱電変換素子1Aでは、Bi-Te系材料が用いられ、具体的には、n型熱電変換材料層3NがBi2Te3-XSeXの材料で形成され、p型熱電変換材料層3PがBi2-XSbXTe3の材料で形成されている。
なお、これらの熱電変換材料層は、焼結体を切り出した板状の熱電変換材料であっても良いし、多周知の蒸着法、スパッタリング法、CVD法で形成された層であっても良い。また熱電変換材料をペースト化し、ペーストをスクリーン印刷法やドクターブレード法等により印刷し加熱することにより熱電変換材料層を形成してもよい。
本実施形態において、n型熱電変換材料層3N及びp型熱電変換材料層3Pは、Bi-Te系材料の焼結体より切り出した基板を用いて形成する。例えば、Bi,Te,その他の添加物の粉末原料を混合して溶融し、溶融後できた母材を粉砕して、粉末状のBi-Te系材料の原料を得る。そのBi-Te系材料の原料から、ゾーンメルト法を用いてBi-Te系材料の焼結体を製造し、その焼結体を任意の大きさに切り出して基板を作製し、n型熱電変換材料層又はp型熱電変換材料層とする。作製されるBi-Te系材料の基板は、例えば、10mm程度の層厚で形成する。
異方性導電材料層5A,5Bは、グラファイトシート、あるいは低導電性材料層に高導電性材料をコートしたものを使用する。
まず、異方性導電材料層5A,5Bが、グラファイトシートの場合について説明する。グラファイトシートは市販されているグラファイトシートを使用し、Bi-Te系材料の基板にグラファイトシートを接着する。接着方法は、グラファイトシートの接着面に、基板と同じ組成のBi-Te系材料を蒸着しBi-Te系材料の層を形成する。次いで上記Bi-Te系材料の基板に、グラファイトシートのBi-Te系材料の層が形成された面を密着させて熱圧着する。
以上の工程を、n型のBi-Te系材料の基板、p型のBi-Te系材料の基板、それぞれについて行い、n型Bi-Te系材料層とグラファイト層からなるn型熱電変換部6Nと、p型Bi-Te系材料層とグラファイト層からなるp型熱電変換部6Pとを作製する。
次いで、第1および第2異方性導電材料層5A,5Bが、低導電性材料層の表面に高導電性材料のコート層を形成したものを使用する場合について説明する。
低導電性材料層は結着樹脂に電気伝導率が10〜50S/cm程度となるように導電材料を含ませたものである。導電材料は、n型熱電変換部6Nには電子輸送材料を、p型熱電変換部6Pには正孔輸送材料を使用することが好ましい。本実施形態では、例えば、結着樹脂としてポリカーボネート樹脂を使用し、樹脂中に含有させる電荷輸送材料としては、電子輸送材料としてジフェノキノン化合物(化1)を、正孔輸送材料としてヒゾラゾン系化合物(化2)を使用する。これらの材料をテトラヒドロフラン溶剤に溶解及び分散させて上記Bi-Te系材料の基板に塗布することにより形成する。低導電性材料層は、厚みが約1μm、電気伝導率が約10S/cmとなることを目標に形成する。
続いて、形成された低導電性材料層の表面に高導電性材料のコート層を形成する。導電材料は、n型熱電変換部6Nには電子輸送材料を、p型熱電変換部6Pには正孔輸送材料を使用することが好ましい。本実施形態では、例えば、電子輸送材料としてAlq3(aluminato-tris-8-hydoroxyquinolate:化3)を、正孔輸送材料としてNPP(N,N-di(naphthalene-1-yl)-N,N-diphenyl-benzidene)を使用する。高導電性材料のコート層の形成は蒸着法で行う。コート層の厚みは約70nmで、面内の電気伝導率が100S/cm以上となることを目標に形成される。
以上の工程を、n型のBi-Te系材料の基板、p型のBi-Te系材料の基板、それぞれについて行い、n型Bi-Te系材料層と第1異方性導電材料層5Aからなるn型熱電変換部6Nと、p型Bi-Te系材料層と第2異方性導電材料層5Bからなるp型熱電変換部6Pとを作製する。
導電性基板および電極には、Cu基板を使用しており、Cu基板と熱電変換材料層或いは異方性導電材料層との接着は、各層の電極形成部分に銀ペーストを印刷して加熱後、銀ペースト上に半田をのせCu基板を半田付けする。また、Cu基板を熱電変換材料層に熱圧着する方法や、Al蒸着や導電性接着剤を使用することも可能である。ここで、第2電極8Aは、第1異方性導電材料層5A上の一部分に設けられ、第3電極8Bは、第2異方性導電材料層5B上の一部分に設けられる。
なお、絶縁層9は、本実施形態ではアクリル板が用いられている。この絶縁層9は、n型熱電変換部6Nとp型熱電変換部6Pとを電気的に絶縁するための層であるので、必要な絶縁性を考慮して適宜周知の絶縁材料で形成すればよい。
以上の工程により、実施形態1に係る熱電変換素子(図1)が製造される。
実施形態1では、異方性導電材料の電気伝導率の異方性を利用することにより、図1に示すように,電極8A,8Bの面積を小さくし、且つ導電性基板2と電極8A,8Bが上方から見た平面配置において重ならない部分を形成することができる。このため、発熱作用部(電極8A,8Bの領域)から吸熱作用部(導電性基板2の領域)への熱伝導が立体配置的に抑制されることになる。従って、本実施形態の熱電変換素子1Aは、高い熱電変換効率が実現できる。
〔実施形態2〕
次に、実施形態2に係る熱電変換素子1Bについて説明する。図2は、本発明の実施形態2に係る熱電変換素子の上面図、断面図及び下面図である。図2において、(1)が上面図、(2)が上面図におけるB−B線断面図、(3)が下面図である。
図2に示すように、電極の配置の例として挙げる熱電変換素子1Bは、実施形態1に係る熱電変換素子1Aと同様のn型熱電変換部6N及びp型熱電変換部6Pを備えているが、導電性基板2及び電極8A,8Bの配置が異なり、導電性基板2と電極8A,8Bとが上方から見た平面配置において互いに重なる部分がなく分離されて配置されている。
本実施形態では、例えば、異方性導電材料として、熱電変換材料層よりも長く積層構造からはみ出した延在部を有する形状のグラファイトシートを使用する。n型熱電変換部6N及びp型熱電変換部6Pに、延在部を有する異方性導電材料層5A,5Bが設けられ、異方性導電材料層の延在部に電極8A,8Bが配置される。
ここで延在部について説明する。図2(2)に示したように、第1異方性導電材料層5Aは、n型熱電変換材料層3N側の第1主要面とそれに対面する側の第2主要面とを有している。n型熱電変換材料層3Nは、第1主要面の一部の上に設けられており、第1主要面には、その上にn型熱電変換材料層が設けられていない表面がある。この表面を有する第1異方性導電材料層5Aの部分を延在部という。熱電変換素子1Bでは、第2主要面のうち延在部の表面上に第2電極8Aが設けられる。
また、図2(2)に示したように、第2異方性導電材料層5Bは、p型熱電変換材料層3P側の第3主要面とそれに対面する側の第4主要面とを有している。p型熱電変換材料層3Pは、第3主要面の一部の上に設けられており、第3主要面には、その上にp型熱電変換材料層が設けられていない表面がある。この表面を有する第2異方性導電材料層5Bの部分を延在部という。熱電変換素子1Bでは、第4主要面のうち延在部の表面上に第3電極8Bが設けられる。
上記で説明したように、異方性導電材料層は、層(ab面)ab面内で高い電気伝導率を示し、厚み(c軸)方向で低い電気伝導率を示す特性を有するので、異方性導電材料層5A,5Bの延在部上に第2または第3電極8A、8Bを形成することが可能となる。その結果、電極8A,8Bの面積を小さくし、且つ導電性基板2と電極8A,8Bが上面からみた配置において互いに重ならないように形成することができ、発熱作用部(電極8A,8Bの領域)から吸熱作用部(導電性基板2の領域)への熱伝導が立体配置によって抑制されることになる。従って、本実施形態の熱電変換素子1Bは、高い熱電変換効率が実現できる。
なお、図2の例における熱電変換部の作用効果は、実施形態1の熱電変換素子1Aのそれと同様であり、その製造方法もほぼ同じである。
〔実施形態3〕
次に、実施形態3に係る熱電変換素子1Cについて説明する。図3は、本発明の実施形態3に係る熱電変換素子の上面図、断面図及び下面図である。図3において、(1)が上面図、(2)が上面図におけるB−B線断面図、(3)が下面図である。
図3に示すように、熱電変換素子1Cは、実施形態2に係る熱電変換素子1Bとほぼ同様の素子構造を有しており、電極8A,8Bが配置される異方性導電材料層の延在部の面が異なるだけである。
上記で延在部について述べたが、図3(2)に示したように、第1異方性導電材料層5Aは、n型熱電変換材料層3N側の第1主要面とそれに対面する側の第2主要面とを有している。n型熱電変換材料層3Nは、第1主要面の一部の上に設けられており、第1主要面には、その上にn型熱電変換材料層が設けられていない表面がある。この表面を有する第1異方性導電材料層5Aの部分を延在部という。熱電変換素子1Cでは、第1主要面のうち延在部の表面上に第2電極8Aが設けられる。
また、図3(2)に示したように、第2異方性導電材料層5Bは、p型熱電変換材料層3P側の第3主要面とそれに対面する側の第4主要面とを有している。p型熱電変換材料層3Pは、第3主要面の一部の上に設けられており、第3主要面には、その上にp型熱電変換材料層が設けられていない表面がある。この表面を有する第2異方性導電材料層5Bの部分を延在部という。熱電変換素子1Cでは、第3主要面のうち延在部の表面上に第3電極8Bが設けられる。
異方性導電材料層の層面内における電気伝導率が、熱電変換材料層の電気伝導率に比べて一桁以上高い場合、熱電変換材料層の主要面の面積の大きさにも依存するが、熱電変換素子1Cの素子構造を実現することが可能となる。熱電変換材料にBi-Te系熱電変換材料を使用した場合、Bi-Te系熱電変換材料の電気伝導率は約1000(S/cm)程度であるので、異方性導電材料の層面内方向での電気伝導率が10000(S/cm)以上ある場合、熱電変換素子1Cの素子構造を採用しても良い。異方性導電材料層にグラファイトシートを使用する場合、天然黒鉛から製造したシートは層面内方向の電気伝導率が1000〜5000(S/cm)程度であり、Bi-Te系熱電変換材料の電気伝導率と比べて大きな差異がなく熱電変換素子1Cの素子構造を採用することは困難である。一方、ポリイミド等の高分子シートをグラファイト化させたグラファイトシートは層面内方向の電気伝導率が10000〜25000(S/cm)程度であり熱電変換素子1Cの素子構造を採用することができる。ただし、熱電変換材料層の主要面の面積が大きくなるほど異方性導電材料層の層面内における電気伝導率は高くなければならず、異方性導電材料層の層面内における電気伝導率に比べて熱電変換材料層の主要面の面積が大きすぎる場合、熱電変換材料層全体に電圧が負荷せずキャリアが移動できない領域が生じ、熱電変換効率の悪化を招く場合もある。
本実施形態の熱電変換素子1Cの素子構造は、熱電変換素子1Bの素子構造と比較して、電流は異方性導電材料の厚み分をキャリアが流れる必要がなくロスを低減できる効果がある。また、本実施形態においても、電極8A,8Bの面積を小さくし、且つ導電性基板2と電極8A,8Bが上面からみた配置において互いに重ならないように形成することができ、発熱作用部(電極8A,8Bの領域)から吸熱作用部(導電性基板2の領域)への熱伝導が立体的配置によって抑制されることになる。従って、本実施形態の熱電変換素子1Cは、高い熱電変換効率が実現できる。
〔実施形態4〕
次に、実施形態4に係る熱電変換素子について説明する。図4は、本発明の実施形態4に係る熱電変換素子の上面図、断面図及び下面図である。図4において、(1)が上面図、(2)が上面図におけるC−C線断面図、(3)が下面図である。
図4に示すように、実施形態4に係る熱電変換素子1Dは、実施形態1に係る熱電変換素子1Aと同じ構成であるが、実施形態4に係る熱電変換素子1Dにおいては、貫通孔13A、13Bを形成した異方性導電材料層5C,5Dを使用している点が、実施形態1に係る熱電変換素子1Aと異なっている。本実施形態では、異方性導電材料層5C,5Dは、グラファイトシート、あるいは絶縁層に高導電性材料をコートしたものを使用する。
まず、異方性導電材料層5C,5Dが、グラファイトシートの場合について説明する。グラファイトシートは実施形態1と同様に市販のグラファイトシートを使用する。グラファイトの厚み(c軸)方向の電気伝導率は約5S/cmであり幾分低い。このため、本実施形態では、グラファイトシートに、一様に貫通孔13A,13Bを形成し、貫通孔内に熱電変換材料を形成することで厚み(c軸)方向の電気伝導率を改善する。
この貫通孔13A,13Bは、レーザー微細加工機等で形成することができる。例えば、厚さ50μmのグラファイトシートを使用する場合、貫通孔の大きさは、直径20μmの大きさであり、200μmピッチに設ける。その形状は、例えば円筒状である。
このグラファイトシートの両面にn型或いはp型のBi-Te系材料の基板と同じBi-Te系材料をそれぞれ蒸着し、グラファイトシートの片面とBi-Te系材料の基板と熱圧着して接着する。Bi-Te系材料を蒸着することにより、貫通孔内にBi-Te系材料を形成することができ、グラファイト層の厚み(c軸)方向の電気伝導率を改善する。以上の工程を、n型のBi-Te系材料の基板、p型のBi-Te系材料の基板、それぞれについて行い、n型Bi-Te系材料層とグラファイト層からなるn型熱電変換部と、p型Bi-Te系材料層とグラファイト層からなるP型熱電変換部とを作製する。
次に、異方性導電材料層5C,5Dが、絶縁層に高導電性材料のコート層を形成したものである場合について説明する。絶縁層は、ポリカーボネート樹脂をテトラヒドロフラン溶剤に溶解及び分散させてBi-Te系材料の基板に塗布することにより形成した。絶縁層は、厚みが約1μmを目標に形成された。この絶縁層に、一様に貫通孔13A,13Bを形成し、貫通孔内に電荷輸送材料を形成することで厚み方向の電気伝導率を改善する。この貫通孔13A,13Bは、レーザー微細加工機等で形成することができる。貫通孔の大きさは、例えば、厚さ1μmの絶縁層5C、5Dに対して直径0.5μmの大きさであり、5μmピッチに設ける。その形状は、例えば円筒状である。
続いて、形成された絶縁層の表面に高導電性材料をコートする。導電材料は、n型熱電変換部には電子輸送材料を、p型熱電変換部には正孔輸送材料を使用することが好ましい。本実施形態では、例えば、電子輸送材料としてAlq3(aluminato-tris-8- hydoroxyquinolate:化3)を、正孔輸送材料としてNPP(N,N-di(naphthalene-1-yl)- N,N- diphenyl-benzidene)を使用する。高導電性材料のコート層の形成は蒸着法で行う。このことにより、貫通孔13A内に電子輸送材料を、または貫通孔13B内に正孔輸送材料を形成することができる。コート層の厚みは約70nmで、面内の電気伝導率が100S/cm以上となることを目標に形成される。
以上の工程を、n型のBi-Te系材料の基板、p型のBi-Te系材料の基板、それぞれについて行い、n型Bi-Te系材料層と異方性導電材料層からなるn型熱電変換部6Nと、p型Bi-Te系材料層と異方性導電材料層からなるp型熱電変換部6Pとを作製する。
その他の工程は、実施形態1の熱電変換素子1Aの製造方法とほぼ同様にして、本実施形態4に係る熱電変換素子1Dが製造される。
実施形態4においても、図4に示すように,電極8A,8Bの面積を小さくし、且つ導電性基板2と電極8A,8Bが上方から見た平面配置において重ならない部分を形成することができる。このため、発熱作用部(電極8A,8Bの領域)から吸熱作用部(導電性基板2の領域)への熱伝導が立体配置によって抑制されることになる。従って、本実施形態の熱電変換素子1Dは、高い熱電変換効率が実現できる。
〔実施形態5〕
次に、実施形態5に係る熱電変換素子について説明する。図5は、本発明の実施形態5に係る熱電変換素子の上面図、断面図及び下面図である。図5において、(1)が上面図、(2)が上面図におけるD−D線断面図、(3)が下面図である。
図5に示すように、実施形態5に係る熱電変換素子1Eは、実施形態2に係る熱電変換素子1Bと同じ構成であるが、貫通孔13A,13Bを形成した異方性導電材料層5C,5Dを使用している点が、実施形態2に係る熱電変換素子1Bと異なっている。
本実施形態では、例えば、異方性導電材料として、熱電変換材料層よりも長く積層構造からはみ出した延在部を有する形状のグラファイトシートを使用する。グラファイトシートには貫通孔が形成される。n型熱電変換部6N及びp型熱電変換部6Pに、貫通孔と延在部を有する異方性導電材料層5C,5Dが設けられ、異方性導電材料層の延在部上に電極8A,8Bが配置される。図5に示すように,電極8A,8Bの面積を小さくし、且つ導電性基板2と電極8A,8Bが上方から見た平面配置において互いに重ならないように配置することができる。このため、発熱作用部(電極8A,8Bの領域)から吸熱作用部(導電性基板2の領域)への熱伝導が立体配置的に抑制されることになる。従って、本実施形態の熱電変換素子1Eは、高い熱電変換効率が実現できる。
なお、異方性導電材料層に貫通孔を形成する工程は、実施形態4と同様にして製造できる。貫通孔(貫通孔13A,13B)は、素子の積層部分に形成し、異方性導電材料層の積層よりはみ出た延在部分に形成しなくてもよい。その他の工程は、実施形態2と同様にして製造できる。
〔実施形態6〕
次に、実施形態6に係る熱電変換素子について説明する。図6は、本発明の実施形態6に係る熱電変換素子の断面図である。
図6に示すように、本実施形態に係る熱電変換素子1Fは、その構成が実施形態1とほぼ同様である(図6に示す形態は、図1に示す実施形態1と上下関係が逆であるが、各層の積層の順序は同じである)が、電極8A,8Bに相当する電極8G,8Hの配置が異なっている。すなわち、電極8G,8Hは、それぞれ異方性導電材料層5A,5Bに接するとともに、絶縁層9を挟むように配置されている。電極8G,8Hは、その大きさが異方性導電材料層5A,5Bよりも小さいので、異方性導電材料層5A,5Bの表面の一部が電極8G,8Hに覆われず、その一部が露出している。
本実施形態においても、発熱作用部と吸熱作用部との間の熱伝導を立体的配置によって抑制でき、高い熱電変換効率が実現できる。また、本実施形態は、上記の異方性導電材料層5A,5Bの表面が露出している領域を利用して、以下の実施形態9の熱電変換発電装置に用いることができる。
〔実施形態7〕
さらに、実施形態7に係る熱電変換素子について説明する。図7は、本発明の実施形態7に係る熱電変換素子の断面図である。図7に示すように、実施形態7に係る熱電変換素子1Gは、実施形態6に係る熱電変換素子1Fと同じ構成であるが、貫通孔13A,13Bを形成した異方性導電材料層5C,5Dを使用している点が、実施形態6に係る熱電変換素子1Fと異なっている。
本実施形態においても、発熱作用部と吸熱作用部との間の熱伝導を立体的配置によって抑制でき、高い熱電変換効率が実現できる。また、本実施形態は、上記の異方性導電材料層5C,5Dの表面が露出している領域を利用して、以下の実施形態10の熱電変換発電装置に用いることができる。
〔実施形態8〕
上記で説明した実施形態1〜7の熱電変換素子は、単独で使用されるだけでなく、複数で使用されてもよい。例えば、複数の熱電変換素子が組みあわさって、熱電変換発電装置を構成してもよい。
次に、実施形態8に係る熱電変換発電装置について説明する。図8は、本発明の実施形態8に係る熱電変換発電装置(複数の熱電変換素子を備える装置)の断面図である。
図8に示すように、本実施形態に係る熱電変換発電装置1Hは、従来の素子構造を有する熱電変換素子1Kと、さらに別の熱電変換素子10A,10Bとで構成されている。ここで、熱電変換素子1Kは発電に寄与する熱電変換発電素子であり、熱電変換素子10A,10Bは熱電変換素子1Kを効率よく発電させるためのペルチェ素子である。
ここで熱電変換素子1Kは、第1の電極である導電性基板2の下部に、絶縁層9を挟んでn型熱電変換材料層3Nとp型熱電変換材料層3Pが形成されており、n型熱電変換材料層3Nの下部に第2の電極8Gが、p型熱電変換材料層3Pの下部に第3の電極8Hが形成されている従来の素子構造の熱電変換発電素子である。熱電変換素子1Kは、導電性基板2が高温作用部として働き、第2、第3の電極8G,8Hが低温作用部として働き、高温作用部と低温作用部の温度差を利用して発電を行う。
熱電変換発電装置1Hは、第2、第3の熱電変換素子10A,10Bが、熱電変換発電素子1Kに接して配置された構成である。ここで、第2、第3の熱電変換素子10A,10Bは、実施形態2の熱電変換素子1B(図2)と同じ構造の熱電変換素子である。なお、図11に、第2の熱電変換素子10Aの斜視図を示す。図2の熱電変換素子1Bの導電性基板2に相当するのが、図8の電極10AL、10BLであり、熱電変換発電素子1Kの電極8G,8Hに接して配置されている。そして、図8の熱電変換素子10A,10Bは、電極10AL、10BLの下部に順に熱電変換材料層と異方性導電材料層が積層されている。その異方性導電材料層は熱電変換材料層とは接触せず積層構造からはみ出した延在部10AG,10BGを有し、延在部10AG,10BGは、異方性導電材料層の積層面から、熱電変換発電素子1Kのn型熱電変換材料3N、p型熱電変換材料3Pの側方に沿って延び、さらに、導電性基板2上方まで延びている。そして電極10AH,10BH(図2の熱電変換素子1Bの電極8A,8Bに対応)は、熱電変換発電素子1Kの導電性基板2に接触する構成で、その延在部の端部上方に配置されている。
なお、熱電変換素子10A,10Bは、それぞれ電極を有するが、これらの電極の表面は絶縁物でカバーされており、接触する他の素子や電極、あるいは接触する対象物との電気的接触はない。ペルチェ素子として熱の出入りが生じるだけである。
ペルチェ素子である第2、第3の熱電変換素子10A,10Bにおいて、電極10AL,10BLは吸熱作用部として働き、電極10AH,10BHは発熱作用部として働く。吸熱作用部である電極10AL,10BLが、熱電変換発電素子1Kの低温作用部である電極8G,8Hに接して配置されているため、熱電変換発電素子1Kの高温作用部から低温作用部へ熱伝導してきた熱量は低温作用部に蓄積されることなく電極10AL,10BLに吸熱される。よって、低温作用部を低温に保持することが可能となる。一方、発熱作用部である電極10AH,10BHは、熱電変換発電素子1Kの高温作用部である導電性基板2に接して配置されているため、電極10AL,10BLで吸熱された熱量が、電極10AH,10BHを通して熱電変換発電素子1Kの高温作用部に放熱される。よって、高温作用部から低温作用部へ熱伝導することで失われた熱量を取り戻すことができ、高温作用部を高温に保持することが可能となる。これらの作用により熱電変換発電素子1Kの高温作用部と低温作用部の温度差が保持されるため、熱電変換発電素子1Kは効率の高い発電を持続的に行うことができる。
また、実施形態8の熱電変換発電装置1Hにおいて、熱電発電素子1Kの高温作用部から低温作用部へ熱伝導する熱量:Qkは、ペルチェ素子10A,10Bによって熱電発電素子1Kに対しほぼ完結した循環を成しているので、熱電発電素子1Kは熱量:Qkを考慮した素子構造である必要がなく大面積化が図れる。大面積化を図ることで、より発電量の大きい熱電変換発電を行うことができる。
本実施形態8の熱電変換発電装置1Hは、高温作用部と低温作用部にΔTの温度差がある場合、熱電変換発電素子1Kはその温度差に比例して熱起電力を発生し、出力:Poutが得られるが、同様に、温度差に比例して高温作用部から低温作用部へ熱伝導する熱量:Qkが生じ、このQkを低温作用部から高温作用部に戻すために第2、第3の熱電変換素子(ペルチェ素子)10A,10Bを駆動する入力:Pinが必要となる。熱量:Qkは熱電変換材料の熱伝導率に依存するが、熱電変換材料にBi-Te系材料を使用した場合、出力:Poutを100%として、入力:Pinは30〜40%程度である。熱電変換発電装置1Gは高温作用部と低温作用部の温度差:ΔTを確実に保持できるので、結果として、ΔTで得られる出力:Poutの60〜70%の出力を持続的に得ることができる。また、熱電変換発電装置1Gの熱電変換発電素子1Kは、従来の熱電変換素子に比較して大面積化が可能であるため、広い面積で温度差を利用することができ、結果として大きい出力が得られることとなる。
〔実施形態9〕
次に、実施形態9に係る熱電変換発電装置について説明する。図9は、本発明の実施形態9に係る熱電変換発電装置の断面図である。
図9に示すように、本実施形態に係る熱電変換発電装置1Iは、その構成が実施形態8の熱電変換発電装置1Hとほぼ同じである。熱電変換発電装置1Hでは、熱電変換発電素子1K(従来の熱電変換素子)と、ペルチェ素子として使用される熱電変換素子10A,10B(実施形態2の熱電変換素子)とで構成されていたが、本実施形態の熱電変換発電装置1Iは、本発明の熱電変換発電素子1F(実施形態6の熱電変換素子)と、ペルチェ素子として使用される本発明の熱電変換素子20A,20B(実施形態3の熱電変換素子)とで構成される。
熱電変換発電素子1Fは、第1の電極である導電性基板2の下部に、絶縁層9を挟んでn型熱電変換材料層3Nと異方性導電材料5Aからなる熱電変換部6Nと、p型熱電変換材料層3Pと異方性導電材料5Bからなる熱電変換部6Pが形成されており、異方性導電材料5Aの下部の一部分に第2の電極8Gが、異方性導電材料5Bの下部の一部分に第3の電極8Hが形成されている素子構造を有する熱電変換発電素子である。本実施形態では熱電変換発電素子1Fの導電性基板2が高温作用部として働き、異方性導電材料5A,5Bが低温作用部として働き、高温作用部と低温作用部の温度差を利用して発電を行う。
熱電変換発電装置1Iは、第2、第3の熱電変換素子20A,20Bが、熱電変換発電素子1Fに接して配置された構成である。ここで、第2、第3の熱電変換素子20A,20Bは、実施形態3の熱電変換素子1C(図3)と同じ構造の熱電変換素子である。図3の熱電変換素子1Cの導電性基板2に相当するのが、図9の電極20AL、20BLであり、熱電変換発電素子1Fの異方性導電材料5A,5Bに接して配置されている。そして、図9の熱電変換素子20A,20Bは、電極20AL、20BLの下部に順に熱電変換材料層と異方性導電材料層が積層されている。その異方性導電材料層は熱電変換材料層とは接触せず積層構造からはみ出した延在部20AG,20BGを有し、延在部20AG,20BGは、異方性導電材料層の積層面から、熱電変換発電素子1Fのn型熱電変換部6N、p型熱電変換部6Pの側方に沿って延び、さらに、導電性基板2上方まで延びている。そして電極20AH,20BH(図3の熱電変換素子1Cの電極8A,8Bに対応)は、熱電変換発電素子1Fの導電性基板2に接触する構成で、その延在部の端部下方に配置されている。
なお、熱電変換素子20A,20Bは、それぞれ電極を有するが、これらの電極の表面は絶縁物でカバーされており、接触する他の素子や電極、あるいは接触する対象物との電気的接触はない。ペルチェ素子として熱の出入りが生じるだけである。
実施形態9の熱電変換発電装置1Iにおいても実施形態8の熱電変換発電装置1Hと同様に、ペルチェ素子として働く熱電変換素子20A,20Bの作用により熱電変換発電素子1Fの高温作用部と低温作用部の温度差が保持されるため、熱電変換発電素子1Fは大面積化が図れ、且つ効率の高い発電を持続的に行うことができる。
〔実施形態10〕
次に、実施形態10に係る熱電変換発電装置について説明する。図10は、本発明の実施形態10に係る熱電変換発電装置の断面図である。
図10に示すように、本実施形態に係る熱電変換発電装置1Jは、その構成が実施形態8の熱電変換発電装置1Hとほぼ同じである。熱電変換発電装置1Hでは熱電変換発電素子1K(従来の熱電変換素子)と、ペルチェ素子として使用される熱電変換素子10A,10B(実施形態2の熱電変換素子)とで構成されていたが、本実施形態の熱電変換発電装置1Jは、本発明の熱電変換発電素子1G(実施形態7の熱電変換素子)と、ペルチェ素子として使用される本発明の熱電変換素子30A,30B(実施形態5の熱電変換素子)とで構成される。
熱電変換発電素子1Gは、第1の電極である導電性基板2の下部に、絶縁層9を挟んでn型熱電変換材料層3Nと貫通孔13Aを有する異方性導電材料5Aからなる熱電変換部6Nと、p型熱電変換材料層3Pと貫通孔13Bを有する異方性導電材料5Bからなる熱電変換部6Pが形成されており、異方性導電材料5Aの下部の一部分に第2の電極8Gが、異方性導電材料5Bの下部の一部分に第3の電極8Hが形成されている素子構造を有する熱電変換発電素子である。熱電変換発電素子1Gの導電性基板2の上部に接触して熱だめとなる対象物(例:太陽電池等)が配置されている。本実施形態では、熱電変換発電素子1Gの導電性基板2及び熱だめとなる対象物が高温作用部として働き、異方性導電材料5A,5Bが低温作用部として働き、高温作用部と低温作用部の温度差を利用して発電を行う。
熱電変換発電装置1Jは、第2、第3の熱電変換素子30A,30Bが、熱電変換発電素子1Gに接して配置された構成である。ここで、第2、第3の熱電変換素子30A,30Bは、実施形態5の熱電変換素子1E(図5)と同じ構造の熱電変換素子である。図5の熱電変換素子1Eの導電性基板2に相当するのが、図10の電極30AL、30BLであり、熱電変換発電素子1Gの異方性導電材料5A,5Bに接して配置されている。そして、図10の熱電変換素子30A,30Bは、電極30AL、30BLの下部に順に熱電変換材料層と異方性導電材料層が積層されている。その異方性導電材料層は熱電変換材料層とは接触せず積層構造からはみ出した延在部30AG,30BGを有し、延在部30AG,30BGは、異方性導電材料層の積層面から、熱電変換発電素子1Gのn型熱電変換部6N、p型熱電変換部6Pの側方、及び対象物の側方に沿って延び、さらに、対象物上方まで延びている。そして電極30AH,30BH(図5の熱電変換素子1Eの電極8A,8Bに対応)は、熱だめとなる対象物に接触する構成で、その延在部の端部上方に配置されている。
なお、熱電変換素子30A,30Bは、それぞれ電極を有するが、これらの電極の表面は絶縁物でカバーされており、接触する他の素子や電極、あるいは接触する対象物との電気的接触はない。ペルチェ素子として熱の出入りが生じるだけである。
実施形態10の熱電変換発電装置1Jにおいても実施形態8の熱電変換発電装置1Hと同様に、ペルチェ素子として働く熱電変換素子30A,30Bの作用により熱電変換発電素子1Gの高温作用部と低温作用部の温度差が保持されるため、熱電変換発電素子1Gは大面積化が図れ且つ、効率の高い発電を持続的に行うことができる。
〔熱電変換部の作製と評価〕
まず、熱電変換素子として評価する前に、n型熱電変換部、p型熱電変換部の性能(熱電特性)の評価を行った。
性能評価用の試料は、Bi-Te系材料の基板を使用して製造したn型,p型熱電変換部を、必要な寸法に切り出して研磨し評価用試料を作製した。n型,p型熱電変換部の評価用試料のサイズは、熱電特性評価用試料:角3mm×3mm,厚さ10mm、熱伝導率測定用試料:φ50mm,厚さ10mmとした。
〔第1評価用熱電変換部の作製〕
まず、Bi-Te系熱電変換材料の基板を作製した。
n型熱電変換材料としてBi2Te2.7Se0.3の組成で調整した原料を、p型熱電変換材料としてBi0.5Sb1.5Te3の組成で調整した原料を、それぞれ使用した。
Bi,Te,その他の添加物の粉末原料を混合して溶融し、溶融後できた母材を粉砕して、粉末状のn型若くはp型熱電変換材料の原料を得た。そして、得られた粉末を板状の整形部材に加圧して詰め、ゾーンメルト法を用いて溶融温度550〜650℃程度で再溶融したあと、350〜450℃で5時間焼鈍し、角110mm×510mm,厚さ10mmのBi-Te系熱電変換材料の基板を製造した。
次に、角110mm×510mm,厚さ50μmのグラファイトシート(Panasonic社製)を使用し、Bi-Te系材料の基板とグラファイトシートを積層した。グラファイトシートの接着面に、Bi-Te系材料の基板と同じ組成のBi-Te系材料を抵抗加熱蒸着して100nm程度のBi-Te系材料層を形成し、Bi-Te系材料の基板とグラファイトシートを密着させて熱圧着することにより積層し、2層構造の熱電変換部を作製した。
このようにして作製された熱電変換材料層と異方性導電材料層の積層構造の熱電変換部を、上記の評価用試料のサイズに切り出して切削面を研磨しn型とp型の第1評価用熱電変換部を作製した。
〔第2評価用熱電変換部の作製〕
Bi-Te系熱電変換材料の基板を第1評価用熱電変換部と同様にして製造した。製造したBi-Te系熱電変換材料の基板に、下記の組成で調整した低導電性材料層形成溶液をスピンコート法で塗布し、200℃で60分乾燥・焼成して溶剤を除去し、厚み約1μmの低導電性材料層を形成した。低導電性材料層の電気伝導率は約10S/cmとなることを目標に形成している。
(n型熱電変換部の低導電性材料層形成溶液)
・ポリカーボネート樹脂:100部
・ジフェノキノン化合物(化1):15部
・テトラヒドロフラン溶剤:300部
(p型熱電変換部の低導電性材料層形成溶液)
・ポリカーボネート樹脂:100部
・ヒゾラゾン系化合物(化2):20部
・テトラヒドロフラン溶剤:300部
続いて、形成された低導電性材料層の表面に高導電性材料層を形成するために、電荷輸送材料を抵抗加熱蒸着法でコートした。n型熱電変換部には電子輸送材料:Alq3(aluminato-tris-8- hydoroxyquinolate:化3)を電荷輸送材料として使用し、p型熱電変換部には正孔輸送材料:NPP(N,N-di(naphthalene-1-yl)-N,N-diphenyl- benzidene)を電荷輸送材料として使用した。コート層の厚みは約100nmで、面内の電気伝導率は約200S/cmとなることを目標に形成した。
このようにして作製された熱電変換材料層と異方性導電材料層の積層構造の熱電変換部を、上記の評価用試料のサイズに切り出して切削面を研磨しn型とp型の第2評価用熱電変換部を作製した。
〔第3評価用熱電変換部の作製〕
Bi-Te系熱電変換材料の基板を第1評価用熱電変換部と同様にして製造した。製造したBi-Te系熱電変換材料の基板に、貫通孔を形成した角110mm×510mm,厚さ50μmのグラファイトシート(大塚電機(株)社製)を積層し熱電変換部を作製した。グラファイトシートへの貫通孔の形成は、サンインスツルメント(株)社製のレーザー微細加工機を使用し、φ25μm,ピッチ200μmで形成した。
その後、貫通孔を形成したグラファイトシートの表裏面に、Bi-Te系材料の基板と同じ組成のBi-Te系材料を抵抗加熱蒸着して100nm程度のBi-Te系材料層を形成し、Bi-Te系材料の基板とグラファイトシートを密着させて熱圧着することにより積層し、2層構造の熱電変換部を作製した。
このようにして作製された熱電変換材料層と異方性導電材料層の積層構造の熱電変換部を、上記の評価用試料のサイズに切り出して切削面を研磨しn型とp型の第3評価用熱電変換部を作製した。
〔第4評価用熱電変換部の作製〕
Bi-Te系熱電変換材料の基板を第1評価用熱電変換部と同様にして製造した。製造したBi-Te系熱電変換材料の基板に、下記の組成で調整した絶縁層形成溶液をスピンコート法で塗布し、200℃で60分乾燥・焼成して溶剤を除去し、厚み約1μmの絶縁層を形成した。
(絶縁層形成溶液)
・ポリカーボネート樹脂:100部
・テトラヒドロフラン溶剤:300部
次に、絶縁層表面に貫通孔を形成した。貫通孔の形成は、COHERENT社製のエキシマレーザー微細加工機を使用し、φ0.5μm,ピッチ5μmで形成した。
続いて、貫通孔が形成された絶縁層の表面に高導電性材料層を形成するために、電荷輸送材料を抵抗加熱蒸着法でコートした。n型熱電変換部には電子輸送材料:Alq3(aluminato-tris-8-hydoroxyquinolate:化3)を電荷輸送材料として使用し、p型熱電変換部には正孔輸送材料:NPP(N,N-di(naphthalene-1-yl)-N,N-diphenyl-benzidene)を電荷輸送材料として使用した。コート層の厚みは約100nmで、面内の電気伝導率は約200S/cmとなることを目標に形成した。
このようにして作製された熱電変換材料層と異方性導電材料層の積層構造の熱電変換部を、上記の評価用試料のサイズに切り出して切削面を研磨しn型とp型の第4評価用熱電変換部を作製した。
[評価方法]
熱電変換部の性能の評価方法は、以下のようにして行った。
1)電気伝導率:アルバック理工社製の熱電特性評価装置ZEM−3を使用して測定した。円柱状に処理した熱電変換材料に白金線を装着し、直流四端子法により室温で電気伝導率を測定した。
2)ゼーベック係数:アルバック理工社製の熱電特性評価装置ZEM−3を使用して測定した。測定条件は、電気伝導率評価と同様の測定条件とした。
3)熱伝導率:アルバック理工社製の定常法熱伝導率測定装置GH−1を使用して測定した。
上記のように作製した第1〜第4評価用熱電変換部の評価結果を表1に示す。表1の結果より、第1〜第4評価用熱電変換部は、n型及びp型共に熱電変換部として十分有効な性能を有していることが認められる。
〔実施例〕
以下に説明する実施例は、次のようにして作製した。
〔実施例1〕
以下の(1−1)〜(1−4)のように、実施形態1(図1)の態様の素子を作製した。
(1−1)角100mm×250mm,厚さ10mmのn型熱電変換材料(Bi2Te2.7Se0.3)の基板に、グラファイトシート(大塚電機(株)社製)を熱圧着して積層し、n型熱電変換部を作製した。グラファイトシートは、角100mm×250mm,厚さ50μmで、熱圧着面に基板と同じn型Bi-Te系材料を抵抗加熱蒸着して100nm程度のBi-Te系材料層を形成し、Bi-Te系材料の基板とグラファイトシートを密着させて熱圧着することにより積層した。このようにn型熱電変換部は、n型熱電変換材料層3Nと、グラファイトよりなる異方性導電材料層5Aの2層構造とした。
(1−2)角100mm×250mm,厚さ10mmのp型熱電変換材料(Bi0.5Sb1.5Te3)の基板に、グラファイトシートを熱圧着して積層し、p型熱電変換部を作製した。グラファイトシートは、角100mm×250mm,厚さ50μmで、熱圧着面に基板と同じp型Bi-Te系材料を抵抗加熱蒸着して100nm程度のBi-Te系材料層を形成し、Bi-Te系材料の基板とグラファイトシートを密着させて熱圧着することにより積層した。このようにp型熱電変換部は、p型熱電変換材料層3Pと、グラファイトよりなる異方性導電材料層5Bの2層構造とした。
(1−3)角100mm×505mm、厚さ1.0mmのCu基板よりなる導電性基板2の中央に、角100mm×5mm,高さ10.5mmのアクリル板よりなる絶縁層9を形成し、絶縁層9を挟んで、n型熱電変換部とp型熱電変換部とを対向するように導電性基板2上に配置した。
(1−4)角50mm×70mm,厚さ0.2mmのCu基板よりなる電極8A,及び電極8Bを、異方性導電材料層5A,5Bの上端部にそれぞれ配置した。(以上、図1参照)
次に、以上の工程で作製された熱電変換素子に電圧・電流を流し、そのときの温度変化を調べて素子の評価を行った。熱電対を図1に示す温度測定点にセットし、室温25℃、湿度50%RHの環境で、電極8Aと電極8Bとの間に8V・8Aの電圧・電流を流した。そのときの温度測定点の温度変化は、ΔT:−22Kであった。
〔実施例2〕
以下の(2−1)〜(2−4)のように、実施形態1(図1)の態様の素子を作製した。
(2−1)角100mm×250mm,厚さ10mmのn型熱電変換材料(Bi2Te2.7Se0.3)に、下記の組成で調整した低導電性材料層形成溶液をスピンコート法で塗布し、200℃で60分乾燥・焼成して溶剤を除去し、厚み約1μmの低導電性材料層を形成した。低導電性材料層の電気伝導率は約10S/cmとなることを目標に形成している。
(n型熱電変換部の低導電性材料層形成溶液)
・ポリカーボネート樹脂:100部
・ジフェノキノン化合物(化1):15部
・テトラヒドロフラン溶剤:300部
続いて、形成された低導電性材料層の表面に高導電性材料層を形成するために、電子輸送材料:Alq3(aluminato-tris-8-hydoroxyquinolate:化3)を抵抗加熱蒸着法でコートした。コート層の厚みは約100nmで、面内の電気伝導率は約200S/cmとなることを目標に形成した。このようにn型熱電変換部は、n型熱電変換材料層3Nと、低導電性材料層と高導電性材料層からなる異方性導電材料層5Aの2層構造とした。
(2−2)角100mm×250mm,厚さ10mmのp型熱電変換材料(Bi0.5Sb1.5Te3)に、下記の組成で調整した低導電性材料層形成溶液をスピンコート法で塗布し、200℃で60分乾燥・焼成して溶剤を除去し、厚み約1μmの低導電性材料層を形成した。低導電性材料層の電気伝導率は約10S/cmとなることを目標に形成している。
(p型熱電変換部の低導電性材料層形成溶液)
・ポリカーボネート樹脂:100部
・ヒゾラゾン系化合物(化2):20部
・テトラヒドロフラン溶剤:300部
続いて、形成された低導電性材料層の表面に高導電性材料層を形成するために、正孔輸送材料:NPP(N,N-di(naphthalene-1-yl)-N,N-diphenyl-benzidene)を抵抗加熱蒸着法でコートした。コート層の厚みは約100nmで、面内の電気伝導率は約200S/cmとなることを目標に形成した。このようにp型熱電変換部は、p型熱電変換材料層3Pと、低導電性材料層と高導電性材料層からなる異方性導電材料層5Bの2層構造とした。
(2−3) 角100mm×505mm、厚さ1.0mmのCu基板よりなる導電性基板2の中央に、角100mm×5mm,高さ10.5mmのアクリル板よりなる絶縁層9を形成し、絶縁層9を挟んで、n型熱電変換部とp型熱電変換部とを対向するように導電性基板2上に配置した。
(2−4) 角50mm×70mm,厚さ0.2mmのCu基板よりなる電極8A,8Bを、異方性導電材料層5A,5Bの上端部にそれぞれ配置した。(以上、図1参照)
次に、以上の工程で作製された熱電変換素子に電圧・電流を流し、そのときの温度変化を調べて素子の評価を行った。熱電対を図1に示す温度測定点にセットし、室温25℃、湿度50%RHの環境で、電極8Aと電極8Bとの間に8V・8Aの電圧・電流を流した。そのときの温度測定点の温度変化は、ΔT:−21Kであった。
〔実施例3〕
以下の(3−1)〜(3−4)のように、実施形態2(図2)の態様の素子を作製した。
(3−1) 角100mm×200mm,厚さ10mmのn型熱電変換材料(Bi2Te2.7Se0.3)の基板に、グラファイトシート(大塚電機(株)社製)を熱圧着して積層し、n型熱電変換部を作製した。グラファイトシートには、角100mm×250mm,厚さ50μmで、熱圧着面に基板と同じn型Bi-Te系材料を抵抗加熱蒸着して100nm程度のBi-Te系材料層を形成し、Bi-Te系材料の基板とグラファイトシートを密着させて熱圧着することにより積層した。このようにn型熱電変換部は、n型熱電変換材料層3Nと、グラファイトよりなる異方性導電材料層5Aの2層構造とした。この構造の場合、グラファイトシートはn型熱電変換材料層3Nよりも幅が長いので、異方性導電材料層5Aには、積層よりはみ出た延在部が存在する。
(3−2)角100mm×200mm,厚さ10mmのp型熱電変換材料(Bi0.5Sb1.5Te3)の基板に、グラファイトシート(大塚電機(株)社製)を熱圧着して積層し、p型熱電変換部を作製した。グラファイトシートには、角100mm×250mm,厚さ50μmで、熱圧着面に基板と同じp型Bi-Te系材料を抵抗加熱蒸着して100nm程度のBi-Te系材料層を形成し、Bi-Te系材料の基板とグラファイトシートを密着させて熱圧着することにより積層した。このようにp型熱電変換部材は、p型熱電変換材料層3Pと、グラファイトよりなる異方性導電材料層5Bの2層構造とした。この構造の場合、グラファイトシートはp型熱電変換材料層3Pよりも幅が長いので、異方性導電材料層5Bには、積層よりはみ出た延在部が存在する。
(3−3)角100mm×405mm、厚さ1.0mmのCu基板よりなる導電性基板2の中央に、角100mm×5mm,高さ10.5mmのアクリル板よりなる絶縁層9を形成し、絶縁層9を挟んで、n型熱電変換部とp型熱電変換部とを対向するように導電性基板2上に配置した。
(3−4)角50mm×70mm,厚さ0.2mmのCu基板よりなる電極8A,8Bを、異方性導電材料層5A,5Bの上端部にそれぞれ配置した。(以上、図2参照)
次に、以上の工程で作製された熱電変換素子に電圧・電流を流し、そのときの温度変化を調べて素子の評価を行った。熱電対を図2に示す温度測定点にセットし、室温25℃、湿度50%RHの環境で、電極8Cと電極8Dとの間に8V・8Aの電圧・電流を流した。そのときの温度測定点の温度変化は、ΔT:−28Kであった。
〔実施例4〕
以下の(4−1)〜(4−4)のように、実施形態3(図3)の態様の素子を作製した。
(4−1) 角100mm×200mm,厚さ10mmのn型熱電変換材料(Bi2Te2.7Se0.3)の基板に、グラファイトシート(Panasonic社製)を熱圧着して積層し、n型熱電変換部を作製した。グラファイトシートには、角100mm×250mm,厚さ50μmで、熱圧着面に基板と同じn型Bi-Te系材料を抵抗加熱蒸着して100nm程度のBi-Te系材料層を形成し、Bi-Te系材料の基板とグラファイトシートを密着させて熱圧着することにより積層した。このようにn型熱電変換部は、n型熱電変換材料層3Nと、グラファイトよりなる異方性導電材料層5Aの2層構造とした。この構造の場合、グラファイトシートはn型熱電変換材料層3Nよりも幅が長いので、異方性導電材料層5Aには、積層よりはみ出た延在部が存在する。
(4−2)角100mm×200mm,厚さ10mmのp型熱電変換材料(Bi0.5Sb1.5Te3)の基板に、グラファイトシート(Panasonic社製)を熱圧着して積層し、p型熱電変換部を作製した。グラファイトシートには、角100mm×250mm,厚さ50μmで、熱圧着面に基板と同じp型Bi-Te系材料を抵抗加熱蒸着して100nm程度のBi-Te系材料層を形成し、Bi-Te系材料の基板とグラファイトシートを密着させて熱圧着することにより積層した。このようにp型熱電変換部材は、p型熱電変換材料層3Pと、グラファイトよりなる異方性導電材料層5Bの2層構造とした。この構造の場合、グラファイトシートはp型熱電変換材料層3Pよりも幅が長いので、異方性導電材料層5Bには、積層よりはみ出た延在部が存在する。
(4−3)角100mm×405mm、厚さ1.0mmのCu基板よりなる導電性基板2の中央に、角100mm×5mm,高さ10.5mmのアクリル板よりなる絶縁層9を形成し、絶縁層9を挟んで、n型熱電変換部とp型熱電変換部とを対向するように導電性基板2上に配置した。
(4−4)角50mm×70mm,厚さ0.2mmのCu基板よりなる電極8A,8Bを、異方性導電材料層5A,5Bの下端部にそれぞれ配置した。(以上、図3参照)
次に、以上の工程で作製された熱電変換素子に電圧・電流を流し、そのときの温度変化を調べて素子の評価を行った。熱電対を図3に示す温度測定点にセットし、室温25℃、湿度50%RHの環境で、電極8Cと電極8Dとの間に8V・8Aの電圧・電流を流した。そのときの温度測定点の温度変化は、ΔT:−29Kであった。
〔実施例5〕
実施例1の貫通孔を形成していないグラファイトシート(異方性導電材料層5A,5B)を、貫通孔(貫通孔13A,13B)が形成されたグラファイトシート(異方性導電材料層5C,5D)に代えて、その他は実施例1の素子と同構成の、実施形態4(図4)の態様の素子を、以下の(5−1)〜(5−4)のように作製した。
(5−1)角100mm×250mm,厚さ10mmのn型熱電変換材料(Bi2Te2.7Se0.3)の基板に、貫通孔を形成したグラファイトシートを熱圧着して積層し、n型熱電変換部を作製した。グラファイトシートは、角100mm×250mm,厚さ50μmで、グラファイトシートへの貫通孔13Aの形成は、サンインスツルメント(株)社製のレーザー微細加工機を使用し、φ20μm,ピッチ200μmで形成した。その後、貫通孔を形成したグラファイトシートの表裏面に、基板と同じn型Bi-Te系材料を抵抗加熱蒸着して100nm程度のBi-Te系材料層を形成し、Bi-Te系材料の基板とグラファイトシートを密着させて熱圧着することにより積層した。このようにn型熱電変換部は、n型熱電変換材料層3Nと、グラファイトよりなる異方性導電材料層5Cの2層構造とした。
(5−2) 角100mm×250mm,厚さ10mmのp型熱電変換材料(Bi0.5Sb1.5Te3)の基板に、貫通孔を形成したグラファイトシートを熱圧着して積層し、p型熱電変換部を作製した。グラファイトシートは、角100mm×250mm,厚さ50μmで、グラファイトシートへの貫通孔13Bの形成は、サンインスツルメント(株)社製のレーザー微細加工機を使用し、φ20μm,ピッチ200μmで形成した。その後、貫通孔を形成したグラファイトシートの表裏面に、基板と同じp型Bi-Te系材料を抵抗加熱蒸着して100nm程度のBi-Te系材料層を形成し、Bi-Te系材料の基板とグラファイトシートを密着させて熱圧着することにより積層した。このようにp型熱電変換部は、p型熱電変換材料層3Pと、グラファイトよりなる異方性導電材料層5Dの2層構造とした。
(5−3)角100mm×505mm、厚さ1.0mmのCu基板よりなる導電性基板2の中央に、角100mm×5mm,高さ10.5mmのアクリル板よりなる絶縁層9を形成し、絶縁層9を挟んで、n型熱電変換部とp型熱電変換部とを対向するように導電性基板2上に配置した。
(5−4)角50mm×70mm,厚さ0.2mmのCu基板よりなる電極8A,8Bを、異方性導電材料層5C,5Dの上端部にそれぞれ配置した。(以上、図4参照)
以上の工程で作製された熱電変換素子に電圧・電流を流し、そのときの温度変化を調べて素子の評価を行った。熱電対を図4に示す温度測定点にセットし、室温25℃、湿度50%RHの環境で、電極8Aと電極8Bとの間に8V・8Aの電圧・電流を流した。そのときの温度測定点の温度変化は、ΔT:−25Kであった。
〔実施例6〕
実施例2の異方性導電材料層(5A,5B)の低導電性材料層を、貫通孔を形成した絶縁層に代えて絶縁層に高導電性材料のコート層を形成した異方性導電材料層(5C,5D)を形成し、その他は実施例2の素子と同じ構成の、実施形態4(図4)の態様の素子を、以下の(6−1)〜(6−4)のように作製した。
(6−1)角100mm×250mm,厚さ10mmのn型熱電変換材料(Bi2Te2.7Se0.3)に、下記の組成で調整した絶縁層形成溶液をスピンコート法で塗布し、200℃で60分乾燥・焼成して溶剤を除去し、厚み約1μmの絶縁層を形成した。
(絶縁層形成溶液)
・ポリカーボネート樹脂:100部
・テトラヒドロフラン溶剤:300部
次に、絶縁層表面に貫通孔を形成した。貫通孔13Aの形成は、COHERENT社製のエキシマレーザー微細加工機を使用し、φ0.5μm,ピッチ5μmで形成した。
続いて、貫通孔が形成された絶縁層の表面に高導電性材料層を形成するために、電子輸送材料:Alq3(aluminato-tris-8-hydoroxyquinolate:化3)を抵抗加熱蒸着法でコートした。コート層の厚みは約100nmで、面内の電気伝導率は約200S/cmとなることを目標に形成した。このようにn型熱電変換部は、n型熱電変換材料層3Nと、絶縁層と高導電性材料層からなる異方性導電材料層5Cの2層構造とした。
(6−2)角100mm×250mm,厚さ10mmのp型熱電変換材料(Bi0.5Sb1.5Te3)に、下記の組成で調整した絶縁層形成溶液をスピンコート法で塗布し、200℃で60分乾燥・焼成して溶剤を除去し、厚み約1μmの絶縁層を形成した。
(絶縁層形成溶液)
・ポリカーボネート樹脂:100部
・テトラヒドロフラン溶剤:300部
次に、絶縁層表面に貫通孔を形成した。貫通孔13Bの形成は、COHERENT社製のエキシマレーザー微細加工機を使用し、φ0.5μm,ピッチ5μmで形成した。
続いて、貫通孔が形成された絶縁層の表面に高導電性材料層を形成するために、正孔輸送材料:NPP(N,N-di(naphthalene-1-yl)-N,N-diphenyl-benzidene)を抵抗加熱蒸着法でコートした。コート層の厚みは約100nmで、面内の電気伝導率は約200S/cmとなることを目標に形成した。このようにp型熱電変換部は、p型熱電変換材料層3Pと、絶縁層と高導電性材料層からなる異方性導電材料層5Dの2層構造とした。
(6−3)角100mm×505mm、厚さ1.0mmのCu基板よりなる導電性基板2の中央に、角100mm×5mm,高さ10.5mmのアクリル板よりなる絶縁層9を形成し、絶縁層9を挟んで、n型熱電変換部とp型熱電変換部とを対向するように導電性基板2上に配置した。
(6−4)角50mm×70mm,厚さ0.2mmのCu基板よりなる電極8A,8Bを、異方性導電材料層5C,5Dの上端部にそれぞれ配置した。(以上、図4参照)
以上の工程で作製された熱電変換素子に電圧・電流を流し、そのときの温度変化を調べて素子の評価を行った。熱電対を図4に示す温度測定点にセットし、室温25℃、湿度50%RHの環境で、電極8Aと電極8Bとの間に8V・8Aの電圧・電流を流した。そのときの温度測定点の温度変化は、ΔT:−21Kであった。
〔実施例7〕
実施例3の貫通孔を形成していないグラファイトシート(異方性導電材料層5A,5B)を、貫通孔(13A,13B)が形成されたグラファイトシート(異方性導電材料層5C,5D)に代えて、その他は実施例3の素子と同じ構成の、実施形態5(図5)の態様の素子を、以下の(7−1)〜(7−4)のように作製した。
(7−1)角100mm×200mm,厚さ10mmのn型熱電変換材料(Bi2Te2.7Se0.3)の基板に、貫通孔を形成したグラファイトシートを熱圧着して積層し、n型熱電変換部を作製した。グラファイトシートは、角100mm×250mm,厚さ50μmで、グラファイトシートへの貫通孔13Aの形成は、サンインスツルメント(株)社製のレーザー微細加工機を使用し、φ20μm,ピッチ200μmで形成した。その後、貫通孔を形成したグラファイトシートの表裏面に、基板と同じn型Bi-Te系材料を抵抗加熱蒸着して100nm程度のBi-Te系材料層を形成し、Bi-Te系材料の基板とグラファイトシートを密着させて熱圧着することにより積層した。このようにn型熱電変換部は、n型熱電変換材料層3Nと、グラファイトよりなる異方性導電材料層5Cの2層構造とした。この構造の場合、グラファイトシートはn型熱電変換材料層3Nよりも幅が長いので、異方性導電材料層5Cには、積層よりはみ出た延在部が存在する。なお、貫通孔13Aは、素子の積層部分に形成しており、グラファイトシートの積層よりはみ出た延在部には形成していない。
(7−2)角100mm×200mm,厚さ10mmのp型熱電変換材料(Bi0.5Sb1.5Te3)の基板に、貫通孔を形成したグラファイトシートを熱圧着して積層し、p型熱電変換部を作製した。グラファイトシートは、角100mm×250mm,厚さ50μmで、グラファイトシートへの貫通孔13Bの形成は、サンインスツルメント(株)社製のレーザー微細加工機を使用し、φ20μm,ピッチ200μmで形成した。その後、貫通孔を形成したグラファイトシートの表裏面に、基板と同じp型Bi-Te系材料を抵抗加熱蒸着して100nm程度のBi-Te系材料層を形成し、Bi-Te系材料の基板とグラファイトシートを密着させて熱圧着することにより積層した。このようにp型熱電変換部は、p型熱電変換材料層3Pと、グラファイトよりなる異方性導電材料層5Dの2層構造とした。この構造の場合、グラファイトシートはp型熱電変換材料層3Pよりも幅が長いので、異方性導電材料層5Dには、積層よりはみ出た延在部が存在する。なお、貫通孔13Bは、素子の積層部分に形成しており、グラファイトシートの積層よりはみ出た延在部には形成していない。
(7−3)角100mm×405mm、厚さ1.0mmのCu基板よりなる導電性基板2の中央に、角100mm×5mm,高さ10.5mmのアクリル板よりなる絶縁層9を形成し、絶縁層9を挟んで、n型熱電変換部とp型熱電変換部とを対向するように導電性基板2上に配置した。
(7−4)角50mm×70mm,厚さ0.2mmのCu基板よりなる電極8A,8Bを、異方性導電材料層5C,5Dの延在部にそれぞれ配置した。(以上、図5参照)
以上の工程で作製された熱電変換素子に電圧・電流を流し、そのときの温度変化を調べて素子の評価を行った。熱電対を図5に示す温度測定点にセットし、室温25℃、湿度50%RHの環境で、電極8Aと電極8Bとの間に8V・8Aの電圧・電流を流した。そのときの温度測定点の温度変化は、ΔT:−30Kであった。
〔実施例8〕
実施例1(図1、実施形態1)の熱電変換素子を、角100mm×505mm,厚さ10mmの太陽電池パネルの裏側に組み込み、装置を冷却する評価を行った。図12は、本発明に係る熱電変換素子を用いた太陽電池パネルの構造を説明するための斜視図である。電極8Aと電極8Bとの間に8V・8Aの電圧・電流を流し、太陽電池パネルの冷却を行った。少なくとも温度50℃湿度50%の環境下にて、太陽電池パネル表面が30℃まで冷却され、1000時間連続で良好な出力を得ることができた。
〔実施例9〕
実施形態8(図8)の態様の熱電変換発電装置1Hを作製し熱電発電の評価を行った。
熱電変換発電装置1Hは、実施形態8で述べたように、発電に寄与する第1の熱電変換素子1Kと、第1の熱電変換素子に安定した温度差を与えるためにペルチェ素子として使用する第2、第3の熱電変換素子10A,10Bを組み合わせたものである。
第1の熱電変換素子1Kは、従来の構造を有する熱電変換素子であり、以下の(9−1)〜(9−4)のように作製した。
(9−1)n型熱電変換材料層3Nとして、角100mm×250mm,厚さ10mmのn型熱電変換材料(Bi2Te2.7Se0.3)の基板を使用しn型熱電変換部とした。
(9−2)p型熱電変換材料層3Pとして、角100mm×250mm,厚さ10mmのp型熱電変換材料(Bi0.5Sb1.5Te3)の基板を使用しp型熱電変換部とした。
(9−3)角100mm×505mm、厚さ1.0mmのCu基板よりなる導電性基板2の中央下部に、角100mm×5mm,高さ10.5mmのアクリル板よりなる絶縁層9を形成し、絶縁層9を挟んで、n型熱電変換部とp型熱電変換部とを対向するように導電性基板2下部に配置した。
(9−4)角100mm×250mm,厚さ0.2mmのCu基板よりなる電極8G,8Hを、絶縁層9を挟んで異方性導電材料層5A,5Bの下部にそれぞれ配置し、電極8G,8H下部に接触するようにペルチェ素子として使用する第2、第3の熱電変換素子10A,10Bを配置した。(以上、図8参照)
また、図8の装置のペルチェ素子として使用する第2、第3の熱電変換素子10A,10Bは、以下の(9−5)〜(9−8)のように作製した。このペルチェ素子10A,10Bは、実施例3(図2、実施形態2の素子)と基本的な構造が同じであるので、図2及び図8を参照しながら説明する。なお、作製したペルチェ素子10Aの斜視図を図11に示す。
(9−5)角47.5mm×230mm,厚さ10mmのn型熱電変換材料(Bi2Te2.7Se0.3)の基板に、グラファイトシート(大塚電機(株)社製)を熱圧着して積層し、n型熱電変換部を作製した。グラファイトシートは、角47.5mm×510mm,厚さ50μmで、熱圧着面に基板と同じn型Bi-Te系材料を抵抗加熱蒸着して100nm程度のBi-Te系材料層を形成し、Bi-Te系材料の基板とグラファイトシートを密着させて熱圧着することにより積層した。このようにn型熱電変換部は、n型熱電変換材料層3Nと、グラファイトよりなる異方性導電材料層5Aの2層構造とした。この構造の場合、グラファイトシートはn型熱電変換材料層3Nよりも幅が長いので、異方性導電材料層5Aには、積層よりはみ出た延在部が存在する。
(9−6)角47.5mm×230mm,厚さ10mmのp型熱電変換材料(Bi0.5Sb1.5Te3)の基板に、グラファイトシート(大塚電機(株)社製)を熱圧着して積層し、p型熱電変換部を作製した。グラファイトシートは、角47.5mm×510mm,厚さ50μmで、熱圧着面に基板と同じp型Bi-Te系材料を抵抗加熱蒸着して100nm程度のBi-Te系材料層を形成し、Bi-Te系材料の基板とグラファイトシートを密着させて熱圧着することにより積層した。このようにp型熱電変換部は、p型熱電変換材料層3Pと、グラファイトよりなる異方性導電材料層5Bの2層構造とした。この構造の場合、グラファイトシートはp型熱電変換材料層3Pよりも幅が長いので、異方性導電材料層5Bには、積層よりはみ出た延在部が存在する。
(9−7)角100mm×250mm、厚さ1.0mmのCu基板よりなる導電性基板2(図7では10AL,10BL)の中央部に、角5mm×250mm,高さ10.5mmのアクリル板よりなる絶縁層9を形成し、絶縁層9を挟んでn型熱電変換部とp型熱電変換部とを対向するように導電性基板2上に配置した。
(9−8)角47.5mm×230mm,厚さ0.2mmのCu基板よりなる電極8A,8B(図7では10AH,10BH)を、異方性導電材料層5A,5Bの積層よりはみ出た延在部の端にそれぞれ配置した。(以上、図2、図8、図11参照)
以上の工程で製造したペルチェ素子10A,10Bの表面・裏面を、厚さ100μmのPETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)社製)でカバーし絶縁した。
なお、図8参照、ペルチェ素子10A,10Bの吸熱作用部(電極10AL,10BL)は、発電に寄与する熱電変換素子1Kの低温作用部(電極8G,8H)に接触して配置され、ペルチェ素子10A,10Bの発熱作用部(電極10AH,10BH)は、熱電変換素子1Kの高温作用部(導電性基板2)に接触して配置され、熱電変換発電装置1Hを構成する。
以上の工程で作製された熱電変換発電装置(1H)の熱電発電特性を評価した。平均気温23℃の日中12:00から16:00までの間、南向きにパネルを設置し、それぞれのペルチェ素子10A,10Bに1.5V・1Aの電圧・電流を供給し駆動させ続け、その間に熱電変換発電素子1Kの電極8Gと電極8H間で発電される電圧・電流を検知し評価した。合計3Wの入力に対して平均して約7.9Wの出力を検知することができた。
〔実施例10〕
実施形態9(図9)の態様の熱電変換発電装置1Iを作製し熱電発電の評価を行った。
熱電変換発電装置1Iは、実施形態9で述べたように、発電に寄与する第1の熱電変換素子1Fと、第1の熱電変換素子に安定した温度差を与えるためにペルチェ素子として使用する第2、第3の熱電変換素子20A,20Bを組み合わせたものである。
第1の熱電変換素子1Fは、実施形態6(図6)の態様の素子であり、以下の(10−1)〜(10−4)のように作製した。
(10−1)角100mm×250mm,厚さ10mmのn型熱電変換材料(Bi2Te2.7Se0.3)の基板に、グラファイトシート(Panasonic社製)を熱圧着して積層し、n型熱電変換部を作製した。グラファイトシートは、角100mm×250mm,厚さ50μmで、熱圧着面に基板と同じn型Bi-Te系材料を抵抗加熱蒸着して100nm程度のBi-Te系材料層を形成し、Bi-Te系材料の基板とグラファイトシートを密着させて熱圧着することにより積層した。このようにn型熱電変換部は、n型熱電変換材料層3Nと、グラファイトよりなる異方性導電材料層5Aの2層構造とした。
(10−2)角100mm×250mm,厚さ10mmのp型熱電変換材料(Bi0.5Sb1.5Te3)の基板に、グラファイトシート(Panasonic社製)を熱圧着して積層し、p型熱電変換部を作製した。グラファイトシートには、角100mm×250mm,厚さ50μmで、熱圧着面に基板と同じp型Bi-Te系材料を抵抗加熱蒸着して100nm程度のBi-Te系材料層を形成し、Bi-Te系材料の基板とグラファイトシートを密着させて熱圧着することにより積層した。このようにp型熱電変換部は、p型熱電変換材料層3Pと、グラファイトよりなる異方性導電材料層5Bの2層構造とした。
(10−3)角100mm×505mm、厚さ1.0mmのCu基板よりなる導電性基板2の中央下部に、角100mm×5mm,高さ10.5mmのアクリル板よりなる絶縁層9を形成し、絶縁層9を挟んでn型熱電変換部とp型熱電変換部とを対向するように導電性基板2下部に配置した。
(10−4)角50mm×20mm,厚さ0.2mmのCu基板よりなる電極8G,8Hを、絶縁層9を挟んで異方性導電材料層5A,5Bの下端部にそれぞれ配置し、異方性導電材料層5A,5B下部の電極が配置されていない部分にペルチェ素子として使用する第2、第3の熱電変換素子20A,20Bを配置した。(以上、図6、図9参照)
また、図9の装置のペルチェ素子として使用する第2、第3の熱電変換素子20A,20Bは、以下の(10−5)〜(10−8)のように作製した。このペルチェ素子20A,20Bは、実施例4(図3、実施形態3の素子)と基本的な構造が同じであるので、図3及び図9を参照しながら説明する。
(10−5)角47.5mm×230mm,厚さ10mmのn型熱電変換材料(Bi2Te2.7Se0.3)の基板に、グラファイトシート(Panasonic社製)を熱圧着して積層し、n型熱電変換部を作製した。グラファイトシートは、角47.5mm×510mm,厚さ50μmで、熱圧着面に基板と同じn型Bi-Te系材料を抵抗加熱蒸着して100nm程度のBi-Te系材料層を形成し、Bi-Te系材料の基板とグラファイトシートを密着させて熱圧着することにより積層した。このようにn型熱電変換部は、n型熱電変換材料層3Nと、グラファイトよりなる異方性導電材料層5Aの2層構造とした。この構造の場合、グラファイトシートはn型熱電変換材料層3Nよりも幅が長いので、異方性導電材料層5Aには、積層よりはみ出た延在部が存在する。
(10−6)角47.5mm×230mm,厚さ10mmのp型熱電変換材料(Bi0.5Sb1.5Te3)の基板に、グラファイトシート(Panasonic社製)を熱圧着して積層し、p型熱電変換部を作製した。グラファイトシートは、角47.5mm×510mm,厚さ50μmで、熱圧着面に基板と同じp型Bi-Te系材料を抵抗加熱蒸着して100nm程度のBi-Te系材料層を形成し、Bi-Te系材料の基板とグラファイトシートを密着させて熱圧着することにより積層した。このようにp型熱電変換部は、p型熱電変換材料層3Pと、グラファイトよりなる異方性導電材料層5Bの2層構造とした。この構造の場合、グラファイトシートはp型熱電変換材料層3Pよりも幅が長いので、異方性導電材料層5Bには、積層よりはみ出た延在部が存在する。
(10−7)角100mm×230mm、厚さ1.0mmのCu基板よりなる導電性基板2(図8では10AL,10BL)の中央部に、角5mm×200mm,高さ10.5mmのアクリル板よりなる絶縁層9を形成し、絶縁層9を挟んでn型熱電変換部とp型熱電変換部とを対向するように導電性基板2上に配置した。
(10−8)角47.5mm×250mm,厚さ0.2mmのCu基板よりなる電極8A,8B(図9では20AH,20BH)を、異方性導電材料層5A,5Bの積層よりはみ出た延在部の端にそれぞれ配置した。(以上、図3、図9参照)
以上の工程で製造したペルチェ素子20A,20Bの表面・裏面を、厚さ100μmのPETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)社製)でカバーし絶縁した。
なお、図9参照、ペルチェ素子20A,20Bの吸熱作用部(20AL,20BL)は、発電に寄与する熱電変換素子1Fの低温作用部(異方性導電材料層5A,5B下部の電極が配置されていない部分)に接触して配置され、ペルチェ素子20A,20Bの発熱作用部(20AH,20BH)は、熱電変換素子1Fの高温作用部(導電性基板2)に接触して配置され、熱電変換発電装置1Iを構成する。
以上の工程で作製された熱電変換発電装置(1I)の熱電発電特性を評価した。平均気温23℃の日中12:00から16:00までの間、南向きにパネルを設置し、それぞれのペルチェ素子20A,20Bに1.5V・1Aの電圧・電流を供給し駆動させ続け、その間に熱電変換発電素子1Fの電極8Gと電極8H間で発電される電圧・電流を検知し評価した。合計3Wの入力に対して平均して約8.0Wの出力を検知することができた。
〔実施例11〕
実施形態10(図10)の態様の熱電変換発電装置1Jを作製し熱電発電の評価を行った。
熱電変換発電装置1Jは、実施形態10で述べたように、発電に寄与する第1の熱電変換素子1Gと、第1の熱電変換素子に安定した温度差を与えるためにペルチェ素子として使用する第2、第3の熱電変換素子30A,30Bを組み合わせたものである。
第1の熱電変換素子1Gは、実施形態7(図7)の態様の素子であり、以下の(11−1)〜(11−4)のように作製した。
(11−1)角100mm×250mm,厚さ10mmのn型熱電変換材料(Bi2Te2.7Se0.3)の基板に、貫通孔を形成したグラファイトシート(Panasonic社製)を熱圧着して積層し、n型熱電変換部を作製した。グラファイトシートは、角100mm×250mm,厚さ50μmで、グラファイトシートへの貫通孔13Aの形成は、サンインスツルメント(株)社製のレーザー微細加工機を使用し、φ20μm,ピッチ200μmで形成した。その後、貫通孔を形成したグラファイトシートの表裏面に、基板と同じn型Bi-Te系材料を抵抗加熱蒸着して100nm程度のBi-Te系材料層を形成し、Bi-Te系材料の基板とグラファイトシートを密着させて熱圧着することにより積層した。このようにn型熱電変換部は、このようにn型熱電変換部は、n型熱電変換材料層3Nと、グラファイトよりなる異方性導電材料層5Cの2層構造とした。
(11−2)角100mm×250mm,厚さ10mmのp型熱電変換材料(Bi0.5Sb1.5Te3)の基板に、貫通孔を形成したグラファイトシート(Panasonic社製)を熱圧着して積層し、p型熱電変換部を作製した。グラファイトシートは、角100mm×250mm,厚さ50μmで、グラファイトシートへの貫通孔13Bの形成は、サンインスツルメント(株)社製のレーザー微細加工機を使用し、φ20μm,ピッチ200μmで形成した。その後、貫通孔を形成したグラファイトシートの表裏面に、基板と同じp型Bi-Te系材料を抵抗加熱蒸着して100nm程度のBi-Te系材料層を形成し、Bi-Te系材料の基板とグラファイトシートを密着させて熱圧着することにより積層した。このようにp型熱電変換部は、p型熱電変換材料層3Pと、グラファイトよりなる異方性導電材料層5Dの2層構造とした。
(11−3)角100mm×505mm、厚さ1.0mmのCu基板よりなる導電性基板2の中央下部に、角100mm×5mm,高さ10.5mmのアクリル板よりなる絶縁層9を形成し、絶縁層9を挟んで、n型熱電変換部とp型熱電変換部とを対向するように導電性基板2下部に配置した。
(11−4)角50mm×20mm,厚さ0.2mmのCu基板よりなる電極8G,8Hを、絶縁層9を挟んで異方性導電材料層5C,5Dの下端部にそれぞれ配置し、異方性導電材料層5C,5D下部の電極が配置されていない部分にペルチェ素子として使用する第2、第3の熱電変換素子30A,30Bを配置した。(以上、図7、図10参照)
また、図10の装置のペルチェ素子として使用する第2、第3の熱電変換素子30A,30Bは、以下の(11−5)〜(11−8)のように作製した。このペルチェ素子30A,30Bは、実施例7(図5、実施形態5の素子)と基本的な構造が同じであるので、図5及び図10を参照しながら説明する。
(11−5)角47.5mm×230mm,厚さ10mmのn型熱電変換材料(Bi2Te2.7Se0.3)の基板に、貫通孔を形成したグラファイトシート(Panasonic社製)を熱圧着して積層し、n型熱電変換部を作製した。グラファイトシートは、角47.5mm×280mm,厚さ50μmで、グラファイトシートへの貫通孔13Bの形成は、サンインスツルメント(株)社製のレーザー微細加工機を使用し、φ20μm,ピッチ200μmで形成した。その後、貫通孔を形成したグラファイトシートの表裏面に、基板と同じp型Bi-Te系材料を抵抗加熱蒸着して100nm程度のBi-Te系材料層を形成し、Bi-Te系材料の基板とグラファイトシートを密着させて熱圧着することにより積層した。このようにn型熱電変換部は、n型熱電変換材料層3Nと、グラファイトよりなる異方性導電材料層5Cの2層構造とした。この構造の場合、グラファイトシートはn型熱電変換材料層3Nよりも幅が長いので、異方性導電材料層5Cには、積層よりはみ出た延在部が存在する。
(11−6)角47.5mm×230mm,厚さ10mmのp型熱電変換材料(Bi0.5Sb1.5Te3)の基板に、貫通孔を形成したグラファイトシート(Panasonic社製)を熱圧着して積層し、p型熱電変換部を作製した。グラファイトシートは、角47.5mm×280mm,厚さ50μmで、グラファイトシートへの貫通孔13Bの形成は、サンインスツルメント(株)社製のレーザー微細加工機を使用し、φ20μm,ピッチ200μmで形成した。その後、貫通孔を形成したグラファイトシートの表裏面に、基板と同じp型Bi-Te系材料を抵抗加熱蒸着して100nm程度のBi-Te系材料層を形成し、Bi-Te系材料の基板とグラファイトシートを密着させて熱圧着することにより積層した。このようにp型熱電変換部は、p型熱電変換材料層3Pと、グラファイトよりなる異方性導電材料層5Dの2層構造とした。この構造の場合、グラファイトシートはp型熱電変換材料層3Pよりも幅が長いので、異方性導電材料層5Dには、積層よりはみ出た延在部が存在する。
(11−7)角100mm×230mm、厚さ1.0mmのCu基板よりなる導電性基板2(図10では10AL,10BL)の中央部に、角5mm×200mm,高さ10.5mmのアクリル板よりなる絶縁層9を形成し、絶縁層9を挟んでn型熱電変換部とp型熱電変換部とを対向するように導電性基板2上に配置した。
(11−8)角47.5mm×10mm,厚さ0.2mmのCu基板よりなる電極8A,8B(図10では30AH,30BH)を、異方性導電材料層5C,5Dの積層よりはみ出た延在部の端にそれぞれ配置した。(以上、図5、図10参照)
以上の工程で製造したペルチェ素子30A,30Bの表面・裏面を、厚さ100μmのPETフィルム(帝人デュポンフィルム(株)社製)でカバーし絶縁した。
図9に示す対象物として、図12に示す角100mm×505mm,厚さ10mmの太陽電池パネルを、熱電変換発電素子1Gの導電性基板2上に接触して配置した。
なお、図10参照、ペルチェ素子30A,30Bの吸熱作用部(30AL,30BL)は、発電に寄与する熱電変換素子1Gの低温作用部(異方性導電材料層5C,5D下部の電極が配置されていない部分)に接触して配置され、ペルチェ素子30A,30Bの発熱作用部(30AH,30BH)は、熱電変換素子1Gの高温作用部(対象物)に配置され、熱電変換発電装置1Jを構成する。
以上の工程で作製された熱電変換発電装置(1J)の熱電発電特性を評価した。平均気温23℃の日中12:00から16:00までの間、南向きにパネルを設置し、それぞれのペルチェ素子30A,30Bに1.5V・1Aの電圧・電流を供給し駆動させ続け、その間に熱電変換発電素子1Gの電極8Gと電極8H間で発電される電圧・電流を検知し評価した。合計3Wの入力に対して平均して約8.2Wの出力を検知することができた。
1,1A,1B,1C,1D,1E,1F,1G:本発明の熱電変換素子
1H,1I,1J:本発明の熱電変換発電装置
1K:従来の熱電変換素子
2:導電性基板(第1電極)
3N:n型熱電変換材料層 3P:p型熱電変換材料層
5A,5C:第1異方性導電材料層 5B,5D:第2異方性導電材料層
6N:n型熱電変換部 6P:p型熱電変換部 7:延在部
8A,8G:第2電極 8B,8H:第3電極 9:絶縁層
13A,13B:貫通孔
10A,20A,30A:第2の熱電変換素子(ペルチェ素子)
10B,20B,30B:第3の熱電変換素子(ペルチェ素子)
10AL,10BL,20AL,20BL,30AL,30BL:第1電極
10AH,10BH,20AH,20BH,30AH,30BH:第2電極または第3電極
10AG,10BG,20AG,20BG,30AG,30BG:延在部(異方性導電材料層の延在部)
60:太陽電池パネル
100:熱電変換素子
120,121,180:電極
130:n型熱電変換半導体
131:p型熱電変換半導体

Claims (11)

  1. 少なくとも熱電変換材料層と異方性導電材料層が積層された熱電変換部を備え、積層方向に対して該熱電変換部の上部と下部に電極を有することを特徴とする熱電変換素子。
  2. 前記異方性導電材料層は、層面内方向の電気伝導率が厚さ方向の電気伝導率よりも大きい特性を有することを特徴とする請求項1に記載の熱電変換素子。
  3. 少なくとも熱電変換材料層と異方性導電材料層が積層された熱電変換部において、前記異方性導電材料層が積層構造からはみ出してなる延在部を有し、前記延在部に電極を有する請求項1または2に記載の熱電変換素子。
  4. 前記熱電変換部を形成する前記異方性導電材料層において、前記異方性導電材料層が、前記異方性導電材料層を貫通する貫通孔を有し、該貫通孔には熱電変換材料あるいは半導体の性質を有する導電材料が形成されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の熱電変換素子。
  5. 前記異方性導電材料層がグラファイトであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の熱電変換素子。
  6. 前記異方性導電材料層が、少なくとも低導電性材料層あるいは絶縁層と、該低導電性材料層あるいは該絶縁層の表面に高導電性材料のコート層を形成してなるものであり、該低導電性材料層及び/或いは該高導電性材料層に使用される導電材料は、半導体の性質を有する電子輸送材料及び/或いは正孔輸送材料より選択される電荷輸送材料であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の熱電変換素子。
  7. 少なくとも熱電変換材料層と異方性導電材料層が積層された、n型熱電変換部とp型熱電変換部とを備え、積層方向に対して前記n型及びp型熱電変換部の下部に、前記n型及びp型熱電変換部に跨る第1電極と、前記n型及びp型熱電変換部の上部に、それぞれ第2及び第3電極を備える熱電変換素子であり、
    第2電極は、n型熱電変換部の上部の一部分に設けられ、第3電極は、p型熱電変換部の上部の一部分に設けられることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1つに記載の熱電変換素子。
  8. 少なくとも熱電変換材料層と異方性導電材料層が積層された、n型熱電変換部とp型熱電変換部とを備え、積層方向に対して前記n型及びp型熱電変換部の下部に、前記n型及びp型熱電変換部に跨る第1電極と、前記n型及びp型熱電変換部の上部に、それぞれ第2及び第3電極を備える熱電変換素子であり、
    n型熱電変換部の異方性導電材料層は積層構造からはみ出してなる延在部を有し、第2電極はn型熱電変換部の延在部の一部分に設けられ、
    p型熱電変換部の異方性導電材料層は積層構造からはみ出してなる延在部を有し、第3電極は、p型熱電変換部の延在部の一部分に設けられることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の熱電変換素子。
  9. 熱電変換発電素子とペルチェ素子を組み合わせてなる熱電変換発電装置であり、
    該ペルチェ素子により該熱電変換発電素子の低温作用部を吸熱し、且つ該熱電変換発電素子の高温作用部あるいは高温作用部に接触する熱だめとなる対象物に放熱し、該熱電変換発電素子で発電することを特徴とする熱電変換発電装置。
  10. 熱電変換発電素子とペルチェ素子を組み合わせてなる熱電変換発電装置を使用する発電方法であり、該ペルチェ素子により該熱電変換発電素子の低温作用部を吸熱し、且つ該熱電変換発電素子の高温作用部あるいは高温作用部に接触する熱だめとなる対象物に放熱し、該熱電変換発電素子で発電することを特徴とする発電方法。
  11. 請求項9に記載の熱電変換発電装置及び/或いは請求項10に記載の発電方法において、
    前記ペルチェ素子は、請求項1〜8のいずれか1つに記載の熱電変換素子であることを特徴とする熱電変換発電装置及び/或いは発電方法。
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