JPWO2017010419A1 - 積層体およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機系高分子フィルムの少なくとも片面にシランカップリング剤層を有し、該シランカップリング剤層を介してPDMS(ポリジメチルシロキサン)を主成分とするシリコーン樹脂層が積層された積層体で、該シリコーン樹脂層と該高分子フィルムの剥離強度が0.3N/cm以上、15N/cm以下であることを特徴とする有機系高分子フィルム/シリコーン樹脂積層体。
【選択図】なし
Description
か かる問題を解決するために、シリコーン樹脂シートに補強材を配する試みが成されている。シリコーン樹脂シートに、ガラスクロスなどの補強材を入れ込んだ製 品が既に知られている。クロス状補強材をシート中に挿入することにより機械的強度を改善することができるが、クロス状補強材は不均質であり、また、かかる 補強によりシートの柔軟性が損なわれてしまうという欠点がある。
シ リコーン樹脂シートと寸法安定性の良い金属箔・金属板、ガラス板、セラミック板などのシリコーン樹脂ないしはガラスエポキシ板などの硬質基板と貼り合わせ て用いる形態も同様に補強効果は得られるが、相手方素材の物性の影響を多々受けることにより、結果的に柔軟性が損なわれてしまう場合が多い。
シリコーン樹脂の柔軟性を活かす補強素材として有機高分子フィルム、有機高分子シートを用いる事ができるが、シリコーン樹脂と有機高分子素材との接着性が乏しいため、使用中の剥がれ等の問題が生じることが多い。
1. 有機系高分子フィルムの少なくとも片面にシランカップリング剤層を有し、該シランカップリング剤層を介してシリコーン樹脂層を有する積層体であって、該シリコーン樹脂層と該高分子フィルムの剥離強度が0.3N/cm以上、15N/cm以下であることを特徴とする積層体。
2. 長径10μm以上の珪素を含む異物の個数が前記シランカップリング剤層において、2000個/m2以下である事を特徴とする、1に記載の積層体。
3. 前記シランカップリング剤層の厚さが1〜500nmの範囲である事を特徴とする、1〜2のいずれかに記載の積層体。
4. 前記積層体の面積が1000cm2以上であることを特徴とする、1〜3のいずれかに記載の積層体。
5. 前記有機系高分子フィルムが、ポリイミドフィルムであることを特徴とする、1〜4のいずれかに記載の積層体。
6. 気化させたシランカップリング剤に有機系高分子フィルムを暴露させることにより、シランカップリング剤層を形成する工程を含み、該工程において真空を使わないことを特徴とする、1〜5のいずれかに記載の積層体の製造方法。
7. バブリング方式により気化させたシランカップリング剤に有機系高分子フィルムを暴露させることにより、シランカップリング剤層を形成する工程を含むことを特徴とする、6に記載の積層体の製造方法。
8. 前記の気化させたシランカップリング剤に有機系高分子フィルムを暴露させることにより、シランカップリング剤層を形成する工程において、露点0℃以下の乾燥気体をキャリアガスとして使用することを特徴とする、7に記載の積層体の製造方法。
9. 前記の気化させたシランカップリング剤に有機系高分子フィルムを暴露させることにより、シランカップリング剤層を形成する工程において、露点5℃以上の気体を共存させること事を特徴とする、6〜8のいずれかに記載の積層体の製造方法。
10. 前記の気化させたシランカップリング剤に有機系高分子フィルムを暴露させることにより、シランカップリング剤層を形成する工程において、該有機系高分子フィルムに電界を加える事を特徴とする、6〜8のいずれかに記載の積層体の製造方法。
11. シランカップリング剤層の形成前に、有機系高分子フィルムのシランカップリング剤層形成面に活性化処理を行う工程を含むこと事を特徴とする6〜9のいずれかに記載の積層体の製造方法。
12. 前記の気化させたシランカップリング剤に有機系高分子フィルムを暴露させることにより、シランカップリング剤層を形成する工程において、形成されたシランカップリング剤層表面の3次元表面粗さ(Sa)が5.0nm以下であることを特徴とする6〜11のいずれかに記載の積層体の製造方法。
本 発明において、より好適には、高耐熱性を有する有機系高分子フィルムを用いれば、耐熱性に劣る接着剤や粘着剤を用いることなく貼り合わせが可能であり、積 層体を、より高温域で使用することが可能となり、180℃以上、好ましくは230℃以上、さらに好ましくは260℃以上の高温域での用途に用いる事が可能 となり、高温でのプレス、ラミネート時に用いるクッション材、半田付けを伴う電子部品、高温環境で用いられる搬送部材などの用途にて好適に用いる事が可能 となる。
本発明におけるシリコーン樹脂層を形成するシリコーン樹脂とは、シロキサン結合による主骨 格を持つ、ケイ素系高分子化合物の内、室温で固体状の物を示す。本発明で好ましく用いられるシリコーン樹脂はポリジアルキルシロキサンを基本骨格として、 目的に応じて分子量、架橋度、置換基などを調整したシリコーン樹脂を用いる事が好ましい。シリコーン樹脂は 導入する置換基を選択し、さらに骨格を環状や分枝構造とすることで、耐熱性や耐化学性、親水性や疎水性など、さまざまな機能を強化または付与することがで きる。
本 発明のシリコーン樹脂に導入される置換基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、フェニル基、置換フェニル基、ポリエーテル基、エポキシ 基、アミノ基、アミノ基含有置換基、カルボキシル基、アラルキル基などを例示できる、かかる置換基は側鎖ないし分子末端に導入できる。
本発明ではポリジメチルシロキサンないしポリジフェニルシロキサンを主骨格とするシリコーン樹脂、メチル基、フェニル基両方を含むポリシロキサン樹脂が好ましい。
本発明のシリコーン樹脂としては一液型あるいは二液型のシリコーン樹脂を用いる事ができる。
二液型シリコーン樹脂は、主材と架橋剤、反応促進剤などを硬化剤として分け、使用前に両者 を混合して用いるものである。本発明のシリコーン樹脂を架橋するのに使用する好適な方法及び/又は触媒としては、縮合触媒が挙げられる。適当な反応基を持 つシリコーン樹脂を用意する事によって、他の触媒及び開始剤、例えば、シラン−オレフィン附加(ハイドロシレイション)触媒、例えば過酸化物触媒の様なフ リーラジカル触媒、熱、及び紫外線輻射への曝露が使用出来る。
過酸化物触媒の様なフリーラジカル触媒は、シリコーン樹脂が、ビニル基を含む時には、ブレンド−硬化剤又は触媒として使用できる。
シリコーン樹脂が、末端位置にSi−H基を有する時、又は樹脂が末端二重結合を有する時は、シラン−オレフィン付加触媒が有用である。
シラノール停止(末端化)ポリジメチルシロキサンを含む上記シラノール末端化ポリジオルガノシロキサンの様にその中に水酸基を持つシリコーン化合物もまた、熱で触媒化できる。
好ましい硬化系は縮合反応を含む。テトラエチルシリケートの様なシリカ酸エステルは、縮合反応で、本発明組成物のジオルガノシロキサンのヒドロキシ末端基と反応する。この反応ではアルコールが放出され、反応は、例えばジブチル錫ジラウレートの様な金属石鹸で触媒される。
なおより好ましい触媒は、ヘキサン酸亜鉛の様な有機亜鉛化合物である。ヘキサン酸亜鉛の様 な縮合触媒は、シラノール末端化ポリジオルガノシロキサン中に存在するシラノール末端基と、ポリジメチルシロキサンポリマーとメチルフェニルセスキシロキ サン中に存在すると考えられる残存ヒドロキシ基(シラノール)の縮合反応を触媒する事が考えられる。
本発明における有機系高分子フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレ ンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、全芳香族ポリエステル、その他の共重合ポリエステル、ポリメチルメタクリレー ト、その他の共重合アクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリ エーテルイミド、芳香族ポリイミド、脂環族ポリイミド、フッ素化ポリイミド、酢酸セルロース、硝酸セルロース、芳香族ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ フェノール、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリスチレン等のフィルムを用いることが出来る。本発明において特に効 果が顕著・有用であるものは耐熱性が100℃以上の高分子、所謂エンジニアリングプラスチックのフィルムである。ここに耐熱性とはガラス転移温度ないしは 熱変形温度を云う。
本発明の有機系高分子フィルムの面積(すなわち積層体の面積)は、積層体やフレキシブル電子デバイスの生産効率・コストの観点より、大面積であることが好ましい。1000cm2以上であることが好ましく、1500cm2以上であることがより好ましく、2000cm2以上であることがさらに好ましい。
前記脂環式ジアミン類としては、例えば、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4’−メチレンビス(2,6−ジメチルシクロヘキシルアミン)等が挙げられる。
芳香族ジアミン類以外のジアミン(脂肪族ジアミン類および脂環式ジアミン類)の合計量は、 全ジアミン類の20質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。換言すれば、芳香族ジアミン類は全ジアミ ン類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
脂環式テトラカルボン酸類は、透明性を重視する場合には、例えば、全テトラカルボン酸類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
芳香族テトラカルボン酸類は、耐熱性を重視する場合には、例えば、全テトラカルボン酸類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
本 発明における線膨張係数は30から200℃の間の平均の値を用いているが、用途によって、注目する温度範囲は変わり、高温でのプロセスを考慮して、30℃ から400℃の範囲を調べる場合、100℃から400℃の範囲の場合もあり、半田付けを伴う場合には50℃から280℃の範囲を調べる場合、自動車部品な どに応用される場合には使用温度範囲として、−50℃から150℃の範囲を重視する場合もありえる。
本発明における有機系高分子フィルムとシリコーン樹脂の接着強度は、前記有機系高分子フィルムの破断強度の1/2以下であることが好ましい。
仮に、厚さ10μmのフィルムを用いた本発明の積層体において、フィルムの接着強度が0.5N/cmであったとする。
幅10mmのフィルムに加わる破断力は、0.5N/(10μm×10mm)=0.5N/0.1mm2=5MPaとなる。かような場合、フィルムにこの10倍程度すなわち50MPa以上の破断強度があれば、フィルムを剥離する際に支障なく剥離操作が可能となる。
該接着強度は、より好ましくは前記有機系高分子フィルムの破断強度の1/3以下、さらに好ましくは1/4以下である。
フィルムの厚さ斑(%)
=100×(最大フィルム厚−最小フィルム厚)÷平均フィルム厚
ポリイミドフィルムのような溶液製膜法を用いて得られる有機系高分子フィルムの場合にも同 様で、例えば、ポリアミド酸溶液(ポリイミドの前駆体溶液)として、滑材(好ましくは平均粒子径0.05〜2.5μm程度)をポリアミド酸溶液中のポリ マー固形分に対して0.02質量%〜50質量%(好ましくは0.04〜3質量%、より好ましくは0.08〜1。2質量%)含有したポリアミド酸溶液と、滑 材を含有しないか又はその含有量が少量(好ましくはポリアミド酸溶液中のポリマー固形分に対して0.02質量%未満、より好ましくは0.01質量%未満) である2種のポリアミド酸溶液を用いて製造することができる。
本発明において用いられる有機系高分子フィルムには表面活性化処理を行うことが好ましい。該表面活性化処理によって、有機系高分子フィルム表面は官能基が存在する状態(いわゆる活性化した状態)に改質され、シランカップリング剤に対する接着性が向上する。
本発明における表面活性化処理とは、乾式、ないし湿式の表面処理である。本発明の乾式処理 としては、紫外線、電子線、X線などの活性エネルギー線を表面に照射する処理、コロナ処理、真空プラズマ処理、常圧プラズマ処理、火炎処理、イトロ処理等 を用いることが出来る。湿式処理としては、フィルム表面を酸ないしアルカリ溶液に接触させる処理を例示できる。本発明に置おいて好ましく用いられる表面活性化処理は、プラズマ処理であり、プラズマ処理と湿式の酸処理の組み合わせである。
プラズマ処理においては有機系高分子フィルム表面をエッチングする効果も得ることが出来 る。特に滑剤粒子を比較的多く含む有機系高分子フィルムにおいては、滑剤による突起が、フィルムとシリコーン樹脂との接着を阻害する場合がある。この場 合、プラズマ処理によって有機系高分子フィルム表面を薄くエッチングし、滑剤粒子の一部を露出せしめた上で、フッ酸にて処理を行えば、フィルム表面近傍の 滑剤粒子を除去することが可能である。
本発明におけるシランカップリング剤は、シリコーン樹脂と有機系高分子フィルムとの間に物理的ないし化学的に介在し、両者間の接着力を高める作用を有する化合物を云う。
シランカップリング剤の好ましい具体例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプ ロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエ トキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリ デン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキ シプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキ シシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプ ロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシ ラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシ シラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシ ラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプ ロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピ ル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、クロロメチルフェ ネチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルア ミノメチルフェネチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどが挙げられる。
本発明では、特に好ましいシランカップリング剤としては、N−2−(アミノエチル)−3− アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピ ルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル −ブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グ リシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメト キシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシランなどが挙げられる。プロセスで特に高い耐熱性が要求される場合、Siとアミノ基の間 を芳香族基でつないだものが望ましい。
なお本発明では必要に応じて、リン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等を併用しても良い。
従来の技術では、シランカップリング剤の塗布は、シランカップリング剤をアルコールなどの 溶媒で希釈した溶液状態で行われる。しかしながら、本発明ではこのシランカップリング剤塗布工程を気相を介して行うことに特徴がある。すなわち本発明で の、気化させたシランカップリング剤に有機系高分子フィルムを暴露することにより塗布を行う。シランカップリング剤塗布をシランカップリング剤処理と言い 換えても良い。気化とはシランカップリング剤の蒸気、すなわち実質的に気体状態のシランカップリング剤あるいは、微粒子状態のシランカップリング剤が存在 する状態を指す。暴露とは、前記の気化したシランカップリング剤を含んだ気体あるいは真空状態に有機系高分子フィルムが接触していることを言う。
一方、生産効率向上および生産設備価格低減の観点からは、真空を使わない環境でのシラン カップリング剤塗布が望ましい。例えば、チャンバー内に常圧下にて有機系高分子フィルムをセットし、チャンバー内を気化したシランカップリング剤を含む概 ね常圧のキャリアガスを満たしてシランカップリング剤を堆積してから、再び気化したシランカップリング剤の無い状態に戻すまで、概略大気圧のままで行うこ とができる。
有機系高分子フィルムを気化したシランカップリング剤に暴露する間の有機系高分子フィルム温度は、シランカップリング剤の種類と、求めるシランカップリング剤層の厚さにより−50℃から200℃の間の適正な温度に制御することが好ましい。
シランカップリング剤を気化させる方式としては、加熱による蒸発気化以外に、シランカップ リング剤液中に気体を導入して気泡を発生させる方式も好ましい。これを以後バブリングと呼ぶ。バブリングについては、単純に気体の通る配管をシランカップ リング剤液に入れること、配管の先に多孔質体を取り付けて、微細な気泡が数多く出るようにしたもの、超音波を重畳して、気化を促すものも有効である。
また、気化したシランカップリング剤には、荷電したものが多く、暴露時に有機系高分子フィ ルムに電界を加えることにより多くのシランカップリング剤を短時間で堆積でき、かつシランカップリング剤が運動エネルギーを持つため、堆積膜が、島状膜に なることを抑制できる。また、使用するキャリアガスについては、水分が含まれていると、この水分とシランカップリング剤の反応が始まることが知られてい る。このため、露点が低いことが有効である。望ましくは、露点15℃以下、さらに望ましくは10℃以下、さらに望ましくは、5℃以下である。
カップリング剤層の膜厚は、エリプソメトリー法、蛍光X線法、ICP法による灰化分析または塗布時のカップリング剤溶液の濃度と塗布量から計算して求めることができる。
本発明では、シランカップリング剤層を形成した有機系高分子フィルムのシランカップリング剤層側に、液状のジメチルシロキサン樹脂を塗布し、その後化学反応によって硬化・固体化させる方法により有機系高分子フィルムとシリコーン樹脂の積層体を得ることが出来る。
シリコーン樹脂の硬化は主として水酸基(−OH)とメトキシ基(−OCH3)または水酸基どうしが脱水反応ないし脱アルコール反応を生じることにより高分子量化、架橋化することによる。通常、この反応は200℃〜250℃にて生ずるが、硬化触媒の使用や、シリコーン樹脂の変性による下げることができる。
液状シリコーン樹脂の塗布は、スピンコーと、ディップコート、バーコート、アプリケーター ダイコーと、コンマコーター、スクリーン印刷グラビア印刷、キャピラリーコート、スプレーコートなど、公知の塗布方法を用いる事ができる。本発明における シリコーン樹脂の厚さは、好ましくは0.5μm〜10mm、であり、さらに好ましくは2μm〜3mmであり、なお好ましくは5μm以上500μm以下であ る。
また本発明では、シリコーン樹脂のフィルム、ないしシートの表面を活性化させ、シランカッ プリング剤塗布有機系高分子フィルムと重ね合わせて加熱加圧することによっても積層体を得ることが出来る。この際にシリコーン樹脂に未反応基が残存してい る状態である事が好ましい。言い換えればBステージ状態のシリコーン樹脂を用いる事で、効率よく積層体を得ることが出来る。加熱加圧の手法としてはロールラミ方法、プレス法などを用いる事が出来る、ブリスターなどの無い精密な積層体を得るためには真空プレス装置の使用が好ましい。
本発明において、シリコーン樹脂層と高分子フィルムの剥離強度は0.3N/cm以上、15N/cm以 下である。剥離強度は0.4N/cm以上、12N/cm以下が好ましく、0.7N/cm以上、10N/cm以下がさらに好ましく、1.5N/cm以上、 8N/cm以下が好ましい。シリコーン樹脂層と高分子フィルムの剥離強度は、高分子フィルムの表面処理、シランカップリング剤の塗布条件、塗布量、塗布膜 厚、積層条件によって制御可能である。特に重要なパラメーターはシランカップリング剤の厚さであり、概ねシランカップリング剤層の厚さを40nm以下とす る事で剥離強度を所定の範囲無いに治める事が出来る。
本発明の積層体は、シリコーン樹脂の持つ柔軟性、耐熱性、電気特性、化学的耐久性と、有機系高分子フィルムの剛性とを併せ持つ優れた特性を示す。
耐熱性かつ寸法安定性の良い有機系高分子フィルムの両面にシリコーン樹脂を配置した積層体は、良好な電気特性と、良好な寸法安定性を両立するため、高周波回路基板、高周波アンテナ基板として応用できる。
有 機系高分子フィルムをシームレスパイプ、ないしシームレスベルト状に形成し、その表面にシリコーン樹脂層を形成したシームレスパイプないしシームレスベル トは、レーザープリンターなどのトナー画像の熱由宇着による定着ベルトや、静電気画像を搬送、重ね合わせるためのキャリアベルトとして有用である。
本発明の積層体をプレス時のクッション材として用いれば、厚さ方向の良好なクッション性と、面方向での剛直性を両立し、さらに繊維補強体のような面方向の斑も無いため、非常に精緻で良好なプレス物を得ることができる。
1.ポリアミド酸の還元粘度(ηsp/C)
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN−メチルー−2−ピロリドン(又は、N,N− ジメチルアセトアミド)に溶解した溶液をウベローデ型の粘度管により30℃で測定した。(ポリアミド酸溶液の調製に使用した溶媒がN,N−ジメチルアセト アミドの場合は、N,N−ジメチルアセトアミドを使用してポリマーを溶解し、測定した。)
2.高分子フィルムなどの厚さ
マイクロメーター(ファインリューフ社製、ミリトロン1245D)を用いて測定した。
3.高分子フィルムの引張弾性率、引張破断強度および引張破断伸度
測定対象のポリイミドフィルムを、流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)にそれぞ れ100mm×10mmの短冊状に切り出したものを試験片とした。引張試験機(島津製作所製、オートグラフ(R) 機種名AG−5000A)を用い、引張 速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張破断強度及び引張破断伸度を測定した。
4.90度剥離強度
JISK6854−1 の90度剥離法に従って、シリコーン樹脂層と高分子フィルムの剥離強度を求めた。
装置名 ; 島津製作所社製 オートグラフAG−IS
測定温度 ; 室温
剥離速度 ; 50mm/min
雰囲気 ; 大気
測定サンプル幅 ; 1cm
測定対象の高分子フィルムを、流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)において、下記条件にて伸縮率を測定し、30℃〜45℃、45℃〜60℃、…と15℃の間隔での伸縮率/温度を測定し、この測定を300℃まで行い、全測定値の平均値をCTEとして算出した。
機器名 ; MACサイエンス社製TMA4000S
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/min
雰囲気 ; アルゴン
初荷重 ;34.5g/mm2
6.無機粒子の平均粒子径
測定対象の無機粒子を後述のように溶媒に分散し、堀場製作所社製のレーザー散乱式粒度分布計LB−500により粒子径分布を求め、重量(体積)平均粒子径とCV値を算出した。
7.カップリング剤層厚さの測定法
カップリング層厚さはSiウエハに作製した膜厚を測定した。
膜厚測定法は、エリプソメトリーにて行い、測定器はPhotal社製FE-5000を使用した。
この測定器のハード仕様は以下の通りである。
反射角度範囲 45から80°、波長範囲 250から800nm、波長分解能1.25nm、スポット径 1mm、tanΨ 測定精度±0.01、cosΔ 測定精度±0.01、方式回転検光子法。測定は偏向子角度 45°、入射 70°固定、検光子は11.25°刻みで0〜360°、250〜800nmの測定を行った。
非線形最小2乗法によるフィッティングで、膜厚を求めた。このとき、モデルとしては、Air/薄膜/Siのモデルで、
n=C3/λ4+C2/λ2+C1
k=C6/λ4+C5/λ2+C4
の式で波長依存C1〜C6を求めた。
8.高分子フィルムの評価:ロール巻取り性
長尺状の多層ポリイミドフィルムを巻取りロ−ル(心棒の外径:15cm)に2m/分の速度で巻取る際に、皺が生じず円滑に巻取りが可能である場合を○、部分的に皺が発生する場合を△、皺が発生したり、ロ−ルに巻きついて円滑に巻取りが出来ない場合を×とした。
9.乾燥窒素
本実施例で、乾燥窒素と記載の時には露点―10℃以下の窒素を使った。また、窒素の純度は99.9%以上であった。
10.高分子フィルム表面粗さ
本実施例表中の有機系高分子フィルム表面粗さは、有機系高分子フィルムにシランカップリング剤塗布後の3次元表面粗さSaを示す。
11.SC層の3次元算術平均粗さ(Sa)は、非接触表面・層断面形状計測システム(菱化システム社製「VertScanR2.0」)を用いて求めた。測定は以下の条件にて行った。
測定モード:Phaseモード
視野サイズ:640×480
使用フィルター:520nmフィルター
対物レンズ倍率:×5
ズームレンズ倍率:×1
1測定ごとの測定範囲:1.4mm×1.8mm
積算回数:1回
上記条件にて得られた生データについて、補間は実施せずに4次の面補正のみを実施して測定データとした。この測定データ中から以下の式に基づいて計算し求めた。
100mm×100mmの領域をサンプリングし、100倍拡大の測長機能付き顕微鏡にてサ ンプリング領域を観察し、100倍観察にて確認された異物については、さらに拡大率を400倍として長径長さを測定し、10μm以上のものの個数を数え、 観察面積で除して異物密度とした。異物密度の単位は(個/m2)である。
ロールの外観および、ロール外周から約2mまでの範囲を目視観察し、傷、皺の有無、平面性 (うねり)等の欠点が認められない場合には◎、一分に欠点が認められるが、300mm幅にスリットすることにより欠点部を避ける事が可能な場合は○、同じ く150mmにスリットすることにより欠点部を避ける事が出来る場合には△、スリットにより目視認識できる欠点を避ける事ができない場合を×とした。
(ポリアミド酸溶液A1〜A2の作製)
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、5−アミノ−2−(p− アミノフェニル)ベンゾオキサゾール223質量部、N,N−ジメチルアセトアミド4416質量部を加えて完全に溶解させた後、ピロメリット酸二無水物 217質量部、コロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなるスノーテックス(DMAC−ST30、日産化学工業製)をシリカが表1記載量になる ように加え、25℃の反応温度で24時間攪拌すると、褐色で粘調なポリアミド酸溶液A1〜A2が得られた。
(ポリアミド酸溶液B1〜B2の作製)
窒素導入管,温度計,攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、テトラカルボン酸二無水物として3,3',4,4'− ビフェニルテトラカルボン酸二無水物398質量部、パラフェニレンジアミン147質量部を4600質量部のN、N−ジメチルアセトアミドに溶解し、コロイ ダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなるスノーテックス(DMAC−ST30、日産化学工業製)をシリカが表2記載量になるよう加え、25℃の反 応温度で24時間攪拌すると、褐色で粘調なポリアミド酸溶液B1〜B2が得られた。
ポリアミド酸溶液A1を、ポリエチレンテレフタレート製フィルムA−4100(東洋紡株式会社製)の無滑材面上に、コンマコーターを用いてコーティングし、110℃にて5分間乾燥後、支持体から剥がさずにポリアミド酸フィルムを巻き取った。
得られたポリアミド酸フィルムを製膜機の巻きだし部に取り付け、上記のポリアミド酸溶液 A2をポリアミド酸溶液A1の塗布量を表3に示す厚さ比となるように、コンマコーターを用いてポリアミド酸フィルム面にコーティングし、110℃にて20 分間乾燥することで、2層構成のポリアミド酸フィルムを得た。2層全体の厚さが熱処理後に表3に示す厚さとなるように、塗布厚さは調整した。
この多層ポリアミド酸フィルムを3つの熱処理ゾーンを有するピンテンターに通し、一段目 150℃×2分、2段目220℃×2分、3段目475℃×4分間の熱処理を行い、500mm幅にスリットして、多層ポリイミドフィルムを得た。このとき、 熱処理後巻き取る前に剥離可能な非ポリイミド保護フィルムとして、PETフィルムに微粘着層の付いたフィルム(フィルムA)をポリアミド酸溶液A1側にラ ミネートしてから、巻き取った。得られたポリイミドフィルムをフィルム1とした。このポリイミドフィルムの特性を表3に示す。
ポリアミド酸溶液A1、A2のコーティング厚さを表3に示した値とした以外は全く作製例1と同様にして、フィルム2を得た。その内容を作製例1と同様に表3に示す。
ポリアミド酸溶液B1、B2のコーティング厚さを表3に示した値とした以外は全く作製例1と同様にして、フィルム3 を得た。その内容を作製例1と同様に表3に示した。
<塗布例1>
ホットプレートを有する真空チャンバーを用い、以下の条件にて有機系高分子フィルムへのシランカップリング剤塗布を行った。
シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM−903」:3−アミノプロピルト リメトキシシラン)100質量部をシャーレに満たし、ホットプレートの上に静置した。このときホットプレート温度は25℃であった。次いでシランカップリ ング剤の液面から水平方向に100mm以上離れた箇所に、350mm×490mmの有機系高分子フィルムをSUSの枠に固定して垂直に保持し、真空チャン バーを閉じ、真空引きと窒素導入を数回行い、大気圧にて酸素濃度が0.1%以下となるまで繰り返した、次いで、チャンバー内を3×10-1Pa まで減圧し、ホットプレート温度を60℃まで昇温し、10分間保持してシランカップリング剤蒸気への暴露を行い、その後、ホットプレート温度を下げ、同時 に真空チャンバー内にクリーンな乾燥窒素ガスを4か所から静かに導入して大気圧まで戻し、枠に固定した有機系高分子フィルムを取り出し、クリーン環境下に て100℃のホットプレートに、SUSの枠ごと載せた。SUS枠の厚みのため、有機系高分子フィルムはホットプレートとは直接は接することはなく、加熱さ れる。約3分間熱処理を行い、有機系高分子フィルムの両面にシランカップリング剤層を形成した有機系高分子フィルムS1を得た。
有機系高分子フィルムをセットする真空チャンバーとシランカップリング剤を揮発させる装置 を用い、以下の条件にて有機系高分子フィルムへシランカップリング剤層を形成させた。有機系高分子フィルムは片面に保護フィルムを貼り付けておいた。そし てこの保護フィルムを貼りつけた350mm×490mmの有機系高分子フィルムをSUSの枠に固定して垂直に保持し、真空チャンバー内に設置した。その 後、真空チャンバーを閉じ、真空チャンバー内を-0.099MPaまで減圧した。その後に窒素導入 と真空引きを数回行い、大気圧にて酸素濃度が0.1%以下となるまで真空引きと窒素導入を繰り返した。真空チャンバー内を真空にひいたのち、次いでシラン カップリング剤液温度をコントロールしながら、シランカップリング剤液面にキャリアガスを吹き付ける事でシランカップリング剤蒸気を発生させる装置にシラ ンカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM−903」:3−アミノプロピルトリメトキシシラン)を入れ、30℃に温調した後に99.9%以上の純 度を持つ窒素ガスをフローした。発生したシランカップリング剤を含有した窒素ガスは25℃に温調した配管を通じて真空チャンバー内に概略大気圧となるまで (真空度が−0.009MPaとなるまで)導入し、20分間保持した。その後、真空チャンバー内を再度真空にひいてから、窒素ガスを導入して大気圧まで戻 した後、有機系高分子フィルムを真空チャンバーから取り出し、保護フィルムをはがして、100℃のホットプレートで約3分間熱処理を行うことで、有機系高 分子フィルムの片面にシランカップリング剤を積層した有機系有機系高分子フィルムS2を得た。この真空チャンバーは室温25℃に温調した室内に設置してい る。
有機系高分子フィルムをセットする真空チャンバーとシランカップリング剤を揮発させる装置 (図2)を用い、以下の条件にて有機系高分子フィルムへシランカップリング剤層を形成させた。有機系高分子フィルムには片面に保護フィルムを貼り付けてお いた。そしてこの保護フィルムを貼りつけた350mm×490mmの有機系高分子フィルムをSUSの枠に固定して垂直に保持し、真空チャンバー内に設置。 その後に、真空チャンバーを閉じて真空チャンバー内を-0.099MPaまで減圧した。その後に窒 素導入と真空引きを数回行い、大気圧にて酸素濃度が0.1%以下となるまで真空引きと窒素導入を繰り返した。真空チャンバー内を真空にひいたのち、次いで シランカップリング剤液温度をコントロールしながら、シランカップリング剤液中に多孔質セラミックでバブル発生しやすくしたガス導入管先がつかるように配 置してキャリアガスを液中に吹き付ける事でシランカップリング剤蒸気を発生させる装置にシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製 「KBM−903」:3−アミノプロピルトリメトキシシラン)を入れ、20℃に温調した後に99.9%以上の純度を持つ窒素ガスをフローした。発生したシ ランカップリング剤を含有した窒素ガスは25℃に温調した配管を通じて真空チャンバー内に真空度が+0.009MPaとなるまで導入し、排気口を一度あけ て閉じて、概略大気圧として、20分間保持した。その後、真空チャンバー内を再度真空にひいてから、窒素ガスを導入して大気圧まで戻した後、有機系高分子 フィルムを真空チャンバーから取り出し、保護フィルムをはがして、100℃のホットプレートで約3分間熱処理を行うことで、有機系高分子フィルムの片面に シランカップリング剤を積層した有機系有機系高分子フィルムS3を得た。この真空チャンバーは室温25℃に温調した室内に設置している。
有機系高分子フィルムをセットする真空チャンバーとシランカップリング剤を揮発させる装置 を用い、以下の条件にて有機系高分子フィルムへシランカップリング剤層を形成させた。有機系高分子フィルムには片面に保護フィルムを貼り付けておいた。そ してこの保護フィルムを貼りつけた350mm×490mmの有機系高分子フィルムをSUSの枠に固定して垂直に保持し、真空チャンバー内に設置。その後 に、真空チャンバーを閉じて真空チャンバー内を-0.099MPaまで減圧した。その後に窒素導入 と真空引きを数回行い、大気圧にて酸素濃度が0.1%以下となるまで真空引きと窒素導入を繰り返した。真空チャンバー内を真空にひいたのち、次いでシラン カップリング剤液温度をコントロールしながら、シランカップリング剤液中に多孔質セラミックでバブル発生しやすくしたガス導入管先がつかるように配置して キャリアガスを液中に吹き付ける事でシランカップリング剤蒸気を発生させる装置にシランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM−903」:3− アミノプロピルトリメトキシシラン)を入れ、20℃に温調した後に99.9%以上の純度を持つ窒素ガスをフローした。発生したシランカップリング剤を含有 した窒素ガスは25℃に温調した配管を通じて真空チャンバー内に真空度が-0.09MPaとなるまで導入し、5分間保持した。その後、真空チャンバー内を再度真空にひいてから、シランカップリング剤を含有した窒素ガスを真空チャンバー内に真空度が-0.09MPa となるまで導入し、5分間保持した。この操作を4度繰り返して、40分の塗布を行い、窒素ガスを導入して大気圧まで戻した後、有機系高分子フィルムを真空 チャンバーから取り出し、保護フィルムをはがして、100℃のホットプレートで約3分間熱処理を行うことで、有機系高分子フィルムの片面にシランカップリ ング剤を積層した有機系有機系高分子フィルムS4を得た。この真空チャンバーは室温25℃に温調した室内に設置している。
有機系高分子フィルムの貼り付けとは反対側にSUS板を置き+3kV電位とする事以外は塗布例3での操作を行い有機系高分子フィルムの片面にシランカップリング剤を積層した有機系有機系高分子フィルムS5を得た。
<塗布例6>
使用する気体を99.9%以上の純度を持つ窒素ガスから、クリーンドライエアーと変えること以外は塗布例3での操作を行い有機系高分子フィルムの片面にシランカップリング剤を積層した有機系有機系高分子フィルムS6を得た。
<塗布例7>
有機系高分子フィルムが入った真空チャンバーを、大気圧にて酸素濃度が0.1%以下となる まで真空引きと窒素導入を繰り返した後に、別途クリーンドライエアーを25℃60%RHに調整したものをー0.19MPaまで導入してから、発生したシラ ンカップリング剤を含有したクリーンドライエアを25℃に温調した配管を通じて真空チャンバー内に真空度が+0.009MPaとなるまで導入し、排気口を 一度あけて閉じて、概略大気圧として、20分間保持した。前記以外は塗布例3での操作を行い有機系高分子フィルムの片面にシランカップリング剤を積層した 有機系有機系高分子フィルムS7を得た。
グローブボックス内を乾燥窒素置換した後、乾燥窒素を少量流しながら、シランカップリング 剤(信越化学工業株式会社製「KBM−903」:3−アミノプロピルトリメトキシシラン)0.5質量部、イソプロピルアルコール99.5質量部を清浄なガ ラス容器内にて攪拌混合しシランカップリング剤溶液とした。一方370mm×470mm×0.7mmtの液晶用ガラス板をジャパンクリエイト社製スピン コーターにセットし、まずイソプロピルアルコール50mlをガラス中央に滴下し、500rpmにて振り切ることにより洗浄を行い、次いで、先に準備したシ ランカップリング剤溶液約30mlをガラス板中央に滴下し、500mlにて10秒、次いで回転数を1500rpmまで上げて20秒間回転させ、シランカッ プリング剤溶液を振り切った。次いで停止させたスピンコーターからガラス板を取り出し、クリーン環境下にて100℃のホットプレートに、シランカップリン グ剤塗布面を上にして乗せ、約3分間熱処理を行い、有機系高分子フィルムの片面にシランカップリング剤を積層した有機系有機系高分子フィルムS8を得た。
<塗布例9>
シランカップリング剤を含有した窒素ガスを真空チャンバー内に導入している時間を60分とした以外は塗布例2での操作を行い、有機系高分子フィルムの片面にシランカップリング剤を積層した有機系有機系高分子フィルムS9を得た。
シランカップリング剤を乗せたホットプレートの温度を60℃としている時間を60分とした以外は塗布例1での操作を行い、有機系高分子フィルムの両面にシランカップリング剤を積層した有機系高分子フィルムS10を得た。
<塗布例11>
シランカップリング剤を含有した窒素ガスを真空チャンバー内に導入している時間を60分とした以外は塗布例4での操作を行い、有機系高分子フィルムの片面にシランカップリング剤を積層した有機系有機系高分子フィルムS11を得た。
<塗布例12>
シランカップリング剤を含有した窒素ガスを真空チャンバー内に導入している時間を60分とした以外は塗布例3での操作を行い、有機系高分子フィルムの片面にシランカップリング剤を積層した有機系有機系高分子フィルムS12を得た。
有機系高分子フィルムの貼り付けとは反対側に水冷パイプを溶接したCu板 を置き、有機系高分子フィルムを5℃に冷却したことと、使用する気体を99.9%以上の純度を持つ窒素ガスから、クリーンドライエアーと変えること以外 と、シランカップリング剤を含有したクリーンドライエアーを真空チャンバー内に導入している時間を60分とした以外は塗布例3での操作を行い、有機系高分 子フィルムの片面にシランカップリング剤を積層した有機系有機系高分子フィルムS13を得た。
得 られたシランカップリング剤層付きの有機系高分子フィルムのシランカップリング剤層側に、信越化学工業株式会社製の二液硬化型シリコーン樹脂 SIM−260をアプリケータにて塗布し150℃30分の熱処理を行い、表5.に示す積層体を得た。なお主剤と硬化剤の比率は質量比にて10/1とした。 以下塗布条件によってシリコーン樹脂層の厚さを変え表5.に示す積層体を得た。なお、表5においてSCはシランカップリング剤を指す。
フィルムNo.1〜4を使用して、このフィルムの滑材を含有していない側(A2層面あるいはB2層面) に 真空プラズマ処理を用いて活性化処理を行い、活性化処理フィルムを得た。 真空プラズマ処理は平行平板型の電極を使ったRIEモードRFプラズマによる処理で、真空チャンバー内にN2ガスおよびArガスを流量は20SCCM:10SCCMとなるようにそれぞれをマスフローコントローラーで流量制御して導入した。13.56MHzの高周波電力を導入することで処理時間は2分行なった。
フィルムの活性化処理例にて得られた、対応する得られた活性化処理フィルムを用いた以外は、実施例1〜23、比較例1と同様に操作を行った。結果を表6.に示す。
2 シランカップリング剤
Claims (12)
- 有機系高分子フィルムの少なくとも片面にシランカップリング剤層を有し、該シランカップリング剤層を介してシリコーン樹脂層を有する積層体であって、該シリコーン樹脂層と該高分子フィルムの剥離強度が0.3N/cm以上、15N/cm以下であることを特徴とする積層体。
- 長径10μm以上の珪素を含む異物の個数が前記シランカップリング剤層において、2000個/m2以下である事を特徴とする、請求項1に記載の積層体。
- 前記シランカップリング剤層の厚さが1〜500nmの範囲である事を特徴とする、請求項1〜2のいずれかに記載の積層体。
- 前記積層体の面積が1000cm2以上であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
- 前記有機系高分子フィルムが、ポリイミドフィルムであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の積層体。
- 気化させたシランカップリング剤に有機系高分子フィルムを暴露させることにより、シランカップリング剤層を形成する工程を含み、該工程において真空を使わないことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の積層体の製造方法。
- バブリング方式により気化させたシランカップリング剤に有機系高分子フィルムを暴露させることにより、シランカップリング剤層を形成する工程を含むことを特徴とする、請求項6に記載の積層体の製造方法。
- 前記の気化させたシランカップリング剤に有機系高分子フィルムを暴露させることにより、シランカップリング剤層を形成する工程において、露点0℃以下の乾燥気体をキャリアガスとして使用することを特徴とする、請求項7に記載の積層体の製造方法。
- 前記の気化させたシランカップリング剤に有機系高分子フィルムを暴露させることにより、シランカップリング剤層を形成する工程において、露点5℃以上の気体を共存させること事を特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の積層体の製造方法。
- 前記の気化させたシランカップリング剤に有機系高分子フィルムを暴露させることにより、シランカップリング剤層を形成する工程において、該有機系高分子フィルムに電界を加える事を特徴とする、請求項6〜8のいずれかに記載の積層体の製造方法。
- シランカップリング剤層の形成前に、有機系高分子フィルムのシランカップリング剤層形成面に活性化処理を行う工程を含むこと事を特徴とする請求項6〜9のいずれかに記載の積層体の製造方法。
- 前記の気化させたシランカップリング剤に有機系高分子フィルムを暴露させることにより、シランカップリング剤層を形成する工程において、形成されたシランカップリング剤層表面の3次元表面粗さ(Sa)が5.0nm以下であることを特徴とする請求項6〜11のいずれかに記載の積層体の製造方法。
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