JP7287061B2 - 耐熱高分子フィルム積層体の製造方法 - Google Patents
耐熱高分子フィルム積層体の製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP7287061B2 JP7287061B2 JP2019067519A JP2019067519A JP7287061B2 JP 7287061 B2 JP7287061 B2 JP 7287061B2 JP 2019067519 A JP2019067519 A JP 2019067519A JP 2019067519 A JP2019067519 A JP 2019067519A JP 7287061 B2 JP7287061 B2 JP 7287061B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- film
- heat
- coupling agent
- polymer film
- silane coupling
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Active
Links
Images
Landscapes
- Laminated Bodies (AREA)
- Lining Or Joining Of Plastics Or The Like (AREA)
Description
かかる問題はシランカップリング剤を用いた場合に留まらず、反応性の化合物層、特に室温で液体の反応性化合物を塗布したフィルム全般に関わる問題である。
[1]少なくとも二枚の耐熱高分子フィルムが積層された構造を有する耐熱高分子フィルム積層体の製造方法であって、
(1)前記少なくとも二枚の耐熱高分子フィルムを、アミノ基を有するシランカップリング剤が前記少なくとも二枚耐熱高分子フィルム相互の間に存在する状態でロール状に巻き取り、耐熱高分子フィルムの複層巻きロールを得る工程、
(2)前記複層巻きロールを、40℃~180℃の温度で熱処理することにより、前記少なくとも二枚の耐熱高分子フィルム相互を接着する工程、
を少なくとも有する耐熱高分子フィルム積層体の製造方法。
[2]前記ロール状に巻き取る際にフィルムに掛ける張力を0.001N/cm~12N/cmの範囲とすることを特徴とする[1]に記載の耐熱高分子フィルム積層体の製造方法。
[3]前記熱処理を行う前の耐熱高分子フィルムに含まれる含水率が0.5~4.0質量%の範囲であることを特徴とする[1]または[2]に記載の耐熱高分子フィルム積層体の製造方法。
[4]前記耐熱高分子フィルムがあらかじめ酸素存在下にプラズマ処理されていることを特徴とする[1]~[3]のいずれか一項に記載の耐熱高分子フィルム積層体の製造方法。
[5]前記耐熱高分子フィルムがポリイミドフィルムであることを特徴とする[1]~[4]のいずれか一項に記載の耐熱高分子フィルム積層体の製造方法。
[6]前記熱処理温度が50℃~120℃の範囲である事を特徴とする[1]~[5]のいずれか一項委記載の耐熱性高分子フィルム積層体の製造方法。
[7]巻き取り時に、離型フィルムを共巻き取りすることを特徴とする[1]~[6]のいずれか一項に記載の耐熱高分子フィルム積層体の製造方法。
[8] 前記耐熱高分子フィルムが芳香族ポリエステルフィルムであることを特徴とする[1]~[5]のいずれか一項に記載の耐熱高分子フィルム積層体の製造方法。
[9] 前記耐熱高分子フィルムがポリアミドフィルムであることを特徴とする[1]~[5]のいずれか一項に記載の耐熱高分子フィルム積層体の製造方法。
[10] 前記耐熱高分子フィルムが全芳香族ポリエステルフィルムであることを特徴とする[1]~[5]のいずれか一項に記載の耐熱高分子フィルム積層体の製造方法。
[11] 前記耐熱高分子フィルムがポリアミドイミドフィルムであることを特徴とする[1]~[5]のいずれか一項に記載の耐熱高分子フィルム積層体の製造方法。
[12] 前記耐熱高分子フィルムがフッ素樹脂フィルムであることを特徴とする[1]~[5]のいずれか一項に記載の耐熱高分子フィルム積層体の製造方法。
また、反応性液体を塗布後に、塗布された反応性液体における暗反応により結晶核やゲルなどの異物発生が生じる前に短時間で貼り合わせおよび熱処理を行うため、高品位の積層体を得ることができる。
本発明の耐熱高分子フィルムは、いわゆるエンジニアリングプラスチックのフィルムである。エンジニアリングプラスチックとは、特に強度に優れ、耐熱性のような特定の機能を強化してあるプラスチックの一群を指す分類上の名称である。本発明では100℃以上の環境に長時間曝されても、49MPa以上の引っ張り強度と2.5GPa以上の曲げ弾性率を持った高分子材料であり、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、全芳香族ポリエステル(いわゆる液晶フィルム)などのポリエステルフィルム、ポリテトラフロオロエチレンに代表されるフッ素樹脂のフィルム、芳香族ポリアミドフィルム、ポリアミドイミドフィルム、ポリイミドフィルム、芳香族ポリエーテルフィルム、芳香族ポリケトンフィルムなどを例示できる。
本発明で特に好ましく適用できる耐熱高分子フィルムは、所謂スーパーエンジニアリングプラスチックを用いたフィルムであり、より具体的には、芳香族ポリイミドフィルム、芳香族アミドフィルム、芳香族アミドイミドフィルム、芳香族ベンゾオキサゾールフィルム、芳香族ベンゾチアゾールフィルム、芳香族ベンゾイミダゾールフィルム等が挙げられる。
前記脂環式ジアミン類としては、例えば、1,4-ジアミノシクロヘキサン、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルシクロヘキシルアミン)等が挙げられる。
芳香族ジアミン類以外のジアミン(脂肪族ジアミン類および脂環式ジアミン類)の合計量は、全ジアミン類の20質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。換言すれば、芳香族ジアミン類は全ジアミン類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
脂環式テトラカルボン酸類は、透明性を重視する場合には、例えば、全テトラカルボン酸類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
芳香族テトラカルボン酸類は、耐熱性を重視する場合には、例えば、全テトラカルボン酸類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
フィルムの厚さ斑(%)
=100×(最大フィルム厚-最小フィルム厚)÷平均フィルム厚
本発明において用いられる高分子フィルムには表面処理(表面活性化処理とも云う)を行うことが好ましい。該表面活性化処理によって、高分子フィルム表面は官能基が存在する状態(いわゆる活性化した状態)に改質され、シランカップリング剤との親和性が向上する。
本発明における表面活性化処理とは、乾式、ないし湿式の表面処理である。本発明の乾式処理としては、紫外線、電子線、X線などの活性エネルギー線を表面に照射する処理、コロナ処理、真空プラズマ処理、常圧プラズマ処理、火炎処理、イトロ処理等を用いることが出来る。湿式処理としては、フィルム表面を酸ないしアルカリ溶液に接触させる処理を例示できる。本発明に置いて好ましく用いられる表面活性化処理は、プラズマ処理であり、プラズマ処理と湿式の酸処理の組み合わせである。
本発明における高分子フィルムの表面粗さRaは70nm以下が望ましく、より望ましくは30nm以下、さらに望ましくは1.5nm以下である。Raが70nmよりも大きいと、シランカップリング剤層を介して複数の高分子フィルムを貼り合わせた際、シランカップリング剤塗工ムラやそれによる剥離ムラの原因になる。
本発明における反応性液体とは、アミノ基を有するシランカップリング剤である。
本発明におけるシランカップリング剤とは、分子内に珪素元素を有し、高分子フィルム間を物理的および化学的に介在し、両者間の接着力を高める作用を有する化合物を云う。
本発明では、特に好ましいシランカップリング剤として、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシランなどを例示できる。プロセスで特に高い耐熱性が要求される場合、Siとアミノ基の間を芳香族基でつないだものが望ましい。
・積層させる耐熱高分子フィルムの少なくとも片方の接着面を、あらかじめシランカップリング剤処理しておく方法、
・積層させる耐熱高分子フィルムの接着面にシランカップリング剤を塗布し、耐熱高分子フィルムを重ね合わせた後に、連続的に巻き取る方法を例示することができる。
一般にシランカップリング剤処理とは、対象物表面にシランカップリング剤、ないしシランカップリング剤の縮合物からなる薄膜層を形成する処理を云う。シランカップリング剤処理は、一般に、シランカップリング剤をアルコールなどの溶液とし、対象物に塗布ないし、対象物をシランカップリング剤溶液に浸漬等の手段により塗布し、その後、乾燥、加熱によりシランカップリング剤を縮合させると同時に対象物表面に化学反応的に結合させることによる。シランカップリング剤の塗布方法としては、スピンコート法、スプレーコート法、キャピラリーコート法、ディップ法などが一般的である。シランカップリング剤処理は、必要に応じて高分子フィルムの片面、ないし両面に行われる。
シランカップリング剤を加温する環境は、加圧下、略常圧下、減圧下のいずれでも構わないが、シランカップリング剤の気化を促進する場合には略常圧下ないし減圧下が好ましい。多くのシランカップリング剤は可燃性液体であるため、密閉容器内にて、好ましくは容器内を不活性ガスで置換した後に気化作業を行うことが好ましい。しかし、生産効率向上および生産設備価格低減の観点からは、真空を使わない環境でのシランカップリング剤塗布が望ましい。本発明における真空を使わないシランカップリング剤堆積法とは、堆積時のみに真空を使わないのではなく、通常大気雰囲気で高分子フィルムをセットしてから、キャリアガスに置換してシランカップリング剤を堆積してから、またシランカップリング剤の無い状態に戻す時まで、概略大気圧のままで行うことを指す。
高分子フィルムをシランカップリング剤に暴露する時間は特に制限されないが、60分以内、好ましくは20分以内、さらに好ましくは10分以内である。暴露時間はシランカップリング剤の濃度と、必要なシランカップリング剤塗布量との関係によって定まる工程設計値である。暴露時間の下限は特に限定されないが、工業的に生じる塗布量の斑を低減するためには10秒以上、好ましくは30秒以上程度の時間を設けた方が良い。
シランカップリング剤に暴露された高分子フィルムは、好ましくは、暴露後に、70℃~200℃、さらに好ましくは75℃~150℃に加熱される。かかる加熱によって、高分子フィルム表面の水酸基などと、シランカップリング剤のアルコキシ基やシラザン基が反応し、シランカップリング剤処理が完了する。加熱に要する時間は10秒以上10分程度以内である。温度が高すぎたり、時間が長すぎる場合にはカップリング剤の劣化が生じる場合がある。また短すぎると処理効果が得られない。なお、シランカップリング剤に暴露中の基板温度が既に80℃以上である場合には、事後の加熱を省略することも出来る。
また、気化したシランカップリング剤を含む気体を高分子基板に暴露させる部屋に導入する際に、一旦2つ以上に気体を分離して導入すること、2つ以上の気体を前記部屋内で衝突させることで乱流を生じさせ、シランカップリング剤分布を均一化させる操作なども有効である。
シランカップリング剤を気化させる方式としては、加熱による蒸発気化以外に、シランカップリング剤液中に気体を導入して気泡を発生させる方式もあり得る。これを以後バブリングと呼ぶ。バブリングについては、単純に気体の通る配管をシランカップリング剤液に入れること、配管の先に多孔質体を取り付けて、微細な気泡が数多く出るようにしたもの、超音波を重畳して、気化を促すものも有効である。
シランカップリング剤層積層高分子フィルムのシランカップリング剤層に存在する長径10μm以上の珪素含有異物数は2000個/m2以下、好ましくは1000個/m2以下、更には500個/m2以下とすることが、本発明の好ましい形態である。また前記操作を組み合わせる事により珪素含有異物数は達成可能である。
シランカップリング剤縮合物層の膜厚は、高分子フィルム積層体のフィルム面に垂直方向の断面を研磨した後にミクロトームで超薄切片とし、透過型電子顕微鏡にて断面写真を撮影し、実測値を拡大倍率から逆算して求めた。
本発明では三枚以上の高分子フィルムを準備し、積層の最上面ならびに最下面に位置する高分子フィルム(外層フィルムと呼ぶ)以外の高分子フィルム(内層フィルムと呼ぶ)に、両面シランカップリング剤処理、ないし両面シランカップリング剤塗布を行い、次いで高分子フィルム同士を重ね合わせて複層巻きに巻き取ることにより複層巻きロールを得る方法を好ましい方法として例示できる。
本発明では、前記ロール状に巻き取る際のテンションを任意に調整可能であるが、好ましくは、0.001N/cm~12N/cmの範囲、さらに好ましくは0.5N/cm~12N/cmの範囲、なお好ましくは3~10N/cm とすることが好ましい。巻き取り時のテンションを所定の範囲にコントロールすることで、高分子フィルム間の接着を確実な物とすると同時に、高すぎると発生しやすい皺の発生を抑制することができる。
また、本発明では前記熱処理を行う前の耐熱高分子フィルムに含まれる水分量を、0.5~4.0質量%の範囲とすることが好ましい。フィルムに含まれる水分は加熱の際に揮発して、接着界面にブリスター(気泡とも呼ぶ)を生じさせる可能性があるが、一方で適度な水分の存在は、シランカップリング剤の官能基の反応を促進する。本発明では0.5~4.0質量%という、比較的高い水分量にもかかわらず、積層されるフィルムを複層巻きしたロール状にしてから加熱するため、フィルム間の密着が保たれブリスターの発生を抑制した状態で化学反応を進行させることができるため、強固な接着積層が実現される。
フィルムに含有される水分量は積層前のシーズニングで調整可能である。例えばポリイミドフィルムの場合には0.5~1.5質量%程度、アラミドフィルムの場合には1.5~4.0質量%程度の水分を平衡状態で含んでいる。
高分子フィルムが含む水分量は、シーズニング環境で変化するが、仮に30分以内程度であればシーズニング環境を変化させても急激な水分量の増減は生じない。本発明では好ましくは熱処理を行う少なくとも30分前、さらに好ましくは少なくとも10分前までは、シーズニングした環境に高分子フィルムを保持することで、高分子フィルムに含まれる水分量を管理することが好ましい。すなわち熱処理を行う前とは、少なくとも熱処理の30分前以内、好ましくは少なくとも10分前以内を意味する。
本発明において好ましく用いられるコア材質は、比較的高CTEの金属、例えばアルミニウムないしアルミニウム合金、ABS樹脂、ポリプロピレン、などの高分子素材を用いる事ができる。
10cm×10cmの積層体において直径0.2mm以上のブリスターの個数を計数した。なおブリスターとは貼り合わせられた対象物間に空隙が生じるタイプの欠点であり、ウキ、気泡、バブル等と呼ばれることがある。ブリスターの個数計測は各サンプルにつきn=5となるように測定し、小数点以下を四捨五入した。また、3層積層体については、10cm×10cm面積に存在する直径0.2mm以上の総ブリスター数に0.5をかけることで、2層積層体としてのブリスター数に換算した。
フィルム水分率(水分量)は以下の方法にて求めた。
フィルムから、概ね10cm×10cmの正方形を切り出して資料とし、初期状態(含水状態)のフィルムの質量Wiを測定し、次いで150℃30分の加熱処理後のフィルムの質量Woを測定し、次式より求めた。
水分率(質量%)=100×(Wi-Wo)/Wo
JISK6854-1 の90度剥離法に従って、ポリイミドフィルム積層体のポリイミドフィルム層間の接着強度を求めた。
装置名 ; 島津製作所社製 オートグラフAG-IS
測定温度 ; 室温
剥離速度 ; 50mm/min
雰囲気 ; 大気
測定サンプル幅 ; 1cm
サンプルは一辺が100mmの正方形のポリイミドフィルム積層体の表面に、最表層のポリイミドフィルム厚さの120%に相当する深さまで切り込みを入れ、積層体の端から最表層のポリイミドフィルムを剥がして測定した。
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、5-アミノ-2-(p-アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(DAMBO)223質量部と、N,N-ジメチルアセトアミド4416質量部とを加えて完全に溶解させ、次いで、ピロメリット酸二無水物(PMDA)217質量部とともに、滑剤としてコロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなる分散体(日産化学工業製「スノーテックス(登録商標)DMAC-ST30」)とをシリカ(滑剤)がポリアミド酸溶液中のポリマー固形分総量にて0.12質量%)になるように加え、25℃の反応温度で24時間攪拌して、褐色で粘調なポリアミド酸溶液V1を得た。
上記で得られたポリアミド酸溶液V1を、スリットダイを用いて幅1050mmの長尺ポリエステルフィルム(東洋紡株式会社製「A-4100」)の平滑面(無滑剤面)上に、最終膜厚(イミド化後の膜厚)が38μmとなるように塗布し、105℃にて20分間乾燥した後、ポリエステルフィルムから剥離して、幅920mmの自己支持性のポリアミド酸フィルムを得た。
上記で得られたポリアミド酸フィルムを得た後、ピンテンターによって、1段目150℃×5分、2段目220℃×5分、3段目495℃×10分間)熱処理を施してイミド化させ、両端のピン把持部分をスリットにて落とし、幅850mmの長尺ポリイミドフィルムX(1000m巻き)を得た。
ポリイミドフィルムにシランカップリング剤処理を行う前工程として、ポリイミドフィルムに真空プラズマ処理を行った。真空プラズマ処理は枚葉ガラス用の装置を用い、ガラスのシランカップリング剤処理面にメタルマスクを重ねて装置にセットし、真空チャンバー内を1×10-3Pa以下になるまで真空排気し、真空チャンバー内にアルゴンガスを導入して、放電電力100W、周波数15kHzの条件で20秒間、ガラス板表面にアルゴンガスのプラズマ処理を行った。以下、実施例および比較例ではプラズマ処理後の広幅ポリイミドフィルムをスリットして用いた。
図3に概略を示したシランカップリング剤蒸気を発生させる装置を用い、以下の条件にてポリイミドフィルムにシランカップリング剤を塗布した。
幅220mmのポリイミドフィルムを20mm×250mmのスリットを有する750mm×20mm×10mmのチャンバー内を速度240mm/minで通過させた。
シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBE-903」:3-アミノプロピルトリエトキシシラン)100gを入れた容器を、40℃に温調した後に窒素ガスを20L/minでバブリングの要領で送り、発生したシランカップリング剤蒸気を含んだ窒素ガスを、配管を通じて前期チャンバー内に導入し、ポリイミドフィルムの両面を前記ガスに3分間暴露し、シランカップリング剤塗布ポリイミドフィルムロールを得た。
得られたシランカップリング剤処理基板3枚重ね、さらに離型シート挟み、真空プレスにて、減圧化に100Paの圧力を印加し、仮接着を行った。次いで得られた仮接着積層板をクリーンオーブンに入れ、窒素雰囲気下で100℃にて20時間加熱し、ポリイミドフィルム積層体を得た。得られたポリイミドフィルム積層体の評価結果を表1に示す。
比較例と同じポリイミドフィルムを3ロール準備し、それぞれにプラズマ処理を行い、図1の装置を用い、1ロールを内層フィルム巻きだし部に、他の2ロールをそれぞれ外装フィルム巻きだし部にセットした。セットした時点に於ける各フィルムの含水率はいずれも0.7質量%であった。
それぞれのロールを巻きだして図のように通紙し、内層ポリイミドフィルムの両面に反応性液体であるアミノ基含有シランカップリング剤「KBM-903」の蒸気に暴露し、直後に表裏を外装用の二枚のポリイミドフィルムとサンドイッチする形で重ね、3層の複層フィルムとして、12インチのアルミニウム製コアに巻き取り、複層巻きロールを得た。なおシランカップリング剤蒸気の生成条件は比較例1と同じとした。
得られた複層巻きロールを120℃のイナートオーブンに入れ、8時間熱処理を行い、ポリイミドフィルム積層体を得た。
実施例1において、用いたポリイミドフィルムを、プラズマ処理前に真空中で一度巻きだし巻き取りを行った以外は同様に操作してポリイミドフィルム積層体を得た。この場合、装置にフィルムをセットした時点でのフィルムの含水率は0.2質量%であった。
以下同様に表1に示す条件に従ってポリイミドフィルム積層体を得た。評価結果を表1に示す。
使用フィルム PI-X:ポリイミドフィルム作製例で得られたポリイミドフィルム
使用フィルム PI-K:東レデュポン社製ポリイミドフィルム「カプトン(登録商標)150H」
使用フィルム PI-U:宇部興産社製ポリイミドフィルム「ユーピレックス(登録商標)50S」
積層法 ロール:図1に示した装置を用いた方法
積層法 プレス:比較例1で用いたプレス積層法
である。
12 反応性液体蒸気供給部
13 反応性液体蒸気吐出部
14 反応性液体蒸気の排気口
15 外層フィルム巻出し部
16 加圧部
17 巻取部
18 長尺基材の高さ調整ロール
21 フィルム巻出し部
22 反応性液体供給部
23 反応性液体吐出(スプレー)部
24 ワイヤーバー
25 長尺基材巻出し部
26 加圧部
27 巻取り部
28 長尺基材の高さ調整ロール
31 フィルム巻出し部
32 反応性液体蒸気供給部
33 反応性液体蒸気吐出部
34 反応性液体蒸気排気口
35 フィルム巻取り部
36 合紙供給ロール
41 フィルム重層体
42 巻取部
Claims (4)
- 少なくとも二枚の耐熱高分子フィルムが積層された構造を有する耐熱高分子フィルム積層体の製造方法であって、
(1)前記少なくとも二枚の耐熱高分子フィルムを、アミノ基を有するシランカップリング剤が前記少なくとも二枚耐熱高分子フィルム相互の間に存在する状態でロール状に巻き取り、耐熱高分子フィルムの複層巻きロールを得る工程、
(2)前記複層巻きロールを、40℃~180℃の温度で熱処理することにより、前記少なくとも二枚の耐熱高分子フィルム相互を接着する工程、
を少なくとも有し、
前記熱処理を行う前の耐熱高分子フィルムに含まれる含水率が0.5~4.0質量%の範囲である、耐熱高分子フィルム積層体の製造方法。 - 前記ロール状に巻き取る際にフィルムに掛ける張力を0.001N/cm~12N/cmの範囲とすることを特徴とする請求項1に記載の耐熱高分子フィルム積層体の製造方法。
- 前記耐熱高分子フィルムがあらかじめ酸素存在下にプラズマ処理されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の耐熱高分子フィルム積層体の製造方法。
- 前記耐熱高分子フィルムがポリイミドフィルムであることを特徴とする請求項1~3のいずれか一項に記載の耐熱高分子フィルム積層体の製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019067519A JP7287061B2 (ja) | 2019-03-29 | 2019-03-29 | 耐熱高分子フィルム積層体の製造方法 |
JP2023079592A JP2023091052A (ja) | 2019-03-29 | 2023-05-12 | 耐熱高分子フィルム積層体の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2019067519A JP7287061B2 (ja) | 2019-03-29 | 2019-03-29 | 耐熱高分子フィルム積層体の製造方法 |
Related Child Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2023079592A Division JP2023091052A (ja) | 2019-03-29 | 2023-05-12 | 耐熱高分子フィルム積層体の製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2020163754A JP2020163754A (ja) | 2020-10-08 |
JP7287061B2 true JP7287061B2 (ja) | 2023-06-06 |
Family
ID=72716710
Family Applications (2)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2019067519A Active JP7287061B2 (ja) | 2019-03-29 | 2019-03-29 | 耐熱高分子フィルム積層体の製造方法 |
JP2023079592A Pending JP2023091052A (ja) | 2019-03-29 | 2023-05-12 | 耐熱高分子フィルム積層体の製造方法 |
Family Applications After (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2023079592A Pending JP2023091052A (ja) | 2019-03-29 | 2023-05-12 | 耐熱高分子フィルム積層体の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (2) | JP7287061B2 (ja) |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017188174A1 (ja) | 2016-04-28 | 2017-11-02 | 東洋紡株式会社 | ポリイミドフィルム積層体 |
JP2019018402A (ja) | 2017-07-13 | 2019-02-07 | 日本化薬株式会社 | 積層体の製造方法および接合装置 |
-
2019
- 2019-03-29 JP JP2019067519A patent/JP7287061B2/ja active Active
-
2023
- 2023-05-12 JP JP2023079592A patent/JP2023091052A/ja active Pending
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2017188174A1 (ja) | 2016-04-28 | 2017-11-02 | 東洋紡株式会社 | ポリイミドフィルム積層体 |
JP2019018402A (ja) | 2017-07-13 | 2019-02-07 | 日本化薬株式会社 | 積層体の製造方法および接合装置 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2023091052A (ja) | 2023-06-29 |
JP2020163754A (ja) | 2020-10-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP6721041B2 (ja) | ポリイミドフィルム積層体 | |
JP7192799B2 (ja) | スティフナー | |
JP6688450B2 (ja) | 積層体、電子デバイス、及びフレキシブル電子デバイスの製造方法 | |
JP7013875B2 (ja) | 積層体、積層体の製造方法、フレキシブル電子デバイスの製造方法 | |
JP6210201B2 (ja) | フレキシブル電子デバイスの製造方法 | |
JP6802529B2 (ja) | 積層体およびその製造方法 | |
JP6746920B2 (ja) | フレキシブル電子デバイスの製造方法 | |
JP6638415B2 (ja) | フレキシブル電子デバイスの製造方法 | |
WO2018221374A1 (ja) | ポリイミドフィルムと無機基板の積層体 | |
JP7205687B2 (ja) | 積層体、積層体の製造方法、及び、金属含有層付き耐熱高分子フィルム | |
CN114423612A (zh) | 层叠体制造装置以及层叠体的制造方法 | |
JP6780272B2 (ja) | 高分子複合フィルム | |
JP7287061B2 (ja) | 耐熱高分子フィルム積層体の製造方法 | |
JP7211374B2 (ja) | フィルム積層体製造方法およびフィルム積層体製造装置 | |
JP7400273B2 (ja) | ポリイミドフィルム積層体および、ポリイミドフィルム積層体の製造方法 | |
WO2023002920A1 (ja) | 積層体ロール | |
JP7238235B2 (ja) | ポリイミドフィルム積層体の製造方法 | |
WO2020203983A1 (ja) | 耐熱高分子フィルム積層体および耐熱高分子フィルム積層体の製造方法 | |
JP7452135B2 (ja) | ポリイミドフィルム積層体の製造方法 | |
JP2021145045A (ja) | 品位が良く、耐折り曲げ性に優れたスティフナー | |
JP2020111066A (ja) | 高分子複合フィルム | |
WO2022113415A1 (ja) | 積層体 | |
WO2023032521A1 (ja) | 積層体 | |
KR20230035120A (ko) | 적층체, 적층체의 제조 방법 및 플렉시블 전자 디바이스의 제조 방법 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20220202 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20221117 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20221206 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20230126 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20230404 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20230425 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20230508 |
|
R151 | Written notification of patent or utility model registration |
Ref document number: 7287061 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151 |