JP6210201B2 - フレキシブル電子デバイスの製造方法 - Google Patents

フレキシブル電子デバイスの製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6210201B2
JP6210201B2 JP2013169866A JP2013169866A JP6210201B2 JP 6210201 B2 JP6210201 B2 JP 6210201B2 JP 2013169866 A JP2013169866 A JP 2013169866A JP 2013169866 A JP2013169866 A JP 2013169866A JP 6210201 B2 JP6210201 B2 JP 6210201B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer film
film
electronic device
peeling
inorganic substrate
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2013169866A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2015038001A (ja
Inventor
奥山 哲雄
哲雄 奥山
勝貴 中瀬
勝貴 中瀬
一成 小林
一成 小林
郷司 前田
郷司 前田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyobo Co Ltd
Original Assignee
Toyobo Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyobo Co Ltd filed Critical Toyobo Co Ltd
Priority to JP2013169866A priority Critical patent/JP6210201B2/ja
Publication of JP2015038001A publication Critical patent/JP2015038001A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6210201B2 publication Critical patent/JP6210201B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Folding Of Thin Sheet-Like Materials, Special Discharging Devices, And Others (AREA)

Description

本発明は、フレキシブルな高分子フィルムをリジッドな仮支持用無機基板に仮固定し積層体として、次いで高分子フィルム上に各種電子デバイスを形成した後に、高分子フィルムを電子デバイス部ごと剥離して、フレキシブル電子デバイスを得る製造技術に関する。
情報通信機器(放送機器、移動体無線、携帯通信機器等)、レーダー、高速情報処理装置等における電子部品として、半導体素子、MEMS素子、ディスプレイ素子などの機能素子(デバイス)が用いられるが、これらは従来、ガラス、シリコンウエハ、セラミック基材等の無機基板上にて形成ないし搭載されるのが一般的であった。しかし、近年、電子部品の軽量化、小型・薄型化、フレキシビリティ化が求められるなか、高分子フィルム上に各種機能素子を形成する試みがなされている。
各種機能素子を高分子フィルム表面に形成するにあたっては、高分子フィルムの特性であるフレキシビリティを利用した、いわゆるロール・トゥ・ロールプロセスにて加工することが理想とされる。しかしながら、半導体産業、MEMS産業、ディスプレイ産業等の業界においては、これまでウエハベースまたはガラス基板ベース等のリジッドな平面基板を対象としたプロセス技術が主流であった。そこで、既存インフラを利用して各種機能素子を高分子フィルム表面に形成するために、高分子フィルムを無機物(ガラス板、セラミック板、シリコンウエハ、金属板など)からなるリジッドな支持体に貼り合わせておき、所望の素子を形成した後に支持体から剥離するというプロセスが考案された。
一般に機能素子を形成する工程においては、比較的高温が用いられることが多い。例えば、ポリシリコンや酸化物半導体などの機能素子の形成においては200〜500℃程度の温度域が用いられる。低温ポリシリコン薄膜トランジスターの作製においては脱水素化のために450℃程度の加熱が必要になる場合がある。水素化アモルファスシリコン薄膜の作製においても200〜300℃程度の温度域が必要になる。ここに例示した温度域は、無機材料にとってはさほど高い温度ではないが、高分子フィルムや、一般に高分子フィルムの貼り合わせに利用される接着剤にとっては、相当に高い温度であると云わざるを得ない。先に述べた高分子フィルムを無機基板に貼り合わせ、機能素子形成後に剥離するという手法に於いて、用いられる高分子フィルムや貼り合わせに用いられる接着剤、粘着剤にも十分な耐熱性が求められる所以であるが、現実問題としてかかる高温域にて実用に耐える高分子フィルムは限られており、また、従来の貼り合わせ用接着剤、粘着剤に至っては十分な耐熱性を有したものがないのが現状であった。
高分子フィルムを無機基板に仮貼り付けする耐熱接着手段が得られないため、かかる用途においては、無機基板上に高分子フィルムの溶液、ないし前駆体溶液を塗布して無機基板上で乾燥・硬化させてフィルム化して当該用途に使用する技術が知られている。しかしながら、かかる手段により得られる高分子膜は、脆く裂けやすいため、無機基板から剥離する際に機能素子を破壊してしまう場合が多い。特に大面積のデバイスを剥離することは極めて難度が高く、およそ工業的に成り立つ歩留まりを得ることはできない。
本発明者らは、このような事情に鑑み、機能素子を形成するための高分子フィルムと支持体との積層体として、耐熱性に優れ強靭で薄膜化が可能なポリイミドフィルムを、カップリング剤を介して無機物からなる支持体(無機層)に貼り合わせてなる積層体を提案した(特許文献1〜3)。
高分子フィルムは元来、柔軟な素材であり、多少の伸縮や曲げ伸ばしに支障はない。一方で高分子フィルム上に形成された電子デバイスは、多くの場合、無機物からなる導電体、半導体、を所定のパターンにて組み合わせた微細な構造を有しており、微小な伸縮や曲げ伸ばしといったストレスによって、その構造は破壊され、デバイスとしての特性は損なわれてしまう。かかるストレスは、電子デバイスを高分子フィルムごと、無機基板から剥離するときに生じやすい。
そこで本発明者らは、さらに改良を重ね、カップリング剤処理を行った無機基板に、部分的に不活性化処理を行い、カップリング剤の活性度の高い部分と低い部分を形成し、高分子フィルムを貼り合わせた際に、比較的剥離しにくい良接着部分と、比較的剥離しやすい易剥離部とを作り、易剥離部に電子デバイスを形成し、高分子フィルムの易剥離部/良接着部との境目に切り込みを入れて、易剥離部のみを剥離することにより、電子デバイスに与えるストレスを減じた状態にて剥離可能とする技術を提案した(特許文献4)。
特開2010−283262号公報 特開2011−011455号公報 特開2011−245675号公報 特開2013−010342号公報
上述した特許文献1〜4に記載の積層体によれば、所謂接着剤、粘着剤的な要素を用いることなく、高分子フィルムと無機基板との貼り合わせが可能となり、さらにその積層体は薄膜デバイスを製作するに必要な高温に暴露されても、高分子フィルムの剥離は生じない。従って当該積層体を、従来のガラス板やシリコンウエハなどの無機物の基板上に直接電子デバイスを形成するプロセスに供することが可能となる。
さらに良接着部と易剥離部を設けることにより、高分子フィルム上に形成した電子デバイスを、高分子フィルムごと無機基板から比較的容易に剥離することができる技術の提案により、フレキシブルな電子デバイスの実現可能性は高まったと考えられる。しかしながら、かかる技術の提案においても、必ずしも全ての問題点が解決されたわけではない。
特許文献4に提案された技術において、カップリング剤を塗布した無機基板に不活性化処理を行い、カップリング剤層の活性度を変化させた場合、良接着部分と易剥離部分との接着強度差が生じ、部分的に切り込みを入れて易剥離層のみを剥離することが比較的容易になる。
しかしながら、接着力が比較的小さくなったとしても、硬質な基板から柔軟な高分子フィルムを剥離する場合には、高分子フィルムに変形が生じ、その結果、電子デバイス部も変形するため、常に電子デバイスの破壊が生じる危険が存在して生産性が低下する、という新たな課題を本願発明者らは見出した。以下に述べるように、高分子フィルムの伸張変形と曲げ・圧縮変形は2律背反の関係にあり、両者を同時に低減させつつ高分子フィルムを無機基板から剥離することは非常に困難である。
<高分子フィルムの伸長変形>
剥離の際の剥離角度、すなわち、無機基板と剥離されるフィルムが成す角度は、大きな方が剥離しやすい。剥離の際には、高分子フィルムを引っ張る力により高分子フィルムに張力が加わり、高分子フィルムは微小な伸びを生ずる訳であるが、高分子フィルム上に形成された電子デバイスは、この微小な伸びにより容易に破壊される。一般に剥離角度が90度の場合が、剥離に要する力と、高分子フィルムに加わる引っ張り力が等しくなるため、剥離時の高分子フィルムの伸びを最小に押さえることが出来る。
<高分子フィルムの曲げ・圧縮変形>
一方、剥離角度が90度近傍となると、高分子フィルムには大きな曲げ応力が加わる。特に、電子デバイスが形成された高分子フィルムの表面側には強い曲げと、圧縮応力が加わり、伸長された場合と同様に電子デバイスの破壊が生ずる場合がある。
剥離角度を鋭角化することにより、電子デバイス部の曲げと圧縮応力は小さくなるが、反面、剥離力すなわち、高分子フィルムを引っ張る力の垂直成分は小さくなり、剥離に支障を来すようになる。十分な剥離力(引っ張り力の垂直成分)を得るためには引っ張り力を上げざるを得ず、その場合にはフィルムの伸長力が大となり、電子デバイスの伸びによる破壊が生じ易くなる。
以上、述べてきたように、高分子フィルムを無機板に仮接着してデバイス加工を行い、無機基板から高分子フィルムを剥離することによりフレキシブル電子デバイスを製造する方法においては、無機基板からの高分子フィルムの剥離工程に大きな問題があり、特にその剥離角度と、高分子フィルムに加える引っ張り力によっては、電子デバイスに伸長応力、曲げ応力、圧縮応力が加わるために、良好な剥離性と、フレキシブル電子デバイスの歩留まりとを両立させることが極めて困難であった。
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討した結果、電子デバイスを破壊することなく安全に剥離が可能な剥離方法を見出し、本発明を完成した。より好適には、高分子フィルムと無機基板との接着力が所定の範囲にある場合において、さらに安全に剥離することが可能である。
すなわち本発明は以下の構成からなる。
1.無機基板に高分子フィルムを接着し、次いで高分子フィルム上に電子デバイスを形成した後に該高分子フィルムを該無機基板から剥離するフレキシブル電子デバイスの製造方法において、
該剥離時における該高分子フィルムの引張歪みが0.3%以下であり、該無機基板と該高分子フィルムの剥離角度θが π/6 ラジアン(30度) 以下となる条件下にて剥離するに十分な引っ張り力をフィルムに与えて剥離を行う工程を含むことを特徴とするフレキシブル電子デバイスの製造方法。
2.無機基板に高分子フィルムを接着し、次いで高分子フィルム上に電子デバイスを形成した後に該高分子フィルムを該無機基板から剥離するフレキシブル電子デバイスの製造方法において、
該剥離時における該高分子フィルムの引張歪みが0.3%以下であり、該無機基板と該高分子フィルムの剥離角度θが π/6 ラジアン(30度) 以下となるようにフィルム厚さを選択することを特徴とするフレキシブル電子デバイスの製造方法。
3.前記高分子フィルムの厚さが12μm以上、ヤング率が6GPa以上であり、剥離時における前記無機基板と前記高分子フィルムの90度剥離法による接着強度が0.05N/cm以上、1.0N/cm未満であることを特徴とする1.又は2.に記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
4.前記高分子フィルムの電子デバイス形成面に、滑材粒子による突起が実質的に存在しない事を特徴とする1.〜3.のいずれかに記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
5.前記高分子フィルムの、少なくとも無機基板との接着面側に表面活性化処理がなされていることを特徴とする、1.〜4.のいずれかに記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
6.前記高分子フィルム表面の活性化が少なくとも、プラズマ処理とUV/オゾン処理の2段階以上でのステップで行われることを特徴とする、1.〜5.のいずれかに記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
7.前記高分子フィルムと無機基板を貼り合わせる際の高分子フィルムの吸湿率が、1.8%以下であることを特徴とする、1.〜6.のいずれかに記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
8.前記高分子フィルムの、無機基板との接着面側の滑剤粒子含有率が0.12質量%以下であることを特徴とする、1.〜7.のいずれかに記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
本発明により、高分子フィルムを無機板に仮接着してデバイス加工を行い、無機基板から高分子フィルムを剥離することによりフレキシブル電子デバイスを製造する方法において、電子デバイスを破壊することなく安全に剥離が可能となり、良好な剥離性と、フレキシブル電子デバイスの歩留まり向上を実現することができる。より好適には、高分子フィルムと無機基板との接着力が所定の範囲にある場合において、さらに良好な剥離性を得ることが可能である。
図1は本発明の剥離時の状況を示した模式図である。
本発明は、高分子フィルムのバネ定数に着目して成されたものである。フレキシブル電子デバイスの機械的な破壊を防止するためには、電子デバイス部分の伸長変形を0.3%以下に制御する必要がある。本発明で取り扱う電子デバイスは主として薄膜素子であるため、デバイス部分の変形は、ほぼ基材フィルムに依存すると考えて良い。すなわち、ここでは電子デバイスの伸長変形を高分子フィルムの伸長変形に読み替えることができる。
高分子フィルムのバネ定数kは
k=F/ΔL F:張力、ΔL:変位
フィルムのヤング率Eは
E=f/e f:応力、e:歪み
歪みeは
e=ΔL/L L:長さ
各々代入して力Fを求めると
F=S・E・x/L=S・E・e=W・t・E・e
が得られる。ここに S:断面積=フィルム幅W×フィルム厚さt
剥離角度θが鋭角(90度未満)である場合、フィルム剥離に供される90度方向の分力Fvは
Fv=Fsinθ
である。
すなわち、高分子フィルムの伸びを所定範囲内に収めるためには、高分子フィルムと無機基板との接着力が、この数値より小さいことが必要となることが理解出来る。
本発明では予めフィルムの物性値から、剥離する際に加えることができる張力の限界値を見積もり、さらに隔離角度を極力抑えた状態にて、高分子フィルムを剥離させるに足る剥離力を得ることが出来るように、フィルムの張力と剥離角を調整して高分子フィルム表面に形成された電子デバイスへのストレスを最小限に抑えながら剥離する。
本発明における 引張り歪みとは、無機基板から高分子フィルムを剥離する際に高分子フィルムに加わる引張り張力によって高分子フィルムに生じる歪みを意味する。無機基板から剥離する際の、すでに剥離している高分子フィルムの掴みシロを除いた長さをL、張力による伸びをΔLとするとき、引張り歪みesは、 es=ΔL/L で与えられる。さらに、
フックの法則 F=k・ΔL
k:バネ定数、
F:力
ヤング率 E=f/es
f:応力=F/S
S:フィルム断面積=単位幅W×t t:フィルム厚
を代入すれば、
es=F/S・E=F/(W・t・E) で与えられる。
本発明では、引張歪みは0.3%以下に抑えることが必須であり、好ましくは0.2%以下、さらに好ましくは0.1%以下である。引張歪みがこの範囲を超えると、高分子フィルム上に形成された電子デバイスに不具合が発生する確率が著しく上昇する。
剥離角度θは、好ましくはπ/12(15度)ラジアン、さらに好ましくはπ/24(7.5度)ラジアンである。 剥離角度がこの範囲を超えると、高分子フィルム上に形成された電子デバイスに圧縮歪みによる不具合が発生する確率が著しく上昇する。
本発明において、剥離の際の引っ張り歪みを所定の値以下に抑えることが、フィルムに加える張力と剥離角度にて達成できない場合には、高分子フィルム固有の特性値を制御して引っ張り歪みが所定の値以下になるようにしなければならない。引っ張り歪むに関与する特性値は、ヤング率とフィルムの厚さであるが、ヤング率を変更するには高分子の一次構造とフィルム製法にまで遡る必要があるため、あまり現実的ではない。
本発明においては、まずフィルムに加える張力と剥離角度を調整し、それでは達成できない場合にフィルムの厚さを変えることにより、剥離の際の引っ張り歪みを所定の値以下に抑えることが好ましい。
本発明を構成する、無機基板、高分子フィルム、両者の接着手段、高分子フィルム面への電子デバイスの形成手段、及び高分子フィルムの剥離手段に関して以下説明する。
<無機基板>
本発明においては高分子フィルムの支持体として無機基板を用いる。無機基板とは無機物からなる基板として用いることのできる板状のものであればよく、例えば、ガラス板、セラミック板、半導体ウエハ、金属等を主体としているもの、および、これらガラス板、セラミック板、シリコンウエハ、金属の複合体として、これらを積層したもの、これらが分散されているもの、これらの繊維が含有されているものなどが挙げられる。
前記ガラス板としては、石英ガラス、高ケイ酸ガラス(96%シリカ)、ソーダ石灰ガラス、鉛ガラス、アルミノホウケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス(パイレックス(登録商標))、ホウケイ酸ガラス(無アルカリ)、ホウケイ酸ガラス(マイクロシート)、アルミノケイ酸塩ガラス等が含まれる。これらの中でも、線膨張係数が5ppm/K以下のものが望ましく、市販品であれば、液晶用ガラスであるコーニング社製の「コーニング(登録商標)7059」や「コーニング(登録商標)1737」、「EAGLE」、旭硝子社製の「AN100」、日本電気硝子社製の「OA10」、SCHOTT社製の「AF32」などが望ましい。
前記セラミック板としては、Al2O3、Mullite、AlN、SiC、Si3N4、BN、結晶化ガラス、Cordierite、Spodumene、Pb−BSG+CaZrO3+Al2O3、Crystallized glass+Al2O3、Crystallized Ca−BSG、BSG+Quartz、BSG+Quartz、BSG+Al2O3、Pb+BSG+Al2O3、Glass−ceramic、ゼロデュア材などの基板用セラミックス、TiO2、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、アルミナ、MgO、ステアタイト、BaTi4O9、BaTiO3、BaTi4+CaZrO3、BaSrCaZrTiO3、Ba(TiZr)O3、PMN−PTやPFN−PFWなどのキャパシター材料、PbNb2O6、Pb0.5Be0.5Nb2O6、PbTiO3、BaTiO3、PZT、0.855PZT−95PT−0.5BT、0.873PZT−0.97PT−0.3BT、PLZTなどの圧電材料が含まれる。
前記半導体ウエハとしては、シリコンウエハ、半導体ウエハ、化合物半導体ウエハ等を用いることができ、シリコンウエハとしては単結晶ないし多結晶のシリコンを薄板上に加工した物であり、n型或はp型にドーピングされたシリコンウエハ、イントリンシックシリコンウエハ等の全てが含まれ、また、シリコンウエハの表面に酸化シリコン層や各種薄膜が堆積されたシリコンウエハも含まれ、シリコンウエハ以外にも、ゲルマニウム、シリコン−ゲルマニウム、ガリウム−ヒ素、アルミニウム−ガリウム−インジウム、窒素−リン−ヒ素−アンチモン、SiC、InP(インジウム燐)、InGaAs、GaInNAs、LT、LN、ZnO(酸化亜鉛)やCdTe(カドミウムテルル)、ZnSe(セレン化亜鉛) などの半導体ウエハ、化合物半導体ウエハなどを用いることが出来る。
前記金属としては、W、Mo、Pt、Fe、Ni、Auといった単一元素金属、インコネル、モネル、ニモニック、炭素銅、Fe−Ni系インバー合金、スーパーインバー合金、といった合金等が含まれる。また、これら金属に、他の金属層、セラミック層を付加してなる多層金属板も含まれる。この場合、付加層との全体のCTEが低ければ、主金属層にCu、Alなども用いられる。付加金属層として使用される金属としては、ポリイミドフィルムとの密着性を強固にするもの、拡散がないこと、耐薬品性や耐熱性が良いこと等の特性を有するものであれば限定されるものではないが、クロム、ニッケル、TiN、Mo含有Cuが好適な例として挙げられる。
前記無機基板の平面部分は、充分に平坦である事が望ましい。具体的には、表面荒さRaが10nm以下、好ましくは3nm以下、さらには0.9nm以下であることが好ましい。また、表面粗さのP−V値が50nm以下、より好ましくは20nm以下、さらに好ましくは5nm以下である。これより粗いと、高分子フィルムと無機基板との接着強度が不充分となる場合がある。
前記無機基板の厚さは特に制限されないが、取り扱い性の観点より10mm以下の厚さが好ましく、3mm以下がなお好ましく、1.3mm以下がなお好ましい。厚さの加減については特に制限されないが、0.07mm以上、好ましくは0.15mm以上、なお好ましくは0.3mm以上が好ましく用いられる。
前記無機基板の面積は、積層体やフレキシブル電子デバイスの生産効率・コストの観点より、大面積であることが好ましい。1000cm2以上であることが好ましく、1500cm2であることがより好ましく、2000cm2であることがさらに好ましい。
<高分子フィルム>
本発明における高分子フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、全芳香族ポリエステル、その他の共重合ポリエステル、ポリメチルメタクリレート、その他の共重合アクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリスルフォン、ポリエーテルスルフォン、ポリエーテルケトン、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、芳香族ポリイミド、脂環族ポリイミド、フッ素化ポリイミド、酢酸セルロース、硝酸セルロース、芳香族ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリフェノール、ポリアリレート、ポリフェニレンスルフィド、ポリフェニレンオキシド、ポリスチレン等のフィルムを用いることが出来る。本発明において特に効果が顕著・有用であるものは耐熱性が100℃以上の高分子、所謂エンジニアリングプラスチックのフィルムである。ここに耐熱性とはガラス転移温度ないしは熱変形温度を云う。
本発明の高分子フィルムのヤング率(弾性率)は6GPa以上であることが必須であり、好ましくは7.4GPa以上、さらに好ましくは8.2GPa以上、なおさらには9.1GPa以上であることが好ましい。ここに、ヤング率は引っ張りで求めるヤング率である。ヤング率がこの範囲に満たない場合、無機基板から高分子フィルムを剥離する際に、高分子フィルムの伸びが大となり、電子デバイスが破壊される可能性が高くなる。
本発明において、ヤング率の上限は特に限定されないが、現実的には15GPa程度である。ヤング率が高すぎる素材は、フィルムが脆く、割れやすくなることが多いため、フレキシブル電子デバイス用の基材としては好ましくない。
本発明の高分子フィルムの厚さは4.5μm以上が必須であり、11μm以上がなお好ましく、さらには24μm以上が好ましく、なおさらには45μm以上が好ましい。高分子フィルムの厚さの上限は特に制限されないが、フレキシブル電子デバイスとしての要求より250μm以下であることが好ましく、さらに150μm以下、なおさらには90μm以下が好ましい。
本発明で特に好ましく用いられる高分子フィルムはポリイミドフィルムであり、芳香族ポリイミド、脂環族ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミドなどを用いることが出来る。本発明を特にフレキシブルディスプレイ素子製造に用いる場合には、無色透明性を有するポリイミド系樹脂フィルムを用いることが好ましいが、反射型、ないし自発光型のディスプレイの背面素子を形成する場合においては、特にこの限りではない。
一般にポリイミドフィルムは、溶媒中でジアミン類とテトラカルボン酸類とを反応させて得られるポリアミド酸(ポリイミド前駆体)溶液を、ポリイミドフィルム作製用支持体に塗布、乾燥してグリーンフィルム(「前駆体フィルム」または「ポリアミド酸フィルム」ともいう)となし、さらにポリイミドフィルム作製用支持体上で、あるいは該支持体から剥がした状態でグリーンフィルムを高温熱処理して脱水閉環反応を行わせることによって得られる。
ポリアミド酸を構成するジアミン類としては、特に制限はなく、ポリイミド合成に通常用いられる芳香族ジアミン類、脂肪族ジアミン類、脂環式ジアミン類等を用いることができる。耐熱性の観点からは、芳香族ジアミン類が好ましく、芳香族ジアミン類の中では、ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類がより好ましい。ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類を用いると、高い耐熱性とともに、高弾性率、低熱収縮性、低線膨張係数を発現させることが可能になる。ジアミン類は、単独で用いてもよいし二種以上を併用してもよい。
ベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類としては、特に限定はなく、例えば、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、5−アミノ−2−(m−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、6−アミノ−2−(m−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2,2'−p−フェニレンビス(5−アミノベンゾオキサゾール)、2,2'−p−フェニレンビス(6−アミノベンゾオキサゾール)、1−(5−アミノベンゾオキサゾロ)−4−(6−アミノベンゾオキサゾロ)ベンゼン、2,6−(4,4'−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d']ビスオキサゾール、2,6−(4,4'−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:4,5−d']ビスオキサゾール、2,6−(3,4'−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d']ビスオキサゾール、2,6−(3,4'−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:4,5−d']ビスオキサゾール、2,6−(3,3'−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:5,4−d']ビスオキサゾール、2,6−(3,3'−ジアミノジフェニル)ベンゾ[1,2−d:4,5−d']ビスオキサゾール等が挙げられる。
上述したベンゾオキサゾール構造を有する芳香族ジアミン類以外の芳香族ジアミン類としては、例えば、2,2'−ジメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、1,4−ビス[2−(4−アミノフェニル)−2−プロピル]ベンゼン(ビスアニリン)、1,4−ビス(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)ベンゼン、2,2'−ジトリフルオロメチル−4,4'−ジアミノビフェニル、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4'−ビス(3−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、m−アミノベンジルアミン、p−アミノベンジルアミン、3,3'−ジアミノジフェニルエーテル、3,4'−ジアミノジフェニルエーテル、4,4'−ジアミノジフェニルエーテル、3,3'−ジアミノジフェニルスルフィド、3,3'−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,4'−ジアミノジフェニルスルホキシド、4,4'−ジアミノジフェニルスルホキシド、3,3'−ジアミノジフェニルスルホン、3,4'−ジアミノジフェニルスルホン、4,4'−ジアミノジフェニルスルホン、3,3'−ジアミノベンゾフェノン、3,4'−ジアミノベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、3,3'−ジアミノジフェニルメタン、3,4'−ジアミノジフェニルメタン、4,4'−ジアミノジフェニルメタン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,1−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ブタン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3−メチルフェニル]プロパン、2−[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−2−[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)−3,5−ジメチルフェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、1,4−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4'−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ケトン、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルフィド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]エーテル、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,4−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、4,4'−ビス[(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ベンゼン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、1,3−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、3,4'−ジアミノジフェニルスルフィド、2,2−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)フェニル]−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]メタン、1,1−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、1,2−ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]エタン、ビス[4−(3−アミノフェノキシ)フェニル]スルホキシド、4,4'−ビス[3−(4−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'−ビス[3−(3−アミノフェノキシ)ベンゾイル]ジフェニルエーテル、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾフェノン、4,4'−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ジフェニルスルホン、ビス[4−{4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ}フェニル]スルホン、1,4−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェノキシ−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−トリフルオロメチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−フルオロフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−メチルフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、1,3−ビス[4−(4−アミノ−6−シアノフェノキシ)−α,α−ジメチルベンジル]ベンゼン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジフェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5,5'−ジフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4,5'−ジフェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5−フェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4−フェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−5'−フェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4,4'−ジビフェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5,5'−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4,5'−ジビフェノキシベンゾフェノン、3,3'−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノ−5−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−4−ビフェノキシベンゾフェノン、3,4'−ジアミノ−5'−ビフェノキシベンゾフェノン、1,3−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−フェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(3−アミノ−4−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、1,4−ビス(4−アミノ−5−ビフェノキシベンゾイル)ベンゼン、2,6−ビス[4−(4−アミノ−α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]ベンゾニトリル、および上記芳香族ジアミンの芳香環上の水素原子の一部もしくは全てが、ハロゲン原子、炭素数1〜3のアルキル基またはアルコキシル基、シアノ基、またはアルキル基またはアルコキシル基の水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子で置換された炭素数1〜3のハロゲン化アルキル基またはアルコキシル基で置換された芳香族ジアミン等が挙げられる。
前記脂肪族ジアミン類としては、例えば、1,2−ジアミノエタン、1,4−ジアミノブタン、1,5−ジアミノペンタン、1,6−ジアミノヘキサン、1,8−ジアミノオクタン等が挙げられる。
前記脂環式ジアミン類としては、例えば、1,4−ジアミノシクロヘキサン、4,4'−メチレンビス(2,6−ジメチルシクロヘキシルアミン)等が挙げられる。
芳香族ジアミン類以外のジアミン(脂肪族ジアミン類および脂環式ジアミン類)の合計量は、全ジアミン類の20質量%以下が好ましく、より好ましくは10質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。換言すれば、芳香族ジアミン類は全ジアミン類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
ポリアミド酸を構成するテトラカルボン酸類としては、ポリイミド合成に通常用いられる芳香族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)、脂肪族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)、脂環族テトラカルボン酸類(その酸無水物を含む)を用いることができる。中でも、芳香族テトラカルボン酸無水物類、脂環族テトラカルボン酸無水物類が好ましく、耐熱性の観点からは芳香族テトラカルボン酸無水物類がより好ましく、光透過性の観点からは脂環族テトラカルボン酸類がより好ましい。これらが酸無水物である場合、分子内に無水物構造は1個であってもよいし2個であってもよいが、好ましくは2個の無水物構造を有するもの(二無水物)がよい。テトラカルボン酸類は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
脂環族テトラカルボン酸類としては、例えば、シクロブタンテトラカルボン酸、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸、3,3',4,4'−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸等の脂環族テトラカルボン酸、およびこれらの酸無水物が挙げられる。これらの中でも、2個の無水物構造を有する二無水物(例えば、シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,4,5−シクロヘキサンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ビシクロヘキシルテトラカルボン酸二無水物等)が好適である。なお、脂環族テトラカルボン酸類は単独で用いてもよいし、二種以上を併用してもよい。
脂環式テトラカルボン酸類は、透明性を重視する場合には、例えば、全テトラカルボン酸類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
芳香族テトラカルボン酸類としては、特に限定されないが、ピロメリット酸残基(すなわちピロメリット酸由来の構造を有するもの)であることが好ましく、その酸無水物であることがより好ましい。このような芳香族テトラカルボン酸類としては、例えば、ピロメリット酸二無水物、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、4,4'−オキシジフタル酸二無水物、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、2,2−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン酸無水物等が挙げられる。
芳香族テトラカルボン酸類は、耐熱性を重視する場合には、例えば、全テトラカルボン酸類の80質量%以上が好ましく、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上である。
本発明のポリイミドフィルムは、ガラス転移温度が250℃以上、好ましくは300℃以上、さらに好ましくは350℃以上であり、あるいは500℃以下の領域においてガラス転移点が観測されないことが好ましい。本発明におけるガラス転移温度は、示差熱分析(DSC)により求めるものである。
本発明の高分子フィルムの線膨張係数(CTE)は、好ましくは、−5ppm/K〜+20ppm/Kであり、より好ましくは−5ppm/K〜+15ppm/Kであり、さらに好ましくは1ppm/K〜+10ppm/Kである。CTEが前記範囲であると、一般的な支持体との線膨張係数の差を小さく保つことができ、熱を加えるプロセスに供してもポリイミドフィルムと無機物からなる支持体とが剥がれることを回避できる。
本発明における高分子フィルムの破断強度は、60MPa以上、好ましくは120MP以上、さらに好ましくは240MPa以上である。破断強度の上限に制限は無いが、事実上1000MPa程度未満である。なお、ここで前記高分子フィルムの破断強度とは、高分子フィルムのタテ方向とヨコ方向の平均値をさす。
本発明における高分子フィルムの厚さ斑は、20%以下であることが好ましく、より好ましくは12%以下、さらに好ましくは7%以下、特に好ましくは4%以下である。厚さ斑が20%を超えると、狭小部へ適用し難くなる傾向がある。なお、フィルムの厚さ斑は、例えば接触式の膜厚計にて被測定フィルムから無作為に10点程度の位置を抽出してフィルム厚を測定し、下記式に基づき求めることができる。
フィルムの厚さ斑(%)
=100×(最大フィルム厚−最小フィルム厚)÷平均フィルム厚
本発明における高分子フィルムは、その製造時において幅が300mm以上、長さが10m以上の長尺ポリイミドフィルムとして巻き取られた形態で得られるものが好ましく、巻取りコアに巻き取られたロール状ポリイミドフィルムの形態のものがより好ましい。
高分子フィルムにおいては、ハンドリング性および生産性を確保する為、フィルム中に滑材(粒子)を添加・含有させて、高分子ドフィルム表面に微細な凹凸を付与して滑り性を確保することが好ましい。前記滑材(粒子)とは、好ましくは無機物からなる微粒子であり、金属、金属酸化物、金属窒化物、金属炭素化物、金属酸塩、リン酸塩、炭酸塩、タルク、マイカ、クレイ、その他粘土鉱物、等からなる粒子を用いることができる。好ましくは、酸化珪素、リン酸カルシウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カルシウム、ピロリン酸カルシウム、ヒドロキシアパタイト、炭酸カルシウム、ガラスフィラーなどの金属酸化物、リン酸塩、炭酸塩を用いることができる。滑材は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記滑材(粒子)の体積平均粒子径は、通常0.001〜10μmであり、好ましくは0.03〜2.5μm、より好ましくは0.05〜0.7μm、さらに好ましくは0.05〜0.3μmである。かかる体積平均粒子径は光散乱法で得られる測定値を基準とする。粒子径が下限より小さいと高分子フィルムの工業的生産が困難となり、また上限を超えると表面の凹凸が大きくなりすぎて貼り付け強度が弱くなり、実用上の支障が出る虞がある。
前記滑材の添加量は、高分子フィルム中の高分子成分に対する添加量として、0.02〜5質量%であり、好ましくは0.04〜1質量%、より好ましくは0.08〜0.4質量%である。滑材の添加量が少なすぎると滑材添加の効果が期待し難く、滑り性の確保がそれほどなく高分子フィルム製造に支障をきたす場合があり、多すぎると、フィルムの表面凹凸が大きくなり過ぎて、滑り性の確保が見られても平滑性の低下を招いたり、高分子フィルムの破断強度や破断伸度の低下を招いたり、CTEの上昇を招くなどの課題を招く場合がある。
高分子フィルムに滑材(粒子)を添加・含有させる場合、滑材が均一に分散した単層の高分子フィルムとしてもよいが、例えば、一方の面が滑材を含有させた高分子フィルムで構成され、他方の面が滑材を含有しないか含有していても滑材含有量が少量である高分子フィルムで構成された多層の高分子フィルムとしてもよい。このような多層高分子のフィルムにおいては、一方の層(フィルム)表面に微細な凹凸が付与されて該層(フィルム)で滑り性を確保することができ、良好なハンドリング性や生産性を確保できる。
多層高分子フィルムは、溶融延伸製膜法に製造されるフィルムの場合、例えばまず、滑剤含有しない高分子フィルム原料を用いてフィルム化を行い、その工程途上に置いて少なくともフィルムの片面に、滑剤を含有する樹脂層を塗布することにより得ることが出来る。もちろん、この逆で、滑剤を含有する高分子フィルム原料を用いてフィルム化を行い、その工程途上、ないし、フィルム化が完了した後に、滑剤を含有しない高分子フィルム原料を塗布してフィルムを得ることも出来る。
ポリイミドフィルムのような溶液製膜法を用いて得られる高分子フィルムの場合にも同様で、例えば、ポリアミド酸溶液(ポリイミドの前駆体溶液)として、滑材(好ましくは平均粒子径0.05〜2.5μm程度)をポリアミド酸溶液中のポリマー固形分に対して0.02質量%〜50質量%(好ましくは0.04〜3質量%、より好ましくは0.08〜1。2質量%)含有したポリアミド酸溶液と、滑材を含有しないか又はその含有量が少量(好ましくはポリアミド酸溶液中のポリマー固形分に対して0.02質量%未満、より好ましくは0.01質量%未満)である2種のポリアミド酸溶液を用いて製造することができる。
多層高分子フィルムの多層化(積層)方法は、両層の密着に問題が生じなければ、特に限定されるものではなく、かつ接着剤層などを介することなく密着するものであればよい。
ポリイミドフィルムの場合、例えば、i)一方のポリイミドフィルムを作製後、このポリイミドフィルム上に他方のポリアミド酸溶液を連続的に塗布してイミド化する方法、ii)一方のポリアミド酸溶液を流延しポリアミド酸フィルムを作製後このポリアミド酸フィルム上に他方のポリアミド酸溶液を連続的に塗布した後、イミド化する方法、iii)共押し出しによる方法、iv)滑材を含有しないか又はその含有量が少量であるポリアミド酸溶液で形成したフィルムの上に、滑材を多く含有するポリアミド酸溶液をスプレーコート、Tダイ塗工などで塗布してイミド化する方法などを例示できる。本発明では、上記i)ないし上記ii)の方法を用いることが好ましい。
多層の高分子フィルムにおける各層の厚さの比率は、特に限定されないが、滑材を多く含有する高分子層を(a)層、滑材を含有しないか又はその含有量が少量である高分子層を(b)層とすると、(a)層/(b)層は0.05〜0.95が好ましい。(a)層/(b)層が0.95を超えると(b)層の平滑性が失われがちとなり、一方0.05未満の場合、表面特性の改良効果が不足し易滑性が失われることがある。
<無機基板と高分子フィルムの接着手段>
本発明において無機基板と高分子フィルムとの接着手段としては、粘着剤としては、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂などの公知の接着剤、粘着剤を用いることができる。しかしながら、本発明で好ましい接着手段は、厚さが5μm以下の、極薄い、接着・粘着層による接着手段、ないしは、好ましくは実質的に接着剤・粘着剤を用いない、接着手段が好ましい。より好ましい接着手段としては、後述のシランカップリング剤を用いる方法が挙げられる。
本発明では、無機基板側に、シランカップリング剤処理、UVオゾン処理などの有機化処理、活性化処理を行い、同様に高分子フィルム側にも真空プラズマ処理、大気圧プラズマ処理、コロナ処理、火炎処理、イトロ処理、UVオゾン処理、活性ガスへの暴露処理などの活性化処理を行い、両処理面を密着させて加圧、加熱処理を行う接合方法を用いることができる。
<シランカップリング剤>
本発明におけるシランカップリング剤は、無機基板と高分子フィルムとの間に物理的ないし化学的に介在し、両者間の接着力を高める作用を有する化合物を云う。
シランカップリング剤の好ましい具体例としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(ビニルベンジル)−2−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、トリス−(3−トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、クロロメチルフェネチルトリメトキシシラン、クロロメチルトリメトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザンなどが挙げられる。
n−プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリクロロシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリクロロシラン、デシルトリクロロシラン、ジアセトキシジメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、ジメトキシジフェニルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ドデシルリクロロシラン、ドデシルトリメトキシラン、エチルトリクロロシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、n−オクチルトリクロロシラン、n−オクチルトリエトキシシラン、n−オクチルトリメトキシシラン、トリエトキシエチルシラン、トリエトキシメチルシラン、トリメトキシメチルシラン、トリメトキシフェニルシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ペンチルトリクロロシラン、トリアセトキシメチルシラン、トリクロロヘキシルシラン、トリクロロメチルシラン、トリクロロオクタデシルシラン、トリクロロプロピルシラン、トリクロロテトラデシルシラン、トリメトキシプロピルシラン、アリルトリクロロシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、ジメトキシメチルビニルシラン、トリクロロビニルシラン、トリエトキシビニルシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、トリクロロ−2−シアノエチルシラン、ジエトキシ(3−グリシジルオキシプロピル)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピル(ジメトキシ)メチルシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、などを使用することもできる。
かかるシランカップリング剤の中で、本発明にて好ましく用いられるシランカップリング剤はカップリング剤の、一分子あたりに一個の珪素原子を有する化学構造のシランカップリング剤が好ましい。
本発明では、特に好ましいシランカップリング剤としては、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、2−(3,4−エポキシシクロへキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、アミノフェネチルトリメトキシシラン、アミノフェニルアミノメチルフェネチルトリメトキシシランなどが挙げられる。プロセスで特に高い耐熱性が要求される場合、Siとアミノ基の間を芳香族基でつないだものが望ましい。
なお本発明では必要に応じて、リン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤等を併用しても良い。
<シランカップリング剤の塗布方法>
本発明におけるシランカップリング剤の塗布方法としては、液相での塗布方法、気相での塗布方法を用いることが出来る。
液相での塗布方法としては、シランカップリング剤をアルコールなどの溶媒で希釈した溶液を用いて、スピンコート法、カーテンコート法、ディップコート法、スリットダイコート法、グラビアコート法、バーコート法、コンマコート法、アプリケーター法、スクリーン印刷法、スプレーコート法等の一般的な液体塗布方法を例示することが出来る。液相での塗布方法を用いた場合、塗布後に速やかに乾燥し、さらに100±30℃程度で数十秒〜10分程度の熱処理を行うことが好ましい。熱処理により、シランカップリング剤と被塗布面の表面とが化学反応により結合される。
本発明ではシランカップリング剤を気相を介して塗布することができる。気相法による塗布は、基板をシランカップリング剤の蒸気、すなわち実質的に気体状態のシランカップリング剤に暴露することによる。シランカップリング剤の蒸気は、液体状態のシランカップリング剤を40℃〜シランカップリング剤の沸点程度までの温度に加温することによって得ることが出来る。シランカップリング剤の沸点は、化学構造によって異なるが、概ね100〜250℃の範囲である。ただし200℃以上の加熱は、シランカップリング剤の有機基がわの副反応を招く恐れがあるため好ましくない。
シランカップリング剤を加温する環境は、加圧下、略常圧下、減圧下のいずれでも構わないが、シランカップリング剤の気化を促進する場合には略常圧下ないし減圧下が好ましい。多くのシランカップリング剤は可燃性液体であるため、密閉容器内にて、好ましくは容器内を不活性ガスで置換した後に気化作業を行うことが好ましい。
無機基板をシランカップリング剤に暴露する時間は特に制限されないが、20時間以内、好ましくは60分以内、さらに好ましくは15分以内、なおさらに好ましくは1分以内である。
無機基板をシランカップリング剤に暴露する間の無機基板温度は、シランカップリング剤の種類と、求めるシランカップリング剤層の厚さにより−50℃から200℃の間の適正な温度に制御することが好ましい。
シランカップリング剤に暴露された無機基板は、好ましくは、暴露後に、70℃〜200℃、さらに好ましくは75℃〜150℃に加熱される。かかる加熱によって、無機基板表面の水酸基などと、シランカップリング剤のアルコキシ基やシラザン基が反応し、シランカップリング剤処理が完了する。加熱に要する時間は10秒以上10分程度以内である。温度が高すぎたり、時間が長すぎる場合にはカップリング剤の劣化が生じる場合がある。また短すぎると処理効果が得られない。なお、シランカップリング剤に暴露中の基板温度が既に80℃以上である場合には、事後の加熱を省略することも出来る。
本発明では、無機基板のシランカップリング剤塗布面を下向きに保持してシランカップリング剤蒸気に暴露することが好ましい。液相の塗布方法では、必然的に塗布中および塗布前後に無機基板の塗布面が上を向くため、作業環境下の浮遊異物などが無機基板表面に沈着する可能性を否定できない。しかしながら気相による塗布方法では無機基板を下向きに保持することが出来るため。環境中の異物付着を大幅に減ずることが可能となる。
なおシランカップリング剤処理前の無機基板表面を短波長UV/オゾン照射などの手段により清浄化すること、ないしは液体洗浄剤で清浄化すること等は、有意義な好ましい操作である。
カップリング剤の塗布量、厚さについては理論上は1分子層あれば事足り、機械設計的には無視できるレベルの厚さで十分である。一般的には400nm未満(0.4μm未満)であり、200nm以下(0.2μm以下)が好ましく、さらに実用上は100nm以下(0.1μm以下)が好ましく、より好ましくは50nm以下、さらに好ましくは10nm以下である。ただし計算上5nm以下の領域になるとカップリング剤が均一な塗膜としてではなく、クラスター状に存在するケースが想定され、余り好ましくはない。カップリング剤層の膜厚は、エリプソメトリー法または塗布時のカップリング剤溶液の濃度と塗布量から計算して求めることができる。
本発明では、シランカップリング剤処理を行った無機基板、ないしは未処理の無機基板、さらには、超純水などによる洗浄処理が行われた無機基板に、UVオゾン処理を行うことにより活性化した無機基板を用いることができる。本発明におけるUVオゾン処理とは、酸素存在下において、波長が270nm以下、好ましくは210nm以下、なお好ましくは180nm以下の波長の紫外線を比較的近距離で照射する処理を意味する。短波長の紫外線は、雰囲気中の酸素をオゾン化し、紫外線自身は減衰するため、光源と被処理物との距離を離すと効果が得られない。本発明では光源と被処理物との間隔は30mm以下、好ましくは16mm以下、なお好ましくは8mm以下である。
本発明では、シランカップリング剤処理のみでは、無機基板と高分子フィルムの接着力が強くなり過ぎ、剥離に支障をきたす場合がある。シランカップリング剤の塗布量を減じることにより調整は可能であるが、処理斑が出やすいため、本発明ではシランカップリング剤処理の後に、UVオゾン処理などを行い、シランカップリング剤により導入される官能基の減活性化を行う手法を採用することが好ましい。
<高分子フィルムの表面活性化処理>
本発明において用いられる高分子フィルムには表面活性化処理を行うことが好ましい。該表面活性化処理によって、高分子フィルム表面は官能基が存在する状態(いわゆる活性化した状態)に改質され、無機基板に対する接着性が向上する。
本発明における表面活性化処理とは、乾式、ないし湿式の表面処理である。本発明の乾式処理としては、紫外線、電子線、X線などの活性エネルギー線を表面に照射する処理、コロナ処理、真空プラズマ処理、常圧プラズマ処理、火炎処理、イトロ処理等を用いることが出来る。湿式処理としては、フィルム表面を酸ないしアルカリ溶液に接触させる処理を例示できる。本発明に置いて好ましく用いられる表面活性化処理は、プラズマ処理であり、プラズマ処理と湿式の酸処理の組み合わせ、UVオゾン処理である。
プラズマ処理は、特に限定されるものではないが、真空中でのRFプラズマ処理、マイクロ波プラズマ処理、マイクロ波ECRプラズマ処理、大気圧プラズマ処理、コロナ処理などがあり、フッ素を含むガス処理、イオン源を使ったイオン打ち込み処理、PBII法を使った処理、熱プラズマに暴露する火炎処理、イトロ処理なども含める。これらの中でも真空中でのRFプラズマ処理、マイクロ波プラズマ処理、大気圧プラズマ処理が好ましい。
プラズマ処理の適当な条件としては、酸素プラズマ、CF4、C2F6などフッ素を含むプラズマなど化学的にエッチング効果が高いことが知られるプラズマ、或はArプラズマのように物理的なエネルギーを高分子表面に与えて物理的にエッチングする効果の高いプラズマによる処理が望ましい。また、CO2、H2、N2などプラズマ、およびこれらの混合気体や、さらに水蒸気を付加することも好ましい。短時間での処理を目指す場合、プラズマのエネルギー密度が高く、プラズマ中のイオンの持つ運動エネルギーが高いもの、活性種の数密度が高いプラズマが望ましい。この観点からは、マイクロ波プラズマ処理、マイクロ波ECRプラズマ処理、高いエネルギーのイオンを打ち込みやすいイオン源によるプラズマ照射、PBII法なども望ましい。
本発明においては複数の表面活性化処理を組み合わせて行っても良い。本発明で好ましい組み合わせは、真空プラズマ処理とUVオゾン処理の組み合わせである。
かかる表面活性化処理は高分子表面を清浄化し、さらに活性な官能基を生成する。生成した官能基は、カップリング剤層と水素結合ないし化学反応により結びつき、高分子フィルム層とカップリング剤層とを接着することが可能となる。
本発明では、プラズマ処理のみでは、無機基板と高分子フィルムの接着力が強くなり過ぎ、剥離に支障をきたす場合がある。プラズマ処理における処理時間の短縮、投入パワーの低減などにより調整は可能であるが、処理斑が出やすいため、本発明ではプラズマ処理の後に、UVオゾン処理などを行いプラズマ処理効果の変成化を行う手法を採用することが好ましい。
プラズマ処理においては高分子フィルム表面をエッチングする効果も得ることが出来る。特に滑剤粒子を比較的多く含む高分子フィルムにおいては、滑剤による突起が、フィルムと無機基板との接着を阻害する場合がある。この場合、プラズマ処理によって高分子フィルム表面を薄くエッチングし、滑剤粒子の一部を露出せしめた上で、フ酸にて処理を行えば、フィルム表面近傍の滑剤粒子を除去することが可能である。
表面活性化処理は、高分子フィルムの片面のみに施してもよいし、両面に施してもよい。片面にプラズマ処理を行う場合、並行平板型電極でのプラズマ処理で片側の電極上に高分子フィルムを接して置くことにより、高分子フィルムの電極と接していない側の面のみにプラズマ処理を施すことができる。また2枚の電極間の空間に電気的に浮かせる状態で高分子フィルムを置くようにすれば、両面にプラズマ処理が行える。また、高分子フィルムの片面に保護フィルムを貼った状態でプラズマ処理を行うことで片面処理が可能となる。なお保護フィルムとしては粘着剤付のPETフィルム、PENフィルム、オレフィンフィルム、ポリイミドフィルムなどが使用できる。
本発明では、活性化処理を行う際に、一部をマスキングしたり、あるいは活性化処理の強弱、処理時間などを部分的に変化させ、比較的接着力の強い部分と比較的接着力が弱い部分を意図的に作ることができる。
<フィルムラミネート方法>
本発明では、活性化された無機基板表面と、活性化された高分子フィルム表面を重ね合わせ、加熱・加圧することにより接着を行うことができる。
加圧・加熱処理は、例えば、大気圧雰囲気下あるいは真空中で、プレス、ラミネート、ロールラミネート等を、加熱しながら行えばよい。またフレキシブルなバッグに入れた状態で加圧加熱する方法も応用できる。生産性の向上や、高い生産性によりもたらされる低加工コスト化の観点からは、大気雰囲気下でのプレスまたはロールラミネートが好ましく、特にロールを用いて行う方法(ロールラミネート等)が好ましい。
加圧加熱処理の際の圧力としては、1MPa〜20MPaが好ましく、さらに好ましくは3MPa〜10MPaである。圧力が高すぎると、支持体を破損するおそれがあり、圧力が低すぎると、密着しない部分が生じ、接着が不充分になる場合がある。
加圧加熱処理の際の温度としては、用いる高分子フィルムの耐熱温度を超えない範囲にて行う。非熱可塑性のポリイミドフィルムの場合には150℃〜400℃、さらに好ましくは250℃〜350℃での処理が好ましい。
また加圧加熱処理は、上述のように大気圧雰囲気中で行うこともできるが、全面の安定した接着強度を得る為には、真空下で行うことが好ましい。このとき真空度は、通常の油回転ポンプによる真空度で充分であり、10Torr以下程度あれば充分である。
加圧加熱処理に使用することができる装置としては、真空中でのプレスを行うには、例えば井元製作所製の「11FD」等を使用でき、真空中でのロール式のフィルムラミネーターあるいは真空にした後に薄いゴム膜によりガラス全面に一度に圧力を加えるフィルムラミネーター等の真空ラミネートを行うには、例えば名機製作所製の「MVLP」等を使用できる。
前記加圧加熱処理は加圧プロセスと加熱プロセスとに分離して行うことが可能である。この場合、まず、比較的低温(例えば120℃未満、より好ましくは95℃以下の温度)で高分子フィルムと無機基板とを加圧(好ましくは0.2〜50MPa程度)して両者の密着確保し、その後、低圧(好ましくは0.2MPa未満、より好ましくは0.1MPa以下)もしくは常圧にて比較的高温(例えば120℃以上、より好ましくは120〜250℃、さらに好ましくは150〜230℃)で加熱することにより、密着界面の化学反応が促進されて高分子フィルムと仮支持用無機基板とを積層できる。
なお、本発明において高分子フィルムと無機基板とを貼り合わせる際の高分子フィルムの吸湿率を1.8%以下に制御することが好ましい。かかる高分子フィルムの吸湿率は、高分子フィルムと無機基板を圧着する直前状態での吸湿率を意味する。高分子フィルムの吸湿率は、高分子フィルムが放置された室内の気温と湿度に依存する。また吸湿・放湿には時間を要するため、当該測定は、一定条件下に十分に長い時間、少なくとも24時間程度以上放置された後に評価することが肝要である。
かかる吸湿された水分は、その量が多すぎると、後工程で熱が加わった際に、ブリスターの原因となる。一方で量が少なすぎると、無機基板との接着性が不安定になる場合がある。すなわち、高分子フィルムと無機基板との各々の表面における化学的反応は、高分子フィルムに内包された水分によって影響されるのである。高分子フィルムの吸湿率は1.5%如何好ましく1.2%以下が好ましい。また吸湿率の下限は0.1%、好ましくは0.2%、さらに好ましくは0.4%である。
<高分子フィルム上へのフレキシブル電子デバイスの製造手段>
本発明の積層体を用いると、既存の電子デバイス製造用の設備、プロセスを用いて積層体の高分子フィルム上に電子デバイスを形成し、積層体から高分子フィルムごと剥離することで、フレキシブルな電子デバイスを作製することができる。
本発明における電子デバイスとは、電気配線を担う配線基板、トランジスタ、ダイオードなどの能動素子や、抵抗、キャパシタ、インダクタなどの受動デバイスを含む電子回路、他、圧力、温度、光、湿度などをセンシングするセンサー素子、発光素子、液晶表示、電気泳動表示、自発光表示などの画像表示素子、無線、有線による通信素子、演算素子、記憶素子、MEMS素子、太陽電池、薄膜トランジスタなどを云う。
<無機基板からの高分子フィルムの剥離手段>
高分子フィルムを支持体から剥離する際の「きっかけ」を作る方法としては、ピンセットなどで端から捲る方法、デバイス付きの高分子フィルムの切り込み部分の1辺に粘着テープを貼着させた後にそのテープ部分から捲る方法、デバイス付きの高分子フィルムの切り込み部分の1辺を真空吸着した後にその部分から捲る方法、あるいは予め高分子フィルムの一部を無機板に接着しない、ないし高分子フィルムの一部を無機基板からはみ出させることにより掴みシロを得る方法等を採用できる。
本発明では、高分子フィルムの剥離用「きっかけ」をクランプなどで挟み、無機基板に対して、剥離角度θにて高分子フィルムを引っ張ることによって剥離を行う。
無機基板と高分子フィルムの90度剥離における接着強度は、事前に、同条件でラミ試験を行い、さらに電子デバイス形成工程そのもの、ないし、等価な熱履歴の後に、測定されたものである。本発明は電子デバイス形成後の剥離を課題にしているため、かかる接着強度は、電子デバイス形成工程を実際に通すか、ないしは擬似的に等価なプロセスを通過させた後の接着強度を基準にしなければならない。本発明で高分子フィルムとしてポリイミドフィルムを用いる場合には、アモルフェスシリコンの脱水素工程と多結晶化工程を想定した420℃30分間の加熱処理後の接着力を採用する。また高分子フィルとして熱可塑性のフィルム、たとえばPETフィルム、PENフィルムなどを用いた場合には、半導体としてアモルファスシリコンないしは有機半導体を用いることを想定し、140℃30分間の熱処理後の接着力を採用する。
本発明では、かかる熱処理後の90度剥離の接着強度が1.0N/cm未満、好ましくは0.6N/cm未満、なお好ましくは0.4N/cm未満、さらに好ましくは0.3N/cmである。また接着力の下限は0.005N/cm、好ましくは0.01N/cmである。接着力の下限がこの範囲より小さいと、電子デバイス形成時に剥離してしまう可能性が高くなる。また接着力の上限値がこの範囲を超えると、フィルムを剥離する際に大きな張力が必要となり、フィルム伸長度が0.3%を越え、電子デバイスが破壊される恐れがでてくる。 本発明ではフィルム伸長度が0.3%以下となる条件で剥離することが必須であり、好ましくは0.2%以下、さらに好ましくは0.1%以下で剥離出来ることが好ましい。
また、剥離角度をあげて、フィルム伸長度を下げようとすると、電子デバイス部の曲げが大きくなり、電子デバイスの破損の可能性が高くなる。
本発明では剥離角度をπ/6ラジアン(30度)以下とすることが必須であり、π/12ラジアン(15度)以下とすることがより好ましく、さらにπ/24ラジアン(7.5度)以下とすることがなおさらに好ましい。剥離角度の下限が0の場合は自然剥離に相当し、この場合には電子デバイス加工工程中でブリスター発生やフィルムの剥離などのトラブルが出やすくなる。本発明の剥離角度の下限は1.0度、更に好ましくは2.0度程度である。
本発明では、フィルム引っ張り力Fを、予めフィルムのバネ常数から求められる伸長度が0.3%以下となる引っ張り力以下に制御し、なおかつ、剥離角度θを、
Fsinθ<Fv Fv:予め求めた90度剥離での無機基板/高分子フィルム接着強度
ただし、 θ≦(1/6)π、
好ましくは θ≦(1/8)π、なお好ましくは θ≦(1/12)π、
なおさらに好ましくは θ≦(1/16)π
となるように制御しながら剥離する。
また、剥離する部分に予め別の補強基材を貼りつけて、補強基材ごと剥離する方法も有用である。剥離するフレキシブル電子デバイスが、表示デバイスのバックプレーンである場合、あらかじめ表示デバイスのフロントプレーンを貼りつけて、無機基板上で一体化した後に両者を同時に剥がし、フレキシブルな表示デバイスを得ることも可能である。
本発明において、無機基板側、高分子フィルム側、あるいはそれら両方のいずれかに部分的に接着力が異なる領域を形成する処理(パターン化処理)が成された場合、パターン化処理により高分子フィルムと無機基板との接着力が低くなる領域(易剥離部と呼ぶ)に電子デバイスを形成し、次いで、その領域の外周部に切り込みを入れ、高分子フィルムの電子デバイスが形成されたエリアを無機基板から剥離する事によりフレキシブル電子デバイスを得ることが出来る。該方法により、高分子フィルムと無機基板の剥離がより容易になる。
積層体の易剥離部の外周に沿って高分子フィルムに切り込みを入れる方法としては、刃物などの切削具によって高分子フィルムを切断する方法や、レーザーと積層体を相対的にスキャンさせることにより高分子フィルムを切断する方法、ウォータージェットと積層体を相対的にスキャンさせることにより高分子フィルムを切断する方法、半導体チップのダイシング装置により若干ガラス層まで切り込みつつ高分子フィルムを切断する方法などを用いることができる。また、これらの方法の組み合わせや、切削具に超音波を重畳させたり、往復動作や上下動作などを付け加えて切削性能を向上させる等の手法を適宜採用することもできる。
積層体の易剥離部外周の高分子フィルムに切り込みを入れるにあたり、切り込みを入れる位置は、少なくとも易剥離部の一部を含んでいればよく、基本的には所定のパターンに従って切断すれば良いが、誤差の吸収、生産性の観点などより、適宜判断すればよい。
積層体から高分子フィルムを剥離する方法としては、無機基板側から強い光を照射し、無機基板と高分子フィルム間の接着部位を熱分解、ないし光分解させて剥離する方法、あらかじめ接着強度を弱めておき、高分子フィルムの弾性強度限界値未満の力で高分子フィルムを引きはがす方法、加熱水、加熱蒸気などに晒し、無機基板と高分子フィルム界面の結合強度を弱めて剥離させる方法などを例示することが出来る。
以下、実施例及び比較例を示して本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。なお、以下の実施例における物性の評価方法は下記の通りである。
<ポリアミド酸溶液の還元粘度>
ポリマー濃度が0.2g/dlとなるようにN,N−ジメチルアセトアミドに溶解した溶液についてウベローデ型の粘度管を用いて30℃で測定した。
<高分子フィルムの厚さ>
高分子フィルムの厚さは、マイクロメーター(ファインリューフ社製「ミリトロン1245D」)を用いて測定した。
<高分子フィルムの引張弾性率、引張強度および引張破断伸度>
測定対象とする高分子フィルムから、流れ方向(MD方向)及び幅方向(TD方向)がそれぞれ100mm×10mmである短冊状の試験片を切り出し、引張試験機(島津製作所社製「オートグラフ(登録商標);機種名AG−5000A」)を用い、引張速度50mm/分、チャック間距離40mmの条件で、MD方向、TD方向それぞれについて、引張弾性率、引張強度および引張破断伸度を測定した。
<高分子フィルムの線膨張係数(CTE)>
測定対象とする高分子フィルムの流れ方向(MD方向)および幅方向(TD方向)について、下記条件にて伸縮率を測定し、15℃の間隔(30℃〜45℃、45℃〜60℃、…)での伸縮率/温度を測定し、この測定を300℃まで行って、MD方向およびTD方向で測定した全測定値の平均値を線膨張係数(CTE)として算出した。
機器名 ; MACサイエンス社製「TMA4000S」
試料長さ ; 20mm
試料幅 ; 2mm
昇温開始温度 ; 25℃
昇温終了温度 ; 400℃
昇温速度 ; 5℃/分
雰囲気 ; アルゴン
初荷重 ; 34.5g/mm2
<高分子フィルムの評価:滑り性>
高分子フィルム2枚を、異なる面同士で重ね合わせ(すなわち、同じ面同士ではなく、フィルムロールとして巻いた場合の巻き外面と巻き内面とを重ね合わせ)、重ねたポリイミドフィルムを親指と人差し指で挟み、軽く摺り合わせたときに、高分子フィルムと高分子フィルムが滑る場合を「○」又は「良好」、滑らない場合を「×」又は「不良」と評価した。なお、巻き外面同士あるいは巻き内面同士では滑らない場合もあるが、これは評価項目とはしない。
<接着強度 90度剥離法>
仮支持用無機基板に、所定の方法でシランカップリング剤を塗布し、次いで所定のプロセスを経て高分子フィルムをラミネートし、仮支持用無機版と高分子フィルムとの接着強度を、JIS C6481に記載の90度剥離法に従い、下記条件で測定した。なお、高分子フィルムのラミネート時にはフィルムのサイズを110mm×200mmとし、片側にポリイミドフィルムの未接着部分を設け、この部分を"つかみしろ"に用い、測定サンプルのフィルム部分にナイフで切り込みを入れ、幅が10mmとなるようにして測定した。

装置名 : 島津製作所社製「オートグラフ(登録商標)AG−IS」
測定温度 : 室温
剥離速度 : 50mm/分
雰囲気 : 大気
測定サンプル幅 : 10mm
<フィルムのバネ定数>
フィルムのバネ定数「k」は、フィルムの長さを単位長さ「L」、幅を単位長さ「W」とし、フィルムのヤング率E、フィルムの厚さtから下記の式にて求めた。
k=S・E/L
ここに、Sはフィルムの引っ張り方向から見たフィルムの断面積である。
S=W・t
<フィルム限界時張力>
フィルムの伸び率が0.003(0.3%)となる張力をフィルム限界時張力とした。フィルム限界時張力Flimtはフックの法則から求めた。すなわち
Flimt=S・E・(ΔL/L)
ここに、Sはフィルムの引っ張り方向から見た断面積(単位長さ×フィルム厚さ)、Eはヤング率、Lはフィルムの引っ張り長さ、ΔLはフィルムの伸び、フィルム伸び率は(ΔL/L)である。
<フィルム吸湿率>
300mm×300mmにカットした高分子フィルムを、常圧にて乾燥窒素を満たした容量30リットルも真空乾燥機内にて150℃180分間加熱し、乾燥機から取り出して3分間以内に測定したフィルム質量を(Wd)を測定し、次いで同フィルム試料を25℃60%RHの環境に24時間放置した後の質量(Ws)を測定し、下記の計算式により算出した。
フィルム吸湿率=100×(Ws−Wd)/Wd [%]
<ポリイミドフィルムの製造>
〔製造例1〕
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、3,3',4,4'−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)398質量部と、パラフェニレンジアミン(PDA)147質量部とを、4600質量部のN、N−ジメチルアセトアミドに溶解させて加え、滑材としてコロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなる分散体(日産化学工業製「スノーテックス(登録商標)DMAC−ST30」)をシリカ(滑材)がポリアミド酸溶液中のポリマー固形分総量に対して0.08質量%になるように加え、25℃の反応温度で24時間攪拌して、表1に示す還元粘度を有する褐色で粘調なポリアミド酸溶液V1を得た。
(ポリイミドフィルムの作製)
上記で得られたポリアミド酸溶液V1を、スリットダイを用いて幅1050mmの長尺ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「A−4100」)の平滑面(無滑材面)上に、最終膜厚(イミド化後の膜厚)が25μmとなるように塗布し、105℃にて20分間乾燥した後、ポリエステルフィルムから剥離して、幅920mmの自己支持性のポリアミド酸フィルムを得た。
次いで得られた自己支持性ポリアミド酸フィルムを、搬送ロールの速度差により、長さ方向に1.1倍に引き延ばし、次いで、ピンテンターによって幅方向に1.05倍引き延ばし、150℃〜420℃の温度領域で段階的に昇温させて(1段目180℃×5分、2段目270℃×10分、3段目420℃×5分間)熱処理を施してイミド化させ、両端のピン把持部分をスリットにて落とし、幅850mmの長尺ポリイミドフィルムF1(1000m巻き)を得た。得られたフィルムF1の特性を表1に示す。
〔製造例2〕
(ポリアミド酸溶液の調製)
窒素導入管、温度計、攪拌棒を備えた反応容器内を窒素置換した後、5−アミノ−2−(p−アミノフェニル)ベンゾオキサゾール(DAMBO)223質量部と、N,N−ジメチルアセトアミド4416質量部とを加えて完全に溶解させ、次いで、ピロメリット酸二無水物(PMDA)217質量部とともに、滑材としてコロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなる分散体(日産化学工業製「スノーテックス(登録商標)DMAC−ST30」)とをシリカ(滑材)がポリアミド酸溶液中のポリマー固形分総量にて0.09質量%になるように加え、25℃の反応温度で36時間攪拌して、表1に示す還元粘度を有する褐色で粘調なポリアミド酸溶液V2を得た。
(ポリイミドフィルムの作製)
ポリアミド酸溶液V1に代えて、上記で得られたポリアミド酸溶液V2を用い、スリットダイを用いて幅1050mmの長尺ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「A−4100」)の平滑面(無滑材面)上に、最終膜厚(イミド化後の膜厚)が25μmとなるように塗布し、105℃にて20分間乾燥した後、ポリエステルフィルムから剥離して、ピンテンターによって、1段目150℃×4分、2段目220℃×4分、3段目495℃×8分間)熱処理を施してイミド化させ、両端のピン把持部分をスリットにて落とし、幅850mmの長尺ポリイミドフィルムF2(1000m巻き)を得た。得られたフィルムF2の特性を表1に示す。
〔製造例3〕
(ポリアミド酸溶液の調製)
製造例2において、コロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなる分散体(日産化学工業製「スノーテックス(登録商標)DMAC−ST30」)を添加しなかった以外は同様に操作し、ポリアミド酸溶液V3を得た。
(ポリイミドフィルムの作製)
上記で得られたポリアミド酸溶液V3をコンマコーターを用いて幅1050mmの長尺ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「A−4100」)の平滑面(無滑材面)上に、最終膜厚(イミド化後の膜厚)が5μm相当となるように塗布し、次いでポリアミド酸溶液V2をスリットダイを用いて最終膜厚がV3含めて38μmとなるように塗布し、105℃にて25分間乾燥した後、ポリエステルフィルムから剥離して、幅920mmの自己支持性のポリアミド酸フィルムを得た。
次いで、得られた自己支持性ポリアミド酸フィルムをピンテンターによって、1段目180℃×5分、2段目220℃×5分、3段目495℃×10分間)熱処理を施してイミド化させ、両端のピン把持部分をスリットにて落とし、幅850mmの長尺ポリイミドフィルムF3(1000m巻き)を得た。得られたフィルムF3の特性を表1に示す。なお滑り性は、ポリアミド酸V2を用いた側が○、V3側が×である。
〔製造例4〕
(ポリアミド酸溶液の調製)
製造例2において、コロイダルシリカをジメチルアセトアミドに分散してなる分散体(日産化学工業製「スノーテックス(登録商標)DMAC−ST30」)をポリアミド酸溶液中のポリマー固形分総量にて0.35質量%になるように加えた以外は同様に操作し、ポリアミド酸溶液V4を得た。
(ポリイミドフィルムの作製)
上記で得られたポリアミド酸溶液V4を、コンマコーターを用いて幅700mmの長尺ポリエステルフィルム(東洋紡績株式会社製「A−4100」)の平滑面(無滑材面)上に、最終膜厚(イミド化後の膜厚)が52μmとなるように塗布し、90にて20分間、105℃にて20分間乾燥した後、ポリエステルフィルムから剥離して、幅580mmの自己支持性のポリアミド酸フィルムを得た。
次いで、得られた自己支持性ポリアミド酸フィルムをピンテンターによって、150℃〜495℃の温度領域で段階的に昇温させて(1段目150℃×7分、2段目220℃×7分、3段目495℃×15分間)熱処理を施してイミド化させ、両端のピン把持部分をスリットにて落とし、幅480mmの長尺ポリイミドフィルムF4(200m巻き)を得た。得られたフィルムF4の特性を表1に示す。
<表面活性化処理フィルムの製造>
製造例1で得られたポリイミドフィルムF1の両面に真空プラズマ処理を行い、さらに両面にUVオゾン処理を施して、表面活性化処理フィルムP1を得た。得られたフィルムP1の特性を表2に示す。
真空プラズマ処理は、平行平板型の電極を使ったRIEモード、RFプラズマによる処理であり、真空チャンバー内に窒素ガスを導入し、13.54MHzの高周波電力を導入するようにし、処理時間は3分間とした。
UVオゾン処理には、 ランテクニカルサービス株式会社製のUV/O3洗浄改質装置(「SKB1102N−01」)とUVランプ(「SE−1103G05」)とを用い、該UVランプから20mm程度離れた距離から5分間行った。照射時にはUV/O3洗浄改質装置内には特別な気体は入れず、UV照射は、大気雰囲気、室温で行った。なお、UVランプは185nm(不活性化処理を促進するオゾンを発生させうる短波長)と254nmの波長の輝線を出しており、このとき照度は、照度計「ORC社製UV−M03AUV(254nmの波長で測定)」にて20mW/cm2であった。
ポリイミドフィルムF1に代えてポリイミドフィルムF2〜F4を用いたこと以外は同様にして、表面活性化処理ポリイミドフィルムP2〜P4を得た。
ポリイミドフィルムF1に代えて、50μm厚のポリエチレンテレフタレートフィルムA4100(東洋紡株式会社製)を用いて、表面活性化処理フィルムP5を得た。
同様にポリイミドフィルムF1に代えて、100μm厚のポリエチレンテレフタレートA5100(東洋紡株式会社製)を用いて、表面活性化処理フィルムP6を得た。
同様にポリイミドフィルムF1に代えて、12.5μm厚のポリイミドフィルム「カプトンEN」(東レ・デュポン株式会社製)を用いて、表面活性化処理フィルムP7を得た。
さらにポリイミドフィルムとUVオゾン処理時間を変えて、表面活性化処理フィルムP8〜10を得た。
得られた表面活性化処理フィルムの特性を表2に示す。
<無機基板への表面活性化処理>
気相塗布によるシランカップリング剤処理とUVオゾン処理にて無機基板の表面活性化処理を行った。
<シランカップリング剤塗布>
ホットプレートを有する真空チャンバーを用い、以下の条件にて無機基板へのシランカップリング剤塗布を行った。シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製「KBM−903」:3−アミノプロピルトリメトキシシラン)100質量部をシャーレに満たし、ホットプレートの上に静置した。このときホットプレート温度は25℃である。次いでシランカップリング剤の液面から垂直方向に300mm離れた箇所に、白板ガラスを水平に保持し、真空チャンバーを閉じ、大気圧にて酸素濃度が0.1%以下となるまで窒素ガスを導入し、次いで窒素ガスを止め、チャンバー内を3×10-4Paまで減圧し、ホットプレート温度を120℃まで昇温し、10分間保持してシランカップリング剤蒸気への暴露を行い、その後、ホットプレート温度を下げ、同時に真空チャンバー内にクリーンな窒素ガスを静かに導入して大気圧まで戻し、ガラス板を取り出し、クリーン環境下にて100℃のホットプレートに、シランカップリング剤塗布面を上にして乗せ、約3分間熱処理を行い、表面活性化処理としてシランカップリング剤を塗布した基板G1を得た。
<UVオゾン処理>
得られたシランカップリング剤塗布基板G1に、ランテクニカルサービス株式会社製のUV/O3洗浄改質装置(「SKB1102N−01」)とUVランプ(「SE−1103G05」)とを用い、該UVランプから20mm程度離れた距離からUV照射を5分間行い、表面活性化基板G2を得た。なおUV照射時にはUV/O3洗浄改質装置内には特別な気体は入れず、UV照射は、大気雰囲気、室温で行った。なお、UVランプは185nm(不活性化処理を促進するオゾンを発生させうる短波長)と254nmの波長の輝線を出しており、このとき照度は、照度計「ORC社製UV−M03AUV(254nmの波長で測定)」にて20mW/cm2であった。
<積層体の製作と初期特性の評価>
表面活性化フィルムP1と表面活性化基板G1の、活性面同士を合わせるように重ね、クライムプロダクツ社製のラミネータSE650nHを用いて、無機基板側温度100℃、ラミネート時のロール圧力5kg/cm2、ロール速度5mm/秒にて仮ラミネートした。仮ラミネート後の高分子フィルムはフィルムの自重では剥がれないが、フィルム端部を引っ掻くと簡単に剥がれる程度の接着性であった。その後、得られた仮ラミネート基板をクリーンオーブンに入れ、200℃にて30分間加熱した後、室温まで放冷して、本発明の積層体L1を得た。得られた積層体の外観品位の観察、およびフィルムと基板との90度剥離接着強度、さらにオーブンで420℃30分処理後の90度剥離接着強度等について評価した。結果を表3.に示す。なお、積層体の製作は、温度25℃±2℃、湿度55%±3%に保たれている実験室で行い、表面活性化フィルムは当該実験室に24時間以上放置した後に積層を行った。
以下、同様に表面活性化フィルムと表面活性化無機基板を替えて積層体を製作し、評価した。また、フィルムF3を用いている場合には、表裏を各々別に操作した。なお、PETフィルムについてはクリーンオーブンでの熱処理を140℃30分とし、420℃30分熱処理後の接着強度については測定していない。結果を表3.に示す。 なお表中「F3−V2」はフィルムF3のV2樹脂側を無機基板と接する側に用いたことを、「F3−V3」はフィルムF3のV3樹脂側を無機基板と接する側に用いたことを示す。
<剥離実験例>
得られた積層体L1を用い、剥離実験を行った。結果を表4、表5に示す。積層体L1のバネ常数は2.45×107 [N/m]、限界歪みを0.003とした場合の限界時張力は735[N/m]である。限界歪みを0.001とした場合の限界時張力は245[N/m]である。
まず、剥離実験例T1〜T6では、剥離角度を30度 (π/6rad)固定として、フィルム張力を200N/mから300N/mまで変化させている。この場合、張力200N/mでは剥離できていない。これは張力の垂直方向の成分が接着強度に満たないためであると考えられる。
剥離実験例T7〜T11では、張力を、270N/mに固定し、剥離角を変化させている。この場合、剥離角が低い場合には、張力の垂直成分が接着強度に満たないため剥離できない。剥離角24度で剥離可能であるが、剥離角が30度を超えると、フィルム上に形成された薄膜電子デバイスのストレスが大きくなり、不具合が生じやすくなる。
剥離実験例T12〜T17では張力を上げて、剥離角を変えた場合を示す。T18〜T22には張力と角度をそれぞれ変えた場合について示す。T20が最もバランスの取れた剥離条件であると云える。
<実施例>
<ポリシリコンTFT>
再び、積層体L1およびL2〜L4、L7〜L14、L17〜L20を用い、以下の工程により、高分子フィルム上にボトムゲート型の薄膜トランジスタアレイを作製した。
ガスバリア層の形成 高分子フィルム側全面に反応性スパッタリング法を用いてSiONからなる250nmのガスバリア膜を形成した。次いで、プラズマCVDによりアモルファスシリコン層を形成し、420℃30分の脱水素アニール処理を行い、その後にエキシマレーザーによるアニールによりアモルファスシリコン層を多結晶化した。
次に、チャンネル部、ソース・ドレイン部となる多結晶シリコン膜をエッチング加工し、ゲート絶縁膜を形成した後、ゲートメタルとしてアルミニウム合金の製膜と加工を行い、その後ゲートメタル膜の側面部分を陽極酸化し、オフセット部を形成し、その後、ソース・ドレイン部に不純物(P、B)ドーピングを行う。その後に層間絶縁膜を形成し、コンタクトホールを開けてソース・ドレインメタル形成を行い、640×480ピクセルを有するポリシリコン薄膜トランジスタアレイを形成した。
<有機半導体TFT>
積層体L5、L6、L15、L16を用い、以下の工程により、高分子フィルム上にボトムゲート型の薄膜トランジスタアレイを作製した。ガスバリア層の形成 高分子フィルム側全面に反応性スパッタリング法を用いてSiONからなる250nmのガスバリア膜を形成した。次いで、厚さ80nmのアルミニウム層をスパッタリング法にて形成し、フォトリソグラフ法によりゲート配線とゲート電極を形成した。次いで、スリットダイコーターを用いてエポキシ樹脂系のゲート絶縁膜(厚さ80nm)を形成した。さらにスパッタリング法にて5nmのクロム層、40nmの金層を形成し、フォトリソグラフ法にてソース電極とドレイン電極を形成した。次いでスリットダイコーターを用いて、絶縁層兼ダム層となるエポキシ樹脂を塗布し、UV−YAGレーザーによるアブレーションにて、ソース電極とドレイン電極を含む半導体層用の厚さ250nmのダム層を直径100μmの円形となるように形成し、また上部電極との接続点となるビア形成も同時に行った。次いで、インクジェット印刷法により有機半導体であるポリチオフェンをダム内に塗出、ビア部には銀ペーストを埋め込み、さらに上部電極としてアルミ配線を形成し640×480ピクセルを有する薄膜トランジスタアレイを形成した。
得られた薄膜トランジスタアレイをバックプレーンとし、フロントプレーンに電気泳動表示媒体を重ねることにより、ディスプレイ素子とし、トランジスタの収率と表示性能を、各ピクセルのON/OFFにて判定した。結果、いずれも表示性能は良好であった。
次いで、フロントプレーンを薄膜トランジスタアレイに重ねた後に、表6.表7.に示す条件にて基板と薄膜トランジスタアレイが形成された高分子フィルム層を剥離し、剥離後の各ピクセルの動作状態を評価した。剥離性、伸び(歪)、剥離角、TFT動作評価の結果を以下に示す段階で表示した。
(1)剥離性
剥離可 「○」
剥離不可 「×」
(2)伸び(歪)
伸び(歪)≦0.1% 「◎」
0.1%<伸び(歪)≦0.2% 「○」
0.2%<伸び(歪)≦0.3% 「△」
0.3%<伸び(歪) 「×」
(3)剥離角
剥離角θ≦7.5度 「◎」
7.5度<剥離角θ≦15度 「○」
15度<剥離角θ≦30度 「△」
30度<剥離角θ 「×」
(4)TFT動作評価
剥離前と変化がない物 「○」
剥離前に比較し、不良セルが1〜5個増加した物 「△」
剥離前に比較し、不良セルが6個以上増加した物 「×」
本発明のフレキシブル電子デバイスの製造方法によれば、仮支持用の無機基板に仮固定した高分子フィルム上に電子デバイスを作成した後に無機基板から電子デバイス付き高分子フィルムを、電子デバイスにストレスを与えることなく剥離することが可能であり、特にフレキシブルな電子デバイスを製造する上で産業界への寄与は極めて大である。
1 高分子フィルム
2 ガラス基板

Claims (7)

  1. 無機基板に高分子フィルムを接着し、次いで高分子フィルム上に電子デバイスを形成した後に該高分子フィルムを該無機基板から剥離するフレキシブル電子デバイスの製造方法において、
    該剥離時における該高分子フィルムの引張歪みが0.3%以下であり、該無機基板と該高分子フィルムの剥離角度θが π/6 ラジアン(30度)以下となる条件下にて剥離するに十分な引っ張り力をフィルムに与えて剥離を行う工程を含むことを特徴とするフレキシブル電子デバイスの製造方法。
  2. 前記高分子フィルムの厚さが12μm以上、ヤング率が6GPa以上であり、剥離時における前記無機基板と前記高分子フィルムの90度剥離法による接着強度が0.05N/cm以上、1.0N/cm未満であることを特徴とする請求項1に記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
  3. 前記高分子フィルムの電子デバイス形成面に、滑材粒子による突起が存在しない事を特徴とする請求項1または請求項2に記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
  4. 前記高分子フィルムの、少なくとも無機基板との接着面側に表面活性化処理がなされていることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
  5. 前記高分子フィルム表面の活性化が少なくとも、プラズマ処理とUV/オゾン処理の2段階以上でのステップで行われることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
  6. 前記高分子フィルムと無機基板を貼り合わせる際の高分子フィルムの吸湿率が、1.8%以下であることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
  7. 前記高分子フィルムの、無機基板との接着面側の滑剤粒子含有率が0.12質量%以下であることを特徴とする、請求項1〜のいずれかに記載のフレキシブル電子デバイスの製造方法。
JP2013169866A 2013-08-19 2013-08-19 フレキシブル電子デバイスの製造方法 Active JP6210201B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013169866A JP6210201B2 (ja) 2013-08-19 2013-08-19 フレキシブル電子デバイスの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2013169866A JP6210201B2 (ja) 2013-08-19 2013-08-19 フレキシブル電子デバイスの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2015038001A JP2015038001A (ja) 2015-02-26
JP6210201B2 true JP6210201B2 (ja) 2017-10-11

Family

ID=52631387

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2013169866A Active JP6210201B2 (ja) 2013-08-19 2013-08-19 フレキシブル電子デバイスの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6210201B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20180233385A1 (en) * 2015-08-11 2018-08-16 Tokyo Ohka Kogyo Co., Ltd. Support body separating device and support body separating method
US10625443B2 (en) 2015-12-29 2020-04-21 Hon Hai Precision Industry Co., Ltd. Method and device for releasing resin film, method for manufacturing electronic device, and method for manufacturing organic EL display device
US10847758B2 (en) * 2015-12-29 2020-11-24 Hon Hai Precision Industry Co., Ltd. Method for releasing resin film and method for manufacturing organic EL display device
JP6715060B2 (ja) * 2016-04-01 2020-07-01 株式会社きもと 透明導電膜用基板、タッチパネル用基板、及び透明導電膜用の透明粘着基材
WO2018139427A1 (ja) * 2017-01-25 2018-08-02 東洋紡株式会社 高分子フィルム積層基板およびフレキシブル電子デバイスの製造方法
JP6897337B2 (ja) * 2017-06-01 2021-06-30 東洋紡株式会社 湿式処理装置、シランカップリング剤処理方法および表面処理試料の製造方法
CN111477584A (zh) * 2020-04-15 2020-07-31 深圳市华星光电半导体显示技术有限公司 柔性显示面板及其制备方法
EP4331816A1 (en) 2021-04-28 2024-03-06 Toyobo Co., Ltd. Polymer film releasing method, method for manufacturing electronic device, and releasing device

Family Cites Families (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5592811B2 (ja) * 2011-01-27 2014-09-17 日東電工株式会社 半導体装置の製造方法
JP5862238B2 (ja) * 2011-05-27 2016-02-16 東洋紡株式会社 積層体とその製造方法及びそれを用いたデバイス構造体の製造方法
JP2013123833A (ja) * 2011-12-14 2013-06-24 Nippon Zeon Co Ltd 無機ガラスと樹脂フィルム積層体、およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2015038001A (ja) 2015-02-26

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6210201B2 (ja) フレキシブル電子デバイスの製造方法
JP6447135B2 (ja) 積層体、積層体の製造方法、およびフレキシブル電子デバイスの製造方法
JP6733544B2 (ja) シランカップリング剤層積層ポリイミドフィルム
JP6181984B2 (ja) 高分子フィルム積層基板
JP7013875B2 (ja) 積層体、積層体の製造方法、フレキシブル電子デバイスの製造方法
JP7167693B2 (ja) 積層フィルム、積層体、及び、積層体の製造方法
JPWO2016031746A6 (ja) シランカップリング剤層積層高分子フィルム
JP6332617B2 (ja) ポリイミド前駆体フィルム層/無機基板積層体、およびその製造方法、ポリイミドフィルム層/無機基板積層体の製造方法、およびフレキシブル電子デバイスの製造方法
JP6372352B2 (ja) フレキシブル電子デバイスの製造方法
JP6688450B2 (ja) 積層体、電子デバイス、及びフレキシブル電子デバイスの製造方法
JP2015178237A (ja) 積層無機基板、積層体、積層体の製造方法、およびフレキシブル電子デバイスの製造方法
KR102234132B1 (ko) 폴리이미드 필름과 무기 기판의 적층체
JP6638415B2 (ja) フレキシブル電子デバイスの製造方法
JP6848496B2 (ja) 積層体
JP6746920B2 (ja) フレキシブル電子デバイスの製造方法
KR102476038B1 (ko) 고분자 필름 적층 기판 및 플렉시블 전자 디바이스의 제조 방법
JP6878870B2 (ja) 積層体、積層体の製造方法およびフレキシブルデバイスの製造方法
JP7205687B2 (ja) 積層体、積層体の製造方法、及び、金属含有層付き耐熱高分子フィルム
JP2018099800A (ja) 積層体、積層体の製造方法およびフレキシブルデバイスの製造方法
JP7116889B2 (ja) 耐熱高分子フィルム、表面処理された耐熱高分子フィルムの製造方法、及び、耐熱高分子フィルムロール
JP2018099801A (ja) 積層体、積層体の製造方法およびフレキシブルデバイスの製造方法
JP2018094790A (ja) 積層体、積層体の製造方法およびフレキシブルデバイスの製造方法
WO2022113415A1 (ja) 積層体
JP2019119802A (ja) 剥離層形成剤および、フレキシブル電子デバイスの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20160801

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20170529

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20170608

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20170728

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20170816

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20170829

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 6210201

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350