JPWO2017010000A1 - アルコール飲料のアルコール感改善剤 - Google Patents

アルコール飲料のアルコール感改善剤 Download PDF

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Abstract

アルコール飲料に感じられるエタノール由来の不快なアルコール臭、苦味、辛味、刺激などのネガティブな香味を簡便かつ効果的に抑制、低減してアルコール感を改善できるアルコール感改善剤を提供することである。1,3−ジヒドロキシアセトンを含有する、場合により酢酸及び/又はアセトインをさらに含有することを特徴とするアルコール感改善剤である。

Description

本発明は、1,3−ジヒドロキシアセトン、あるいは1,3−ジヒドロキシアセトンと酢酸及び/又はアセトインを有効成分として含有するアルコール飲料のアルコール感改善剤、アルコール感が改善されたアルコール飲料、並びにアルコール飲料のアルコール感改善方法に関する。
本発明によれば、アルコール飲料のエタノールに由来する不快なアルコール臭、苦味、辛味、刺激が低減され、アルコール感が改善されたアルコール飲料を提供できる。
アルコール飲料は、適正飲酒による食欲増進、ストレスの解消、コミュニケーションの円滑化、さらには疲労回復、睡眠の導入といった様々な健康効果をもたらすため、古来より世界中の多くの人々に飲用されている。
しかしながら、アルコール飲料に含まれるエタノール(エチルアルコールともいう)は、独特のアルコール臭(消毒臭)、苦み、辛味、刺激といった不快な香味を有し、そうした香味はアルコール濃度が高いほど、影響が大きくなる。
そこで、ウイスキー、ブランデー、焼酎などのアルコール濃度が高い酒類は、独特の風味付けや、長期間の貯蔵・熟成を行うことによってこれら不快な香味を改善している。例えば、市販のウイスキー、ブランデーは琥珀色で芳醇な香気を有しているが、これは蒸留直後の無色透明な新酒を樽で貯蔵・熟成する間に、新酒に含まれる各種アルコールや脂肪酸といった成分が化学反応を起こして脂肪酸エステルなどの甘く華やかな香気成分に変化するからであると言われている。
近年、消費者のニーズ、嗜好性の多様化に伴い、例えばアルコール濃度を高めたものや、糖質(カロリー)、プリン体などを低減させたビール風味飲料や蒸留酒(焼酎、ウォッカ、ジンなど)を別の飲料(例えば果実風味の炭酸水)で割ったチューハイなど、様々な種類のアルコール飲料が開発されている。例えば、ビール風味のビールテイスト飲料では、従来のビールでも発泡酒でもない「第3のビール」、「第4のビール」と呼ばれる新ジャンルのビール風味の発泡性アルコール飲料が登場している。
これらの飲料では、アルコール濃度の影響や、プリン体、糖質(カロリー)などの低減によってコクやボリューム感が低下し、その結果、エタノール由来のアルコール臭、苦み、辛味、刺激といった不快感が相対的に強く感じられ、嗜好性が低下してしまうという問題がある。
また、アルコール飲料を短期間で効率的に製造するため、例えば、酵母によるアルコール発酵や熟成工程を省略し、麦汁、麦芽エキス、糖類、香料等を配合した生地に蒸留酒を添加して製造するいわゆる非発酵製法を用いたビール風味アルコール飲料や、熟成工程を経ないまたは短縮した梅酒風味飲料が開発されている。
これらの製造方法で作られたアルコール飲料は、特別な醸造、熟成設備を必要としないため、低コストで大量に、しかも消費者ニーズに対応した製品を短期間に製造して市場に送り出せる利点がある。その一方、コクや熟成感、まろやかさを向上させる熟成工程が省略されているため、エタノール由来のネガティブな香味が目立つという問題点も有している。
アルコール飲料特有のエタノール不快臭のマスキング方法としては、植物の一種であるパラディチョムパプリカの果実を添加する方法(特許文献1)、甜菜に含まれる成分であるベタインを添加する方法(特許文献2)、酵母抽出物を添加する方法(特許文献3)、内分岐環状構造部分と外分岐環状構造部分とを有する、重合度が50以上であるグルカンを添加する方法(特許文献4)などが提案されている。しかし、これらの先行技術文献の技術は、呈味物質を添加するため、アルコール飲料の香味に悪影響を与えてしまうという問題点がある。
また、ビールテイスト(ビール風味)飲料の香味改善方法としては、苦味物質及び麦芽エキスを含有させ、さらに、当該飲料にリナロール及び/又はダイアセチルの含有量を特定範囲に調整する方法(特許文献5)、麦芽由来成分を含み、プリン体の含有量が1.1mg/100ml以下であるビールテイスト飲料に、塩類(特許文献6)や、アセスルファムカリウム(特許文献7)を添加する方法が開示されている。しかし、これらの先行技術文献の技術は、特定の風味設計のビールテイスト飲料には有効であるが、幅広い風味設計には対応できないという問題点があり、そのため新たな製品開発において自由度が制限されている。
特開平10−313849号公報 特開2003−204779号公報 特開2002−253199号公報 特開2003−289824号公報 特開2014−128251号公報 特許第5661969号公報 特許第5657830号公報 特開平5−316959号公報
本発明は、アルコール飲料特有の不快臭のマスキング方法やビールテイスト(ビール風味)飲料の香味改善方法に関する従来技術における種々の問題点を解決するものであり、アルコール飲料に感じられるエタノール由来の不快なアルコール臭(消毒臭)、苦味、辛味、刺激などのネガティブな香味を、簡便かつ効果的に改善できるアルコール感改善剤を提供することにある。
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、1,3−ジヒドロキシアセトンをアルコール飲料に添加することで、飲料の製品設計(原材料や製法など)を大きく変えることなく、簡便にエタノール由来の不快なアルコール臭、苦味、辛味、刺激を抑制又は低減してアルコール感を改善できることを見出し、本発明の開発に至った。
なお、1,3−ジヒドロキシアセトンについては、各種飲料や食品に添加することにより、その酸味、塩味を改質し、コクを付与し、かつ香気の香り立ちを良くする飲食品の香味改善方法が開示されている(特許文献8)。しかしながら、本発明において見出されたアルコール飲料のアルコール感を改善する効果に関しては、全く知られていなかった。
すなわち、本発明は、
(A)1,3−ジヒドロキシアセトンを含有することを特徴とする、アルコール飲料のアルコール感改善剤;
(B)1,3−ジヒドロキシアセトンを0.01ppm〜10質量%含有することを特徴とする、(A)のアルコール感改善剤;
(C)酢酸及び/又はアセトインをさらに含有することを特徴とする、(A)又は(B)のアルコール感改善剤;
(D)酢酸及び/又はアセトインをさらに、それぞれ0.01ppm〜10質量%含有することを特徴とする、(C)のアルコール感改善剤;
(E)アルコール飲料がビールテイストのアルコール飲料であることを特徴とする、(A)〜(D)のアルコール感改善剤;
(F)1,3−ジヒドロキシアセトンを0.00001〜100ppm含有することを特徴とする、アルコール感が改善されたアルコール飲料;
(G)酢酸及び/又はアセトインをさらに、それぞれ0.00001〜100ppm含有することを特徴とする、(F)のアルコール飲料;
(H)アルコール飲料がビールテイストのアルコール飲料であることを特徴とする、(F)又は(G)のアルコール飲料;
(I)アルコール飲料に、1,3−ジヒドロキシアセトンを添加することを特徴とする、アルコール飲料のアルコール感改善方法;
(J)1,3−ジヒドロキシアセトンを0.00001〜100ppm添加することを特徴とする、(I)のアルコール感改善方法;
(K)酢酸及び/又はアセトインをさらに添加することを特徴とする、(I)又は(J)のアルコール感改善方法;
(L)酢酸及び/又はアセトインをさらに、それぞれ0.00001〜100ppm添加することを特徴とする、(K)のアルコール感改善方法;及び、
(M)アルコール飲料がビールテイストのアルコール飲料であることを特徴とする、(I)〜(L)のアルコール感改善方法;
である。
本発明のアルコール感改善剤をアルコール飲料に添加することで、簡便かつ効果的にアルコール飲料のネガティブな香味、すなわちエタノール由来の不快なアルコール臭(消毒臭)、苦味、辛味、刺激を改善することができる。
しかも、本発明のアルコール感改善剤は極微量の添加量で効果的に不快な香味を低減、抑制できるので、1,3−ジヒドロキシアセトン自体の匂いや味が製品の風味に悪影響を及ぼすことがない。そのため、既存製品のアルコール飲料であってもその製品設計(原材料や成分等)を大きく変えることなく使用できる点で汎用性があり、アルコール飲料業界にとって有用性が大きい。
〔1〕アルコール感改善剤
本発明のアルコール感改善剤が改善する対象であるアルコール感とは、アルコール飲料を摂取する際に感じられるアルコール臭(消毒臭)、苦味、辛味、刺激といった、アルコール飲料の主要成分であるエタノールに由来するネガティブで不快感をもたらすような香気や呈味である。
本発明のアルコール感改善剤に含まれる必須有効成分は、1,3−ジヒドロキシアセトン(別名:1,3−ジヒドロキシ−2−プロパノン)である。1,3−ジヒドロキシアセトン(1,3-Dihydroxyacetone)は、水、エタノールに可溶、エーテルに不溶、融点75〜80℃の結晶性粉末であり、特有の匂いと甘味を有する。一般に、サトウダイコンやサトウキビを精製するか、グリセリンの酸化によって製造されており、市販品を市場で容易に入手可能である。
1,3−ジヒドロキシアセトンはその特異な香気のため、これまで飲食品分野への適用範囲は限定されていた。すなわち、前記特許文献8において、飲食品に対してコク味を付与する機能、酸味を梅干し様の鋭い酸味に変化させる機能、塩味をまろやかな甘味のある塩味にする機能及び香気の立ちが良くなる機能を付与することが提案された程度に過ぎず、今回本発明者が見出した不快な臭いや味のマスキング作用、特にエタノールの不快なアルコール臭、苦味、辛味、舌を刺すような刺激、喉が熱くなるような焼き付き感を抑制し低減する作用に関しては全く知られていなかった。
アルコール感改善剤に含まれる1,3−ジヒドロキシアセトンの量は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.01ppm〜10質量%、より好ましくは0.1ppm〜1質量%、さらに好ましくは1〜1000ppmである。
本発明のアルコール感改善剤は、必須有効成分である1,3−ジヒドロキシアセトンに加え、さらに付加的有効成分として酢酸及び/又はアセトイン(すなわち、酢酸のみ、アセトインのみ、酢酸とアセトインの両方の三通り)を併用することができる。
アセトイン(別名:3−ヒドロキシ−2−ブタノン)は、融点15℃の淡黄色液体で、水、エタノール、グリセリン、プロピレングリコール、エーテル等に易溶の化合物であり、ジアセチルに酵母菌を働かせるか、ジアセチルの部分還元によって製造される。
アセトイン(Acetoin)は、甘みのあるクリームバターを思わせる香気を有しており、食品用香料として使用されている。
アセトインと酢酸のいずれも市販品を容易に入手可能である。
アルコール感改善剤に含まれる酢酸及び/又はアセトインの量は、特に限定されるものではない。しかしながら、アルコール感改善に対する寄与と飲料自体の香味に対する負の影響に鑑みると、酢酸とアセトインそれぞれについて、好ましくは0.01ppm〜10質量%、より好ましくは0.1ppm〜1質量%、さらに好ましくは1〜1000ppmである。なお、酢酸とアセトインを併用する場合も左記と同様の量である。
本発明のアルコール感改善剤は、上記の有効成分である1,3−ジヒドロキシアセトン、酢酸及びアセトインの他に、必要に応じて付加的成分を適宜配合することができる。
付加的成分として、植物エキスや、天然香料、合成香料、酸化防止剤等が例示され、それぞれ本発明の効果を損なわない量でアルコール感改善剤に配合することができる。
アルコール感改善剤の製造において、1,3−ジヒドロキシアセトン、酢酸及びアセトインのいずれも、特定のメーカーや製品に関係なく、市販されていて容易に入手できる製品を購入して使用することができるが、純度が高い試薬を使用することが好ましい。
アルコール感改善剤は、1,3−ジヒドロキシアセトンのみ、あるいは1,3−ジヒドロキシアセトンと酢酸及び/又はアセトインの混合物、さらに必要に応じて香料等の前記付加的成分を含めた混合物に各種の溶媒を添加し、均一に混和することによって製造することができる。
アルコール感改善剤の製造に使用される溶媒は、特に限定されるものではないが、水、エタノール、プロパノール、ブタノールなどの脂肪族アルコール、グリセリン、プロピレングリコールなどの多価アルコールなどを単独又は混合して使用することができる。これらの中でも、水、エタノール又は水とエタノールの混合溶媒が好ましい。
1,3−ジヒドロキシアセトン、酢酸及びアセトインのいずれも含水エタノールに対する溶解性が高いので、アルコール水溶液を用いれば、特に順番に関係なく全成分をまとめて溶媒に溶かすことができる。従って、効率的かつ簡便な製造が可能となる点で、エタノール水溶液(エタノール濃度30〜99質量%)が溶媒として最適である。
必須有効成分の1,3−ジヒドロキシアセトン、付加的有効成分の酢酸又はアセトイン、並びに前記付加的成分を溶媒に溶解させた液剤形態のアルコール感改善剤は、本発明の好適な形態の一例である。
さらに、アルコール感改善剤は、液剤以外の剤形、例えば凍結乾燥又は加熱乾燥などの処理を行って固形剤として使用することも可能である。
また、液剤形態のアルコール感改善剤にデキストリン等の賦形剤を添加し噴霧乾燥により粉末状あるいは顆粒状、さらには錠剤にすることも可能であり、用途に応じて種々の剤形を選択することができる。
〔2〕アルコール飲料
本発明におけるアルコール飲料とは、飲料に含まれるエタノールの含有量(v/v)が1%以上である飲料をいう。
本発明のアルコール感改善剤は、特に制限なく各種アルコール飲料、すなわち醸造酒、蒸留酒、混成酒といった酒類に適用できる。具体的には、ビール、日本酒、ワイン等の醸造酒、焼酎、泡盛、ウイスキー、ブランデー、ウォッカ、ラム、テキーラ、ジン、スピリッツ等の蒸留酒、上記酒類に糖類や果実を漬け込んだ果実酒、それら酒類にさらに果汁、フレーバー、炭酸ガス等を混合したカクテル、フィズ、チューハイ(酎ハイ)、ビールテイスト(ビール風味)アルコール飲料などが挙げられる。
本発明の改善剤を適用する対象として、特に、カクテル、フィズ、チューハイ、ビールテイストのアルコール飲料が好ましい。
また、本発明のアルコール感改善剤を適用するアルコール飲料の製法についても特に限定されるものではない。
しかしながら、製造過程で外部からアルコールを添加して製造されるアルコール飲料において、エタノール由来のネガティブな香味の影響が強いことが知られている。従って、そのような製造工程中で別の酒類又は原料アルコール(醸造アルコール)を添加するような製法で作られるアルコール飲料が、本発明による改善の対象として好ましい。
また、アルコール飲料のアルコール度数は特に限定されるものではない。しかし、本発明による改善効果が発揮されやすいアルコール度数は、好ましくは1〜50(v/v)%、より好ましくは3〜25(v/v)%、さらに好ましくは3〜10(v/v)%である。
ビールテイストアルコール飲料は、エタノールの含有量(v/v)が1%以上であるビール風味の発泡性アルコール飲料であり、アルコール分が0〜1(v/v)%未満であるアルコールフリーのビールテイスト清涼飲料は除かれる。
ビールテイストアルコール飲料の製造方法として、発酵製法と非発酵製法の二種類の製造方法がある。前者は、一般的な麦芽又は穀物類の糖化液を主原料として、酵母を用いてアルコール発酵させて製造する方法である。また、後者は酵母による発酵工程を経ないで、飲用水に、麦汁、麦芽エキス、糖類、香料及びアルコールなどを添加して製造する方法である。
本発明のアルコール感改善剤は、発酵製法、非発酵製法のいずれの製法で製造されたビールテイストアルコール飲料にも適用することができる。
しかしながら、糖質やプリン体が低減されたビールテイストアルコール飲料、非発酵製法で製造されたビールテイストアルコール飲料、又は、発酵製法であっても発酵前工程、発酵工程、発酵後工程のいずれかで酒類又は原料アルコール(醸造アルコール)が添加されたビールテイストアルコール飲料については、摂取時にエタノール由来のネガティブな香味が特に感じられ易いことから、本発明の適用対象として好適である。
本発明のアルコール感改善剤をアルコール飲料に添加する場合、その添加量は、必須有効成分である1,3−ジヒドロキシアセトンのアルコール飲料に対する量、すなわちアルコール飲料中での1,3−ジヒドロキシアセトン含有量に基づき決定することが好ましい。
アルコール飲料中における1,3−ジヒドロキシアセトンの含有量は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.00001〜100ppm、より好ましくは0.0001〜10ppm、さらに好ましくは0.001〜1ppmである。0.0001ppmより少ないと改善効果が弱く、その一方、100ppmより多いと、全体的な香り立ちが悪くなるといったネガティブな香味となるため、好ましくない。換言すれば、1,3−ジヒドロキシアセトンの含有量が多すぎるとトップの好ましい香り立ちが抑えられ、甘さ、ボリュームが付きすぎて、しつこく、飲みにくい製品になってしまう傾向が強くなってしまう。
1,3−ジヒドロキシアセトンと併用される酢酸及び/又はアセトインのアルコール飲料中における濃度も、特に限定されるものではない。しかし、少なすぎる場合の改善効果と多すぎる場合の負の影響に鑑みると、それぞれ、アルコール飲料中で好ましくは0.00001〜100ppm、より好ましくは0.0001〜10ppm、さらに好ましくは0.001〜1ppmである。
アルコール飲料を製造する工程において、本発明のアルコール感改善剤をアルコール飲料に添加する場合の添加時期は、最終的にアルコール飲料に必要量含まれていれば、いずれの工程で添加しても構わない。
例えば、非発酵製法においては、配合、濾過、殺菌、カーボネーション、充填のいずれの工程の間に行っても構わない。また、発酵製法においては、発酵前工程、発酵工程、発酵後工程のいずれの工程で添加しても構わないが、酒税法に基づいて添加時期を選択することが好ましい。特に制限が無い場合は、発酵後の工程で添加することが好ましい。
次に、実施例、試験例を挙げて本発明を説明するが、本発明は以下の実施例、試験例に限定されるものではない。
なお、以下の各実施例において、1,3−ジヒドロキシアセトンはメルク社製の試薬、アセトインはシグマアルドリッチ社製の試薬、酢酸は和光純薬工業株式会社製の試薬をそれぞれ購入して使用した。
(アルコール感改善剤A〜Dの調製)
以下の表1に記載の通り、1,3−ジヒドロキシアセトン0.0001g、0.01g、1g及び100gのそれぞれをエタノール水溶液(濃度60質量%)に溶解して、濃度がそれぞれ0.1ppm、10ppm、1000ppm及び10質量%のアルコール感改善剤A〜Dを調製した。
Figure 2017010000
〔試験例1〜8〕
(1)ビールテイストアルコール飲料の調製
市販のノンアルコールビール飲料(すなわちアルコールフリーのビールテイスト飲料)1000gに、99%濃度のエタノール63gを加えて、エタノール濃度が5(v/v)%であるビールテイストアルコール飲料を調製した。
上記ノンアルコールビール飲料は、麦芽、糖類(果糖ぶどう糖液糖、水あめ)、ホップ、酸味料及び香料成分から成るビールテイスト清涼飲料である。
(2)試験例1〜8(評価用サンプル)の作成
表2に記載の通り、実施例1のアルコール感改善剤A〜Dを、上記ビールテイストアルコール飲料に添加して評価用サンプル(試験例1〜8)を作成した。
具体的には、実施例1で調製したアルコール感改善剤Aを、ビールテイストアルコール飲料に飲料中の改善剤濃度が0.01%と0.1%の二種類の濃度となるように添加して、試験例1と2を得た。
同様に、アルコール感改善剤B〜Dについてもそれぞれ二種類の濃度となるようにビールテイストアルコール飲料に添加して、試験例3〜8を作成した。
試験例1〜8において、ビールテイストアルコール飲料中の1,3−ジヒドロキシアセトン濃度は、それぞれ10ppt、100ppt、1ppb、10ppb、100ppb、1ppm、10ppm、100ppmである。
Figure 2017010000
対照として、アルコール感改善剤を添加していない無添加のビールテイストアルコール飲料を用いた。かかる無添加品の評価点については、アルコール臭(消毒臭)は7点、その他の項目は4点に設定した。
無添加品を対照として、試験例1〜8のサンプル飲料について、熟練したパネル5名にて官能評価を行った。ここで、官能評価平均点は以下の基準で採点した各パネルの平均値である。
Figure 2017010000
官能評価の結果を表4に示した。
Figure 2017010000
表4に記載の通り、1,3−ジヒドロキシアセトンを、ビールテイストアルコール飲料に10ppt(=0.00001ppm)〜100ppm添加して官能評価を行った結果、10ppt(=0.00001ppm)添加した試験例1は、苦味には効果なく、アルコール臭、辛味、刺激については、わずかに軽減したが、その効果は弱かった。
一方、試験例2の100ppt(=0.0001ppm)から試験例8の100ppm添加では、いずれの濃度でもエタノール由来のアルコール臭、苦味、辛味、刺激を改善することができた。
(アルコール感改善剤E、Fの調製)
以下の表5に記載の通り、1,3−ジヒドロキシアセトン0.01g及びアセトイン0.05gをエタノール水溶液に溶解して、アルコール感改善剤Eを調製した。同様に、1,3−ジヒドロキシアセトン0.01g、アセトイン0.05g及び酢酸0.05gをエタノール水溶液に溶解して、アルコール感改善剤Fを調製した。
Figure 2017010000
〔試験例9〜11〕
(1)ビールテイストアルコール飲料
試験例1〜8で調製したビールテイストアルコール飲料と同様のものを本試験でも使用した。
(2)試験例9〜11(評価用サンプル)の作成
ビールテイストアルコール飲料に、前記実施例1で調製したアルコール感改善剤B、上記実施例2で調製したアルコール感改善剤EとFをそれぞれ0.1%添加して評価用サンプルを作成した(試験例9〜11)。
試験例9〜11のビールテイストアルコール飲料について、前記試験例1〜8における官能評価と同様の方法と基準で、熟練したパネル5名が官能評価を行った。その結果を表6に示した。
Figure 2017010000
表6に記載の通り、1,3−ジヒドロキシアセトン0.01ppm(試験例9)に、アセトイン0.05ppm添加(試験例10)、アセトイン0.05ppm及び酢酸0.05ppm添加(試験例11)することにより、エタノール由来の異味異臭を顕著に改善することができた。
〔試験例12〕
市販の糖質0%、プリン体0%のビール風味飲料に、99%エタノールを加えて、アルコール濃度が9(v/v)%のビールテイストアルコール飲料を調製した。
このビールテイストアルコール飲料に、前記実施例1と2で調製したアルコール感改善剤B、E及びFをそれぞれ0.1%添加し、熟練したパネル5名にて官能評価を行った。
その結果、いずれのアルコール改善剤を添加した場合においても、アルコール臭、苦味、辛味、刺激の改善効果が確認された。
〔試験例13〕
市販の果実風味のチューハイ飲料(蒸留酒をレモン風味又はウメ風味の炭酸水で割ったアルコール飲料)をベースに、前記実施例1で調製したアルコール感改善剤A〜Cを、0.01%又は0.1%添加した各種チューハイ飲料を作成した。
それぞれ、アルコール感改善剤を添加していない無添加品を対照として、熟練したパネル5名にてアルコール臭、苦味、辛味、刺激について、試験例1〜8の評価方法と基準で官能評価を行った。
その評価結果を表7〜12に示した。
Figure 2017010000
Figure 2017010000
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いずれの市販のチューハイにおいても、1,3−ジヒドロキシアセトンを0.001〜1ppmの濃度で添加することによって、アルコール臭(消毒臭)、苦味、辛味、刺激を低減してアルコール感を改善することができた。
表9に記載の通り、アルコール3(v/v)%のレモン味チューハイでは、0.0001〜1ppmの濃度で改善効果が確認された。
(アルコール感改善剤G〜Nの調製)
以下の表13に記載の通り、1,3−ジヒドロキシアセトン0.01gにアセトイン及び/又は酢酸をエタノール水溶液に溶解して、アルコール感改善剤G〜Nを調製した。
Figure 2017010000
〔試験例14〕
前記の試験例1〜8において調製したビールテイストアルコール飲料(アルコール5(v/v)%)、試験例12において調製したビールテイストアルコール飲料(アルコール9(v/v)%)、及び試験例13で使用した市販の各種チューハイに、表13のアルコール感改善剤G〜Nを0.01%又は0.1%添加して評価試験用のサンプルを作成した。なお、改善剤を添加していない無添加品を対照とした。
熟練したパネル5名にて官能評価を行った結果、アルコール感改善剤を添加したサンプルは、無添加品に比べて、いずれも顕著なアルコール感の改善効果が確認された。

Claims (13)

  1. 1,3−ジヒドロキシアセトンを含有することを特徴とする、アルコール飲料のアルコール感改善剤。
  2. 1,3−ジヒドロキシアセトンを0.01ppm〜10質量%含有することを特徴とする、請求項1記載のアルコール感改善剤。
  3. 酢酸及び/又はアセトインをさらに含有することを特徴とする、請求項1又は2に記載のアルコール感改善剤。
  4. 酢酸及び/又はアセトインをさらに、それぞれ0.01ppm〜10質量%含有することを特徴とする、請求項3に記載のアルコール感改善剤。
  5. アルコール飲料がビールテイストのアルコール飲料であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のアルコール感改善剤。
  6. 1,3−ジヒドロキシアセトンを0.00001〜100ppm含有することを特徴とする、アルコール感が改善されたアルコール飲料。
  7. 酢酸及び/又はアセトインをさらに、それぞれ0.00001〜100ppm含有することを特徴とする、請求項6に記載のアルコール飲料。
  8. アルコール飲料がビールテイストのアルコール飲料であることを特徴とする、請求項6又は7に記載のアルコール飲料。
  9. アルコール飲料に、1,3−ジヒドロキシアセトンを添加することを特徴とする、アルコール飲料のアルコール感改善方法。
  10. 1,3−ジヒドロキシアセトンを0.00001〜100ppm添加することを特徴とする、請求項9に記載のアルコール感改善方法。
  11. 酢酸及び/又はアセトインをさらに添加することを特徴とする、請求項9又は10に記載のアルコール感改善方法。
  12. 酢酸及び/又はアセトインをさらに、それぞれ0.00001〜100ppm添加することを特徴とする、請求項11に記載のアルコール感改善方法。
  13. アルコール飲料がビールテイストのアルコール飲料であることを特徴とする、請求項9〜12のいずれか1項に記載のアルコール感改善方法。
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