JPWO2016208486A1 - 固体電解質補強材及び該補強材を含む固体電解質膜 - Google Patents
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Abstract
本発明は、優れた含水時の引張強度及び低膨潤性と、優れたイオン伝導性とを兼ね備える固体電解質補強材を提供することを目的とする。固体電解質補強材として、特定の番手のガラス糸を選択し、これを織密度が特定範囲を満たす織物を採用することにより、優れた含水時の引張強度及び低膨潤性と、優れたイオン伝導性とを兼ね備え得る。
Description
本発明は、燃料電池等に適用可能な固体電解質の補強材、及び該補強材を含む固体電解質膜に関する。
燃料電池は、発電効率が高くかつ環境負荷が小さいため、環境にやさしいエネルギー源として注目されている。燃料電池は、一般に、電解質の種類によっていくつかのタイプに分類される。なかでも、高分子電解質型燃料電池(PEFC)は、高出力かつ小型軽量化が容易であり、さらに量産効果による低コスト化も期待できる。
PEFCとして最も代表的な水素―酸素燃料電池は、下記の式(1)に示すように負極に供給される水素の電気化学的酸化反応、式(2)に示すように正極に供給される酸素の電気化学的還元反応、及びその間の電解質中のプロトン移動からなる反応によって電流が流れ、電気エネルギーが取り出される。
H2 → 2H++2e- ・・・・・・・・・・(1)
1/2O2+ 2H++2e- → H2O ・・・・・・(2)
H2 → 2H++2e- ・・・・・・・・・・(1)
1/2O2+ 2H++2e- → H2O ・・・・・・(2)
この燃料電池そのものからは水しか排出しないためクリーンであるとともに極めて静粛性にも優れる。燃料電池は、水素は風力、太陽光など自然エネルギーを用いた水の電気分解から製造することができ、CO2削減又は脱原発、脱石油等の点からのメリットも大きい。そのため、自動車に適用され、既に燃料電池自動車の販売も開始されている。また、燃料電池は、廃熱と併せて使用することで極めて高いエネルギー効率が得られることから、家庭用発電機兼給湯器としても普及しつつある。更に、燃料電池は、長時間の連続給電が可能で、定期的な交換も不要であること等から、非常用電源としても普及しつつある。また、燃料電池は、二次電池と異なり、長時間の充電を必要としないことから、稼動効率の点で作業車用電源としても注目されている。
負極に供給される燃料がメタノールである直接メタノール型燃料電池等、水素以外のものを燃料として用いる燃料電池もあるが、この場合でも燃料が負極で電気化学的に酸化されてプロトンを放出する反応は同様に行われており、プロトン伝導性固体電解質を利用して作動させることができる。
固体電解質がプロトン伝導性でなく、水酸化物イオン伝導性である場合にも同様の反応を起こさせることが可能で、その場合各電極での反応は下記の式(3)及び(4)のようになり、水酸化物イオンがプロトンとは逆の方向に電解質中を移動する。但し、電解質が水分子を持っている場合、水分子から水酸化物イオンにプロトンが移動することによって実質的に水酸化物イオンがその逆向きに移動したのと等価な状態が実現できるので、実際にはプロトンが動くことによって水酸化物イオンが移動することもあり得る。
H2 + 2OH-→ H2O+2e- ・・・・・・・(3)
1/2O2+ H2O+2e-→2OH- ・・・・・・・(4)
H2 + 2OH-→ H2O+2e- ・・・・・・・(3)
1/2O2+ H2O+2e-→2OH- ・・・・・・・(4)
PEFCに用いられる固体電解質膜としては、パーフルオロアルキレンを主骨格とし、スルホ基等のイオン交換基を有するフッ素系高分子膜等が広く使用されている。これらの高分子膜では、水を含有することによって、ポリマー中のスルホ基がイオン化してプロトン伝導性となる。また、イオン化した分子が集合してクラスタを形成し、このクラスタがプロトンの通り道を形成する。しかし、この高分子膜は含水にともなって膨潤するため、寸法の増大、機械的強度の低下、及び長時間運転時のクリープ発生を招き、その結果、運転開始後の耐久性が低下するという欠点がある。
そこで、前記固体電解質膜の欠点を解消するために、各種の補強材による固体電解質膜の補強が試みられている。固体電解質膜の補強材として、例えば、プロトン伝導性膜用の補強材であって、Cガラス組成を有するガラス繊維とガラス繊維同士の結びつきを強めるバインダーとを主要構成要素とする不織布からなり、ガラス繊維の平均繊維径が0.1μm〜20μmの範囲にあり、ガラス繊維の平均繊維長が0.5mm〜20mmの範囲にあり、バインダーが繊維状バインダーを含み、繊維状バインダーの添加量が、ガラス繊維の質量の1%〜40%の範囲にある、プロトン伝導性膜用補強材が知られている。(例えば、特許文献1参照)。該補強材によれば、機械的強度、寸法安定性、取扱い性及び耐久性に優れ、良好なプロトン伝導性を示すプロトン伝導性膜が得られ、さらに、このプロトン伝導性膜を用いて燃料電池を構成することにより、発電効率の高い燃料電池が得られるとされている。
しかしながら、特許文献1に開示されている補強材は、良好なプロトン伝導性を得るには空隙率を高くする必要があるところ、空隙率を高めた場合、得られる補強材は水を含んだ状態における引張強度(含水時の引張強度)及び水を含む前後での寸法安定性(低膨潤性)が充分でないという問題があった。
一方、本発明者等が検討した結果、良好なプロトン等のイオン伝導性を得るという観点からは、固体電解質膜の厚さを薄くすること(例えば、30μm以下)が好ましいことが判明した。しかしながら、特許文献1に実施例として具体的に開示されている補強材は、厚さが50μmであり、補強材の厚さが大きすぎるために補強する固体電解質膜も必然的に厚くなってしまい、イオン伝導性が制限され易くなるという問題があることを知得した。
本発明は、上記問題を解決し、例えば燃料電池等の固体電解質補強材として使用した場合に、優れた含水時の引張強度及び低膨潤性と、優れたイオン伝導性とを兼ね備える固体電解質補強材を提供することを目的とする。更に、本発明は、該補強材を利用した固体電解質膜を提供することを目的とする。
本発明者等が上記課題を解決すべく鋭意検討を行った結果、特許文献1に開示されている補強材は、不織布構造であるために、含水時の引張強度及び低膨潤性と、プロトン等のイオン伝導性との両立が困難となることを知得した。そこで、本発明者等が更に検討を重ねた結果、固体電解質補強材として、特定の番手のガラス糸を選択し、これを織密度が特定範囲を満たす織物を採用することにより、優れた含水時の引張強度及び低膨潤性と、優れたイオン伝導性とを兼ね備え得ることを突き止めた。本発明は、かかる知見に基づいて、更に検討を重ねることにより完成するに至った。
即ち、本発明は、下記に掲げる態様の発明を提供する。
項1. 経糸及び緯糸として番手が1.0〜3.5texであるガラス糸を含み、
前記経糸及び前記緯糸の少なくとも一方の織密度が30〜75本/25mmの織物である、固体電解質補強材。
項2. 前記ガラス糸の平均フィラメント直径が3.0〜4.8μmである、項1に記載の固体電解質補強材。
項3. 補強する固体電解質との結合性を高めるバインダー成分を実質的に含有しない、項1または2に記載の固体電解質補強材。
項4. 前記ガラス糸を構成するガラス組成物が、CaO、MgO、Na2O及びK2Oの含有量の合計が20質量%以下である、項1〜3のいずれか1項に記載の固体電解質補強材。
項5. 燃料電池の固体電解質膜の補強のための、経糸及び緯糸として番手が1.0〜3.5texであるガラス糸を含み、前記経糸及び前記緯糸の少なくとも一方の織密度が30〜75本/25mmである織物の使用。
項6. 固体電解質、及び項1〜4のいずれかに記載の固体電解質補強材を含む、固体電解質膜。
項7. 前記固体電解質が、イオン導電性の無機/有機ハイブリッド化合物である、項6に記載の固体電解質膜。
項8. 前記イオン導電性の無機/有機ハイブリッド化合物が、珪酸化合物、及びタングステン酸化合物から選択される少なくとも1種類とポリビニルアルコールとが化学結合した無機/有機ハイブリッド化合物である、項7に記載の固体電解質膜。
項9. 燃料電池の固体電解質膜としての、固体電解質、及び項1〜4のいずれかに記載の固体電解質補強材を含む膜の使用。
項10. 項6〜8のいずれかに記載の固体電解質膜を含む、燃料電池。
項1. 経糸及び緯糸として番手が1.0〜3.5texであるガラス糸を含み、
前記経糸及び前記緯糸の少なくとも一方の織密度が30〜75本/25mmの織物である、固体電解質補強材。
項2. 前記ガラス糸の平均フィラメント直径が3.0〜4.8μmである、項1に記載の固体電解質補強材。
項3. 補強する固体電解質との結合性を高めるバインダー成分を実質的に含有しない、項1または2に記載の固体電解質補強材。
項4. 前記ガラス糸を構成するガラス組成物が、CaO、MgO、Na2O及びK2Oの含有量の合計が20質量%以下である、項1〜3のいずれか1項に記載の固体電解質補強材。
項5. 燃料電池の固体電解質膜の補強のための、経糸及び緯糸として番手が1.0〜3.5texであるガラス糸を含み、前記経糸及び前記緯糸の少なくとも一方の織密度が30〜75本/25mmである織物の使用。
項6. 固体電解質、及び項1〜4のいずれかに記載の固体電解質補強材を含む、固体電解質膜。
項7. 前記固体電解質が、イオン導電性の無機/有機ハイブリッド化合物である、項6に記載の固体電解質膜。
項8. 前記イオン導電性の無機/有機ハイブリッド化合物が、珪酸化合物、及びタングステン酸化合物から選択される少なくとも1種類とポリビニルアルコールとが化学結合した無機/有機ハイブリッド化合物である、項7に記載の固体電解質膜。
項9. 燃料電池の固体電解質膜としての、固体電解質、及び項1〜4のいずれかに記載の固体電解質補強材を含む膜の使用。
項10. 項6〜8のいずれかに記載の固体電解質膜を含む、燃料電池。
本発明の固体電解質補強材によれば、特定の番手のガラス糸を含み、織密度が特定範囲である織物を採用することにより、固体電解質膜に対して、従来技術では得られなかった含水時の引張強度及び低膨潤性と、プロトン等のイオン伝導性とを兼ね備えさせることができる。従って、本発明の固体電解質補強材を含む固体電解質膜は、例えば燃料電池に用いた場合に、含水時の引張強度及び低膨潤性が良好で、優れた出力特性を備えさせることができる。
<固体電解質補強材>
本発明の固体電解質補強材は、経糸及び緯糸として番手が1.0〜3.5texであるガラス糸を含み、該経糸及び該緯糸の少なくとも一方の織密度が30〜75本/25mmの織物であることを特徴とする。以下、本発明の固体電解質補強材について詳述する。
本発明の固体電解質補強材は、経糸及び緯糸として番手が1.0〜3.5texであるガラス糸を含み、該経糸及び該緯糸の少なくとも一方の織密度が30〜75本/25mmの織物であることを特徴とする。以下、本発明の固体電解質補強材について詳述する。
本発明の固体電解質補強材に使用される織物において、ガラス糸を構成するガラス材料については、補強する固体電解質の使用環境によって公知のガラス材料を用いることができる。ガラス材料としては、具体的には、Eガラス、Cガラス、Sガラス、Tガラス、ARガラス等が挙げられる。
プロトン伝導性固体電解質は通常強酸である。そのため、固体電解質を例えば燃料電池に用いる場合、ガラス材料の耐酸性が優れていると、ガラス成分の溶出に伴う含水時の引張強度の低下がより起こり難くなり、またガラス材料から溶出したカチオン成分による固体電解質のイオン伝導性の低下がより起こり難くなる。従って、ガラス糸を構成するガラス組成物は、引張強度と出力特性をより向上させるという観点から、CaO、MgO、Na2O及びK2Oの含有量の合計が20質量%以下であるものが好ましい。とりわけ、SiO2が60〜70質量%、Al2O3が20〜30質量%であって、且つCaO、MgO、Na2O及びK2Oの含有量の合計が20質量%以下であるものが更に好ましく;SiO2が60〜70質量%、Al2O3が20〜30質量%であって、CaO、MgO、Na2O及びK2Oの含有量の合計が10〜20質量%であり、且つNa2O及びK2Oの含有量の合計が2質量%以下であるものが特に好ましい。
また、補強対象となる固体電解質を後述する無機/有機ハイブリッド化合物にする場合には、ガラス糸を構成するガラス組成物として、特に、SiO2が60〜70質量%、Al2O3が20〜30質量%であって、CaO、MgO、Na2O及びK2Oの含有量の合計が10〜20質量%であり、且つNa2O及びK2Oの含有量の合計が2質量%以下であるものとすると、含水時の引張強度とイオン伝導性をより一層両立することができ、特に好ましい。
また、固体電解質として無機/有機ハイブリッド化合物を使用した固体電解質膜は、アルカリ水電解型の水素発生装置のセパレータとしても用いることができる。このようなセパレータとして使用される固体電解質膜に本発明の固体電解質補強材を適用する場合には、ガラス糸を構成するガラス組成物としては、水素発生効率をより向上させるという観点から、ZrO2の含有量が10〜30質量%であることが好ましく;SiO2が55〜62質量%、Al2O3が1〜5質量%、CaO及びMgOの含有量の合計が0〜12質量%、B2O3が0〜4質量%、Na2O及びK2Oの含有量の合計が13〜18質量%であり、且つZrO2の含有量が12〜21質量%であることが更に好ましい。
ガラス糸の番手は、固体電解質膜中に含有させた際にガラス糸によるイオン伝導の妨害を最小限にするという観点から、1.0〜3.5texが必要であり、1.0〜2.4texが好ましく、1.0〜2.0texが更に好ましく、1.5〜1.97texがより一層好ましい。本発明において、ガラス糸の番手は、日本工業規格「JIS R 3420 2013 7.1」に規定されている方法に従って求められる値である。
ガラス糸は、ガラス長繊維である単繊維(フィラメント)が複数本撚りまとめられたガラスヤーンが好ましい。ガラスヤーンにおけるフィラメントの本数は、特に制限されないが、含水時の引張強度及び低膨潤性と、イオン伝導性との両立を一層優れたものにするという観点から、20〜120本程度が好ましく、20〜70本が更に好ましく、20〜55本が特に好ましい。ガラスヤーンにおけるフィラメントの平均直径は、同様の観点から、3.0〜4.8μm程度が好ましく、3.0〜4.5μmが特に好ましい。ここで、ガラスヤーンにおけるフィラメントの本数は、織物をエポキシ樹脂に包埋して硬化させ、ガラス糸が観察可能な程度に研磨し、走査型電子顕微鏡(SEM)を用い、倍率500倍にて観察することによって求められる。また、ガラスヤーンにおけるフィラメントの平均直径は、織物を前記と同様に処理して走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて倍率500倍にて1本のガラスヤーンに含まれる全てのフィラメントの直径を測定し、その平均値を算出することによって求められる。
本発明の固体電解質補強材に使用される織物において、経糸及び緯糸の少なくとも一方の織密度が30〜75本/25mmである必要があり、とりわけ50〜60本/25mmであることが好ましい。これにより、得られる固体電解質は、優れた含水時の引張強度及び低膨潤性と、優れたイオン伝導性とを兼ね備えることが可能になる。含水時の引張強度及び低膨潤性とイオン電導性とをより一層良好に兼ね備えさせるという観点から、経糸及び緯糸の双方が前記織密度の範囲を満たしていることが好ましい。本発明において、経糸及び緯糸の織密度は、日本工業規格「JIS R 3420 2013 7.9」に規定されている方法に従って求められる値である。
本発明の固体電解質補強材に使用される織物において、織物中におけるガラス糸の混用率としては、本発明の効果を奏する範囲内で特に制限はないが、70質量%以上が好ましく、80質量%以上が更に好ましく、100質量%(ガラス糸のみからなる織物)が特に好ましい。
本発明の固体電解質補強材に使用される織物の織組織としては、特に制限されないが、例えば、平織、朱子織、綾織、斜子織、畦織等が挙げられ、中でも平織が好ましい。
本発明の固体電解質補強材に使用される織物の厚さについては、固体電解質膜に含有させた際の含水時の引張強度及び低膨潤性と、イオン伝導性とをより一層良好にするという観点から、8〜30μmが好ましく、8〜20μmが更に好ましい。本発明において、織物の厚さは、日本工業規格「JIS R 3420 2013 7.10.1A法」に規定されている方法に従って求められる値である。
本発明の固体電解質補強材において、織物の質量については、特に制限されないが、固体電解質としたときの含水時の引張強度及び低膨潤性とイオン伝導性とをより一層効果的に両立させるという観点から、5〜30g/m2が好ましく、5〜20g/m2がより好ましく、5〜10g/m2が特に好ましい。本発明において、織物の質量は、日本工業規格「JIS R 3420 2013 7.2」に規定されている方法に従って求められる値である。
本発明の固体電解質補強材は、補強する固体電解質との結合性を高めるバインダー成分を実質的に含有しないことが好ましい。これにより、得られる固体電解質膜は、製膜状態がより良好なものとなり、例えば、燃料電池に用いた場合の出力特性をより一層向上させることができる。ここで、「バインダー成分を実質的に含有しない」とは、バインダー成分を積極的には固体電解質補強材を構成する織物に塗布等しない、或いはバインダー成分をヒートクリーニング処理(加熱処理)によって除去する、等により、結果的にこれらを含有しないことを意味する。こうしたバインダー成分は、含有量がゼロであることが特に好ましいが、本発明の効果を損ねない範囲で、固体電解質補強材中に0.1質量%以下程度、より好ましくは0.05質量%以下程度含まれていても差し支えない。
上記補強する固体電解質との結合性を高めるバインダー成分としては、具体的には、シランカップリング剤や、澱粉及び合成樹脂(例えば、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂等)等の有機バインダー、シリカ、アルキルシリケート等の無機バインダー等が挙げられる。また、上記バインダー成分と同様、界面活性剤の含有量についてもゼロであることが特に好ましいが、本発明の効果を損ねない範囲で、固体電解質補強材中に0.1質量%以下程度、より好ましくは0.05質量%以下程度含まれていても差し支えない。
本発明の固体電解質補強材が前記バインダー成分を実質的に含有しない場合には、補強する固体電解質として、後述する無機/有機ハイブリッド化合物を使用すると、該補強材と該固体電解質の結合性が特に良好になり、製膜状態がより一層良好になって、燃料電池に用いた場合の出力特性をより一層効果的に向上させることも可能になる。
前記バインダー成分を実質的に含有していない固体電解質補強材を製造する方法としては、例えば、ガラス糸を製織した織物にヒートクリーニング処理(加熱処理)を施す方法が挙げられる。ヒートクリーニング処理の条件としては、例えば、温度350〜450℃で20〜60時間が挙げられる。
<固体電解質膜>
本発明の固体電解質膜は、前記固体電解質補強材及び固体電解質を含むことを特徴とする。本発明の固体電解質膜は、前記固体電解質補強材によって補強されていることにより、含水時の引張強度及び低膨潤性を良好にしつつ、イオン伝導性を兼ね備えることが可能になる。
本発明の固体電解質膜は、前記固体電解質補強材及び固体電解質を含むことを特徴とする。本発明の固体電解質膜は、前記固体電解質補強材によって補強されていることにより、含水時の引張強度及び低膨潤性を良好にしつつ、イオン伝導性を兼ね備えることが可能になる。
本発明の固体電解質膜に使用される固体電解質としてはプロトン等のイオンを伝導するものであれば特に限定されず、例えば、高分子電解質、イオン導電性の無機物質、イオン導電性の無機/有機ハイブリッド化合物等が挙げられる。
高分子電解質としては、例えば、フッ素系高分子電解質、炭化水素系高分子電解質、化学修飾フラーレンイオン伝導体が挙げられ、フッ素系高分子電解質としては、例えば、パーフルオロアルキレンを主骨格とし、スルホ基やカルボキシル基等のイオン交換基を有するものが挙げられる。炭化水素系高分子電解質としては、例えば、ポリスチレン、ポリアリーレンエーテル、ポリイミド、ポリフォスファゼン、ポリベンゾイミダゾ−ルなどの芳香族系ポリマーをスルホン化したものが挙げられる。
イオン導電性の無機/有機ハイブリッド化合物としては、Si、Al、Ti、Sn、Zr、Mo、及びWから選ばれる1種以上の元素とOとを含む無機部分と、有機部分とを含むものが挙げられ、具体的には、珪酸化合物、タングステン酸化合物、及びジルコン酸化合物から選ばれる1種以上とポリビニルアルコールとが化学結合したハイブリッド化合物(以下、ハイブリッド化合物Aと表記することもある)等が挙げられる。とりわけ、前記ハイブリッド化合物Aは、前記固体電解質補強材と固体電解質の結合性が特に良好で、製膜状態がより一層良好になることから、例えば、燃料電池に用いた場合の出力特性がより一層向上し易くなる。
本発明の固体電解質膜は、固体電解質を膜状のマトリックスとして、その中に前記固体電解質補強材が含まれていればよい。
本発明の固体電解質膜において、固体電解質と前記固体電解質補強材の比率については、該固体電解質膜の用途、使用する固体電解質の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、固体電解質100質量部当たり、前記固体電解質補強材が10〜70質量部、好ましくは20〜50質量部、更に好ましくは20〜40質量部が挙げられる。
また、本発明の固体電解質膜の厚さについても、該固体電解質膜の用途等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、20〜200μm、好ましくは20〜50μm、更に好ましくは20〜30μmが挙げられる。
本発明の固体電解質膜の製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、固体電解質を分散又は溶解した液体を前記固体電解質補強材に含浸させた後、乾燥することによって製造することが挙げられる。
本発明の固体電解質膜は、従来技術では得られなかった引張強度及び低膨潤性と、プロトン等のイオン伝導性との両立が図れることから、例えば、固体電解質型燃料電池、固体電解質型水素発生装置等に好適に使用することができる。また、本発明の固体電解質膜は、水酸化物イオンの通過性にも優れることから、アルカリ水電解型の水素発生装置のセパレータとしても適用することができる。
本発明の固体電解質膜を用いた燃料電池において、固体電解質以外の部分は、特に限定されず、公知の燃料電池と同様の構成を適用でき、例えば、固体電解質の両側には公知の燃料極と公知の空気極とが配置される。
以下、実施例によって本発明を詳しく説明する。但し、本発明は以下の実施例によって限定されるものではない。
1.評価方法
(1)ガラス糸の番手(tex)
日本工業規格「JIS R 3420 2013 7.1」に記載の方法に従い、測定、算出した。
(1)ガラス糸の番手(tex)
日本工業規格「JIS R 3420 2013 7.1」に記載の方法に従い、測定、算出した。
(2)ガラス糸の平均フィラメント直径(μm)、平均フィラメント本数(本)
得られた織物を30cm角にカットしたものを2枚用意し、一方を経糸観察用、他方を緯糸観察用として、それぞれをエポキシ樹脂(丸本ストルアス株式会社製商品名3091)に包埋して硬化させ、経糸、緯糸が観察可能な程度に研磨し、SEM(日本電子株式会社製商品名JSM−6390A)を用い、倍率500倍で観察、測定を行った。
得られた織物を30cm角にカットしたものを2枚用意し、一方を経糸観察用、他方を緯糸観察用として、それぞれをエポキシ樹脂(丸本ストルアス株式会社製商品名3091)に包埋して硬化させ、経糸、緯糸が観察可能な程度に研磨し、SEM(日本電子株式会社製商品名JSM−6390A)を用い、倍率500倍で観察、測定を行った。
(3)織密度(本/25mm)
日本工業規格「JIS R 3420 2013 7.9」に記載の方法に従い、経糸、緯糸の織密度を測定、算出した。
日本工業規格「JIS R 3420 2013 7.9」に記載の方法に従い、経糸、緯糸の織密度を測定、算出した。
(4)織物の厚さ(μm)
日本工業規格「JIS R 3420 2013 7.10.1A法」に記載の方法に従い、測定、算出した。
日本工業規格「JIS R 3420 2013 7.10.1A法」に記載の方法に従い、測定、算出した。
(5)織物の質量(g/m2)
日本工業規格「JIS R 3420 2013 7.2」に記載の方法に従い、測定、算出した。
日本工業規格「JIS R 3420 2013 7.2」に記載の方法に従い、測定、算出した。
(6)ガラス糸を構成するガラス組成物の組成及び質量比(質量%)
アルカリ融解−ICP発光分光分析法及び原子吸光光度法により測定した。
アルカリ融解−ICP発光分光分析法及び原子吸光光度法により測定した。
(7)固体電解質膜の含水時の引張強度(MPa)
固体電解質膜を20mm×40mmの大きさに切断した試験片を準備した。試験片を20〜25℃の純水に1時間浸漬して吸水させた後に、加重測定器を用いて固体電解質膜が破断するまでの強度の測定を行い、下記式(a)にて引張強度を算出した。
引張強度(MPa)=測定加重(N)/膜断面積(幅mm×厚みmm) (a)
固体電解質膜を20mm×40mmの大きさに切断した試験片を準備した。試験片を20〜25℃の純水に1時間浸漬して吸水させた後に、加重測定器を用いて固体電解質膜が破断するまでの強度の測定を行い、下記式(a)にて引張強度を算出した。
引張強度(MPa)=測定加重(N)/膜断面積(幅mm×厚みmm) (a)
(8)固体電解質膜の膨潤性(%)
固体電解質膜を20mm×40mmの大きさに切断した試験片を準備した。試験片を20〜25℃の純水に1時間浸漬し、浸漬前後での試験片の面積を測定し、下記式(b)にて膨潤度を算出した。
膨潤度(%)=[(浸漬後面積−浸漬前面積)/(浸漬前面積)]×100 (b)
固体電解質膜を20mm×40mmの大きさに切断した試験片を準備した。試験片を20〜25℃の純水に1時間浸漬し、浸漬前後での試験片の面積を測定し、下記式(b)にて膨潤度を算出した。
膨潤度(%)=[(浸漬後面積−浸漬前面積)/(浸漬前面積)]×100 (b)
(9)イオン伝導性(mW/cm2)
イオン伝導性について、燃料電池とした場合の最高出力密度を指標として、以下の方法で評価した。該最高出力密度が500mW/m2以上の場合、イオン伝導性に優れるものとして合格とした。
イオン伝導性について、燃料電池とした場合の最高出力密度を指標として、以下の方法で評価した。該最高出力密度が500mW/m2以上の場合、イオン伝導性に優れるものとして合格とした。
(膜電極接合体(MEA)の作製)
燃料電池での評価を行なうため、固体電解質膜に電極を取り付けて膜電極接合体(MEA)を作製した。作製した膜電極接合体は、図1に示すように、固体電解質膜1の両面に触媒電極層2及び3が積層され、更に最外層にはガス拡散層4及び5が積層されている。触媒電極層2及び3は、50wt%白金担持カーボン触媒(田中貴金属工業株式会社製)とNafionアイオノマー(5%Solution DE520 CSタイプ)を用いて形成した。また、ガス拡散層は、カーボンペーパー(22.4×22.4mm、厚さ195μm)で形成しており、その内側(触媒電極層2及び3側)には、マイクロポーラス層として、厚さ約10μmのカーボンブラック粉末(電気化学工業株式会社製アセチレンブラック)とテフロン(Aldrich社)から成る層が塗布されている。
燃料電池での評価を行なうため、固体電解質膜に電極を取り付けて膜電極接合体(MEA)を作製した。作製した膜電極接合体は、図1に示すように、固体電解質膜1の両面に触媒電極層2及び3が積層され、更に最外層にはガス拡散層4及び5が積層されている。触媒電極層2及び3は、50wt%白金担持カーボン触媒(田中貴金属工業株式会社製)とNafionアイオノマー(5%Solution DE520 CSタイプ)を用いて形成した。また、ガス拡散層は、カーボンペーパー(22.4×22.4mm、厚さ195μm)で形成しており、その内側(触媒電極層2及び3側)には、マイクロポーラス層として、厚さ約10μmのカーボンブラック粉末(電気化学工業株式会社製アセチレンブラック)とテフロン(Aldrich社)から成る層が塗布されている。
(燃料電池出力特性の評価)
上記MEAを市販の燃料電池用単セル(エレクトロケム社製)にセットし、一般的な水素―酸素燃料電池を構成した。具体的には、図1に示すように、MEA(図1中、符号1〜5の部材)を極室分離と電極へのガス供給流路の役割を兼ねた導電性のセパレータ6及び7に挟みこみ、流路にそれぞれ所定流量の水素8、酸素9を流した。斯してセットした燃料電池用単セルに、セル温度が80℃、供給ガスの相対湿度が100%になるように制御して、最高出力密度(mW/cm2)の測定を行った。
上記MEAを市販の燃料電池用単セル(エレクトロケム社製)にセットし、一般的な水素―酸素燃料電池を構成した。具体的には、図1に示すように、MEA(図1中、符号1〜5の部材)を極室分離と電極へのガス供給流路の役割を兼ねた導電性のセパレータ6及び7に挟みこみ、流路にそれぞれ所定流量の水素8、酸素9を流した。斯してセットした燃料電池用単セルに、セル温度が80℃、供給ガスの相対湿度が100%になるように制御して、最高出力密度(mW/cm2)の測定を行った。
2.固体電解質補強材及び固体電解質膜の製造
実施例1
(1)固体電解質補強材の製造
経糸及び緯糸として、ガラス組成が、SiO2が60〜70質量%、Al2O3が20〜30質量%であって、CaO、MgO、Na2O及びK2Oの含有量の合計が10〜20質量%であり、且つNa2O及びK2Oの含有量の合計が2質量%以下(ガラス組成A)であるガラスヤーン(番手1.7tex、平均フィラメント直径4.1μm、フィラメント本数51本、撚り数0.5Z)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が55本/25mm、緯糸密度が55本/25mmの平織のガラスクロスを得た。次いで、得られたガラスクロスに付着している紡糸集束剤と製織集束剤を400℃で30時間加熱(ヒートクリーニング)して除去し、固体電解質補強材を得た。得られた固体電解質補強材は、ヒートクリーニング処理に供されているので、補強する固体電解質との結合性を高めるバインダー成分を実質的に含有していないものであった。
実施例1
(1)固体電解質補強材の製造
経糸及び緯糸として、ガラス組成が、SiO2が60〜70質量%、Al2O3が20〜30質量%であって、CaO、MgO、Na2O及びK2Oの含有量の合計が10〜20質量%であり、且つNa2O及びK2Oの含有量の合計が2質量%以下(ガラス組成A)であるガラスヤーン(番手1.7tex、平均フィラメント直径4.1μm、フィラメント本数51本、撚り数0.5Z)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が55本/25mm、緯糸密度が55本/25mmの平織のガラスクロスを得た。次いで、得られたガラスクロスに付着している紡糸集束剤と製織集束剤を400℃で30時間加熱(ヒートクリーニング)して除去し、固体電解質補強材を得た。得られた固体電解質補強材は、ヒートクリーニング処理に供されているので、補強する固体電解質との結合性を高めるバインダー成分を実質的に含有していないものであった。
(2)固体電解質膜の製造
珪酸化合物とタングステン酸化合物がポリビニルアルコールに化学結合した無機/有機ハイブリッド膜(ニッポン高度紙製、登録商標iO―brane)の原料溶液をアプリケータで所定の厚みに調整しながらポリエステルフィルムの基材上に塗布した。その溶液上に前記で得られた固体電解質補強材を載せ、70〜130℃に加熱し、乾燥した。塗布した原料溶液がほぼ乾燥した時点で、その上から更に前記原料溶液を塗布して乾燥し、固体電解質膜を作製した。得られた固体電解質膜において、固体電解質100質量部当たりの固体電解質補強材の比率は30質量部であった。また、得られた固体電解質膜の厚みは25μmであった。
珪酸化合物とタングステン酸化合物がポリビニルアルコールに化学結合した無機/有機ハイブリッド膜(ニッポン高度紙製、登録商標iO―brane)の原料溶液をアプリケータで所定の厚みに調整しながらポリエステルフィルムの基材上に塗布した。その溶液上に前記で得られた固体電解質補強材を載せ、70〜130℃に加熱し、乾燥した。塗布した原料溶液がほぼ乾燥した時点で、その上から更に前記原料溶液を塗布して乾燥し、固体電解質膜を作製した。得られた固体電解質膜において、固体電解質100質量部当たりの固体電解質補強材の比率は30質量部であった。また、得られた固体電解質膜の厚みは25μmであった。
実施例2
(1)固体電解質補強材の製造
経糸及び緯糸として、表1に示すガラス組成Bからなるガラスヤーン(番手1.7tex、平均フィラメント直径4.1μm、フィラメント本数51本、撚り数0.5Z)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が55本/25mm、緯糸密度が55本/25mmの平織のガラスクロスを得た。次いで、得られたガラスクロスに付着している紡糸集束剤と製織集束剤を400℃で30時間加熱して除去し、固体電解質補強材を得た。得られた固体電解質補強材は、ヒートクリーニング処理に供されているので、補強する固体電解質との結合性を高めるバインダー成分を実質的に含有していないものであった。
(1)固体電解質補強材の製造
経糸及び緯糸として、表1に示すガラス組成Bからなるガラスヤーン(番手1.7tex、平均フィラメント直径4.1μm、フィラメント本数51本、撚り数0.5Z)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が55本/25mm、緯糸密度が55本/25mmの平織のガラスクロスを得た。次いで、得られたガラスクロスに付着している紡糸集束剤と製織集束剤を400℃で30時間加熱して除去し、固体電解質補強材を得た。得られた固体電解質補強材は、ヒートクリーニング処理に供されているので、補強する固体電解質との結合性を高めるバインダー成分を実質的に含有していないものであった。
(2)固体電解質膜の製造
得られた固体電解質補強材を使用し、前記実施例1と同様の条件で固体電解質膜を作製した。得られた固体電解質膜において、固体電解質100質量部当たりの固体電解質補強材の比率は30質量部であった。また、得られた固体電解質膜の厚みは25μmであった。
得られた固体電解質補強材を使用し、前記実施例1と同様の条件で固体電解質膜を作製した。得られた固体電解質膜において、固体電解質100質量部当たりの固体電解質補強材の比率は30質量部であった。また、得られた固体電解質膜の厚みは25μmであった。
実施例3
(1)固体電解質補強材の製造
経糸及び緯糸として、ガラス組成Aからなるガラスヤーン(番手1.7tex、平均フィラメント直径4.1μm、フィラメント本数51本、撚り数0.5Z)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が55本/25mm、緯糸密度が55本/25mmの平織のガラスクロスを得て、固体電解質補強材とした。得られた固体電解質補強材は、ヒートクリーニング処理を行っていないため、補強する固体電解質との結合性を高めるバインダー成分を含有するものであった。
(1)固体電解質補強材の製造
経糸及び緯糸として、ガラス組成Aからなるガラスヤーン(番手1.7tex、平均フィラメント直径4.1μm、フィラメント本数51本、撚り数0.5Z)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が55本/25mm、緯糸密度が55本/25mmの平織のガラスクロスを得て、固体電解質補強材とした。得られた固体電解質補強材は、ヒートクリーニング処理を行っていないため、補強する固体電解質との結合性を高めるバインダー成分を含有するものであった。
(2)固体電解質膜の製造
得られた固体電解質補強材を使用し、前記実施例1と同様の条件で固体電解質膜を作製した。得られた固体電解質膜において、固体電解質100質量部当たりの固体電解質補強材の比率は30質量部であった。また、得られた固体電解質膜の厚みは30μmであった。
得られた固体電解質補強材を使用し、前記実施例1と同様の条件で固体電解質膜を作製した。得られた固体電解質膜において、固体電解質100質量部当たりの固体電解質補強材の比率は30質量部であった。また、得られた固体電解質膜の厚みは30μmであった。
実施例4
(1)固体電解質補強材の製造
経糸密度を95本/25mm、緯糸密度を55本/25mmに変更したこと以外は、前記実施例3同様の条件で、固体電解質補強材を得た。得られた固体電解質補強材は、ヒートクリーニング処理を行っていないため、補強する固体電解質との結合性を高めるバインダー成分を含有するものであった。
(1)固体電解質補強材の製造
経糸密度を95本/25mm、緯糸密度を55本/25mmに変更したこと以外は、前記実施例3同様の条件で、固体電解質補強材を得た。得られた固体電解質補強材は、ヒートクリーニング処理を行っていないため、補強する固体電解質との結合性を高めるバインダー成分を含有するものであった。
(2)固体電解質膜の製造
得られた固体電解質補強材を使用し、前記実施例1と同様の条件で固体電解質膜を作製した。得られた固体電解質膜において、固体電解質100質量部当たりの固体電解質補強材の比率は35質量部であった。また、得られた固体電解質膜の厚みは30μmであった。
得られた固体電解質補強材を使用し、前記実施例1と同様の条件で固体電解質膜を作製した。得られた固体電解質膜において、固体電解質100質量部当たりの固体電解質補強材の比率は35質量部であった。また、得られた固体電解質膜の厚みは30μmであった。
比較例1
(1)固体電解質補強材の製造
経糸及び緯糸として、ガラス組成Aからなるガラスヤーン(番手4.2tex、平均フィラメント直径4.6μm、フィラメント本数100本、撚り数1.0Z)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が69本/25mm、緯糸密度が72本/25mmの平織のガラスクロスを得た。ついで、得られたガラスクロスに付着している紡糸集束剤と製織集束剤を400℃で30時間加熱(ヒートクリーニング)して除去し、固体電解質補強材を得た。得られた固体電解質補強材は、ヒートクリーニング処理に供されているので、補強する固体電解質との結合性を高めるバインダー成分を実質的に含有していないものであった。
(1)固体電解質補強材の製造
経糸及び緯糸として、ガラス組成Aからなるガラスヤーン(番手4.2tex、平均フィラメント直径4.6μm、フィラメント本数100本、撚り数1.0Z)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が69本/25mm、緯糸密度が72本/25mmの平織のガラスクロスを得た。ついで、得られたガラスクロスに付着している紡糸集束剤と製織集束剤を400℃で30時間加熱(ヒートクリーニング)して除去し、固体電解質補強材を得た。得られた固体電解質補強材は、ヒートクリーニング処理に供されているので、補強する固体電解質との結合性を高めるバインダー成分を実質的に含有していないものであった。
(2)固体電解質膜の製造
得られた固体電解質補強材を使用し、前記実施例1と同様の条件で固体電解質膜を作製した。得られた固体電解質膜において、固体電解質100質量部当たりの固体電解質補強材の比率は65質量部であった。また、得られた固体電解質膜の厚みは40μmであった。
得られた固体電解質補強材を使用し、前記実施例1と同様の条件で固体電解質膜を作製した。得られた固体電解質膜において、固体電解質100質量部当たりの固体電解質補強材の比率は65質量部であった。また、得られた固体電解質膜の厚みは40μmであった。
比較例2
(1)固体電解質補強材の製造
経糸及び緯糸として、ガラス組成Aからなるガラスヤーン(番手1.7tex、平均フィラメント直径4.1μm、フィラメント本数51本、撚り数0.5Z)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が95本/25mm、緯糸密度が95本/25mmの平織のガラスクロスを得た。次いで、得られたガラスクロスに付着している紡糸集束剤と製織集束剤を400℃で30時間加熱(ヒートクリーニング)して除去した。その後、表面処理剤のシランカップリング剤(S−350 N−ビニルベンジル−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(塩酸塩)チッソ株式会社)を15g/Lの濃度に調整しパダーロールで絞った後、120℃で1分乾燥・キュアリングし、固体電解質補強材を得た。
(1)固体電解質補強材の製造
経糸及び緯糸として、ガラス組成Aからなるガラスヤーン(番手1.7tex、平均フィラメント直径4.1μm、フィラメント本数51本、撚り数0.5Z)を用い、エアージェット織機で製織し、経糸密度が95本/25mm、緯糸密度が95本/25mmの平織のガラスクロスを得た。次いで、得られたガラスクロスに付着している紡糸集束剤と製織集束剤を400℃で30時間加熱(ヒートクリーニング)して除去した。その後、表面処理剤のシランカップリング剤(S−350 N−ビニルベンジル−アミノエチル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン(塩酸塩)チッソ株式会社)を15g/Lの濃度に調整しパダーロールで絞った後、120℃で1分乾燥・キュアリングし、固体電解質補強材を得た。
(2)固体電解質膜の製造
得られた固体電解質補強材を使用し、前記実施例1と同様の条件で固体電解質膜を作製した。得られた固体電解質膜において、固体電解質100質量部当たりの固体電解質補強材の比率は45質量部であった。また、得られた固体電解質膜の厚みは30μmであった。
得られた固体電解質補強材を使用し、前記実施例1と同様の条件で固体電解質膜を作製した。得られた固体電解質膜において、固体電解質100質量部当たりの固体電解質補強材の比率は45質量部であった。また、得られた固体電解質膜の厚みは30μmであった。
3.評価結果
得られた結果を表2に示す。この結果から、経糸及び緯糸として番手が1.0〜3.5texのガラス糸を用いて、経糸及び前記緯糸の少なくとも一方の織密度を30〜75本/25mmに設定して製造した織物からなる固体電解質補強材を使用した固体電解質膜(実施例1〜4)は、含水時の引張強度が高く、低膨潤性であり、しかも優れたイオン伝導性を備えていた。特に、バインダー成分を実質的に含んでいない固体電解質補強材を使用した場合(実施例1及び2)には、格段に優れたイオン伝導性を備えていた。これに対して、経糸及び緯糸として3.5texを超えるガラス糸を用いて製造した織物からなる固体電解質補強を使用した場合材(比較例1)には、イオン伝導性が不十分であった。また、経糸及び緯糸として1.75texのガラス糸を使用しても、経糸及び緯糸の織密度が75本/25mmを超えている固体電解質補強材を使用した場合(比較例3)には、イオン伝導性が不十分であった。
得られた結果を表2に示す。この結果から、経糸及び緯糸として番手が1.0〜3.5texのガラス糸を用いて、経糸及び前記緯糸の少なくとも一方の織密度を30〜75本/25mmに設定して製造した織物からなる固体電解質補強材を使用した固体電解質膜(実施例1〜4)は、含水時の引張強度が高く、低膨潤性であり、しかも優れたイオン伝導性を備えていた。特に、バインダー成分を実質的に含んでいない固体電解質補強材を使用した場合(実施例1及び2)には、格段に優れたイオン伝導性を備えていた。これに対して、経糸及び緯糸として3.5texを超えるガラス糸を用いて製造した織物からなる固体電解質補強を使用した場合材(比較例1)には、イオン伝導性が不十分であった。また、経糸及び緯糸として1.75texのガラス糸を使用しても、経糸及び緯糸の織密度が75本/25mmを超えている固体電解質補強材を使用した場合(比較例3)には、イオン伝導性が不十分であった。
1 固体電解質膜
2,3 触媒電極層
4,5 ガス拡散層
6,7 セパレータ
8 水素
9 酸素
2,3 触媒電極層
4,5 ガス拡散層
6,7 セパレータ
8 水素
9 酸素
Claims (10)
- 経糸及び緯糸として番手が1.0〜3.5texであるガラス糸を含み、
前記経糸及び前記緯糸の少なくとも一方の織密度が30〜75本/25mmの織物である、固体電解質補強材。 - 前記ガラス糸の平均フィラメント直径が3.0〜4.8μmである、請求項1に記載の固体電解質補強材。
- 補強する固体電解質との結合性を高めるバインダー成分を実質的に含有しない、請求項1または2に記載の固体電解質補強材。
- 前記ガラス糸を構成するガラス組成物が、CaO、MgO、Na2O及びK2Oの含有量の合計が20質量%以下である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体電解質補強材。
- 燃料電池の固体電解質膜の補強のための、経糸及び緯糸として番手が1.0〜3.5texであるガラス糸を含み、前記経糸及び前記緯糸の少なくとも一方の織密度が30〜75本/25mmである織物の使用。
- 固体電解質、及び請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解質補強材を含む、固体電解質膜。
- 前記固体電解質が、イオン導電性の無機/有機ハイブリッド化合物である、請求項6に記載の固体電解質膜。
- 前記イオン導電性の無機/有機ハイブリッド化合物が、珪酸化合物、及びタングステン酸化合物から選択される少なくとも1種類とポリビニルアルコールとが化学結合した無機/有機ハイブリッド化合物である、請求項7に記載の固体電解質膜。
- 燃料電池の固体電解質膜としての、固体電解質、及び請求項1〜4のいずれかに記載の固体電解質補強材を含む膜の使用。
- 請求項6〜8のいずれかに記載の固体電解質膜を含む、燃料電池。
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Legal Events
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