JP2005011724A - プロトン伝導性膜用補強材およびそれを用いたプロトン伝導性膜、ならびにそれを用いた燃料電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐熱性および耐久性に優れ、かつ、高強度のプロトン伝導性膜の補強材を安価に提供する。
【解決手段】耐酸性無機層を被覆した有機繊維の布からなるプロトン伝導性膜用補強材、この補強材を用いたプロトン伝導性膜、およびこのプロトン伝導性膜を用いた燃料電池。前記有機繊維は0.10〜20μmの平均繊維直径を有し、前記耐酸性無機層を形成する無機材料がシリカ、アルミナおよびチタニアよりなる群から選ばれた少なくとも1種類であることが好ましい。
【選択図】 なし
【解決手段】耐酸性無機層を被覆した有機繊維の布からなるプロトン伝導性膜用補強材、この補強材を用いたプロトン伝導性膜、およびこのプロトン伝導性膜を用いた燃料電池。前記有機繊維は0.10〜20μmの平均繊維直径を有し、前記耐酸性無機層を形成する無機材料がシリカ、アルミナおよびチタニアよりなる群から選ばれた少なくとも1種類であることが好ましい。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池の電解質膜として利用されるプロトン伝導性膜の補強材、そのプロトン伝導性膜、ならびに燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、発電効率が高く、かつ、環境負荷が小さいため、環境にやさしい新エネルギーとして注目されている。燃料電池は、一般に電解質の種類によりいくつかのタイプに分類されるが、この中でも固体高分子型燃料電池(PEFC)は、高出力、かつ、小型軽量化が容易であり、さらに量産効果による低コスト化も期待できることから、小規模オンサイト型、自動車用または携帯用など次世代の燃料電池の主力として期待されている。
【0003】
これら固体高分子型燃料電池は、電解質が高分子膜(プロトン伝導性膜)であり、通常は室温から80℃程度の比較的低い温度領域で運転される。しかしながら、この温度領域の運転では、触媒の一酸化炭素による被毒が顕著なるなどの致命的な問題が生じ、また廃熱利用ができずエネルギー利用効率が低いなどの問題がある。固体高分子型燃料電池を100℃以上で運転できれば、発電効率が向上するとともに廃熱利用が可能となる。さらに、運転温度を140℃まで上昇させることができれば、発電効率の向上や廃熱利用に加えて、触媒の一酸化炭素による被毒が軽減され、触媒材料選択の幅が広がり、燃料電池の製造コストを抑えることができる。
【0004】
現在、プロトン伝導性膜として主に使用されているものは、パーフルオロアルキレンを主骨格とし、一部にパーフルオロビニルエーテル側鎖の末端にスルホン酸基、カルボン酸基などのイオン交換基を有するフッ素系膜であり、たとえばNafion R膜(Du Pont社、特許文献1)、Dow膜(Dow Chemical社、特許文献2)、Aciplex R膜(旭化成工業(株)、特許文献3)およびFlemion R膜(旭硝子(株))などが知られている。これらフッ素系膜は、100℃以上の高い温度領域で電解質膜として用いた場合、プロトン伝導に寄与しているイオンチャネル構造が破壊されたり、ドライアップしてプロトン伝導が阻害され、電解質膜として機能しなくなったりする。これらの状況から、従来の燃料電池では、80℃以下の低い温度領域で運転せざるを得ない。
【0005】
そこで、これらフッ素系膜の欠点を改善し、固体高分子型燃料電池の運転温度を上昇させるために、種々の電解質膜材料(すなわち、プロトン伝導性材料)が提案されている。代表的なものとしては、従来のフッ素系膜の代わりとなる耐熱性の芳香族系高分子材料が挙げられ、ポリベンズイミダゾール(特許文献4)、ポリエーテルスルホン(特許文献5、特許文献6)、ポリエーテルエーテルケトン(特許文献7)、またはポリエチレンオキシドなどの有機重合体にケイ素、チタンもしくはジルコニウムなどの金属酸化物3次元架橋構造体を複合化して適度な柔軟性と耐熱性を併せ持たせた膜(特許文献8)などが知られている。しかし、これらの高分子材料では、膜強度が十分でなく、膜−電極接合体形成の際、破損などの可能性が高いという問題がある。
【0006】
特許文献9には、ポリエチレンオキシドなどの有機重合体にケイ素、チタンもしくはジルコニウムなどの金属酸化物3次元架橋構造体を複合化した膜に織布などの補強材を用いて、その強度を高めることが記載されている。こうした補強材を構成する繊維としては、アクリル、ポリエステル、ポリプロピレンもしくはフッ素樹脂などの高分子繊維、絹、綿もしくは紙などの天然素材系の繊維、またはガラス繊維繊維などが挙げられる。これらの中でも、強度や膜組成物との親和性からガラス繊維が最も好ましい旨、上記公報に記載されている。
【0007】
【特許文献1】
米国特許第4,330,654号明細書
【特許文献2】
特開平4−366137号公報
【特許文献3】
特開平6−342665号公報
【特許文献4】
特開平9−110982号公報
【特許文献5】
特開平10−21943号公報
【特許文献6】
特開平10−45913号公報
【特許文献7】
特開平9−87510号公報
【特許文献8】
特開2001−35509号公報
【特許文献9】
特開2001−307545号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アクリル、ポリエステル、ポリプロピレンなどの高分子繊維、絹、綿もしくは紙などの天然素材系の繊維は、高温や長期での耐酸性に問題があった。また、フッ素樹脂は耐酸性は良いものの非常に高価で補強材としては不適であった。
【0009】
一方、鉛蓄電池などの耐酸性条件下での使用に適したCガラス組成からなるガラス繊維は、極細化および長繊維化が難しいため、この耐酸性の優れたガラス繊維を用いてプロトン伝導性膜用補強材として好適な極薄の布を製造することは困難であった。そのため、厚さ50μm以下のガラス繊維織布には、Eガラス組成からなるガラス繊維が利用される。しかし、Eガラス組成からなるガラス繊維では、耐酸性が十分でないなどの問題があった。
【0010】
以上のように、100℃以上の高温で十分な耐久性を有し、機械的性能も満足したプロトン伝導性膜は、これまで存在しなかった。本発明は、上記の固体高分子型燃料電池の電解質膜およびその補強材における問題点を解決するためになされたものである。その目的とするところは、耐熱性および耐久性に優れ、かつ、高強度のプロトン伝導性膜の補強材を安価に提供することにある。さらには、その補強材を用いたプロトン伝導性膜および燃料電池を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のプロトン伝導性膜用補強材は、耐酸性無機層を被覆した有機繊維の布からなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明においては、プロトン伝導性膜の補強材として、有機繊維織布または有機繊維不織布の繊維の表面上に耐酸性無機層を被覆した布を用いる。
織布または不織布に使用される有機繊維は特に限定されず、セルロース、タンパク等の天然繊維やポリアミド、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリオキシメチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド等の化学繊維を例示することができる。なかでも耐酸性が良く取り扱いが簡単なポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィンやポリエステルを用いることが好ましい。これらの有機繊維は単独で、または混合して用いられてもよく、また芯鞘複合繊維を用いられてもよい。芯鞘複合繊維としては鞘の材料が芯の材料よりも低い加熱温度で軟化融着するもの、例えばポリプロピレンが芯部ポリマーでポリエチレンが鞘部ポリマーである芯鞘複合繊維が好ましく用いられる。
【0013】
耐酸性無機層を被覆する前の有機繊維の直径は、特に限定されるものではないが、その値が0.10〜20μmであることが好ましい。繊維の直径が0.10μmより細い場合は、製造コストが極端に高くなり現実的でない。一方、20μmを超えると、50μm以下の厚みで均一な織布および不織布の形成ができなくなる。有機繊維の長さは、特に限定されるものではないが、その平均長さは2mm以上であることが好ましい。2mm未満の場合は、抄紙および織成が困難になったり、有機繊維布の強度が低下する。織布の場合には有機繊維の長さの上限は特に無いが、不織布の場合には、有機繊維の長さが50mmを超えると、抄紙においてスラリー中での均一分散が難しくなるため、均一な補強材を製造し難くなる。
【0014】
有機繊維の表面に被覆される耐酸性無機層は、耐酸性を有する無機物であれば特に限定されず、シリカ、アルミナ、チタニア等よりなる群から選ばれた少なくとも1種類の金属酸化物が、親水性や耐酸化性が比較的高いため、本発明の無機物として好適である。なかでもシリカが安価で耐酸性も高く最も好ましい。これらの無機物は、1種のみで使用されてもよく、2種類以上を併用されてもよい。
【0015】
耐酸性無機層の厚さは、10〜1,000nmであることが好ましい。10nm未満であると耐酸性が十分でなく、有機繊維が電解質の酸によって腐食されたり、電解質特性に悪影響を与えたりする。一方、1,000nmを超えると、被覆された有機繊維が太くなってしまい、柔軟性が失われ、取り扱いに不具合を生じてしまう。耐酸性無機層のより好ましい厚さは、20〜500nmである。
【0016】
有機繊維の表面に耐酸性無機層を被覆する方法は、とくに限定されるものではなく、金属塩から金属酸化物を析出させる方法、ゾルゲル法、CVD法、LPD法または微粒子を担持させる方法などの公知の方法を利用することができる。たとえば、耐酸性無機層としてシリカを被覆する場合、特公昭46−9555号公報に示された方法を利用して、ケイ酸ナトリウム(水ガラス)をアルカリ環境下で有機材料の短繊維の分散液に添加し、有機繊維にシリカを析出させる方法(金属塩法)、特公昭48−32415号公報や特開平3−54126号公報に示された方法を利用して、有機繊維またはその布と金属アルコキシド例えばテトラアルコキシシランとの混合物を酸性溶液中またはアルカリ性溶液中に投入し、テトラアルコキシシランの加水分解により有機繊維表面にシリカ被膜を成形する方法(ゾルゲル法)、特開平3−66764号公報に示される方法を利用してケイフッ化水素酸溶液中に有機短繊維またはその布を懸濁させ、ホウ酸やアルミニウムを添加したり温度を上昇させたりして平衡をずらし、有機繊維にシリカ被膜を成形する方法(LPD法)などが挙げられる。
【0017】
また、簡便な方法として有機繊維の表面に耐酸性無機微粒子(ゾル等の金属酸化物微粒子分散体を含む)を層状に被覆させる方法がある。この場合、電解質中の酸が微粒子の空隙を通る可能性があるため、微粒子の直径は1〜50nmであることが好ましい。微粒子の直径が1nmより小さい場合は、粒子製造においてコストが高くなり、実用的でなく、また懸濁液中における粒子の凝集力が強過ぎて、懸濁液の安定性が低下し、有機繊維表面に均一に存在させることが難しくなる。一方50nmより大きい場合は、有機繊維との密着性が悪くなり、脱離、脱落等の問題がでてくると共に、電解質の酸の浸透が容易となり、有機繊維が容易に腐食され易くなる。微粒子を用いて耐酸性無機層を被覆する場合、粒子間の結合を強くするために、粒子を溶液中に分散させたゾルを用いることがより好ましい。ゾルの場合、乾燥時の脱水縮合により粒子同士が結合し、被膜化することで耐酸性がより向上するためである。
【0018】
有機繊維表面に耐酸性無機微粒子を層状被覆させる方法は上述の方法に限定されるものではなく、以下のような方法が例示できる。例えば微粒子の分散媒を水、有機溶剤もしくはこれらの相溶液とし、これに微粒子を分散させた溶液を作製する。分散が難しい場合は界面活性剤を用いても良い。そして、この分散液を繊維の表面に塗布する。塗布方法は、吹き付け法もしくはディッピング法等が利用できる。
【0019】
また、これら耐酸性無機層の被覆を容易にするために、前もって基材である有機繊維表面を親水化または疎水化等の処理を行っても良い。
【0020】
この耐酸性無機層を被覆した有機繊維を用いて、織成、抄造、積重その他の方法により織布または不織布が得られる。また被覆していない有機繊維を用いて、織成、抄造、積重その他の方法により織布または不織布を得た後に上述のように耐酸性無機層を被覆させてもよい。後者の方が、隣り合った有機繊維を耐酸性無機層が互いに結合して有機繊維布の機械的強度が高くなるので好ましい。有機繊維の布は、単独でも電解質膜の補強材として十分な強度を発揮し得るので好ましく用いられるが、ガラス短繊維からなる不織布と組み合わせて使用することもできる。有機繊維布とガラス短繊維からなる不織布とを組み合わせる方法は特に限定されるものではない。有機繊維とガラス短繊維の混合物からなる不織布は特に好ましい。これらは、有機繊維布を基材としてその間隙の中にガラス短繊維を抄紙する方法、ガラス短繊維不織布と有機繊維布を積層して圧着する方法、有機短繊維とガラス短繊維を混合抄紙する方法などが例示される。補強材強度を向上させるために、これらの方法で組み合わせた後、カレンダーロール等で熱成型し、有機繊維同士を接着させることがさらに好ましい。
【0021】
有機繊維布へ耐酸性無機層を形成する時期は特に限定されないが、ガラス短繊維からなる不織布と組み合わせ、カレンダーロール等で熱成型した後、前記の方法で被覆することが熱成型での強度向上を効果的に行うことができるため好ましい。
【0022】
前記ガラス繊維不織布に使用されるガラス短繊維は、鉛蓄電池用セパレータなどに用いられるCガラス組成のものが好ましい。ガラス繊維における公知の組成の中で、Cガラス組成が最も耐酸性が高いからである。なお、Eガラス組成からなる短繊維にリーチングないしシリカ被膜を成形したものを利用してもよい。
【0023】
ガラス短繊維の平均直径は、0.1〜2μmであることが好ましい。0.1μm未満では、製造コストが極端に高くなる。一方、2μmを超えると、抄紙する場合に繊維同士の絡みが弱くなり、単独で抄紙し難くなったり、織布から遊離し易くなったりする。また、その平均長さは2〜50mmであることが好ましい。2mm未満の場合は、単独で抄紙し難くなったり、有機繊維布の隙間の中に抄紙したときに繊維同士の絡みが弱くなったりする。一方、50mmを超えると、抄紙においてスラリー中での均一分散が難しくなるため、均一な補強材を製造し難くなる。
【0024】
有機繊維布に組み合わされるガラス短繊維の割合は0重量%〜95重量%であることが好ましい。95重量%を超えると有機繊維布の強度が著しく低下して補強材としての強度を得られなくなる。
【0025】
電解質膜の機能を確保するためには、耐酸性無機層を被覆した有機繊維の布の厚さは100μm以下であることが好ましく、より好ましくは50μm以下で10μm以上である。そのために耐酸性無機層を被覆した有機繊維布の目付(単位面積あたりの質量)は、2〜60g/m2であることが好ましい。2g/m2未満では、充分な引張強度を得ることができない。一方、60g/m2を超えると、電解質膜の補強材としては厚くなりすぎ、これを薄くするためにプレス等によって密度を高くすれば、電解質を保持する空隙が無くなってしまうなどの問題が生じる。より好ましい目付は5〜30g/m2である。
【0026】
また、耐酸性無機層を被覆した有機繊維の布は、その空隙率が50〜98体積%であることが好ましい。空隙率が98体積%を超えると、強度が著しく低くなり、補強材としての役割を果たさなくなる。一方、50体積%未満では、プロトン伝導率が低下する。より好ましい空隙率は80〜98体積%である。空隙率の値は、耐酸性無機層を被覆した有機繊維布の厚みをマイクロメーターで測定した値t、有機繊維の密度d1および総質量W1ならびに耐酸性無機層の物質の密度d2および総質量W2から計算する。
【0027】
上記電解質膜の補強材に電解質を固着させるが、その電解質は、プロトン伝導型のものであればどのような組成のものでもよい。例えば、前記特許文献9に記載のポリエチレンオキシド等の有機重合体にケイ素、チタン、ジルコニウム等の金属酸化物3次元架橋構造体を複合化したものが挙げられる。この電解質は、100℃以上の酸性雰囲気下での使用にも耐えられる。
【0028】
本発明のプロトン伝導性膜は、公知の手段を用いて、燃料電池の電解質膜として使用することができる。また、本発明の燃料電池は、プロトン伝導型高分子固体電解質燃料電池であればどのような構成でもよいが、特に100℃以上の酸性雰囲気下で使用するものが好ましい。
【0029】
本発明によれば、有機織布または不織布の繊維の表面上に耐酸性無機層を被覆した布を用いることによって、強度、耐熱性および耐酸性が高く、かつより均一で強度のある電解質膜の補強材を提供することができる。さらに、これら電解質膜の補強材を用いることにより、高温でも優れたプロトン伝導性を示すプロトン伝導性膜および発電効率のよい安価な燃料電池を提供することができる。
【0030】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明の要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ポリプロピレンが芯部ポリマーでポリエチレンが鞘部ポリマーである平均長さ5mmで12μm直径(芯部直径10μm)の芯鞘複合繊維を用いて、抄紙法により目付11g/m2の不織布を成形した。この不織布を表面温度120℃のカレンダーロールに通すことにより芯鞘複合繊維の鞘ポリマーのポリエチレンを互いに融着させて、33μmの厚さに接着成形された不織布が得られた。また、テトラエトキシシラン1.5ml、エチルアルコール30ml、および純水6mlを混合して溶液を調製した。次に、先に準備した接着成形不織布を10cmx10cmに切り出し、この溶液中に浸漬した。その後にこの溶液に水酸化アンモニウム溶液(濃度25%)1.4mlを添加し、この状態で緩く撹拌、2〜3時間脱水縮合反応を行った。反応後、浸漬した不織布を取り出し、水洗、乾燥することによりプロトン伝導性膜用補強材を作製した。この補強材の厚みはマイクロメーターで測定したところ33μmで、空隙率は約63体積%であった。また、作製された補強材の繊維断面を電子顕微鏡で観察したところ約100nmのシリカが被覆されていた。
【0031】
(実施例2)
実施例1で用いたと同じ芯鞘複合繊維を用いて、実施例1と同様に抄紙法により目付11g/m2の不織布を成形し、実施例1と同様に表面温度120℃のカレンダーロールに通し、30μmの厚さに接着成形した。また、二酸化珪素の微粒子(平均粒径:20nm)を2−プロパノール溶液に投入し、均一分散するよう激しく撹拌して、二酸化珪素濃度20g/Lの懸濁液を得た。この懸濁液を浸漬槽に入れ、その後前記不織布を浸漬し、ついで引き上げて二酸化珪素の微粒子をその不織布の繊維表面に担持させた。そして、常温エアーを吹き付けて乾燥させた。二酸化珪素の被覆層の厚みは130μmであった。さらにコロイダルシリカ(二酸化珪素微粒子の平均粒径:7nm、水分散、二酸化珪素濃度約30重量%、「シリカドール30S」、日本化学工業製)を0.3重量%まで希釈した溶液を準備し、これに先の二酸化珪素微粒子担持不織布を浸漬し、乾燥することによりプロトン伝導性膜用補強材を得た。この補強材の厚みはマイクロメーターで測定したところ34μmで、空隙率は約62体積%であった。また、作製された補強材の繊維断面を電子顕微鏡で観察したところ約150nmのシリカが被覆されていた。
【0032】
(実施例3)
実施例1で用いたと同じ芯鞘複合繊維を55質量%、平均直径約0.5μm、平均長さ3mmのCガラス組成からなる細いガラス短繊維を45質量%、同時にパルパーに投入し、硫酸でpH2.5に調製した水溶液中で充分に解離、分散させ、抄紙用のスラリーを作製した。これらのガラス繊維分散液を、湿式抄紙装置を用いて抄紙して、芯鞘複合繊維とガラス短繊維を上記配合比に等しい割合で含有し、10g/m2の目付を有する不織布が得られた。この不織布を表面温度120℃のカレンダーロールに通し、30μmの厚さに接着成形した。この不織布に実施例1と同様の方法を用いて約100nmのシリカ層を被覆し、補強材を得た。この補強材の厚みはマイクロメーターで測定したところ32μmで、空隙率は約76体積%であった。
【0033】
(比較例1)
実施例1で用いたと同じポリプロピレンが芯部ポリマーでポリエチレンが鞘部ポリマーである12μm直径の芯鞘複合繊維を用いて、抄紙法により目付11g/m2の不織布を成形した。この不織布を表面温度120℃のカレンダーロールに通し、33μmの厚さに接着成形した。この不織布にシリカを被覆することなく、補強材とした。この補強材の空隙率は約66体積%であった。
【0034】
(比較例2)
実施例3で用いた平均直径0.5μmのCガラス組成からなるガラス短繊維をパルパーにて十分に解離、分散させ、スラリーを作製した。このスラリーを抄紙して、目付10g/m2のガラス短繊維のみからなる不織布を作製し、補強材を得た。この補強材の厚みはマイクロメーターで測定したところ50μmで、空隙率が92%であった。
【0035】
実施例1〜3および比較例1〜2で作製した電解質膜の補強材について、下記の試験を行った。試験の結果を表1にまとめて示す。
【0036】
〔耐酸性試験〕
160℃のオートクレーブ中において、1規定硫酸中に各補強材を24時間浸漬し、その浸漬前後の変化を目視で確認(形状、色)した。
【0037】
〔引張り強度測定〕
上記耐酸性試験の前後において、JIS R3420に従い、幅25mm、長さ250mmの試験片を準備し、つかみ間隔約150mmで、約200mm/分の速度で引っ張って、破断時の荷重(N)を測定した。
【0038】
【表1】
【0039】
上記実施例および比較例の結果から明白なように、実施例1〜3では耐酸試験前および試験後の引っ張り強度は17N/25mm以上と大きく、耐酸性試験後目視による形状、色の変化は無かった。それに対し、比較例では耐酸試験後の引張り強度は1N/25mm未満であって小さく、比較例2では耐酸性試験後目視による色の変化が生じることが判る。
実施例1、2と比較例1との対比から、有機繊維不織布のみでは耐酸性が悪く、耐酸試験後に引張り強度が著しく低下していることが判る。実施例3と比較例2との対比から、ガラス繊維のみの不織布では耐酸試験による変化はないが、本来の機械的強度が低く補強材としては不適であり、有機繊維不織布と組み合わせることで強度があり且つ耐酸性も持ち合わせた補強材となることが判る。
【0040】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明における電解質膜の補強材は、有機織布または不織布の繊維の表面に耐酸性無機層を被覆した布であるので、より均一で強度のある電解質膜の補強材を提供することができる。また、耐酸性無機層がシリカ、アルミナ、チタニアよりなる群から選ばれた少なくとも1種類であるため高温の酸性環境下でも補強材として必要な強度を充分に保ちつことができる。したがって、この補強材を用いることにより、高温でも優れたプロトン伝導性を示すプロトン伝導性膜、さらには発電効率の高い燃料電池を提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池の電解質膜として利用されるプロトン伝導性膜の補強材、そのプロトン伝導性膜、ならびに燃料電池に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池は、発電効率が高く、かつ、環境負荷が小さいため、環境にやさしい新エネルギーとして注目されている。燃料電池は、一般に電解質の種類によりいくつかのタイプに分類されるが、この中でも固体高分子型燃料電池(PEFC)は、高出力、かつ、小型軽量化が容易であり、さらに量産効果による低コスト化も期待できることから、小規模オンサイト型、自動車用または携帯用など次世代の燃料電池の主力として期待されている。
【0003】
これら固体高分子型燃料電池は、電解質が高分子膜(プロトン伝導性膜)であり、通常は室温から80℃程度の比較的低い温度領域で運転される。しかしながら、この温度領域の運転では、触媒の一酸化炭素による被毒が顕著なるなどの致命的な問題が生じ、また廃熱利用ができずエネルギー利用効率が低いなどの問題がある。固体高分子型燃料電池を100℃以上で運転できれば、発電効率が向上するとともに廃熱利用が可能となる。さらに、運転温度を140℃まで上昇させることができれば、発電効率の向上や廃熱利用に加えて、触媒の一酸化炭素による被毒が軽減され、触媒材料選択の幅が広がり、燃料電池の製造コストを抑えることができる。
【0004】
現在、プロトン伝導性膜として主に使用されているものは、パーフルオロアルキレンを主骨格とし、一部にパーフルオロビニルエーテル側鎖の末端にスルホン酸基、カルボン酸基などのイオン交換基を有するフッ素系膜であり、たとえばNafion R膜(Du Pont社、特許文献1)、Dow膜(Dow Chemical社、特許文献2)、Aciplex R膜(旭化成工業(株)、特許文献3)およびFlemion R膜(旭硝子(株))などが知られている。これらフッ素系膜は、100℃以上の高い温度領域で電解質膜として用いた場合、プロトン伝導に寄与しているイオンチャネル構造が破壊されたり、ドライアップしてプロトン伝導が阻害され、電解質膜として機能しなくなったりする。これらの状況から、従来の燃料電池では、80℃以下の低い温度領域で運転せざるを得ない。
【0005】
そこで、これらフッ素系膜の欠点を改善し、固体高分子型燃料電池の運転温度を上昇させるために、種々の電解質膜材料(すなわち、プロトン伝導性材料)が提案されている。代表的なものとしては、従来のフッ素系膜の代わりとなる耐熱性の芳香族系高分子材料が挙げられ、ポリベンズイミダゾール(特許文献4)、ポリエーテルスルホン(特許文献5、特許文献6)、ポリエーテルエーテルケトン(特許文献7)、またはポリエチレンオキシドなどの有機重合体にケイ素、チタンもしくはジルコニウムなどの金属酸化物3次元架橋構造体を複合化して適度な柔軟性と耐熱性を併せ持たせた膜(特許文献8)などが知られている。しかし、これらの高分子材料では、膜強度が十分でなく、膜−電極接合体形成の際、破損などの可能性が高いという問題がある。
【0006】
特許文献9には、ポリエチレンオキシドなどの有機重合体にケイ素、チタンもしくはジルコニウムなどの金属酸化物3次元架橋構造体を複合化した膜に織布などの補強材を用いて、その強度を高めることが記載されている。こうした補強材を構成する繊維としては、アクリル、ポリエステル、ポリプロピレンもしくはフッ素樹脂などの高分子繊維、絹、綿もしくは紙などの天然素材系の繊維、またはガラス繊維繊維などが挙げられる。これらの中でも、強度や膜組成物との親和性からガラス繊維が最も好ましい旨、上記公報に記載されている。
【0007】
【特許文献1】
米国特許第4,330,654号明細書
【特許文献2】
特開平4−366137号公報
【特許文献3】
特開平6−342665号公報
【特許文献4】
特開平9−110982号公報
【特許文献5】
特開平10−21943号公報
【特許文献6】
特開平10−45913号公報
【特許文献7】
特開平9−87510号公報
【特許文献8】
特開2001−35509号公報
【特許文献9】
特開2001−307545号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、アクリル、ポリエステル、ポリプロピレンなどの高分子繊維、絹、綿もしくは紙などの天然素材系の繊維は、高温や長期での耐酸性に問題があった。また、フッ素樹脂は耐酸性は良いものの非常に高価で補強材としては不適であった。
【0009】
一方、鉛蓄電池などの耐酸性条件下での使用に適したCガラス組成からなるガラス繊維は、極細化および長繊維化が難しいため、この耐酸性の優れたガラス繊維を用いてプロトン伝導性膜用補強材として好適な極薄の布を製造することは困難であった。そのため、厚さ50μm以下のガラス繊維織布には、Eガラス組成からなるガラス繊維が利用される。しかし、Eガラス組成からなるガラス繊維では、耐酸性が十分でないなどの問題があった。
【0010】
以上のように、100℃以上の高温で十分な耐久性を有し、機械的性能も満足したプロトン伝導性膜は、これまで存在しなかった。本発明は、上記の固体高分子型燃料電池の電解質膜およびその補強材における問題点を解決するためになされたものである。その目的とするところは、耐熱性および耐久性に優れ、かつ、高強度のプロトン伝導性膜の補強材を安価に提供することにある。さらには、その補強材を用いたプロトン伝導性膜および燃料電池を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明のプロトン伝導性膜用補強材は、耐酸性無機層を被覆した有機繊維の布からなる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
本発明においては、プロトン伝導性膜の補強材として、有機繊維織布または有機繊維不織布の繊維の表面上に耐酸性無機層を被覆した布を用いる。
織布または不織布に使用される有機繊維は特に限定されず、セルロース、タンパク等の天然繊維やポリアミド、ポリエステル、アクリル、ポリオレフィン、ポリビニルアルコール、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリオキシメチレン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド等の化学繊維を例示することができる。なかでも耐酸性が良く取り扱いが簡単なポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィンやポリエステルを用いることが好ましい。これらの有機繊維は単独で、または混合して用いられてもよく、また芯鞘複合繊維を用いられてもよい。芯鞘複合繊維としては鞘の材料が芯の材料よりも低い加熱温度で軟化融着するもの、例えばポリプロピレンが芯部ポリマーでポリエチレンが鞘部ポリマーである芯鞘複合繊維が好ましく用いられる。
【0013】
耐酸性無機層を被覆する前の有機繊維の直径は、特に限定されるものではないが、その値が0.10〜20μmであることが好ましい。繊維の直径が0.10μmより細い場合は、製造コストが極端に高くなり現実的でない。一方、20μmを超えると、50μm以下の厚みで均一な織布および不織布の形成ができなくなる。有機繊維の長さは、特に限定されるものではないが、その平均長さは2mm以上であることが好ましい。2mm未満の場合は、抄紙および織成が困難になったり、有機繊維布の強度が低下する。織布の場合には有機繊維の長さの上限は特に無いが、不織布の場合には、有機繊維の長さが50mmを超えると、抄紙においてスラリー中での均一分散が難しくなるため、均一な補強材を製造し難くなる。
【0014】
有機繊維の表面に被覆される耐酸性無機層は、耐酸性を有する無機物であれば特に限定されず、シリカ、アルミナ、チタニア等よりなる群から選ばれた少なくとも1種類の金属酸化物が、親水性や耐酸化性が比較的高いため、本発明の無機物として好適である。なかでもシリカが安価で耐酸性も高く最も好ましい。これらの無機物は、1種のみで使用されてもよく、2種類以上を併用されてもよい。
【0015】
耐酸性無機層の厚さは、10〜1,000nmであることが好ましい。10nm未満であると耐酸性が十分でなく、有機繊維が電解質の酸によって腐食されたり、電解質特性に悪影響を与えたりする。一方、1,000nmを超えると、被覆された有機繊維が太くなってしまい、柔軟性が失われ、取り扱いに不具合を生じてしまう。耐酸性無機層のより好ましい厚さは、20〜500nmである。
【0016】
有機繊維の表面に耐酸性無機層を被覆する方法は、とくに限定されるものではなく、金属塩から金属酸化物を析出させる方法、ゾルゲル法、CVD法、LPD法または微粒子を担持させる方法などの公知の方法を利用することができる。たとえば、耐酸性無機層としてシリカを被覆する場合、特公昭46−9555号公報に示された方法を利用して、ケイ酸ナトリウム(水ガラス)をアルカリ環境下で有機材料の短繊維の分散液に添加し、有機繊維にシリカを析出させる方法(金属塩法)、特公昭48−32415号公報や特開平3−54126号公報に示された方法を利用して、有機繊維またはその布と金属アルコキシド例えばテトラアルコキシシランとの混合物を酸性溶液中またはアルカリ性溶液中に投入し、テトラアルコキシシランの加水分解により有機繊維表面にシリカ被膜を成形する方法(ゾルゲル法)、特開平3−66764号公報に示される方法を利用してケイフッ化水素酸溶液中に有機短繊維またはその布を懸濁させ、ホウ酸やアルミニウムを添加したり温度を上昇させたりして平衡をずらし、有機繊維にシリカ被膜を成形する方法(LPD法)などが挙げられる。
【0017】
また、簡便な方法として有機繊維の表面に耐酸性無機微粒子(ゾル等の金属酸化物微粒子分散体を含む)を層状に被覆させる方法がある。この場合、電解質中の酸が微粒子の空隙を通る可能性があるため、微粒子の直径は1〜50nmであることが好ましい。微粒子の直径が1nmより小さい場合は、粒子製造においてコストが高くなり、実用的でなく、また懸濁液中における粒子の凝集力が強過ぎて、懸濁液の安定性が低下し、有機繊維表面に均一に存在させることが難しくなる。一方50nmより大きい場合は、有機繊維との密着性が悪くなり、脱離、脱落等の問題がでてくると共に、電解質の酸の浸透が容易となり、有機繊維が容易に腐食され易くなる。微粒子を用いて耐酸性無機層を被覆する場合、粒子間の結合を強くするために、粒子を溶液中に分散させたゾルを用いることがより好ましい。ゾルの場合、乾燥時の脱水縮合により粒子同士が結合し、被膜化することで耐酸性がより向上するためである。
【0018】
有機繊維表面に耐酸性無機微粒子を層状被覆させる方法は上述の方法に限定されるものではなく、以下のような方法が例示できる。例えば微粒子の分散媒を水、有機溶剤もしくはこれらの相溶液とし、これに微粒子を分散させた溶液を作製する。分散が難しい場合は界面活性剤を用いても良い。そして、この分散液を繊維の表面に塗布する。塗布方法は、吹き付け法もしくはディッピング法等が利用できる。
【0019】
また、これら耐酸性無機層の被覆を容易にするために、前もって基材である有機繊維表面を親水化または疎水化等の処理を行っても良い。
【0020】
この耐酸性無機層を被覆した有機繊維を用いて、織成、抄造、積重その他の方法により織布または不織布が得られる。また被覆していない有機繊維を用いて、織成、抄造、積重その他の方法により織布または不織布を得た後に上述のように耐酸性無機層を被覆させてもよい。後者の方が、隣り合った有機繊維を耐酸性無機層が互いに結合して有機繊維布の機械的強度が高くなるので好ましい。有機繊維の布は、単独でも電解質膜の補強材として十分な強度を発揮し得るので好ましく用いられるが、ガラス短繊維からなる不織布と組み合わせて使用することもできる。有機繊維布とガラス短繊維からなる不織布とを組み合わせる方法は特に限定されるものではない。有機繊維とガラス短繊維の混合物からなる不織布は特に好ましい。これらは、有機繊維布を基材としてその間隙の中にガラス短繊維を抄紙する方法、ガラス短繊維不織布と有機繊維布を積層して圧着する方法、有機短繊維とガラス短繊維を混合抄紙する方法などが例示される。補強材強度を向上させるために、これらの方法で組み合わせた後、カレンダーロール等で熱成型し、有機繊維同士を接着させることがさらに好ましい。
【0021】
有機繊維布へ耐酸性無機層を形成する時期は特に限定されないが、ガラス短繊維からなる不織布と組み合わせ、カレンダーロール等で熱成型した後、前記の方法で被覆することが熱成型での強度向上を効果的に行うことができるため好ましい。
【0022】
前記ガラス繊維不織布に使用されるガラス短繊維は、鉛蓄電池用セパレータなどに用いられるCガラス組成のものが好ましい。ガラス繊維における公知の組成の中で、Cガラス組成が最も耐酸性が高いからである。なお、Eガラス組成からなる短繊維にリーチングないしシリカ被膜を成形したものを利用してもよい。
【0023】
ガラス短繊維の平均直径は、0.1〜2μmであることが好ましい。0.1μm未満では、製造コストが極端に高くなる。一方、2μmを超えると、抄紙する場合に繊維同士の絡みが弱くなり、単独で抄紙し難くなったり、織布から遊離し易くなったりする。また、その平均長さは2〜50mmであることが好ましい。2mm未満の場合は、単独で抄紙し難くなったり、有機繊維布の隙間の中に抄紙したときに繊維同士の絡みが弱くなったりする。一方、50mmを超えると、抄紙においてスラリー中での均一分散が難しくなるため、均一な補強材を製造し難くなる。
【0024】
有機繊維布に組み合わされるガラス短繊維の割合は0重量%〜95重量%であることが好ましい。95重量%を超えると有機繊維布の強度が著しく低下して補強材としての強度を得られなくなる。
【0025】
電解質膜の機能を確保するためには、耐酸性無機層を被覆した有機繊維の布の厚さは100μm以下であることが好ましく、より好ましくは50μm以下で10μm以上である。そのために耐酸性無機層を被覆した有機繊維布の目付(単位面積あたりの質量)は、2〜60g/m2であることが好ましい。2g/m2未満では、充分な引張強度を得ることができない。一方、60g/m2を超えると、電解質膜の補強材としては厚くなりすぎ、これを薄くするためにプレス等によって密度を高くすれば、電解質を保持する空隙が無くなってしまうなどの問題が生じる。より好ましい目付は5〜30g/m2である。
【0026】
また、耐酸性無機層を被覆した有機繊維の布は、その空隙率が50〜98体積%であることが好ましい。空隙率が98体積%を超えると、強度が著しく低くなり、補強材としての役割を果たさなくなる。一方、50体積%未満では、プロトン伝導率が低下する。より好ましい空隙率は80〜98体積%である。空隙率の値は、耐酸性無機層を被覆した有機繊維布の厚みをマイクロメーターで測定した値t、有機繊維の密度d1および総質量W1ならびに耐酸性無機層の物質の密度d2および総質量W2から計算する。
【0027】
上記電解質膜の補強材に電解質を固着させるが、その電解質は、プロトン伝導型のものであればどのような組成のものでもよい。例えば、前記特許文献9に記載のポリエチレンオキシド等の有機重合体にケイ素、チタン、ジルコニウム等の金属酸化物3次元架橋構造体を複合化したものが挙げられる。この電解質は、100℃以上の酸性雰囲気下での使用にも耐えられる。
【0028】
本発明のプロトン伝導性膜は、公知の手段を用いて、燃料電池の電解質膜として使用することができる。また、本発明の燃料電池は、プロトン伝導型高分子固体電解質燃料電池であればどのような構成でもよいが、特に100℃以上の酸性雰囲気下で使用するものが好ましい。
【0029】
本発明によれば、有機織布または不織布の繊維の表面上に耐酸性無機層を被覆した布を用いることによって、強度、耐熱性および耐酸性が高く、かつより均一で強度のある電解質膜の補強材を提供することができる。さらに、これら電解質膜の補強材を用いることにより、高温でも優れたプロトン伝導性を示すプロトン伝導性膜および発電効率のよい安価な燃料電池を提供することができる。
【0030】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明の要旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
ポリプロピレンが芯部ポリマーでポリエチレンが鞘部ポリマーである平均長さ5mmで12μm直径(芯部直径10μm)の芯鞘複合繊維を用いて、抄紙法により目付11g/m2の不織布を成形した。この不織布を表面温度120℃のカレンダーロールに通すことにより芯鞘複合繊維の鞘ポリマーのポリエチレンを互いに融着させて、33μmの厚さに接着成形された不織布が得られた。また、テトラエトキシシラン1.5ml、エチルアルコール30ml、および純水6mlを混合して溶液を調製した。次に、先に準備した接着成形不織布を10cmx10cmに切り出し、この溶液中に浸漬した。その後にこの溶液に水酸化アンモニウム溶液(濃度25%)1.4mlを添加し、この状態で緩く撹拌、2〜3時間脱水縮合反応を行った。反応後、浸漬した不織布を取り出し、水洗、乾燥することによりプロトン伝導性膜用補強材を作製した。この補強材の厚みはマイクロメーターで測定したところ33μmで、空隙率は約63体積%であった。また、作製された補強材の繊維断面を電子顕微鏡で観察したところ約100nmのシリカが被覆されていた。
【0031】
(実施例2)
実施例1で用いたと同じ芯鞘複合繊維を用いて、実施例1と同様に抄紙法により目付11g/m2の不織布を成形し、実施例1と同様に表面温度120℃のカレンダーロールに通し、30μmの厚さに接着成形した。また、二酸化珪素の微粒子(平均粒径:20nm)を2−プロパノール溶液に投入し、均一分散するよう激しく撹拌して、二酸化珪素濃度20g/Lの懸濁液を得た。この懸濁液を浸漬槽に入れ、その後前記不織布を浸漬し、ついで引き上げて二酸化珪素の微粒子をその不織布の繊維表面に担持させた。そして、常温エアーを吹き付けて乾燥させた。二酸化珪素の被覆層の厚みは130μmであった。さらにコロイダルシリカ(二酸化珪素微粒子の平均粒径:7nm、水分散、二酸化珪素濃度約30重量%、「シリカドール30S」、日本化学工業製)を0.3重量%まで希釈した溶液を準備し、これに先の二酸化珪素微粒子担持不織布を浸漬し、乾燥することによりプロトン伝導性膜用補強材を得た。この補強材の厚みはマイクロメーターで測定したところ34μmで、空隙率は約62体積%であった。また、作製された補強材の繊維断面を電子顕微鏡で観察したところ約150nmのシリカが被覆されていた。
【0032】
(実施例3)
実施例1で用いたと同じ芯鞘複合繊維を55質量%、平均直径約0.5μm、平均長さ3mmのCガラス組成からなる細いガラス短繊維を45質量%、同時にパルパーに投入し、硫酸でpH2.5に調製した水溶液中で充分に解離、分散させ、抄紙用のスラリーを作製した。これらのガラス繊維分散液を、湿式抄紙装置を用いて抄紙して、芯鞘複合繊維とガラス短繊維を上記配合比に等しい割合で含有し、10g/m2の目付を有する不織布が得られた。この不織布を表面温度120℃のカレンダーロールに通し、30μmの厚さに接着成形した。この不織布に実施例1と同様の方法を用いて約100nmのシリカ層を被覆し、補強材を得た。この補強材の厚みはマイクロメーターで測定したところ32μmで、空隙率は約76体積%であった。
【0033】
(比較例1)
実施例1で用いたと同じポリプロピレンが芯部ポリマーでポリエチレンが鞘部ポリマーである12μm直径の芯鞘複合繊維を用いて、抄紙法により目付11g/m2の不織布を成形した。この不織布を表面温度120℃のカレンダーロールに通し、33μmの厚さに接着成形した。この不織布にシリカを被覆することなく、補強材とした。この補強材の空隙率は約66体積%であった。
【0034】
(比較例2)
実施例3で用いた平均直径0.5μmのCガラス組成からなるガラス短繊維をパルパーにて十分に解離、分散させ、スラリーを作製した。このスラリーを抄紙して、目付10g/m2のガラス短繊維のみからなる不織布を作製し、補強材を得た。この補強材の厚みはマイクロメーターで測定したところ50μmで、空隙率が92%であった。
【0035】
実施例1〜3および比較例1〜2で作製した電解質膜の補強材について、下記の試験を行った。試験の結果を表1にまとめて示す。
【0036】
〔耐酸性試験〕
160℃のオートクレーブ中において、1規定硫酸中に各補強材を24時間浸漬し、その浸漬前後の変化を目視で確認(形状、色)した。
【0037】
〔引張り強度測定〕
上記耐酸性試験の前後において、JIS R3420に従い、幅25mm、長さ250mmの試験片を準備し、つかみ間隔約150mmで、約200mm/分の速度で引っ張って、破断時の荷重(N)を測定した。
【0038】
【表1】
【0039】
上記実施例および比較例の結果から明白なように、実施例1〜3では耐酸試験前および試験後の引っ張り強度は17N/25mm以上と大きく、耐酸性試験後目視による形状、色の変化は無かった。それに対し、比較例では耐酸試験後の引張り強度は1N/25mm未満であって小さく、比較例2では耐酸性試験後目視による色の変化が生じることが判る。
実施例1、2と比較例1との対比から、有機繊維不織布のみでは耐酸性が悪く、耐酸試験後に引張り強度が著しく低下していることが判る。実施例3と比較例2との対比から、ガラス繊維のみの不織布では耐酸試験による変化はないが、本来の機械的強度が低く補強材としては不適であり、有機繊維不織布と組み合わせることで強度があり且つ耐酸性も持ち合わせた補強材となることが判る。
【0040】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明における電解質膜の補強材は、有機織布または不織布の繊維の表面に耐酸性無機層を被覆した布であるので、より均一で強度のある電解質膜の補強材を提供することができる。また、耐酸性無機層がシリカ、アルミナ、チタニアよりなる群から選ばれた少なくとも1種類であるため高温の酸性環境下でも補強材として必要な強度を充分に保ちつことができる。したがって、この補強材を用いることにより、高温でも優れたプロトン伝導性を示すプロトン伝導性膜、さらには発電効率の高い燃料電池を提供することができる。
Claims (14)
- 耐酸性無機層を被覆した有機繊維の布からなるプロトン伝導性膜用補強材。
- 前記有機繊維はポリプロピレン、ポリエチレン、ポリメチルペンテンおよびポリエステルよりなる群から選ばれた少なくとも1種類からなる請求項1に記載のプロトン伝導性膜用補強材。
- 前記有機繊維は0.10〜20μmの平均繊維直径を有する請求項1または2に記載のプロトン伝導性膜用補強材。
- 前記有機繊維は芯鞘複合繊維である請求項1〜3のいずれか1項に記載のプロトン伝導性膜用補強材。
- 前記耐酸性無機層を形成する無機材料がシリカ、アルミナおよびチタニアよりなる群から選ばれた少なくとも1種類である請求項1〜4のいずれか1項に記載のプロトン伝導性膜用補強材。
- 前記耐酸性無機層の厚さが10〜1,000nmである請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロトン伝導性膜用補強材。
- ガラス短繊維を有機繊維に対して0重量%〜95重量%の割合で組み合わせた請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロトン伝導性膜用補強材。
- 前記布は有機繊維を抄紙した後に加熱接着して得られる不織布である請求項1〜6のいずれか1項に記載のプロトン伝導性膜用補強材。
- 前記布は有機繊維およびガラス短繊維の混合物を抄紙した後に加熱接着して得られる不織布である請求項7に記載のプロトン伝導性膜用補強材。
- 前記耐酸性無機層は金属アルコキシド含有液または耐酸性無機微粒子の分散液を前記不織布に適用することにより被覆される請求項8または9に記載のプロトン伝導性膜用補強材。
- 前記布が2〜60g/m2の目付を有する請求項1〜10のいずれか1項に記載のプロトン伝導性膜用補強材。
- 前記布が50〜95%の空隙率を有する請求項1〜11のいずれか1項に記載のプロトン伝導性膜用補強材。
- 請求項1〜12のいずれか1項に記載のプロトン伝導性膜用補強材を用いたプロトン伝導性膜。
- 請求項13に記載のプロトン伝導性膜を用いた燃料電池。
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