JPWO2016204181A1 - 積層フィルム - Google Patents

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Abstract

量子ドット層等の光学機能層を有する積層フィルムであって、酸素等による光学機能層の劣化を防止できる積層フィルムの提供を課題とする。光学機能層の少なくとも一方の面にガスバリア層を積層した積層体と、積層体の端面を覆う、固形分全量を100質量部とした際に、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、グリシジル基、オキセタン基、脂環式エポキシ基から少なくとも1つ選ばれる重合性官能基を有する化合物を5質量部以上含有する組成物によって形成された、酸素透過度が10cc/(m2・day・atm)以下の樹脂層とを有することにより、この課題を解決する。

Description

本発明は、液晶表示装置のバックライト等に用いられる積層フィルムに関する。
液晶表示装置((Liquid Crystal Display)以下、LCDともいう)は、消費電力が小さく、省スペースの画像表示装置として年々その用途が広がっている。また、近年の液晶表示装置においては、LCD性能改善として、さらなる省電力化、色再現性向上等が求められている。
LCDに対する省電力化の要求に伴って、バックライト(バックライトユニット)における光利用効率を高め、また、色再現性を向上するために、入射光の波長を変換して出射する量子ドット(QD(Quantum Dot))を、バックライトに利用することが提案されている。
量子ドットとは、三次元全方向において移動方向が制限された電子の状態のことであり、半導体のナノ粒子が、高いポテンシャル障壁で三次元的に囲まれている場合に、このナノ粒子は量子ドットとなる。量子ドットは種々の量子効果を発現する。例えば、電子の状態密度(エネルギー準位)が離散化される「量子サイズ効果」が発現する。この量子サイズ効果によれば、量子ドットの大きさを変化させることで、光の吸収波長や発光波長を制御できる。
量子ドットは、一般的に、アクリル樹脂やエポキシ樹脂等の樹脂からなるマトリックスに分散されて量子ドット層とされ、例えば、波長変換を行う量子ドットフィルムとして、バックライトと液晶パネルとの間に配置されて用いられる。
バックライトから量子ドットフィルムに励起光が入射すると、量子ドットが励起され蛍光を発光する。ここで異なる発光特性を有する量子ドットを用いることで、赤色光、緑色光、青色光の半値幅の狭い光を発光させて白色光を具現化することができる。量子ドットによる蛍光は半値幅が狭いため、波長を適切に選択することで得られる白色光を高輝度にしたり色再現性に優れる設計にすることが可能である。
ところで、量子ドットは、酸素等によって劣化しやすく、光酸化反応により発光強度が低下するという課題がある。そのため、量子ドットフィルムでは、量子ドット層の両面にガスバリアフィルムを積層して量子ドット層を保護することが行われている。
しかしながら、量子ドット層の両面をガスバリアフィルムで挟持するのみでは、ガスバリアフィルムで覆われていない端面から量子ドット層に水分や酸素が浸入し、量子ドットが劣化するという問題があった。
そのため、量子ドット層の両面に加え、量子ドット層の周辺もガスバリアフィルム等で封止することが提案されている。
例えば、特許文献1には、量子ドット蛍光体を濃度0.0〜20質量%の範囲でシク口オレフィン(共)重合体に分散させた組成物が記載されており、この組成物からなる量子ドットが分散された樹脂成型体の全面を被覆するガスバリア層を有する構成が記載されている。また、このガスバリア層は、樹脂層の少なくとも一方の面にシリカ膜またはアルミナ膜を形成したガスバリアフィルムであることが記載されている。
特許文献2には、発光量子ドット(QD)集団を含むリモート蛍光体フィルムを備えるバックライトユニットにおいて、リモート蛍光体フィルムが、QD蛍光体材料を2つのガスバリアフィルムで挟み、QD蛍光体材料の周囲周辺の2つのガスバリアフィルムに挟まれた領域にガスバリア性を有する不活性領域を有する構成が記載されている。
特許文献3には、光源部から発せられた色光の少なくとも一部を他の色光に変換する色変換層と、色変換層を封止する不透水性の封止シートとを備えた発光装置において、色変換層となる蛍光体層の外周に沿って、すなわち蛍光体層の平面形状を囲むように枠形状に設けられている第2貼合層を有し、この第2貼合層がガスバリア性を有する接着材料からなる構成が記載されている。
さらに、特許文献4には、量子ドット層(波長変換部)と、量子ドット層を密封するシリコーン等からなる密封部材を有する量子点波長変換体において、量子ドット層を密封部材で挟み、かつ、量子ドット層の周辺において密封部材同士を貼着する構成が記載されている。
国際公開第2012/102107号 特表2013−544018号公報 特開2009−283441号公報 特開2010−61098号公報
ここで、量子ドットフィルムをバックライトとして利用するLCDは、屋内や屋外、車載等の様々な環境下で使用される。加えて、LCDのバックライトは、光源の熱で加熱される。さらに、車載用の用途では、LCDのバックライトは、より高温高湿の環境に曝される可能性が有る。
従って、量子ドットフィルムにおいて、量子ドット層の端面の封止には、端面から量子ドット層への酸素等の侵入を防止する十分なガスバリア性に加え、高温高湿の環境下等においても、十分な耐久性を有することが要求される。
しかしながら、従来の端面を封止した量子ドットフィルムでは、高温高湿の環境下において、十分な耐久性で、かつ、十分なガスバリア性で量子ドット層の端面からの酸素等の侵入を防止することは、困難である。
加えて、特許文献4に示されるような密封部材同士での封止では、面方向で量子ドットフィルムの厚さが異なってしまうため、十分な光学特性を発現することは、困難である。
本発明の目的は、このような従来技術の問題点を解決することにあり、量子ドット層等の光学機能層を有する積層フィルムにおいて、端面から酸素等の侵入によって、量子ドットなどの光学機能を発現する部材が劣化することを防止でき、かつ、端面の封止層が高温高湿の環境下でも十分な耐久性を有する積層フィルムを提供することにある。
このような目的を達成するために、本発明の積層フィルムは、光学機能層と、光学機能層の少なくとも一方の主面に積層されるガスバリア層と、光学機能層およびガスバリア層を積層した積層体の端面の少なくとも一部を覆う端面封止層とを有し、かつ、
端面封止層が、固形分全量を100質量部とした際に、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、グリシジル基、オキセタン基、脂環式エポキシ基から少なくとも1つ選ばれる重合性官能基を有する重合性化合物を5質量部以上含有する組成物によって形成された、酸素透過度が10cc/(m2・day・atm)以下の樹脂層であることを有することを特徴とする積層フィルムを提供する。
このような本発明の積層フィルムにおいて、端面封止層が、積層体の端面の全面を覆うのが好ましい。
また、端面封止層を形成する組成物が含有する重合性化合物の親水度logPが4以下であるのが好ましい。
また、端面封止層を形成する組成物が、親水度logPが4以下の水素結合性化合物を含有するのが好ましい。
また、端面封止層を形成する組成物は、組成物の固形分全量を100質量部とした際に、水素結合性化合物を30質量部以上含有するのが好ましい。
また、端面封止層の厚さが0.1〜500μmであるのが好ましい。
また、端面封止層に無機物の粒子が分散されるのが好ましい。
さらに、無機物の粒子の大きさが、端面封止層の厚さ以下であるのが好ましい。
このような本発明によれば、量子ドット層等の光学機能性層を有する積層フィルムにおいて、端面を封止する端面封止層によって、光学機能性層の端面から侵入する酸素等による量子ドット等の機能材料の劣化を防止でき、かつ、高温高湿の環境下においても、端面封止層が十分な耐久性を有するため、長寿命な量子ドットフィルム等の積層フィルムを提供できる。
図1は、本発明の積層フィルムの一例を概念的に示す断面図である。 図2は、本発明の積層フィルムに用いられるガスバリア層の一例を概念的に示す断面図である。
以下、本発明の積層フィルムについて、添付の図面に示される好適実施例を基に、詳細に説明する。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
図1は、本発明の積層フィルムの一例を概念的に示す断面図である。
図1に示す積層フィルム10は、光学機能層12と、ガスバリア層14と、端面封止層16とを有する。図1に示すように、積層フィルム10は、シート状の光学機能層12の両面(両主面)に、ガスバリア層14を積層し、光学機能層12をガスバリア層14で挟持した積層体の端面の全面を、端面封止層16で覆った構成を有するものである。
ここで、後に詳述するが、端面封止層16は、酸素透過度が10cc/(m2・day・atm)以下の樹脂層である。
光学機能層12は、波長変換等の所望の機能を発現するための層で、例えば、四角形の平面形状を有するシート状物である。以下の説明では、『光学機能層12』を、『機能層12』とも言う。
機能層12は、量子ドット層などの波長変換層、光取り出し層、有機エレクトロルミネッセンス層(有機EL(Electro Luminescence)層)等、光学的な機能を発現する、各種の層が利用可能である。
中でも、端面封止層16を有することで、端面から侵入する酸素に起因する光学機能材料の劣化を防止でき、かつ、端面封止層16が高温高湿下でも十分な耐久性を有するという、本発明の積層フィルムの特徴を十分に発現できる等の点で、車載などの高温高湿等の様々な環境下での使用が想定されるLCD等に利用され、かつ、酸素による量子ドットの劣化が大きな問題となる量子ドット層は、機能層12として好適に利用される。
量子ドット層は、一例として、多数の量子ドットを樹脂等のマトリックス中に分散してなる層であり、機能層12に入射した光の波長を変換して出射する機能を有する、波長変換層である。
例えば、図示しないバックライトから出射された青色光が機能層12に入射すると、機能層12は、内部に含有する量子ドットの効果により、この青色光の少なくとも一部を赤色光あるいは緑色光に波長変換して出射する。
ここで、青色光とは、400〜500nmの波長帯域に発光中心波長を有する光であり、緑色光とは、500nmを超え600nm以下の波長帯域に発光中心波長を有する光のことであり、赤色光とは、600nmを超え680nm以下の波長帯域に発光中心波長を有する光のことである。
なお、量子ドット層が発現する波長変換の機能は、青色光を赤色光あるいは緑色光に波長変換する構成に限定はされず、入射光の少なくとも一部を異なる波長の光に変換するものであればよい。
量子ドットは、少なくとも、入射する励起光により励起され蛍光を発光する。
量子ドット層に含有される量子ドットの種類には特に限定はなく、求められる波長変換の性能等に応じて、種々の公知の量子ドットを適宜選択すればよい。
量子ドットについては、例えば特開2012−169271号公報の段落0060〜0066を参照することができるが、ここに記載のものに限定されるものではない。量子ドットとしては、市販品を何ら制限なく用いることができる。量子ドットの発光波長は、通常、粒子の組成、サイズにより調整することができる。
量子ドットは、マトリックス中に均一に分散されるのが好ましいが、マトリックス中に偏りをもって分散されてもよい。
また、量子ドットは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
2種以上の量子ドットを併用する場合は、互いの発光光の波長が異なる量子ドットを使用してもよい。
具体的には、公知の量子ドットには、600〜680nmの範囲の波長帯域に発光中心波長を有する量子ドット(A)、500〜600nmの範囲の波長帯域に発光中心波長を有する量子ドット(B)、400〜500nmの波長帯域に発光中心波長を有する量子ドット(C)があり、量子ドット(A)は、励起光により励起され赤色光を発光し、量子ドット(B)は緑色光を、量子ドット(C)は青色光を発光する。例えば、量子ドット(A)と量子ドット(B)を含む量子ドット含有積層体へ励起光として青色光を入射させると、量子ドット(A)により発光される赤色光、量子ドット(B)により発光される緑色光と、量子ドット層を透過した青色光により、白色光を具現化することができる。または、量子ドット(A)、(B)、および(C)を含む量子ドット層に励起光として紫外光を入射させることにより、量子ドット(A)により発光される赤色光、量子ドット(B)により発光される緑色光、および量子ドット(C)により発光される青色光により、白色光を具現化することができる。
また、量子ドットとして、形状がロッド状で指向性を持ち偏光を発する、いわゆる量子ロッドを用いてもよい。
量子ドット層のマトリックスの種類としては、特に限定はなく、公知の量子ドット層で用いられる各種の樹脂を用いることができる。
例えば、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂などが挙げられる。あるいは、マトリックスとして、重合性基を有する硬化性化合物を用いることができる。重合性基の種類は、特に限定はないが、好ましくは、(メタ)アクリレート基、ビニル基またはエポキシ基であり、より好ましくは、(メタ)アクリレート基であり、特に好ましくは、アクリレート基である。また、2つ以上の重合性基を有する重合性単量体は、それぞれの重合性基が同一であってもよいし、異なっていても良い。
具体的なマトリックスとしては、一例として、以下の第1の重合性化合物と第2の重合性化合物とを含む樹脂が例示される。
第1の重合性化合物は、2官能以上の(メタ)アクリレートモノマー、ならびにエポキシ基およびオキセタニル基からなる群から選択される官能基を2つ以上有するモノマーからなる群から選択される1つ以上の化合物であるのが好ましい。
2官能以上の(メタ)アクリレートモノマーのうち、2官能の(メタ)アクリレートモノマーとしては、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート等が好ましい例として挙げられる。
また、2官能以上の(メタ)アクリレートモノマーのうち、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーとしては、エピクロロヒドリン(ECH)変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド(EO)変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド(PO)変性グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、EO変性リン酸トリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、EO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、PO変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールポリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールエトキシテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が好ましい例として挙げられる。
エポキシ基およびオキセタニル基からなる群から選択される官能基を2つ以上有するモノマーとしては、例えば、脂肪族環状エポキシ化合物、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどの脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類;エポキシシクロアルカンを含む化合物等が好適に用いられる。
エポキシ基およびオキセタニル基からなる群から選択される官能基を2つ以上有するモノマーとして好適に使用できる市販品としては、ダイセル化学工業社製のセロキサイド2021P、セロキサイド8000、シグマアルドリッチ社製の4−ビニルシクロヘキセンジオキシド等が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
また、エポキシ基およびオキセタニル基からなる群から選択される官能基を2つ以上有するモノマーはその製法は問わないが、例えば、丸善KK出版、第四版実験化学講座20有機合成II、213〜、平成4年、Ed.by Alfred Hasfner,The chemistry of heterocyclic compounds−Small Ring Heterocycles part3 Oxiranes,John & Wiley and Sons,An Interscience Publication,New York,1985、吉村、接着、29巻12号、32、1985、吉村、接着、30巻5号、42、1986、吉村、接着、30巻7号、42、1986、特開平11−100378号公報、特許第2906245号公報、特許第2926262号公報などの文献を参考にして合成できる。
第2の重合性化合物は、分子中に水素結合性を有する官能基を有し、かつ、第1の重合性化合物と重合反応できる重合性基を有する。
水素結合性を有する官能基としては、ウレタン基、ウレア基、またはヒドロキシル基等が挙げられる。
第1の重合性化合物と重合反応できる重合性基としては、例えば、第1の重合性化合物が2官能以上の(メタ)アクリレートモノマーであるときは(メタ)アクリロイル基であればよく、第1の重合性化合物がエポキシ基およびオキセタニル基からなる群から選択される官能基を2つ以上有するモノマーであるときはエポキシ基またはオキセタニル基であればよい。
ウレタン基を含む(メタ)アクリレートモノマーとしては、トリレンジイソシアナート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、水素添加MDI(HMDI)等のジイソシアナートとポリ(プロピレンオキサイド)ジオール、ポリ(テトラメチレンオキサイド)ジオール、エトキシ化ビスフェノールA、エトキシ化ビスフェノールSスピログリコール、カプロラクトン変性ジオール、カーボネートジオール等のポリオール、および2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシドールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のヒドロキシアクリレートを反応させて得られるモノマー、オリゴマーであり、特開2002−265650公報や、特開2002−355936号公報、特開2002−067238号公報等に記載の多官能ウレタンモノマーを挙げることができる。具体的には、TDIとヒドロキシエチルアクリレートとの付加物、IPDIとヒドロキシエチルアクリレートとの付加物、HDIとペンタエリスリトールトリアクリレート(PETA)との付加物、TDIとPETAとの付加物を作り残ったイソシアナートとドデシルオキシヒドロキシプロピルアクリレートを反応させた化合物、6,6ナイロンとTDIの付加物、ペンタエリスリトールとTDIとヒドロキシエチルアクリレートの付加物等を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
ウレタン基を含む(メタ)アクリレートモノマーとして好適に使用できる市販品としては、共栄社化学社製のAH−600、AT−600、UA−306H、UA−306T、UA−306I、UA−510H、UF−8001G、DAUA−167、新中村化学工業社製のUA−160TM、大阪有機化学工業社製のUV−4108F、UV−4117F等が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
ヒドロキシル基を含む(メタ)アクリレートモノマーとしては、エポキシ基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応により合成される化合物を挙げることができる。代表的なものは、エポキシ基を有する化合物により、ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールF型、エポキシ化油型、フェノールのノボラック型、脂環型に分類される。具体的な例としては、ビスフェノールAとエピクロルヒドリンの付加物に(メタ)アクリル酸を反応させた(メタ)アクリレート、フェノールノボラックにエピクロロヒドリンを反応させ、(メタ)アクリル酸を反応させた(メタ)アクリレート、ビスフェノールSとエピクロロヒドリンの付加物に(メタ)アクリル酸を反応させた(メタ)アクリレート、ビスフェノールSとエピクロロヒドリンの付加物に(メタ)アクリル酸を反応させた(メタ)アクリレート、エポキシ化大豆油に(メタ)アクリル酸を反応させた(メタ)アクリレート等を挙げることができる。また、ヒドロキシル基を含む(メタ)アクリレートモノマーとして他には、末端にカルボキシ基、またはリン酸基を有する(メタ)アクリレートモノマー等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
ヒドロキシル基を含む第2の重合性化合物として好適に使用できる市販品としては、共栄社化学社製のエポキシエステル、M−600A、40EM、70PA、200PA、80MFA、3002M、3002A、3000MK、3000A、日本化成社製の4−ヒドロキシブチルアクリレート、新中村化学工業社製の単官能アクリレートA−SA、単官能メタクリレートSA、ダイセル・オルネクス社製の単官能アクリレートβ−カルボキシエチルアクリレート、城北化学工業社製のJPA−514等が挙げられる。これらは、1種単独で、または2種以上組み合わせて用いることができる。
第1の重合性化合物と第2の重合性化合物との質量比は10:90〜99:1であればよく、10:90〜90:10であることが好ましい。第2の重合性化合物の含有量に対し第1の重合性化合物の含有量が多いことも好ましく、具体的には(第1の重合性化合物の含有量)/(第2の重合性化合物の含有量)が2〜10であることが好ましい。
第1の重合性化合物と第2の重合性化合物とを含む樹脂をマトリックスとして用いる場合には、マトリックス中に、さらに単官能(メタ)アクリレートモノマーを含むことが好ましい。単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、アクリル酸およびメタクリル酸、それらの誘導体、より詳しくは、(メタ)アクリル酸の重合性不飽和結合((メタ)アクリロイル基)を分子内に1個有するモノマーを挙げることができる。それらの具体例として以下に化合物を挙げるが、本発明はこれに限定されるものではない。
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜30であるアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等のアラルキル基の炭素数が7〜20であるアラルキル(メタ)アクリレート;ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル基の炭素数が2〜30であるアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(モノアルキルまたはジアルキル)アミノアルキル基の総炭素数が1〜20であるアミノアルキル(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールエチルエーテルの(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールブチルエーテルの(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルの(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノメチルエーテルの(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールのモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールのモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールのモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ヘプタプロピレングリコールのモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールのモノエチルエーテル(メタ)アクリレート等のアルキレン鎖の炭素数が1〜10で末端アルキルエーテルの炭素数が1〜10のポリアルキレングリコールアルキルエーテルの(メタ)アクリレート;ヘキサエチレングリコールフェニルエーテルの(メタ)アクリレート等のアルキレン鎖の炭素数が1〜30で末端アリールエーテルの炭素数が6〜20のポリアルキレングリコールアリールエーテルの(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メチレンオキシド付加シクロデカトリエン(メタ)アクリレート等の脂環構造を有する総炭素数4〜30の(メタ)アクリレート;ヘプタデカフロロデシル(メタ)アクリレート等の総炭素数4〜30のフッ素化アルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールのモノまたはジ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有する(メタ)アクリレート;テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルキレン鎖の炭素数が1〜30のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートモノマーは第1の重合性化合物と第2の重合性化合物との総質量100質量部に対して、1〜300質量部含まれていることが好ましく、50〜150質量部含まれていることがより好ましい。
また、炭素数4〜30の長鎖アルキル基を有する化合物を含むことが好ましい。具体的には第1の重合性化合物、第2の重合性化合物、または単官能(メタ)アクリレートモノマーの少なくともいずれかが、炭素数4〜30の長鎖アルキル基を有することが好ましい。この長鎖アルキル基は炭素数12〜22の長鎖アルキル基であることがより好ましい。これにより、量子ドットの分散性が向上するからである。量子ドットの分散性が向上するほど、光変換層から出射面に直行する光量が増えるため、正面輝度および正面コントラストの向上に有効である。
炭素数4〜30の長鎖アルキル基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、具体的には、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリルアミド、オクチル(メタ)アクリルアミド、ラウリル(メタ)アクリルアミド、オレイル(メタ)アクリルアミド、ステアリル(メタ)アクリルアミド、ベヘニル(メタ)アクリルアミド等が好ましい。中でもラウリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
また、マトリックスとなる樹脂中に、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロエチル(メタ)アクリレート、(パーフルオロブチル)エチル(メタ)アクリレート、パーフルオロブチル−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、(パーフルオロヘキシル)エチル(メタ)アクリレート、オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート、テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート等のフッ素原子を有する化合物を含んでいてもよい。これらの化合物を含むことにより塗布性を向上させることができる。
また、量子ドット層中のマトリックスとなる樹脂の総量には特に限定はないが、量子ドット層の全量100質量部に対して、90〜99.9質量部であることが好ましく、92〜99質量部であることがより好ましい。
量子ドット層の厚さは、積層フィルム10の厚さ等に応じて、適宜、設定すればよい。本発明者らの検討によれば、取り扱い性および発光特性の点で、5〜200μmが好ましく、10〜150μmがより好ましい。
なお、上記厚さは平均厚さを意図し、平均厚さは量子ドット層の任意の10点以上の厚さを測定して、それらを算術平均して求める。
量子ドット層の形成方法には特に限定はなく、公知の方法で形成すればよい。例えば、量子ドットとマトリックスとなる樹脂と溶剤とを混合した組成物(塗料・塗布組成物)を調整し、この組成物をガスバリア層14上に塗布し、硬化させることで形成することができる。
なお、量子ドット層となる組成物には、必要に応じて、重合開始剤やシランカップリング剤等を添加してもよい。
積層フィルム10において、量子ドット層等の機能層12の両面には、機能層12の主面全面を覆うようにガスバリア層14が積層される。すなわち、積層フィルム10は、機能層12をガスバリア層14で挟持してなる構成を有する。
ここで、図示例の積層フィルム10は、好ましい態様として、機能層12の両面にガスバリア層14が設けられが、本発明は、これに限定はされない。すなわち、ガスバリア層14は、機能層12の一方の面のみに設けてもよい。しかしながら、酸素等の侵入による機能層12の劣化を、より好適に防止できる等の点で、ガスバリア層14は、機能層12の両面に設けるのが好ましい。
また、ガスバリア層14を機能層12の両面に設ける場合には、ガスバリア層14は、同じものであっても、異なるものであってもよい。
ガスバリア層14は、量子ドット層等の機能層12の主面からの酸素等が浸入することを抑制するための層である。従って、ガスバリア層14は、高いガスバリア性を有するのが好ましい。具体的には、ガスバリア層14は、酸素透過度が0.1cc/(m2・day・atm)以下であるのが好ましく、0.01cc/(m2・day・atm)以下であるのがより好ましく、0.001cc/(m2・day・atm)以下であるのが特に好ましい。
ガスバリア層14の酸素透過度を0.1cc/(m2・day・atm)以下とすることにより、機能層12の主面から侵入する酸素等による機能層12の劣化を抑制して、長寿命な量子ドットフィルム等の積層フィルムを得ることができる。
なお、本発明において、ガスバリア層14や端面封止層16等の酸素透過度は、後述する実施例に準じて測定すればよい。
ガスバリア層14は、透明性などの点で十分な光学特性を有し、かつ、目的とするガスバリア性(酸素バリア性)を得られる物であれば、ガスバリア性を発現する公知の材料からなる層(膜)や、公知のガスバリアフィルムが、各種、利用可能である。
中でも、好ましいガスバリア層14として、支持体の上に、有機層と無機層とを交互に積層してなる、有機無機の積層構造を有するガスバリアフィルムが例示される。このガスバリアフィルムにおいて、有機無機の積層構造は、支持体の一方の面のみに形成してもよく、支持体の両面に形成してもよい。
図2に、ガスバリア層14の一例の断面を概念的に示す。
図2に示すガスバリア層14は、支持体20の上に有機層24を有し、有機層24の上に無機層26を有し、無機層26の上に有機層28を有する。
このガスバリア層14(ガスバリアフィルム)において、ガスバリア性は主に無機層26によって発現される。無機層26の下層の有機層24は、無機層26を適正に形成するための下地層である。最上層の有機層28は、無機層26の保護層として作用する。
なお、本発明の積層フィルムにおいて、ガスバリア層14として用いられる有機無機の積層構造を有するガスバリアフィルムは、図2に示す例に限定はされない。
例えば、保護層として作用する最上層の有機層28を有さなくてもよい。
また、図2に示す例は、無機層と下地の有機層との組み合わせを1組のみ有するが、無機層と下地の有機層との組み合わせを2組以上有してもよい。一般的に、無機層と下地の有機層との組み合わせの数が多いほど、ガスバリア性は高くなる。
さらに、支持体20の上に無機層を形成し、その上に、無機層と下地の有機層との組み合わせを1組以上、有する構成であってもよい。
ガスバリア層14の支持体20としては、公知のガスバリアフィルムで支持体として用いられているものが、各種、利用可能である。
中でも、薄手化や軽量化が容易である、フレキシブル化に好適である等の点で、各種の樹脂材料(高分子材料)からなるフィルムが好適に利用される。
具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリトニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、透明ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABS、シクロオレフィン・コポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、および、トリアセチルセルロース(TAC)からなるプラスチックフィルムが、好適に例示される。
支持体20の厚さは、積層フィルム10の厚さや大きさ等に応じて、適宜、設定すればよい。ここで、本発明者の検討によれば、支持体20の厚さは、10〜100μm程度が好ましい。支持体20の厚さを、この範囲にすることにより、軽量化や薄手化、等の点で、好ましい結果を得る。
なお、支持体20は、このようなプラスチックフィルムの表面に、反射防止や位相差制御、光取り出し効率向上等の機能が付与されていてもよい。
ガスバリア層14において、支持体20の表面には有機層24が形成される。
支持体20の表面に形成される有機層24すなわち無機層26の下層となる有機層24は、ガスバリア層14において主にガスバリア性を発現する無機層26の下地層となるものである。
このような有機層24を有することにより、支持体20の表面の凹凸や、支持体20の表面に付着している異物等を包埋して、無機層26の成膜面を、無機層26の成膜に適した状態にできる。これにより、支持体20の表面の凹凸や異物の影のような、無機層26となる無機化合物が着膜し難い領域を無くし、基板の表面全面に、隙間無く、適正な無機層26を成膜することが可能になる。その結果、酸素透過度が0.1cc/(m2・day・atm)以下のガスバリア層14を安定して形成できる。
ガスバリア層14において、有機層24の形成材料には、限定はなく、公知の有機化合物が、各種、利用可能である。
具体的には、ポリエステル、(メタ)アクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステル、アクリル化合物、などの熱可塑性樹脂、ポリシロキサンや、その他の有機ケイ素化合物の膜が好適に例示される。これらは、複数を併用してもよい。
中でも、ガラス転移温度や強度に優れる等の点で、ラジカル硬化性化合物および/またはエーテル基を官能基に有するカチオン硬化性化合物の重合物から構成された有機層24は、好適である。
中でも特に、屈折率が低い、透明性が高く光学特性に優れる等の点で、アクリレートおよび/またはメタクリレートのモノマやオリゴマの重合体を主成分とするアクリル樹脂やメタクリル樹脂は、有機層24として好適に例示される。
その中でも特に、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(DPGDA)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPTA)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(DPHA)などの、2官能以上、特に3官能以上のアクリレートおよび/またはメタクリレートのモノマやオリゴマの重合体を主成分とするアクリル樹脂やメタクリル樹脂は、好適に例示される。また、これらのアクリル樹脂やメタクリル樹脂を、複数、用いるのも好ましい。
有機層24の厚さは、有機層24の形成材料や支持体20に応じて、適宜設定すればよい。本発明者らの検討によれば、有機層24の厚さは、0.5〜5μmとするのが好ましく、1〜3μmとするのがより好ましい。
有機層24の厚さを0.5μm以上とすることにより、支持体20の表面の凹凸や、支持体20の表面に付着した異物を包埋して、有機層24の表面すなわち無機層26の成膜面を平坦化できる。有機層24の厚さを5μm以下とすることにより、有機層24が厚すぎることに起因する、有機層24のクラックや、ガスバリア層14に起因するカール等の問題の発生を、好適に抑制することができる。
なお、無機層と下地の有機層との組み合わせを複数有する場合等、複数の有機層を有する場合には、各有機層の厚さは、同じでも異なってもよい。
有機層24は、塗布法やフラッシュ蒸着等の公知の方法で成膜すればよい。
有機層24の下層となる無機層26との密着性を向上するために、有機層24(有機層24となる組成物)は、シランカップリング剤を含有するのが好ましい。
なお、後述する有機層28も含めて、無機層と下地の有機層との組み合わせを複数有する場合等、有機層24を複数有する場合には、各有機層の形成材料は、同じでも異なってもよい。しかしながら、生産性等の点からは、全ての有機層を、同じ材料で形成するのが好ましい。
有機層24の上には、この有機層24を下地として、無機層26が成膜される。
無機層26は、無機化合物を主成分とする膜で、ガスバリア層14において、ガスバリア性を主に発現するものである。
無機層26としては、ガスバリア性を発現する、酸化物、窒化物、酸窒化物等の無機化合物からなる膜が、各種、利用可能である。
具体的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化インジウムスズ(ITO)などの金属酸化物; 窒化アルミニウムなどの金属窒化物; 炭化アルミニウムなどの金属炭化物; 酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸化窒化炭化ケイ素などのケイ素酸化物; 窒化ケイ素、窒化炭化ケイ素などのケイ素窒化物; 炭化ケイ素等のケイ素炭化物; これらの水素化物; これら2種以上の混合物; および、これらの水素含有物等の、無機化合物からなる膜が、好適に例示される。
特に、透明性が高く、かつ、優れたガスバリア性を発現できる点で、ケイ素酸化物、ケイ素窒化物、ケイ素酸窒化物およびケイ素酸化物等のケイ素化合物からなる膜は、好適に例示される。その中でも特に、窒化ケイ素からなる膜は、より優れたガスバリア性に加え、透明性も高く、好適に例示される。
無機層26の厚さは、形成材料に応じて、目的とするガスバリア性を発現できる厚さを、適宜、決定すればよい。本発明者らの検討によれば、無機層26の厚さは、10〜200nmが好ましく、10〜100nmがより好ましく、15〜75nmが特に好ましい。
無機層26の厚さを10nm以上とすることにより、十分なガスバリア性能を安定して発現する無機層26が形成できる。また、無機層26は、一般的に脆く、厚過ぎると、割れやヒビ、剥がれ等を生じる可能性が有るが、無機層26の厚さを200nm以下とすることにより、割れが発生することを防止できる。
なお、ガスバリアフィルムが複数の無機層26を有する場合には、各無機層26の厚さは、同じでも異なってもよい。
無機層26は、形成材料に応じて、公知の方法で形成すればよい。具体的には、CCP(Capacitively Coupled Plasma)−CVD(Chemical Vapor Deposition)やICP(Inductively Coupled Plasma)−CVD等のプラズマCVD、マグネトロンスパッタリングや反応性スパッタリング等のスパッタリング、真空蒸着など、気相堆積法が好適に例示される。
無機層を複数有する場合には、各無機層の形成材料は、同じでも異なってもよい。しかしながら、生産性等の点からは、全ての無機層を、同じ材料で形成するのが好ましい。
無機層26の上には、有機層28が設けられる。
前述のように、有機層28は、無機層26の保護層として作用する層である。最上層に有機層28を有することにより、ガスバリア性を発現する無機層26の損傷を防止して、ガスバリア層14が安定して目的とするガスバリア性を発現することが可能となる。
この有機層28は、基本的に、前述の有機層24と同様のものである。
ガスバリア層14の厚さは、積層フィルム10の厚さ、積層フィルム10の大きさ等に応じて、適宜、設定すればよい。
本発明者らの検討によれば、ガスバリア層14の厚さは、5〜100μmが好ましく、10〜70μmがより好ましく、15〜55μmが特に好ましい。
ガスバリア層14の厚さを100μm以下とすることで、ガスバリア層14すなわち積層フィルム10が不要に厚くなることを防止できる。また、ガスバリア層14の厚さを5μm以上とすることで、2つのガスバリア層14の間に機能層12を形成する際に、機能層12の厚さを均一にできる点で好ましい。
前述のように、積層フィルム10は、機能層12の両面にガスバリア層14を積層して、この機能層12とガスバリア層14とからなる積層体の端面全面を、端面封止層16で封止してなる構成を有する。
以下の説明では、機能層12とガスバリア層14とからなる積層体、すなわち、機能層12とガスバリア層14で挟持してなる積層体を、単に積層体とも言う。
なお、図示例の積層フィルム10は、好ましい態様として、機能層12とガスバリア層14とからなる積層体の端面全面を、端面封止層16で封止しているが、本発明は、これに限定はされない。
すなわち、発明の積層フィルムは、例えば、積層フィルム10の平面形状が四角形状である場合、対向する2つの端面のみ全面を覆って端面封止層を設けてもよく、1端面を残して3つの端面の全面を覆って端面封止層を設けてもよい。また、積層体の各端面を部分的に覆うように端面封止層を設けてもよい。これらは、積層フィルムが利用されるバックライトユニットの構成、積層フィルムの取付け部の構成等に応じて、適宜、設定すればよい。
しかしながら、積層体の端面から侵入する酸素等による量子ドットの劣化等、機能層12の劣化を、より好適に防止できる等の点で、端面封止層は、可能な限り大きな面積で積層体の端面を覆うのが好ましく、積層体の端面全面を覆うのが特に好ましい。
本発明の積層フィルム10において、端面封止層16は、酸素透過度が10cc/(m2・day・atm)以下の樹脂層である。本発明の積層フィルム10は、このような端面封止層16を有することにより、ガスバリア層14で覆っていない端面から機能層12に酸素等が侵入して、量子ドット等の光学的な機能を発現する部材を劣化させることを防止すると共に、高温高湿下の環境に対しても端面封止層16が十分な耐久性を有するため、長期に渡って機能層12が目的とする性能を発現する、長寿命な積層フィルムを実現できる。
前述のように、量子ドット層を有する量子ドットフィルムでは、量子ドット層に侵入する酸素等による量子ドットの劣化を防止するために、量子ドット層の両面にガスバリアフルムを積層し、さらに、量子ドット層とガスバリアフィルムとの積層体の端面からの酸素等の侵入を防止するために、積層体の端面を封止することも行われている。
ここで、量子ドットフィルムのようにLCDのバックライトに使用される物は、屋外や屋内、車載など、高温高湿を含む様々な環境に曝される可能性が高い。そのため、積層体の端面封止には、必要なガスバリア性に加え、高温高湿の環境下でも、劣化しない高い耐久性が要求される。
しかしながら従来の量子ドットフィルムの端面封止では、必要なガスバリア性に加え、高温高湿の環境下に対する十分な耐久性が得られていない。
一般的に、高いガスバリア性を有する樹脂は、親水的である。例えばポリビニルアルコール(PVA)等、は水素結合性官能基を持ち、分子間相互作用を強くすることで樹脂の自由体積を小さくし、高いガスバリア性を発現している。しかし、前述のように、LCDのバックライトに使用される物は、高温高湿を含む様々な環境に曝される可能性が高い。このような高温高湿な環境では、水素結合性官能基のみを持つ樹脂など、一般的なガスバリア性が高い樹脂は、親水性が高いために劣化してしまう。すなわち、従来の量子ドットの端面封止ではガスバリア性と高温高湿の耐久性とがトレードオフであった。
これに対し、本発明の積層フィルム10では、機能層12とガスバリア層14で挟持してなる積層体の端面を覆う端面封止層16は、所定の重合性官能基を有する重合性化合物を含む組成物からなる、酸素透過度が10cc/(m2・day・atm)以下の樹脂層である。
すなわち、本発明においては、端面封止層16を、所定の重合性官能基を有する重合性化合物を含む組成物からなる酸素透過度が10cc/(m2・day・atm)以下の樹脂層とすることにより、十分なガスバリア性を得ると共に、所定の重合性官能基を有する重合性化合物を含むことで、高温高湿の環境下に長時間さらされても、端面封止層16の劣化を防止できる。好ましくは、水素結合性官能基を有する水素結合性化合物を含むことにより、より好適に、酸素透過度を低くできる。
本発明の積層フィルム10において、端面封止層16の酸素透過度が10cc/(m2・day・atm)を超えると、積層体の端面から機能層12に侵入する酸素等を十分に防止できず、機能層12が短期間で劣化してしまう。
この点を考慮すると、端面封止層16の酸素透過度は、低い方が好ましい。具体的には、端面封止層16の酸素透過度は5cc/(m2・day・atm)以下が好ましく、1cc/(m2・day・atm)以下がより好ましい。
なお、端面封止層16の酸素透過度の下限には、特に限定はなく、基本的に、低い程、好ましい。
端面封止層16の厚さは、端面封止層16の形成材料に応じて、酸素透過度が10cc/(m2・day・atm)以下となる厚さを、適宜、設定すればよい。なお、端面封止層16の厚さとは、言い換えれば積層体の端面と直交する方向における端面封止層16の長さである。
本発明者らの検討によれば、端面封止層16の厚さは、0.1〜500μmが好ましく、1〜100μmがより好ましい。
端面封止層16の厚さを0.1μm以上とすることにより、積層体の端面を適正に覆える、酸素透過度が10cc/(m2・day・atm)以下となる端面封止層16を安定して形成できる等の点で好ましい。
端面封止層16の厚さを500μm以下とすることにより、積層フィルム10を不要に大きくすることを防止できる、LCDの表示面積など積層フィルム10を利用する装置の有効面積を広くできる等の点で好ましい。
端面封止層16の厚さは、端面封止層16が設けられる積層体の端面の表面粗さRaよりも厚いのが好ましい。これにより、積層体の端面の必要な領域の全域に、安定して適正な端面封止層16を形成できる。
この点を考慮すると、積層体の端面の表面粗さRaは、2μm以下であるのが好ましく、1μm以下であるのが、より好ましい。
積層体の端面の表面粗さRaを2μm以下とすることにより、薄い端面封止層16でも、積層体の端面の必要な領域の全域を安定して封止することが可能になる。
なお、表面粗さRa(算術平均粗さRa)は、JIS B 0601に準拠して測定すればよい。
このような端面封止層16すなわち積層体の端面を封止する樹脂層は、酸素透過度が10cc/(m2・day・atm)以下となる端面封止層16を形成可能な、公知の各種の樹脂材料によって形成できる。
ここで、端面封止層16は、一般的に、主に端面封止層16すなわち主に樹脂層となる化合物(モノマ、ダイマ、トリマ、オリゴマ、ポリマ等)、必要に応じて添加される架橋剤や界面活性剤などの添加剤、有機溶剤等を含む組成物を調製して、この組成物を端面封止層16の形成面に塗布し、組成物を乾燥し、必要に応じて紫外線照射や加熱等によって主に樹脂層を構成する化合物を重合(架橋・硬化)して形成する。
本発明の積層フィルム10において、端面封止層16すなわち樹脂層を形成するための組成物は、重合性化合物を含有し、あるいはさらに、水素結合性化合物を含有する。なお、重合性化合物とは、重合性を有する化合物であり、水素結合性化合物とは、水素結合性を有する化合物である。
端面封止層16すなわち樹脂層は、基本的に、重合性化合物あるいはさらに水素結合性化合物を主体として形成される。ここで、端面封止層16を形成するための組成物が含有する重合性化合物および水素結合性化合物は、親水度logPが4以下であるのが好ましく、3以下であるのがより好ましい。
なお、本発明において、親水度を示すLogP値とは、1−オクタノール/水の分配係数の対数値をいうものである。LogP値は、フラグメント法、原子アプローチ法等を用いて計算により算出することができる。本明細書に記載のLogP値は、化合物の構造からCambridge Soft社製ChemBioDraw Ultra12.0を用いて計算されるLogP値である。
前述のように、機能層12は、一般的に、光学的な機能を発現する材料を、マトリックスとなる樹脂に分散してなるものである。
ここで、機能層12では、マトリックスとして、疎水性の樹脂を用いる場合が少なくない。特に、機能層12が量子ドット層である場合には、マトリックスとして疎水性の樹脂が用いられる場合が多い。
端面封止層16を樹脂層とする本発明の積層フィルムは、基本的に、量子ドット等をマトリックスとなる樹脂に分散してなる機能層12と、端面封止層16との密着力は高い。しかしながら、疎水性のマトリックスを用いる機能層12との密着力を、より高くするためには、端面封止層16は、疎水性の化合物で形成するのが好ましい。
一方、周知のように、化合物は、親水度logPが低い方が親水性が高い。すなわち、機能層12との密着力が強い端面封止層16を形成するためには、主体となる重合性化合物や水素結合性化合物は、親水度logPが高い方が好ましい。
その半面、疎水性の高い化合物からなる樹脂は、酸素透過性が高く、樹脂層の酸素透過度という点では、主体となる重合性化合物や水素結合性化合物は、親水度logPが低い方が好ましい。
従って、端面封止層16を、親水度logPが4以下の重合性化合物および水素結合性化合物を用いて形成することにより、適度な疎水性によって機能層12との高い密着力を確保しつつ、酸素透過度が十分に低い端面封止層16を形成することができる。
なお、酸素透過度の点では、重合性化合物および水素結合性化合物は、親水度logPは低い方が好ましい。しかしながら、親水度logPが低すぎると、親水性が高すぎてしまい、端面封止層16と機能層12との密着力が弱くなってしまい、端面封止層16の耐久性が低下してしまうことも懸念される。
この点を考慮すると、重合性化合物および水素結合性化合物の親水度logPは、0.0以上が好ましく、0.5以上がより好ましい。
また、本発明の積層フィルム10において、端面封止層16を形成する組成物は、組成物の固形分全量を100質量部とした際に、水素結合性化合物を30質量部以上含有するのが好ましく、40質量部以上含有するのが好ましい。
なお、組成物の固形分全量とは、組成物から有機溶剤を除いた、形成される端面封止層16に残るべき成分の全量である。
端面封止層16を形成する組成物の固形分が、水素結合性化合物を30質量部以上含有することにより、分子間の相互作用を強くして、酸素透過性を低くできる等の点で好ましい。
水素結合とは、分子中で水素原子よりも電気陰性度が高い原子と共有結合している水素原子が、同じ分子中または異なる分子中の原子または原子群との間で引力的相互作用によって作る非共有結合性の結合をいう。
水素結合性を有する官能基とは、このような水素結合を生じさせることのできる水素原子を含む官能基である。具体的には、ウレタン基、ウレア基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミド基またはシアノ基等が挙げられる。
これらの官能基を有する化合物としては、具体的には、トリレンジイソシアナート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、水素添加MDI(HMDI)等のジイソシアナートと、ポリ(プロピレンオキサイド)ジオール、ポリ(テトラメチレンオキサイド)ジオール、エトキシ化ビスフェノールA、エトキシ化ビスフェノールSスピログリコール、カプロラクトン変性ジオール、カーボネートジオール等のポリオール、および、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシドールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のヒドロキシアクリレートとを反応させて得られるモノマー、オリゴマーが例示される。
また、エポキシ基を有する化合物に、ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールF型、エポキシ化油型、フェノールノボラック型等の化合物を反応させて得られるエポキシ化合物や、脂環型エポキシに、アミン化合物、酸無水物等を反応させて得られるエポキシ化合物も例示される。
さらに、前述のエポキシ化合物のカチオン重合物、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ブテンジオール−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル等も例示される。
中でも、硬化収縮が小さく積層フィルムとの密着に優れる観点から、エポキシ基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物を反応させて得られる化合物が好ましい。
さらに、本発明の積層フィルム10において、端面封止層16を形成する組成物は、組成物の固形分全量を100質量部とした際に、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、グリシジル基、オキセタン基、脂環式エポキシ基から少なくとも1つ選ばれる重合性官能基を有する重合性化合物を5質量部以上含有するものであり、好ましくは、これらの重合性官能基を有する重合性化合物を10質量部以上含有する。
本発明の積層フィルム10においては、端面封止層16を形成する組成物の固形分が、(メタ)アクリロイル基等から少なくとも1つ選ばれる重合性官能基を有する重合性化合物を5質量部以上含有することにより、高温高湿下での耐久性に優れる端面封止層16を実現している。
(メタ)アクリロイル基を有する重合性化合物としては、具体的には、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート等が例示される。
また、グリシジル基、オキセタン基、脂環エポキシ基等を有する重合性化合物としては、具体的には、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等が例示される。
また、本発明において、(メタ)アクリロイル基やグリシジル基を有する重合性化合物は、市販品も好適に利用可能である。
これらの重合性化合物を含む市販品としては、三菱ガス化学社製のマクシーブ、EVONIK社製のNanopox450、Nanopox500、Nanopox630、荒川化学工業社製のコンポセラン102などのシリーズ、東レ・ファインケミカル社製のフレップ、チオコールLP、ヘンケル・ジャパン社製のロックタイトE−30CLなどのシリーズ、Epoxy Technology社製のEPO−TEX353NDなどのシリーズ等が好適に例示される。
なお、本発明の積層フィルムにおいて、端面封止層16を形成する組成物は、必要に応じて、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、グリシジル基、オキセタン基、脂環式エポキシ基を含まない重合性組成物を含有してもよい。
ただし、端面封止層16を形成する組成物において、これらの官能基を含まない重合性化合物は、組成物の固形分全量を100質量部とした際に、3質量部以下とするのが好ましい。
本発明の積層フィルム10において、端面封止層16には、無機物の粒子(無機化合物からなる粒子)が分散されていてもよい。
端面封止層16が無機物の粒子を含有することにより、端面封止層16の酸素透過度をより低くでき、端面から侵入する酸素等に起因する機能層12の劣化を、より好適に防止できる。
端面封止層16に分散する無機物粒子の大きさには、特に限定は無く、端面封止層16の厚さ等に応じて、適宜、設定すればよい。
ここで、積層フィルム10の面方向における端面封止層16の領域は、積層フィルム10をバックライト等の装置に組み込んだ際における非有効面積となる。また、積層フィルム10を装置に組み込む際には、積層フィルム10の端面すなわち端面封止層16の端面は、平面状の方が好ましい。
この点を考慮すると、端面封止層16に分散する無機物粒子の大きさ(最大長)は、端面封止層16の厚さ未満であるのが好ましく、特に、小さいほど有利である。
なお、端面封止層16に分散する無機物粒子の大きさは、均一でも不均一でもよい。
端面封止層16における無機物粒子の含有量は、無機物粒子の大きさ等に応じて、適宜、設定すればよい。
本発明者らの検討によれば、端面封止層16における無機物粒子の含有量は、50質量%以下が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。すなわち、前述の端面封止層16を形成する組成物において、組成物の固形分全量を100質量部とした際に、無機物粒子の含有量が50質量部以下であるのが好ましく、10〜30質量部であるのがより好ましい。
無機物粒子による端面封止層16の酸素透過度の低減効果は、無機物粒子の含有量が多いほど高くなるが、無機物粒子の含有量を10質量%以上とすることにより、無機物粒子の添加効果をより好適に得て、酸素透過度が小さい端面封止層16を形成できる。
端面封止層16における無機物粒子の含有量を50質量%以下とすることにより、端面封止層16の密着性や耐久性を十分にできる、積層フィルムを裁断や打ち抜きする際にクラックが発生することを抑制できる等の点で好ましい。
端面封止層16に分散する無機物粒子としては、具体的には、シリカ粒子、アルミナ粒子、銀粒子、銅粒子等が例示される。
本発明の積層フィルムは、公知の方法で作製できる。好ましい一例として、以下の方法が例示される。
まず、前述のように、支持体20の表面に塗布法等によって有機層24を形成し、この有機層24の表面にプラズマCVD等によって無機層26を形成し、無機層26の表面に塗布法等によって有機層28を形成して、ガスバリア層14(ガスバリアフィルム)を作製する。
このような有機層および無機層の形成は、いわゆるロール・トゥ・ロールによって行うのが好ましい。以下の説明では、『ロール・トゥ・ロール』を『RtoR』とも言う。
一方で、有機溶剤、マトリクスとなる樹脂を形成する化合物、量子ドット等を含有する、量子ドット層などの機能層12となる組成物を調製する。
2枚のガスバリア層14を用意して、一枚のガスバリア層14の有機層28の表面に、この機能層12となる組成物を、塗布し、さらに、組成物の上に有機層28を組成物側に向けてもう1枚のガスバリア層14を積層して、紫外線硬化等を行って、機能層12の両面にガスバリア層14を積層した積層体を作製する。
作製した積層体を所定サイズに切断して、切断した積層体を、複数枚、例えば1000枚重ねる。次いで、重ねた状態の積層体の端面全面に、前述のような端面封止層16を形成する組成物を塗布する。ここで、この組成物は、粘度が高いのが好ましく、ペースト状であってもよい。
次いで、積層体の端面に塗布した、組成物を乾燥し、さらに、必要に応じて、紫外線照射等によって硬化する。
その後、重ねた積層体を、1枚ずつ剥がして、機能層12の両面にガスバリア層14を積層した積層体の端面に、端面封止層16を形成した積層フィルム10を作製する。
以上、本発明の積層フィルムについて詳細に説明したが、本発明は、上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変更を行なってもよいのは、もちろんである。
以下、本発明の具体的実施例を挙げ、本発明を、より詳細に説明する。ただし、本発明はこの実施例に限定されるものでなく、以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順などは、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。
<ガスバリア層14の作製>
<<支持体20>>
ガスバリア層14の支持体20として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、東洋紡社製、商品名:コスモシャインA4300、厚さ50μmm、幅1000mm、長さ100m)を用いた。
<<有機層24の形成>>
支持体20の一面に、以下のようにして有機層24を形成した。
まず、有機層24を形成するための組成物を調製した。具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、ダイセルサイテック社製)および光重合開始剤(ランベルティ社製、ESACUREKTO46)を用意し、TMPTA:光重合開始剤の質量比率が、95:5となるように、秤量し、これらをメチルエチルケトンに溶解させ、固形分濃度が15%の組成物を調製した。
この組成物を用い、RtoRを利用して塗布法で成膜を行う一般的な成膜装置によって、支持体20の一面に有機層24を形成した。
まず、ダイコーターを用いて組成物を支持体20の一面に塗布した。塗布後の支持体20を50℃の乾燥ゾーンを3分間通過させた後、紫外線(積算照射量約600mJ/cm2)を照射することで組成物を硬化して、有機層24を形成した。
また、紫外線硬化直後のパスロールにおいて、保護フィルムとして有機層24の表面にポリエチレンフィルム(PEフィルム、サンエー科研製、商品名:PAC2−30−T)を貼り付け、搬送し、巻き取った。
形成した有機層24の厚さは1μmであった。
<<無機層26の形成>>
次に、RtoRを利用するCVD装置を用いて、有機層24の表面に無機層26(窒化ケイ素(SiN)層)を形成した。
送出機より有機層24を形成した支持体20を送り出し、無機層の成膜前の最後の膜面タッチロール通過後に保護フィルムを剥離し、暴露された有機層24の上にプラズマCVDによって無機層26を形成した。
無機層26の形成には、原料ガスとして、シランガス(流量160sccm)、アンモニアガス(流量370sccm)、水素ガス(流量590sccm)、および窒素ガス(流量240sccm)を用いた。電源は、周波数13.56MHzの高周波電源を用いた。製膜圧力は40Paとした。
形成した無機層26の厚さは50nmであった。
<<有機層28の形成>>
さらに、無機層26の表面に、以下のようにして有機層28を積層した。
まず、有機層28を形成するための組成物を調製した。具体的には、ウレタン結合含有アクリルポリマー(大成ファインケミカル社製、アクリット8BR500、質量平均分子量250,000)と光重合開始剤(BASF社製イルガキュア184)とを用意し、ウレタン結合含有アクリルポリマー:光重合開始剤の質量比率が、95:5となるように、秤量し、これらをメチルエチルケトンに溶解させ、固形分濃度が15質量%の組成物を調製した。
この組成物を用い、RtoRを利用して塗布法で成膜を行う一般的な成膜装置によって、無機層26の表面に有機層28を形成した。
まず、ダイコーターを用いて組成物を支持体20の一面に塗布した。塗布後の支持体20を100℃の乾燥ゾーンを3分間通過させて、有機層28を形成した。
これにより、支持体20の上に有機層24、無機層26および有機層28を形成してなる、図2に示すようなガスバリア層14(ガスバリアフィルム)を作製した。形成した有機層28の厚さは1μmであった。
なお、ガスバリア層14は、組成物を乾燥した直後のパスロールにおいて保護フィルムとして有機層28の表面に先と同じポリエチレンフィルムを貼り付けた後、巻き取った。
<積層体の作製>
以下の組成を有する、機能層12としての量子ドット層を形成するための組成物を調製した。
(組成物の組成)
・量子ドット1のトルエン分散液(発光極大:520nm) 10質量部
・量子ドット2のトルエン分散液(発光極大:630nm) 1質量部
・ラウリルメタクリレート 2.4質量部
・トリメチロールプロパントリアクリレート 0.54質量部
・光重合開始剤(イルガキュア819、BASF社製) 0.009質量部
量子ドット1、2としては、下記のコア−シェル構造(InP/ZnS)を有するナノ結晶を用いた。
・量子ドット1:INP530−10(NN−labs社製)
・量子ドット2:INP620−10(NN−labs社製)
調製した組成物の50mPa・sであった。
この組成物を用い、RtoRを利用して塗布法で成膜を行う一般的な成膜装置によって、機能層12の両面にガスバリア層14を積層した積層体を作製した。
2枚のガスバリア層14を成膜装置の所定位置に装填、通紙した。まず、一枚のガスバリア層の保護フィルムを剥離した後、ダイコーターを用いて組成物を有機層28の表面に塗布した。次いで、もう一枚のガスバリア層14から保護フィルムを剥離した後、組成物に有機層28を向けて、ガスバリア層14を積層した。
さらに、機能層12となる組成物をガスバリア層14で挟んだ積層体に、紫外線(積算照射量約2000mJ/cm2)を照射することで組成物を硬化して機能層12を形成し、機能層12の両面にガスバリア層14を積層した積層体を作製した。
<実施例および比較例>
この積層体を、刃先角度17°のトムソン刃を使用して、A4サイズのシート状に切断した。次いで、切断した積層体を、1000枚重ねた。
[実施例1]
端面封止層16を形成する組成物として、固形分が以下の組成を有する組成物を調製した。なお、組成は、固形分全体を100質量部とした際の質量部である。
・2液硬化型エポキシ化合物の主剤(重合性化合物、親水度logP=3.8、ヘンケルジャパン社製、ロックタイトE−30CLの主剤) 66.7質量部
・2液硬化型エポキシ化合物の硬化剤(ヘンケル・ジャパン社製、ロックタイトE−30CLの硬化剤) 33.3質量部
この組成物を、ディスペンサを用いて1000枚重ねた積層体の端面全面に塗布し、80℃で10分乾燥、硬化して、端面封止層16を形成した。
その後、個々の積層体を剥離して、機能層12の両面にガスバリア層14を積層した積層体の端面に、端面封止層16を形成してなる、図1に示すような積層フィルム10を作製した。
端面封止層16の厚さは、60μmとした。
また、厚さ100μmの2軸延伸ポリエステルフィルム(東レ社製、ルミラーT60)に、端面封止層16と全く同様にして厚さ60μmの酸素透過度測定用サンプルを作製した。次いで、ポリエステルフィルムから酸素透過度測定用サンプルを剥離して、APIMS法(大気圧イオン化質量分析法)による測定装置(日本エイピーアイ社製)を用いて、温度25℃、湿度60%RHの条件下で、酸素透過度を測定した。
その結果、酸素透過度測定用サンプルすなわち端面封止層16の酸素透過度は、5.1cc/(m2・day・atm)であった。
[実施例2]
端面封止層16となる組成物の固形分を、以下に示す組成とした以外は、実施例1と同様に、積層フィルム10を作製した。
・ 脂環式エポキシ化合物(重合性化合物、親水度logP=0.8、ダイセル社製、セロキサイド2021P) 50質量部
・ 無水フタル酸 50質量部
実施例1と同様に、端面封止層16の酸素透過度を測定した結果、酸素透過度は4.6cc/(m2・day・atm)であった。
[実施例3]
端面封止層16となる組成物の固形分を、以下に示す組成とした以外は、実施例1と同様に、積層フィルム10を作製した。
・ UV硬化性イソシアナート化合物(重合性化合物、親水度logP=0.5、昭和電工社製、カレンズmoi) 14質量部
・ ポリビニルアルコール(水素結合性化合物、親水度logP=0.9、クラレ社製、PVA117H) 83質量部
・ 光ラジカル重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184) 3質量部
なお、本例においては、端面封止層16となる組成物を塗布、乾燥した後、紫外線(積算照射量約800mJ/cm2)を照射することで組成物を硬化して、端面封止層16を形成した。
実施例1と同様に、端面封止層16の酸素透過度を測定した結果、酸素透過度は0.8cc/(m2・day・atm)であった。
[実施例4]
端面封止層16となる組成物の固形分を、以下に示す組成とした以外は、実施例1と同様に、積層フィルム10を作製した。
・2液硬化型エポキシ化合物の主剤(重合性化合物、親水度logP=3.8、ヘンケルジャパン社製、ロックタイトE−30CLの主剤) 50質量部
・ 2液硬化型エポキシ化合物の硬化剤(ヘンケル・ジャパン社製、ロックタイトE−30CLの硬化剤) 25質量部
・ シリカ粒子(無機物粒子、粒径40〜50nm、日産化学社製、MEK−AC−4130Y) 25質量部
実施例1と同様に、端面封止層16の酸素透過度を測定した結果、酸素透過度は2.5cc/(m2・day・atm)であった。
[実施例5]
端面封止層16となる組成物の固形分を、以下に示す組成とした以外は、実施例1と同様に、積層フィルム10を作製した。
・ TMPTA(重合性化合物、親水度logP=2.5、ダイセルセルテック社製) 37質量部
・ 3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート(水素結合性化合物、親水度logP=1.4、ダイセル社製、サイクロマーM100) 57質量部
・ 光ラジカル重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184) 3質量部
・ 光カチオン重合開始剤(CPI−100P、サンアプロ社製) 3質量部
なお、本例においては、端面封止層16となる組成物を塗布、乾燥した後、紫外線(積算照射量約800mJ/cm2)を照射することで組成物を硬化して、端面封止層16を形成した。
実施例1と同様に、端面封止層16の酸素透過度を測定した結果、酸素透過度は9.5cc/(m2・day・atm)であった。
[実施例6]
端面封止層16となる組成物の固形分を、以下に示す組成とした以外は、実施例1と同様に、積層フィルム10を作製した。
・ UV硬化性イソシアナート化合物(重合性化合物、親水度logP=0.5、昭和電工社製、カレンズmoi) 12質量部
・ ポリビニルアルコール(水素結合性化合物、親水度logP=0.9、クラレ社製、PVA117H) 73質量部
・ 光ラジカル重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184) 3質量部
・ シリカ粒子(無機物粒子、粒径40〜50nm、日産化学社製、MEK−AC−4130Y) 12質量部
なお、本例においては、端面封止層16となる組成物を塗布、乾燥した後、紫外線(積算照射量約800mJ/cm2)を照射することで組成物を硬化して、端面封止層16を形成した。
実施例1と同様に、端面封止層16の酸素透過度を測定した結果、酸素透過度は0.6cc/(m2・day・atm)であった。
[比較例1]
端面封止層16を形成しない以外は、実施例1と同様に、積層フィルムを作製した。
[比較例2]
端面封止層となる組成物の固形分を、以下に示す組成とした以外は、実施例1と同様に、積層フィルムを作製した。
・ ラウリルアクリレート(重合性化合物、親水度logP=5.2、東京化成工業社製) 50質量部
・ ポリビニルアルコール(水素結合性化合物、親水度logP=0.9、クラレ社製、PVA117H) 50質量部
実施例1と同様に、端面封止層16の酸素透過度を測定した結果、酸素透過度は75cc/(m2・day・atm)であった。
なお、本例においては、端面封止層16となる組成物を塗布、乾燥した後、紫外線(積算照射量約800mJ/cm2)を照射することで組成物を硬化して、端面封止層16を形成した。
[比較例3]
端面封止層となる組成物の固形分を、以下に示す組成とした以外は、実施例1と同様に、積層フィルムを作製した。
・ ポリビニルアルコール(水素結合性化合物、親水度logP=0.9、クラレ社製、PVA117H) 100質量部
実施例1と同様に、端面封止層16の酸素透過度を測定した結果、酸素透過度は0.8cc/(m2・day・atm)であった。
[比較例4]
端面封止層となる組成物の固形分を、以下に示す組成とした以外は、実施例1と同様に、積層フィルムを作製した。
・ TMPTA(重合性化合物、親水度logP=2.5、ダイセルセルテック社製) 97質量部
・ 光ラジカル重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184) 3質量部
なお、本例においては、端面封止層16となる組成物を塗布、乾燥した後、紫外線(積算照射量約800mJ/cm2)を照射することで組成物を硬化して、端面封止層16を形成した。
実施例1と同様に、端面封止層16の酸素透過度を測定した結果、酸素透過度は17cc/(m2・day・atm)であった。
このようにして作製した実施例1〜6、および、比較例1〜4の積層フィルムについて、端部の非発光領域、および、端面封止層16の高温高湿耐性を評価した。
[端部の非発光領域]
25℃相対湿度60%に保たれた部屋で、市販の青色光源(OPTEX−FA社製、OPSM−H150X142B)上に積層フィルムを置き、積層フィルムに対して青色光を1000時間連続で照射した。
連続照射後の積層フィルムの輝度を輝度分布計ProMetric(Radiant Zemax社製)で測定し、積層フィルムの中央の輝度に対し、20%以上、輝度が低下している距離を端部劣化距離Lとし、以下の基準で端部の発光領域を評価した。
評価結果がAA〜Bであれば、連続照射後も端部の発光効率が良好に維持されていると判断することができる。
AA: L≦0.1mm
A: 0.1mm<L≦0.3mm
B: 0.3mm<L≦0.5mm
C: 0.5mm<L≦1.5mm
D: 1.5mm<L
[高温高湿耐性]
作製した積層フィルムの端面封止層16の膜厚D1を光学顕微鏡測定したのち、85℃相対湿度85%に保たれた恒温槽へ投入し、300時間保管した。
恒温槽から積層フィルムを取り出したのち、25℃相対湿度60%に保たれた部屋で24時間調湿し、高温高湿耐久後の積層フィルムの端面封止層16の膜厚D2を先に示した手順と同様にして測定した。
高温高湿耐久前後の端面封止層16の膜厚変化X[%]=(D1−D2)/D2×100を算出し、以下の基準で高温高湿耐性を評価した。
評価結果がAおよびBであれば、高温高湿の耐性があると判断することができる。
A: X≦5%
B: 5%<X≦10%
C: 10%<X≦30%
D: 30%<X
端面封止層の組成と共に、結果を下記表に示す。
上記表1に示されるように、本発明の積層フィルムは、比較例に対して、端部での発光領域が広く、すなわち、端面からの酸素等の侵入に起因する量子ドットの劣化を防止できており、さらに、端面封止層16の高温高湿耐性も高い。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
10 積層フィルム
12 (光学)機能層
14 ガスバリア層
16 端面封止層
20 支持体
24,28 有機層
26 無機層

Claims (8)

  1. 光学機能層と、前記光学機能層の少なくとも一方の主面に積層されるガスバリア層と、前記光学機能層およびガスバリア層を積層した積層体の端面の少なくとも一部を覆う端面封止層とを有し、かつ、
    前記端面封止層が、固形分全量を100質量部とした際に、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、グリシジル基、オキセタン基、脂環式エポキシ基から少なくとも1つ選ばれる重合性官能基を有する重合性化合物を5質量部以上含有する組成物によって形成された、酸素透過度が10cc/(m2・day・atm)以下の樹脂層であることを有することを特徴とする積層フィルム。
  2. 前記端面封止層が、前記積層体の端面の全面を覆う請求項1に記載の積層フィルム。
  3. 前記端面封止層を形成する組成物が含有する重合性化合物の親水度logPが4以下である請求項1または2に記載の積層フィルム。
  4. 前記端面封止層を形成する組成物が、親水度logPが4以下の水素結合性化合物を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  5. 前記端面封止層を形成する組成物は、前記組成物の固形分全量を100質量部とした際に、水素結合性化合物を30質量部以上含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  6. 前記端面封止層の厚さが0.1〜500μmである請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  7. 前記端面封止層に無機物の粒子が分散される請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層フィルム。
  8. 前記無機物の粒子の大きさが、前記端面封止層の厚さ以下である請求項7に記載の積層フィルム。
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