JPWO2016204181A1 - 積層フィルム - Google Patents
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Abstract
Description
量子ドットとは、三次元全方向において移動方向が制限された電子の状態のことであり、半導体のナノ粒子が、高いポテンシャル障壁で三次元的に囲まれている場合に、このナノ粒子は量子ドットとなる。量子ドットは種々の量子効果を発現する。例えば、電子の状態密度(エネルギー準位)が離散化される「量子サイズ効果」が発現する。この量子サイズ効果によれば、量子ドットの大きさを変化させることで、光の吸収波長や発光波長を制御できる。
バックライトから量子ドットフィルムに励起光が入射すると、量子ドットが励起され蛍光を発光する。ここで異なる発光特性を有する量子ドットを用いることで、赤色光、緑色光、青色光の半値幅の狭い光を発光させて白色光を具現化することができる。量子ドットによる蛍光は半値幅が狭いため、波長を適切に選択することで得られる白色光を高輝度にしたり色再現性に優れる設計にすることが可能である。
しかしながら、量子ドット層の両面をガスバリアフィルムで挟持するのみでは、ガスバリアフィルムで覆われていない端面から量子ドット層に水分や酸素が浸入し、量子ドットが劣化するという問題があった。
そのため、量子ドット層の両面に加え、量子ドット層の周辺もガスバリアフィルム等で封止することが提案されている。
特許文献3には、光源部から発せられた色光の少なくとも一部を他の色光に変換する色変換層と、色変換層を封止する不透水性の封止シートとを備えた発光装置において、色変換層となる蛍光体層の外周に沿って、すなわち蛍光体層の平面形状を囲むように枠形状に設けられている第2貼合層を有し、この第2貼合層がガスバリア性を有する接着材料からなる構成が記載されている。
従って、量子ドットフィルムにおいて、量子ドット層の端面の封止には、端面から量子ドット層への酸素等の侵入を防止する十分なガスバリア性に加え、高温高湿の環境下等においても、十分な耐久性を有することが要求される。
加えて、特許文献4に示されるような密封部材同士での封止では、面方向で量子ドットフィルムの厚さが異なってしまうため、十分な光学特性を発現することは、困難である。
端面封止層が、固形分全量を100質量部とした際に、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、グリシジル基、オキセタン基、脂環式エポキシ基から少なくとも1つ選ばれる重合性官能基を有する重合性化合物を5質量部以上含有する組成物によって形成された、酸素透過度が10cc/(m2・day・atm)以下の樹脂層であることを有することを特徴とする積層フィルムを提供する。
また、端面封止層を形成する組成物が含有する重合性化合物の親水度logPが4以下であるのが好ましい。
また、端面封止層を形成する組成物が、親水度logPが4以下の水素結合性化合物を含有するのが好ましい。
また、端面封止層を形成する組成物は、組成物の固形分全量を100質量部とした際に、水素結合性化合物を30質量部以上含有するのが好ましい。
また、端面封止層の厚さが0.1〜500μmであるのが好ましい。
また、端面封止層に無機物の粒子が分散されるのが好ましい。
さらに、無機物の粒子の大きさが、端面封止層の厚さ以下であるのが好ましい。
以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において、「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
図1に示す積層フィルム10は、光学機能層12と、ガスバリア層14と、端面封止層16とを有する。図1に示すように、積層フィルム10は、シート状の光学機能層12の両面(両主面)に、ガスバリア層14を積層し、光学機能層12をガスバリア層14で挟持した積層体の端面の全面を、端面封止層16で覆った構成を有するものである。
ここで、後に詳述するが、端面封止層16は、酸素透過度が10cc/(m2・day・atm)以下の樹脂層である。
機能層12は、量子ドット層などの波長変換層、光取り出し層、有機エレクトロルミネッセンス層(有機EL(Electro Luminescence)層)等、光学的な機能を発現する、各種の層が利用可能である。
中でも、端面封止層16を有することで、端面から侵入する酸素に起因する光学機能材料の劣化を防止でき、かつ、端面封止層16が高温高湿下でも十分な耐久性を有するという、本発明の積層フィルムの特徴を十分に発現できる等の点で、車載などの高温高湿等の様々な環境下での使用が想定されるLCD等に利用され、かつ、酸素による量子ドットの劣化が大きな問題となる量子ドット層は、機能層12として好適に利用される。
例えば、図示しないバックライトから出射された青色光が機能層12に入射すると、機能層12は、内部に含有する量子ドットの効果により、この青色光の少なくとも一部を赤色光あるいは緑色光に波長変換して出射する。
なお、量子ドット層が発現する波長変換の機能は、青色光を赤色光あるいは緑色光に波長変換する構成に限定はされず、入射光の少なくとも一部を異なる波長の光に変換するものであればよい。
量子ドット層に含有される量子ドットの種類には特に限定はなく、求められる波長変換の性能等に応じて、種々の公知の量子ドットを適宜選択すればよい。
また、量子ドットは、1種のみを用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
2種以上の量子ドットを併用する場合は、互いの発光光の波長が異なる量子ドットを使用してもよい。
例えば、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート)、(メタ)アクリル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂などが挙げられる。あるいは、マトリックスとして、重合性基を有する硬化性化合物を用いることができる。重合性基の種類は、特に限定はないが、好ましくは、(メタ)アクリレート基、ビニル基またはエポキシ基であり、より好ましくは、(メタ)アクリレート基であり、特に好ましくは、アクリレート基である。また、2つ以上の重合性基を有する重合性単量体は、それぞれの重合性基が同一であってもよいし、異なっていても良い。
水素結合性を有する官能基としては、ウレタン基、ウレア基、またはヒドロキシル基等が挙げられる。
第1の重合性化合物と重合反応できる重合性基としては、例えば、第1の重合性化合物が2官能以上の(メタ)アクリレートモノマーであるときは(メタ)アクリロイル基であればよく、第1の重合性化合物がエポキシ基およびオキセタニル基からなる群から選択される官能基を2つ以上有するモノマーであるときはエポキシ基またはオキセタニル基であればよい。
第1の重合性化合物と第2の重合性化合物との質量比は10:90〜99:1であればよく、10:90〜90:10であることが好ましい。第2の重合性化合物の含有量に対し第1の重合性化合物の含有量が多いことも好ましく、具体的には(第1の重合性化合物の含有量)/(第2の重合性化合物の含有量)が2〜10であることが好ましい。
メチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等のアルキル基の炭素数が1〜30であるアルキル(メタ)アクリレート;ベンジル(メタ)アクリレート等のアラルキル基の炭素数が7〜20であるアラルキル(メタ)アクリレート;ブトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル基の炭素数が2〜30であるアルコキシアルキル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の(モノアルキルまたはジアルキル)アミノアルキル基の総炭素数が1〜20であるアミノアルキル(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールエチルエーテルの(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールブチルエーテルの(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノメチルエーテルの(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノメチルエーテルの(メタ)アクリレート、オクタエチレングリコールのモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ノナエチレングリコールのモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールのモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、ヘプタプロピレングリコールのモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールのモノエチルエーテル(メタ)アクリレート等のアルキレン鎖の炭素数が1〜10で末端アルキルエーテルの炭素数が1〜10のポリアルキレングリコールアルキルエーテルの(メタ)アクリレート;ヘキサエチレングリコールフェニルエーテルの(メタ)アクリレート等のアルキレン鎖の炭素数が1〜30で末端アリールエーテルの炭素数が6〜20のポリアルキレングリコールアリールエーテルの(メタ)アクリレート;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、メチレンオキシド付加シクロデカトリエン(メタ)アクリレート等の脂環構造を有する総炭素数4〜30の(メタ)アクリレート;ヘプタデカフロロデシル(メタ)アクリレート等の総炭素数4〜30のフッ素化アルキル(メタ)アクリレート;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールのモノ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールのモノまたはジ(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリレート;グリシジル(メタ)アクリレート等のグリシジル基を有する(メタ)アクリレート;テトラエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、オクタプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート等のアルキレン鎖の炭素数が1〜30のポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート;(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等の(メタ)アクリルアミドなどが挙げられる。
単官能(メタ)アクリレートモノマーは第1の重合性化合物と第2の重合性化合物との総質量100質量部に対して、1〜300質量部含まれていることが好ましく、50〜150質量部含まれていることがより好ましい。
炭素数4〜30の長鎖アルキル基を有する単官能(メタ)アクリレートモノマーとしては、具体的には、ブチル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリルアミド、オクチル(メタ)アクリルアミド、ラウリル(メタ)アクリルアミド、オレイル(メタ)アクリルアミド、ステアリル(メタ)アクリルアミド、ベヘニル(メタ)アクリルアミド等が好ましい。中でもラウリル(メタ)アクリレート、オレイル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートが特に好ましい。
また、量子ドット層中のマトリックスとなる樹脂の総量には特に限定はないが、量子ドット層の全量100質量部に対して、90〜99.9質量部であることが好ましく、92〜99質量部であることがより好ましい。
なお、上記厚さは平均厚さを意図し、平均厚さは量子ドット層の任意の10点以上の厚さを測定して、それらを算術平均して求める。
なお、量子ドット層となる組成物には、必要に応じて、重合開始剤やシランカップリング剤等を添加してもよい。
ここで、図示例の積層フィルム10は、好ましい態様として、機能層12の両面にガスバリア層14が設けられが、本発明は、これに限定はされない。すなわち、ガスバリア層14は、機能層12の一方の面のみに設けてもよい。しかしながら、酸素等の侵入による機能層12の劣化を、より好適に防止できる等の点で、ガスバリア層14は、機能層12の両面に設けるのが好ましい。
また、ガスバリア層14を機能層12の両面に設ける場合には、ガスバリア層14は、同じものであっても、異なるものであってもよい。
ガスバリア層14の酸素透過度を0.1cc/(m2・day・atm)以下とすることにより、機能層12の主面から侵入する酸素等による機能層12の劣化を抑制して、長寿命な量子ドットフィルム等の積層フィルムを得ることができる。
なお、本発明において、ガスバリア層14や端面封止層16等の酸素透過度は、後述する実施例に準じて測定すればよい。
中でも、好ましいガスバリア層14として、支持体の上に、有機層と無機層とを交互に積層してなる、有機無機の積層構造を有するガスバリアフィルムが例示される。このガスバリアフィルムにおいて、有機無機の積層構造は、支持体の一方の面のみに形成してもよく、支持体の両面に形成してもよい。
図2に示すガスバリア層14は、支持体20の上に有機層24を有し、有機層24の上に無機層26を有し、無機層26の上に有機層28を有する。
このガスバリア層14(ガスバリアフィルム)において、ガスバリア性は主に無機層26によって発現される。無機層26の下層の有機層24は、無機層26を適正に形成するための下地層である。最上層の有機層28は、無機層26の保護層として作用する。
例えば、保護層として作用する最上層の有機層28を有さなくてもよい。
また、図2に示す例は、無機層と下地の有機層との組み合わせを1組のみ有するが、無機層と下地の有機層との組み合わせを2組以上有してもよい。一般的に、無機層と下地の有機層との組み合わせの数が多いほど、ガスバリア性は高くなる。
さらに、支持体20の上に無機層を形成し、その上に、無機層と下地の有機層との組み合わせを1組以上、有する構成であってもよい。
中でも、薄手化や軽量化が容易である、フレキシブル化に好適である等の点で、各種の樹脂材料(高分子材料)からなるフィルムが好適に利用される。
具体的には、ポリエチレン(PE)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド(PA)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリアクリトニトリル(PAN)、ポリイミド(PI)、透明ポリイミド、ポリメタクリル酸メチル樹脂(PMMA)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ABS、シクロオレフィン・コポリマー(COC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、および、トリアセチルセルロース(TAC)からなるプラスチックフィルムが、好適に例示される。
なお、支持体20は、このようなプラスチックフィルムの表面に、反射防止や位相差制御、光取り出し効率向上等の機能が付与されていてもよい。
支持体20の表面に形成される有機層24すなわち無機層26の下層となる有機層24は、ガスバリア層14において主にガスバリア性を発現する無機層26の下地層となるものである。
このような有機層24を有することにより、支持体20の表面の凹凸や、支持体20の表面に付着している異物等を包埋して、無機層26の成膜面を、無機層26の成膜に適した状態にできる。これにより、支持体20の表面の凹凸や異物の影のような、無機層26となる無機化合物が着膜し難い領域を無くし、基板の表面全面に、隙間無く、適正な無機層26を成膜することが可能になる。その結果、酸素透過度が0.1cc/(m2・day・atm)以下のガスバリア層14を安定して形成できる。
具体的には、ポリエステル、(メタ)アクリル樹脂、メタクリル酸−マレイン酸共重合体、ポリスチレン、透明フッ素樹脂、ポリイミド、フッ素化ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエーテルイミド、セルロースアシレート、ポリウレタン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、脂環式ポリオレフィン、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、フルオレン環変性ポリカーボネート、脂環変性ポリカーボネート、フルオレン環変性ポリエステル、アクリル化合物、などの熱可塑性樹脂、ポリシロキサンや、その他の有機ケイ素化合物の膜が好適に例示される。これらは、複数を併用してもよい。
中でも特に、屈折率が低い、透明性が高く光学特性に優れる等の点で、アクリレートおよび/またはメタクリレートのモノマやオリゴマの重合体を主成分とするアクリル樹脂やメタクリル樹脂は、有機層24として好適に例示される。
その中でも特に、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート(DPGDA)、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート(TMPTA)、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート(DPHA)などの、2官能以上、特に3官能以上のアクリレートおよび/またはメタクリレートのモノマやオリゴマの重合体を主成分とするアクリル樹脂やメタクリル樹脂は、好適に例示される。また、これらのアクリル樹脂やメタクリル樹脂を、複数、用いるのも好ましい。
有機層24の厚さを0.5μm以上とすることにより、支持体20の表面の凹凸や、支持体20の表面に付着した異物を包埋して、有機層24の表面すなわち無機層26の成膜面を平坦化できる。有機層24の厚さを5μm以下とすることにより、有機層24が厚すぎることに起因する、有機層24のクラックや、ガスバリア層14に起因するカール等の問題の発生を、好適に抑制することができる。
なお、無機層と下地の有機層との組み合わせを複数有する場合等、複数の有機層を有する場合には、各有機層の厚さは、同じでも異なってもよい。
有機層24の下層となる無機層26との密着性を向上するために、有機層24(有機層24となる組成物)は、シランカップリング剤を含有するのが好ましい。
なお、後述する有機層28も含めて、無機層と下地の有機層との組み合わせを複数有する場合等、有機層24を複数有する場合には、各有機層の形成材料は、同じでも異なってもよい。しかしながら、生産性等の点からは、全ての有機層を、同じ材料で形成するのが好ましい。
無機層26は、無機化合物を主成分とする膜で、ガスバリア層14において、ガスバリア性を主に発現するものである。
具体的には、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化インジウムスズ(ITO)などの金属酸化物; 窒化アルミニウムなどの金属窒化物; 炭化アルミニウムなどの金属炭化物; 酸化ケイ素、酸化窒化ケイ素、酸炭化ケイ素、酸化窒化炭化ケイ素などのケイ素酸化物; 窒化ケイ素、窒化炭化ケイ素などのケイ素窒化物; 炭化ケイ素等のケイ素炭化物; これらの水素化物; これら2種以上の混合物; および、これらの水素含有物等の、無機化合物からなる膜が、好適に例示される。
特に、透明性が高く、かつ、優れたガスバリア性を発現できる点で、ケイ素酸化物、ケイ素窒化物、ケイ素酸窒化物およびケイ素酸化物等のケイ素化合物からなる膜は、好適に例示される。その中でも特に、窒化ケイ素からなる膜は、より優れたガスバリア性に加え、透明性も高く、好適に例示される。
無機層26の厚さを10nm以上とすることにより、十分なガスバリア性能を安定して発現する無機層26が形成できる。また、無機層26は、一般的に脆く、厚過ぎると、割れやヒビ、剥がれ等を生じる可能性が有るが、無機層26の厚さを200nm以下とすることにより、割れが発生することを防止できる。
なお、ガスバリアフィルムが複数の無機層26を有する場合には、各無機層26の厚さは、同じでも異なってもよい。
無機層を複数有する場合には、各無機層の形成材料は、同じでも異なってもよい。しかしながら、生産性等の点からは、全ての無機層を、同じ材料で形成するのが好ましい。
前述のように、有機層28は、無機層26の保護層として作用する層である。最上層に有機層28を有することにより、ガスバリア性を発現する無機層26の損傷を防止して、ガスバリア層14が安定して目的とするガスバリア性を発現することが可能となる。
この有機層28は、基本的に、前述の有機層24と同様のものである。
本発明者らの検討によれば、ガスバリア層14の厚さは、5〜100μmが好ましく、10〜70μmがより好ましく、15〜55μmが特に好ましい。
ガスバリア層14の厚さを100μm以下とすることで、ガスバリア層14すなわち積層フィルム10が不要に厚くなることを防止できる。また、ガスバリア層14の厚さを5μm以上とすることで、2つのガスバリア層14の間に機能層12を形成する際に、機能層12の厚さを均一にできる点で好ましい。
以下の説明では、機能層12とガスバリア層14とからなる積層体、すなわち、機能層12とガスバリア層14で挟持してなる積層体を、単に積層体とも言う。
すなわち、発明の積層フィルムは、例えば、積層フィルム10の平面形状が四角形状である場合、対向する2つの端面のみ全面を覆って端面封止層を設けてもよく、1端面を残して3つの端面の全面を覆って端面封止層を設けてもよい。また、積層体の各端面を部分的に覆うように端面封止層を設けてもよい。これらは、積層フィルムが利用されるバックライトユニットの構成、積層フィルムの取付け部の構成等に応じて、適宜、設定すればよい。
しかしながら、積層体の端面から侵入する酸素等による量子ドットの劣化等、機能層12の劣化を、より好適に防止できる等の点で、端面封止層は、可能な限り大きな面積で積層体の端面を覆うのが好ましく、積層体の端面全面を覆うのが特に好ましい。
ここで、量子ドットフィルムのようにLCDのバックライトに使用される物は、屋外や屋内、車載など、高温高湿を含む様々な環境に曝される可能性が高い。そのため、積層体の端面封止には、必要なガスバリア性に加え、高温高湿の環境下でも、劣化しない高い耐久性が要求される。
しかしながら従来の量子ドットフィルムの端面封止では、必要なガスバリア性に加え、高温高湿の環境下に対する十分な耐久性が得られていない。
一般的に、高いガスバリア性を有する樹脂は、親水的である。例えばポリビニルアルコール(PVA)等、は水素結合性官能基を持ち、分子間相互作用を強くすることで樹脂の自由体積を小さくし、高いガスバリア性を発現している。しかし、前述のように、LCDのバックライトに使用される物は、高温高湿を含む様々な環境に曝される可能性が高い。このような高温高湿な環境では、水素結合性官能基のみを持つ樹脂など、一般的なガスバリア性が高い樹脂は、親水性が高いために劣化してしまう。すなわち、従来の量子ドットの端面封止ではガスバリア性と高温高湿の耐久性とがトレードオフであった。
すなわち、本発明においては、端面封止層16を、所定の重合性官能基を有する重合性化合物を含む組成物からなる酸素透過度が10cc/(m2・day・atm)以下の樹脂層とすることにより、十分なガスバリア性を得ると共に、所定の重合性官能基を有する重合性化合物を含むことで、高温高湿の環境下に長時間さらされても、端面封止層16の劣化を防止できる。好ましくは、水素結合性官能基を有する水素結合性化合物を含むことにより、より好適に、酸素透過度を低くできる。
この点を考慮すると、端面封止層16の酸素透過度は、低い方が好ましい。具体的には、端面封止層16の酸素透過度は5cc/(m2・day・atm)以下が好ましく、1cc/(m2・day・atm)以下がより好ましい。
本発明者らの検討によれば、端面封止層16の厚さは、0.1〜500μmが好ましく、1〜100μmがより好ましい。
端面封止層16の厚さを0.1μm以上とすることにより、積層体の端面を適正に覆える、酸素透過度が10cc/(m2・day・atm)以下となる端面封止層16を安定して形成できる等の点で好ましい。
端面封止層16の厚さを500μm以下とすることにより、積層フィルム10を不要に大きくすることを防止できる、LCDの表示面積など積層フィルム10を利用する装置の有効面積を広くできる等の点で好ましい。
この点を考慮すると、積層体の端面の表面粗さRaは、2μm以下であるのが好ましく、1μm以下であるのが、より好ましい。
積層体の端面の表面粗さRaを2μm以下とすることにより、薄い端面封止層16でも、積層体の端面の必要な領域の全域を安定して封止することが可能になる。
なお、表面粗さRa(算術平均粗さRa)は、JIS B 0601に準拠して測定すればよい。
端面封止層16すなわち樹脂層は、基本的に、重合性化合物あるいはさらに水素結合性化合物を主体として形成される。ここで、端面封止層16を形成するための組成物が含有する重合性化合物および水素結合性化合物は、親水度logPが4以下であるのが好ましく、3以下であるのがより好ましい。
なお、本発明において、親水度を示すLogP値とは、1−オクタノール/水の分配係数の対数値をいうものである。LogP値は、フラグメント法、原子アプローチ法等を用いて計算により算出することができる。本明細書に記載のLogP値は、化合物の構造からCambridge Soft社製ChemBioDraw Ultra12.0を用いて計算されるLogP値である。
ここで、機能層12では、マトリックスとして、疎水性の樹脂を用いる場合が少なくない。特に、機能層12が量子ドット層である場合には、マトリックスとして疎水性の樹脂が用いられる場合が多い。
一方、周知のように、化合物は、親水度logPが低い方が親水性が高い。すなわち、機能層12との密着力が強い端面封止層16を形成するためには、主体となる重合性化合物や水素結合性化合物は、親水度logPが高い方が好ましい。
その半面、疎水性の高い化合物からなる樹脂は、酸素透過性が高く、樹脂層の酸素透過度という点では、主体となる重合性化合物や水素結合性化合物は、親水度logPが低い方が好ましい。
この点を考慮すると、重合性化合物および水素結合性化合物の親水度logPは、0.0以上が好ましく、0.5以上がより好ましい。
なお、組成物の固形分全量とは、組成物から有機溶剤を除いた、形成される端面封止層16に残るべき成分の全量である。
端面封止層16を形成する組成物の固形分が、水素結合性化合物を30質量部以上含有することにより、分子間の相互作用を強くして、酸素透過性を低くできる等の点で好ましい。
水素結合性を有する官能基とは、このような水素結合を生じさせることのできる水素原子を含む官能基である。具体的には、ウレタン基、ウレア基、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミド基またはシアノ基等が挙げられる。
これらの官能基を有する化合物としては、具体的には、トリレンジイソシアナート(TDI)、ジフェニルメタンジイソシアナート(MDI)、ヘキサメチレンジイソシアナート(HDI)、イソホロンジイソシアナート(IPDI)、水素添加MDI(HMDI)等のジイソシアナートと、ポリ(プロピレンオキサイド)ジオール、ポリ(テトラメチレンオキサイド)ジオール、エトキシ化ビスフェノールA、エトキシ化ビスフェノールSスピログリコール、カプロラクトン変性ジオール、カーボネートジオール等のポリオール、および、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、グリシドールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のヒドロキシアクリレートとを反応させて得られるモノマー、オリゴマーが例示される。
また、エポキシ基を有する化合物に、ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールF型、エポキシ化油型、フェノールノボラック型等の化合物を反応させて得られるエポキシ化合物や、脂環型エポキシに、アミン化合物、酸無水物等を反応させて得られるエポキシ化合物も例示される。
さらに、前述のエポキシ化合物のカチオン重合物、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ブテンジオール−ビニルアルコール共重合体、ポリアクリロニトリル等も例示される。
中でも、硬化収縮が小さく積層フィルムとの密着に優れる観点から、エポキシ基を有する化合物、エポキシ基を有する化合物を反応させて得られる化合物が好ましい。
本発明の積層フィルム10においては、端面封止層16を形成する組成物の固形分が、(メタ)アクリロイル基等から少なくとも1つ選ばれる重合性官能基を有する重合性化合物を5質量部以上含有することにより、高温高湿下での耐久性に優れる端面封止層16を実現している。
また、グリシジル基、オキセタン基、脂環エポキシ基等を有する重合性化合物としては、具体的には、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等が例示される。
これらの重合性化合物を含む市販品としては、三菱ガス化学社製のマクシーブ、EVONIK社製のNanopox450、Nanopox500、Nanopox630、荒川化学工業社製のコンポセラン102などのシリーズ、東レ・ファインケミカル社製のフレップ、チオコールLP、ヘンケル・ジャパン社製のロックタイトE−30CLなどのシリーズ、Epoxy Technology社製のEPO−TEX353NDなどのシリーズ等が好適に例示される。
ただし、端面封止層16を形成する組成物において、これらの官能基を含まない重合性化合物は、組成物の固形分全量を100質量部とした際に、3質量部以下とするのが好ましい。
端面封止層16が無機物の粒子を含有することにより、端面封止層16の酸素透過度をより低くでき、端面から侵入する酸素等に起因する機能層12の劣化を、より好適に防止できる。
ここで、積層フィルム10の面方向における端面封止層16の領域は、積層フィルム10をバックライト等の装置に組み込んだ際における非有効面積となる。また、積層フィルム10を装置に組み込む際には、積層フィルム10の端面すなわち端面封止層16の端面は、平面状の方が好ましい。
この点を考慮すると、端面封止層16に分散する無機物粒子の大きさ(最大長)は、端面封止層16の厚さ未満であるのが好ましく、特に、小さいほど有利である。
なお、端面封止層16に分散する無機物粒子の大きさは、均一でも不均一でもよい。
本発明者らの検討によれば、端面封止層16における無機物粒子の含有量は、50質量%以下が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。すなわち、前述の端面封止層16を形成する組成物において、組成物の固形分全量を100質量部とした際に、無機物粒子の含有量が50質量部以下であるのが好ましく、10〜30質量部であるのがより好ましい。
端面封止層16における無機物粒子の含有量を50質量%以下とすることにより、端面封止層16の密着性や耐久性を十分にできる、積層フィルムを裁断や打ち抜きする際にクラックが発生することを抑制できる等の点で好ましい。
まず、前述のように、支持体20の表面に塗布法等によって有機層24を形成し、この有機層24の表面にプラズマCVD等によって無機層26を形成し、無機層26の表面に塗布法等によって有機層28を形成して、ガスバリア層14(ガスバリアフィルム)を作製する。
このような有機層および無機層の形成は、いわゆるロール・トゥ・ロールによって行うのが好ましい。以下の説明では、『ロール・トゥ・ロール』を『RtoR』とも言う。
2枚のガスバリア層14を用意して、一枚のガスバリア層14の有機層28の表面に、この機能層12となる組成物を、塗布し、さらに、組成物の上に有機層28を組成物側に向けてもう1枚のガスバリア層14を積層して、紫外線硬化等を行って、機能層12の両面にガスバリア層14を積層した積層体を作製する。
作製した積層体を所定サイズに切断して、切断した積層体を、複数枚、例えば1000枚重ねる。次いで、重ねた状態の積層体の端面全面に、前述のような端面封止層16を形成する組成物を塗布する。ここで、この組成物は、粘度が高いのが好ましく、ペースト状であってもよい。
次いで、積層体の端面に塗布した、組成物を乾燥し、さらに、必要に応じて、紫外線照射等によって硬化する。
その後、重ねた積層体を、1枚ずつ剥がして、機能層12の両面にガスバリア層14を積層した積層体の端面に、端面封止層16を形成した積層フィルム10を作製する。
<<支持体20>>
ガスバリア層14の支持体20として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム、東洋紡社製、商品名:コスモシャインA4300、厚さ50μmm、幅1000mm、長さ100m)を用いた。
支持体20の一面に、以下のようにして有機層24を形成した。
まず、有機層24を形成するための組成物を調製した。具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA、ダイセルサイテック社製)および光重合開始剤(ランベルティ社製、ESACUREKTO46)を用意し、TMPTA:光重合開始剤の質量比率が、95:5となるように、秤量し、これらをメチルエチルケトンに溶解させ、固形分濃度が15%の組成物を調製した。
まず、ダイコーターを用いて組成物を支持体20の一面に塗布した。塗布後の支持体20を50℃の乾燥ゾーンを3分間通過させた後、紫外線(積算照射量約600mJ/cm2)を照射することで組成物を硬化して、有機層24を形成した。
また、紫外線硬化直後のパスロールにおいて、保護フィルムとして有機層24の表面にポリエチレンフィルム(PEフィルム、サンエー科研製、商品名:PAC2−30−T)を貼り付け、搬送し、巻き取った。
形成した有機層24の厚さは1μmであった。
次に、RtoRを利用するCVD装置を用いて、有機層24の表面に無機層26(窒化ケイ素(SiN)層)を形成した。
送出機より有機層24を形成した支持体20を送り出し、無機層の成膜前の最後の膜面タッチロール通過後に保護フィルムを剥離し、暴露された有機層24の上にプラズマCVDによって無機層26を形成した。
無機層26の形成には、原料ガスとして、シランガス(流量160sccm)、アンモニアガス(流量370sccm)、水素ガス(流量590sccm)、および窒素ガス(流量240sccm)を用いた。電源は、周波数13.56MHzの高周波電源を用いた。製膜圧力は40Paとした。
形成した無機層26の厚さは50nmであった。
さらに、無機層26の表面に、以下のようにして有機層28を積層した。
まず、有機層28を形成するための組成物を調製した。具体的には、ウレタン結合含有アクリルポリマー(大成ファインケミカル社製、アクリット8BR500、質量平均分子量250,000)と光重合開始剤(BASF社製イルガキュア184)とを用意し、ウレタン結合含有アクリルポリマー:光重合開始剤の質量比率が、95:5となるように、秤量し、これらをメチルエチルケトンに溶解させ、固形分濃度が15質量%の組成物を調製した。
まず、ダイコーターを用いて組成物を支持体20の一面に塗布した。塗布後の支持体20を100℃の乾燥ゾーンを3分間通過させて、有機層28を形成した。
これにより、支持体20の上に有機層24、無機層26および有機層28を形成してなる、図2に示すようなガスバリア層14(ガスバリアフィルム)を作製した。形成した有機層28の厚さは1μmであった。
なお、ガスバリア層14は、組成物を乾燥した直後のパスロールにおいて保護フィルムとして有機層28の表面に先と同じポリエチレンフィルムを貼り付けた後、巻き取った。
以下の組成を有する、機能層12としての量子ドット層を形成するための組成物を調製した。
(組成物の組成)
・量子ドット1のトルエン分散液(発光極大:520nm) 10質量部
・量子ドット2のトルエン分散液(発光極大:630nm) 1質量部
・ラウリルメタクリレート 2.4質量部
・トリメチロールプロパントリアクリレート 0.54質量部
・光重合開始剤(イルガキュア819、BASF社製) 0.009質量部
量子ドット1、2としては、下記のコア−シェル構造(InP/ZnS)を有するナノ結晶を用いた。
・量子ドット1:INP530−10(NN−labs社製)
・量子ドット2:INP620−10(NN−labs社製)
調製した組成物の50mPa・sであった。
2枚のガスバリア層14を成膜装置の所定位置に装填、通紙した。まず、一枚のガスバリア層の保護フィルムを剥離した後、ダイコーターを用いて組成物を有機層28の表面に塗布した。次いで、もう一枚のガスバリア層14から保護フィルムを剥離した後、組成物に有機層28を向けて、ガスバリア層14を積層した。
さらに、機能層12となる組成物をガスバリア層14で挟んだ積層体に、紫外線(積算照射量約2000mJ/cm2)を照射することで組成物を硬化して機能層12を形成し、機能層12の両面にガスバリア層14を積層した積層体を作製した。
この積層体を、刃先角度17°のトムソン刃を使用して、A4サイズのシート状に切断した。次いで、切断した積層体を、1000枚重ねた。
端面封止層16を形成する組成物として、固形分が以下の組成を有する組成物を調製した。なお、組成は、固形分全体を100質量部とした際の質量部である。
・2液硬化型エポキシ化合物の主剤(重合性化合物、親水度logP=3.8、ヘンケルジャパン社製、ロックタイトE−30CLの主剤) 66.7質量部
・2液硬化型エポキシ化合物の硬化剤(ヘンケル・ジャパン社製、ロックタイトE−30CLの硬化剤) 33.3質量部
この組成物を、ディスペンサを用いて1000枚重ねた積層体の端面全面に塗布し、80℃で10分乾燥、硬化して、端面封止層16を形成した。
その後、個々の積層体を剥離して、機能層12の両面にガスバリア層14を積層した積層体の端面に、端面封止層16を形成してなる、図1に示すような積層フィルム10を作製した。
また、厚さ100μmの2軸延伸ポリエステルフィルム(東レ社製、ルミラーT60)に、端面封止層16と全く同様にして厚さ60μmの酸素透過度測定用サンプルを作製した。次いで、ポリエステルフィルムから酸素透過度測定用サンプルを剥離して、APIMS法(大気圧イオン化質量分析法)による測定装置(日本エイピーアイ社製)を用いて、温度25℃、湿度60%RHの条件下で、酸素透過度を測定した。
その結果、酸素透過度測定用サンプルすなわち端面封止層16の酸素透過度は、5.1cc/(m2・day・atm)であった。
端面封止層16となる組成物の固形分を、以下に示す組成とした以外は、実施例1と同様に、積層フィルム10を作製した。
・ 脂環式エポキシ化合物(重合性化合物、親水度logP=0.8、ダイセル社製、セロキサイド2021P) 50質量部
・ 無水フタル酸 50質量部
実施例1と同様に、端面封止層16の酸素透過度を測定した結果、酸素透過度は4.6cc/(m2・day・atm)であった。
端面封止層16となる組成物の固形分を、以下に示す組成とした以外は、実施例1と同様に、積層フィルム10を作製した。
・ UV硬化性イソシアナート化合物(重合性化合物、親水度logP=0.5、昭和電工社製、カレンズmoi) 14質量部
・ ポリビニルアルコール(水素結合性化合物、親水度logP=0.9、クラレ社製、PVA117H) 83質量部
・ 光ラジカル重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184) 3質量部
なお、本例においては、端面封止層16となる組成物を塗布、乾燥した後、紫外線(積算照射量約800mJ/cm2)を照射することで組成物を硬化して、端面封止層16を形成した。
実施例1と同様に、端面封止層16の酸素透過度を測定した結果、酸素透過度は0.8cc/(m2・day・atm)であった。
端面封止層16となる組成物の固形分を、以下に示す組成とした以外は、実施例1と同様に、積層フィルム10を作製した。
・2液硬化型エポキシ化合物の主剤(重合性化合物、親水度logP=3.8、ヘンケルジャパン社製、ロックタイトE−30CLの主剤) 50質量部
・ 2液硬化型エポキシ化合物の硬化剤(ヘンケル・ジャパン社製、ロックタイトE−30CLの硬化剤) 25質量部
・ シリカ粒子(無機物粒子、粒径40〜50nm、日産化学社製、MEK−AC−4130Y) 25質量部
実施例1と同様に、端面封止層16の酸素透過度を測定した結果、酸素透過度は2.5cc/(m2・day・atm)であった。
端面封止層16となる組成物の固形分を、以下に示す組成とした以外は、実施例1と同様に、積層フィルム10を作製した。
・ TMPTA(重合性化合物、親水度logP=2.5、ダイセルセルテック社製) 37質量部
・ 3,4−エポキシシクロヘキシルメチルメタアクリレート(水素結合性化合物、親水度logP=1.4、ダイセル社製、サイクロマーM100) 57質量部
・ 光ラジカル重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184) 3質量部
・ 光カチオン重合開始剤(CPI−100P、サンアプロ社製) 3質量部
なお、本例においては、端面封止層16となる組成物を塗布、乾燥した後、紫外線(積算照射量約800mJ/cm2)を照射することで組成物を硬化して、端面封止層16を形成した。
実施例1と同様に、端面封止層16の酸素透過度を測定した結果、酸素透過度は9.5cc/(m2・day・atm)であった。
端面封止層16となる組成物の固形分を、以下に示す組成とした以外は、実施例1と同様に、積層フィルム10を作製した。
・ UV硬化性イソシアナート化合物(重合性化合物、親水度logP=0.5、昭和電工社製、カレンズmoi) 12質量部
・ ポリビニルアルコール(水素結合性化合物、親水度logP=0.9、クラレ社製、PVA117H) 73質量部
・ 光ラジカル重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184) 3質量部
・ シリカ粒子(無機物粒子、粒径40〜50nm、日産化学社製、MEK−AC−4130Y) 12質量部
なお、本例においては、端面封止層16となる組成物を塗布、乾燥した後、紫外線(積算照射量約800mJ/cm2)を照射することで組成物を硬化して、端面封止層16を形成した。
実施例1と同様に、端面封止層16の酸素透過度を測定した結果、酸素透過度は0.6cc/(m2・day・atm)であった。
端面封止層16を形成しない以外は、実施例1と同様に、積層フィルムを作製した。
端面封止層となる組成物の固形分を、以下に示す組成とした以外は、実施例1と同様に、積層フィルムを作製した。
・ ラウリルアクリレート(重合性化合物、親水度logP=5.2、東京化成工業社製) 50質量部
・ ポリビニルアルコール(水素結合性化合物、親水度logP=0.9、クラレ社製、PVA117H) 50質量部
実施例1と同様に、端面封止層16の酸素透過度を測定した結果、酸素透過度は75cc/(m2・day・atm)であった。
なお、本例においては、端面封止層16となる組成物を塗布、乾燥した後、紫外線(積算照射量約800mJ/cm2)を照射することで組成物を硬化して、端面封止層16を形成した。
端面封止層となる組成物の固形分を、以下に示す組成とした以外は、実施例1と同様に、積層フィルムを作製した。
・ ポリビニルアルコール(水素結合性化合物、親水度logP=0.9、クラレ社製、PVA117H) 100質量部
実施例1と同様に、端面封止層16の酸素透過度を測定した結果、酸素透過度は0.8cc/(m2・day・atm)であった。
端面封止層となる組成物の固形分を、以下に示す組成とした以外は、実施例1と同様に、積層フィルムを作製した。
・ TMPTA(重合性化合物、親水度logP=2.5、ダイセルセルテック社製) 97質量部
・ 光ラジカル重合開始剤(BASF社製、イルガキュア184) 3質量部
なお、本例においては、端面封止層16となる組成物を塗布、乾燥した後、紫外線(積算照射量約800mJ/cm2)を照射することで組成物を硬化して、端面封止層16を形成した。
実施例1と同様に、端面封止層16の酸素透過度を測定した結果、酸素透過度は17cc/(m2・day・atm)であった。
25℃相対湿度60%に保たれた部屋で、市販の青色光源(OPTEX−FA社製、OPSM−H150X142B)上に積層フィルムを置き、積層フィルムに対して青色光を1000時間連続で照射した。
連続照射後の積層フィルムの輝度を輝度分布計ProMetric(Radiant Zemax社製)で測定し、積層フィルムの中央の輝度に対し、20%以上、輝度が低下している距離を端部劣化距離Lとし、以下の基準で端部の発光領域を評価した。
評価結果がAA〜Bであれば、連続照射後も端部の発光効率が良好に維持されていると判断することができる。
AA: L≦0.1mm
A: 0.1mm<L≦0.3mm
B: 0.3mm<L≦0.5mm
C: 0.5mm<L≦1.5mm
D: 1.5mm<L
作製した積層フィルムの端面封止層16の膜厚D1を光学顕微鏡測定したのち、85℃相対湿度85%に保たれた恒温槽へ投入し、300時間保管した。
恒温槽から積層フィルムを取り出したのち、25℃相対湿度60%に保たれた部屋で24時間調湿し、高温高湿耐久後の積層フィルムの端面封止層16の膜厚D2を先に示した手順と同様にして測定した。
高温高湿耐久前後の端面封止層16の膜厚変化X[%]=(D1−D2)/D2×100を算出し、以下の基準で高温高湿耐性を評価した。
評価結果がAおよびBであれば、高温高湿の耐性があると判断することができる。
A: X≦5%
B: 5%<X≦10%
C: 10%<X≦30%
D: 30%<X
端面封止層の組成と共に、結果を下記表に示す。
以上の結果より、本発明の効果は明らかである。
12 (光学)機能層
14 ガスバリア層
16 端面封止層
20 支持体
24,28 有機層
26 無機層
Claims (8)
- 光学機能層と、前記光学機能層の少なくとも一方の主面に積層されるガスバリア層と、前記光学機能層およびガスバリア層を積層した積層体の端面の少なくとも一部を覆う端面封止層とを有し、かつ、
前記端面封止層が、固形分全量を100質量部とした際に、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、グリシジル基、オキセタン基、脂環式エポキシ基から少なくとも1つ選ばれる重合性官能基を有する重合性化合物を5質量部以上含有する組成物によって形成された、酸素透過度が10cc/(m2・day・atm)以下の樹脂層であることを有することを特徴とする積層フィルム。 - 前記端面封止層が、前記積層体の端面の全面を覆う請求項1に記載の積層フィルム。
- 前記端面封止層を形成する組成物が含有する重合性化合物の親水度logPが4以下である請求項1または2に記載の積層フィルム。
- 前記端面封止層を形成する組成物が、親水度logPが4以下の水素結合性化合物を含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の積層フィルム。
- 前記端面封止層を形成する組成物は、前記組成物の固形分全量を100質量部とした際に、水素結合性化合物を30質量部以上含有する請求項1〜4のいずれか1項に記載の積層フィルム。
- 前記端面封止層の厚さが0.1〜500μmである請求項1〜5のいずれか1項に記載の積層フィルム。
- 前記端面封止層に無機物の粒子が分散される請求項1〜6のいずれか1項に記載の積層フィルム。
- 前記無機物の粒子の大きさが、前記端面封止層の厚さ以下である請求項7に記載の積層フィルム。
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