JPWO2016167238A1 - ポリビニルアルコールフィルム - Google Patents

ポリビニルアルコールフィルム Download PDF

Info

Publication number
JPWO2016167238A1
JPWO2016167238A1 JP2017512540A JP2017512540A JPWO2016167238A1 JP WO2016167238 A1 JPWO2016167238 A1 JP WO2016167238A1 JP 2017512540 A JP2017512540 A JP 2017512540A JP 2017512540 A JP2017512540 A JP 2017512540A JP WO2016167238 A1 JPWO2016167238 A1 JP WO2016167238A1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
pva
less
pva film
mass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2017512540A
Other languages
English (en)
Other versions
JP6592509B2 (ja
Inventor
康平 下田
康平 下田
悦男 中里
悦男 中里
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kuraray Co Ltd
Original Assignee
Kuraray Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kuraray Co Ltd filed Critical Kuraray Co Ltd
Publication of JPWO2016167238A1 publication Critical patent/JPWO2016167238A1/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6592509B2 publication Critical patent/JP6592509B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B29WORKING OF PLASTICS; WORKING OF SUBSTANCES IN A PLASTIC STATE IN GENERAL
    • B29CSHAPING OR JOINING OF PLASTICS; SHAPING OF MATERIAL IN A PLASTIC STATE, NOT OTHERWISE PROVIDED FOR; AFTER-TREATMENT OF THE SHAPED PRODUCTS, e.g. REPAIRING
    • B29C55/00Shaping by stretching, e.g. drawing through a die; Apparatus therefor
    • B29C55/02Shaping by stretching, e.g. drawing through a die; Apparatus therefor of plates or sheets
    • B29C55/04Shaping by stretching, e.g. drawing through a die; Apparatus therefor of plates or sheets uniaxial, e.g. oblique
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08FMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED BY REACTIONS ONLY INVOLVING CARBON-TO-CARBON UNSATURATED BONDS
    • C08F16/00Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by an alcohol, ether, aldehydo, ketonic, acetal or ketal radical
    • C08F16/02Homopolymers and copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by an alcohol, ether, aldehydo, ketonic, acetal or ketal radical by an alcohol radical
    • C08F16/04Acyclic compounds
    • C08F16/06Polyvinyl alcohol ; Vinyl alcohol
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J5/00Manufacture of articles or shaped materials containing macromolecular substances
    • C08J5/18Manufacture of films or sheets
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/04Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements made of organic materials, e.g. plastics
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/30Polarising elements
    • GPHYSICS
    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B5/00Optical elements other than lenses
    • G02B5/30Polarising elements
    • G02B5/3025Polarisers, i.e. arrangements capable of producing a definite output polarisation state from an unpolarised input state
    • G02B5/3033Polarisers, i.e. arrangements capable of producing a definite output polarisation state from an unpolarised input state in the form of a thin sheet or foil, e.g. Polaroid
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08JWORKING-UP; GENERAL PROCESSES OF COMPOUNDING; AFTER-TREATMENT NOT COVERED BY SUBCLASSES C08B, C08C, C08F, C08G or C08H
    • C08J2329/00Characterised by the use of homopolymers or copolymers of compounds having one or more unsaturated aliphatic radicals, each having only one carbon-to-carbon double bond, and at least one being terminated by an alcohol, ether, aldehydo, ketonic, acetal, or ketal radical; Hydrolysed polymers of esters of unsaturated alcohols with saturated carboxylic acids; Derivatives of such polymer
    • C08J2329/02Homopolymers or copolymers of unsaturated alcohols
    • C08J2329/04Polyvinyl alcohol; Partially hydrolysed homopolymers or copolymers of esters of unsaturated alcohols with saturated carboxylic acids

Landscapes

  • Chemical & Material Sciences (AREA)
  • Physics & Mathematics (AREA)
  • Engineering & Computer Science (AREA)
  • Manufacturing & Machinery (AREA)
  • Organic Chemistry (AREA)
  • Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
  • Medicinal Chemistry (AREA)
  • Polymers & Plastics (AREA)
  • Health & Medical Sciences (AREA)
  • General Physics & Mathematics (AREA)
  • Optics & Photonics (AREA)
  • Materials Engineering (AREA)
  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Manufacture Of Macromolecular Shaped Articles (AREA)
  • Polarising Elements (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)

Abstract

本発明は、110%以上190%未満であり軟化点温度が60℃以上68℃以下である厚みが50μm以下のポリビニルアルコールフィルム、および、当該ポリビニルアルコールフィルムを用いて一軸延伸する工程を有する光学フィルムの製造方法である。

Description

本発明は、延伸時に延伸切れが発生しにくくて偏光フィルム等の光学フィルムを製造するための原反フィルムなどとして有用なポリビニルアルコールフィルムおよびそれを用いた光学フィルムの製造方法に関する。
光の透過および遮蔽機能を有する偏光板は、光の偏光状態を変化させる液晶と共に液晶ディスプレイ(LCD)の基本的な構成要素である。LCDは、電卓および腕時計などの小型機器、ノートパソコン、液晶モニター、液晶カラープロジェクター、液晶テレビ、車載用ナビゲーションシステム、携帯電話、屋内外で用いられる計測機器などの広範囲において用いられるようになっている。これらLCDの適用分野のうち液晶テレビや液晶モニターなどでは大型化や薄型化が進んでおり、用いられるガラスの薄型化に伴い、収縮応力の観点から偏光板にも薄型化が求められている。
偏光板は、一般にポリビニルアルコールフィルム(以下、「ポリビニルアルコール」を「PVA」と略記する場合がある)に染色、一軸延伸、および必要に応じてさらにホウ素化合物等による固定処理を施して偏光フィルムを製造した後、その偏光フィルムの表面に三酢酸セルロース(TAC)フィルムなどの保護膜を貼り合わせることによって製造される。したがって偏光板の薄型化を達成するためにより薄いPVAフィルムを用いて薄型の偏光フィルムを製造することが求められており、具体的なPVAフィルムの厚みについて、50μm以下、さらには40μm以下、場合によっては30μm以下とすることが求められている。
特開2006−342236号公報
ところで、薄型のPVAフィルムを用いて光学フィルムを製造する場合には、厚みの厚いPVAフィルムを用いる場合と比較して一軸延伸時に延伸切れが生じやすい。この延伸切れはPVAフィルムを一軸延伸する前に行われる膨潤処理、染色処理等の水浴浸漬処理後に薄型のPVAフィルムの端部に折れが発生することに起因すると考えられる。当該折れの発生を低減する方法としてPVAフィルムの膨潤度を下げる方法が考えられるが、熱処理等、従来公知の方法で単純に膨潤度を下げた場合には、軟化点温度が上昇し、フィルムが硬くなって延伸応力が上昇し、今度は延伸応力が高くなることに起因する延伸切れが多発するという問題が生じる。
厚みの均一性や異物混入の抑制などを目的として、PVAを含む水溶液をT型スリットダイから押し出して回転状態のドラム型ロールの外周面上に流延してPVAフィルムを製造する方法が知られているが(特許文献1参照)、当該方法によっても、上記の問題を解決することはできない。
そこで本発明は、薄いPVAフィルムであるにもかかわらず、水浴浸漬処理後に端部に折れが発生しにくくしかも延伸時の応力が低くて、そのため、延伸時に延伸切れが発生しにくく偏光フィルム等の光学フィルムを収率よく製造することのできるPVAフィルムを提供することを目的とする。また、本発明は、当該PVAフィルムを用いた偏光フィルム等の光学フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、水蒸気と接触させながらPVAフィルムの膨潤度を110%以上190%未満にまで低下させると軟化点温度の低い新規なPVAフィルムが得られ、当該PVAフィルムによれば、薄いPVAフィルムであるにもかかわらず、水浴浸漬処理後に端部に折れが発生しにくくしかも延伸時の応力が低くて、そのため、延伸時に延伸切れが発生しにくく偏光フィルム等の光学フィルムを収率よく製造することができることを見出し、当該知見に基づいてさらに検討を重ねて本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、
[1]膨潤度が110%以上190%未満であり軟化点温度が60℃以上68℃以下である厚みが50μm以下のポリビニルアルコールフィルム;
[2]上記[1]のPVAフィルムを用いて一軸延伸する工程を有する光学フィルムの製造方法;
[3]光学フィルムが偏光フィルムである、上記[2]の製造方法;
に関する。
本発明によれば、薄いPVAフィルムであるにもかかわらず、水浴浸漬処理後に端部に折れが発生しにくくしかも延伸時の応力が低くて、そのため、延伸時に延伸切れが発生しにくく偏光フィルム等の光学フィルムを収率よく製造することのできるPVAフィルムおよびそれを用いた光学フィルムの製造方法が提供される。
以下に本発明について詳細に説明する。
本発明のPVAフィルムは厚みが50μm以下であり、そして、膨潤度が110%以上190%未満の範囲内にあり、且つ、軟化点温度が60℃以上68℃以下の範囲内にある。通常、熱処理等の従来公知の方法によってPVAフィルムの膨潤度を上記範囲にまで低下させた場合にはそれに伴って軟化点温度が高くなるが、本発明のPVAフィルムは、膨潤度が110%以上190%未満と低い範囲にあるにもかかわらず、軟化点温度も60℃以上68℃以下という低い範囲内にある点で、従来のPVAフィルムとは異なっている。
本発明のPVAフィルムはその膨潤度が110%以上190%未満の範囲内にあることが必要である。当該膨潤度はPVAフィルムを水中に浸漬した際の保水能力を示す指標であり、PVAフィルムに対する熱処理の程度を調整するなどして容易に調整することができ、通常、熱処理の条件を強くすることにより膨潤度を低くすることができる。PVAフィルムの膨潤度が110%未満であると延伸時の応力が高くなって延伸切れが多発する。一方、膨潤度が190%以上であると水浴浸漬処理後に端部に折れが発生しやすくなるため延伸切れの観点から好ましくない。このような観点からPVAフィルムの膨潤度は、130%以上であることが好ましく、150%以上であることがより好ましく、160%以上であることがさらに好ましく、170%以上であることが特に好ましく、また、185%以下であることが好ましく、180%以下であることがより好ましい。特にPVAフィルムの膨潤度が185%以下、さらには180%以下であると本発明の効果がより一層顕著に奏される。
PVAフィルムの膨潤度はPVAフィルムのサンプルを30℃の蒸留水中に30分間浸漬した後の質量を、浸漬後105℃で16時間乾燥した後の質量で除すことによって百分率として求めることができ、具体的には実施例において後述する方法により測定することができる。なお、上記PVAフィルムのサンプルとしては、代表位置としてPVAフィルムの幅方向の中央部から採取すればよい。
また本発明のPVAフィルムはその軟化点温度が60℃以上68℃以下の範囲内にあることが必要である。PVAフィルムの軟化点温度が60℃未満であると延伸時に皺が発生し、工程通過性の観点から好ましくない。一方、軟化点温度が68℃を超えると延伸時の応力が高くなって延伸切れが多発する。このような観点からPVAフィルムの軟化点温度は、62℃以上であることが好ましく、63℃以上であることがより好ましく、64℃以上であることがさらに好ましく、また、67℃以下であることが好ましく、66℃以下であることがより好ましい。
PVAフィルムの軟化点温度はPVAフィルムのサンプルを25℃の蒸留水中に配置し、5℃/分の昇温速度で昇温した際の熱水変形温度として求めることができ、具体的には実施例において後述する方法により測定することができる。なお、上記PVAフィルムのサンプルとしては、代表位置としてPVAフィルムの幅方向の中央部から採取すればよい。
本発明のPVAフィルムを構成するPVAとしては、例えば、酢酸ビニル、ギ酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、ピバリン酸ビニル、バーサティック酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、安息香酸ビニル、酢酸イソプロペニル等のビニルエステルの1種または2種以上を重合して得られるポリビニルエステルをけん化することにより得られるものが挙げられる。上記のビニルエステルの中でも、PVAの製造の容易性、入手容易性、コスト等の点から、酢酸ビニルが好ましい。
上記のポリビニルエステルは、単量体として1種または2種以上のビニルエステルのみを用いて得られたものが好ましく、単量体として1種のビニルエステルのみを用いて得られたものがより好ましいが、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、1種または2種以上のビニルエステルと、これと共重合可能な他の単量体との共重合体であってもよい。
上記のビニルエステルと共重合可能な他の単量体としては、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、イソブテン等の炭素数2〜30のα−オレフィン;(メタ)アクリル酸またはその塩;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸i−プロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルへキシル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリルアミド;N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、ジアセトン(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸またはその塩、(メタ)アクリルアミドプロピルジメチルアミンまたはその塩、N−メチロール(メタ)アクリルアミドまたはその誘導体等の(メタ)アクリルアミド誘導体;N−ビニルホルムアミド、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルピロリドン等のN−ビニルアミド;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、i−プロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、i−ブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ステアリルビニルエーテル等のビニルエーテル;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン等のハロゲン化ビニル;酢酸アリル、塩化アリル等のアリル化合物;マレイン酸またはその塩、エステルもしくは酸無水物;イタコン酸またはその塩、エステルもしくは酸無水物;ビニルトリメトキシシラン等のビニルシリル化合物;不飽和スルホン酸またはその塩などを挙げることができる。上記のポリビニルエステルは、前記した他の単量体の1種または2種以上に由来する構造単位を有することができる。ポリビニルエステルが1種または2種以上のビニルエステルと上記他の単量体との共重合体である場合、当該ポリビニルエステルは、単量体としてビニルエステルと炭素数2〜30のα−オレフィンのみを用いて得られたものであることが好ましく、単量体としてビニルエステルとエチレンのみを用いて得られたものであることがより好ましい。
上記のポリビニルエステルに占める前記した他の単量体に由来する構造単位の割合は、ポリビニルエステルを構成する全構造単位のモル数に基づいて、15モル%以下であることが好ましく、10モル%以下であることがより好ましく、5モル%以下であることがさらに好ましい。
特に前記した他の単量体が、(メタ)アクリル酸、不飽和スルホン酸などのように、得られるPVAの水溶性を促進する可能性のある単量体である場合には、得られるPVAフィルムを光学フィルム製造用の原反フィルムとして使用する際などにおいてPVAが溶解するのを防止するために、ポリビニルエステルにおけるこれらの単量体に由来する構造単位の割合は、ポリビニルエステルを構成する全構造単位のモル数に基づいて、5モル%以下であることが好ましく、3モル%以下であることがより好ましい。
上記のPVAは、本発明の効果を大きく損なわない範囲内であれば、1種または2種以上のグラフト共重合可能な単量体によって変性されたものであってもよい。当該グラフト共重合可能な単量体としては、例えば、不飽和カルボン酸またはその誘導体;不飽和スルホン酸またはその誘導体;炭素数2〜30のα−オレフィンなどが挙げられる。PVAにおけるグラフト共重合可能な単量体に由来する構造単位の割合は、PVAを構成する全構造単位のモル数に基づいて、5モル%以下であることが好ましい。
上記のPVAはその水酸基の一部が架橋されていてもよいし架橋されていなくてもよい。また上記のPVAはその水酸基の一部がアセトアルデヒド、ブチルアルデヒド等のアルデヒド化合物などと反応してアセタール構造を形成していてもよいし、これらの化合物と反応せずアセタール構造を形成していなくてもよい。
上記のPVAの重合度は特に限定されないが、1,500以上6,000以下の範囲内であることが好ましく、当該重合度は1,800以上であることがより好ましく、2,000以上であることがさらに好ましく、また、5,000以下であることがより好ましく、4,000以下であることがさらに好ましい。当該重合度が上記下限以上であることにより、得られる光学フィルムの耐久性が向上する。一方、当該重合度が上記下限以下であることにより、製造コストを低減でき、また製膜時における工程通過性を向上させることができる。なお、本明細書でいうPVAの重合度はJIS K6726−1994の記載に準じて測定した平均重合度を意味する。
上記のPVAのけん化度は、得られる光学フィルムの耐水性の点から、98.0モル%以上であることが好ましく、98.5モル%以上であることがより好ましく、99.0モル%以上であることがさらに好ましい。なお本明細書におけるPVAのけん化度とはPVAが有するけん化によってビニルアルコール単位に変換され得る構造単位(典型的にはビニルエステル単位)とビニルアルコール単位との合計モル数に対して当該ビニルアルコール単位のモル数が占める割合(モル%)をいう。けん化度はJIS K6726−1994の記載に準じて測定することができる。
本発明のPVAフィルムは可塑剤を含有することが好ましい。当該可塑剤としては、例えば、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジグリセリン、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン等の多価アルコールなどを挙げることができ、本発明のPVAフィルムはこれらの可塑剤の1種または2種以上を含むことができる。これらの中でも、延伸性の向上効果の点からグリセリンが好ましい。
本発明のPVAフィルムにおける可塑剤の含有量は、それに含まれるPVA100質量部に対して、1質量部以上20質量部以下の範囲内であることが好ましく、3質量部以上17質量部以下の範囲内であることがより好ましく、5質量部以上15質量部以下の範囲内であることがさらに好ましい。当該含有量が1質量部以上であることにより、PVAフィルムの延伸性をより向上させることができる。一方、当該含有量が20質量部以下であることにより、PVAフィルムが柔軟になり過ぎて取り扱い性が低下するのを抑制することができる。
また、PVAフィルムを後述するPVAフィルムを製造するための製膜原液を用いて製造する場合には、製膜性が向上してPVAフィルムの厚み斑の発生が抑制されると共に、製膜にロールやベルトを使用した際、これらのロールやベルトからのPVAフィルムの剥離が容易になることから、当該製膜原液中に界面活性剤を含有させることが好ましい。界面活性剤を含有する製膜原液からPVAフィルムを製造した場合には、当該PVAフィルム中には界面活性剤が含有され得る。上記の界面活性剤の種類は特に限定されないが、ロールやベルトなどからの剥離性の観点から、アニオン性界面活性剤またはノニオン性界面活性剤が好ましく、ノニオン性界面活性剤が特に好ましい。界面活性剤は1種を単独で使用しても2種以上を併用してもよい。
アニオン性界面活性剤としては、例えば、ラウリン酸カリウム等のカルボン酸型;ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸塩、オクチルサルフェート等の硫酸エステル型;ドデシルベンゼンスルホネート等のスルホン酸型などが好適である。
ノニオン性界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のアルキルエーテル型;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル等のアルキルフェニルエーテル型;ポリオキシエチレンラウレート等のアルキルエステル型;ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル等のアルキルアミン型;ポリオキシエチレンラウリン酸アミド等のアルキルアミド型;ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンエーテル等のポリプロピレングリコールエーテル型;ラウリン酸ジエタノールアミド、オレイン酸ジエタノールアミド等のアルカノールアミド型;ポリオキシアルキレンアリルフェニルエーテル等のアリルフェニルエーテル型などが好適である。
製膜原液中に界面活性剤を含有させる場合、製膜原液中における界面活性剤の含有量、ひいてはPVAフィルム中における界面活性剤の含有量は製膜原液またはPVAフィルムに含まれるPVA100質量部に対して0.01質量部以上0.5質量部以下の範囲内であることが好ましく、0.02質量部以上0.3質量部以下の範囲内であることがより好ましく、0.05質量部以上0.1質量部以下の範囲内であることが特に好ましい。界面活性剤の含有量がPVA100質量部に対して0.01質量部以上であることにより製膜性および剥離性を向上させることができる。一方、界面活性剤の含有量がPVA100質量部に対して0.5質量部以下であることにより、PVAフィルムの表面に界面活性剤がブリードアウトしてブロッキングが生じて取り扱い性が低下するのを抑制することができる。
本発明のPVAフィルムはPVAのみからなっていても、あるいはPVAと上記した可塑剤および/または界面活性剤のみからなっていてもよいが、必要に応じて、酸化防止剤、凍結防止剤、pH調整剤、隠蔽剤、着色防止剤、油剤など、上記したPVA、可塑剤および界面活性剤以外の他の成分を含有していてもよい。
PVAフィルムにおける、PVAの含有率は、50質量%以上100質量%以下の範囲内であることが好ましく、80質量%以上100質量%以下の範囲内であることがより好ましく、85質量%以上100質量%以下の範囲内であることがさらに好ましい。
本発明のPVAフィルムの厚みは、薄型の偏光フィルムを得ることができ、当該偏光フィルムひいてはそれを用いた偏光板の収縮力を低減させ、積層される薄型のガラスが反るのを防止するなどの観点などから、50μm以下であることが必要であり、40μm以下であることが好ましく、35μm以下であることがより好ましく、30μm以下であることがさらに好ましく、25μm以下、15μm以下、さらには10μm以下であってもよい。特にPVAフィルムの厚みが40μm以下であると本発明の効果がより一層顕著に奏される。PVAフィルムの厚みの下限に特に制限はないが、偏光フィルムをより円滑に製造することができることから、当該厚みは1μm以上であることが好ましく、3μm以上であることがより好ましい。
本発明のPVAフィルムの形状は特に制限されないが、より均一なPVAフィルムを連続して容易に製造することができると共に、それを用いて偏光フィルム等の光学フィルムを製造する場合などにおいても連続して使用することができることから長尺のフィルムであることが好ましい。当該長尺のフィルムの長さ(長さ方向の長さ)は特に制限されず、用途などに応じて適宜設定することができ、例えば、5m以上30,000m以下の範囲内とすることができる。
本発明のPVAフィルムの幅は特に制限されず、PVAフィルムや、それから製造される光学フィルムの用途などに応じて適宜設定することができ、例えば50cm以上とすることができるが、近年、液晶テレビや液晶モニターの大画面化が進行しており、PVAフィルムの幅を2m以上、より好ましくは3m以上、さらに好ましくは4m以上にしておくと、これらの用途に好適である。一方、PVAフィルムの幅があまりに広すぎると実用化されている装置で光学フィルムを製造する場合に均一に一軸延伸を行うことが困難になる傾向があることから、PVAフィルムの幅は7m以下であることが好ましい。
PVAフィルムの形態に特に制限はなく、単層の形態であっても、あるいは、例えば熱可塑性樹脂フィルム上にコート法などによって形成されたPVAフィルムのように積層体の形態であっても、どちらでもよいが、本発明の効果がより一層顕著に奏される点、積層(コート等)作業の煩雑さ・熱可塑性樹脂フィルムのコストなどの観点から単層の形態が好ましい。
本発明のPVAフィルムを製造するための製造方法に特に制限はないが、本発明のPVAフィルムを円滑に製造することができることから、PVAを含む製膜原液を乾燥して上記厚みを有するPVAフィルムを製造した後に、温度が70℃以上100℃以下(好ましくは75℃以上100℃以下)で、相対湿度が60%以上100%以下(好ましくは80%以上100%以下)の気体と接触させることによって膨潤度を110%以上190%未満にまで低下させる方法を採用することが好ましい。
上記のPVAを含む製膜原液(PVAフィルムを製造するための製膜原液)としては、例えば、PVAフィルムを構成する上記したPVA、ならびに必要に応じてさらに可塑剤、界面活性剤および他の成分のうちの1種または2種以上が液体媒体中に溶解した製膜原液や、PVA、ならびに必要に応じてさらに可塑剤、界面活性剤、他の成分および液体媒体のうちの1種または2種以上を含み、PVAが溶融している製膜原液などが挙げられる。当該製膜原液が可塑剤、界面活性剤および他の成分のうちの少なくとも1種を含有する場合には、それらの成分が均一に混合されていることが好ましい。
製膜原液の調製に使用される上記液体媒体としては、例えば、水、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、エチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、トリメチロールプロパン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミンなどを挙げることができ、これらのうちの1種または2種以上を使用することができる。そのうちでも、環境に与える負荷や回収性の点から水が好ましい。
製膜原液の揮発分率(製膜時に揮発や蒸発によって除去される液体媒体などの揮発性成分の製膜原液中における含有割合)は製膜方法、製膜条件などによっても異なるが、50質量%以上95質量%以下の範囲内であることが好ましく、55質量%以上90質量%以下の範囲内であることがより好ましく、60質量%以上85質量%以下の範囲内であることがさらに好ましい。製膜原液の揮発分率が50質量%以上であることにより、製膜原液の粘度が高くなり過ぎず、製膜原液調製時の濾過や脱泡が円滑に行われ、異物や欠点の少ないPVAフィルムの製造が容易になる。一方、製膜原液の揮発分率が95質量%以下であることにより、製膜原液の濃度が低くなり過ぎず、工業的なPVAフィルムの製膜が容易になる。
上記した製膜原液を用いてPVAフィルムを製膜する際の製膜方法としては、例えば、キャスト製膜法、押出製膜法、湿式製膜法、ゲル製膜法などが挙げられ、キャスト製膜法、押出製膜法が好ましい。これらの製膜方法は1種のみを採用しても2種以上を組み合わせて採用してもよい。これらの製膜方法の中でもキャスト製膜法または押出製膜法が、厚みおよび幅が均一で、物性の良好なPVAフィルムが得られることから好ましい。
具体的な製膜方法としては特に限定されないが、T型スリットダイ、ホッパープレート、I−ダイ、リップコーターダイなどを用いて、製膜原液を回転する加熱したロール(あるいはベルト)の周面上に均一に吐出し、このロール(あるいはベルト)上に吐出された膜の一方の面から揮発性成分を蒸発させて乾燥してPVAフィルムとするか、あるいはこのように乾燥させた後、1個または複数個の回転するロールの周面上でさらに乾燥したり、熱風乾燥装置の中を通過させてさらに乾燥したりしてPVAフィルムを製膜する方法が挙げられる。
製膜に使用されるロールの表面温度としては、例えば50℃以上100℃以下の範囲内とすることができる。また製膜原液をベルト上に吐出する場合の乾燥温度としては、例えば、50℃以上100℃以下の範囲内とすることができる。
上記のようにして製膜されたPVAフィルムを、温度が70℃以上100℃以下(好ましくは75℃以上100℃以下)で、相対湿度が60%以上100%以下(好ましくは80%以上100%以下)の気体と接触させることによって膨潤度を110%以上190%未満にまで低下させる方法(以下、「気体接触処理」と称することがある)を採用することにより、本発明のPVAフィルムを円滑に製造することができる。ここで上記相対湿度を有する気体の種類に特に制限はなく、例えば、水蒸気自体、水蒸気を含む空気、水蒸気を含む窒素、水蒸気を含むアルゴンなどが挙げられる。
上記の気体接触処理において、上記気体との接触時間は、膨潤度を110%以上190%未満の範囲内にするために、2分間以上であることが好ましく、3分間以上であることがより好ましく、4分間以上であることがさらに好ましい。当該接触時間の上限に特に制限はないが、生産性などを考慮すると当該接触時間は1時間以下であることが好ましく、15分以下であることがより好ましく、12分以下であることがさらに好ましい。なお、上記の気体接触処理の効果を十分に発揮させる観点から、気体接触処理前のPVAフィルムの膨潤度は200%以上であることが好ましく、205%以上であることがより好ましく、210%以上であることがさらに好ましい。気体接触処理前のPVAフィルムの膨潤度の上限に特に制限はないが、生産性などを考慮すると、250%未満であることが好ましく、230%以下であることがより好ましく、225%以下であることがさらに好ましい。
上記の気体と接触させた後、さらに乾燥を行い目的とするPVAフィルムを得ることができる。ここで、当該乾燥は、最終的に得られる膨潤度が低くなりすぎたり、軟化点温度が上昇したりするのを防ぐために、より低い温度で行うことが好ましい。当該乾燥の温度としては、気体接触処理後のPVAフィルムの膨潤度などにもよるが、例えば、60℃以下、好ましくは50℃以下とすればよい。
上記のようにして最終的に得られるPVAフィルムの揮発分率は、1質量%以上5質量%以下の範囲内にあることが好ましく、当該揮発分率は、2質量%以上であることがより好ましく、また、4質量%以下であることがより好ましい。
本発明のPVAフィルムの用途に特に制限はなく、例えば、薬剤包装用フィルム、液圧転写用ベースフィルム、刺しゅう用基材フィルム、人工大理石成形用離型フィルム、種子包装用フィルム、汚物収容袋用フィルムなどの各種水溶性フィルムの用途に用いることができるが、本発明のPVAフィルムは薄いにもかかわらず、水浴浸漬処理後に端部に折れが発生しにくくしかも延伸時の応力が低くて、そのため、延伸時に延伸切れが発生しにくいことから、偏光フィルムや位相差フィルム等の光学フィルムを製造するための原反フィルムとして用いることが好ましく、高い偏光性能を有する偏光フィルムを容易に製造することができることから、特に偏光フィルムを製造するための原反フィルムとして用いることが好ましい。
本発明のPVAフィルムを原反フィルムとして用いて偏光フィルムを製造する際の方法は特に制限されず、従来から採用されているいずれの方法を採用してもよい。このような方法としては、例えば、本発明のPVAフィルムを用いて一軸延伸する方法が挙げられ、具体的には、本発明のPVAフィルムに対して、膨潤、染色、一軸延伸、および必要に応じてさらに、固定処理、乾燥、熱処理などを施す方法が挙げられる。この場合、膨潤、染色、一軸延伸、固定処理などの各処理の順序は特に制限されず、1つまたは2つ以上の処理を同時に行うこともできる。また、各処理の1つまたは2つ以上を2回またはそれ以上行うこともできる。
膨潤は、PVAフィルムを水中に浸漬することにより行うことができる。水中に浸漬する際の水の温度としては、20℃以上40℃以下の範囲内であることが好ましく、22℃以上38℃以下の範囲内であることがより好ましく、25℃以上35℃以下の範囲内であることがさらに好ましい。また、水中に浸漬する時間としては、例えば、0.1分間以上5分間以下の範囲内であることが好ましく、0.5分間以上3分間以下の範囲内であることがより好ましい。なお、水中に浸漬する際の水は純水に限定されず、各種成分が溶解した水溶液であってもよいし、水と水性媒体との混合物であってもよい。
染色は、ヨウ素系色素を用いて行うのがよく、染色の時期としては、一軸延伸前、一軸延伸時、一軸延伸後のいずれの段階であってもよい。染色はPVAフィルムを染色浴としてヨウ素−ヨウ化カリウムを含有する溶液(特に水溶液)中に浸漬させることにより行うのが一般的であり、本発明においてもこのような染色方法が好適に採用される。染色浴におけるヨウ素の濃度は0.01質量%以上0.5質量%以下の範囲内であることが好ましく、ヨウ化カリウムの濃度は0.01質量%以上10質量%以下の範囲内であることが好ましい。また、染色浴の温度は20℃以上50℃以下、特に25℃以上40℃以下とすることが好ましい。
一軸延伸は、湿式延伸法または乾式延伸法のいずれで行ってもよい。湿式延伸法の場合はホウ酸を含む水溶液中で行うこともできるし、上記した染色浴中や後述する固定処理浴中で行うこともできる。また乾式延伸法の場合は吸水後のPVAフィルムを用いて空気中で行うことができる。これらの中でも、湿式延伸法が好ましく、ホウ酸を含む水溶液中で一軸延伸するのがより好ましい。ホウ酸水溶液中におけるホウ酸の濃度は0.5質量%以上6.0質量%以下の範囲内であることが好ましく、1.0質量%以上5.0質量%以下の範囲内であることがより好ましく、1.5質量%以上4.0質量%以下の範囲内であることが特に好ましい。また、ホウ酸水溶液はヨウ化カリウムを含有してもよく、その濃度は0.01質量%以上10質量%以下の範囲内にすることが好ましい。
一軸延伸における延伸温度は、30℃以上90℃以下の範囲内であることが好ましく、40℃以上80℃以下の範囲内であることがより好ましく、50℃以上70℃以下の範囲内であることが特に好ましい。
また、一軸延伸における延伸倍率は、得られる偏光フィルムの偏光性能の点から5倍以上であることが好ましく、5.5倍以上であることがより好ましく、6倍以上であることが特に好ましい。延伸倍率の上限は特に制限されないが、延伸倍率は8倍以下であることが好ましい。
偏光フィルムの製造にあたっては、PVAフィルムへの染料(ヨウ素等)の吸着を強固にするために固定処理を行うことが好ましい。固定処理に使用する固定処理浴としては、ホウ酸、硼砂等のホウ素化合物の1種または2種以上を含む水溶液を使用することができる。また、必要に応じて、固定処理浴中にヨウ素化合物や金属化合物を添加してもよい。固定処理浴におけるホウ素化合物の濃度は、一般に2質量%以上15質量%以下、特に3質量%以上10質量%以下程度であることが好ましい。固定処理浴の温度は、15℃以上60℃以下、特に25℃以上40℃以下であることが好ましい。
乾燥は、30℃以上150℃以下で行うことが好ましく、特に50℃以上130℃以下で行うことがより好ましい。乾燥により偏光フィルムの水分率が10%以下になった時点で偏光フィルムに張力を掛けて80℃以上120℃以下程度で1分間以上5分間以下程度熱処理を行うと、寸法安定性、耐久性等に一層優れる偏光フィルムを得ることができる。
以上のようにして得られた偏光フィルムは、通常、その両面または片面に、光学的に透明で且つ機械的強度を有する保護膜を貼り合わせて偏光板にして使用される。保護膜としては、三酢酸セルロース(TAC)フィルム、シクロオレフィンポリマー(COP)フィルム、酢酸・酪酸セルロース(CAB)フィルム、アクリル系フィルム、ポリエステル系フィルムなどが使用される。また、貼り合わせのための接着剤としては、PVA系接着剤やウレタン系接着剤などを挙げることができるが、中でもPVA系接着剤が好適である。
上記のようにして得られた偏光板は、アクリル系等の粘着剤をコートした後、ガラス基板に貼り合わせてLCDの部品として使用することができる。同時に位相差フィルムや視野角向上フィルム、輝度向上フィルム等と貼り合わせてもよい。
本発明を以下の実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例において採用された各測定ないし評価方法を以下に示す。
[PVAフィルムの膨潤度の測定]
測定対象となるPVAフィルムの幅方向中央部から、幅方向に10cm、長さ方向に20cmの長方形のサンプルを切り出し、このサンプルをさらに幅が2〜3mm、長さが20cmの短冊状にカットした。その後、これら短冊状のサンプルの全てを30℃の1,000gの蒸留水中にそのまま浸漬した。30分間浸漬後に短冊状のサンプルを取り出し、遠心分離機(KOKUSAN XEM−KL−5886)を用いて3,000rpmで5分間遠心脱水し、脱水後の質量「N」(短冊状のサンプルの全ての合計)を測定した。続いて、その短冊状のサンプルを105℃の乾燥機で16時間乾燥した後、質量「M」(短冊状のサンプルの全ての合計)を測定し、下記式により膨潤度を算出した。
膨潤度(%) = 100 × N/M
[PVAフィルムの軟化点温度の測定]
測定対象となるPVAフィルムの幅方向中央部から、幅方向に3cm、長さ方向に3cmの正方形のサンプルを切り出し、第一理化株式会社製自動軟化点測定装置「EX−820」を使用して当該サンプルの軟化点温度を測定した。具体的には、上記のサンプルを、中央に直径1cmの円形の穴のあいた厚み1mmで3cm角のステンレス板と、中央に1cm×2cmの長方形の穴のあいた厚み1mmで3cm角のステンレス板に挟み、円形の穴のあいたステンレス板の方を上面にして架台に設置して、円形の穴の中央に位置するフィルム上にJIS B 1501:2009に定める鋼球(呼び:3/8(直径9.525mm)、等級:G60、質量:3.5g±0.05g)を載せた。続いて25℃の蒸留水を750mL入れ、毎分5℃で昇温し、サンプルが架台から25mmの位置まで降下したときの温度をフィルムの軟化点温度とした。
[延伸応力の測定]
測定対象となるPVAフィルムの幅方向中央部から、幅方向に3cm、長さ方向に10cmのサンプルを切り出し、長さ方向に一軸延伸するためにこれをチャック間が1.5cmになるように延伸治具に挟み、30℃の蒸留水中に1分間浸漬した。その後、36mm/分(240%/分)の延伸速度で長さ方向に一軸延伸しながら延伸倍率に対する応力を連続的に測定した。そして、延伸倍率が4.0倍の時の応力を延伸応力とした。なお、応力の測定には株式会社島津製作所製のオートグラフ(AG−I)を用い、また、測定された力を延伸前の断面積(サンプル厚み×サンプル幅(3cm))で除すことにより応力とした。
[水浴浸漬処理後の端部折れの評価]
測定対象となるPVAフィルムの幅方向中央部から、幅方向に5cm、長さ方向に10cmのサンプルを切り出し、長さ方向に一軸延伸するためにこれをチャック間が5cmになるように延伸治具に挟み、30℃の蒸留水中に浸漬した。浸漬直後、50mm/分(100%/分)の延伸速度で長さ方向に1分間一軸延伸した。延伸直後、50mm/秒の速度で水浴からPVAフィルムを引き上げ、その時の端部の折れの有無を目視で評価した。端部折れがあったものを「×」、端部折れがなかったものを「○」と評価した。
[実施例1]
PVA(酢酸ビニルの単独重合体のけん化物、重合度2,400、けん化度99.95モル%)100質量部、可塑剤としてグリセリン10質量部、界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム0.1質量部および水からなる揮発分率66質量%の製膜原液を95℃の金属ドラム上に流延し、揮発分率が10質量%になるまで乾燥して膨潤度が212%のPVAフィルムを得た。その後、温度が80℃で、相対湿度が90%の空気と5分間接触させた。次いで膨潤度が実質的に変化しないように温度50℃で乾燥し、最終的に揮発分率3質量%で厚み30μmのPVAフィルムを得た。
このPVAフィルムの膨潤度は166%であり、軟化点温度は67.4℃であった。また、このPVAフィルムを用いて上記した方法にしたがって延伸応力および水浴浸漬処理後の端部折れの測定ないし評価を行ったところ、延伸応力は14.3MPaであり、端部折れの評価結果は「○」であった。
[実施例2]
実施例1において、温度が80℃で、相対湿度が90%の空気と5分間接触させたことに代えて、温度が85℃で、相対湿度が90%の空気と3分間接触させたこと以外は実施例1と同様にして、揮発分率3質量%で厚み30μmのPVAフィルムを得た。
このPVAフィルムの膨潤度は179%であり、軟化点温度は65.2℃であった。また、このPVAフィルムを用いて上記した方法にしたがって延伸応力および水浴浸漬処理後の端部折れの測定ないし評価を行ったところ、延伸応力は13.8MPaであり、端部折れの評価結果は「○」であった。
[比較例1]
PVA(酢酸ビニルの単独重合体のけん化物、重合度2,400、けん化度99.95モル%)100質量部、可塑剤としてグリセリン10質量部、界面活性剤としてポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム0.1質量部および水からなる揮発分率66質量%の製膜原液を95℃の金属ドラム上に流延し、揮発分率が5質量%になるまで乾燥して膨潤度が212%のPVAフィルムを得た。その後、温度が130℃の空気(相対湿度は1%以下)と10分間接触させて熱処理を行い、最終的に揮発分率2質量%で厚み30μmのPVAフィルムを得た。
このPVAフィルムの膨潤度は177%であり、軟化点温度は69.2℃であった。また、このPVAフィルムを用いて上記した方法にしたがって延伸応力の測定を行ったところ20.0MPaと非常に高くて延伸時に延伸切れが発生しやすいものとなった。
[比較例2]
比較例1において、温度が130℃の空気(相対湿度は1%以下)と10分間接触させたことに代えて、温度が115℃の空気(相対湿度は1%以下)と3分間接触させて熱処理を行ったこと以外は比較例1と同様にして、揮発分率3質量%で厚み30μmのPVAフィルムを得た。
このPVAフィルムの膨潤度は198%であり、軟化点温度は67.8℃であった。また、このPVAフィルムを用いて上記した方法にしたがって延伸応力および水浴浸漬処理後の端部折れの測定ないし評価を行ったところ、延伸応力は17.8MPaと非常に高くて延伸時に延伸切れが発生しやすいものであり、また、端部折れの評価結果も「×」であった。
[比較例3]
比較例1において、温度が130℃の空気(相対湿度は1%以下)と10分間接触させたことに代えて、温度が95℃の空気(相対湿度は2%以下)と1分間接触させて熱処理を行ったこと以外は比較例1と同様にして、揮発分率3質量%で厚み30μmのPVAフィルムを得た。
このPVAフィルムの膨潤度は231%であり、軟化点温度は63.2℃であった。また、このPVAフィルムを用いて上記した方法にしたがって延伸応力および水浴浸漬処理後の端部折れの測定ないし評価を行ったところ、延伸応力は12.1MPaであったが、端部折れの評価結果が「×」であって延伸時に延伸切れが発生しやすいものとなった。
[比較例4]
実施例1において、温度が80℃で、相対湿度が90%の空気と5分間接触させたことに代えて、温度が70℃で、相対湿度が90%の空気と1分間接触させたこと以外は実施例1と同様にして、揮発分率3質量%で厚み30μmのPVAフィルムを得た。
このPVAフィルムの膨潤度は209%であり、軟化点温度は65.4℃であった。また、このPVAフィルムを用いて上記した方法にしたがって延伸応力および水浴浸漬処理後の端部折れの測定ないし評価を行ったところ、延伸応力は13.6MPaであったが、端部折れの評価結果が「×」であって延伸時に延伸切れが発生しやすいものとなった。

Claims (3)

  1. 膨潤度が110%以上190%未満であり軟化点温度が60℃以上68℃以下である厚みが50μm以下のポリビニルアルコールフィルム。
  2. 請求項1に記載のポリビニルアルコールフィルムを用いて一軸延伸する工程を有する光学フィルムの製造方法。
  3. 光学フィルムが偏光フィルムである、請求項2に記載の製造方法。
JP2017512540A 2015-04-13 2016-04-12 ポリビニルアルコールフィルム Active JP6592509B2 (ja)

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2015081598 2015-04-13
JP2015081598 2015-04-13
PCT/JP2016/061776 WO2016167238A1 (ja) 2015-04-13 2016-04-12 ポリビニルアルコールフィルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPWO2016167238A1 true JPWO2016167238A1 (ja) 2018-02-08
JP6592509B2 JP6592509B2 (ja) 2019-10-16

Family

ID=57125845

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017512540A Active JP6592509B2 (ja) 2015-04-13 2016-04-12 ポリビニルアルコールフィルム

Country Status (5)

Country Link
JP (1) JP6592509B2 (ja)
KR (2) KR20170136501A (ja)
CN (1) CN107406605B (ja)
TW (1) TWI693151B (ja)
WO (1) WO2016167238A1 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2021059612A (ja) * 2018-01-30 2021-04-15 株式会社クラレ ポリビニルアルコールフィルム及びその製造方法
CN108710163B (zh) * 2018-05-08 2020-02-07 中国工程物理研究院激光聚变研究中心 一种熔石英表面镀聚乙烯醇涂层、制备方法以及应用
CN115991837B (zh) * 2021-10-19 2024-09-03 中国石油化工股份有限公司 一种光学材料专用聚乙烯醇纯化方法

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001302867A (ja) * 2000-04-21 2001-10-31 Kuraray Co Ltd ポリビニルアルコールフィルムおよび偏光フィルム
JP2004155995A (ja) * 2002-11-08 2004-06-03 Kuraray Co Ltd ポリビニルアルコールフィルム
JP2004160846A (ja) * 2002-11-13 2004-06-10 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The ポリビニルアルコール系フィルムの製法およびそれを用いた偏光膜
JP2007058176A (ja) * 2005-07-28 2007-03-08 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The 偏光膜用ポリビニルアルコール系フィルム及びそれを用いた偏光膜、偏光板
JP2010242063A (ja) * 2009-03-17 2010-10-28 Kuraray Co Ltd セルロースナノファイバー複合ポリビニルアルコール系重合体組成物
JP2012066572A (ja) * 2010-08-27 2012-04-05 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、ポリビニルアルコール系フィルム、偏光フィルム及び偏光板
WO2014050697A1 (ja) * 2012-09-26 2014-04-03 株式会社クラレ ポリビニルアルコールフィルムおよび偏光フィルム
WO2015020046A1 (ja) * 2013-08-09 2015-02-12 株式会社クラレ ビニルアルコール系重合体フィルム

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006342236A (ja) 2005-06-08 2006-12-21 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The ポリビニルアルコール系フィルムの製法およびそれによって得られたポリビニルアルコール系フィルムならびにそのポリビニルアルコール系フィルムを用いた偏光フィルムおよび偏光板
KR101726006B1 (ko) * 2008-12-18 2017-04-11 주식회사 쿠라레 편광 필름의 제조법
KR101910668B1 (ko) * 2008-12-18 2018-10-22 주식회사 쿠라레 폴리비닐알코올 필름
CN104459864B (zh) * 2014-12-12 2016-12-07 云南云天化股份有限公司 聚乙烯醇系聚合物薄膜及其制造方法

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001302867A (ja) * 2000-04-21 2001-10-31 Kuraray Co Ltd ポリビニルアルコールフィルムおよび偏光フィルム
JP2004155995A (ja) * 2002-11-08 2004-06-03 Kuraray Co Ltd ポリビニルアルコールフィルム
JP2004160846A (ja) * 2002-11-13 2004-06-10 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The ポリビニルアルコール系フィルムの製法およびそれを用いた偏光膜
JP2007058176A (ja) * 2005-07-28 2007-03-08 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The 偏光膜用ポリビニルアルコール系フィルム及びそれを用いた偏光膜、偏光板
JP2010242063A (ja) * 2009-03-17 2010-10-28 Kuraray Co Ltd セルロースナノファイバー複合ポリビニルアルコール系重合体組成物
JP2012066572A (ja) * 2010-08-27 2012-04-05 Nippon Synthetic Chem Ind Co Ltd:The ポリビニルアルコール系フィルムの製造方法、ポリビニルアルコール系フィルム、偏光フィルム及び偏光板
WO2014050697A1 (ja) * 2012-09-26 2014-04-03 株式会社クラレ ポリビニルアルコールフィルムおよび偏光フィルム
WO2015020046A1 (ja) * 2013-08-09 2015-02-12 株式会社クラレ ビニルアルコール系重合体フィルム

Also Published As

Publication number Publication date
JP6592509B2 (ja) 2019-10-16
KR20230028563A (ko) 2023-02-28
CN107406605B (zh) 2020-11-20
WO2016167238A1 (ja) 2016-10-20
KR20170136501A (ko) 2017-12-11
TW201700271A (zh) 2017-01-01
TWI693151B (zh) 2020-05-11
CN107406605A (zh) 2017-11-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5587517B1 (ja) ポリビニルアルコールフィルムおよび偏光フィルム
JP6472381B2 (ja) 光学フィルム製造用原反フィルム
WO2016093259A1 (ja) ポリビニルアルコール系重合体フィルムおよびその製造方法
JP2022008895A (ja) 偏光フィルムの製造方法
JP6592509B2 (ja) ポリビニルアルコールフィルム
JP6556693B2 (ja) ポリビニルアルコールフィルムおよびその製造方法
JP6444732B2 (ja) 積層フィルム
WO2019151206A1 (ja) ポリビニルアルコールフィルム及びその製造方法
JP6444858B2 (ja) 偏光フィルムの製造方法
JP6858499B2 (ja) 光学フィルムの製造方法
JP2016048382A (ja) ポリビニルアルコールフィルム
JP6667989B2 (ja) 偏光フィルムの製造方法
WO2022071372A1 (ja) 偏光フィルムの製造方法
JP6735541B2 (ja) 偏光フィルム
JP6534305B2 (ja) ポリビニルアルコールフィルムの光学斑の評価方法
JP6571955B2 (ja) ポリビニルアルコールフィルム
WO2022113958A1 (ja) 偏光フィルムの製造方法及び偏光フィルム
JP5832921B2 (ja) ポリビニルアルコールフィルム
JP2004017321A (ja) 偏光フィルムの製造法
JP2014032361A (ja) 偏光フィルムの製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181106

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20190827

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20190920

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6592509

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150