JPWO2016158914A1 - 有害物質不溶化剤及び有害物質の不溶化方法 - Google Patents

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Abstract

粒子径が2mm以下であり、有害物質を不溶化する有害物質不溶化剤であって、カルシウム及びマグネシウムを含み、かつこれらの少なくともいずれかが、酸化物、炭酸塩もしくは水酸化物を形成している粒子Aと、リン酸化合物を含む粒子Bと、を含み、前記粒子A中のカルシウム成分と、前記粒子B中のリン酸化合物のリン成分とのモル比(P/Ca)が0.1〜1.0である有害物質不溶化剤である。

Description

本発明は、有害物質不溶化剤及び有害物質の不溶化方法に関する。
鉄鋼製造プロセスで発生するスラグ、工場廃水、工場跡地や汚染土壌の地下水、焼却灰、石炭灰、鋳物砂、廃石膏等に含まれるフッ素や重金属等の有害物質の処理方法として、従来、様々な方法が検討されている。このような背景の中、我が国では平成15年に土壌汚染対策法が制定され、重金属等として、カドミウム及びその化合物、鉛及びその化合物、六価クロム化合物、ヒ素及びその化合物、水銀及びその化合物、セレン及びその化合物、フッ素及びその化合物、ホウ素及びその化合物、並びにシアン化合物が第二種特定有害物質に特定されている。
上記のなかでも、鉄鋼製造プロセスで発生するスラグは、蛍石由来のフッ素を高濃度で含有しており、スラグの再利用にあたってはフッ素の溶出が問題となる場合がある。現在、スラグを路盤材等に再利用する際には、平成3年環境庁告示46号溶出試験(以下、「46号溶出試験」ともいう)や、JISに規定された溶出試験方法を用い、溶出量が土壌環境基準を満たしているかの確認が行われている。これまで、JISに規定された再利用時の有り姿でフッ素の溶出試験を行っていたが、今後は46号溶出試験に規定される−2.00mmでの溶出試験が課せられ、より厳しい溶出試験へと規格が改定される可能性がある。そのため、従来クリアしていたスラグにおいても不溶化処置が必要となるものもあり、溶出を防止するための不溶化剤や不溶化方法のさらなる検討が必要となる。
このような中、例えば、特許文献1では、酸性溶液に対して固体状のリン酸アルカリ(土類)金属塩を溶解させてなるフッ素不溶化剤が提案されている。また、特許文献2では、無機系廃棄物に対して難溶性カルシウム化合物(水酸化カルシウム、リン酸水素カルシウム二水和物、リン酸カルシウム)を添加、混合し、その後フッ素吸着材(モノサルフェート、エトリンガイト、アパタイト、マグネシア、水酸化マグネシウム)を添加、混合させフッ素を0.8mg/L以下とする土壌固化剤が提案されている。さらに、特許文献3ではフッ素含有量が0.15mass%以上の鉄鋼スラグ(A)に対して、リンとカルシウム含有の鉱物相を有し且つフッ素含有量が0.15mass%未満の鉄鋼スラグ(B)を添加し、フッ素を含む難溶性化合物を生成させ、スラグに固定する処理方法が提案されている。
特開2009−189927号公報 特開2012−214591号公報 特開2009−40650号公報
しかし、特許文献1のフッ素不溶化剤は、固体状リン酸アルカリ(土類)金属塩を溶解させてスラグに添加するため、金属塩を溶解させる設備や工程が増えてしまう。また、リンのみでの処理のため、貴重な資源であるリンを多量に使用し処理コストが高くなってしまう。
特許文献2の土壌固化剤は、廃棄物100重量部に対して、難溶性カルシウム化合物が1〜250重量部、フッ素吸着材が0.1〜10重量部と多量に処理剤を添加する場合があり、やはり処理コストが高くなってしまう。
特許文献3の処理方法では、リン含有量が0.3mass%以上(好ましくは0.6mass%以上)、且つ46号溶出試験で溶出されるカルシウム溶出量が100mg/L以上の鉄鋼スラグ(B)を使用する等といった制限があり、処理が煩雑化してしまう。
本発明は上記に鑑みてなされたものであり、短時間で効率的に有害物質を不溶化することができる有害物質不溶化剤及び有害物質の不溶化方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、所定の粒子径を有し、カルシウム及びマグネシウムを含み、かつこれらの少なくともいずれかが、酸化物、炭酸塩もしくは水酸化物を形成している粒子と、リン酸化合物を含む粒子とを特定の割合で含む有害物質不溶化剤により、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
すなわち本発明は下記のとおりである。
[1] 粒子径が2mm以下であり、有害物質を不溶化する有害物質不溶化剤であって、カルシウム及びマグネシウムを含み、かつこれらの少なくともいずれかが、酸化物、炭酸塩もしくは水酸化物を形成している粒子Aと、リン酸化合物を含む粒子Bと、を含み、前記粒子A中のカルシウム成分と、前記粒子B中のリン酸化合物のリン成分とのモル比(P/Ca)が0.1〜1.0である有害物質不溶化剤。
[2] 鉄含有化合物及びアルミニウム含有化合物の少なくともいずれかを含む[1]に記載の有害物質不溶化剤。
[3] 前記粒子Aがドロマイト又はドロマイト系化合物である[1]又は[2]に記載の有害物質不溶化剤。
[4] アルミニウム含有化合物を含み、前記粒子Aと前記粒子Bとの合計100質量部に対する前記アルミニウム化合物の含有量が10〜350質量部である[1]〜[3]のいずれかに記載の有害物質不溶化剤。
[5] 前記有害物質が、フッ素、ホウ素、6価クロム、セレン、及びヒ素の少なくともいずれかである[1]〜[4]のいずれかに記載の有害物質不溶化剤。
[6] 前記リン酸化合物が、リン酸2水素カリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸3カリウム、リン酸3ナトリウム、及びこれらの水和物、並びに、リン酸系肥料の少なくともいずれかである[1]〜[5]のいずれかに記載の有害物質不溶化剤。
[7] スラグ中の前記有害物質を不溶化する[1]〜[6]のいずれかに記載の有害物質不溶化剤。
[8] カルシウム及びマグネシウムを含み、かつこれらの少なくともいずれかが、酸化物、炭酸塩もしくは水酸化物を形成している粒子Aと、リン酸化合物を含む粒子Bとを、有害物質を含有する有害物質含有固形物に混合する有害物質の不溶化方法であって、前記粒子A中のカルシウム成分と、前記粒子B中のリン酸化合物のリン成分とのモル比(P/Ca)が0.1〜1.0となるように、前記粒子A及び前記粒子Bを前記有害物質含有固形物に混合する有害物質の不溶化方法。
[9] 前記粒子A、前記粒子B、及び前記有害物質含有固形物の混合順序が下記(1)〜(3)のいずれかである[8]に記載の有害物質の不溶化方法。
(1)前記粒子Aと前記粒子Bとを混合した状態で、又は、前記粒子Aと前記粒子Bと別々に同時若しくは逐次、前記有害物質含有固形物に混合する。
(2)前記粒子Aと前記有害物質含有固形物とを混合した後、前記粒子Bを混合する。
(3)前記粒子Bと前記有害物質含有固形物とを混合した後、前記粒子Aを混合する。
[10] 前記混合順序が前記(1)に記載の順序であり、[1]〜[7]のいずれかに記載の有害物質不溶化剤を用いて、前記(1)の混合を行う[9]に記載の有害物質の不溶化方法。
[11] 前記有害物質含有固形物がスラグである[8]〜[10]のいずれかに記載の有害物質の不溶化方法。
本発明によれば、短時間で効率的に有害物質を不溶化することができる有害物質不溶化剤及び有害物質の不溶化方法を提供することができる。
[1]有害物質不溶化剤
本発明の有害物質不溶化剤(以下、単に「不溶化剤」ということがある)は、2mm以下の粒子径で、カルシウム及びマグネシウムを含み、かつこれらの少なくともいずれかが酸化物、炭酸塩、もしくは水酸化物を形成している粒子Aと、リン酸化合物を含む粒子Bと、を含んでなる。そして、粒子A中のカルシウム成分と、粒子B中のリン酸化合物のリン成分とのモル比(P/Ca)が0.1〜1.0となっている。
上記「2mm以下の粒子径」とは、篩別による粒子径が2mm以下とされた粒子径を意味する。篩別による粒子径が2mmを超えると不溶化剤とスラグ等の有害物質含有固形物との混合状態が不均一となり、有害物質の不溶化が不十分となってしまう。当該粒子径は0.1〜2mmであることが好ましく、0.1〜1.5mmであることがより好ましい。
なお、篩別はJIS−Z−8801のJIS規格の試験用ふるい(篩)を用いて行う。
本発明の有害物質不溶化剤により不溶化される有害物質含有物としては、液状物及び固形状物が挙げられ、液状物としては有害物質を含む排水、固形状物(「有害物質含有固形物」ともいう)としては鉄鋼製造プロセスで発生するスラグ、有害物質を含む土壌、焼却灰、石炭灰、鋳物砂、廃石膏等である。有害物質含有物としては固形状物が好ましく、なかでも、スラグであることがより好ましい。
有害物質含有物に含まれる有害物質としては、平成15年に施行された土壌汚染対策法で規定された第二種特定有害物質に含まれるカドミウム、鉛、6価クロム、ヒ素、水銀、セレン、フッ素、ホウ素及びシアン、さらにはアンチモン等を例示することができ、これらの化合物も含まれる。なかでも、本発明の有害物質不溶化剤が高い不溶化効果を発揮する観点から好適なものは、フッ素、ホウ素、6価クロム、セレン、及びヒ素少なくともいずれかであり、より好適なものはフッ素及びホウ素である。本発明では、有害物質含有物である排水、土壌、焼却灰、石炭灰、スラグ、鋳物砂、廃石膏等には、上記で例示した有害物質を1種単独で含んでいても、2種以上を含んでいでもよい。
カルシウム及びマグネシウムを含み、かつこれらの少なくともいずれかが、酸化物、炭酸塩もしくは水酸化物を形成している粒子Aとしては、ドロマイト及びドロマイトから誘導されるドロマイト系化合物が挙げられる。ドロマイト系化合物としては、半焼成ドロマイト、軽焼ドロマイト、水酸化ドロマイト等が挙げられる。
ドロマイト(Dolomite)は、カルサイト(Calcite)と呼ばれる炭酸カルシウム(CaCO)と、マグネサイト(Magnesite)と呼ばれる炭酸マグネシウム(MgCO)との、理想的には1:1の複塩である。成分的にみれば、これはカルサイトとマグネサイトとの中間に位置する物質である。ドロマイトを比較的温和な条件で加熱すれば、脱炭酸反応が起こって、「軽焼ドロマイト」と呼ばれる酸化カルシウム(CaO)と酸化マグネシウム(MgO)との混合物が得られる。軽焼ドロマイトに水を加えて消化すれば、水酸化カルシウム(Ca(OH))と水酸化マグネシウム(Mg(OH))との混合物である、水酸化ドロマイトが得られる。水酸化ドロマイトには、炭酸カルシウム、酸化カルシウム、炭酸マグネシウム、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化第二鉄等の他の成分を本発明の効果を妨げない範囲で含有していてもよい。
上記水酸化ドロマイトに含まれる水酸化カルシウムと水酸化マグネシウムとの質量比〔Ca(OH)/Mg(OH)質量比〕は、10/90〜90/10が好ましく、20/80〜85/15がより好ましく、40/60〜80/20がさらに好ましい。この質量比が上記の範囲であれば、有害物質の不溶化時に、カルシウム成分、マグネシウム成分両者の特性を十分に生かせることになる。
上記水酸化ドロマイトとしては、JIS R9001に規定する特号及び1号の水酸化ドロマイトが好適である。
また、水酸化ドロマイトの原料として、軽焼ドロマイトを用いることができる。軽焼ドロマイトとしては、JIS R9001に規定する特号及び1号の軽焼ドロマイトが好適である。軽焼ドロマイトは、処理対象物である排水、土壌、焼却灰又は石炭灰等に含まれる水と反応して消化により水和され、水酸化ドロマイトに変化するので、水酸化ドロマイトを調製する工程を省略して軽焼ドロマイトをそのまま用いても水酸化ドロマイトによる効果が発揮される。
また、半焼成ドロマイトとは、酸化マグネシウム及び炭酸カルシウムを主成分とするドロマイト半焼成品を指す。半焼成ドロマイトは、ドロマイトを600〜900℃の温度で焼成することにより、ドロマイト成分中の炭酸マグネシウムの大部分を脱炭酸させて、酸化マグネシウムとする一方で、炭酸カルシウムはほとんど脱炭酸させず、そのまま残すようにして得ることができる。
半焼成ドロマイト中の遊離酸化マグネシウムの含有量としては、8質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましい。
ここで、遊離酸化マグネシウムの含有量とは、ドロマイト中の炭酸マグネシウム(MgCO)が脱炭酸して生成した酸化マグネシウム(MgO)の量(質量%)として算出される量をいう。その算出は、つぎの手順に従って行うことができる。
まず、JIS R9011の「石灰の分析方法」に規定された方法により、CaO、MgOおよびIg.loss(強熱減量)を分析する。つぎに、分析によって得た遊離酸化カルシウムの量が1.5質量%に達しているか否かによって、下記(i)又は(ii)のいずれかを選ぶ。
(i)遊離酸化カルシウムの量が1.5質量%以上のとき:分析で得たMgOの値を、そのまま遊離酸化マグネシウムの量として採用する。
(ii)遊離酸化カルシウムの量が1.5質量%未満のとき:遊離酸化マグネシウムの量は、[分析で得たMgO−MgCOとして存在するMgO]によって算出する。
MgCOとして存在するMgOの量は、下記式により求める。
MgCOとして存在するMgO(質量%)={Ig.loss−(CaO÷56×44)}÷44×40
ドロマイト及びドロマイト系化合物は、その化合物中にマグネシウム成分及びカルシウム成分が結晶粒子レベルで共存しているため、粒子Bのリン酸成分とマグネシウム成分及びカルシウム成分との3成分の協働的効果が発揮されやすいと推察され、より短時間で有害物質の不溶化を行うことができる。
ドロマイト及びドロマイト系化合物のなかでも、水酸化ドロマイト及び軽焼ドロマイトがより好ましく、水酸化ドロマイトがさらに好ましい。
粒子Bに用いられるリン酸化合物としては、粒子A中のカルシウム(例えば、水酸化ドロマイト中のカルシウム)と反応して水酸化アパタイトのような結晶を形成するものであれば、制限無く用いることができ、具体的には、リン酸2水素カリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸3カリウム、リン酸2水素ナトリウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸3ナトリウム、リン酸2水素アンモニウム、リン酸水素2アンモニウム、リン酸3アンモニウム、及びこれらの水和物、及び過リン酸石灰等のリン酸系肥料等が挙げられる。リン酸化合物は、1種単独でも、2種以上を組み合わせて用いてもよい。なかでも、リン酸2水素カリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸3カリウム、リン酸3ナトリウム、及びこれらの水和物、並びに、リン酸系肥料の少なくともいずれかが好ましく、リン酸2水素カリウム及びその水和物がより好ましい。
例えば、水酸化カルシウムは、リン酸化合物と反応し、リン酸アパタイトCa(PO(OH)を生成する。このリン酸アパタイトにより有害物質が不溶化されやすくなる。例えば、有害物質がフッ素の場合、下記式(1)に示す反応により排水だけでなく、スラグや土壌といった有害物質含有固形物中のフッ素が不溶化される。
Ca(PO(OH)+F → Ca(POF + OH (1)
上記式(1)から、化学量論的には、リン酸アパタイトのカルシウム成分に対するリン成分のモル比として、Ca:P=5:3となる量(〔P/Ca〕モル比:0.6)が等量である。
ここで、水酸化ドロマイトは、水酸化カルシウムとともに水酸化マグネシウムを含有しており、詳細なメカニズムは明らかではないが、水酸化マグネシウムがリン酸アパタイトの構造に何らかの影響を及ぼすことで、単なるカルシウム化合物(上記のような水酸化カルシウム)よりも反応速度が速くなり、短時間で有害物質を不溶化することができると考えられる。
特に、水酸化ドロマイト中のマグネシウム成分は、リン酸アパタイトの生成を促進させるとともに、リン酸アパタイトによるフッ化物の固定化を促進する働きがある。マグネシウム成分が存在しない状況下では水酸化カルシウムの表面をリン酸アパタイトが覆うことでフッ化物の固定化が阻害されるが、マグネシウム成分が存在することによって水酸化カルシウムとリン酸アパタイトを離すことができ、フッ化物の固定化反応が持続的に得られると考えられる。
リン酸化合物の添加量は、水酸化ドロマイト中のカルシウム成分(Ca)に対する、リン酸化合物のリン成分(P)のモル比(〔P/Ca〕モル比)が、0.1〜1.0となる範囲である。〔P/Ca〕モル比が0.1未満であると、例えばフッ素濃度を環境基準値の0.8mg/L以下まで不溶化することが困難となる。〔P/Ca〕モル比が1.0を超えると、リン酸化合物の使用量を多くなりコストの上昇を招いてしまう。
また、リン酸化合物の添加量は、有害物質の高い溶出抑制効果を得る観点から、〔P/Ca〕モル比が0.1〜0.7となる範囲であることが好ましい。〔P/Ca〕モル比が0.7以下であれば、有害物質の溶出抑制効果が高く、高価なリン酸化合物の添加量を減らせると共に、環境基準値以下の低濃度まで短時間で不溶化が行える。
以上の観点から、リン酸化合物の添加量は、〔P/Ca〕モル比が0.1〜0.6となる範囲であることがより好ましく、0.3〜0.6となる範囲であることがさらに好ましい。
粒子Aの平均粒径は5〜30μmであることが好ましく、10〜20μmであることがより好ましい。粒子Bの平均粒径は0.1〜2.0mmであることが好ましく、0.5〜1.5mmで粒径が揃っていることがより好ましい。平均粒径は篩分けにより測定された値、又は市販品の場合はカタログ等に記載された値に相当する。
本発明の有害物質不溶化剤は、鉄含有化合物及びアルミニウム含有化合物の少なくともいずれかを含むことが好ましい。これらの化合物を含有することで、強アルカリ性を示す有害固形物であっても不溶化することができる。
鉄含有化合物としては、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、及びこれらの水和物、鉄粉等が挙げられる。なかでも、硫酸第一鉄1水和物が好ましい。鉄含有化合物は、有害物質不溶化剤中に3〜30質量%含有されていることが好ましく、5〜10質量%含有されていることがより好ましい。3質量%以上含有されていることで、鉄化合物による吸着作用や溶出pHを下げることができる。また、30質量%以下含有されていることで、材料の固結を防止することができる。
アルミニウム含有化合物としては、硫酸アルミニウム、PAC(ポリ塩化アルミニウム)、アルミナ等が挙げられる。なかでも、硫酸アルミニウムが好ましい。アルミニウム含有化合物は、有害物質不溶化剤中に5〜70質量%含有されていることが好ましく、20〜60質量%含有されていることがより好ましい。5質量%以上含有されていることで、遊離のカルシウム成分と反応しエトリンガイトを生成すると共に、溶出液のpHを下げることができる。また、70質量%以下含有されていることで、pHを過剰に下げすぎることを防ぐことや、薬剤の固結を防ぐことができる。
また、アルミニウム含有化合物を含む場合、粒子Aと粒子Bとの合計100質量部に対する当該アルミニウム化合物の含有量は、10〜350質量部であることが好ましく、10〜110質量部であることがより好ましく、30〜70質量部であることがさらに好ましい。10〜350質量部含有されていることで、より良好な不溶化効果を得ることができる。また、特に、粒子Aと粒子BにおけるP/Caが低い場合(例えば、0.1〜0.3)でも、より良好な不溶化効果を発揮できる。
鉄含有化合物及びアルミニウム含有化合物もそれぞれ粒子状であることが好ましい。いずれも、平均粒径は10〜50μmであることが好ましく、15〜30μmであることがより好ましい。平均粒径はレーザー粒度分布計により測定された値、又は市販品の場合はカタログ等に記載された値に相当する。
さらに、本発明の有害物質不溶化剤は、鉄含有化合物及びアルミニウム含有化合物を含むことが好ましい。特に、後述のスラグや焼却飛灰の処理方法に対しては有効である。鉄含有化合物及びアルミニウム含有化合物を含む場合、鉄含有化合物とアルミニウム含有化合物との配合比率、すなわち、アルミニウム含有化合物100質量部に対する鉄含有化合物は、5〜50質量部であることが好ましく、10〜30質量部であることがより好ましい。
本発明の有害物質不溶化剤には、本発明の効果を妨げない範囲で他の成分を含んでもよい。他の成分としては、スラリー化のための水等が例示できる。
本発明の有害物質不溶化剤は、後述の本発明の有害物質の不溶化方法に適用することが好ましいが、それ以外にも例えば、排水処理方法等にも適用することができる。
本発明の有害物質不溶化剤を用いた有害物質含有排水に対する不溶化方法としては、不溶化剤を有害物質含有排水に投入し、混合攪拌する方法が好ましい。さらに、排水中の有害物質の濃度をより効果的に低減する観点から、多段式で処理する方法、例えば、有害物質不溶化剤を有害物質含有排水中に投入し、ろ過分離により沈殿物を除去した後、再度ろ液に有害物質不溶化剤を投入し反応させることにより有害物質を不溶化する方法が好ましい。
有害物質不溶化剤の排水への添加量としては、排水中の有害物質濃度に対して、決定する必要がある。例えば、有害物質がフッ素であれば、処理後の排水中のフッ素濃度が排水基準値である8mg/L以下になるように最適な添加量を定める必要がある。排水中のフッ素濃度が数千mg/Lのような高濃度の排水に対しては、多段式で処理することにより使用量を削減できる。
以上の観点から、有害物質不溶化剤を一度に添加する量としては、有害物質含有排水に対して、好ましくは0.05〜5質量%となる量である。有害物質不溶化剤の添加量が0.05質量%以上であると、排水中の有害物質の溶出の抑制効果が十分に得られる。有害物質不溶化剤の添加量が5質量%以下であると、不溶化剤の添加量に応じた有害物質の溶出の抑制効果が得られ、攪拌時の負荷や処理コストの増大を抑えることができる。この観点から、有害物質不溶化剤の添加量は、有害物質含有排水に対して、0.1〜1.5質量%であることがより好ましく、0.1〜1.0質量%であることがさらに好ましく、0.4〜0.8質量%であることが特に好ましい。
処理時間としては、通常10分〜24時間、好ましくは30分〜2時間である。
有害物質不溶化剤の添加後における処理排水pHは、十分な処理性能を引き出す上でpHが7〜13であることが好ましく、共存物質として鉛や亜鉛等を含む場合はpHが10〜12であることがより好ましい。また、例えば、有害物質がフッ素であり、それらの共存物質が含まれず、フッ素のみを処理する場合においては、pH調整に必要となる酸性物質を削減するために、本発明の有害物質不溶化剤の平衡pHであるpH12〜13で処理を行うことができる。
[2]有害物質の不溶化方法
本発明の有害物質の不溶化方法は、カルシウム及びマグネシウムを含み、かつこれらの少なくともいずれかが酸化物、炭酸塩もしくは水酸化物を形成している粒子Aと、リン酸化合物を含む粒子Bとを、有害物質を含有する有害物質含有固形物に混合する方法であって、粒子A中のカルシウム成分と、粒子B中のリン酸化合物のリン成分とのモル比(P/Ca)が0.1〜1.0となるように、粒子A及び粒子Bを有害物質含有固形物に混合するものである。ここで、粒子A及び粒子Bの詳細は既述のとおりである。
なお、既述の鉄含有化合物及び/又はアルミニウム含有化合物を併用する場合は、粒子A及び/又は粒子Bと共に、あるいは、独立して混合することができる。
有害物質を含有する有害物質含有固形物に対して、本発明の有害物質不溶化剤を、粉末状で投入混合する方法、水と混合してスラリー状にして混合する方法等、公知の方法を適用することで、十分に有害物質を不溶化することができる。粉末で投入する場合は、粒子Aと粒子Bとを予め混合したものを投入してもよいし、粒子Aと粒子Bとを別々で同時に投入してもよく、別々に逐次投入することもできる。スラリー状で投入する場合、水に対する不溶化剤の質量比〔不溶化剤/水〕が0.03〜0.2であることが好ましい。
既述のとおり、粒子A、粒子B、及び有害物質含有固形物の混合順序としては、特に限定はない。例えば、一部の粒子A及び/又は粒子Bを有害物質含有固形物に混合し、さらに一部若しくは残りの粒子B及び/又は粒子Aを有害物質含有固形物の混合するような逐次添加混合や、それぞれを一括して混合する一括混合等、有害物質含有固形物や周りの環境に応じて設定することができる。そのような中でも、下記(1)〜(3)のいずれかであることが好ましい。
(1)粒子Aと粒子Bとを混合した状態で、又は、粒子Aと粒子Bと別々に同時若しくは逐次、有害物質含有固形物に混合する。
(2)粒子Aと有害物質含有固形物とを混合した後、粒子Bを混合する。
(3)粒子Bと有害物質含有固形物とを混合した後、粒子Aを混合する。
混合順序としては、(1)に記載の順序であることが好ましく、既述の本発明の有害物質不溶化剤を用いて、(1)の混合を行うことがより好ましい。
なお、本発明の有害物質不溶化剤は、主として粒子Aと粒子Bとで構成されているが、これらは有害物質含有固形物に混合する時点で共存していれば、本発明の有害物質不溶化剤としての使用に該当するものである。
以下、有害物質含有固形物の種類に応じた処理方法を例示するが本発明はこれらに限定されるものではない。
(スラグや焼却飛灰の処理方法)
有害物質不溶化剤のスラグや焼却飛灰への添加量は、好ましくは10〜100kg/t−固形物である。不溶化剤の添加量が10kg/t−固形物以上であると、スラグと不溶化剤が十分に混合され、スラグ中の有害物質の溶出の抑制効果が十分に得られる。不溶化剤の添加量が100kg/t−固形物以下であると、不溶化剤の添加量に応じた有害物質の溶出の抑制効果が得られ、処理後の処理コストの増大を抑えることができる。この観点から、不溶化剤の添加量は、15〜90kg/t−固形物であることがより好ましく、30〜75kg/t−固形物であることがさらに好ましい。
ここで、スラグとしては、鉄鋼製造工程において副産物として発生する鉄鋼スラグが挙げられ、炉の種類や冷却方法の違いにより、高炉スラグ(高炉徐冷スラグ、高炉水砕スラグ)、製鋼スラグ(転炉スラグ、電気炉スラグ)といった性状の異なるものがある。鉄鋼スラグは石灰(CaO)とシリカ(SiO)とを主成分としており、その他の成分として、高炉スラグの場合はアルミナ(Al)、酸化マグネシウム(MgO)と少量の硫黄(S)を含み、製鋼スラグの場合は酸化鉄(FeO)、酸化マグネシウム(MgO)を含有している。製鋼スラグの場合、金属元素(例えば鉄等)が酸化物の形でスラグ中に取り込まれているが、精錬時間が短く石灰含有量が高いため、副原料の石灰の一部が未溶解のまま遊離石灰(free−CaO)として残るものもある。本発明ではいずれのスラグに対しても適用できる。
なお、スラグ中のfree−CaOは、下記のようにして求めることができる。まず、スラグを200メッシュ以下に粉砕し、その粉砕物にエチレングリコールを添加して、80℃程度で抽出させて抽出液を得る。その後、その抽出液をICPにて分析し、その分析値からCa(OH)分を引くことでfree−CaOを求めることができる。
上記のようなスラグや焼却飛灰の中でも、特にCaOが多いとpHの上昇やフッ素不溶化時のCaF生成などにより目的の濃度までフッ素濃度が低下しないといった不具合が生じやすい。そのような場合でも本発明の不溶化剤によれば短時間で効率的に有害物質の不溶化処理が行える。すなわち、CaOが30質量%以上のスラグや焼却飛灰に対してより好適に使用することができる。
なお、CaOはJIS R 9011「石灰の試験方法」に準拠したEDTA滴定法や、日本石灰協会標準試験方法(2006)に規定の11.有効石灰の定量方法に従い測定して求めることができる。
[土壌処理方法]
本発明における、有害物質含有土壌に対する不溶化方法は、上記不溶化剤を土壌と混合することにより、土壌中の有害物質を不溶化する方法が好ましい。
有害物質不溶化剤の土壌への添加量は、好ましくは50〜300kg/mである。不溶化剤の添加量が50kg/m以上であると、施工時に土壌と不溶化剤が十分に混合され、土壌中の有害物質の溶出の抑制効果が十分に得られる。不溶化剤の添加量が300kg/m以下であると、不溶化剤の添加量に応じた有害物質の溶出の抑制効果が得られ、処理後の土壌体積の増大や処理コストの増大を抑えることができる。この観点から、不溶化剤の添加量は、50〜150kg/mであることがより好ましく、50〜100kg/mであることがさらに好ましい。
不溶化剤の添加後における処理土壌は、地下水への汚染や人への暴露という観点からは、pHが6〜8であることが好ましく、pHが7〜8であることがより好ましい。
[焼却灰処理方法/石炭灰処理方法]
本発明における、焼却灰又は石炭灰に含まれる有害物質の不溶化方法としては、上記不溶化剤を焼却灰又は石炭灰と混合することにより、焼却灰又は石炭灰に含まれる有害物質を不溶化する方法が好ましい。
この有害物質不溶化剤の焼却灰又は石炭灰への添加量は、焼却灰又は石炭灰に対して、好ましくは1〜50質量%である。不溶化剤の添加量が1質量%以上であると、施工時に焼却灰と不溶化剤が十分に混合され、焼却灰又は石炭灰中の有害物質の溶出の抑制効果が十分に得られる。不溶化剤の添加量が50質量%以下であると、不溶化剤の添加量に応じた有害物質の溶出の抑制効果が得られ、処理後の焼却灰又は石炭灰の体積の増大や処理コストの増大を抑えることができる。この観点から、不溶化剤の添加量は、焼却灰又は石炭灰に対して、3〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがさらに好ましい。
焼却灰又は石炭灰としては、例えば、製紙工場からペーパースラッジ焼却灰、木質バイオマス燃料をボイラーで燃やした際に発生するバイオマス系焼却灰、都市ゴミ焼却炉で発生する焼却灰(ばいじん、飛灰及び主灰)、石炭火力発電の際に発生する石炭灰、下水汚泥焼却灰、各種産業廃棄物などの燃焼灰などが挙げられるが、有害物質を含む焼却灰又は石炭灰であれば、これらに限定されない。
不溶化剤と焼却灰又は石炭灰とを混合した混合物を得た後、有害物質の溶出抑制効果を高める観点から、水を加え該混合物を養生することもできる。養生方法に特に制限はなく、不溶化剤と焼却灰又は石炭灰との混合物を単に放置するだけでもよく、該混合物を緩やかに混合しながら行なってもよい。養生期間としては1〜30日間が好ましく、3〜10日がより好ましい。1日以上であれば十分な有害成分の溶出抑制効果と強度発現効果が得られ、30日以内であれば有害成分の溶出抑制効果の改善が見られる。
本発明の有害物質不溶化方法により焼却灰又は石炭灰を処理することで、環境庁告示第46号に従った環境基準値を満足した焼却灰又は石炭灰を路盤材などに有効利用することができる。
(その他の有害物質含有固形物の処理方法)
その他の有害物質固形含有物に対しても、既述の「有害物質含有固形物の処理方法」を参考に、必要に応じて公知の処理方法を参考にして有害物質の不溶化を行うことができる。
その他の有害物質含有固形物としては、鋳物砂、廃石膏等が挙げられるがこれらに限定されるものではない。
以上のとおり、本発明の有害物質の不溶化方法は単に不溶化剤を有害物質含有固形物と混合するだけでよいので、時間的にも作業的にも効率の高いものである。
次に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(実施例1〜4及び比較例1〜4)
水酸化ドロマイト(粒子A)、リン酸カリウム(粒子B)、酸化マグネシウムを下記表1及び表2のとおりに配合して篩別により所定の粒子径範囲なるように、実施例1〜4及び比較例1〜4の有害物質不溶化剤を作製した。
なお、水酸化ドロマイト、リン酸カリウム、酸化マグネシウムは以下に示すものを使用した。また、実施例及び比較例の粒子径はJIS−Z−8801のJIS規格の試験用ふるいを用いて調整した。
・水酸化ドロマイト(粒子A):吉澤石灰工業株式会社製 JIS R9001の1号基準適合品
・リン酸カリウム(粒子B):和光純薬株式会社製 リン酸2水素カリウム
・酸化マグネシウム:和光純薬株式会社製 特級 酸化マグネシウム
各例の不溶化剤スラグAとの配合比が表1に示すように袋内で十分に混合してスラグA(製鋼スラグ)の不溶化処理を行い、平成3年環境庁告示第46号に基づくフッ素の溶出試験を行った。結果を下記表1及び表2に示す。
なお、比較例1は不溶化処理を行っていない。溶出試験のpHはHORIBA製pHメーターで分析し、F濃度についてはJISK0102に準拠し吸光光度法により求めた。また、スラグAは以下に示すものを使用した。
・スラグA:CaO;20〜40質量%、SiO;10〜20質量%、Al;10〜20質量%、FeO;10〜15質量%
Figure 2016158914
Figure 2016158914
従来、フッ素の不溶化には酸化マグネシウムが使用されてきた。しかし、製鋼スラグは溶出pHが強アルカリになるため、比較例2に示す通り不溶化効果が得られなかった。一方、実施例1〜4の水酸化ドロマイト粒子とリン酸カリウム粒子との混合物では、フッ素不溶化効果が得られ、P/Caが大きいほど不溶化性能は高くなった。また、比較例3、比較例4に示すように、リン酸カリウムだけでは不溶化効果は得られるものの、基準値(0.8mg/L以下)を達成することができず、水酸化ドロマイトと組み合わせることで高い不溶化効果が得られることがわかった。
(実施例5〜9)
水酸化ドロマイト、リン酸カリウム、酸化マグネシウム、硫酸第一鉄、硫酸アルミニウムを下記表3のとおりに配合して篩別により所定の粒子径範囲なるように、実施例5〜9の有害物質不溶化剤を作製した。
なお、水酸化ドロマイト、リン酸カリウムは「実施例1〜4及び比較例1〜4」で使用したものを用いた。硫酸第一鉄、硫酸アルミニウムは、以下に示すものを使用した。
・硫酸第一鉄: 堺化学工業株式会社製 硫酸第一鉄1水和物
・硫酸アルミニウム:大明化学工業株式会社製 硫酸アルミニウム
各例の不溶化剤の量を焼却飛灰Aとの配合比が表3に示すように袋内で十分に混合して焼却飛灰Aの不溶化処理を行い、平成3年環境庁告示第46号に基づくフッ素の溶出試験を行った。結果を下記表3に示す。
なお、比較例5は不溶化処理を行っていない。溶出試験は「実施例1〜3及び比較例1,2」と同様とした。また、焼却飛灰Aは以下に示すものを使用した。
・焼却飛灰A:Ig.Loss;3〜10質量%、CaO;35〜50質量%、SiO;15〜30質量%、最大粒径;250μm以下
なお、実施例5、6の「粒子Aと粒子Bと硫酸第一鉄と硫酸アルミニウム」を含む不溶化剤の篩別後の粒子径は1.5mm以下であり、実施例7〜9の「粒子Aと粒子Bと硫酸アルミニウム」を含む不溶化剤の篩別後の粒子径は1.5mm以下であった。
Figure 2016158914
強アルカリ性を示す焼却飛灰Aには排ガス処理等に含まれる消石灰が含まれており、これがフッ素の不溶化を阻害すると考えられる。酸性の硫酸第一鉄や硫酸アルミニウムを加えることで不溶化時のpHを下げると共に、硫酸アルミニウムを添加することでカルシウム源と反応し不溶化効果をもつエトリンガイトの生成が期待できる。粒子Aと粒子Bからなる不溶化剤に実施例5〜9のように両者又はいずれかを加えることでpHが低下し、フッ素濃度も低下し不溶化効果が得られた。
(実施例10〜19及び比較例6,7)
水酸化ドロマイト、リン酸カリウム、硫酸アルミニウムを下記表4のとおりに配合して篩別により所定の粒子径範囲なるように、実施例10〜19の有害物質不溶化剤を作製した。
なお、水酸化ドロマイト、リン酸カリウムは「実施例1〜4及び比較例1〜4」で使用したものを用いた。硫酸アルミニウムは、「実施例5〜9」で使用したものを用いた。
各例の不溶化剤の量を焼却灰Bとの配合比が表4に示すように袋内で十分に混合して焼却灰Bの不溶化処理を行い、平成3年環境庁告示第46号に基づくフッ素の溶出試験を行った。結果を下記表4に示す。
なお、比較例6は不溶化処理を行っていない。比較例7は粒子A及び粒子Bを使用せず、硫酸アルミニウムだけを用いた例である。溶出試験は「実施例1〜4及び比較例1〜4」と同様とした。また、焼却灰Bは以下に示すものを使用した。
・焼却灰B:SiO;45〜60質量%、Al;20〜35質量%、最大粒径;250μm以下
なお、実施例10〜19の「粒子Aと粒子Bと硫酸アルミニウム」を含む不溶化剤の篩別後の粒子径は1.5mm以下であった。
Figure 2016158914
Figure 2016158914
(実施例20〜23及び比較例8)
水酸化ドロマイト、リン酸カリウム、硫酸アルミニウムを下記表5のとおりに配合して篩別により所定の粒子径範囲なるように、実施例20〜23の有害物質不溶化剤を作製した。
なお、水酸化ドロマイト、リン酸カリウムは「実施例1〜4及び比較例1〜4」で使用したものを用いた。硫酸アルミニウムは、「実施例5〜9」で使用したものを用いた。
各例の不溶化剤の量を焼却灰Cとの配合比が表5に示すように袋内で十分に混合して焼却灰Cの不溶化処理を行い、平成3年環境庁告示第46号に基づくフッ素の溶出試験を行った。結果を下記表5に示す。
なお、比較例8は不溶化処理を行っていない。溶出試験は「実施例1〜4及び比較例1〜4」と同様とした。また、焼却灰Cは以下に示すものを使用した。
・焼却灰C:CaO;30〜50質量%、SiO;30〜50質量%、最大粒径;250μm以下
なお、実施例20〜23の「粒子Aと粒子Bと硫酸アルミニウム」を含む不溶化剤の篩別後の粒子径は1.5mm以下であった。
Figure 2016158914

Claims (11)

  1. 粒子径が2mm以下であり、有害物質を不溶化する有害物質不溶化剤であって、
    カルシウム及びマグネシウムを含み、かつこれらの少なくともいずれかが、酸化物、炭酸塩もしくは水酸化物を形成している粒子Aと、
    リン酸化合物を含む粒子Bと、を含み、
    前記粒子A中のカルシウム成分と、前記粒子B中のリン酸化合物のリン成分とのモル比(P/Ca)が0.1〜1.0である有害物質不溶化剤。
  2. 鉄含有化合物及びアルミニウム含有化合物の少なくともいずれかを含む請求項1に記載の有害物質不溶化剤。
  3. 前記粒子Aがドロマイト又はドロマイト系化合物である請求項1又は2に記載の有害物質不溶化剤。
  4. アルミニウム含有化合物を含み、前記粒子Aと前記粒子Bとの合計100質量部に対する前記アルミニウム化合物の含有量が10〜350質量部である請求項1〜3のいずれか1項に記載の有害物質不溶化剤。
  5. 前記有害物質が、フッ素、ホウ素、6価クロム、セレン、及びヒ素の少なくともいずれかである請求項1〜4のいずれか1項に記載の有害物質不溶化剤。
  6. 前記リン酸化合物が、リン酸2水素カリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸3カリウム、リン酸3ナトリウム、及びこれらの水和物、並びに、リン酸系肥料の少なくともいずれかである請求項1〜5のいずれか1項に記載の有害物質不溶化剤。
  7. スラグ中の前記有害物質を不溶化する請求項1〜6のいずれか1項に記載の有害物質不溶化剤。
  8. カルシウム及びマグネシウムを含み、かつこれらの少なくともいずれかが、酸化物、炭酸塩もしくは水酸化物を形成している粒子Aと、リン酸化合物を含む粒子Bとを、有害物質を含有する有害物質含有固形物に混合する有害物質の不溶化方法であって、
    前記粒子A中のカルシウム成分と、前記粒子B中のリン酸化合物のリン成分とのモル比(P/Ca)が0.1〜1.0となるように、前記粒子A及び前記粒子Bを前記有害物質含有固形物に混合する有害物質の不溶化方法。
  9. 前記粒子A、前記粒子B、及び前記有害物質含有固形物の混合順序が下記(1)〜(3)のいずれかである請求項8に記載の有害物質の不溶化方法。
    (1)前記粒子Aと前記粒子Bとを混合した状態で、又は、前記粒子Aと前記粒子Bと別々に同時若しくは逐次、前記有害物質含有固形物に混合する。
    (2)前記粒子Aと前記有害物質含有固形物とを混合した後、前記粒子Bを混合する。
    (3)前記粒子Bと前記有害物質含有固形物とを混合した後、前記粒子Aを混合する。
  10. 前記混合順序が前記(1)に記載の順序であり、請求項1〜7のいずれか1項に記載の有害物質不溶化剤を用いて、前記(1)の混合を行う請求項9に記載の有害物質の不溶化方法。
  11. 前記有害物質含有固形物がスラグである請求項8〜10のいずれか1項に記載の有害物質の不溶化方法。


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