JPWO2016152879A1 - サーモクロミックフィルム - Google Patents

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Abstract

本発明は、温度の昇降履歴を繰り返し受けても良好なサーモクロミック性を示し、かつ全光線透過率の低下が抑制されたサーモクロミックフィルムを提供する。本発明は、平均短径が10〜100nmであり、かつ平均長径/平均短径で定義されるアスペクト比が5〜500である二酸化バナジウムワイヤーと、樹脂と、を含み、前記樹脂は線膨張係数が12×10−5/K以下である結晶性樹脂であるか、または線膨張係数が12×10−5/K以下であり、かつガラス転移温度が85℃以上である非晶性樹脂である、サーモクロミックフィルムである。

Description

本発明は、サーモクロミックフィルムに関する。
二酸化バナジウムは、温度変化によって透過率や反射率等の光学的特性が可逆的に変化するサーモクロミック性を示す材料として注目されている。ルチル型二酸化バナジウムの結晶は、相転移温度未満では半導体相を示すが、相転移温度以上では金属相へ転移する。この相転移は約68℃で可逆的に起こり、赤外線透過率が変化し、特に近赤外領域における透過率が大幅に変化する。
このような性質を利用して、例えば、特開2004−4795号公報(米国特許出願公開第2003/0196454号明細書に相当)では、ガラスに酸化バナジウムを含む調光膜を被膜した多機能自動調光断熱ガラスが提案されている。
また、特開2014−73955号公報では、サーモクロミック性に優れる酸化バナジウム(IV)粒子および熱可塑性樹脂を含有する中間膜を用いた貼り合せガラスが提案されている。さらに特開2011−136873号公報では、二酸化バナジウムを樹脂に練り込み成形することに得られる、サーモクロミックフィルムが提案されている。
しかしながら、特開2014−73955号公報および特開2011−136873号公報に記載の二酸化バナジウムを含む樹脂フィルムは、温度の昇降履歴を繰り返し受けることにより、初期と比べて全光線透過率が低下することがわかった。
そこで本発明は、温度の昇降履歴を繰り返し受けても良好なサーモクロミック性を示し、かつ全光線透過率の低下が抑制されたサーモクロミックフィルムを提供することを目的とする。
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、鋭意研究を行った。その結果、アスペクト比および平均粒径が特定の範囲にある二酸化バナジウムワイヤーと、線膨張係数が特定の範囲にある樹脂と、を含むサーモクロミックフィルムにより、上記課題が解決することを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、平均短径が10〜100nmであり、かつ平均長径/平均短径で定義されるアスペクト比が5〜500である二酸化バナジウムワイヤーと、樹脂とを含み、前記樹脂は線膨張係数が12×10−5/K以下である結晶性樹脂であるかまたは線膨張係数が12×10−5/K以下であり、かつガラス転移温度が85℃以上である非晶性樹脂である、サーモクロミックフィルムである。
本発明は、平均短径が10〜100nmであり、かつ平均長径/平均短径で定義されるアスペクト比が5〜500である二酸化バナジウムワイヤーと、樹脂とを含み、前記樹脂は線膨張係数が12×10−5/K以下である結晶性樹脂であるか、または線膨張係数が12×10−5/K以下でありかつガラス転移温度が85℃以上である非晶性樹脂である、サーモクロミックフィルムである。このような構成を有する本発明のサーモクロミックフィルムは、温度の昇降履歴を繰り返し受けても良好なサーモクロミック性を示し、かつ全光線透過率の低下が抑制されるという優れた効果を発揮する。
なぜ、本発明のサーモクロミックフィルムが上記効果を発揮するのか、詳細は不明であるが、下記のようなメカニズムが考えられる。なお、下記のメカニズムは推測によるものであり、本発明は下記メカニズムに何ら制限されるものではない。
特開2014−73955号公報および特開2011−136873号公報では、サーモクロミック性を示す二酸化バナジウム粒子および樹脂を含有するフィルムが提案されている。しかしながら、特開2014−73955号公報および特開2011−136873号公報に記載の技術では、温度の昇降履歴を繰り返し受けることにより、可視光透過率(全光線透過率)が低下するという問題があることが判明した。これは、二酸化バナジウム粒子の線膨張係数と樹脂の線膨張係数とが大きく異なることに起因して、温度の昇降履歴を繰り返し受けることにより、二酸化バナジウム粒子と樹脂との界面に空隙が生じ、可視光透過率(全光線透過率)が低下するという現象に繋がると、本発明者らは考えた。
このような課題に対し、本発明者らは、平均短径が10〜100nmであり、かつ平均長径/平均短径で定義されるアスペクト比が5〜500である二酸化バナジウムワイヤーと、線膨張係数が12×10−5/K以下である結晶性樹脂であるか、または線膨張係数が12×10−5/K以下でありかつガラス転移温度が85℃以上である非晶性樹脂とを含むサーモクロミックフィルムにより、上記課題が解決することを見出した。このような構成とすることにより、温度の昇降履歴を繰り返し受けても、二酸化バナジウムワイヤーと樹脂との界面における空隙の発生を抑制することができる。その結果、温度の昇降履歴を繰り返し受けても良好なサーモクロミック性を示し、かつ全光線透過率の低下が抑制されたサーモクロミックフィルムを得ることができる。
以下、本発明の好ましい実施形態を説明する。なお、本発明は、以下の実施形態のみには限定されない。なお、本明細書において、範囲を示す「X〜Y」は、Xを下限値、Yを上限値として含む範囲を意味する。また、特記しない限り、操作および物性等の測定は、室温(20〜25℃)/相対湿度40〜50%RHの条件で測定する。
[二酸化バナジウムワイヤー]
本発明のサーモクロミックフィルムは、平均短径が10〜100nmであり、かつ平均長径/平均短径で定義されるアスペクト比が5〜500である二酸化バナジウムワイヤーを含む。
該二酸化バナジウムワイヤーは、二酸化バナジウムを含む。二酸化バナジウムは様々な結晶相が存在するが、特定の温度において単斜品結晶と正方晶結晶(ルチル型)とが可逆的に相転移することにより、赤外線透過率を大きく変化させるサーモクロミック性を有する。
本発明に係る二酸化バナジウムワイヤーの平均短径は、10〜100nmである。平均短径が10nm未満のものは、実質的に合成できない。一方、平均短径が100nmを超える場合、得られるサーモクロミックフィルムの初期の全光線透過率が不十分となる。当該平均短径は、好ましくは10〜80nmであり、より好ましくは10〜50nmである。なお、二酸化バナジウムワイヤーの平均短径は、実施例に記載の方法により測定した数平均短径を採用する。
また、本発明に係る二酸化バナジウムワイヤーの平均長径/平均短径で定義されるアスペクト比は5〜500である。アスペクト比が5未満の場合、温度の昇降履歴を繰り返し受けた後のサーモクロミックフィルムの線膨張を抑制する効果が得られず、全光線透過率が低下する。一方、500を超えるものは、ワイヤーの合成時に破断が起きるため、実質的に合成できない。当該アスペクト比は、好ましくは10〜250、より好ましくは20〜200である。
なお、二酸化バナジウムワイヤーの平均長径は、実施例に記載の方法により測定した数平均長径を採用する。該平均長径は、好ましくは50〜50000nm、より好ましくは100〜25000nm、さらに好ましくは500〜20000nmである。
<コーティング>
本発明に係る二酸化バナジウムワイヤーの表面の少なくとも一部は、無機コーティング剤および有機コーティング剤の少なくとも一方によりコーティングされていることが好ましい。二酸化バナジウムワイヤーの表面に対して無機コーティング剤によるコーティングを行うことにより、二酸化バナジウムワイヤーの表面酸化を抑制することができ、温度の昇降履歴を繰り返し受けてもサーモクロミック性がより維持されやすくなる。また、二酸化バナジウムワイヤーの表面に対して有機コーティング剤によるコーティングを行うことにより、二酸化バナジウムワイヤー表面に有機基が存在するようになり、樹脂との相溶性が向上しワイヤー同士の凝集が起こりにくくなることから、サーモクロミックフィルムの初期の全光線透過率が向上する。
特に、二酸化バナジウムワイヤーの表面を無機コーティング剤でコーティングした後、さらに有機コーティング剤でコーティングすることにより、温度の昇降履歴を繰り返し受けてもサーモクロミック性がより維持されやすいという効果に加えて、樹脂との相溶性が向上しワイヤー同士の凝集が起こりにくくなることから、サーモクロミックフィルムの初期の全光線透過率が向上するという効果も得られる。
≪無機コーティング剤≫
無機コーティング剤の例としては、例えば、無機酸化物や無機窒化物が挙げられる。
無機酸化物としては、例えば、二酸化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化タンタル、酸化ニオブ、酸化ランタン、酸化スズ、酸化バナジウム、チタン酸バリウムストロンチウム、ジルコニウム酸チタン酸バリウム、ジルコニウム酸チタン酸鉛、チタン酸鉛ランタン、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、フッ化バリウムマグネシウム、チタン酸ビスマス、チタン酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ストロンチウムビスマス、タンタル酸ニオブ酸ビスマス、トリオキサイドイットリウム等が挙げられる。無機窒化物としては、例えば、窒化ケイ素、窒化ホウ素、窒化チタン等が挙げられる。
これら無機コーティング剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。これら無機コーティング剤の中でも、二酸化バナジウムワイヤーとの密着性の観点から、無機酸化物が好ましく、二酸化ケイ素、二酸化チタン、および酸化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種がより好ましい。
無機コーティング剤で二酸化バナジウムワイヤーの表面をコーティングする方法としては、特に制限されないが、上記無機コーティング剤またはその前駆体と二酸化バナジウムワイヤーとを、溶媒中、酸および/またはアルカリの存在下で攪拌混合し、その後乾燥する方法が挙げられる。
好ましい無機コーティング剤である無機酸化物の前駆体の例としては、例えば、オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)、硫酸チタン、アルミン酸ナトリウム、タンタルイソプロポキシド、ニオブエトキシド、ランタンブトキシド等が挙げられる。これら前駆体は、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。
攪拌混合時の温度および時間は、用いる無機コーティング剤またはその前駆体の種類によって異なり、一概に言えるものではないが、温度は20〜120℃が好ましく、時間は1〜72時間が好ましい。
≪有機コーティング剤≫
有機コーティング剤の例としては、例えば、シランカップリング剤、飽和脂肪酸、不飽和脂肪酸、窒素含有有機化合物、硫黄含有有機化合物等が挙げられる。中でも、二酸化バナジウムワイヤーとの密着性の観点から、シランカップリング剤が好ましい。シランカップリング剤は、公知のシランカップリング剤が使用でき、例えば、アルコキシ基含有シランカップリング剤、ハロゲン含有シランカップリング剤、アミノ基含有シランカップリング剤、メルカプト基含有シランカップリング剤、ビニル基含有シランカップリング剤、エポキシ基含有シランカップリング剤、アセトキシ基含有シランカップリング剤、アクリロキシ基含有シランカップリング剤、メタクリロキシ基含有シランカップリング剤等が挙げられる。該シランカップリング剤は、部分的に縮合したオリゴマーであってもよい。
シランカップリング剤のさらに具体的な例としては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、2−シアノエチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、スチリルエチルトリメトキシシラン、4−アシノブチルトリエトキシシラン等のアルコキシ基含有シランカップリング剤:3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリクロロシラン、(p−クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン、4−クロロフェニルトリメトキシシラン、ジメチルジクロロシラン、ジフェニルジクロロシラン、トリメチルクロロシラン、メチルトリクロロシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン等のハロゲン含有シランカップリング剤;p−アミノフェニルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノエチルアミノメチルフェネチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、4−アミノブチルトリエトキシシラン、N−(6−アミノヘキシル)アミノプロピルトリメトキシシラン等のアミノ基含有シランカップリング剤;3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン等のメルカプト基含有シランカップリング剤;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリクロロシラン等のビニル基含有シランカップリング剤;3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のエポキシ基含有シランカップリング剤;フェニルトリアセトキシシラン等のアセトキシ基含有シランカップリング剤;3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のアクリロキシ基含有シランカップリング剤;3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のメタクリロキシ基含有シランカップリング剤;等が挙げられる。これらシランカップリング剤は、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
上記シランカップリング剤において、アミノ基含有シランカップリング剤は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)等に対する分散性が特に優れる。
メルカプト基シランカップリング剤は、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体(ABS)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)等に対する分散性が特に優れる。
ビニル基含有シランカップリング剤は、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)等に対する分散性が特に優れる。
エポキシ基含有シランカップリング剤は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体(ABS)等に対する分散性が特に優れる。
メタクリロキシ基含有シランカップリング剤は、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBN)に対する分散性が特に優れる。
シランカップリング剤で二酸化バナジウムワイヤーの表面をコーティングする方法としては、特に制限されないが、上記シランカップリング剤と二酸化バナジウムワイヤーとを、溶媒中で攪拌混合し、その後乾燥する方法が挙げられる。
攪拌混合時の温度および時間は、用いるシランカップリング剤の種類によって異なり、一概に言えるものではないが、温度は20〜80℃が好ましく、時間は0.5〜6時間が好ましい。
<置換原子>
上記二酸化バナジウムワイヤーは、バナジウム原子の一部が、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、ゲルマニウム(Ge)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、フッ素(F)およびリン(P)からなる群より選択される少なくとも1種の原子で置換されていてもよい。このような置換原子を含むことにより、二酸化バナジウムワイヤーのサーモクロミック性(特に、相転移温度)を、より容易に制御することが可能となる。これら置換原子を含む場合の置換原子の含有量は、バナジウム(V)原子に対して、0.1〜5原子%が好ましく、1〜3原子%であることがより好ましい。置換原子の含有量が5原子%を超えると、相対的にバナジウム原子の量が減少し、サーモクロミック性が低下する場合がある。これら置換原子を二酸化バナジウムワイヤー中に含有させる方法は、後述する。
本発明のサーモクロミックフィルム中の二酸化バナジウムワイヤーの含有量は、フィルムの全質量に対して1〜50質量%であることが好ましく、5〜30質量%であることがより好ましく、7〜15質量%であることがさらに好ましい。この範囲であれば、サーモクロミック性および初期の全光線透過率に優れたサーモクロミックフィルムを得ることができる。
<二酸化バナジウムワイヤーの製造方法>
本発明に係る二酸化バナジウムワイヤーの製造方法は特に制限されないが、好ましくは、(ア)バナジウム化合物を原料とし、酸化剤および/または還元剤、ならびに必要に応じて添加される置換原子を含む化合物の存在下で水熱反応を行い、七酸化三バナジウム水和物(V・HO)を合成する工程;(イ)得られたV・HOを原料として、さらに還元反応を行い、二酸化バナジウムワイヤーを得る工程;(ウ)前記(イ)の工程で得られた二酸化バナジウムワイヤーをアニール処理する工程;を含む製造方法が挙げられる。ここで、水熱反応とは、高温高圧水、例えば温度180℃以上、圧力1MPa以上の熱水を用いる反応を言う。
(ア)の工程で用いられる、バナジウム化合物としては、例えば、五酸化二バナジウム(V)、バナジン酸アンモニウム(NHVO)、シュウ酸バナジル水和物(VOC・nHO)、酸化硫酸バナジウム(VOSO・nHO)、三塩化酸化バナジウム(VOCl)、メタバナジン酸ナトリウム(NaVO)等が挙げられる。これらは、単独でもまたは2種以上組み合わせても用いることができる。
また、(ア)の工程で用いられる酸化剤および還元剤としては、例えば、シュウ酸、酢酸、ギ酸、マロン酸、プロピオン酸、コハク酸、クエン酸、アミノ酸、アスコルビン酸、酪酸、吉草酸、安息香酸、没食子酸、メリト酸、乳酸、リンゴ酸、マレイン酸、アコニット酸、グルタル酸、メタノール、フェノール、エチレングリコール、クレゾール、エタノール、ジメチルホルムアルデヒド、アセトニトリル、アセトン、酢酸エチル、プロパノール、ブタノール、ヒドラジン、過酸化水素、過酢酸、クロラミン、ジメチルスルホキシド、メタクロロ過安息香酸、硝酸、等が挙げられる。これら酸化剤および還元剤は、単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。
(ア)の工程での水熱反応における反応温度は特に制限されないが、230〜350℃が好ましく、250〜300℃がより好ましい。また、反応時間も特に制限されないが、1〜120時間が好ましく、6〜72時間がより好ましい。さらに、酸化剤または還元剤の添加量は、原料であるバナジウム化合物に対して5〜50質量%であることが好ましく、10〜30質量%であることがより好ましい。
二酸化バナジウムワイヤーの平均短径、平均長径およびアスペクト比は、この(ア)の工程の水熱反応での反応温度、反応時間、用いる酸化剤および/または還元剤の種類および添加量等を調節することにより制御することができる。
置換原子を含む二酸化バナジウムワイヤーを得る場合には、水熱反応時に置換原子を含む化合物を添加することが好ましい。置換原子の種類としては、上記したように、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、ニオブ(Nb)、タンタル(Ta)、スズ(Sn)、レニウム(Re)、イリジウム(Ir)、オスミウム(Os)、ルテニウム(Ru)、ゲルマニウム(Ge)、クロム(Cr)、鉄(Fe)、ガリウム(Ga)、アルミニウム(Al)、フッ素(F)およびリン(P)からなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。置換原子を含む化合物は、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。置換原子を含む化合物の添加量は、上述した置換原子の好ましい含有量となるように適宜調節すればよい。
(イ)の工程の還元反応で用いられる溶媒としては、例えば、水;メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、ベンジルアルコール、メトキシエタノール等のアルコール溶媒;エチレングリコール、ジエチレングリコール等のグリコール溶媒;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶媒;酢酸エチル、酢酸ブチル、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のエステル溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル溶媒;ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族溶媒等が挙げられる。これら溶媒は、単独でもまたは2種以上混合しても用いることができる。(イ)の工程での還元反応における反応温度は特に制限されないが、150〜350℃が好ましく、200〜300℃がより好ましい。また、反応時間も特に制限されないが、12〜120時間が好ましく、24〜96時間がより好ましい。
(イ)の工程後には、得られた二酸化バナジウムを、サーモクロミック性を示すR相に変換することを目的として、(ウ)アニール処理を行う。これは、(イ)の工程後に得られた二酸化バナジウムは、サーモクロミック性を示さないA相とB相との混合物で得られるが、さらに高温下でアニール処理を施すことでR相へと変換するためである。アニール処理における雰囲気は特に制限されないが、アルゴン等の希ガス雰囲気下、窒素雰囲気下、真空雰囲気下等が好ましい。また、アニール処理の処理温度は300〜800℃が好ましく、処理時間は0.5〜24時間が好ましい。
このようにして、本発明に係る二酸化バナジウムワイヤーを得ることができる。
[樹脂]
本発明で用いられる樹脂は、線膨張係数が12×10−5/K以下である結晶性樹脂か、または線膨張係数が12×10−5/K以下であり、かつガラス転移温度が85℃以上である非晶性樹脂である。なお、樹脂の線膨張係数、ガラス転移温度(Tg)、および融点は実施例に記載の方法により測定することができる。
<結晶性樹脂>
本発明で用いられる結晶性樹脂としては、線膨張係数が12×10−5/K以下のものであれば制限はないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリブチレンナフタレート(PBT)、ポリアセタール(POM)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリアミド6(PA6)、ポリアミド66(PA66)、ポリアミド11(PA11)、ポリアミド12(PA12)、ポリアミド610(PA610)、ポリアミド612(PA612)等が挙げられる。これら結晶性樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。これら結晶性樹脂の中でも、透明性の観点から、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびトリアセチルセルロースからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
結晶性樹脂の場合、結晶部位の存在によってその構造が堅牢なものになっているため、熱による体積変化が非晶性樹脂ほど大きくなく、結晶性樹脂のガラス転移温度の影響は小さいと考えられる。しかしながら、結晶性樹脂の線膨張係数が12×10−5/Kを超える場合、二酸化バナジウムワイヤーの相転移時に、二酸化バナジウムワイヤーと樹脂との間に空隙が生じやすく、温度の昇降履歴を繰り返し受けることにより、全光線透過率が低下する。該結晶性樹脂の線膨張係数は、好ましくは10×10−5/K以下、より好ましくは8×10−5/K以下である。
結晶性樹脂の融点は、特に制限されないが、耐熱性と加工性の観点から、好ましくは150〜350℃、より好ましくは200〜300℃である。
<非晶性樹脂>
本発明で用いられる非晶性樹脂としては、線膨張係数が12×10−5/K以下であり、かつガラス転移温度が85℃以上のものであれば特に制限はされないが、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)、ポリフェニレンエーテル(PPO)、アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体(ABS)、ポリアクリロニトリル(PAN)、スチレン−アクリロニトリル共重合体(SAN)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)等が挙げられる。これら非晶性樹脂は、単独でもまたは2種以上組み合わせて用いてもよい。これら非晶性樹脂の中でも、透明性の観点から、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、およびシクロオレフィンコポリマーからなる群より選択される少なくとも1種が好ましい。
非晶性樹脂の線膨張係数が12×10−5/Kを超える場合、二酸化バナジウムワイヤーの相転移時に、二酸化バナジウムワイヤーと樹脂との間に空隙が生じやすく、温度の昇降履歴を繰り返し受けることにより、全光線透過率が低下する。該非晶性樹脂の線膨張係数は、好ましくは10×10−5/K以下、より好ましくは8×10−5/K以下である。
非晶性樹脂は、ガラス転移温度の前後で急激な体積変化を生じる。すなわち、非晶性樹脂は、昇温時にガラス転移温度を超えると著しく体積が増加するのに対し、二酸化バナジウムワイヤーは、相転移温度を超えると体積が縮小する性質を有しているため、二酸化バナジウムワイヤーの相転移温度である68℃と、非晶性樹脂のガラス転移温度とが近いと、非晶性樹脂と二酸化バナジウムワイヤーとの間に空隙を生じやすい。したがって、非晶性樹脂のガラス転移温度が85℃未満であると、温度の昇降履歴を繰り返し受けることで、非晶性樹脂と二酸化バナジウムワイヤーとの間に空隙が発生し、全光線透過率が低下する。非晶性樹脂のガラス転移温度は、好ましくは100℃以上、より好ましくは120℃以上である。
上記樹脂は、市販品を用いてもよいし合成品を用いてもよい。市販品の例としては、例えば、パイロペット(登録商標)シリーズ(東洋紡株式会社製、ポリエチレンテレフタレート)、テオネックス(登録商標)シリーズ(帝人株式会社製、ポリエチレンナフタレート)KC4UAW(コニカミノルタ株式会社製、トリアセチルセルロース)、アクリペット(登録商標)シリーズ(三菱レイヨン株式会社製、ポリメチルメタクリレート)、HF77、679(以上HSジャパン株式会社、ポリスチレン)、パンライト(登録商標)シリーズ(帝人化成株式会社製、ポリカーボネート)、ゼオノア(登録商標)シリーズ(日本ゼオン株式会社製、シクロオレフィンポリマー)、アペル(登録商標)シリーズ(三井化学株式会社製、シクロオレフィンコポリマー)等が挙げられる。
[他の成分]
本発明のサーモクロミックフィルムは、必要に応じ、酸化防止剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、光安定剤、防曇剤、可塑剤、滑剤、界面活性剤、分散剤、アンチブロッキング剤等、従来公知の添加剤を含有することができる。
[サーモクロミックフィルムの製造方法]
本発明のサーモクロミックフィルムの製造方法は特に制限されないが、例えば、溶融押出法、溶液キャスト法(溶液流延法)、カレンダー法、圧縮成形法などが挙げられる。これらの方法のうち、溶融押出法、溶液キャスト法(溶液流延法)が好ましい。
溶融押出法としては、二酸化バナジウムワイヤー、樹脂、および必要に応じて他の成分を溶融混練した後、溶融押出によりフィルム状に成形する方法が挙げられる。混練に用いる混練機は、特に限定されるものではなく、例えば、単軸押出機、二軸押出機等の押出機や加圧ニーダー等の従来公知の混練機を用いることができる。また、フィルム状に成形する溶融押出法としては、Tダイ法、インフレーション法等が挙げられる。溶融押出の際の成形温度は、樹脂の種類により変わるため一概には言えないが、200〜300℃が好ましい。Tダイ法でフィルム上に成形する場合は、公知の単軸押出機や二軸押出機の先端部にTダイを取り付け、フィルム状に押出したフィルムを巻取り、ロール状のフィルムを得ることができる。この際、巻取ロールの温度を適宜調整して、押出方向に延伸を加えることによって、一軸延伸工程とすることも可能である。また、押出方向と垂直な方向にフィルムを延伸する工程を加えることによって、逐次二軸延伸、同時二軸延伸などの工程を加えることも可能である。また、フィルムの光学的等方性や機械的特性を安定化させるために、延伸処理後に熱処理(アニーリング)などを行うこともできる。
また、溶液キャスト法(溶液流延法)では、二酸化バナジウムワイヤー、樹脂、および必要に応じて他の成分を含む溶液または分散液(ドープ)を調製した後、キャスト(流延)する方法等が挙げられる。
溶液キャスト法(溶液流延法)に用いられる溶媒としては、特に制限されないが、例えば、クロロホルム、メチレンクロライドなどの塩素系溶媒;トルエン、キシレン、ベンゼン、およびこれらの混合溶媒などの芳香族系溶媒;メタノール、エタノール、n−プロパノール、2−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、tert−ブタノール、2,2,2−トリフルオロエタノール、2,2,3,3−ヘキサフルオロ−1−プロパノール、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−メチル−2−プロパノール、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール、2,2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノールなどのアルコール系溶媒;メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、1,3−ジオキソラン、1,4−ジオキサン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸アミル、ジエチルエーテル、ニトロエタン等が挙げられる。これら溶媒は、単独でもまたは2種以上を併用してもよい。溶液キャスト法(溶液流延法)を行うための装置としては、例えば、ステンレスバンド、ドラム式キャスティングマシン、バンド式キャスティングマシン、スピンコーターなどが挙げられる。
溶液キャスト法(溶液流延法)においては、好ましくはドープを上記の装置上に流延する工程、流延したドープをウェブとして乾燥する工程、乾燥後装置からウェブを剥離する工程、延伸または幅保持する工程、およびさらに乾燥する工程等を含む方法によりフィルム化が行われる。
上記のようにして得られる本発明のサーモクロミックフィルムの厚さは、1〜100μmであることが好ましく、10〜60μmであることがより好ましい。
[用途]
本発明のサーモクロミックフィルムは、建築物や自動車などの窓に貼付する遮熱フィルム、装飾用のディスプレイ、農業用のシートやガラス、およびテントやタープといったアウトドア用品、さらには野外用のウェア等に好適に用いることができる。
本発明の効果を、以下の実施例および比較例を用いて説明する。ただし、本発明の技術的範囲が以下の実施例のみに制限されるわけではない。なお、二酸化バナジウムワイヤー(以下、単に「VOワイヤー」とも称する)の平均長径および平均短径は、次のようにして求めた。すなわち、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いて、加圧電圧100kVの条件下でVOワイヤーを観察し、4000倍で写真を撮影した。得られた写真をイメージアナライザーに画像として取り込み、任意の100個を選択し画像処理を行い、ワイヤー1個の長径および短径を求めた。そして、100個のワイヤーについて長径および短径を算術平均し、数平均長径(Ll)および数平均短径(Ls)を算出した。また、アスペクト比は、上記で得られた数平均長径(Ll)および数平均短径(Ls)の値を用いて、数平均長径(Ll)/数平均短径(Ls)を算出して求めた。
<VOワイヤーW1の合成>
1.V・HOの合成
純水16mLに五酸化二バナジウム(V)(V、特級、和光純薬工業株式会社製)0.3gと、シュウ酸二水和物((COOH)・2HO、特級、和光純薬工業株式会社製)0.075gとを加えて攪拌し、水溶液を調製した。
次に、この水溶液を、高圧用反応分解容器 静置型HU 50mlセット(耐圧ステンレス製外筒、PTFE製試料容器 HUTc−50:三愛科学株式会社製)に入れ、反応温度290℃、反応時間6時間で、水熱反応させた。
反応終了後に得られた沈殿生成物を濾過し、水およびアセトンで洗浄して、ワイヤー状の七酸化三バナジウム水和物(V・HO)を得た。
2.VOワイヤーの合成
次に、高圧用反応分解容器 静置型HU 50mlセット(耐圧ステンレス製外筒、PTFE製試料容器 HUTc−50:三愛科学株式会社製)に純水8mL、2−プロパノール(特級、和光純薬工業株式会社製)8mL、および上記で1.得られた七酸化三バナジウム水和物(V・HO)0.3gを加え、210℃で72時間の反応を行った。
反応終了後に得られた沈殿生成物を濾過し、水およびアセトンで洗浄して、ワイヤー状の二酸化バナジウム(VO)を得た。
次に、得られたワイヤー状の二酸化バナジウム(VO)をアルゴン雰囲気下、475℃で1時間保持して、アニール処理を行った。これにより、二酸化バナジウムワイヤーW1を得た。得られた二酸化バナジウムワイヤーW1の数平均長径は50nm、数平均短径は10nm、アスペクト比(数平均長径/数平均短径)は5であった。
<VOワイヤーW2〜W12の合成>
上記1.V・HOの合成における反応温度および反応時間を下記表1のように変更したこと以外は、<VOワイヤーW1の合成>と同様にして、二酸化バナジウムワイヤーW2〜W12を合成した。
<VOワイヤーへの有機コーティング剤処理>
≪VOワイヤーS1の合成≫
シランカップリング剤(信越化学工業株式会社製、KBM−13、メチルトリメトキシシラン)の5質量%水溶液を作製し、上記で得られたVOワイヤーW7をこの水溶液中に入れ、25℃で1時間攪拌混合し、ワイヤーの表面をシランカップリング剤で処理した。その後、生成物を回収し、110℃で1時間、乾燥処理を行った。これにより、シランカップリング剤処理を施された表面を有するVOワイヤーS1を得た。
≪VOワイヤーS2の合成≫
シランカップリング剤として、KBM−903(信越化学工業株式会社製、3−アミノプロピルトリメトキシシラン)を用いたこと以外は、上記≪VOワイヤーS1の合成≫と同様にして、VOワイヤーS2を得た。
≪VOワイヤーS3の合成≫
シランカップリング剤として、KBM−403(信越化学工業株式会社製、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン)を用いたこと以外は、上記≪VOワイヤーS1の合成≫と同様にして、VOワイヤーS3を得た。
≪VOワイヤーS4の合成≫
シランカップリング剤として、KBM−503(信越化学工業株式会社製、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン)を用いたこと以外は、上記≪VOワイヤーS1の合成≫と同様にして、VOワイヤーS4を得た。
<VOワイヤーへの無機コーティング剤処理>
≪VOワイヤーT1の合成≫
エタノール(特級、和光純薬工業株式会社製)20mlと、純水5mlとを混合した溶液に、アンモニア水(濃度28質量%、特級、和光純薬工業株式会社製)を加え、pH値が11.8の溶液を作製した。この溶液に、上記で得られたVOワイヤーW7を1.0gと、オルトケイ酸テトラエチル((CO)Si、特級、和光純薬工業株式会社製)0.3gとを加え、25℃で4時間攪拌混合した。次に、得られた懸濁液から、ろ過、洗浄によって、回収した生成物を110℃で1時間乾燥処理を行った。これにより、二酸化ケイ素によりコーティングが施された表面を有するVOワイヤーT1を得た。
≪VOワイヤーT2の合成≫
上記で得られたVOワイヤーW7を純水10ml中に加えて攪拌し、60℃に加熱し、この温度に保持した。この溶液に30質量%硫酸チタン(IV)溶液 0.30gを一括添加し、1Nの水酸化ナトリウム水溶液を添加してpH値が8の溶液を作製した。そのまま1時間攪拌した後、ろ過、洗浄によって、回収した生成物を110℃で1時間乾燥処理を行った。これにより、二酸化チタンによりコーティングが施された表面を有するVOワイヤーT2を得た。
≪VOワイヤーT3の合成≫
上記で得られたVOワイヤーW7に対し、Al換算で2質量%に相当するアルミン酸ナトリウム水溶液と、1Nの硫酸をpH値が7.5前後に保持されるように、同時に並行して添加して中和し、1時間攪拌混合した。その後、pHを6〜8の範囲に調整し、ろ過、洗浄によって、回収した生成物を120℃で15時間乾燥処理を行った。これにより、酸化アルミニウムによりコーティングが施された表面を有するVOワイヤーT3を得た。
<VOワイヤーへの無機コーティング剤処理および有機コーティング剤処理>
≪VOワイヤーT1S1の合成≫
上記≪VOワイヤーT1の合成≫を行った後に、上記≪VOワイヤーS1の合成≫と同様にしてシランカップリング剤処理を行い、VOワイヤーT1S1を得た。
≪VOワイヤーT1S2の合成≫
上記≪VOワイヤーT1の合成≫を行った後に、上記≪VOワイヤーS2の合成≫と同様にしてシランカップリング剤処理を行い、VOワイヤーT1S2を得た。
<タングステン置換VOワイヤーW13の合成>
1.V・HOの作製
純水16mLに五酸化二バナジウム(V)(V、特級、和光純薬工業株式会社製)0.3gとタングステン酸アンモニウムパラ5水和物((NH1012・5HO、和光純薬工業株式会社製)0.01gと、シュウ酸二水和物((COOH)・2HO、特級、和光純薬工業株式会社製)0.075gとを加えて攪拌し、水溶液を調製した。
次に、この水溶液を、高圧用反応分解容器 静置型HU 50mlセット(耐圧ステンレス製外筒、PTFE製試料容器 HUTc−50:三愛科学株式会社製)に入れて、260℃で30時間、水熱反応させた。
反応終了後に得られた沈殿生成物を濾過し、水およびアセトンで洗浄して、タングステンを少量含有するワイヤー状の七酸化三バナジウム水和物(V・HO)を得た。
2.VOワイヤーの合成
次に、高圧用反応分解容器 静置型HU 50mlセット(耐圧ステンレス製外筒、PTFE製試料容器 HUTc−50:三愛科学株式会社製)に純水8mL、2−プロパノール(特級、和光純薬工業株式会社製)8mL、得られたタングステン含有七酸化三バナジウム水和物(V・HO)0.3gを加え、210℃で72時間の反応を行った。
反応終了後に得られた沈殿生成物を濾過し、水およびアセトンで洗浄して、ワイヤー状のタングステン含有二酸化バナジウム(VO)を得た。
次に、得られたワイヤー状のタングステン含有二酸化バナジウム(VO)をアルゴン気流中、475℃で1時間保持して、アニール処理を行った。これにより、タングステン含有VOワイヤーW13を得た。得られたタングステン含有VOワイヤーW13の数平均長径(Ll)は10000nm、数平均短径(Ls)は50nm、アスペクト比は200であった。また、X線光電子分光装置(株式会社島津製作所製、品番KRATOS Nova)を用いて行った元素分析の結果、バナジウム(V)原子に対するタングステン(W)原子の割合は、1.5原子%程度であった。
<タングステン置換VOワイヤーW14の合成>
タングステン酸アンモニウムパラ5水和物((NH1012・5HO、和光純薬工業株式会社製)の添加量を0.02gに変更したこと以外は、上記<タングステン置換VOワイヤーW13の合成>と同様にして、タングステン置換VOワイヤーW14を得た。
X線光電子分光装置を用いて行った元素分析の結果、バナジウム(V)原子に対するタングステン(W)原子の割合は、3.0原子%であった。
<タングステン置換VOワイヤーW15の合成>
タングステン酸アンモニウムパラ5水和物((NH1012・5HO、和光純薬工業株式会社製)の添加量を0.03gに変更したこと以外は、上記<タングステン置換VOワイヤーW13の合成>と同様にして、タングステン置換VOワイヤーW15を得た。
X線光電子分光装置を用いて行った元素分析の結果、バナジウム(V)原子に対するタングステン(W)原子の割合は、5.0原子%であった。
VOワイヤーS1〜S4、T1〜T3、T1S1〜T1S2、およびW13〜W15の各物性を下記表2に示す。
(実施例1:サーモクロミックフィルム1の作製)
ポリメチルメタクリレート(PMMA)樹脂ペレット(アクリペット(登録商標)VH001、三菱レイヨン株式会社製)に対して、VOワイヤーW1を含有量が10質量%となるように添加し、スクリュー径40mmの単軸押出機を用いて、シリンダー温度240〜280℃で混練した。続いて、200mm幅のTダイから押出し、フィルムの厚みが40μmになるように条件調整しながら、冷却ロールで冷却することによりサーモクロミックフィルム1を作製した。
(実施例2:サーモクロミックフィルム2の作製)
VOワイヤーW1に代えてVOワイヤーW2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、サーモクロミックフィルム2を作製した。
(実施例3:サーモクロミックフィルム3の作製)
VOワイヤーW1に代えてVOワイヤーW10を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、サーモクロミックフィルム3を作製した。
(実施例4:サーモクロミックフィルム4の作製)
VOワイヤーW1に代えてVOワイヤーW11を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、サーモクロミックフィルム4を作製した。
(実施例5:サーモクロミックフィルム5の作製)
VOワイヤーW1に代えてVOワイヤーW3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、サーモクロミックフィルム5を作製した。
(実施例6:サーモクロミックフィルム6の作製)
VOワイヤーW1に代えてVOワイヤーW7を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、サーモクロミックフィルム6を作製した。
(実施例7:サーモクロミックフィルム7の作製)
VOワイヤーW1に代えてVOワイヤーW9を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、サーモクロミックフィルム7を作製した。
(実施例8:サーモクロミックフィルム8の作製)
VOワイヤーW1に代えてVOワイヤーW6を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、サーモクロミックフィルム8を作製した。
(実施例9:サーモクロミックフィルム9の作製)
VOワイヤーW1に代えてVOワイヤーW8を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、サーモクロミックフィルム9を作製した。
(実施例10:サーモクロミックフィルム10の作製)
VOワイヤーW7の添加量を0.8質量%としたこと以外は、実施例6と同様にして、サーモクロミックフィルム10を作製した。
(実施例11:サーモクロミックフィルム11の作製)
VOワイヤーW7の添加量を1質量%としたこと以外は、実施例6と同様にして、サーモクロミックフィルム11を作製した。
(実施例12:サーモクロミックフィルム12の作製)
VOワイヤーW7の添加量を5質量%としたこと以外は、実施例6と同様にして、サーモクロミックフィルム12を作製した。
(実施例13:サーモクロミックフィルム13の作製)
VOワイヤーW7の添加量を30質量%としたこと以外は、実施例6と同様にして、サーモクロミックフィルム13を作製した。
(実施例14:サーモクロミックフィルム14の作製)
VOワイヤーW7の添加量を50質量%としたこと以外は、実施例6と同様にして、サーモクロミックフィルム14を作製した。
(実施例15:サーモクロミックフィルム15の作製)
VOワイヤーW7の添加量を52質量%としたこと以外は、実施例6と同様にして、サーモクロミックフィルム15を作製した。
(実施例16:サーモクロミックフィルム16の作製)
VOワイヤーW1に代えてVOワイヤーS1を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、サーモクロミックフィルム16を作製した。
(実施例17:サーモクロミックフィルム17の作製)
VOワイヤーW1に代えてVOワイヤーS2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、サーモクロミックフィルム17を作製した。
(実施例18:サーモクロミックフィルム18の作製)
VOワイヤーW1に代えてVOワイヤーS3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、サーモクロミックフィルム18を作製した。
(実施例19:サーモクロミックフィルム19の作製)
VOワイヤーW1に代えてVOワイヤーS4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、サーモクロミックフィルム19を作製した。
(実施例20:サーモクロミックフィルム20の作製)
VOワイヤーW1に代えてVOワイヤーT1を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、サーモクロミックフィルム20を作製した。
(実施例21:サーモクロミックフィルム21の作製)
VOワイヤーW1に代えてVOワイヤーT2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、サーモクロミックフィルム21を作製した。
(実施例22:サーモクロミックフィルム22の作製)
VOワイヤーW1に代えてVOワイヤーT3を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、サーモクロミックフィルム22を作製した。
(実施例23:サーモクロミックフィルム23の作製)
VOワイヤーW1に代えてVOワイヤーT1S1を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、サーモクロミックフィルム23を作製した。
(実施例24:サーモクロミックフィルム24の作製)
VOワイヤーW1に代えてVOワイヤーT1S2を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、サーモクロミックフィルム24を作製した。
(実施例25:サーモクロミックフィルム25の作製)
ポリスチレン(PS)樹脂ペレット(HF77、PSジャパン株式会社製)に、VOワイヤーW7を含有量が10質量%となるように添加し、スクリュー径40mmの単軸押出機を用いて、シリンダー温度220〜260℃で混練した。続いて、200mm幅のTダイから押出し、フィルムの厚みが40μmになるように条件調整しながら、冷却ロールで冷却することによりサーモクロミックフィルム25を作製した。
(実施例26:サーモクロミックフィルム26の作製)
ポリスチレン(PS)樹脂ペレット(HF77、PSジャパン株式会社製)の代わりに、ポリスチレン(PS)樹脂ペレット(679、PSジャパン株式会社製)を用いたこと以外は、実施例25と同様にして、サーモクロミックフィルム26を作製した。
(実施例27:サーモクロミックフィルム27の作製)
ポリカーボネート(PC)樹脂ペレット(パンライト(登録商標)L−1250、帝人化成株式会社製)に、VOワイヤーW7を含有量が10質量%となるように添加し、スクリュー径40mmの単軸押出機を用いて、シリンダー温度260〜280℃で混練した。続いて、200mm幅のTダイから押出し、フィルムの厚みが40μmになるように条件調整しながら、冷却ロールで冷却することによりサーモクロミックフィルム27を作製した。
(実施例28:サーモクロミックフィルム28の作製)
シクロオレフィンポリマー(COP)樹脂ペレット(ゼオノア(登録商標)1020R、日本ゼオン株式会社製)に、VOワイヤーW7を含有量が10質量%となるように添加し、スクリュー径40mmの単軸押出機を用いて、シリンダー温度240〜260℃で混練した。続いて、200mm幅のTダイから押出し、フィルムの厚みが40μmになるように条件調整しながら、冷却ロールで冷却することによりサーモクロミックフィルム28を作製した。
(実施例29:サーモクロミックフィルム29の作製)
シクロオレフィンコポリマー(COC)樹脂ペレット(アペル(登録商標)5014DP、三井化学株式会社製)に、VOワイヤーW7を含有量が10質量%となるように添加し、スクリュー径40mmの単軸押出機を用いて、シリンダー温度260〜280℃で混練した。続いて、200mm幅のTダイから押出し、フィルムの厚みが40μmになるように条件調整しながら、冷却ロールで冷却することによりサーモクロミックフィルム29を作製した。
(実施例30:サーモクロミックフィルム30の作製)
ポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂ペレット(バイロペット(登録商標)EMC500、東洋紡株式会社製)に、VOワイヤーW7を含有量が10質量%となるように添加し、スクリュー径40mmの単軸押出機を用いて、シリンダー温度260〜280℃で混練した。続いて、200mm幅のTダイから押出し、フィルムの厚みが40μmになるように条件調整しながら、冷却ロールで冷却することによりサーモクロミックフィルム30を作製した。
(実施例31:サーモクロミックフィルム31の作製)
ポリエチレンナフタレート(PEN)樹脂ペレット(テオネックス(登録商標)TN−8065S、帝人デュポンフィルム株式会社製)に、VOワイヤーW7を含有量が10質量%となるように添加し、スクリュー径40mmの単軸押出機を用いて、シリンダー温度270〜290℃で混練した。続いて、200mm幅のTダイから押出し、フィルムの厚みが40μmになるように条件調整しながら、冷却ロールで冷却することによりサーモクロミックフィルム31を作製した。
(実施例32:サーモクロミックフィルム32の作製)
トリアセチルセルロース(TAC)フィルム(KC4UAW、コニカミノルタ株式会社製)90質量部に、メチレンクロライド 430質量部、メタノール 90質量部、およびVOワイヤーW7を10質量部加え、これを密閉容器に投入し、加圧下で80℃に保温し攪拌しながら完全に溶解して組成物を得た。次にこの組成物を濾過し、冷却して33℃に保ちステンレスバンド上に均一に流延し、剥離が可能になるまで溶媒を蒸発させたところで、ステンレスバンド上から剥離し、多数のロールで搬送させながら乾燥を終了させ、厚み40μmのサーモクロミックフィルム32を作製した。
(実施例33:サーモクロミックフィルム33の作製)
VOワイヤーW1に代えてVOワイヤーW13を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、サーモクロミックフィルム33を作製した。
(実施例34:サーモクロミックフィルム34の作製)
VOワイヤーW1に代えてVOワイヤーW14を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、サーモクロミックフィルム34を作製した。
(実施例35:サーモクロミックフィルム35の作製)
VOワイヤーW1に代えてVOワイヤーW15を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、サーモクロミックフィルム35を作製した。
(比較例1:サーモクロミックフィルム36の作製)
VO2ワイヤーW1に代えてVOワイヤーW4を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、サーモクロミックフィルム36を作製した。
(比較例2:サーモクロミックフィルム37の作製)
VOワイヤーW1に代えてVOワイヤーW12を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、サーモクロミックフィルム37を作製した。
(比較例3:サーモクロミックフィルム38の作製)
VOワイヤーW1に代えてVOワイヤーW5を用いたこと以外は、実施例1と同様にして、サーモクロミックフィルム38を作製した。
(比較例4:サーモクロミックフィルム39の作製)
ポリビニルブチラール(PVB)樹脂ペレット(エスレック(登録商標)BL−2、積水化学工業株式会社製)に、VOワイヤーW7を含有量が10質量%となるように添加し、スクリュー径40mmの単軸押出機を用いて、シリンダー温度120〜140℃で混練した。続いて、200mm幅のTダイから押出し、フィルムの厚みが40μmになるように条件調整しながら、冷却ロールで冷却することによりサーモクロミックフィルム39を作製した。
(比較例5:サーモクロミックフィルム40の作製)
エチレン−酢酸ビニル共重合体樹脂ペレット(ノバテックEVA LV1511、日本ポリエチレン株式会社製)に、VOワイヤーW7を含有量が10質量%となるように添加し、スクリュー径40mmの単軸押出機を用いて、シリンダー温度120〜140℃で混練した。続いて、200mm幅のTダイから押出し、フィルムの厚みが40μmになるように条件調整しながら、冷却ロールで冷却することによりサーモクロミックフィルム40を作製した。
(評価)
<ガラス転移温度(Tg)および融点>
各樹脂のガラス転移温度および融点は、示差走査熱量測定(DSC)により求めた。ペレットまたはフィルムから、約10mgをアルミニウムパンに秤量し、示差走査熱量計(株式会社TAインスツルメント「DSC Q100」)を用い、窒素雰囲気下、温度範囲25〜300℃、昇温温度10℃/分の条件で測定を行った。得られたDSCチャートからガラス転移温度(Tg)および融点を算出した(単位:℃)。
<樹脂の線膨張係数>
実施例および比較例で用いた各樹脂を用い、VOワイヤーを添加せずに上記実施例および比較例と同様にして厚み40μmのフィルムを作製し、線膨張係数を測定した。また、TACフィルムについては、実施例32で用いたKC4UAW(コニカミノルタ株式会社製)をそのまま測定に用いた。線膨張係数の測定は、セイコーインスツル株式会社製、TMA120Cを用いて行った。
サンプルは、フィルムを幅3mm、長さを10mmに切り出したものを使用し、荷重3g、昇温速度10℃/minで、10〜100℃まで昇温させて測定を行った。得られたチャートから25℃〜80℃における樹脂の線膨張係数を求めた。これをTE1とする。
<サーモクロミックの線膨張係数および線膨張抑制効果>
実施例1〜32および比較例1〜5で作製したサーモクロミックフィルムについて、上記と同様にして、線膨張係数を求めた。これをTE2とする。
さらに、VOワイヤーを添加したことによる線膨張抑制効果TEcを、以下の式で算出し、下記基準で評価した。△〜◎であれば実用可能である。
線膨張抑制効果TEc(%)=[(TE1−TE2)/TE1]×100
◎:30%以上
○:15%以上30%未満
△:5%以上15%未満
×:5%未満。
<全光線透過率>
作製したサーモクロミックフィルムの全光線透過率を、JIS K 7136:2000に基づいて測定した。測定は、分光光度計V−670(日本分光株式会社製)を用いて行い、測定環境は25℃/50%RHとした。結果を以下の基準で判定した。△〜◎であれば、実用可能である。
◎:92%以上
○:87%以上92%未満
△:80%以上87%未満
×:80%未満。
[サーモクロミック性]
作製したサーモクロミックフィルムのサーモクロミック性の評価として、25℃/50%RHおよび85℃/50%RHのそれぞれにおける波長1300nmでの光透過率(25℃/50%RHでの測定値:T1(%)、85℃/50%RHでの測定値:T2(%))を測定し、算出される透過率差(ΔT=T1−T2(%))を下記評価基準に従って評価した。測定は、分光光度計V−670(日本分光株式会社製)に温調ユニット(日本分光株式会社製)を取り付けて行った。△〜◎であれば実用可能である。
◎:20%以上
○:10%以上20%未満
△:5%以上10%未満
×:5%未満。
[ヒートサイクル試験]
作製したサーモクロミックフィルムを2枚の透明なガラス板の間に挟み、このガラス板をヒートサイクル試験機(エスペック株式会社製、品番TSA−72ES)に投入し、ヒートサイクル試験を実施した。ヒートサイクル試験では、各サンプルを−40℃にて30分保存した後、80℃にて30分保存する工程を1サイクルとし、これを1000サイクル行った。試験終了後にサーモクロミックフィルムをガラス板から取り外し、全光線透過率およびサーモクロミック性を評価した。
<全光線透過率維持率Tr>
ヒートサイクル試験前の全光線透過率をT1、ヒートサイクル試験後の全光線透過率をT2としたとき、下記式で算出される全光線透過率維持率Trを以下の基準で判定した。△〜◎であれば実用可能である。
全光線透過率維持率Tr(%)=(T2/T1)×100
◎:Tr≧95%
〇:87%≦Tr<95%
△:75%≦Tr<87%
×:Tr<75%。
<サーモクロミック性維持率Cr>
ヒートサイクル試験前のフィルムのサーモクロミック性をC1、ヒートサイクル試験後のフィルムのサーモクロミック性をC2としたとき、下記式で算出されるサーモクロミック性維持率評価Crを以下の基準で判定した。△〜◎であれば実用可能である。
サーモクロミック性維持率Cr(%)=(C2/C1)×100
◎:Cr≧95%
〇:87%≦Cr<95%
△:75%≦Cr<87%
×:Cr<75%。
各実施例および比較例の構成および評価結果を下記表3に示す。
上記表3の結果から明らかなように、実施例のサーモクロミックフィルムは、ヒートサイクル後の全光線透過率の維持率およびサーモクロミック性の維持率に優れていることが分かった。一方、比較例1、および比較例3〜5のサーモクロミックフィルムは、ヒートサイクル後の全光線透過率の維持率が低いことが分かった。また、比較例2のサーモクロミックフィルムは、初期の全光線透過率が非常に低く、実用的ではないことが分かった。
なお、本出願は、2015年3月24日に出願された日本特許出願第2015−060877号に基づいており、その開示内容は、参照により全体として引用されている。

Claims (8)

  1. 平均短径が10〜100nmであり、かつ平均長径/平均短径で定義されるアスペクト比が5〜500である二酸化バナジウムワイヤーと、
    樹脂と、
    を含み、
    前記樹脂は線膨張係数が12×10−5/K以下である結晶性樹脂であるか、または線膨張係数が12×10−5/K以下であり、かつガラス転移温度が85℃以上である非晶性樹脂である、サーモクロミックフィルム。
  2. 前記二酸化バナジウムワイヤーの含有量が、フィルムの全質量に対して1〜50質量%である、請求項1に記載のサーモクロミックフィルム。
  3. 前記結晶性樹脂は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、およびトリアセチルセルロースからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載のサーモクロミックフィルム
  4. 前記非晶性樹脂は、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、およびシクロオレフィンコポリマーからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項1または2に記載のサーモクロミックフィルム。
  5. 前記二酸化バナジウムワイヤーの表面の少なくとも一部が、無機コーティング剤および有機コーティング剤の少なくとも一方によりコーティングされている、請求項1〜4のいずれか1項に記載のサーモクロミックフィルム。
  6. 前記無機コーティング剤は、二酸化ケイ素、二酸化チタン、および酸化アルミニウムからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項5に記載のサーモクロミックフィルム。
  7. 前記有機コーティング剤は、シランカップリング剤である、請求項5または6に記載のサーモクロミックフィルム。
  8. 前記二酸化バナジウムワイヤー中のバナジウム原子の一部が、タングステン、モリブデン、ニオブ、タンタル、スズ、レニウム、イリジウム、オスミウム、ルテニウム、ゲルマニウム、クロム、鉄、ガリウム、アルミニウム、フッ素およびリンからなる群より選択される少なくとも1種の原子で置換されている、請求項1〜7のいずれか1項に記載のサーモクロミックフィルム。
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