JPWO2016152670A1 - 触感、及びせん断変形性に優れたフィルム - Google Patents
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Abstract
Description
本発明のフィルムは、本発明の効果を損なわない限りどのような樹脂を含んでもよいが、布のような静音性、せん断変形性、曲げ柔らかさ、及び透湿性などを付与する観点から、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリウレタン、及びポリエステル系エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも一つの熱可塑性樹脂を含むことが好ましい。ここでエチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリウレタン、及びポリエステル系エラストマーを総称して、熱可塑性樹脂Aと表現する。なお、エラストマーとは、25℃でゴム弾性を有する高分子量体をいう。
本発明のフィルムは、布のようなせん断変形性をフィルムに付与する観点から、KES法に従い測定されるせん断かたさが0.1gf/(cm・deg)以上4.0gf/(cm・deg)以下であることが重要である。(KES法参照文献 川端季雄著、「風合い評価の標準化と解析」、日本繊維機械学会風合い計量と規格化研究委員会、1980年7月、第2版)
せん断変形は、経糸と緯糸とが交差することにより構成されている布がもっとも容易に受ける変形様式である。2次元の布が3次元の曲面を容易にカバーすることができるのはこのせん断変形性に大きく依存し、せん断変形が大きい、つまり、せん断かたさが小さい方が人体のような曲面によりフィットし易く、着用感がよいものとなる。つまり、せん断かたさが0.1gf/(cm・deg)以上4.0gf/(cm・deg)以下であるフィルムは、例えば衛生材等の人体に着用する可能性のある用途に使用される際に好ましいものとなる。また、KES法に従い測定されるせん断かたさが0.1gf/(cm・deg)未満であると、製造工程(特にロール間走行時や巻き取り時)でフィルムのタルミやシワが生じる場合がある。一方、KES法に従い測定されるせん断かたさが4.0gf/(cm・deg)より大きいと、人体のような曲面にフィットしにくくなり、着用感の劣る場合がある。
式G1:G(+)=(HG2.5−HG0.5)/(2.5°−0.5°)
式G2:G(−)=(HG−2.5−HG−0.5)/(−2.5°−(−0.5°))。
本発明のフィルムは、フィルムの生産性とフィルムに心地良い触感を付与することを両立させる観点から、少なくとも一方の面において、KES法に従い測定される摩擦係数が0.15以上0.80以下であることが重要である。いずれの面においても、KES法に従い測定される摩擦係数が0.15未満であると、フィルムが心地よい触感を有さないことがあり、また、製造工程においてフィルムが巻きズレや蛇行を起こすこともある。一方、いずれの面においても、KES法に従い測定される摩擦係数が0.80を超えると、フィルムのすべり性が不足し、製造工程でフィルムをロール状に巻き取る際にエア抜けが悪くなるため、エアかみ込みによる巻き形状不良を起こす場合がある。
本発明のフィルムは、フィルムに心地良い触感を付与する観点から、少なくとも一方の面において、KES法に従い測定される表面粗さの変動(SMD)が、1.2μm以上16.0μm以下であることが好ましい。
本発明のフィルムは、フィルムに心地良い触感を付与する観点から、少なくとも一方の面において、KES法に従い測定される摩擦係数の変動(MMD)が、0.003以上0.07以下であることが好ましい。
フィルムの触感の心地良さ、フィルムの生産性や製膜安定性を向上させる観点からは、少なくとも一方の面において、表面粗さの変動(SMD)が0.8μm以上16.0μm以下であり、かつ摩擦係数の変動(MMD)が0.003以上0.07以下であることが好ましく、表面粗さの変動(SMD)が1.3μm以上10.0μm以下であり、かつ摩擦係数の変動(MMD)が0.003以上0.06以下であることがより好ましく、表面粗さの変動(SMD)が1.4μm以上9.0μm以下であり、かつ摩擦係数の変動(MMD)が0.003以上0.05以下であることがより好ましく、表面粗さの変動(SMD)が1.6μm以上7.0μm以下であり、かつ摩擦係数の変動(MMD)が0.003以上0.04以下であることがより好ましく、表面粗さの変動(SMD)が1.8μm以上6.0μm以下であり、かつ摩擦係数の変動(MMD)が0.003以上0.03以下であることがより好ましく、表面粗さの変動(SMD)が2.0μm以上5.5μm以下であり、かつ摩擦係数の変動(MMD)が0.003以上0.025以下であることがより好ましく、表面粗さの変動(SMD)が2.2μm以上5.0μm以下であり、かつ摩擦係数の変動(MMD)が0.003以上0.02以下であることがさらに好ましく、表面粗さの変動(SMD)が2.4μm以上4.5μm以下であり、かつ摩擦係数の変動(MMD)が0.003以上0.015以下であることが特に好ましく、表面粗さの変動(SMD)が2.6μm以上4.0μm以下であり、かつ摩擦係数の変動(MMD)が0.003以上0.013以下であることが最も好ましい。
本発明のフィルムは、フィルムに心地良い触感を付与する観点から、KES法に従い測定される接触冷温感(Qmax)が、0.02W/cm2以上0.45W/cm2以下であることが好ましい。
本発明のフィルムは、取り扱い性、後加工性、及び柔らかさの観点から、KES法に従い測定される曲げかたさが、1.0×10−3gf・cm2/cm以上40×10−3gf・cm2/cm以下であることが好ましく、1.0×10−3gf・cm2/cm以上30×10−3gf・cm2/cm以下であることがより好ましく、1.0×10−3gf・cm2/cm以上20×10−3gf・cm2/cm以下であることがより好ましく、1.0×10−3gf・cm2/cm以上10×10−3gf・cm2/cm以下がさらに好ましく、1.0×10−3gf・cm2/cm以上5.0×10−3gf・cm2/cm以下が特に好ましく、1.0×10−3gf・cm2/cm以上3.0×10−3gf・cm2/cm以下が最も好ましい。KES法に従い測定される曲げかたさが1.0×10−3gf・cm2/cm未満であれば、フィルムとしての剛性が不足し取り扱い性が悪くなることや、印刷や貼り合わせなどの後加工を施す際の後加工適性が低下することがある。逆にKES法に従い測定される曲げかたさが40×10−3gf・cm2/cmを超えると、フィルムの柔らかさが損なわれることがある。
本発明のフィルムは、布のようなクッション性を付与する観点から、KES法に従い測定される圧縮仕事量が0.01gf・cm/cm2以上0.40gf・cm/cm2以下であることが好ましく、0.02gf・cm/cm2以上0.32gf・cm/cm2以下であることがより好ましく、0.04gf・cm/cm2以上0.29gf・cm/cm2以下であることがより好ましく、0.06gf・cm/cm2以上0.26gf・cm/cm2以下であることがより好ましく、0.07gf・cm/cm2以上0.23gf・cm/cm2以下であることがさらに好ましく、0.09gf・cm/cm2以上0.2gf・cm/cm2以下であることが特に好ましく、0.10gf・cm/cm2以上0.17gf・cm/cm2以下であることが最も好ましい。
本発明のフィルムは、手で触れたり、折り曲げたりする際に生じる耳障りな音を軽減する観点から、騒音レベルが65dB以下であることが好ましく、63dB以下であることがより好ましく、60dB以下であることがより好ましく、57dB以下であることがより好ましく、54dB以下であることがより好ましく、51dB以下であることがより好ましく、48dB以下であることがさらに好ましく、45dB以下であることが特に好ましく、43dB以下であることが最も好ましい。
本発明のフィルムを、衛生材などの透湿性が要求される用途に使用する場合、その透湿度は、500g/(m2・day)以上であることが好ましく、700g/(m2・day)以上であることがより好ましく、1,000g/(m2・day)以上であることがより好ましく、1,500g/(m2・day)以上であることがより好ましく、2,500g/(m2・day)以上であることがより好ましく、3,500g/(m2・day)以上であることがさらに好ましく、4,200g/(m2・day)以上であることが特に好ましく、6,000g/(m2・day)以上であることが最も好ましい。また、フィルムの透湿度は大きいほど好ましく上限は特にないが、衛生材に適用するとの観点からすると、上限は8,000g/(m2・day)程度あれば十分と考えられる。
本発明のフィルムは、静音性、せん断かたさ、曲げかたさ、圧縮仕事量、摩擦係数、及び透湿度を前記の好ましい範囲とする観点から、発泡剤を含む組成物から得られることが好ましい。つまり本発明のフィルムは、フィルムを製造するための組成物中の発泡剤を発泡させて、フィルム内に空孔を形成することにより得ることが好ましい。
本発明のフィルムがA層を有する場合、A層は空孔を有することが好ましい。そして、フィルムの静音性、せん断かたさ、曲げかたさ、圧縮仕事量、摩擦係数、及び透湿度を前記の好ましい範囲とする観点から、A層の空孔率が20%以上90%以下であることが好ましく、20%以上60%以下であることがより好ましく、25%以上70%以下であることがより好ましく、30%以上70%以下であることがより好ましく、35%以上70%以下であることがより好ましく、40%以上70%以下であることがさらに好ましく、45%以上70%以下であることが特に好ましく、50%以上70%以下であることが最も好ましい。
本発明のフィルムが、前記A層とB層を有する積層構成の場合、A層が、アスペクト比1以上30以下の充填剤(充填剤A)を含み、フィルムの生産性や製膜安定性の観点から、A層が最表層であることが好ましい。A層に充填剤Aを加えることにより、曲げかたさ、摩擦係数、せん断かたさを好ましい範囲とすることが容易となる。曲げかたさ、摩擦係数、せん断かたさを好ましい範囲とする観点から、充填剤Aのアスペクト比は1以上20以下がより好ましく、1以上10以下であることが特に好ましい。
A層中の充填剤Aの含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はない。曲げかたさ、摩擦係数、及びせん断かたさを好ましい範囲とする観点から、A層の樹脂全体を100質量部とした際に、充填剤Aの含有量(MA)が20質量部以上400質量部以下であることが好ましく、50質量部以上200質量部以下であることがより好ましく、65質量部以上150質量部以下であることがさらに好ましく、80質量部以上120質量部以下であることが特に好ましい。
本発明のフィルムが、前記A層とB層を有する積層構成の場合、B層が、アスペクト比10以上100以下の充填剤であって、充填剤Aよりもアスペクト比の大きい充填剤(充填剤B)を含むことが好ましい。B層に充填剤Bを加えることにより、本発明のフィルムの曲げかたさ、摩擦係数、せん断かたさ、圧縮仕事量を容易に好ましい範囲とすることが可能である。曲げかたさ、摩擦係数、せん断かたさ、圧縮仕事量を好ましい範囲とする観点から、充填剤Bのアスペクト比は20以上80以下がより好ましく、30以上70以下であることが特に好ましい。
B層中の充填剤の含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、摩擦係数と製膜安定性を両立させる観点から、A層中の充填剤Aの含有量をMA、B層中の充填剤Bの含有量をMBとした際に、MB/MAの値が0.01以上0.60以下であることが好ましく、0.1以上0.45以下であることがより好ましく、0.15以上0.40以下であることがさらに好ましく、0.17以上0.35以下であることが特に好ましい。なお、ここで充填剤Bの含有量とは、B層の樹脂全体を100質量部とした場合の含有量(質量部)をいう。
本発明のフィルムがA層とB層を有する積層構成である場合、静音性、曲げ柔らかさ、布のようなクッション性、及び布のようなせん断変形性と、製膜安定性を両立させる観点から、A層の空孔率をNA、B層の空孔率をNBとしたときに、NA−NB≧20%であることが好ましく、NA−NB≧25%であることがより好ましく、NA−NB≧30%であることがさらに好ましく、NA−NB≧35%であることが特に好ましく、NA−NB≧40%であることが最も好ましい。A層とB層の空孔率がNA−NB≧20%の関係を満たすことにより、静音性、曲げ柔らかさ、布のようなクッション性、及び布のようなせん断変形性を有しつつ、製膜安定性にも優れたフィルムを得ることができる。
本発明のフィルムの厚みは、本発明の効果を損なわない限り特に制限はないが、取り扱い性と生産性の観点から、3μm以上200μm以下であることが好ましい。ここでいうフィルムの厚みとは、フィルムが単層構成であるか積層であるかにかかわらず、フィルム全体の厚みをいい、走査型電子顕微鏡でフィルム断面の写真を観察することにより測定することができる。フィルムの厚みを3μm以上とすることで、フィルムのコシが強くなり、取り扱い性に優れ、また、ロール巻姿や巻出し性が良好となる。フィルムの厚みを200μm以下とすることで、特にインフレーション製膜法においては、自重によりバブルが安定化する。
本発明のフィルムは、本発明の効果を損なわない範囲で前述した成分以外の成分を含有してもよい。例えば、酸化防止剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、抗菌剤、消臭剤、耐候剤、抗酸化剤、イオン交換剤、粘着性付与剤、着色顔料、染料などを含めてもよい。
次に、本発明のフィルムを製造する方法について具体的に説明するが、本発明のフィルムの製造方法はこれに限定されるものではない。
上記式中のNはラビングの回数であり、Lはフィルム表面に触れているラビング布の長さ(mm)であり、Rはラビング布の厚みを含めたラビングローラーの半径(mm)であり、nはラビングローラーの回転数(rpm)であり、Vはフィルムの移動速度(mm/s)である。式M中の±の符号は、ラビングローラーをフィルムの移動方向に逆らう方向に回転させる場合には+とし、同じ方向に回転させる場合には−とする。ラビング布としては、番手♯30〜♯2,000の布やすりを用いることが好ましい。
本発明のフィルムは、フィルムとして用いるために必要な機械特性を備え、触感、及びせん断変形性に優れるため、触感やせん断変形性を必要とする衛生材のような用途に好適に用いることができる。さらに、必要に応じて本発明のフィルムを不織布との積層体とすることも可能である。
実施例中に示す測定や評価は次に示すような条件で行った。
フィルムの製品ロールの幅方向のセンター部からサンプルを切り出した。ウルトラミクロトームを用い、サンプル片の機械方向−厚み方向断面を観察面とするように−100℃で超薄切片を採取した。走査型電子顕微鏡((株)日立ハイテクノロジーズ社製 S−3400N)を用いて倍率500倍〜1,500倍でフィルム断面の写真を撮影し、顕微鏡の測長機能を用いてフィルムの厚みおよび積層フィルムの各層の厚みを測定した。測定は、観察箇所を変えて10回行い、得られた値の平均値をフィルムの厚み(μm)および積層フィルムの各層の厚み(μm)とし、これらの値より積層フィルムの各層の厚み比を算出した。なお、フィルムの厚みは、小数第1位を四捨五入して得られた値とした。
フィルムの厚み測定と同様にサンプルを切り出し、サンプル片の機械方向−厚み方向断面について、走査型電子顕微鏡を用いて倍率1,000倍で観察、断面写真を得た。
25℃、90%RHに設定した恒温恒湿装置にて、JIS Z0208(1976)に規定された方法に従って測定した。測定は3回行い、得られた値の平均値の小数第1位を四捨五入した値をフィルムの透湿度(g/(m2・day))とした。なお、フィルムの透湿度はフィルムの製品ロールの巻外面から測定した。
フィルムを20cm(機械方向)×20cm(幅方向)の大きさに切取り、試料とし、試験台に取り付けた。次いで、カトーテック社製のせん断試験機KES−FB1−Aを用いて、室温23℃、相対湿度65%、強制荷重10gf、せん断ずり速度0.417mm/secの条件で、試料に−8°〜8°のせん断変形を与え、せん断変形が−2.5°、−0.5°、0.5°、及び2.5°である点におけるせん断応力を測定した(以下、各点におけるせん断応力をそれぞれHG−2.5、HG−0.5、HG0.5、HG2.5ということがある)。HG0.5及びHG2.5より下記式G1を用いて正方向のせん断かたさ(G(+))を、HG−2.5及びHG−0.5より下記式G2を用いて負方向のせん断かたさ(G(−))をそれぞれ算出した。せん断応力の測定およびG(+)、G(−)の算出は、機械方向、幅方向ともに3回(合計6回)行い、そのすべてのG(+)、G(−)の値の平均値の小数第2位を四捨五入した値をそのフィルムのせん断かたさ(gf/(cm・deg))とした。
式G2:G(−)=(HG−2.5−HG−0.5)/(−2.5°−(−0.5°))。
カトーテック社製のせん断試験機KES−FB2−SHを用いて、フィルムを2cm(機械方向)×2cm(幅方向)の大きさに切取り、試料とし、試験台に取り付けて、曲率−2.5cm−1〜+2.5cm−1の範囲で、0.5cm−1/secの変形速度で、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気の条件下にて、フィルムの曲げかたさを測定した。機械方向、幅方向ともに測定をそれぞれ3回(合計6回)行い、そのすべてのデータの平均値の小数第5位を四捨五入した値をそのフィルムの曲げかたさ(gf・cm2/cm)とした。
フィルムを20cm(機械方向)×20cm(幅方向)の大きさに切取り、試料とし、試験台に取り付けた。次いで、カトーテック社製の自動化圧縮試験装置KES−FB3−Aを用いて、取り付けた試料を面積2cm2の円形平面を持つ鋼板間で圧縮速度20μm/sec、圧縮最大荷重10gf/cm2、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気の条件下で圧縮し、フィルムの圧縮仕事量(gf・cm/cm2)を測定した。フィルムの製品ロールの巻内面、巻外面の両面ともに測定をそれぞれ3回(合計6回)行い、そのすべてのデータの平均値の小数第4位を四捨五入した値をそのフィルムの圧縮仕事量とした。
フィルムを10cm(機械方向)×10cm(幅方向)の大きさに切取り試料とし、試験台に取り付けた。次いで、カトーテック社製の表面特性試験機KES−SE−SR−Uを用いて、荷重25gf、1mm/secの速度で滑り子をサンプルの表面で移動させ、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気の条件下にてフィルムの製品ロールの巻外面の摩擦係数を測定した。機械方向、幅方向ともに測定をそれぞれ3回(合計6回)行い、そのすべてのデータの平均値の小数第3位を四捨五入した値をそのフィルムの摩擦係数とした。なお、滑り子としては、標準摩擦子(指紋タイプ)を使用した。
フィルムを12cm(機械方向)×12cm(幅方向)の大きさに切取り、試料とし、製品ロールの巻外面が測定面となるように試験台に取り付けた。次いで、カトーテック社製の表面特性試験機KES−SE−SR−Uを用いて、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気下にて、荷重5gf、速度1mm/secとして、測定面上で滑り子をフィルム機械方向と平行に移動させ、フィルム機械方向の表面粗さの変動を測定した。その後、同様に滑り子をフィルム幅方向と平行に移動させ、フィルム幅方向の表面粗さの変動を測定した。フィルム機械方向及び幅方向の表面粗さの変動をそれぞれ3回測定し、そのすべての値の絶対値を平均した値を、そのフィルムの表面粗さの変動(SMD)(μm)とした。なお、滑り子としては、長さ5mm、直径0.5mmのピアノ線を使用した。
フィルムを12cm(機械方向)×12cm(幅方向)の大きさに切取り、試料とし、製品ロールの巻外面が測定面となるように試験台に取り付けた。次いで、カトーテック社製の表面特性試験機KES−SE−SR−Uを用いて、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気下にて、荷重5gf、速度1mm/secとして、測定面上で滑り子をフィルム機械方向と平行に移動させ、フィルム機械方向の摩擦係数の変動を測定した。その後、同様に滑り子をフィルム幅方向と平行に移動させ、フィルム幅方向の摩擦係数の変動を測定した。フィルム機械方向及び幅方向の摩擦係数の変動をそれぞれ3回測定し、そのすべての値の絶対値を平均した値を、そのフィルムの摩擦係数の変動(MMD)とした。なお、滑り子としては、長さ5mm、直径0.5mmのピアノ線20本を隙間なく平行に並べたものを使用した。
カトーテック社製サーモラボKES−F7IIを用いて、室温23℃、相対湿度65%の雰囲気の条件下にて、フィルムの接触冷温感(Qmax)を測定した。カトーテック社製サーモラボKES−F7IIは、フィルムを設置するための試料台と、検出器とを備えており、検出器の一面には銅薄板が貼られており、銅薄板の裏面には温度センサーが取り付けられている。試料台及び検出器にはヒーターが取り付けられており、それぞれ独立して制御装置によって温度を設定することが可能となっている。試料台にフィルムの巻外面が測定面となるように設置し、制御装置によって試料台の温度を20℃に設定し、検出器の銅薄板の温度を30℃に設定した。次いで、フィルムを設置した試料台と検出器を荷重6gf/cm2、接触面積50mm×50mmの条件で接触させると同時に、温度センサーからのセンサー出力を記録した。測定は10回行い、得られた値の平均値をフィルムの接触冷温感(Qmax)とした。
任意に選定した30人を対象に触手試験を実施し、肌着に用いる布のようなせん断変形性(以下、単にせん断変形性ということがある)を有していると回答した人数により、フィルムのせん断変形性を以下のように評価した。せん断変形性は10が最も優れている。
9:せん断変形性を有していると回答した人が24人以上25人以下
8:せん断変形性を有していると回答した人が22人以上23人以下
7:せん断変形性を有していると回答した人が20人以上21人以下
6:せん断変形性を有していると回答した人が18人以上19人以下
5:せん断変形性を有していると回答した人が16人以上17人以下
4:せん断変形性を有していると回答した人が14人以上15人以下
3:せん断変形性を有していると回答した人が12人以上13人以下
2:せん断変形性を有していると回答した人が10人以上11人以下
1:せん断変形性を有していると回答した人が9人以下
(12)フィルムのクッション性評価
任意に選定した30人を対象に触手試験を実施し、肌着に用いる布のようなクッション性(以下、単にクッション性ということがある)を有していると回答した人数により、フィルムのクッション性を以下のように評価した。クッション性は10が最も優れている。
9:クッション性を有していると回答した人が24人以上25人以下
8:クッション性を有していると回答した人が22人以上23人以下
7:クッション性を有していると回答した人が20人以上21人以下
6:クッション性を有していると回答した人が18人以上19人以下
5:クッション性を有していると回答した人が16人以上17人以下
4:クッション性を有していると回答した人が14人以上15人以下
3:クッション性を有していると回答した人が12人以上13人以下
2:クッション性を有していると回答した人が10人以上11人以下
1:クッション性を有していると回答した人が9人以下
(13)製膜安定性
インフレーション法によりブロー比2.0、フィルム厚み20μmの条件で製膜を行い、3時間のうちに起こった製膜破れの回数をカウントし、回数に応じて、下記の4段階で評価した。製膜安定性はSが最も優れている。なお、積層フィルム(実施例5〜実施例26、比較例3)は、表に記載の積層厚み比となるように製膜した。
A:製膜破れの回数 1回
B:製膜破れの回数 2回
C:製膜破れの回数 3回以上。
フィルムの騒音レベルの測定、評価方法について、フィルムの騒音レベルを評価するためのセットの上面図(図2)、側面図(図3)を参照しながら説明する。
・Calibration mode LIN
・Transfer value(Ach 1 EU = 4.31×10−2、Bch 1 EU = 1.11×10−3)
・Reference value(Ach 0dB EU = 2.0×10−5)。
・分析モード→FFT&OCT
・トリガ設定→フリー
・時間窓関数→レクタンギュラ
・平均方法→周波数〔自動〕
・測定範囲→4サイクル5.76秒(1サイクル約1.44秒計算)
・A特性
・パワースペクトル(平均)。
分析周波数は人間の聴覚が特に敏感に感じる周波数帯である3,000Hz〜6,000Hzとし、12.5Hz刻みで分析点数は241ポイントとした。各周波数での空運転の騒音レベル(dB)を合計241ポイント測定した。
空運転と同様にして分析周波数は3,000Hz〜6,000Hzとし、12.5Hz刻みで分析点数は241ポイントとした。各周波数でのサンプルの騒音レベルを合計241ポイント測定し、各周波数でのサンプルの騒音レベル(dB)から空運転の騒音レベルを対数計算にて差し引いて、当該サンプルの各周波数における合計241ポイントのデータを算出した。得られた合計241ポイントのデータを対数計算にて合算したものを、当該サンプルの騒音レベルとした。
(例)80dBと70dBの和は次のように計算した。
放射温度計(シロ産業社製、品番:MB8R−4110C)を用いて、フィルムから50cm離れた位置より測定した。
(A1)
ポリウレタン(商品名:OP85A10 、BASFジャパン製)。使用前に回転式真空乾燥機にて90℃で5時間乾燥した。
エチレン−メチルメタクリレート共重合体(商品名:“アクリフト”(登録商標) WH303、住友化学工業(株)製)
(A3)
ポリエステル系エラストマー(商品名:“ハイトレル”(登録商標) G3548LN 、東レデュポン製)使用前に回転式真空乾燥機にて90℃で5時間乾燥した。
(B1)
ポリエチレングリコール(商品名:PEG‐20000、三洋化成工業(株)製)。
エチレン樹脂(商品名:NUC8506、日本ユニカー(株)製)。
プロピレン樹脂(商品名:BC06C、日本ポリプロ(株)製)。
(C1)
炭酸水素ナトリウム(商品名:“セルボン”(登録商標)FE−507、永和化成工業(株)製)。
(D1)
炭酸カルシウム(商品名:カルテックスR、アスペクト比2、丸尾カルシウム(株)製)。
ロックウール(商品名:RW−150、アスペクト比40、(株)ティーディーアイ製)。
綿繊維(商品名:コットンパウダー ♯80、アスペクト比35、サンヨー化成(株)製)。
(実施例1)
A1、C1を表1に記載の含有量でシリンダー温度175℃のスクリュー径44mmの真空ベント付二軸押出機に供給して溶融混練し、均質化した後にペレット化して組成物を得た。この組成物のペレットを、回転式ドラム型真空乾燥機を用いて、温度80℃で5時間真空乾燥した。真空乾燥した組成物のペレットをインフレーション法により、シリンダー温度190℃で、スクリュー径60mmの単軸押出機に供給し、直径250mm、リップクリアランス1.0mm、温度を175℃に設定した環状ダイスにより、ブロー比2.0にてバブル状に上向きに押出し、冷却リングにより空冷し、ダイス上方のニップロールで折りたたみながら、引き取りしてロール状に巻き取った。引き取り速度の調整により、厚さ20μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表1に示した。
表1に記載の通りに、発泡剤の含有量を変更した以外は実施例1と同様にしてインフレーション法により、厚さ20μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表1に示した。
樹脂の種類及び含有量、発泡剤の含有量を表3に記載の通りに変更し、インフレーション法にてフィルムを作製する際のシリンダー温度を220℃、環状ダイスの温度を200℃に変更した以外は実施例1と同様にしてインフレーション法により、厚さ20μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表3に示した。
樹脂の種類及び含有量、発泡剤の含有量を表3に記載の通りに変更し、インフレーション法でフィルムを作製する際のシリンダー温度を240℃、環状ダイスの温度を210℃に変更した以外は実施例1と同様にしてインフレーション法により、厚さ20μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表3に示した。
樹脂の種類及び含有量、発泡剤の含有量、充填剤の含有量を表1に記載の通りに変更し、インフレーション法にてフィルムを作製する際のシリンダー温度を195℃、環状ダイスの温度を180℃に変更した以外は実施例1と同様にして、インフレーション法により、厚さ80μmのフィルムを得た。得られたフィルムをロール式延伸機にて、フィルム温度85℃で機械方向に4倍に延伸した。続いて定長下、加熱ロール上で、フィルム温度95℃で1秒間熱処理後、冷却ロール上で冷却し、厚さ20μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表1に示した。なお、ここでいうフィルム温度とは、放射温度計を用いて、フィルムから50cm離れた位置より測定したフィルム温度をいう。
樹脂の種類及び含有量、発泡剤の含有量を、表1に記載の割合とし、実施例1と同様にして、A層およびB層に用いる組成物のペレットを得た。
樹脂の種類及び含有量、発泡剤の含有量を、表3に記載の割合とし、実施例1と同様にして、A層およびB層に用いる組成物のペレットを得た。
樹脂の種類及び含有量を表3に記載の通りに変更し、実施例1と同様にしてインフレーション法により、厚さ20μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表3に示した。
樹脂の種類及び含有量、発泡剤の含有量、充填剤の含有量を表2又は3に記載の通りに変更した以外は、実施例5と同様にして、A層およびB層に用いる組成物のペレットを得た。そして、表2又は3に記載の積層厚み比となるように、この組成物のペレットをインフレーション法により、シリンダー温度185℃で、スクリュー径60mmのそれぞれ独立した単軸押出機に供給し、環状ダイスの温度を170℃とし、実施例5と同様にして、厚さ20μmのフィルムを得た。得られたフィルムの物性及び評価結果を表2又は3に示した。
樹脂の種類及び含有量、発泡剤の含有量、及び充填剤の含有量を表1、2、又は3に記載の通りに変更した以外は、実施例5と同様にして、A層およびB層に用いる組成物のペレットを得た。そして、表1、2又は3に記載の積層厚み比となるように、この組成物のペレットをインフレーション法により、シリンダー温度185℃で、スクリュー径60mmのそれぞれ独立した単軸押出機に供給し、環状ダイスの温度を170℃とし、実施例5と同様にして、厚さ20μmのフィルムを得た。
樹脂の種類及び含有量、発泡剤の含有量、及び充填剤の含有量を、表3に記載の割合とし、実施例10と同様にして、A層およびB層に用いる組成物のペレットを得た。
前述の方法により、以下の布及び不織布について、厚み、せん断かたさ(G)、表面粗さの変動(SMD)、摩擦係数の変動(MMD)、圧縮仕事量、及び接触冷温感(Qmax)を測定した。その結果を表3に示す。
布を構成する全成分を100%としたときに、精製セルロース繊維(“テンセル”(登録商標))を95%、ポリウレタン繊維を5%含む布 ((株)ユニクロ製 ボクサーブリーフ(黒) レギュラー)
(参考例2)
商品名:絹調ポリエステル繊維(“シルックデュエット”(登録商標)、東レ(株)製)
(参考例3)
商品名:ポリプロピレン不織布(“エルタス”(登録商標))、旭化成せんい(株)製 目付け20g/m2
a2:表面粗さの変動(SMD)と摩擦係数の変動(MMD)(参考例2)
a3:表面粗さの変動(SMD)と摩擦係数の変動(MMD)(参考例3)
a4:表面粗さの変動(SMD)と摩擦係数の変動(MMD)(比較例1)
b1:Y=5.5
b2:X=0.003
b3:X=0.025
b4:Y=3,000X2+2.0
b5:Y=9,000X2+4.0
c A4サンプル
d A4サンプルの短辺の両端
e 1/2インチ・エレクトリックマイクロホン
f プリアンプ
g FFT分析器
h 比較例1の各周波数の騒音レベルのグラフ
i 比較例2の各周波数の騒音レベルのグラフ
j 実施例19の各周波数の騒音レベルのグラフ
Claims (18)
- 熱可塑性樹脂を含むフィルムであって、KES法に従い測定されるせん断かたさが0.1gf/(cm・deg)以上4.0gf/(cm・deg)以下であり、かつ少なくとも一方の面において、KES法に従い測定される摩擦係数が0.15以上0.80以下であることを特徴とするフィルム。
- 少なくとも一方の面において、前記KES法に従い測定される摩擦係数が0.30以上0.80以下であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
- 少なくとも一方の面において、KES法に従い測定される表面粗さの変動(SMD)が、1.2μm以上16μm以下であり、かつ摩擦係数の変動(MMD)が0.003以上0.07以下であることを特徴とする請求項1または2に記載のフィルム。
- KES法に従い測定される接触冷温感(Qmax)が、0.02W/cm2以上0.45W/cm2以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム。
- KES法に従い測定される曲げかたさが、1.0×10−3gf・cm2/cm以上40×10−3gf・cm2/cm以下であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム。
- KES法に従い測定される圧縮仕事量が、0.01gf・cm/cm2以上0.40gf・cm/cm2以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフィルム。
- 騒音レベルが65dB以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のフィルム。
- 樹脂100質量%中に、熱可塑性樹脂Aを50質量%以上100質量%以下含む層をA層としたときに、A層を含むことを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のフィルム。但し、前記熱可塑性樹脂Aは、エチレン−メチルメタクリレート共重合体、エチレン−メチルアクリレート共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ポリウレタン、及びポリエステル系エラストマーからなる群より選ばれる少なくとも一つの樹脂である。
- 前記A層の空孔率が20%以上90%以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載のフィルム。
- 前記フィルムが前記A層と熱可塑性樹脂を含むフィルムB層とを有す積層フィルムであって、前記A層が、アスペクト比1以上30以下の充填剤(充填剤A)を含み、前記A層が最表層であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載のフィルム。
- 前記B層が、アスペクト比10以上100以下の充填剤であって、前記充填剤Aよりもアスペクト比の大きい充填剤(充填剤B)を含むことを特徴とする請求項10に記載のフィルム。
- 前記A層中の充填剤の含有量をMAとし、前記B層中の充填剤の含有量をMBとしたときに、MB/MAの値が0.01以上0.60以下であることを特徴とする請求項10または11に記載のフィルム。
- 前記A層の空孔率をNA、前記B層の空孔率をNBとしたときに、NA−NB≧20%であることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載のフィルム。
- 前記B層中の樹脂100質量%中に、熱可塑性樹脂Bを5質量%以上40質量%以下含むことを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載のフィルム。但し、熱可塑性樹脂Bは、ポリ乳酸、ポリヒドロキシブチレート、ポリカプロラクトン、ポリエチレンサクシネート、ポリブチレンサクシネート、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンサクシネートアジペート、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ポリエチレングリコール・ポリプロピレングリコール共重合体からなる群より選ばれる少なくとも一つの樹脂である。
- 前記A層、前記B層、及び前記A層が、この順に直接積層されたことを特徴とする請求項10〜14のいずれかに記載のフィルム。
- 請求項1〜15のいずれかに記載のフィルムと不織布との積層体。
- 請求項1〜15のいずれかに記載のフィルムの製造方法であって、製造工程中でフィルムを得るために用いる組成物を発泡させ、フィルムに空孔を形成させることを特徴とするフィルムの製造方法。
- 請求項1〜15のいずれかに記載のフィルムの製造方法であって、フィルムにラビング加工を施す工程を有することを特徴とするフィルムの製造方法。
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