JP3242012U - 吸収性物品の包装構造体 - Google Patents

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【課題】本考案は、ユーザがパッケージを開封する前に感じる吸収性物質の風合いと、パッケージから吸収性物品を取り出す際に感じる吸収性物品の風合いとの間に大きな違和感がない包装構造体の提供を目的とする。【解決手段】本考案の吸収性物品3の包装構造体1は、吸収性物品をパッケージ5に収容して成り、人肌を想定した疑似皮膚に対する、パッケージに収容された吸収性物品の外装表面6の動摩擦係数は、疑似皮膚に対する、パッケージの外側表面の動摩擦係数よりも0.10以下小さい。【選択図】図1

Description

本考案は、吸収性物品の包装構造体に関する。
一般に、吸収性物品が収容され、外面が印刷されたパッケージを備える包装構造体が知られている。吸収性物品の肌触り等の風合いを良好にするために、摩擦係数の低い不織布を外装表面として使用した吸収性物品を備える包装構造体が開示されている(特許文献1)。
特開2003-220660号公報
ところで、パッケージに収容された吸収性物品は、ユーザがパッケージ表面を触れたときの感触や、パッケージ表面に表示されている情報から想像する開封前の吸収性物品の風合いと、パッケージを開封した際に実際に触れて感じる吸収性物品の風合いとの間に差異が生じることがある。特に、ユーザが開封前に想像していた吸収性物品の風合いと、実際に感じる吸収性物品の風合いとの差が大きい場合に違和感が生じ、パッケージ表面に表示されている情報への不信感へとつながり、次回以降の購買意欲が低下してしまう。
そこで本考案は、ユーザがパッケージを開封する前に感じる吸収性物質の風合いと、パッケージから吸収性物品を取り出す際に感じる吸収性物品の風合いとの間に大きな違和感がない包装構造体の提供を目的とする。
本考案の吸収性物品の包装構造体は、吸収性物品をパッケージに収容して成り、人肌を想定した疑似皮膚に対する、パッケージに収容された吸収性物品の外装表面の動摩擦係数は、疑似皮膚に対する、パッケージの外側表面の動摩擦係数よりも0.10以下小さい。
本考案の吸収性物品の包装構造体は、ユーザがパッケージを開封する前に感じる吸収性物質の風合いと、パッケージから吸収性物品を取り出す際に感じる吸収性物品の風合いとの間に大きな違和感がない。
図1は、本考案の実施の形態1にかかる吸収性物品の包装構造体を示す斜視図である。 図2は、本考案の実施の形態1にかかるパッケージの断面図である。 図3は、動摩擦係数の測定方法を示す図である。 図4は、本考案の実施の形態2にかかるパッケージの断面図である。
以下、本考案の実施の形態について説明する。
[実施の形態1]
図1に示すように、包装構造体1は、複数の吸収性物品3とパッケージ5とを備える。複数の吸収性物品3は、パッケージ5によって包装されている。吸収性物品3は、例えば、おむつ又はナプキン等である。
吸収性物品3は、例えば、坪量20g/m、PET(ポリエチレンテレフタレート)
/PE(ポリエチレン)樹脂(平均繊維径12μm~15μm)からなるエアスルー不織布から形成される外装表面6を備える。
吸収性物品3の外装表面6の、人肌を想定した疑似皮膚に対する動摩擦係数は、例えば0.35以下である。ここで、人肌を想定した疑似皮膚は、ヒトの皮膚の質感を模倣した人工的な皮膚、すなわち人肌の表面凹凸パターン、弾力性、水分量、油分量等の物性を再現した物質をいい、例えばバイオスキンプレート(株式会社ビューラックス社製、A4ハイブリッドゲル5T-11×0.21S、ウェットコーティング)を用いることができる。このような吸収性物品3の外装表面6の、上述した動摩擦係数は、好ましくは0.10以上0.35以下であり、より好ましくは0.15以上0.30以下である。
パッケージ5は、正面7と、正面7に対向する背面9と、第1の側面11と、第1の側面11に対向する第2の側面13と、天面15と、天面15に対向する底面17とからなる六面体である。パッケージ5の正面7は、パッケージ5を開封して吸収性物品3を取り出すための開口部を形成するミシン目22と、ミシン目22を含む領域24とを備える。パッケージ5の各面は、最外層にマット層19を備え、第1の側面11は、マット層19と、非マット層領域21とを備える。非マット層領域21には、例えばパッケージ5によって包装されている複数の吸収性物品3のサイズや枚数が記載される。
図2に示すように、パッケージ5は、包装構造体1に使用される場合に内側となる面(吸収性物品側表面23)から外側となる面に向かって、フィルム基材層25、インク層27、及びマット層19の順で積層されている。
フィルム基材層25は、パッケージ5が包装構造体1に用いられた際に形状や強度を保つための基礎となる材料であり、柔軟性及び強度のあるフィルム材料であることが好ましい。フィルム基材層25の材料は、例えば、ポリエチレン、ポリアミド、ポリエステル、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートである。
インク層27は、模様、絵柄、文字等の吸収性物品3に関する情報をパッケージ5に付与するための層である。インク層27の材料は、インク組成物である。インク組成物は、例えば、カーボンブラック、ジアミン、ポリオール、硬化剤及び有機溶媒等を含有する。硬化剤は、例えば、イソシアネートである。有機溶媒は、例えば、トルエンである。インク層27は、例えばグラビア印刷法等により、フィルム基材層25の表面に所望の模様、絵柄、文字等を表示するように上記組成物を印刷する(塗布する)ことによって形成することができる。
マット層19は、パッケージ5の最外層として設けられている。マット層19は、パッケージ5の表面に微細な凹凸を作り、マットな質感を付与する層である。マット層19は、例えば、マット剤29を分散させた樹脂層31である。マット剤29は、例えば、シリカ、アルミナ、酸化カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、カーボンブラックである。樹脂層31は、例えば、アクリル系樹脂、エポキシ系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、フッ素系樹脂、フェノキシ系樹脂、シリコーン系樹脂から形成される。
マット層19では、図2に示すように、複数のマット剤29が樹脂層31から外側にはみ出ていることにより表面に微細な凹凸が形成されている。この微細な凹凸により光がマット層19の表面上で乱反射してマットな質感となる。
このようなパッケージ5において、上述した疑似皮膚に対する、パッケージの外側表面(正面7、背面9、第1の側面11、第2の側面13、天面15、底面17の少なくとも1つの表面)の動摩擦係数は、例えば、0.50以下であり、好ましくは0.20以上0.45以下であり、より好ましくは、0.25以上0.40以下である。
また、上述した疑似皮膚に対する、パッケージの吸収性物品側表面23の動摩擦係数は、例えば、0.50以下であり、好ましくは0.20以上0.45以下であり、より好ましくは、0.25以上0.40以下である。
さらに、上述した疑似皮膚に対する、パッケージ5のミシン目22を含む領域24の動摩擦係数は、例えば0.35以下である。
実施の形態1の包装構造体1において、人肌を想定した疑似皮膚に対する、パッケージ5に収容された吸収性物品3の外装表面6の動摩擦係数は、疑似皮膚に対する、パッケージ5の外側表面(例えば、正面7、背面9、第1の側面11、第2の側面13、天面15、底面17の少なくとも1つの表面)の動摩擦係数よりも0.10以下小さい。
このような実施の形態1の包装構造体1は、上述した構成を備えるため、パッケージ5に収容された吸収性物品3の外装表面6の風合いと、パッケージ5の外側表面の風合いとの間に大きな違和感がない。その結果、パッケージ表面に表示されている情報への信頼感につながり、次回以降の購買意欲を高めることができる。
また、実施の形態1の包装構造体1は、パッケージ5の最外層にマット層19を備えることによって、ユーザの購買意欲をさらに高めることもできる。
さらに、実施の形態1の包装構造体1は、パッケージ5の最外層にあるマット層19に含まれるマット剤29の量を増やすことによって、ユーザがパッケージ表面に触れた際に感じる風合いを増加させることもできる。
上述した動摩擦係数は、例えば、図3に示すような測定装置37を用いて測定することができる。測定装置37は、試験台39と、試験台39上に設置された滑車41と、滑車41に架けられたワイヤ43と、ワイヤ43の一端に取り付けられた重り45と、重り45に巻き付けて固定された第1サンプル47と、第1サンプル47及び試験台39の間に配置された第2サンプル49とを備える。滑車41は、回転の軸を固定した定滑車である。
ワイヤ43の他端には、引張試験機(図示せず)に接続されている。引張試験機は、例えばオートグラフ(株式会社島津製作所、型番AG-X)である。
重り45は、190gの重量を有し、30mm×100mm(縦×横)の測定面(接触面)寸法を有する。
第1サンプル47がフィルム状である場合、第1サンプル47の非測定面(重り45)
側にエアスルー不織布(坪量:20g/m)を貼り付けてから重り45に固定する。第2サンプル49がフィルム状である場合、第2サンプル49の非測定面(試験台39)側にエアスルー不織布(坪量:20g/m)を貼り付けてから試験台39上に配置する。
測定装置37の引張試験機を駆動させて、ワイヤ43を介して、第1サンプル47を巻き付けて固定した重り45に300mm/分の引張速度で外力を加える。外力は徐々に増加して第1サンプル47に摩擦を与え、最大荷重に達する。最大荷重に達した直後、重りが動き始める。この最大荷重を無視し、接触面間の相対ずれ運動を開始して10mmから30mmまでの平均荷重を動摩擦力とする。
続いて、下記式(1)によって動摩擦係数を求める。
μ=F/F (1)
上記式(1)において、μは動摩擦係数であり、Fは動摩擦力[N]であり、Fは重り45の質量によって生じる法線力(=1.86[N])である。
本考案は、上述した実施の形態に限らず、本考案の要旨を逸脱しない範囲で種々変形可能である。以下に本考案の形態の変形例を説明するが、以下に説明する変形例において、上述した実施の形態と同一の作用効果を奏する部分には同一の符号を付することによりその部分の詳細な説明を省略し、以下の説明では実施の形態と主に異なる点を説明する。
[実施の形態2]
実施の形態2の包装構造体1は、実施の形態1の包装構造体1と比較して、図4に示すように、パッケージ5の吸収性物品側表面23にマット層19をさらに備える。このパッケージ5の吸収性物品側表面23の、人肌を想定した疑似皮膚に対する動摩擦係数は、例えば、0.50以下であり、好ましくは0.20以上0.45以下であり、より好ましくは、0.25以上0.40以下である。
このような実施の形態2の包装構造体1は、上述した構成を備えるため、パッケージ5に収容された吸収性物品3の外装表面6の風合いと、パッケージ5の吸収性物品側表面の風合いとの間にも大きな違和感がない。その結果、パッケージ表面に表示されている情報へのさらなる信頼感につながり、次回以降の購買意欲をさらに高めることができる。
本考案の効果を確認するために、実施例1~3及び比較例1~3の包装構造体を製造し、比較実験を行った。
実施例1
図1及び2に示すような、正面7にミシン目22、外側表面にマット層(樹脂層31として用いられる樹脂層材料のいずれかに、マット剤としてのシリカを分散させたもの)を備えるパッケージ(ポリエチレン)と、坪量20g/m、PET(ポリエチレンテレフタレート)/PE(ポリエチレン)樹脂(平均繊維径12μm)からなるエアスルー不織布を外装表面として備える複数の吸収性物品(おむつ)とを準備した。続いて、複数の吸収性物品をパッケージ内に収容して実施例1の包装構造体を製造した。
実施例2
図1及び2に示すような、正面7にミシン目22、外側表面にマット層を備えるパッケージと、坪量20g/m、PET/PE樹脂(平均繊維径15μm)からなるエアスルー不織布を外装表面として備える複数の吸収性物品(おむつ)とを準備した。続いて、複数の吸収性物品をパッケージ内に収容して実施例2の包装構造体を製造した。ここで、実施例2のマット層は、実施例1に含まれるマット剤の60%の量で形成した。
実施例3
図1及び4に示すような、正面7にミシン目22、外側表面及び吸収性物品側表面にマット層をそれぞれ備えるパッケージと、坪量20g/m、PET/PE樹脂(平均繊維径12μm)からなるエアスルー不織布を外装表面として備える吸収性物品(おむつ)とを準備した。続いて、複数の吸収性物品をパッケージ内に収容して実施例3の包装構造体を製造した。ここで、実施例3の各マット層は、実施例1と同じ量、成分のマット剤、樹脂層を用いて形成した。
比較例1
図1に示すような、正面7にミシン目22を備えるが、外側表面及び吸収性物品側表面にマット層を備えていないパッケージと、坪量20g/m、PET/PE樹脂(平均繊維径12μm)からなるエアスルー不織布を外装表面として備える吸収性物品(おむつ)とを準備した。続いて、複数の吸収性物品をパッケージ内に収容して比較例1の包装構造体を製造した。
比較例2
図1に示すような、正面7にミシン目22を備えるが、外側表面及び吸収性物品側表面にマット層を備えていないパッケージと、坪量20g/m、PET/PE樹脂(平均繊維径15μm)からなるエアスルー不織布を外装表面として備える吸収性物品(おむつ)とを準備した。続いて、複数の吸収性物品をパッケージ内に収容して比較例2の包装構造体を製造した。
比較例3
図1及び2に示すような、正面7にミシン目22、外側表面にマット層を備えるパッケージと、坪量17g/m、PP樹脂からなるスパンボンド不織布を外装表面として備える吸収性物品(おむつ)とを準備した。続いて、複数の吸収性物品をパッケージ内に収容して比較例3の包装構造体を製造した。ここで、比較例3のマット層は、実施例1と同じ量、成分のマット剤、樹脂層を用いて形成した。
続いて、実施例1~3及び比較例1~3の包装構造体を用いて下記2つの評価を行った。
評価1(パッケージの風合い評価)
5名のパネラーが開封前の包装構造体のパッケージ外面を触り、パッケージの風合いを5段階で評価した。例えば、1<2<3<4<5のように、1は風合いが良くなく、2は風合いがやや良くなく、3はどちらともいえない、4は風合いがやや良く、5は風合いがとても良かった。5名のパネラーの平均値を評価1として算出した。
評価2(吸収性物品の風合い評価)
5名のパネラーがパッケージのミシン目の開封口を開封し、吸収性物品を触り、その吸収性物品の風合いを5段階で評価した。例えば、1<2<3<4<5のように、1は風合いが良くなく、2は風合いがやや良くなく、3はどちらともいえない、4は風合いがやや良く、5は風合いがとても良かった。5名のパネラーの平均値を評価2として算出した。
評価1及び2の結果を、動摩擦係数の測定結果とともに下記表1に示す。
Figure 0003242012000002
表1に示すように、実施例1の包装構造体と比較例1の包装構造体とを比較すると、実施例1の包装構造体は、人肌を想定した疑似皮膚に対する、パッケージに収容された吸収性物品の外装表面の動摩擦係数(c)が、上述した疑似皮膚に対する、パッケージの外側表面の動摩擦係数(a)よりも0.10以下小さいため、比較例1の包装構造体と比べて評価1及び2が高いことが確認された。
言い換えると、実施例1の包装構造体は、表1に示すa-cの値が0.10よりも小さいため、パッケージに収容された吸収性物品の外装表面の風合いと、パッケージの外側表面の風合いとの間に大きな違和感がない。
同様に、実施例2の包装構造体と比較例2の包装構造体とを比較すると、実施例2の包装構造体は、表1に示すa-cの値が0.10よりも小さいため、パッケージに収容された吸収性物品の外装表面の風合いと、パッケージの外側表面の風合いとの間に大きな違和感がない。
次いで、実施例1の包装構造体と実施例2の包装構造体とを比較すると、実施例1の包装構造体は、表1に示すa-cの値がより小さいため、パッケージに収容された吸収性物品の外装表面の風合いと、パッケージの外側表面の風合いとの間の違和感がより小さい。
次いで、実施例1の包装構造体と実施例3の包装構造体とを比較すると、実施例3の包装構造体は、人肌を想定した疑似皮膚に対する、パッケージに収容された吸収性物品の外装表面の動摩擦係数(c)が、上述した疑似皮膚に対する、パッケージの吸収性物品側表面の動摩擦係数(b)よりも0.10以下小さいため、実施例1の包装構造体と比べて評価1及び2がより高いことが確認された。
言い換えると、実施例3の包装構造体は、表1に示すb-cの値も小さいため、パッケージに収容された吸収性物品の外装表面の風合いと、パッケージの外側表面の風合いとの間の違和感がより小さい。
[変形例]
変形例の包装構造体のパッケージの外装表面及び吸収性物品側表面は、ブラスト処理によってフィルム基材層又はインク層の表面の動摩擦係数を、上述した範囲にすることができる。
1…包装構造体
3…吸収性物品
5…パッケージ
19…マット層
25…フィルム基材層
27…インク層

Claims (5)

  1. 吸収性物品をパッケージに収容して成る吸収性物品の包装構造体であって、
    人肌を想定した疑似皮膚に対する、前記パッケージに収容された前記吸収性物品の外装表面の動摩擦係数は、前記疑似皮膚に対する、前記パッケージの外側表面の動摩擦係数よりも0.10以下小さい包装構造体。
  2. 前記疑似皮膚に対する、前記パッケージに収容された前記吸収性物品の外装表面の動摩擦係数は、0.35以下である請求項1に記載の包装構造体。
  3. 前記疑似皮膚に対する、前記パッケージに収容された前記吸収性物品の外装表面の動摩擦係数は、前記疑似皮膚に対する、前記パッケージの吸収性物品側表面の動摩擦係数よりも0.10以下小さい請求項1又は2に記載の包装構造体。
  4. 前記パッケージは、開封するためのミシン目を備え、
    前記疑似皮膚に対する、前記ミシン目を含む領域の動摩擦係数は、0.35以下である請求項1~3のいずれか1項に記載の包装構造体。
  5. 前記パッケージは表面にマット層を備える請求項1~4のいずれか1項に記載の包装構造体。
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